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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  C08L
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08L
管理番号 1111085
異議申立番号 異議2002-72460  
総通号数 63 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2005-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-10-07 
確定日 2004-11-22 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3272358号「プロピレン重合体組成物」の請求項1ないし19に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3272358号の請求項1ないし4、6ないし19に係る特許を維持する。 
理由 [1]手続きの経緯
特許第3272358号の請求項1〜19にかかる発明は、平成5年1月11日に日本国にした5件の特許出願に基づく優先権を主張して平成6年1月11日に国際出願されたものであって、平成14年1月25日に特許権の設定登録がなされ、その後、バーゼル・ポリオレフィン・ゲーエムベーハーより特許異議の申立てがなされ、平成15年5月12日付けで取消の理由が通知され、その指定期間内に訂正請求書及び特許異議意見書が提出され、それに対して平成16年2月26日付けで訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内に意見書及び補正書が提出され、その後、平成16年5月17日付けで特許権者に対して審尋が発せられ、それに対する回答書が提出され、更に平成16年10月19日付けで取消の理由が通知され、その指定期間内である平成16年10月21日付けで先の訂正請求書の取り下げと同時に、新たな訂正請求書が提出されたものである。
[2]訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
特許権者が求める訂正事項は以下の通りである。
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項2及び4において、「軟質重合体」を、「結晶化度が30%未満である炭素数2〜20のα-オレフィンの(共)重合体」と訂正する。
(2)訂正事項b
特許請求の範囲の請求項3において、「からなることを」を、「からなり、前記プロピレン重合体(A2)のMFRと、前記プロピレン重合体(A3)のMFRとの比((A2)/(A3))が30以上であることを」と訂正する。
(3)訂正事項c
特許請求の範囲の請求項5を削除し、欠番とする。(以下の請求項対応表参照。なお、項数以外の訂正のある請求項については訂正ありと記載。)
請求項対応表
特許時の請求項 訂正後の請求項
1 1(訂正あり)
2 2(訂正あり)
3 3(訂正あり)
4 4(訂正あり)
5 削除
6 6(訂正あり)
7 7(訂正あり)
8 8
9 9(訂正あり)
10 10(訂正あり)
11 11
12 12(訂正あり)
13 13(訂正あり)
14 14
15 15
16 16(訂正あり)
17 17(訂正あり)
18 18
19 19(訂正あり)
(4)訂正事項d
特許請求の範囲の請求項6,13において、「からなることを」を、「からなり、230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを」と訂正する。
(5)訂正事項e
特許請求の範囲の請求項9、10,12,16,17,19において、「されることを」を「され、230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲あることを」と訂正する。
(6)訂正事項f
特許請求の範囲の請求項7中((A5)成分末尾)において、『基、』とあるのを、明瞭でない記載の釈明を目的として『基]を示す)』と訂正する。
2.訂正の可否
訂正の目的の適否、訂正の範囲の適否及び特許請求の範囲の拡張・変更の存非について検討する。
(1)訂正事項a
訂正事項aは、特許明細書の特許請求の範囲(請求項2および4)に記載された(B)成分の「軟質重合体」をより明確かつ具体的に「結晶化度が30%未満である炭素数2〜20のα-オレフィンの(共)重合体」と限定するものである。
この訂正は、本件特許公報第34頁第67欄第24〜31行において、「第2のプロピレン重合体組成物を構成する軟質重合体(B)は、炭素数2〜20のα-オレフィンの(共)重合体であり、190℃、2.16kg荷重で測定されるMFRが0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜50g/10分の範囲にあることが望ましい。このような軟質重合体(B)は、X線回折法によって測定される結晶化度が30%未満であり、非晶質であることが望ましい。」との記載及び本件特許公報第40頁第79欄第11〜13行において、「第4のプロピレン重合体組成物を構成する軟質重合体(B)は、前記第2のプロピレン重合体組成物を形成する軟質重合体(B)と同様の重合体である。」との記載に基づくものである。
したがって、この訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、「軟質」という定性的な表現を具体的な測定値(結晶化度30%未満)及び重合体の組成(炭素数2〜20のα-オレフィンの(共)重合体)で規定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
(2)訂正事項b
訂正事項bは、特許請求の範囲の請求項3において、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A2)と、プロピレン重合体(A3)とのMFRの比((A2)/(A3))を、30以上に限定するものである。
この訂正は、本件特許公報第35頁第70欄第33〜36行において、第3のプロピレン重合体組成物に関し、「プロピレン重合体(A2)のMFRとプロピレン重合体(A3)のMFRとの比〔(A2)/(A3)〕は、30以上、好ましくは40〜100の範囲にあることが望ましい。」との記載に基づくものである。
したがって、この訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正で、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
(3)訂正事項c
上記訂正事項cは、訂正前の特許請求の範囲の請求項5を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
(4)訂正事項dおよびe
上記訂正事項dおよびeは、特許請求の範囲の請求項6,9,10,12,13,16,17,19において、プロピレン重合体組成物を、「230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にある」ものに限定するものである。
この訂正は、各プロピレン重合体組成物について、「230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnは、4〜15の範囲にあることが望ましいこと」との明細書の以下の記載に基づくものである。
即ち、請求項6については本件特許公報第50頁第99欄第18〜22行(第6のプロピレン重合体組成物の説明)に、請求項9については本件特許公報第54頁第108欄第24〜28行(第9のプロピレン重合体組成物の説明)に、請求項10については本件特許公報第55頁第110欄第20〜24行(第10のプロピレン重合体組成物の説明)に、請求項12については本件特許公報第57頁第114欄第17〜21行(第12のプロピレン重合体組成物の説明)に、請求項13については本件特許公報第58頁第116欄第36〜40行(第13のプロピレン重合体組成物の説明)に、請求項16については本件特許公報第61頁第121欄第22〜26行(第16プロピレン重合体組成物の説明)に、請求項17については本件特許公報第62頁第123欄第22〜26行(第17プロピレン重合体組成物の説明)に、請求項19については本件特許公報第64頁第127欄第27〜31行(第19プロピレン重合体組成物の説明)にそれぞれ示されている。
したがって、この訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正で、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
(5)訂正事項f
上記訂正事項fは、特許請求の範囲の請求項7で、(A5)成分のプロピレンの製造用の触媒である式(I)で表される遷移金属化合物の説明において、文末の表現が不明瞭となっていたものを、『基]を示す)』と訂正することによって、式(I)で表わされる遷移金属化合物に係る説明を明確化するものである。
この訂正は、本件特許公報第51頁第31〜34行における「第7のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン単独重合体(A)は、前記第6のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン単独重合体(A5)と同様のプロピレン単独重合体である」との記載及び第6のプロピレン重合体組成物に係る請求項6の(A5)成分のプロピレンの製造用の触媒である式(I)で表される遷移金属化合物記載の説明における『基]を示す)』との記載に基づくものである。
したがって、この訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
3.結び
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
[3]本件発明
上記訂正の結果、訂正後の本件発明は以下の請求項に記載されたとおりのものである。
【請求項1】(A1)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV B族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜30g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜3の範囲にあるプロピレン重合体;10〜90重量%と、
(A2)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV B族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が30〜1000g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にあるプロピレン重合体;10〜90重量%とからなり、前記プロピレン重合体(A2)のMFRと、前記プロピレン重合体(A1)のMFRとの比((A2)/(A1))が30以上であることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項2】(A1)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV B族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜30g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜3の範囲にあるプロピレン重合体;10〜90重量%と、
(A2)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在
下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が30〜1000g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にあるプロピレン重合体;10〜90重量%と、
(B)結晶化度が30%未満である炭素数2〜20のα-オレフィン(共)重合体;3〜30重量部と
からなり、前記プロピレン重合体(A2)のMFRと、前記プロピレン重合体(A1)のMFRとの比((A2)/(A1))が30以上であることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項3】(A3)
(1)(d)固体状チタン触媒成分と、(e)有機金属化合物触媒成分とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜30g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあるプロピレン重合体;10〜90重量%と、
(A2)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV B族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が30〜1000g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にあるプロピレン重合体;90〜10重量%と
からなり、前記プロピレン重合体(A2)のMFRと、前記プロピレン重合体(A3)のMFRとの比((A2)/(A3))が30以上であることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項4】(A3)
(1)(d)固体状チタン触媒成分と、(e)有機金属化合物触媒成分とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜30g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあるプロピレン重合体;10〜90重量部と、
(A2)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV B族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が30〜1000g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にあるプロピレン重合体;90〜10重量部と
(B)結晶化度が30%未満である炭素数2〜20のα-オレフィン(共)重合体;3〜30重量部と
からなることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項6】(A5)
(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(i)(註:iはイタリック文字、以下同様)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体;5〜95重量%と、

………(I)
(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P-(R3)-、-P-(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体;5〜95重量%とからなり、
230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項7】(A5)
(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体;5〜95重量%と、


………(I)
(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P-(R3)-、-P-(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるオレフィン系エラストマー;5〜95重量%と
からなることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項8】(A5)
(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体;5〜95重量%と、

………(I)
(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P-(R3)-、-P-(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体;5〜95重量%と
からなることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項9】(A5)
(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体%と、

………(I)
(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P-(R3)-、-P-(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマーとからなり、前記プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、
230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項10】(A5)
(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体と、

………(I)
(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P-(R3)-、-P-(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体と、(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有され、
230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項11】(A5)
(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体と、

………(I)
(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P-(R3)-、-P-(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるオレフィン系エラストマーと、
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有されることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項12】(A5)
(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体と、

………(I)
(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P-(R3)-、-P-(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、 (2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるオレフィン系エラストマーと、
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有され、230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項13】(A7)
(1)(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合 物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体;5〜95重量%と、

………(I)
(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P-(R3)-、-P-(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体;5〜95重量%と
からなり、230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項14】(A7)
(1)(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合 物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体;5〜95重量%と、


………(I)
(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P-(R3)-、-P-(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、 (2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるオレフィン系エラストマー;5〜95重量%とからなることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項15】(A7)
(1)(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合 物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体;5〜95重量%と、


………(I)
(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P-(R3)-、-P-(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体;5〜95重量%と
からなることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項16】(A7)
(1)(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合 物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体と、


………(I)
(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P-(R3)-、-P-(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A7)とは異なるプロピレン重合体と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるオレフィン系エラストマーと
からなり、前記プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、
230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項17】(A7)
(1)(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合 物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体と、


………(I)
(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P-(R3)-、-P-(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン共重合体(A7)とは異なるプロピレン重合体と、
(E)
エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有され、
230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項18】(A7)
(1)(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合 物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体と、


………(I)
(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P-(R3)-、-P-(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるオレフィン系エラストマーと、
(E)
エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有されることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
【請求項19】(A7)
(1)(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合 物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体と、


………(I)
(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P-(R3)-、-P-(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A7)とは異なるプロピレン重合体と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるオレフィン系エラストマーと、
(E) エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有され、
230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
[4]特許異議申立理由
特許異議申立人バーゼル・ポリオレフィン・ゲーエムベーハーは、甲第1〜12号証を提出し、その特許異議申立理由の概略は次のとおりである。
1.本件請求項1に係る発明は甲第2号証を参酌すれば甲第1号証の先願明細書に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2に該当する。
2.本件請求項1に係る発明は甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当する。
3.本件請求項1に係る発明は甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得るものであるから、特許法第29条第2項に該当する。
4.本件請求項2に係る発明は甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当する。
5.本件請求項2に係る発明は甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得るものであるから、特許法第29条第2項に該当する。
6.本件請求項3に係る発明は甲第5号証の先願明細書に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2に該当する。
7.本件請求項3に係る発明は甲第6号証の先願明細書に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2に該当する。
8.本件請求項4に係る発明は甲第7号証及び甲第8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得るものであるから、特許法第29条第2項に該当する。
9.本件請求項4に係る発明は甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明に基づいて、或いはさらにこれ等と甲第7号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明し得るものであるから、特許法第29条第2項に該当する。
10.本件請求項5に係る発明は甲第7号証及び甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得るものであるから、特許法第29条第2項に該当する。
11.本件請求項5に係る発明は甲第10号証の先願明細書に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2に該当する。
12.本件請求項6〜19に係る発明は甲第12号証(甲第11号証がその訳文)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得るものであるから、特許法第29条第2項に該当する。
[5]特許異議申立についての判断
〈1〉特許法第29条の2についての判断(上記特許異議申立理由1、6、7、11について)
1.特許異議申立理由1について
特許異議申立人は、先願明細書に該当する甲第1号証には一部の点を除き本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)の要件が実質的に記載されていると主張し、その一部の点(Mw/MnとMFIの条件)は、甲第1号証の優先権主張の基礎とされた甲第2号証に記載されている、としている。
そこで先ず甲第1号証(特開平6-9829号公報)について検討する。該公報に係る出願は、優先権主張番号:P4210581:1、優先日:1992年3月31日、優先権主張国:ドイツとする優先権を主張して、平成5年(1993年)3月29日に日本国に出願されたものであって、平成6年(1994年)1月18日に出願公開されたものである。
そして、該公報には次のようなことが記載されている。
(1)
「【請求項1】a)式Ra -CH=CH-Rb (式中、Ra およびRb は同一または異なっていて、そして水素またはC1〜C15-アルキルであるかまたはRaおよびRbはこれらと結合する原子と一緒になって環を形成する)で表される少なくとも3個の炭素原子を有するオレフィンから誘導され、1000ないし50,000g/モルの分子量Mw、1.8ないし4.0の分子量分散度Mw/Mn、2ないし50cm3 /gの粘度指数および120ないし160℃の融点を有するポリオレフィンワックスおよび
b) a)で記載したオレフィンから誘導され、>100,000のg/モルの分子量Mw、1.8ないし4.0の分子量分散度Mw/Mn、>80cm3/gの粘度指数および120ないし160℃の融点を有するポリオレフィンあるいはb)の代わりに
c) 式Ra-CH=CH-Rb(式中、RaおよびRbは同一または異なっていて、そして水素またはC1〜C15-アルキルであるかまたはRaおよびRbはこれらと結合する原子と一緒になって環を形成する)で表される少なくとも2種類の異なるオレフィンから誘導され、>100,000のg/モルの分子量Mw、1.8ないし4.0の分子量分散度Mw/Mn、>80cm3/gの粘度指数および90ないし160℃の融点を有するオレフィンコポリマーから本質的になるポリオレフィン成形用組成物。
【請求項2】成分a)がポリプロピレンワックスである請求項1記載のポリオレフィン成形用組成物。
【請求項3】成分b)がポリプロピレンである請求項1または2記載のポリオレフィン成形用組成物。
【請求項4】成分c)がエチレン-プロピレンコポリマーである請求項1ないし3の一つまたはそれ以上のポリオレフィン成形用組成物。
【請求項5】20ないし99重量%の請求項1ないし4の1つまたはそれ以上の成形用組成物および1ないし80重量%の-20℃以下のガラス転移温度を有するゴムから本質的になるポリオレフィン成形用組成物。
【請求項6】 安定剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光保護剤、金属失活剤、フリーラジカル補捉剤、フィラーおよび強化剤、相溶化剤、可塑剤、滑剤、乳化剤、蛍光増白剤、燃焼防止剤、顔料、帯電防止剤および発泡剤を付加的に含んでなる請求項1ないし5の一つまたはそれ以上のポリオレフィン成形用組成物。
【請求項7】 請求項1ないし6の一つまたはそれ以上に記載のポリオレフィン成形用組成物を成形体の製造に使用する方法。
【請求項8】 請求項1ないし6の一つまたはそれ以上に記載のポリオレフィン成形用組成物から製造された成形体。」
(2)
「【0008】低分子量成分a)およびその製造方法は、例えばヨーロッパ特許出願公開第321 852号明細書およびヨーロッパ特許出願公開第416566号明細書並びにその実施例に記載されている。成分a)はポリプロピレンワックスであることが好ましい。
【0009】ポリオレフィンb)およびその製造方法は公知である(例えばドイツ特許第40 35886.0明細書(=ヨーロッパ特許出願番号第91 118 681.5号明細書およびその実施例を参照のこと)。これらは、高分子量、アイソタクチックホモポリマーであり、そのうち特にポリプロピレンを記載しなければならない。
【0010】高分子量コポリマーc)およびその製造方法は、例えばヨーロッパ特許出願公開第365974号明細書、ヨーロッパ特許出願公開第384263号明細書、ドイツ特許第4035886.0号明細書および実施例に記載されている。ここで、エチレン-プロピレンコポリマーが特に好ましい。」
(3)
「【0039】B)重合 B1)ヨーロッパ特許出願公開第321852号明細書および同第416566号明細書に記載の通りの成分a)の製造
実施例1
乾燥24dm3反応器を12dm3の液体プロピレンおよび100dm3(標準状態)の水素で満たした。次いで35cm3のメチルアルミノキサン(52mモルのAlに相当、平均オリゴマー化度n=20)のトルエン溶液を添加し、次いでバッチを30℃で15分間攪拌した。
これと並行して、3.5mg(0.0008mモル)のrac-ジメチルシリルビス(1-インデニル)ジルコニウムジクロライドを13.5cm3 のメチルアルミノキサン(20mモルのAl)のトルエンの溶液に溶解し、そして15分間放置することによって予備活性化させた。
【0040】次いで、この溶液を上記反応器に導入した。重合系を70℃の温度に温め、そして冷却により1時間この温度で保持した。メタロセン活性は、1gのメタロセン×h当り943kgのPPであった。
【0041】VI=18cm3/g;Mw=9600g/モル、Mw/Mn=2.0;II=94.9%,n iso=35;m.p.=145℃。
実施例2
4.7mg(0.009mモル)のrac-ジメチルシリルビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロライドを使用した以外は実施例1の通りの方法とした。1gのメタロセン×h当たり543kgのPPのメタロセン活性に対応する2.55kgのポリエチレンが得られた。
【0042】VI=32cm3/g;Mw=12,500g/モル、Mw/Mn=2.3;II=96.5%;m.p.=146℃。
実施例3
水素を使用せず、そして使用したメタロセンが30.5mg(0.07mモル)のrac-イソプロピリジエンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライドとした以外は実施例1の通りの方法とした。2.25kgのポリエチレンが得られた。メタロセン活性は、1gのメタロセン×h当たり73.8kgのPPであった。
【0043】VI=14.5cm3/g;Mw=13,500g/モル、Mw/Mn =2.5;II=81.5%;n iso=15;m.p.=126℃。
B2) ヨーロッパ特許出願第91 118 681.5号明細書に記載の通りの成分b)の製造
実施例4
水素を使用しない以外は実施例2の通りの方法とした。1gのメタロセン×h当り319kgのPPのメタロセン活性に対応する1.55kgのポリエチレンが得られた。
【0044】VI=191cm3/g;MFI(230/5)=31dg/分;Mw=200,000g/モル、Mw/Mn=2.3;II=95.6%;n iso=40;m.p.=145℃。
B3) ヨーロッパ特許出願第91118681.5号明細書に記載の通りの成分c)の製造
実施例5
乾燥24dm3反応器を窒素でフラッシュし、そして2.4m3(標準状態)の水素および12dm3の液体プロピレンで満たした。次いで35cm3のメチルアルミノキサン(52mモルのAlに相当、平均オリゴマー化度n=17)のトルエン溶液を添加した。これと並行して、8.5mg(0.002mモル)のrac-ジメチルシリルビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロライドを13.5cm3のメチルアルミノキサン(20mモルのAl)のトルエンの溶液に溶解し、そして5分間放置することによって予備活性化させた。次いで、この溶液を上記反応器に導入した。重合反応を50gのエチレンを連続的に添加しながら1時間55℃で行った。メタロセン活性は、1gのメタロセン×h当り134kgのC2/C3コポリマーであった。このコポリマーのエチレン含有量は、4.3%であった。
【0045】VI=289cm3/g;Mw=402,000g/モル、Mw/Mn=2.0;MFI(230/5)=7dg/分;エチレンは実質的に単離された形態で導入された(13C?NMR、平均ブロック長C2<1.2)。
【0046】実施例6
乾燥150dm3反応器を窒素でフラッシュし、そして20℃で芳香族成分を除去した沸点範囲100〜120℃でカットした80dm3のベンジンで満たした。次いで、ガス室を2バールのプロピレンを射出し、圧力を放出させ、この操作を4回行うことによって窒素をなくすようにフラッシュした。50リットルの液体プロピレンを導入し、64cm3のメチルアルミノキサン(100mモルのAlに相当)のトルエン溶液を添加し、そして反応器内容物を30℃に加熱した。0.3%の水素含有率を、水素の配量添加により反応器のガス室内で確立し、そして補充することによって全重合時間の間その後保持した(ガスクロマトグラフィーによりオン-ラインを監視)。
【0047】24.3mgのrac-ジメチルシリルビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロライド(0.05mモル)を32cm3のメチルアルミノキサン(50mモルのAlに相当)のトルエン溶液に溶解し、そして15分後、この溶液を反応器に導入した。重合を第1段階において50℃で10時間行った。
【0048】第2段階において、先ず1kgのエチレンを速やかに添加し、そして更に2kgのエチレンを4時間かけて連続的に計量添加した。21.5kgのブロックコポリマーが得られた。
【0049】VI=326cm3/g;Mw=407,000g/モル、Mw/Mn=3.1;MFI(230/5)=4.9dg/分。このブロックコポリマーは12.5%のエチレンを含有しており、そして分別によりコポリマー中24%のエチレン-プロピレンゴム(EPR)の含有量が得られた。」
(4)
「【0050】実施例1〜6は、成分a)、b)およびc)をいかにして製造できるかを示している。あつらえられた成分(分子量、タクチック性、コモノマー成分およびコモノマー導入)は、触媒および水素または重合条件を変化させることによって従来技術に従って製造することができる。」
(5)
「【0051】C) 本発明による成形用組成物:
実施例7
50重量%の高分子量アイソタクチックポリプロピレンおよび50重量%のポリプロピレンワックスからなる成形用組成物を押出成形により製造した。各成分は、下記の基本的特性データを有していた。
高分子量成分:VI=370cm3/g;MFI(230/5)=2.0dg/分;Mw=467,000g/モル;融点 155℃;II=98.0%,n iso=80;引張弾性率(DIN 53 457-Zによる)=1550N/mm2;用球硬度=74N/mm2(DIN 53 453による,射出成形シート);アイゾット衝撃強度(ISO 180/1C)23℃で140mJ/mm2および-30℃で18mJ/mm2 。
ポリプロピレンワックス
VI=18cm3/g;MFI(230/5)=測定不能;Mw=9600g/モル、Mw/Mn=2.0;融点 145℃;II=94.9%,n iso=35。
【0052】各々、10kgのポリマー成分を混合し、そしてこの混合物を20gのペンタエリスリチルテトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕により押出成形条件下に化学的減成に対して安定化させた。
【0053】押出機(Werner+Pfleiderer ZSK 28
二軸押出機)の5箇所の加熱帯域を各々140℃(供給部)、190℃、250℃、250℃および240℃(ダイトップ部)に調整した。この押出スクリューを260rpmで操作した。押出機中の混合物の物質温度は、220℃とした。この方法で製造された成形用組成物に対して以下のデータが測定された。」
(6)
「【0062】比較例2
低分子量成分がポリプロピレンワックスでなく、その代わりに以下の基本的データを有している低分子量PPとした以外は実施例7および比較例1の通りの操作とする。
【0063】VI=111cm3/g;MFI(230/5)=93dg/分;Mw =108,500g/モル、Mw/Mn=2.1;融点 146℃;II=95.0%,n iso=34。
【0064】押出機中の温度は、155℃(供給部)、215℃、240℃、240℃および250℃(ダイトップ部)とし、押出スクリューは190rpmで操作し、そして材料温度は、250℃とした。この方法で製造された成形用組成物に対して以下のデータが測定された。
【0065】VI=206cm3/g;MFI(230/5)=32dg/分;Mw=248,000g/モル;Mw/Mn=3.4;融点 151℃;Hmelt=97j/g;引張弾性率=1432N/mm2;用球硬度値=84および75N/mm2 ;アイゾット衝撃強度69mJ/mm2(23℃)および12mJ/mm2(-30℃)。」
特許異議申立人は、甲第1号証の実施例7及び比較例2には本件発明1と実質的に同じ組成物が記載されていると主張するので以下検討する。
該甲第1号証の実施例7には高分子量成分とポリプロピレンワックスから成る組成物が記載され、(イ)該高分子量成分は本件発明1の(A1)に対応し、また、(ロ)該ポリプロピレンワックスは本件発明1の(A2)成分に対応するものと考えられるので、それぞれについて同一か否かを検討する。
(イ)の点
該高分子量成分がどのような触媒を使用して製造したのかについては、甲第1号証の実施例7には何の記載もないこと((5)参照)、甲第1号証の発明のb)又はc)成分〔本件発明1の低MFR成分である(A1)に対応する。〕では、その製造触媒については必須の要件として規定されていないこと〔特許請求の範囲の記載(1)参照〕、b)又はc)成分の製造方法についての一般的な記載〔(2)参照〕では従来技術の特許公報を挙げているが、そこでは「例えば」というようにあくまでも例示でありそれに限られないこと、実施例において組成物の製造に供した成分は実施例1〜6に示す方法で製造されるが、その製造触媒や重合条件を変化させることができること〔段落【0050】(4)参照〕、そして、組成物b)又はc)成分の具体的製造例である実施例4〜6〔(3)参照〕には原料モノマーや得られた重合体のVI、Mw、Mw/Mn、MFIなどの数値が実施例7の高分子量成分のそれと同じものが記載されていないこと、等の甲第1号証の記載を総合判断すると、実施例7の高分子量成分がいわゆるメタロセン触媒〔本件発明1の(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表IV B族の遷移金属化合物〕を使用したものであると断定することはできない。
(ロ)の点
甲第1号証の実施例7のポリプロピレンワックス〔本件発明1の高MFR成分である(A2)に対応する。〕についてはMFIは測定不能と記載されており、その測定条件である荷重をも変更(5kg→2.16kg)したとき、果たしてそれがどのような数値となるのかは不明であるから、これをもって、本件発明1の「(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が30〜1000g/10分の範囲にある」の要件を満足するものであると認めることはできないし、(A2)/(A1)のMFR比が30以上であるという本件発明1の要件も満足するとは言えない。
甲第1号証の比較例2には「低分子量成分がポリプロピレンワックスでなく、その代わりに以下の基本的データを有している低分子量PPとした以外は実施例7及び比較例1の通りの操作とする。」と記載され、実施例7の高分子量成分と比較例2の低分子量PPから成る組成物が記載され、(イ)該高分子量成分は本件発明1の(A1)に対応し、また、(ハ)該低分子量PPは本件発明1の(A2)成分に対応するものと考えられるので、それぞれについて同一か否か検討する。
(イ)の点については上に述べたように、実施例7の高分子量成分はいわゆるメタロセン触媒を使用したものであると断定することはできない。
また、(ハ)の点については、どのような触媒を使用して製造したのかということについては甲第1号証の比較例2には何の記載もないこと〔(6)参照〕、甲第1号証の発明のa)成分〔本件発明1の高いMFR成分である(A2)に対応する。〕ではその製造触媒については必須の要件として規定されていないこと〔特許請求の範囲の記載(1)参照〕、a)成分の製造方法についての一般的な記載〔(2)参照〕では従来技術の特許公報を挙げているがそこでは「例えば」というようにあくまでも例示でありそれに限られないこと、実施例において組成物の製造に供した成分は実施例1〜6に示す方法で製造されるがその製造触媒や重合条件を変化させることができること〔段落【0050】(4)〕、そして、組成物a)成分の具体的製造例である実施例1〜3((5)参照)には原料モノマーや得られた重合体のVI、Mw、Mw/Mn、MFIなどの数値が比較例2の低分子量PPのそれと同じものが記載されていないこと、等の甲第1号証の記載を総合判断すると、実施例7の低分子量PP成分がいわゆるメタロセン触媒〔本件発明1の(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表IV B族の遷移金属化合物〕を使用したものであると断定することはできない。
特許異議申立人は、甲第2号証(欧州特許出願公開第563818号公報、優先権主張1992年3月31日、ドイツ、DE4210581、出願1993年3月26日、発行日1993年10月6日)を提出し、該出願は甲第1号証の優先権主張の基礎となった出願であると主張し、甲第2号証の5頁43行〜56行(実施例7)には甲第1号証の実施例7に記載されていた事項に加えて高分子量成分のMw/Mnが2.3であることが記載され、また、甲第2号証の7頁47行〜52行(比較例2)には甲第1号証の比較例2に記載されていた事項に加えて低分子量PPのMFIの測定条件が2.16(kgと思われる。)であることが記載されており、このような甲第2号証の記載をも参酌すると、本件発明1は甲第1号証に記載された発明と同一であると主張する。
しかし、甲第2号証に記載されたMw/Mnの値やMFIの測定条件を考慮したとしても、上述のように、それ以外の点で本件発明1は甲第1号証に記載された発明と同一ではないから、いずれにしろ本件発明1は甲第1号証に記載された発明と同一ではない。
以上のとおりであるから、本件発明1は、先願明細書に該当する甲第1号証に記載された発明と同一であると認めることはできない。
2.特許異議申立理由6について
特許異議申立人は、先願明細書に該当する甲第5号証の(B)-1成分は本件請求項3に係る発明(以下、「本件発明3」という)の(A3)成分に該当し、甲第5号証の(A)-1及び(A)-2成分は本件発明3の(A2)成分に該当し、甲第5号証の表1には(A)-1又は(A)-2と(B)-1の組成物が記載されているから、両者の発明は同一である、と主張する。
甲第5号証(特開平5-112682号公報)は本件優先権主張日前の平成3年(1991年)10月21日に出願されたものであって、本件出願後の平成5年5月7日に出願公開されたものであり、そこには次のようなことが記載されている。
(1)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記のプロピレン重合体(A)を1〜70重量%、およびプロピレン系ランダム共重合体(B)を99〜30重量%を含有するポリプロピレン組成物。
プロピレン重合体(A):以下の(a)〜(c)の特徴を有するプロピレン重合体。
(a)プロピレン単独重合体、あるいは0.5モル%未満のエチレンまたは炭素数4〜20のα-オレフィンを含有するプロピレン重合体であること、(b)分子量分布(Mw/Mn)が3以下の範囲であること、
(c) 平均溶出温度(T50)が40〜100℃の範囲にあり、溶出分散度(σ値)が10以下であること。
プロピレン系ランダム共重合体(B):プロピレン、およびエチレン及び/又は炭素数4〜20のα-オレフィンからなり、以下の(d)〜(e)の特徴を有するプロピレン系ランダム共重合体。
(d)プロピレンから得られる構造単位が90〜99.5モル%、エチレン及び/又は炭素数4〜20のα-オレフィンから得られる構造単位が0.5〜10モル%存在すること、
(e)分子量分布(Mw/Mn)が3.5〜10の範囲であること。」
(2)
「【0047】<プロピレン系ランダム共重合体(B)の製造>
本重合体は一般に公知のチタン化合物と有機アルミニウムからなるチーグラー型触媒を用いて重合可能である。その非限定的な例としては、丸紅ソルベー社製のTiCl3組成物とジエチルアルミニウムクロリドとからなる触媒、あるいは、チタン、マグネシウム、ハロゲンを必須で含有する高活性触媒成分とトリエチルアルミニウム、および必要に応じて使用する電子供与性化合物からなる触媒を挙げることができる。」
(3)
「【0055】プロピレン重合体(A)-1の製造
内容積15リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで充分置換した後、充分に脱水および脱酸素したn-ヘプタン5リットル導入し、成分(D)としてメチルアルモキサンをアルモ原子換算で100ミリモル、
成分(C)-1のイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド100ミリモル導入した後、プロピレンを導入し、20℃で15分間重合した。さらにプロピレンを導入してオートクレーブ内圧が7kg/cm2Gにおいて40℃で2時間重合した。反応終了後ブタノール500ml加え、50℃で1時間脱触した後、スチームストリッピング槽に30分かけて少しずつ圧送し、溶媒を蒸発させた後、ポリマーを分離回収し、乾燥した結果430gのプロピレン重合体(A)-1を得た。GPCの測定の結果数平均分子量は64,000、Mw/Mn=2.21、MFRは7.93、DSCの測定の結果141.0℃及び135.7℃に2山のピークが得られた。TREFの測定の結果、平均溶出温度は81℃溶出分散度は3.5であった。」
(4)
「【0056】プロピレン重合体(A)-2の製造
重合温度を50℃とする以外は全て上記のプロピレン重合体(A)-1の製造と同1条件で実施した。その結果490gのプロピレン重合体(A)-2を得た。該重合体の数平均分子量は51,000、Mw/Mn=2.10、MFR=13.5g/10分、融点は134.2℃および127.0℃に2山ピークが得られた。TREFの測定の結果、平均溶出温度(T50)は63℃、溶出分散度は4.7であった。」
(5)
「【0058】プロピレン系ランダム共重合体(B)の製造
共重合体(B)-1としてエチレン含量2.5重量%のプロピレンランダム共重合体を用いた。MFRは9.2、分子量分布(Mw/Mn)は6.50であった。融点は147.7℃、平均溶出温度(T50)は95℃、溶出分散度は7.2であった。」
次に、本件発明3と甲第5号証に記載された発明とが同一か否か検討する。
甲第5号証のプロピレン系ランダム共重合体(B)は、段落【0047】によれば公知のチタン化合物と有機アルミニウムからなるチーグラー触媒を使用して製造可能であり〔(2)参照〕、(B)-1のMFRは9.2、分子量分布(Mw/Mn)は6.50とのことである〔(5)参照〕。
また、甲第5号証のプロピレン重合体(A)-1及び(A)-2は、いずれも(C)-1のイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド(これはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物である。)を触媒として重合したものであり〔(3)(4)参照〕、(A)-1のMFRは7.93で、Mw/Mnは2.21であり、(A)-2のMFRは13.5で、Mw/Mnは2.10である。
ここで、本件発明3は訂正の結果、「前記プロピレン重合体(A2)のMFRと、前記プロピレン(A3)のMFRとの比((A2)/(A3))が30以上であること」の要件が付加されている。
そこで、先ず、甲第5号証に記載された発明がこの要件を満足するか否か検討する。
製造触媒に着目すると、特許異議申立人の言うように、甲第5号証の(B)-1は本件発明3の(A3)に対応し、甲第5号証の(A)-1と(A)-2は本件発明3の(A2)に対応するので、甲第5号証の(A)成分と(B)成分とのMFRの比をとってみると、MFR(A)-1/MFR(B)-1=7.93/9.2=0.86、、MFR(A)-2/MFR(B)-1=13.5/9.2=1.47、となる。なお、甲第5号証においてはMFRの測定条件(温度や荷重)が記載されていないが、これは一般的に採用される同一の条件下で行ったものと推定されるので、MFRの比としては本件発明3のMFRの比との比較が、適当でないとは言えない。そして、甲第5号証から導き出される0.86や1.47という数値は本件発明3の30以上と言う数値に比べて格段に低い数値であるから、両者の発明がMFRの比の点で明らかに異なり、同一であるとは言えない。
してみれば、甲第5号証に記載された発明と本件発明3とが同一であるとは言えない。
3.特許異議申立理由7について
特許異議申立人は、先願明細書に該当する甲第6号証の(B)-1成分は本件請求項3に係る発明(以下、「本件発明3」という)の(A3)成分に該当し、甲第6号証の(A)-1成分は本件発明3の(A2)成分に該当し、甲第6号証の表1には(A)-1と(B)-1の組成物が記載されているから、両者の発明は同一である、と主張する。
甲第6号証(特開平5-112682号公報)は本件優先権主張日前の平成3年(1991年)10月21日に出願されたものであって、本件出願後の平成5年5月7日に出願公開されたものであり、そこには次のことが記載されている。
(1)
「【特許請求の範囲】【請求項1】 下記のプロピレン系ランダム共重合体(A)を1〜70重量%、およびプロピレン系ランダム共重合体(B)を30〜99重量%を含有してなる共重合体組成物。
プロピレン系ランダム共重合体(A):プロピレン、およびエチレン及び/又は炭素数4〜20のα-オレフィンからなり、以下の(a)〜(c)の特徴を有するプロピレン系ランダム共重合体。
(a)プロピレンから得られる構造単位が90〜99.5モル%、エチレン及び/又は炭素数4〜20のα-オレフィンから得られる構造単位が0.5〜10モル%存在すること、
(b)分子量分布(Mw/Mn)が3以下の範囲であること、
(c)平均溶出温度(T50)が40〜90℃の範囲にあり、溶出分散度σ値が10以下であること。
プロピレン系ランダム共重合体(B):プロピレン、およびエチレン及び/又は炭素数4〜20のα-オレフィンからなり、以下の(d)〜(e)の特徴を有するプロピレン系ランダム共重合体。
(d)プロピレンから得られる構造単位が90〜99.5モル%、エチレン及び/又は炭素数4〜20のα-オレフィンから得られる構造単位が0.5〜10モル%存在すること、
(e)分子量分布(Mw/Mn)が3.5〜10の範囲であること。」
(2)
「【0042】<プロピレン系ランダム共重合体(B)の製造>
本重合体は一般に公知のチタン化合物と有機アルミニウムからなるチーグラー型触媒を用いて重合可能である。その非限定的な例としては、丸紅ソルベー社製のTiCl3組成物とジエチルアルミニウムクロリドとからなる触媒、あるいは、チタン、マグネシウム、ハロゲンを必須で含有する高活性触媒成分とトリエチルアルミニウム、および必要に応じて使用する電子供与性化合物からなる触媒を挙げることができる。」
(3)
「【0045】
【実施例】
実験例
プロピレン系ランダム共重合体(A)の製造:
[触媒成分(C)の製造]ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドを、…………………………………………………………目的のジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド1.26gを得た。」
(4)
「【0048】[共重合体(A)-1の製造]
撹拌および温度制御装置のついた内容積15lのステンレス鋼製オートクレーブに充分脱水および脱酸素したn-ヘプタンを5l、上記で得た成分(C)を4.6mg、メチルイソブチルアルモキサンをアルミニウム原子換算で30mmol用い、40℃重合条件下プロピレンを360g/時間、エチレンを7.4g/時間の速度で4時間フィードした。…………………
……………、ポリマーを分離回収し、乾燥した結果、1.10kgの共重合体(A)-1を得た。このポリマー中には2.5重量%のエチレンが含有されていた。GPCの測定結果数平均分子量は23,000、Mw/Mn=2.00であった。DSCの測定の結果、融点は128.6℃であった。TREFの測定の結果平均溶出温度は74℃、溶出分散度は3.5であった。」
(5)
「【0051】プロピレン系ランダム共重合体(B)の製造
共重合体(B)-1として、エチレン含量2.5重量%のプロピレンエチレンランダム共重合体を用いた。このもののMFRは9.2、分子量分布(Mw/Mn)は6.50であった。融点は147.7℃、平均溶出温度(T50)は95℃、溶出分散度は7.2であった。」
次に、本件発明3と甲第6号証に記載された発明とが同一か否か検討する。
甲第6号証のプロピレン系ランダム共重合体(B)は、段落【0042】によれば公知のチタン化合物と有機アルミニウムからなるチーグラー触媒を使用して重合可能であり〔(2)参照〕、(B)-1のMFRは9.2、分子量分布(Mw/Mn)は6.50とのことである〔(5)参照〕。
また、甲第6号証のプロピレン重合体(A)-1は、(C)のジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド(これはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物である。)を触媒として重合したものであり〔(3)(4)参照〕、(A)-1のMw/Mnは2.21である(MFRについての記載はない。)。
これに対し、本件発明3は訂正の結果、「前記プロピレン重合体(A2)のMFRと、前記プロピレン(A3)のMFRとの比((A2)/(A3))が30以上であること」の要件が付加された。
そこで、先ず、甲第6号証に記載された発明がこの要件を満足するか否か検討する。
製造触媒に着目すると、特許異議申立人の言うように、甲第6号証の(B)-1は本件発明3の(A3)に対応し、甲第6号証の(A)-1は本件発明3の(A2)に対応するので、甲第6号証の(A)成分と(B)成分とのMFRの比をみると、(A)-1についてはMFRについての記載がないのであるから、本件発明3の(A2)についての要件である「230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が30〜1000g/10分の範囲にあり」の要件を満たすか否か明らかでないばかりでなく、「前記プロピレン重合体(A2)のMFRと、前記プロピレン(A3)のMFRとの比((A2)/(A3))が30以上であること」の要件を満足するか否かも不明である。
してみれば、甲第6号証に記載された発明と本件発明3が同一であるとは言えない。
4.申立理由11について
特許異議申立人は、訂正前の本件請求項5に係る発明が甲第10号証の先願明細書に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2に該当すると主張する。
しかし、訂正により請求項5は削除されたので、この特許異議申立理由はその根拠を失った。なお、甲第10号証は欧州特許出願の公開公報であり、特許法第29条の2の規定に基づく異議申立の証拠としては採用できない。
〈2〉特許法第29条第1項第3号及び第2項について
1.特許異議申立理由2及び3について
特許異議申立人は、甲第3号証(特開平5-140227号公報)及び甲第4号証(特開平4-268307号公報)を提出し、本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という)は、甲第3号証刊行物に記載された発明であり特許法第29条第1項第3号に該当する(特許異議申立理由2)と主張すると共に、甲第3号証及び甲第4号証の両刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得るものであり特許法第29条第2項に該当する(特許異議申立理由3)と主張する。
その主張の内容についてさらに述べれば、甲第3号証には2種類以上のメタロセン触媒を用いて2つ以上のモードのある分子量分布を有するポリプロピレンを製造する方法が記載されているところ(具体的には実施例20)、その各々のメタロセン触媒を単独で使用してポリプロピレンンを重合した実施例が甲第4号証に記載されており(実施例2、28及び29)、その各々の物性(Mw/MnやMFR)は本件発明1の(A1)や(A2)のものと一致するから、本件発明1は甲第3号証に記載された発明と同一であり、また甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明に基づいて容易に発明し得る、というものである。
しかし、甲第3号証の特開平5-140227号公報は本件の優先権主張日である平成5年(1993年)1月11日以降である平成5年(1993年)6月8日に公開されたものであるから、特許法第29条第1項第3号で言う刊行物に該当するものではない。
してみれば、特許異議申立理由2はそもそも成り立たない。
また、甲第4号証の特開平4-268307号公報は本件の優先権主張日である平成5年(1993年)1月11日以前の平成4年(1992年)9月24日に公開されたものではある。
甲第4号証には、次のような記載がされている。
(1)
「【0091】実施例2
実施例1を繰り返すが、10.1mg(0.023mmol)のメタロセンを使用しそして重合を50℃で実施する。………【0093】……Mw/Mn=2.2、…MFI(230/5)=210g/10分……」
(2)
「【0169】実施例28
実施例1を繰り返すが、5.2mg(0.009mmol)のrac-ジフェニルシリル(2-メチル-1-インデニル)2 -ジルコニウム-ジクロライドをメタロセンとして用いる。………【0171】……Mw/Mn=2.2、MFI(230/5)=7.1g/10分……」
(3)
「【0172】実施例29
実施例28を12.6mg(0.02mmol)のメタロセンを用いて繰り返すが、重合温度は40℃である。
………【0174】……Mw/Mn=2.4、MFI(230/5)=0.1g/10分……」
以上から、甲第4号証に記載された発明は、式(I)のメタロセンと式(II)のアルミノキサンよりなる触媒の存在下にオレフィンを重合する方法に係るものであるところ(特許請求の範囲)、その実施例2、28及び29にはアルミノキサンと(1種類の)メタロセンとを触媒として使用したポリプロピレンの製造方法が記載されている。
しかし、甲第4号証には2種類のポリプロピレンを用いて組成物とすることは何も記載されていないのであるから、甲第4号証の記載だけから、当業者が本件発明を容易に想到し得るとは言えない。
してみれば、特許異議申立理由3も成り立たない。
2.特許異議申立理由4及び5について
特許異議申立人は、甲第3号証(特開平5-140227号公報)及び甲第4号証(特開平4-268307号公報)を提出し、本件請求項2に係る発明(以下発明2と略すことあり)は、甲第3号証刊行物に記載された発明であり特許法第29条第1項第3号に該当する(特許異議申立理由4)と主張すると共に、甲第3号証及び甲第4号証の両刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得るものであり特許法第29条第2項に該当する(特許異議申立理由5)、と主張する。
その主張の内容についてさらに述べれば、甲第3号証には2種類以上のメタロセン触媒を用いて2つ以上のモードのある分子量分布を有するポリプロピレンを製造する方法が記載されているところ(具体的には実施例22)、その各々のメタロセン触媒を単独で使用してポリプロピレンンを重合した実施例が甲第4号証に記載されており、その各々の物性(Mw/MnやMFR)は本件発明2の(A1)や(A2)のものと一致し、さらに重合の後段でエチレンを添加する実施例22では本件発明2の(B)成分に相当するエチレン-プロピレン共重合体も生成しているから、本件発明2は甲第3号証に記載された発明であり、また甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明に基づいて容易に発明し得る、というものである。
しかし、甲第3号証の特開平5-140227号公報は本件の優先権主張日である平成5年(1993年)1月11日以降である平成5年(1993年)6月8日に公開されたものであるから、特許法第29条第1項第3号で言う刊行物に該当するものではない。
してみれば、特許異議申立理由4はそもそも成り立たない。
また、甲第4号証の特開平4-268307号公報は本件の優先権主張日である平成5年(1993年)1月11日以前の平成4年(1992年)9月24日に公開・頒布されたものではある。
そして、甲第4号証に記載された発明は、式(I)のメタロセンと式(II)のアルミノキサンよりなる触媒の存在下にオレフィンを重合する方法に係るものであるところ(特許請求の範囲)、その実施例2、28及び29にはアルミノキサンと(1種類の)メタロセンとを触媒として使用したポリプロピレンの製造方法が記載されている。
しかし、甲第4号証には2種類のポリプロピレンを用いて組成物とすることは何も記載されていないのであるから、甲第4号証の記載だけから、当業者が本件発明2を容易に想到し得るとは言えない。
してみれば、特許異議申立理由5も成り立たない。
3.特許異議申立理由8について
特許異議申立人は、甲第7号証(特開平7-149974号公報)及び甲第8号証(特開平6-206921号公報)を提出し、本件請求項4に係る発明(以下、「本件発明4」という)は、甲第7号証及び甲第8号証の両刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得るものであり特許法第29条第2項に該当する、と主張する。
しかし、甲第7号証の特開平7-149974号公報は本件の優先権主張日である平成5年(1993年)1月11日以降である平成7年(1995年)6月13日に公開されたものであるから、特許法第29条第1項第3号で言う刊行物に該当するものではない。
また、甲第8号証の特開平6-206921号公報も本件の優先権主張日である平成5年(1993年)1月11日以降である平成6年(1994年)7月26日に公開されたものであるから、特許法第29条第1項第3号で言う刊行物に該当するものではない。
してみれば、特許異議申立理由2はそもそも成り立たない。
4.特許異議申立理由9について
特許異議申立人は、本件発明2は甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得るものであるところ、本件発明4は本件発明2のメタロセン触媒を使用して製造した(A1)をチーグラー触媒を使用して製造した(A3)に変えたものに相当し、触媒を置き換えることは容易になし得ることであるから、本件発明4は甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得るものである、と主張すると共に、甲第7号証にはMFRの異なる2種以上のプロピレン重合体のブレンドが記載されているのであるから、高MFR重合体をメタロセン触媒で、低MFR重合体をチーグラー触媒で重合することは、当業者が容易に想到し得るものであり、本件発明4は甲第3、4及び7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得るものである、と主張する。
しかし、甲第3号証の特開平5-140227号公報は本件の優先権主張日である平成5年(1993年)1月11日以降である平成5年(1993年)6月8日に公開されたものであるから、特許法第29条第1項第3号で言う刊行物に該当するものではない。
甲第7号証の特開平7-149974号公報も本件の優先権主張日である平成5年(1993年)1月11日以降である平成7年(1995年)6月13日に公開されたものであるから、特許法第29条第1項第3号で言う刊行物に該当するものではない。
甲第4号証の特開平4-268307号公報は本件の優先権主張日である平成5年(1993年)1月11日以前の平成4年(1992年)9月24日に公開されたものではある。
そして、甲第4号証に記載された発明は、式(I)のメタロセンと式(II)のアルミノキサンよりなる触媒の存在下にオレフィンを重合する方法に係るものであるところ(特許請求の範囲)、その実施例2、28及び29にはアルミノキサンと(1種類の)メタロセンとを触媒として使用したポリプロピレンの製造方法が記載されている。
しかし、甲第4号証には2種類のポリプロピレンを用いて組成物とすることは何も記載されていないのであるから、甲第4号証の記載だけから、当業者が本件発明4を容易に想到し得るものとはいえない。
5.特許異議申立理由10について
特許異議申立人は本件請求項5に係る発明は、甲第7号証及び甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明しえるものである、と主張する。
しかし、訂正により請求項5は削除されたので、この特許異議申立理由はその根拠を失った。
さらに付言すれば、甲第7号証の特開平7-149974号公報は本件の優先権主張日である平成5年(1993年)1月11日以降である平成7年(1995年)6月13日に公開されたものであるから、特許法第29条第1項第3号で言う刊行物に該当するものではない。
6.特許異議申立理由12について
特許異議申立人の主張はおおよそ次のとおりである。
本件特許出願は平成5年(1993年)1月11日に日本国特許庁にした5件の特許出願を優先権の基礎として平成6年(1994年)1月11日に特許出願されたものであるが、本件請求項6〜19に係る発明(以下、「本件発明6〜19」という)の(I)式で示される特定のメタロセン触媒で製造したポリプロピレン重合体を使用することは該優先権の基礎とした5件の出願の明細書には記載されていなかったものであるから、本件発明6〜19については優先権の主張は認められず、その出願日は現実の出願日である平成6年(1994年)1月11日である。
そして、甲第12号証(欧州特許出願公開第576970号明細書)には、該(I)式に該当するメタロセン触媒であるrac-ジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドを使用してプロピレンを重合したことが記載され(具体的には実施例20)、本件発明6〜19の(A5)及び(A7)は(I)式のメタロセン触媒を使用して得られたプロピレン単独重合体(A5)ないしプロピレン共重合体(A7)であり、複数のプロピレン重合体を組み合わせて特性を改善することは一般に広く行われていることであるから、本件発明6〜19は甲第12号の記載に基づき当業者が容易に発明し得るものである。
なお、甲第11号証(特開平6-100579号)は甲第12号証の翻訳文として提出されたものである。
そこで先ず、甲第12号証及びその記載事項について検討する。
甲第12号証の欧州特許出願公開第576970号明細書は1994年(平成6年)1月5日に刊行されたものであり、これは本件の現実の出願日である平成6年1月11日の前である。
甲第12号証には次のようなことが記載されている。なお、特許異議申立人は、甲第11号証は甲第12号証の翻訳文として提出したと述べているので、以下この翻訳文に基づいて記載事項を述べる。
(1)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 式I(式中
……………………………………………………)で示される化合物。
【請求項5】前記式Iにおいて、…………………式Iの化合物。
【請求項6】式 Ra -CH=CH-Rb (式中、Ra とRb は同一または異なっていて、水素原子または1〜14個の炭素原子を有する炭化水素基であるか、あるいはRaとRbは、それらを連結する原子と一緒になって1つ以上の環を形成することができる)で示されるオレフィンを、-60〜200℃の温度および0.5〜100バールの圧力で、溶液中、懸濁液中、または気相中において、遷移金属化合物としてのメタロセンから形成される触媒と助触媒との存在下にて重合もしくは共重合させることによるオレフィンポリマーの製造法であって、このとき前記メタロセンが請求項1記載の式Iの化合物である、前記製造法。
【請求項7】 使用される前記助触媒が、線状タイプとしての式IIa
………………………………
【請求項8】 使用される助触媒がメチルアルミノキサンである、請求項6記載の製造法。
【請求項9】 式Iのメタロセンが、重合反応に使用される前に、式IIaおよび/または式IIbのアルミノキサンによってあらかじめ活性化される、請求項6記載の製造法。
【請求項10】 助触媒である担持有機アルミニウム化合物と式Iのメタロセンとの反応生成物である担持型重合触媒が使用される、請求項6記載の製造法。
【請求項11】 担体がケイ素の酸化物および/またはアルミニウムの酸化物であり、有機アルミニウム化合物がメチルアルミノキサンである、請求項10記載の製造法。
【請求項12】 請求項1記載の式Iのメタロセンを、オレフィンの重合または共重合において触媒成分として使用すること。」(甲第12号証では明細書29頁10行〜32頁15行)
(2)
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アリール置換インデニル誘導体をリガンドとして含んだ新規なメタロセンに関する。前記メタロセンは、高いアイソタクチシティ、狭い分子量分布、および極めて高い分子量を有するポリオレフィンを製造する際の触媒成分として非常に有利に使用することができる。」(甲第12号証では明細書第3頁1〜4行)
(3)
「【0107】

実施例D
二塩化rac-ジメチルシランジイルビス(2-エチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウム(17)」(甲第12号証では明細書第18頁4〜5行)
(4)
「【0189】実施例20
手順は実施例1に記載の通りである。但し、重合温度は40℃であり、6.0mgのrac-17を使用した。1.95kgのポリプロピレンが得られた。メタロセンの活性は、(メタロセン1g×1時間)当たり325kgのPPであった。VI=1320cm3/g; 融点162℃; Mw=1.79×106g/モル; Mw/Mn=2.3。」(甲第12号証では明細書第27頁6〜9行)
次に本件発明6〜19が甲第12号証に記載された発明に基づいて容易に発明し得るのか否か検討する。
本件発明6〜19はいずれも(A5)又は(A7)のいずれかを組成物の一構成成分とする発明であり、(A5)及び(A7)はいずれも式(I)で表される遷移金属化合物を触媒成分として使用して製造されたものであるところ、式(I)で表される遷移金属化合物を触媒成分として使用してプロピレン重合体を製造することは本件特許出願の優先権の基礎とされた5つの特許出願明細書には記載されていなかったものであるから、本件発明6〜19の進歩性の判断にに際しては本件発明の出願日は現実の出願日である平成6年(1994年)1月11日として扱う(即ち優先権の主張は認めない。)。
甲第12号証は、先にも述べたように、本件特許出願の出願日の前に頒布されたものであるから、特許法第29条第2項の引用例として使用できるものである(なお、甲第11号証は本件特許出願の出願日の後である平成6年4月12日に公開されたものであるから特許法第29条第2項の引用例として採用できないものである。)。
甲第12号証には、式Iの化合物として二塩化rac-ジメチルシランジイルビス(2-エチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウム(17)が記載され〔(3)参照〕、それ(rac-17)を使用してポリプロピレンを製造したことが実施例20として記載され〔(4)参照〕ており、該(17)即ちrac-17は本件発明(I)においてR2 が炭素数6のアリール基、R1 が炭素数2の炭化水素、X1及びX2いずれもハロゲン、Mが周期律表第IVaの遷移金属、Yが2価のケイ素含有機である場合に該当する。
従ってこの触媒を使用して製造した実施例20のポリプロピレンは本件発明5〜12の(A5)に該当するものである〔なお(A7)はプロピレン共重合体である。〕。
しかし、甲第12号証の発明は、その特許請求の範囲や産業上の利用分野に記載〔(1)や(2)参照〕されているように、化合物乃至その化合物を触媒として使用したオレフィンポリマーの製造方法に係るものであり、該刊行物には、この化合物を触媒として製造したポリプロピレンないしプロピレン共重合体について、さらに他のオレフィンポリマーを添加して組成物とすることは何も記載されていない。
そして、本件発明6〜19に係る発明は、(A5)や(A7)の他に(A6)、D、E等のポリオレフィン成分を添加、配合することを必須の要件とする組成物に関するものである。
してみれば、組成物とすることについて何の記載もされていない甲第12号証の記載に基づいて、組成物に関する発明である本件発明6〜19が容易に発明することができるものとは言えない〔なお付言すれば、本件発明6〜19の個々の発明について甲第12号証のどのような記載に基づいてどのような理由で当業者が容易に発明し得るのかと言うことについては、特許異議申立人は何等具体的に主張していない。〕。
してみれば、特許異議申立理由12は理由があるとすることはできない。
[6]むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立の理由によっては請求項1〜4,6〜19に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1〜4,6〜19に係る発明について特許を取り消すべき理由を発見できない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
プロピレン重合体組成物
【発明の詳細な説明】
発明の技術分野
本発明は、2種のプロピレン重合体からなるプロピレン重合体組成物、およびプロピレン重合体と、他のオレフィン系(共)重合体とからなるプロピレン重合体組成物に関するものである。
発明の背景
プロピレン重合体は、従来より種々の成形方法により成形され、広範な用途に利用されている。
このプロピレン重合体は、遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒、いわゆるチーグラー型触媒を用いて製造されるのが一般的である。
チーグラー型触媒のうち、ハロゲン含有チタン触媒成分を含むチタン系触媒を用いて製造されるプロピレン重合体は、成形性および剛性に優れるが、引張り破断伸びに劣るという問題点がある。また、チタン系触媒は、重合活性が低いため、重合体中の触媒残渣が多く、このため成形体が着色したり、衛生性に劣ることがある。
一方、ジルコノセンなどの遷移金属化合物触媒成分を含むメタロセン系触媒を用いて製造されるプロピレン重合体は、引張り破断伸びに優れるが、成形性および剛性(曲げ弾性率)に劣るという問題がある。しかし、メタロセン系触媒は、重合活性に優れるため重合体中の触媒残渣が少なく、成形体が着色することがなく、しかも衛生性が良好である。
プロピレン重合体は、成形方法や用途に応じて要求される特性も異なってくるが、一般に、成形性、耐熱性、機械的強度、高引張り破断伸び、耐衝撃性などが要求される。そしてこの要求を満足させるために2種以上のプロピレン重合体をブレンドしてなる組成物、プロピレン重合体と他の合成樹脂とをブレンドしてなる組成物などが種々検討されている。
たとえばチタン系触媒を用いて製造されたプロピレン重合体の物性を改良するために、分子量の異なる2種のプロピレン重合体をブレンドすることが従来から行われている。しかしながら、チタン系触媒を用いて製造されたプロピレン重合体を2種ブレンドしてプロピレン重合体組成物を調製すると、成形性は向上するものの、引張り破断伸びは大きく低下してしまう。
また、チタン系触媒を用いて製造されたプロピレン重合体に、軟質重合体などを配合して、プロピレン重合体の引張り破断伸び、耐衝撃性を向上させることが行われている。このような軟質重合体としては、チタン系触媒あるいはバナジウム系触媒を用いて製造されたエチレン・プロピレンランダム共重合体などが用いられている。しかしながらチタン系触媒を用いて製造されたプロピレン重合体に、チタン系触媒などを用いて製造されたエチレン・プロピレンランダム共重合体を配合しても、引張り破断伸び、耐衝撃性は充分に改良されているとはいえなかった。
このように従来のプロピレン重合体組成物は、耐熱性、機械的強度、引張り破断伸びなどの物性が必ずしも満足するものではなかった。
発明の目的
本発明は、このような従来技術に鑑みなされたものであって、従来のプロピレン重合体またはプロピレン重合体組成物に比べ、耐熱性、機械的強度、引張り破断伸びなどに優れるプロピレン重合体組成物を提供することを目的としている。
発明の概要
本発明に係る第1のプロピレン重合体組成物は、
(A1)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜30g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜3の範囲にあるプロピレン重合体;10〜90重量%と、
(A2)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が30〜1000g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にあるプロピレン重合体;10〜90重量%と
からなり、前記プロピレン重合体(A2)のMFRと、前記プロピレン重合体(A1)のMFRとの比〔(A2)/(A1)〕が30以上であることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性に優れている。
本発明に係る第2のプロピレン重合体組成物は、
(A1)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜30g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜3の範囲にあるプロピレン重合体;10〜90重量部と、
(A2)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が30〜1000g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にあるプロピレン重合体;10〜90重量部と、
(B)軟質重合体;3〜30重量部と
からなり、前記プロピレン重合体(A2)のMFRと、前記プロピレン重合体(A1)のMFRとの比〔(A2)/(A1)〕が30以上であることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性、耐衝撃性に優れている。
本発明に係る第3のプロピレン重合体組成物は、
(A3)
(1)(d)固体状チタン触媒成分と、
(e)有機金属化合物触媒成分とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜30g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあるプロピレン重合体;10〜90重量%と、
(A2)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が30〜1000g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にあるプロピレン重合体;90〜10重量%と
からなることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性に優れている。
本発明に係る第4のプロピレン重合体組成物は、
(A3)
(1)(d)固体状チタン触媒成分と、
(e)有機金属化合物触媒成分とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜30g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあるプロピレン重合体;10〜90重量部と、
(A2)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が30〜1000g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にあるプロピレン重合体;90〜10重量部と
(B)軟質重合体;3〜30重量部と
からなることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性、耐衝撃性に優れている。
本発明に係る第5のプロピレン重合体組成物は、
(A4)
(1)(d)固体状チタン触媒成分と、
(e)有機金属化合物触媒成分とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜50g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあり、
(4)X線回折法により測定される結晶化度が50%以上であるプロピレン重合体;50〜97重量%と、
(C)
(1)(i)(f)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(g)前記遷移金属化合物(f)と反応してイオン対を形成する化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にエチレンと炭素数3〜20のα-オレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーとを共重合することにより得られ、
(2)エチレンから誘導される構成単位を20〜80モル%の割合で含有し、
(3)135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]が、1.5〜5dl/gの範囲にある
エチレン・オレフィンランダム共重合体;3〜50重量%とからなることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、耐衝撃性、特に耐低温衝撃性に優れている。
本発明に係る第6のプロピレン重合体組成物は、
(A5)
(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体;5〜95重量%と、

(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体;5〜95重量%と
からなることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性に優れている。
本発明に係る第7のプロピレン重合体組成物は、
(A5)
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体;5〜95重量%と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマー;5〜95重量%と
からなることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、耐衝撃性に優れている。
本発明に係る第8のプロピレン重合体組成物は、
(A5)
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体;5〜95重量%と、
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体;5〜95重量%と
からなることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れている。
本発明に係る第9のプロピレン重合体組成物は、
(A5)
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体と、
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマーと
からなり、前記プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有されることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性、耐衝撃性に優れている。
本発明に係る第10のプロピレン重合体組成物は、
(A5)
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体と、
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体と、
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有されることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性に優れている。
本発明に係る第11のプロピレン重合体組成物は、
(A5)
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマーと、
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有されることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、耐衝撃性に優れている。
本発明に係る第12のプロピレン重合体組成物は、
(A5)
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体と、
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマーと、
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有されることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性、耐衝撃性に優れている。
本発明に係る第13のプロピレン重合体組成物は、
(A7)
(1)(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する
プロピレン共重合体;5〜95重量%と、
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン共重合体(A7)とは異なるプロピレン重合体;5〜95重量%と
からなることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性に優れている。
本発明に係る第14のプロピレン重合体組成物は、
(A7)
(1)(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する
プロピレン共重合体;5〜95重量%と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマー;5〜95重量%と
からなることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、耐衝撃性に優れている。
本発明に係る第15のプロピレン重合体組成物は、
(A7)
(1)(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する
プロピレン共重合体;5〜95重量%と、
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体;5〜95重量%と
からなることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れている。
本発明に係る第16のプロピレン重合体組成物は、
(A7)
(1)(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する
プロピレン共重合体と、
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン共重合体(A7)とは異なるプロピレン重合体と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマーと
からなり、前記プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有されることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性、耐衝撃性に優れている。
本発明に係る第17のプロピレン重合体組成物は、
(A7)
(1)(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する
プロピレン共重合体と、
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン共重合体(A7)とは異なるプロピレン重合体と、
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有されることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性に優れている。
本発明に係る第18のプロピレン重合体組成物は、
(A7)
(1)(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する
プロピレン共重合体と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマーと、
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有されることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、耐衝撃性に優れている。
本発明に係る第19のプロピレン重合体組成物は、
(A7)
(1)(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する
プロピレン共重合体と、
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン共重合体(A7)とは異なるプロピレン重合体と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマーと、
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有されることを特徴としている。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性、耐衝撃性に優れている。
発明の詳細な説明
図1は、プロピレン重合体(A1)およびプロピレン重合体(A2)の重合に用いられるオレフィン重合用触媒の調製工程を示す説明図である。
図2は、プロピレン重合体(A3)およびプロピレン重合体(A4)の重合に用いられるオレフィン重合用触媒の調製工程を示す説明図である。
図3は、エチレン・オレフィンランダム共重合体(C)の重合に用いられるオレフィン重合用触媒の調製工程を示す説明図である。
図4は、プロピレン単独重合体(A5)およびプロピレン共重合体(A7)の重合に用いられるオレフィン重合用触媒の調製工程を示す説明図である。
以下、本発明に係るプロピレン重合体組成物について具体的に説明する。
第1のプロピレン重合体組成物
第1のプロピレン重合体組成物は、
(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜30g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜3の範囲にあるプロピレン重合体(A1)と、
(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが30〜1000g/10分の範囲にあり、GPCにより求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にあるプロピレン重合体(A2)とからなり、
前記プロピレン重合体(A2)のMFRと、前記プロピレン重合体(A1)のMFRとの比〔(A2)/(A1)〕が30以上である。
プロピレン重合体(A1)
第1のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A1)は、後述するような遷移金属化合物(a)と、有機アルミニウムオキシ化合物(b)および化合物(c)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒を用いて製造されるプロピレン単独重合体またはプロピレン共重合体である。
このプロピレン重合体(A1)は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが0.01〜30g/10分、好ましくは0.5〜5.0g/10分の範囲にあることが望ましく、GPCにより求められるMw/Mnが2〜3の範囲にあることが望ましい。
またプロピレン重合体(A1)は、極限粘度[η]が、1.3〜5.0dl/g、好ましくは2.0〜4.0dl/gの範囲にあることが望ましく、重量平均分子量は、12×104〜100×104、好ましくは20×104〜70×104の範囲にあることが望ましい。さらにX線回折により測定される結晶化度が、40%以上、好ましくは50%以上であることが望ましい。
プロピレン重合体(A1)は、エチレン、および1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素数4〜20のα-オレフィンなどのプロピレン以外のモノマーから誘導される構成単位を10モル%以下の割合で含んでいてもよい。
プロピレン重合体(A2)
第1のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A2)は、後述するような遷移金属化合物(a)と、有機アルミニウムオキシ化合物(b)および化合物(c)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒を用いて製造されるプロピレン単独重合体またはプロピレン共重合体である。
このプロピレン重合体(A2)は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが30〜1000g/10分、好ましくは50〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、GPCにより求められるMw/Mnが2〜4の範囲にあることが望ましい。
また、プロピレン重合体(A2)は、極限粘度[η]は、0.5以上1.3dl/g未満、好ましくは0.8以上1.3dl/g未満の範囲にあることが望ましい。重量平均分子量は、5×103〜15×104、好ましくは1×104〜12×104であることが望ましい。さらにX線回折により測定される結晶化度が、40%以上、好ましくは50%以上であることが望ましい。
プロピレン重合体(A2)は、前記プロピレン重合体(A1)の項で例示したモノマーと同様のプロピレン以外のモノマーから誘導される構成単位を5モル%以下の割合で含んでいてもよい。
プロピレン重合体組成物
第1のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン重合体(A1)と、前記プロピレン重合体(A2)とからなり、プロピレン重合体(A1)は、10〜90重量%、好ましくは30〜70重量%の割合で含まれ、プロピレン重合体(A2)は10〜90重量%、好ましくは30〜70重量%の割合で含まれることが望ましい。また、プロピレン重合体(A2)のMFRと、プロピレン重合体(A1)のMFRとの比〔(A2)/(A1)〕は、30以上、好ましくは40〜300、さらに好ましくは50〜100の範囲にあることが望ましい。
第1のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが、1〜100g/10分、好ましくは5〜50g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnが、4〜15の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.89〜0.92g/cm3、好ましくは0.90〜0.92g/cm3の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は95℃以上、好ましくは100〜140℃の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、12000〜19000kg/cm2、好ましくは14000〜18000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において2〜4kg・cm/cm、好ましくは2〜3kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、100〜500%、好ましくは200〜400%の範囲にあることが望ましい。
第1のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤などの添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
このような第1のプロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえば、下記のような方法で製造することができる。
(1)プロピレン重合体(A1)と、プロピレン重合体(A2)と、所望により添加される他成分とを、押出機、ニーダーなどを用いて機械的にブレンドする方法。
(2)プロピレン重合体(A1)と、プロピレン重合体(A2)と、所望により添加される他成分とを、適当な良溶媒(たとえば;ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの炭化水素溶媒)に溶解し、次いで溶媒を除去する方法。
(3)プロピレン重合体(A1)と、プロピレン重合体(A2)と、所望により添加される他成分とを、適当な良溶媒にそれぞれ別個に溶解した溶液を調製した後混合し、次いで溶媒を除去する方法。
(4)上記(1)〜(3)の方法を組み合わせて行う方法。
(5)重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行い、少なくとも1段階でプロピレン重合体(A1)を製造し、他の段階でプロピレン重合体(A2)を製造することにより調製するか、あるいは、複数の重合器を用い、一方の重合器でプロピレン重合体(A1)を製造し、他方の重合器でプロピレン重合体(A2)をそれぞれ製造する方法。
このような第1のプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性に優れている。さらに、重合体組成物中の触媒残渣が少ないため、成形体が着色することがなく、しかも衛生性が良好である。
次に、プロピレン重合体(A1)およびプロピレン重合体(A2)を重合する際に用いられるオレフィン重合用触媒、ならびにプロピレン重合体(A1)およびプロピレン重合体(A2)の製造方法について説明する。
プロピレン重合体(A1)およびプロピレン重合体(A2)は、
(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒〔オレフィン重合用触媒(1)〕の存在下にプロピレンを重合することにより製造することができる。
図1にプロピレン重合体(A1)およびプロピレン重合体(A2)の重合に用いられるオレフィン重合用触媒の調製工程を示す。
(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物としては、たとえば下記式(Ia)で表わされる遷移金属化合物および下記式(I)で表わされる遷移金属化合物が挙げられる。
MLx …(Ia)
式中、Mは、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルおよびクロムからなる群より選ばれる遷移金属原子、好ましくはチタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、xは遷移金属の原子価である。
Lは、遷移金属に配位する配位子または基であり、少なくとも1個のLはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、少なくとも2個のLがシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であることが好ましい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、たとえば、シクロペンタジエニル基、インデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、4,5,6,6a-テトラヒドロペンタレニル基、7,8-ジヒドロ-3H,6H-as-インダセニル基、フルオレニル基などを例示することができる。これらの基は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリーロキシ基、鎖状アルキレン基、環状アルキレン基などで置換されていてもよい。またこれらのシクロペンタジエニル骨格を有する基は、ベンゼン環、ナフタレン環、アセナフテン環、インデン環などと縮環していてもよい。
これらの遷移金属に配位するシクロペンタジエニル骨格を有する配位子の中では、インデニル骨格を有する配位子であることが好ましく、特に置換基を有するインデニル骨格を有する配位子であることが好ましい。
上記一般式(Ia)で表される遷移金属化合物がシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上含む場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、
エチレン、プロピレンなどのアルキレン基;
1,2-ジ(メチル)エチレンなどの置換アルキレン基;
1,4-シクロヘキシレン、1,3-シクロペンチレンなどのシクロアルキレン基;
イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキリデン基;
シリレン基;
ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基;
ゲルミル基;
-P(Ra)-、-P(O)(Rb)-、-SO2N-(Rc)-、-Sn(Rd2)-、[ただしRa、RcおよびRd2はアルキル基であり、Rbはアリール基である。]
などを介して結合されていることが好ましい。
これらの中では、ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基を介して結合されていることが特に好ましい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、プロピル基、ペンチル基、ネオペンチル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、メシチル基などのアリール基;ベンジル基、ネオフィル基などのアラルキル基などの炭素数1〜10の炭化水素基、
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜10のアルコキシ基、
フェノキシ基などの炭素数6〜10のアリーロキシ基、
メシチルスルホナト基、フェニルスルホナト基、ベンジルスルホナト基、メチルスルホナト基、p-トルエンスルホナト基、トリフルオロメタンスルホナト基などの-OSO2Re、-CH2SiRe3(但し、Reは炭素数1〜10の炭化水素基である)、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、
または、水素原子である。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLが2個以上である場合、各同一でも異なっていてもよい。
このような上記式(Ia)で表される遷移金属化合物は、たとえば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記式(Ib)で表される。
R4kR5lR6mR7nM …(Ib)
式中、Mは上記遷移金属であり、R4は上記式(Ia)と同様のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、R5、R6およびR7は上記式(Ia)と同様のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子、あるいは上述したようなシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLと同様の基である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
本発明では上記式(Ib)において、R4、R5、R6およびR7のうち少なくとも2個、たとえばR4およびR5が置換基を有するインデニル基である遷移金属化合物が好ましく用いられる。この場合これらの2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、上記式(Ia)の場合と同様の基を介して結合されていることが好ましい。
以下に、Mがジルコニウムである遷移金属化合物について具体的な化合物を例示する。
rac-エチレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジヒドリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウム二弗化物、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジブロミド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウム二沃化物、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジメトキシド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジ-n-ブトキシド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジフェノキシド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジ-t-ブトキシド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジメチル、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジネオペンチル、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジトリメチルシリルメチル、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジトシラート、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジメシラート、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジ(メシチルスルフォナート)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジ(フェニスルフォナート)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジ(ベンジルスルフォナート)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジ(トリフルオロメタンスルフォナート)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノヒドリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノ弗化物、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノブロミド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノ沃化物、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノメトキシド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノ-n-ブトキシド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノフェノキシド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノ-t-ブトキシド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノメチル、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノネオペンチル、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノトリメチルシリルメチル、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノトシラート、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノメシラート、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノ(メシチルスルフォナート)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノ(フェニルスルフォナート)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノ(ベンジルスルフォナート)、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムモノクロリドモノ(トリフルオロメタンスルフォナート)、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-シリレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルゲルミレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-フェニルフォスフィニレン-ビス{1-(2-メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2,4-ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-メチル,4-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,4-ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル,4-エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル,4-n-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル,イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル,4-n-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル,4-i-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル,4-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル,4-トリメチルシリルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル,4-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル,4-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル,4-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル,4-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル,4-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-t-ブチル,4-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-トリメチルシリル,4-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-フェニル,4-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2,4-ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル,4-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2,4-ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル,4-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2,5-ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-メチル,5-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,5-ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル,5-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2,5-ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル,5-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2,5-ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル,5-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2,6-ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-メチル,6-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,6-ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル,6-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2,6-ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル,6-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2,6-ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル,6-イソプロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2,4,5-トリメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-イソプロピル-4,5-ジメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,4,5-トリメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2,4,5-トリメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2,4,5-トリメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2,5,6-トリメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2,5,6-トリメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2,5,6-トリメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2,5,6-トリメチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-メチル-5-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-5-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-5-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-5-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-メチル-6-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-6-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-6-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-6-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-メチル-5,6-ジ-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-5,6-ジ-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-5,6-ジ-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-5,6-ジ-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-メチル-5-トリメチルシリルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-5-トリメチルシリルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-5-トリメチルシリルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-5-トリメチルシリルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-メチル-6-トリメチルシリルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-6-トリメチルシリルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-6-トリメチルシリルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-6-トリメチルシリルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-メチル-5,6-ビストリメチルシリルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-5,6-ビストリメチルシリルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-5,6-ビストリメチルシリルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-5,6-ビストリメチルシリルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-メチル-5,6-ビストリフェニルシリルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-5,6-ビストリフェニルシリルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-メチル-4-メトキシインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-メトキシインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-メトキシインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-メトキシインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-5-メトキシインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-6-メトキシインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-メチル-5,6-ジメトキシインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
エチレン-ビス{1-(2-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン-ビス{1-(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチルシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン-ビス{1-(3-メチルシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン-ビス{1-(4-メチルシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン-ビス{1-(5-メチルシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン-ビス{1-(2,4-ジメチルシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン-ビス{1-(2,5-ジメチルシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン-ビス{1-(2,4,5-トリメチルシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリド、


また上記のようなジルコニウム化合物において、ジルコニウム原子を、チタン原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子またはクロム原子に置換えた化合物を用いることもできる。
前記式(Ia)で表される遷移金属化合物のうち、中心の金属原子がジルコニウムであり、少なくとも2個のインデニル骨格を含む配位子を有する遷移金属化合物が好ましい。
本発明では、遷移金属化合物(a)として、特に下記式(I)で表される遷移金属化合物が好ましく用いられる。

式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属原子を示し、具体的には、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンまたはタングステンであり、好ましくはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはジルコニウムである。
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、具体的には、
エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシルなどのアルキル基、ビニル、プロペニルなどのアルケニル基などが挙げられる。
これらのうちインデニル基に結合した炭素が1級炭素であるアルキル基が好ましく、さらにインデニル基に結合した炭素が1級炭素である炭素数2〜4のアルキル基が好ましく、特に、エチル基が好ましい。
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、具体的には、
フェニル、α-ナフチル、β-ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリレニル、テトラヒドロナフチル、インダニルなどである。これらのうちフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリルであることが好ましい。
これらのアリール基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール基などの炭素数1〜20の炭化水素基;
トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリルなどの有機シリル基で置換されていてもよい。
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、具体的には、
ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基としては、前記と同様の原子および基を例示することができる。また、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記炭素数1〜20の炭化水素基にハロゲン原子が置換した基を例示することができる。
酸素含有基としては、ヒドロオキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリロキシ基、フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などが挙げられる。
イオウ含有基としては、前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基、およびメチルスルホネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が挙げられる。
これらのうち、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示し、具体的には、
メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2-エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2-エチレンなどのアリールアルキレン基などの炭素数1〜20の2価の炭化水素基;
クロロメチレンなどの上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレン基、テトラメチル-1,2-ジシリル、テトラフェニル-1,2-ジシリルなどのアルキルジシリル、アルキルアリールジシリル、アリールジシリル基などの2価のケイ素含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した2価のゲルマニウム含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をスズに置換した2価のスズ含有基置換基などであり、
R3は、前記と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
このうち2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレンであることがより好ましい。
以下に上記式(I)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示す。
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(o-メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(m-メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(p-メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,3-ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,4-ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,5-ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,4,6-トリメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(o-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(m-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(p-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,3-ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2,6-ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(3,5-ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(2-ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(3-ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(4-ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(4-ビフェニリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(4-トリメチルシリルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(8-メチル-9-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ペンチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ペンチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-ネオペンチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-ネオペンチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ヘキシル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-ヘキシル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(4-ビフェリニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルゲルミル-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルゲルミル-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルゲルミル-ビス{1-(2-n-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリドなど。
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属、チタニウム金属、ハフニウム金属を、バナジウム金属、ニオブ金属、タンタル金属、クロム金属、モリブデン金属、タングステン金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
このような前記式(I)で表される遷移金属化合物は、Journal of Organometallic Chem.288(1985)、第63〜67頁、ヨーロッパ特許出願公開第0,320,762号明細書および実施例に準じて、たとえば下記のようにして製造することができる。

ただし、ZはCl、Br、I、o-トシル基を示し、

前記式(I)で表される遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
これらの遷移金属化合物(a)は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また炭化水素あるいはハロゲン化炭化水素に希釈して用いてもよい。
プロピレン重合体(A1)およびプロピレン重合体(A2)の重合に用いられるオレフィン重合用触媒(1)を形成する(b)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができる。
(1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水や氷や水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお、該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解あるいはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどが挙げられる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
また、アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として、下記一般式
(i-C4H9)xAly(C5H10)z
(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)
で表されるイソプレニルアルミニウムを用いることもできる。
上記のような有機アルミニウム化合物は、単独であるいは組合せて用いられる。
アルミノキサンの溶液または懸濁液に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。その他、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
プロピレン重合体(A1)およびプロピレン重合体(A2)の重合に用いられるオレフィン重合用触媒(1)を形成する、前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物(c)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、US-547718号公報などに記載されたルイス酸、イオン性化合物およびカルボラン化合物を挙げることができる。
ルイス酸としては、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、MgCl2、Al2O3、SiO2-Al2O3などが例示できる。
イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリn-ブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが例示できる。
カルボラン化合物としては、ドデカボラン、1-カルバウンデカボラン、ビスn-ブチルアンモニウム(1-カルベドデカ)ボレート、トリn-ブチルアンモニウム(7,8-ジカルバウンデカ)ボレート、トリn-ブチルアンモニウム(トリデカハイドライド-7-カルバウンデカ)ボレートなどが例示できる。
上記のような前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物(c)は、2種以上混合して用いることができる。
プロピレン重合体(A1)およびプロピレン重合体(A2)の重合に用いられるオレフィン重合用触媒(1)は、上記のような遷移金属化合物(a)と、有機アルミニウムオキシ化合物(b)および化合物(c)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とから形成されるが、これらとともに必要に応じて有機アルミニウム化合物(j)を含有していてもよい。
このような有機アルミニウム化合物(j)としては、たとえば下記式(II)で表される有機アルミニウム化合物を例示することができる。
R9nAlX3-n … (II)
(式中、R9は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子または水素原子を示し、nは1〜3である。)
上記式(II)において、R9は炭素数1〜12の炭化水素基たとえばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
このような有機アルミニウム化合物(j)としては、具体的には以下のような化合物が挙げられる。
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ(2-エチルヘキシル)アルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなど。
また有機アルミニウム化合物(j)として、下記式(III)で表される化合物を用いることもできる。
R9nAlL3-n … (III)
(式中、R9は上記と同様であり、Lは-OR10基、-OSiR113基、-OAlR122基、-NR132基、-SiR143基または-N(R15)AlR162基であり、nは1〜2であり、R10、R11、R12およびR16はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、R13は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、R14およびR15はメチル基、エチル基などである。)
このような有機アルミニウム化合物のなかでは、
R9nAl(OAlR102)3-nで表される化合物、たとえばEt2AlOAlEt2、(iso-Bu)2AlOAl(iso-Bu)2などが好ましい。
上記式(II)および(III)で表される有機アルミニウム化合物の中では、一般式R93Alで表される化合物が好ましく、特にR9がイソアルキル基である化合物が好ましい。
プロピレン重合体(A1)およびプロピレン重合体(A2)の重合に用いられるオレフィン重合用触媒(1)は、(a)遷移金属化合物〔成分(a)〕、(b)有機アルミニウムオキシ化合物〔成分(b)〕(または遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物(c)〔成分(c)〕)および所望により有機アルミニウム化合物(j)〔成分(j)〕を不活性炭化水素溶媒中またはオレフィン溶媒中で混合することにより調製することができる。
オレフィン重合用触媒(1)の調製に用いられる不活性炭化水素溶媒として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;
シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;
エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。
オレフィン重合用触媒(1)を調製する際の各成分の混合順序は任意であるが、成分(b)〔または成分(c)〕と成分(a)とを混合するか、
成分(b)と成分(j)とを混合し、次いで成分(a)を混合するか、
成分(a)と成分(b)〔または成分(c)〕とを混合し、次いで成分(j)を混合するか、あるいは、
成分(a)と成分(j)とを混合し、次いで成分(b)〔または成分(c)〕を混合することが好ましい。
上記各成分を混合するに際して、成分(b)中のアルミニウムと、成分(a)中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜10000、好ましくは20〜5000であり、成分(a)の濃度は、約10-8〜10-1モル/l(溶媒)、好ましくは10-7〜5×10-2モル/l(溶媒)の範囲である。
成分(c)を用いる場合、成分(a)と成分(c)とのモル比〔成分(a)/成分(c)〕は、通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5の範囲であり、成分(a)の濃度は、約10-8〜10-1モル/l(溶媒)、好ましくは10-7〜5×10-2モル/l(溶媒)の範囲である。
成分(j)を用いる場合は、成分(j)中のアルミニウム原子(Alj)と成分(b)中のアルミニウム原子(Alb)との原子比(Alj/Alb)は、通常0.02〜20、好ましくは0.2〜10の範囲である。
上記各触媒成分は、重合器中で混合してもよいし、予め混合したものを重合器に添加してもよい。
予め混合する際の混合温度は、通常-50〜150℃、好ましくは-20〜120℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間である。また、混合接触時には混合温度を変化させてもよい。
オレフィン重合用触媒(1)は、無機あるいは有機の、顆粒状ないしは微粒子状の固体である微粒子状担体に、上記成分(a)、成分(b)〔または成分(c)〕および成分(j)のうち少なくとも一種の成分が担持された固体状オレフィン重合用触媒であってもよい。
無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、たとえばSiO2、Al2O3などを例示することができる。
有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体としては、エチレン、プロピレン、1-ブテンなどのα-オレフィン、もしくはスチレンを主成分として生成される重合体または共重合体を例示することができる。
また、オレフィン重合触媒(1)は、上記の微粒子状担体、成分(a)、成分(b)〔または成分(c)〕、予備重合により生成するオレフィン重合体および、所望により成分(j)から形成されるオレフィン重合用予備重合触媒であってもよい。
予備重合に用いられるオレフィンとしては、プロピレン、エチレン、1-ブテンなどのオレフィンが用いられるが、これらと他のオレフィンとの混合物であってもよい。
なお、オレフィン重合用触媒(1)は、上記のような各成分以外にもオレフィン重合に有用な他の成分、たとえば、触媒成分としての水なども含むことができる。
プロピレン重合体(A1)およびプロピレン重合体(A2)は、上記のオレフィン重合用触媒(1)の存在下にプロピレンの重合を行うことによって製造することができる。プロピレンの重合の際には、エチレン、および1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素数4〜20のα-オレフィンなどのモノマーを、プロピレン1モルに対して0.1モル以下の量で用いてもよい。
重合は懸濁重合、溶液重合などの液相重合法あるいは気相重合法いずれにおいても実施できる。
液相重合法では上述した触媒調製の際に用いた不活性炭化水素溶媒と同じものを用いることができ、プロピレンを溶媒として用いることもできる。
プロピレンの重合温度は、懸濁重合法を実施する際には、通常-50〜100℃、好ましくは0〜90℃の範囲であることが望ましく、溶液重合法を実施する際には、通常0〜250℃、好ましくは20〜200℃の範囲であることが望ましい。また、気相重合法を実施する際には、重合温度は通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の範囲であることが望ましい。重合圧力は、通常、常圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧〜50kg/cm2の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
得られるプロピレン系重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合温度、重合圧力を変化させることによって調節することができる。
第2のプロピレン重合体組成物
第2のプロピレン重合体組成物は、
(i)(a)遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒を用いて製造され、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが0.01〜30g/10分の範囲にあり、GPCにより求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜3の範囲にあるプロピレン重合体(A1)と、
(i)(a)遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒を用いて製造され、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが30〜1000g/10分の範囲にあり、GPCにより求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にあるプロピレン重合体(A2)と、
軟質重合体(B)とからなり、
前記プロピレン重合体(A1)のMFRと、前記プロピレン重合体(A2)のMFRとの比((A2)/(A1))が30以上である。
プロピレン重合体(A1)
第2のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A1)は、前記第1のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A1)と同様のプロピレン重合体である。
プロピレン重合体(A2)
第2のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A2)は、前記第1のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A2)と同様のプロピレン重合体である。
軟質重合体(B)
第2のプロピレン重合体組成物を構成する軟質重合体(B)は、炭素数2〜20のα-オレフィンの(共)重合体であり、190℃、2.16kg荷重で測定されるMFRが0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜50g/10分の範囲にあることが望ましい。このような軟質重合体(B)は、X線回折法によって測定される結晶化度が30%未満であり、非晶質であることが望ましい。
炭素数2〜20のα-オレフィンとしては、たとえばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンおよびこれらの混合物を挙げることができる。このうち炭素数2〜10のα-オレフィンであることが特に好ましい。
軟質重合体(B)は、エチレンとα-オレフィンとの共重合体であることが好ましく、α-オレフィンは、たとえば炭素数3〜20のα-オレフィンであり、好ましくは炭素数3〜6のα-オレフィンであり、特に好ましくはプロピレンである。
軟質重合体(B)は、その特性を損なわない範囲内で、ジエン化合物から誘導される成分単位などのようなα-オレフィンから誘導される成分単位以外の成分単位を含んでいてもよい。
軟質重合体(B)に含まれることが許容される成分単位としては、たとえば、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンのような鎖状非共役ジエン;
シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネンのような環状非共役ジエン;
2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエンなどのジエン化合物から誘導される成分単位を挙げることができる。
このようなジエン成分は、単独であるいは組み合わせて用いることができる。ジエン成分の含有率は、通常は10モル%以下、好ましくは0〜5モル%である。
軟質重合体(B)としては、エチレンから誘導される成分単位が0〜95モル%、好ましくは30〜92モル%、より好ましくは40〜90モル%、炭素数3〜20のα-オレフィンから誘導される成分単位が1〜100モル%、好ましくは4〜70モル%、より好ましくは8〜60モル%、ジエン成分から誘導される成分単位が0〜10モル、好ましくは0〜5モル%、より好ましくは0〜3モル%からなる共重合体を挙げることができる。
このような軟質重合体(B)は、チタン系、バナジウム系、ジルコニウム系などの触媒を用いて、従来公知の方法で製造することができる。
プロピレン重合体組成物
第2のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン重合体(A1)と、前記プロピレン重合体(A2)と、前記軟質重合体(B)とからなり、プロピレン重合体(A1)は、10〜90重量部、好ましくは30〜70重量部の量で含まれ、プロピレン重合体(A2)は10〜90重量部、好ましくは30〜70重量部の量で含まれ、軟質重合体(B)は、3〜30重量部、好ましくは10〜25重量部の量で含まれることが望ましい。また、プロピレン重合体(A2)のMFRとプロピレン重合体(A1)のMFRとの比〔(A2)/(A1)〕が30以上、好ましくは40〜300、さらに好ましくは50〜100の範囲であることが望ましい。
第2のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが、1〜100g/10分、好ましくは5〜50g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnが、4〜15の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.88〜0.92g/cm3、好ましくは0.89〜0.92g/cm3の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、80℃以上、好ましくは90〜140℃の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、8500〜18000kg/cm2、好ましくは9000〜15000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において10〜50kg・cm/cm、好ましくは10〜40kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、200〜1000%、好ましくは300〜1000%の範囲にあることが望ましい。
第2のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
このような第2のプロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえばプロピレン重合体(A1)と、プロピレン重合体(A2)と、軟質重合体(B)と、所望により添加される他成分とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(5)の方法に準じて製造することができる。
第2のプロピレン重合体組成物は、プロピレン重合体(A1)とプロピレン重合体(A2)とからなる組成物を下記のように調製し、得られた組成物と軟質重合体(B)とから前記のように製造してもよい。
プロピレン重合体(A1)とプロピレン重合体(A2)との組成物は、重合を反応条件の異なる2段以上に分けて、少なくとも1段階でプロピレン重合体(A1)を製造し、他の段階でプロピレン重合体(A2)を製造することにより調製するができ、また、複数の重合器を用い、一方の重合器でプロピレン重合体(A1)を製造し、他方の重合器でプロピレン重合体(A2)をそれぞれ製造することにより調製することもできる。
このような第2のプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性、耐衝撃性に優れている。さらに、重合体組成物中の触媒残渣が少ないため、成形体が着色することがなく、しかも衛生性が良好である。
第3のプロピレン重合体組成物
第3のプロピレン重合体組成物は、
後述するような固体状チタン触媒成分(d)と有機金属化合物触媒成分(e)とを含むオレフィン重合用触媒を用いて製造され、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが0.01〜30g/10分の範囲にあり、GPCにより求められる分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあるプロピレン重合体(A3)と、
(i)(a)遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒を用いて製造され、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが30〜1000g/10分の範囲にあり、GPCにより求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にあるプロピレン重合体(A2)とからなっている。
プロピレン重合体(A3)
第3のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A3)は、後述するような固体状チタン触媒成分(d)と有機金属化合物触媒成分(e)とを含むオレフィン重合用触媒を用いて製造されるプロピレン単独重合体またはプロピレン共重合体であり、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが0.01〜30g/10分、好ましくは0.5〜5g/10分の範囲にあることが望ましく、GPCにより求められるMw/Mnが4〜15、好ましくは4〜8の範囲であることが望ましい。
このプロピレン重合体(A3)は、極限粘度[η]が、1.7〜5.0dl/g、好ましくは2.2〜3.5dl/gの範囲にあることが望ましく、重量平均分子量は、15×104〜100×104、好ましくは25×104〜50×104の範囲にあることが望ましい。さらにX線回折により測定される結晶化度が、55%以上、好ましくは60%以上であることが望ましく、沸騰ヘプタン抽出残率(I.I.)は、90%以上、好ましくは93%以上であることが望ましい。
プロピレン重合体(A3)は、前記プロピレン重合体(A1)の項で説明したモノマーと同様のプロピレン以外のモノマーから誘導される構成単位を5モル%以下の割合で含んでいてもよい。
プロピレン重合体(A2)
第3のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A2)は、前記第1のプロピレン重合体組成物を形成するプロピレン重合体(A2)と同様のプロピレン重合体である。
プロピレン重合体組成物
第3のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン重合体(A3)と、前記プロピレン重合体(A2)とからなり、プロピレン重合体(A3)は、10〜90重量%、好ましくは30〜70重量%の割合で含まれ、プロピレン重合体(A2)は10〜90重量%、好ましくは30〜70重量%の割合で含まれることが望ましい。また、プロピレン重合体(A2)のMFRとプロピレン重合体(A3)のMFRとの比〔(A2)/(A3)〕は、30以上、好ましくは40〜100の範囲にあることが望ましい。
第3のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが、1〜100g/10分、好ましくは5〜50g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnが、5〜15の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.89〜0.92g/cm3、好ましくは0.90〜0.92g/cm3の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、100℃以上、好ましくは110〜150℃の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、14000〜21000kg/cm2、好ましくは16000〜20000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において2〜4kg・cm/cm、好ましくは2〜3kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、100〜500%、好ましくは200〜400%の範囲にあることが望ましい。
第3のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
プロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえばプロピレン重合体(A3)と、プロピレン重合体(A2)と、所望により添加される他成分とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(4)の方法に準じて製造することができる。
このような第3のプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性に優れている。
次に、プロピレン重合体(A3)を重合する際に用いられるオレフィン重合用触媒およびプロピレン重合体(A3)の製造方法について説明する。
プロピレン重合体(A3)は、
(d)固体状チタン触媒成分と、
(e)有機金属化合物触媒成分とを
含むオレフィン重合用触媒〔オレフィン重合用触媒(2)〕の存在下にプロピレンを重合することにより製造することができる。
図2に、プロピレン重合体(A3)の製造に使用されるオレフィン重合用触媒の調製工程を示す。
(d)固体状チタン触媒成分としては、チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび必要に応じて後述するような電子供与体(k)を含有する固体状チタン触媒成分が挙げられる。
この(d)固体状チタン触媒成分は、たとえばチタン化合物、マグネシウム化合物および必要に応じて電子供与体(k)を用い、これら化合物を接触させることにより調製される。
(d)固体状チタン触媒成分の調製に用いられるチタン化合物としては、たとえば4価のチタン化合物あるいは3価のチタン化合物が挙げられる。
4価のチタン化合物としては、下記一般式で示される化合物が挙げられる。
Ti(OR)gX4-g
式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、0≦g≦4である。
これらの中で好ましいものは、テトラハロゲン化チタンであり、特に四塩化チタンが好ましい。これらのチタン化合物は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。あるいは炭化水素、ハロゲン化炭化水素に希釈して用いてもよい。
3価のチタン化合物としては三塩化チタンが用いられる。
(d)固体状チタン触媒成分の調製に用いられるマグネシウム化合物としては、還元能を有するマグネシウム化合物および還元能を有しないマグネシウム化合物が挙げられる。
還元能を有するマグネシウム化合物としては、たとえば下記一般式で表わされる有機マグネシウム化合物が挙げられる。
XnMgR2-n
式中、nは0≦n<2であり、Rは水素または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはシクロアルキル基であり、nが0である場合2個のRは同一でも異なっていてもよく、Xはハロゲンである。
このような還元能を有する有機マグネシウム化合物として具体的には、ジアルキルマグネシウム化合物、アルキルマグネシウムハライド、アルキルマグネシウムアルコキシド、その他ブチルマグネシウムハイドライドなどが挙げられる。
また還元能を有しないマグネシウム化合物として具体的には、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド、アリロキシマグネシウムハライド、アルコキシマグネシウム、アリロキシマグネシウム、マグネシウムのカルボン酸塩などが挙げられる。その他マグネシウム金属、水素化マグネシウムを用いることもできる。
これら還元能を有しないマグネシウム化合物は、上述した還元能を有するマグネシウム化合物から誘導した化合物、あるいは触媒成分の調製時に誘導した化合物であってもよい。還元能を有しないマグネシウム化合物を、還元能を有するマグネシウム化合物から誘導するには、たとえば還元能を有するマグネシウム化合物を、ポリシロキサン化合物、ハロゲン含有シラン化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、エステル、アルコール、ハロゲン含有化合物、あるいはOH基や活性な炭素-酸素結合を有する化合物と接触させればよい。
なお、マグネシウム化合物は単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、また液状状態あるいは固体状態で用いてもよい。マグネシウム化合物が固体である場合、後述する電子供与体(k)と同様のアルコール類、カルボン酸類、アルデヒド類、アミン類、金属酸エステル類などを用いて液体状態にすることができる。
(d)固体状チタン触媒成分の調製においては、好ましくは電子供与体(k)が用いられる。このような電子供与体(k)としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸ハライド類、有機酸または無機酸のエステル類、エーテル類、ジエーテル類、酸アミド類、酸無水物類、アルコキシシランなどの含酸素電子供与体;
アンモニア類、アミン類、ニトリル類、ピリジン類、イソシアネート類などの含窒素電子供与体が挙げられる。
(d)固体状チタン触媒成分は、上記したようなチタン化合物、マグネシウム化合物および好ましくは電子供与体(k)を接触させて調製される。
これらの化合物を用いた(d)固体状チタン触媒成分の調製方法は、特に限定されるものではないが、4価のチタン化合物を用いる場合について数例挙げて以下に簡単に述べる。
(1)マグネシウム化合物、電子供与体(k)および炭化水素溶媒からなる溶液を、有機金属化合物と接触反応させて固体を析出させた後、または析出させながらチタン化合物と接触反応させる方法。
(2)マグネシウム化合物と電子供与体(k)から成る錯体を有機金属化合物と接触反応させた後チタン化合物を接触反応させる方法。
(3)無機担体と有機マグネシウム化合物の接触物に、チタン化合物を接触反応させる方法。この際、あらかじめ上記接触物をハロゲン含有化合物、電子供与体(k)および/または有機金属化合物と接触反応させてもよい。
(4)マグネシウム化合物、電子供与体(k)、場合によっては更に炭化水素溶媒を含む溶液と無機または有機担体との混合物から、マグネシウム化合物の担持された無機または有機担体を得、次いでチタン化合物を接触させる方法。
(5)マグネシウム化合物、チタン化合物、電子供与体(k)、場合によっては更に炭化水素溶媒を含む溶液と無機または有機担体との接触により、マグネシウム、チタンの担持された(d)固体状チタン触媒成分を得る方法。
(6)液状状態の有機マグネシウム化合物をハロゲン含有チタン化合物と接触反応させる方法。
(7)液状状態の有機マグネシウム化合物をハロゲン含有化合物と接触反応後、チタン化合物を接触させる方法。
(8)アルコキシ基含有マグネシウム化合物をハロゲン含有チタン化合物と接触反応する方法。
(9)アルコキシ基含有マグネシウム化合物および電子供与体(k)から成る錯体をチタン化合物と接触反応する方法。
(10)アルコキシ基含有マグネシウム化合物および電子供与体(k)から成る錯体を有機金属化合物と接触後チタン化合物と接触反応させる方法。
(11)マグネシウム化合物と、電子供与体(k)と、チタン化合物とを任意の順序で接触、反応させる方法。この反応は、各成分を電子供与体(k)および/または有機金属化合物やハロゲン含有ケイ素化合物などの反応助剤で予備処理してもよい。
(12)還元能を有しない液状のマグネシウム化合物と、液状チタン化合物とを、必要に応じて電子供与体(k)の存在下で反応させて固体状のマグネシウム・チタン複合体を析出させる方法。
(13)(12)で得られた反応生成物に、チタン化合物をさらに反応させる方法。
(14)(11)あるいは(12)で得られる反応生成物に、電子供与体(k)およびチタン化合物をさらに反応させる方法。
(15)マグネシウム化合物とチタン化合物と必要に応じて電子供与体(k)とを、粉砕して得られた固体状物を、ハロゲン、ハロゲン化合物および芳香族炭化水素のいずれかで処理する方法。なおこの方法においては、マグネシウム化合物のみを、あるいはマグネシウム化合物と電子供与体(k)とからなる錯化合物を、あるいはマグネシウム化合物とチタン化合物を粉砕する工程を含んでもよい。また粉砕後に反応助剤で予備処理し、次いでハロゲンなどで処理してもよい。反応助剤としては、有機金属化合物あるいはハロゲン含有ケイ素化合物などが挙げられる。
(16)マグネシウム化合物を粉砕した後、チタン化合物と接触・反応させる方法。この際、粉砕時および/または接触・反応時に電子供与体(k)や、反応助剤を用いてもよい。
(17)上記(11)〜(16)で得られる化合物をハロゲンまたはハロゲン化合物または芳香族炭化水素で処理する方法。
(18)金属酸化物、有機マグネシウムおよびハロゲン含有化合物との接触反応物を、チタン化合物および必要に応じて電子供与体(k)と接触させる方法。
(19)有機酸のマグネシウム塩、アルコキシマグネシウム、アリーロキシマグネシウムなどのマグネシウム化合物を、チタン化合物および/またはハロゲン含有炭化水素および必要に応じて電子供与体(k)と反応させる方法。
(20)マグネシウム化合物とアルコキシチタンとを少なくとも含む炭化水素溶液とチタン化合物および/または電子供与体(k)とを接触させる方法。この際、必要に応じて、ハロゲン含有ケイ素化合物などのハロゲン含有化合物をさらに接触させてもよい。
(21)還元能を有しない液状状態のマグネシウム化合物と有機金属化合物とを反応させて固体状のマグネシウム・金属(アルミニウム)複合体を析出させ、次いでチタン化合物および必要に応じて電子供与体(k)を反応させる方法。
このような(d)固体状チタン触媒成分の調製は、通常-70℃〜200℃、好ましくは-50℃〜150℃の温度で行われる。
このようにして得られる(d)固体状チタン触媒成分は、チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび好ましくは電子供与体(k)を含有している。
この(d)固体状チタン触媒成分において、ハロゲン/チタン(原子比)は、2〜200、好ましくは4〜90であり、マグネシウム/チタン(原子比)は、1〜100、好ましくは2〜50であることが望ましい。
また好ましくは電子供与体(k)は、通常、電子供与体(k)/チタン(モル比)が、0.01〜100、好ましくは0.05〜50の割合で含有される。
このような(d)固体状チタン触媒成分の調製方法については、たとえば以下に例示するような公報にその詳細が記載されている。
特公昭46-34092号、特公昭53-46799号、特公昭60-3323号、特公昭63-54289号、特開平1-261404号、特開平1-261407号、特公昭47-41676号、特公昭47-46269号、特公昭48-19794号、特開昭60-262803号、特開昭59-147004号、特開昭59-149911号、特開平1-201308号、特開昭61-151211号、特開昭53-58495号、特開昭53-87990号、特開昭59-206413号、特開昭58-206613号、特開昭58-125706号、特開昭63-68606号、特開昭63-69806号、特開昭60-81210号、特開昭61-40306号、特開昭51-281189号、特開昭50-126590号、特開昭51-92885号、特公昭57-45244号、特公昭57-26613号、特公昭61-5483号、特開昭56-811号、特公昭60-37804号、特公昭59-50246号、特開昭58-83006号、特開昭48-16986号、特開昭49-65999号、特開昭49-86482号、特公昭56-39767号、特公昭56-32322号、特開昭55-29591号、特開昭53-146292号、特開昭57-63310号、特開昭57-63311号、特開昭57-63312号、特開昭62-273206号、特開昭63-69804号、特開昭61-21109号、特開昭63-264607号、特開昭60-23404号、特開昭60-44507号、特開昭60-158204号、特開昭61-55104号、特開昭2-28201号、特開昭58-196210号、特開昭64-54005号、特開昭59-149905号、特開昭61-145206号、特開昭63-302号、特開昭63-225605号、特開昭64-69610号、特開平1-168707号、特開昭62-104810号、特開昭62-104811号、特開昭62-104812号、特開昭62-104813号など。
本発明では、(d)固体状チタン触媒成分として、従来公知の三塩化チタン系触媒成分を用いることもできる。
三塩化チタン系触媒成分としては、前述した三塩化チタンを例示することができる。またこのような三塩化チタンは、前述の電子供与体(k)および/または4価のチタン化合物とともに、あるいはこれらと接触させた後に用いることもできる。
このような三塩化チタン系触媒成分の調製方法については、たとえば以下に例示するような公報にその詳細が記載されている。
特開昭63-17274号、特開昭64-38409号、特開昭56-34711号、特開昭61-287904号、特開昭63-75007号、特開昭63-83106号、特開昭59-13630号、特開昭63-108008号、特開昭63-27508号、特開昭57-70110号、特開昭58-219207号、特開平1-144405号、特開平1-292011号、特開平1-292011号など。
三塩化チタン系触媒成分としては、具体的に三塩化チタンが挙げられる。この三塩化チタンとしては、たとえば四塩化チタンを、水素や金属マグネシウム、金属アルミニウム、金属チタンなどの金属あるいは有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機亜鉛化合物などの有機金属化合物と接触させて還元して得られる三塩化チタンが好ましく用いられる。またこのような三塩化チタンは、前述の電子供与体(k)および/または四価のチタン化合物とともに、あるいはこれらと接触させた後に用いることもできる。
プロピレン重合体(A3)の重合に用いられるオレフィン重合用触媒(2)を形成する(e)有機金属化合物触媒成分としては、たとえば(e-1)有機アルミニウム化合物、(e-2)第I族金属とアルミニウムとの錯アルキル化合物、(e-3)第II族金属の有機金属化合物などを用いることができる。
(e-1)有機アルミニウム化合物としては、前記(j)有機アルミニウムと同様の化合物を例示することができる。
(e-2)第I族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物としては、下記一般式で表される化合物を例示できる。
M1AlRj4
(式中、M1はLi、Na、Kであり、Rjは炭素数1〜15の炭化水素基である。)
(e-3)第II族金属の有機金属化合物としては、下記一般式で表される化合物を例示できる。
RkRlM2
(式中、Rk、Rlは炭素数1〜15の炭化水素基あるいはハロゲンであり、互いに同一でも異なっていてもよいが、いずれもハロゲンである場合は除く。M2はMg、Zn、Cdである。)
これらの化合物は、2種以上併用することもできる。
またプロピレン重合体(A3)を重合するに際して、前記(b)有機アルミニウムオキシ化合物を用いることもできる。
プロピレン重合体(A3)は、上述したような(d)固体状チタン触媒成分および(e)有機金属化合物触媒成分から形成されるオレフィン重合用触媒(2)の存在下に、プロピレンを重合させることにより製造することができる。
オレフィン重合用触媒(2)は、(d)固体状チタン触媒成分および(e)有機金属化合物触媒成分からなる触媒にオレフィンを予備重合させた予備重合触媒であってもよい。
予備重合の際に用いられるオレフィンとしては、炭素数が2〜20のα-オレフィンを例示することができる。これらの中では、プロピレンが好ましい。
予備重合の際には、上記のような触媒成分(d)および触媒成分(e)と共に、必要に応じて前記電子供与体(k)と同様の電子供与体、または下記電子供与体(l)を用いることもできる。
電子供与体(l)としては、下記式で示される有機ケイ素化合物を挙げることができる。
RnSi(OR’)4-n
(式中、RおよびR’は炭化水素基であり、0<n<4である)
上記のような一般式で示される有機ケイ素化合物として具体的には、下記のような化合物が挙げられる。
これらの有機ケイ素化合物は、2種以上組み合わせて用いることもできる。
さらに電子供与体(l)として、2,6-置換ピペリジン類、2,5-置換ピペリジン類、置換メチレンジアミン類、置換イミダゾリジン類などの含窒素電子供与体;
亜リン酸エステル類などリン含有電子供与体、
2,6-置換テトラヒドロピラン類、2,5-置換テトラヒドロピラン類などの含酸素電子供与体を用いることもできる。
予備重合においては、通常(d)固体状チタン触媒成分1g当り0.01〜2000g、好ましくは0.03〜1000g、特に好ましくは0.05〜200gの量で前記のオレフィンを重合させることが望ましい。
上記のようにして得られる予備重合触媒は、通常、懸濁状態で得られる。このような予備重合触媒は、次工程の重合において、懸濁状態のままで用いることもできるし、生成した予備重合触媒を懸濁液から分離して用いることもできる。
プロピレン重合体(A3)の重合において上記のような予備重合触媒を用いる場合には、該予備重合触媒と共にさらに(e)有機金属化合物触媒成分を用いることが好ましい。
プロピレン重合体(A3)は、上述したようなオレフィン重合用触媒(2)の存在下に、プロピレンの重合を行うことによって製造することができる。プロピレンの重合の際には、エチレン、および前記プロピレン重合体(A1)およびプロピレン重合体(A2)の重合の項で例示した炭素数4〜20のα-オレフィンなどのモノマーを、プロピレン1モルに対して0.1モル以下の量で用いてもよい。
プロピレン重合体(A3)は、溶解重合、懸濁重合などの液相重合法あるいは気相重合法いずれにおいても重合することができる。
重合が懸濁重合の反応形態で行われる場合には、反応溶媒として、反応温度において液状のポリエン化合物やオレフィンおよび/または上述した予備重合の際に用いられる不活性溶媒と同様の溶媒を用いることができる。
重合で用いられるオレフィン重合用触媒(2)は、種類によっても異なるが、通常、以下の量で用いられる。
(d)固体状チタン触媒成分(予備重合触媒を含む)は、重合容積1l当り(d)固体状チタン触媒成分または予備重合触媒中のチタン原子に換算して、通常は約0.001〜100ミリモル、好ましくは約0.005〜20ミリモルの量で用いられる。
(e)有機金属化合物触媒成分は、該触媒成分(e)中の金属原子が、重合系中の(d)固体状チタン触媒成分または予備重合触媒中のチタン原子1モルに対し、通常約1〜2000モル、好ましくは約5〜500モルとなるような量で用いられる。
さらに触媒成分(d)および触媒成分(e)と共に、前述した電子供与体(k)、(l)と同様の電子供与体を必要に応じて用いることもできる。電子供与体が用いられる場合には、電子供与体は、有機金属化合物触媒成分(e)中の金属原子1モルに対し、通常約0.001モル〜10モル、好ましくは0.01モル〜5モルの量で用いられる。
なおオレフィン重合用触媒(2)には、上記のような各成分以外にも、オレフィンの重合に有用な他の成分を含むことができる。
また重合時に、水素を用いれば、得られる重合体の分子量を調節することができ、メルトフローレートの大きい重合体が得られる。
重合は、通常、以下のような条件下で行われる。重合温度は約-40〜300℃、好ましくは約-20〜150℃であり、重合圧力は、常圧〜100kg/cm2、好ましくは約2〜50kg/cm2である。
このような重合は、バッチ式、半連続式、連続式の何れの方法においても行うことができる。さらに重合を、2段以上に分けて行うこともできる。この際各段の反応条件は同一であっても異なっていてもよい。
第4のプロピレン重合体組成物
第4のプロピレン重合体組成物は、
前記固体状チタン触媒成分(d)と前記有機金属化合物触媒成分(e)とを含むオレフィン重合用触媒を用いて製造され、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが0.01〜30g/10分の範囲にあり、GPCにより求められる分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあるプロピレン重合体(A3)と、
(i)(a)遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒を用いて製造され、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが30〜1000g/10分の範囲にあり、GPCにより求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にあるプロピレン重合体(A2)と、
軟質重合体(B)とからなっている。
プロピレン重合体(A3)
第4のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A3)は、前記第3のプロピレン重合体組成物を形成するプロピレン重合体(A3)と同様のプロピレン重合体である。
プロピレン重合体(A2)
第4のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A2)は、前記第1のプロピレン重合体組成物を形成するプロピレン重合体(A2)と同様のプロピレン重合体である。
軟質重合体(B)
第4のプロピレン重合体組成物を構成する軟質重合体(B)は、前記第2のプロピレン重合体組成物を形成する軟質重合体(B)と同様の重合体である。
プロピレン重合体組成物
第4のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン重合体(A3)と、前記プロピレン重合体(A2)と、前記軟質重合体(B)とからなり、プロピレン重合体(A3)は、10〜90重量部、好ましくは30〜70重量部の量で含まれ、プロピレン重合体(A2)は10〜90重量部、好ましくは30〜70重量部の量で含まれ、軟質重合体(B)は、3〜30重量部、好ましくは10〜25重量部の量で含まれていることが望ましい。また、プロピレン重合体(A2)のMFRとプロピレン重合体(A3)のMFRとの比〔(A2)/(A3)〕が、30以上、好ましくは40〜100の範囲にあることが望ましい。
第4のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが、1〜100g/10分、好ましくは5〜50g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnが、5〜15の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.88〜0.92g/cm3、好ましくは0.89〜0.92g/cm3の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、85℃以上、好ましくは95〜140℃の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、8500〜18000kg/cm2、好ましくは9000〜15000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において10〜50kg・cm/cm、好ましくは10〜40kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、200〜1000%、好ましくは300〜500%の範囲にあることが望ましい。
第4のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記のような添加剤が配合されていてもよい。
プロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえばプロピレン重合体(A3)と、プロピレン重合体(A2)と、軟質重合体(B)と、所望により添加される他成分とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(4)の方法に準じて製造することができる。
第5のプロピレン重合体組成物
本発明に係る第5のプロピレン重合体組成物は、
前記固体状チタン触媒成分(d)と有機金属化合物触媒成分(e)とを含む触媒を用いて製造され、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが0.01〜50g/10分の範囲にあり、GPCにより求められる分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあり、X線回折法により測定される結晶化度が50%以上であるプロピレン重合体(A4)と、
(i)(f)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(g)前記遷移金属化合物(f)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含む触媒を用いて製造され、エチレンから誘導される構成単位を20〜80モル%の割合で含有し、135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]が、1.5〜5dl/gの範囲にあるエチレン・オレフィンランダム共重合体(C)とからなっている。
プロピレン重合体(A4)
プロピレン重合体(A4)は、プロピレン単独重合体またはプロピレン共重合体であって、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが、0.01〜50g/10分、好ましくは1〜30g/10分の範囲にあることが望ましい。GPCにより求められる分子量分布(Mw/Mn)が4〜15、好ましくは4〜8の範囲にあることが望ましい。また、X線回折法により測定される結晶化度が、50%以上、好ましくは60%以上であり、高結晶性であることが望ましい。
プロピレン重合体(A4)は、135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]が、1.3〜5.0dl/g、好ましくは1.4〜3.0dl/gであり、重量平均分子量が、12×104〜100×104、好ましくは13×104〜40×104であり、沸騰ヘプタン抽出残率(I.I.)が、90%以上、好ましくは93%以上であることが望ましい。
プロピレン重合体(A4)は、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンから誘導される構成単位を5モル%以下の割合で含有していてもよい。
炭素数4〜20のα-オレフィンとしては、具体的に、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。
エチレン・オレフィンランダム共重合体(C)
エチレン・オレフィンランダム共重合体(C)は、エチレンから誘導される構成単位を20〜80モル%、好ましくは30〜60モル%の割合で含有し、炭素数3〜20のα-オレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマー(オレフィン)から誘導される構成単位を80〜20モル%、好ましくは70〜40モル%の割合で含有している。
炭素数3〜20のα-オレフィンとして具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンなどが挙げられる。これらのうち、プロピレンが好ましい。これらは、単独であってもあるいは2種以上の組み合わせであってもよい。
炭素数5〜20のポリエンとしては、共役もしくは非共役のオレフィン性二重結合を2個以上有するポリエンが挙げられ、具体的には、
1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、6-エチル-1,6-オクタジエン、6-プロピル-1,6-オクタジエン、6-ブチル-1,6-オクタジエン、6-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,6-ノナジエン、6-エチル-1,6-ノナジエン、7-エチル-1,6-ノナジエン、6-メチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,6-デカジエン、6-メチル-1,6-ウンデカジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、2,4,6-オクタトリエン、1,3,7-オクタトリエン、1,5,9-デカトリエンおよびジビニルベンゼンなどの鎖状ポリエン化合物、
1,3-シクロペンタジエン、1,3-シクロヘキサジエン、5-エチル-1,3-シクロヘキサジエン、1,3-シクロヘプタジエン、ジシクロペンタジエン、ジシクロヘキサジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、メチルヒドロインデン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネンおよび2-プロペニル-2,5-ノルボルナジエンなどの環状ポリエン化合物を挙げることができる。
エチレン・オレフィンランダム共重合体(C)は、135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]が、1.5〜5dl/g、好ましくは2.0〜4.0dl/gに範囲にある。
またエチレン・オレフィンランダム共重合体(C)は、GPCにより求められる分子量分布(Mw/Mn)が、3.0以下、好ましくは2.0〜2.5の範囲にあることが望ましい。
エチレン・オレフィンランダム共重合体(C)は、ガラス転移温度(Tg)が-40℃以下、好ましくは-50℃以下であることが望ましい。
エチレン・オレフィンランダム共重合体(C)は、低結晶性あるいは非晶性であって、X線回折法により測定される結晶化度が30%以下、好ましくは0〜10%以下であることが望ましい。
プロピレン重合体組成物
第5プロピレン重合体組成物は、前記(A4)プロピレン重合体と前記(C)エチレン・オレフィンランダム共重合体とからなり、プロピレン重合体(A4)は、50〜97重量%、好ましくは70〜90重量%の割合で含まれ、エチレン・オレフィンランダム共重合体(C)は、3〜50重量%、好ましくは10〜30重量%の割合で含まれることが望ましい。
第5プロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが、0.01〜100g/10分、好ましくは1〜50g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnが、4〜15の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.88〜0.92g/cm3、好ましくは0.89〜0.92g/cm3の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、8000〜17000kg/cm2、好ましくは9000〜15000kg/cm2であることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において10〜50kg・cm/cm、好ましくは10〜40kg・cm/cmの範囲にあり、-30℃において5〜15kg・cm/cm、好ましくは7〜15kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、200〜500%、好ましくは250〜450%の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、80℃以上、好ましくは90〜110℃の範囲にあることが望ましい。
第5のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
第5のプロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえば(A4)プロピレン重合体と、(C)エチレン・オレフィンランダム共重合体とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(4)の方法に準じて製造することができる。
このような第5のプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性に優れるとともに曲げ強度、耐衝撃性などの機械的強度に優れている。
特に、第5のプロピレン重合体組成物は、プロピレン重合体と、従来公知のチタン系触媒で製造されるエチレン・オレフィンランダム共重合体とからなるプロピレン重合体組成物に比べて耐低温衝撃性に優れている。
第5のプロピレン重合体組成物は、自動車構造材、家電などの用途に好ましく用いられる。
次に、プロピレン重合体(A4)を重合する際に用いられる触媒および製造方法、(C)エチレン・オレフィンランダム共重合体を重合する際に用いられる触媒およびの製造方法について説明する。
プロピレン重合体(A4)は、前記プロピレン重合体(A3)を製造する際に用いられるオレフィン重合用触媒(2)と同様の、固体状チタン触媒成分(d)と有機金属化合物触媒成分(e)とを含むオレフィン重合用触媒の存在下に、プロピレンを重合させて得られる。
プロピレンの重合の際には、エチレン、および前述のような炭素数4〜20のα-オレフィンなどのプロピレン以外のモノマーを、プロピレン1モルに対して0.1モル以下の量で用いてもよい。
プロピレン重合体(A4)は、溶解重合、懸濁重合などの液相重合法あるいは気相重合法いずれにおいても重合することができる。
重合が懸濁重合の反応形態で行われる場合には、反応溶媒として、反応温度において液状のポリエン化合物やオレフィンおよび/または前記オレフィン重合用触媒(1)の調製の際に用いられる不活性溶媒と同様の溶媒を用いることができる。
重合で用いられる触媒は、種類によっても異なるが、通常、以下の量で用いられる。
(d)固体状チタン触媒成分(予備重合触媒を含む)は、重合容積1l当り(d)固体状チタン触媒成分または予備重合触媒中のチタン原子に換算して、通常は約0.001〜100ミリモル、好ましくは約0.005〜20ミリモルの量で用いられる。
(e)有機金属化合物触媒成分は、該触媒成分(e)中の金属原子が、重合系中の(d)固体状チタン触媒成分または予備重合触媒中のチタン原子1モルに対し、通常約1〜2000モル、好ましくは約5〜500モルとなるような量で用いられる。
さらに触媒成分(d)および触媒成分(e)と共に、前述した電子供与体(k)、(l)と同様の電子供与体を必要に応じて用いることもできる。電子供与体が用いられる場合には、電子供与体は、有機金属化合物触媒成分(e)中の金属原子1モルに対し、通常約0.001モル〜10モル、好ましくは0.01モル〜5モルの量で用いられる。
なおプロピレン重合体(A4)の重合に用いられるオレフィン重合触媒には、上記のような各成分以外にも、オレフィンの重合に有用な他の成分を含むことができる。
また重合時に、水素を用いれば、得られる重合体の分子量を調節することができ、メルトフローレートの大きい重合体が得られる。
重合は、通常、以下のような条件下で行われる。重合温度は約-40〜300℃、好ましくは約-20〜150℃であり、重合圧力は、常圧〜100kg/cm2、好ましくは約2〜50kg/cm2である。
このような重合は、バッチ式、半連続式、連続式の何れの方法においても行うことができる。さらに重合を、2段以上に分けて行うこともできる。この際各段の反応条件は同一であっても異なっていてもよい。
エチレン・α-オレフィンランダム共重合体(C)は、
(i)(f)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(g)前記遷移金属化合物(f)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒〔オレフィン重合用触媒(3)〕の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα-オレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマー(オレフィン)とを共重合させて得られる。
図3に、エチレン・オレフィンランダム共重合体(C)の重合に用いられるオレフィン重合用触媒の調製工程を示す。
(f)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物として、たとえば前記式(I)で表される遷移金属化合物(h)および下記式(Ic)で表わされる化合物が挙げられる。
MLx … (Ic)
[式中、Mはジルコニウム、チタニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルおよびクロムからなる群から選ばれる遷移金属であり、Lは遷移金属に配位する配位子であり、少なくとも1個のLはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLは、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、SO3R基(ただしRはハロゲンなどの置換基を有していてもよい炭素数1〜8の炭化水素基)、ハロゲン原子または水素原子であり、xは遷移金属の原子価である。]
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、たとえば、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、メチルエチルシクロペンタジエニル基、プロピルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、ブチルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、ヘキシルシクロペンタジエニル基などのアルキル置換シクロペンタジエニル基あるいはインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などを例示することができる。これらの基は、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
これらの遷移金属に配位する配位子の中では、アルキル置換シクロペンタジエニル基が特に好ましい。
上記式(Ic)で表される化合物がシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上含む場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子Lとしては、具体的に下記のようなものが挙げられる。
炭素数1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられ、より具体的には、
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などが例示され、
シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが例示され、
アリール基としては、フェニル基、トリル基などが例示され、
アラルキル基としては、ベンジル基、ネオフィル基などが例示される。
またアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが例示され、
アリーロキシ基としては、フェノキシ基などが例示され、
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが例示される。
SO3Rで表される配位子としては、p-トルエンスルホナト基、メタンスルホナト基、トリフルオロメタンスルホナト基などが例示される。
このような遷移金属化合物は、たとえば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記式(Id)で表される。
R2kR3lR4mR5nM … (Id)
(式中、Mは上記遷移金属であり、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、R3、R4およびR5はシクロペンタジエニル骨格を有する基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、SO3R基、ハロゲン原子または水素原子であり、kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。)
本発明では上記式(Id)において、R2、R3、R4およびR5のうち少なくとも2個、たとえばR2およびR3がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であるメタロセン化合物が好ましく用いられる。この場合これらのシクロペンタジエニル骨格を有する基はエチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。またR4およびR5はシクロペンタジエニル骨格を有する基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、SO3R、ハロゲン原子または水素原子である。
以下に、Mがジルコニウムである遷移金属化合物について具体的な化合物を例示する。
ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、
ビス(インデニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)
ビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、
エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)ジフェニルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(2-メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(2-メチル,4-イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ジメチルシリレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス(2-メチル,4-イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、
ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)シクロヘキシルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ベンジルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド。
なお上記例示において、シクロペンタジエニル環の二置換体は、1,2-および1,3-置換体を含み、三置換体は、1,2,3-および1,2,4-置換体を含んでおり、またプロピル、ブチルなどのアルキル基は、n-、i-、sec-、tert-などの異性体を含んでいる。
上記のようなジルコニウム化合物において、ジルコニウムを、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルまたはクロムに置換えた化合物を用いることもできる。
上記例示の遷移金属化合物としては、中心の金属原子がジルコニウムであり、少なくとも2個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有するジルコノセン化合物が好ましく用いられる。
本発明では、遷移金属化合物(f)として前記式(I)で表される遷移金属化合物が特に好ましく用いられる。
これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また炭化水素あるいはハロゲン化炭化水素に希釈して用いてもよい。
また上記のような遷移金属化合物(f)は、粒子状担体に担持されていてもよい。このような担体としては、前記オレフィン重合用触媒(2)の調製に用いられる担体と同様の微粒子状担体が挙げられる。
有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、前記と同様の有機アルミニウムオキシ化合物であり、この有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、上述したような担体に担持させて用いることもできる。
遷移金属化合物(f)と反応してイオン対を形成する化合物(g)は、前記化合物(c)と同様の化合物であり、この化合物(g)は、上述したような担体に担持させて用いることもできる。
ニチレン・オレフィンランダム共重合体(C)重合に用いられるオレフィン重合用触媒(3)は、遷移金属化合物(f)〔成分(f)〕、(b)有機アルミニウムオキシ化合物〔成分(b)〕(または遷移金属化合物(f)と反応してイオン対を形成する化合物(g)〔成分(g)〕)および所望により前記有機金属化合物(e)〔成分(e)〕を不活性炭化水素溶媒中またはオレフィン溶媒中で混合することにより調製することができる。
オレフィン重合用触媒(3)の調製に用いられる不活性炭化水素溶媒としては、前記オレフィン重合用触媒(3)の調製に用いられる不活性炭化水素溶媒と同様の溶媒が挙げられる。
オレフィン重合用触媒(3)を調製する際の各成分の混合順序は任意であるが、成分(b)〔または成分(g)〕と成分(f)とを混合するか、
成分(b)と成分(e)とを混合し、次いで成分(f)を混合するか、
成分(f)と成分(b)〔または成分(g)〕とを混合し、次いで成分(e)を混合するか、あるいは、
成分(f)と成分(e)とを混合し、次いで成分(b)〔または成分(g)〕を混合することが好ましい。
上記各成分を混合するに際して、成分(b)中のアルミニウムと、成分(f)中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜10000、好ましくは20〜5000であり、成分(f)の濃度は、約10-8〜10-1モル/l(溶媒)、好ましくは10-7〜5×10-2モル/l(溶媒)の範囲である。
成分(g)を用いる場合、成分(f)と成分(g)とのモル比〔成分(f)/成分(g)〕は、通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5の範囲であり、成分(f)の濃度は、約10-8〜10-1モル/l(溶媒)、好ましくは10-7〜5×10-2モル/l(溶媒)の範囲である。
成分(e)を用いる場合は、成分(e)中の金属原子(M)と成分(b)中のアルミニウム原子(Al)との原子比(M/Al)は、通常0.02〜20、好ましくは0.2〜10の範囲である。
上記各触媒成分は、重合器中で混合してもよいし、予め混合したものを重合器に添加してもよい。
予め混合する際の混合温度は、通常-50〜150℃、好ましくは-20〜120℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間である。また、混合接触時には混合温度を変化させてもよい。
オレフィン重合用触媒(3)は、無機あるいは有機の、顆粒状ないしは微粒子状の固体である微粒子状担体に、上記成分(f)、成分(b)〔または成分(g)〕および成分(e)のうち少なくとも一種の成分が担持された固体状オレフィン重合用触媒であってもよい。
このような微粒子状担体としては、前記オレフィン重合用触媒(2)の調製に用いられる担体と同様の微粒子状担体が挙げられる。
また、オレフィン重合触媒(3)は、上記の微粒子状担体、成分(f)、成分(b)〔または成分(g)〕、予備重合により生成するオレフィン重合体および、所望により成分(e)から形成される予備重合触媒であってもよい。
予備重合に用いられるオレフィンとしては、プロピレン、エチレン、1-ブテンなどのオレフィンが用いられるが、これらと他のオレフィンとの混合物であってもよい。
なお、オレフィン重合用触媒(3)は、上記のような各成分以外にもオレフィン重合に有用な他の成分、たとえば、触媒成分としての水なども含むことができる。
エチレン・オレフィンランダム共重合体(C)は、上記のようなオレフィン重合用触媒(3)の存在下に、エチレンと、上述したような炭素数3〜20のα-オレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマー(オレフィン)とを共重合させて得られる。共重合に際して、エチレンとオレフィンとは、前述したような組成のエチレン・オレフィンランダム共重合体(C)が得られるような量で用いられる。
エチレン・オレフィンランダム共重合体(C)の共重合は、炭化水素媒体の共存下に実施することができる。
炭化水素媒体として具体的には、前述した有機アルミニウムオキシ化合物(b)を調製する際に用いられる炭化水素が挙げられる。
これらのうち、ヘキサン、メチルペンタン、メチルシクロペンタン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどが好ましく用いられる。また、炭化水素媒体として、共重合条件において液状のα-オレフィンを用いることもできる。
エチレンとオレフィンとの重合は、通常、-20℃〜200℃、好ましくは0℃〜180℃、特に好ましくは、20℃〜160℃の温度で、大気圧〜100kg/cm2、好ましくは大気圧〜50kg/cm2、特に好ましくは大気圧〜30kg/cm2の圧力条件下で行われる。
得られる共重合体の分子量は、重合温度などの重合条件を変更することにより、あるいは水素(分子量調節剤)の使用量を制御することにより調節することができる。
本発明では、この際得られる共重合体が前述したようなMFRを有するように分子量を調節する。
上記のような共重合は、溶液重合法、懸濁重合法などにより実施することができる。本発明では、これらのうち溶液重合法が好ましい。また重合は、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行なうことができるが、連続的に行なうことが好ましい。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行なうこともできる。
重合直後の生成ポリマーは、従来公知の分離・回収方法により回収できる。
溶液重合の場合は、直接溶媒を蒸発させ乾固する方法、または相分離した後、濃厚相の溶媒を蒸発させ、乾固する方法が好ましい。
第6のプロピレン重合体組成物
第6のプロピレン重合体組成物は、
(i)(h)前記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体(A5)と、
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体(A6)とからなっている。
プロピレン単独重合体(A5)
第6のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン単独重合体(A5)は、前記式(I)で表される遷移金属化合物(h)と、有機アルミニウムオキシ化合物(b)および化合物(i)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒を用いて製造されるプロピレンの単独重合体である。
プロピレン単独重合体(A5)は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200分の範囲にあることが望ましく、GPCにより求められるMw/Mnが1.5〜3.5、好ましくは2.0〜3.0、より好ましくは2.0〜2.5の範囲にあることが望ましい。
135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]は、0.1〜20dl/g、好ましくは0.5〜10dl/g、より好ましくは1〜5dl/gの範囲にあることが望ましく、重量平均分子量は、1×103〜500×104、好ましくは1×104〜100×104の範囲にあることが望ましい。
X線回折により測定される結晶化度が、40%以上、好ましくは50%以上であることが望ましく、沸騰ヘプタン抽出残率(I.I.)は、90%以上、好ましくは93%以上であることが望ましい。
さらに、トリアドタクティシティー(mm分率)は、99.0%以上、好ましくは99.2%以上、より好ましくは99.5%以上であることが望ましい。
プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は、0.5%以下、好ましくは0.18%以下、より好ましくは0.15%以下であることが望ましい。
プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は、13C-NMRによる測定の検出下限未満(0.03%未満)であることが望ましい。
なお、前記プロピレン単独重合体および後述するプロピレン共重合体のトリアドタクティシティー(mm分率)、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合およびプロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は以下のようにして測定される。
[トリアドタクティシティー(mm分率)]
プロピレン共重合体のトリアドタクティシティー(mm分率)は、ポリマー鎖中の任意の3個の頭尾結合したプロピレン単位連鎖を平面ジグザグ構造で表現した時、そのメチル分岐の方向が同一である割合と定義し、13C-NMRスペクトルから下記式により求めた。

式中、PPP(mm)、PPP(mr)、PPP(rr)は、それぞれ


で表される頭-尾で結合しているプロピレン単位3連鎖の第3単位目のメチル基に由来する吸収強度を示す。
13C-NMRスペクトルは、試料をNMRサンプル管(5mmφ)中でヘキサクロロブタジエン、o-ジクロロベンゼンまたは1,2,4-トリクロロベンゼン約0.5mlに、ロック溶媒である重水素化ベンゼンを約0.05ml加えた溶媒中で完全に溶解させた後、120℃でプロトン完全デカップリング法で測定した。測定条件は、フリップアングル45°、パルス間隔3.4T1(T1は、メチル基のスピン格子緩和時間のうち最長の値)以上を選択する。ポリプロピレンでは、メチル基のスピン格子緩和時間は、メチレン基およびメチン基のスピン格子緩和時間より長いので、この条件では、試料中の全ての炭素の磁化の回復は99%以上である。ケミカルシフトは、頭-尾結合したプロピレン単位5連鎖の第3単位目のメチル基を21.593ppmとして設定し、他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とした。
ピーク領域は、第1領域(21.1〜21.9ppm)、第2領域(20.3〜21.0ppm)および第3領域(19.5〜20.3ppm)に分類した。
第1領域では、PPP(mm)で示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基が共鳴する。
第2領域では、PPP(mr)で示されるプロピレン単位3連鎖の第2単位目のメチル基および、隣接する単位がプロピレン単位およびエチレン単位であるプロピレン単位のメチル基(PPE-メチル基)が共鳴する。
第3領域では、PPP(rr)で示されるプロピレン単位3連鎖の第2単位目のメチル基および、隣接する単位がいずれもエチレン単位であるプロピレン単位のメチル基(EPE-メチル基)が共鳴する。
ここでプロピレン共重合体は、位置不規則ユニットを含む部分構造として、下記構造(i)、(ii)および(iii)を有する。

この構造(i)、(ii)および(iii)に由来するピークの内、炭素Aおよび炭素Bは、それぞれ17.3ppm、17.0ppmで共鳴するので、炭素Aおよび炭素Bに基づくピークは、前記第1〜3領域には現れない。さらに炭素Aおよび炭素Bは、ともに頭尾結合に基づくプロピレン3連鎖に関与しないので、トリアドタクティシティーの計算では考慮する必要はない。
また、炭素Cに基づくピーク、炭素に基づくDピークおよび炭素D’に基づくピークは、第2領域に現れ、炭素Eに基づくピークおよび炭素E’に基づくピークは第3領域に現れる。
したがって、第1〜3領域に現れるピークのうち、頭-尾結合したプロピレン単位3連鎖に基づかないピークは、PPE-メチル基(20.7ppm付近で共鳴)、EPE-メチル基(19.8ppm付近で共鳴)、炭素C、炭素D、炭素D’、炭素Eおよび炭素E’に基づくピークである。
PPE-メチル基に基づくピーク面積は、PPE-メチン基(30.6ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができ、EPE-メチル基に基づくピーク面積は、EPE-メチン基(32.9ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができる。また、炭素Cに基づくピーク面積は、隣接するメチン基(31.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができ、炭素Dに基づくピーク面積は、前記構造(ii)のαβメチレン炭素に基づくピーク(34.3ppm付近および34.5ppm付近で共鳴で共鳴)のピーク面積の和の1/2より求めることができ、炭素D’に基づくピーク面積は、前記構造(iii)の炭素E’のメチル基の隣接メチン基に基づくピーク(33.3ppm付近で共鳴)の面積より求めることができ、炭素Eに基づくピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.7ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができ、炭素E’に基づくピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができる。
したがって、これらのピーク面積を第2領域および第3領域のピーク面積より差し引くと、残りのメチル炭素のピーク面積は全て頭-尾結合したプロピレン単位3連鎖(PPP(mr)およびPPP(rr))に由来するピーク面積となる。
以上によりPPP(mm)、PPP(mr)およびPPP(rr)のピーク面積を求めることができるので、上記数式に従って、頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部のトリアドタクティシティー(mm分率)を求めることができる。
プロピレン単独重合体のトリアドタクティシティー(mm分率)は、ポリマー鎖中の任意の3個のプロピレン単位連鎖のうち、主鎖を平面ジグザグ構造で表現したとき、そのメチル基の方向が同一で、かつ頭-尾結合している割合と定義し、前記と同様に測定した13C-NMRスペクトルから下記式により求めた。

(式中、PPP(mm)は、前記と同様であり、ΣICH3は、全メチル基に基づくピーク面積を示す。)
ケミカルシフトは、頭-尾結合したプロピレン単位5連鎖の第3単位目のメチル基を21.593ppmとして設定し、他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とした。
この基準では、PPP(mm)示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは、21.1〜21.9ppmの範囲内に現れ、PPP(mr)示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは、20.3〜21.0ppmの範囲内に現れ、PPP(rr)示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは、19.5〜20.3ppmの範囲内に現れる。
ここで、プロピレン単独重合体は、プロピレン単位が頭-尾で結合した規則構造の他、前記構造(i)で示されるような2,1-挿入に基づく位置不規則単位を含む部分構造を少量有する。
前記構造(i)で示される不規則構造において、炭素A、炭素Bおよび炭素Cは、前述のPPP(mm)の定義に合致しない。しかし、炭素Aおよび炭素Bは、16.5〜17.5ppmの領域で共鳴し、炭素Cは、20.7ppm付近(PPP(mr)の領域)で共鳴する(ただし、位置不規則単位を含む部分構造の確認は、これらのメチル基だけでなく、隣接するメチレン基、メチン基のピークの確認とあわせて行う必要がある)。このため、炭素A、炭素Bおよび炭素Cは、PPP(mm)の領域には含まれない。
したがって、プロピレン単独重合体のトリアドタクティシティー(mm分率)は、上記式により求めることができる。
[プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合]
重合時、プロピレンモノマーは、1,2-挿入(メチレン側が触媒と結合する)するが、稀に2,1-挿入することがある。このためプロピレン共重合体は、前記構造(i)、(ii)および(iii)で示されるような2,1-挿入に基づく位置不規則単位を有する。この2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は、13C-NMRを利用して下記の式から求めた。

ここで、ピークの命名は、Carmanらの方法(Rubber Chem.Technol.,44(1971),781)に従った。また、Iαβなどは、αβピークなどのピーク面積を示す。
プロピレンの単独重合体は、前記構造(i)で示されるような2,1-挿入に基づく位置不規則単位を有する。この2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は、13C-NMRを利用して下記の式から求めた。

(式中、ΣICH3は前記と同様である。)
[プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合]
プロピレン共重合体では、プロピレンの1,3-挿入に基づく3連鎖量は、βγピーク(27.4ppm付近で共鳴)により求めた。
プロピレン単独重合体では、プロピレンの1,3-挿入に基づく3連鎖量は、αδピーク(37.1ppm付近で共鳴)およびβγピーク(27.4ppm付近で共鳴)により求めた。
プロピレン重合体(A6)
プロピレン重合体(A6)は、プロピレン単独重合体、またはプロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体である。
プロピレン重合体(A6)は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分の範囲にあることが望ましい。GPCにより求められる分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜15、好ましくは2.0〜8.0の範囲にあることが望ましい。
また、X線回折法により測定される結晶化度は、40%以上、好ましくは50%以上であることが望ましい。
さらに、135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]が、0.1〜20dl/g、好ましくは0.5〜10dl/gであり、重量平均分子量が、1×103〜500×104、好ましくは1×104〜100×104であることが望ましい。
プロピレン重合体(A6)は、エチレンおよび前記プロピレン重合体(A4)の項で例示したα-オレフィンと同様の炭素数4〜20のα-オレフィンから誘導される構成単位を10モル%以下の割合で含有していてもよい。
このようなプロピレン重合体(A6)は、たとえば上述したようなプロピレン重合体(A1)の重合に用いられるオレフィン重合用触媒(1)、プロピレン重合体(A3)の重合に用いられるオレフィン重合用触媒(2)、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体(C)の重合に用いられるオレフィン重合用触媒(3)、あるいは後述するようなプロピレン重合体(A5)の重合に用いられるオレフィン重合用触媒(4)と同様の触媒を用いて重合することができる。これらのオレフィン重合用触媒のなかでは、オレフィン重合用触媒(1)、オレフィン重合用触媒(3)およびオレフィン重合用触媒(4)を用いることが好ましく、オレフィン重合用触媒(4)を用いることが特に好ましい。
プロピレン重合体組成物
第6プロピレン重合体組成物は、前記プロピレン単独重合体(A5)と前記プロピレン重合体(A6)(ただし、プロピレン重合体(A6)と前記プロピレン単独重合体(A5)とは同一ではない)とからなり、プロピレン単独重合体(A5)は、5〜95重量%、好ましくは15〜85重量%、より好ましくは30〜70重量%の割合で含まれ、プロピレン重合体(A6)は、5〜95重量%、好ましくは15〜85重量%、より好ましくは30〜70重量%の割合で含まれることが望ましい。
第6プロピレン重合体組成物では、前記(A5)プロピレン単独重合体の極限粘度([η]A5)、前記(A6)プロピレン重合体の極限粘度([η]A6)は、
[η]A5≧[η]A6のとき、[η]A5は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5dl/gの範囲にあり、[η]A6は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0の範囲にあり、かつ([η]A5/[η]A6)は、3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
[η]A5<[η]A6のとき、[η]A5は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0dl/gの範囲にあり、[η]A6は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5の範囲にあり、かつ([η]A6/[η]A5)は3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
第6のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnは、4〜15の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.89〜0.92g/cm3、好ましくは0.90〜0.92g/cm3の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、12000〜21000kg/cm2、好ましくは14000〜20000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において2〜10kg・cm/cm、好ましくは2〜5kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、100〜500%、好ましくは200〜400%の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、95℃以上、好ましくは100〜140℃の範囲にあることが望ましい。
第6のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
第6のプロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえば(A5)プロピレン単独重合体と、(A6)プロピレン重合体とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(5)の方法に準じて製造することができる。
このような第6のプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性に優れている。
第6のプロピレン重合体組成物は、各種構造材料、たとえば、自動車、家電などの用途、または日用品、あるいは各種フィルム、シートなどに好適に用いられる。
次に、プロピレン単独重合体(A5)を重合する際に用いられる触媒およびプロピレン単独重合体(A5)の製造方法ついて説明する。
プロピレン単独重合体(A5)を製造する際に用いられるオレフィン重合用触媒は、
(i)(h)前記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)前記有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒〔オレフィン重合用触媒(4)〕である。
図4にプロピレン単独重合体(A5)の重合に用いられるオレフィン重合触媒の調製工程を示す。
前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物(i)は、前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物(c)と同様の化合物である。
上記のような前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物(i)は、2種以上混合して用いることができる。
プロピレン単独重合体(A5)を製造する際に用いられるオレフィン重合用触媒は、遷移金属化合物(h)と、有機アルミニウムオキシ化合物(b)および化合物(i)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物以外に、前記有機アルミニウム化合物(j)を含んでいてもよい。
このようなオレフィン重合用触媒(4)は、遷移金属化合物(h)〔成分(h)〕、有機アルミニウムオキシ化合物(b)〔成分(b)〕(または遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物(i)〔成分(i)〕)および所望により有機アルミニウム化合物〔成分(j)〕を不活性炭化水素溶媒中またはオレフィン溶媒中で混合することにより調製することができる。
触媒の調製に用いられる不活性炭化水素溶媒としては、前記オレフィン重合用触媒(1)の調製に用いられる不活性炭化水素溶媒と同様の溶媒を用いることができる。
オレフィン重合用触媒(4)を調製する際の各成分の混合順序は任意であるが、成分(b)〔または成分(i)〕と成分(h)とを混合するか、
成分(b)と成分(j)とを混合し、次いで成分(h)を混合するか、
成分(h)と成分(b)〔または成分(i)〕とを混合し、次いで成分(j)を混合するか、あるいは、
成分(h)と成分(j)とを混合し、次いで成分成分(b)〔または成分(i)〕を混合することが好ましい。
上記各成分を混合するに際して、成分(b)中のアルミニウムと、成分(h)中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜10000、好ましくは20〜5000であり、成分(h)の濃度は、約10-8〜10-1モル/l(溶媒)、好ましくは10-7〜5×10-2モル/lの範囲である。
成分(i)を用いる場合、成分(h)と成分(i)とのモル比(成分(h)/成分(i))は、通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5の範囲であり、成分(h)の濃度は、約10-8〜10-1モル/l(溶媒)、好ましくは10-7〜5×10-2モル/l(溶媒)の範囲である。
成分(j)を用いる場合は、該成分(j)中のアルミニウム原子(Alj)と成分(b)中のアルミニウム原子(Alb)との原子比(Alj/Alb)は、通常0.02〜20、好ましくは0.2〜10の範囲である。
上記各触媒成分は、重合器中で混合してもよいし、予め混合したものを重合器に添加してもよい。
予め混合する際の混合温度は、通常-50〜150℃、好ましくは-20〜120℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間である。また、混合接触時には混合温度を変化させてもよい。
オレフィン重合用触媒(4)は、無機あるいは有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である微粒子状担体に、上記成分(h)、成分(b)〔または成分(i)〕および成分(j)のうち少なくとも一種の成分が担持された固体状オレフィン重合用触媒であってもよい。
無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、たとえばSiO2、Al2O3などを例示することができる。
有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体としては、エチレン、プロピレン、1-ブテンなどのα-オレフィン、もしくはスチレンを主成分として生成される重合体または共重合体を例示することができる。
また、オレフィン重合触媒(4)は、上記の微粒子状担体、成分(h)、成分(b)〔または成分(i)〕、予備重合により生成するオレフィン重合体および、所望により成分(j)から形成されるオレフィン重合触媒であってもよい。
予備重合に用いられるオレフィンとしては、プロピレン、エチレン、1-ブテンなどのオレフィンが用いられるが、これらと他のオレフィンとの混合物であってもよい。
なお、オレフィン重合用触媒(4)は、上記のような各成分以外にもオレフィン重合に有用な他の成分、たとえば、触媒成分としての水なども含むことができる。
プロピレン単独重合体(A5)は、上記のオレフィン重合用触媒(4)の存在下にプロピレンの重合を行うことによって製造することができる。重合は懸濁重合、溶液重合などの液相重合法あるいは気相重合法いずれにおいても実施できる。
液相重合法では上述した触媒調製の際に用いた不活性炭化水素溶媒と同じものを用いることができ、プロピレンを溶媒として用いることもできる。
プロピレンの重合温度は、懸濁重合法を実施する際には、通常-50〜100℃、好ましくは0〜90℃の範囲であることが望ましく、溶液重合法を実施する際には、通常0〜250℃、好ましくは20〜200℃の範囲であることが望ましい。また、気相重合法を実施する際には、重合温度は通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の範囲であることが望ましい。重合圧力は、通常、常圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧〜50kg/cm2の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
第7のプロピレン重合体組成物
本発明に係る第7のプロピレン重合体組成物は、
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体(A5)と、
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合または共重合することにより得られ、(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有量が90モル%未満であり、(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるオレフィン系エラストマー(D)とからなっている。
プロピレン単独重合体(A5)
第7のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン単独重合体(A5)は、前記第6のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン単独重合体(A5)と同様のプロピレン単独重合体である。
オレフィン系エラストマー(D)
オレフィン系エラストマー(D)は、炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンからなる群より選ばれる1種のモノマーの重合体、あるいは、炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンからなる群より選ばれる2種以上のモノマーのランダム共重合体またはブロック共重合体であって、エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有量が90モル%未満、好ましくは85モル%以下であり、かつ、ガラス転移温度(Tg)が10℃以下、好ましくは-100〜0℃、より好ましくは-100〜-10℃の範囲にある。
炭素数2〜20のオレフィンとしてはエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン-1、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、メチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ペンテン、トリメチル-1-ブテン、エチル-1-ペンテン、1-オクテン、メチル-1-ペンテン、ジメチル-1-ヘキセン、トリメチル-1-ペンテン、エチル-1-ヘキセン、メチルエチル-1-ペンテン、ジエチル-1-ブテン、プロピル-1-ペンテン、1-デセン、メチル-1-ノネン、ジメチル-1-オクテン、トリメチル-1-ヘプテン、エチル-1-オクテン、メチルエチル-1-ヘプテン、ジエチル-1-ヘキセン、1-ドデセン、ヘキサドデセンおよびスチレンなどを挙げることができる。
炭素数5〜20のポリエンとしては、前記エチレン・オレフィンランダム重合体(C)の項で例示したポリエンと同様のものが挙げられる。
このようなオレフィン系エラストマー(D)は、密度が0.85〜0.92g/cm3、好ましくは0.85〜0.90g/cm3の範囲にあり、135℃、デカリン中で測定される極限粘度[η]は、0.1〜20dl/g、好ましくは0.5〜10dl/g、より好ましくは1〜5dl/gの範囲にあることが望ましい。
また、X線回折法によって測定した結晶化度が30%未満、または非晶質であることが望ましい。
オレフィン系エラストマー(D)としては、たとえば
炭素数2〜20のオレフィンから選ばれる2種以上のモノマーの共重合体、炭素数2〜20のオレフィンから選ばれる1種のモノマーと、炭素数5〜20のポリエンからから選ばれる1種のモノマーとの共重合体、炭素数2〜20のオレフィンから選ばれる2種以上のモノマーと、炭素数5〜20のポリエンからから選ばれる1種のモノマーとの共重合体などが挙げられる。
より具体的には、
エチレンから誘導される構成単位を50〜90モル%、炭素数3〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれるモノマーから誘導される構成単位を10〜50モル%含有するエラストマー、
エチレンから誘導される構成単位を60〜90モル%、炭素数3〜6のオレフィンおよび炭素数5、6のポリエンから選ばれるモノマーから誘導される構成単位を10〜40モル%含有するエラストマー、
エチレンから誘導される構成単位を65〜90モル%、プロピレンおよびブテンから選ばれるモノマーから誘導される構成単位を10〜35モル%含有するエラストマー、
プロピレンから誘導される構成単位を50〜90モル%、エチレン、炭素数4〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれるモノマーから誘導される構成単位を10〜50モル%含有するエラストマー、
プロピレンから誘導される構成単位を50〜85モル%、エチレン、炭素数4〜6のオレフィンおよび炭素数5、6のポリエンから選ばれるモノマーから誘導される構成単位を15〜50モル%含有するエラストマー、
プロピレンから誘導される構成単位を50〜80モル%、エチレンおよびブテンから選ばれるモノマーから誘導される構成単位を20〜50モル%含有するエラストマー、
あるいは、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ゴム中間ブロックにポリ(エチレン-ブテン)を有するスチレン系ブロック共重合体(SEBS)などを挙げることができる。
オレフィン系エラストマー(D)は、炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーを、従来公知の方法で重合または共重合することにより得られる。この重合反応は、気相(気相法)で行うこともでき、また液相(液相法)で行うこともできる。
なお、オレフィン系エラストマー(D)は、2種以上組み合わせて用いることができる。
プロピレン重合体組成物
第7のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン単独重合体(A5)と前記オレフィン系エラストマー(D)とからなり、プロピレン単独重合体(A5)は、5〜95重量%、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは50〜80重量%の割合で含まれ、オレフィン系エラストマー(D)は、5〜95重量%、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは20〜50重量%の割合で含まれることが望ましい。
第7のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnは、1.5〜3.5の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.88〜0.92g/cm3、好ましくは0.90〜0.92g/cm3の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、8000〜21000kg/cm2、好ましくは12000〜20000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において10〜60kg・cm/cm、好ましくは10〜40kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、200〜1000%、好ましくは300〜500%の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、85℃以上、好ましくは95〜140℃の範囲にあることが望ましい。
第7のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
プロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえばプロピレン単独重合体(A5)と、オレフィン系エラストマー(D)とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(5)の方法に準じて製造することができる。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、耐衝撃性に優れている。
第7のプロピレン重合体組成物は、各種構造材料、たとえば、自動車、家電などの用途、または日用品、あるいは各種シートなどに好適に用いられる。
第8のプロピレン重合体組成物
第8のプロピレン重合体組成物は、
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体(A5)と、
エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体(E)とからなっている。
プロピレン単独重合体(A5)
第8のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン単独重合体(A5)は、前記第6のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン単独重合体(A5)と同様のプロピレン単独重合体である。
オレフィン重合体(E)
オレフィン重合体(E)は、エチレンから誘導される構成単位を90モル%以上、好ましくは95モル%以上の割合で含有するエチレン(共)重合体、ブテンから誘導される構成単位を90モル%以上、好ましくは95モル%以上の割合で含有するブテン(共)重合体、または4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位を90モル%以上、好ましくは95モル%以上の割合で含有する4-メチル-1-ペンテン(共)重合体である。
前記エチレン共重合体は、炭素数3〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンからなる群より選ばれるモノマーから誘導される構成単位を10モル%未満の割合で含有していてもよい。
前記ブテン共重合体は、ブテン以外の炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンからなる群より選ばれるモノマーから誘導される構成単位を10モル%未満の割合で含有していてもよい。
前記4-メチル-1-ペンテン共重合体は、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンからなる群より選ばれるモノマーから誘導される構成単位を10モル%未満の割合で含有していてもよい。
炭素数2〜20のオレフィンとしては、前記オレフィン系エラストマー(D)の項で例示したものと同様のオレフィンを挙げることができる。
炭素数5〜20のポリエンとしては、前記オレフィン系エラストマー(D)の項で例示したものと同様のポリエンを挙げることができる。
このようなオレフィン重合体(E)は、密度が0.80〜0.98g/cm3、好ましくは0.85〜0.96g/cm3の範囲にあり、135℃、デカリン中で測定される極限粘度[η]は、0.1〜20dl/g、好ましくは0.5〜10dl/g、より好ましくは1〜5dl/gの範囲にあることが望ましい。
オレフィン重合体(E)は、エチレン単独重合体またはエチレン共重合体であることが好ましく、エチレン単独重合体であることが特に好ましい。
オレフィン重合体(E)は、エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーを従来公知の方法で重合するか、あるいは、エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーと、前記モノマー以外の炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーとを従来公知の方法で共重合することにより得られる。この重合反応は、気相(気相法)で行うこともでき、また液相(液相法)で行うこともできる。
なお、オレフィン重合体(E)は、2種以上組み合わせて用いることができる。
プロピレン重合体組成物
第8のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン単独重合体(A5)と前記オレフィン重合体(E)とからなり、プロピレン単独重合体(A5)は、5〜95重量%、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは50〜80重量%の割合で含まれ、オレフィン重合体(E)は、5〜95重量%、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは20〜50重量%の割合で含まれることが望ましい。
第8のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.1〜200g/10分、好ましくは1〜100g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnは、1.5〜3.5の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.80〜0.98g/cm3、好ましくは0.85〜0.94g/cm3の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、12000〜21000kg/cm2、好ましくは14000〜20000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において2〜20kg・cm/cm、好ましくは2〜10kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、100〜500%、好ましくは200〜400%の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、85℃以上、好ましくは100〜140℃の範囲にあることが望ましい。
第8のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
プロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえばプロピレン単独重合体(A5)と、オレフィン重合体(E)とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(5)の方法に準じて製造することができる。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れている。
第9のプロピレン重合体組成物
第9のプロピレン重合体組成物は、
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体(A5)と、
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する前記プロピレン重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体(A6)と、
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合または共重合することにより得られ、(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有量が90モル%未満であり、(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるオレフィン系エラストマー(D)とからなっている。
プロピレン単独重合体(A5)
第9のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン単独重合体(A5)は、前記第6のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン単独重合体(A5)と同様のプロピレン単独重合体である。
プロピレン重合体(A6)
第9のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A6)は、前記第6のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A6)と同様のプロピレン重合体である。
オレフィン系エラストマー(D)
第9のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン系エラストマー(D)は、前記第7のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン系エラストマー(D)と同様のオレフィン系エラストマーである。
なお、オレフィン系エラストマーは、2種以上組み合わせて用いることができる。
プロピレン重合体組成物
第9のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン単独重合体(A5)と、前記プロピレン重合体(A6)〔ただし、プロピレン重合体(A6)と前記プロピレン単独重合体(A5)とは同一ではない〕と、オレフィン系エラストマー(D)とを必須成分とし、プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%、プロピレン重合体(A6)が95重量%以下、オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含まれている。
第9のプロピレン重合体組成物では、プロピレン単独重合体(A5)は、5〜95重量%、好ましくは30〜85重量%、より好ましくは30〜60重量%の割合で含まれ、プロピレン重合体(A6)は、3〜93重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは30〜60重量%の割合で含まれ、オレフィン系エラストマー(D)は、2〜92重量%、好ましくは10〜65重量%、より好ましくは10〜40重量%の割合で含まれることが望ましい。
第9のプロピレン重合体組成物では、前記(A5)プロピレン単独重合体の極限粘度([η]A5)、前記(A6)プロピレン重合体の極限粘度([η]A6)は、
[η]A5≧[η]A6のとき、[η]A5は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5dl/gの範囲にあり、[η]A6は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0の範囲にあり、かつ([η]A5/[η]A6)は3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
[η]A5<[η]A6のとき、[η]A5は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0dl/gの範囲にあり、[η]A6は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5の範囲にあり、かつ([η]A6/[η]A5)は3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
第9のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnは、4〜15の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.88〜0.92g/cm3、好ましくは0.90〜0.92g/cm3の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、8000〜21000kg/cm2、好ましくは12000〜20000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において10〜60kg・cm/cm、好ましくは15〜60kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、200〜1000%、好ましくは300〜1000%の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、85℃以上、好ましくは95〜140℃の範囲にあることが望ましい。
第9のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
第9のプロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえばプロピレン単独重合体(A5)と、プロピレン重合体(A6)と、オレフィン系エラストマー(D)とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(5)の方法に準じて製造することができる。
このような第9のプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性、耐衝撃性に優れている。
第9のプロピレン重合体組成物は、各種構造材料、たとえば、自動車、家電などの用途、または日用品、あるいは各種フィルム、シートなどに好適に用いられる。
第10のプロピレン重合体組成物
本発明に係る第10のプロピレン重合体組成物は、
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体(A5)と、
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する前記プロピレン重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体(A6)と、
エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体(E)とからなっている。
プロピレン単独重合体(A5)
第10のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン単独重合体(A5)は、前記第6のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン単独重合体(A5)と同様のプロピレン単独重合体である。
プロピレン重合体(A6)
第10のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A6)は、前記第6のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A6)と同様のプロピレン重合体である。
オレフィン重合体(E)
第10のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン重合体(E)は、前記第8のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン重合体(E)と同様のオレフィン重合体である。
なお、オレフィン重合体(E)は、2種以上組み合わせて用いることができる。
プロピレン重合体組成物
第10のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン単独重合体(A5)と、前記プロピレン重合体(A6)(ただし、プロピレン重合体(A6)と前記プロピレン単独重合体(A5)とは同一ではない)と、オレフィン重合体(E)とを必須成分とし、プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%、プロピレン重合体(A6)が95重量%以下、オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含まれている。
第10のプロピレン重合体組成物では、プロピレン単独重合体(A5)は、5〜95重量%、好ましくは30〜85重量%、より好ましくは30〜60重量%の割合で含まれ、プロピレン重合体(A6)は、3〜93重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは30〜60重量%の割合で含まれ、オレフィン重合体(E)は、2〜92重量%、好ましくは10〜65重量%、より好ましくは10〜40重量%の割合で含まれることが望ましい。
第10のプロピレン重合体組成物では、前記(A5)プロピレン単独重合体の極限粘度([η]A5)、前記(A6)プロピレン重合体の極限粘度([η]A6)は、
[η]A5≧[η]A6のとき、[η]A5は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5dl/gの範囲にあり、[η]A6は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0の範囲にあり、かつ([η]A5/[η]A6)は3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
[η]A5<[η]A6のとき、[η]A5は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0dl/gの範囲にあり、[η]A6は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5の範囲にあり、かつ([η]A6/[η]A5)は3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
第10のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnは、4〜15の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.80〜0.98g/cm3、好ましくは0.85〜0.94g/cm3の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、12000〜21000kg/cm2、好ましくは14000〜20000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において2〜20kg・cm/cm、好ましくは2〜10kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、100〜500%、好ましくは200〜400%の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、85℃以上、好ましくは100〜140℃の範囲にあることが望ましい。
第10のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
第10のプロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえばプロピレン単独重合体(A5)と、プロピレン重合体(A6)と、オレフィン重合体(E)とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(5)の方法に準じて製造することができる。
このような第10のプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性に優れている。
第11のプロピレン重合体組成物
本発明に係る第11のプロピレン重合体組成物は、
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体(A5)と、
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合または共重合することにより得られ、(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有量が90モル%未満であり、(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるオレフィン系エラストマー(D)と、
エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体(E)とからなっている。
プロピレン単独重合体(A5)
第11のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン単独重合体(A5)は、前記第6のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン単独重合体(A5)と同様のプロピレン単独重合体である。
オレフィン系エラストマー(D)
第11のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン系エラストマー(D)は、前記第7のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン系エラストマー(D)と同様のオレフィン系エラストマーである。
なお、オレフィン系エラストマー(D)は、2種以上組み合わせて用いることができる。
オレフィン重合体(E)
第11のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン重合体(E)は、前記第8のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン重合体(E)と同様のオレフィン重合体である。
なお、オレフィン重合体(E)は、2種以上組み合わせて用いることができる。
プロピレン重合体組成物
第11のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン単独重合体(A5)と、前記オレフィン系エラストマー(D)と、前記オレフィン重合体(E)とを必須成分とし、プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%、オレフィン系エラストマー(D)が95重量%、オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含まれている。
第11のプロピレン重合体組成物では、プロピレン単独重合体(A5)は、5〜95重量%、好ましくは30〜85重量%、より好ましくは50〜70重量%の割合で含まれ、オレフィン系エラストマー(D)は、3〜93重量%、好ましくは10〜65重量%、より好ましくは20〜40重量%の割合で含まれ、オレフィン重合体(E)は、2〜92重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜30重量%の割合で含まれることが望ましい。
第11のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnは、1.5〜3.5の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.88〜0.93g/cm3、好ましくは0.90〜0.93g/cm3の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、8000〜21000kg/cm2、好ましくは12000〜20000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において10〜60kg・cm/cm、好ましくは20〜60kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、200〜1000%、好ましくは300〜1000%の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、85℃以上、好ましくは95〜140℃の範囲にあることが望ましい。
第11のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
第11のプロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえばプロピレン単独重合体(A5)と、オレフィン系エラストマー(D)と、オレフィン重合体(E)とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(5)の方法に準じて製造することができる。
このような第11のプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、耐衝撃性に優れている。
第11のプロピレン重合体組成物は、各種構造材料、たとえば、自動車、家電などの用途、または日用品、あるいは各種フィルム、シートなどに好適に用いられる。
第12のプロピレン重合体組成物
第12のプロピレン重合体組成物は、
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体(A5)と、
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体(A6)と、
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合または共重合することにより得られ、(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有量が90モル%未満であり、(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるオレフィン系エラストマー(D)と、
エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体(E)とからなっている。
プロピレン単独重合体(A5)
第12のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン単独重合体(A5)は、前記第6のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン単独重合体(A5)と同様のプロピレン単独重合体である。
プロピレン重合体(A6)
第12のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A6)は、前記第6のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A6)と同様のプロピレン重合体である。
オレフィン系エラストマー(D)
第12のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン系エラストマー(D)は、前記第7のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン系エラストマー(D)と同様のオレフィン系エラストマーである。
なお、オレフィン系エラストマー(D)は、2種以上組み合わせて用いることができる。
オレフィン重合体(E)
第12のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン重合体(E)は、前記第8のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン重合体(E)と同様のオレフィン重合体である。
なお、オレフィン重合体(E)は、2種以上組み合わせて用いることができる。
プロピレン重合体組成物
第12のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン単独重合体(A5)と、前記プロピレン重合体(A6)〔ただし、プロピレン重合体(A6)と前記プロピレン単独重合体(A5)とは同一ではない〕と、オレフィン系エラストマー(D)と、オレフィン重合体(E)とを必須成分とし、プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%、プロピレン重合体(A6)が95重量%以下、オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下、オレフィン重合体(E)を95重量%以下の割合で含まれている。
第12のプロピレン重合体組成物では、プロピレン単独重合体(A5)は、5〜95重量%、好ましくは30〜85重量%、より好ましくは30〜50重量%の割合で含まれ、プロピレン重合体(A6)は、2〜92重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%の割合で含まれ、オレフィン系エラストマー(D)は、2〜92重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜30重量%の割合で含まれ、オレフィン重合体(E)は、1〜91重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜30重量%の割合で含まれることが望ましい。
第12のプロピレン重合体組成物では、前記(A5)プロピレン単独重合体の極限粘度([η]A5)、前記(A6)プロピレン重合体の極限粘度([η]A6)は、
[η]A5≧[η]A6のとき、[η]A5は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5dl/gの範囲にあり、[η]A6は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0の範囲にあり、かつ([η]A5/[η]A6)は3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
[η]A5<[η]A6のとき、[η]A5は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0dl/gの範囲にあり、[η]A6は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5の範囲にあり、かつ([η]A6/[η]A5)は3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
第12のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnは、4〜15の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.88〜0.93g/cm3、好ましくは0.90〜0.93g/cm3の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、8000〜21000kg/cm2、好ましくは12000〜20000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において10〜60kg・cm/cm、好ましくは20〜60kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、200〜1000%、好ましくは300〜1000%の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、85℃以上、好ましくは95〜140℃の範囲にあることが望ましい。
第12のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
第12のプロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえばプロピレン単独重合体(A5)と、プロピレン重合体(A6)と、オレフィン系エラストマー(D)と、オレフィン重合体(E)とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(5)の方法に準じて製造することができる。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性、耐衝撃性に優れている。
第12のプロピレン重合体組成物は、各種構造材料、たとえば、自動車、家電などの用途、または日用品、あるいは各種フィルム、シートなどに好適に用いられる。
第13のプロピレン重合体組成物
第13のプロピレン重合体組成物は、
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体(A7)と、
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン共重合体(A7)とは異なるプロピレン重合体(A6)とからなっている。
プロピレン共重合体(A7)
プロピレン共重合体(A7)は、前記プロピレン単独重合体(A5)と同様のオレフィン重合用触媒(4)を用いて製造されるプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとのランダム共重合体である。
プロピレン共重合体(A7)は、プロピレン単位を90モル%以上、好ましくは90〜98モル%、より好ましくは90〜96モル%以上の割合で含有し、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれるα-オレフィンから誘導されるコモノマー単位を10モル%以下、好ましくは2〜10モル%、より好ましくは4〜10モル%の割合で含有することが望ましい。
ここで、炭素数が4〜20のα-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、2-エチル-1-ヘキセン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。
共重合に用いられるコモノマーとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンであることが好ましい。
プロピレン共重合体(A7)は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200分の範囲にあることが望ましく、GPCにより求められるMw/Mnが1.5〜3.5、好ましくは2.0〜3.0、より好ましくは2.0〜2.5の範囲にあることが望ましい。
135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]は、0.1〜20dl/g、好ましくは0.5〜10dl/g、より好ましくは1〜5dl/gの範囲にあることが望ましく、重量平均分子量は、1×103〜500×104、好ましくは1×104〜100×104の範囲にあることが望ましい。
X線回折により測定される結晶化度が、20%以上、好ましくは30%以上であることが望ましい。
さらに、トリアドタクティシティー(mm分率)は、98.0%以上、好ましくは98.2%以上、より好ましくは98.5%以上であることが望ましい。
プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は、0.5%以下、好ましくは0.18%以下、より好ましくは0.15%以下であることが望ましい。
プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は、13C-NMRによる測定の検出下限未満(0.03%未満)であることが望ましい。
プロピレン重合体(A6)
第13のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A6)は、前記第6のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A6)と同様のプロピレン重合体である。
プロピレン重合体組成物
第13のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン共重合体(A7)と、前記プロピレン重合体(A6)〔ただし、プロピレン重合体(A6)と前記プロピレン共重合体(A7)とは同一ではない〕とからなり、プロピレン共重合体(A7)は、5〜95重量%、好ましくは15〜85重量%、より好ましくは30〜70重量%の割合で含まれ、プロピレン重合体(A6)は、5〜95重量%、好ましくは15〜85重量%、より好ましくは30〜70重量%の割合で含まれることが望ましい。
第13プロピレン重合体組成物では、前記(A7)プロピレン共重合体の極限粘度([η]A7)、前記(A6)プロピレン重合体の極限粘度([η]A6)は、
[η]A7≧[η]A6のとき、[η]A7は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5dl/gの範囲にあり、[η]A6は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0の範囲にあり、かつ([η]A7/[η]A6)は、3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
[η]A7<[η]A6のとき、[η]A7は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0dl/gの範囲にあり、[η]A6は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5の範囲にあり、かつ([η]A6/[η]A7)は3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
第13のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnは、4〜15の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.88〜0.92g/cm3、好ましくは0.89〜0.92g/cm3の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、2000〜20000kg/cm2、好ましくは4000〜15000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において2〜20kg・cm/cm、好ましくは5〜20kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、100〜2000%、好ましくは200〜1000%の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、80℃以上、好ましくは90〜140℃の範囲にあることが望ましい。
第13のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
第13のプロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえば(A7)プロピレン共重合体と、(A6)プロピレン重合体とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(5)の方法に準じて製造することができる。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性に優れている。
第14のプロピレン重合体組成物
第14のプロピレン重合体組成物は、
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体(A7)と、
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合または共重合することにより得られ、(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有量が90モル%未満であり、(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるオレフィン系エラストマー(D)とからなっている。
プロピレン共重合体(A7)
第14のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン共重合体(A7)は、前記第13のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン共重合体(A7)と同様のプロピレン共重合体である。
オレフィン系エラストマー(D)
第14のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン系エラストマー(D)は、前記第7のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン系エラストマー(D)と同様のオレフィン系エラストマーである。
なお、オレフィン系エラストマー(D)は、2種以上組み合わせて用いることができる。
プロピレン重合体組成物
第14のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン共重合体(A7)と前記オレフィン系エラストマー(D)とからなり、プロピレン共重合体(A7)は、5〜95重量%、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは50〜80重量%の割合で含まれ、オレフィン系エラストマー(D)は、5〜95重量%、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは20〜50重量%の割合で含まれることが望ましい。
第14のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnは、1.5〜3.5の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.87〜0.92g/cm3、好ましくは0.88〜0.92g/cm3の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、2000〜20000kg/cm2、好ましくは4000〜15000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において10〜60kg・cm/cm、好ましくは20〜60kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、200〜2000%、好ましくは200〜1000%の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、80℃以上、好ましくは90〜140℃の範囲にあることが望ましい。
第14のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
プロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえばプロピレン共重合体(A7)と、オレフィン系エラストマー(D)とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(5)の方法に準じて製造することができる。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、耐衝撃性に優れている。
第14のプロピレン重合体組成物は、各種構造材料、たとえば、自動車、家電などの用途、または日用品、あるいは各種シートなどに好適に用いられる。
第15のプロピレン重合体組成物
第15のプロピレン重合体組成物は、
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体(A7)と、
エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体(E)とからなっている。
プロピレン共重合体(A7)
第15のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン共重合体(A7)は、前記第13のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン共重合体(A7)と同様のプロピレン共重合体である。
オレフィン重合体(E)
第15のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン重合体(E)は、前記第8のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン重合体(E)と同様のオレフィン重合体である。
なお、オレフィン重合体(E)は、2種以上組み合わせて用いることができる。
プロピレン重合体組成物
第15のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン共重合体(A7)と前記オレフィン重合体(E)とからなり、プロピレン共重合体(A7)は、5〜95重量%、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは50〜80重量%の割合で含まれ、オレフィン重合体(E)は、5〜95重量%、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは20〜50重量%の割合で含まれることが望ましい。
第15のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnは、1.5〜3.5の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.80〜0.98g/cm3、好ましくは0.85〜0.94g/cm3の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、2000〜20000kg/cm2、好ましくは4000〜15000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において2〜20kg・cm/cm、好ましくは5〜20kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、100〜2000%、好ましくは200〜1000%の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、80℃以上、好ましくは90〜140℃の範囲にあることが望ましい。
第15のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
プロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえばプロピレン共重合体(A7)と、オレフィン重合体(E)とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(5)の方法に準じて製造することができる。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れている。
第16のプロピレン重合体組成物
第16のプロピレン重合体組成物は、
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体(A7)と、
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン共重合体(A7)とは異なるプロピレン重合体(A6)と、
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合または共重合することにより得られ、(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有量が90モル%未満であり、(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるオレフィン系エラストマー(D)とからなっている
プロピレン共重合体(A7)
第16のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン共重合体(A7)は、前記第13のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン共重合体(A7)と同様のプロピレン共重合体である。
プロピレン重合体(A6)
第16のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A7)は、前記第6のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A6)と同様のプロピレン重合体である。
オレフィン系エラストマー(D)
第16のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン系エラストマー(D)は、前記第7のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン系エラストマー(D)と同様のオレフィン系エラストマーである。
なお、オレフィン系エラストマー(D)は、2種以上組み合わせて用いることができる。
プロピレン重合体組成物
第16のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン共重合体(A7)と、前記プロピレン重合体(A6)〔ただし、プロピレン重合体(A6)と前記プロピレン共重合体(A7)とは同一ではない〕と、オレフィン系エラストマー(D)とを必須成分とし、プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%、プロピレン重合体(A6)が95重量%以下、オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含まれている。
第16のプロピレン重合体組成物では、プロピレン共重合体(A7)は、5〜95重量%、好ましくは30〜85重量%、より好ましくは30〜60重量%の割合で含まれ、プロピレン重合体(A6)は、3〜93重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは30〜60重量%の割合で含まれ、オレフィン系エラストマー(D)は、2〜92重量%、好ましくは10〜65重量%、より好ましくは10〜40重量%の割合で含まれることが望ましい。
第16のプロピレン重合体組成物では、前記(A7)プロピレン共重合体の極限粘度([η]A7)、前記(A6)プロピレン重合体の極限粘度([η]A6)は、
[η]A7≧[η]A6のとき、[η]A7は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5dl/gの範囲にあり、[η]A6は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0の範囲にあり、かつ([η]A7/[η]A6)は3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
[η]A7<[η]A6のとき、[η]A7は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0dl/gの範囲にあり、[η]A6は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5の範囲にあり、かつ([η]A6/[η]A7)は3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
第16のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnは、4〜15の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.87〜0.92g/cm3、好ましくは0.88〜0.92g/cm3の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、2000〜20000kg/cm2、好ましくは4000〜15000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において10〜60kg・cm/cm、好ましくは20〜60kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、200〜2000%、好ましくは200〜1000%の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、80℃以上、好ましくは90〜140℃の範囲にあることが望ましい。
第16のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
第16のプロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえばプロピレン共重合体(A7)と、プロピレン重合体(A6)と、オレフィン系エラストマー(D)とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(5)の方法に準じて製造することができる。
このような第16のプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性、耐衝撃性に優れている。
第16のプロピレン重合体組成物は、各種構造材料、たとえば、自動車、家電などの用途、または日用品、あるいは各種フィルム、シートなどに好適に用いられる。
第17のプロピレン重合体組成物
第17のプロピレン重合体組成物は、
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体(A7)と、
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン共重合体(A7)とは異なるプロピレン重合体(A6)と、
エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体(E)とからなっている。
プロピレン共重合体(A7)
第17のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン共重合体(A7)は、前記第13のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン共重合体(A7)と同様のプロピレン共重合体である。
プロピレン重合体(A6)
第17のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A6)は、前記第6のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A6)と同様のプロピレン重合体である。
オレフィン重合体(E)
第17のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン重合体(E)は、前記第8のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン重合体(E)と同様のオレフィン重合体である。
なお、オレフィン重合体(E)は、2種以上組み合わせて用いることができる。
プロピレン重合体組成物
第17のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン共重合体(A7)と、前記プロピレン重合体(A6)〔ただし、プロピレン重合体(A6)と前記プロピレン共重合体(A7)とは同一ではない〕と、オレフィン重合体(E)とを必須成分とし、プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%、プロピレン重合体(A6)が95重量%以下、オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含まれている。
第17のプロピレン重合体組成物では、プロピレン共重合体(A7)は、5〜95重量%、好ましくは30〜85重量%、より好ましくは30〜60重量%の割合で含まれ、プロピレン重合体(A6)は、3〜93重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは30〜60重量%の割合で含まれ、オレフィン重合体(E)は、2〜92重量%、好ましくは10〜65重量%、より好ましくは10〜40重量%の割合で含まれることが望ましい。
第17のプロピレン重合体組成物では、前記(A7)プロピレン共重合体の極限粘度([η]A7)、前記(A6)プロピレン重合体の極限粘度([η]A6)は、
[η]A7≧[η]A6のとき、[η]A7は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5dl/gの範囲にあり、[η]A6は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0の範囲にあり、かつ([η]A7/[η]A6)は3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
[η]A7<[η]A6のとき、[η]A7は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0dl/gの範囲にあり、[η]A6は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5の範囲にあり、かつ([η]A6/[η]A7)は3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
第17のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnは、4〜15の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.80〜0.98g/cm3、好ましくは0.85〜0.94g/cm3の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、2000〜20000kg/cm2、好ましくは4000〜15000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において2〜20kg・cm/cm、好ましくは5〜20kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、100〜2000%、好ましくは200〜1000%の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、80℃以上、好ましくは90〜140℃の範囲にあることが望ましい。
第17のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
第17のプロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえばプロピレン共重合体(A7)と、プロピレン重合体(A6)と、オレフィン重合体(E)とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(5)の方法に準じて製造することができる。
このような第17のプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性に優れている。
第18のプロピレン重合体組成物
第18のプロピレン重合体組成物は、
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体(A7)と、
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合または共重合することにより得られ、(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有量が90モル%未満であり、(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるオレフィン系エラストマー(D)と、
エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体(E)とからなっている。
プロピレン共重合体(A7)
第18のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン共重合体(A7)は、前記第13のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン共重合体(A7)と同様のプロピレン共重合体である。
オレフィン系エラストマー(D)
第18のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン系エラストマー(D)は、前記第7のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン系エラストマー(D)と同様のオレフィン系エラストマーである。
なお、オレフィン系エラストマー(D)は、2種以上組み合わせて用いることができる。
オレフィン重合体(E)
第18のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン重合体(E)は、前記第8のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン重合体(E)と同様のオレフィン重合体である。
なお、オレフィン重合体(E)は、2種以上組み合わせて用いることができる。
プロピレン重合体組成物
第18のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン共重合体(A7)と、前記オレフィン系エラストマー(D)と、前記オレフィン重合体(E)とを必須成分とし、プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%、オレフィン系エラストマー(D)が95重量%、オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含まれている。
第18のプロピレン重合体組成物では、プロピレン共重合体(A7)は、5〜95重量%、好ましくは30〜85重量%、より好ましくは50〜70重量%の割合で含まれ、オレフィン系エラストマー(D)は、3〜93重量%、好ましくは10〜65重量%、より好ましくは20〜40重量%の割合で含まれ、オレフィン重合体(E)は、2〜92重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜30重量%の割合で含まれることが望ましい。
第18のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnは、1.5〜3.5の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.87〜0.92g/cm3、好ましくは0.88〜0.92g/cm3の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、2000〜20000kg/cm2、好ましくは4000〜15000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において10〜60kg・cm/cm、好ましくは20〜60kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、200〜2000%、好ましくは200〜1000%の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、80℃以上、好ましくは90〜140℃の範囲にあることが望ましい。
第18のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
第18のプロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえばプロピレン共重合体(A7)と、オレフィン系エラストマー(D)と、オレフィン重合体(E)とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(5)の方法に準じて製造することができる。
このような第18のプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、耐衝撃性に優れている。
第18のプロピレン重合体組成物は、各種構造材料、たとえば、自動車、家電などの用途、または日用品、あるいは各種フィルム、シートなどに好適に用いられる。
第19のプロピレン重合体組成物
第19のプロピレン重合体組成物は、
(i)(h)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体(A7)と、
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン共重合体(A7)とは異なるプロピレン重合体(A6)と、
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合または共重合することにより得られ、(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有量が90モル%未満であり、(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるオレフィン系エラストマー(D)と、
エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体(E)とからなっている。
プロピレン共重合体(A7)
第19のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン共重合体(A7)は、前記第13のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン共重合体(A7)と同様のプロピレン共重合体である。
プロピレン重合体(A6)
第19のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A6)は、前記第6のプロピレン重合体組成物を構成するプロピレン重合体(A6)と同様のプロピレン重合体である。
オレフィン系エラストマー(D)
第19のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン系エラストマー(D)は、前記第7のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン系エラストマー(D)と同様のオレフィン系エラストマーである。
なお、オレフィン系エラストマー(D)は、2種以上組み合わせて用いることができる。
オレフィン重合体(E)
第19のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン重合体(E)は、前記第8のプロピレン重合体組成物を構成するオレフィン重合体(E)と同様のオレフィン重合体である。
なお、オレフィン重合体(E)は、2種以上組み合わせて用いることができる。
プロピレン重合体組成物
第19のプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン共重合体(A7)と、前記プロピレン重合体(A6)〔ただし、プロピレン重合体(A6)と前記プロピレン共重合体(A7)とは同一ではない〕と、オレフィン系エラストマー(D)と、オレフィン重合体(E)とを必須成分とし、プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%、プロピレン重合体(A6)が95重量%以下、オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下、オレフィン重合体(E)を95重量%以下の割合で含まれている。
第19のプロピレン重合体組成物では、プロピレン共重合体(A7)は、5〜95重量%、好ましくは30〜85重量%、より好ましくは30〜50重量%の割合で含まれ、プロピレン重合体(A6)は、2〜92重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%の割合で含まれ、オレフィン系エラストマー(D)は、2〜92重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜30重量%の割合で含まれ、オレフィン重合体(E)は、1〜91重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜30重量%の割合で含まれることが望ましい。
第19のプロピレン重合体組成物では、前記(A7)プロピレン共重合体の極限粘度([η]A7)、前記(A6)プロピレン重合体の極限粘度([η]A6)は、
[η]A7≧[η]A6のとき、[η]A7は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5dl/gの範囲にあり、[η]A6は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0の範囲にあり、かつ([η]A7/[η]A6)は3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
[η]A7<[η]A6のとき、[η]A7は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜1.0dl/gの範囲にあり、[η]A6は、1〜10dl/g、好ましくは2〜5の範囲にあり、かつ([η]A6/[η]A7)は3〜30、好ましくは4〜20の範囲にあることが望ましい。
第19のプロピレン重合体組成物は、230℃、荷重2.16kgで測定されるMFRは、0.01〜1000g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分の範囲にあることが望ましく、プロピレン重合体組成物を構成するプロピレン成分全体のMw/Mnは、4〜15の範囲にあることが望ましい。
密度は、0.87〜0.92g/cm3、好ましくは0.88〜0.92g/cm3の範囲にあることが望ましい。
曲げ弾性率(FM)は、2000〜20000kg/cm2、好ましくは4000〜15000kg/cm2の範囲にあることが望ましい。
アイゾット衝撃値(IZ)は、23℃において10〜60kg・cm/cm、好ましくは20〜60kg・cm/cmの範囲にあることが望ましい。
引張り破断伸び(EL)は、200〜2000%、好ましくは200〜1000%の範囲にあることが望ましい。
熱変形温度(HDT)は、80℃以上、好ましくは90〜140℃の範囲にあることが望ましい。
第19のプロピレン重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1のプロピレン重合体組成物に配合されてもよい添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
第19のプロピレン重合体組成物は、公知の方法を利用して製造することができ、たとえばプロピレン共重合体(A7)と、プロピレン重合体(A6)と、オレフィン系エラストマー(D)と、オレフィン重合体(E)とを用い、前記第1のプロピレン重合体組成物の項で説明した(1)〜(5)の方法に準じて製造することができる。
このようなプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れるとともに、成形性、耐衝撃性に優れている。
第19のプロピレン重合体組成物は、各種構造材料、たとえば、自動車、家電などの用途、または日用品、あるいは各種フィルム、シートなどに好適に用いられる。
発明の効果
本発明のプロピレン重合体組成物は、耐熱性、剛性および引張り破断伸びに優れている。
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお本発明において、各物性は下記のようにして測定される。
[極限粘度[η]]
135℃デカリン中で測定した。
[メルトフローレート(MFR)]
ASTM D1238に準拠して測定した。
条 件:230℃、2.16kg
[曲げ弾性率(FM)]
ASTM D790に準拠して測定した。
試験片:12.7(幅)×6.4(厚さ)×127(長さ)
スパン間:100mm
曲げ速度:2mm/分
[アイゾット衝撃値(IZ)]
ASTM D256に準拠して測定した。
温度:23℃、-30℃
試験片:12.7(幅)×6.4(厚さ)×64(長さ)
ノッチは機械加工
[引張り破断伸び(EL)]
ASTM D638に準拠して測定した。
温度:23℃
[熱変形温度(HDT)]
ASTM D648に準拠して測定した。
試験片:12.7(幅)×6.4(厚さ)×127(長さ)
製造例
[プロピレン重合体(1)の重合]
rac-ジメチルシリルビス(2-メチルインデニル)ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して0.0030ミリモルとメチルアルミノキサン1.50ミリモルを混合し、触媒成分を調製した。
充分に窒素置換した4lのステンレス製オートクレーブに、精製したトルエン1lを入れ、プロピレン雰囲気下におき20分攪拌した。次に反応系を昇温し、30℃になった時点でメチルアルミノキサン1.5ミリモルと上記触媒成分を加え、プロピレン圧3kg/cm2-Gとして40℃で1時間重合を行った。重合後、濾過によって溶媒を取り除き、メタノールで洗浄した後、真空下80℃で10時間乾燥した。
得られたポリマー〔プロピレン重合体(1)〕は146gであり、重合活性は48,700g-PP/ミリモルZr、[η]は2.58dl/g、MFRは1.9g/10分、Mwは339,000、Mw/Mnは2.03であった。
[プロピレン重合体(2)の重合]
〈固体触媒成分の調製〉
充分に窒素置換した500mlの反応器にシリカ(富士デヴィソン社製F-948を窒素流通下200℃で6時間乾燥したもの)25g、トルエン310mlを仕込み、攪拌しながら系を0℃とした。ここへ、有機アルミニウムオキシ化合物(シェリング社製メチルアルミノキサンをトルエンで希釈したもの、2.1モル/l)90mlを窒素雰囲気下60分かけて滴下した。次いでこの温度で30分、90℃で4時間反応させた。その後反応系を放冷し、60℃になった時点で上澄み溶液をデカンテーションによって取り除き、続いて室温下、トルエン150mlで3回洗浄した。
この結果、シリカ1gに対してAlを6.8ミリモル有する固体触媒成分(C-1)を得た。
〈予備重合触媒成分(C-2)の調製〉
充分に窒素置換した500mlの反応器にn-ヘキサン320mlを仕込み、上記で得た固体触媒成分(C-1)をAl原子に換算して40ミリモル、rac-ジメチルシリルビス(2-メチルインデニル)ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して0.04ミリモルを加え10分間攪拌した。ここにトリイソブチルアルミニウムを1.2ミリモル加えて更に10分間攪拌した後、プロピレンガス(13.4l/時)を1時間、20℃で流通させ、プロピレンの予備重合を行った。上澄み溶液をデカンテーションによって取り除き、デカン150mlで3回洗浄した。
この結果、固体触媒1gあたりZr;0.0042ミリモル、Al;4.35ミリモルが担持された予備重合触媒成分(C-2)を得た。
〈重 合〉
充分に窒素置換した4lのステンレス製オートクレーブに、n-ヘキサン1.5lを入れ、プロピレン雰囲気下におき20分攪拌した。次に反応系を昇温し、50℃になった時点でトリイソブチルアルミニウム2.90ミリモル、上記予備重合触媒成分(C-2)をZr原子に換算して0.0030ミリモル加え、水素150mlを封入し、プロピレン圧7kg/cm2-Gとして60℃で2時間重合を行った。重合後、濾過によって溶媒を取り除き、メタノールで洗浄した後、真空下80℃で10時間乾燥した。
得られたポリマー〔プロピレン重合体(2)〕は304gであり、重合活性は101,000g-PP/ミリモル-Zr、[η]は1.01dl/g、MFRは145g/10分、Mw/Mnは3.78であった。
[プロピレン重合体(3)の重合]
〈予備重合触媒成分(C-3)の調製〉
充分に窒素置換した500mlの反応器にn-ヘキサン350mlを仕込み、上記で得た固体触媒成分(C-1)をAl原子に換算して16ミリモル、rac-ジメチルシリルビス(2-メチルインデニル)ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して0.04ミリモルを加え10分間攪拌した。ここにトリイソブチルアルミニウムを1.2ミリモル加えて更に10分間攪拌した後、プロピレンガス(13.4l/時)を1時間、20℃で流通させ、プロピレンの予備重合を行った。上澄み溶液をデカンテーションによって取り除き、デカン150mlで3回洗浄した。
この結果、固体触媒1gあたりZr;0.0011ミリモル、Al;4.50ミリモルが担持された予備重合触媒成分(C-3)を得た。
〈重 合〉
充分に窒素置換した2lのステンレス製オートクレーブに、n-ヘキサン750mlを入れ、プロピレン雰囲気下におき20分攪拌した。次に反応系を昇温し、50℃になった時点でトリイソブチルアルミニウム2.7ミリモル、上記予備重合触媒成分(C-3)をZr原子に換算して0.045ミリモル加え、プロピレン圧7kg/cm2-Gとして60℃で1.5時間重合を行った。重合後、濾過によって溶媒を取り除き、メタノールで洗浄した後、真空下80℃で10時間乾燥した。
得られたポリマー〔プロピレン重合体(3)〕は403gであり、重合活性は89,600g-PP/ミリモルZr、[η]は1.33dl/g、MFRは34g/10分、Mw/Mnは2.93であった。
[プロピレン重合体(4)の重合]
〈固体状チタン触媒成分の調製〉
無水塩化マグネシウム95.2g、デカン442mlおよび2-エチルヘキシルアルコール390.6gを混合し、次いで130℃で2時間加熱して均一溶媒とした後、この溶液中に無水フタル酸21.3gを添加し、さらに、130℃にて1時間攪拌混合を行い、無水フタル酸をこの均一溶液に溶解させた。このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した後、この均一溶液75mlを-20℃に保持した四塩化チタン200ml中に1時間にわたって全量滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでフタル酸ジイソブチル(DIBP)5.22gを添加し、これより2時間同温度にて攪拌下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を275mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱反応を行った。
反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、110℃デカンおよびヘキサンにて、洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。以上の操作によって調製した固体状チタン触媒成分はデカンスラリーとして存在したが、この内の一部を触媒組成を調べる目的で乾燥した。
このようにして得られた固体状チタン触媒成分の組成はチタン2.4重量%、塩素60重量%、マグネシウム20重量%およびDIBP13.0重量%であった。
〈予備重合触媒成分(C-4)の調製〉
400mlの攪拌器付四ツ口ガラス製反応器に窒素雰囲気下精製ヘキサン150ml、トリエチルアルミニウム15ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)3ミリモルおよび上記固体状チタン触媒成分をTi原子換算で1.5ミリモル添加した後、20℃で3.2l/時の速度でプロピレンを1時間この反応器に供給した。プロピレンの供給が終了したところで反応器内を窒素で置換し上澄の除去および精製ヘキサンの添加からなる洗浄操作を2回行った後、精製ヘキサンで再懸濁して触媒ビンに全量移液し、予備重合触媒成分(C-4)を得た。
〈重 合〉
17lのオートクレーブに室温プロピレン雰囲気下でプロピレンを4kg注入し、水素11lを添加し、60℃に昇温した後、トリエチルアルミニウム5ミリモル、DCPMS5ミリモル、上記予備重合触媒成分(C-4)をTi原子に換算して0.05ミリモル添加し70℃にさらに昇温し、この温度で40分重合反応を行った。反応終了後、直ちに少量のエタノールを系内に添加して触媒を分解し、未反応のプロピレンと水素をパージし白色粉末状重合体を得た。得られた白色粉末状重合体を真空下80℃で10時間乾燥した。
乾燥後の白色粉末状重合体〔プロピレン重合体(4)〕の収量は1630gであり、したがって活性は32,600g-PP/ミリモルTiであり、沸騰ヘプタン抽出残率(I.I.)は99.1%、[η]は3.0dl/g、MFRは1.2g/10分、Mw/Mnは5.1であった。
[プロピレン重合体(5)の重合]
前記プロピレン重合体(4)の重合において、添加する水素の量を150lとした他は、プロピレン重合体(4)の重合と全く同様にして重合、後処理を行った。
得られたポリマー〔プロピレン重合体(5)〕は2030gであり、重合活性は40600g-PP/ミリモル-Tiに相当した。[η]は1.10dl/g、MFRは155g/10分、Mw/Mnは4.9、沸騰ヘプタン抽出残率(I.I.)は97.0%であった。
[プロピレン重合体(6)の重合]
前記プロピレン重合体(4)の重合において、添加する水素の量を60lとした他は、プロピレン重合体(4)の重合と全く同様にして重合、後処理を行った。
得られたポリマー〔プロピレン重合体(6)〕は1905gであり、重合活性は38100g-PP/ミリモル-Tiに相当した。[η]は1.55dl/g、MFRは25g/10分、Mw/Mnは5.0、沸騰ヘプタン抽出残率(I.I.)は98.8%であった。
[プロピレン重合体(7)の重合]
〈3-(2-ビフェニリル)-2-エチルプロピオン酸の合成〉
2l-4口丸底フラスコ(攪拌器、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計付)にカリウム-t-ブトキシド40.4g(360ミリモル)、トルエン300ml、N-メチルピロリドン60mlを加え、窒素雰囲気で60℃に加温しながら、エチルマロン酸ジエチル62.1g(330ミリモル)をトルエン150mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、同温で1時間反応させた。次に同温で2-フェニルベンジルブロミド60.8g(300ミリモル)を90mlのトルエンに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後昇温し、2時間還流した。反応混合物を水600mlに注ぎ、2N-HClを加えてpH=1とした。有機相を分離し、水相をトルエン200mlでさらに3回抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水で中性まで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下で濃縮し、黄橙色液体の濃縮物110g得た。
2l-4口丸底フラスコ(攪拌器、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計付)に水酸化カリウム202g(3.06モル)とメタノール水溶液480ml(メタノール/水=4/1(=v/v))を加えた。室温下、窒素雰囲気で上記濃縮物をメタノール水溶液150ml(メタノール/水=4/1(=v/v))に溶解させた溶液を滴下した。滴下後、昇温し、4時間還流させた。その後、室温まで冷却し、析出した固体を濾過した。濾物を水に溶解させ、硫酸を加え酸性(pH=1)とし、塩化メチレン200mlで5回抽出した。合わせた有機相を無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下濃縮して、白色固体の生成物72.6gを得た。
次に、1l-3口丸底フラスコ(攪拌器、ジムロートコンデンサー、温度計付)に上記白色固体72.6g、酢酸168ml、水/111mlおよび濃硫酸39.3mlを加え、窒素雰囲気で6時間還流させた。反応終了後、酢酸を減圧下で留去し水150mlを加え、塩化メチレン150mlで3回抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水150mlで洗浄後、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧で留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1→1/1容量部で展開)で分離精製して白色固体41.1gを得た(収率:54%)。
得られた生成物の物性を下記に示す。
FD-MS :254(M+)
mp. :91.2〜94.0℃
NMR(CDCl3、90MHz):

IR(KBr disk) :1696cm-1(νc-o)
〈3-(2-ビフェニリル)-2-エチルプロピオニルクロリドの合成〉
300ml-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、ジムロートコンデンサー、温度計、NaOHトラップ付)に3-(2-ビフェニリル)-2-エチルプロピオン酸39.9g(157.2ミリモル)と塩化チオニル77.7ml(1065ミリモル)を加え、窒素雰囲気で2.5時間加熱還流させた。反応終了後、未反応の塩化チオニルを減圧で蒸留して黄橙色液体の粗生成物45.6gを得た。この酸クロリドはこれ以上精製せず次の反応に用いた。
得られた生成物の物性を下記に示す。
IR(Neat) :1786cm-1(νc-o)
〈4-エチル-2-フェニル-1-インダノンの合成〉
500ml-3口丸底フラスコ(攪拌器、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計、NaOHトラップ付)に無水塩化アルミニウム24.1g(181ミリモル)と二硫化炭素150mlを加え、氷冷下、窒素雰囲気で前記で得られた3-(2-ビフェニリル)-2-エチルプロピオニルクロリド45.6g(52.4ミリモル)を二硫化炭素63mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、内温を室温に上げ、1時間反応させた。反応溶液を氷水600mlに注いで分解し、エーテル300mlで2回抽出した。合わせた有機相を飽和NaHCO3水300ml、次に飽和食塩水300mlで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧で留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1容量部で展開)で分離精製して目的物を黄色固体として32.4g得た(収率:88%)。
得られた生成物の物性を下記に示す。
NMR(CDCl3、90MHz):

IR(Neat) :1705cm-1(νc-o)
〈2-エチル-1-ヒドロキシ-2-フェニルインダンの合成〉
500ml-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計付)に水素化ホウ素ナトリウム2.55g(67.8ミリモル)と84mlのエタノールを加え、窒素雰囲気下室温で2-エチル-4-フェニル-1-インダノン31.8g(135.3ミリモル)を60mlのエタノールに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、50℃に昇温し、さらに3.5時間反応させた。反応後冷却し、未反応の水素化ホウ素ナトリウムをアセトンを滴下して分解した。次に反応混合物を減圧下、濃縮し、水150mlとエーテル150mlを加え抽出した。有機相を分離後、水相をエーテル100mlで2回抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水300mlで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下で留去して粘調な淡黄色液体の目的物(2種類の異性体混合物)を32g得た(収率:99%)。
得られた生成物の物性を下記に示す。
NMR(CDCl3、90MHz):

IR(Neat) :3340cm-1(νc-o)
〈2-エチル-4-フェニルインデンの合成〉
1l-4口丸底フラスコ(攪拌器、滴下ロート、温度計付)に2-エチル-1-ヒドロキシ-4-フェニルインダン29.3g(123.9ミリモル)、トリエチルアミン51.6g(371.4ミリモル)、4-ジメチルアミノピリジン0.75g(6.3ミリモル)および塩化メチレン294mlを加えた。氷冷下、窒素雰囲気でメタンスルホニルクロリド19.2ml(247.5ミリモル)を塩化メチレン19.5mlに溶解した溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、同温度でさらに3.5時間反応させた。反応混合物を氷水500mlに注いだ後、有機相を分離し、水相を塩化メチレン150mlでさらに2回抽出した。合わせた有機相を飽和NaHCO3水、次に飽和食塩水で洗浄した後、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧で留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンで展開)で分離精製して目的物(2種類の異性体混合物)を淡黄色液体として19.7g得た(収率:73%)。
得られた生成物の物性を下記に示す。
NMR(CDCl3、90MHz):
δ=1.20(t、J=7.6Hz、3H、CH3);
2.49(q、J=7.6Hz、2H);
3.41(s、2H);
6.61、6.72(それぞれbs、合わせて1H);
7.09〜8.01(m、8H)
〈ジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニルインデン)の合成〉
500ml-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計付)に2-エチル-4-フェニルインデン15g(68.4ミリモル)、チオシアン酸銅240mg(1.89ミリモル)および無水エーテル150mlを加えた、窒素雰囲気で氷冷下1.6M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液47.1ml(75.3ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温に昇温し、さらに1時間反応させた。次に、ジメチルジクロロシラン4.56ml(37.8ミリモル)を無水エーテル13.5mlに溶解した溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温でさらに12時間反応させた。反応混合物をセライトで濾過後、濾液を飽和塩化アンモニウム水150mlに注いだ。有機相を分離後、水相をエーテル150mlで抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン→ヘキサン/塩化メチレン=20/1容量部で展開)で分離して淡黄色固体の目的物(2種類の異性体混合物)を13.5g得た(収率:80%)。
得られた生成物の物性を下記に示す。
NMR(CDCl3、90MHz):

〈rac-ジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニル-1一インデニル)ジルコニウムジクロリドの合成〉
200ml-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、玉入コンデンサー、滴下ロート、温度計付)にアルゴン雰囲気でジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニルインデン)2.52g(5.07ミリモル)と無水エーテル51mlを加え、室温で1.58M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液6.75ml(10.68ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下後、さらに13.5時間反応させた。得られた反応液をドライアイス〜アセトン浴で-70℃に冷却し、ZrCl41.185g(5.07ミリモル)の粉末を除々に添加した。添加終了後、攪拌を継続しながら、終夜放置した。次に室温で溶媒を減圧下に留去した。塩化メチレン90mlを加えた後、不溶物を濾過し、濾液を室温で濃縮晶析した。析出した固体を濾過した後、無水エーテル5mlで2回洗浄し、減圧下で乾燥させて目的物を橙黄色固体として0.68g得た(収率:20%)。
得られた生成物の物性を下記に示す。
NMR(CDCl3、90MHz):
δ=1.09(t、J=7.3Hz、6H、CH3);
1.34(s、6H、Si-CH3);
2.46(quin、J=7.3Hz、2H);
2.73(quin、J=7.3Hz、2H);
6.96(s、2H、3-H-Ind);
6.99〜7.88(m、16H)
〈重 合〉
内容積100lのステンレス製重合器に、窒素下で、トルエン50lを入れ、0℃に冷却した。次いで、プロピレンを4Nm3/時、水素400Nl/時で2時間流通し系を十分に飽和させた。プロピレンの流通量を2Nm3/時まで絞った後、トリイソブチルアルミニウムを15.0ミリモル、メチルアルミノキサンをAl原子に換算して30.0ミリモル、rac-ジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して0.10ミリモル加え、系を0℃に保ったまま1時間重合を行った。重合の停止はメタノールを0.5l加えることにより行った。系内を窒素にて置換しながら重合体懸濁液を6時間静置後、約半量のトルエンをデカンテーションにより抜き取った。残った重合体懸濁液は、0.1lの塩酸と60lのメタノールを入れた200l反応器に移送し、30分間攪拌を行った。静置、デカンテーションの後、再び50lのメタノールで洗浄、デカンテーションを行った。次いで反応器下部より重合体懸濁液を取り出し、濾過にて溶媒を分離後、重合体を高真空下、100℃にて一昼夜乾燥した。
得られたプロピレン単独重合体〔プロピレン重合体(7)〕は1950gであり、重合活性は19500g-PP/ミリモル-Zrに相当した。[η]は0.68dl/g、MFRは900g/10分、Mw/Mnは2.02、トリアドタクティシティーは99.5%、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は0.11%、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は検出下限以下(0.03%未満)であった。
[プロピレン重合体(8)の重合]
前記プロピレン重合体(7)の重合において、水素の流通量を90Nl/時とした他は、プロピレン重合体(7)の重合と全く同様にして重合、後処理を行った。
得られたプロピレン単独重合体〔プロピレン重合体(8)〕は2720gであり、重合活性は27200g-PP/ミリモル-Zrに相当した。[η]は3.25dl/g、MFRは0.75g/10分、Mw/Mnは2.20、トリアドタクティシティーは99.6%、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は0.16%、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は検出下限以下(0.03%未満)であった。
[プロピレン重合体(9)の重合]
前記プロピレン重合体(7)の重合において、水素の流通量を120Nl/時とした他は、プロピレン重合体(7)の重合と全く同様にして重合、後処理を行った。
得られたプロピレン単独重合体〔プロピレン重合体(9)〕は3350gであり、重合活性は33500g-PP/ミリモル-Zrに相当した。[η]は1.64dl/g、MFRは13.5g/10分、Mw/Mnは2.03、トリアドタクティシティーは99.5%、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は0.13%、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は検出下限以下(0.03%未満)であった。
[プロピレン重合体(10)の重合]
前記プロピレン重合体(4)の重合において、水素の添加量を45lとした他は、プロピレン重合体(4)の重合と全く同様にして重合、後処理を行った。
得られたプロピレン単独重合体〔プロピレン重合体(10)〕は1930gであり、重合活性は38600g-PP/ミリモル-Tiに相当した。[η]は1.75dl/g、MFRは15g/10分、Mw/Mnは5.0、沸騰ヘプタン抽出残率(I.I.)は98.8%であった。
[プロピレン重合体(11)の重合]
前記プロピレン重合体(7)の重合において、水素の流通量を350Nl/時とした他は、プロピレン重合体(7)の重合と全く同様にして重合、後処理を行った。
得られたプロピレン単独重合体〔プロピレン重合体(11)〕は2060gであり、重合活性は20600g-PP/ミリモル-Zrに相当した。[η]は0.72dl/g、MFRは670g/10分、Mw/Mnは1.95、トリアドタクティシティーは99.5%、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は0.14%、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は検出下限以下(0.03%未満)であった。
[プロピレン重合体(12)の重合]
内容積100lのステンレス製重合器に、トルエン50lを入れ、0℃に冷却した。次いで、プロピレンを4Nm3/時、エチレンを2Nm3/時、水素10Nl/時で2時間流通し系を十分に飽和させた。プロピレンの流通量を1Nm3/時、エチレンの流通量を300Nl/時まで絞って1時間おいた後、トリイソブチルアルミニウムを8.0ミリモル、メチルアルミノキサンをAl原子に換算して12.0ミリモル、rac-ジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して0.040ミリモル加え、系を0℃に保ったまま1時間重合を行った。重合の停止および後処理はプロピレン重合体(7)の重合の場合と全く同様に行った。
得られたプロピレン共重合体〔プロピレン重合体(12)〕は1550gであり、重合活性は38700g-ポリマー/ミリモル-Zrに相当した。[η]は0.68dl/g、MFRは950g/10分、Mw/Mnは2.33、エチレンから誘導される構成単位含有率は5.1モル%、トリアドタクティシティーは99.2%、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は0.08%、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は検出下限以下(0.03%未満)であった。
[プロピレン重合体(13)の重合]
内容積100lのステンレス製重合器に、トルエン35lを入れ、0℃に冷却した。次いで、プロピレンの流通量を4Nm3/時、エチレンの流通量を2Nm3/時で系内の圧力が2.5kg/cm2-Gとなるように調節しながら2時間流通し系を十分に飽和させた。次いで、プロピレンの流通量を1Nm3/時、エチレンの流通量を300Nl/時まで絞って1時間おいた後、トリイソブチルアルミニウムを5.0ミリモル、メチルアルミノキサンをAl原子に換算して10.0ミリモル、rac-ジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して0.010ミリモル加えた。重合器内の圧力が2.5kg/cm2-Gとなるように調節しながら温度を0℃に保って1時間重合を行った。メタノールによる重合の停止を行った後系内を脱圧し、窒素で置換した。後処理はプロピレン重合体(7)の重合の場合と全く同様に行った。
得られたプロピレン共重合体〔プロピレン重合体(13)〕は1310gであり、重合活性は131000g-ポリマー/ミリモル-Zrに相当した。[η]は3.10dl/g、MFRは0.72g/10分、Mw/Mnは2.3、エチエンから誘導される構成単位含有率は5.6モル%、トリアドタクティシティーは99.3%、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は0.13%、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は検出下限以下(0.03%未満)であった。
[プロピレン重合体(14)の重合]
前記プロピレン重合体(12)の重合において、水素を10Nl/時で流通した代わりに水素を全く用いなかった他は、プロピレン重合体(12)の重合と全く同様にして重合、後処理を行った。
得られたプロピレン共重合体〔プロピレン重合体(14)〕は1750gであり、重合活性は17500g-ポリマー/ミリモル-Zrに相当した。[η]は1.67dl/g、MFRは9.5g/10分、Mw/Mnは2.10、エチレンから誘導される構成単位含有率は5.6モル%、 トリアドタクティシティーは99.2%、プロピレンモノマーの 2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は0.11%、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は検出下限以下(0.03%未満)であった。
[軟質重合体(エチレン・プロピレンランダム共重合体)の重合]
〈固体状チタン触媒成分の調製〉
無水塩化マグネシウム23.8g、デカン122mlおよび2-エチルヘキシルアルコール116.1gを、130℃で2時間加熱して均一溶液とした後、この溶液中に安息香酸エチル5.72mlを添加した。この均一溶液を-20℃に保持した四塩化チタン1l中に20分かけて攪拌下滴下し、さらに-20℃で1時間攪拌した。次にこの溶液を徐々に昇温し、80℃に達したところで、さらに安息香酸エチル12.2mlを添加し、80℃で2時間攪拌した。
反応終了後、濾過により固体物質を採取し、この固体物質を1lの四塩化チタンにて再懸濁させ、90℃で2時間攪拌した後、濾過により固体物質を採取し、洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで精製ヘキサンで充分洗浄した。
得られた固体状チタン触媒成分は、チタンを3.7重量%、塩素を59重量%、マグネシウムを17重量%および安息香酸エチルを15重量%含有していた。
〈重 合〉
攪拌翼を備えた15lのステンレス製重合器を用いて、エチレンとプロピレンとを共重合させた。
重合器上部から、重合溶媒としてヘキサンを3l/時、上記のようにして得られた固体状チタン触媒成分のヘキサンスラリー(チタン原子に換算して0.15ミリモル/l)を1l/時、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(15ミリモル/l)を0.5l/時、安息香酸エチルのヘキサン溶液(5ミリモル/l)を0.5l/時の速度で連続的に供給した。また重合器上部から、エチレンを90l/時、プロピレンを270l/時の速度で供給し、水素を重合器内ガス相の水素濃度が2.3%になるように連続的に供給した。
一方重合器下部から、重合器中の重合溶液が5lとなるように連続的に抜き出した。
共重合反応は、重合器外部に取り付けられたジャケットに温水を循環させることにより80℃で行った。重合器内圧力は、6.5kg/cm2(ゲージ)であった。
抜き出した重合溶液に少量のメタノールを添加して、重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にてポリマーを溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥した。
上記のような操作により、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-1)が、235g/時の量で得られた。
得られたエチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-1)は、エチレンから誘導される構成単位含有率は42モル%、[η]は2.7dl/gであった。
[エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-2)の重合]
攪拌翼を備えた15lのオートクレーブを用いて、エチレンとプロピレンとを共重合させた。
重合器上部から、脱水精製したヘキサンを2.4l、プロピレンを3.3kg、メチルアルモキサンのトルエン溶液(アルミニウム原子に換算して1.3mg原子/ml)を0.72mlおよびトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(1ミリモル/ml)を7.7ml装入した。
系を37℃に昇温した後、全圧が14kg/cm2となるようにエチレンを装入し、均圧管を用いて、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(0.004ミリモル/ml)を2.4ml装入した。温度を37℃に、全圧を14kg/cm2に維持しながら1時間重合を行った。脱圧後ポリマー溶液を取り出して乾燥した。収量は320gであった。
得られたエチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-2)は、エチレンから誘導される構成単位含有率が43モル%であり、[η]が2.8dl/gであった。
[エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-3)の合成]
攪拌翼を備えた2lのオートクレーブを用いて、エチレンとプロピレンの共重合を行った。
すなわち、重合器上部から脱水精製したヘキサンを0.9l、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(1ミリモル/ml)を1ml、メチルアルモキサンのトルエン溶液(Al原子に換算して0.9ミリモル/ml)を0.27ml装入した。系を50℃に昇温したのち全圧が3.8kg/cm2-Gとなるようにプロピレンを装入し、さらに全圧が8kg/cm2-Gとなるようにエチレンを装入した。rac-ジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して0.0008ミリモル加えた後、温度50℃、全圧8kg/cm2-Gを維持しながら30分間重合を行った。脱圧後ポリマー溶液を大量のメタノールに加え、ポリマーを取り出し、130℃で、12時間減圧乾燥を行った。
得られたエチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-3)の収量は、49.6g、エチレンから誘導される構成単位含有率は、39モル%、[η]は3.1dl/g、MFRは0.4g/10分であった。
[エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-4)の合成]
VO(OC2H5)Cl2-(C2H5)1.5AlCl1.5触媒により常用のエチレン・プロピレンの共重合法により合成した。
得られたエチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-4)の[η]は2.4dl/g、MFRは0.6g/10分、エチレンから誘導される構成単位含有率は81モル%であった。
[エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-5)の合成]
攪拌翼を備えた2lのオートクレーブを用いて、エチレンとプロピレンの共重合を行った。
すなわち、重合器上部から脱水精製したヘキサンを1l、プロピレンを気体で、11Nl、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(1ミリモル/ml)を0.85ml、メチルアルモキサンのトルエン溶液(Al原子に換算して1.2ミリモル/ml)を0.13ml装入した。系を80℃に昇温したのち全圧が8kg/cm2-Gとなるようにエチレンを装入し、rac-ジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して0.0005ミリモル加えた後、温度80℃、全圧8kg/cm2-Gを維持しながら30分間重合を行った。脱圧後ポリマー溶液を大量のメタノールに加え、ポリマーを取り出し、130℃で、12時間減圧乾燥を行った。
得られたエチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-5)の収量は、58.4g、エチレンから誘導される構成単位含有率は、79モル%、[η]は2.2dl/g、MFRは0.7g/10分であった。
[エチレン・1-ブテンランダム共重合体(EBR-1)の合成]
攪拌翼を備えた2lのオートクレーブを用いて、エチレンとプロピレンの共重合を行った。
すなわち、重合器上部から脱水精製したヘキサンを1l、1-ブテンを55ml、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(1ミリモル/ml)を0.85ml、メチルアルモキサンのトルエン溶液(Al原子に換算して1.2ミリモル/ml)を0.13ml装入した。系を90℃に昇温した後、全圧が8kg/cm2-Gとなるようにエチレンを装入し、さらにrac-ジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して0.0005ミリモル加えた後、温度90℃、全圧8kg/cm2-Gを維持しながら20分間重合を行った。脱圧後ポリマー溶液を大量のメタノールに加え、ポリマーを取り出し、130℃で、12時間減圧乾燥を行った。
得られたエチレン・1-ブテンランダム共重合体(EBR-1)の収量は、52.8g、エチレンから誘導される構成単位含有率は、82モル%、[η]は2.3dl/g、MFRは0.6g/10分であった。
[エチレン重合体(PE-1)および(PE-2)の合成]
MgCl2担持型Ti触媒-トリエチルアルミニウムの組み合わせ触媒により、常用のエチレンの重合法により合成した。
エチレン重合体(PE-1)の[η]は1.20dl/g、MFRは29g/10分、Mw/Mnは4.1であった。
エチレン重合体(PE-2)の[η]は2.11dl/g、MFRは1.3g/10分、Mw/Mnは4.8であった。
実施例1
上記製造例で重合したプロピレン重合体(1)40重量%と、プロピレン重合体(2)60重量%とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、樹脂温度200℃、金型温度40℃の条件下に射出成形機にて、ASTM試験片を成形して各物性を測定した。
結果を表1に示す。
比較例1
上記製造例で重合したプロピレン重合体(3)を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表1に示す。
比較例2
上記製造例で重合したプロピレン重合体(4)40重量%と、プロピレン重合体(5)60重量%とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表1に示す。

実施例2
上記製造例で重合したプロピレン重合体(1)40重量部と、プロピレン重合体(2)60重量部と、軟質重合体(EPR-1)20重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表2に示す。
比較例3
上記製造例で重合したプロピレン重合体(3)100重量部と軟質重合体(EPR-1)20重量部とを用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表2に示す。
比較例4
上記製造例で重合したプロピレン重合体(4)40重量部と、プロピレン重合体(5)60重量部と、軟質重合体(EPR-1)20重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表2に示す。

実施例3
上記製造例で重合したプロピレン重合体(4)50重量%と、プロピレン重合体(2)50重量%とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表3に示す。
比較例5
上記製造例で重合したプロピレン重合体(4)50重量%と、プロピレン重合体(5)50重量%とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表3に示す。

実施例4
上記製造例で重合したプロピレン重合体(4)50重量部と、プロピレン重合体(2)50重量部と、軟質重合体20重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表4に示す。
比較例6
上記製造例で重合したプロピレン重合体(4)50重量部と、プロピレン重合体(5)50重量部と、軟質重合体20重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表4に示す。

実施例5
上記製造例で重合したプロピレン重合体(6)100重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-2)20重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表5に示す。
比較例7
上記製造例で重合したプロピレン重合体(6)100重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-1)20重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表5に示す。

実施例6
上記製造例で重合したプロピレン重合体(7)50重量部と、プロピレン重合体(8)50重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表6に示す。
比較例8
上記製造例で重合したプロピレン重合体(9)を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表6に示す。

実施例7
上記製造例で重合したプロピレン重合体(12)50重量部と、プロピレン重合体(13)50重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。また、下記の条件でフィルムを成形し、得られたフィルムのヘイズを測定した。
30mmφの一軸押出機にTダイを取り付け、巾30cm、厚さ50μmのフィルムを成形した。冷却ロールは25℃とし、引き取り速度は3m/分とした。
結果を表7に示す。
比較例9
上記製造例で重合したプロピレン重合体(14)を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表7に示す。

実施例8
上記製造例で重合したプロピレン重合体(4)50重量部と、プロピレン重合体(11)50重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表8に示す。
比較例9
上記製造例で重合したプロピレン重合体(4)50重量部と、プロピレン重合体(5)50重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表8に示す。

実施例9
上記製造例で重合したプロピレン重合体(7)50重量部と、プロピレン重合体(8)50重量部、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-1)20重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表9に示す。
実施例10
上記製造例で重合したプロピレン重合体(7)50重量部と、プロピレン重合体(8)50重量部、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-3)10重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-5)10重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表9に示す。

実施例11
上記製造例で重合したプロピレン重合体(12)50重量部と、プロピレン重合体(13)50重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-1)20重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。また、実施例7と同様にしてフィルムを成形し、ヘイズを測定した。
結果を表10に示す。
比較例11
上記製造例で重合したプロピレン重合体(14)100重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-1)20重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。また、実施例7と同様にしてフィルムを成形し、ヘイズを測定した。
結果を表10に示す。

実施例12
上記製造例で重合したプロピレン重合体(4)50重量部と、プロピレン重合体(11)50重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-1)20重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表11に示す。

実施例13
上記製造例で重合したプロピレン重合体(7)50重量部と、プロピレン重合体(8)50重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-1)10重量部と、エチレン重合体(PE-1)10重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表12に示す。
実施例14
上記製造例で重合したプロピレン重合体(7)50重量部と、プロピレン重合体(8)50重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-3)10重量部と、エチレン重合体(PE-2)10重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表12に示す。

実施例15
上記製造例で重合したプロピレン重合体(9)100重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-1)25重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表13に示す。
実施例16
上記製造例で重合したプロピレン重合体(9)100重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-1)20重量部と、フィラー(タルク)15重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表13に示す。
実施例17
上記製造例で重合したプロピレン重合体(9)100重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-3)10重量部と、エチレン・1-ブテンランダム共重合体(EBR-1)10重量部と、フィラー(タルク)15重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表13に示す。

実施例18
上記製造例で重合したプロピレン重合体(9)100重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-3)10重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-4)10重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表14に示す。
実施例19
上記製造例で重合したプロピレン重合体(9)100重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-3)10重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-5)10重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表14に示す。
比較例12
上記製造例で重合したプロピレン重合体(10)100重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-1)20重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表14に示す。

実施例20
上記製造例で重合したプロピレン重合体(14)100重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-1)20重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表15に示す。
比較例13
上記製造例で重合したプロピレン重合体(14)を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表15に示す。

実施例21
上記製造例で重合したプロピレン重合体(9)100重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-1)15重量部と、エチレン重合体(PE-1)10重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表16に示す。
実施例22
上記製造例で重合したプロピレン重合体(9)100重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-3)15重量部と、エチレン重合体(PE-2)10重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表16に示す。

実施例23
上記製造例で重合したプロピレン重合体(6)100重量部と、エチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR-3)20重量部とからなるプロピレン重合体組成物を用いて、実施例1と同様にしてASTM試験片を成形し、各物性を測定した。
結果を表17に示す。

(57)【特許請求の範囲】
1.
(A1)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜30g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜3の範囲にあるプロピレン重合体;10〜90重量%と、
(A2)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が30〜1000g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にある
プロピレン重合体;10〜90重量%と
からなり、前記プロピレン重合体(A2)のMFRと、前記プロピレン重合体(A1)のMFRとの比((A2)/(A1))が30以上であることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
2.
(A1)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜30g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜3の範囲にあるプロピレン重合体;10〜90重量部と、
(A2)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が30〜1000g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にある
プロピレン重合体;10〜90重量部と、
(B)結晶化度が30%未満である炭素数2〜20のα-オレフィンの(共)重合体;3〜30重量部と
からなり、前記プロピレン重合体(A2)のMFRと、前記プロピレン重合体(A1)のMFRとの比((A2)/(A1))が30以上であることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
3.
(A3)
(1)(d)固体状チタン触媒成分と、
(e)有機金属化合物触媒成分とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜30g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にある
プロピレン重合体;10〜90重量%と、
(A2)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と
を含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が30〜1000g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にある
プロピレン重合体;90〜10重量%と
からなり、前記プロピレン重合体(A2)のMFRと、前記プロピレン重合体(A3)のMFRとの比((A2)/(A3))が30以上であることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
4.
(A3)
(1)(d)固体状チタン触媒成分と、
(e)有機金属化合物触媒成分とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜30g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にある
プロピレン重合体;10〜90重量部と、
(A2)
(1)(i)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c)前記遷移金属化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と
を含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(2)230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が30〜1000g/10分の範囲にあり、
(3)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が2〜4の範囲にある
プロピレン重合体;90〜10重量部と
(B)結晶化度が30%未満である炭素数2〜20のα-オレフィンの(共)重合体;3〜30重量部と
からなることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
5.削除
6.
(A5)
(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体;5〜95重量%と、

(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)
プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体;5〜95重量%
とからなり、
230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
7.
(A5)
(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体;5〜95重量%と、

(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマー;5〜95重量%と
からなることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
8.
(A5)
(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体;5〜95重量%と、

(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体;5〜95重量%と
からなることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
9.
(A5)
(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体と、

(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマーとからなり、前記プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、
230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が001〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
10.
(A5)
(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体と、

(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体と、
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有され、
230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
11.
(A5)
(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体と、

(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマーと
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチルー1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有されることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
12.
(A5)
(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られるプロピレン単独重合体と、

(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A5)とは異なるプロピレン重合体と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマーと、
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン単独重合体(A5)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有され、
230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
13.
(A7)
(1)(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する
プロピレン共重合体;5〜95重量%と、

(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン共重合体(A7)とは異なるプロピレン重合体;5〜95重量%と
からなり、230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
14.
(A7)
(1)(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するプロピレン共重合体;5〜95重量%と、

(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマー;5〜95重量%とからなることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
15.
(A7)
(1)(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する
プロピレン共重合体;5〜95重量%と、

(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体;5〜95重量%と
からなることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
16.
(A7)
(1)(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する
プロピレン共重合体と、

(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A7)とは異なるプロピレン重合体と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマーと
からなり、前記プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、
230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
17.
(A7)
(1)(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する
プロピレン共重合体と、

(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン共重合体(A7)とは異なるプロピレン重合体と、
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、
前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有され、
230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
18.
(A7)
(1)(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する
プロピレン共重合体と、

(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマーと、
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有されることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
19.
(A7)
(1)(i)(h)下記式(I)で表される遷移金属化合物と、
(ii)(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(i)前記遷移金属化合物(h)と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、
(2)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する
プロピレン共重合体と、

(式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい、
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す)
(A6)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有する、前記プロピレン単独重合体(A7)とは異なるプロピレン重合体と、
(D)
(1)炭素数2〜20のオレフィンおよび炭素数5〜20のポリエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体または共重合体であって、
(2)エチレン、プロピレン、ブテンまたは4-メチル-1-ペンテンから誘導される構成単位の含有率が90モル%未満であり、
(3)ガラス転移温度(Tg)が10℃以下である
オレフィン系エラストマーと、
(E)エチレン、ブテンおよび4-メチル-1-ペンテンからなる群より選ばれる1種のモノマーから誘導される構成単位を90モル%以上の割合で含有するオレフィン重合体と
からなり、前記プロピレン共重合体(A7)が5〜95重量%の割合で含有され、前記プロピレン重合体(A6)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン系エラストマー(D)が95重量%以下の割合で含有され、前記オレフィン重合体(E)が95重量%以下の割合で含有され、
230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分の範囲にあり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められるプロピレン成分全体の分子量分布(Mw/Mn)が4〜15の範囲にあることを特徴とするプロピレン重合体組成物。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-10-28 
出願番号 特願平6-502747
審決分類 P 1 651・ 113- YA (C08L)
P 1 651・ 121- YA (C08L)
P 1 651・ 161- YA (C08L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 森川 聡  
特許庁審判長 松井 佳章
特許庁審判官 船岡 嘉彦
佐野 整博
登録日 2002-01-25 
登録番号 特許第3272358号(P3272358)
権利者 三井化学株式会社
発明の名称 プロピレン重合体組成物  
代理人 鈴木 俊一郎  
代理人 牧村 浩次  
代理人 富田 博行  
代理人 狩野 剛志  
代理人 社本 一夫  
代理人 牧村 浩次  
代理人 鈴木 俊一郎  

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