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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B67D
管理番号 1111117
異議申立番号 異議2003-72809  
総通号数 63 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-03-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-19 
確定日 2004-11-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3407230号「飲料定量販売装置」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3407230号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
特許第3407230号の請求項1〜3に係る発明は、平成6年8月10日に特許出願され、平成15年3月14日にその特許権の設定登録(平成15年5月19日特許公報発行)がなされ、その後、その特許について、異議申立人及川孝より平成15年11月19日付けで特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成16年8月20日に意見書の提出とともに訂正請求がなされたものである。

II.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
別紙「訂正の要旨」を参照のこと。

2.訂正の適否
2-1.訂正事項aについて
上記訂正事項aは、請求項1の「販売時間計数用タイマ」の記載に関して、「設定モード時に、前記販売量記憶装置に記憶された飲料吐出バルブの開時間を計数する販売時間計数用タイマ」を、「設定モード時に、飲料販売釦がONされた場合、前記販売量記憶装置に記憶された飲料吐出バルブの開時間を計数する販売時間計数用タイマ」と限定するものであって、当該構成は、願書に添付された明細書の段落【0019】に記載されている。また、請求項2、請求項3については、これらを削除する訂正がなされた。
したがって、この訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつまた、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正である。
そして、当該訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

2-2.訂正事項b〜oについて
また、その他の訂正事項b〜oは、明りょうでない記載の釈明及び誤記の訂正を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

2-3.むすび
したがって、上記訂正は、第120条の4第3項において準用する平成6年法改正前の第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、上記訂正を認める。

III.特許異議申立てについての判断
1.本件発明
上記II.で示したように上記訂正が認められることから、本件の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 飲料販売のための飲料販売釦と、各販売飲料に対する飲料販売量を飲料吐出バルブの開時間として記憶する販売量記憶装置と、飲料販売釦の操作によりその飲料販売釦に対するバルブ開時間のあいだ飲料吐出バルブを開にする飲料バルブ制御装置とを備えた飲料定量販売装置において、飲料販売量を設定するためのモードにするモード設定手段と、設定モード時に、飲料販売釦がONされた場合、前記販売量記憶装置に記憶された飲料吐出バルブの開時間を計数する販売時間計数用タイマと、設定モード時に、前記販売時間計数用タイマが飲料吐出バルブの開時間を計数するまでの、飲料販売釦による飲料販売中にその飲料販売を中止する飲料販売中止手段と、設定モード時に、前記販売時間計数用タイマが飲料吐出バルブの開時間を計数したときの、飲料販売釦による飲料販売完了後に飲料販売をつぎ足しする飲料販売つぎ足し手段と、設定モード時に、飲料吐出バルブの合計開時間を計数する実販売時間計数用タイマと、前記実販売時間計数用タイマにて計数された飲料吐出バルブの合計開時間を飲料販売釦に対する飲料販売量として前記販売量記憶装置に記憶する販売量登録手段とを備えたことを特徴とする飲料定量販売装置。」

2.取消理由通知で引用された刊行物に記載された発明
刊行物1(特開平2-242786号公報;特許異議申立人提出の甲第1号証)には、次のa〜cの事項が記載されている。
a.第2頁右上欄第12行〜左下欄第5行;「5は、吐出量を設定する設定モードか飲料を販売する販売モードかを切り換えるための設定/販売切換スイッチであり、6は、飲料を吐出させるスタート釦であり、7は、設定モード時、飲料の吐出を停止させるためのストップ釦である。5〜7の各スイッチ及び釦は、各飲料毎に設けられる。8は、設定モード時、スタート釦6のオンからストップ釦7のオンまでの時間を計時するとともに、販売時には、後述の吐出バルブVの開放時間を計時する、タイマーである。9は、タイマー8で計時された時間を吐出バルブVによる吐出時間として記憶するRAM(ランダムアクセスメモリ)である。10は、この装置を集中制御するCPUであり、制御に必用なプログラムを内部に備える。」

b.第2頁左下欄第11行〜右下欄第5行;「次のステップS2では、設定/販売切換スイッチ5の状態により、設定モードか販売モードかが判定され、設定モードであれば、ステップS2からステップS3へと進む。次にスタート釦6を押すと、ステップS3からステップS4、S5へと進み、リレーXのオンにより吐出バルブVが開にされてカップ1に飲料が吐出されるとともに、タイマー8が起動される。飲料の吐出により、カップ1に所定量が吐出されれば、今度はストップ釦7を押す。これにより、ステップS6からステップS7,S8へと進み、吐出バルブVの閉により、飲料の吐出が停止されるとともに、タイマー8の計時が停止される。そしてステップS9にて、タイマー8の計時時間がRAM9に記憶される。」

c.第2頁右下欄第8行〜第19行;「このようにして吐出量設定が終了すれば、設定/販売切換スイッチ5を販売側へ切り換えると、ステップS2からステップS10へ進む。ここで、スタート釦6を押すと、ステップS10からステップS11へと進み、今押した飲料に対する吐出時間がRAM9から読み出され、この時間がタイマー8にセットされることにより、ステップS12にて、吐出バルブVが開にされカップ1への飲料の吐出が開始される。次に、タイマー8がセットされた吐出時間を計時すれば、ステップS13からステップS14へ進み、吐出バルブVが閉にされ、飲料の吐出が停止される。」

上記記載事項によれば、刊行物1には次の発明が開示されているものと認められる。
「飲料販売のためのスタート釦6と、各販売飲料に対する飲料販売量を吐出バルブVの開時間として記憶するRAM9と、スタート釦6の操作によりそのスタート釦6に対するバルブ開時間のあいだ吐出バルブVを開にするCPUとを備えた飲料供給装置の吐出制御装置において、飲料販売量を設定するためのモードにする設定/販売切換スイッチ5と、設定モード時に、スタート釦6による飲料販売中にその飲料販売を中止するストップ釦7と、設定モード時に、吐出バルブVの開時間を計時するタイマー8と、前記タイマー8にて計時された吐出バルブVの開時間をスタート釦6に対する飲料販売量として前記RAM9に記憶させる飲料供給装置の吐出制御装置。」

また、刊行物2(実願昭62-124268号(実開昭64-31479号)のマイクロフィルム ;特許異議申立人提出の甲第2号証)には、次の発明が記載されているものと認められる。
「原料の吐出時間を設定するためのモードにする設定キー1と、設定モード時に、項目選択キー3(オン)による原料吐出中にその原料吐出を中止する項目選択キー3(オフ)と、設定モード時に、項目選択キー3(オフ)による吐出完了後に原料をつぎ足しする項目選択キー3(オン)と、設定モード時に、項目選択キー3のオン時間を計数するタイマTと、前記タイマTにて計数された項目選択キー3の合計オン時間を項目選択キー3に対する原料吐出時間としてRAMに記憶する記憶キー6とを備えたカップ式飲料自動販売機の制御装置。」

3.対比・判断
本件発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「スタート釦6」、「吐出バルブV」、「RAM9」、「CPU」、「飲料供給装置の吐出制御装置」、「設定/販売切換スイッチ5」、「ストップ釦7」、「タイマー8」、「RAM9に記憶させる」ものはそれぞれ、本件発明の「飲料販売釦」、「飲料吐出バルブ」、「販売量記憶装置」、「飲料バルブ制御装置」、「飲料定量販売装置」、「モード設定手段」、「飲料販売中止手段」、「実販売時間計数用タイマ」、「販売量登録手段」に相当する。
してみれば、本件発明と刊行物1記載の発明とは、次の[一致点]で一致し、[相違点]で相違するものと認められる。

[一致点]
飲料販売のための飲料販売釦と、各販売飲料に対する飲料販売量を飲料吐出バルブの開時間として記憶する販売量記憶装置と、飲料販売釦の操作によりその飲料販売釦に対するバルブ開時間のあいだ飲料吐出バルブを開にする飲料バルブ制御装置とを備えた飲料定量販売装置において、飲料販売量を設定するためのモードにするモード設定手段と、設定モード時に、飲料販売釦による飲料販売中にその飲料販売を中止する飲料販売中止手段と、設定モード時に、飲料吐出バルブの開時間を計数する実販売時間計数用タイマと、前記飲料吐出バルブの開時間を飲料販売釦に対する飲料販売量として前記販売量記憶装置に記憶する販売量登録手段とを備えたことを特徴とする飲料定量販売装置である点。

[相違点]
イ)本件発明は、「設定モード時に、飲料販売釦がONされた場合、前記販売量記憶装置に記憶された飲料吐出バルブの開時間を計数する販売時間計数用タイマ」を備えるが、刊行物1記載の発明は、これに相当する手段を備えない点。

ロ)飲料販売中止手段に係る構成について、本件発明は、「設定モード時に、前記販売時間計数用タイマが飲料吐出バルブの開時間を計数するまでの、飲料販売釦による飲料販売中にその飲料販売を中止する」ものであるのに対して、刊行物1記載の発明は、上記イ)記載のように「販売時間計数用タイマ」を備えないことから、「販売時間計数用タイマが飲料吐出バルブの開時間を計数するまで」という限定は付されておらず、単に、設定モード時において、飲料販売釦による飲料販売中にその飲料販売を中止するものである点。

ハ)本件発明は、「設定モード時に、前記販売時間計数用タイマが飲料吐出バルブの開時間を計数したときの、飲料販売釦による飲料販売完了後に飲料販売をつぎ足しする飲料販売つぎ足し手段」を備えるのに対して、刊行物1記載の発明は、これに相当する手段を備えない点。

ニ)実販売時間計数用タイマに係る構成について、本件発明は、「設定モード時に、飲料吐出バルブの合計開時間を計数する」のに対して、刊行物1記載の発明は、上記ハ)記載のように「飲料販売つぎ足し手段」を備えないことから、「合計開時間」というものが存在せず、単に、設定モード時に、飲料吐出バルブの開時間を計数するものである点。

ホ)販売量登録手段に係る構成について、本件発明は、「実販売時間計数用タイマと、前記実販売時間計数用タイマにて計数された飲料吐出バルブの合計開時間を飲料販売釦に対する飲料販売量として前記販売量記憶装置に記憶する」のに対して、刊行物1記載の発明は、上記イ)記載のように「販売時間計数用タイマ」を備えないことから、単に、実販売時間計数用タイマにて計数された飲料吐出バルブの開時間を飲料販売量として販売量記憶装置に記憶する点。

[相違点についての判断]
相違点イ)について
刊行物1記載の発明は、設定モード時において、スタート釦6が押された場合、ストップ釦7が押されるまでの吐出バルブの開時間を計数するタイマー8を備えるものであり、あらかじめ販売量記憶装置に記憶された飲料吐出バルブの開時間を計数する販売時間計数用タイマについてなんら教示するものではなく、また、当該販売時間計数用タイマを備えることの契機にも欠けるものである。さらに、「設定モード時に、飲料販売釦がONされた場合、前記販売量記憶装置に記憶された飲料吐出バルブの開時間を計数する販売時間計数用タイマ」を備える点については、刊行物2にも記載されていない。
そして、本件発明1は、上記相違点イ)に係る構成を備えることにより、設定モード時において、現在設定されている飲料販売量が適正であるか否かを確認することができるという顕著な効果を奏するものと認められる。
したがって、相違点イ)に係る本件発明の構成については、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
これより、本件発明と刊行物1記載の発明との他の相違点についての検討、判断を示すまでもなく、本件発明は、刊行物1、2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。
また、その他の異議申立理由及び証拠は、本件発明を取り消すべき理由として採用することができない。

4.むすび
以上のとおりであるので、異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
別掲 別紙 「訂正の要旨」

訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1を、次のとおり訂正するとともに、請求項2、請求項3を削除する。
「【請求項1】 飲料販売のための飲料販売釦と、各販売飲料に対する飲料販売量を飲料吐出バルブの開時間として記憶する販売量記憶装置と、飲料販売釦の操作によりその飲料販売釦に対するバルブ開時間のあいだ飲料吐出バルブを開にする飲料バルブ制御装置とを備えた飲料定量販売装置において、飲料販売量を設定するためのモードにするモード設定手段と、設定モード時に、飲料販売釦がONされた場合、前記販売量記憶装置に記憶された飲料吐出バルブの開時間を計数する販売時間計数用タイマと、設定モード時に、前記販売時間計数用タイマが飲料吐出バルブの開時間を計数するまでの、飲料販売釦による飲料販売中にその飲料販売を中止する飲料販売中止手段と、設定モード時に、前記販売時間計数用タイマが飲料吐出バルブの開時間を計数したときの、飲料販売釦による飲料販売完了後に飲料販売をつぎ足しする飲料販売つぎ足し手段と、設定モード時に、飲料吐出バルブの合計開時間を計数する実販売時間計数用タイマと、前記実販売時間計数用タイマにて計数された飲料吐出バルブの合計開時間を飲料販売釦に対する飲料販売量として前記販売量記憶装置に記憶する販売量登録手段とを備えたことを特徴とする飲料定量販売装置。」

訂正事項b
明細書の段落【0003】を、次のとおり訂正する。
「【発明が解決しようとする課題】しかし、販売量調整装置を用いる設定では、販売量が設定したい量になるまで調整とテスト販売を繰り返す必要があった。このため、手間がかかるうえに、飲料をむだに吐出していた。 」

訂正事項c
明細書の段落【0005】を、次のとおり訂正する。
「【課題を解決するための手段】この発明による飲料定量販売装置は、図1に示すように、飲料販売のための飲料販売釦Aと、各販売飲料に対する飲料販売量を飲料吐出バルブの開時間として記憶する販売量記憶装置Bと、飲料販売釦Aの操作によりその飲料販売釦Aに対するバルブ開時間のあいだ飲料吐出バルブを開にする飲料バルブ制御装置Cとを備えた飲料定量販売装置において、飲料販売量を設定するためのモードにするモード設定手段Dと、設定モード時に、飲料販売釦Aによる飲料販売中にその飲料販売を中止する飲料販売中止手段Eと、設定モード時に、飲料販売釦Aによる飲料販売完了後に飲料販売をつぎ足しする飲料販売つぎ足し手段Fと、設定モード時に、飲料吐出バルブの開時間を計数するタイマGと、計数された飲料吐出バルブの開時間を飲料販売釦Aに対する飲料販売量として記憶する販売量登録手段Hとを備える。」

訂正事項d
明細書の段落【0006】、【0007】を削除する。

訂正事項e
明細書の段落【0008】を、次のとおり訂正する。
「【作用】飲料販売量を設定するには、まずモード設定手段Dにより設定モードにする。次に飲料販売釦Aを押すことにより、この飲料販売釦Aに対する飲料販売量(例えばQml)に対応する飲料吐出バルブの開時間(t5秒)が販売量記憶手段Bから読み出される。そして、飲料販売中止手段Eを操作しなければ、開時間(t5秒)のあいだ飲料吐出バルブが開き、カップに飲料が販売(吐出)される。」

訂正事項f
明細書の段落【0009】を、次のとおり訂正する。
「しかし、t5秒間バルブが開いても、先述したように飲料吐出系の性能にはばらつきがあるので、規定量Qmlの飲料が販売されるとは限らない。そこで、カップに飲料が吐出されている間、吐出状況を目視しながら次のように操作する。t5秒が経過するまでに、例えばt4秒間の飲料吐出により規定量Qmlが販売されれば、その時点で飲料販売中止手段Eを操作する。この操作により飲料吐出バルブが閉じ飲料販売が終了する。この時、タイマGは飲料吐出バルブの開時間としてt4秒を計数している。この後、販売量登録手段Hを動作させることにより、t4秒がこの飲料に対応する販売飲料量として登録される。この販売飲料量は、販売量記憶手段Bの内容を更新登録してもよいし、あるいは別の記憶手段に登録してもよい。」

訂正事項g
明細書の段落【0011】〜【0015】を削除する。

訂正事項h
明細書の段落【0016】を、次のとおり訂正する。
「【実施例】図2は、この発明の一実施例を示す構成ブロック図である。1は装置全体を制御するCPU、2はCPU1の制御プログラムを格納するROM、3は各飲料に対する規定の販売量を飲料吐出バルブ11の開時間として記憶するRAM、4は以下の各機器に対する入出力部である。」

訂正事項i
明細書の段落【0019】を、次のとおり訂正する。
「上記のように構成した装置の動作を図3のフローチャートにより説明する。まず、モード設定釦8を押すと、飲料販売を設定するための設定モードになり、ステップS1からステップS2へ進む。次に、飲料販売釦(例えば5)を押すと、更にステップS3へ進み、販売時間計数用タイマT1が計時を始め、同時に飲料吐出バルブ11が開いて飲料販売が開始され、更に実販売時間計数用タイマT2が計時を始める。」

訂正事項j
明細書の段落【0022】〜【0032】を削除する。

訂正事項k
明細書の段落【0033】を、次のとおり訂正する。
「【発明の効果】この発明によれば、飲料販売量を設定する際に、飲料の吐出を中止させたり、つぎ足したりすることによって、カップに規定量の飲料を実際に販売させ、その時の販売時間をその飲料に対する販売量として登録するので、1回の販売操作で適正販売量を設定でき、設定作業が容易になるとともに、無駄な飲料吐出を最小限にすることができる。」

訂正事項l
明細書の段落【0034】を削除する。

訂正事項m
明細書の【図面の簡単な説明】を、次のとおり訂正する。
「【図1】この発明の飲料定量販売装置のクレーム対応図
【図2】この発明の実施例としての飲料定量販売装置の構成を示すブロック図
【図3】図1の発明に基づく動作を示すフローチャート」

訂正事項o
図面の図2、図3、図5、図6、図8、図9、図10を削除し、以下図番を繰り上げ、訂正前の図4を新たな図2とし、訂正前の図7を新たな図3とする。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
飲料定量販売装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 飲料販売のための飲料販売釦と、各販売飲料に対する飲料販売量を飲料吐出バルブの開時間として記憶する販売量記憶装置と、飲料販売釦の操作によりその飲料販売釦に対するバルブ開時間のあいだ飲料吐出バルブを開にする飲料バルブ制御装置とを備えた飲料定量販売装置において、
飲料販売量を設定するためのモードにするモード設定手段と、
設定モード時に、飲料販売釦がONされた場合、前記販売量記憶装置に記憶された飲料吐出バルブの開時間を計数する販売時間計数用タイマと、
設定モード時に、前記販売時間計数用タイマが飲料吐出バルブの開時間を計数するまでの、飲料販売釦による飲料販売中にその飲料販売を中止する飲料販売中止手段と、
設定モード時に、前記販売時間計数用タイマが飲料吐出バルブの開時間を計数したときの、飲料販売釦による飲料販売完了後に飲料販売をつぎ足しする飲料販売つぎ足し手段と、
設定モード時に、飲料吐出バルブの合計開時間を計数する実販売時間計数用タイマと、
前記実販売時間計数用タイマにて計数された飲料吐出バルブの合計開時間を飲料販売釦に対する飲料販売量として前記販売量記憶装置に記憶する販売量登録手段とを備えたことを特徴とする飲料定量販売装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、定量の飲料を販売する飲料定量販売装置に関する。
【0002】
【従来の技術】飲料定量販売装置では、カップに吐出される飲料の量は、カップの大きさや飲料の種類に応じて、販売データとしてあらかじめ装置内に記憶されていた。しかし、装置が同一の機種であっても飲料吐出系の性能にはばらつきがあるため、飲料販売にあたっては、装置ごとに適正な販売量を再設定する必要がある。この再設定のために、従来は、販売量調整装置を用いて、飲料販売量又は飲料吐出バルブの開時間を調整していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、販売量調整装置を用いる設定では、販売量が設定したい量になるまで調整とテスト販売を繰り返す必要があった。このため、手間がかかるうえに、飲料をむだに吐出していた。
【0004】この発明の目的は、調整中にカップに吐出された飲料の量をそのまま販売量として設定登録できる飲料定量販売装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明による飲料定量販売装置は、図1に示すように、飲料販売のための飲料販売釦Aと、各販売飲料に対する飲料販売量を飲料吐出バルブの開時間として記憶する販売量記憶装置Bと、飲料販売釦Aの操作によりその飲料販売釦Aに対するバルブ開時間のあいだ飲料吐出バルブを開にする飲料バルブ制御装置Cとを備えた飲料定量販売装置において、飲料販売量を設定するためのモードにするモード設定手段Dと、設定モード時に、飲料販売釦Aによる飲料販売中にその飲料販売を中止する飲料販売中止手段Eと、設定モード時に、飲料販売釦Aによる飲料販売完了後に飲料販売をつぎ足しする飲料販売つぎ足し手段Fと、設定モード時に、飲料吐出バルブの開時間を計数するタイマGと、計数された飲料吐出バルブの開時間を飲料販売釦Aに対する飲料販売量として記憶する販売量登録手段Hとを備える。
【0006】
【0007】
【0008】
【作用】
飲料販売量を設定するには、まずモード設定手段Dにより設定モードにする。次に飲料販売釦Aを押すことにより、この飲料販売釦Aに対する飲料販売量(例えばQml)に対応する飲料吐出バルブの開時間(t5秒)が販売量記憶手段Bから読み出される。そして、飲料販売中止手段Eを操作しなければ、開時間(t5秒)のあいだ飲料吐出バルブが開き、カップに飲料が販売(吐出)される。
【0009】しかし、t5秒間バルブが開いても、先述したように飲料吐出系の性能にはばらつきがあるので、規定量Qmlの飲料が販売されるとは限らない。そこで、カップに飲料が吐出されている間、吐出状況を目視しながら次のように操作する。t5秒が経過するまでに、例えばt4秒間の飲料吐出により規定量Qmlが販売されれば、その時点で飲料販売中止手段Eを操作する。この操作により飲料吐出バルブが閉じ飲料販売が終了する。この時、タイマGは飲料吐出バルブの開時間としてt4秒を計数している。この後、販売量登録手段Hを動作させることにより、t4秒がこの飲料に対応する販売飲料量として登録される。この販売飲料量は、販売量記憶手段Bの内容を更新登録してもよいし、あるいは別の記憶手段に登録してもよい。
【0010】また、規定のt5秒間飲料が吐出されても規定量Qmlが吐出されない時は、飲料販売つぎ足し手段Fをオンにして飲料をつぎ足す。そして、規定量が販売された時点で飲料販売つぎ足し手段Fをオフにする。この飲料販売つぎ足し手段Fのオン時間が例えばt1秒なら、飲料吐出バルブの合計開時間(t5+t1)秒がタイマGで計数され、飲料販売量として登録される。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【実施例】
図2は、この発明の一実施例を示す構成ブロック図である。1は装置全体を制御するCPU、2はCPU1の制御プログラムを格納するROM、3は各飲料に対する規定の販売量を飲料吐出バルブ11の開時間として記憶するRAM、4は以下の各機器に対する入出力部である。
【0017】5及び6は飲料販売釦である。7は、飲料販売釦5,6による飲料販売中に押せば飲料販売を停止し、飲料販売釦5,6による飲料販売完了後に押せばつぎ足しの販売を行う、中止/つぎ足し釦である。8は各飲料に対して適正な販売量を設定するモードにするためのモード設定釦、9は設定モード時に、釦5,6,7により実際に飲料を販売した合計時間、つまり、飲料吐出バルブ11の合計開時間をその飲料の販売量として、RAM3に更新記憶させるための記憶釦である。
【0018】10は販売リレーであり、この販売リレー10の接点Xを介して飲料吐出バルブ11が駆動される。また、CPU1は、RAM3に記憶されたバルブ開時間(販売量)を計時する販売時間計数用タイマT1と、飲料吐出バルブ11の実際の合計開時間を計時する実販売時間計数用タイマT2とを備えている。
【0019】上記のように構成した装置の動作を図3のフローチャートにより説明する。まず、モード設定釦8を押すと、飲料販売を設定するための設定モードになり、ステップS1からステップS2へ進む。次に、飲料販売釦(例えば5)を押すと、更にステップS3へ進み、販売時間計数用タイマT1が計時を始め、同時に飲料吐出バルブ11が開いて飲料販売が開始され、更に実販売時間計数用タイマT2が計時を始める。
【0020】ここで、飲料販売釦5に対して初期設定された飲料販売量を150ml、それに対応する飲料吐出バルブの開時間を5秒とする。その後、ステップS4で中止/つぎ足し釦7が押されたか、ステップS5でT1が5秒のバルブ開時間をカウントアップしたかが判定される。規定の5秒が経過するまでに、例えば4秒間の飲料吐出でカップに規定量が販売されたときは、その時点で中止/つぎ足し釦7を押すことにより、ステップS4からステップS6へ進む。ステップS6では、飲料販売が停止されると同時に、タイマT2の計時が停止する。そして、この場合、記憶釦9をオンにすると、ステップS10からステップS11へ進み、タイマT2で計時された4秒が飲料販売釦5の飲料販売量としてRAM3に登録される。
【0021】一方、規定の販売時間5秒間、飲料が吐出されてもカップに規定量が販売されなかったときは、ステップS5でタイマT1のカウンットアップとなり、ステップS5からステップS6へ進む。ステップS6では、飲料販売が停止されると同時に、タイマT2の計時が停止する。この後、飲料のつぎ足しのために、中止/つぎ足し釦7をオンにすれば、ステップS7からステップS8へ進み、飲料販売と同時にタイマT2の計時が再び開始される。この飲料販売により、1秒後にカップに規定量の飲料が販売されたのを確認したら、中止/つぎ足し釦7をオフにすることにより、ステップS7からステップS9へ進み、飲料販売が停止し、タイマT2の計時も停止する。この後、記憶釦9をオンにすれば、ステップS10かたステップS11へ進み、タイマT2に計時された時間(5+1)秒が飲料販売釦5の飲料販売量としてRAM3に登録される。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【発明の効果】この発明によれば、飲料販売量を設定する際に、飲料の吐出を中止させたり、つぎ足したりすることによって、カップに規定量の飲料を実際に販売させ、その時の販売時間をその飲料に対する販売量として登録するので、1回の販売操作で適正販売量を設定でき、設定作業が容易になるとともに、無駄な飲料吐出を最小限にすることができる。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の飲料定量販売装置のクレーム対応図
【図2】この発明の実施例としての飲料定量販売装置の構成を示すブロック図
【図3】図1の発明に基づく動作を示すフローチャート
【符号の説明】
1 CPU
2 ROM
3 RAM
4 入出力部
5 飲料販売釦
6 飲料販売釦
7 中止/つぎ足し釦
7A 中止釦
8 モード設定釦
9 記憶釦
10 販売リレー
11 飲料吐出バルブ
T1 タイマー
T2 タイマー
【図面】



 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-10-26 
出願番号 特願平6-187973
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B67D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石田 宏之  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 中村 則夫
山崎 豊
登録日 2003-03-14 
登録番号 特許第3407230号(P3407230)
権利者 富士電機リテイルシステムズ株式会社
発明の名称 飲料定量販売装置  
代理人 篠部 正治  
代理人 篠部 正治  
代理人 酒井 宏明  
代理人 酒井 宏明  

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