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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
管理番号 1111157
異議申立番号 異議2003-71226  
総通号数 63 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-12-17 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-05-12 
確定日 2004-12-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3344639号「チップボンディング装置」の請求項1ないし6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3344639号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第3344639号の発明についての出願は、平成7年6月5日に特許出願され、平成14年8月30日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、雨山範子より特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成16年9月10日に訂正請求がなされたものである。

II.訂正の適否について
1.訂正の内容
(1)訂正事項a
請求項1中の「前記チップ保持部を水平に保ったまま移送するチップスライダーを備えたチップ供給装置を装着したことを特徴とするチップボンディング装置。」を、
「前記チップ保持部を水平に保ったまま移送するチップスライダーを備えたチップ供給装置を装着し、前記チップスライダーが、チップ保持部に半導体チップが供給されるチップ供給位置と、チップ渡し位置とを往復動し得るように装着されており、かつ、前記チップスライダーが、ボンディング中においてチップ供給位置からボンディングヘッドに接近された一時停止位置に移動し、次いで、ボンディングツールが待機位置に移動されると、前記チップスライダーがチップ渡し位置に移動し得るように装着されていることを特徴とするチップボンディング装置。」と訂正する。
(2)訂正事項b
請求項5、6を削除する。
(3)訂正事項c
明細書段落【0006】中の「前記チップ保持部を水平に保ったまま移送するチップスライダーを備えたチップ供給装置を装着したことを特徴とするものである。」を、
「前記チップ保持部を水平に保ったまま移送するチップスライダーを備えたチップ供給装置を装着し、前記チップスライダーが、チップ保持部に半導体チップが供給されるチップ供給位置と、チップ渡し位置とを往復動し得るように装着されており、かつ、前記チップスライダーが、ボンディング中においてチップ供給位置からボンディングヘッドに接近された一時停止位置に移動し、次いで、ボンディングツールが待機位置に移動されると、前記チップスライダーがチップ渡し位置に移動し得るように装着されていることを特徴とするとするものである。」と訂正する。
(4)訂正事項d
明細書段落【0010】、【0011】を削除する。
(5)訂正事項e
明細書段落【0045】の「ボンディングサイクルの短縮化を図ることがてきる。」を、
「ボンディングサイクルの短縮化を図ることができる。加えて、チップ供給装置の小形軽量化を図ることができると共にチップスライダーの移動距離の短縮化を図ることができる。加えて、チップ供給装置の小形軽量化及びチップスライダーの移動距離の短縮化が図れると共にチップ渡し位置へのチップスライダーの迅速移動化を図ることがてきる。」と訂正する。
(6)訂正事項f
明細書段落【0049】、【0050】を削除する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)上記訂正事項aは、請求項1において、チップスライダーの移動について、請求項5、6に規定する要件を限定する、即ちチップスライダーがチップ供給位置からボンディングヘッドに接近された一時停止位置に移動し、次いで、チップ渡し位置に移動し得るように装着されていることを限定するものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。又該訂正は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)上記訂正事項bは、上記請求項1の訂正に基づき、請求項5、6を削除するもので、また上記訂正事項c〜fは、特許請求の範囲の訂正に基づき訂正後の請求項と整合するよう発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。そして、該訂正は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3.むすび
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.特許異議申立てについて
1.特許異議申立ての概要
特許異議申立人は、証拠として甲第1号証(実願平4-19181号(実開平5-72140号公報)のCD-ROM(以下、「刊行物」という))を提出し、訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反しており、また訂正前の請求項1〜6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反しており、これを取り消すべき旨主張する。

2.本件発明
本件特許第3344639号の請求項1〜4に係る発明は、上記のとおり訂正が認められたから、平成16年9月10日付けの訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】半導体チップを保持し、ボンディングステージに支持された回路基板に前記半導体チップをボンディングするボンディングツールを上下動し得るように装着したボンディングヘッドを、常にボンディング位置に位置されるように装着すると共に、前記半導体チップをチップ保持部に保持し、待機位置に移動されている前記ボンディングツールの下端下のチップ渡し位置に、前記チップ保持部を水平に保ったまま移送するチップスライダーを備えたチップ供給装置を装着し、前記チップスライダーが、チップ保持部に半導体チップが供給されるチップ供給位置と、チップ渡し位置とを往復動し得るように装着されており、かつ、前記チップスライダーが、ボンディング中においてチップ供給位置からボンティングヘッドに接近された一時停止位置に移動し、次いで、ボンディングツールが待機位置に移動されると、前記チップスライダーがチップ渡し位置に移動し得るように装着されていることを特徴とするチップボンディング装置。
【請求項2】チップスライダーがレールで案内されて水平方向のみに移動し得るように装着されていることを特徴とする請求項1に記載のチップボンディング装置。
【請求項3】チップスライダーのチップ保持部が、複数の半導体チップを保持し得るように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチップボンディング装置。
【請求項4】チップスライダーのチップ保持部が、半導体チップを真空吸着保持し得るように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のチップボンディング装置。」

3.刊行物の記載事項
(3a)「【請求項1】基板を固定するプレートと,このプレートを保持し且つ数値制御によりX方向に移動する第1の移動テーブルと,この第1の移動テーブルを保持し且つ数値制御によりY方向に移動する第2の移動テーブルとを備えたプレート位置設定用のX-Yステージを有し、前記プレートのボンディング位置に吸着ノズルで吸着した電子部品を搬入しその端子を加熱圧着する吸着ノズルを備えたヒートツールと,このヒートツールを支持し且つ加熱するヒータブロックと,このヒータブロックを介して前記ヒートツールをプレート側に押下するシリンダとを備えたボンディング装置において、前記被熱圧着物である半導体デバイスをY方向に移動して前記ボンディング位置近傍に搬入するデバイス搬入用移動テーブルを前記第2の移動テーブルに平行に装備するとともに、前記X-Yステージの移動を修正制御するための制御データを検知して所定の制御手段に入力するボンディング位置検知手段を前記第1の移動テーブルに装備したことを特徴とするボンディング装置。」
(3b)「【0001】【産業上の利用分野】本考案は、ボンディング装置に関し、特に、TAB-ICのような半導体デバイスを対象としたボンディング装置に関する。」
(3c)「【0006】【考案が解決しようとする課題】この従来のボンディング装置では、半導体デバイス58を図示しない画像処理ユニットで認識した後にボンディング位置まで移動させるため、移動による移動量の指令値と実際の移動量とに誤差が生じた場合には固定カメラではこれらを捕捉することができず、従って、ボンディング精度が低下するという不都合があった。
【0007】【考案の目的】本考案では、かかる従来例の有する不都合を改善し、とくに高精度を維持しつつボンディング作業を迅速に行い得るボンディング装置を提供することを、その目的とする。」
(3d)「【0009】【実施例】・・・この図1に示す実施例は、基板1を固定するプレート2と,このプレート2を保持し且つ数値制御によりX方向に移動する第1の移動テーブル3と,この第1の移動テーブル3を保持し且つ数値制御によりY方向に移動する第2の移動テーブル5とを備えたプレート位置設定用のX-Yステージ30を有している。また、吸着ノズルを備えプレート2のボンディング位置20に吸着ノズルで吸着した電子部品を搬入しその端子を加熱圧着するヒートツール11と,ヒートツール11を支持し且つ加熱するヒータブロック12と,このヒータブロック12を介してヒートツール11をプレート2側に押下するシリンダ11とを備えている。
【0010】そして、被熱圧着物である半導体デバイス8をY方向に移動してボンディング位置20近傍に搬入するデバイス搬入用移動テーブル6が前述した第2の移動テーブル5に平行に装備されている。さらに、X-Yステージ30の移動を修正制御するための制御データを検知して所定の画像処理ユニットに入力するボンディング位置検知手段としてのカメラ4が、前述した第1の移動テーブル3に装備されている。
【0011】・・・X-Yステージ30は、基板1を真空吸着させるプレート2と、プレート2を任意の位置へ移動させる第1の移動テーブル3と、・・・第2の移動テーブル5から成っている。
【0012】ボンディングヘッドは、半導体デバイス8を保持する吸着ノズル13と、吸着ノズル13を囲んでヒートツール14がありヒートツール14を固定し支持するヒータブロック12と、ヒータブロックに連絡されているシリンダ11と、シリンダ11を上下方向で任意の位置へ移動させる移動テーブル10から成っている。
【0013】移載部は、半導体デバイス8を保持する吸着ノズル9と、吸着ノズル9が固定されたブロック7と、ブロック7を固定し、かつ任意の位置へ移動させる移動テーブル6から成っている。
【0014】そして、半導体デバイス8を吸着ノズル9に保持させ、移動テーブル6にてボンディング位置20まで移動させる。次に、ボンディングヘッドの吸着ノズル13を下げ、半導体デバイス8に接触する位置で停止する。続いて、吸着ノズル13で吸引し、しかる後、吸着ノズル13で半導体デバイス8を保持した状態で上昇させる。その後、空の吸着ノズル9を元の位置へ戻し、X-Yステージにてカメラ4をボンディングヘッド中心軸の下方に移動させる。この時、カメラ4にて得られた基準位置に対する半導体デバイス8の中心のズレ量を画像処理ユニットで演算し、ズレ量を含んで基板1をX-Yテーブルにてボンディング位置20へ移動させる。そして、半導体デバイス8とヒートツール14を下降させ、ボンディングを行う。」
(3e)「【0015】【考案の効果】・・・本考案によると、ボンディングヘッドを上下移動のみで横移動させないようにすると共に基板のX-Yテーブルにカメラを固定させ、ワークを認識した後、基板移動の移動方向を一次元方向のみで行うようにしたので、ボンディング精度(半導体デバイスと基板の位置合わせの精度)を著しく向上させることができるという従来にない実用的なボンディング装置を提供することができる。」が記載されている。

4.対比判断
まず、本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という)が刊行物に記載された発明であるか否か検討する。
刊行物には、従来のボンディング装置は、ボンディング位置とデバイス吸引位置との間を移動するため、移動による移動量の指令値と実際の移動量とに誤差が生じた場合には、ボンディング精度が低下する(上記摘記事項(3c))ので、これを解消するために、ヒータブロックを介してヒートツールをプレート側に押下するシリンダとを備えたボンディング装置において、被熱圧着物である半導体デバイスをY方向に移動してボンディング位置近傍に搬入するデバイス搬入用移動テーブルを、移動テーブルに平行に装備するとともに、移動テーブル上のX-Yステージの移動を修正制御するための制御データを検知して所定の制御手段に入力するボンディング位置検知手段(カメラ)を第1の移動テーブルに装備したもの(上記摘記事項(3a)(3d))が記載されている。
しかしながら、本件発明1のチップスライダーに相当するデバイス搬入用移動テーブル6の操作などについて、刊行物には、半導体デバイス8を吸着ノズル9に保持させ、ボンディング位置20まで移動させ、次に、ボンディングヘッドは吸着ノズル13で半導体デバイス8吸引し、保持した状態で上昇するとともに、デバイス搬入用移動テーブル6の空の吸着ノズル9を元の位置へ戻すことは記載されているが、デバイス搬入用移動テーブルがボンディング中においてチップ供給位置からボンディングヘッドに接近された一時停止位置に移動することについては全く記載されておらず、両者はこの点で相違している。
そして、本件発明1では、この点でボンディングサイクルの短縮化を図ることができ、加えて、チップ供給装置の小形軽量化を図ることができると共にチップスライダーの移動距離の短縮化を図ることができ、チップ供給装置の小形軽量化及びチップスライダーの移動距離の短縮化が図れると共にチップ渡し位置へのチップスライダーの迅速移動化を図ることがてきるという技術的意義を有するものである。
したがって、本件発明1は、刊行物に記載された発明であるとすることはできない。

次に、上記相違点について検討する。
更に検討すると、刊行物には、従来のボンディング装置は、半導体デバイス58を図示しない画像処理ユニットで認識した後にボンディング位置まで移動させるため、移動による移動量の指令値と実際の移動量とに誤差が生じた場合には固定カメラではこれらを捕捉することができず、従って、ボンディング精度が低下するという不都合があった(上記摘記事項(3c))のを、ボンディングヘッドは、上下方向のみの移動とし、X-Yステージ30の移動を修正制御するための制御データを検知して所定の画像処理ユニットに入力するボンディング位置検知手段としてのカメラ4を、第1の移動テーブル3に装備し、ボンディングヘッドの吸着ノズル13で半導体デバイス8を吸引し、しかる後、吸着ノズル13で半導体デバイス8を保持した状態で上昇させ、X-Yステージにてカメラ4をボンディングヘッド中心軸の下方に移動させ、この時、カメラ4にて得られた基準位置に対する半導体デバイス8の中心のズレ量を画像処理ユニットで演算し、ズレ量を含んで基板1をX-Yテーブルにてボンディング位置20へ移動させて、半導体デバイス8とヒートツール14を下降させ、ボンディングを行うようにしたものである。
そして、デバイス搬入用移動テーブルの移動に関しては、刊行物には、ボンディングヘッドを吸着ノズル13で半導体デバイス8を保持した状態で上昇させ、その際に、デバイス搬入用移動テーブルを元の位置へ戻すことが記載されているのみである。
このことは、デバイス搬入用移動テーブルは、ボンディング位置と元の位置(半導体デバイス供給位置)との間の往復移動のみを意図し、該移動テーブルをボンディング中にボンディング位置の近傍に移動させて待機させ、ボンディング後にボンディング位置に移動させることを動機づけるものはない。
そうすると、刊行物の記載によっては、本件発明1の「チップスライダーが、ボンディング中においてチップ供給位置からボンディングヘッドに接近された一時停止位置に移動し、次いで、ボンディングツールが待機位置に移動されると、前記チップスライダーがチップ渡し位置に移動し得るように装着されていること」なる構成を当業者が容易に想到し得るものではない。
そして、本件発明1は、上記した構成により明細書に記載された、上記したとおりの刊行物の記載からは予測することのできない格別な効果を奏しているものである。
したがって、本件発明1は、刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

また、請求項2〜4に係る発明は、本件発明1を引用し、更に構成を限定するものであるから、上記と同じ理由によって、刊行物に記載された発明であるとも、刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

VI.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件請求項1〜4に係る発明の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
チップボンディング装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体チップを保持し、ボンディングステージに支持された回路基板に前記半導体チップをボンディングするボンディングツールを上下動し得るように装着したボンディングヘッドを、常にボンディング位置に位置されるように装着すると共に、前記半導体チップをチップ保持部に保持し、待機位置に移動されている前記ボンディングツールの下端下のチップ渡し位置に、前記チップ保持部を水平に保ったまま移送するチップスライダーを備えたチップ供給装置を装着し、前記チップスライダーが、チップ保持部に半導体チップが供給されるチップ供給位置と、チップ渡し位置とを往復動し得るように装着されており、かつ、前記チップスライダーが、ボンディング中においてチップ供給位置からボンディングヘッドに接近された一時停止位置に移動し、次いで、ボンディングツールが待機位置に移動されると、前記チップスライダーがチップ渡し位置に移動し得るように装着されていることを特徴とするチップボンディング装置。
【請求項2】 チップスライダーがレールで案内されて水平方向のみに移動し得るように装着されていることを特徴とする請求項1に記載のチップボンディング装置。
【請求項3】 チップスライダーのチップ保持部が、複数の半導体チップを保持し得るように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチップボンディング装置。
【請求項4】 チップスライダーのチップ保持部が、半導体チップを真空吸着保持し得るように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のチップボンディング装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶基板等の各種の回路基板に半導体チップをボンディングする為のチップボンディング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶基板等、各種の回路基板に半導体チップをボンディングするチップボンディング装置は公知である。
【0003】
例えば、特開平4-322492号公報若しくは特開平3-46244号公報においては、半導体チップを真空吸着保持し得るボンディングツールを上下動し得るように装着したボンディングヘッドを、左右のチップ供給位置とボンディング位置間を往復動し得るように上部レールに懸装し、かかるヘッドの移動制御によりチップ供給位置に移動されたボンディングツールで半導体チップを真空吸着保持し、次いで、それをボンディング位置に移動した後、この位置の回路基板にボンディングするチップボンディング装置が開示されている。このように、従来のチップボンディング装置は、ボンディングツールを装着したボンディングヘッドを、左右のチップ供給位置とボンディング位置間を往復動させる所謂、可動式ものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この可動式の装置においては、ボンディングヘッドが、その構造上、大型の重量物である為、高速に移動制御しようとすると、その停止時のショックにより振動が発生し、それが静止するまでの時間が比較的長くなって、これに起因してミクロン単位のボンディング精度が要求されるチップボンディングの迅速化、すなわち、短サイクルでのボンディングが妨げられていた。なお、チップボンディングの迅速化を図る為に、複数の半導体チップを同時に真空吸着保持し得るようにボンディングヘッドを構成すること等が検討されていたが、ボンディングヘッドの重量化防止の面からして、それが困難視されていた。
【0005】
本発明は、これ等の欠点に鑑み、それらを解消すべく鋭意検討の結果、ボンディングヘッドを、常にボンディング位置に位置されるように装着する一方において、このヘッドに対して半導体チップを供給する供給装置を装着することにより、ボンディングヘッドのボンデイングツールに対する半導体チップの供給を迅速に行うことができて、ボンディングサイクルの短縮化を図ることができることを見い出したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係るチップボンディング装置は、半導体チップを保持し、ボンディングステージに支持された回路基板に前記半導体チップをボンディングするボンディングツールを上下動し得るように装着したボンディングヘッドを、常にボンディング位置に位置されるように装着すると共に、前記半導体チップをチップ保持部に保持し、待機位置に移動されている前記ボンディングツールの下端下のチップ渡し位置に、前記チップ保持部を水平に保ったまま移送するチップスライダーを備えたチップ供給装置を装着し、前記チップスライダーが、チップ保持部に半導体チップが供給されるチップ供給位置と、チップ渡し位置とを往復動し得るように装着されており、かつ、前記チップスライダーが、ボンディング中においてチップ供給位置からボンディングヘッドに接近された一時停止位置に移動し、次いで、ボンディングツールが待機位置に移動されると、前記チップスライダーがチップ渡し位置に移動し得るように装着されていることを特徴とするものである。
【0007】
なお、チップスライダーは、レールで案内されて水平方向のみに移動し得るように装着されているのが好ましい。
【0008】
また、チップスライダーのチップ保持部は、複数の半導体チップを保持し得るように構成されているのが好ましい。
【0009】
また、チップスライダーのチップ保持部は、半導体チップを真空吸着保持し得るように構成されているのが好ましい。
【0010】
(削除)
【0011】
(削除)
【0012】
【作用】
図1において、チップ供給装置25の、半導体チップ1を保持したチップスライダー2が、ボンディングヘッド4の、上方の待機位置に移動されているボンデイングツール3の下端下のチップ渡し位置Eに移動されて来ると、ボンデイングツール3が、下方へ移動されてチップスライダー2上の半導体チップ1に軽く当接されて、かかるチップ1を真空吸着保持し、次いで、元の上方の待機位置(原点位置)にリターンされる。
【0013】
一方、空荷のチップスライダー2は、チップ渡し位置Eからチップ供給位置Dへ移動される。すると、ボンデイングツール3が再び下方へ移動され、図示されていない下方のボディングステージ上の回路基板に接近せしめられ、次いで、エアーシリンダー8のピストンロッド9が突出されて加圧伝達軸10が下方へ押し付けられる。その為、加圧伝達軸10によりボンデイングツール3が下方へ押されて所定のボンデイング圧力が付与され、従って、図示されていない回路基板に半導体チップ1を加熱圧着、すなわち、ボンデイングすることができる。
【0014】
なお、かかるボンデイング中において、半導体チップ1を保持したチップスライダー2が、チップ供給位置Dからボンディングヘッド4に接近された一時停止位置Cに移動され、そして、ボンディングを終えてボンデイングツール3が上方の待機位置(原点位置)へリターンされると、チップ渡し位置Eに移動される。その為、待機位置のボンディングツール3に対する半導体チップ1の供給を迅速に行うことができて短いサイクルで次々とボンディングすることができる。
【0015】
【実施例】
チップボンディング装置の全体的構成を示す正面図である図2において、チップローダ30は、チップトレー31中の半導体チップ1を真空吸着保持し、それをチップ供給位置Dのチップスライダー2に供給する。その際、X方向(左右方向)及びこの方向と直交するY方向(前後方向)に移動すると共に真空吸着パッド32をZ方向(上下方向)に移動させてチップトレー31中の半導体チップ1を真空吸着保持し、次いで、Fの所において吸着保持箇所の位置決めを行う。
【0016】
すなわち、これは、図3において示されているように、外形位置決めテーブル33の上面に装着されている一対のL字形のチップ押当板34間に半導体チップ1を位置させた状態において、チップローダ30をXY方向に微動させて半導体チップ1を両チップ押当板34に当接させるように行われ、これにより、半導体チップ1の中心部を真空吸着保持する。そして、その後、半導体チップ1をチップ供給装置25に供給するが、この供給は、チップ供給位置Dに移動されているチップスライダー2に対して行われる。
【0017】
なお、チップ供給装置25は、図4及びこの図の側面図である図5において示されているように、図示されていない装置フレームに装着されたスライダーブラケット35と、このブラケット35に水平に装着されたレール7と、スライダーブラケット35に回転し得るように装着されたネジ軸36と、このネジ軸36をサーボモータ37及び巻き掛け伝動手段(タイミングベルト及びタイミングプーリ)38を介して正逆回転駆動する駆動装置39と、レール7に摺動し得るように係合されると共にネジ軸36に螺着されたチップスライダー2とで構成されている。
【0018】
その為、駆動装置39によりネジ軸36を所定方向へ駆動回転させることによりチップスライダー2を、チップ供給位置Dとチップ渡し位置E間において往復動させることができるが、その際、チップスライダー2は、チップ保持部2aを水平に保ちながらレール7で案内されて移動される。なお、チップ保持部2aの上面に吸気孔2bが開口されていると共に、この吸気孔2bに連通された吸気口2cが側面に開口され、かつ、この吸気口2cに図示されていない真空ポンプに連結された耐圧ホースの一端が連結されている。
【0019】
また、このように構成されたチップ供給装置25は、図1において示されているように、上方の待機位置(原点位置)に移動された待機中のボンディングツール3の下端下のチップ渡し位置Eに、チップスライダー2を位置させ得るように装着されている。従って、チップ供給位置Dにおいて、チップローダ30によってチップスライダー2のチップ保持部2a上に半導体チップ1が供給されると、それを真空吸着保持してチップ渡し位置Eに移送することができる。なお、その際、ボンディングツール3を装着しているボンディングヘッド4に接近された一時停止位置Cにチップスライダー2が停止され、そして、所定時間経過後、チップ渡し位置Eに移動される。
【0020】
一方、ボンディングヘッド4は、常にボンディング位置Bに位置されるように装着、すなわち、他所に移動できないようにボンディング位置Bに装着されている。詳述すると、図1において、Zテーブル6及びブラケット用縦ガイド12は、図示されていない装置フレームに固着されていると共に、反力受け支柱13も、その下端が図示されていない装置フレームに固着されている。なお、Zテーブル6は、サーボモータ14によりネジ軸を回転させてピッチ送りするネジ軸送り機構(図示されていな)を備えているが、この機構にヘッドブラケット5が連携されている。従って、かかる機構を介してヘッドブラケット5が移動されると、これに装着されているボンデイングツール3及び加圧伝達軸10が一緒に移動される。
【0021】
また、ボンデイングツール3は、半導体チップ1を真空吸着保持し得ると共にヒータを内蔵し、図示されていないパルスヒータ制御装置により迅速に所定温度に加熱し得るように構成され、一対の弾性体(コイルバル)15を介してヘッドブラケット5に懸装、すなわち、ヘッドブラケット5に装着のピン16と、ボンデイングツール3に装着のピン17とに、弾性体(コイルバル)15が係止されている。なお、左側のA側にも同様に弾性体(コイルバル)15が係止されている。その為、ボンデイングツール3は、ヘッドブラケット5に装着されている一対のツール用縦ガイド18(図示されている側と対向する側にも装着されている)で案内されて上下方向に摺動することができる。
【0022】
また、加圧伝達軸10は、ヘッドブラケット3に装着されている軸受19により支持されているが、その下端がボンデイングツール3の上端に当接されて抜け止めされ、かつ、上端がヘッドブラケット3の上面上に一定長突出されるようにヘッドブラケット5を貫通して上下方向に摺動し得るように装着されている。
【0023】
従って、加圧伝達軸10を下方へ押し付けることにより、ボンデイングツール3を、左右のツール用縦ガイド18で案内して下方へ移動させることができると共に、かかる押し付けを解除することにより、上方の元の原点位置にリターンさせることができる。図1においては、この状態が示されている。
【0024】
また、シリンダーブラケット11は、ブラケット用縦ガイド12に摺動し得るように係合されていると共に弾性体(コイルバル)20を介して反力受け支柱13に懸装、すなわち、シリンダーブラケット11に装着のピン21と、反力受け支柱13に装着のピン22とに、弾性体(コイルバル)20が係止されている。なお、シリンダーブラケット11の上面側にはロードセル23が装着され、更に、その下面側に、ピストンロッド9を下方に突出し得るようにエアーシリンダー8が装着されているが、ロードセル23の上端は、反力受け支柱13に対して所定間隔に離別されていると共に、ピストンロッド9と加圧伝達軸10とボンデイングツール3とは、上下方向に同心的に位置され、かつ、ピストンロッド9と加圧伝達軸10とは、通常においては、互いに一定間隔に離別されている
その為、チップ供給装置25のチップスライダー2が、チップ渡し位置Eに移送して来る半導体チップ1を、ボンデイングツール3で真空吸着保持し、次いで、このツール3を一旦、上方の待機位置に移動せた後、下方へ移動させて、ボディングステージ40(図2参照)に支持されている回路基板41に接近せしめた後、エアーシリンダー8のピストンロッド9を突出させて加圧伝達軸10を下方へ押し付け、これによりボンデイングツール3が下方へ押されて所定のボンデイング圧力が付与され、従って、回路基板41に、半導体チップ1を加熱圧着、すなわち、ボンデイングすることができる。
【0025】
このように、ボンディングヘッド4を、常にボンディング位置Bに位置させるように装着する一方において、このヘッド4に対して半導体チップ1を供給するチップ供給装置25を装着しているので、ボンディングヘッド4のボンデイングツール3に対する半導体チップ1の供給を迅速に行うことができて、ボンディングサイクルの短縮化を図ることができる。また、チップ供給装置25を、レール7で案内されて移動されるチップスライダー2を装着した型式に構成しているので、チップ供給装置の小形軽量化を図ることができる。
【0026】
なお、チップ渡し位置Eに移送されて来た半導体チップ1をボンディングツール3が真空吸着保持して上方の待機位置に移動されると、空荷のチップスライダー2は、チップ渡し位置Eからチップ供給位置Dへ移動され、そして、半導体チップ1を真空吸着保持しているボンディングツール3が下方へ移動されてボンディングしている間に、続いてボンディングしようとする半導体チップ1を一時停止位置Cに移送して来る。
【0027】
引き続いて、ボンディングを終えたボンディングツール3が上方の待機位置に移動されると共に、ボンディング位置Bに位置決めされていた回路基板41が図2において示されているように、ボンディング位置Bの左側の退避位置Gに移送されるが、その際、回路基板41を支持しているボディングステージ40が所定に移動制御される。なお、ボディングステージ40は、XYθテーブルで構成されている。
【0028】
また、その後において、一時停止位置Cのチップスライダー2がチップ渡し位置Eに移動されると、ボンディングツール3が上方の待機位置から下方へ移動され、チップスライダー2上の半導体チップ1を真空吸着保持する。以下、このような工程の繰り返しにより、次々とボンディングことができるが、それに先行して、ボディングステージ40を左側の退避位置Gからボンディング位置Bに移動させて回路基板41をボンディング位置Bに移送させた状態において、ボンディングツール3により真空吸着保持されている半導体チップ1と、ボディングステージ40に支持されている回路基板41との精密位置決めが行われる。
【0029】
すなわち、待機位置に移動されたボンディングツール3が真空吸着保持している半導体チップ1のアライメントマークをCCDカメラ42で検出(撮像)し、次いで、CCDカメラ42を図2において示されているように、かかる撮像位置からボンディング位置Bの右側の退避位置Hに移動させた後、ボディングステージ40を左側の退避位置Gからボンディング位置Bに移動させて回路基板41をボンディング位置Bに移送した上で、この基板1のアライメントマークをCCDカメラ42で検出(撮像)し、そして、両アライメントマークの位置ずれ量を画像処理系内において算出して、その結果に基いてボディングステージ40を所定に微動制御して行われる。
【0030】
なお、CCDカメラ42は、これが装着されているXYZテーブルの移動制御を介して退避位置Hとアライメント検出位置(撮像位置)間を移動されると共に検出に適したレベルに所定に移動される。また、ボンデイングツール3は、これの下端側部に開口されている吸気通路(図示されていない)にその一端が連結されている耐圧ホースを経て吸気することにより、前記吸気通路と連通されるようにツール下端面(チップ吸着保持面)に開口されている吸気孔から吸気して半導体チップ1を真空吸着保持することができるが、かかる耐圧ホースの他端は、図示されていない真空ポンプに連結されている。
【0031】
また、半導体チップ1を真空吸着保持したチップスライダー2がボンデイングツール3の下方のチップ渡し位置Eに移動されて来ると、Zテーブル6の駆動によりヘッドブラケット5と一緒にボンデイングツール3が下方へ移動され、ツール下端面がスライダー2上の半導体チップ1に軽く当接される。すると、前記真空ポンプが駆動され、これにより半導体チップ1を真空吸着保持することができる。なお、その際、チップスライダー2における吸気は停止される。
【0032】
続いて、半導体チップ1を真空吸着保持し得たボンデイングツール3が、Zテーブル6の駆動によりヘッドブラケット5と一緒に上方の元の位置、すなわち、待機位置へ移動される。一方、空荷のチップスライダー2は、このチップ渡し位置Eからチップ供給位置Dへ移動される。なお、チップスライダー2は、常にチップ保持部2aを水平に保って移動される。
【0033】
そして、チップ供給位置Dで半導体チップ1を受け取り、ここからボンデイングツール3に接近された一時停止位置Cに移動する。なお、一時停止位置Cは可能な限りボンディングヘッド4に接近された位置が好ましく、この位置Cへの移動は、ボンデイングツール3が下方へ移動されてボンディングしている間に行われ、かつ、ボンデイングツール3がボンディングを終えて上方の原点位置へ移動、すなわち、待機位置に移動されると、一時停止位置Cからチップ渡し位置Eに移動される。
【0034】
また、半導体チップ1を真空吸着保持して上方の待機位置に移動されたボンデイングツール3は、次いで、Zテーブル6の駆動により、図示されていない下方のボディングステージ上の回路基板に接近せしめられ、そして、エアーシリンダー8によりボンディング圧力が付与される。なお、ボンデイングツール3が上方の待機位置(原点位置)に移動された状態においては、加圧伝達軸10の上端とエアーシリンダー8のピストンロッド9の下端とは一定間隔に離別されているが、エアーシリンダー8のピストンロッド9の突出により両者が当接され、加圧伝達軸10の下方への移動により、ボンデイングツール3に所定のボンディング圧力が付与される。
【0035】
更に、このようにしてボンデイングツール3に所定のボンディング圧力が付与されると、その反力が、ボンデイングツール3、加圧伝達軸10及びエアーシリンダー8のピストンロッド9を経てシリンダーブラケット11に作用する。すると、このブラケット11がブラケット用縦ガイド12で案内されて上方へ摺動され、シリンダーブラケット11の上面側のロードセル23が、反力受け支柱23に当接される。
【0036】
その為、シリンダーブラケット11とブラケット用縦ガイド12との係合箇所、及びZテーブル6とヘッドブラケット5との連携箇所に過大なモーメントが作用するのを防止することができ、もって、回路基板のボンディング面に対するボンディングツール3のチップ吸着保持面(ボンディングツールの下端面)の平行度を一定に保つことがことができて、従来のボンディングヘッドにおいては困難視されていた高精度のボンディングを確実に行うことができる。すなわち、10μ以下、特に、5μ以下の精度に加熱圧着することができる。
【0037】
加えて、チップスライダー2を、チップ渡し位置Eとチップ供給位置D間を往復動させるように装着しているから、チップスライダー2の移動距離を短くすることができると共に、ボンディングヘッド4に接近された一時停止位置Cで待機させて、ここからチップ渡し位置Eに移動させるようにしているから、チップスライダー2をチップ渡し位置に迅速に移動させることができ、かつ、チップスライダー2及びボンディングツール3を真空吸着型に構成しているから、大きさや形状の異なる各種の半導体チップ1を次々とボンディングすることができる。
【0038】
なお、ボンディングに際し、シリンダーブラケット11が過度に上方へ移動しようとすると、ロードセル23が反力を検出してボンディング圧力を一定に保つことができるが、このセル23により、加圧力の表示や加圧力の制御をすることもできるので、ボンディング条件を安定化させることができる共に、一段加圧だけでなく多段階の加圧(ステップ加圧)もすることができ、従って、安定したボンディング条件を選択することができ、更に、エアーシリンダー8も上下動されるので、ロードセル23で加圧力を測定することもできる。
【0039】
以下、ボンディングを終えると、エアーシリンダー8のピストンロッド9が没されて上方の原点位置へ移動され、かつ、前記真空ポンプによる吸気が停止されると共にZテーブル6の駆動により、ボンデイングツール3が上方の待機位置(原点位置)へ移動される。このようにして、次々とボンデイングすることができる。なお、加圧伝達軸10が短い場合においては、この軸10をピストンロッド9に連結しても同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
以上、本発明に係る一実施例について述べたが、本発明においては、ボンディングしようとする回路基板は、液晶基板のような透明基板に限定されず他の不透明の回路基板であってもよい。また、ロードセルは、これを装着する方が好ましいが省くこともでき、装着する場合においては、ボンディング圧力の付与時に反力受け支柱に当接されるように装着する態様以外に、ボンディング圧力が付与されていない時も軽く当接されているように、必要に応じて適宜の態様に装着することができる。
【0041】
また、チップ供給装置25は、チップスライダー2を一方向へ循環する型式に構成してもよいが、その移動距離の短縮化を図る為に、往復動させる型式の方が好ましい。また、チップスライダー2は、半導体チップ1を真空吸着保持する型式に構成すること以外に、チッブ保持部2aに、半導体チップ1を保持する為の所定形状の凹部又は凸状枠体を形成した型式に構成してもよい。しかし、これでは、大きさや形状が異なる各種の半導体チップ1に対応し得ないから、真空吸着保持する型式に構成するのが好ましく、かつ、ボンディングツール3に対する複数の半導体チップ1の同時供給化を図る為に、チッブ保持部2aを、複数の半導体チップ1を保持し得るように構成するのが好ましい。
【0042】
また、ボンディングヘッド4に関しても、半導体チップ1を真空吸着し得る限りにおいては他の型式、例えば、図6において示されている精密位置合せ用の微動ステージを組み込んだ型式に構成してもよい。これにおいては、ヘッドブラケット5に、精密位置合せ用の微動ステージであるXYθテーブル26の上部を構成しているXYテーブル26aが固着されていると共に、XYθテーブル26の下部を構成しているθテーブル26bにツールブラケット27が固着され、更に、このブラケット27にボンディングツール28が装着されている。
【0043】
なお、ボンディングツール28は、ボンディングヘッド4と同様に、半導体チップ1を真空吸着保持し得ると共にヒータを内蔵し、図示されていないパルスヒータ制御装置により所定温度に加熱し得るように構成されているが、これに形成されているガイド部28aが、ツールブラケット27に形成されている穴型の縦ガイド27aに摺動し得るように嵌挿されている。その為、Zテーブル6の駆動によりヘッドブラケット5が下方へ移動されると、このブラケッ5トと一体的に下方へ移動されるツールブラケット27に追従してボンディングツール28も同方向へ移動し、かつ、これと反対に、ヘッドブラケット5が上方へ移動されると、ボンディングツール28も同方向へ移動される。
【0044】
また、このようなボンディングツール3又は28を複数装着して複数の半導体チップ1を同時に又は交互にボンディングし得るように構成してもよいと共に、ボンディングツール3又は28とチップスライダー2との組み合わせ態様についても、半導体チップ1を一個づつ真空吸着保持するボンディングツール3又は28と、複数の半導体チップ1を保持するチップスライダー2との組み合わせ、或いは、複数の半導体チップ1を真空吸着保持するボンディングツール3又は28と、複数の半導体チップ1を保持するチップスライダー2との組み合わせ等、各種態様に設けてもよい。
【0045】
【発明の効果】
上述の如く、請求項1〜4に記載の発明によると、ボンディングヘッドのボンデイングツールに対する半導体チップの供給を迅速に行うことができて、ボンディングサイクルの短縮化を図ることができる。加えて、チップ供給装置の小形軽量化を図ることができると共にチップスライダーの移動距離の短縮化を図ることができる。加えて、チップ供給装置の小形軽量化及びチップスライダーの移動距離の短縮化が図れると共にチップ渡し位置へのチップスライダーの迅速移動化を図ることができる。
【0046】
加えて、請求項2に記載の発明によると、チップ供給装置の小形軽量化を図ることができる。
【0047】
加えて、請求項3に記載の発明によると、チップ供給装置の小形軽量化を図ることができると共に複数の半導体チップの同時供給化を図ることができる。
【0048】
加えて、請求項4に記載の発明によると、チップ供給装置の小形軽量化を図ることができると共に大きさや形状の異なる半導体チップの供給化を図ることができる。
【0049】
(削除)
【0050】
(削除)
【図面の簡単な説明】
【図1】
ボンディングヘッド装着部の斜視図である。
【図2】
チップボンディング装置の全体的構成を示す正面図である。
【図3】
半導体チップの真空吸着保持箇所の位置決め態様を示す斜視図である。
【図4】
チップ供給装置の斜視図である。
【図5】
図4の右側面図である。
【図6】
ボンディングヘッドの他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 半導体チップ
2 チップスライダー
2a チップ保持部
3 ボンディングツール
4 ボンディングヘッド
7 レール
25 チップ供給装置
28 ボンディングツール
B ボンディング位置
C 一時停止位置
D チップ供給位置
E チップ渡し位置
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-11-16 
出願番号 特願平7-162908
審決分類 P 1 651・ 113- YA (H01L)
P 1 651・ 121- YA (H01L)
最終処分 維持  
特許庁審判長 城所 宏
特許庁審判官 市川 裕司
影山 秀一
登録日 2002-08-30 
登録番号 特許第3344639号(P3344639)
権利者 東レエンジニアリング株式会社
発明の名称 チップボンディング装置  
代理人 伴 俊光  
代理人 伴 俊光  

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