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審決分類 審判 訂正 旧特126条1項1号 請求の範囲の減縮 訂正する G02F
審判 訂正 判示事項別分類コード:812 訂正する G02F
管理番号 1111838
審判番号 訂正2004-39227  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1985-12-17 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2004-10-06 
確定日 2005-01-05 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2029146号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2029146号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第2029146号発明(昭和60年5月17日特許出願、パリ条約による優先権主張1984年5月18日,仏国、平成8年3月19日設定登録)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち下記のとおり訂正することを求めるものである。

訂正事項a1:
訂正前の請求項1の「ホメオトロピック構造を有する液晶層」との記載を、「電極プレートに電圧が印加されない時にホメオトロピック構造を有する液晶層」と訂正する。
訂正事項a2:
訂正前の請求項1の「前記光線を偏光させる偏光手段」との記載を、「リニア偏光子と遅延プレートを含む、前記光線を偏光させる偏光手段」と訂正する。
訂正事項a3:
訂正前の請求項1の「鮮明なコントラストを得ることができるように」との記載を、「前記液晶層の複屈折を補償して鮮明なコントラストを得ることができるように」と訂正する。
訂正事項b:
訂正前の請求項3の「ホロメトロピック方向」との記載を、「ホメオトロピック方向」と訂正する。
訂正事項c:
訂正前の請求項6の「第3項または第6項」との記載を、「第3項または第5項」と訂正する。

2.当審の判断
そこで、上記訂正事項について検討する。
上記の訂正事項a1は、訂正前の請求項1における「ホメオトロピック構造を有する液晶層」との記載に、「電極プレートに電圧が印加されない時に」との限定を加え減縮するものである。
そして、上記訂正は、明細書の「このガラスプレート19、20は互いに平行であり、液晶層は電圧が透明電極に印加されないとき、ホメオトロピック構造をとるようにしてガラスプレート19、20の間に位置される。」(特公平7-66121号公報、3頁右欄39〜42行)及び「液晶層は、電圧が両電極間に印加されないとき、両ガラス板に垂直なホメオトロピック方向のホメオトロピック構造を持つように配置される。」(特公平7-66121号公報、5頁左欄2〜5行)との記載にも基づくものである。

上記の訂正事項a2は、訂正前の請求項1における「前記光線を偏光させる偏光手段」との記載に「リニア偏光子と遅延プレートを含む、」との限定を加え減縮するものである。
そして、上記の訂正は、明細書の「また、実施態様として、第1偏光手段と第2偏光手段とは、それぞれ、第1リニア偏光子と該第1リニア偏光子と前記組立体との間に設置の第1遅延プレートとからなる第1組と、第2リニア偏光子と該第2リニア偏光子と前記組立体との間に設置の第2遅延プレートとからなる第2組とを含み、」(特公平7-66121号公報、3頁左欄30〜35行)との記載に基づくものである。

上記訂正事項a3は、訂正前の請求項1における「鮮明なコントラストを得ることができるように」との記載に、「前記液晶層の複屈折を補償して」との限定を加え減縮するものである。
そして、上記訂正は、明細書の「すなわち、所定の観察面に対してそのホメオトロピック構造における複屈折を補償することにより、観察面内で斜め方向から観察した場合でも、高いコントラストを得ることができる。」(特公平7-66121号公報、3頁左欄7〜10行)との記載に基づくものである。

上記訂正事項bは、訂正前の請求項3の「ホロメトロピック方向」と記載された部分を、「ホメオトロピック方向」と訂正するものであるが、「ホロメトロピック」なる技術用語は無いことから、これが誤記であることは明らかであるばかりでなく、他の請求項の記載を参酌して、これが「ホメオトロピック」の誤記であることは明らかである。

上記訂正事項cは、訂正前の請求項6の「第3項または第6項」と記載された部分を、「第3項または第5項」と訂正するものであって、請求項6が同じ請求項を引用することはないから、これが誤記であることは明らかである。

よって、本件訂正は、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものであり、さらに願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。

また、他に独立して特許を受けることができない理由を発見しない。

3.むすび
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、当該法律による改正前の特許法第126条第1項ないし第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電界制御型液晶セル
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極プレートに電圧が印加されない時にホメオトロピック構造を有する液晶層とこの液晶層の両面に配設された電極プレートとを有する組立体からなり、その電極プレートの少なくとも一つは透明であり、前記組立体の両面の少なくとも一方が光線の入射面であり、前記組立体の入射面となる側にはリニア偏光子と遅延プレートを含む、前記光線を偏光させる偏光手段が設けられ、所定の観察面内で斜め方向から観察を行う場合に前記液晶層の複屈折を補償して鮮明なコントラストを得ることができるように、前記偏光手段と層厚とが選択されていることを特徴とする電界制御型液晶セル。
【請求項2】
前記組立体の両側に第1偏光手段と第2偏光手段とからなり、該第1偏光手段と該第2偏光手段とはホメオトロピック方向に伝搬される入射平面波に対して相互補償性を有する準楕円偏光子と等価であり、観察面がホメオトロピック方向に平行で、前記第1偏光手段と前記第2偏光手段とのそれぞれが前記観察面に対応して上方から斜めに入射する平面波に対して一種の楕円偏光を形成することが可能で、該楕円偏光の長軸は前記観察面に対して所定の角度を与えられ、前記液晶層の厚さは斜め方向から入射した平面波が当該液晶層を完全に横切ったときに、前記角度を相殺すべき厚さの2倍に等しいことを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の電界制御型液晶セル。
【請求項3】
第1偏光手段と第2偏光手段とは、それぞれ、第1リニア偏光子と該第1リニア偏光子と前記組立体との間に設置の第1遅延プレートとからなる第1組と、第2リニア偏光子と該第2リニア偏光子と前記組立体との間に設置の第2リニア遅延プレートとからなる第2組とを含み、各リニア偏光子の最大吸収軸は、前記液晶層のホメオトロピック方向に平行な観察面に直交する同一面に平行であり、かつ、前記最大吸収軸はホメオトロピック方向に直交し、各遅延プレートは、2個の中性軸がホメオトロピック方向に対して直角であり、かつ、該中性軸によって形成される二等分成分の一方は、実質的に対応するリニア偏光子の最大吸収軸にホメオトロピック方向に関して平行投影され、前記遅延プレートは、各遅延軸が同一面の一方側に局在化されるようにして配置され、かつ、遅延プレートはホメオトロピック方向に対応して伝搬する入射平面波が相互補償される準円偏光子として振舞うように選定されていることを特徴とする特許請求の範囲第2項に記載の電界制御型液晶セル。
【請求項4】
2個の遅延プレートが単一のプレートに組み込まれ、単一プレートの中性軸によって形成される二等分線成分がホメオトロピック方向に関して実質的にリニア偏光子の最大吸収軸に平行投影されることを特徴とする特許請求の範囲第3項に記載の電界制御型液晶セル。
【請求項5】
少なくとも一方の電極プレートが液晶層を介して偏光手段とは反対側に位置されて反射面を備え、前記偏光手段はホメオトロピック方向に伝搬する入射平面波を円偏光させることが可能で、前記観察面はホメオトロピック方向に平行で、かつ、前記偏光手段は前記観察面内で斜めに入射する平面波に楕円偏光を与えて該楕円偏光の長軸が観察面と一定の角度を形成させ、かつ、液晶層は前記斜めに入射する平面波がその液晶層の厚さを透過し終ったときに前記楕円偏光の長軸と前記観察面との為す角度を相殺する厚さに選定されていることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の電界制御型液晶セル。
【請求項6】
各遅延プレートは二軸性媒体から製作され、最大進み軸がホメオトロピック方向に整合されていることを特徴とする特許請求の範囲第3項または第5項に記載の電界制御型液晶セル。
【請求項7】
各遅延プレートは追加の液晶セルから構成され、追加の液晶セルのセル壁に分子配向が平面的にホモジーニアスであることを特徴とする特許請求の範囲第3項または第6項に記載の電界制御型液晶セル。
【発明の詳細な説明】
本発明は、補償された複屈折性を備えたホメオトロピック構造を保有する液晶セルに関する。特に、本発明は、腕時計、小型電子計算器等の表示手段の製作に応用可能な液晶セルに関する。
各種の液晶表示手段、表示セルが従来から公知であり、第1図A、第1図B、第2図A、第2図Bはこの従来から知られている液晶表示セルの一例である。第1図A、第1図Bは模式的にねじれネマチックタイプの液晶セルを模式的に示している。その液晶セルはガラスプレート3、4間にねじれネマチック液晶層2を有する。そのガラスプレート3、4は図示を略す電極を担持している。また、直線偏光子5、6がそのガラスプレート3、4とネマチック液晶層2とからなる組立体の両側に配置されている。そのネマチック液晶層2はそれを形成する分子7が、その液晶セルが第1図Aに示すように不活性のとき、すなわち、電極間に電圧が印加されていないとき、ガラスプレート3、4に平行に配向するようにかつねじれ構造を有するようにして配置されている。そのねじれ構造は入射光受光用の直線偏光子5に望む分子群がその直線偏光子5の最大吸収軸に垂直でありかつ他の直線偏光子6に望む分子群がその直線偏光子6の最大吸収軸に平行である。それらの直線偏光子5、6の最大吸収軸はまた互いに垂直か平行である。最大吸収軸が垂直の場合には白地にポジティブの黒が得られ、最大吸収軸が平行な場合には黒地にネガティブの白が得られる。
液晶セルが光学的に活性されると、すなわち、適宜レベルの電圧が電極間に印加されると、液晶セルはホメオトロピック構造を有する。すなわち、分子7は第1図Bに示すようにガラスプレート3、4に垂直な方向8(いわゆるホメオトロピック方向という)に全て平行になる。
第2図A、第2図Bは電界制御複屈折タイプ液晶セルを模式的に示している。その液晶セルはガラスプレート10、11間にネマチック液晶層9を有する。そのガラスプレート10、11は図示を略す電極をそれぞれ備えている。ガラスプレート3、4とネマチック液晶層9とからなる組立体の両側には偏光子12、13が配設されている。この偏光子12、13は好ましくは円偏光子又は準円偏光子であり互いに補償的である。すなわち、偏光子12、13はこの偏光子12、13に垂直な方向に伝搬してこの偏光子12、13のそれぞれに入射する光波に対して逆向きの偏光方向(右回り又は左回り)を与えることができる。液晶セルが不活性のとき、液晶は第2図Aに示すようにそれを形成する全分子14がガラスプレート11、偏光子12に垂直な同一方向15(いわゆるホメオトロピック方向)に平行であるようなホメオトロピック構造を有する。液晶セルが励起されると、分子はホメオトロピック方向に角度αを為す方向に全て傾けられる。らせんネマチック又は電界制御複屈折タイプの液晶はそれらがホメオトロピック構造にあるときで斜めから観察されるとき、それらのコントラストが悪化し、これは観察角が増大するに伴って増大し、このコントラストが逆になり得るという不利益を被る。
本発明の目的は上記不利益を解消することを目的とする。
本発明に係わる電界制御型複屈折セルは、上記の課題を解決するため、ホメオトロピック構造を有する液晶層とこの液晶層の両面に配設された電極プレートとを有する組立体からなり、その電極プレートの少なくとも一つは透明であり、前記組立体の両面の少なくとも一方が光線の入射面であり、前記組立体の入射面となる側には前記光線を偏光させる偏光手段が設けられ、所定の観察面内で斜め方向から観察を行う場合に鮮明なコントラストを得ることができるように、前記偏光手段と層厚とが選択されていることを特徴とする。
本発明によれば、斜め方向からの観察時に、ホメオトロピック方向を通過する楕円偏光の光波に関しての不活性が停止され、コントラストの劣化につながる楕円偏光の光波が改変される。すなわち、所定の観察面に対してそのホメオトロピック構造における複屈折を補償することにより、観察面内で斜め方向から観察した場合でも、高いコントラストを得ることができる。
例えば、この電界制御型複屈折セルの場合、70度ぐらいまでの観察角度に対して、コントラストが良好である。
なお、電極は液晶セルにより表示される情報の性質に応じて一又は二以上の役割を有する。
より好ましくは、組立体の一側が入射平面波を受け入れ、少なくともその一側に入射平面波を偏光させる手段を備える一方、液晶層の厚さと各偏光手段とにより補償が協働して行われる。
更には、前記組立体の両側に第1偏光手段と第2偏光手段と準楕円偏光子とからなり、ホメオトロピック方向に伝搬される入射平面波に対して相互補償性を有し、観察面がホメオトロピック方向に平行で、前記第1偏光手段と前記第2偏光手段とのそれぞれが前記観察面に対応して上方から斜めに入射する平面波に対して一種の楕円偏光を形成することが可能で、該楕円偏光の長軸は前記観察面に対して所定の角度を与えられ、前記液晶層の厚さは斜め方向から入射した平面波が当該液晶層を完全に横切ったときに、前記角度を相殺すべき厚さの2倍に等しいことを特徴とする。
また、実施態様として、第1偏光手段と第2偏光手段とは、それぞれ、第1リニア偏光子と該第1リニア偏光子と前記組立体との間に設置の第1遅延プレートとからなる第1組と、第2リニア偏光子と該第2リニア偏光子と前記組立体との間に設置の第2リニア遅延プレートとからなる第2組とを含み、各リニア偏光子の最大吸収軸は、前記液晶層のホメオトロピック方向に平行な観察面に直交する同一面に平行であり、かつ、前記最大吸収軸はホメオトロピック方向に直交し、各遅延プレートは、2個の中性軸がホメオトロピック方向に対して直角であり、かつ、該中性軸によって形成される二等分成分の一方は、実質的に対応するリニア偏光子の最大吸収軸にホメオトロピック方向に関して平行投影され、前記遅延プレートは、各遅延軸が同一面の一方側に局在化されるようにして配置され、かつ、遅延プレートはホメオトロピック方向に対応して伝搬する入射平面波が相互補償される準円偏光子として振舞うように設定されていることを特徴とする。
他の実施態様では、2個の遅延プレートが単一のプレートに組み込まれ、単一プレートの中性軸によって形成される二等分線成分がホメオトロピック方向に関して実質的にリニア偏光子の最大吸収軸に平行投影されることを特徴とする。
更に他の実施態様として、少なくとも一方の電極プレートが液晶層を介して偏光手段とは反対側に位置されて反射面を備え、前記偏光手段はホメオトロピック方向に伝搬する入射平面波を円偏光させることが可能で、前記観察面はホメオトロピック方向に平行で、かつ、前記偏光手段は前記観察面内で斜めに入射する平面波に楕円偏光を与えて該楕円偏光の長軸が観察面と一定の角度を形成させ、かつ、液晶層は前記斜めに入射する平面波がその液晶層の厚さを透過し終ったときに前記楕円偏光の長軸と前記観察面との為す角度を相殺する厚さに選定されていることを特徴とする第3図は観察面P(主読取り面)を示す模式図である。その観察面P内で透過性の電界制御複屈折タイプ液晶セル17のスクリーン16が読み取られる。液晶セル17のホメオトロピック方向Hはスクリーン16の平面に垂直である。観察面Pはスクリーンを見る者のもっともありそうな位置に対応し、スクリーンを見る者は観察面内でさまざな角度からスクリーンを見ることになる。観察面Pはスクリーン16に垂直であり、その結果ホメオトロピック方向Hに平行である。第3図はまた液晶セル17上の観察面Pに入射角iで入射する光の平面波の伝搬方向Dを示している。その入射角iは事実上活性媒体への入射角であり、その屈折率は一般に1.5に近く、この屈折率は直線偏光子、遅延プレート、液晶セル16の液晶層の屈折率に対応し、それらは後述する。
入射角iに対応する空気中の入射角は入射角iよりも大きい。伝搬方向Dはまた活性媒体内においての観察者に対する理論的伝搬方向でもある。
第4図は第3図に記載の液晶セルに関連する本発明に係わる液晶セルを模式的に示す分解斜視図である。この液晶セルはガラスプレート19、20の間に渡るネマチック液晶層18を有する。そのネマチック液晶層18の屈折率は約1.5である。これらのガラスプレート19、20は本質的にそれらの表面でよく知られているように振舞う。透明電極19a、20aはこれらの間に適宜電圧が印加されると、液晶層に直接接触する面はセルスクリーンに(図、文字、ドット等の)符号を生じさせる。このガラスプレート19、20は互いに平行であり、液晶層は電圧が透明電極に印加されないとき、ホメオトロピック構造をとるようにしてガラスプレート19、20の間に位置される。そのホメオトロピック方向はガラスプレート19、20に垂直である。液晶層の分子は透明電極の間に適宜な電圧が印加されると、ホメオトロポック方向に関して全て同一の方位を有する。この理由のため、本発明に係わり図4に詳述されている液晶セルは電界制御複屈折タイプ液晶セルの範疇に分類される。これは、第8図に詳述された本発明に従う液晶セルについても同様である。
この液晶セルは液晶層とガラスプレートとからなる組立体の両側に第1の直線偏光子21と第2の直線偏光子22とを有する。この直線偏光子21、22は共に板状である。直線偏光子21はガラスプレート19の側に設けられて入射光を受け入れる。液晶セルは更に第1遅延プレート23、第2遅延プレート24を有する。この第1遅延プレート23はガラスプレート19と直線偏光子21との間に位置される。第2遅延プレート24はガラスプレート20と直線偏光子22との間に位置される。直線偏光子21、22と遅延プレート23、24とはガラスプレート19、20に平行である。
直線偏光子21、22はまたその各最大吸収軸P1、P2が互いに平行になるようにかつ観察面Pに対して垂直でしかもホメオトロピック方向に平行な面Mに平行になるように向けられている。この面Mはホメオトロピック方向に平行な直線Δにおいて観察面Pと交差する。
遅延プレート23(24)は、その二つの中性軸、遅れ軸L1(L2)と進み軸R1(R2)の一方とは直線Δに垂直であり、これらの中性軸によって形成される二等分線成分の一方が、かつ、実質的に直線偏光子21(22)の最大吸収軸P1(P2)に直線Δに関して平行投影されるように位置される。他の進み軸R1′(R2′)は直線Δに平行である。
遅延プレートは同様にそれらの各遅れ軸L1、L2が平面Mを境にして互いに反対側に局在するように位置される。更に、遅延プレート23、24は、直線Δの方向に伝搬する入射平面波に関して、第1の直線偏光子と第1の遅延プレートとからなる組及び第2の直線偏光子と第2の遅延プレートとからなる組が互いに補償し合う準円偏光子として振舞うように選択される。
観察面P内の斜め入射の条件下で、ある定義が液晶層の複屈折性の補償に導くために、直線偏光子21、22と遅延プレート23、24とが組み合された液晶層18の厚さについて与えられる。この目的のため、平面P内の方向D(図3参照)の平面波と、互いに直交する座標軸X、Yからなる動座標(図5参照)が考慮される。その座標の交点Oは直線Δに属し、座標軸X,Yは互いに直線Δに垂直であり、座標軸Xは観察面Pに垂直である。このように、座標軸XYは直線Δに垂直な平面Nを定義する。座標軸Xと座標軸Xについて座標軸Yを角度iだけ回転させることにより演繹される座標軸Y′とからなる他の動座標が考慮される。このように、他の動座標XY′は方向Dに垂直な平面波пに含まれる。ここで、動座標XY′内の方向Dの平面波の展開について説明する。
まず、角度iが零度に対応する特殊な場合として人射角ゼロについて、すなわち、ホメオトロピック方向に伝搬する平面波が考慮される。第1の直線偏光子21を横切った後、第1遅延プレートの入射側で、平面波は図6Aに示すように軸Yに沿う直線偏光を有する。直線偏光はYに重ねて記載されている。遅れ軸I1と進み軸r1とは、平面N上での投影であり、遅れ軸L1及び進み軸R1に平行である。第1遅延プレート23の出射側では、準円偏光若しくは円に限りなく近い楕円であり、その準円偏光は図6Bに示すように正方形Rpに内接され、その各辺は実質的に等しく隣合う辺はそれぞれ中央で軸Xと軸Yとに直交している。
次に角度iがゼロでない場合(図3、図5の方向Dの平面波の場合)が考慮される。直線偏光子21を通過して第1遅延プレート23に入射する直前、平面波は直線偏光であり、それに対応する光振動は軸Y′に平行であり、その直線偏光は長方形R′pに両対角方向の一方において内接され、長方形R′pの長辺と短辺との中央直交線から軸I1、r1は構成され、軸I1は図7Aに示すように軸Y′に関して角度uを形成する。
第1遅延プレート23を離れるに従って、斜め入射の条件で出射する平面波は楕円偏光され、その楕円偏光は長方形R′pに内接される。その楕円の長軸は図7bに示すように軸I1に沿って延び、その短軸は軸r1に沿って延びる。
液晶層18のある厚さの方向へ平面波が伝搬するとき、楕円偏光の短軸と長軸とは軸Xと軸Y′に近づき、楕円の長軸と軸Y′との間の角度の値u′は図7Cに示すように値uよりも小さい。
このように、液晶層の固有の厚さe0があり、この液晶層の固有な厚さのもとで、楕円偏光の長軸と短軸とはそれぞれ軸Y′と軸Xとに局在化され、楕円の長軸と軸Y′との角度は図7Dに示すように結果的にゼロになる。
本発明では、液晶層18の厚さは固有な厚さe0の2倍の採用されている。それは当業者によって決定される(実験的にまたはデータジュミュレーションによって)。
このように、第2偏光子から離れるに従って平面波の全吸収が、角度iがゼロであろうとなかろうと存在する。従って、コントラストが斜めに入射に対して維持される。
遅延プレートを製造するためには一軸媒体よりも二軸媒体の方が好ましい。液晶層の高い光学的厚さを補償するに対して適正化される。進み軸R′1、R′2は進み軸R1R2よりも進むように選択される。
開示はするがこれに限定されるものでないが、遅延プレート23、24は200マイクロメートルの厚さのセルローズ二酢酸帯状片から形成され、それは、入射角ゼロの条件のもとで約150ナノメーターの光路差遅れを得るようにして抽出される。液晶はシッフ基族から中から選択され、液晶層は約5ミクロンの厚さに製造される。その光学的異方性は0.2に等しい(重屈折率は0.2)。また、フェニルシクロヘキサン群から液晶を選択することもでき、10ミクロンの厚さの液晶層を製造し、光学的異方性を0.1とすることもできる。
図8は本発明に係わる電界制御複屈折タイプ液晶セルであって反射タイプの展開図である。この液晶セルは平行ガラス板26、27の間に位置する液晶層からなる。一方のガラス板26はその表面に直接液晶層に臨んで、透明電極26aが設けられている。他方のガラス板27はその表面に直接液晶層に臨んで金属が設けられており、それにより光学的反射電極が形成されている。液晶層は、電圧が両電極間に印加されないとき、両ガラス板に垂直なホメオトロピック方向のホメオトロピック構造を持つように配置される。
図8に示された液晶セルは、また、ガラス板26、27に平行な板状の直線偏光子28を有し、入射光を受光するガラス板26の近傍で、遅延プレート29と共に、その直線偏光子28は両ガラス板と液晶層とからなる組立体の外側に配置されている。その遅延プレート29は直線偏光子28とガラス板26との間に配置され、この遅延プレート29は直線偏光子28とガラス板26とに平行である。直線偏光子28はその最大吸収軸P0がホメオトロピック方向に垂直でないばかりでなく、図3で定義されたそれと比較可能な位置を占有する観察面Pに対して垂直でないように配置される。最大吸収軸に平行で、観察面Pに垂直なしかもホメオトロピック方向Hに平行な平面M1が考慮され得る。平面M1はホメオトロピック方向と平行な直線Δに沿って観察面Pと交差する。遅延プレート29はその二個の中性軸(それらはその遅延プレート29の進み軸R0と遅れ軸L0とに対応する)が直線Δに垂直でかつそれらによって形成される角度の二等分線の一方が直線偏光子28上での直線Δに関して平行投影されるように位置され、最大吸収軸P0はその直線偏光子28上に示されている。更に、遅延プレート29は直線Δに沿って直線偏光子28に当たる平面波に関して円偏光子を形成するように選択される。
液晶層25の厚さは既に述べたように固有の厚さe0に等しく作られる。それから、光学的反射電極27Aは、図8に示すように、図4に示すガラス板19、20に平行な対称面п1と同じ役割を有し、対称面п1は液晶層18を厚さe0の二分の1に細分する。
このように、液晶層25の複屈折性が補償される。四分の一波長板が好ましくは遅延プレート29の製造に用いられる。直線偏光子28に当たる平面波で、金属電極27aで反射され、直線偏光子28から出て来る平面波の場合には、液晶層の複屈折性の補償、すなわち、当該直線偏光子28から離間する平面波の消光、は厳密に使用される遅延プレートの光学的遅れの4倍に等しい所定波長によって与えられる。
遅延プレート又はプレートは分子の平行ホモジニアスな方位を有する追加の液晶セルの補助により実現される。
図4、図8に関連して述べた複屈折性液晶層の補償は、いわゆる″外的″である。というのは、(それらの厚さという点を除いて)後者の作用なしにかつ液晶層の両側に適宜の手段を追加することによってもたらされるからである。
【図面の簡単な説明】
第1図Aと第1図Bとは、従来のねじれマネチック型液晶セルの構成図であり、第1図Aは電界印加前の状態を示し、第1図Bは電界印加により活性した状態を示す。
第2図A、第2図Bは、電界制御型液晶セルの構成図であり、第2図Aは電界印加前の状態を示し、第2図Bは電界印加により活性した状態を示す。
第3図は本発明に係わる電界制御型液晶セルと観察面との関係を示す説明図である。
第4図は本発明に係わる電界制御型液晶セルの第1実施例の分解斜視図である。
第5図は観察面とセルへの入射平面波との関係を示す模式図である。
第6図Aは第4図に示す液晶セルの第1遅延プレートの入射面に角度ゼロ度で入射する平面波の偏光状態を示す図である。
第6図Bは第1遅延プレートの出射面における平面波の偏光状態を示す図である。
第7図Aは第4図に示す液晶セルの第1遅延プレートの入射面に斜めの角度で入射する平面波の偏光状態を示す図である。
第7図Bは第7図Aに示す平面波の出射面における偏光状態を示す図である。
第7図Cは液晶層のある厚さを透過しきったときの前記平面波の偏光状態を示す。
第7図Dはその液晶層の複屈折性を補償するようにするための厚さと液晶層の半分を透過したときの偏光状態を示す図である。
第8図は本発明に係わる反射型の電界制御型液晶セルの斜視図を示す。2……液晶層
3、4、10、11、19、20、26、27……ガラスプレート
5、6、28……リニア偏光子
7……分子、8……方向
9、18、25……マネチック液晶層
12、13……偏光子
14……分子群、15……方向
16……スクリーン、17……電界制御型液晶セル
21……第1リニア偏光子(第1直線偏光子)
22……第2リニア偏光子(第2直線偏光子)
23、24、29……遅延プレート
19a、20a、26a……透明電極
27a……反射電極
H……ホメオトロピック方向
P、M、M1……平面
D……伝搬方向、i……入射角
P1、P2、P0……最大吸収軸
Δ……直線、L1、L2、L0……遅延軸
R1、R2、R0、R1′、R2′……進み軸
X、Y……直交軸、X′、Y′……他の直交軸
п……波面、RP、RP′……矩形
e0……厚さ、u、u′……角度
I1、r1……軸
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2004-12-20 
出願番号 特願昭60-104104
審決分類 P 1 41・ 811- Y (G02F)
P 1 41・ 812- Y (G02F)
最終処分 成立  
特許庁審判長 平井 良憲
特許庁審判官 稲積 義登
町田 光信
登録日 1996-03-19 
登録番号 特許第2029146号(P2029146)
発明の名称 電界制御型液晶セル  
代理人 園田 吉隆  
代理人 園田 吉隆  

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