• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1111901
審判番号 不服2002-23277  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-03-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-03 
確定日 2005-02-07 
事件の表示 平成 6年特許願第208719号「ヘテロ接合を有する半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 3月22日出願公開、特開平 8- 78664〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年9月1日の出願であって、平成14年11月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月3日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年12月3日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成14年12月3日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)について
[補正却下の決定の結論]
平成14年12月3日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)本件補正の内容
本件補正の内容は、特許請求の範囲を次のとおりに補正するとともに、発明の詳細な説明を補正するものである。
「【請求項1】 支持基板と、
前記支持基板上に形成された第1の半導体層と、
前記第1の半導体層の表面上に形成され、伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルが、前記第1の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルと異なる第2の半導体層と
を有し、
前記第1の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルに対応する前記第2の半導体層の伝導帯のエネルギ準位は、前記第1の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端よりも高く、前記第2の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルに対応する前記第1の半導体層の伝導帯のエネルギ準位は、前記第2の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端よりも高い半導体装置。
【請求項2】 さらに、前記支持基板と、前記第1の半導体層との間に形成され、前記第1の半導体層の電子親和力よりも大きな電子親和力を有する第3の半導体層を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】 さらに、前記第2の半導体層の表面上に形成され、前記第2の半導体層とショットキ接合を形成する導電体層を有する請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】 前記導電体層は、前記第2の半導体層の所定領域にのみ形成されており、さらに、前記第3の半導体層のうち前記導電体層の下方のチャネル領域の両端とそれぞれオーミック接触された2つの電極を有する請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】 さらに、前記第1の半導体層と前記第3の半導体層との間に、前記第1の半導体層に接して形成され、伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルが、前記第1の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルと異なる第4の半導体層を有する請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】 前記第2の半導体層から前記第1の半導体層を経由して前記第4の半導体層に流れる電流、及び前記第4の半導体層から前記第1の半導体層を経由して前記第2の半導体層に流れる電流が、伝導帯のエネルギ準位の差から期待される電流よりも少なくなるように前記第1、第2、及び第4の半導体層が構成されている請求項5に記載の半導体装置。」

(2)本件補正についての検討
(2-1)補正事項の整理
補正事項を整理すると以下のとおりである。
(補正事項1)
旧請求項1を削除する。
(補正事項2)
旧請求項2を請求項1に繰り上げるとともに、次のように補正する。
「支持基板と、
前記支持基板上に形成された第1の半導体層と、
前記第1の半導体層の表面上に形成され、伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルが、前記第1の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルと異なる第2の半導体層と
を有し、
前記第1の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルに対応する前記第2の半導体層の伝導帯のエネルギ準位は、前記第1の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端よりも高く、前記第2の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルに対応する前記第1の半導体層の伝導帯のエネルギ準位は、前記第2の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端よりも高い半導体装置。」
(補正事項3)
旧請求項3,4,5,6を、それぞれ請求項2,3,4,5に繰り上げる。
(補正事項4)
請求項6を追加する。
(補正事項5)
明細書の段落番号【0010】を
「【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体装置は、支持基板と、前記支持基板上に形成された第1の半導体層と、前記第1の半導体層の表面上に形成され、伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルが、前記第1の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルと異なる第2の半導体層とを有し、前記第1の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルに対応する前記第2の半導体層の伝導帯のエネルギ準位は、前記第1の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端よりも高く、前記第2の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルに対応する前記第1の半導体層の伝導帯のエネルギ準位は、前記第2の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端よりも高い。」に変更する。
(補正事項6)
明細書の段落番号【0011】を削除する。

(2-2)補正の適否についての検討
以下、補正事項1ないし6について順次検討する。
(2-2-1)補正事項1について
補正事項1は、旧請求項1を削除するものであるから、請求項の削除を目的とするものである。

(2-2-2)補正事項2について
補正事項2は、旧請求項1の削除に伴い、旧請求項2を請求項1に繰り上げるとともに、独立形式として記載したものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

(2-2-3)補正事項3について
補正事項3は、旧請求項1の削除に伴い、旧請求項3,4,5,6を請求項2,3,4,5に繰り上げるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

(2-2-4)補正事項4について
補正事項4は、新たな請求項を追加するものであるから、請求項の削除、補正前発明と産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である発明の構成に欠くことができない事項の範囲内において、その補正前発明の構成に欠くことができない事項の全部又は一部を限定するものである特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてする明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものでもない。

(2-2-5)補正事項5について
発明の詳細な説明の上記段落の補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面の記載から自明の事項の範囲内におけるものであるから、特許法第17条の2第2項で準用する同法第17条第2項の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内におけるものである。

(2-2-6)補正事項6について
補正事項6は、旧請求項1の削除するとともに、旧請求項2を請求項1に繰り上たことに伴い、発明の詳細な説明の上記段落を削除するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

(3)むすび
以上のとおり、補正事項4を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項第1号乃至第4号に規定される事項を目的とするものに該当しないから、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年12月3日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、以下のとおりのものである。
「支持基板と、
前記支持基板上に形成された第1の半導体層と、
前記第1の半導体層の表面上に形成され、伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルが、前記第1の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルと異なる第2の半導体層と
を有する半導体装置。」

(1)引用例
これに対して、原査定において拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平4-184940号公報(以下、「引用例」という。)には、第1図とともに、次のとおり記載されている。
「第1図(a)は本発明に係るAlGaAs/InGaAs系スードモルフィックHEMTのウェーハの帯構造図であり、第1図(b)は基底状態、第一励起状態及び第二励起状態の波動関数を示したグラフである。
第1図(a)の帯構造図は、横方向にウェーハ表面(左側)からの距離、縦方向に電子エネルギーをとっている。
図中3はGaAsからなるバッファ層であり、バッファ層3にはIn0.15Ga0.85Asからなる電子走行層2(厚み150Å)が接合されており、電子走行層2にはさらにn-Al0.22Ga0.78As層からなる電子供給層1(厚み300Å,n=2×1018cm-3)が接合されている。そして電子供給層1内には電子供給層1と電子走行層2とのヘテロ接合界面から100Åの距離であり、電子エネルギーの低い位置に、3分子層程度のAlAsからなる実空間遷移抑制層4(厚み10Å)が設けられている。なお、上述の電子供給層1、電子走行層2、バッファ層3及び実空間遷移抑制層4はMBE(Molecular BeamEpitaxy)法により形成される。」(第2頁左下欄第16行〜同頁右下欄第15行)

よって、引用例には、
「n-Al0.22Ga0.78As層からなる電子供給層と、
前記n-Al0.22Ga0.78As層からなる電子供給層内に形成されるAlAsからなる実空間遷移抑制層と
を有するAlGaAs/InGaAs系スードモルフィックHEMT。」
が記載されている。

(2)対比
本願発明と引用例に記載された発明(以下、「引用発明」という。)を対比すると、引用発明の「n-Al0.22Ga0.78As層からなる電子供給層」は、「AlAsからなる実空間遷移抑制層」により上層と下層に分割されているから、「n-Al0.22Ga0.78As層からなる電子供給層」の下層の表面上には、「AlAsからなる実空間遷移抑制層」が形成されており、また、「n-Al0.22Ga0.78As層からなる電子供給層」の下層と「AlAsからなる実空間遷移抑制層」とが半導体層であることは明らかであるから、引用発明の「n-Al0.22Ga0.78As層からなる電子供給層」の下層、「AlAsからなる実空間遷移抑制層」は、それぞれ、本願発明の「第1の半導体層」、「第2の半導体層」に相当する。
さらに、引用発明の「AlGaAs/InGaAs系スードモルフィックHEMT」が半導体装置であることは明らかであるから、引用発明の「AlGaAs/InGaAs系スードモルフィックHEMT」は、本願発明の「半導体装置」に相当する。
よって、両者は、「第1の半導体層と、
前記第1の半導体層の表面上に形成される第2の半導体層と
を有する半導体装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
本願発明では、支持基板を有しているのに対して、引用発明では、支持基板について記載されていない点。
[相違点2]
本願発明では、第2の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルが、第1の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルと異なっているのに対して、引用発明では、第1の半導体層及び第2の半導体層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルについて記載されていない点。

(3)判断
以下、上記相違点について検討する。
[相違点1について]
一般の半導体装置技術において、半導体層をGaAs基板等の支持基板上に形成することは、例えば、原審の拒絶理由通知書において引用した特開昭62-89365号公報(特に、第2図に関する説明参照)、特開平3-11767号公報(特に、第1図に関する説明参照)等に記載されているとおり、本願出願前より周知の技術であるから、引用発明において、上記周知技術を採用することは、当業者が通常実施し得る事項に過ぎない。
[相違点2について]
Al0.22Ga0.78Asの伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルがΓであること、及び、AlAsの伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルがXであることは、当業者にとって自明の事項であるから(必要であれば、赤崎勇著,「アドバンスト エレクトロニクスI-1 III-V族化合物半導体」,初版,株式会社培風館,1994年5月20日,p.188参照)、引例発明において、AlAsからなる実空間遷移抑制層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルは、n-Al0.22Ga0.78As層からなる電子供給層の下層の伝導帯のエネルギ準位の下端となる波数ベクトルと異なっている。
したがって、この点は、相違点を構成するものとはいえない。

よって、本願発明は、引用例に記載された発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本願は、請求項2ないし6に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおりに審決する。
 
審理終結日 2004-11-29 
結審通知日 2004-12-07 
審決日 2004-12-20 
出願番号 特願平6-208719
審決分類 P 1 8・ 571- Z (H01L)
P 1 8・ 572- Z (H01L)
P 1 8・ 574- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 573- Z (H01L)
P 1 8・ 561- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今井 拓也  
特許庁審判長 松本 邦夫
特許庁審判官 河合 章
河本 充雄
発明の名称 ヘテロ接合を有する半導体装置  
代理人 高橋 敬四郎  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ