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審決分類 審判 訂正 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) 訂正しない B32B
管理番号 1112063
審判番号 訂正2004-39165  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-09-18 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2004-07-15 
確定日 2005-02-04 
事件の表示 特許第2960174号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]請求の要旨
本件特許第2960174号(平成3年2月19日出願 平成11年7月30日設定登録)は、設定の登録がされた後、特許異議の申立てがなされ、取消理由を通知したところ、平成12年9月12日付けで訂正請求がなされ、その後、「訂正を認める。特許を維持する。」との特許異議の決定がなされ、訂正請求に係る訂正を認容して確定したことから、本件特許の明細書(以下、「特許明細書」という。)は、当該平成12年9月12日付け訂正請求により訂正された明細書であって、本件訂正審判の請求の要旨は、当該平成12年9月12日付け訂正請求により訂正された明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものである。

[2]訂正事項
審判請求書に添付された訂正明細書、及び審判請求書の「訂正の要旨」の項の記載によれば、平成12年9月12日付け訂正請求により訂正された明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載を以下のとおりに訂正するものである。

「【請求項1】 透明な熱可塑性樹脂シートがあらかじめ湾曲部分を有する製品形状に真空成形された透明成形体の裏面に、マニホールドを介してスプレーガンに供給された複数色のゲルコートから成る塗料を各塗料の吐出量を調節して硬化剤と外部混合させて吹き付けてなる石目調模様を有する塗膜が積層されてなることを特徴とする石目調模様付き成形体。」

[3]訂正拒絶理由
当審が平成16年 9月 1日付けで通知した訂正拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
本件審判請求に係る明細書又は図面の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当しないし、誤記の訂正を目的とするものでも明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。
したがって、本件訂正審判の請求は、平成6年改正特許法附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書の規定に適合しないことから、本件訂正審判の請求は認められない。

[4]当審の判断
願書に添付された明細書(以下、「特許明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1には、「【請求項1】 透明な熱可塑性樹脂シートがあらかじめ湾曲部分を有する製品形状に真空成形された透明成形体の裏面に、複数色の塗料を硬化剤と外部混合させて吹き付けてなる塗膜が積層されてなることを特徴とする模様付き成形体。」と記載されており、上記訂正は、「複数色の塗料を硬化剤と外部混合させて吹き付けてなる塗膜」を、「(1)マニホールドを介してスプレーガンに供給された複数色の(2)ゲルコートから成る塗料を(3)各塗料の吐出量を調節して硬化剤と外部混合させて吹き付けてなる石目調模様を有する塗膜」と、また、「模様付き成形体」を、「(4)石目調模様付き成形体」と、それぞれ訂正するものである。
(合議体注:(1)〜(4)の括弧付き数字番号は合議体が便宜のために付したものである。)

そこで、該訂正について検討するに、訂正(1)は、吹き付ける複数色の塗料がどのように供給されたものか規定するもので、具体的には、塗料を通常知られているところのマニホールドを介してスプレーガンに供給したものであると規定するものである。
しかしながら、このように、塗膜を形成する塗料を吹き付ける際に、塗料の供給経路(通常知られているところのマニホールド)と吹き付け手段(スプレーガン)を明確にして特定したからといって、成形体に積層される塗膜自体を何ら特定するものでもなければ、模様付き成形体を特定するものでもないから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正には該当しない。
また、請求項1に記載の模様付き成形体において、塗料の供給経路と吹き付け手段が記載されていないことを以て、その記載が明りょうでないといえないことは明かであるから、上記訂正(1)が明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正であるとも認められない。
さらに、訂正(1)が誤記の訂正を目的とする訂正にも該当しないことはいうまでもない。
よって、上記訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書きの規定のいずれにも適合しないので、当該訂正は認められない。

[5]請求人の主張について
当審が、平成16年 9月 1日付けで上記訂正拒絶理由を通知したところ、請求人は平成16年10月6日付けで意見書を提出した。
その意見書の中で、請求人は、本件訂正審判の請求が特許請求の範囲の減縮を目的とするものである旨について、以下の点のように述べている。
第1:「マニホールドを介する単頭ガン方式では、複数色の塗料はスプレーガン内で比較的早い時点で各色別に層状に流動している状態で接触するが、マニホールドを介しない多頭ガン方式では、複数色の塗料はスプレーガン外で比較的遅い時点で各色別に粒状に噴出している状態で接触する。
その結果、マニホールドを介する単頭ガン方式によれば、例えば4色の塗料を使用する場合にあっては、スプレーガン内で4色の塗料と各色が若干ながらも混合した6色の混合塗料とが層状に流動することとなって、スプレーガン外で初めて各色の塗料が吐出しつつ混合する、マニホールドを介しない多頭ガン方式に比して、より一層色彩に変化があり、深みのある石目調模様を有する塗膜を形成することができる。
以上のように、訂正(1)の如く、複数色の塗料をマニホールドを介してスプレーガンに供給されたものと規定することによって、成形体に積層される塗膜は、単頭ガン方式によって形成される塗膜であると特定することができ、さらに、その塗膜は、色彩に変化があり、深みのある石目調模様を有する塗膜であると特定することができるから、訂正(1)は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する、と思量する。」(意見書第2頁17行〜第3頁3行)
第2:「請求項1に係る訂正は、成形体に積層される塗膜を、訂正(1)、(2)及び(3)を一体的に関連付けて特定するものであり、それによって、成形体に積層される塗膜は、石目調模様の色彩及び形状に変化があり、バラエティーに富んだ石目調模様を有する塗膜であると特定することができるから、請求項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する、と思量する。」(第4頁2〜7行)とし、
第2-1:「複数色の塗料をマニホールドを介してスプレーガンに供給されたものと規定することによって、成形体に積層される塗膜は、単頭ガン方式によって形成される塗膜であると特定することができ、さらに、その塗膜は、色彩に変化があり、深みのある石目調模様を有する塗膜であると特定することができる。」(第3頁14〜18行)
第2-2:「複数色の塗料をゲルコートから成るものと規定することによって、複数色の塗料は、比較的粘度の高い塗料であることを特定することができ、単頭ガン方式によれば、例えば4色の塗料を使用する場合にあっては、スプレーガン内で4色の塗料と各色が若干ながらも混合した6色の混合塗料とが層状に流動することを保証することができる。」(第3頁19〜23行)
第2-3:「複数色の塗料を各塗料の吐出量を調節して吹き付けるものと規定することによって、複数色の塗料は、スプレーガンから同時に吹き付けられるものであると特定することができ、各塗料の吐出量を調節することによって、石目調模様の色彩及び形状を種々変化させることができるから、成形体に積層される塗膜は、石目調模様の色彩及び形状に変化があり、バラエティーに富んだ石目調模様を有する塗膜であると特定することができる。」(第3頁24行〜第4頁1行)
第3:「請求項1に係る訂正は、成形体に積層される塗膜について、その模様を特定するものであるが、石目調模様というものは、これを構成する材料、色彩、形状等のみから特定できるものではなく、どうしても、石目調模様を構成するに至る工程、条件等をも含めて特定せざるを得ない。
よって、請求項1に係る訂正は、物の発明にも係わらず、多分に作用的記載を含むものとなってはいるが、発明の詳細な説明及び図面の記載に特許出願時の技術常識を加味して判断した時、当業者が明確に発明の範囲を理解できる限りにおいては、許容されるべきと考える。」(第4頁8〜15行)

ところで、塗料の吹き付けについて、特許明細書中には「また、この塗料の吹き付としても、図4に示すように、単頭ガン方式によって行うことができる。すなわち、4個のタンクに分け入れられた4色の塗料30を、マニホールド31を介してスプレーガン32に供給し分け、このスプレーガン32に供給された塗料30を霧化エア33の圧力で噴出させる。同時に、この噴出される塗料30を、他のタンクから噴射される硬化剤34と外部混合させ、透明成形体2に塗布するものである。」(段落【0014】)こと、「吹き付けの方法としては、この単頭ガン方式に限定するものではなく、各色毎にスプレーガン32を備えた多頭ガン方式によって行ってもよい。また、図4では4色の塗料30による吹き付けを例示しているが、塗料の色数としては何色であってもよい。このスプレーガン32による吹き付けによって、作業を効率良く行うことができる。その上、各塗料30の吐出量を調節することにより、天然材料である石目調の模様等は勿論、天然にないバラエティーにとんだ綺麗な石目調の模様が得られる。」(段落【0015】)と、また、本件特許発明の作用として、「【0009】 【作用】 本発明の模様付き成形体は、透明成形体の裏面に、複数色の塗料を吹き付けてなる塗膜を積層しているので、この透明成形体を通して見られる塗膜の模様に深みが得られることとなる。」(段落【0009】)と記載されている。
合議体注:引用文中の下線は合議体が便宜のために付したものである。

上記特許明細書の記載に基づいて、以下、各主張について検討する。

第1について、
特許明細書中では、模様付けにおいて塗料の吹き付け方法として、単頭ガン方式と多頭ガン方式とは同列に記載されるとともに、このスプレーガンによる吹き付けによって、作業を効率よく行えるということが記載されている(上記段落【0014】、段落【0015】参照)にすぎず、請求人が主張するような「マニホールドを介する単頭ガン方式では、複数色の塗料はスプレーガン内で比較的早い時点で各色別に層状に流動している状態で接触する」という記載はないし、複数色の塗料を同じ供給路に同時に供給することを示唆する記載もない。また、その吹き付け方法の相違によりバラエティーに富んだ模様が得られること、及び4色の塗料を使用する場合にあっては、スプレーガン内で4色の塗料と各色が若干ながらも混合した6色の混合塗料とが層状に流動することとなって、スプレーガン外で初めて各色の塗料が吐出しつつ混合するといったことは、特許明細書の発明の詳細な説明には記載されていない。
特許明細書には、段落【0009】に「透明成形体を通して見られる塗膜の模様に深みが得られる」との記載はあるが、マニホールドを介してスプレーガンに供給したことで、その塗膜は、色彩に変化があり、深みのある石目調模様を有する塗膜であると特定できるとする記載はない。
以上のとおり、請求人の主張は、明細書の記載に基づかない主張であって、根拠がないのであるから、主張は到底採用できない。

第2ないし第2-3について
特許明細書中では、透明成形体を通して見られる塗膜の模様に深みが得られることが記載されているだけで、上記「第1について」で述べたように、吹き付け方式により色彩に変化があり、深みのある石目調模様の塗膜になるというようなことは、明細書には記載されていないから、第2-1で単頭ガン方式によって形成される塗膜であると特定することができ、さらに、塗膜は、色彩に変化があり、深みのある石目調模様を有する塗膜であると特定することができる旨の主張は、明細書の記載に基づかない主張にすぎない。
上記「第1について」で述べたように、第2-2で、例えば4色の塗料を使用する場合にあっては、スプレーガン内で4色の塗料と各色が若干ながらも混合した6色の混合塗料とが層状に流動することを保証することができるとの主張は、明細書の記載に基づかない主張であるから、採用できない。
特許明細書中では、段落【0015】に「各塗料30の吐出量を調節することにより、天然材料である石目調の模様等は勿論、天然にないバラエティーにとんだ綺麗な石目調の模様が得られる。」と記載されているだけで、複数の塗料は、スプレーガンから同時に吹き付けられるなどとの記載は、特許明細書に記載されていないから、第2-3で、複数色の塗料を各塗料の吐出量を調節して吹き付けるものと規定することによって、複数色の塗料は、スプレーガンから同時に吹き付けられるものであると特定することができたとの主張は、明細書の記載に基づかない主張であるから、採用できない。
以上のことから、第2の主張のように訂正事項を一体的に関連づけるものとしても、「マニホールドを介してスプレーガンに供給した」と供給経路と吹き付け手段を特定してみても模様付塗膜を限定したとする根拠とならない。

第3について
「石目調模様を構成するに至る工程、条件等をも含めて特定せざるを得ない」と主張するが、本件特許発明は、特許明細書の記載にあるように、元々、一般的な石目調模様自体の模様に深みが得られるように製品形状に成形された透明成形体の裏面に塗料を吹き付けて石目調模様の塗膜を形成したもので、訂正内容のように、形成する塗料の供給経路や石目調模様を構成するに至る工程、条件等をも含めて吹き付け方法を特定しなければならないものとは認められない。
したがって、請求人の意見書中での主張は採用できない。

以上のとおりであるから、当審が平成16年8月31日付けで通知した訂正拒絶理由は妥当なものと認められる。

[6]むすび
したがって、本件訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書の規定に適合しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-12-03 
結審通知日 2004-12-06 
審決日 2004-12-20 
出願番号 特願平3-24488
審決分類 P 1 41・ 832- Z (B32B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鴨野 研一  
特許庁審判長 石井 淑久
特許庁審判官 石井 克彦
高梨 操
登録日 1999-07-30 
登録番号 特許第2960174号(P2960174)
発明の名称 模様付き成形体  
代理人 橋本 清  
代理人 橋本 清  
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