ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C08G |
---|---|
管理番号 | 1112922 |
異議申立番号 | 異議2003-71312 |
総通号数 | 64 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1994-09-13 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-05-19 |
確定日 | 2004-12-14 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3346870号「軟質フォームの製造方法」の請求項1ないし9に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3346870号の請求項1ないし2に係る特許を取り消す。 同請求項3ないし9に係る特許を維持する。 |
理由 |
〔1] 手続きの経緯 本件特許第3346870号の請求項1〜9に係る発明についての出願は、平成6年1月25日に特許出願され(パリ条約による優先権主張1993年2月2日、英国)、平成14年9月6日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について特許異議申立人旭硝子株式会社より特許異議の申立がなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年2月26日付けで特許異議意見書および訂正請求書が提出されたものである。 [2] 訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 特許請求の範囲の請求項1及び請求項3において、「20〜75重量%」とある記載を「20〜55重量%」と訂正する。 2.訂正の目的の適否、訂正の範囲の適否及び拡張・変更の存否 上記訂正事項は、ポリエーテルポリオールを製造する最初の段階で、開始剤に反応させる酸化プロピレンの量を「20〜75重量%」から「20〜55重量%」へと訂正するものであり、その上限の55%の数値は本件明細書の段落【0037】の例2に「…55重量%の開始剤に結合されるPOブロック(ポリオールにおけるEO及びPO単位の合計量に対する)を有するポリオールを得た。」との記載に基づくものである。 したがって、上記訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においての訂正であり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張・変更するものでもない。 3.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以後「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 [3] 本件発明 上記訂正の結果、訂正後の本件請求項1〜9に係る発明(以下、「本件発明1〜9」という。)は、訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 【請求項1】酸化アルキレン単位として酸化エチレン及び酸化プロピレン単位を含んで成るポリエーテルポリオールであって、2〜6の呼称平均ヒドロキシル官能価、16〜45mgKOH/gのヒドロキシル値、ヒドロキシル基の合計量に基づいて少なくとも50%の第一ヒドロキシル含有率、ポリオールにおける酸化アルキレン単位の重量に基づいて計算されて21〜49重量%の量の酸化エチレンを有し、そして開始剤及び最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて20〜55重量%の酸化プロピレン単位に等しい量の酸化プロピレンを反応せしめ、続いてそのようにして得られたポリオールと酸化エチレン及び酸化プロピレンの混合物とを反応せしめ、続いてそのようにして得られたポリオールと最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて10〜20重量%の酸化エチレン単位に等しい量の酸化エチレンとを反応せしめることによって調製されるポリオール。 【請求項2】請求項1記載のポリオールを含んで成るイソシアネート反応性組成物。 【請求項3】軟質ポリウレタンフォームの製造方法であって、ポリイソシアネート;酸化アルキレン単位として酸化エチレン及び酸化プロピレン単位を含んで成るポリエーテルポリオールを含んで成るイソシアネート反応性組成物、ここで前記ポリオールが2〜6の呼称平均ヒドロキシル官能価、16〜45mgKOH/gのヒドロキシル値、ヒドロキシル基の合計量に基づいて少なくとも50%の第一ヒドロキシル含有率、及びポリオールにおける酸化アルキレン単位の重量に基づいて計算されて21〜49重量%の量の酸化エチレンを有し、さらに前記ポリオールが、開始剤及び最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて20〜55重量%の酸化プロピレン単位に等しい量の酸化プロピレンを反応せしめ、続いてそのようにして得られたポリオールと酸化エチレン及び酸化プロピレンの混合物とを反応せしめ、続いてそのようにして得られたポリオールと最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて10〜20重量%の酸化エチレン単位に等しい量の酸化エチレンとを反応せしめることによって調製されるポリオールであり;及び他のイソシアネート反応性化合物100重量部当たり水4.5〜15重量部;を70〜110のイソシアネート指数で反応せしめることを含んで成る方法。 【請求項4】前記イソシアネート反応性組成物が、存在するなら、この計算において水を除外する少なくとも10重量%の量で請求項1記載のポリエーテルポリオールを含んで成ることを特徴とする請求項3記載の方法。 【請求項5】前記イソシアネート反応性組成物におけるポリエーテルポリオールが請求項1記載のポリエーテルポリオールから成ることを特徴とする請求項3又は4記載の方法。 【請求項6】前記ポリエーテルポリオールが2〜4の呼称平均ヒドロキシル官能価を有することを特徴とする請求項3〜5のいづれか1項記載の方法。 【請求項7】前記指数が75〜105であることを特徴とする請求項3〜6のいづれか1項記載の方法。 【請求項8】前記ポリエーテルポリオールにおける酸化エチレン含有率が21〜35重量%であることを特徴とする請求項3〜7のいづれか1項記載の方法。 【請求項9】前記水の量が他のイソシアネート反応性化合物100pbw(重量部)当たり4.5〜10pbwであることを特徴とする請求項3〜8のいづれか1項記載の方法。 [4] 特許異議申立の理由 特許異議申立人旭硝子株式会社の特許異議申立の理由の概略は以下のとおりである。 (1)本件発明1及び2は特許異議申立人の提出した甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。 (2)本件発明1及び2は特許異議申立人の提出した甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (3)本件発明3〜9は特許異議申立人の提出した甲第1号証と甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 [5] 取消の理由 当審において通知した上記取消しの理由の内容は、上記特許異議申立の理由により本件発明1〜9は、特許法第29条第1項第3号若しくは同条第2項の規定に違反して特許されたものである、というものである。 [6] 特許異議申立についての判断 I.刊行物の記載 特許異議申立人が提出し、取消しの理由で引用した刊行物は以下のとおりであり、それらの刊行物には次のことが記載されている。 刊行物1:特開昭57-209920号公報(特許異議申立人:旭硝子株式会社の提出した甲第1号証) 刊行物2:特開昭57-162715号公報(特許異議申立人:旭硝子株式会社の提出した甲第2号証) (なお、この他、参考資料1として、特許異議申立人が参考資料1として提出した特開昭50-1197号公報がある。) 1.刊行物1 (1-1) 「1.有機ポリイソシアネートとポリオールとを反応させてポリウレタンを製造する方法において、ポリオールの少なくとも一部として分子末端にポリオキシエチレン鎖を有し、非末端にオキシエチレン基とオキシプロピレン基からなるランダムポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテルポリオールを使用し水の不存在下またはポリエーテルポリオールに対し0.4重量%までの水の存在下に反応を行なうことを特徴とする高密度ポリウレタンの製法。 2.該ポリオキシエチレン鎖が全分子量の8〜30重量%を占める特許請求の範囲第1項記載のポリウレタンの製法。 … 5.該ポリエーテルポリオールが官能基数2〜6でOH価20〜50を有する特許請求の範囲第1〜4項の何れか記載のポリウレタンの製法。 6.該ポリエーテルポリオールと他の高分子ポリオールまたは/および鎖伸長剤を併用する特許請求の範囲第1〜5項の何れか記載のポリウレタンの製法。 … 8.高分子ポリオールおよび鎖伸長剤の合計重量に基づき2〜30%の量の鎖伸長剤を用いる特許請求の範囲第6または第7項記載のポリウレタンの製法。」(特許請求の範囲) (1-2) 「本発明はポリウレタンの製法、詳しくは改良されたキュアー性、剛性を有するポリウレタンの製造法、とくにリアクションインジェクションモールド法(以下RIM法と略す。)で成型した場合に優れたキュアー性、剛性を与えるポリウレタンの製法に関するものである。」(2頁左上欄15〜20行) (1-3) 「本発明で使用する上記ポリエーテルポリオールとしては上述のように少なくとも2個の活性水素原子を有する化合物(ベース化合物)またはそのアルキレンオキサイド付加物(ベースポリエーテル)にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの混合物を付加し、次いで必要によりアルキレンオキサイドを付加し、さらに末端にエチレンオキサイドを付加して得られるものが使用できる。このようなポリエーテルポリオールは次の一般式で示すことができる。 B-〔-(A1 O)a-(EO/PO)b-(A2 O)c-(EO)dH〕n 式中…EO/POはオキシエチレン基とオキシプロピレン基とからなるランダムポリオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、A1 OおよびA2 Oはオキシアルキレン基、a、b、c、d、は0または正の整数であって…。」(第3頁右上欄6行〜同頁左下欄6行) (1-4) 「上記ポリエーテルポリオールにおいて末端ポリオキシエチレン鎖-(EO)d-の含量は全分子量の少なくとも8%(重量%を表す。以下同様。)好ましくは10〜30%、さらに好ましくは12〜25%である。末端ポリオキシエチレン鎖含量が8%未満では反応性が小さくキュアー性、初期物性の良好なポリウレタンを形成することができず特にRIM法による成形の場合に満足な効果は得られない。また末端ポリオキシエチレン鎖含量が30%を越えるとキュアー性は向上するが粘度が高くなり室温より少し低い温度で白濁化し作業性が悪くなる。また物性的には温度特性や吸水性が悪くなる。」(3頁左下欄7〜19行) (1-5) 「またポリエーテルポリオール鎖中に有するランダムポリオキシアルキレン鎖-(EO/PO)b-におけるオキシエチレン基とオキシプロピレン基との割合(重量比)は通常90対10〜30対70で好ましくは80対20〜40対60でさらに好ましくは75対25〜45対55である。オキシエチレン基の割合が90を越えると結晶性が向上するため得たポリエーテルポリオールが寒冷時(室温より少し低い温度で)白濁化を起こす。また反応性が高くなりすぎるため成形品の表面状態に欠陥が発生し易くなる。反対にオキシエチレン基の割合が30%未満の場合は内部活性力が弱まりキュアー性が低下し成形品の初期物性が悪くなる。ポリエーテルポリオール中の上記ランダムポリオキシアルキレン鎖の含量は通常全分子量の少なくとも5%好ましくは5〜25%である。ランダムポリオキシアルキレン鎖の割合が全分子量の5%未満の場合は内部活性力が少なくキュアー性が低いため初期強度の小さい成型品しか得られない。25%を越えると成型品の吸水性が大きくまた反応性が高すぎるため成型品の表面状態に欠陥が生じ易い。上記ランダムポリオキシアルキレン鎖中に存在するオキシエチレン基が全分子量中に占める割合は通常1.5〜22.5%好ましくは2.0〜20%」(3頁右下欄6行〜4頁左上欄9行) (1-6) 「該ポリエーテルポリオール中の上記ランダムポリオキシアルキレン鎖の位置(エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド混合物の付加位置)は全分子量の60%より末端に入れるのが好ましい。すなわち該ポリエーテルポリオールの分子量に対するランダム付加前のベースポリエーテル(B-〔-(A1 O)aH〕n)の分子量の割合が60%以上となるようにするのが好ましい。上記ベースポリエーテルの形成に用いるアルキレンオキサイド(A1 O)としては通常プロピレンオキサイドが用いられる」(4頁左上欄10〜20行) (1-7) 「該ポリエーテルポリオールの全体に占めるオキシエチレン基の割合は通常10〜40%好ましくは15〜30%である。」(4頁右上欄15〜17行) (1-8) 「該ポリエーテルポリオールのOH価は20〜50が適当であり好ましくは22〜40である。OH価が20未満の場合は粘度が高くなり流れ性が悪くなる。またポリウレタン成型時に併用するグリコールとの反応性バランスが取りにくく良好な物性が得られない。OH価が50を越えるとポリウレタンの成型品は分子量が小さくなるため温度特性(とくに低温時の伸び、衝撃物性等)が低下する。」(4頁右上欄18行〜左下欄5行) (1-9) 「該ポリエーテルポリオールの官能基数(平均)は通常2〜6好ましくは2〜4である。 本発明のポリウレタン製造法を実施するに当たっては該ポリエーテルポリオールを単独でまたは他の高分子ポリオールまたは/および鎖伸長剤と併用して、有機ポリイソシアネートと反応させることにより行われる。」(4頁左下欄5〜12行) (1-10) 「本発明に従って該ポリエーテルポリオールを使用してポリウレタンを製造するに当り、発泡させてポリウレタンフォームを製造してもよく、発泡させずにポリウレタン樹脂(エラストマー、シーラント)を製造してもよい。前者の場合、生成ポリウレタン(フォーム)の全密度が通常0.7g/cm3 (好ましくは0.8g/cm3 以上)となるように発泡を行う。全密度が0.7g/cm3 より低くなると初期強度、温度特性の優れたポリウレタン樹脂は製造できない。」(6頁左上欄19行〜右上欄8行) (1-11) 「発泡剤としては水および/またはハロゲン置換脂肪族炭化水素系発泡剤(…)が使用できる。」(6頁右上欄11〜13行) (1-12) 「ポリイソシアネートと活性水素原子含有化合物(高分子ポリオール、鎖伸長剤、架橋剤、水)との割合は通常のポリウレタン(樹脂、フォーム)と同じでよい(NCO指数としてたとえば95〜120とくに100〜110)。」(6頁左下欄8〜12行) (1-13) 「II)触媒量が少なくてもキュアー性が優れているのでポリイソシアネートと反応させた際の粘度上昇が穏やかとなり、成型品中に流れ性不良により生ずる充填不足やボイドの生成などが避けられる。」(7頁右上欄19行〜左下欄2行) (1-14) 「ポリオールIII:グリセリン92部に、プロピレンオキサイド4072部、次いでエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを7対3の重量比で混合したものを1028部、続いてエチレンオキサイド900部を付加して得たOH価28のポリエーテルポリオール。 ポリオールIV:プロピレングリコール76部に、プロピレンオキサイド2724部、次いでエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを1対1の重量比で混合したものを400部、さらにエチレンオキサイド800部を付加して得たOH価28のポリエーテルポリオール。 ポリオールV:ペンタエリスリトール136部に、プロピレンオキサイド5612部、次いでエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを1対1で混合したもの2338部、続いてエチレンオキサイド1400部を付加して得たOH価24のポリエーテルポリオール。」(7頁右下欄15〜8頁左上欄12行) 2.刊行物2 (2-1) 「1.触媒、発泡剤および整泡剤の存在下に有機ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールとを反応させて軟質モールドポリウレタンフオームを製造する方法において、該ポリエーテルポリオールとして、(A)官能基数が2以上で分子の中間にオキシエチレンとオキシプロピレンのランダム鎖を有し、分子の末端に1ないし15重量%のオキシエチレン鎖を有する第1級OH含有ポリエーテルポリオール2ないし15重量%および(B)官能基数が2上で分子の中間にオキシプロピレン鎖またはオキシエチレンとオキシプロピレンのブロック鎖を有し、分子の末端に5ないし15重量%のオキシエチレン鎖を有する第1級OH含有ポリエーテルポリオール98ないし85重量%からなるポリエーテルポリオールを使用することを特徴とする軟質モールドポリウレタンフオームの製造法。 2.(A)が2個以上の活性水素原子を有する化合物にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドをランダム付加させ、分子末端に1ないし15重量%のオキシエチレン鎖を有するようにエチレンオキサイドを付加させて得られる第1級OH含有ポリエーテルポリオールである特許請求の範囲第1項記載の製造法。 … 5.発泡剤が水である特許請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の製造法。」(特許請求の範囲) (2-2) 「本発明で使用される(A)の官能基数が2以上で分子の中間にオキシエチレンとオキシプロピレンのランダム鎖を有し、分子の末端に1ないし15重量%のオキシエチレン鎖を有する第1級OH含有ポリエーテルポリオールとしては、2個以上の活性水素原子を有する化合物(以下、活性水素化合物という)にエチレンオキサイド(以下EOという)とプロピレンオキサイド 以下POという)をランダム付加させ、分子末端に1ないし15重量%のオキシエチレン鎖を有するようにEOを付加させて得られる第1級OH含有ポリエーテルポリオールがあげられる。」(2頁左下欄8〜19行) (2-3) 「(A)の分子末端のオキシエチレン鎖の含有量は1ないし15重量%、好ましくは2ないし10重量%である。含有量が1%未満ではフォームのキュアー性が悪くなり、15%をこえるとフォームが独立気泡になり好ましいとはいえない。また(A)の末端1級OH含有率は通常10ないし90%、好ましくは30ないし80%である。」(3頁左上欄18行〜右上欄4行) (2-4) 「(A)のOH価は通常30ないし90、好ましくは40ないし70である。」(3頁右上欄5〜6行) (2-5) 「発泡剤の使用量は発泡剤が水の場合はポリエーテルポリオール100部に対して通常1.0ないし5部」(4頁右上欄17〜18行) II.特許法第29条第1項第3号及び同条第2項についての判断 1.本件発明1について 本件発明1と刊行物1に記載された発明との同一性を検討するに当たり、本件発明1を以下の特定事項に分節して、それについて以下検討することにする。 即ち、本件発明1の特定事項を分節すると次のようになる。 「(A)2〜6の呼称平均ヒドロキシル官能価、 (B)16〜45mgKOH/gのヒドロキシル値、 (C)ヒドロキシル基の合計量に基づいて少なくとも50%の第一ヒドロキシル含有率、 (D)ポリオールにおける酸化アルキレン単位の重量に基づいて計算されて21〜49重量%の量の酸化エチレンを有し、 (E)開始剤及び最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて20〜55重量%の酸化プロピレン単位に等しい量の酸化プロピレンを反応せしめ、 (F)続いてそのようにして得られたポリオールと酸化エチレン及び酸化プロピレンの混合物とを反応せしめ、 (G)続いてそのようにして得られたポリオールと最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて10〜20重量%の酸化エチレン単位に等しい量の酸化エチレンとを反応せしめることによって調整される、 (H)酸化アルキレン単位として酸化エチレン及び酸化プロピレン単位を含んで成るポリエーテルポリオール。」 このように、本件発明1のポリエーテルポリオールは(E)、(F)及び(G)の3段階で開始剤に酸化アルキレンを付加して製造した構造のものである。 一方、刊行物1に記載された発明は、その請求項1に記載されているように、有機ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールを反応させてポリウレタンを製造する方法に係るものであり((1-1)参照)、そこで使用するポリエーテルポリオールは「2個の活性水素原子を有する化合物(ベース化合物)またはそのアルキレンオキサイド付加物(ベースポリエーテル)にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの混合物を付加し、次いで必要によりアルキレンオキサイドを付加し、さらに末端にエチレンオキサイドを付加して得られるものが使用できる。このようなポリエーテルポリオールは次の一般式で示すことができる。 B-〔-(A1 O)a-(EO/PO)b-(A2 O)c-(EO)dH〕n」((1-3)参照)とあるように、ベース化合物に3段階でポリアルキレンオキサイドを付加して製造される化学構造を有するものであると言うことができる〔(A2 O)cは上記のように任意〕。 このように、先ず両者の発明は開始剤ないしベース化合物に3段階で酸化アルキレンを付加する共通の製法ないし構造を有するものと言える。 そこで、上記の3つの段階で使用する化合物について検討する。 刊行物1のベース化合物は2個の活性水素原子を有するものであるから本件発明1の(最終ポリエーテルポリオールにおいて2〜6の呼称平均ヒドロキシル官能価を与える)開始剤に該当するものである。即ち本件発明の(A)の点は刊行物1記載のものと同一である。 刊行物1のアルキレンオキサイド付加物(A1 O)には通常はプロピレンオキサイドが使用されるのであるから((1-6)参照)、これは本件発明1で開始剤に(第1段階で)付加される酸化プロピレン(即ちプロピレンオキサイド)と一致している。 刊行物1の「エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの混合物」は言うまでもなく本件発明1の(第2段階で付加される)「酸化エチレンと酸化プロピレンの混合物」と同じである。即ち、本件発明の(F)の点は刊行物1記載のものと同一である。 刊行物1の最終段階で付加されるエチレンオキサイドは言うまでもなく本件発明1の(第3段階で付加される)酸化エチレンと同じである〔なお、刊行物1で(A2 O)cをもたらすアルキレンオキサイドは必要により用いられるものである。〕。 次に最終的に得られたポリエーテルポリオールのヒドロキシル価について検討する。 刊行物1のポリエーテルポリオールのOH価は20〜50が適当で好ましくは22〜40なのであるから((1-8)参照)、本件発明1の「(B)16〜45mgKOH/g」と重複一致している〔なお、OH価(ヒドロキシル価)は通常1g試料を中和するに要するKOHmg数で表される。必要ならばプラスチックエージ社「実用・プラスチック用語事典」参照〕。 更に刊行物1の実施例記載に基づいて最終的に得られたポリエーテルポリオールに於ける反応成分の使用割合等について検討する。 刊行物1の実施例にはポリエーテルポリオールIII〜Vの製造法が次のように記載されている((1-14)参照)。 「ポリオールIII:グリセリン92部に、プロピレンオキサイド4072部、次いでエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを7対3の重量比で混合したものを1028部、続いてエチレンオキシド900部を付加して得たOH価28のポリエーテルポリオール。 ポリオールIV:プロピレングリコール76部に、プロピレンオキサイド2724部、次いでエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを1対1の重量比で混合したものを400部、さらにエチレンオキサイド800部を付加して得たOH価28のポリエーテルポリオール。 ポリオールV:ペンタエリスリトール136部に、プロピレンオキサイド5612部、次いでエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを1対1で混合したもの2338部、続いてエチレンオキサイド1400部を付加して得たOH価24のポリエーテルポリオール。」 そこに記載された数値やそれから計算などによって導かれる数値を示すと下表のようになる。 表 ポリオール III IV V ヒドロキシル 3 2 4 官能価 ヒドロキシル値 28 28 24 (mgKOH/g) 全酸化アルキレン単位中 27.0 25.5 27.4 のEO単位量(重量%) 最終ポリエーテルポリオー 26.6 25.0 27.1 ル中のEO単位量(重量%) 酸化アルキレン単位合計量 67.9 69.4 60.0 中のPO単位量(重量%) 全酸化アルキレン単位中 15.0 20.4 15.0 第3段階で反応させる EO単位量(重量%) 最終ポリエーテルポリオー 14.8 20.0 14.8 ル中の第3段階で反応させる EO単位量(重量%) このような数値からすると、刊行物1記載の実施例では全酸化アルキレン単位中全EO単位量(重量%)は25.5〜27.4のものが示されているのであるから、この点は本件発明1の「(D)ポリオールにおける酸化アルキレン単位の重量に基づいて計算されて21〜49重量%の量の酸化エチレンを有し、」と一致している。 また、第3段階で付加されるエチレンオキサイドの全ポリアルキレンオキサイドに対する割合については、刊行物1の実施例では上記表に見られるように15.0〜20.4重量%であるから、この点は本件発明1の「(G)続いてそのようにして得られたポリオールと最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて10〜20重量%の酸化エチレン単位に等しい量の酸化エチレンとを反応せしめること」と一致している。 刊行物1記載の発明のポリエーテルポリオールが酸化アルキレン単位として酸化エチレン及び酸化プロピレン単位を含んだものであることは言うまでもないことであるから、この点は本件発明1の「(H)酸化アルキレン単位として酸化エチレン及び酸化プロピレン単位を含んで成るポリエーテルポリオール。」と一致する。 以上のことを纏めると、本件発明1と刊行物1に記載された発明は 「(A)2〜6の呼称平均ヒドロキシル官能価、 (B)16〜45mgOH/gのヒドロキシル値、 (D)ポリオールにおける酸化アルキレン単位の重量に基づいて計算されて21〜49重量%の量の酸化エチレンを有し、 (F)続いてそのようにして得られたポリオールと酸化エチレン及び酸化プロピレンの混合物とを反応せしめ、 (G)続いてそのようにして得られたポリオールと最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて10〜20重量%の酸化エチレン単位に等しい量の酸化エチレンとを反応せしめることによって調整される、 (H)酸化アルキレン単位として酸化エチレン及び酸化プロピレン単位を含んで成るポリエーテルポリオール。」の点で一致し、次の2点で相違している。 (イ)本件発明1が「(C)ヒドロキシル基の合計量に基づいて少なくとも50%の第一ヒドロキシル含有率」であることを要件とするのに対し、刊行物1記載の発明ではそのことについて記載がない点 (ロ)本件発明1が「(E)最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて20〜55重量%の酸化プロピレン単位に等しい量の酸化プロピレンを反応せしめ」ることを要件とするのに対し、刊行物1記載の発明ではそのことについて「該ポリエーテルポリオール中の上記ランダムポリオキシアルキレン鎖の位置(エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド混合物の付加位置)は全分子量の60%より末端に入れるのが好ましい。すなわち該ポリエーテルポリオールの分子量に対するランダム付加前のベースポリエーテル(B-〔-(A1 O)aH〕n)の分子量の割合が60%以上となるようにするのが好ましい。上記ベースポリエーテルの形成に用いるアルキレンオキサイド(A1 O)としては通常プロピレンオキサイドが用いられる」((1-5)参照)と記載され、実施例のポリオールVでは全アルキレンオキサイド中にPOが60重量%存在するものが示される点 そこでこの相違点について検討する。 (イ)について 参考資料1の4頁の「第1表」には、ポリオキシプロピレン鎖上に末端ポリオキシエチレン鎖が結合している多官能ポリエーテルポリオールとその一級ヒドロキシル率が記載されており、水酸基数3〜4、水酸基価が34〜56のポリオールにおいては、末端ポリオキシエチレン鎖が10〜30%のものは一級ヒドロキシル率が、55〜90%となっていることがわかるのであるから、水酸基数が同等の2〜4であり、水酸基価がより低い24〜28であって、末端ポリオキシエチレン鎖が同等の14.8〜20%である、刊行物1記載の上記ポリエーテルポリオールは、参考資料1の記載を考慮すれば、第1ヒドロキシル基率が50%を超えることが明らかである。 してみれば、刊行物1記載には(C)の要件は文言としては明記されていないが、実質的に記載されているに等しいものであると認められる。 また、仮にそうでないとしても、刊行物1に記載された発明において、ランダムオキシアルキレン基-(EO/PO)b-のEO割合を高くすると共に〔なお、刊行物1では(EO/PO)比は最大90:10である。(1-5)参照〕、末端に付加される(第3段階の)オキシエチレンの量を増やせば、末端第1級ヒドロキシ基が50%超となることは容易に予想されるところである。 (ロ)について 第1段階で付加される酸化プロピレンが本件発明1では(酸化アルキレン単位の合計量に対し)最大55重量%であるのに対し、刊行物1に記載された発明では(ポリエーテルポリオール中)60%以上が好ましいとし、実施例のポリオールVでは全アルキレンオキサイド中にPOが60重量%のものが示されている点で相違するが、その差はわずか5%であり、また、刊行物1に記載された発明はその特許請求の範囲の記載を見ればわかるように((1-1)参照)、第1段階で付加される酸化プロピレンについては任意のもので、酸化ポリプロピレンの全酸化アルキレン単位中の使用割合を60%以下とすることを不可とするものとは認められず、その割合を近似の55%程度とすることは当業者が必要に応じ、適宜なし得る程度のことである。 なお、特許権者は、ポリウレタンフォームについての性質などが両者の発明で相違し、そのような点を考慮すれば本件発明1は刊行物1に記載された発明から容易に想到し得ない旨主張するが、本件発明1は、ポリウレタンフォームではなくポリエーテルポリオールに関する発明であり、その用途はポリウレタンに限られるものではないから係る主張は採用することはできない。 以上のとおりであるから、本件発明1は本出願前に頒布された刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得るものであるから、特許法第29条第2項により特許を受けることができないものである。 2.本件発明2について 本件発明2は本件発明1に対し「請求項1記載のポリオールを含んでなるイソシアネート反応性組成物」であることを更に規定しているが、刊行物1にはポリウレタンを製造するにあたり刊行物1の請求項記載のポリオールの他に他のポリエーテルポリオールまたは/および鎖伸長剤を併用することが記載されており((1-9)参照)、ここで併用することは組成物であることに他ならないし、ポリウレタンを製造し得ることは当然にイソシアネート反応性であることに他ならないから、この発明で更に規定をした点は刊行物1に記載されていた事項である。そうであれば、その余の点はすべて本件発明1の場合と同様であるから、本件発明2も特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 3.本件発明3について 本件発明3はポリエーテルポリオール、ポリイソシアネート及び水を用いて軟質ポリウレタンフォームを製造する方法に係るものであるところ、そこで使用するポリエーテルポリオールは本件発明1のポリエーテルポリオールと同じものである。 即ち、本件発明3の「ここで前記ポリオールが2〜6の呼称平均ヒドロキシル官能価、16〜45mgKOH/gのヒドロキシル値、ヒドロキシル基の合計量に基づいて少なくとも50%の第一ヒドロキシル含有率、及びポリオールにおける酸化アルキレン単位の重量に基づいて計算されて21〜49重量%の量の酸化エチレンを有し、さらに前記ポリオールが、開始剤及び最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて20〜55重量%の酸化プロピレン単位に等しい量の酸化プロピレンを反応せしめ、続いてそのようにして得られたポリオールと酸化エチレン及び酸化プロピレンの混合物とを反応せしめ、続いてそのようにして得られたポリオールと最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて10〜20重量%の酸化エチレン単位に等しい量の酸化エチレンとを反応せしめることによって調製されるポリオールであり、…酸化アルキレン単位として酸化エチレン及び酸化プロピレン単位を含んで成るポリエーテルポリオール…」の要件は多少は表現が異なっても実質的に本件発明1のそれと同じである。 そうすると、本件発明3の構成要件を分節するにあたり、ポリエーテルポリオールについてのそれはすべて本件発明1のものによるとして、その余の要件について分節すると以下のようになる。 (J)酸化アルキレン単位として酸化エチレン及び酸化プロピレン単位を含んで成るポリエーテルポリオールを含んで成るイソシアネート反応性組成物、(K)他のイソシアネート反応性化合物100重量部当たり水4.5〜15重量部、 (L)ポリイシシアネートを、70〜110のイソシアネート指数で反応せしめる、 (M)軟質ポリウレタンフォームの製造方法 本件発明3と刊行物1に載された発明を対比する。 刊行物1に記載された発明もポリエーテルポリオールとポリイソシアネートと水を用いてポリウレタンを製造するものであるが、両者は上記1で述べたようにポリエーテルポリオールについて(ロ)のような相違点がある他、次のような点でも相違が存在する。 (ハ)使用する水の量が本件発明3では「(K)イソシアネート反応性化合物100重量部当たり水4.5〜15重量部」であるのに対し、刊行物1に記載された発明では「水の不存在下またはポリエーテルポリオールに対し0.4重量%までの存在下」である点 (ニ)最終的に得られるウレタンフォームが本件発明3では「(M)軟質ウレタンフォーム」であるのに対し、刊行物1に記載された発明では「(RIM法で成型するに供されるような)高密度ポリウレタン」〔(1-1)(特許請求の範囲)(1-3)参照〕でありフォームの場合でも「密度0.7g/cm3 (好ましくは0.8g/cm3 以上)」((1-10)参照)である点 〔なお、使用するイソシアネートについては刊行物1記載の発明でもNCO指数95〜120としており((1-12)参照)、この点では「(L)70〜110のイソシアネート指数で反応せしめる」本件発明3の要件と相違はない。〕 そして、原料であるポリエーテルポリオールも異なり、目的とするフォームも異なり、そのために使用する水の量も相違するのであるから、本件発明3が刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。 次に、本件発明3と刊行物2に記載された発明を対比する。 刊行物2には、2種のポリエーテルポリオール、有機ポリイソシアネート、発泡剤(その一態様として水がある。)、等から軟質ポリウレタンフォームを製造することが記載されており(特許請求の範囲(2-1)参照)、該ポリエーテルポリオールとしてオキシエチレンとオキシプロピレンのランダム鎖を有し、分子の末端にオキシエチレン鎖を有する構造を有するものであるが(特許請求の範囲(2-1)参照)、該ポリエーテルポリオールは、本件発明3のポリエーテルポリオールの第1段階で付加する酸化プロピレン単位、即ち、「(E)開始剤及び最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて20〜55重量%の酸化プロピレン単位に等しい量の酸化プロピレンを反応せしめた」構造、を全く欠いている点でその化学構造を大きく異にする。 してみれば、刊行物2記載の軟質ポリウレタンフォームの製造において、刊行物2のポリエーテルポリオールに変えて刊行物1記載のポリエーテルポリオールを用いることは、刊行物1記載のポリウレタンフォームが高密度(0.7g/cm3 、あるいは0.8g/cm3 以上)のものであることを考慮すると、直ちに容易であるとも言えないし、更に刊行物1のポリエーテルポリオールは必ずしも本件発明3のものと同一でないのであるから、尚更のことそれが容易であるとまでは言えない。 そして、本件発明3は、上記で特定された要件によって、改良されたレジリエンスを示すと共に、明細書の実施例に記載されているように、気泡の連続性が高いポリウレタンフォームが得られるという効果も奏するものである〔なお、刊行物2には気泡の連続性が高いものが得られる旨の記載はない。〕。 以上のようなことを総合判断すると、結局本件発明3は刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたと言うことはできない。 4.本件発明4について 本件発明4は本件発明3に対して、更に「前記イソシアネート反応性組成物が、存在するなら、この計算において水を除外する少なくとも10重量%の量で請求項1記載のポリエーテルポリオールを含んで成ること」を要件として付加するものであるから、上記3.で述べたように本件発明3が刊行物1及び2に記載された発明に基づいて容易に当業者が発明することができない以上、本件発明4も同様に刊行物1及び2に記載された発明に基づいて容易に当業者が発明することができたと言うことはできない。 5.本件発明5について 本件発明5は本件発明3〜4に対して、更に「前記イソシアネート反応性組成物におけるポリエーテルポリオールが請求項1記載のポリエーテルポリオールから成ること」を要件として特定するものであるから、上記3.〜4.で述べたように本件発明3〜4が刊行物1及び2に記載された発明に基づいて容易に当業者が発明することができない以上、本件発明5も同様に刊行物1及び2に記載された発明に基づいて容易に当業者が発明することができたと言うことはできない。 6.本件発明6について 本件発明6は本件発明3〜5に対して、更に「前記ポリエーテルポリオールが2〜4の呼称平均ヒドロキシル官能価を有すること」を要件として限定するものであるから、上記3.〜5.で述べたように本件発明3〜5が刊行物1及び2に記載された発明に基づいて容易に当業者が発明することができない以上、本件発明6も同様に刊行物1及び2に記載された発明に基づいて容易に当業者が発明することができたと言うことはできない。 7.本件発明7について 本件発明7は本件発明3〜6に対して、更に「前記指数(注;イソシアネート指数)が75〜105であること」を要件として限定するものであるから、上記3.〜6.で述べたように本件発明3〜6が刊行物1及び2に記載された発明に基づいて容易に当業者が発明することができない以上、本件発明7も同様に刊行物1及び2に記載された発明に基づいて容易に当業者が発明することができたと言うことはできない。 8.本件発明8について 本件発明8は本件発明3〜7に対して、更に「前記ポリエーテルポリオールにおける酸化エチレン含有率が21〜35重量%であること」を要件として付加するものであるから、上記3.〜7.で述べたように本件発明3〜7が刊行物1及び2に記載された発明に基づいて容易に当業者が発明することができない以上、本件発明8も同様に刊行物1及び2に記載された発明に基づいて容易に当業者が発明することができたと言うことはできない。 9.本件発明9について 本件発明9は本件発明3〜8に対して、更に「前記水の量が他のイソシアネート反応性化合物100pbw(重量部)当たり4.5〜10pbwであること」を要件として限定するものであるから、上記3.〜8.で述べたように本件発明3〜8が刊行物1及び2に記載された発明に基づいて容易に当業者が発明することができない以上、本件発明9も同様に刊行物1及び2に記載された発明に基づいて容易に当業者が発明することができたと言うことはできない。 [7] むすび 以上のとおりであるから、本件発明1及び2は、本出願前に頒布された刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項により特許を受けることができないものである。 一方、本件発明3〜9は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明し得るものではないから、特許異議申し立ての理由及び証拠によっては特許を取り消すことができないし、また、他に特許を取り消すべき理由を発見しないものである。 よって、特許法などの一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 軟質フォームの製造方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 酸化アルキレン単位として酸化エチレン及び酸化プロピレン単位を含んで成るポリエーテルポリオールであって、2〜6の呼称平均ヒドロキシル官能価、16〜45mg KOH/gのヒドロキシル値、ヒドロキシル基の合計量に基づいて少なくとも50%の第一ヒドロキシル含有率、ポリオールにおける酸化アルキレン単位の重量に基づいて計算されて21〜49重量%の量の酸化エチレンを有し、そして開始剤及び最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて20〜55重量%の酸化プロピレン単位に等しい量の酸化プロピレンを反応せしめ、続いてそのようにして得られたポリオールと酸化エチレン及び酸化プロピレンの混合物とを反応せしめ、続いてそのようにして得られたポリオールと最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて10〜20重量%の酸化エチレン単位に等しい量の酸化エチレンとを反応せしめることによって調製されるポリオール。 【請求項2】 請求項1記載のポリオールを含んで成るイソシアネート反応性組成物。 【請求項3】 軟質ポリウレタンフォームの製造方法であって、ポリイソシアネート;酸化アルキレン単位として酸化エチレン及び酸化プロピレン単位を含んで成るポリエーテルポリオールを含んで成るイソシアネート反応性組成物、ここで前記ポリオールが2〜6の呼称平均ヒドロキシル官能価、16〜45mg KOH/gのヒドロキシル値、ヒドロキシル基の合計量に基づいて少なくとも50%の第一ヒドロキシル含有率、及びポリオールにおける酸化アルキレン単位の重量に基づいて計算されて21〜49重量%の量の酸化エチレンを有し、さらに前記ポリオ-ルが、開始剤及び最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて20〜55重量%の酸化プロピレン単位に等しい量の酸化プロピレンを反応せしめ、続いてそのようにして得られたポリオールと酸化エチレン及び酸化プロピレンの混合物とを反応せしめ、続いてそのようにして得られたポリオールと最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて10〜20重量%の酸化エチレン単位に等しい量の酸化エチレンとを反応せしめることによって調製されるポリオールであり;及び他のイソシアネート反応性化合物100重量部当たり水4.5〜15重量部;を70〜110のイソシアネート指数で反応せしめることを含んで成る方法。 【請求項4】 前記イソシアネート反応性組成物が、存在するなら、この計算において水を除外する少なくとも10重量%の量で請求項1記載のポリエーテルポリオールを含んで成ることを特徴とする請求項3記載の方法。 【請求項5】 前記イソシアネート反応性組成物におけるポリエーテルポリオールが請求項1記載のポリエーテルポリオールから成ることを特徴とする請求項3又は4記載の方法。 【請求項6】 前記ポリエーテルポリオールが2〜4の呼称平均ヒドロキシル官能価を有することを特徴とする請求項3〜5のいづれか1項記載の方法。 【請求項7】 前記指数が75〜105であることを特徴とする請求項3〜6のいづれか1項記載の方法。 【請求項8】 前記ポリエーテルポリオールにおける酸化エチレン含有率が21〜35重量%であることを特徴とする請求項3〜7のいづれか1項記載の方法。 【請求項9】 前記水の量が他のイソシアネート反応性化合物100pbw(重量部)当たり4.5〜10pbwであることを特徴とする請求項3〜8のいづれか1項記載の方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 本発明は、新規ポリオール及び特定種類のポリオールから軟質ポリウレタンフォームを製造するための方法に関する。 【0002】 軟質ポリウレタンフォームを製造するためへのある一定のポリオールの使用は広く知られており、そしてたとえばEP第309217号、第309218号、第353785号、第353786号、第433878号及び第296449号に開示されている。 【0003】 驚くべき事には、特定の条件下で特定のポリオールを用いることによって、軟質ポリウレタンフォームの加工及び性質がさらに改良され得ることが見出される。さらに、上記言及された特定ポリオールの種類内の新規ポリオールが製造された。 【0004】 本発明は酸化アルキレン単位として酸化エチレン及び酸化プロピレン単位を含んで成るポリエーテルポリオールに関し、ここで前記ポリオールは、2〜6、好ましくは2〜4、最っとも好ましくは3の呼称平均ヒドロキシル官能価、16〜45mg KOH/g、好ましくは16〜40mg KOH/gのヒドロキシル値、ヒドロキシル基の合計量に基づいて少なくとも50%の一次ヒドロキシル含有率、ポリオールにおける酸化アルキレン単位の重量に基づいて計算されて21〜49重量%、好ましくは21〜35重量%の量の酸化エチレンを有し、そして開始剤及び最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて20〜75重量%の酸化プロピレン単位に等しい量の酸化プロピレンを反応せしめ、続いてそのようにして得られたポリオールと酸化エチレン及び酸化プロピレンの混合物とを反応せしめ、続いてそのようにして得られたポリオールと最終ポリオールにおける酸化アルキレン単位の合計量に基づいて計算されて10〜20重量%の酸化エチレン単位に等しい量の酸化エチレンとを反応せしめることによって調製される。さらに、本発明は、存在するなら、好ましくは、この計算において水を除外する少なくとも10重量%、最っとも好ましくは少なくとも20重量%の量(前記組成物におけるイソシアネート反応性化合物に基づいて計算される)でそのようなポリオールを含んで成るイソシアネート反応性組成物にも関する。 【0005】 さらに、本発明は、ポリイソシアネート;酸化アルキレン単位として酸化エチレン(EO)及び酸化プロピレン単位(PO)を含んで成るポリエーテルポリオールを含んで成るイソシアネート反応性組成物、ここで前記ポリオールが2〜6、好ましくは2〜4、及び最っとも好ましくは3の呼称平均ヒドロキシル官能価、16〜45mg KOH/g、好ましくは16〜40mg KOH/gのヒドロキシル値、ヒドロキシル基の合計量に基づいて少なくとも50%の一次ヒドロキシル含有率、及びポリオールにおける酸化アルキレン単位の重量に基づいて計算されて21〜49重量%、好ましくは21〜35重量%の量の酸化エチレンを有し(このポリオールは好ましくは上記ポリオールから選択される);及び70〜110、好ましくは75〜105のイソシアネート指数で他のイソシアネート反応性化合物100重量部当たり水4.5〜15重量部を反応せしめることによって、軟質ポリウレタンフォームを製造するための方法にも関する。最っとも好ましくは、前で記載されるポリエーテルポリオール及びイソシアネート反応性組成物は軟質フォームを製造するためのこの方法に使用されが、但し、他のEO/PO割合を有するポリオールも十分に使用され得る。 【0006】 本発明の方法によれば、良好な加工性質と共に物性の良好な組合せを有する軟質フォームが得られる。すなわち、その軟質フォームは低い密度、気泡口の満足するレベル及び良好な安定性を有すると共に、同時に、成分間の反応は混合機械に対して良好な流れ及び容易な加工性を提供するのに十分に遅い。さらに、本発明のポリオール及び使用される水の混合物は、等しいEOレベルでのみ先端にEOを有するポリオールとのそのような混合物よりも低い粘度を示すことが見出された。本発明のポリオールから製造されたフォームは、初期PO-ブロックを有さないポリオールから製造されたフォームに比較して改良されたレジリエンスを示した。 【0007】 本発明のポリオールは、それ自体既知の方法により製造される。活性水素含有開始剤は、それ自体既知の条件下でプロポキシル化され、続いてエトキシル化/プロポキシル化され、そして最後に、それ自体既知の条件下でエトキシル化される。下記例においては、詳細な方法が本発明のポリオールを得るために記載されている。当業者は、その例の教授として容易に本発明に従って類似するポリオールを調製できるであろう。 【0008】 本発明のポリオールを調製するための適切な開始剤は、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ヘキサントリオール、ヒドロキノン、レソルシノール、カテコール、ビスフェノール、アンモニア、エチレンジアミン、ジアミノ-プロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノ-ヘキサン、エチノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、アニリン、2,4-トルエンジアミン、2,6-トルエンジアミン、2,4′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノジフェニルメタン、1,3-フェニレンジアミン、1,4-フェニレンジアミン、ナフチレン-1,5-ジアミン、4,4′-ジ(メチルアミノ)-ジフェニルメタン、1-メチル-2-メチルアミノ-4-アミノベンゼン、1,3-ジエチル-2,4-ジアミノ-ベンゼン、2,4-ジアミノメシチレン、1-メチル-3,5-ジエチル-2,4-ジアミノ-ベンゼン、1-メチル-3,5-ジエチル-2,6-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリエチル-2,6-ジアミノベンゼン、3,5,3′,5′-テトラエチル-4,4′-ジアミノジフェニル-メタン、スクロース及びソルビトールを包含する。 【0009】 好ましくは、2〜4及び最っとも好ましくは3個の活性水素原子を有する開始剤、特にグリセロール及びトリメチロールプロパンが使用される。 いわゆる低含有率の不飽和を有するポリオールを使用する傾向が当業界において存在する。本発明のポリオールはまた、低不飽和含有率を有する。 【0010】 軟質フォームは、上記条件下でポリイソシアネート、上記のようなイソシアネート反応性組成物及び水を反応せしめることによって調製される。そのフォームは、ワン-ショット又はセミ-プレポリマー法に従って調製され得る。好ましくは、セミ-プレポリマー法が適用される。 【0011】 ワン-ショット法においては、イソシアネート反応性組成物、水及びポリイソシアネートが1段階で反応される。セミ-プレポリマー法においては、イソシアネート反応性化合物のいくらかが、ポリイソシアネートと予備反応され、続いてそのようにして得られたセミ-プレポリマーと水及び残るイソシアネート反応性化合物とを反応される。 【0012】 使用されるイソシアネート反応性化合物の量に対する水の量を計算する際、セミ-プレポリマーを調製することに使用されるイソシアネート反応性化合物は考慮されない。 当業界におけるある傾向によれば、本明細書で使用される場合、用語″ポリウレタンフォーム″とは、発泡剤の存在下でポリイソシアネートとイソシアネート反応性水素包含化合物とを反応せしめることによって得られるような気泡生成物を言及し、そして特に、反応性発泡剤としての水により得られた気泡生成物を包含する(ウレア結合及び二酸化炭素を生成するイソシアネート基と水との反応を包含する)。 【0013】 本明細書で使用される場合、用語″イソシアネート反応性水素含有化合物″又は″イソシアネート反応性化合物″はさらに、ポリオール及びポリアミンを包含する。用語″ポリウレタンフォーム″とは、ウレア結合と共にウレタン結合を含んで成る生成物を包含することを意味する。 本明細書で使用される場合、用語″軟質ポリウレタンフォーム″とは、変形の後、実質的な回復を示す気泡生成物を言及する。 【0014】 本明細書で使用される場合、用語″ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート″及び″MDI″とは、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体、特にジフェニルメタン-4,4′-ジイソシアネート及び他の異性体とその混合物、特に4,4′-MDI及び4,4′-MDI少なくとも40重量%を含む2,4′-MDIの混合物、2以上のイソシアネート官能価を有するポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、及び少なくとも2つのイソシアネート基を坦持し、そしてカルボジイミド基、ウレトニミン基、イソシアヌレート基、ウレタン基、アロファネート基、ウレア基又はビウレット基を含むその誘導体から選択されたポリイソシアネートを言及する。それらは、ホルムアルデヒドによるアニリンの縮合、続くホスゲン化、この方法は粗MDIと呼ばれるものを生成する、前記粗MDIの分別、この方法は純粋なMDI及びポリマーMDIを生成する、及びカルボジイミド、ウレトニミン又はイソシアヌレート基を含むMDIを付与する、粗、純粋又はポリマーMDIの自己縮合により、又は過剰の粗、純粋又はポリマーMDIと低又は高分子量ポリオール又はポリアミンとの反応により得られ、これらの方法は、それぞれウレタン又はアロファネート及びウレア又はビウレット基を含む変性MDIを生成する。 【0015】 本明細書で使用される場合、用語″イソシアネート指数″及び″NCO-指数″とは、ポリウレタン配合物に存在するNCO-反応性水素原子に対する-NCO基の割合を示し、下記のように%として与えられる: 【0016】 【数1】 【0017】 換言すれば、NCO-指数は、配合物に使用されるイソシアネート反応性水素の量に対しての配合物に実際に使用されるイソシアネートの%を表わす。 イソシアネート指数を計算するために本明細書で使用される用語″活性水素原子″とは、ポリオール、ポリアミン及び/又は水の形で反応性組成物に存在するヒドロキシル及びアミン水素原子の合計を言及し;これは、イソシアネート指数を計算するために、1つのヒドロキシル基が1つの反応性水素を含むと思われ、1つの第1アミン基が2つの反応性水素を含むと思われ、そして1つの水分子が2つの活性水素を含むと思われることを意味する。 【0018】 本明細書で使用される場合、イソシアネート指数は、MDI成分、ポリオール及び/又はポリアミン成分及び水を包含する、ワンショットシステムとして見なされる実際の発泡法の観点から考慮されることが観察されるべきである。 【0019】 変性MDI(準-又はセミ-フレポリマーとして当業界において言及されるようなMDI-誘導体を包含する)を生成するために予備段階において消費されるイソシアネート基又は変性ポリオール又はポリアミンを生成するためにイソシアネートと反応されるいづれかの活性水素は、イソシアネート指数の計算において考慮されない。実際の発泡工程で存在する遊離イソシアネート基及び遊離活性水素(水の遊離活性水素を含む)のみが、考慮される。 【0020】 ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネート及び特にポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(MDI)のような、軟質フォームの調製に使用されるいづれかのポリイソシアネートから選択され得る。 MDIの場合、セミ-プレポリマー、たとえば少なくとも20重量%のNCO値を好ましくは有するセミ-プレポリマーが使用される。 使用されるMDIのNCO-官能価は好ましくは1.9〜2.9及びより好ましくは2〜2.5及び最っとも好ましくは2〜2.3の範囲である。 【0021】 イソシアネート反応性組成物は、組成物におけるイソシアネート反応性化合物の重量に基づいて計算して、21〜49重量%、好ましくは少なくとも10重量%、最っとも好ましくは少なくとも20重量%の酸化エチレン(EO)含有率を有するポリオールを含み、この計算においては水は排除される。さらに、イソシアネート反応性組成物は、2〜6、好ましくは2〜3の平均呼称官能価及び750〜5000、好ましくは1000〜3000の数平均当量を有するポリオール及びポリアミンから選択された、他の高分子量イソシアネート反応性水素含有化合物90重量%までを含むことができる(上記と同じ基礎に基づいて計算された)。 【0022】 使用され得る適切なポリオールは、たとえば2〜6及び好ましくは2〜3の平均呼称ヒドロキシル官能価及び750〜5000、好ましくは1000〜3000及び最っとも好ましくは1000〜2500の数平均ヒドロキシル当量を有するポリエーテル及びポリエステルポリオールを包含する。 【0023】 さらに、使用され得るポリオールは、たとえば2〜6及び好ましくは2〜3のヒドロキシル基を含んで成る、ポリチオエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート及びポリエステルアミドを包含する。 使用され得る適切なポリアミンは、たとえば2〜6及び好ましくは2〜3の平均呼称アミン官能価及び750〜5000、好ましくは1000〜3000及び最っとも好ましくは1000〜2500の数平均当量を有するポリエーテルポリアミンを包含する。 【0024】 使用され得る適切なポリエーテルポリオールは、1又は複数の酸化アルキレン又は置換酸化アルキレンと1又は複数の活性水素含有開始剤化合物とを反応せしめることによって調製されるものを包含する。そのような酸化物は、たとえば酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフラン、酸化ブチレン、酸化スチレン、エピクロロヒドリン及びエピブロモヒドリンを包含する。 【0025】 適切な開始剤化合物は、たとえば水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ヘキサントリオール、ヒドロキノン、レソルシノール、カテコール、ビスフェノール、スクロース及びソルビトールを包含する。 【0026】 さらに適切な開始剤は、たとえばアンモニア、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノ-ペンタン、ジアミノヘキサン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、アミン、2,4-トルエンジアミン、2,6-トルエンジアミン、2,4′-ジアミノ-ジフェニルメタン、4,4′-ジアミノジフェニルメタン、1,3-フェニレン-ジアミン、1,4-フェニレンジアミン、ナフチレン-1,5-ジアミン、4,4′-ジ-(メチルアミノ)-ジフェニルメタン、1-メチル-2-メチルアミノ-4-アミノ-ベンゼン、1,3-ジエチル-2,4-ジアミノベンゼン、2,4-ジアミノメシチレン、1-メチル-3,5-ジエチル-2,4-ジアミノベンゼン、1-メチル-3,5-ジエチル-2,6-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリエチル-2,6-ジアミノベンゼン及び3,5,3′,5′-テトラエチル-4,4′-ジアミノジフェニルメタンを包含する。 【0027】 使用され得る適切なポリエステルポリオールは、たとえば1又は複数のポリカルボン酸又はその無水物又はエステルと1又は複数の多価アルコールとを反応せしめることによって調製されたものを包含する。ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族及び/又は複素環式化合物であり、そして置換され得(たとえばハロゲン)、そして/又は不飽和であり得る。この種類のカルボン酸の例は、グルタル酸、琥珀酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラクロロフタル酸、メレイン酸、フマル酸、二量体及び三量体脂肪酸、これらはモノマー脂肪酸と混合して存在する、テレフタル酸及び同様のものを包含する。 【0028】 適切な多価アルコールの例は、エチレングリコール;1,2-プロピレングリコール;1,3-プロピレングリコール;ブチレングリコール;1,6-ヘキサンジオール;1,8-オクタンジオール;ネオペンチルグリコール;シクロヘキサンジメタノール(1,4-ビス-ヒドロキシメチルシクロヘキサン);2-メチル-1,3-プロパンジオール;グリセロール;トリメチロールプロパン;1,2,6-ヘキサントリオール;1,2,4-ブタントリオール;トリメチロールエタン;ペンタエリトリトール;キニトール;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;テトラエチレングリコール;ポリエチレングリコール;ジプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;ジブチレングリコール;又はポリブチレングリコールを包含する。ラクトン、たとえばカプロラクトン、又はヒドロキシカルボン酸、たとえばヒドロキシカプロン酸のポリエステルを使用することもまた可能である。 【0029】 使用され得る適切なポリエーテルポリアミンは、上記タイプのポリエーテルポリオールのアミノ化により調製されるものを包含する。 本発明に従っての使用のためには、ポリオールのアミノ化は完全である必要はない。前記タイプの一部アミノ化されたポリエーテルポリオールがまた使用され得る。 【0030】 使用され得る他の適切なポリオール組成物は、たとえば分散又は溶解状態で、高分子量の重付加又は重縮合ポリマーを含むポリヒドロキシル誘導体を包含する。そのようなポリヒドロキシル誘導体はたとえば、上記ですでに開示されたようなポリオールにおいて重縮合反応(たとえばポリイソシアネートとモミノ-官能化合物との間で)又は重縮合反応(たとえばホルムアルデヒドとフェノール及び/又はアミンとの間で)を実施することによって得られる。ビニル重合により変性されたポリヒドロキシル誘導体、たとえばポリエーテルポリオール又はポリカーボネートポリオールの存在下でスチレン及びアクリロニトリルを重合することによって得られる誘導体がまた適切である。 【0031】 上記のように、本発明の方法は、セミ-プレポリマー技法に従って実施され得る。そのようなプレポリマーを調製するためには、ポリイソシアネート及び一部又はすべてのポリオールが、それ自体既知の条件下で、発泡が生じる前、予備反応せしめられる。約40℃〜約90℃の反応温度が一般的に、ポリオールからのウレタン基含有セミ-プレポリマーの調製又はポリアミンからウレア基含有セミ-プレポリマーの調製のために適切であるが、しかし所望には、その反応はウレタン基をアロホネート基に及びウレア基をビウレット基に転換するために既知の条件下で続けられ得る。 【0032】 イソシアネート反応性組成物はさらに、組成物におけるイソシアネート反応性化合物の重量に基づいて計算されて、25重量%までの連鎖延長剤を含んで成る(この計算においては水は除外される)。そのような連鎖延長剤は、2〜6のイソシアネート反応基及び60〜1000及び好ましくは60〜500の分子量を有するもの、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、1,4-ブタンジオール、ジエチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)、イソホロンジアミン及びジアミノポリオール、たとえばアルキルフェノール又はフェノールのMannich誘導体が選択され得る。 【0033】 軟質フォームの調製方法は、それ自体既知の添加剤、たとえば難燃剤、触媒、発泡剤、界面活性剤、充填剤及び繊維性強化剤、たとえば特にICI Palyurethanes Handbook,G.Woodsのチャプター2に報告されるものの存在下で行なわれ得る。そのような添加剤は便利には、ポリイソシアネート及び好ましくはイソシアネート反応性組成物を、発泡が生じる前に組合され得る。 【0034】 水以外の他の発泡剤、たとえばクロロフルオロカーボン及び水素クロロフルオロカーボンは使用され得るが、好ましくは水が唯一の発泡剤として使用される。水は好ましくは、イソシアネート反応性組成物とプレミックスされる。 【0035】 軟質フォームは、成形又はスラブストック技法に従って製造され得る。フォームは、シート、クッション及びマットレス、特にWaterlilly快適クッション(WaterlillyはImperial Chemical Industries PLCの商標である)における家旦及び自動車産業に使用される。得られる軟質フォームは、20〜35kg/m3ほどの低い自由上昇密度を有する。 本発明は次の例により例示される。 【0036】 【実施例】 例1 グリセロール46重量部(pbw)及び50%wのKOHの水溶液0.72pbwをオートクレープに添加し、続いてN2により3度パージし、そして次に110℃で1.5時間、真空ストリップし、水を除去した。酸化プロピレンを添加し、そして110℃で反応せしめ、続いて真空ストリップした。この段階で、ポリオールのヒドロキシル値は422mg KOH/gであった。このポリオール23pbwに、50%wのKOHの水溶液2.58pbwを添加し、続いて110℃で2時間、真空ストリップした。次に、酸化プロピレン248.5pbwを110℃で14時間にわたって添加し;その反応をさらに3時間、続け、続いて1時間、真空ストリップした。そのようにして得られたポリオール121.5pbwを反応器から除いた。残りのポリオールに、酸化エチレン及び酸化プロピレンの40/60w/w混合物90pbwを110℃で7.5時間にわたって添加し、そしてさらに3時間反応せしめ、続いて110℃で1.5時間、真空ストリップした。次に、酸化エチレン41.5pbwを120℃で添加し、そして125℃で1時間反応せしめ、続いて110℃で1時間真空ストリップした。次に、2%wの珪酸マグネシウムを110℃で添加し、続いて、110℃で8時間、ポリオールを濾過した。その得られたポリオールは、20mg KOH/gのOHv、26重量%のEO含有率、15重量%のEO-末端量、91%の一次ヒドロキシル含有率及び53重量%の開始剤に結合されるPOブロック(ポリオールにおけるEO及びPO単位の合計量に対する)を有する。 【0037】 例2 例1に類似する手段で、ポリオールを、グリセロール及び酸化エチレン及び酸化プロピレンを反応せしめることによって調製し、28mg KOH/gのOHv、85〜95%の一次ヒドロキシル含有率、29重量%の酸化エチレン含有率、15重量%のEO-末端量及び55重量%の開始剤に結合されるPOブロック(ポリオールにおけるEO及びPO単位の合計量に対する)を有するポリオールを得た。 【0038】 例3 上記ポリオールが、ポリオール組成物を形成するためにそれらのポリオールと他の成分とを結合し、そしてそれとポリイソシアネートとを開放容器において反応せしめることによって軟質フォームを調製するために使用された。成分の相対量(重量部)、指数及び物性データが表1に与えられる。 【0039】 【表1】 【0040】 実施例3及び表1についての注: 1)本実施例3で使用したポリイソシアネートは、27.0%NCOポリイソシアネートを得るために、MDI(30%wの含有量の2,4′-MDI)及び75%w EOランダム及び4000のMWを有する三官能価EO/POポリオールを反応せしめ、そしてこれとポリマーMDIとを混合することによって調製された、27.9%のNCO含有率を有するMDI-基材のプレポリマーである。 表1についての注: 2)X8154:Air Productsから入手できる触媒 D33LV:Air Productsから入手できる触媒 B4113:Goldschmidtから入手できる界面活性剤Tegostab B4113 Niax A1:Union Carbideから入手できる触媒 ポリオール3:MW4800及び17%w EO(すべて先端)のグリセロール基材EO/POポリオール ポリオール4:MW4000及び75%w EO(ランダム)のグリセロール基材EO/POポリオール 3)ND=測定されなかった 4)気泡の連続/独立性: 1=良好な気泡の連続、圧縮は必要とされなかった。 2=許容できる気泡連続、但し圧縮は必要とされた。 3=劣った気泡連続性;圧縮できない;許容できない。 【0041】 自由上昇密度は、ISO R1855法により測定された。CLD、40%は、ISO 3386法に従って測定された。上昇時間の最後は、″33rd Annual Polyurethane Technical/Marketing Conterence of 30.9-3.10.90,297〜305ページ、S.Burksなどによる″に記載されるようにして測定されるが、但しその最大高さの98%であるレベルに達する上昇プロフィールのために必要な時間が、上昇時間の最後として見なされる。 【0042】 後退率は、フォームが達成する最大の高さ及び反応混合物が混合された後5分でのフォームの最終高さを測定することによって決定され、そして下記公式から計算される: 【0043】 【数2】 【0044】 5)実験1〜3,5,10及び11は比較実験である。低い指数で、気泡連続性は許容できないほどに低い。高い指数であるが、低い水レベルで、気泡連続性は改良されるが、しかし密度は比較的高い。実験4及び6〜9においては、低い自由上昇密度、良好な気泡連続性(圧縮は必要とされなかった)、良好な安定性(低い後退率)、及び混合機械上での容易な加工と共に良好な流れを可能にする十分に長い上昇時間の最後を示す軟質フォームが得られる。実験10は、EO-末端のみを有するポリオールが高められた後退率を導びくことを示し、そして実験11は、高い量のEOを有する、高い量のポリオールが気泡連続性に関して劣っているフォームを導びくことを示す。 【0045】 例4 水9重量%、並びに例2で得られたポリオール(ポリオールA)及びOH値=28mg KOH/g及び28%wのEO(すべて末端)を有するグリセロール基材のEO/POポリオール(ポリオールB)それぞれ100重量部から混合物を製造した。その混合物を、周囲条件で5分間、標準混合により混合した。ポリオールA、ポリオールB、ポリオールAとの混合物及びポリオールBとの混合物の粘度はそれぞれ1100,1600,2800及び6700mPa.秒であった(25℃でブルックフィールド粘度計により測定された)。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-07-27 |
出願番号 | 特願平6-6129 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZD
(C08G)
|
最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 佐藤 健史 |
特許庁審判長 |
松井 佳章 |
特許庁審判官 |
船岡 嘉彦 石井 あき子 |
登録日 | 2002-09-06 |
登録番号 | 特許第3346870号(P3346870) |
権利者 | ハンツマン・インターナショナル・エルエルシー |
発明の名称 | 軟質フォームの製造方法 |
代理人 | 小林 泰 |
代理人 | 今井 庄亮 |
代理人 | 社本 一夫 |
代理人 | 栗田 忠彦 |
代理人 | 増井 忠弐 |
代理人 | 栗田 忠彦 |
代理人 | 小林 泰 |
代理人 | 社本 一夫 |
代理人 | 今井 庄亮 |
代理人 | 増井 忠弐 |