• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  C01B
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C01B
管理番号 1112932
異議申立番号 異議2003-72250  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-12-13 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-09-09 
確定日 2005-01-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3384101号「窒化珪素粉末およびその製造方法」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3384101号の訂正後の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3384101号の請求項1〜9に係る発明についての出願は、平成6年3月22日(優先権主張 平成5年3月30日)に特許出願され、平成14年12月27日にその特許の設定登録がなされたところ、請求項1〜3に係る発明の特許に対して中野宗昭(以下、「申立人」という)より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成16年7月30日に訂正請求がなされ、その後、再度取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成16年12月3日に、上記平成16年7月30日付け訂正請求が取下げられ、新たに同日付けで訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否
2-1.訂正の内容
本件訂正の内容は、本件特許明細書を平成16年12月3日付け訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち次の訂正事項a乃至cのとおりに訂正しようとするものである。
(1)訂正事項a
訂正事項aを詳細にみると下記のとおりである。
a-1.請求項1を、「【請求項1】粉末粒子の内部が結晶質であり、かつ表面が1nm以上10nm未満の厚みの主としてSi、N、OおよびHからなる非晶質で覆われ、表面の酸素と窒素の原子数比(O/N)が、0.2〜1.3の範囲にあり、該粉末を中性の水または湯に浸透させた際に示す水溶液のpHが2〜7の範囲にあることを特徴とする窒化珪素粉末。」と訂正する。
a-2.請求項2を削除する。
a-3.請求項3を、請求項2に繰り上げ「【請求項2】粉末を中性の水または湯に浸漬させた際に、粉末表面より溶出する粉末1g当りの弗素イオン量が0.1〜1mg/gであることを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素粉末。」と訂正する。
なお、請求項の削除に伴って、引用請求項の項番が訂正されている。
(2)訂正事項b
訂正事項bを詳細にみると下記のとおりである。
b-1.請求項4を、請求項3に繰り上げ「【請求項3】窒化珪素粉末を不活性ガスまたは還元性雰囲気中、100℃〜1000℃で5分〜600分間熱処理した後、酸化性雰囲気中、500℃〜900℃で5分〜600分間熱処理する二段階の熱処理を連続的に行うことを特徴とする請求項1または2に記載の窒化珪素粉末の製造方法。」と訂正する。
b-2.請求項5を削除する。
b-3.請求項6を、請求項4に繰り上げ「【請求項4】昇温速度および冷却速度が、それぞれ0.5〜50℃/分であることを特徴とする請求項3に記載の窒化珪素粉末の製造方法。」と訂正する。
b-4.請求項7を、請求項5に繰り上げ「【請求項5】不活性ガスまたは還元性ガスの種類が、窒素、アルゴン、ヘリウム、アンモニア、水素のうちの少なくとも一種類であることを特徴とする請求項3または4に記載の窒化珪素粉末の製造方法。」と訂正する。
b-5.請求項8を、請求項6に繰り上げ「【請求項6】酸化性雰囲気中に、酸素または水蒸気を含むことを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の窒化珪素粉末の製造方法。」と訂正する。
b-6.請求項9を削除する。
なお、請求項の削除、繰り上げに伴って、引用請求項の項番が訂正されている。
(3)訂正事項c
訂正事項cを詳細にみると下記のとおりである。
c-1.明細書の段落【0015】の「水溶液のpHを2〜8の範囲の酸性寄りの」(本件特許掲載公報第3頁第5欄第46〜47行)を、「水溶液のpHを2〜7の範囲の酸性寄りの」と訂正する。
c-2.明細書の段落【0015】の「粉末1g当り1mg以下とすることによって」(本件特許掲載公報第3頁第6欄第3〜4行)を、「粉末1g当り0.1〜1mgとすることによって」と訂正する。
c-3.明細書の段落【0019】の「pH(以下、単に”表面pH”と称す)を2〜8の酸性寄りにする」(本件特許掲載公報第4頁第7欄第3〜4行)を、「pH(以下、単に”表面pH”と称す)を2〜7の酸性寄りにする」と訂正する。
c-4.明細書の段落【0019】の「また、pH=8を越える」(本件特許掲載公報第4頁第7欄第9〜10行)を、「また、PH=7を越える」と訂正する。
c-5.明細書の段落【0020】の「溶出するFイオンの量が粉末1g当りlmg以下に抑えられ」(本件特許掲載公報第4頁第7欄第15〜16行)を、「溶出するFイオンの量が粉末1g当り0.1〜1mgに制御され」と訂正する。
c-6.明細書の段落【0025】の「表面pHを2〜8の間で」(本件特許掲載公報第4頁第8欄第7行)を、「表面pHを2〜7の間で」と訂正する。
c-7.明細書の段落【0028】の「表画pHが2〜8の範囲内で」(本件特許掲載公報第4頁第8欄第34行)を、「表面pHが2〜7の範囲内で」と訂正する。
c-8.明細書の段落【0028】の「溶出フッ素イオン量が1mg/g以下となることを」(本件特許掲載公報第4頁第8欄第34〜35行)を、「溶出フッ素イオン量が0.1〜1mg/gの範囲内となることを」と訂正する。
c-9.明細書の段落【0034】の「(1-4,1-14〜1-17)」(本件特許掲載公報第5頁第10欄第21〜22行)を、「(1-4、1-14〜1-16)」と訂止する。
c-10.明細書の段落【0034】の「(実施例1-1〜1-34)」(本件特許掲載公報第5頁第10欄第24行)、「(実施例1-1〜1-25)」と訂止する。
c-11.明細書の段落【0034】の「実施例1-1〜1-17および1-23〜1-34)」(本件特許掲載公報第5頁第10欄第29〜30行)を、「実施例1一1〜1-16および1一17〜1-25)」と訂正する。
c-12.明細書の段落【0034】の「(実施例1-1〜1-17,1-23〜1-25,1一27〜1-29,1-32〜1-34)」(本件特許掲載公報第5頁第10欄第35〜37行)を、「(実施例1-1〜1-16,1-17〜1-19,1-20〜1-22,1-23〜1-25)」と訂正する。
c-13.明細書の段落【0035】の表1を削除し、別紙1のように訂正する。

c-14.明細書の段落【0036】の表2を削除し、別紙2のように訂正する。

c-15.明細書の段落【0037】の表3を削除し、別紙3のように同止する。

c-16.明細書の段落【0038】の表4を削除し、別紙4のように訂止する。

c-17.明細書の段落【0040】の「1-14〜1〜17,1-19〜1-21,1-23〜1-26,1-30の各試料について」(本件特許掲載公報第9頁第17欄第48〜50行)を「1-14〜1-18の各試料について」と訂正する。
c-18.明細書の段落【0040】の「比較例1-2,1-7,1-10についても」(本件特許掲載公報第9頁第18欄第46〜47行)を、「比較例1-2,1-8〜1-10,1-12〜1-15についても」と訂正する。
c-19.明細書の段落【0041】の表5を削除し、別紙5のように訂正する。

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否
(1)上記訂正事項aについて
上記訂正事項a-1.は、詳細にみると、a-1-1.「非晶質層」を「非晶質」と訂正する、a-1-2.「表面層」を「表面」と訂正する、a-1-3.「(O/N)が、0.1〜2.0」を「(O/N)が、0.2〜1.3」と訂正する、a-1-4.「該粉末を中性の水または湯に浸透させた際に示す水溶液のpHが2〜7の範囲にある」を追加する、というものである。
上記訂正事項a-1-1.、a-1-2.は、表面の構造を明りょうにする訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、また本件明細書の「窒化珪素粉末表面の構造・組成及びその性質を見出した。」(本件特許掲載公報第3頁第5欄第24〜25行)の記載から、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
上記訂正事項a-1-3.は、(O/N)の数値範囲を減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、また本件明細書の「より好ましくは0.2〜1.3」の記載から、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
上記訂正事項a-1-4.は、粉末を中性の水または湯に浸透させた際に示す水溶液のpHの数値範囲を追加したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、また訂正前の請求項2と本件明細書の表4の実施例1-32の粉末表面のpH値の7.0から、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
上記訂正事項a-2.は、請求項を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
上記訂正事項a-3.は、詳細にみると、「弗素イオン量が1mg/g以下」を「弗素イオン量が0.1〜1mg/g」と訂正するものであるが、数値範囲の下限を限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、また本件明細書の表3の実施例1-11の粉末溶出Fイオン量値の記載から、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)上記訂正事項bについて
上記訂正事項b-1.は、詳細にみると、b-1-1.「300℃〜1200℃」を「500℃〜900℃」と訂正する、b-1-2.「熱処理」を「二段階の熱処理」と訂正する、というものである。
上記訂正事項b-1-1.は、数値範囲を減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、また訂正前の請求項9の記載から、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
上記訂正事項b-1-2.は、不活性ガスまたは還元性雰囲気中の熱処理と酸化性雰囲気中の熱処理とを連続的に行うと限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、また訂正前の請求項5の記載から、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
上記訂正事項b-2.、b-6.は、請求項を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
上記訂正事項b-3.、b-4.、b-5.は、それぞれ請求項の削除に伴って項番を繰り上げたものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。。
(3)上記訂正事項cについて
上記訂正事項cは、上記訂正事項a、bによって訂正された特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合するためになされた訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものであり、また願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされた訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
1-3.独立特許要件
特許異議申立てがされていない請求項のうち請求項3(訂正前の請求項4に対応)が実質的に訂正されているから、訂正後の本件請求項3に係る発明(上記b-1.)について独立特許要件を判断する。
申立人の提出した証拠方法の中で、窒化珪素粉末の熱処理については、刊行物6に「酸素含有雰囲気中において温度700〜1200℃で15〜90分間焼鈍する」(下記刊行物6 下記(6)(b))と詳しく記載されているだけであるから、申立人の提出した証拠方法には「不活性ガスまたは還元性雰囲気中、100℃〜1000℃で5分〜600分間熱処理した後、酸化性雰囲気中、500℃〜900℃で5分〜600分間熱処理する二段階の熱処理を連続的に行う」ことは記載も示唆もされていないと云える。
してみると、訂正後の本件請求項3に係る発明は、独立特許要件を満たしているものと云える。
1-4.まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正ずる法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項、第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについて
3-1.取消理由通知の概要
当審の取消理由通知の概要は、(1)請求項1に係る発明は刊行物1に記載された発明であるか、または請求項2、3に係る発明は刊行物1〜4、6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり取り消されるべきものであり、また請求項2、3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり取り消されるべきものである、(2)請求項1に係る発明はその出願前に公然知られた、または公然実施された甲第5号証の窒化珪素粉末と同一であり、また請求項2、3に係る発明は刊行物6の記載を参照すれば甲第5号証の窒化珪素粉末から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第1項第1号、第2号の規定に違反してされたものであり取り消されるべきものであり、また請求項2、3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり取り消されるべきものである、というものである。

3-2.本件訂正発明
特許権者が請求した上記訂正は、上述したとおり、認容することができるから、訂正後の本件請求項1〜6に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜6に記載されたとおりのものである。
特許異議申立ては訂正前の請求項1〜3に係る発明の特許に対して、申立てられているから、訂正前の請求項1〜3に対応する訂正後の請求項1、2について検討する(以下、「本件訂正発明1、2」という)。
「【請求項1】粉末粒子の内部が結晶質であり、かつ表面が1nm以上10nm未満の厚みの主としてSi、N、OおよびHからなる非晶質で覆われ、表面の酸素と窒素の原子数比(O/N)が、0.2〜1.3の範囲にあり、該粉末を中性の水または湯に浸透させた際に示す水溶液のpHが2〜7の範囲にあることを特徴とする窒化珪素粉末。
【請求項2】粉末を中性の水または湯に浸漬させた際に、粉末表面より溶出する粉末1g当りの弗素イオン量が0.1〜1mg/gであることを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素粉末。」

3-3.上記3-1.(1)の理由について
3-3-1.刊行物の記載内容
(1)刊行物1:「Am.Ceram.Soc.Bull.」65[8] p1171〜1176(1986):申立人の提出した甲第1号証
(a)「窒化珪素、炭化珪素粉末の表面特性」(第1171頁 表題 訳文 以下、同じ)
(b)「粉末A※」(第1171頁右欄)
(c)「※印LC12,H.C.Starck社 ニューヨーク」(第1171頁左欄)
(d)「粉末Aと粉末Cは両方とも1300℃以上の温度で珪素粉末の窒化によって製造され、続いて、粉末化、粒子径の分級、精製が行われる。」(第1171頁右欄下から第12〜10行)
(e)「図2 粉末Aの厚み3〜5nmの非晶質のかなり均一なシリカ層を示す高分解能透過型電子顕微鏡写真」(第1172頁左欄)
(f)「図2及び3は、それぞれ、粉末A及び粉末Dの高分解能透過型電子顕微鏡写真を示す。粉末表面には明らかに非晶質酸化層が存在し、その厚みは3〜5nmである。」(第1173頁左欄)
(2)刊行物2:「Fresenius Z Anal Chem」(1989)333 p502〜506:申立人の提出した甲第2号証
(a)「窒化珪素粉末における表面と本体の酸素分析の比較」(第502頁 表題 訳文 以下同じ)
(b)第502頁の表1(窒化珪素粉末の分析)には、No.1として、LC12 製造者 H.C.Starck,Berlin、製造法 珪素の窒化が記載されている。
(c)第503頁表2(AES結果)には、No.1がXxpsaが0.12であることが記載されている。
(d)「それゆえ、X=O/N式に大きな注意が払われるべきである。この場合、O、Nは原子濃度を示す。」(第503頁右欄)
(3)刊行物3:「JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE」22(1987) p3717〜3720:申立人の提出した甲第3号証
(a)「窒化珪素粉末の酸素分析」(第3717頁 表題 訳文 以下同じ)
(b)「10種類の市販の窒化珪素粉末の酸素量について試験をした。・・・H.C.Starck LC-12,Berlin,FRG(F),・・・AからFの6つの粉末は金属珪素の窒化によって製造される・・・」(第3717頁右欄)
(c)「3.2.XPSから導かれた酸素層厚みdxps O1sとN1sのピーク強度の関係から窒化珪素粒の表面層、すなわちSiO2と考えられる表面の酸素厚みを計算することが可能である。理想的モデルによって得られた結果は複層構造によって得られた結果とは整合しない。しかし明白な理由は発見できない。・・・平均脱出深さmは1.2nm・・・粒子表面構造の層状モデルから酸素層の厚みが導かれる。・・・dxps=mln(IOI0N/INI0O+1)但し、IO及びINは、O1s及びN1sのピーク強度測定値であり、I0O、I0Nは、XPSのピーク強度理論値であり、該理論値はそれぞれ純粋な窒化珪素、二酸化珪素からわかる。I0O/I0N値は・・・1.03と計算できる。」(第3718頁右欄〜第3719頁左欄)
(d)第3719頁表2(表面と本体の酸素分析の比較)には、粉末Fはdxps 0.14が記載されている。
(4)刊行物4:「Colloidal Processing of Ceramics」AKADEMISK AVHANDLING p43〜52(1992):申立人の提出した甲第4号証
(a)「報文IIには、窒化珪素の充電挙動のモデルが報告されている。イオン化する2つのタイプを含む窒化珪素粉末の表面のモデルは、シラノール(Si-OH)基と第2級アミン(Si2-NH)基とで構成されている。」(第46頁 訳文)
(5)刊行物5:特開平5-193915号公報(公開日 平成5年8月3日 本件の優先日後に頒布された文献である):申立人の甲第7号証
(a)「また、原料のSi3N4粉体としては、表1に示す宇部興産(株)製「UBE-SN-Cシリーズ」(イミド分解法によるSi3N4粉体焼結助剤添加タイプ)を用いた。」(第4頁第5欄第6行〜第6欄第3行)
(b)「水中安定度測定方法 供試粉体25g及び蒸留水75mlを5mmφアルミナボール75gと共にナイロンポット(内容積270cm3)に投入し、回転数80rpmのユニバーサルミル台にて、4、8、12、24、48時間混合を行ない、得られたスラリーのpH値を測定した。pHが低いものほど水中安定性が高く、pHが高いものほど水中安定性が低い。なお、比較のため、表面被覆をしていない各種粉体についても同様に測定した。」(第4頁第6欄第25〜33行)
(c)第5頁表3(pH値)には、比較例として粉体SN-COA、SN-COB、SN-COCの水中混合時間(時間)4時間後のpH値が、それぞれ7.50、8、7.66であることが記載されている。
(6)刊行物6:特開平2-107509号公報:申立人の提出した甲第8号証
(a)「全酸素含量が1.8重量%より少なく、全酸素含量に対する表面酸素含量の割合が65%より多く、フッ素含量が35ppmより低いことを特徴とするSi3N4粉末。」(請求項1)
(b)「全酸素含量が0.4重量%以下のSi3N4粉末を酸素含有雰囲気中において温度700〜1200℃で15〜90分間焼鈍する特許請求の範囲第1項記載のSi3N4粉末を製造する方法。」(請求項2)

3-3-2.対比・判断
(1)本件訂正発明1について
刊行物1には、H.C.Starck社のLC12という窒化珪素粉末が記載されており(上記(1)(a)(b)(c))、該粉末の表面には厚み3〜5nmの非晶質酸化層が存在することが記載されている(上記(1)(e)(f))。この場合、粉末内部は結晶質であると解される。
これら記載を本件訂正発明1の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には「粉末粒子の内部が結晶質であり、かつ表面が3〜5nmの厚みの非晶質酸化層で覆われたH.C.Starck社のLC12という窒化珪素粉末」という発明(以下、「刊行物1発明」という)が記載されていると云える。
そこで、本件訂正発明1と刊行物1発明とを対比すると、両者は次の点で相違していると云える。
相違点(イ):本件訂正発明1では、非晶質が「主としてSi、N、OおよびHからなる」であるのに対して、刊行物1発明では、「酸化層」である点
相違点(ロ):本件訂正発明1では、「表面の酸素と窒素の原子数比(O/N)が、0.2〜1.3の範囲にある」のに対して、刊行物1発明では、その点が不明である点
相違点(ハ):本件訂正発明1では、「粉末を中性の水または湯に浸透させた際に示す水溶液のpHが2〜7の範囲にある」のに対して、刊行物1発明では、その点が不明である点
これら相違点のうち、相違点(ロ)について検討する。
ここで、H.C.Starck社のLC12のO/N比を各刊行物から検討する。
刊行物2において、O/N比がXであることが記載され(上記(2)(d))、H.C.Starck社のLC12のXxpsaが0.12であることが記載されているから(上記(2)(b)(c))、刊行物2からH.C.Starck社のLC12のO/N比は0.12と云える。この数値は本件訂正発明1の範囲外である。
次に、刊行物3の式dxps=mln(IOI0N/INI0O+1)に、mは1.2nm、I0O/I0N値は1.03を算入し(上記(3)(c))、dxpsは0.14を算入すると(上記(3)(d))、H.C.StarckのLC-12のIO/INすなわちO/N比は0.13となり、この数値は本件訂正発明1の範囲外である。
してみると、刊行物2、3から導かれる、H.C.Starck社のLC12のO/N比は本件訂正発明1の範囲外である。
したがって、他の相違点を検討してみるまでもなく、本件訂正発明1は、刊行物1に記載された発明であるとすることはできない。
(2)本件訂正発明2について
請求項1を引用した本件訂正発明2と刊行物1発明とを対比すると、両者は、上記(1)で述べた相違点(イ)〜(ハ)以外に、次の点で相違している。
相違点(ニ):本件訂正発明2では、「粉末を中性の水または湯に浸漬させた際に、粉末表面より溶出する粉末1g当りの弗素イオン量が0.1〜lmg/gである」のに対して、刊行物1発明では、その点が不明である点
これら相違点のうち、上記相違点(ロ)について検討する。
上述のように、刊行物2、3から導かれるH.C.Starck社のLC12のO/N比は、それぞれ0.12、0.13である。
また、刊行物4には窒化珪素粉末の表面のモデルが、刊行物6には、窒化珪素粉末のフッ素含量が、それぞれ記載されているだけであるから、刊行物2〜4、6には、「表面の酸素と窒素の原子数比(O/N)が、0.2〜1.3の範囲にある」ことは記載も示唆もされていないと云える。
してみると、上記相違点(ロ)の構成は、刊行物2〜4、6の記載から当業者が容易に想到し得るものであるということはできない。
そして、本件訂正発明2は、本件明細書記載の「均質な粉末充填構造を有する成形体を、常に再現性良く得られるような原料窒化珪素粉末を提供する」(本件特許掲載公報第3頁第5欄第4〜6行)という効果を奏すると云える。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件訂正発明2は、刊行物1〜4、6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

3-4.上記3-1.(2)の理由について
3-4-1.甲各号証の記載内容
(1)甲第5号証:「結果報告書」株式会社東レリサーチセンター:申立人の提出した甲第5号証
(a)「イミド分解法により製造された窒化ケイ素粉末である東ソー(株)製TS-7及び宇部興産(株)製SN-E10を分析した。また、宇部興産(株)製SN-E10を大気雰囲気中800℃で2時間加熱処理し、未処理の粉末との比較を行った。」(実験に使用した窒化ケイ素粉末欄)
(b)「透過型電子顕微鏡観察 粒子表面を覆う非晶質層の厚さ(nm)(第1視野) 東ソー TS-7(未処理品) 1.8〜4.5、UBE SN-E10(未処理品) 1.5〜2.8、UBE SN-E10(未処理品) 4.0〜5.5、UBE SN-E10(800℃-2h大気酸化品) 2.0〜4.0」(第2表)
(2)甲第6号証:「分析結果報告書」(株)三井化学分析センター岩国支店(申立人が、本件特許権者と同一の特許権者に係る特許第2946916号の特許異議申立において提出した甲第3号証の写):申立人の提出した甲第6号証
(a)報告書では、H.C.Starck社製の窒化珪素粉末LC-12SX、電気化学工業(株)製の窒化珪素粉末SN-9S、Bayer社製の窒化珪素粉末BaysinidST、東ソー(株)製の窒化珪素粉末TS-7及び宇部興産(株)製の窒化珪素粉末SN-EI0(未処理品5種及び大気酸化品5種)について、ESCA(XPS)による表面分析及びその結果を開示している。
(b)「Si、N、Oが大半でCは2%程度と少ない」(結果の欄)
(3)甲第6号証の2:「甲第6号証で得られた分析結果より算出した窒化珪素粉末のO/N比を示す表」:申立人の提出した甲第6号証の2
(a)「LC-12X(未処理品)O/N比0.19、SN-9S(未処理品)O/N比0.19、(未処理品)O/N比0.80、Baysinid ST(未処理品)O/N比0.64、TS-7(未処理品)O/N比0.70、SN-E10(未処理品)O/N比0.51、SN-E10(未処理品)O/N比0.41、SN-E10(未処理品)O/N比0.39、SN-E10(未処理品)O/N比0.35、SN-E10(未処理品)O/N比0.52、SN-E10(800℃-2h大気酸化品)O/N比0.77、SN-E10(800℃-2h大気酸化品)O/N比0.76、SN-E10(800℃-2h大気酸化品)O/N比0.84、SN-E10(800℃-2h大気酸化品)O/N比0.81、SN-E10(800℃-2h大気酸化品)O/N比0.67」(表)
(4)甲第6号証の3:「回答書」(申立人が、本件特許権者と同一の特許権者に係る特許第2946916号の特許異議申立において審判長の審尋に対して提出した回答書の写)
(a)甲第6号証で分析の対象とした宇部興産(株)製の窒化珪素粉末SN-E1Oが、平成4年1月24日以前から製造販売しているという回答・証明について記載されている。

3-4-2.対比・判断
(1)本件訂正発明1について
甲第5号証には、「粒子表面を覆う非晶質層が1.5〜5.5nmである宇部興産(株)製SN-E10という窒化ケイ素粉末」が記載されていると云える。
そして、この宇部興産(株)製SN-E10は甲第6号証の3から本件出願前公然知られていたか或いは公然実施されていたものであると云える。
また甲第6号証から、SN-E10は「Si、N、Oが大半でCは2%程度と少ない」(上記(2(b))ことがわかり、甲第6号証の2から、SN-E10はO/N比が0.35〜0.84(上記(3)(a))であることがわかる。
これらのことから「粉末粒子の内部が結晶質であり、かつ表面が1.5〜5.5nmの厚みの、Si、N、Oが大半でCは2%程度と少ない非晶質で覆われ、表面の酸素と窒素の原子数比(O/N)が、0.35〜0.84の範囲にある宇部興産(株)製SN-E10という窒化珪素粉末」という発明(以下、「公知発明」という)が公然知られていたか或いは公然実施されていたものと云える。
そこで、本件訂正発明1と公知発明とを対比すると、両者は、次の点で相違している。
相違点(イ):本件訂正発明1では、非晶質が「主としてSi、N、OおよびHからなる」であるのに対して、公知発明では、「Si、N、Oが大半でCは2%程度と少ない」である点
相違点(ロ):本件訂正発明1では、「粉末を中性の水または湯に浸透させた際に示す水溶液のpHが2〜7の範囲にある」のに対して、公知発明では、その点が不明である点
これら相違点のうち相違点(ロ)を検討すると、上記3-3-1.(5)の刊行物5には、SN-COA、SN-COB、SN-COC窒化珪素粉末の水中混合時間(時間)4時間後のpH値が、それぞれ7.50、7.48、7.66であることが、開示されている。
しかしながら、次の理由、すなわち(1)SN-COA、SN-COB、SN-COC窒化珪素粉末は、公知発明のSN-E10とは相違している、(2)「水中混合時間(時間)4時間後のpH値」が、「粉末を中性の水または湯に浸透させた際に示す水溶液のpH」と同じとしても、pH値は7を超えている、ことから、刊行物5に、「粉末を中性の水または湯に浸透させた際に示す水溶液のpHが2〜7の範囲にある」ことが開示されているとは云えない。
申立人は、平成16年10月25日付け回答書で、窒化珪素粉末と水とをボールミルで混合したスラリーのpH値は、ボールミルの混合時間とともに上昇する、換言すると「粉末を中性の水または湯に浸透させた際に示す水溶液のpH」が「水中混合時間(時間)4時間後のpH値」より小さいと主張しているが、例えそうだとしても、SN-COA等のSN-E10とは種類の違う窒化珪素粉末の「水中混合時間(時間)4時間後のpH値」から、SN-E10の「粉末を中性の水または湯に浸透させた際に示す水溶液のpH」が2〜7の範囲にあるということが云えるとすることはできない。
したがって、本件訂正発明1は、本件出願前公然知られた発明であるとも、公然実施された発明であるともすることはできない。
(2)本件訂正発明2について
請求項1を引用した本件訂正発明2と公知発明とを対比すると、両者は、上記(1)で述べた相違点(イ)(ロ)以外に、次の点で相違している。
相違点(ハ):本件訂正発明2では、「粉末を中性の水または湯に浸漬させた際に、粉末表面より溶出する粉末1g当りの弗素イオン量が0.1〜lmg/gである」のに対して、刊行物1発明では、その点が不明である点
これら相違点のうち、上記相違点(ロ)を検討すると、刊行物1〜4、6には、「粉末を中性の水または湯に浸透させた際に示す水溶液のpH」については記載も示唆もされていないから、上記相違点(ロ)の構成は当業者が容易に想到し得るものであるとすることはできない。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件訂正発明2は、公知発明及び刊行物1〜4、6から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

4.むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては、訂正後の本件請求項1、2に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の本件請求項1、2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、訂正後の本件請求項1、2に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願にされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
窒化珪素粉末およびその製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】粉末粒子の内部が結晶質であり、かつ表面が1nm以上10nm未満の厚みの主としてSi、N、OおよびHからなる非晶質で覆われ、表面の酸素と窒素の原子数比(O/N)が0.2〜1.3の範囲にあり、該粉末を中性の水または湯に浸透させた際に示す水溶液のpHが2〜7の範囲にあることを特徴とする窒化珪素粉末。
【請求項2】粉末を中性の水または湯に浸漬させた際に、粉末表面より溶出する粉末1g当りの弗素イオン量が0.1〜1mg/gであることを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素粉末。
【請求項3】窒化珪素粉末を不活性ガスまたは還元性雰囲気中、100℃〜1000℃で5分〜600分間熱処理した後、酸化性雰囲気中、500℃〜900℃で5分〜600分間熱処理する二段階の熱処理を連続的に行うことを特徴とする請求項1または2に記載の窒化珪素粉末の製造方法。
【請求項4】昇温速度および冷却速度が、それぞれ0.5〜50℃/分であることを特徴とする請求項3に記載の窒化珪素粉末の製造方法。
【請求項5】不活性ガスまたは還元性ガスの種類が、窒素、アルゴン、ヘリウム、アンモニア、水素のうちの少なくとも一種類であることを特徴とする請求項3または4に記載の窒化珪素粉末の製造方法。
【請求項6】酸化性雰囲気中に、酸素または水蒸気を含むことを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の窒化珪素粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、自動車部品をはじめとする各種構造材料に用いられる窒化珪素セラミックス製品の製造に用いる原料粉末に関し、特に高強度で信頼性の高い焼結体を得るために必須な窒化珪素原料粉末の表面特性に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
窒化珪素セラミックスは、軽量でかつ耐熱性、耐食性、対摩耗性に優れ、また強度および靭性のバランスのとれた材料であり、自動車のエンジン部品やガスタービンエンジン等の幅広い用途での実用化が期待されている。しかしながら、この窒化珪素セラミックスは、脆性であるために焼結体の内部に存在する種々の欠陥により機械的性質が大きく影響を受ける。特に強度特性は、空孔、不純物あるいは粗大粒やキズのような欠陥に敏感で、これらの部分に応力が集中し破壊の起源となるため焼結体強度は大幅に低下し、このため窒化珪素セラミックスは実用材料としての信頼性に欠けていた。
【0003】
窒化珪素焼結体は、粉末を焼き固めることによって得られる。すなわち、原料粉末に焼結助剤等を混合したものを成形し、焼成炉で加熱することによって粉末粒子同士が焼結して多結晶体を形成する。従って、焼結体の微構造は原料粉末特性の影響を強く受ける。
【0004】
従来、窒化珪素原料は、均質で欠陥の少ない焼結体を実現するために、結晶相のα分率が高くより微粒でかつ金属不純物のできるだけ少ない粉末がよいとされ、原料メーカーは競って高α率で微粒かつ高純度な原料粉末を開発してきた。その結果、α率が90%以上、平均粒径が1μm以下、鉄含有量が100ppm以下というような高品質な原料が市販されるようになった。これにより、焼結体中に含まれる不純物や粗大粒の生成が大幅に減少し、焼結条件を適正化すればこれらの欠陥に起因する破壊が起こる頻度が低くなった。
【0005】
さらに、製造された窒化珪素粉末の表面を処理することにより、表面に存在する金属以外の不純物を除去したり、表面性状を変化させて高性能な焼結体を得る技術がある。例えば、特公平4-65002の請求項にみられるような、塩素および/または弗素を含む窒化珪素粉末を水蒸気を含むガスと350℃以上1100℃以下の温度で接触させることにより、窒化珪素から塩素および/または弗素を除去する方法や、特開平4-83758の請求項にある高純度水で洗浄した窒化珪素粉末を用いる方法がある。また、特開平2-107509の請求項にあるような、全酸素量が0.4wt%以下のSi3N4粉末を酸素含有雰囲気中において、温度700〜1200℃で15〜90分間焼鈍し、全酸素含量が1.8wt%より少なく、全酸素含量に対する表面酸素含量の割合が65%より多く、弗素含量が35ppmより低い窒化珪素粉末を製造する方法、特開平3-199167の請求項のように、BET比表面積が6m2/g以上、酸素含有量が0.3〜1.8wt%の窒化珪素粉末を、大気中または酸化性雰囲気中250〜800℃の温度で、含有酸素の増加量が窒化珪素粉末の表面積1m2当り0.1wt%以下となるように熱処理する方法、さらに、特開平2-172807の請求項にある、窒化珪素粉末をフッ酸と硝酸との混酸により処理する方法、そして、特公平5-13083の請求項に示されるような、窒化珪素粉末に水を加えたスラリーを加熱し、その温度を35〜100℃に保ちつつ湿式粉砕し、粉砕と同時に窒化珪素粉末中に含有する酸素量を増加させる方法などがある。
【0006】
このように、ファインで高純度の窒化珪素粉末の製造技術が発達し、さらに種々の粉末表面処理技術が開発され、それに伴って窒化珪素焼結体ひいては窒化珪素セラミックス製品の信頼性は以前に比べ大きく向上してきている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、依然として窒化珪素セラミックスを自動車用部品等に代表されるような高い信頼性を要求される部品に使用するには、その信頼性は未だ十分とはいえない状況にある。すなわち、依然として材料の破壊強度レベルが低く、強度のばらつきが大きいのである。
【0008】
発明者らは、その根本的原因がどこにあるのかを精力的に探求し、高純度でファインな原料粉末を用いたにもかかわらず得られた窒化珪素焼結体の強度がばらつき信頼性が低いのは、焼結前の成形体の構造に起因することを突き止めた。すなわち、セラミックスの製造においては、粉体を形ある固形物に変化させるために成形(または造形)工程を経る。この時、成形体中には充填された粉末間に間隙あるいは空孔が存在している。これらの空孔が非常に小さく均一に分布していれば、次工程の焼成中に完全に消滅してしまうが、その分布が不均一で大きな空孔が偏在して形成されると焼成してもそれが消滅せず、焼結体中に欠陥として残ってしまうのである。その結果、如何に微粒で不純物のない緻密な焼結体ができても、わずかに残ったこれらの空孔によって破壊強度は大幅に低下してしまう。
【0009】
このように、従来の窒化珪素焼結体には、破壊強度の低下をまねく空孔が存在するが、それは以上述べたような成形体中の粉末の不均一な充填構造によって生じる粗大空孔によるものである。これに対しては、多くの技術者が、多大な成形・焼結実験を繰り返しながら経験的にこの問題を個々に改善してきているのが現状である。
【0010】
そこで、この発明は、均質な粉末充填構造を有する成形体を、常に再現性良く得られるような原料窒化珪素粉末を提供することを目的とし、窒化珪素粉末が水中に分散したスラリーを作製する際に用いられる原料粉末の性状を改善しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
均一な充填構造をなす成形体を得ようとする場合、スラリー中の粉末の分散・凝集状態がその成形体構造に影響を及ぼす大きな因子となる。スラリー中の粉末の不均一凝集が激しいと良好な成形体が得られず、また、スラリー中の粉末の分散構造あるいは分散形態によっても成形体充填構造が変化する。従って、均一な充填構造の成形体を得るためには成形前の粉末粒子がミクロに見て適した分散・凝集状態であり、マクロに見てもそれに適した分散構造または形態であるかどうかが課題解決のためには特に重要である。ここでいう成形方法については、乾式によるプレスやCIP、また湿式成形、射出成形等の種類は問わない。
【0012】
粉末の分散媒中での凝集・分散状態は、その粉末の表面特性で決まってくる。発明者らは研究過程において、良好な分散状態を得るための窒化珪素粉末表面の構造・組成及びその性質を見出した。
【0013】
本発明によれば、まず結晶質の粉末粒子表面は主としてSi,N,OおよびHからなる厚み1nm以上10nm未満の非晶質層で覆われており、当該層の酸素と窒素の原子数比(以下O/N比と称す)は0.1〜2.0の範囲である必要がある。ここでいう非晶質層の厚みは、粉末を透過型電子顕微鏡で直接観察するか、あるいは、例えば次のような方法によって測定される。まず、粉末の表面を蒸着によりPt-PdあるいはAuのような金属超微粒子で被覆し、その後有機接着剤と混練し固化させ、この固化物をスパッタリングにより薄膜化し透過型電子顕微鏡で観察する方法である。
【0014】
尚、上記O/N比は例えばX線光電子分光法(XPS)によって酸素量と窒素量を測定して算定される。以上述べたような結晶質の粉末粒子表面の構造および組成とすることによって従来にない均一な充填構造の成形体が再現性良く得られ、高強度で信頼性の高い窒化珪素焼結体を得ることができる。
【0015】
また、後述するように原料窒化珪素粉末の熱処理条件をコントロールすることによって、上記の粉末粒子の表面の構造・組成に加え、粉末を中性の水または湯に浸漬させた際に示す水溶液のpHを2〜7の範囲の酸性寄りの最適領域を選べば、より一層前述の効果を高めることができる。さらに、本発明において上記pH値の範囲内で熱処理条件を特定の範囲とすれば、上記pH値に影響を及ぼす今一つの要因である表面非晶質層中のFイオン濃度をコントロールすることにより、すなわち粉末を中性の水または湯に浸漬した際に粉末から溶出するFイオン量を粉末1g当り0.1〜1mgとすることによってより優れた前述の効果を得ることができる。尚、言うまでもないが上記pH値が酸性側になるのは粉末表面の非晶質層に起因するものである。
【0016】
【作用】
まず、使用する窒化珪素粉末粒子の表面構造を透過型電子顕微鏡を用いて観察する。粉体を直接観察し、表面での層境界を特定することができるが、一方で例えば次のような前処理を行って観察する方法がある。まず、粉末表面を金属超微粒子で蒸着・被覆する。被覆された金属超微粒子は窒化珪素粉末粒子最表面の標識となり、また表面保護の役目も果たす。被覆された粉末は有機接着剤と混練され固化した後にスパッタリングで薄膜化される。これにより、樹脂中に粉末粒子が固定・保持され、スパッタリングによる薄膜化で粒子断面が露出する。露出した粒子断面の最外郭表面は被覆物によって標識され、透過型電子顕微鏡によって容易に表面構造ひいては非晶質層の厚みを測定することが可能となる。また表面の組成は前述の如く例えばXPSにより測定された粉末表面のSi、N、OおよびH等のピーク強度を定量化することによって、相対的な原子数比を求めることができる。
【0017】
このようにして測定された窒化珪素粉末粒子の表面構造および組成の特徴は前述の通りである。前述のように当該非晶質層の厚みは1nm以上10nm未満の範囲であること、より好ましくは2〜4nmの範囲であることが重要である。これに加えさらに当該非晶質層O/N比は0.1〜2.0であること、より好ましくは0.2〜1.3の範囲であることが重要である。このような表面構造をとることによって、従来窒化珪素粉末には使用できないとされていた水溶媒中でも表面非晶質層がバリアとなって窒化珪素の酸化、分解を抑制することが可能となり、均一な充填構造を形成しうる分散・凝集状態を安定して維持できるようになる。
【0018】
さらに、非晶質層に酸素および水素原子が存在することにより、水との親和性が向上し水溶媒中での粉末の分散均一性が適度に制御される。また、該非晶質層は焼成中に焼結助剤とともに液相を形成し焼結反応を促進させる駆動力の役目も果たす。この非晶質層の厚みが1nm未満だと水溶媒に濡れないため分散性向上効果が発揮されず、また10nmを越えると焼結性を逆に低下させ、また、焼結体の高温強度が低下するため好ましくない。表面O/N比は0.1未満だと水との親和性が低下して凝集し、2.0を越すと逆に水との親和力や粒子間の反発力が強くなり過ぎるため好ましくない。
【0019】
以上のような表面構造・組成としO/N比をコントロールすることにより、本発明の目的とする高強度で高い信頼性の窒化珪素焼結体が得られるが、さらに粉末の分散・凝集は粉末表面の酸性度にも強く依存するので、特定の製造条件を選べば前述のように粉末を中性の水または湯に浸漬させた時の液のpH(以下、単に“表面pH”と称す)を2〜7の酸性寄りにすることによって、より一層適度な粉末分散状態を得ることができ、より一層均質な充填構造の成形体を得ることができる。この場合のpH値が2未満の粉末では凝集が顕著で粗大な2次粒子が形成され成形時に均一な充填構造体が得られにくく空孔の偏析を招き易い。また、pH=7を越える粉末では分散状態の制御がより困難になるため、この場合も均一な充填構造の成形体が得られにくく偏析空孔を残し易くなるので好ましくない。
【0020】
また、この表面pHの範囲内で後述する熱処理条件の適正範囲を選べば、中性の水または湯に粉末を浸漬した際に粉末表面より溶出するFイオンの量が粉末1g当り0.1〜1mgに制御され、さらに粉末の凝集が回避され、より好適な充填構造の成形体を得ることが可能となる。この場合の粉末表面より溶出するフッ素イオン量が1mg/gを越えるとスラリー中での粉末同士が強い凝集を起こし易く、また焼成中および焼結体の強度にも悪影響を及ぼすので好ましくなく、1mg/g以下でなければならない。
【0021】
従って、この発明の窒化珪素粉末を用いて作製したスラリーは、前述のようにその分散構造・凝集状態が適度に制御されることにより、均質な、すなわち均一な充填構造の成形体を得ることができ、ひいては高強度でかつ強度ばらつきの小さい焼結体を得ることができる。また、該粉末は種々の成形法に適用が可能である。
【0022】
この発明の窒化珪素粉末は、以下の方法によって効果的に製造することができる。
【0023】
通常の市販の窒化珪素粉末の表面はその非晶質層の厚みや表面O/N比がコントロールされていない。このような窒化珪素粉末を第一段階として窒素、アルゴン、ヘリウム、アンモニア、水素のうち少なくとも一種の不活性ガスまたは還元性雰囲気中、100℃〜1000℃で、5分〜600分間熱処理した後、第二段階として酸素または水蒸気を含む酸化性雰囲気中、300℃〜1200℃で、5分〜600分間熱処理する。このような二段階の熱処理によってSi、N、OおよびHからなり厚み1nm以上10nm未満かつO/N比が0.1〜2.0の表面層を有する窒化珪素粉末が得られる。この二段階の熱処理の内で、温度と時間を適切に組み合わせることによって表面の非晶質層の厚みおよびO/N比が上記の範囲でコントロールできる。
【0024】
第一段階の好ましい条件は温度が600〜900℃、時間が30〜300分である。また第二段階の好ましい条件は温度が500〜900℃、時間が100〜400分である。この好ましい条件とすることによって粉末表面の非晶質層の厚みを2〜4nm、O/N比を0.2〜1.3にコントロールができ、より充填構造に優れた成形体が安定して得られる。
【0025】
第二段階の雰囲気は酸素および水蒸気を含む酸化性雰囲気であればよいが、経済性を考えると空気中が最も好ましい。第二段階の熱処理を途中で冷却することなく連続した処理プログラムで行なうことによって、前述した表面pHを2〜7の間で確実にコントロールできる。その原因は明白ではないが、第一段階の処理直後の表面状態を忠実に維持したまま第二段階の酸化処理につなげることによって、第一段階処理後一旦冷却する場合に比べ表面の状態が微妙に変化しているものと考えられる。このような粉末構造とすることによってさらに成形体の充填度は改善される。
【0026】
また、この連続処理で第二段階の温度を500〜900℃とすることによって中性の水または湯に粉末を浸漬した際の粉末表層部からの溶出Fイオン量を粉末1g当り1mg以下の低い値に抑えることが可能になる。尚このFイオンは原料粉末製造後粒子表面に残留して結合しているものであるが、この量を低減させることによって成形時の粉末の充填はさらに改善される。
【0027】
尚、以上の熱処理では昇降温の速度を0.5〜50℃/分、好ましくは1〜20℃/分とした方がよい。0.5℃/分未満では時間がかかり過ぎるとともに昇温時間が長すぎるため粉末の凝集が進み好ましくない。また50℃/分を超えると後述するようにセラミックケースが破損したりその寿命が著しく低下する。
【0028】
以上述べた本発明の範囲の条件下の第一段階熱処理を行ない連続して第二段階熱処理を500〜900℃で行なうことによって、窒化珪素粉末の表面特性が本発明の目的上最も好ましい状態に変化し、粉末の表面が1nm以上10nm未満の厚みの主としてSi、N、OおよびHからなる非晶質層で覆われており、また表面層のO/N比が0.1〜2.0の範囲にあり、そして表面pHが2〜7の範囲内で溶出フッ素イオン量が0.1〜1mg/gの範囲内となることを同時に満たすような粉末を得ることができる。
【0029】
前述のように第一段階および第二段階の処理条件は、出発原料の窒化珪素粉末の非晶質層の厚みに応じて設定され、当初の非晶質層の厚みが大きい場合は、第一段階の不活性ガスまたは還元性雰囲気中での温度と時間をそれぞれ高く長くし、場合によっては表面を還元窒化して表面酸化層を減らし、第二段階では酸化条件を緩やかにして表面層の性質を微調整する。また、最初の非晶質層の厚みが小さい場合は、逆に第二段階の酸化条件を厳しくして酸化を進行させる。第一段階の処理では、100℃未満または5分未満では処理効果が充分得られず、また、1000℃または600分を越えると、粉末の凝集が激しくなり成形体内の粉末の均質充填度に悪影響を及ぼすので好ましくない。
【0030】
第二段階の処理についても、300℃または5分未満では処理を行っても粉末特性は変化せず、また、1200℃または600分を越えると、粉末の凝集と共に異常酸化が起き成形体内の粉末の均質充填度の低下をまねくので好ましくない。また酸化性雰囲気中には、酸素または水蒸気を含むことが粉末表面のより効果的な酸化改質には適している。昇温速度および冷却速度は、0.5℃/分未満だと加熱時間が非常に長時間となるため、粉末の凝集が進み、50℃/分より速いと粉末を充填したケースが熱衝撃により破損するため、好ましくない。すなわちこの場合、粉末処理用ケースは、処理中のケースからの窒化珪素粉末への汚染を防ぐために、金属や有機物系のものは避けた方がよい。従って、窒化物あるいは酸化物セラミックス製のケースを用いることが適している。しかしながら、セラミックスケースは、強い熱衝撃に対して割れたり、ひどい場合は破裂してしまうことがあるので条件に合わせてケースの形状、耐熱金属との組み合わせ構造のものを考える必要がある。
【0031】
この方法が従来から行なわれている単なる大気中での加熱処理と異なる点は、不活性ガスまたは還元性雰囲気中での加熱処理と酸化性雰囲気中での加熱処理を組み合わせた点にある。すなわちこのような処理を行なうことによって粉末の表面層の厚みと主成分およびそのO/N比をコントロールすることが可能となる。さらに上記二段の熱処理を途中で冷却せず連続して行なうことによって上記の表面構造に加え粉末の表面pHのコントロールが可能となる。さらにこの連続処理の第二段階の温度を特定の範囲にすることによって以上の全ての表面構造に加え粉末表面のFイオン量を低く抑えることが可能になる。また、本方法によって、出発原料の窒化珪素粉末の処理前の酸素量の如何にかかわらず、適切な処理条件を選ぶことによって処理後には目的の特性を有する窒化珪素粉末を得ることができるため、工業的にも有用である。さらに、その焼結体特性は強度・靭性に限らず、高温特性(高温曲げ強度・クリープ特性・耐酸化性)や摩擦・摩耗特性も改善される。
【0032】
【実施例】
以下、この発明の実施例を説明する。
【0033】
(実施例1)製造メーカーおよび製造方法の異なる市販の窒化珪素粉末A〜E(いずれもα率>80%、平均粒径<10μm、Fe含有量0.1wt%以下)を、表1および表2のような条件で熱処理した。さらに、それぞれの未処理および処理粉末について、焼結助剤(5wt%Y2O3-5wt%Al2O3)と有機添加物、有機質バインダーを加えて水中でボールミル混合した。その後、成形した後、窒素中1800℃で2時間ガス圧焼結を行い、緻密な焼結体を作製した。熱処理前後の粉末特性、成形体の密度および得られた焼結体の室温3点曲げ強度とワイブル係数および破壊靭性値を表3および表4に示した。尚、表1または表2中、冷却速度の欄の「→」は第一段階と第二段階の熱処理の連続処理を示し、表3または表4中、焼結体の曲げ強度はJIS R1601に準拠した3点曲げ強度であり、同破壊靭性値はSEPB法によるものである。
【0034】
表1乃至表4のデータより以下の点が確認された。
(1)通常のα率>80%、平均粒径<10μm、Fe含有量0.1wt%以下の市販の粉末であれば、いずれの粉末でも適正範囲の熱処理を行なえば、本発明の目的とする粉末と焼結体が得られる。(実施例1-4,1-14〜1-16)
(2)第一段階・第二段階の雰囲気を適正に選び、適正温度・適正時間で熱処理をすれば、本発明の目的とする粉末と焼結体が得られる。(実施例1-1〜1-25)
(3)第一段階と第二段階の熱処理を連続させた温度・時間プログラムで行なうことによって表面pHのコントロールされた粉末が得られ、これによって粉末の成形充填性がより一層改善され、より優れた焼結体特性が得られる。(実施例1-1〜1-16および1-17〜1-25)
(4)上記連続処理に加えて、第二段階の熱処理温度を500〜900℃とすることによって表面pHがコントロールされ、かつFイオン溶出量のコントロールされたさらに成形充填性に優れた粉末が得られ、本発明の範囲内では最も優れた焼結体特性が得られる。(実施例1-1〜1-16,1-17〜1-19,1-20〜1-22,1-23〜1-25)
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【0039】
以上のような実施例に示されるごとく、この発明の粉末は成形時の充填性が向上するため、高い成形密度が低い固体間バラツキで得られ、その結果、最終焼結体の曲げ強度およびそのワイブル係数並びに靭性を大幅に向上させる効果がある。
【0040】
(実施例2)
実施例1で得られた試料1-1〜1-4,1-14〜1-18の各試料について1200℃の高温曲げ強度および室温の摩擦係数(同材セラミック同士)を確認し表5に示した。尚、すべてn=5の平均値である。また、表5中、焼結体の摩擦係数はJISR1613のボールオンディスク法による摩耗試験方法によるものである。同様の特性について比較例1-2,1-8〜1-10、1-12〜1-15についても確認し、その結果についても表5に示した。この結果より本発明試料は高温強度にも優れ、摩擦係数も小さく耐熱性、耐摩耗性にも優れていることがわかる。
【0041】
【表5】

【0042】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明による窒化珪素原料粉末を使用することにより、高強度で信頼性の高い窒化珪素セラミックスを製造することができ、自動車部品をはじめとする高い信頼性が要求される構造用部材への実用化が促進される。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-12-10 
出願番号 特願平6-76631
審決分類 P 1 652・ 121- YA (C01B)
P 1 652・ 113- YA (C01B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大工原 大二  
特許庁審判長 大黒 浩之
特許庁審判官 野田 直人
西村 和美
登録日 2002-12-27 
登録番号 特許第3384101号(P3384101)
権利者 住友電気工業株式会社
発明の名称 窒化珪素粉末およびその製造方法  
代理人 二島 英明  
代理人 中野 稔  
代理人 服部 保次  
代理人 山口 幹雄  
代理人 中野 稔  
代理人 二島 英明  
代理人 山口 幹雄  
代理人 服部 保次  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ