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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 F02D 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 F02D 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 F02D |
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管理番号 | 1112967 |
異議申立番号 | 異議2003-71689 |
総通号数 | 64 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1998-09-22 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-07-07 |
確定日 | 2004-12-20 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3364873号「内燃機関の電子制御式スロットル弁装置」の請求項1ないし6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3364873号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本件特許第3364873号についての出願は、平成9年3月13日に特許出願されたものであって、その請求項1〜6に係る発明は、平成14年11月1日にその特許権の設定登録がなされたものであるが、その後、本件の請求項1〜6に係る特許に対して、異議申立人 酒巻 紫より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成15年11月18日に訂正請求(後日取下げ)がなされた後、再度の取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年11月9日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 特許権者が求めている訂正の内容は、以下ア〜トのとおりである。 ア.訂正事項1 特許第3364873号の特許登録時の明細書(以下、「本件明細書」という)中の特許請求の範囲の請求項1〜6の記載である、 「【請求項1】 スロットル弁と、 前記スロットル弁を回動させるためのアクチュエータと、 前記アクチュエータの非出力側端部において、アクチュエータのボディを所定間隙を有して収容し、前記スロットル弁の回動動作から独立して支持されるケースと、 前記アクチュエータの出力側端部において、アクチュエータのボディを前記スロットル弁の回動動作から独立して固定支持すると共に前記アクチュエータの非出力側端部を前記所定間隙に介装した弾性体によって支持する支持手段と、 を含んで構成したことを特徴とする内燃機関の電子制御式スロットル弁装置。 【請求項2】 前記弾性体が、前記ケースに収容されるアクチュエータの非出力側ボディの略円筒状外周面と、前記ケースの内周面と、の間の所定間隙に介装されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の電子制御式スロットル弁装置。 【請求項3】 前記弾性体が、前記ケースに収容されるアクチュエータの出力軸に垂直な平面と、これに対面する前記ケースの内周面と、の間の所定間隙に介装されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の電子制御式スロットル弁装置。 【請求項4】 弾性体の位置決めのための位置決め手段が設けられることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の内燃機関の電子制御式スロットル弁装置。 【請求項5】 前記弾性体が、前記ケースに収容されるアクチュエータの非出力側ボディの略円筒状外周面と、前記ケースの内周面と、の間の所定間隙に介装される場合に、前記位置決め手段が、前記アクチュエータの非出力側ボディの略円筒中心軸方向への弾性体の移動を規制する手段として構成されることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の電子制御式スロットル弁装置。 【請求項6】 前記弾性体が、O-リングであることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の内燃機関の電子制御式スロットル弁装置。」 を以下のように訂正する。 「【請求項1】 スロットル弁と、 当該スロットル弁が設けられた本体と、 前記スロットル弁を回動させるためのアクチュエータと、 前記本体に設けられ、開ロ端側からアクチュエータ出力軸に沿った方向に挿入した前記アクチュエータのボディを所定間隙を有して収容するケースと、前記アクチュエータの出力側端部において、前記アクチュエータのボディに形成されたフランジ部を前記本体に当接させて締結することによって、前記アクチュエータのボディを前記本体に固定支持すると共に、前記アクチュエータの非出力側端部において、前記アクチュエータのボディのフランジ部が前記本体に締結されたときに、前記アクチュエータのボディの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面とこれに対面する前記ケースの内面との間に介装したウェーブワッシャの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面に作用する押圧力によって、前記アクチュエータのボディを前記本体に支持する支持手段と、 を含んで構成したことを特徴とする内燃機関の電子制御式スロットル弁装置。 【請求項2】 前記ウェーブワッシャの位置決めのための位置決め手段が設けられることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の電子制御式スロットル弁装置。」 イ.訂正事項2 本件明細書中の段落【0007】の記載を、以下のように訂正する。 「【0007】 【課題を解決するための手段】 このため、請求項1に記載の発明にかかる内燃機関の電子制御スロットル弁装置においては、スロットル弁と、当該スロットル弁が設けられた本体と、前記スロットル弁を回動させるためのアクチュエータと、前記本体に設けられ、開口端側からアクチュエータ出力軸に沿った方向に挿入した前記アクチュエータのボディを所定間隙を有して収容するケースと、前記アクチュエータの出力側端部において、前記アクチュエータのボディに形成されたフランジ部を前記本体に当接させて締結することによって、前記アクチュエータのボディを前記本体に固定支持すると共に、前記アクチュエータの非出力側端部において、前記アクチュエータのボディのフランジ部が前記本体に締結されたときに、前記アクチュエータのボディの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面とこれに対面する前記ケースの内面との間に介装したウェーブワッシャの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面に作用する押圧力によって、前記アクチュエータのボディを前記本体に支持する支持手段と、を含んで構成した。」 ウ.訂正事項3 本件明細書中の段落【0008】の記載を、以下のように訂正する。 「【0008】 かかる構成によれば、ウェーブワッシャを介装して、アクチュエータのボディの非出力側も支持する構成となるので、簡単かつ低コストな構成でありながら、従来のような片持ち構造(一端支持構造)を両持ち構造(両端支持構造)とすることができるので、効果的に耐振性を向上させることができる。即ち、耐振性を向上させても、従来のような片持ち構造ように、アクチュエータを支持するフランジ部等の厚肉化、アクチュエータボディの厚肉化、アクチュエータの内部構造の強度アップ等を図る必要がなく、重量、サイズ、コスト等の増加を招くこともない。また、ウェーブワッシャを介装する構成とすれば、アクチュエータの位置決めに対してある程度の自由度を持たせることができるので、位置精度等を考慮して加工精度を高くする必要がなく、従って、組み付け性の悪化やコストの増大といった惧れを極力排除することができる。」 エ.訂正事項4 本件明細書中の段落【0009】の記載を削除する。 オ.訂正事項5 本件明細書中の段落【0010】の記載を、以下のように訂正する。 「【0010】 請求項2に記載の発明では、前記ウェーブワッシャの位置決めのための位置決め手段が設けられるようにする。」 カ.訂正事項6 本件明細書中の段落【0011】の記載を、以下のように訂正する。 「【0011】 請求項2の発明のように構成すれば、ウェーブワッシャの脱落・捩じれ等を防止して組み付け性を向上させることができると共に、ウェーブワッシャを介装したことによる耐振性の向上を確実に発揮させることができることになる。」 キ.訂正事項7 本件明細書中の段落【0012】の記載を、以下のように訂正する。 「【0012】 【発明の実施の形態】 以下、添付の図面に基づいて説明する。 なお、図6に示した従来のものと同一要素にあっては、同一符号を付すこととする。 図1に示されるように、内燃機関の吸気通路(図示省略)にスロツトル弁5が介装され、該スロットル弁5は、回動軸4を中心として回動されて吸気通路の通路面積(開度)を調整できるようになっている。」 ク.訂正事項8 本件明細書中の段落【0013】の記載を、以下のように訂正する。 「【0013】 なお、運転者のアクセル操作とは独立して開度調整可能なように、図示しないコントロールユニット等からの駆動信号により駆動される電動モータ等のアクチュエータ2を介してスロットル弁5の開度は制御されるようになっている。 ここで、アクチュエータ2は、アクチュエータ2のボディのフランジ部2Dをアクチュエータ固定用ベースプレート7にボルト8を介して締結固定することで、アクチュエータ固定用ベースプレート7に取付けられるようになっている。そして、このアクチュエータ固定用ベースプレート7が、固定用ボルト6を介して本体1Aのフランジ部1Bに締結固定されることで、アクチュエータ2が本体1Aに固定(支持)されるようになっている。」 ケ.訂正事項9 本件明細書中の段落【0014】に記載を、以下のように訂正する。 「【0014】 しかしながら、アクチュエータ2の一端2A側(出力側)でのみアクチュエータ2を本体1Aに固定(支持)する構成では、片持ち構造(一端支持構造)となるため耐振性が低下する惧れがあるため、以下のようにして、アクチュエータ2のボディの他端2B側(非出力側)をも本体1A(ケース部1C)で支持するようにして、耐振性を向上させるようにしている。」 コ.訂正事項10 本件明細書中の段落【0017】の記載を、以下のように訂正する。 「【0017】 なお、弾性体9としてのO-リングは、規格品(標準品)であることが、一層低コスト化を図れる点で好ましい。 また、弾性体9の捩じれ等を防止して組み付け性を向上させるために、図1に示すように、弾性体9とアクチュエータ2のボディの端面2Eとの間に、環状のバックアップリング10(例えば、金属、プラスチック、ゴム、シリコン等からなるリング部材)を介装させるようにするのが、コスト面からも好ましい。なお、アクチュエータ2のボディの凸部2Cの外周面を段付形状に加工し、図1に示したバックアップリング10と同様の作用効果を奏させるようにしてもよい。また、本体1Aのケース部1Cの内周面に溝加工を施し、その溝内に弾性体9を保持させることで、図1に示したバックアップリング10と同様の作用効果を奏させるようにすることもできる。」 サ.訂正事項11 本件明細書中の段落【0018】の記載を、以下のように訂正する。 「【0018】 ところで、弾性体9は、例えば、図2に示すような波形状の弾性体(例えば、金属、・プラスチック、ゴム、シリコン製等)を用いることもできる。 なお、弾性体9を、アクチュエータ2のボディの凸部2Cの外周部に配設するようにして説明したが、これに限るものではなく、実質的に片持ち構造(一端支持構造)を両持ち構造(両端支持構造)とすることができるのであれば、例えば、凸部2C以外のアクチュエータ2のボディ外周部に弾性体9を配設することも可能である。」 シ.訂正事項12 本件明細書中の段落【0019】の記載を、以下のように訂正する。 「【0019】 また、弾性体9の捩じれ等を防止して組み付け性を向上させるために、図1に示すように、弾性体9とアクチュエータ2のボディの端面2Eとの間に、環状のバックアップリング10を介装させるようにするのが好ましいとして説明したが、図3に示すように、断面偏平形状を有すると共に、面圧を確実に確保しなければならない部分については外周方向へ向けて突起する部分9Bを有するO-リング9Aを用いるようにすることもできる。かかるO-リング9Aを用いれば、バックアップリング10を採用しなくても、面圧を良好に維持できると共に良好に 捩じれ等を防止して組み付け性を向上させることができる。」 ス.訂正事項13 本件明細書中の段落【0020】の記載を、以下のように訂正する。 「【0020】 次に、本発明の実施形態ついて説明する。 前述した図1では、アクチュエータ2のボディの凸部2Cの外周部に弾性体9を配設し、アクチュエータ2を支持する構成を、両持ち構造(両端支持構造)とすることで耐振性を向上させるようにしているが、本発明の実施形態では、以下のようにして耐振性を向上させるようになっている。 セ.訂正事項14 本件明細書中の段落【0021】の記載を、以下のように訂正する。 「【0021】 なお、図6に示した従来のもの、或いは図1に示したものと同一要素にあっては、同一符号を付して、説明を省略することとする。 即ち、図4に示すように、アクチュエータ2のボディの凸部2Cの端面と、これに対面する本体1Aのケース部1Cの内側端面と、の間に、弾性体11(例えば、弦巻バネ等)を介装するようにしている。なお、当該弾性体11の一部を収容する凹部は、本発明にかかる位置決め手段に相当する。」 ソ.訂正事項15 本件明細書中の段落【0023】の記載を、以下のように訂正する。 「【0023】 なお、弾性体11としては、弦巻形状に限らず、ソリッド或いは中空形状の弾性体(ゴム、シリコン等)若しくはリング形状の弾性体(ゴム、シリコン等)を用いることもできる。更に、図4に示した弦巻形状の弾性体に替えて、図5に示すようなウェーブワッシャを用いることもできる。 ところで、図1において説明した弾性体9と、本発明の実施形態において説明した弾性体11と、を同時に備えるようにすることも可能であり、これにより尚一層効果的に耐振性を向上させることができる。」 タ.訂正事項16 本件明細書中の段落【0024】の記載を、以下のように訂正する。 「【0024】 また、上記実施形態では、凸部2Cを有する構造のアクチュエータ2に関して説明てきたが、これに限るものではなく、該凸部2Cを有さない構造のものであっても本発明を適用できるものである。 更に、上記実施形態では、本体1Aとケース部1Cとを一体形成する構成として説明したが、これに限られるものではなく、本体1Aとケース部1Cとを別体に形成するものにも、本発明は適用できるものである。また、ケース部1Cは、アクチュエータ2の略全体を収容する構成として説明したが、本発明はこれに限られるものでもなく、アクチュエータ2のボディの一端2B付近のみ(即ち、非出力側の一部のみ)を覆う構成にも適用できるものである。」 チ.訂正事項17 本件明細書中の段落【0025】の記載を、以下のように訂正する。 「【0025】 【発明の効果】 以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、ウェーブワッシャを介装して、アクチュエータのボディの非出力側も支持する構成となるので、簡単かつ低コストな構成でありながら、従来のような片持ち構造を両持ち構造とすることができるので、効果的に耐振性を向上させることができる。即ち、耐振性を向上させても、従来のような片持ち構造ように、アクチュエータを固定するフランジ部等の厚肉化、アクチュエータボディの厚肉化、アクチュエータの内部構造の強度アップ等を図る必要がなく、重量、サイズ、コスト等の増加を招くこともない。また、ウェーブワッシャを介装する構成とすれば、アクチュエータの位置決めに対してある程度の自由度を持たせることができるので、位置精度等を考慮して加工精度を高くする必要がなく、従って、組み付け性の悪化やコストの増大といった惧れを極力排除することができる。」 ツ.訂正事項18 本件明細書中の段落【0026】の記載を、以下のように訂正する。 「【0026】 請求項2に記載の発明によれば、ウェーブワッシャの脱落・捩じれ等を防止して組み付け性を向上させることができると共に、ウェーブワッシャを介装したことによる耐振性の向上を確実に発揮させることができることになる。」 テ.訂正事項19 本件明細書中の段落【0027】を削除する。 ト.訂正事項20 本件明細書中の図面の簡単な説明の記載を、以下のように訂正する。 「【図面の簡単な説明】 【図1】スロットル弁装置の全体構成の断面図 【図2】図1において他の弾性体を用いた場合の部分側面図 【図3】(A)は、同上実施形態において更に他の弾性体を採用した場合の部分拡大図。(B)は、(A)に示された弾性体の正面図。(C)は、(B)のA-A矢視図。 【図4】本発明の実施形態にかかる部分拡大図 【図5】同上実施形態において採用可能な他の弾性体の一例を示す図 【図6】従来装置の全体構成を示す断面図 【符号の説明】 1 電子制御式スロットル弁装置 1A 本体 1B フランジ部 1Cケース部 2 アクチュエータ(電動モ-タなど) 2C 凸部 5 スロットル弁 6 固定用ボルト 9 弾性体 10 バックアップリング 11 弾性体」 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否 ア.訂正事項1 訂正事項1は、特許請求の範囲の訂正前の請求項1を訂正前の請求項3の内容を取り入れつつ訂正して新たな請求項1とする共に、訂正前の請求項2、3、5、6を削除して訂正前の請求項4を新たな請求項2とするものである。 a.請求項1において、「当該スロットル弁が設けられた本体と」の記載を追加する訂正については、図1においてスロットル弁5が本体1Aに設けられていることに基づくものであり、スロットル弁の設けられる箇所を限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。 b.また、請求項1において、「前記本体に設けられ、開口端側からアクチュエータ出力軸に沿った方向に挿入した前記アクチュエータのボディを所定間隙を有して収容するケースと」の記載を追加する訂正について、「前記本体に設けられ」との記載は、段落【0015】における「本体1Aのケース部1C(本発明にかかるケースに相当する)」との記載、及び図1に基づくものであり、「開口端側からアクチュエータ出力軸に沿った方向に挿入した前記アクチュエータのボディを所定間隙を有して収容する」との記載は、図1において、ケース部1Cがアクチュエータ2のボディを収容するための開口端を有していること、この開口端からアクチュエータ2のボディの出力軸方向に沿って袋状の収容空間が形成されており、アクチュエータ2のボディが前記収容空間内に、前記関口端側からアクチュエータ出力軸に沿った方向に挿入して収容されることが明らかであること、及び図4においてアクチュエータ2のボディの外周とケース部1Cの内周との間に間隙を有していること、に基づくものである。 また、「ケース」に関して、「スロットル弁の回動動作から独立して支持される」との記載を削除した点は、その記載自体に実質的な意味はなく、請求項1の記載を明りょうにしたものであり、実質上特許請求の範囲が拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 よって、上記訂正は、アクチュエータのボディをケースに収容する形態を、収容方法を示してより具体的に限定するとともに、ケースに関する記載を明りょうにしたものであるから、特許請求の範囲の減縮、及び明りょうでない記載の釈明を目的としたものと認められる。 c.また、請求項1において「前記アクチュエータの出力側端部において、前記アクチュエータのボディに形成されたフランジ部を前記本体に当接させて締結することによって、前記アクチュエータのボディを前記本体に固定支持する」とする訂正について、「アクチュエータのボディに形成されたフランジ部を前記本外に当接させて締結すること」との記載は、段落【0013】における「アクチュエータ2のボディのフランジ部2Dをアクチュエータ固定用ベースプレート7にボルト8を介して締結固定することで、アクチュエータ固定用ベースプレート7に取付けられるようになっている。」との記載及び図1に基づくものである。 また、「固定支持」に関して「前記スロットル弁の回動動作から独立して」の記載を削除した点は、その記載自体に実質的な意味はなく、請求項1の記載を明りょうにしたものであり、実質上特許請求の範囲が拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。 よって、上記訂正は、アクチュエータの出力側端部におけるアクチュエータのボディの支持形態をより具体的に限定するともに、固定支持に関する記載を明りょうにしたものであるから、特許請求の範囲の減縮、及び明りょうでない記載の釈明を目的としたものと認められる。 d.また、請求項1において「前記アクチュエータの非出力側端部において、前記アクチュエータのボディのフランジ部が前記本体に締結されたときに、前記アクチュエータのボディの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面とこれに対面する前記ケースの内面との間に介装したウェーブワッシャの前記ケースの内面に作用する押圧力によって、前記アクチュエータのボディを前記本体に支持する」とする訂正について、「前記アクチュエータのボディのアクチュエータ出力軸に垂直な平面とこれに対面するケースの内面との間に介装したウェーブワッシャ」との記載は、訂正前の請求項3における「前記弾性体が、前記ケースに収容されるアクチュエータの出力軸に垂直な平面と、これに対面する前記ケースの内周面(内面を意味するものと考えられる)と、の間に所定間隙に介装される」との記載、図4において弾性体11がアクチュエータ2のボディの凸部2Cの端面(底面)とケースの凹部底面との間に介装されている状態が示されていること、同じく図4において凸部2Cの端面(底面)はアクチュエータ出力軸に垂直な平面であり、ケースの凹部底面は前記凸部2Cの端面(底面)に対面していること、及び段落【0023】における「更に、図4に示した弦巻形状の弾性体に代えて、図5に示すようなウェーブワッシャを用いることもできる。」との記載に基づくものである。 「前記アクチュエータのボディのフランジ部が前記本体に締結されたときに、…ウェーブワッシャの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面に作用する押圧力によって、前記アクチュエータのボディを前記本体に支持する」との記載は、図4においてアクチュエータ2のボディのフランジ部2Dが本体に締結される前は弾性体11が圧縮されず、締結されたときに弾性体11が圧縮されて押圧力を生じてアクチュエータ2のボディが本体に支持されることが明らかであること、段落【0022】における「弾性体11の凸部2Cの端面に作用する押圧力」との記載、及び段落【0023】における「更に、図4に示した弦巻形状の弾性体に代えて、図5に示すようなウェーブワッシャを用いることもできる。」との記載に基づくものである。 また、「ウェーブワッシャ(弾性体)」に関して、「所定間隙に介装した」の記載を削除した点については、上記b.の訂正事項に、アクチュエータのボディとケースとの間に「所定間隙」を有していることは記載されており、「ウェーブワッシャ(弾性体)」を介装するためには、非出力側端部において所定間隙を有することが必要なことは明らかであるから、実質上特許請求の範囲が拡張し、又は変更するものでない。 よって、上記訂正はアクチュ-タの非出力側端部におけるアクチュ-タのボディの支持形態をより具体的に限定しようとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。 e.また、請求項2において「前記ウェーブワッシャの位置決めのための位置決め手段が設けられる」との訂正は、もとの請求項4における「弾性体」を「ウェーブワッシャ」として、より具体的に限定しようとするものであり、この場合の位置決め手段については、段落【0017】に、「また、本体1Aのケース部1Cの内周面に溝加工を施し、その溝内に弾性体9を保持させることで、図1に示したバックアップリング10と同様の作用効果を奏させるようにすることもできる。」と記載されているから、上記訂正は特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。 したがって、上記訂正事項1は、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 また、願書に添付した明細書又は図面に記載した範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 よって、上記訂正事項1は、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 イ.訂正事項2、3 訂正事項2、3は、上記訂正事項1における特許請求の範囲の請求項1の訂正に伴い、発明の詳細な説明において記載を明りょうにしたものであるので、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項2、3は、上記訂正事項1において示したものと同じ根拠に基づくものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 ウ.訂正事項4 訂正事項4は、上記訂正事項1における特許請求の範囲のもとの請求項2、3、5、6の削除に伴い、該当部分を削除したものであり、発明の詳細な説明において記載を明りょうにしたものであるので、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項4は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである エ.訂正事項5、6 訂正事項5、6は、上記訂正事項1における特許請求の範囲の請求項2の訂正に伴い、発明の詳細な説明において記載を明りょうにしたものであるので、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項5、6は、上記訂正事項1において示したものと同じ根拠に基づくものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 オ.訂正事項7〜16 訂正事項7〜16は、上記訂正事項1における特許請求の範囲の請求項1の訂正に伴い、図1及び図3で示される実施例が本件発明の範囲に含まれなくなったことに対応するものであり、発明の詳細な説明において記載を明りょうにしたものであるので、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項7〜16は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 カ.訂正事項17 訂正事項17は、上記訂正事項1における特許請求の範囲の請求項1の訂正に伴い、発明の詳細な説明において記載を明りょうにしたものであるので、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項17は、上記訂正事項1において示したものと同じ根拠に基づくものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 キ.訂正事項18 訂正事項18は、上記訂正事項1における特許請求の範囲の請求項2の訂正に伴い、発明の詳細な説明において記載を明りょうにしたものであるので、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項18は、上記訂正事項1において示したものと同じ根拠に基づくものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 ク.訂正事項19 訂正事項19は、上記訂正事項1における特許請求の範囲のもとの請求項6の削除に伴い、該当部分を削除したものであり、発明の詳細な説明において記載を明りょうにしたものであるので、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項19は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである ケ.訂正事項20 訂正事項20は、上記訂正事項1における特許請求の範囲の請求項1の訂正に伴い、図1及び図3で示される実施例が本件発明の範囲に含まれなくなったことに対応するものであり、図面の簡単な説明において記載を明りょうにしたものであるので、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項20は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。 (3)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、平成15年改正前の特許法第120条の4第2項及び同第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.本件発明 上述したように、訂正請求による訂正が認められたので、本件特許第3364873号の請求項1(訂正前の請求項1に対応)、請求項2(訂正前の請求項4に対応)に係る発明(以下、「本件発明1」、「本件発明2」という。)は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項(上記2.(1)アの訂正事項1の箇所に記載された事項)により特定されるとおりのものと認める。 4.特許異議申立及び取消理由の概要 (1)特許異議申立の概要 特許異議申立人 酒巻 紫は、証拠として、以下の甲号各証を提出し、請求項1〜6に係る発明は、甲第1〜3号証に記載された発明そのもの、あるいは甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項3号、第29条第2項あるいは特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである旨主張している。 (証拠方法) ・甲第1号証;特開平7-166897号公報 ・甲第2号証;特願平8-242136号(特開平10-89096号公報) ・甲第3号証;特願平8-290082号(特開平10-131772号公報) (2)取消理由の概要 また、当審が通知した取消理由は、申立人が主張しているとおりの理由により、請求項1〜6に係る発明は、特許法第29条第1項3号、第29条第2項あるいは特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、その後、再度、通知した取消理由は、請求項1〜6に係る発明は、甲第1号証、及び下記刊行物4、5に記載された発明に基づいて特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、請求項1の記載は明確ではなく、発明の詳細な説明と対応していないため特許法第36条6項の規定により特許を受けることができない、というものである。 ・刊行物4;実願昭62-74206号(実開昭63-182657号)のマイクロフィルム ・刊行物5;実願昭49-109733号(実開昭51-37212号)のマイクロフィルム 5.引用刊行物記載の発明 ・刊行物1(「甲第1号証」と同じ。)には、 「スロットル軸3は、ベアリング71及び72を介してスロットルボディ17に回動可能に支持されている。スロットルボディ17は、軽量化及び放熱性を高めるためアルミニウムで形成されている。スロットル弁11はスロットル軸3に固定され、スロットル軸3とスロットル弁11とは一体となって回動する。」(第3頁左欄第40〜46行)、 「モータ200のハウジング201はビス18,19でスロットボディー17に組み付けられている。ヨーク202はカップ状に形成され、端部にゴムキャップ203が嵌合している。」(第5頁右欄第34〜38行)と記載されている。 ・刊行物2(「甲第2号証」と同じ。)には、 「【発明の属する技術分野】 本発明は、エンジンのスロットル弁を電気的なアクチュエータにより開度制御するスロットル装置に係り、さらに詳細には、エンジンキースイッチをオフした時のスロットル弁のイニシャル開度をスロットル弁の全閉位置より大きく設定する機構を備えたスロットル装置に関する。」(段落【0001]) 「スロットルボディ15の側壁の一部(図1では下部)にはモータケース部15Eがスロットルシャフト18と平行配置の態様で設けられ、モータケース部15Eに電子スロットル用のアクチュエータとなるモータ12が収容される。モータ12は、直流モータ,ステッピングモータ等が使用される。 モータケース部15Eの内周はテーパ形状を呈して、モータ12を挿入し易くし、ケース部15Eの奥端に弾性部材27を介在させ、ケース開口部にモータ止め板96を配置し、ねじ97の締め付けで、弾性部材27及び止め板96がモータ12を挾持している。」(段落【0053】〜段落【0054】)と記載されている。 ・刊行物3(「甲第3号証」と同じ。)には、 「そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、モータ単体で機能する構成とすることでスロットルボデーへのモータの組付けを簡素化すると共に、耐振性に優れ高精度を維持した空気流量制御を行うことができるスロットル制御装置の提供を課題としている。」(段落【0008】)、 「また、スロットルボデー10にはモータ30が内蔵されている。このモータ30は磁性材料からなるヨークとしてのハウジング31の右端にプレート32が挿嵌され固定されている。このプレート32内に挿嵌された軸受33とハウジング31内の左端に挿嵌された軸受34とによりロータ軸35が回転自在に軸支されている。また、ロータ軸35に固設されたロータ36はハウジング31の内周面に接着されたマグネット37に対向して配設されている。このように、モータ30はハウジング31とプレート32にてケーシングが構成されているためそれ自身単体で性能試験等を実施することができる。」(段落【0017】)、 「モータ30のハウジング31の左端の外周縁31aがスロットルボデー10に嵌合されロータ軸35に垂直な回転方向(ラジアル方向)に位置決めされる。また、ハウジング31の右端に挿嵌され固定されたプレート32には、図3に示すように、2箇所に位置決め用の穴32a,32bが穿設されており、この穴32a,32bがスロットルボデー10側に予め植設された位置決め用のピン25,26に挿嵌されることで、モータ30のハウジング31の右端のプレート32がロータ軸35に垂直な回転方向(ラジアル方向)に位置決めされる。 また、モータ30のハウジング31の左端面31bがスロットルボデー10との隙間に配設された弾性部材としての皿ばね17によって図1の右方向に付勢される。そして、スロットルボデー10の右側面を覆うように固定されたスロットルボデーカバー19の内面には、図2に二点鎖線で示すように、ギヤ列のうちピニオンギヤ38及びセカンダリギヤ18と干渉しないよう、かつ、ピニオンギヤ38が固定されたロータ軸35に対して対称となる位置に突起部19aが設けられ、その突起部19aの先端がモータ30のプレート32の右端面32cと当接されることで、モータ30はロータ軸方向(スラスト方向)に位置決めされる。」(段落【0021】〜段落【0022】)、 「そして、本実施の形態のスロットル制御装置は、軸方向固定手段がモータ30のケーシングを構成するハウジング31のロータ軸方向(スラスト方向)における左端面をスロットルボデー10側から弾性部材としての皿ばね17を介して付勢し、右端面をスロットルボデー10側のスロットルボデーカバー19に設けられた突起部19aを介して位置決めするものである。 したがって、ケーシングをハウジング31及びプレート32で構成されたモータ30は、皿ばね17によってロータ軸方向(スラスト方向)にスロットルボデー10側からそれと一体的なスロットルボデーカバー19の突起部19aに対して付勢され位置決めされる。このため、モータ30のスロットルボデー10内における耐振性が向上され高精度なスロットル制御装置を構成することができる。」(段落【0030】〜段落【0031】)、 「ところで、上記実施の形態では、弾性部材として皿ばね17を利用してモータ30のケーシングを構成するハウジング31を図1の右方向に付勢するとしたが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、ウェーブワッシャ、コイルばね、ゴム等の弾性体であって、スロットルボデー10とハウジング31との間に配設されることでロータ軸方向(スラスト方向)の隙間が除去できるものであればよい。」(段落【0034】)、 と記載されている。 ・刊行物4には、 「第1図、第2図において、キャビネットに設けられたリング状の受け台1aにOリング5を挿入して嵌合し、モータ側面にある凹部2cと、キャビネットのモータ位置決めボス1eでモータ2を位置決めしながら受け台1aに取り付ける。そして、モータ上部の凸部2bに孔3aを通された押え板3は、キャビネットと一体の位置決めボス1dと、押え板位置決め孔3cの2箇所で位置決めされ、ビス4で押え板の固定孔3bを介し、キャビネット一体のボス1cで固定される。」(第3頁第17行〜第4頁第6行)、 「以上のように本考案のモータ取付装置は、モータとキャビネット一体の受け台との間に、リング状のゴム弾性体を備えたことにより、モータ底部からのモータオイルの流出を防止し、又、モータ回転時の振動吸収、モータ取付時におけるガタツキを解消するものであり、実用上極めて有利なものである。」(第4頁第8〜14行)と記載されている。 また、刊行物5には、 「電動機がその取付板に接する部分に摩擦係数の小なるシート又は弾性を有するシートを介在せしめてなる電動機の取付装置」(第1頁第8〜11行)と記載されている。 6.当審の判断 (1)特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項違反について 本件発明1と刊行物1記載の発明とを対比すると、本件発明1は、「アクチュエータの出力側端部において、前記アクチュエータのボディに形成されたフランジ部を前記本体に当接させて締結することによって、前記アクチュエータのボディを前記本体に固定支持すると共に、前記アクチュエータの非出力側端部において、前記アクチュエータのボディのフランジ部が前記本体に締結されたときに、前記アクチュエータのボディの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面とこれに対面する前記ケースの内面との間に介装したウェーブワッシャの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面に作用する押圧力によって、前記アクチュエータのボディを前記本体に支持する支持手段」を有するものであるが、刊行物1記載の発明は、アクチュエータのボディの外壁とケースの内壁との間に介装した弾性体を有するものの、上記支持手段を構成するかどうか明らかではない。 また、本件発明1と刊行物4記載の発明とを対比すると、刊行物4記載の発明はモータ2の非出力側端部において、押さえ板3がキャビネット1に締結されたときに、モータ出力軸に垂直な平面とこれに対面するキャビネット1の内面との間に介装したゴム弾性体の前記モータ出力軸に垂直な平面に作用する押圧力によって、前記モータ2をキャビネット1に支持する支持手段を有するものの、「アクチュエータのボディに形成されたフランジ部を前記本体に当接させて締結することによって、前記アクチュエータのボディを前記本体に固定支持する」点、及び弾性体として「ウェーブワッシャ」を用いる点についての構成がない。 また、本件発明と刊行物5記載の発明とを対比すると、刊行物5記載の発明は、電動機と取付板との間に摩擦係数の小なるシート又は弾性を有するシートを介在せしめた構成を有するのみであり、上記本件発明1の支持手段に関する構成がない。 それゆえ、刊行物1、4、5記載の発明は、本件発明1を特定するための必要事項である「アクチュエータの非出力側端部において、前記アクチュエータのボディのフランジ部が前記本体に締結されたときに、前記アクチュエータのボディの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面とこれに対面する前記ケースの内面との間に介装したウェーブワッシャの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面に作用する押圧力によって、前記アクチュエータのボディを前記本体に支持する」点を備えていない。 そして、本件発明1は、当該事項を備えることにより、明細書記載の「請求項1に記載の発明によれば、ウェーブワッシャを介装して、アクチュエータのボディの非出力側も支持する構成となるので、簡単かつ低コストな構成でありながら、従来のような片持ち構造を両持ち構造とすることができるので、効果的に耐振性を向上させることができる。即ち、耐振性を向上させても、従来のような片持ち構造ように、アクチュエータを固定するフランジ部等の厚肉化、アクチュエータボディの厚肉化、アクチュエータの内部構造の強度アップ等を図る必要がなく、重量、サイズ、コスト等の増加を招くこともない。また、ウェーブワッシャを介装する構成とすれば、アクチュエータの位置決めに対してある程度の自由度を持たせることができるので、位置精度等を考慮して加工精度を高くする必要がなく、従って、組み付け性の悪化やコストの増大といった惧れを極力排除することができる。」(段落【0025】参照)という顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は、刊行物1、4、5記載の発明でないばかりでなく、刊行物1、4、5記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできないので、本件発明1の特許は、特許法第29条第1項3号、又は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。 そして、本件発明2は、本件発明1の構成を全て含み、さらに「ウェーブワッシャの位置決めのための位置決め手段」を負荷したものであるから、本件発明2の特許についても同様の理由により、特許法第29条第1項3号、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。 (2)特許法第29条の2違反について 本件発明1と、刊行物2に係る出願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「先願明細書1」という。)に記載された発明とを比較すると、先願明細書1に記載された発明は、「モータ12の出力側端部において、モータ止め板96をスロットルボディ15にねじ97により締結することによって、モータ15を弾性部材27及び止め板96でモータ12を狭持した内燃機関の電子制御式スロットル弁装置。」との構成を有するものの、「アクチュエータの出力側端部において、前記アクチュエータのボディに形成されたフランジ部を前記本体に当接させて締結することによって、前記アクチュエータのボディを前記本体に固定支持すると共に、前記アクチュエータの非出力側端部において、前記アクチュエータのボディのフランジ部が前記本体に締結されたときに、前記アクチュエータのボディの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面とこれに対面する前記ケースの内面との間に介装したウェーブワッシャの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面に作用する押圧力によって、前記アクチュエータのボディを前記本体に支持する支持手段」との構成がない。 本件発明1と、刊行物3に係る出願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「先願明細書2」という。)に記載された発明とを比較すると、先願明細書2に記載された発明は、「モータ30の出力側端部において、前記モータ30のケーシングとして構成されたプレート32をスロットルボディ10の位置決め用のピン25、26に挿嵌し、プレート32をスロットルボデーカバー19の突起部19aと当接させ、モータ30の非出力側端部において、モータ30を右方向に付勢するウェーブワッシャを設けてモータ30を支持する内燃機関の電子制御式スロットル弁装置。」との構成を有するものの、「アクチュエータのボディに形成されたフランジ部を前記本体に当接させて締結する」という構成はなく、また、ウェーブワッシャの押圧力が「アクチュエータのボディのフランジ部が前記本体に締結されたときに」作用するものではない。 してみると、本件発明1は、先願明細書1又は2に記載された発明と同一とはいえないから、本件発明1の特許は特許法第29条の2の規定に違反してなされたものではない。 (3)特許法第36条第6項違反について 本件発明1及び本件明細書の記載は、上記訂正事項1〜20の訂正により明確となったから、本件発明1の特許は、特許法第36条第6項に規定に違反してなされたものではない。 7.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立人の主張する理由及び証拠方法によって、本件発明1、2の特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1、2の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 内燃機関の電子制御式スロットル弁装置 (57)【特許請求の範囲】 スロットル弁と、 当該スロットル弁が設けられた本体と、 前記スロットル弁を回動させるためのアクチュエータと、 前記本体に設けられ、開口端側からアクチュエータ出力軸に沿った方向に挿入した前記アクチュエータのボディを所定間隙を有して収容するケースと、 前記アクチュエータの出力側端部において、前記アクチュエータのボディに形成されたフランジ部を前記本体に当接させて締結することによって、前記アクチュエータのボディを前記本体に固定支持すると共に、前記アクチュエータの非出力側端部において、前記アクチュエータのボディのフランジ部が前記本体に締結されたときに、前記アクチュエータのボディの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面とこれに対面する前記ケースの内面との間に介装したウェーブワッシャの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面に作用する押圧力によって、前記アクチュエータのボディを前記本体に支持する支持手段と、 を含んで構成したことを特徴とする内燃機関の電子制御式スロットル弁装置。 【請求項2】 前記ウェーブワッシャの位置決めのための位置決め手段が設けられることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の電子制御式スロットル弁装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、スロットル弁を電動モータ等のアクチュエータにより駆動するようにした内燃機関の電子制御式スロットル弁装置の改良技術に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、この種の装置として、例えば、図6に示されるようなものがある。このものは、内燃機関の吸気通路等に介装される電子制御式スロットル弁装置1であって、コントロールユニットからの駆動信号に基づいて電動モータ等のアクチュエータ2を駆動し、その駆動力により歯車伝達機構3、回動軸4等を介して弁体(スロットル弁)5を回動させることで、運転者のアクセル操作とは独立して、その開度を調整可能とするものである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、上記従来の電子制御式スロットル弁装置1にあっては、アクチュエータ2を基端部2A側でのみ、固定用ボルト(スクリュウ)6を介して電子制御式スロットル弁装置1の本体1Aのフランジ部1B等に固定する構造、言い換えれば片持ち構造(一端支持構造)としていたため、以下のような惧れがあった。 【0004】 即ち、従来のような片持ち構造では耐振性が低いため、アクチュエータ2の回転反力等によりアクチュエータ2が基端部2A側(出力側)を起点として振動しやすいが、これを改善するためには、アクチュエータ2を支持するフランジ部等の厚肉化、アクチュエータボディの厚肉化、アクチュエータの内部構造の強度アップ等を図る必要があり、重量、サイズ、コスト等を増加させる惧れがあった。 【0005】 なお、アクチュエータ2の自由端2B側(非出力側)を本体1Aのケース部1Cに所定の嵌合精度で圧入等して耐振性を向上させることも考えられるが、この場合には、嵌合精度や歯車伝達機構3に対する位置精度等を考慮すると加工精度を高くする必要があり、組み付け性を悪化させたり、コストを大幅に増加させる惧れがある。 【0006】 本発明は、上記従来の実情に鑑みなされたもので、簡単かつ低コストな構成で、耐振性を格段に向上させつつアクチュエータを支持できるようにした内燃機関の電子制御式スロットル弁装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】 このため、請求項1に記載の発明にかかる内燃機関の電子制御スロットル弁装置においては、スロットル弁と、当該スロットル弁が設けられた本体と、前記スロットル弁を回動させるためのアクチュエータと、前記本体に設けられ、開口端側からアクチュエータ出力軸に沿った方向に挿入した前記アクチュエータのボディを所定間隙を有して収容するケースと、前記アクチュエータの出力側端部において、前記アクチュエータのボディに形成されたフランジ部を前記本体に当接させて締結することによって、前記アクチュエータのボディを前記本体に固定支持すると共に、前記アクチュエータの非出力側端部において、前記アクチュエータのボディのフランジ部が前記本体に締結されたときに、前記アクチュエータのボディの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面とこれに対面する前記ケースの内面との間に介装したウェーブワッシャの前記アクチュエータ出力軸に垂直な平面に作用する押圧力によって、前記アクチュエータのボディを前記本体に支持する支持手段と、を含んで構成した。 【0008】 かかる構成によれば、ウェーブワッシャを介装して、アクチュエータのボディの非出力側も支持する構成となるので、簡単かつ低コストな構成でありながら、従来のような片持ち構造(一端支持構造)を両持ち構造(両端支持構造)とすることができるので、効果的に耐振性を向上させることができる。即ち、耐振性を向上させても、従来のような片持ち構造ように、アクチュエータを支持するフランジ部等の厚肉化、アクチュエータボディの厚肉化、アクチュエータの内部構造の強度アップ等を図る必要がなく、重量、サイズ、コスト等の増加を招くこともない。また、ウェーブワッシャを介装する構成とすれば、アクチュエータの位置決めに対してある程度の自由度を持たせることができるので、位置精度等を考慮して加工精度を高くする必要がなく、従って、組み付け性の悪化やコストの増大といった惧れを極力排除することができる。 【0009】 請求項2に記載の発明では、前記ウェーブワッシャの位置決めのための位置決め手段が設けられるようにする。 【0010】 請求項2の発明のように構成すれば、ウェーブワッシャの脱落・捩じれ等を防止して組み付け性を向上させることができると共に、ウェーブワッシャを介装したことによる耐振性の向上を確実に発揮させることができることになる。 【0011】 【発明の実施の形態】 以下、添付の図面に基づいて説明する。 なお、図6に示した従来のものと同一要素にあっては、同一符号を付すこととする。 図1に示されるように、内燃機関の吸気通路(図示省略)にスロットル弁5が介装され、該スロットル弁5は、回動軸4を中心として回動されて吸気通路の通路面積(開度)を調整できるようになっている。 【0012】 なお、運転者のアクセル操作とは独立して開度調整可能なように、図示しないコントロールユニット等からの駆動信号により駆動される電動モータ等のアクチュエータ2を介してスロットル弁5の開度は制御されるようになっている。 ここで、アクチュエータ2は、アクチュエータ2のボディのフランジ部2Dをアクチュエータ固定用ベースプレート7にボルト8を介して締結固定することで、アクチュエータ固定用ベースプレート7に取付けられるようになっている。そして、このアクチュエータ固定用ベースプレート7が、固定用ボルト6を介して本体1Aのフランジ部1Bに締結固定されることで、アクチュエータ2が本体1Aに固定(支持)されるようになっている。 【0013】 しかしながら、アクチュエータ2の一端2A側(出力側)でのみアクチュエータ2を本体1Aに固定(支持)する構成では、片持ち構造(一端支持構造)となるため耐振性が低下する惧れがあるため、以下のようにして、アクチュエータ2のボディの他端2B側(非出力側)をも本体1A(ケース部1C)で支持するようにして、耐振性を向上させるようにしている。 【0014】 即ち、アクチュエータ2のボディの一端2B側に位置する略円柱形状の凸部2Cの外周面と、該凸部2Cを収容する本体1Aのケース部1C(本発明にかかるケースに相当する)の内周面と、の間に弾性体9(例えば、ゴム、シリコン等からなるO-リング等)を介装し、これによって、アクチュエータ2のボディの一端2B側を本体1Aで支持させる構成としている。 【0015】 このように、弾性体9を介装して、アクチュエータ2のボディの一端2B側も本体1Aに支持させる構成すると、従来のような片持ち構造(一端支持構造)を両持ち構造(両端支持構造)とすることができるので、簡単かつ低コストな構成でありながら、効果的に耐振性を向上させることができる。即ち、耐振性を向上させても、従来のような片持ち構造ように、アクチュエータ2を支持するフランジ部1B等の厚肉化、アクチュエータボディの厚肉化、アクチュエータの内部構造の強度アップ等を図る必要がなく、重量、サイズ、コスト等の増加を招くこともない。また、弾性体9を介装する構成とすれば、アクチュエータ2の位置決めに対してある程度の自由度を持たせることができるので、アクチュエータ2の自由端2B側を本体1Aのケース部1Cに所定の嵌合精度で圧入等して耐振性を向上させる手法のように嵌合精度や歯車伝達機構3に対する位置精度等を考慮して加工精度を高くする必要がなく、従って、組み付け性の悪化やコストの増大といった惧れを極力排除することができる。 【0016】 なお、弾性体9としてのO-リングは、規格品(標準品)であることが、一層低コスト化を図れる点で好ましい。 また、弾性体9の捩じれ等を防止して組み付け性を向上させるために、図1に示すように、弾性体9とアクチュエータ2のボディの端面2Eとの間に、環状のバックアップリング10(例えば、金属、プラスチック、ゴム、シリコン等からなるリング部材)を介装させるようにするのが、コスト面からも好ましい。なお、アクチュエータ2のボディの凸部2Cの外周面を段付形状に加工し、図1に示したバックアップリング10と同様の作用効果を奏させるようにしてもよい。また、本体1Aのケース部1Cの内周面に溝加工を施し、その溝内に弾性体9を保持させることで、図1に示したバックアップリング10と同様の作用効果を奏させるようにすることもできる。 【0017】 ところで、弾性体9は、例えば、図2に示すような波形状の弾性体(例えば、金属、プラスチック、ゴム、シリコン製等)を用いることもできる。 なお、弾性体9を、アクチュエータ2のボディの凸部2Cの外周部に配設するようにして説明したが、これに限るものではなく、実質的に片持ち構造(一端支持構造)を両持ち構造(両端支持構造)とすることができるのであれば、例えば、凸部2C以外のアクチュエータ2のボディ外周部に弾性体9を配設することも可能である。 【0018】 また、弾性体9の捩じれ等を防止して組み付け性を向上させるために、図1に示すように、弾性体9とアクチュエータ2のボディの端面2Eとの間に、環状のバックアップリング10を介装させるようにするのが好ましいとして説明したが、図3に示すように、断面偏平形状を有すると共に、面圧を確実に確保しなければならない部分については外周方向へ向けて突起する部分9Bを有するO-リング9Aを用いるようにすることもできる。かかるO-リング9Aを用いれば、バックアップリング10を採用しなくても、面圧を良好に維持できると共に良好に捩じれ等を防止して組み付け性を向上させることができる。 【0019】 次に、本発明の実施形態ついて説明する。 前述した図1では、アクチュエータ2のボディの凸部2Cの外周部に弾性体9を配設し、アクチュエータ2を支持する構成を、両持ち構造(両端支持構造)とすることで耐振性を向上させるようにしているが、本発明の実施形態では、以下のようにして耐振性を向上させるようになっている。 【0020】 なお、図6に示した従来のもの、或いは図1に示したものと同一要素にあっては、同一符号を付して、説明を省略することとする。 即ち、図4に示すように、アクチュエータ2のボディの凸部2Cの端面と、これに対面する本体1Aのケース部1Cの内側端面と、の間に、弾性体11(例えば、弦巻バネ等)を介装するようにしている。なお、当該弾性体11の一部を収容する凹部は、本発明にかかる位置決め手段に相当する。 【0021】 このようにすると、弾性体11の凸部2Cの端面に作用する押圧力により生じる弾性体11と凸部2Cの端面との間の摩擦力等を介して、アクチュエータ2のボディの一端2Bの動き(振動)を抑制することができるので、簡単かつ低コストな構成でありながら、効果的に耐振性を向上させることができる。即ち、耐振性を向上させても、従来のような片持ち構造ように、アクチュエータ2を支持するフランジ部1B等の厚肉化、アクチュエータボディの厚肉化、アクチュエータの内部構造の強度アップ等を図る必要がなく、重量、サイズ、コスト等の増加を招くこともない。また、アクチュエータ2の位置決めに対してある程度の自由度を持たせることができるので、アクチュエータ2のボディの自由端2B側を本体1Aのケース部1Cに所定の嵌合精度で圧入等して耐振性を向上させる手法のように嵌合精度や歯車伝達機構3に対する位置精度等を考慮して加工精度を高くする必要がなく、従って、組み付け性の悪化やコストの増加といった惧れを極力排除することができる。 【0022】 なお、弾性体11としては、弦巻形状に限らず、ソリッド或いは中空形状の弾性体(ゴム、シリコン等)若しくはリング形状の弾性体(ゴム、シリコン等)を用いることもできる。更に、図4に示した弦巻形状の弾性体に替えて、図5に示すようなウェーブワッシャを用いることもできる。 ところで、図1において説明した弾性体9と、本発明の実施形態において説明した弾性体11と、を同時に備えるようにすることも可能であり、これにより尚一層効果的に耐振性を向上させることができる。 【0023】 また、上記実施形態では、凸部2Cを有する構造のアクチュエータ2に関して説明てきたが、これに限るものではなく、該凸部2Cを有さない構造のものであっても本発明を適用できるものである。 更に、上記実施形態では、本体1Aとケース部1Cとを一体形成する構成として説明したが、これに限られるものではなく、本体1Aとケース部1Cとを別体に形成するものにも、本発明は適用できるものである。また、ケース部1Cは、アクチュエータ2の略全体を収容する構成として説明したが、本発明はこれに限られるものでもなく、アクチュエータ2のボディの一端2B付近のみ(即ち、非出力側の一部のみ)を覆う構成にも適用できるものである。 【0024】 【発明の効果】 以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、ウェーブワッシャを介装して、アクチュエータのボディの非出力側も支持する構成となるので、簡単かつ低コストな構成でありながら、従来のような片持ち構造を両持ち構造とすることができるので、効果的に耐振性を向上させることができる。即ち、耐振性を向上させても、従来のような片持ち構造ように、アクチュエータを固定するフランジ部等の厚肉化、アクチュエータボディの厚肉化、アクチュエータの内部構造の強度アップ等を図る必要がなく、重量、サイズ、コスト等の増加を招くこともない。また、ウェーブワッシャを介装する構成とすれば、アクチュエータの位置決めに対してある程度の自由度を持たせることができるので、位置精度等を考慮して加工精度を高くする必要がなく、従って、組み付け性の悪化やコストの増大といった惧れを極力排除することができる。 【0025】 請求項2に記載の発明によれば、ウェーブワッシャの脱落・捩じれ等を防止して組み付け性を向上させることができると共に、ウェーブワッシャを介装したことによる耐振性の向上を確実に発揮させることができることになる。 【図面の簡単な説明】 【図1】スロットル弁装置の全体構成の断面図 【図2】図1において他の弾性体を用いた場合の部分側面図 【図3】(A)は、同上実施形態において更に他の弾性体を採用した場合の部分拡大図。(B)は、(A)に示された弾性体の正面図。(C)は、(B)のA-A矢視図。 【図4】本発明の実施形態にかかる部分拡大図 【図5】同上実施形態において採用可能な他の弾性体の一例を示す図 【図6】従来装置の全体構成を示す断面図 【符号の説明】 1 電子制御式スロットル弁装置 1A 本体 1B フランジ部 1C ケース部 2 アクチュエータ(電動モータなど) 2C 凸部 5 スロットル弁 6 固定用ボルト 9 弾性体 10 バックアップリング 11 弾性体 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-12-01 |
出願番号 | 特願平9-58662 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YA
(F02D)
P 1 651・ 121- YA (F02D) P 1 651・ 537- YA (F02D) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 村上 哲 |
特許庁審判長 |
西野 健二 |
特許庁審判官 |
平城 俊雅 清田 栄章 |
登録日 | 2002-11-01 |
登録番号 | 特許第3364873号(P3364873) |
権利者 | 株式会社日立ユニシアオートモティブ |
発明の名称 | 内燃機関の電子制御式スロットル弁装置 |
代理人 | 笹島 富二雄 |
代理人 | 笹島 富二雄 |