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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H02J
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  H02J
管理番号 1113013
異議申立番号 異議2003-73635  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-10-11 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-29 
確定日 2005-02-16 
異議申立件数
事件の表示 特許第3426778号「電池の充放電制御方法」の請求項1、5、7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3426778号の請求項1、5、7に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3426778号発明についての手続の概要は次のとおりである。
ア.特許出願:平成7年3月23日
イ.特許権設定登録:平成15年5月9日
ウ.特許掲載公報発行:平成15年7月14日
エ.特許異議申立て:平成15年12月29日
オ.取消理由通知:平成16年8月12日付け
カ.特許異議意見書:平成16年10月21日

2.本件発明
本件請求項1、5及び7に係る発明(以下「本件発明1」、「本件発明5」及び「本件発明7」という。)は、本件特許に係る願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、5及び7に記載された次のとおりのものと認められる。

「【請求項1】 電池の過充電を保護する充電用FETが接続されている電池の充放電制御方法において、
電池電圧が過充電カット電圧よりも高くなると充電用FET(Q1)をオフ状態として電池(1)の過充電を防止し、その後、電池が放電されているかどうかを検出し、電池が放電される状態で、充電用FET(Q1)をオン状態として放電することを特徴とする電池の充放電制御方法。(本件発明1)

【請求項5】 電池の過放電を保護する放電用FETが接続されている電池の充放電制御方法において、
電池電圧が過放電カット電圧よりも低くなると放電用FET(Q2)をオフ状態として電池(1)の過放電を防止し、その後、電池が充電されているかどうかを検出して、電池が充電されるときには、放電用FET(Q2)をオン状態として充電することを特徴とする電池の充放電制御方法。(本件発明5)

【請求項7】 電池の過放電を保護する放電用FETが接続されている電池の充放電制御方法において、
電池電圧が過放電カット電圧よりも低くなると放電用FET(Q2)をオフ状態として電池(1)の過放電を防止し、その後、電池が充電器に接続されたかどうか検出して、電池が充電器に接続されたときに、放電用FET(Q2)をオン状態として充電することを特徴とする電池の充放電制御方法。(本件発明7)」

3.引用発明
3-1.引用文献1
(1)特許異議申立人が提出し、当審において取消理由通知で引用した特開平5-49181号公報(平成5年2月26日公開。以下「引用文献1」という。)には、次のとおりの事項が記載されている。
ア.「図1は、本発明の過充放電防止及び電池容量バランス回路を示している。前記回路について、以下に、電池Abat及び電池Bbatの過充電検出及び過放電検出について順次説明する。
充電電源又は放電負荷端子となる+Eb端子から2次電池Abat,Bbat,NチャネルMOSトランジスタT5、NチャネルMOSトランジスタT6(以下、トランジスタT5、トランジスタT6という。)を経て-Eb端子へ充電電流が流れる。過充電検出回路を構成するコンパレータCOMP2が、基準電圧E1を越える例えば4.3Vの過充電を検出し、Hレベルの電圧を出力する。(通常充電時はLレベルである)。
前記Hレベル出力によりオアゲートG7を通してPチャネルMOSトランジスタT4(以下、トランジスタT4という)をオフ、NチャネルMOSトランジスタT7をオンすることによりNチャネルMOSトランジスタT6をオフして充電電流を遮断する。同時にオアゲートG3を通してNチャネルMOSトランジスタT1をオンし、抵抗Rで電池Abatの過充電オーバーフローを放電する。
前記電池Abatが例えば4.1Vまで放電して4.1Vを切ると、前記コンパレータCOMP2の出力がLレベルとなり、トランジスタT1がオフ、トランジスタT7がオフ、トランジスタT4がオン、トランジスタT6がオンになって再び充電可能となり、電池Abat及び電池Bbatとも充電される。」(段落【0011】〜【0014】)

イ.「このようにして、両電池の充電のサイクルがなされ、バランスの取れた充電がなされ、両電池の過充電を防止できる。なお、この状態の時、電池を通常放電にすると、トランジスタT6がオフとなっているので、小電流でも後述する過電流検出回路が働き、放電が不可能となるので前記ヒステリシス禁止回路3によりアナログスイッチSW1をL側に切り替えて、トランジスタT6をオンにする。」(段落【0019】)

ウ.「しかし、過充電検出が動作してトランジスタT6がオフしている状態で電池を放電にすると、前記過電流検出回路は、トランジスタT6の寄生ダイオードD2を通じて電流が流れこの寄生ダイオードによる順方向電圧降下(0.7V)をコンパレータCOMP5が検出し過電流でなくても動作してトランジスタT5をオフにしてしまうことがあるので、この時は過充電検出回路のヒステリシス禁止回路3の出力をLレベルにしてアナログスイッチSWをL端子側に切り替え、過充電検出をやめてトランジスタT6をオンにする。この動作速度は前記過電流保護回路の動作より速い必要がある。」(段落【0028】)

(2)引用文献1に記載のものにおいては、次のことが明らかである。
ア.基準電圧E1を越える過充電を検出したときには、NチャネルMOSトランジスタT6をオフして、充電電流を遮断していることから、このNチャネルMOSトランジスタT6は、電池の過充電を保護するものであるといえる。

イ.過充電検出が動作している状況で、放電にした場合、NチャネルMOSトランジスタT6の寄生ダイオードD2を電流が流れ、その電圧降下によって、過充電検出回路のヒステリシス禁止回路3の出力をLレベルにしてアナログスイッチSWをL端子側に切り換えて、トランジスタT6をオン状態にし、放電を行っている。

(3)以上から、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。

「電池の過充電を保護するNチャネルMOSトランジスタT6が接続されている電池の充放電制御方法において、
電池電圧が基準電圧E1よりも高くなるとNチャネルMOSトランジスタT6をオフ状態として電池の過充電を防止し、その後、放電にした場合、NチャネルMOSトランジスタT6の寄生ダイオードD2を電流が流れ、その電圧降下によって、過充電検出回路のヒステリシス禁止回路3の出力をLレベルにしてアナログスイッチSWをL端子側に切り換えて、トランジスタT6をオン状態にし、放電する電池の充放電制御方法。」(以下「引用発明1」という。)

3-2.引用文献2
(1)同じく、特許異議申立人が提出し、当審において取消理由通知で引用した特開平6-104015号公報(平成6年4月15日公開。以下「引用文献2」という。)には、次のとおりの事項が記載されている。
ア.「ここで、パワーダウンモード時からの充電の場合は、復帰部4の起動回路充電検出部15からの充電検出信号に基づいて、制御部3の充電SW制御部13の制御により強制的に充電動作を行い、且つパワーダウンからの解除準備を行う。トータル電池電圧が上昇し、所定電圧値以上(基準電圧発生)になり、検出部2が強制的にパワーダウン解除となって電池電圧を検出し、電池Abat、Bbat共に過放電を脱するとパワーダウン解除信号を復帰部4のパワーダウン制御部14に送出してパワーダウンモードから抜け出す。即ち、過放電状態を脱出して、正常充電状態となる。」(段落【0026】)
イ.「(2)過放電の場合。
プラス側端子(Eb+)とマイナス側端子(Eb-)とに負荷をつなぐことによって、バッテリー(電池Abatと電池Bbat)は放電状態となる。この放電状態は、コンパレーターCOMP1及びコンパレーターCOMP3を中心とする過放電検出回路によって常時監視されている。以下、電池Abatの過放電状態を検出するコンパレーターCOMP1を中心に説明する。即ち、放電状態が続き、例えば電池Abatの電圧が過放電電圧(例えば2.4V)になると、基準電圧値E1(+1.5V)と比較され、コンパレーターCOMP1の出力端子からはHレベルの信号が出力する。
コンパレーターCOMP1の出力端子からのHレベル信号は、ノアゲートG2を介してノアゲートG3に入力され、Hレベル信号を出力する。このノアゲートG3からのHレベル信号はノアゲートG9に入力され、その出力信号はLレベルになって、パワーNMOSトランジスターQDをオフして放電電流を遮断する。」(段落【0077】【0078】)

ウ.「(6)パワーダウンモード時からの充電。
プラス側端子(Eb+)とマイナス側端子(Eb-)間に充電器をつなぐと両端子間に充電電圧が掛かり、バッテリー電圧(電池Abat、Bbat間電圧)よりも充電電圧が高いのでマイナス側端子(Eb-)の電圧が電池Bbatのマイナス側電圧(GND)より低くなる。パワーダウンモード時は、前記したようにパワーNMOSトランジスターQDとパワーNMOSトランジスターQCとが共にオフの状態となっている。
この状態において、マイナス側端子(Eb-)の電位、即ち端子VMの電位がGNDより下がるのでNMOSトランジスターQ12のゲート端子とソース端子間に正の電圧が掛かる。従って、NMOSトランジスターQ12がオンできる状態になる。NMOSトランジスターQ12がオンすると、ナンドゲートG5の入力がLレベル信号になるので、もう一方の入力の状態に拘らず出力がHレベル信号となり、パワーダウン解除の準備が出来る(後述する(7)パワーダウンモードからの復帰の項参照)。
NMOSトランジスターQ12がオンするとオアゲートG7、ナンドゲートG10を介してPMOSトランジスターQ9がオン、NMOSトランジスターQ10がオフの状態になり端子OVの電位が端子VDDを介してプラス側端子(Eb+)の電位となり、パワーNMOSトランジスターQCをオンにして充電が開始し充電電流を流すことができる。」(段落【0093】〜【0095】)

エ.「このことにより、パワーNMOSトランジスターQCは、ゲート電圧が0V、ソース電圧、即ち端子VMの電圧がマイナスでオンとなり充電電流を流す。この時はパワーNMOSトランジスターQDはオフなので充電電流は、パワーNMOSトランジスターQDの寄生ダイオードD1を通り流れることになる。
又、充電ロジックのGNDレベルは端子VMの電位となっているので、パワん(注:「ー」の誤記)MOSトランジスターQD、QCで生じる充電による電圧降下分の電圧が充電ロジックの動作用の電圧源となる。
少し充電が進み、バッテリーの保持電圧が上昇すると共にパワーNMOSトランジスターQCのゲート電圧も上昇し、端子VMの電位のマイナス分が減少する。更に充電が進みパワーダウンモードを脱するとパワーNMOSトランジスターQDがオンして端子VMの電位は略0Vとなる。」(段落【0098】〜【0100】)

(2)引用文献2に記載のものにおいては、次のことが明らかである。
ア.パワーNMOSトランジスタQDは、電池の電圧が基準電圧値E1より低くなると、オフにされて放電電流を遮断することから、電池の過放電を保護するものといえる。

イ.過放電を防止し、パワーダウン時に、充電器を回路につなぐと、その充電電圧によって、トランジスタQ12がオンとされ、トランジスタQCをオンとして充電を開始している。
この充電電圧によって、トランジスタQ12がオンとされることは、電池が充電器に接続されたかどうかを検出しているといえるものであり、同時に、電池が充電されているかどうかを検出しているともいえる。
このことから、過放電を防止し、その後、電池が充電されているかどうか、又は、電池が充電器に接続されたかどうかを検出しているといえる。
そして、検出後、充電電流がパワーNMOSトランジスタQDの寄生ダイオードD1を流れて、パワーダウンモードを脱すると、パワーNMOSトランジスタQDがオン状態として、正常な充電がなされるものである。

(3)以上から、引用文献2には次の発明が記載されていると認められる。
「電池の過放電を保護するパワーNMOSトランジスタQDが接続されている電池の充放電制御方法において、
電池電圧が基準電圧値E1よりも低くなるとパワーNMOSトランジスタQDをオフ状態として電池の過放電を防止し、その後、電池が充電されているかどうか又は電池が充電器に接続されたかどうかを検出して、電池が充電されるとき又は電池が充電器に接続されたときには、検出後、充電電流がパワーNMOSトランジスタQDの寄生ダイオードD1を流れて、パワーダウンモードを脱すると、パワーNMOSトランジスタQDがオン状態として、正常な充電がなされる電池の充放電制御方法。」(以下「引用発明2」という。)

4.対比、判断
4-1.本件発明1
(1)本件発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1における「NチャネルMOSトランジスタT6」、「基準電圧E1」は、それぞれ本件発明1における「充電用FET」、「過充電カット電圧」に相当する。

(2)また、引用発明1においては、過充電を防止した後、放電にすると、充電用FET(NチャネルMOSトランジスタT6)の寄生ダイオードD2を電流が流れ、その電圧降下によって、過充電検出回路のヒステリシス禁止回路3の出力をLレベルにしてアナログスイッチSWをL端子側に切り換えて、充電用FETをオン状態としている。
ここで、充電用FETの寄生ダイオードD2を電流が流れ、その電圧降下によって、過充電検出回路のヒステリシス禁止回路3の出力をLレベルにしてアナログスイッチSWをL端子側に切り換えて、充電用FETをオン状態にするということは、放電電流が、充電用FETの寄生ダイオードD2を流れて電圧降下を生じることによって、充電用FETをオン状態としているものである。
そして、これは、電池が放電されているかどうかを検出して、充電用FETをオン状態としているといえるものである。
しかも、本件発明1の実施例においても、電池が放電されるようになったかどうかの検出は、充電用FETの寄生ダイオードの電圧降下に基づいて行っている(本件明細書の段落【0021】参照。)ことからも、このことが裏付けられるものである。

(3)そうすると、両発明の間には、相違点は認められない。
なお、特許権者は、引用文献1には、本件発明1の目的、効果である寄生ダイオードに起因する熱破壊を有効に防止することの開示がない旨の主張をしているが、引用発明1においては、電池の放電を検出後、充電用FETをオンにして充電用FETを放電電流が流れるようにしていることから、当然に同様な作用効果を果たすものである。

(4)むすび
したがって、本件発明1は、その出願前に頒布された引用文献1に記載された発明と認められる。

4-2.本件発明5
(1)本件発明5と引用発明2とを対比すると、引用発明2における「パワーNMOSトランジスタQD」、「基準電圧値E1」は、それぞれ本件発明5における「放電用FET」、「過放電カット電圧」に相当することから、
両発明は、
「電池の過放電を保護する放電用FETが接続されている電池の充放電制御方法において、
電池電圧が過放電カット電圧よりも低くなると放電用FETをオフ状態として電池の過放電を防止し、その後、電池が充電されているかどうかを検出して、その後、放電用FETをオン状態として充電する電池の充放電制御方法。」
である点で一致し、次の点において相違している。

(相違点)
電池が充電されているかどうかを検出後、電池が充電されるときには、本件発明5においては、放電用FETをオン状態として充電するのに対し、引用発明2においては、充電電流が放電用FETの寄生ダイオードを流れて、パワーダウンモードを脱すると、放電用FETがオン状態として、正常な充電がなされる点。

(2)上記相違点について検討する。
引用発明2においては、充電を検出後も回路がパワーダウンモードを脱するまでは、放電用FETの寄生ダイオードによる充電が行われているが、これは、過放電検出後の放電をできる限り抑制するために、パワーダウンモードを設定したことによるものである。
また、スイッチ素子がオフの状態で寄生ダイオードを電流が流れる場合、スイッチ素子がオンの場合に比較して大きな電気抵抗を生じることは、本願出願前からの技術常識であり、引用発明2のようなパワーダウンモードの設定を行うよりも、寄生ダイオードに電流が流れる弊害だけを考慮するのであれば、充電状態検出後に、即座に放電用FETをオン状態として正常な充電をなすようにすることに格別の困難性は認められない。
しかも、本件発明5の実施例においても、電池が充電状態になったかどうかの検出は、放電用FETの寄生ダイオードの電圧降下に基づいて行っており(本件明細書の段落【0026】参照。)、寄生ダイオードへの全ての電流を防止しているものでもなく、一方、引用発明2においても、パワーダウンモードを脱した後は、放電用FETはオン状態とされて、寄生ダイオードへの電流は流れなくなるものである。
以上からして、上記相違点に関する本件発明5の構成については、当業者が容易に想到することができたものと認められる。

(3)むすび
したがって、本件発明5は、引用文献2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

4-3.本件発明7
(1)本件発明7と引用発明2とを対比すると、引用発明2における「パワーNMOSトランジスタQD」、「基準電圧値E1」は、それぞれ本件発明5における「放電用FET」、「過放電カット電圧」に相当することから、
両発明は、
「電池の過放電を保護する放電用FETが接続されている電池の充放電制御方法において、
電池電圧が過放電カット電圧よりも低くなると放電用FETをオフ状態として電池の過放電を防止し、その後、電池が充電器に接続されたかどうかを検出して、電池が充電器に接続されたときに、その後、放電用FETをオン状態として充電する電池の充放電制御方法。」
である点で一致し、次の点において相違している。

(相違点)
電池が充電器に接続されたかどうかを検出後、電池が充電器に接続されたときに、本件発明5においては、放電用FETをオン状態として充電するのに対し、引用発明2においては、充電電流が放電用FETの寄生ダイオードを流れて、パワーダウンモードを脱すると、放電用FETがオン状態として、正常な充電がなされる点。

(2)上記相違点について検討する。
引用発明2においては、充電器への接続を検出後も回路がパワーダウンモードを脱するまでは、放電用FETの寄生ダイオードによる充電が行われているが、これは、過放電検出後の放電をできる限り抑制するために、パワーダウンモードを設定したことによるものである。
また、スイッチ素子がオフの状態で寄生ダイオードを電流が流れる場合、スイッチ素子がオンの場合に比較して大きな電気抵抗を生じることは、本願出願前からの技術常識であり、引用発明2のようなパワーダウンモードの設定を行うよりも、寄生ダイオードを電流が流れる弊害だけを考慮するのであれば、充電状態検出後に、即座に放電用FETをオン状態として正常な充電をなすようにすることに格別の困難性は認められない。
しかも、本件発明7の実施例においても、電池が充電器に接続されたかどうかの検出は、放電用FETの寄生ダイオードの電圧降下に基づいて行っており(本件明細書の段落【0026】参照。)、寄生ダイオードへの全ての電流を防止しているものでもなく、一方、引用発明2においても、パワーダウンモードを脱した後は、放電用FETはオン状態とされて、寄生ダイオードへの電流は流れなくなるものである。
以上からして、上記相違点に関する本件発明7の構成については、当業者が容易に想到することができたものと認められる。

(3)むすび
したがって、本件発明7は、引用文献2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1は、本件特許に係る出願の出願前に国内において頒布された引用文献1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないもので、また、本件発明5及び7は、本件特許に係る出願の出願前に国内において頒布された引用文献2に記載された発明及び周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件発明1、5、7についての特許は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2004-12-28 
出願番号 特願平7-63960
審決分類 P 1 652・ 121- Z (H02J)
P 1 652・ 113- Z (H02J)
最終処分 取消  
前審関与審査官 右田 勝則  
特許庁審判長 城戸 博兒
特許庁審判官 三友 英二
安池 一貴
登録日 2003-05-09 
登録番号 特許第3426778号(P3426778)
権利者 三洋電機株式会社
発明の名称 電池の充放電制御方法  
代理人 芝野 正雅  

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