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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効とする(申立て全部成立) A23L |
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管理番号 | 1113866 |
審判番号 | 無効2004-35145 |
総通号数 | 65 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-05-08 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-03-18 |
確定日 | 2004-08-26 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3459387号発明「甘味料組成物」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3459387号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
I.手続の経緯 本件特許3459387号の請求項1に係る発明についての出願は、平成11年10月21日に特願平11-299544号として出願され、平成15年8月8日に特許の設定登録がなされ、これに対して、山口照子より平成16年3月18日に本件無効審判の請求がなされたところ、その指定期間内である平成16年6月7日付で被請求人守田化学工業株式会社より訂正請求がなされたものである。 II.訂正請求について 1.訂正の内容 特許請求の範囲の請求項1に係る記載、 「高純度レバウディオサイドA」を、 「高純度レバウディオサイドA(ステビア・レバウディアナ・ベルトニーの植物体または乾燥葉を水または含水溶媒で抽出し、得られた抽出液を脱色、精製して得られる抽出物として、またはその抽出物を有機溶媒により結晶化して得られる、レバウディオサイドA:ステビオサイド=90.1以上:9.9以下の割合でレバウディオサイドAおよびステビオサイドを含む甘味料)」と訂正する。 2.訂正の適否 上記訂正事項は、「高純度レバウディオサイドA」という語句の意味を、「高純度レバウディオサイドA(ステビア・レバウディアナ・ベルトニーの植物体または乾燥葉を水または含水溶媒で抽出し、得られた抽出液を脱色、精製して得られる抽出物として、またはその抽出物を有機溶媒により結晶化して得られる、レバウディオサイドA:ステビオサイド=90.1以上:9.9以下の割合でレバウディオサイドAおよびステビオサイドを含む甘味料)」と明らかにするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 そして、本件特許明細書には、「高純度レバウディオサイドAの製造方法 ステビオサイドに対して1.5倍以上のレバウディオサイドAを含むステビア・レバウディアナ・ベルトニー新品種の植物体または乾燥葉を水または含水溶媒で抽出し、得られた抽出液をイオン交換樹脂、吸着樹脂を用いて脱色、精製した後、濃縮または更に乾燥した抽出物として、またはその抽出物に有機溶媒を用いて結晶化して得ることができる。また、従来のステビア・レバウディアナ・ベルトニー品種の植物体または乾燥葉を水または含水溶媒で抽出し、得られた抽出液をイオン交換樹脂、吸着樹脂等を用いて脱色、精製した後、濃縮または更に乾燥し、有機溶媒による再結晶などにより精製して得ることもできる。」(段落【0029】)と、また、「高純度レバウデォサイドAはレバウディオサイドA:ステビイド=90.1以上:9.9以下の割合でレバウディオサイドAおよびステビオサイドを含む甘味料である。好ましくは、ステビオサイドに対するレバウディオサイドAの含有比が高いほど効果がある。」(段落【0016】)と記載されているから、上記訂正事項は、明細書に記載された事項の範囲内のものである。 また、上記訂正事項が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。 3.むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法134条2項及び同条5項で準用する126条2項及び3項の規定に適合するので、請求のとおり当該訂正を認める。 III.当事者の主張 1.請求人の主張 請求人は、「第3459387号の請求項1に係る発明についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として以下の甲第1号証乃至甲第4号証を提出して、その理由として、 (1)本件請求項1に係る発明は、甲第1号証刊行物に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、又は、甲第1号証刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである、 (2)本件請求項1に係る発明は、甲第3証刊行物を斟酌すれば、甲第2証刊行物に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、又は、甲第2号証刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである、 (3)本件請求項1に係る発明は、甲第3証刊行物を斟酌すれば、甲第4証刊行物に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、又は、甲第4号証刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである、 (4)本件請求項1に係る発明は、甲第1,2,及び4号証刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである、旨主張している。 甲第1号証:Brain Research Bulletin,Vol.38,NO.2,pp.105-120,1995 甲第2号証:特開平8-256725号公報 甲第3号証:2004年2月12日にhttp://www.morita-kagaku‐kogyo.co.jp/morita-img/shop02a‐3b.htmlという被請求人守田化学工業株式会社が運営しているサイトからダウンロードし、紙にプリントアウトしたもの 甲第4号証:特開平10-146165号公報 2.被請求人の主張 一方、被請求人は、請求人の提出した証拠方法によっては、本件特許を無効にすることができないと主張している。 IV.本件発明 訂正後の本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正後の明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】アセスルファムKおよびアセスルファムKに対して0.20倍〜3.20倍の高純度レバウディオサイドA(ステビア・レバウディアナ・ベルトニーの植物体または乾燥葉を水または含水溶媒で抽出し、得られた抽出液を脱色、精製して得られる抽出物として、またはその抽出物を有機溶媒により結晶化して得られる、レバウディオサイドA:ステビオサイド=90.1以上:9.9以下の割合でレバウディオサイドAおよびステビオサイドを含む甘味料)を含む、甘味料組成物。」 V.甲各号証の記載事項 甲第1号証:Brain Research Bulletin,Vol.38,NO.2,pp.105-120,1995 (1-1)例えば、アスパルテーム(3%ショ糖と等しい甘味度)をサッカリンナトリウム(3%ショ糖と等しい甘味度)と混合した場合には、この混合物の理論的合計は、6%ショ糖の甘味強度と想定される。この混合物の甘味度強度が6%ショ糖より顕著に大きい場合には、この混合物は相乗的と呼ぶ。この混合物の甘味度強度が6%ショ糖と等しい場合には、この混合物は総和的と呼ぶ。この混合物の甘味度強度が6%ショ糖より顕著に小さい場合には、この混合物は抑制を発揮した。(第105頁右欄第7〜16行) (1-2)14種類の甘味料が試験された。3つの糖(果糖、グルコース、ショ糖)、・・・2つのジテルペノイドグリコシド(レバウディオサイドA、ステビオサイド)・・・2つのN-スルホニルアミド(アセスルファムK、サッカリンナトリウム)・・・。これらの濃度は、表2に示されている。(表2によれば、3%ショ糖と等しい甘味度のアセスルファムK、レバウディオサイドAの濃度は、それぞれ0.016%、0.009%、5%ショ糖と等しい甘味度のアセスルファムK、レバウディオサイドAの濃度は、それぞれ0.036%、0.020%、7%ショ糖と等しい甘味度のアセスルファムK、レバウディオサイドAの濃度は、それぞれ0.072%、0.047%であることが示されている。)14種類の甘味料すべては、同じ14成分の2つの組み合わせであってショ糖と甘味度強度が等しいもの(3%、5%、7%)について評価した。(第106頁左欄下から7行〜右欄第6行) (1-3)訓練されたパネリストが、・・・2成分混合物の各々を受け取った。・・・パネリストは、そのサンプルの全面的な風味のプロフィールを評価した。この評価には、味、フィーリング因子、芳香性が含まれた。・・・被験者は、最大甘味度強度の時間が早いか、中間か、遅いかを示した。(第106頁右欄下から11行〜第107頁左欄第3行) (1-4)方法Iでは、各々の甘味度と等しいレベルにて各々の2成分混合物について、分散分析を行い各々の平均甘味度強度の格付けが名目的な甘味度と等しいか(即ち、総和的)又は、等しくないか(即ち、相乗的或いは抑制的)を決定した。・・・任意の2成分混合物において、2成分混合物の下限の信頼限界値(LCL)が名目的な甘味度よりも高い場合は 顕著に相乗的であると結論した。逆に、上限信頼限界値(UCL)が名目的な甘味度(例えば、6、10、14甘味度強度)よりも低い場合は顕著に抑制的であると結論した。2成分混合物の名目的な甘味度がLCLとUCLの間にある場合は、総和的であるという推定が否定されなかった。(第107頁左欄第10行〜第27行) その結果が表3〜5(第108頁〜第110頁)にまとめられており、3%および5%ショ糖甘味度に相当するアセスルファムKとレバウディオサイドAの組み合わせについては総和的と、7%ショ糖甘味度に相当するアセスルファムKとレバウディオサイドAの組み合わせについては抑制的と、評価されている。 (1-5)追加の分散分析(方法II)を行い、2種類の甘味料の混合物の甘味度が、その混合物の2つの純粋な成分の甘味度の格付けの平均以上であるか決定した。例えば3%アスパルテーム-ショ糖ブレンドの甘味度の格付けは、3%アスパルテーム-アスパルテームブレンドの甘味度の格付けと3%ショ糖-ショ糖の甘味度の格付けとを足したもの以上であるか?。表6は、3つの甘味度強度の各々についてのこの分析の結果を示す。(107頁第12行目〜20行) 表6によれば、アセスルファムKとレバウディオサイドAの組み合わせは、それぞれ単独の場合よりも優れていることが示されている。 甲第2号証:特開平8-256725号公報 (2-1)アスパルテーム、ステビア、シュークラロース及びアセスルファムKからなる群より選ばれる1以上の高甘味度甘味料と、ヘスペリジン及び/又はヘスペリジン誘導体を組み合わせることを特徴とする、高甘味度甘味料による後味として持続する甘味を低減する方法。(特許請求の範囲【請求項1】) (2-2)ステビア(守田化学工業(株)製、商品名:レバウディオA9)0.031%水溶液(公報第5頁第7欄下から4〜3行) 甲第3号証:2004年2月12日にhttp://www.morita-kagaku‐kogyo.co.jp/morita-img/shop02a‐3b.htmlという被請求人守田化学工業株式会社が運営しているサイトからダウンロードし、紙にプリントアウトしたもの (3-1)レバウディオA9シリーズ ステビア新品種を使用し、…レバウディオサイドAとステビオサイドの含有比率を85部以上15部以下に調整することにより、レバウディオA7シリーズに比べ、さらに、甘味の切れが良くなっています。」 甲第4号証:特開平10-146165号公報 (4-1)高甘味度甘味料と、ルチン及び/又はルチン誘導体とを組み合わせることを特徴とする、高甘味度甘味料による後味として持続する甘味を低減する方法。(特許請求の範囲【請求項1】) (4-2)高甘味度甘味料が、アスパルテーム、ステビア甘味料、シュークラロース、アセスルファムK及びアリテームからなる群より選ばれる1以上の高甘味度甘味料である請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。(特許請求の範囲【請求項5】) (4-3)ステビア(守田化学工業(株)製、商品名:レバウディオA9)(公報第5頁第7欄下から14〜13行) VI.当審の判断 本件発明は、本件特許明細書の段落【0019】に記載されたとおり、高純度レバウディオサイドAをアセスルファムKに対して0.20倍〜3.20倍添加することによって、後味の苦味が取れ、甘味の出現が砂糖に近い良質な甘味料が得られ、アセスルファムK、および高純度レバウディオサイドAの味質を向上させたものである。 これに対して、本件出願の出願日前に頒布された甲第1号証刊行物を検討すると、甲第1号証刊行物は、化学構造の異なる14種の甘味料について2成分の組み合わせについての甘味料の相乗効果を研究したものであって、(1-4)のとおり、表3によれば、3%および5%ショ糖甘味度に相当するアセスルファムKとレバウディオサイドAの組み合わせについては、甘味度強度は総和的と評価されている。 ここで、(1-2)のとおり、表2によれば、3%ショ糖と等しい甘味度のアセスルファムK、レバウディオサイドAの濃度は、それぞれ0.016%、0.009%、5%ショ糖と等しい甘味度のアセスルファムK、レバウディオサイドAの濃度は、それぞれ0.036%、0.020%であるから、3%ショ糖と等しい甘味度の混合物の場合のレバウディオサイドAの含有比はアセスルファムKに対して約0.56(0.009%/0.016%)倍となり、5%ショ糖と等しい甘味度の混合物の場合にも、レバウディオサイドAの含有比はアセスルファムKに対して約0.56(0.020%/0.036%)倍となる。 そうすると、甲第1号証刊行物には、3%及び5%ショ糖と等しい甘味度の、アセスルファムKに対して0.56倍の高純度レバウディオサイドAを含んでいる甘味料組成物が記載されているものと認められる。 そこで、本件発明1と、甲第1号証刊行物に記載された発明とを対比すると、両者は、「アセスルファムKおよびアセスルファムKに対して0.56倍のレバウディオサイドAを含む、甘味料組成物。」の点で一致し、相違する点は、レバウディオサイドAに関して、前者が、高純度レバウディオサイドA(ステビア・レバウディアナ・ベルトニーの植物体または乾燥葉を水または含水溶媒で抽出し、得られた抽出液を脱色、精製して得られる抽出物として、またはその抽出物を有機溶媒により結晶化して得られる、レバウディオサイドA:ステビオサイド=90.1以上:9.9以下の割合でレバウディオサイドAおよびステビオサイドを含む甘味料)と限定しているのに対して、後者にその点の限定がない点のみである。 しかしながら、ステビア・レバウディアナ・ベルトニーの植物体または乾燥葉を水または含水溶媒で抽出し、得られた抽出液を脱色、精製して得られる抽出物として、またはその抽出物を有機溶媒により結晶化して得られる、レバウディオサイドA:ステビオサイド=90.1以上:9.9以下の割合でレバウディオサイドAおよびステビオサイドを含む高純度レバウディオサイドAは、高甘味度甘味料として周知のものである。(必要なら、特開昭61-202667号公報、甲第2乃至4号証参照。被請求人が、平成16年6月7日付意見書において自認しているように、ステビア(守田化学工業(株)製、商品名:レバウディオA9)は高純度レバウディオサイドAを含むものである。) そして、被請求人は、これにより格別の効果があるものとは主張しておらず、そのような効果があるものとは認められないから、レバウディオサイドAとして、周知の高甘味度甘味料である高純度レバウディオサイドA(ステビア・レバウディアナ・ベルトニーの植物体または乾燥葉を水または含水溶媒で抽出し、得られた抽出液を脱色、精製して得られる抽出物として、またはその抽出物を有機溶媒により結晶化して得られる、レバウディオサイドA:ステビオサイド=90.1以上:9.9以下の割合でレバウディオサイドAおよびステビオサイドを含む甘味料)を選択することは、当業者が適宜なし得る最適材料の選択にすぎない。 次に、本件特許明細書の段落【0051】に記載された、本件発明の「味の幅、苦味、前味のいずれにおいても、アセスルファムK単独、およびレバウディオサイドA単独に比べて砂糖に近い」という効果について検討する。 本件発明のこの効果は、本件特許明細書の段落【0045】に、「3%砂糖溶液の甘味度に相当するアセスルファムK(AK)0.015%の水溶液、実施例10で得られた高純度レバウディオサイドA(RA-B)0.012%の水溶液およびアセスルファムKの濃度0.015%の20%である0.003%の甘味度をRA-Bの甘味度に置換して、RA-B0.0024%[0.003%×(200(AKの甘味度))/250(RA-Bの甘味度))]を算出し、アセスルファムK0.012%およびRA-B0.0024%の混合水溶液(AKに対する添加倍率0.2)を10人のステビア甘味料の味質に精通したパネラーにより評価をした。」と記載されているように、3%砂糖溶液の甘味度に相当する甘味料濃度での効果である。 これに対して、(1-4)に「3%および5%ショ糖甘味度に相当するアセスルファムKとレバウディオサイドAの組み合わせについては総和的」と記載されており、これは、アセスルファムKとレバウディオサイドAの組み合わせの甘味度が砂糖と等しいことを意味し、また、(1-5)記載の、「表6によれば、アセスルファムKとレバウディオサイドAの組み合わせは、それぞれ単独の場合よりも優れている」ことが記載されているから、アセスルファムKと本件発明における「高純度レバウディオサイドA」を組み合わせたものの甘味が、アセスルファムK単独、およびレバウディオサイドA単独に比べて砂糖に近いという効果は、当業者が予期し得る範囲のものにすぎない。 したがって、本件発明は、甲第1号証刊行物に記載された発明及び前記周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 被請求人は、平成16年6月7日付意見書において、1)甲第1号証は、純粋に学術的な興味から14種類の甘味料より選択される2種の甘味料の組み合わせにつきその甘味の強さの相互作用を検討したものであり、そこで使用されるレバウディオサイドAは、不純物を含まない、試薬レベルの純粋なものであるから、本件発明と相違する、2)甲第1号証には、甘味の質について一切記載がないから、本件発明は、甲第1号証の記載からは容易に到達できない旨反論しているので検討する。 反論1)について 甲第1号証で使用されるレバウディオサイドAが、不純物を含まない、試薬レベルの純粋なものであるとしても、それにより、試薬レベルの純粋なレバウディオサイドAに代えて、高甘味度甘味料として周知の高純度レバウディオサイドAを使用することが妨げられるものでもない。 また、本件特許明細書には、「高純度レバウデォサイドAはレバウディオサイドA:ステビオサイド=90.1以上:9.9以下の割合でレバウディオサイドAおよびステビオサイドを含む甘味料である。好ましくは、ステビオサイドに対するレバウディオサイドAの含有比が高いほど効果がある。」(段落【00016】)と記載されているから、本件発明が、ステビオサイドに対するレバウディオサイドAの含有比が高い、不純物を含まないレバウディオサイドAを使用する甲第1号証に記載された発明よりも効果が優れているものとは到底考えられない。 反論2)について (1-3)には、「パネリストは、そのサンプルの全面的な風味のプロフィールを評価した。この評価には、味、フィーリング因子、芳香性が含まれた。・・・被験者は、最大甘味度強度の時間が早いか、中間か、遅いかを示した。」と記載されているから、甲第1号証には、甘味の質について一切記載がないとはいえないし、そもそも、味の幅、苦味、前味等の甘味の質に関する効果は、レバウデォサイドAを使用した結果もたらされたものにすぎないから、被請求人の主張は採用できない。 VII.むすび 以上のとおり、本件請求項1に係る発明の特許は、本件出願の出願日前に頒布された甲第1号証刊行物に記載された発明及び前記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第123条第1項2号に該当し、無効とすべきものである。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
なお、高純度レバウディオサイドAを、アセスルファムKに対して0.56倍以外の、0.20〜0.56倍、0.56〜3.20倍の範囲で含有する場合についても、同様の効果を有することは、当業者が簡単な実験により決定できる、単なる数値範囲の最適化にすぎないものと認められるから、当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 甘味料組成物 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】アセスルファムKおよびアセスルファムKに対して0.20倍〜3.20倍の高純度レバウディオサイドA(ステビア・レバウディアナ・ベルトニーの植物体または乾燥葉を水または含水溶媒で抽出し、得られた抽出液を脱色、精製して得られる抽出物として、またはその抽出物を有機溶媒により結晶化して得られる、レバウディオサイドA:ステビオサイド=90.1以上:9.9以下の割合でレバウディオサイドAおよびステビオサイドを含む甘味料)を含む、甘味料組成物。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明に属する技術分野】 本発明はアセスルファムカリウム(以下、アセスルファムKという)およびα-グルコシルステビア甘味料または高純度レバウディオサイドAを含む、甘味度および甘味質の優れた甘味料に関するものである。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】 アセスルファムKは甘味度が砂糖の約200倍あり、カロリーが無く、難消化性、非う蝕性であるなどの砂糖より有利な点がある。すっきりとキレのある甘味を有するが、甘味に幅が無いとも言え、また後味が少ないが苦味が残り、さらに砂糖と比較して甘味が長続きしない、すなわち、甘味料として前味が砂糖と全く異なるという特徴がある。 【0003】 α-グルコシルステビア甘味料(以下、α-GSという)または高純度レバウデォサイドA(RA-B)をアセスルファムKに対して一定の割合で併用することによってアセスルファムKの甘味度と甘味質がさらに改善され、相乗的な効果が得られるとの知見を得て本発明が完成された。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本発明はアセスルファムKおよびアセスルファムKに対して0.15倍〜3.11倍のα-グルコシルステビア甘味料を含む、甘味料組成物およびアセスルファムKおよびアセスルファムKに対して0.20倍〜3.20倍の高純度レバウディオサイドAを含む、甘味料組成物を提供するものである。 【0005】 アセスルファムKは下記の構造式を有する合成甘味料の一般名である。1967年ヘキスト社で開発され、世界保健機構(WHO)に登録されている。また各国ですでに食品添加物として認可されている。種々の試験で安全性が確認されており、一日摂取許容量(ADI)は15mg/kg/日である。 【化1】 【0006】 アセスルファム カリウム(アセスルファムK、Acesulfame Potassium、Acesulfame K)は白色の結晶性粉末、水に易溶、その甘味度はショ糖の約200倍(3%ショ糖溶液)であり、ノンカロリー、非う触性である。 【0007】 α-グルコシルステビア甘味料(α-GS)は、α-グルコシルステビオサイド:α-グルコシルレバウディオサイドA=1以下:1.5以上の割合で含む。 【0008】 α-グルコシルステビア甘味料(α-GS)は、ステビア抽出物にサイクロデキストリングルコシルトランスフェラーゼを用いてグルコースをα付加させ、更に糖鎖を調節して得られる。 【0009】 α-グルコシルステビア甘味料は甘味度が砂糖の約150倍あり、アセスルファムKと同じく低カロリーであり、更に、天然甘味料であるなどの利点を有する。しかし、甘味の出現が砂糖よりも遅く、甘味が持続し、後に残るという特徴がある。 【0010】 ステビアは南米パラグアイを原産地とする菊科多年生植物であり、学名をステビア・レバウディアナ・ベルトニー(Stevia Rebaudiana Bertoni)という。ステビアは砂糖の300倍以上の甘味を持つ甘味成分を含むので、この甘味成分を抽出して天然甘味料として用いる為に栽培されている。 【0011】 ステビアはステビオサイド(C38H60O18、分子量804)、レバウディオサイドA(C44H70O23、分子量966)、レバウディオサイドC、D、E、ズルコサイドA等の甘味成分を含む。一般に栽培されているステビア品種では上記甘味成分の内ステビオサイド(ST)が主成分でレバウディオサイドA(RA)の含有量はステビオサイドの10分の3〜4程度、レバウディオサイドCの含量はそれよりやや少ないが、品種によってはレバウディオサイドA、およびCを含まないもの、更にレバウディオサイドCを主成分とするものなど種々である。 【0012】 渋み、辛み等の舌で知覚される味の中でも甘みの質は非常に微妙である。ステビオサイドは対砂糖濃度0.5%の閾値付近において砂糖の300倍の甘味度を有するので天然甘味料として食品工業界で用いられている。その甘味は比較的砂糖に似ているが、苦み等の不快味が後味として残るという欠点がある。それゆえステビオサイドを多量に含むことは甘味料として好ましいことではない。これに対して、レバウディオサイドAは良質の甘味質とステビオサイドの1.3〜1.5倍の甘味度を有する。 【0013】 ステビアについては従来品種から交配選抜を繰り返し品種改良が行われ、ステビオサイド(ST)に対してレバウディオサイドA(RA)が高い含有比率を示すステビア品種を得、これらの植物から甘味成分を抽出しステビオサイドに対してレバウディオサイドAの含有比の高い優れた甘味料が製造されてきた(特開昭59-045848号、特開昭60-160823号、特開昭61-202667号など)。 【0014】 α-グルコシルステビア甘味料(α-GS)は、ステビオサイドに対して1.5倍以上のレバウディオサイドAを含有するステビア抽出物にサイクロデキストリングルコシルトランスフェラーゼを用いてグルコースをα付加させ、更に糖鎖を調節し得られたα-グルコシルレバウディオサイドAを主成分とする甘味料である。好ましくは、α-グルコシルステビオサイドに対するα-グルコシルレバウディオサイドAの含有比が高いほど効果がある。 【0015】 α-グルコシルレバウディオサイドAを主成分とする甘味料をアセスルファムKに対して0.15倍〜3.11倍添加することによって、後味の苦味が取れ、甘味の出現が砂糖に近い良質な甘味料が得られ、アセスルファムKおよび同時にα-グルコシルステビア甘味料の味質を向上させることに成功した。 【0016】 高純度レバウデォサイドAはレバウディオサイドA:ステビオサイド=90.1以上:9.9以下の割合でレバウディオサイドAおよびステビオサイドを含む甘味料である。好ましくは、ステビオサイドに対するレバウディオサイドAの含有比が高いほど効果がある。 【0017】 レバウディオサイドAは従来のステビア抽出物であるステビオサイドが主成分の物に比べ、前味となっており、甘味度が対砂糖濃度3%付近において砂糖の250倍であり、アセスルファムKと同じく低カロリーであり、更に、天然甘味料であるなどの利点を有する。甘味の出現が砂糖よりも遅く、砂糖と比較すると甘味が後に残るという特徴がある。 【0018】 高純度レバウディオサイドAは、例えば、ステビオサイドに対して1.5倍以上のレバウディオサイドAを含むステビアを水または含水溶媒で抽出し、得られた抽出液をイオン交換樹脂、吸着樹脂を用いて脱色、精製した後、濃縮または更に乾燥した抽出物、またはその抽出物に有機溶媒を用いて結晶化して得ることができる。 【0019】 高純度レバウディオサイドAをアセスルファムKに対して0.20倍〜3.20倍添加することによって、後味の苦味が取れ、甘味の出現が砂糖に近い良質な甘味料が得られ、アセスルファムK、および高純度レバウディオサイドAの味質を向上させることに成功した。 【0020】 【発明の実施の形態】 アセスルファムKに対するα-グルコシルステビア甘味料の添加量は好ましくは0.15〜3.11倍であり、より好ましくは0.33倍〜1.33倍である。 【0021】 アセスルファムKに対する高純度レバウディオサイドAの添加量は好ましくは0.20〜3.20倍であり、より好ましくは0.5倍〜1.9倍である。 【0022】 従来のステビア・レバウディアナ・ベルトニー品種を用いると再結晶の工程でレバウディオサイドAの回収率が低くなるため、望ましくはステビオサイドに対して1.5倍以上のレバウディオサイドAを含有するステビア・レバウディアナ・ベルトニーの新品種を用いたほうが良い(特開昭60-160823号、特開昭63-173531号参照)。 【0023】 ステビア新品種の育種過程 本発明では、ステビオサイドに対して1.5倍以上のレバウディオサイドAを含有するステビア抽出物が得られる育種方法、栽培方法であればどの様な方法を用いても良い。 【0024】 昭和54年10月〜12月に、レバウディオサイドAの含量がステビオサイドの10分の6のステビア在来品種Sを岡山県新見市足見の守田化学工業株式会社新見工場内で人為的に交配し、得られた種子を昭和55年3月初旬に同所の育苗ビニールハウスに播種し、同年5月上旬に発芽生育した苗を圃場に移植し、同年8月上旬に甘味成分含有率を調査し、ステビオサイドに対しレバウディオサイドA1:1倍以上含有する苗を選択し、SF1とした。 【0025】 SF1を挿し木で増殖し、同年10〜12月にビニールハウス内に人工的に交配し、得られた種子を昭和56年2月に育苗ビニールハウスに播種し同年5月上旬に発芽生育した苗を圃場に移植し、同年8月上旬に甘味成分含有率を調査し、ステビオサイドに対しレバウディオサイドAを1:1.5倍以上含有する苗を選択しSF2とした。 【0026】 SF2を同様に挿し木で増殖し、同年10〜12月にビニールハウス内に人工的に交配し、得られた種子を昭和57年2月に育苗ビニールハウスに播種し同年5月上旬に発芽生育した苗を圃場に移植し、同年8月上旬に甘味成分含有率を調査し、ステビオサイドに対しレバウディオサイドAを1:2.56倍以上含有する苗を選択しSF3とした。 【0027】 SF2、SF3で得られた苗をそれぞれ挿し木にて100本ずつ増殖し、その乾燥葉の甘味成分含有率を調査したところ、乾燥葉A(ステビオサイド3.6%、レバウディオサイドA5.6%、レバウディオサイドC1.1%)、乾燥葉B(ステビオサイド2.7%、レバウディオサイドA7.1%、レバウディオサイドC1.1%)乾燥葉C(ステビオサイド1.0%、レバウディオサイドA9.1%、レバウディオサイドC0.9%)であった。これらの植物体または乾燥葉はいずれもステビア抽出物を得る為に用いることが出来る。 【0028】 α-グルコシルレバウディオサイドAを主成分とする甘味料の製造方法 ステビオサイドに対して1.5倍以上のレバウディオサイドAを含むステビア・レバウディアナ・ベルトニー新品種の植物体または乾燥葉を水または含水溶媒で抽出し、得られた抽出液をイオン交換樹脂、吸着樹脂を用いて脱色、精製した後、濃縮または更に乾燥した抽出物、またはその抽出物に有機溶媒を用いて再結晶した物に、サイクロデキストリングルコシルトランスフェラーゼを用いてグルコースをα付加させ、α-1,4-グルコシダーゼを作用させて付加糖鎖を調節して得る(特開平9-107913参照)。または、従来のステビア・レバウディアナ・ベルトニー品種の植物体または乾燥葉を水または含水溶媒で抽出し、得られた抽出液をイオン交換樹脂、吸着樹脂等を用いて脱色、精製した後、濃縮または更に乾燥し、有機溶媒を用いて再結晶した物に、サイクロデキストリングルコシルトランスフェラーゼを用いてグルコースをα付加させ、α-1,4-グルコシダーゼを作用させて付加糖鎖を調節して得る等してもよい。得られたα-グルコシルステビア甘味料は、α-グルコシルステビオサイド34%以下、α-グルコシルレバウディオサイドA51%以上含む。 【0029】 高純度レバウディオサイドAの製造方法 ステビオサイドに対して1.5倍以上のレバウディオサイドAを含むステビア・レバウディアナ・ベルトニー新品種の植物体または乾燥葉を水または含水溶媒で抽出し、得られた抽出液をイオン交換樹脂、吸着樹脂を用いて脱色、精製した後、濃縮または更に乾燥した抽出物として、またはその抽出物に有機溶媒を用いて結晶化して得ることができる。また、従来のステビア・レバウディアナ・ベルトニー品種の植物体または乾燥葉を水または含水溶媒で抽出し、得られた抽出液をイオン交換樹脂、吸着樹脂等を用いて脱色、精製した後、濃縮または更に乾燥し、有機溶媒による再結晶などにより精製して得ることもできる。 【0030】 本発明の甘味料には砂糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、麦芽糖、異性化糖、水飴、異性化乳糖、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、パラチノース、グルコシルスクロース等の糖類、エリスリトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、還元澱粉糖化物、還元パラチノース、還元乳糖等の糖アルコール類、スクラロース、アスパルテーム、アリテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン、ソーマチン等の高甘味度甘味料、希釈剤、分散剤、賦型剤等の添加剤も加えることができる。また、食品製造工程でそれぞれ添加することもできる。 【0031】 省略記号は下記の意味をもつ。 AK・・アセスルファムK α-GS・・α-グルコシルステビア甘味料 RA-B・・高純度レバウディオサイドA また、それぞれの甘味度は砂糖(3%水溶液)と比較して、 AK・・200倍、α-GS・・150倍、RA-B・・250倍である。 【0032】 【実施例】 実施例1 ステビア抽出物A ステビア乾燥葉A(ステビオサイド3.6%、レバウディオサイドA5.6%、レバウディオサイドC1.1%)の120gを10〜20倍量の水で甘味が感じられなくなるまで数回抽出し、抽出液を陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR120B)200mLを充填したカラム、及び陰イオン交換樹脂(デュオライトA-4)200mLを充填したカラムに通し、通過液を合成吸着樹脂(ダイヤイオンHP-20)200mLを充填したカラムに通して甘味成分を吸着させ、十分水洗後、メタノール400mLで溶離する。溶離液を減圧下に濃縮し、乾燥して淡黄色粉末を得る。収量:14.2g ステビオサイド:30.3% レバウディオサイドA:47.1% レバウディオサイドC:9.1% 【0033】 実施例2 α-グルコシルステビア甘味料の製造 上記抽出物A4gとα-グルコシル糖化物としてDE(デンプン分解率):10のデキストリン10gを水25mLに加熱溶解した後、70℃に冷却し、塩化カルシウムを基質総量に対して1mmolになるように添加すると共に、pHを6.0に調整して、サイクロデキストリングルコシルトランスフェラーゼを100単位加え、温度70℃で24時間反応させた。その後反応液を95℃に30分間保持して酵素を加熱失活させた。 【0034】 実施例3 付加糖鎖の調節 反応液を50℃に冷却し、市販グルコアミラーゼ(グルコチーム長瀬産業(株)製)を固形分に対して1.0重量%添加して、温度50℃で5時間反応させた。反応液を95℃に30分間保持して酵素を失活させた。 【0035】 反応液を濾過した後、合成吸着樹脂(ダイヤイオンHP-20)200mLを充填したカラムに通して甘味成分を吸着させ、十分水洗後、メタノール400mLで溶離する。 【0036】 通過液を陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR120B)200mLを充填したカラム、および陰イオン交換樹脂(デュオライトA-4)200mLを充填したカラムに通し脱塩、脱色を行った後、減圧下に濃縮し、乾燥して白色粉末のα-グルコシルステビア甘味料:α-GS(α-グルコシル化抽出物A)5.8gを得た。 【0037】 実施例4 3%砂糖溶液の甘味度に相当するアセスルファムK(AK)0.015%の水溶液、実施例3で得られたα-グルコシルステビア甘味料(α-GS)0.02%の水溶液およびアセスルファムKの濃度0.015%の10%である0.0015%の甘味度をα-GSの甘味度に置換して、α-GS0.002%[=0.0015%×(200(AKの甘味度)/150(α-GSの甘味度)]を算出し、アセスルファムK0.0135%およびα-GS0.002%の混合水溶液(AKに対する添加倍率0.15)を10人のステビア甘味料の味質に精通したパネラーにより評価をした。パネラーは、AKの味の幅および苦味について改善されたか否か、および砂糖に甘味が近いかどうかについて評価した。評価の結果を表2に示した。 【0038】 実施例5〜8 実施例5〜8は表1に示したように、AKに対する添加倍率を変えて実施例4と同様に行った。パネラーによる評価の結果を表2にまとめて示した。 【0039】 【0040】 【0041】 実施例4〜8の試験水溶液を3%砂糖溶液の甘味度に相当するα-GSの0.02%水溶液と比較して前味が改善されたか否かについて検討した。結果を表3に示した。 【0042】 【0043】 実施例9 ステビア抽出物B 実施例1におけるステビア乾燥葉Aに代えて、ステビア乾燥葉B(ステビオサイド2.7%、レバウディオサイドA7.1%、レバウディオサイドC1.1%)を用いた以外は実施例1と同様に行った。収量:14.5g ステビオサイド:21.7% レバウディオサイドA:57.0% レバウディオサイドC:8.8% 【0044】 実施例10 高純度レバウディオサイドA(RA-B)の製造 実施例9で得られたステビア抽出物Bを20倍量のメタノールに加熱溶解した後、4℃に冷却し、96時間放置した後、結晶を分離し、減圧下でメタノールを除去した。収量:4.8g ステビオサイド:8.8% レバウディオサイドA:80.8% レバウディオサイドC:0.3% 【0045】 実施例11 3%砂糖溶液の甘味度に相当するアセスルファムK(AK)0.015%の水溶液、実施例10で得られた高純度レバウディオサイドA(RA-B)0.012%の水溶液およびアセスルファムKの濃度0.015%の20%である0.003%の甘味度をRA-Bの甘味度に置換して、RA-B0.0024%[0.003%×(200(AKの甘味度))/250(RA-Bの甘味度))]を算出し、アセスルファムK0.012%およびRA-B0.0024%の混合水溶液(AKに対する添加倍率0.2)を10人のステビア甘味料の味質に精通したパネラーにより評価をした。パネラーは、AKの味の幅および苦味について改善されたか否かおよび砂糖に甘味が近いかどうかについて評価した。結果を表5に示した。 【0046】 実施例12〜15 実施例12〜15は表4に示したように、AKに対する添加倍率を変えて実施例11と同様に行った。パネラーによる評価の結果を表5にまとめて示した。 【0047】 【0048】 【0049】 実施例11〜15の試験水溶液を3%砂糖溶液の甘味度に相当するRA-Bの0.012%水溶液と比較して前味が改善されたか否かについて検討した。結果を表6に示した。 【0050】 【0051】 【発明の効果】 上記の結果から、本発明により得られた甘味料は、試験項目である、味の幅、苦味、前味のいずれにおいても、アセスルファムK単独、およびα-GS単独またはRA-B単独に比べて砂糖に近いという優れた結果が出ている。α-GSおよびRA-Bはいずれも4Kcal/gであるが、甘味度がそれぞれ砂糖の150倍および250倍あることから、アセスルファムKと併用した場合、実質的にはノンカロリーに近く、従ってカロリーの上昇も無い。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2004-06-30 |
結審通知日 | 2004-07-02 |
審決日 | 2004-07-15 |
出願番号 | 特願平11-299544 |
審決分類 |
P
1
112・
121-
ZA
(A23L)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 恵理子 |
特許庁審判長 |
河野 直樹 |
特許庁審判官 |
鵜飼 健 種村 慈樹 |
登録日 | 2003-08-08 |
登録番号 | 特許第3459387号(P3459387) |
発明の名称 | 甘味料組成物 |
代理人 | 田村 恭生 |
代理人 | 青山 葆 |
代理人 | 青山 葆 |
代理人 | 品川 永敏 |
代理人 | 田村 恭生 |
代理人 | 品川 永敏 |