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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08L
管理番号 1114614
異議申立番号 異議2003-70614  
総通号数 65 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-12-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-03-06 
確定日 2005-02-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3322062号「射出溶着用材料」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3322062号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
特許第3322062号に係る発明は、平成7年3月31日に特許出願され、平成14年6月28日に特許権の設定がなされ、その後、特許異議申立人 東レ株式会社(以下、「特許異議申立人」という。)より特許異議の申立てがなされ、平成15年8月12日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成15年10月20日に特許異議意見書が提出され、平成16年2月23日付けで特許権者に対して審尋がなされ、平成16年4月30日にこれに対する回答書が提出され、平成17年1月11日付けで再度取消理由が通知され、その指定期間内である平成17年1月19日に訂正請求書が提出されたものである。

2.訂正の適否
2-1.訂正の内容
特許権者は次の訂正を求めているものと認められる。
訂正事項a
請求項1の
「(A)ポリアミド6成分2〜25重量%とポリアミド66成分98〜75重量%とからなるポリアミド共重合体40〜95重量%、および(B)無機充填材5〜60重量%を含む射出溶着用材料。」を
「(A)ポリアミド6成分15〜25重量%とポリアミド66成分85〜75重量%とからなるポリアミド共重合体40〜95重量%、および(B)無機充填材5〜60重量%を含む射出溶着用材料。」と訂正する。
訂正事項b
段落【0006】の
「【課題を解決するための手段】本発明は、(A)ポリアミド6成分2〜25重量%とポリアミド66成分98〜75重量%とからなるポリアミド共重合体40〜95重量%、および(B)無機充填材5〜60重量%を含む射出溶着用材料に関する。」を
「【課題を解決するための手段】本発明は、(A)ポリアミド6成分15〜25重量%とポリアミド66成分85〜75重量%とからなるポリアミド共重合体40〜95重量%、および(B)無機充填材5〜60重量%を含む射出溶着用材料に関する。」と訂正する
訂正事項c
段落【0018】の「実施例1」を「参考例1」と、【0019】の「実施例2」を「実施例1」と、【0020】の「実施例3」を「実施例2」と、【0024】の「実施例4」を「実施例3」と、それぞれ訂正する。
訂正事項d
段落【0027】の表1中の「実施例1」を「参考例1」と、「実施例2」を「実施例1」と、「実施例3」を「実施例2」と、「実施例4」を「実施例3」と、それぞれ訂正する。
訂正事項e
段落【0028】の
「【発明の効果】本発明において、ポリアミド6成分2〜25重量%とポリアミド66成分98〜75重量%とからなるポリアミド6/66共重合体に無機充填材を配合することにより、射出溶着や封止成形に適した射出溶着用材料が得られる。」を
「【発明の効果】本発明において、ポリアミド6成分15〜25重量%とポリアミド66成分85〜75重量%とからなるポリアミド6/66共重合体に無機充填材を配合することにより、射出溶着や封止成形に適した射出溶着用材料が得られる。」と訂正する。

2-2.訂正の目的の適否、訂正の範囲の適否及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項aは、訂正前の明細書の「実施例2 ポリアミド6成分の含有量が15重量%のポリアミド6/66共重合体70重量%とガラス繊維30重量%を溶融混練して、射出溶着用材料を得た。」(段落【0019】)との記載に基づいて、ポリアミド6成分の含有量範囲の下限を2重量%から15重量%とし、これと相補関係にあるポリアミド66成分の含有量範囲の上限を98重量%から85重量%とするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項b〜eは、訂正事項aによる特許請求の範囲の訂正に伴って、対応する発明の詳細な説明の記載をこれと整合させるための訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

そして、これらの訂正は、いずれも願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

2-3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.本件発明
上記の結果、訂正後の本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正された明細書(以下、「訂正明細書」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「(A)ポリアミド6成分15〜25重量%とポリアミド66成分85〜75重量%とからなるポリアミド共重合体40〜95重量%、および(B)無機充填材5〜60重量%を含む射出溶着用材料。」

4.特許異議申立人の主張
特許異議申立人は、下記の甲第1〜4号証を提出して、概略、次の理由により訂正前の本件請求項1に係る特許は取り消されるべきである旨、主張する。
「本件請求項1に係る発明は、甲第1〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。」

(i)証拠方法
甲第1号証:特開平2-265965号公報
甲第2号証:Peter Maskus,H.U.Gahwiler(「a」は「a-ウムラウト」)”Injection Welding of Polyamides”Advances in Polymer Technology,Vol.7,No.4,p.411-418(1987)
甲第3号証:Joe E.LeGrand”Two-Shell Overmold:a Cost-Competitive Process for Air-Intake Manifolds”
甲第4号証:A.Stuart Wood「SAEに見る自動車用新エンプラ 低コスト化実現するリサイクル材も」Nikkei New Materials,1988.5.23,p.31-32

(ii)甲第1、2及び4号証の記載事項
甲第1号証
(1-1)「(A)ポリアミド66の共重合比率が85〜100重量%で、25℃における98%硫酸中の濃度1g/dlの溶液粘度〔η〕が2.7以上であるポリアミド66/6共重合体あるいはポリアミド66単独重合体30〜95重量%及び(B)ポリアミド66の共重合比率が0〜70重量%で、25℃における98%硫酸中の濃度1g/dlの溶液粘度〔η〕が2.6以下であるポリアミド6単独重合体あるいはポリアミド66/6共重合体70〜5重量%からなるポリアミド樹脂100重量部に対して(C)繊維状強化剤5〜150重量部を配合したことを特徴とするポリアミド樹脂組成物。」(特許請求の範囲)
(1-2)「このような押出機により、通常はまず上記本発明の樹脂組成物からなるペレットが製造され、このペレットを圧縮成形,射出成形,押出成形等により任意の形状に成形して所望の樹脂製品とすることができる。」(第3頁左上欄末行〜同頁右上欄第4行)
(1-3)「〔実施例〕 次に、実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明する。
なお、下記の実施例及び比較例で使用する材料は、下記のとおりである。
ポリアミド樹脂
ポリアミド〔I〕 25℃における98%硫酸中の濃度1g/dlの溶液粘度〔η〕が2.9のポリアミド66の単独重合体
ポリアミド〔II〕 〔η〕が2.9のポリアミド66/6共重合体(ポリアミド66の共重合比率90重量%,ポリアミド6の共重合比率10重量%)
ポリアミド〔III〕 〔η〕が2.9のポリアミド66/6共重合体(ポリアミド66の共重合比率30重量%,ポリアミド6の共重合比率70重量%)
ポリアミド〔IV〕 〔η〕が2.5のポリアミド66/6共重合体(ポリアミド66の共重合比率30重量%,ポリアミド6の共重合比率70重量%)
ポリアミド〔V〕 〔η〕が2.9のポリアミド6の単独重合体
ポリアミド〔VI〕 〔η〕が2.5のポリアミド6の単独重合体
繊維状強化剤
ガラス繊維 繊維径13μ、繊維長3mmのチョップドストランド・・・
炭素繊維 繊維径9μ、繊維長6mm・・・ 」
(1-4)「実施例1〜6及び比較例1〜5
(1)ポリアミド樹脂組成物の製造
第1表に示す割合で配合したものを、同方向二軸押出機(直径30mm,PCM-30)を用いてポリアミド樹脂は主ホッパーから、また繊維状強化剤はサイドから投入して混練して、ポリアミド樹脂組成物を製造した。この際、シリンダー温度は、各ゾーンとも280℃に設定した。
(2)試験片の作成
上記(1)で得られたポリアミド樹脂組成物を、住友重機(株)製 射出成形機サイキャップM III 165/75を用いて射出成形して、下記の各試験用の試験片を作成した。」
(1-5)

甲第2号証
(2-1)表題「ポリアミドの射出溶着」(第411頁)
(2-2)図1には、「溶融/溶融系、及び、溶融/インサート系を用いた溶着線を有する試験片」が示されている。(第412頁)
(2-3)「私たちは、2つの可塑化ユニットで射出し得る溶着線の近くに圧力変換器を有する工具を使用した。それを用いれば、試験片の内側の部分は直接射出でき、また、インサートにより置換され得る(図1参照)。」(第416頁左欄第2〜6行)
(2-4)図8及び図9には、「PA6 30%GF」が記載されている。(第417頁)
(2-5)「非晶質共重合ポリアミド樹脂は最も高い溶着線強度に達する。」(第418頁図下の右欄第3〜4行)

甲第4号証
(4-1)「Allied-Signal Engineered Plastics社が開発した2種類の新ナイロンも注目された。「Capron 8358」は、Ca(Cl)2に対して非常に優れた耐性を得るよう変性された耐熱性ナイロン6/66である。同社によれば、応力下の樹脂成形バーは、194°F(90℃)でのCa(Cl)250%水溶液中で168時間破壊しなかった・・・。自動車のケーブル外被やチューブ材に応用が見込まれる。また、広範な耐薬品性を示し、溶着も可能で、十分リサイクルできるという。」(第32頁右欄第13〜28行)

5.合議体の判断
5-1.甲第3号証について
特許異議申立人が特許法第29条第2項違反の証拠として提出した甲第3号証は、本件の出願前に頒布された刊行物であることを確認することができないので、本件特許異議の証拠としては採用しない。

5-2.対比、判断
甲第1号証には、その特許請求の範囲に、「(A)ポリアミド66の共重合比率が85〜100重量%で、25℃における98%硫酸中の濃度1g/dlの溶液粘度〔η〕が2.7以上であるポリアミド66/6共重合体あるいはポリアミド66単独重合体30〜95重量%及び(B)ポリアミド66の共重合比率が0〜70重量%で、25℃における98%硫酸中の濃度1g/dlの溶液粘度〔η〕が2.6以下であるポリアミド6単独重合体あるいはポリアミド66/6共重合体70〜5重量%からなるポリアミド樹脂100重量部に対して(C)繊維状強化剤5〜150重量部を配合したことを特徴とするポリアミド樹脂組成物」(摘示記載(1-1))が記載されている。また、「比較例2」には、(A)成分としてポリアミド〔II〕(〔η〕が2.9のポリアミド66/6共重合体(ポリアミド66の共重合比率90重量%,ポリアミド6の共重合比率10重量%))を100重量部、(B)成分を用いず、(C)成分としてガラス繊維を50重量部用いたポリアミド樹脂組成物(摘示記載(1-3)〜(1-5))が示されている。
本件発明と甲第1号証の比較例2に記載された樹脂組成物(以下、「引用組成物」という。)とは、ともに、「(A)ポリアミド6成分とポリアミド66成分とからなるポリアミド共重合体、及び、(B)無機充填材を含む材料」である点で一致し、(A)成分と(B)成分の配合比(引用組成物では100/(100+50):50/(100+50)=67:33)において重複しているが、これらは以下の点で相違している。
(ア)本件発明においては、(A)成分が、「ポリアミド6成分15〜25重量%とポリアミド66成分85〜75重量%とからなるポリアミド6成分15〜25重量%」とからなるのに対して、引用組成物においては、ポリアミド6成分10重量%とポリアミド66成分90重量%とからなる点、及び、
(イ)本件発明は「射出溶着用材料」であるのに対して、甲第1号証には引用組成物を「射出溶着用」とすることについて記載されていない点。
そこで、これらの相違点についてみると、甲第1号証には、特許請求の範囲に記載された樹脂組成物を射出成形等により成形すること(摘示記載(1-2))は記載されているものの、これを、射出により材料同士を溶着する用途に供すること、即ち、射出溶着材料として用いることは示唆されていない。
また、甲第2号証には、「非晶質共重合ポリアミド樹脂は最も高い溶着線強度に達する」(摘示記載(2-5))との記載があるが、どのような組成の共重合ポリアミド樹脂が高い溶着線強度を有するのかについては開示されておらず、また、甲第4号証には耐熱性ナイロン6/66からなり「溶着が可能な」樹脂(摘示記載(4-1))が紹介されているが、この樹脂の共重合成分の構成比については記載がなく、また、「溶着」がどのような手段で行われるのか(射出溶着を含むのか否か、等))も不明である。
これに対して本件発明は、ポリアミド6成分とポリアミド66成分の共重合比を(ア)のように限定したことにより、(イ)のように射出溶着材料とした際に、著しく大きい溶着剥離強度を示すという作用効果を奏するものであり、この点を当業者が容易に予測し得たものとすることはできない。
したがって、本件発明は、甲第1、2及び4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

6.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明を取り消すことができない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
射出溶着用材料
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)ポリアミド6成分15〜25重量%とポリアミド66成分85〜75重量%とからなるポリアミド共重合体40〜95重量%、および(B)無機充填材5〜60重量%を含む射出溶着用材料。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、エアーインテークマニホールド、ソレノイドバルプやアンチロックブレーキ用のセンサーとして適した射出溶着用材料に関するものである。
【0002】
すなわち、射出溶着用材料は、エアーインテークマニホールドやシステム配管などの中空部品を射出成形工程のみで製造するために、2分割で成形した後、別のキャビティー内で接合する際に利用される。また、電気電子部品を水、熱および種々のガスなどの環境から保護するために、ソレノイドバルプやアンチロックブレーキ用のセンサーを封止する際に利用されている。
【0003】
【従来の技術およびその問題点】
ポリアミド樹脂は、機械的特性および耐熱性、耐薬品性に優れたエンジニアリングプラスチックとして広い用途分野で使用されている。また、ポリアミド樹脂に無機充填材を配合することによりさらに強度が向上するため、無機充填材で強化した状態でも広く使用されている。
【0004】
しかしながら、ポリアミド6、ポリアミド12を単独に用いた場合、溶着性にはすぐれているが、耐熱性に劣り、高温で使用することができなかった。また、ポリアミド66を単独に用いた場合、耐熱性にはすぐれているが、溶着性に難点があった。特に封止成形に利用した場合、内部のコイルボビンと外部の樹脂との接着不良を起こし、要求される絶縁性が得られないという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、溶着性と耐熱性との調和のとれた射出溶着用材料を開発することを目的に鋭意研究した結果、本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)ポリアミド6成分15〜25重量%とポリアミド66成分85〜75重量%とからなるポリアミド共重合体40〜95重量%、および(B)無機充填材5〜60重量%を含む射出溶着用材料に関する。
【0007】
本発明において、ポリアミド6とはポリカプラミド、ポリアミド66とはヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合体である。
【0008】
本発明のポリアミド共重合体を構成するポリアミド6成分とポリアミド66成分との割合は、ポリアミド6成分/ポリアミド66成分=15〜25重量%/85〜75重量%である。
【0009】
ポリアミド6成分の割合が2重量%以下では溶着性が低下し、また、25重量%以上では耐熱性が低下するので好ましくない。
【0010】
本発明に使用する無機充填材として、具体例としては、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム(ワラストナイト)、タルク、カオリン、マイカ、酸化チタン、アルミナ、シリカ、フェライト、炭酸などの粉末や、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリウム繊維、セラミック繊維などの繊維を挙げることができる。無機フィラーは、単独でまたは2種以上組合わせて用いてもよい。
【0011】
無機充填材は、ポリアミド樹脂と無機充填材の合計100重量%当たり5〜60重量%、好ましくは20〜35重量%の範囲で添加される。5重量%以下では機械的強度の向上という点で効果は現れず、60重量%以上添加すると成形品の表面性が悪化するので好ましくない。
【0012】
本発明の射出溶着用材料は、前記ポリアミド共重合体と無機充填材とを溶融混練することによって容易に調製することができる。
【0013】
この発明の射出溶着用材料は、要求される特性に応じて他の添加剤、例えば耐熱剤、紫外線吸収剤を含む耐候剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、核剤、発泡剤、着色剤、安定剤、カップリング剤などを含有することができる。
【0014】
【実施例】
ポリアミド6とポリアミド66の比率を変えたポリアミド6/66共重合体と無機充填材を溶融混練し、以下の方法で評価を行った。
【0015】
テストピースの形状は図1に示した通りで、全体としてはASTM D638の1号片形状である。部品1と部品2の境界面が、射出溶着時に溶融接着されることにより、一つのテストピースが得られる。
【0016】
テストピースは図2の作成手順に従って作成した。先ず、ASTM D638の1号片をつくる金型に図1の部品2の形状の金属片をインサートして(図2(1))、部品1の成形を行った(図2(2)、(3))。部品1を十分に冷却した後金型内にインサートして(図2(4))、部品2の部分を成形することにより(図2(5))、接合したテストピースを得た(図2(6))。このテストピースの引張り強度をASTM D638に準じて、境界面から剥離するか境界面以外の部分で破壊する(基材破壊)までの最大引張り強度を測定し、射出溶着強度として評価を行った。
【0017】
【0018】
参考例1
ポリアミド6成分の含有量が2重量%のポリアミド6/66共重合体70重量%とガラス繊維30重量%を溶融混練して、射出溶着用材料を得た。この材料の評価結果を表1に示す。
【0019】
実施例1
ポリアミド6成分の含有量が15重量%のポリアミド6/66共重合体70重量%とガラス繊維30重量%を溶融混練して、射出溶着用材料を得た。この材料の評価結果を表1に示す。
【0020】
実施例2
ポリアミド6成分の含有量が25重量%のポリアミド6/66共重合体70重量%とガラス繊維30重量%を溶融混練して、射出溶着用材料を得た。この材料の評価結果を表1に示す。
【0021】
比較例1
ポリアミド6 70重量%とガラス繊維30重量%を溶融混練して、射出溶着用材料を得た。この材料の評価結果を表1に示す。
【0022】
比較例2
ポリアミド66 70重量%とガラス繊維30重量%を溶融混練して、射出溶着用材料を得た。この材料の評価結果を表1に示す。
【0023】
比較例3
ポリアミド12 70重量%とガラス繊維30重量%を溶融混練して、射出溶着用材料を得た。この材料の評価結果を表1に示す。
【0024】
実施例3
ポリアミド6成分の含有量が15重量%のポリアミド6/66共重合体70重量%とカオリン30重量%を溶融混練して、射出溶着用材料を得た。この材料の評価結果を表1に示す。
【0025】
比較例4
ポリアミド6 70重量%とカオリン30重量%を溶融混練して、射出溶着用材料を得た。この材料の評価結果を表1に示す。
【0026】
【0027】
【表1】

【0028】
【発明の効果】
本発明において、ポリアミド6成分15〜25重量%とポリアミド66成分85〜75重量%とからなるポリアミド6/66共重合体に無機充填材を配合することにより、射出溶着や封止成形に適した射出溶着用材料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
射出溶着性評価用テストピースの形状を表すものである。
【図2】
射出溶着性評価用テストピースの作成手順を表すものである。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-01-27 
出願番号 特願平7-74851
審決分類 P 1 651・ 121- YA (C08L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 健史  
特許庁審判長 井出 隆一
特許庁審判官 船岡 嘉彦
石井 あき子
登録日 2002-06-28 
登録番号 特許第3322062号(P3322062)
権利者 宇部興産株式会社
発明の名称 射出溶着用材料  
代理人 羽鳥 修  
代理人 羽鳥 修  

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