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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 B65H 審判 一部申し立て 4項(134条6項)独立特許用件 B65H |
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管理番号 | 1114647 |
異議申立番号 | 異議2003-73326 |
総通号数 | 65 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1999-08-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-12-19 |
確定日 | 2005-01-17 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3453508号「シート材搬送装置及び画像形成装置」の請求項1ないし3、5ないし7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3453508号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 |
理由 |
I.手続の経緯 特許第3453508号の請求項1ないし8に係る発明についての手続の経緯は、およそ次のとおりである。 (1)特許出願 平成10年 2月20日 (2)特許権設定の登録 平成15年 7月18日 (3)特許掲載公報の発行 平成15年10月 6日 (4)中石幸明より特許異議の申立て 平成15年12月19日 (5)小湊勇次より特許異議の申立て 平成15年12月26日 (6)特許の取消理由の通知の発送 平成16年 6月25日 (7)特許権者より特許異議意見書の提出及び訂正請求(指定期間内) 平成16年 8月24日 (8)特許権者より訂正請求書の手続補正(方式) 平成16年11月10日 II.訂正の適否について 1.訂正の内容 前記の訂正請求は、次の(1)〜(17)のとおり、明細書の記載を訂正することを求めるものである。 (1)特許請求の範囲の請求項1の「シート材搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体によりシート材を挟持搬送する円筒体対であって、各対の円筒体の挟持部における接線が互いに交差する2つの円筒体対と、各円筒体対の間に配設され、シート材搬送方向上流側の円筒体対の接線方向にシートをガイドするガイド手段とを有するシート材搬送装置において、前記ガイド手段のシート材搬送方向下流部に、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした下流ガイド部を配設したことを特徴とするシート材搬送装置。」を、「シート材搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体によりシート材を挟持搬送する円筒体対であって、各対の円筒体の挟持部における接線が互いに交差する2つの円筒体対と、各円筒体対の間に配設され、シート材搬送方向上流側の円筒体対の接線方向にシートをガイドするガイド手段とを有するシート材搬送装置において、前記ガイド手段のシート材搬送方向下流部に、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした下流ガイド部を配設し、前記ガイド手段は上下のガイド部材からなり、シート材通紙幅方向に関し、前記上ガイド部材又は下ガイド部材のシート材搬送方向下流側端面を、前記円筒体の回転軸線と平行とすることなく、軸方向中央部が端部よりも下流側へ突出する湾曲状もしくは階段状としたことを特徴とするシート材搬送装置。」と訂正する。 (2)特許請求の範囲の請求項2の「請求項1において、前記シート材のガイド手段は、シート材搬送方向上流から下流に行くに従い互いの間隔が狭くなるように配設された上下のガイド部材からなり、上ガイド部材は、上流の円筒体対の接線と略平行に配設したことを特徴とするシート材搬送装置。」を、「請求項1において、前記上下のガイド部材はシート材搬送方向上流から下流に行くに従い互いの間隔が狭くなるように配設され、前記上ガイド部材を、上流の円筒体対の接線と略平行に配設したことを特徴とするシート材搬送装置。」と訂正する。 (3)特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (4)特許請求の範囲の請求項6中の「前記案内部」を、「前記下流ガイド部」と訂正する。 (5)特許請求の範囲の請求項7中の「前記案内部材」を、「前記下流ガイド部」と訂正する。 (6)特許請求の範囲の請求項5から9を、請求項4から8に繰り上げる訂正をする。 (7)明細書段落【0010】中の「上記目的を達成するために、本発明に係る手段は、シート材搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体によりシート材を挟持搬送する円筒体対であって、各対の円筒体の挟持部における接線が互いに交差する2つの円筒体対と、各円筒体対の間に配設され、シート材搬送方向上流側の円筒体対の接線方向にシートをガイドするガイド手段とを有するシート材搬送装置において、前記ガイド手段のシート材搬送方向下流部に、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした下流ガイド部を配設したことを特徴とする。」を、「上記目的を達成するために、本発明に係る手段は、シート材搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体によりシート材を挟持搬送する円筒体対であって、各対の円筒体の挟持部における接線が互いに交差する2つの円筒体対と、各円筒体対の間に配設され、シート材搬送方向上流側の円筒体対の接線方向にシートをガイドするガイド手段とを有するシート材搬送装置において、前記ガイド手段のシート材搬送方向下流部に、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした下流ガイド部を配設し、前記ガイド手段は上下のガイド部材からなり、シート材通紙幅方向に関し、前記上ガイド部材又は下ガイド部材のシート材搬送方向下流側端面を、前記円筒体の回転軸線と平行とすることなく、軸方向中央部が端部よりも下流側へ突出する湾曲状もしくは階段状としたことを特徴とする。」に訂正する。 (8)明細書段落【0012】中の「(第1の実施形態)」、「本発明の第1の実施の形態」を、「(本発明の前提技術)」、「本発明の前提技術」に訂正する。 (9)明細書段落【0013】中の「本実施形態では、」を、「本前提技術では、」に訂正する。 (10)明細書段落【0017】中の「本発明の実施形態において、」を、「本前提技術において、」に訂正する。 (11)明細書段落【0028】中の「第1の実施形態においては、」を、「本前提技術においては、」に訂正する。 (12)明細書段落【0029】中の「本実施形態では、」を、「本前提技術では、」に訂正する。 (13)明細書段落【0030】中の「(第2の実施形態)」、「本発明の第2の実施の形態」、「本第2の実施形態の形態では、」、「第1の実施の形態における」を、「(第1の実施形態)」、「本発明の第1の実施の形態」、「本第1の実施の形態では、」、「上記前提技術における」に各々訂正する。 (14)明細書段落【0033】中の「(第3の実施形態)」、「本発明の第3の実施の形態」「本第3の実施形態の形態では、」、「第1の実施の形態における」を、「(第2の実施形態)」、「本発明の第2の実施の形態」、「本第2の実施の形態では、」、「上記前提技術における」に各々訂正する。 (15)明細書段落【0034】中の「第2の実施の形態と同様に、」を、「第1の実施の形態と同様に、」に訂正する。 (16)明細書段落【0035】中の「以上説明したように、本発明によれば、シート材搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体によりシート材を挟持搬送する円筒体対であって、各対の円筒体の挟持部における接線が互いに交差する2つの円筒体対と、各円筒体対の間に配設され、シート材搬送方向上流側の円筒体対の接線方向にシート材をガイドするガイド手段とを有し、該ガイド手段のシート材搬送方向下流部に、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした下流ガイド部を配設したことにより、シート材搬送方向上流の回転体対から下流の回転体対へシート材を搬送する際、シート材の安定した搬送挙動を実現することができ、また、シート材への衝撃伝播の発生を軽減することができる。」を、「以上説明したように、本発明によれば、シート材搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体によりシート材を挟持搬送する円筒体対であって、各対の円筒体の挟持部における接線が互いに交差する2つの円筒体対と、各円筒体対の間に配設され、シート材搬送方向上流側の円筒体対の接線方向にシートをガイドするガイド手段とを有するシート材搬送装置において、前記ガイド手段のシート材搬送方向下流部に、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした下流ガイド部を配設し、前記ガイド手段は上下のガイド部材からなり、シート材通紙幅方向に関し、前記上ガイド部材又は下ガイド部材のシート材搬送方向下流側端面を、前記円筒体の回転軸線と平行とすることなく、軸方向中央部が端部よりも下流側へ突出する湾曲状もしくは階段状としたことにより、シート材搬送方向上流の回転体対から下流の回転体対へシート材を搬送する際、シート材の安定した搬送挙動を実現することができ、また、シート材への衝撃伝播の発生を軽減することができる。また、下流ガイド部を、シート材通紙幅方向に対して、その下流側の端面を、シート材を挟持する回転体の回転軸線に対して平行な直線ではなく、湾曲状としたり、もしくは階段状とすることにより、下流ガイド部をシート材が抜け出る際の衝撃を緩和することができる。」に訂正する。 (17)明細書段落【0038】の記載を、削除する訂正をする。 2.訂正の適否 2-1 特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する同法第126条第2項及び3項の規定の要件の適否(いわゆる訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について) (1)の訂正は、訂正前の請求項1の記載における「ガイド手段」について、「上下のガイド部材からなり、シート材通紙幅方向に関し、前記上ガイド部材又は下ガイド部材のシート材搬送方向下流側端面を、前記円筒体の回転軸線と平行とすることなく、軸方向中央部が端部よりも下流側へ突出する湾曲状もしくは階段状とした」という技術的な限定を行うものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (2)の訂正は、(1)の訂正に伴い、訂正前の請求項2における「前記シート材のガイド手段は、シート材搬送方向上流から下流に行くに従い互いの間隔が狭くなるように配設された上下のガイド部材からなり、上ガイド部材は、上流の円筒体対の接線と略平行に配設した」という記載を、「前記上下のガイド部材はシート材搬送方向上流から下流に行くに従い互いの間隔が狭くなるように配設され、前記上ガイド部材を、上流の円筒体対の接線と略平行に配設した」に訂正することにより記載の整合をとるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 (3)の訂正は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (4)及び(5)の訂正は、当審で通知した取消理由通知の理由3(請求項6、7に対する特許法第36条第6項第2号違反)を解消するべくなされたものであり、(4)については「前記下流ガイド部」とすべきところを「前記案内部」と誤記していたものと認められ、(5)については「前記下流ガイド部」とすべきところを「前記案内部材」と誤記していたものと認められるから、いずれも誤記の訂正を目的とするものに該当する。 (6)の訂正は、(3)の訂正に伴い、訂正前の請求項5〜9を新たな請求項4〜8に繰り上げたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 (7)〜(17)の訂正は、前記(1)〜(6)の訂正に整合させて、対応する発明の詳細な説明に所要の訂正を行うものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 そして、上記(1)の訂正は、特許請求の範囲に記載された構成を同構成に係る技術的事項として、明細書に記載された事項により限定するものであるから、当該訂正は、願書に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてするものであると共に、上記(2)〜(17)の訂正についても、願書に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてするものであり、また、これらの訂正は特許請求の範囲を実質上拡張するものでも変更するものでもない。 2-2 特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定の要件の適否(いわゆる独立特許要件について) 次に、訂正後の請求項7及び請求項8に係る発明は、特許異議の申立てがなされなかった請求項である訂正前の請求項8及び請求項9について訂正されたものであるから、訂正後の請求項7及び請求項8に係る発明については、出願の際、独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。 2-2-1 訂正発明 訂正後の請求項7及び8に係る発明(以下「訂正発明7及び訂正発明8」という。)は、平成16年 8月24日付け訂正請求書に添付された全文訂正明細書の特許請求の範囲の請求項7及び8に記載された、次のとおりのものである。 【請求項7】請求項1〜6のいずれかにおいて、前記シート材搬送方向下流側の円筒体対は、円筒状の像担持体と、該像担持体に対向し該像担持体上に形成された像をシート材に転写する円筒状の転写手段とで構成し、上流側の円筒体対は、該像担持体へシート材を搬送するための駆動ローラと従動ローラとで構成したことを特徴とするシート材搬送装置。 【請求項8】請求項1〜7のいずれかのシート材搬送装置と、前記像担持体上に電子写真方式により画像を形成する光学手段を有することを特徴とする画像形成装置。 ここで、【請求項7】が引用している訂正後の請求項2〜6は、全て訂正後の請求項1を引用しているから、上記【請求項7】に係る発明は、その発明特定事項として、前記訂正後の請求項1に記載された以下の事項を含むものである。 【請求項1】シート材搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体によりシート材を挟持搬送する円筒体対であって、各対の円筒体の挟持部における接線が互いに交差する2つの円筒体対と、各円筒体対の間に配設され、シート材搬送方向上流側の円筒体対の接線方向にシートをガイドするガイド手段とを有するシート材搬送装置において、前記ガイド手段のシート材搬送方向下流部に、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした下流ガイド部を配設し、前記ガイド手段は上下のガイド部材からなり、シート材通紙幅方向に関し、前記上ガイド部材又は下ガイド部材のシート材搬送方向下流側端面を、前記円筒体の回転軸線と平行とすることなく、軸方向中央部が端部よりも下流側へ突出する湾曲状もしくは階段状としたことを特徴とするシート材搬送装置。 2-2-2 刊行物記載の発明 これに対して、特許異議の申立ての証拠として提示され、当審の取消理由通知で引用された以下の刊行物1〜4からは、その記載事項から以下の刊行物記載の発明ないし技術的事項が把握される。 2-2-2-1 刊行物1:特開平5-313510号公報(特許異議申立人:小湊勇次が提出した甲第1号証)について 刊行物1の段落【0013】〜【0014】、段落【0016】〜【0019】、段落【0027】〜【0028】の記載を参酌するに、刊行物1における像担持体1と転写ローラ8の接線Bと紙搬送ローラ13のニップ接線Aは、互いに交差しており、転写前上紙搬送部材11は記録担体6の搬送方向上流側に位置する紙搬送ローラ13のニップ接線A方向に、記録担体6をガイドしていることは明らかであり、また、記録担体6は、転写前上紙搬送部材11、及び転写前下紙搬送部材12の双方にガイドされて搬送されていることから、転写前上紙搬送部材11、及び転写前下紙搬送部材12は、「ガイド手段」を構成し、また、転写前下紙搬送部材12は樹脂製であって、像担持体1と転写ローラ8のローラ対、一対の紙搬送ローラ13、転写前上紙搬送部材11、及び転写前下紙搬送部材12でもって、記録担体6の搬送装置を構成していることは明らかであり、さらに、記録担体と記録担体、及び記録担体と絶縁部材からなる紙搬送部材との摩擦により、不均一な帯電を起こし、画像乱れを生じていたが、導電部材にて構成した紙搬送部材を使用した場合は、画像乱れは起きていない旨の記載からみて、 刊行物1には、「対をなして回転する円筒体により記録担体を挟持搬送する像担持体と転写ローラの対、及び、一対の紙搬送ローラを、各対の円筒体の挟持部における接線が互いに交差するように、記録担体の搬送方向に間隔をおいて配設すると共に、記録担体搬送方向上流側にある一対の紙搬送ローラの接線方向に記録担体をガイドする転写前上紙搬送部材と下流側にある像担持体と転写ローラの対の挟持部における接線と略平行とした樹脂製の転写前下紙搬送部材からなるガイド手段を一対の紙搬送ローラと像担持体と転写ローラの対の間に配設し、記録担体の摺擦による帯電に起因すると考えられる画像形成不良を防止するべく、記録担体の案内をする部材の一部を導電性部材で構成した、記録担体の搬送装置。」の発明(以下、「刊行物発明1」という。)が、記載されているものと認める。 2-2-2-2 刊行物2:実願平1-17729号(実開平2-109374号)のマイクロフィルム(特許異議申立人:中石幸明が提出した甲第1号証)について 刊行物2の明細書第4頁第17行目〜第5頁第6行目の記載、同第6頁第17〜20行目の記載、及び、第1図並びに第3図において、案内手段14の画像支持体10の搬送方向下流側には円筒体対(中石幸明の異議申立書第5頁第5〜6行目において、円筒体対40と説明され、同異議申立書に添付された甲第1号証において朱記されている部分)が記載され、前記案内手段14の画像支持体10の搬送方向上流側の円筒体対である加圧ローラ1、2の挟持部における接線(同異議申立書に添付された甲第1号証においてcと朱記されている部分)と前記搬送方向下流側の円筒体対の挟持部における接線(同異議申立書に添付された甲第1号証においてfと朱記されている部分)とが互いに交差している様子、及び、前記案内手段14の加圧ローラ1、2側部分(同異議申立書に添付された甲第1号証において20bと朱記されている部分)は、上記加圧ローラ1、2の挟持部における接線と略平行に配設されている様子、並びに、前記案内手段14の画像支持体10の搬送方向下流側の円筒体対側部分(同異議申立書に添付された甲第1号証において20aと朱記されている部分)は、上記搬送方向下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行に配設されている様子が把握されるから、 刊行物2には、「画像支持体搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体により画像支持体を挟持搬送する円筒体対であって、各対の円筒体の挟持部における接線が互いに交差する2つの円筒体対と、各円筒体対の間に配設され、画像支持体搬送方向上流側の円筒体対の接線方向に画像支持体を案内する案内手段とを有する画像支持体材搬送装置において、前記案内手段の画像支持体搬送方向下流部に、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした部分を配設した画像支持体搬送装置。」の発明(以下、「刊行物発明2」という。)が記載されているものと認める。 2-2-2-3 刊行物3:特開平8-76607号公報(特許異議申立人:小湊勇次が提出した甲第3号証)について 刊行物3の段落【0005】、段落【0015】、段落【0028】〜【0031】、段落【0038】の記載を総合的に見ると、転写紙案内装置に関する技術であって、転写紙ガイド部材18は、下流側の円筒体たる感光体1の輪郭の接線と略同一線上もしくは該同一接線から転写紙の搬送を阻害しない側に配置されていることが明らかであるから、 刊行物3には、「転写紙をガイドする補助ステーを有する転写紙搬送装置において、上側の補助ステーの転写紙搬送方向下流部に、下流側の円筒体の輪郭の接線と略同一線上もしくは該同一線から転写紙の搬送を阻害しない側に、前記上側の補助ステーとは別体に作成された樹脂製の転写紙ガイド部材を配設すること」(以下、「技術的事項A」という。)が、記載されているものと認める。 2-2-2-4 刊行物4:特開平9-2702号公報(特許異議申立人:小湊勇次が提出した甲第2号証であり、かつ、特許異議申立人:中石幸明が提出した甲第2号証)について 刊行物4の段落【0013】、段落【0017】、段落【0019】、段落【0023】の記載を総合的にみると、転写上ガイド22、及び、転写下ガイド23は、シート材搬送方向上流から下流に行くに従って互いの間隔が狭くなるように配置され、突当部22aを転写下ガイド23に当接することにより、転写上ガイド22と転写下ガイド23との間の隙間を確保していることは、明記無くともその構造から自明であるから、 刊行物4には、「シート搬送方向に間隔をおいて配設された、感光体ドラムと転写ローラからなる円筒体対と一対の搬送ローラからなる搬送ローラ対により、シートを挟持搬送するものにおいて、シート搬送方向上流から下流に行くに従い互いの間隔が狭くなるように配設された転写上ガイドと転写下ガイドから構成されるシート材ガイド部材により、シート搬送方向上流側にある感光体ドラムと転写ローラからなる円筒体対にシートをガイドすること」(以下、「技術的事項B」という。)、及び、 「転写上ガイドを回動自在とし、転写下ガイドを固定とし、前記転写上ガイドのシート案内面側の下流部に位置決め部材を設け、該位置決め部材を転写下ガイドのシート案内面に当接することにより、転写上ガイドと転写下ガイドとの間にシート案内面の隙間を確保すること」(以下、「技術的事項C」という。)が、記載されているものと認める。 2-2-3 対比、判断 2-2-3-1 訂正発明7について 訂正後の請求項1を引用した訂正発明7と刊行物発明1とを対比すると、刊行物発明1における「記録担体」と、「像担持体と転写ローラ」及び「一対の紙搬送ローラ」、「転写前上紙搬送部材」と、「転写前上紙搬送部材」及び「転写前下紙搬送部材」の組み合わせ、「転写ローラ」、「一対の紙搬送ローラ」は、それぞれ、訂正発明7における「シート材」、「シート材搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体によりシート材を挟持搬送する円筒体対」、「上ガイド部材」、「上下のガイド部材」「円筒状の転写手段」、「駆動ローラと従動ローラ」に相当するから、両発明は、 「シート材搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体によりシート材を挟持搬送する円筒体対であって、前記シート材搬送方向下流側の円筒体対は、円筒状の像担持体と、該像担持体に対向し該像担持体上に形成された像をシート材に転写する円筒状の転写手段とで構成し、上流側の円筒体対は、該像担持体へシート材を搬送するための駆動ローラと従動ローラとで構成され、各対の円筒体の挟持部における接線が互いに交差する2つの円筒体対と、各円筒体対の間に配設され、シート材搬送方向上流側の円筒体対の接線方向にシートをガイドする上下のガイド部材からなるガイド手段とを有するシート材搬送装置」の発明である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点A) ガイド手段の構成に関し、訂正発明7では、訂正後の請求項1において記載されている事項である「ガイド手段のシート材搬送方向下流部に、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした下流ガイド部を配設すると共に、前記ガイド手段は、シート材通紙幅方向に関し、上ガイド部材又は下ガイド部材のシート材搬送方向下流側端面を、前記円筒体の回転軸線と平行とすることなく、軸方向中央部が端部よりも下流側へ突出する湾曲状もしくは階段状とした」構成を有するのに対して、刊行物発明1では、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした転写前下紙搬送部材をガイド部材として配設してある点。 そこで、上記(相違点A)について検討すると、 シート材搬送方向下流側の円筒体対の挟持部における接線方向にシートをガイドする機能が求められるガイド部材について、引用発明における下ガイド部材で接線方向にシートをガイドすることに代えて、ガイド部材のシート材搬送方向下流部に、接線方向にシートをガイドするように下流ガイド部を配設すること自体は、上記技術的事項Aに接した当業者ならば容易に着想し得たもの解されるものの、 「ガイド手段は、シート材通紙幅方向に関し、上ガイド部材又は下ガイド部材のシート材搬送方向下流側端面を、前記円筒体の回転軸線と平行とすることなく、軸方向中央部が端部よりも下流側へ突出する湾曲状もしくは階段状とした」構成については、上記刊行物発明2は疎か上記技術的事項A〜Cに開示ないし示唆されるものではない。 そして、訂正発明7は、上記(相違点A)に挙げた構成を備えることにより、訂正明細書の段落【0030】〜【0032】に記載された、下流側ガイド部よりシート材の後端が一度に抜けないようにし、シート材の搬送状態が乱れることを防止し、特に、感光体ドラムを有する画像形成部の上流側のシート材ガイド部に適用した場合には、画像ブレを防止し得るという格別な効果を奏するものである。 したがって、訂正発明7は、引用発明1ないし引用発明2及び技術的事項A〜Cを開示する刊行物1〜4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、訂正発明7について他に特許を受けることができないとする理由を発見しない。 よって、訂正発明7は、出願の際、独立して特許を受けることができるものである。 2-2-3-2 訂正発明8について 訂正発明8は、訂正後の請求項1〜6に係る発明、及び、訂正発明7に従属する発明であって、訂正後の請求項2〜6に係る発明は、何れも、訂正後の請求項1に従属する発明であるが、前述の如く、訂正後の請求項1に記載された発明特定事項である「ガイド手段は、シート材通紙幅方向に関し、上ガイド部材又は下ガイド部材のシート材搬送方向下流側端面を、前記円筒体の回転軸線と平行とすることなく、軸方向中央部が端部よりも下流側へ突出する湾曲状もしくは階段状とした」構成は、刊行物1〜4に開示ないし示唆されるものではないから、同構成を有する訂正発明8を、刊行物1〜4に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、訂正発明8について他に特許を受けることができないとする理由を発見しない。 よって、訂正発明8は、出願の際、独立して特許を受けることができるものである。 3.むすび 以上のとおりであるから、(1)〜(17)の訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。 III.特許異議の申立てについて 1.本件発明 異議申立人中石幸明及び異議申立人小湊勇次から特許異議の申立てがあった、本件特許の訂正前の請求項1〜3、5〜7については、特許権者キャノン株式会社により平成16年 8月24日付け訂正請求書により、請求項1〜3、4〜6に訂正された。 そして、本件特許の請求項1〜6に係る発明(以下「本件発明1〜本件発明6」という。)は、上記II.においてその訂正が認められた平成16年 8月24日付け訂正請求書に添付された全文訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 【請求項1】シート材搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体によりシート材を挟持搬送する円筒体対であって、各対の円筒体の挟持部における接線が互いに交差する2つの円筒体対と、各円筒体対の間に配設され、シート材搬送方向上流側の円筒体対の接線方向にシートをガイドするガイド手段とを有するシート材搬送装置において、前記ガイド手段のシート材搬送方向下流部に、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした下流ガイド部を配設し、前記ガイド手段は上下のガイド部材からなり、シート材通紙幅方向に関し、前記上ガイド部材又は下ガイド部材のシート材搬送方向下流側端面を、前記円筒体の回転軸線と平行とすることなく、軸方向中央部が端部よりも下流側へ突出する湾曲状もしくは階段状としたことを特徴とするシート材搬送装置。 【請求項2】請求項1において、前記上下のガイド部材はシート材搬送方向上流から下流に行くに従い互いの間隔が狭くなるように配設され、前記上ガイド部材を、上流の円筒体対の接線と略平行に配設したことを特徴とするシート材搬送装置。 【請求項3】請求項1又は2において、前記下流ガイド部は、シート材搬送方向下流の円筒体対の挟持部における接線と略同一線上もしくは該同一線からシート材の搬送を阻害しない側に配設したことを特徴とするシート材搬送装置。 【請求項4】請求項2において、前記上ガイド部材及び下ガイド部材のいずれか一方を回動自在とし、他方を固定とし、両ガイド部材のいずれか一方のシート材案内面側の下流部に位置決め部材を設け、該位置決め部材を他方のガイド部材のシート材案内面に当接することにより、両ガイド部材の間にシート材案内面の隙間を確保することを特徴とするシート材搬送装置。 【請求項5】請求項2において、前記下流ガイド部は、前記上ガイド部材と別体に作製された樹脂製とし、前記上ガイド部材のシート材搬送方向下流部に固定しことを特徴とするシート材搬送装置。 【請求項6】請求項5において、前記下流ガイド部は、導電性もしくは半導電性の樹脂製であることを特徴とするシート材搬送装置。 2.特許異議の申立ての理由の概要 まず、特許異議申立人中石幸明は、次の甲第1号証及び甲第2号証を提出し、訂正前の請求項1及び請求項3に係る発明は、本件出願前に国内において頒布された甲第1号証の各刊行物に記載された発明であり、訂正前の請求項2及び請求項5に係る発明は、本件出願前に国内において頒布された甲第1号証及び甲第2号証の各刊行物に記載された発明に基づいて、本件出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号の規定、及び、同条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、本件の訂正前の請求項1〜3、5に係る特許は取り消されるべきものである旨主張している。 甲第1号証:実願平1-17729号(実開平2-109374号)のマイクロフィルム 甲第2号証:特開平9-2702号公報 次に、特許異議申立人小湊勇次は、次の甲第1号証〜甲第3号証を提出し、訂正前の請求項1〜3、及び、訂正前の請求項5〜7に係る発明は、本件出願前に国内において頒布された甲第1号証〜甲第3号証の各刊行物に記載された発明に基づいて、本件出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、また、訂正前の請求項6における「前記案内部」という部材、及び、訂正前の請求項7における「前記案内部材」という部材は、各々それ以前に存在しない部材であり、不明瞭であるので、訂正前請求項6、7に係る発明は、特許法第36条第5項の規定により、特許を受けることができないものであるから、本件の訂正前の請求項1〜3、5〜7に係る特許は取り消されるべきものである旨主張している。 甲第1号証:特開平5-313510号公報 甲第2号証:特開平9-2702号 甲第3号証:特開平8-76607号公報 3.当審の取消理由において引用した刊行物とその記載内容 当審では、前記I.(6)の特許の取消理由において、 特許異議申立人中石幸明が提出した甲第1号証を引用刊行物1(実願平1-17729号(実開平2-109374号)のマイクロフィルム)として、 特許異議申立人小湊勇次が提出した甲第2号証を引用刊行物2(特開平5-313510号公報)として、 特許異議申立人小湊勇次が提出した甲第3号証を引用刊行物3(特開平8-76607号公報)として、 特許異議申立人中石幸明が提出した甲第2号証であって、かつ、特許異議申立人小湊勇次が提出した甲第3号証を引用刊行物4(特開平9-2702号公報)として、引用した。 ここで、引用刊行物1〜4の記載内容については、既述の「II.訂正の適否について」の「2-2-2 刊行物記載の発明」に記載したとおりである。 4.対比及び判断 4-1 本件発明1について 特許法第29条第1項3号ないし同条第2項の規定違反により取り消されるべき旨の異議申立てがなされていた本件発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1における「記録担体」と、「像担持体と転写ローラ」及び「一対の紙搬送ローラ」、「転写前上紙搬送部材」と、「転写前上紙搬送部材」及び「転写前下紙搬送部材」の組み合わせは、それぞれ、訂正後の請求項1を引用した本件発明7における「シート材」、「シート材搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体によりシート材を挟持搬送する円筒体対」、「上ガイド部材」、「上下のガイド部材」に相当するから、両発明は、 「シート材搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体によりシート材を挟持搬送する円筒体対であって、各対の円筒体の挟持部における接線が互いに交差する2つの円筒体対と、各円筒体対の間に配設され、シート材搬送方向上流側の円筒体対の接線方向にシートをガイドする上下のガイド部材からなるガイド手段とを有するシート材搬送装置」の発明である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点B) ガイド手段の構成に関し、本件発明1では、ガイド手段のシート材搬送方向下流部に、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした下流ガイド部を配設すると共に、前記ガイド手段は、シート材通紙幅方向に関し、上ガイド部材又は下ガイド部材のシート材搬送方向下流側端面を、前記円筒体の回転軸線と平行とすることなく、軸方向中央部が端部よりも下流側へ突出する湾曲状もしくは階段状としたのに対して、引用発明1では、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした転写前下紙搬送部材をガイド部材として配設してある点。 そこで、上記(相違点B)について検討すると、 シート材搬送方向下流側の円筒体対の挟持部における接線方向にシートをガイドする機能が求められるガイド部材について、引用発明における下ガイド部材で接線方向にシートをガイドすることに代えて、ガイド部材のシート材搬送方向下流部に、接線方向にシートをガイドするように下流ガイド部を配設すること自体は、上記技術的事項Aに接した当業者ならば容易に着想し得たもの解されるものの、 「ガイド手段は、シート材通紙幅方向に関し、上ガイド部材又は下ガイド部材のシート材搬送方向下流側端面を、前記円筒体の回転軸線と平行とすることなく、軸方向中央部が端部よりも下流側へ突出する湾曲状もしくは階段状とした」構成については、上記引用発明2は疎か上記技術的事項A〜Cに開示ないし示唆されるものではない。 そして、本件発明1は、上記(相違点B)に挙げた構成を備えることにより、訂正明細書の段落【0030】〜【0032】に記載された、下流側ガイド部よりシート材の後端が一度に抜けないようにし、シート材の搬送状態が乱れることを防止し、特に、感光体ドラムを有する画像形成部の上流側のシート材ガイド部に適用した場合には、画像ブレを防止し得るという格別な効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は、引用発明1ないし引用発明2及び技術的事項A〜Cを開示する引用刊行物1〜4に記載された発明であるとはいえないし、同記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。 4-2 本件発明2について 特許法第29条第2項の規定違反により取り消されるべき旨の異議申立てがなされていた本件発明2は、本件発明1に従属する発明であって、前述の如く、本件発明1について引用刊行物1〜4に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものとすることができない以上、本件発明2を同引用刊行物1〜4に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものとすることはできない。 4-3 本件発明3について 特許法第29条第1項3号ないし同条第2項の規定違反により取り消されるべき旨の異議申立てがなされていた本件発明3は、本件発明1又は本件発明2に従属する発明であって、前述の如く、本件発明1又は本件発明2について引用刊行物1〜4に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものとすることができない以上、本件発明3を同引用刊行物1〜4に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものとすることはできない。 4-4 本件発明4について 特許法第29条第2項の規定違反により取り消されるべき旨の異議申立てがなされていた本件発明4は、本件発明2に従属する発明であって、前述の如く、本件発明2について引用刊行物1〜4に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものとすることができない以上、本件発明4を同引用刊行物1〜4に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものとすることはできない。 4-5 本件発明5について 特許法第29条第2項、及び、同法第36条第6項第2号の規定違反により取り消されるべき旨の異議申立てがなされていた本件発明5は、本件発明2に従属する発明であって、前述の如く、本件発明2について引用刊行物1〜4に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものとすることができない以上、本件発明4を同引用刊行物1〜4に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、訂正前の請求項6における「前記案内部」は、「前記下流ガイド部」と訂正され不明瞭ではなくなったたため、特許法第36条第6項第2号違反についても解消している。 4-6 本件発明6について 特許法第29条第2項、及び、同法第36条第6項第2号の規定違反により取り消されるべき旨の異議申立てがなされていた本件発明6は、本件発明5に従属する発明であって、前述の如く、本件発明5について引用刊行物1〜4に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものとすることができない以上、本件発明6を同引用刊行物1〜4に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、訂正前の請求項7における「前記案内部材」は、「前記下流ガイド部」と訂正され不明瞭ではなくなったたため、特許法第36条第6項第2号違反についても解消している。 IV.結論 以上のとおりであるから、本件発明1〜6についての特許は、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては取り消すことができない。 また、他に本件発明1〜6についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 シート材搬送装置及び画像形成装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 シート材搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体によりシート材を挟持搬送する円筒体対であって、各対の円筒体の挟持部における接線が互いに交差する2つの円筒体対と、各円筒体対の間に配設され、シート材搬送方向上流側の円筒体対の接線方向にシートをガイドするガイド手段とを有するシート材搬送装置において、前記ガイド手段のシート材搬送方向下流部に、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした下流ガイド部を配設し、前記ガイド手段は上下のガイド部材からなり、シート材通紙幅方向に関し、前記上ガイド部材又は下ガイド部材のシート材搬送方向下流側端面を、前記円筒体の回転軸線と平行とすることなく、軸方向中央部が端部よりも下流側へ突出する湾曲状もしくは階段状としたことを特徴とするシート材搬送装置。 【請求項2】 請求項1において、前記上下のガイド部材はシート材搬送方向上流から下流に行くに従い互いの間隔が狭くなるように配設され、前記上ガイド部材を、上流の円筒体対の接線と略平行に配設したことを特徴とするシート材搬送装置。 【請求項3】 請求項1又は2において、前記下流ガイド部は、シート材搬送方向下流の円筒体対の挟持部における接線と略同一線上もしくは該同一線からシート材の搬送を阻害しない側に配設したことを特徴とするシート材搬送装置。 【請求項4】 請求項2において、前記上ガイド部材及び下ガイド部材のいずれか一方を回動自在とし、他方を固定とし、両ガイド部材のいずれか一方のシート材案内面側の下流部に位置決め部材を設け、該位置決め部材を他方のガイド部材のシート材案内面に当接することにより、両ガイド部材の間にシート材案内面の隙間を確保することを特徴とするシート材搬送装置。 【請求項5】 請求項2において、前記下流ガイド部は、前記上ガイド部材と別体に作製された樹脂製とし、前記上ガイド部材のシート材搬送方向下流部に固定しことを特徴とするシート材搬送装置。 【請求項6】 請求項5において、前記下流ガイド部は、導電性もしくは半導電性の樹脂製であることを特徴とするシート材搬送装置。 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかにおいて、前記シート材搬送方向下流側の円筒体対は、円筒状の像担持体と、該像担持体に対向し該像担持体上に形成された像をシート材に転写する円筒状の転写手段とで構成し、上流側の円筒体対は、該像担持体へシート材を搬送するための駆動ローラと従動ローラとで構成したことを特徴とするシート材搬送装置。 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかのシート材搬送装置と、前記像担持体上に電子写真方式により画像を形成する光学手段を有することを特徴とする画像形成装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、シート材を、回転する円筒体としてのローラー対等の間に挟持しながら所定位置に搬送するシート材搬送装置、及びこのシート材搬送装置により給紙されるシート材に画像を形成するデジタル光学系を有したプリンター、複写機等の画像形成装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来、画像形成装置に使用されるシート材搬送装置としては、紙等のシート材を、回転する円筒状のローラー対、円筒状のローラーとコロ、円筒状のローラーとパッド等の間に挟持し搬送する装置が広く用いられており、複数箇所の搬送部にこれらの装置を配置して順次シート材を搬送している。これは、駆動ローラーの回転速度・ON/OFFのタイミングを変えることにより、シート材の動きを容易に制御することが可能なためである。 【0003】 シート材搬送方向に対して隣り合うシート材搬送部は、一番離れた状態においても、最短のシート材搬送長さを同時に挟持できる長さの位置にそれぞれ配置している。また、各シート材搬送部は、装置の小型化・各処理の構成上、一般的には、搬送方向に対して一直線上には配置されてなく、シート材の搬送方向は各搬送部分において変えられ、2つのシート材搬送部に挟持されるまでは、その2つのシート材搬送部の間に設けられたシート材搬送ガイド部等に沿って搬送される。 【0004】 2つのシート材搬送部の間に設けられたシート材搬送ガイド部は、シート材を安定して確実に搬送するため、シート材搬送方向上流側のシート材搬送部に対しては、上流側のシート材搬送部により、どのような方向にシート材が搬出されたとしても、シート材をより広く受けいれるため、広げられた空間を有し、その下流側のシート材搬送部に対しては、シート材がその挟持位置により近ずくように搬送させるため、狭まれた空間を有している。即ち、シート材搬送ガイドをなす2枚の板状のガイド部材の間隔は、上流から下流へ向けて収斂されている。従来技術に係るシート材搬送装置を図7に示す。 【0005】 シート材搬送装置100において、シート材Pの搬送方向に関して上流側のシート材第1搬送部131の搬送ローラー131aが反時計方向(図面で見ての回転方向、以下同じ)に回転することにより、搬送ローラー131aと分離シート131bとの間に挟持されたシート材Pは、搬送ローラー131aにより下流側に搬送される。上流側のシート材第1搬送部131より下流方向に搬送されたシート材Pは、シート材第1搬送ガイド部121の上ガイド121aに沿って下流側のシート材第2搬送部132へ搬送されて行く。 【0006】 シート材Pは、下流側のシート材第2搬送部132へ搬送されて行き、ローラー対132a,132bにより挟持される。132aは駆動ローラーで、反時計方向に回転し、従動ローラー132bを時計方向に回転させ、シート材Pを下流方向へと搬送して行く。 【0007】 同様にしてシート材Pは、シート材第3搬送部133、シート材第4搬送部134へと順次搬送されて行き、上流側と下流側の両方のシート材搬送部に挟持されるまでは、それぞれシート材第2ガイド部122、シート材第3ガイド部123に沿いながら下流側のシート材搬送部へと搬送されて行く。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】 図7に示すように、隣合うシート材搬送部は、搬送方向に対して一直線上には配置されてなく、シート材の搬送方向は各部分において変えられ、2つのシート材搬送部に挟持されるまでは、その2つのシート材搬送部の間に設けられたシート材搬送ガイド部等に沿って搬送される。2つのシート材搬送部に挟持されるまでは、シート材の搬送挙動は乱れ易く、この2つのシート材搬送部の間に設けられたシート材搬送ガイド部の位置・形状等により安定したシート材搬送挙動が乱され、シート材の先端の方向性が定まらず不安定となったりする場合がある。 【0009】 本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、隣り合うシート材搬送部の間にシート材ガイド手段を適正に配設することによりシート材を安定して搬送し得るようにしたシート材搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、本発明に係る手段は、シート材搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体によりシート材を挟持搬送する円筒体対であって、各対の円筒体の挟持部における接線が互いに交差する2つの円筒体対と、各円筒体対の間に配設され、シート材搬送方向上流側の円筒体対の接線方向にシートをガイドするガイド手段とを有するシート材搬送装置において、前記ガイド手段のシート材搬送方向下流部に、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした下流ガイド部を配設し、前記ガイド手段は上下のガイド部材からなり、シート材通紙幅方向に関し、前記上ガイド部材又は下ガイド部材のシート材搬送方向下流側端面を、前記円筒体の回転軸線と平行とすることなく、軸方向中央部が端部よりも下流側へ突出する湾曲状もしくは階段状としたことを特徴とする。 【0011】 【発明の実施の形態】 以下に図面を参照して、本発明に係る画像形成装置の好適な実施の形態について詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のもはのでない。また、以下に、円筒体の例としての感光体ドラム及び転写ローラについて主として説明するが、本発明の円筒体はこれらに限定されるものでなく、シート材を挟持搬送するローラ対も含むものである。 【0012】 (本発明の前提技術) 図1〜図4に本発明の前提技術に係る画像形成装置を示す。 【0013】 図1に示すように、画像形成装置本体には、手差し給紙口2、カセット給紙口3等、各種給紙口が構成されているが、本前提技術では、画像形成部の下方に配置された、本体カセット給紙口3よりの搬送形態を例として説明する。他の給紙口においても、その搬送形態は同様で、本発明の効果を有している。 【0014】 シート材搬送装置1において、シート材Pの搬送方向に関して上流側のシート材第1搬送部31の搬送ローラー31aが反時計方向に回転することにより、搬送ローラー31aと分離シート31bとの間に挟持されたシート材Pは、搬送ローラー31aにより下流側に搬送される。上流側のシート材第1搬送部31より下流方向に搬送されたシート材Pは、シート材第1搬送ガイド部21の上ガイド21aに沿って下流側のシート材第2搬送部32へ搬送されて行く。 【0015】 シート材Pは、下流側のシート材第2搬送部32へ搬送されて行き、ローラー対32a,32bにより挟持される。32aは駆動ローラーで、反時計方向に回転し、従動ローラー32bを時計方向に回転させ、シート材Pを下流方向へと搬送して行く。 【0016】 同様にしてシート材Pは、シート材第3搬送部33、シート材第4搬送部34へと順次搬送されて行き、上流側と下流側の両方のシート材搬送部に挟持されるまでは、それぞれシート材第2ガイド部22、シート材第3ガイド部23に沿いながら下流側のシート材搬送部へと搬送されて行く。 【0017】 本前提技術において、図1において画像形成部をなすシート材第4搬送部34は、回転円筒体としての感光体ドラム34aと転写ローラー34bにより形成される。画像情報に応じて変調されたレーザビームが光学ユニット35から照射され、該ビームにより像担持体としての感光体ドラム34a表面に電子写真方式により静電潜像が形成され、該潜像は現像剤としてのトナーにより現像されて、トナー像化される。該トナー像は転写手段としての転写ローラー34bにより、感光ドラムから紙等のシート材に転写され、感光ドラム34aと転写ローラ34bとに挟持され搬送されて行く。その後、シート材は定着手段へ搬送され、そこでトナー像は、シート材へ加熱定着される。 【0018】 特に本発明では、画像形成部の上流側のシート材ガイド部材において、大きな効果を発揮するため、図2〜4においては、画像形成部の上流側のシート材ガイド部材を例に説明する。 【0019】 図2のシート材搬送装置において、上流側のシート材搬送部30へ搬送されてきたシート材Pは、上流側のシート材搬送部30の円筒体対としての下ローラー30aと上ローラー30bとにより挟持される。下ローラー30aは駆動ローラーであり、a方向即ち反時計方向に回転し、従動ローラーである上ローラー30bをb方向即ち時計方向に回転させ、シート材Pをc方向へと搬送して行く。c方向は、回転体対であるローラ30a、30bの挟持部における各ローラの接線方向に等しい。 【0020】 上流側のシート材搬送部30よりc方向に搬送されたシート材Pは、シート材搬送ガイド部20の上ガイド20bに沿って搬送されて行き、上ガイド20bの下流側端に設けられた下流部材20aに沿って搬送方向がf方向に変えられ、下流側のシート材搬送部40へと搬送されて行く。ガイド部材20a、20b、20dは板状部材で形成され、上流側が広く離隔され下流へ向かうに従い収斂している。 【0021】 シート材Pは、下流側のシート材搬送部40へ搬送されて行き、回転体対を形成する感光体ドラム40aと転写ローラー40bとの挟持部において挟持される。感光体ドラムである40aは駆動ローラーで、d方向即ち時計方向に回転し、従動ローラーとなる転写ローラー40bをe方向即ち反時計方向に回転させ、シート材Pをf方向へと搬送して行く。 【0022】 f方向は、下流側のシート材搬送部40の感光体ドラム40aの、回転軸中心と感光体ドラム表面の転写位置とを結ぶ線の、転写位置における法線とほぼ一致する。換言すると、f方向は、感光ドラムと転写ローラとの挟持部における感光体ドラムの接線方向に等しくなる。 【0023】 下流側のシート材搬送部40の上流側にシート材搬送ガイド部20が配置され、該ガイド部20の上ガイド部材20bの下流に下流ガイド部20aが配置されている。上ガイド20bと下流ガイド部20aは、図示例では別体成形した後両者を一体固着しているが、このようにせずに最初から両者を一体成形してもよい。下流ガイド部20aの下流側のシート材搬送部40への案内部は、下流側のシート材搬送部40の感光体ドラム40aと転写ローラの挟持部における感光体ドラムの接線方向fと略平行な形状を有している。また、下流ガイド部20a及び下ガイド20dの先端部は、感光体ドラム及び転写ローラ近くまで延び、両者の外周に接する線近傍まで延設することが好ましい。 【0024】 この下流ガイド部により、上流側のシート材搬送部30よりc方向に搬送されたシート材Pは、c方向にシート材Pの挟持部を有しない下流側のシート材搬送部40へ、搬送方向をf方向に変え、確実に下流側のシート材搬送部40の挟持部へ搬送して行き、そして安定した搬送挙動も実現し、シート材の先端部が振動して予定以外の方向に進行したりするのが防止される。 【0025】 このシート材搬送ガイド部20の上ガイド20bの、下流側のシート材搬送部40の感光体ドラム40aと転写ローラ40bの挟持部における感光体ドラムの接線方向であるのf方向線と略平行な下流ガイド部20aは、図示例では、f方向線上から離れて、シート材Pの搬送を阻害しない感光体ドラム40a側に配置されている。しかし、該下流ガイド部20aは、該接線と略同一線上に配置することができる。このような配置状態により、シート材Pの先端が感光体ドラムの挟持部に確実にガイドされるとともに、その後端が、シート材搬送ガイド部20の下流ガイド部20aより抜け出る時、搬送挙動を乱さないようにし、シート材後端部の波打ち現象を防止するとともに、その衝撃がシート材に伝播したりするのを防止している。 【0026】 同様に、シート材搬送ガイド部20の下ガイド20dの下流側のシート材搬送部40への案内部は、下流側のシート材搬送部40の感光体ドラム40aの、回転軸中心と感光体ドラム表面の転写位置とを結ぶ線の、転写位置における法線と略平行な形状を有している。 【0027】 シート材搬送ガイド部20の下流側のシート材搬送部40への案内部は、画像形成のためのタイミングを合わせたり、シート材Pがその転写(挟持)位置により近ずくように搬送させるため、狭まれた空間であることが望ましい。このため、狭まれた空間の隙間管理が重要であり、シート材搬送ガイド部20の上ガイド20b、下ガイド20dは固定され、お互いに連結されていた方が管理がし易い。しかし、この搬送経路内におけるジャム処理等においては、図3に示すように、シート材Pの搬送経路は開放されることが望ましい。 【0028】 本発明のシート材搬送装置では、この相反する機能を、シート材搬送ガイド部のシート材案内面と同一面に対して、ガイド案内面の隙間を確保するための位置決め部を突き当てることにより実現している。本前提技術においては、図2および図3に示すように、シート材搬送ガイド部20の上ガイド20bを下ガイド20dから離れるg方向に回動自在とし、上ガイド20bにガイド位置決め部20cを設け、固定されている下ガイド20dのシート材案内面に突き当てることにより、上ガイド20b(シート材ガイド部材20aを含む)と下ガイド20dのシート材案内面の隙間を確保している。 【0029】 図2に示すように、シート材搬送ガイド部20の下流ガイド部20aは、安定したシート材搬送を実現するために、下流側のシート材搬送部40に近接した位置に設けられているが、前に説明したように、シート材搬送ガイド部20の上ガイド20bを回動自在とした場合、シート材Pのジャム発生時に下流ガイド部20aを含む上ガイド20bが上方(g方向)に持ち上げられ、感光体ドラム40a、現像手段等が一体化されたプロセスカートリッジの移動時等に、下流ガイド部20aにより感光体ドラム40aの表面を傷つける恐れがある。これを防止するため、本前提技術では、下流ガイド部20aを樹脂製としている。しかし、シート材搬送ガイド部20の下流ガイド部20aに一般的な樹脂を使用すると、シート材Pの摺擦により帯電する可能性があるが、シート材ガイド部材20aには例えばカーボンを混入した導電性もしくは半導電性の樹脂を使用し、画像形成部から帯電によりトナーを引き寄せられ、画像形成不良やシート材への汚染を防止する。 【0030】 (第1の実施形態) 図5に本発明の第1の実施の形態が示されている。本第1の実施の形態では、上記前提技術における下流ガイド部20aの形状を、シート材搬送方向に対し直交方向であるシート材通紙幅方向に対して、下流ガイド部20eの下流側の端面を、シート材を挟持する回転体の軸線に対して平行な直線ではなく、通紙幅方向に関し中央部が下流側へ突出した湾曲状の形状としている。 【0031】 これは、シート材Pは平板の状態で搬送されているのではなく、波打ち状態で搬送されており、このため、下流ガイド部20eよりシート材Pの後端が一度に抜けると、シート材Pの搬送状態が乱れ安定した搬送ができなくなるのを防止するためである。シート材Pの波打ちは、特に紙幅方向に対して両端が大きいため、図5の実施の形態に示すように、紙幅方向に対して両端が下流ガイド部20eより先に抜け出る形態となっている。 【0032】 この実施形態は、特に感光体ドラムを有する画像形成部の上流側のシート材ガイド部材において大きな効果がある。それは、画像形成部の上流側でシート材Pの搬送状態が乱れると、画像ブレが顕著に発生するためである。 【0033】 (第2の実施形態) 図6に本発明の第2の実施の形態が示されている。本第2の実施の形態では、上記前提技術における下流ガイド部20aの形状を、シート材通紙幅方向に対して、シート材ガイド部材の下流側の端面を、シート材を挟持する回転体の軸線に対して平行な直線ではなく、階段状の形状としている。 【0034】 これは、第1の実施の形態と同様に、シート材Pは平板の状態で搬送されているのではなく、波打ち状態で搬送されており、このため、下流ガイド部20aよりシート材Pの後端が一度に抜けると、シート材Pの搬送状態が乱れ安定した搬送ができなくなってしまうからで、シート材Pの波打ちは、特に紙幅方向に対して両端が大きいため、図6の実施の形態に示すように、紙幅の短いシート材の両端より、下流ガイド部20fより先に抜け出る形態となっている。 【0035】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明によれば、シート材搬送方向に間隔をおいて配設され、対をなして回転する円筒体によりシート材を挟持搬送する円筒体対であって、各対の円筒体の挟持部における接線が互いに交差する2つの円筒体対と、各円筒体対の間に配設され、シート材搬送方向上流側の円筒体対の接線方向にシートをガイドするガイド手段とを有するシート材搬送装置において、前記ガイド手段のシート材搬送方向下流部に、下流側の円筒体対の挟持部における接線と略平行とした下流ガイド部を配設し、前記ガイド手段は上下のガイド部材からなり、シート材通紙幅方向に関し、前記上ガイド部材又は下ガイド部材のシート材搬送方向下流側端面を、前記円筒体の回転軸線と平行とすることなく、軸方向中央部が端部よりも下流側へ突出する湾曲状もしくは階段状としたことにより、シート材搬送方向上流の回転体対から下流の回転体対へシート材を搬送する際、シート材の安定した搬送挙動を実現することができ、また、シート材への衝撃伝播の発生を軽減することができる。また、下流ガイド部を、シート材通紙幅方向に対して、その下流側の端面を、シート材を挟持する回転体の回転軸線に対して平行な直線ではなく、湾曲状としたり、もしくは階段状とすることにより、下流ガイド部をシート材が抜け出る際の衝撃を緩和することができる。 【0036】 また、前記ガイド手段を上下のガイド部材により構成し、両者を開放自在とし、一方のガイド部材のシート材案内面と同一面に対して、他方のガイド部材の位置決め部を突き当てる構成とすることにより、両ガイド部材の間に生じるシート材のジャム処理の簡便性を実現でき、また、ジャム処理後の上下のガイド部材のシート材案内面の隙間の位置精度を確保することができる。 【0037】 また、前記下流ガイド部を、導電性もしくは半導電性の樹脂製とすることにより、シート材の摺擦による帯電を防止する。 【0038】 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。 【図2】 本発明の第1の実施形態に係るシート材搬送装置の概略側面図。 【図3】 本発明の第1の実施形態に係るシート材搬送装置の上ガイド開放状態の概略構成図。 【図4】 本発明の第1の実施形態に係るシート材搬送装置の概略上面図。 【図5】 本発明の第2の実施形態に係るシート材搬送装置の概略上面図。 【図6】 本発明の第3の実施形態に係るシート材搬送装置の概略上面図。 【図7】 従来技術に係るシート材搬送装置を備えた画像形成装置の概略構成図。 【符号の説明】 1…シート材搬送装置 20…シート材搬送ガイド部 20a…下流ガイド部 20b…上ガイド部材 20c…ガイド位置決め部 20d…下ガイド部材 30…上流側のシート材搬送部 40…下流側のシート材搬送部 40a…感光体ドラム 40b…転写ローラー |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-12-21 |
出願番号 | 特願平10-38915 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
YA
(B65H)
P 1 652・ 856- YA (B65H) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 蓮井 雅之 |
特許庁審判長 |
鈴木 公子 |
特許庁審判官 |
渡邊 豊英 中西 一友 |
登録日 | 2003-07-18 |
登録番号 | 特許第3453508号(P3453508) |
権利者 | キヤノン株式会社 |
発明の名称 | シート材搬送装置及び画像形成装置 |
代理人 | 古賀 洋之助 |
代理人 | 古賀 洋之助 |
代理人 | 岸田 正行 |
代理人 | 新部 興治 |
代理人 | 岸田 正行 |
代理人 | 小花 弘路 |
代理人 | 小花 弘路 |
代理人 | 新部 興治 |