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審決分類 審判 訂正 2項進歩性 訂正しない A63F
管理番号 1115355
審判番号 訂正2004-39139  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-08-09 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2004-06-16 
確定日 2005-04-06 
事件の表示 特許第3295159号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.請求の要旨
本件訂正審判請求の要旨は、特許第3295159号発明(平成5年1月29日特許出願、平成14年4月5日設定登録)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。 上記訂正明細書の特許請求の範囲の記載はつぎのとおりである。
「【請求項1】遊技に関する制御を主として行うプログラムを繰り返し実行するように構成し、遊技盤に設けられた開閉式の入賞口を開閉駆動させるソレノイドの駆動を、所定の記憶領域に設定記憶される制御データに基づいて制御する制御手段を備えた遊技機制御装置であって、前記制御手段は、前記ソレノイドを駆動して良いか否かを判定する場合に、当該ソレノイドの作動条件が成立していないのに勝手に作動するような状態を正常な状態に復帰させるオフデータを前記記憶領域に設定記憶してから当該ソレノイドを駆動して良いか否かを判定し、駆動して良いと判定した場合にのみ前記オフデータを設定記憶した当該記憶領域にオンデータを設定記憶し、設定された制御データを前記ソレノイドに対して、次の繰り返しサイクルで出力することで当該ソレノイドを制御することを特徴とする遊技機制御装置。」
訂正後における特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの発明を、以下「本件発明」という。

2. 訂正拒絶の理由
一方、平成16年9月13日付訂正拒絶理由通知の概要は以下の通りである。
「「本件発明」は、「引用文献1」に記載された発明と相違点1、2、3において相違するが、相違点は当業者が格別の困難なく想到し得たものと判断される。
よって、「本件発明」は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、本訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成6年改正法による改正前の特許法第126条第3項の規定に適合しないので、当該訂正を認めない。」

3. 引用例
訂正拒絶理由通知において引用した、以下の文献には、それぞれ以下の記載がある。
引用文献1:特開昭60-29168号公報
引用文献2:特開平3-280977号公報
引用文献3(周知例1):特開昭61-279269号公報
引用文献4(周知例2):特開昭61-209679号公報
引用文献5(周知例3):特開平1-262885号公報

3-1.引用文献1(特開昭60-29168号)の記載
(記載1.)チャッカー(4a〜4c)に入ったパチンコ球を検出するチャッカー入賞スイッチ(12)と・・・異なる複数種類の表示態様を変換表示可能な表示器(3a〜3d)と、前記チャッカー入賞スイッチ(12)からの検出信号に基づいて前記表示器(3a〜3d)に予め定められた順序で異なる複数の表示態様を表示させる表示制御手段(14)と・・・停止した状態にある表示態様を読み取り、その表示態様が予め定められた態様かどうかを判定する判定手段(14)と、前記判定手段(14)の判定結果に基づいて前記開閉扉(5a)を開閉動作させるソレノイド(24)を駆動制御する駆動制御手段(14)とからなるパチンコ機。」(第1頁特許請求の範囲)

(記載2.)「チャッカー入賞検出マイクロスイッチ(以下、チャッカー入賞スイッチという)12は前記各GOチャッカー4a〜4cに連通する入賞球通路(図示せず)に設けられ、GOチャッカー4a〜4cに入賞したパチンコ球を検出する。 スイッチ検出回路13は前記各入賞スイッチ11、12の検出信号SG1、SG2及び押ボタンスイッチ7のオン信号SG3を入力し、その各信号SG1〜SG3をノイズ除去及び波形整形して次段の制御回路14に出力する回路である。」(第2頁右上欄第13-左下欄第3行)

(記載3.) 「読出し専用メモリ(以下ROMという)18は制御プログラムが記憶されている。読出し及び書替え可能なメモリ(以下RAMという)19は・・・第3図に示すように各種データを記憶するデータ記憶領域(800番地〜BF1番地)とで構成されている。」(第2頁左下欄第19行-右下欄第6行)

(記載4.) 「何らかの原因(例えばノイズ等)でRAM19のメインデータの内容が壊れて一致しない場合には前記バックアップ2スタートデータチェックを行う。」(第4頁左下欄第3-6行)

(記載5.) 「なお、制御回路14はリセット回路16からのリセット信号SG5が入力されると前記処理動作を行なっている途中であっても、リセットされ再び初めから処理動作が行われる」(第5頁左上欄第6-9行)

(記載6.) 「次に、制御回路14はSW入力処理動作に移り、まず813番地のSWフラグ(SWF)の内容をクリアした後・・・検出信号SG1〜SG3の有無を検出する。そして、チャッカー入賞スイッチ12からの検出信号SG2があったときには、ビット4に「1」を、押ボタンスイッチ7からの検出信号SG3があったときにはビット3に「1」を、又ポケット入賞スイッチ11からの検出信号SG1があったときにはビット2に「1」をそれぞれ書込み」(第5頁左下欄第11行-右下 欄第1行)

(記載7.)「次に制御回路14はLED表示処理動作に移り、前記80C番地〜80F番地に記憶された各LEDデータに基づく数字を前記LED3a〜LED3dに表示する。」(第5頁右下欄第5-8行)

(記載8.)「次に制御回路14はソレノイド、音、ランプ出力動作に移り、806、807番地のソレノイド24、スピーカ22、ランプ6等をそれぞれ駆動させるための出力データ(OUTD)を読出し、そのデータに基づいてソレノイド24、スピーカ22及びランプ6を駆動若しくは非駆動させる。」(第5頁右下欄第12-18行)

(記載9.) 「次に制御回路14はGOチャッカー4a〜4cにパチンコ球が入賞したかどうか判定(GO入力チェック)を行う。GO入力チェックにおいて、制御回路14は前記813番地のSWフラグの内容を読出し、「1」の時には809番地の入賞数データの内容に「1」を加えた後、「0」の場合には直ちにコマンドチェックを行う。」(第5頁右下欄第19行-第6頁左上欄第5行)

(記載10.)「今、入賞がなくコマンドデータの内容が「0」の時には、制御回路14はソレノイド、音、ランプ出力OFF処理動作に移り、入賞があるまでソレノイド24、スピーカ22、ランプ6を駆動させないように保持した後、次に入賞球チェックを行う。このチェックは前記GO入力加算処理動作で行った809番地の入賞数データに基づいて行われ、この状態では「0」なので前記したメインデータ異常チェック、チェックサム算出及びストアルーチン等を実行した後、停止し次のリセット信号SG5を待つ。」(第6頁右上欄第5-15行)

(記載11.) 「前記処理動作中に入賞があると、制御回路14は前記SW入力処理動作においてチャッカ入賞スイッチ12からの検出信号SG2を検知し、前記SWフラグのビット3の内容を「1」にし、次に入賞数データの内容を「1」にする。そして、次にコマンドデータの内容を「1」にする。このコマンドデータに基づいて制御回路14は第5図に示すLED回転処理動作を実行する。」(第6頁右上欄第20行-左下欄第7行)

(記載12.)「この時、814番地のLED回転フラグ(LEDMF)の内容を全て「1」にして、LED3a〜3dの数字表示を回転させる。次に制御回路14は前記LED回転フラグの内容を読出しLED回転チェックを行い、この場合フラグの内容は全て「1」で回転表示中なので、81B番地第3タイマデータをセットして4.2msecごとに「1」加算させ、その内容に基づいて50msecごとに表示を変る(回転させる)。」(第6頁左下欄第11-19行)

(記載13.)「押ボタンスイッチ7のオン操作の有無を前記SWフラグのビット3の内容で判定する。」(第6頁右下欄第1、2行)

(記載14.)「815番地〜818番地に各ストップデータ(LSTP0、LSTP1、LSTP2、LSTP3)をセットした後、次のLEDSTOP処理を開始させるためにコマンドデータを「2」にインクリメントし、次に前記したメインデータ異常チェック、チェックサム算出及びストアルーチン等を実行して停止し次のリセット信号SG5を待つ。コマンドデータが「2」の状態において、リセット信号SG5が出力されると、制御回路14は前記コマンドチェックにより第6図に示すLEDSTOP処理を実行する。」(第7頁左下欄第10-20行)

(記載15.)「全てのLED3a〜3dの回転が停止すると制御回路15は回転フラグの内容が全て「0」となっていることに基づいて次のLED判定処理を開始させるために、コマンドデータを「3」にインクリメントし、再び前記したメインデータ異常チェック等を実行して停止し次のリセット信号SG5を待つ。 次にコマンドチェックにおいて、制御回路14は第7図に示すLED判定処理動作を実行する。」(第8頁右上欄第8-16行)

(記載16.)「全て「7」が表示されているときには、80A番地のフィーバーフラッグ(FVRF)を「1」にセットするとともに第2タイマデータを30秒にセットした後、スピーカ22及びソレノイド24を30秒間駆動させる。」(第8頁右上欄第18行-左下欄第3行)

(記載17.)「これらの各条件でスピーカ22、ソレノイド24を駆動させた後、次のワンショット処理を開始させるために、コマンドデータを「4」にインクリメントして、再び前記したメインデータ異常チェック等を実行して停止し次のリセット信号SG5を待つ。」(第8頁左下欄第19行-右下欄第4行)

(記載18.)また、「第2図はパチンコ機に内蔵された制御装置の電気ブロック回路図を示し」(第2頁右上欄第8-9行)と記載され、第2図には「制御回路」、「ROM」、「RAM」などを備えた制御装置が記載されている。

(「引用発明」)
以上の記載によれば、「引用文献1」には、次の発明(以下「引用発明」という)が開示されていると認めることが出来る。
「GOチャッカーへの入賞を検出するチャッカー入賞スイッチからの検出信号に基づいて表示器に予め定められた順序で異なる複数の表示態様を表示させる表示制御手段を、制御回路、ROM、RAM等により構成した制御装置であって、前記ROMには制御プログラムが記憶され、前記RAMには各種データを記憶するデータ記憶領域(800番地〜BF1番地)が構成され、前記制御回路は、リセット信号が入力されるとリセットされ再び初めから処理動作が行われるように動作し、且つ、データ記憶領域(813番地)のSWフラグの内容をクリアした後に、チャッカー入賞スイッチの検出信号の有無を検出し、当該検出信号があったときにはSWフラグのビット4に「1」を書込むように動作するものであり、さらに、前記制御回路は、表示器の回転表示を開始させるためにGOチャッカーへの入賞を判定する際には、前記データ記憶領域のSWフラグのビット4の内容を読出して「1」であるか否かを判定するものであり、表示態様が予め定められた態様かどうかの判定結果に基づいてパチンコ球を入賞に導く開閉扉を開閉動作させるソレノイドを駆動制御する、パチンコ機に内蔵された制御装置。」
なお、チャッカー入賞スイッチの検出信号があったとき、SWフラッグのビット3に「1」を書き込むという記載(上記記載11.)と、ビット4に「1」を書込むという記載(上記記載6.)とが存在しており、どのビットに書き込むのかについて、一見矛盾する記載となっているが、他の記載(上記記載6.及び13.)及び説明の合理性から判断して、記載11.の「ビット3」は誤記であることが明白であり、チャッカー入賞スイッチの検出信号があったとき「1」は「ビット4」に書き込むものと認定した。

3-2.引用文献2(特開平3-280997号)の記載
(記載19.) 「賞球数を一度メモリにセットし、以降そのメモリの記憶値をもとに賞球排出を行うのでは、・・・ノイズによってメモリにセットしてあるデータが破壊されかねないのである。」(第2頁左上欄第11〜20行)、

(記載20.) 「選定した賞球数を賞球数記憶手段に定期的に再書き込みし、その記憶値をもとに賞球排出を行うので、ノイズ等に影響されることなく常に設定通りの適切な賞球排出が可能となる」(同頁左下欄第12〜16行)

3-3.引用文献3(周知例1)特開昭61-279269号公報の記載
(記載20-2.)「上記入出力回路(251〜256)のうち、ラッチ回路252〜256は出力回路をなす。」(第16頁左下欄第5、6行)
(記載20-3.)「ラッチ回路256は、ドライバ266を介して、パチンコ遊技機本体300側の駆動源および表示手段を個々に駆動する。この場合の駆動源は、前述した特別変動入賞装置5を開駆動する電磁ソレノイド66(第9図)などである。」(第16頁右下欄第17-第17頁左上欄第1行)
(記載21.) 「次に、上述してきた制御装置200の動作を第15図および上記表1、2を参照しながら説明する。第15図において、制御装置200のCPU210は、前述したリセットパルスφt(第10、11、12図)によってハードウエア的に強制リセットされる。このリセットによって、CPUは完全な初期状態から起動させられる。リセットによる初期状態から起動されたCPUは、先ずROM220からアクセスを開始して、そこに格納されたプログラム命令を順次読み込んで実行する。これにより、第15図に示す一連の処理が開始されるようになる。」(第18頁右下欄第1-13行)

(記載22.) 「この制御装置200の初期化が行われた後、CPUはリセットパルスφtが発せられるごとに、主ルーチンR1〜R13を順次実行するようになる。」(第19頁左上欄第17-20行)

(記載23.) 「R9:各種表示手段および電磁ソレノイドなどの制御処理を行なう。この処理ルーチンでは、前述した大当たり表示用照明手段27や継続条件成立表示部29(第3、8図)の点滅制御、および前述した特別変動入賞装置5における電磁ソレノイドSOL(9図)の駆動制御が行なわれる。」(第19頁右下欄第8-15行)

(記載24.) 「上述した主ルーチンR1〜R12が一通り実行されると、最後の処理ルーチンR13にて、ホールト命令が実行される。これにより、その処理の続行を停止する待機状態に自ら入る。」(第20頁左上欄第10-13行)

(記載25.) 「大当たり」の特定態様が判定された場合には処理番号No.5が設定される。また、「中当たり」の特定態様が判定された場合には、処理番号No.6が設定される。それ以外のハズレの場合には処理番号No.8が設定される。処理番号がNo.4に設定された場合にはルーチンR114が実行される。このルーチンR114では、「大当たり」の特定態様が発生した場合の制御処理、例えば前記特別変動入賞装置5を開駆動する制御を行う。」(第21頁左上欄第2-11行)

(記載26.) 「処理番号がNo.5に設定された場合にはルーチンR115が設定される。このルーチンR115では、前記音階発生手段257の動作パラメータを設定することにより、「大当たり」の特定態様発生に伴うファンファーレ音の発生処理を行う。このルーチンR115の実行後には処理番号No.4が設定される。」(第21頁左下欄第18行-右上欄第4行)

(記載27.)「処理番号がNo.8に設定された場合にはルーチンR118が実行される。このルーチンR118では、「大当たり」あるいは「中当たり」の状態が終了した後の処理を行う。「中当たり」の動作が終了した場合には、1秒程度の遅延時間を置いて処理番号をNo.0に設定する。「大当たり」の動作が終了した場合には、3秒程度の遅延時間を置き、その間に「大当たり」状態の継続条件の成立が確認されれば処理番号をNo.4に設定する。その継続条件の成立がなければ処理番号No.0を設定する。」(第21頁左下欄第2-12行)

3-4.引用文献4(周知例2)特開昭61-209679号公報の記載
(記載28.) 「第5図は、CPU50に於て実行される制御プログラムのフローチャートを示し、該プログラムはリセット回路54からのリセット信号S6に従い周期的に実行される。」(第4頁右下欄第17-20行)

(記載29.) 「したがって、LED回転停止処理の完了直後のループにおいてステップ508の答えは肯定となり、LED判定処理(ステップ518)に移行し、下部表示器23の表示内容をこれに対応するRAM552内の表示データに基づいて判別する。 判別の結果、表示器23の第1〜第3表示部23a〜23cに表示された3桁のデジタル数がゾロ目でなければCPU50内のソフトタイマを第1の所定時間例えば0.4秒にセットする一方、偶数のゾロ目であれば第2の所定時間例えば6秒に、また、奇数のゾロ目であれば(大当たり入賞)、第3の所定時間例えば20秒にセットする。また、コマンドデータをアタッカ開成中を表わす4に更新する。 本プログラムの次回ループにおけるステップ509での判別の答は肯定となり、アタッカ開成処理が実行される(ステップ519)。すなわち、制御出力S11に伴うソレノイド駆動回路61にてソレノイド17が作動し、アタッカ14の開閉扉16を表示器23の表示数の組合せに応じてセットされた時間に亙り開成させる。」(第6頁左上欄第5行-右上欄第5行)

3-5.引用文献5(周知例3)特開平1-262885号公報の記載
(記載30.) 「まず、第11A図において、メインルーチンの処理を示す。このメインルーチンは、前記パルス分周回路179から定期的(例えば4msec)に与えられるリセットパルスに従って、リセットパルス毎に一回ずつ実行される。」(第13頁左上欄第15-19行)

(記載31.) 「電源投入時でなくかつプログラムが暴走していないときにはステップS1によりNOの判断がなされてステップS2による処理がなされることなくステップS3に進む。ステップS3では、後述するサブルーチンコントロールの処理がなされ、ステップS4に進みデータの出力がなされてリセット待ちとなる。 前記ステップS3によるサブルーチンコントロールの処理を第11B図に示す。」(第13頁右上欄第5-13行)

(記載32.) 「前記ステップS78により、所定の受光器がONになったと判断された場合には、可変表示装置の停止時における図柄の組合わせが予め定める特定の組合わせ(たとえば777)となっている場合であるために、ステップS79に進み、大当たりフラグのセットがなされ、ステップS80に進み、タイマT4のセットがなされてステップS81に進む。」(第19頁右上欄第2-9行)

(記載33.) 「次に、第11B図に示したステップS11により定義された可変入賞球装置のソレノイドコントロール処理のサブルーチンプログラムを、第11G図に基づいて説明する。」(第19頁右上欄第15-18行)

(記載34.) 「前記ステップS79により大当たりフラグがセットされている場合には、前記ステップS86により、YESの判断がなされてステップS87に進み、開成回数カウンタの値が0であるか否かの判断がなされる。この… …すればよい。次にステップS105に進みソレノイドをONに制御し、可変入賞球装置を開成させてサブルーチンプログラムが終了する。」(第19頁左下欄第14行-第20頁左上欄第9行)

4.対比
「本件発明」と「引用発明」とを対比すると、両者は共にパチンコ機の制御装置であり、後者の「データ記憶領域」は前者の「所定の記憶領域」に相当し、後者の「データ記憶領域のSWフラグのビット4に「1」を書込む」は、チャッカー入賞スイッチの検出信号があったときに書き込まれ、表示器の回転表示を開始させるために読み出されるフラグの内容を書き込むものであるのだから、前者の「オンデータを設定記憶する」に相当する。
また、「引用発明」における「制御回路は、リセット信号が入力されるとリセットされ再び初めから処理動作が行われるように動作し」という点を「本件発明」の「遊技に関する制御を主としておこなうプログラムを繰り返し実行する」という点と比較すると、
本件明細書には「【0009】前記CPU11は前記ROM12に格納されているプログラムに沿って各種制御を行うものであり、当該CPU11はシーケンス単位で制御処理するようになっている。
前記CPU11は、図3に示すように、リセット手段22と、RAM13と、オフデータ設定手段11aと、作動条件成立判定手段11bと、オンデータ設定手段11c等を備えている。
前記リセット手段22は、シーケンス処理の開始を指令し、前記オフデータ設定手段11a等に動作用のリセット信号を送るもので、前記発振回路14のクロックパルスを分周して2 msec毎のリセット信号を生成するカウンタにより構成されている。
そして、前記CPU11は前記リセット信号に基づいて1シーケンスずつプログラム処理を開始するようになっている。以下このような処理をリセット割り込み処理という。」(段落番号0009)、
なる記載があり、また、遊技機制御においてリセット信号による繰返し実行は周知慣用の手法でもあるから、遊技に関する制御を繰り返し実行する点において、両者は一致している。
更に、
「本件発明」における、
繰り返し実行を行う制御装置において「オフデータを記憶領域に設定記憶してからソレノイドを駆動して良いか否かを判定」することは、判定動作の前にオフデータ記憶を行うこと、また、その記憶は繰り返し実行においては、判定動作をおこなうサイクルとなるたびに行われることであることが「本件発明」の明細書及び図6から理解されるから、
「引用発明」における
「RAMには各種データを記憶するデータ記憶領域(800番地〜BF1番地)が構成され、前記制御回路は、リセット信号が入力されるとリセットされ再び初めから処理動作が行われるように動作し、且つ、データ記憶領域(813番地)のSWフラグの内容をクリアした後に、チャッカー入賞スイッチの検出信号の有無を検出し」
ということと対応する。
また、「引用発明」における
「チャッカー入賞スイッチの検出信号の有無を検出し、当該検出信号があったときにはSWフラグに「1」を書込み、表示器の回転表示を開始させるためにGOチャッカ-への入賞を判定する際には、データ記憶領域のSWフラグの内容を読出して「1」であるか否かを判定する」
という動作を、「本件発明」の
「開閉式の入賞口を開閉させるソレノイドを駆動して良いか否かを判定し、駆動して良いと判定した場合にのみ記憶領域にオンデータを設定記憶することで当該ソレノイドを制御する」
という動作と比較すると、
「引用発明」における、
「チャッカ-入賞の検出」
は、遊技機の作動構成要素である表示機の、回転表示開始という動作の作動条件であり、「本件発明」の「ソレノイドを駆動して良いか否かを判定」することも、遊技機の作動構成要素であるソレノイドの、「駆動」という動作の作動条件の判定であるのだから、共に遊技機における作動構成要素の「作動条件の成立」に相当する。
すなわち、「引用発明」と「本件発明」とは、遊技機において、何らかの作動する遊技機構成要素の作動条件の成立を判定し、作動条件成立と判定すると記憶領域に作動のためのデータが記憶され、記憶されたデータに基いて遊技機の作動構成要素が作動する、という点において一致している。
よって、両者は、
「遊技に関する制御を行うプログラムを繰り返し実行するように構成し、遊技盤に設けられた、作動構成要素の駆動を、所定の記憶領域に記憶される制御データに基づいて制御する制御手段を備えた遊技機制御装置であって、前記制御手段は、遊技機構成要素を駆動して良いか否かを繰り返し実行において判定する場合に、所定の記憶領域のデータに判定前に操作を行い、その後判定をおこなった結果条件成立と判断すると作動のためのデータが該所定の記憶領域に記憶され、記憶されたデータに基づいて遊技機の作動構成要素が作動する遊技機制御装置」
である点において一致し、

(相違点1)「作動構成要素」が、「本件発明」では「開閉式の入賞口を開閉駆動させるソレノイド」であるのに対して、「引用発明」では「回転表示を行う表示機」である点、

(相違点2)「所定の記憶領域のデータに判定前におこなう操作」が、「本件発明」では「当該ソレノイドの作動条件が成立していないのに勝手に作動するような状態を正常な状態に復帰させるオフデータを設定記憶する」ことであるのに対し、「引用発明」では「SWフラグの内容をクリアすること」である点、

(相違点3)「記憶されたデータに基づいて遊技機の作動構成要素が作動する」タイミングに関して、「本件発明」では「設定された制御データをソレノイドに対して、次の繰り返しサイクルで出力」することにより成されるのに対し、「引用発明」においては、作動構成要素を駆動して良いか否かの判定結果に応じて設定された制御データの記憶領域であるSWフラグに立てたフラグに基づいて作動構成要素を作動させる出力をおこなうタイミングが、SWフラグを立てたサイクルの次の繰り返しサイクルにおいてであるのかどうか、明瞭でない点において一応相違する。

当審の判断
(相違点1について)
遊技機の構成要素として、ソレノイド駆動の変動入賞装置は、周知の構成要素である。また、変動図柄遊技をおこなう表示装置も、動作を行う構成要素として周知のものである。
そして遊技機の構成要素としての作動構成要素は、遊技を複雑化する上で、適宜使用できるものであり、開閉式入賞口が作動して開くことと、変動図柄表示装置が変動開始することとは、共に、一般に賞球の増加につながる事象として、遊技において認識されるものである点において共通している。
そして、変動図柄表示装置もソレノイド駆動の変動入賞装置も、共に駆動してよいか否かを判定した結果駆動されるものであることにおいて「引用発明」と「本件発明」とで異なるところはない。
また、「本件発明」におけるソレノイドも「引用発明」における変動図柄表示装置も、設定された制御データに基づき制御される点も共通している。
よって、「引用発明」の、判定結果により駆動される作動部としての変動図柄表示装置についての制御手法を、ソレノイドに対しても適用することに、格別の困難はない。
このことは、「本件発明」の明細書段落番号0036の、「前記実施例では、作動部が大入賞口等を開閉するソレノイドSOL-A等である場合について説明したが、これに限られるものではなく作動部が可変表示装置,ランプやLED等である場合にも本遊技機制御装置を適用,することが可能である。」という記載からも、「本件発明」が可変表示装置にも適用できる発明であって、ソレノイドにも適用されるものである、すなわち特にソレノイドでなければ適用できない技術事項は含んでいないものであることが首肯されるところである。

よって相違点1は当業者が容易に想到し得る程度の構成の相違に過ぎない。

(相違点2について)
「本件発明」と「引用発明」とにおいて、
「本件発明」の
「ソレノイドの作動条件が成立していないのに勝手に作動するような状態を正常な状態に復帰させるオフデータ」は、
「引用発明」の
「SWフラグの内容をクリア」した状態のSWフラグとを比較すると、
「引用発明」においては「データ記憶領域(813番地)のSWフラグの内容をクリアした後に、チャッカー入賞スイッチの検出信号の有無を検出し、当該検出信号があったときにはSWフラグに「1」を書込む」のであり、
「次に制御回路14はGOチャッカー4a〜4cにパチンコ球が入賞したかどうか判定(GO入力チェック)を行う。GO入力チェックにおいて、制御回路14は前記813番地のSWフラグの内容を読出し、「1」の時には809番地の入賞数データの内容に「1」を加えた後、「0」の場合には直ちにコマンドチェックを行う。」(上記記載9.)、
「入賞スイッチ12からの検出信号SG2を検知し、前記SWフラグのビット3の内容を「1」にし、次に入賞数データの内容を「1」にする。そして、次にコマンドデータの内容を「1」にする。このコマンドデータに基づいて制御回路14は第5図に示すLED回転処理動作を実行する。」(上記記載11.)、
のであるから、
「引用発明」における「SWフラグの内容をクリアする」とは、813番地のSWフラグに値「0」を記憶させることであり、「0」を記憶した場合は、表示器の「作動」をおこなわせないのであるから、「0」は「作動させない」データである。
すなわち、「引用発明」は、変動図柄表示装置を作動させるかどうかを決めるフラグに、作動しないデータを先ず入れておく、という作動部の動作指令のための判断結果の記憶手法に特徴があるのであり、この手法を、同様に「作動させるかどうかを決めるフラグをみて動作させる」作動部であるソレノイドに適用するに格別困難はない。
引用発明における、「作動させるかどうか」の判定の結果「作動」するものは、表示器であり、その表示器の「作動」に対応するのが「本件発明」における「ソレノイドの駆動」であるのだから、判定の前に作動のためのフラグとして、作動しないことを導くフラグをあらかじめ立てておく、という点において「引用発明」と「本件発明」に異なるところはない。
すなわち、「引用発明」も「本件発明」も記憶領域に動作の契機とならない信号を記憶しておき、動作して良いときに動作させるための信号を記憶領域に記憶させなおす、という点において相違しない。
「引用発明」のSWフラグにおける値「0」と「1」は、パチンコ機の作動部である変動表示装置の作動の如何を定めるものであるから、「引用発明」の「0」及び「1」と「本件発明」の「オンデータ」及び「オフデータ」とは、格別相違しない。

平成16年11月12日付意見書(以下「意見書」という)において、審判請求人が主張している「訂正後における請求項1に係る発明では、一旦オフデータを記憶領域に設定記憶する処理を出力側に設け」るから入力側の処理と異なる、という点に関しては、「本件発明」においても出力をおこなう際に設定記憶している訳ではなく、オフデータの設定を「駆動してよいか否かの判定」をする直前に行い、また判定結果の設定記憶も判定直後に行っている(「本件発明」の図6参照)のであって、図6のフローにおける「出力」段階における設定記憶処理ではない。 即ち、この点において、「引用発明」における判定の直前のSWフラグのリセット、判定の直後の判定結果の設定、と格別異なるところはない。

また、同意見書において、「引用発明のように、次のステップの処理にデータを渡す場合には、そのステップの処理が1回でも揃えば、次のステップの処理へ進行してしまう(例えば、変動表示のための条件が誤動作によって1回でも揃えば、変動表示が開始する)。
よって、本件発明の「オフデータを前記記憶領域に設定記憶する」処理と、引用発明の「SWフラグの内容をクリアする」処理とは、その部分のみ見ると同じようであるが、両発明の処理全体における位置が異なることから、異なる作用効果を奏する。」としている点についても、「本件発明」において、設定記憶されたオフデータは次のサイクルにおいて制御出力としてのソレノイド駆動に使用されているのであって、次のステップの処理に進行している点において「本件発明」と「引用発明」とは格別異ならず、それ故にこそ上記(1)において示した本件段落番号0036の記載がある、と理解できるところである。
フラグの値に基づき動作する部分がフラグの予期せぬ書き換えによって誤動作することを避けるために、フラグを正規の値に定期的に書き換えること、は「引用文献2」に示されるところであり、ソレノイドのような周知の遊技機構成要素がそのようなフラグに基づいた動作をおこなうことは「引用発明」、周知例1及び周知例2にみられるように周知である。
よって、「引用発明」の如き各サイクルにおけるクリア動作はオフデータ記憶であるのだから、「引用発明」をソレノイドにおいて適用した場合には、「引用文献2」に示される手法の定期的書き換えを各サイクルにおいて行ったことになり、「本件発明」の、出力するサイクルにおいてフラグに従って制御をおこなうことによる効果が得られるという点は当業者であれば当然予測可能な事項にすぎない。

よって、相違点2についても、当業者が格別の困難なく想到し得たものと判断される。

(一応の相違点3について)
「引用文献1」の第4図における「ソレノイド、音、ランプ出力処理」、上記「引用文献3」の上記記載25ならびに第15図における「R9出力処理(電磁ソレノイドなどの制御)」及び上記「引用文献4」の記載29からみて、遊技機に於けるソレノイドの駆動においては、駆動するか否かの判断結果を、判断をしたサイクル内においてソレノイド駆動に反映するのではなく、次のサイクルで実際の駆動に反映されるようにした構成は周知である。
よって、プログラムを繰り返し実行する形式の遊技機制御装置において、ソレノイドを駆動する際に次のサイクルによる出力とする点は、単なる周知慣用の事項である。
従って、周知の遊技機の作動構成要素たるソレノイドを駆動させる場合において、駆動の可否の決定をするサイクルの次のサイクルにおいてソレノイドを駆動するという事項は、単なる周知慣用の事項の採用にすぎず、格別のものではない。

なお、念のため「引用発明」における「作動構成要素」である表示装置の「作動」である表示の回転がどのサイクルでなされるのかを検討する。
「引用発明」において、LEDの表示内容を変化させる動作は、第4図フローチャートにおける「LED表示制御」においてなされる(上記記載7.)。
「本件発明」における「駆動して良い場合に設定記憶されるオンデータ」、は「引用発明」においてSWフラグ813に立つフラグ「1」に相当する。
この入賞スイッチフラグ813にフラグ「1」が立った場合に表示装置が回転を始めるのは、回転フラグ814に「1」が立ってから(上記記載12.)であり、回転フラグ814に「1」を立てるのはコマンドデータが「1」になったサイクルにおいてである(記載12.)。
コマンドデータが「0」から「1」に変わる時点は、SWフラグを「1」にし、入賞数データを「1」にしてから(上記記載11.)であるので、第4図フローチャートでみると「GO入力ありか?」の判断がYESとなり「GO入力加算処理」をおこなった後であるから、フラグ813に「1」が立ったサイクルにおける「LED表示処理」は制御フローでみれば既に通過してしまっている。
従って、フラグ813に「1」が立ったサイクルにおいて回転開始することは不可能であり、第4図フローでみて、コマンドデータが「1」となって「LED回転中か」の判断がYESとなり、4.2ms毎のリセットが行われて制御フローが再び「LED表示処理」のところに来て初めて回転開始すると解される。
これは即ち、「設定されたデータ」が「次の繰り返しサイクル」で出力され制御されることに相当するから、このサイクルについての一応の相違点は、実質的には相違点とはいえないと判断される。
よって、ソレノイドであるか変動図柄表示装置であるか、という作動構成要素の種類の相違は上記相違点1及び2のとおりであるが、「遊技機に於ける周知の作動構成要素」の作動タイミングという点において相違点3は実質的に相違点ではない。

5.むすび
以上のとおりであるので、「本件発明」は「引用発明」、「引用文献2」に記載された公知技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして「本件発明」が「引用発明」「引用文献2」及び周知技術に基づいて予想されるものを越える格別の効果を奏するものとも認められない。

以上のことから、「本件発明」は、「引用発明」、「引用文献2」に記載された公知技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、本訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成6年改正法による改正前の特許法第126条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
よって、結論の通り審決する。
 
審理終結日 2005-02-07 
結審通知日 2005-02-09 
審決日 2005-02-23 
出願番号 特願平5-13603
審決分類 P 1 41・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 澤田 真治  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 塩崎 進
白樫 泰子
登録日 2002-04-05 
登録番号 特許第3295159号(P3295159)
発明の名称 遊技機制御装置  
代理人 後藤 政喜  
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