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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正しない B29C
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正しない B29C
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正しない B29C
管理番号 1116782
審判番号 訂正2004-39255  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-07-09 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2004-11-08 
確定日 2005-05-09 
事件の表示 特許第3569987号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本件特許第3569987号は、平成6年12月22日に特許出願され、平成16年7月2日にその特許権の設定登録がされたものであって、平成16年11月8日付け審判請求書による本件訂正審判が請求され、平成16年12月21日付けで訂正拒絶理由の通知がなされ、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、本件審判請求人は何ら応答をせず、期間経過後の平成17年2月8日付けで上申書が提出されたものである。


2.訂正の内容

本件訂正は、審判請求書の記載からみて、下記の訂正事項a〜dからなるものである。

訂正事項a:特許請求の範囲の請求項1において、
「2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムにおいて」とあるのを、
「テンター法を用いて横延伸し、熱固定された2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムであって」と訂正する。

訂正事項b:特許請求の範囲の請求項2を
「2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムであって、該ポリアミド系樹脂フィルムがポリオレフィン系樹脂フィルムとラミネートされるものであり、且つ下記式の関係を満足することを特徴とする2軸配向ポリアミド系樹脂フィルム。
3%≦BSx≦6%(BSxは、全方向の沸水収縮率のうち最大値を表わす)
BSa≦1.5%(BSaは、縦方向に対し+45°方向の沸水収縮率と-45°方向の沸水収縮率の差の絶対値を表わす)
1.505≦Nz≦1.520(Nzは、フィルム厚さ方向の屈折率を表わす)」と訂正する。

訂正事項c:【0008】において、
「2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムにおいて」とあるのを、
「テンター法を用いて横延伸し、熱固定された2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムであって」と訂正する。

訂正事項d:【0009】において、
「上記2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムをポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂フィルムとラミネートして使用する際には、上記(1),(2)式の関係に加えて下記(3)式の関係を満足させることによって、熱水処理等にも耐える優れたラミネート強度を得ることができるので好ましい。
1.505≦Nz≦1.520……(3)
(Nzは、フィルム厚さ方向の屈折率を表わす)」を
「上記2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムをポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂フィルムとラミネートして使用する際には、上記(1),(2)式の関係に加えて下記(3)式の関係を満足させることによって、熱水処理等にも耐える優れたラミネート強度を得ることができるので好ましい。
1.505≦Nz≦1.520……(3)
(Nzは、フィルム厚さ方向の屈折率を表わす)
また、上記課題を解決することのできた本発明に係る2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムの構成は、2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムであって、該ポリアミド系樹脂フィルムがポリオレフィン系樹脂フィルムとラミネートされるものであり、且つ下記式の関係を満足することを特徴とする2軸配向ポリアミド系樹脂フィルム。
3%≦BSx≦6%……(1)
(BSxは、全方向の沸水収縮率のうち最大値を表わす)
BSa≦1.5%……(2)
(BSaは、縦方向に対し+45°方向の沸水収縮率と-45°方向の沸水収縮率の差の絶対値を表わす)
1.505≦Nz≦1.520……(3)
(Nzは、フィルム厚さ方向の屈折率を表わす)」と訂正する。


3.訂正拒絶理由

これに対して、当審が平成16年12月21日付けで通知した訂正拒絶理由は、次のとおりである。

「(1)訂正事項aについて
訂正事項aの訂正は、一見、「テンター法を用いて横延伸し、熱固定された」という構成要件を付加したことにより「2軸配向ポリアミド系樹脂フィルム」が限定され、特許請求の範囲の減縮を目的としているかのようである。
しかしながら、「2軸配向・・フィルム」とは、縦、横延伸されたフィルムを意味することは明らかであるし、請求項1規定の沸水収縮率の式からみて「2軸配向ポリアミド系樹脂フィルム」は熱固定されたものであることも自明である。そして、明細書の記載「この様な特性を備えた2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムは、後述する縦延伸工程を除いて他の方法は通常の縦・横逐次2軸延伸法を採用し、縦・横方向に夫々3倍以上に延伸することによって容易に得ることができる。例えば、縦延伸後に行なわれる横延伸は、縦延伸1軸配向フィルムに、テンター等を用いて素材樹脂のガラス転位温度(Tg)〜200℃程度の温度条件で3倍程度以上の横延伸を施し、次いで200℃〜素材樹脂の軟化温度(Tm)程度で熱固定し、必要により緩和熱処理を行なう方法である。」(段落【0019】)、「こうした延伸工程で特に重要となるのは縦延伸工程であり、該縦延伸条件を下記の様に設定することによって、本発明で意図する前述の様な物性を備えた2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを容易に得ることができる。即ち・・・・ことが必要となる。こうした縦延伸条件を設定することによって、その後の横延伸を容易にすると共に、該横延伸・熱固定の条件の如何を問わず前記式(1)〜(3)の要件を満足する2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを容易に得ることが可能となる。」(段落【0020】)、「かくして、最初の縦延伸条件を上記の様に設定してやれば、その後のテンター等を用いた横延伸や熱固定の条件については通常の方法を採用することによって、目的とする前述の様な諸特性を備えた2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得ることができる。」(段落【0022】)、および実施例、参考例からわかるように、テンターにより横延伸することは、請求項1で規定された式を満足するフィルムを製造する上で重要な要件ではないから、結局、「テンター法を用いて横延伸し、熱固定された」という上記構成要件は意味のない限定であり、上記構成要件が付加されたとしても何らフィルム自体は限定されておらず、特許請求の範囲の減縮になっていない。
よって、上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的としたものではない。
また、上記訂正事項aは、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的としたものでもない。

仮に、訂正事項aが特許請求の範囲の減縮を目的としたものとしても、本件特許明細書の上記段落【0019】、段落【0020】、および段落【0022】の記載からみて、請求項1で規定された式を満足する2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムは、特定条件下の縦延伸処理と通常の横延伸、熱固定処理の一連の処理により製造されるものであり、テンター法を用いた横延伸と熱固定処理のみを特定した2軸配向ポリアミド系樹脂フィルムが請求項1の式を満足するフィルムとなることは、特許明細書に記載されておらず、特許明細書から自明な事項ともいえないから、上記訂正事項aは特許明細書に記載した事項の範囲内のものとはいえない。

(2)訂正事項cについて
訂正事項cは、特許請求の範囲請求項1の記載に対応する箇所の記載を訂正するものであり、訂正事項aの訂正が上記理由(1)で認められないから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものとはいえない。
また、上記訂正事項cは、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正を目的としたものではないことは明らかである。

したがって、本件訂正審判の請求は、平成6年改正特許法附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書の規定に適合しないことから、本件訂正審判の請求は認められない。」


4.当審の判断

上記訂正拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、期間内には本件審判請求人からは何ら応答もなく、そして、上記訂正拒絶理由は妥当なものと認められる。
なお、審判請求人は、上記期間経過後に上申書を提出して、本件訂正審判の請求は、本件特許発明から、本件特許出願以前に公開された特開平2-103122号公報(以下、「刊行物」という。)に記載の発明を除いて両発明の差異を明確にする主旨で行ったものであること、そして、刊行物記載の発明は、フィルムの横延伸工程をチューブ法で行なうことを前提としており、横延伸をテンター法で行なって、熱固定して得られた二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムについては記載されていない旨主張している。
しかしながら、刊行物には、「本発明の熱固定に適用される二軸延伸フィルムとしては前記の式で算出される熱収縮率の異方性H(%)の値が20%以下のものが好ましく、特に異方性が小さいチューブ延伸方式によるものが更に好ましい。」と、チューブ法で延伸したフィルムが特に好ましいことが記載されているにすぎず、チューブ法で延伸したフィルムにのみ限定する記載はなされていない。
よって、刊行物記載の発明にはテンター法で横延伸したフィルムが含まれると認められるから、本件訂正審判の請求は、本件特許発明から、刊行物記載の発明を除いて両発明の差異を明確にする主旨で行ったものであるという、請求人の上記主張は採用できない。


5.むすび

したがって、本件訂正審判の請求は、平成6年改正特許法附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書の規定に適合しないことから、本件訂正審判の請求は認められない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-11 
結審通知日 2005-03-14 
審決日 2005-03-28 
出願番号 特願平6-320815
審決分類 P 1 41・ 841- Z (B29C)
P 1 41・ 851- Z (B29C)
P 1 41・ 853- Z (B29C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須藤 康洋  
特許庁審判長 高梨 操
特許庁審判官 石井 淑久
芦原 ゆりか
登録日 2004-07-02 
登録番号 特許第3569987号(P3569987)
発明の名称 2軸配向ポリアミド系樹脂フィルム  
代理人 菅河 忠志  
代理人 植木 久一  
代理人 伊藤 浩彰  
代理人 二口 治  
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