ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F |
---|---|
管理番号 | 1117385 |
審判番号 | 不服2002-18179 |
総通号数 | 67 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-08-06 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-09-19 |
確定日 | 2005-05-26 |
事件の表示 | 平成10年特許願第 10320号「リサイクル装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 8月 6日出願公開、特開平11-212471〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本願は、平成10年1月22日の出願であって、その請求項1乃至請求項12に係る発明は、平成14年8月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年9月19日に拒絶査定に対する審判請求がなされると共に、手続補正がなされたものである。 2.平成14年9月19日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成14年9月19日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)平成14年9月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許法第17条の2第1項第3号の規定に基づく明細書の補正であって、特許請求の範囲を以下の如く補正する補正を含むものである(補正部分に下線を付した)。 「【請求項1】複数の部品からなり、解体手順情報がリサイクル情報として予め保持されている情報保持手段を有する組立体を解体するリサイクル装置であって、組立体を解体する解体作業手段と、前記情報保持手段からリサイクル情報を読み出す読出手段と、該読出手段による読出情報に基づいて前記組立体の解体手順を認識し、前記解体作業手段の動作を制御する制御手段と、を備えることを特徴とするリサイクル装置。 【請求項2】前記情報保持手段は、メモリから構成されて、また前記組立体は、機械的または電気的な機能動作を行う動作手段と、該動作手段の機能動作を制御する制御ユニットと、外部機器と接続するインタフェース手段とをさらに有するリサイクル装置であって、前記組立体のインタフェース手段に接続するインタフェース装置をさらに備え、前記読出手段は、前記インタフェース手段及びインタフェース装置を介して前記メモリから前記リサイクル情報を読み出し、また前記制御手段は、読み出した前記リサイクル情報をに基づいて前記解体作業手段の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載のリサイクル装置。」(以下、それぞれ「補正発明1」、「補正発明2」という。) (2)請求項1についての補正は、補正前の請求項11において請求項3を引用した発明に対応するものと認められ、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認める。 しかしながら、請求項2についてする補正は、補正前の請求項11において請求項4を引用した発明を意図しているものと考えられるが、補正発明2を特定する事項として、「前記組立体のインタフェース手段に接続するインタフェース装置をさらに備え、」を追加すると共に、補正前の請求項4に係る発明を特定する事項である「前記制御手段が、外部機器からの指令に応答して前記情報保持手段に保持してあるリサイクル情報を読み出して前記外部機器に対して出力する応答手段」を削除しているものであり、特許請求の範囲の減縮(特許法第17条の2第4項2号で規定する同法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するもの)を目的とするものとは認められない。また、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明とも認められない。 それ故、本件補正の特許請求の範囲の請求項2についてする補正は、特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項のいずれを目的とするものとも認められない。 そこで仮に、本件補正の特許請求の範囲についてする補正が、特許法第17条の2第4項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであった場合に、本件補正による特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否か(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか否か)について以下検討する。 (3)引用例 原査定の拒絶の理由として引用された特開平6-246256号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (引用例) a.「製品または部品別に材質・取付け部位等の情報および解体分別する手順・方法の作業情報等をデータバンクに蓄積し、製品を識別する製品識別情報を入力し、入力された製品識別情報をもとに前記データバンクから所要情報を検索し出力することを特徴とする解体分別情報提供方法。」(特許請求の範囲 請求項1)。 b.「製品または部品別に材質・取付け部位等の情報および解体分別する手順・方法の作業情報等を蓄積したデータバンクから検索された解体分別情報に基づき部品どうしの結合を解除し、分解された部品を前記データバンクから検索された解体分別情報に基づき摘出し解体処理を行うことを特徴とする解体分別方法。」(特許請求の範囲 請求項2)。 c.「図1および図3に図示した・・・本実施例は、自動二輪車の自動解体分別装置に適用した例であり、図1はその制御系のシステム構成図である。」(段落【0009】)。 d.「自動二輪車を解体分別する作業装置10は、解体分別コントローラ1によって制御され、解体分別コントローラ1は、製品情報を蓄積したデータバンク2を備え、このデータバンク2を検索手段3が検索し抽出した情報を情報処理手段が処理して制御信号を解体分別作業装置10に出力する。」(段落【0010】)。 e.「解体の対象となる自動二輪車の識別情報はIDカード11にバーコードとして書き込まれており、このIDカード11のバーコードを読取るバーコード読取器5が解体分別コントローラ1に備えられている。」(段落【0011】)。 f.「前記データベース2には、・・・解体手順と方法、分解手順と方法、部材形状等のデータが自動二輪車の種類ごとに蓄積されており、メーカー側が機種・部品別のリサイクルデータを作成して、このリサイクルデータに基づき前記データをデータベース2に入力しておく。」(段落【0013】)。 g.「IDカード11には、車体ナンバー、エンジンナンバー、部品ナンバーその他の製品を識別できる情報がバーコード等で書き込まれている。」(段落【0015】)。 h.「したがって解体分別作業装置10に解体する自動二輪車をセットし、該自動二輪車に係るIDカード11のバーコードをバーコード読取器5に読み取らせると、その読み取った製品識別情報をもとに検索手段3がデータベース2を検索して必要な該製品の材質データおよび作業データを抽出し、情報処理手段4に送信する。」(段落【0016】)。 i.「情報処理手段4は、上記材質データおよび作業データをもとに具体的な制御信号を解体分別作業装置10に出力し解体分別作業を制御する。」(段落【0017】)。 j.「解体分別作業装置10に隣接して設置されているのが解体分別コントローラ1であり」(段落【0024】)。 k.「完成品の解体分別ばかりでなく解体ののちの個々の機器部品についても一つの製品として解体分別に供することができるのは当然である。」(段落【0039】)。 l.「各部品について・・・部品番号その他製品を識別できる情報の例えばバーコードのシール等を貼っておくことも考えられる。」(段落【0040】)。 m.「車輌に限らず殆どの工業製品に適用することができる。」(段落【0041】) n.「データバンクの所要情報をもとに部品どうしの結合を解除し摘出して自動的に解体を行うことができ・・・作業の効率化・・・を図ることができる。」(段落【0072】)。 (4)補正発明1と引用例に記載された発明との対比 引用例の上記記載a〜nを含む明細書及び図面によれば、引用例には、便宜上、符号イ〜ヘを挿入して分説すると、次の発明が記載されている。 「イ.複数の部品からなり、解体の対象となる工業製品(自動二輪車)を解体しリサイクルするために必要な情報となる車体ナンバー、エンジンナンバー、部品ナンバーなどの製品識別情報が書き込まれたシール等をあらかじめ貼付した解体の対象となる工業製品(自動二輪車)を解体する自動解体分別装置であって、 ロ.解体の対象となる工業製品(自動二輪車)を解体する解体分別作業装置10と、 ハ.前記製品識別情報を前記シール等から読み取るバーコード読取器5と、 ニ.前記バーコード読取器5によって読み出された前記製品識別情報をもとに、解体手順と方法、分解手順と方法等のデータが自動二輪車の種類ごとに蓄積されており、メーカー側によって機種・部品別に作成されたリサイクルデータが入力されたデータベース2を検索して必要な作業データを抽出する検索手段3と、 ホ.抽出された作業データを情報処理手段4が処理して具体的な制御信号を解体分別作業装置10に出力し、解体作業を制御する解体分別コントローラ1と、 ヘ.を備える自動解体分別装置。」(以下、「引用例発明1」という。) そこで、補正発明1と引用例発明1を対比する。 引用例発明1の「工業製品(自動二輪車)」、「解体分別作業装置10」、「バーコード読取器5」、「自動解体分別装置」は、補正発明1の「組立体」、「組立体を解体する解体作業手段」、「読出手段」、「リサイクル装置」に相当する。 引用例発明1の事項イにおける「製品識別情報」は、解体の対象となる工業製品の解体の手順を導出するための情報であり、リサイクルに要する情報であり(引用例の記載事項a.〜g.参照。)、また、さらに補正発明1の「リサイクル情報として」の「解体手順情報」は、リサイクルに要する情報であるから、引用例発明1の事項イと、補正発明1の「複数の部品からなり、解体手順情報がリサイクル情報として予め保持されている情報保持手段を有する組立体」とは、「複数の部品からなり、リサイクルに要する情報が予め保持されている情報保持手段を有する組立体」である点で共通する。 引用例発明1においては、その事項ニ、ホのように、「制御手段は検索手段3によって抽出された作業データをもとに、制御信号を解体分別作業装置10に出力」するものであるから、引用例発明1の事項ニ、ホにおける「検索手段3と、(検索手段3によって)抽出された作業データを情報処理手段4が処理して具体的な制御信号を解体分別作業装置10に出力し、解体作業を制御する解体分別コントローラ1」は、補正発明1の「読出手段による読出情報に基づいて前記組立体の解体手順を認識し、前記解体作業手段の動作を制御する制御手段」に対応する。 そうすると、双方の発明は、 「複数の部品からなり、リサイクルに要する情報が予め保持されている情報保持手段を有する組立体を解体するリサイクル装置であって、組立体を解体する解体作業手段と、前記情報保持手段からリサイクル情報を読み出す読出手段と、該読出手段による読出情報に基づいて前記組立体の解体手順を認識し、前記解体作業手段の動作を制御する制御手段と、を備えるリサイクル装置。」である点において一致し、次の点において相違する。 相違点:リサイクルに要する情報について、補正発明1では、「解体手順情報」であり、この「解体手順情報」に基づいて「制御手段が前記組立体の解体手順を認識し、前記解体作業手段の動作を制御するもの」であるのに対して、引用例発明1では、予め用意された製品識別情報とリサイクルデータ(解体手順等)から抽出された「作業データ」をもとに「具体的な制御信号を解体分別作業装置10に出力し、解体分別作業装置10を制御するもの」である点。 この相違点について検討する。 リサイクルを行うために、解体すべき物品を知能ロボット等を用いて解体する場合に、最終的には解体手順情報が必要となることは当業者であれば当然に理解できることである。 また、補正発明1の属する技術の分野において、「解体の工程において、解体する手順となる情報に基づいて組立体の解体手順を認識し、解体作業手段の動作を制御すること」は周知の技術的事項である(例えば、特開平9-249764号公報参照。「廃棄物処理の情報管理システム」(発明の名称)に係る発明について記載してある同公報の段落【0014】には「物品それ自体に関する情報としては・・・解体方法・・・などがあり」と記載され、および同公報の段落【0018】には「情報の出力を廃棄物の解体工程や選別工程に直接シーケンスとして組み込み、操作として出力される形態としても良い。」と記載されている。これらの記載によれば、「解体方法に係る情報の出力を廃棄物の解体工程や選別工程に直接シーケンスとして組み込む手段」を認めることができ、ひいては、「解体の工程において、解体する手順となる情報に基づいて組立体の解体手順を認識し、解体作業手段の動作を制御すること」を認めることができる。)。 そして、リサイクル情報として、解体手順情報そのものとするか、製品識別情報を介して解体手順情報を得るようにするかは、当業者が必要に応じて適宜選択し得る設計的事項であるから、相違点に係る補正発明1の如く構成することは、引用例発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得ることである。 このことは、請求人自らが、リサイクル情報について下記の如く認識理解していることからも明らかである。 「【発明の実施の形態】本発明の詳細を図1ないし図13に示す各実施形態に基づいて説明する。実施形態1 図1は本発明の実施形態1にかかり、組立体とリサイクル装置を示す構成ブロック図である。図中、1はリサイクル対象となる組立体、2はリサイクル装置である。・・・この組立体1の所要位置には、リサイクル情報が表記されたシール1aが取り付けられている。このリサイクル情報は、組立体1を解体する手順と、組立体1の構成部品の素材を示す情報とであり、これらの情報は、例えばバーコードなどの形態で表記される。そのため、前述のシール1aとしては、例えばバーコードシールなどとすることができる。・・・実施形態2 図2は本発明の実施形態2にかかり、組立体とリサイクル装置を示す構成ブロック図である。この実施形態2の特徴は、組立体1に表記するリサイクル情報を固有の識別番号だけとして単純化していること、リサイクル装置2Aにおいて識別番号の入力によって組立体1の解体手順を自己認識して解体、分類作業を行えるようにしていることである。組立体1は、その外装ケースの一部にリサイクル情報としての識別番号が表記されたシール1aが貼着されている。」(平成14年9月19日付け手続補正書第3頁10行〜第4頁25行) 尚、請求人は、「前記リサイクル情報に基づいて解体作業手段の動作を制御している点は、引用文献2乃至引用文献4に記載されている。しかし、前記リサイクル情報は、・・・解体手順情報ではないので、解体作業前に解体情報を蓄積しているデータバンク等にアクセスして、当該製品の解体情報を入手することになる。各引用文献のリサイクル装置の構成は、通信システムやデータバンクなどの付属構成を備える必要があり、システムを立ち上げるのに専門的な知識が必要となる。従って、専門知識がなくても、リサイクルに必要な解体を容易に行えるようにするという補正発明1の課題は解決されない。」(審判請求書第4頁下から3行〜第5頁5行)旨主張するが、前示のとおりであるから、その主張は、理由がない。 (5)むすび したがって、補正発明1は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有するものが、その出願前国内において頒布された引用例に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものである。 (6)結論 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第159条第1項により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定によって却下すべきものである。 3.本願発明について 平成14年9月19日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至請求項12に係る発明のうち、請求項2に係る発明は、平成10年1月22日付け願書に最初に添付した明細書又は図面の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される下記のとおりのものである。 「複数の部品からなる組立体であって、その所要位置に組立体固有の識別情報がリサイクル情報として表記されている、ことを特徴とする組立体。」(以下、「本願発明」という。) (引用例) 原査定の拒絶の理由として引用された特開平6-246256号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、上記2.(3)に記載した事項が記載されている。 (本願発明と引用例に記載された発明との対比) 引用例の上記記載a〜nを含む明細書及び図面によれば、引用例には、次の発明が記載されている。 「複数の部品からなる工業製品(自動二輪車)であって、その所要位置に解体の対象となる工業製品(自動二輪車)を解体しリサイクルするために必要な情報となる車体ナンバー、エンジンナンバー、部品ナンバーなどの製品識別情報が書き込まれたシール等があらかじめ貼付されている工業製品(自動二輪車)。」(以下、「引用例発明2」という。) そこで、本願発明と引用例発明2を対比する。 引用例発明2の「工業製品(自動二輪車)」、「製品識別情報」、「シール等があらかじめ貼付」は、本願発明の「組立体」、「識別情報」、「表記」に相当する。 引用例発明2の製品識別情報はリサイクルするために必要な情報であるから、「リサイクル情報」ということができる。 引用例発明2の「工業製品(自動二輪車)」も、本願発明の「組立体」もいずれも複数の部品からなることは明らかである。 そうすると、本願発明と引用例発明2の間には相違点はなく、両者は同一であり、本願発明は、特許法第29条第1項3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができない。 4.むすび 以上のとおりであって、本願発明が特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。 よって、結論の通り審決する。 |
審理終結日 | 2005-03-23 |
結審通知日 | 2005-03-29 |
審決日 | 2005-04-13 |
出願番号 | 特願平10-10320 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G09F)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 仁木 浩 |
特許庁審判長 |
砂川 克 |
特許庁審判官 |
藤井 靖子 津田 俊明 |
発明の名称 | リサイクル装置 |
代理人 | 芝野 正雅 |