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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G05B
管理番号 1117881
異議申立番号 異議2003-71871  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-09-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-07-23 
確定日 2005-02-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3370759号「アクチュエータシステム」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3370759号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第3370759号の請求項1に係る発明についての出願は、平成5年12月28日(優先権主張平成4年12月28日)の特許出願であって、平成14年11月15日にその発明について特許権の設定の登録がされ、その後、平成15年7月23日に特許異議申立人フェスト アクツィエンゲゼルシャフト ウント コーより請求項1に係る特許に対して特許異議の申立てがされ、請求項1に係る特許に対して取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年3月16日に特許異議意見書が提出されるとともに訂正請求がされたものである。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
前記訂正請求による訂正の内容は、次のとおりのものである。
(1)訂正事項a
設定登録時の願書に添付した明細書又は図面(以下「特許明細書等」という。)の特許請求の範囲の請求項1に記載された
「複数のアクチュエータを連結することで構成されるアクチュエータシステムにおいて、
前記各アクチュエータは、自己の動作制御を行うコントローラを備え、前記各コントローラは、動作制御を行う当該アクチュエータを同定するIDコードを記憶するID記憶手段を備えるとともに、当該アクチュエータシステムを統括制御するマスターコントローラとの間で信号の授受を行う通信手段を備えることを特徴とするアクチュエータシステム。」
を、
「複数のアクチュエータを連結することで構成されるアクチュエータシステムにおいて、
前記各アクチュエータは、接続部を介して直角に接続可能であるとともに、前記接続部を介して電気的に接続可能であり、
前記各アクチュエータは、自己の動作制御を行うコントローラを備え、
前記各コントローラは、動作制御を行う当該アクチュエータを同定するIDコードを記憶するID記憶手段を備えるとともに、当該アクチュエータシステムを統括制御するマスターコントローラとの間で信号の授受を行う通信手段を備えることを特徴とするアクチュエータシステム。」
と訂正する。
(2)訂正事項b
特許明細書等の発明の詳細な説明の段落【0006】に記載された「・・・システムにおいて、」と「前記各アクチュエータ・・・」との間に、「前記各アクチュエータは、接続部を介して直角に接続可能であるとともに、前記接続部を介して電気的に接続可能であり、」を挿入する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1)訂正事項aについて
訂正事項aは、各アクチュエータの連結の状態を限定するものであるので、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものである。
そして、訂正事項aは、特許明細書等の図3並びに発明の詳細な説明の段落【0032】に記載の「また、図3に他のアクチュエータ50とそれに接続される脚部52との関係を示す。」及び段落【0033】に記載の「この例では、アクチュエータ50は、モータ54と移動体56とフレーム58とコントローラ60とから構成され、移動体56には信号接続用の接点62が設けられ、フレーム58の端部には、信号接続用の信号バス64が露出している。そして、信号バス64と脚部52のバス66とはそれらが結合される際に接続される。」より、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
さらに、訂正事項aの訂正によって発明の目的が変更されるのものでもないので、訂正事項aは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項bについて
訂正事項bは、訂正事項aで訂正された特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるためのものであるので、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、明らかに特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 むすび
以上のとおりであるので、前記訂正は、特許法第120条の4第2項並びに同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについての判断
1 特許異議の申立て及び取消しの理由の概要
(1)特許異議の申立ての理由の概要は、請求項1に係る発明は、特許異議申立人が証拠として提出した甲第1号証:特開平3-255502号公報(以下「引用例1」という。)、甲第2号証:特公平2-59346号公報(以下「引用例2」という。)及び甲第3号証:特公平3-13465号公報(以下「引用例3」という。)のいずれかに記載された発明と同一であるか、上記引用例1乃至3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項1に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから取り消されるべきものであるというものである。
(2)当審で通知した取り消しの理由の概要は、上記特許異議の申立ての理由の概要と同様の趣旨のものである。
2 本件発明
前記第2のとおり訂正が認められたので、本件特許第3370759号の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、平成16年3月16日付訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「複数のアクチュエータを連結することで構成されるアクチュエータシステムにおいて、
前記各アクチュエータは、接続部を介して直角に接続可能であるとともに、前記接続部を介して電気的に接続可能であり、
前記各アクチュエータは、自己の動作制御を行うコントローラを備え、
前記各コントローラは、動作制御を行う当該アクチュエータを同定するIDコードを記憶するID記憶手段を備えるとともに、当該アクチュエータシステムを統括制御するマスターコントローラとの間で信号の授受を行う通信手段を備えることを特徴とするアクチュエータシステム。」
3 引用例記載事項
前記引用例3には、第4欄第7行第5欄第16行に次の事項が記載されていると認める。
「ところで、以上のように構成されるバス線10には、複数個の電磁弁ユニット20a,20b,20c…が接続される。本実施例では、実際上、バス線10は、前記電磁弁ユニット20a,20b,20c…に対応して配設されたマニホールド本体に固着されるマニホールド側ユニット21a,21b,21c…において、それらの側面部に設けられた第1のコネクタ24a,24b,24c…と第2のコネクタ26a,26b,26c…とにより連続的に接続される。すなわち、互いに隣接するマニホールド側ユニット21aのコネク夕24aを隣接するマニホールド側ユニット21bのコネクタ26bに嵌合するとともにマニホールド側ユニット21bのコネクタ24bは、隣接するマニホールド21cのコネクタ26cに嵌合するようにして連続的に接続される。
なお、個々の電磁弁ユニット20a,20b,20c…は、コネクタを介して各マニホールド側ユニット21a,21b,21c…と接続する。電磁弁ユニット20a,20b,20c…は、その内部に第1図から諒解されるように、入出力回路22、CPU24、内部メモリ26、ソレノイドドライバ28およびソレノイド30を含む。
そこで、以上のような構成において、バス線10のアドレスバス14に、特定の電磁弁ユニットに係るアドレス信号が送給され、その信号とタイミング的に同時にデータバス16に前記の特定された電磁弁ユニットを構成するソレノイドのオン・オフ信号が送給される。この結果、インターフェイスを兼ねる入出力回路22は、当該アドレス信号を常時監視しているために自らのアドレスに係るオン・オフ信号のみを取り込むに至る。内部メモリ26は、現在のソレノイドのオン・オフ状態に係る信号をCPU24に送給するため、CPU24では、前記従来のオン・オフ信号と新たに取り込まれた信号とを比較し、異なる場合には、新たな指令信号として図示しない増幅器を介してこれをソレノイドドライバ28に送る。この結果、電源バス12よりソレノイドドライバ28に送給されている所定の電流に基づき前記新たなオン・オフ信号に依拠してソレノイド30が付勢乃至滅勢されることになる。・・・また、このような構成において、ソレノイド30を付勢するソレノイドドライバ28の電流を常時監視し、その信号をCPU24を介して入出力回路22からバス線10に送り出す。すなわち、この信号をデータバス16に送給するとともにタイミング的に同時に当該電磁弁に係るアドレス信号をアドレスバス14に送り込み、これを図示しない制御装置に導入すれば、ソレノイド30の付勢・滅勢状態が制卸装置により確認されることになる。」
上記記載事項より、引用例3には、次の「電磁弁駆動制御装置」の発明が記載されていると認める。
複数の電磁弁ユニツト20a,20b,20c・・・を連結することで構成される電磁弁駆動制御装置において、
前記各電磁弁ユニツト20a,20b,20c・・・は、第1のコネクタ24a,24b,24c・・・と第2のコネクタ26a,26b,26c・・・とを介して接続可能であるとともに、前記第1のコネクタ24a,24b,24c・・・と第2のコネクタ26a,26b,26c・・・を介して電気的に接続可能であり、
前記各電磁弁ユニツト20a,20b,20c・・・は、自己の動作制御を行う入出力回路22、CPU24及び内部メモリ26を備え、
前記各入出力回路22、CPU24及び内部メモリ26は、動作制御を行う当該電磁弁ユニツトを特定するアドレスを記憶する手段を備えるとともに、当該電磁弁駆動制御装置を統括制御する制御装置との間で信号の授受を行うアドレスバス14及びデータバス16を備える電磁弁駆動制御装置。(以下「引用例3記載の発明」という。)
4 対比
本件発明と引用例3記載の発明とを対比すると、引用例3記載の発明の「電磁弁ユニツト」は、本件発明の「アクチュエータ」に相当しており、以下同様に、「電磁弁駆動制御装置」は「アクチュエータシステム」「第1のコネクタ及び第2のコネクタ」は「接続部」に、「入出力回路、CPU及び内部メモリ」は「コントローラ」に、「制御装置」は「マスターコントローラ」に、及び、「アドレスバス及びデータバス」は「通信手段」にそれぞれ相当していることが明らかである。
また、引用例3記載の発明の「アクチュエータを特定するアドレスを記憶する手段」は、アクチュエータを識別する識別手段であることに限り、本件発明の「アクチュエータを同定するIDコードを記憶するID記憶手段」と共通している。
以上のとおりであるので、両者は、次の一致点及び相違点を有している。
(1)一致点
複数のアクチュエータを連結することで構成されるアクチュエータシステムにおいて、
前記各アクチュエータは、接続部を介して接続可能であるとともに、前記接続部を介して電気的に接続可能であり、
前記各アクチュエータは、自己の動作制御を行うコントローラを備え、
前記各コントローラは、動作制御を行う当該アクチュエータを識別する識別手段を備えるとともに、当該アクチュエータシステムを統括制御するマスターコントローラとの間で信号の授受を行う通信手段を備えるアクチュエータシステム。
(2)相違点
各アクチュエータの接続が、本件発明では直角であるのに対し、引用例3記載の発明では、そのようなものではない点。(以下「相違点1」という。)
アクチュエータを識別する識別手段が、本件発明では、アクチュエータを同定するIDコードを記憶するID記憶手段であるのに対し、引用例3記載の発明では、そのようなものではなく、アクチュエータを特定するアドレスを記憶する手段である点。(以下「相違点2」という。)
5 相違点についての検討
上記相違点について、以下検討する。
(1)相違点1について
各アクチュエータをどのように連結するかは、その各アクチュエータの使用形態に応じて適宜決定する設計的事項であって、直角に連結することに格別の困難性は見当たらない。
(2)相違点2について
装置を識別する識別手段として、装置にIDコードを記憶しておき当該装置を同定することは、例えば、特開昭63-58567号公報、特開昭64-24652号公報、特開平4-86030号公報等に記載されているように、従来周知の事項であるので、この従来周知の事項を引用例3記載の発明のアクチュエータを識別する識別手段として採用し、相違点2に係る本件発明を構成することに格別の困難性は見当たらない。
(3)本件発明の作用効果について
本件発明の奏する作用効果は、引用例3記載の発明及び上記従来周知の事項から当業者が予測できる程度のものであって、格別のものではない。
5 むすび
以上のとおり、本件発明は、引用例3記載の発明及び上記従来周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件の請求項1に係る特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
アクチュエータシステム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】複数のアクチュエータを連結することで構成されるアクチュエータシステムにおいて、
前記各アクチュエータは、接続部を介して直角に接続可能であるとともに、前記接続部を介して電気的に接続可能であり、
前記各アクチュエータは、自己の動作制御を行うコントローラを備え、
前記各コントローラは、動作制御を行う当該アクチュエータを同定するIDコードを記憶するID記憶手段を備えるとともに、当該アクチュエータシステムを統括制御するマスターコントローラとの間で信号の授受を行う通信手段を備えることを特徴とするアクチュエータシステム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数のアクチュエータを組み合わせてなるアクチュエータシステムに関し、特に、アクチュエータの置換、組み替え等によるシステムの再構成が容易なアクチュエータシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】モータやシリンダに代表される電動アクチュエータや流体圧アクチュエータ、もしくは直線動作や回転動作をするアクチュエータ等は、モータドライバや電磁弁等によって制御されている。また、各アクチュエータは電動装置と関連付けられて構成されている。そして、ロボットアクチュエータを含むこれらのアクチュエータは、コントローラや制御装置とは独立して、一体化されずに配置されるのが通常である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、製造業、リハビリテーション装置等を有する医療機関、家庭内等で耐水性(電源ラインを含めて)、電気的絶縁性耐防爆性を有するロボットアクチュエータを含むアクチュエータシステムは、再構成や、搬入搬出のため、分解もしくは組立が容易で、また、精度、安全性が確保されなければならない。また、生体医療分野でのDNA分析装置、ゲル作動装置、コンピュータにより管理制御される試料試薬位置決め多数点注入装置、自動シーケンサ(自動電気泳動装置)およびロボットは、DNA、cDNA、mRNA抽出、タンパク質人ゲノム自動解析等の自動解析装置での数100万塩基/日程度の塩基配列(コード)をCIMネットワークシステムで実行、管理解析報告、故障診断、自動修復する必要がある。
【0004】さらに、組立機械の場合においても、企業レベルの会社、協力工場との連関的経営、製造、物流、販売システムではCIMのように、経営、工場運営を具体化、具現化するコンピュータによる統合的、同時的製造、生産をすることが必要となっている。
【0005】さらにまた、研究、設計、開発部門と生産技術部門、生産現場、物流ロジスティクスの同時進行のため、同一データベース上、同一システム管理上での作業に対応することが必要である。従来のNC機械等は単なる通信機能は有しても組み替え等の適応性や、統合的管理、また下層レベルの生産現場全体の生産や状態に対応することができず、極めて非効率的、非人間的なシステムであった。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、複数のアクチュエータを連結することで構成されるアクチュエータシステムにおいて、前記各アクチュエータは、接続部を介して直角に接続可能であるとともに、前記接続部を介して電気的に接続可能であり、前記各アクチュエータは、自己の動作制御を行うコントローラを備え、前記各コントローラは、動作制御を行う当該アクチュエータを同定するIDコードを記憶するID記憶手段を備えるとともに、当該アクチュエータシステムを統括制御するマスターコントローラとの間で信号の授受を行う通信手段を備えることを特徴とする。
【0007】
【0008】
【作用】本発明に係るアクチュエータシステムでは、アクチュエータ構成体を構成する個々の要素に各々コントローラを設け、各コントローラが自己認識できるようにしたので、アクチュエータ構成体の組み替えを容易に行うことができる。
【0009】
【実施例】本発明は、特願平4-44975号、特願平4-197178号、特願平5-168235号、特願平5-168232号、特願平5-280124号と関連している。特願平5-280124号に開示された技術は、本発明とともに用いたり、複合したり、一体にしたりするものであり、当然、当業者によって予測される作用効果も本発明になり得る。
【0010】一般的には、CIM(Computer Integrated Manufacturing)の利用者は、自社の商品を効率的に生産するために、CIM、FA(Factory Automation)の運用手段についての研究開発を行っている。当社(エスエムシー株式会社)が行うその研究開発に対する仕事としては、CIMの利用者に対して当社で製造する、例えば、アクチュエータを利用したCIM、FAの為にその部品をシステムに組み込むための(開発の)支援協力が主体となる。
【0011】この支援協力の手段として、実際のアクチュエータをCIM、FAに対し構成し易い形、適切な性能、それに適した製造方法、供給方法、手段、互換性、メインテナンス性を有するものとする。
【0012】そして、これらのアクチュエータ自身がその支援協力手段を持つのみならず、当社と他のユーザ、協力者との間、および他の会社の内部での発注、製造、管理、計画、組合せがやり易いよう取り扱われるシステム(例えば、企業間勘定システム、企業間物流システム、企業間設計共同作業ネットワークコンピュータシステム)に適することが必要である。そのための技術的装置(コンピュータネットワーク、EWSネットワーク管理システム、組立モジュール管理プロセッサ、それらのネットワーク管理ソフトウエア、OS)、組立、加工、倉庫、物流システムのインテリジェントネットワーク(WAN、LAN、LON(例えば、特公表3-504066号、3-505642号))、そしてそれらのマンマシンインタフェース、さらに、異なる工場間、異なる部門間、異なる企業間、異なる地域、国の間の異なるシステム、管理CIM、FAシステムをソフトウエアやプログラムやキャラクタの想定のみならず、その管理方法、データ構造、データ形式、ファイル構造、ファイル形式、データベース管理方法、発注システム等のインタフェースを合わせる手段を有する。これらの手段(プロトコル、データ構造等)は、検索構造すべてを管理し、合わせ、時によっては双方ともに適当な対応修復を行う。
【0013】前記の目的のために、A.アクチュエータ構造体、およびその構成部品(モータ、ボールねじ、タイミングベルト、ベアリングボックス、べベルギヤボックス、センサ、プーリ、遠隔もしくは直角動力伝導HST(Hydro Static Transmission(アキシャルピストン形油圧ポンプモータ式))等)を全て形状、取り付け、穴位置、幅等が規格化、互換性を有するブロック構造もしくはモジュール構造とすることにより、それぞれが独立して使用できるし、それらを組み立てることができる。また、取り付けも基本寸法を共通化することにより統一される。
B.各部材の、その製造方法、製造経過、検査結果およびその設計方法、取扱方法、それに接続される他部材および全体構成(階層構造)をデータ化し、その部材の使われ方のデータを全てコード化し、半導体回路等の回路手段や生物分子回路手段の人工的、疑似生物的回路によるアーティフィシャルライフと呼ばれる突然変位、交差、自然淘汰を有するGA(二重螺旋構造、三重螺旋構造等の螺旋構造により好適に実施されるGenetic Algorithm)、磁気的記録媒体や分子構造(核の配置等の)によるコード(DNA)の形に記憶させる。そしてそれらの組合せのデータを各部材が有するように、例えば、バーコード、メタルコード(磁性、非磁性によるパターン)、また、金属の表面にダイレクトレーザトリミング、もしくはリソグラフィ法によるパターン(これらは、電気、電子回路、メモリ、CPU、プログラマブルシステムを有し、金属の表面の凹部に加工され、その表面は金属表面と面一になるようコーティングする)を作成し、それらを記憶させたコード媒体は、部材の内部や表面にカプセルやテープ状のもので張り付ける。
【0014】もちろん、各部材のデータは管理コードによって他のコンピュータ上に管理データとして全て蓄え、コードによって引き出すことができる。
【0015】ところで、このような構成にしたのでは管理コンピュータやそのためのシステムのある場合にのみ利用可能で、現場で緊急時に利用することはできない。
【0016】よってこれらのコード読み取り器を現場に持って行き、または、現場に必要に応じて配置したり、ロボットやアクチュエータに内蔵もしくは、予め決められた取り着け手段によって配置され、その場でその部材の経歴、処理、再構成のための対応を実行する自己再生手段を有する部材、アクチュエータ等の機能が必要である。
【0017】そのために、アクチュエータの制御装置がモータや電磁弁の種類に対して自由度、置換、組み替えができるようにし、アクチュエータのIdentification(同定)が自己および周囲から、さらには相互にできる手段を設ける(バーコード、メモリカード、RAM、EPROM、演算装置、マイクロウエーブ等によるワイアレスIDモジュール等)。
【0018】そして、各アクチュエータが個々にコントローラを有し、ネットワーク通信手段によって統合化され、それらはいくつかの機械的に統合されたアクチュエータグループ、いくつかの相関的に作業、関連するアクチュエータグループ、もしくはそれらが統合化されFMSに各アクチュエータが負荷、生産工程、および変更、最適化に従って再配置、再構成されるアクチュエータ群およびそのセル化、グループ化、ユニット化されたものとする。さらに、これがネットワーク手段によって統合化される各セル、グループ、ユニット、各アクチュエータは、ネットワーク上のネットワークアドレスやネットワークコントロールプロセス管理体によって管理され、必要に応じて資源やアドレス、その他が再構成される。それらは、ネットワークが作動していてもなされる。ネットワーク管理はUNIX等にインプリメントされているLANコントロール(NFS等のネットワークプロトコルTCP/IP)やMAP等においてコントロールされる。ローカルコントローラのプログラムも上位、中位、下位、並列の他のコントローラから適宜初期ロード、再ロードされる(ロードは、ダウンロード、アップロードされる)。本システムに現れる部品、アクチュエータ構造体、CPU、コンピュータネットワーク、ネットワーク群、アクチュエータ、モータ、シリンダ、コントローラ等がアドレスとして世界絶対アドレスをアドレス設定承認管理配布機構によって世界唯一のアドレスを供給する。
【0019】この絶対アドレスは、48ビット、64ビット、96ビット、128ビットアドレッシングまたは適宜のアドレッシングであり、必要に応じて与えられる。
【0020】各コントローラは各アクチュエータの構造体の内部に配置され、好適には外に突起が出ないように形成されている。構造体は規格にあった、もしくは、標準化(特願平4-180133号)されTスロットを有したアクチュエータ構造体、構造部材である。各構造部材は各コントローラに関連する信号線、ネットワーク用配線およびワイヤレス結合がなされ各、また、ブロックも流体結合し、プロファイル内の孔部、溝部、内部、外部に付帯される。また、空気通路をその利用に供する。各アクチュエータまたは構造体は、Al、Mg、Ti、FRP、CFRP、3次元織物からなるFRP、CFRP、コンクリート、セラミック、焼結金属等からなる機械的相互結合と共に相互もしくは一方のみについて相互に拘束されている時、固定、相対運動をする結合において、信号、電源、空気圧等を送ったり送られたりする機能を有する。また、各構造体は、プリズム、ビームスプリッタ、反射板による光路によって全てを結合する伝送路およびその複合伝送路を有し、光伝送路は光ファイバの代わりに水、油、空気伝送路を利用してもよい。
【0021】アクチュエータ構造体の相関の拘束を与える直線や回転のガイド手段はアクチュエータの構造部材、構造体本体に直接構成される。
【0022】信号系は、バス、光通信、ワイヤレス通信、マイクロウェーブ、超音波通信により行われる。電気パワーは、トロリーガイド、回転ブラシ、コロブラシにより集電される。光電池等によって伝送されるマイクロウエーブ等によってパワーと信号を一体として伝送する。センサ、コントローラ、ドライブはマイクロウエーブ等からのパワーを使用もしくは電池を有してストレージして使用する。
【0023】各アクチュエータに対し、これらのステーションを一つもしくは二つ以上の規格化されたモジュール回路、ボックスが配されている。
【0024】また、各アクチュエータは、全ての制御機能要素を有することができ、また、その制御機能要素の一部を適宜選択して置換移設をすることができる。それは組立てる前でも途中でもその後でも実行できる。
【0025】コントローラは、各制御のための電源(発電機、化学電池、燃料電池、生体電池、内燃エンジン、太陽電池、マイクロウエーブ)を有し、また、自立的に制御ドライブすることもできる。また、コントローラは流体圧制御の切り替え弁(パイロット式2方、3方、4方、5方弁)を有したり、比例制御弁、PWMパルスバルブやスクロールコンプレッサ等のコンプレッサ、真空ポンプを個々または1台のスクロールコンプレッサの吸気を真空発生に用いたものを配し、吸着式、冷凍式、中空子式等、もしくはその組み合わせによる除湿装置(手段)、デミスタ、疎水性セメントを一体ブロックにしたもの、FRL(フィルタ、減圧弁、必要に応じてルブリケータ、ピストン、スクロール、ベーンの増圧器、もしくはポンプ)を有する。そしてまた、(コンプレッサ+FRL)や(真空ポンプ+真空圧力制御)のみでなく、可変容量制御、インバータサーボ回転数制御によりPIAコントローラ付き、ディジタル表示付き、故障予知機能付き、シリコンダイヤフラム圧力制御センサフィードバック制御により、分散圧力制御装置を構成してよい。電動アクチュエータと流体系を複合化して制御を行う各コントローラは、電動アクチュエータとエアバランサ(重りカウンタバランサ)との組合せが可能となっているもの、そして各アクチュエータや上位制御装置や上位経営レベルコンピュータの中身を見たりデータを変更したりすることもできる手段(画面入力タッチパネルもしくはVirtual RealityとArtificial Reality等の入出力装置(データグローブ、音声入力、脳波入力、出力等のマンマシンインタフェース))を有し、カラーLCDを有し、マイクロキーボードを有する。
【0026】ここで、アクチュエータの構造の一例を図と共に説明する。
【0027】図1は、アクチュエータを用いた構成の一例を示したものである。
【0028】図1において、アクチュエータ10が脚部16、16の間に取り付けられている。前記アクチュエータ10には、メカニカルハンド12(これは、エゼクタ、供給弁、破壊弁、スイッチを有する吸着ハンドシステムでもよい)を駆動するためのシリンダ14(これは、ボールねじ駆動、ストリングねじ駆動、(プラスチック製多条ナット+転造ねじ+無潤滑)駆動、プラスチックねじ駆動、チェンジナット方式送りねじ駆動、タイミングベルト駆動、スチールベルト駆動、リニア電動駆動アクチュエータでもよい)が取り付けられている。そして、一方の脚部16には、前記アクチュエータ10に対するコントローラ18、通信システム20、電源22等が組み込まれている。
【0029】このアクチュエータ10とシリンダ14との関係を図2に示す。
【0030】アクチュエータ10には移動体24が収納されており、この移動体24に対してシリンダ14が取り付けられている。アクチュエータ10の移動体24は、アクチュエータフレーム26内をシャフト28およびガイド30を介して案内され摺動するよう構成される。そして、移動体24には、電源制御部32とコントローラ34とが実装され(この電源制御部32とコントローラ34とは一体にしてもよい。なお、CPU(RISC、DSP、マルチCPU)、多層基板を一体としさらにDSPによって作動させると高速制御になる)、その電源制御部32には、フレーム26に設けられた電源バス36から移動体24に設けられた電源用摺動部38を介して電力が供給される。また、ネットワーク通信手段を有するコントローラ34には、電源制御部32からの電力と、フレーム26に設けられた光等を用いた非接触の信号バス(図示せず)からの信号とが供給される。なお、信号バスからの信号は、移動体24に設けられた信号受信部40に供給される。
【0031】電源制御部32、コントローラ34からの信号は、コネクタ42によってシリンダ14に供給される。
【0032】また、図3に他のアクチュエータ50とそれに接続される脚部52との関係を示す。
【0033】この例では、アクチュエータ50は、モータ54と移動体56とフレーム58とコントローラ60とから構成され、移動体56には信号接続用の接点62が設けられ、フレーム58の端部には、信号接続用の信号バス64が露出している。そして、信号バス64と脚部52のバス66とはそれらが結合される際に接続される。コントローラ60には、必要に応じて、各アクチュエータやセンサ、自己診断モニタ、故障診断モニタ、上位制御装置や上位経営レベルコンピュータの中身を表示できるディスプレイ68を設けたり、ディスプレイ68に表示させるデータを取り出すための信号を入力したりする入力手段を設ける。一方、脚部52にはコントローラ70を設け、コントローラ70にもコントローラ60と同様にディスプレイ72等を設ける。なお、このディスプレイ68、72は必要に応じてコントローラ60、70の表面と面一に収納することが可能なように構成することができる。さらに、コントローラ60、70には、図4に示すように、フロントパネル74を設け、これに各部材の全てのデータを記憶すると共に識別用のIDを有するカード76を挿入できるようにする。なお、フロントパネル74には、周知のバーコードリーダ、データキャリアの書き込み、読み込み手段を設けることもできる。
【0034】以上のようなコントローラ34、60、70を有するアクチュエータ10等は、図5に示すように組み立てることができる。先ず、脚部80の下部には基台82が設けられ、これには、マスターコントローラ84が設置される。脚部80に設けられたスレーブコントローラ86はマスターコントローラ84とバスで結合される。さらに、アクチュエータ88、90のコントローラ92、94にもバスによりマスターコントローラ84からの信号を伝達する。この、マスターコントローラ84の制御下でスレーブコントローラ86、92、94、96が制御される。
【0035】次に、柱状部材(脚部等)やアクチュエータ等を組み合わせた構成体について説明する。
【0036】図6において、周知もしくは剛性を高めた補助ジョイントを有するアクチュエータの構成体110は、作業工程に応じて、第1セクション112と、それに併設される第2セクション114とから基本的に構成され、第1セクション112にはベルトコンベア116が併設されている。図6において、シリンダとして記載されたものは電動アクチュエータや他のアクチュエータを使用してもよい。互換性のあるアクチュエータを適宜用途に合わせて用いることにより、構成体の再構成、構築が容易になる。
【0037】第1セクション112には、アクチュエータ118の一端部にアクチュエータ118の上面と面一に配設されたモータボックス120および表示部を有するコントローラ122が設けられている。このモータボックス120およびコントローラ122は、これらが配設されるアクチュエータ118の上面と面一に形成することにより、他の部材に取り付ける際の互換性を有すると共に、形状がコンパクトであるためスペースの有効利用を図ることができる。従って、図中に示す他のモータボックス124、126等においても、配設されたアクチュエータの上面と面一に形成することが可能である。
【0038】第2セクション114は、アクチュエータ128、130に併設されたバランサ132がそれぞれ対向して立設され、併設されたアクチュエータ128、130およびバランサ132の移動体134、136には、アクチュエータ138の両端部がそれぞれ連結される。アクチュエータ138は併設されたアクチュエータ128、130およびバランサ132に対してそれぞれ略直交すると共に、略水平状態を保持して連結される。アクチュエータ138の移動体140にはアクチュエータ142が連結され、アクチュエータ142の移動体144にはロッドの先端部にメカニカルハンド146が接続されたシリンダ148が連結されている。第1セクション112と第2セクション114とが連結される部位およびその長手方向に指向してアクチュエータ150、152が連設され、アクチュエータ150、152の移動体154、156にはそれぞれ位置決め用のシリンダロッドを有するシリンダ158、160が連結されている。
【0039】一方、第1セクション112と連設してベルトコンベア116が設けられ、その連設部位には、制御システムへの入出力装置としての機能を有するプログラミングキーボード162、164が設けられている。このプログラミングキーボード162、164は、柱状部材166に対して着脱自在に取着され、構成体110内に組み入れられた各種機器、具体的には各種アクチュエータ168、138、142、128、130、150、152、バランサ132、シリンダ158、148、160、メカニカルハンド146、およびベルトコンベア116等を制御システムにより統括的に管理させることができる。なお、制御システムを構成する各種コントローラ、プロセッサ、および、例えば、光信号、電気信号、流体圧信号等からなる各種信号の伝達回路は、前述したように、それぞれアクチュエータ168等および柱状部材166の内部に収納される。
【0040】この場合、流体圧(空気、油圧、その他の流体)を利用したアクチュエータはバルブやそのコントローラ、通信回路が一体化され、省スペース化、小型化が図られ、配管の省略化により、高効率、低損失になる。電動アクチュエータも、ドライバ、コントローラ、通信回路が一体化されることにより同様の効果が得られる。
【0041】特にシリンダは、低摩擦シリンダやブレーキ付きシリンダを使用するとよりその効果を増す。また、摺動部に超高分子ポリエチレン(PE)を用いることができる。また、トライ・テック・ワン(T.T.I)(大同メタル工業製(CATNo.2050 93.9 30,000PN))の如く、すべりところがしをハイブリッドしカムフォロアのごとく使用したり、さらには回転ベアリングを直線ベアリングに展開して直線リニアガイドとして直接使用する直線ガイドを用いることができる。緊急時や停電時のシリンダロックは安全性を向上させる。また、空気圧シリンダを位置、速度、加速度、力、圧力フィードバック制御やフィードフォワード制御を行うことにより、より高速なサーボシリンダができる。電動アクチュエータも同様、ブレーキを付け、低摩擦直線ベアリングガイド、高精度ギヤ、ベルト、ベアリングを使用してインテリジェント化ができ、電動アクチュエータ、シリンダと共に同様の効果が得られる。
【0042】各アクチュエータ構造体は配線、信号、動力(パワー)等は必要に応じてコネクタによる接続、信号のシリアル伝送化がなされている。
【0043】特に、流体圧供給は自立分散型の組立、加工セルを構成するべく独立のコンプレッサ、増圧器(Booster)、真空ポンプ、燃料発電機を有する低レベル(0.5〜1.2kg/cm2程度のタービン型大容量圧縮器)の工場集中圧力源をローカルに必要とする場合、3.5kg/cm2、7kg/cm2と昇圧を必要に応じて行えばよい。また、空気圧の分配には、切換弁と圧力制御弁(減圧弁)とフィルタ、必要であればルブリケータを一体化した圧力制御切り換え弁ユニットを使用する。これによりメンテナンスが容易になる。また、これらの切換弁、圧力制御弁には圧力モニタセンサ、圧力スイッチを内蔵させる。
【0044】これらのセル、加工ユニットは、流量計、圧力計等がディジタル化されており、また、アクチュエータ、制御装置、弁、動力発生制御装置と一体化されている。また、Active Noise Controlをしてより一層消音をする。
【0045】もちろん、故障検知機構を圧力、流量、応答時間、電流値、コイルのインピーダンス、振動解析、ノイズ解析によって行い、故障の予知に供する。
【0046】これらのセルはCIMを利用しさらにはAI(Artificial Intelligence)等でセルの組立、構成の設計を行い、機器の自動選定、発注を行い、空気圧回路、電気回路、ネットワーク回路、シーケンス回路、これらのプロシージャ(Procedure)、フローチャート、プログラムを自動的に制作、変更する。
【0047】これらの加工セルは、材料の素地そのままでも良いが、より人間的な作業環境としては白系、乳白色の塗装、もしくは有色アルマイト処理を行って全体として明るいイメージの色、色調、明度とし、色の配色や色のポイントの組合せを全体として人間の精神、人間工学、感性工学に健康なものになるよう自動設計(AIや3次元CAD、CAE)する。
【0048】さらには、人間の嗅覚のために排気を周囲に出さないことや出したとしても活性炭入りのフィルタ、サイレンサ、ウレタンチューブ、ナイロンチューブ、弁、シリンダ、補器、プラスチックまたはそれが保有する吸臭体のプラスチックによって臭いを取り除くと共に上記部材に匂いの物質入りマイクロカプセルや匂い物質を有する微小粉体や液体によって柑橘系や香水等の香りを発生させる。
【0049】また、アクティブノイズコントロールや各構造体、アクチュエータのTスロットや振動体の接合部に緩衝部材を入れたりして、人間の不快な音(周波数)を小さくするようにする。これらの選択、自動設計は、前記CIM、AI、CAEシステムで行われる。この場合、3次元モデルによる音場解析によってインテンシティやモーダル解析もしくは実験データからの振動モデルとシミュレーションモデルを検証して行われる。
【0050】また、各表示器は全体のラインの状態、CIMによる検査、出荷のカウントの状態を表示できる。また、この加工ラインの利益率をも表示し、ライン、セルの財務的管理も行う。
【0051】また、管理者、作業日程、緊急対応のヘルプ機能を有する。
【0052】特に、エアチャック、真空ハンドを有するエンドエフェクトはACサーボモータアクチュエータ、AHC(Auto Hand Changer)、ATC(Auto Tool Changer)の手段を有し、且つ、その接続は、自動結合コネクタによって行われる。制御信号、検知信号は双方向もしくは片方向の組合せで相互にシリアル手段によって行う光通信用コネクタや空間伝送でも良い。無線でも良い。電力と信号を両方向一体に送れるマイクロウエーブでも良い。
【0053】エアもしくは電力はチェック弁付きコネクタや自動開閉器付きコネクタによって、自動着脱が行われる。ハンド自身にシリアル通信機能付き電磁弁マニホールドもしくはシリアル通信機能付き弁や分散通信機能は電動アクチュエータコントローラ/ドライバを内蔵させる。これにより、AHCの結合部の配線、配管が少なくなり、配線、配管一体ワイヤリング、コネクタ等によってもノイズが減り、接点が減少し信頼性が向上する。そして、ハンド部の配線、配管が減少し軽量化される。
【0054】これらのアクチュエータ(電動アクチュエータ、シリンダ)のサーボ系は振動解析、モーダル解析等によって解析し、最適解を求める。振動音もボールねじ、ベルト音、ガイドの音、フレームの振動、組合せ構造体の振動特性を考慮して設計、プログラム化される。学習機能や、現代制御理論によって動作途中に最適化しても良い。
【0055】振動解析においては、位置、速度、加速度、加速度の微分をフィードバックもしくはフィードフォワードによって制振する。
【0056】次に、前記構成体110が全体において複数の工程を有し、独立した生産ラインとして機能する場合について説明する。
【0057】図7に示すように、倉庫170より無人車172およびベルトコンベア116を介して図示しないIDモジュールを備えた部品パレット174が搬送される。この部品パレット174は、構成体110の第1セクション112に搬入され、所定の工程が施される。なお、ワーク176おいて同様にIDモジュールが備えられているものとする。その後、図示しない搬送手段を介して部品パレット174を第2セクション114に搬入する。第2セクション114においては、所定の工程が施された後、所定の生産ライン全工程を終えてさらに他の工程に搬送される。
【0058】一方、アクチュエータの構成体110の各セクションが独立した生産ラインとして機能する場合について説明する。
【0059】図7において、アクチュエータ118は第1のアクチュエータコントローラ200により、アクチュエータ168、シリンダ178および吸着用パッド180は第2のアクチュエータコントローラ202により、アクチュエータ182およびバランサ132は第1のバランサコントローラ204によりそれぞれ制御される。さらに、第1のアクチュエータコントローラ200および第2のアクチュエータコントローラ202および第1のバランサコントローラ204は、それぞれマルチバス184を介して第1の多軸コントローラ206に接続され、一つの作業単位として統合的に制御される。また、アクチュエータ150およびシリンダ158は、第3のアクチュエータコントローラ208により制御され、マルチバス184を介して第2の多軸コントローラ210に接続され、一つの作業単位として統合的に制御される。
【0060】このように、構成体110における第1セクション112の統合的制御は、電気信号、光信号、無線通信等を利用したLANにより第1の多軸コントローラ206および第2の多軸コントローラ210に接続された第1の管理用マイクロプロセッサ212を介して行われる。
【0061】構成体110における第2セクション114において、前記と同様に、アクチュエータ138は、第4のアクチュエータコントローラ216により、アクチュエータ142、シリンダ148およびメカニカルハンド146は第5のアクチュエータコントローラ218により、アクチュエータ152およびシリンダ160は第6のアクチュエータコントローラ220により、アクチュエータ128およびバランサ132は第2のバランサコントローラ222により、アクチュエータ130およびバランサ132は第3のバランサコントローラ224によりそれぞれ制御される。さらに、第2のバランサコントローラ222および第3のバランサコントローラ224はアクチュエータ138を水平状態に保持しながら略鉛直方向に移動させるためにそれぞれローカルコントローラ186に接続され、統合同期制御が行われる。第4および第5のアクチュエータコントローラ216、218およびローカルコントローラ186は、それぞれマルチバス196を介して第3の多軸コントローラ226に接続され、一つの作業単位として統合的に制御される。従って、第2のセクション114における統合的制御も、電気信号、光信号、無線通信を利用したLANにより第3の多軸コントローラ226および第4の多軸コントローラ228に接続された第2の管理用マイクロプロセッサ230により行われる。なお、これらの第1乃至第6のアクチュエータコントローラは、それぞれバランサコントローラとして機能することも可能であり、一方、第1乃至第3のバランサコントローラはアクチュエータコントローラとして機能することも可能である。
【0062】次に、ベルトコンベア116は、ベルトコンベア用コントローラ188により制御され、無人車172および倉庫170はそれぞれ図示しない制御装置、制御システムにより制御される。
【0063】第1の管理用マイクロプロセッサ212および第2の管理用マイクロプロセッサ230、ベルトコンベア用コントローラ188および無人車172、倉庫170の各制御装置(図示せず)は、それぞれ電気信号、光信号、無線信号等を利用したLANによりネットワーク化されており、相互に自由に情報を伝達することができ、このため、独立した生産ラインとしてのアクチュエータの構成体110の統合的な制御システムを構成することができる。
【0064】このLANネットワークには、同等の生産ラインとしてのアクチュエータの構成体110の制御システムにとどまらず、他の生産、管理、情報、通信、制御システムが接続されて、より大規模な統合生産管理システムが構築される。例えば、LANネットワークにFA、CIMに見られるような上位の経営コンピュータとして働く生産管理用コンピュータ190を接続し、さらに大規模な統合生産システムのネットワークの一部としてもよい。この場合、CIMにより管理された工程、発注システムに応じて発注、工程管理、組立、加工、搬送手順とそれに伴う各アクチュエータ、センサ、パレット、ロボット、制御装置等制御対象を上記工程に従って作動させるよう適宜プログラム手順もしくはプログラム編集をリアルタイムで行う。
【0065】これらのシステムのユーザインタフェースとしては、図6に示すようなプログラミングキーボード162、164等の入出力装置192、194が用意されている。これらの入出力装置192、194は、RS232C、RS422C等の汎用インタフェースや電気信号、光同軸通信、無線信号等によるLANおよびマルチバス、イーサーネット、トークンリンクにより自由に各コントローラ、プロセッサ、コンピュータ等に接続することができる。また、上位のCIMコンピュータやコントローラ、プロセッサ等に接続可能な入出力装置または汎用インタフェースが用意されている、この場合、コントロールプログラムの編集、作成、変更、ダウンロード、アップロード、入出力等の作業全体を上位のCIMコンピュータだけにとどまらず、各コントローラ、プロセッサ、コンピュータ等で行うことが可能である。さらに、任意のコントローラ、プロセッサ、コンピュータにアクセスすることが可能である。この場合、マルチナス、LANを介して通信を行っても良いが、それぞれすべてのコントローラ、プロセッサ、コンピュータを互いにネットワークにより直接的に連結しても良い。また、ソフトウエア的に仮想ネットワークにより直接に連結してもよい。また、障害発生時等に自動的に経路変更してもよい。そして、各コントローラ、コンピュータ、入出力装置は、状況に応じてマスタ、スレーブを変えることができるようにすることにより、故障時、ネットワークダウン時の防御機構とすることができる。これにより、作業現場における全体の制御、管理情報の監視、操作が可能になり、作業性の向上のみならず各作業、工程管理におけるシステム全体の統合性を保存した独立個別制御が可能となる。これは、システム全体の柔軟性を高めることとなり、システム変更、保守、多品種少量生産に非常に有効である。
【0066】なお、上記のようなアクチュエータの構成体に用いるアクチュエータの他の形状を図8乃至図10に示す。
【0067】図8に示すアクチュエータ250は、基本的にはモータ262と移動体256とフレーム258とコントローラ260とから構成されている。この場合、移動体256とモータ262はカバー252で覆われており、フレーム258の端部はエンドカバー254、254により蓋がされている。また、コントローラ260はフレーム258に収納されるように構成され、着脱自在に構成されている。このコントローラ260の表面には、ディスプレイ268が設けられており、さらにディスプレイ268の表示内容を選択したりする入力手段264が設けられている。このアクチュエータ250においては、カバー252がモータ262の部分で高くなっているが、コントローラ260の表面と面一にしてもよい。
【0068】図9においては、コントローラ274、276をアクチュエータ270の端部に着脱自在に取り付けるようにしたものであり、コントローラ274、276は、シングルもしくはダブルで取り付け可能である。例えば、シングルの場合には、コントローラ274がアクチュエータ270を制御し、ダブルの場合には、アクチュエータ270、272各々を二つのコントローラ274、276で制御するようにしたものである。これらのコントローラ274、276は通信ラインによりシーケンサもしくはメインコントローラ278に接続され、それからの制御信号によりアクチュエータ270、272を制御するように構成される。
【0069】図10に示すアクチュエータ280は、ペルチェ式冷却方式等の放熱部282を有した特殊形状のコントローラ284を備えたものである。
【0070】
【0071】アクチュエータの構成要素は規格化されたアクチュエータ構造部材、ジョイント、アダプタ、コントローラ配線、コネクタであることから、CAD、CAM、CAEをコンピュータ上で操作ハンドリングができ、3次元データとして表示したり、拡大、縮小したり、詳しく見たり、各部の設計を行うことができ、そして、CIM全体、現場、物流、開発を含めてシミュレーション(構造解析、流体熱解析、機構解析、プラスチック流動解析等)もでき、全体として工場、企業のコンカレントエンジニアリングができる。そしてまた、そのまま物理的な構造体、アクチュエータが制御部周辺を含めて部品のNCによる製作、製造、製作構築をすることができ、さらに、統計的データベースを使用し、見積もできる。LANが下層までできているので、各アクチュエータからのセンサ信号を全体の経営レベルまで含めて合理的に管理できる。
【発明の効果】以上のように構成することにより、各コントローラがID記憶手段に記憶されたIDコードから各アクチュエータを同定することができるため、アクチュエータを組み替えてアクチュエータシステムを再構成することが極めて容易になる。また、各アクチュエータは、個々のコントローラによって分散して所定の制御を行うことができる一方、マスターコントローラがそれらの処理を統括して制御することができるため、複雑な処理を負荷の少ない状態で遂行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアクチュエータシステムを示す図である。
【図2】アクチュエータの構造を示す断面概略図である。
【図3】アクチュエータと脚部の関係を示す図である。
【図4】コントローラの構成を示す図である。
【図5】コントローラを有するアクチュエータの組立説明図である。
【図6】アクチュエータの構成体を示す図である。
【図7】図6に示すアクチュエータの構成体の機能を説明する図である。
【図8】アクチュエータの構成を示す図である。
【図9】アクチュエータとコントローラの接続形状を示す図である。
【図10】コントローラの特別な形状を示す図である。
【符号の説明】
10、50、88、90、118、128、130、138、142、150、152…アクチュエータ
14、148…シリンダ
16、52…脚部
18、3、60、70、92、94、122…コントローラ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-10-14 
出願番号 特願平5-336574
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (G05B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 八木 誠  
特許庁審判長 宮崎 侑久
特許庁審判官 豊原 邦雄
上原 徹
登録日 2002-11-15 
登録番号 特許第3370759号(P3370759)
権利者 SMC株式会社
発明の名称 アクチュエータシステム  
代理人 足立 勉  
代理人 宮寺 利幸  
代理人 千葉 剛宏  
代理人 宮寺 利幸  
代理人 千葉 剛宏  

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