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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C01B
管理番号 1117890
異議申立番号 異議2003-72699  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-12-05 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-05 
確定日 2005-03-22 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3403494号「改質反応器」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3403494号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3403494号の請求項1乃至4に係る発明は、平成6年5月23日に特許出願され、平成15年2月28日に特許権の設定登録がなされ、その後、請求項1乃至4に係る特許について特許異議申立人名越千栄子より特許異議申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成16年3月29日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正の内容
平成16年3月29日になされた訂正請求は、願書に添付された明細書(以下、「特許明細書」という。)を訂正請求書に添付された明細書(以下、「訂正明細書」という。)のとおりに訂正することを求めるもので、その内容は以下のとおりである。
訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1を、下記のとおりに訂正する。
「【請求項1】炭化水素及び/又は分子中に酸素原子を含む含酸素炭化水素と、水及び酸素を含有するガスとを混合・気化して原料ガスとし、前記原料ガス中に含まれる前記炭化水素及び/又は前記含酸素炭化水素の部分酸化、分解及び/又は改質を行い、生成した改質ガスから水素を選択回収するために用いられる改質反応器であって、その内部に、部分酸化、分解及び/又は改質反応用の触媒と、前記触媒の上流側に前記触媒と接触するように配設されたハニカム状をなす加熱用抵抗体と、前記触媒の内部に配設されたPd合金製の水素分離膜とを備え、前記加熱用抵抗体によって、前記原料ガス、前記触媒及び前記水素分離膜を効率よく迅速に加熱することが可能であることを特徴とする改質反応器。」
訂正事項b
特許請求の範囲の請求項2及び3を削除する。
訂正事項c
特許請求の範囲の請求項4を請求項2に繰り上げるとともに、以下のとおりに訂正する。
「【請求項2】前記加熱用抵抗体が、前記触媒の触媒担体となっていることを特徴とする請求項1に記載の改質反応器。」
訂正事項d
明細書の【0007】段落を、以下のとおりに訂正する。
「【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、加熱用抵抗体を改質反応器に内蔵させることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。従って、本発明の改質反応器は、炭化水素及び/又は分子中に酸素原子を含む含酸素炭化水素と、水及び酸素を含有するガスとを混合・気化して原料ガスとし、前記原料ガス中に含まれる前記炭化水素及び/又は前記含酸素炭化水素の部分酸化、分解及び/又は改質を行い、生成した改質ガスから水素を選択回収するために用いられる改質反応器であって、その内部に、部分酸化、分解及び/又は改質反応用の触媒と、前記触媒の上流側に前記触媒と接触するように配設されたハニカム状をなす加熱用抵抗体と、前記触媒の内部に配設されたPd合金製の水素分離膜とを備え、前記加熱用抵抗体によって、前記原料ガス、前記触媒及び前記水素分離膜を効率よく迅速に加熱することが可能であることを特徴とする。また、本発明においては、前記加熱用抵抗体が、前記触媒の触媒担体となっていることが好ましい。」
2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否
訂正事項aは、下記の訂正事項を含むものである。
a-1.特許明細書の請求項1の「炭化水素及び/又は酸素原子を含む炭化水素と、水及び酸素を含有するガスとを混合・気化し、該炭化水素の部分酸化、分解、改質を行う改質反応器であって」との記載を、「炭化水素及び/又は分子中に酸素原子を含む含酸素炭化水素と、水及び酸素を含有するガスとを混合・気化して原料ガスとし、前記原料ガス中に含まれる前記炭化水素及び/又は前記含酸素炭化水素の部分酸化、分解及び/又は改質を行ない、生成した改質ガスから水素を選択回収するために用いられる改質反応器であって」と訂正する。
a-2.特許明細書の請求項1に記載された「部分酸化、分解及び改質反応用の触媒と、ハニカム状をなす加熱用抵抗体」を、「部分酸化、分解及び/又は改質反応用の触媒と、前記触媒の上流側に前記触媒と接触するように配設されたハニカム状をなす加熱用抵抗体」と訂正する。
a-3.特許明細書の請求項1に記載された「改質反応器であって、」の後に、「その内部に」との記載を加えるとともに、特許明細書の請求項1に記載された「ハニカム状をなす加熱用抵抗体と」の後に、「、前記触媒の内部に配設されたPd合金製の水素分離膜と」との記載を加える訂正。
a-4.特許明細書の請求項1に記載された「備えることを特徴とする改質反応器」を「備え、前記加熱用抵抗体によって、前記原料ガス、前記触媒及び前記水素分離膜を効率よく迅速に加熱することが可能であることを特徴とする改質反応器」と訂正する。
以下、訂正事項a-1〜4について検討する。
訂正事項a-1は、特許明細書の請求項1に記載の「酸素原子を含む炭化水素」をより明瞭な「分子中に酸素原子を含む含酸素炭化水素」にし、同請求項1に記載の「部分酸化、分解、改質」との不明瞭な記載を「部分酸化、分解及び/又は改質」と明瞭にするとともに、同請求項1に記載の「炭化水素及び/又は酸素原子を含む炭化水素と、水及び酸素を含有するガスとを混合・気化」したものが「原料ガス」であり、同請求項1に記載の「該炭化水素」が、「原料ガス中に含まれる前記炭化水素及び/又は前記含酸素炭化水素」であることを明瞭にするものであり、さらに、同請求項1に記載された「改質反応器」を「生成した改質ガスから水素を選択回収するために用いられる」ものに限定するものである。
よって、訂正事項a-1は、明瞭でない記載の釈明と特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であると云える。
そして、改質反応器が生成した改質ガスから水素を選択回収するために用いられるものであることは、特許明細書の【0001】、【0005】、【0006】段落の記載から読み取れる事項であるから、訂正事項a-1は、特許明細書に記載された事項の範囲内で明細書の記載を訂正するものであると云え、またこの訂正事項は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
訂正事項a-2は、特許明細書の請求項1に記載された「触媒」を「部分酸化、分解及び/又は改質反応用の触媒」と明瞭にするとともに、該触媒とハニカム状をなす加熱用抵抗体の位置関係を、ハニカム状をなす加熱用抵抗体が「前記触媒の上流側に前記触媒と接触するように配設された」ものに限定するものであるから、明瞭でない記載の釈明と特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であると云える。
そして、ハニカム状をなす加熱用抵抗体が触媒の上流側に触媒と接触するように配設されることは、特許明細書の【0016】段落の記載及び特許明細書に添付された図3から読み取れる事項であるから、訂正事項a-2は、新規事項を追加するものであるとは云えず、またこの訂正事項は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
訂正事項a-3は、特許明細書の請求項1に記載された「改質反応器」が触媒とハニカム状をなす加熱抵抗体とを備える態様を、「その内部に」、即ち改質反応器の内部に触媒とハニカム状をなす加熱抵抗体を備えるものに限定するとともに、さらに、「その内部に」、即ち改質反応器の内部に「前記触媒の内部に配設されたPd合金製の水素分離膜」を備えることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であると云える。
そして、改質反応器の内部に触媒とハニカム状をなす加熱抵抗体と前記触媒の内部に配設されたPd合金製の水素分離膜を備えることは、特許明細書の【0007】〜【0009】段落の記載及び【0003】段落の記載から読み取れる事項であるから、訂正事項a-3は、特許明細書に記載された事項の範囲内で明細書の記載を訂正するものであると云え、またこの訂正事項は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
訂正事項a-4は、訂正事項a-1〜3による訂正後の「改質反応器」が、「前記加熱用抵抗体によって、前記原料ガス、前記触媒及び前記水素分離膜を効率よく迅速に加熱することが可能である」ことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると云える。
そして、かかる改質反応器が、前記加熱用抵抗体によって、前記原料ガス、前記触媒及び前記水素分離膜を効率よく迅速に加熱することが可能なものであることは、【0008】、【0009】、【0016】の記載から読み取れる事項であるから、訂正事項a-4は、特許明細書に記載された事項の範囲内で明細書の記載を訂正するものであると云え、またこの訂正事項は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
次に、訂正事項b乃至dについて順次検討する。
訂正事項bは、請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であると云え、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
訂正事項cは、訂正事項bによる請求項の削除に整合させて、請求項の項番を繰り上げ、引用する請求項を請求項1のみとするとともに、「上記ハニカム状をなす加熱用抵抗体」を「前記加熱用抵抗体」と、「上記部分酸化、分解及び改質反応用の触媒」を「上記触媒」と訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正と云える。そして、この訂正事項cは、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
訂正事項dは、訂正事項a〜cによる特許請求の範囲の記載訂正に整合させて発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正と云える。そして、この訂正事項dは、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
2-3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについて
3-1.本件発明
特許第3403494号の請求項1及び2に係る発明(以下、「本件発明1」及び「本件発明2」という。)は、上記したとおり、訂正を認めることができるから、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及びに記載された次のとおりのものである。
【請求項1】炭化水素及び/又は分子中に酸素原子を含む含酸素炭化水素と、水及び酸素を含有するガスとを混合・気化して原料ガスとし、前記原料ガス中に含まれる前記炭化水素及び/又は前記含酸素炭化水素の部分酸化、分解及び/又は改質を行い、生成した改質ガスから水素を選択回収するために用いられる改質反応器であって、その内部に、部分酸化、分解及び/又は改質反応用の触媒と、前記触媒の上流側に前記触媒と接触するように配設されたハニカム状をなす加熱用抵抗体と、前記触媒の内部に配設されたPd合金製の水素分離膜とを備え、前記加熱用抵抗体によって、前記原料ガス、前記触媒及び前記水素分離膜を効率よく迅速に加熱することが可能であることを特徴とする改質反応器。
【請求項2】前記加熱用抵抗体が、前記触媒の触媒担体となっていることを特徴とする請求項1に記載の改質反応器。
3-2.当審から通知された取消理由の概要
当審から通知された取消理由は、本件請求項1乃至4に係る発明は、下記の刊行物1乃至5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
刊行物1:特開昭59-69402号公報
(特許異議申立人が提出した甲第1号証)
刊行物2:特開平4-160003号公報
(特許異議申立人が提出した甲第2号証)
刊行物3:特開平2-223622号公報
刊行物4:特開平3-288525号公報
刊行物5:特開平5-138038号公報
(特許異議申立人が提出した甲第3号証)
3-3.刊行物に記載された事項
(1)刊行物1には、下記の記載がある。
1-ア.「炭化水素燃料を水あるいはスチーム又は空気と混合し、リフォーミング触媒体上で水素あるいは低分子の炭化水素を主成分としたガスに変換させる反応管を構成し、前記リフォーミング触媒体とその上流側を加熱するヒータを前記反応管内に配設し、前記リフォーミング触媒体と前記ヒータの外周部とをヒートパイプで一体に覆う構成とした炭化水素燃料改質装置。」(特許請求の範囲 請求項1)
1-イ.「ヒータは発熱体を複数本の筒型あるいは棒状のセラミック内部に設けて構成した特許請求の範囲第1項記載の炭化水素燃料改質装置。」(特許請求の範囲 請求項2)
1-ウ.「本発明の炭化水素燃料改質装置は、炭化水素ガスを水あるいはスチーム又は空気と混合し、リフォーミング触媒上で水素あるいは低分子の炭化水素を主成分としたガスに変換させる反応管を構成し、前記リフォーミング触媒体とその上流側を加熱するヒータを前記反応管内に配設し、前記リフォーミング触媒体と前記ヒータの外周部とをヒートパイプで一体に覆う構成としたことにより、・・・炭化水素ガスをスムーズにリフォーミング反応させて水素と炭酸ガスとに改質することができる。」(第2頁左上欄14行〜同頁右上欄6行)
1-エ.「ガス化材として水やスチームを用いる代わりに、少量の空気を混合して部分酸化を行うパーシャルオキシデーションにおいてもその効果は大きく、改質能力も飛躍的に高めることができるという効果を有するものである。」(第2頁7〜11行)
1-オ.「第1図において、1は・・・反応管で、この反応管1内には・・・リフォーミング触媒体2が設けられている。・・・。4はリフォーミング触媒体2の上流側に位置して反応管1内に等間隔で平行に設けられたヒータで、このヒータは棒状のセラミック内に発熱体5を埋設して構成されている。6はリフォーミング触媒2とヒータ4の外周部とを覆ったヒートパイプである。」(第2頁右上欄15行〜同頁左下欄7行)として、第4頁には第1図が記載されている。
1-カ.「以下パーシャルオキシデーションを説明する。ヒータ4を予め800〜850℃に昇温してリフォーミング触媒体2を正面あるいはヒートパイプ6を介して側面から750〜800℃まで予熱する。次に炭化水素燃料と空気との混合気を矢印の如く反応管内へ徐々に流入すると、ヒータ4に接触して加熱される。またヒータ4からの輻射熱を受けたヒートパイプ6は、その輻射熱をリフォーミング触媒体2の外周部から均一に加熱を行う。ヒータ4で加熱された炭化水素燃料は、予め800〜850℃に加熱されたリフォーミング触媒体2に供給され、・・・部分酸化反応が行われる。」(第2頁左下欄17行〜同頁右下欄11行)
(2)刊行物2には、下記の記載がある。
2-ア.「改質触媒を充填し、炭化水素と水蒸気と酸素又は空気とを導入する反応管(12)と、この反応管(12)を外部から加熱する加熱器(14)とを備えた水蒸気改質装置において、反応管(12)の少なくとも一部が水素透過膜(16)で形成され、原料供給管(24)又は反応管(12)に接続された酸素供給管(26)又は空気供給管に、改質触媒層の温度により作動する流量調節手段(28)が設けられたことを特徴とする水素製造装置。」(特許請求の範囲 請求項4)
2-イ.「本発明は、炭化水素を主成分とする改質原料ガスを燃料改質装置(リフォーマー)に供給して水蒸気改質し、同時に、原料炭化水素を部分酸化して改質触媒層を内部から加熱し、水素リッチな改質ガスを製造する水蒸気改質方法において、生成した水素を水素透過膜を通過させて反応系から分離するとともに、部分酸化用に添加する酸素量又は空気量を制御することにより、熱力学的平衡関係に律速されず、高い反応率で水素を製造することができる・・・装置に関するものである。」(第1頁右欄最終行〜第2頁左上欄10行)
2-ウ.「反応管12の内部には、多孔質担体の表面に耐熱性多孔質セラミックスからなる水素透過膜16をコーティングした管状体が設けられ、この管状体の外壁と反応管12の内壁との間に改質触媒が充填されて改質触媒層18を形成してメンブレンリアクター20が構成されている。」(第3頁左上欄15行〜同頁右上欄1行)
2-エ.「メンブレンリアクター20の作用について詳細に説明する。改質触媒層18の内部にH2ガスを選択的に透過する耐熱性の膜材(セラミックス多孔質膜、Pd合金膜等)を挿入し、外部からの触媒層の加熱により、下記の炭化水素のリフォーミング反応を行わせる。また、原料に炭化水素とスチーム以外に酸素(又は空気)を混合し、部分酸化発熱反応を起こさせ、負荷変化時に、触媒層内部から直接加熱し、負荷追随性を向上させる。」(第3頁右上欄17行〜同頁左下欄6行)
2-オ.第5頁には刊行物2に記載された発明の方法を実施する水素製造装置の一実施例を示すフローシートである第1図が、第6頁には第1図におけるメンブレンリアクターの断面説明図である第2図が記載されている。
(3)刊行物3には、下記の記載がある。
3-ア.「ステンレス鋼から成るハニカム形状体に電極を配設すると共に、該電極を通じて前記ハニカム形状体に通電し、発熱させるようにしたことを特徴とするハニカムヒータ。」(特許請求の範囲 請求項1)
3-イ.「表面に形成したアルミナ層に触媒成分を担持させて成るステンレス鋼製のハニカム形状体に電極を配設すると共に、該電極を通じて前記ハニカム形状体に通電し、発熱させるようにしたことを特徴とする排ガス浄化装置。」(特許請求の範囲 請求項2)
3-ウ.「本発明はハニカムヒータ、およびこのハニカムヒータを用いた自動車用の排ガス浄化装置に関する。」(第1頁左下欄17〜19行)
(4)刊行物4には、下記の記載がある。
4-ア.「金属粉末をハニカム状に押出成形し、焼結させた金属質ハニカム構造体に、通電のための少なくとも2つの電極を設け、該金属質ハニカム構造体における貫通孔内のガス流体を加熱することを特徴とするハニカムヒーター。」(特許請求の範囲 請求項1)
4-イ.「主モノリス触媒の上流側に近接させて、請求項1または2記載のハニカムヒーターを配設したことを特徴とする触媒コンバーター。」(特許請求の範囲 請求項3)
4-ウ.「金属粉末をハニカム状に押出成形し、焼結させた金属質ハニカム構造体に触媒を担持させるとともに、通電のための少なくとも2つの電極を設けたことを特徴とする触媒コンバーター」(特許請求の範囲 請求項4)
4-エ.「本発明は、金属質ハニカム構造体からなるハニカムヒーターと触媒コンバーターに関する。これらは温風ヒーターなどの民生用ヒーター、自動車の排ガス浄化用のプレヒーター等の工業用ヒーターとして好適に使用でき、また自動車の排ガス浄化用などの触媒コンバーターとしても好ましく適用できる。」(第1頁右下欄14〜20行)
4-オ.「(自動車排ガス用プレヒーター性能の確認)エンジン始動時の性能を確認するために、市販の三元触媒の前方にプレヒーターとして本実施例のサンプルを設置した触媒コンバーターを用いた。」(第3頁右下欄3〜7行)
(5)刊行物5には、下記の記載がある。
5-ア.「非燃焼性無機繊維と比表面積が少なくとも30m2/g以上の無機粒子とパルプとからなる紙ハニカムに、化学メッキ法でNi基金属をメッキしたのち上記パルプ分を焼却したメタルハニカム基材に酸化活性を有する触媒成分を担持したことを特徴とする排ガス浄化用触媒。」(特許請求の範囲 請求項1)
5-イ.「請求項1において、前記メタルハニカム基材に酸化活性を有する触媒成分を担持させた触媒の2個所以上に電極を設け通電可能としたことを特徴とする排ガス浄化用触媒。」(特許請求の範囲 請求項2)
5-ウ.「本発明は、排ガス浄化用触媒およびその製造方法に係り、特に自動車エンジンの排気をはじめ、各種産業・化学プラントから発生する廃(排)ガス中の各種炭化水素(以下、HCという)、一酸化炭素(以下、COという)等、燃焼可能な有害物質を除去するための排ガス浄化用触媒およびその製造方法に関する。」(第2頁第1欄32〜38行)
5-エ.「実施例1のメタルハニカム触媒の外側面両端にリング状の電極を取り付け、電極間を通電可能とした。本触媒使用時に通電して触媒の昇温を早めることができる。」(第4頁第6欄7〜9行)
3-4.対比、判断
(1)本件発明1について
記載事項1-ウからみて、記載事項1-アにおける「炭化水素燃料を水あるいはスチーム又は空気と混合し」たものは気化されると云え、また、記載事項1-エ及びカからみて、炭化水素燃料を空気と混合したものについてはリフォーミング触媒体により部分酸化が行われることとなり、記載事項1-アにおける「リフォーミング触媒体」は、改質用のみならず部分酸化用の触媒体として機能すると云える。また、記載事項1-ウ、オ及びカからみて、記載事項1-アにおける「ヒータ」はリフォーミング触媒体の上流側に配設され、リフォーミング触媒体と混合気を加熱するものであると云えるから、記載事項1-ア〜カを本件発明1に則って整理すると、刊行物1には下記の発明(以下、「刊1発明」という。)が記載されていると云える。
「炭化水素燃料を水あるいはスチーム又は空気と混合・気化して混合気とし、前記混合気中に含まれる炭化水素燃料の部分酸化及び/又は改質を行う炭化水素燃料改質装置であって、反応管の内部に部分酸化及び/又は改質反応用のリフォーミング触媒体と、前記リフォーミング触媒体の上流側に配設されたヒータと、前記リフォーミング触媒体及び前記ヒータの外周部を覆うヒートパイプとを備え、前記ヒータ及びヒートパイプによって混合気及び前記リフォーミング触媒体を効率よく加熱することが可能である炭化水素燃料改質装置。」
本件発明1と刊1発明を対比すると、後者における「空気」、「混合気」、「リフォーミング触媒体」、「ヒータ」は、各々、前者における「酸素を含有するガス」、「原料ガス」、「触媒」、「加熱抵抗体」に相当すると云え、後者における「炭化水素燃料」は炭化水素を主成分とするものであり、後者における「炭化水素燃料改質装置」は改質反応器と云えるものであるから、両者は、
「炭化水素を混合・気化して原料ガスとし、前記原料ガス中に含まれる前記炭化水素の部分酸化及び/又は改質を行う改質反応器であって、その内部に、部分酸化及び/又は改質反応用の触媒と、前記触媒の上流側に配設された加熱用抵抗体とを備え、前記加熱用抵抗体によって、前記原料ガス及び前記触媒を効率よく加熱することが可能である改質反応器」
で一致し、下記の点で相違する。
(i)前者は、炭化水素を水及び酸素を含有するガスと混合・気化して原料ガスとするのに対し、後者は、炭化水素を水又は酸素を含有するガスと混合・気化して原料ガスとする点。
(ii)前者は、触媒の上流側に前記触媒と接触するように配設されたハニカム状をなす加熱用抵抗体を備えたものであるのに対し、後者は、加熱用抵抗体の形状がハニカム状ではなく、加熱用抵抗体を触媒と接触するように配設するとの特定がない点。
(iii)前者は、触媒の内部に配設されたPd合金製の水素分離膜を備え、生成した改質ガスから水素を選択回収するために用いられるものであるのに対し、後者はかかる特定がない点。
(iv)前者は、加熱用抵抗体によって原料ガス、触媒及び水素分離膜を効率よく迅速に加熱するものであるのに対し、後者は、加熱用抵抗体及びヒートパイプによって原料ガス及び触媒を効率よく加熱するものである点。
そこでまず、相違点(ii)及び(iv)についてまとめて検討する。
刊行物2には、記載事項2-ア〜オからみて、内部にPd合金膜からなる水素透過膜を挿入した部分酸化及び改質反応用触媒を用いて、炭化水素と水蒸気と酸素又は空気の混合物中に含まれる炭化水素を部分酸化及び改質するとともに、改質ガスから水素を選択回収する装置について記載されているが、該触媒の加熱手段としては、該触媒を充填した反応管を外部から加熱する加熱器が記載されているだけであって、加熱手段として加熱用抵抗体を用いることについては何等記載がない。
また、刊行物3には、記載事項3-ア及びウからみて、ハニカム状のヒータ、即ちハニカム状をなす加熱用抵抗体が記載されていると云える。刊行物4には、記載事項4-ア及びエからみて、ハニカムヒーター、即ちハニカム状をなす加熱用抵抗体が記載されていると云え、しかも、記載事項4-ア、イ、エ、オからみて、該ハニカム状をなす加熱用抵抗体を主モノリス触媒の上流側に近接させて配設することが記載されていると云える。さらに、刊行物5には、記載事項5-ア〜エには、通電可能なメタルハニカム基材に触媒成分を担持させた排ガス浄化用触媒が、また触媒使用時に通電して触媒の昇温を早めることができることが記載されている。
してみると、刊行物3乃至5には、ハニカム状をなす加熱用抵抗体自体は記載されていると云える。特に、刊行物4には該ハニカム状をなす加熱用抵抗体を主モノリス触媒の上流側に近接させて配設することも記載されている。しかし、刊行物4を検討すると、記載事項4-イ、エ、オに明記されているように、主モノリス触媒の上流側に近接させて配設したハニカム状をなす加熱用抵抗体は、自動車の排ガス浄化用のプレヒータであって、改質反応器における触媒の加熱とは技術分野が異なるものである。しかも、近接させて配設することについて刊行物4を検討すると、記載事項4-オに「市販の三元触媒の前方にプレヒーターとして本実施例のサンプルを設置した」との記載があるだけで、近接させて配設することが、ハニカム状をなす加熱用抵抗体を主モノリス触媒と接触するように配設することであるとは云えない。
よって、刊行物2乃至5を検討しても、改質反応器において、触媒の上流側に前記触媒と接触するようにハニカム状をなす加熱用抵抗体を配設することは記載も示唆もされていない。
そして、改質反応器において触媒の上流側に前記触媒と接触するように配設されたハニカム状をなす加熱用抵抗体を備えたことにより、ヒートパイプを用いずとも該加熱用抵抗体によって原料ガス、触媒さらには水素分離膜を効率よく迅速に加熱することが可能である改質反応器となるのである。
してみると、相違点(ii)及び(iv)で挙げた本件発明1の構成要件は、刊行物2乃至5に記載された事項から当業者が容易に想到し得たものであるとは云えない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、刊行物1乃至5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは云えない。
(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1を引用するものであって、本件発明1の構成要件の全てをその構成要件とするものであるから、少なくとも、上記(1)で述べた理由と同じ理由により、刊行物1乃至5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは云えない。
3-5.特許異議申立人が主張する他の理由について
特許異議申立人は、上記刊行物1,2及び5を甲第1乃至3号証として提出するとともに、甲第4号証(特開平5-293388号公報)及び甲第5号証(特開平5-285387号公報)を提出し、本件発明1及び2は、甲第1乃至5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張している。
しかし、甲第4号証及び甲第5号証には、それぞれ排ガス浄化用触媒担体として使用されるハニカム状をなす加熱抵抗体について記載されていると云えるが、改質反応器においてハニカム状をなす加熱抵抗体を触媒の上流側に前記触媒と接触するように配設することについては記載も示唆もされていないから、本件発明1及び2は、甲第1号証乃至甲第5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとは云えない。

4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠方法によっては本件発明1及び2についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1及び2についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1及び2についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
改質反応器
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 炭化水素及び/又は分子中に酸素原子を含む含酸素炭化水素と、水及び酸素を含有するガスとを混合・気化して原料ガスとし、前記原料ガス中に含まれる前記炭化水素及び/又は前記含酸素炭化水素の部分酸化、分解及び/又は改質を行い、生成した改質ガスから水素を選択回収するために用いられる改質反応器であって、その内部に、部分酸化、分解及び/又は改質反応用の触媒と、前記触媒の上流側に前記触媒と接触するように配設されたハニカム状をなす加熱用抵抗体と、前記触媒の内部に配設されたPd合金製の水素分離膜とを備え、前記加熱用抵抗体によって、前記原料ガス、前記触媒及び前記水素分離膜を効率よく迅速に加熱することが可能であることを特徴とする改質反応器。
【請求項2】 前記加熱用抵抗体が、前記触媒の触媒担体となっていることを特徴とする請求項1に記載の改質反応器。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メタン、プロパン、メタノール、エタノール、石油等の炭化水素や酸素原子を含む炭化水素を原料として水素を製造するための改質反応器に係り、更に詳細には、燃料電池と蓄電池との組合わせを電源とする電気自動車の燃料電池に、燃料水素を供給するために用いられる改質反応器であって、メタノール等を原料として水素を生成する改質反応器の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、改質反応器は、メタンやメタノール等の炭化水素や含酸素炭化水素を含む原料ガスを、水蒸気改質反応とCOシフト反応により主として水素と二酸化炭素とに分解し、水素を回収するのに用いられる。このような改質反応器への反応熱の供給は、触媒燃焼又はバーナにより間接加熱又は直接加熱することにより行われていた。特開平6-48701公報号には、間接加熱の触媒燃焼器に格子状燃焼触媒(ハニカム燃焼触媒)を用い、触媒燃焼器の圧損を軽減できることが開示されており、更に、触媒燃焼器の予備加熱において電気ヒータを用いることにより、触媒燃焼器の均熱化が図れることも開示されている。また、本件出願人は、本願と同日付けで、メタンやメタノールなどの炭化水素や含酸素炭化水素と水蒸気と酸素とを含有するガスを、燃焼(部分酸化)、改質、シフト反応させ得る改質反応器に供給し、この改質器反応器内部で熱を得る高純度水素製造システム及び高純度水素の製造方法を提案した。
【0003】ここで、従来の改質反応器を用いた改質反応を、図4を参照して説明する。図4において、メタンやメタノールと水蒸気とを混合した改質原料ガスは、改質反応器1に供給され、改質反応器1内の改質・シフト触媒2により、主に水素と二酸化炭素が生成する。生成した改質ガスは、所要に応じて水素分離装置3により処理され、水素が回収される。特に、電気自動車などの燃料電池に燃料供給する場合、水素分離装置3には高純度の水素を得るためにPd合金製の水素分離膜が使用される。回収されなかった水素は二酸化炭素とともに排出される。
【0004】上述の改質反応に必要な熱は、メタンやメタノールと酸素とを含む混合ガスをバーナや電気ヒータを備えた予備加熱器4で予備加熱し、次いで、触媒燃焼器5で燃焼させ、得られた熱6を改質反応器1に伝熱することにより供給される。そして、予備加熱、触媒燃焼により生成した水蒸気、二酸化炭素は排出される。また、バーナを用いた直接加熱により改質反応に必要な熱を供給する場合には、改質反応器1に、触媒燃焼やバーナによる燃焼ガスと改質原料ガスとの混合ガスが供給される。更に、本件出願人が提案した高純度水素製造システムにおいては、改質反応器で触媒燃焼(部分酸化)を生じさせて内部発熱させるに当たり、改質反応器1に予備加熱した改質原料ガスと酸素とを含む混合ガスを供給する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記で説明した本件出願人の提案に係る水素製造システムは、改質反応(吸熱反応)に必要とされる熱を、部分酸化反応(発熱反応)を改質反応器内で生じさせることにより供給し、炭化水素単位量当たりの水素回収率に優れるものであるが、以下に示すような改良の余地が存在することが判明した。即ち、(1)始動時において、改質反応器が予備加熱された上記混合ガスにより加熱され所定温度に達する迄は、予備加熱用電気ヒータ、ガス、ガスを介する熱伝達により改質反応器を積極的に加熱しなければならず、所定温度に達する以前においては、改質反応、部分酸化反応が開始されず、未反応ガスが排出される。
(2)上記始動時における予備加熱用電気ヒータ自身の加熱、ガスの加熱、ガスを介する熱伝達による改質反応器の加熱には、多くの電力が必要である。
(3)水素分離膜により水素を選択回収しようとする場合、始動時に、水素分離膜が反応生成ガスにより加熱されて水素透過を行うに十分な温度に達するまでは、水素の回収が充分ではない。
【0006】本発明は、上記改良の余地に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、迅速且つ熱効率良く始動でき、水素回収率に優れた改質反応器を提供することにある。また、本発明の他の目的は、コンパクトで消費電力が低減した改質反応器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、加熱用抵抗体を改質反応器に内蔵させることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。従って、本発明の改質反応器は、炭化水素及び/又は分子中に酸素原子を含む含酸素炭化水素と、水及び酸素を含有するガスとを混合・気化して原料ガスとし、前記原料ガス中に含まれる前記炭化水素及び/又は前記含酸素炭化水素の部分酸化、分解及び/又は改質を行い、生成した改質ガスから水素を選択回収するために用いられる改質反応器であって、その内部に、部分酸化、分解及び/又は改質反応用の触媒と、前記触媒の上流側に前記触媒と接触するように配設されたハニカム状をなす加熱用抵抗体と、前記触媒の内部に配設されたPd合金製の水素分離膜とを備え、前記加熱用抵抗体によって、前記原料ガス、前記触媒及び前記水素分離膜を効率よく迅速に加熱することが可能であることを特徴とする。また、本発明においては、前記加熱用抵抗体が、前記触媒の触媒担体となっていることが好ましい。
【0008】
【作用】本発明においては、加熱用抵抗体を改質反応器内部に配設することにした。従って、改質反応器への熱伝達が良好であり、改質反応器自体や部分酸化、分解及び/又は改質反応用の触媒が迅速に所定温度に達するため、始動を容易に行うことができ、始動時における未反応ガスの排出も低減できる。そして、上記加熱用抵抗体を触媒に埋設した場合には、上記触媒への熱伝達が一層良好なものとなり、一層迅速に始動することが可能となる。更に、上記加熱用抵抗体をハニカム状に形成し、このハニカム状抵抗体を上記触媒の担体としても使用すれば、熱伝達を極めて良好に行うことができ、始動が極めて迅速なものとなる。また、上述の如く加熱用抵抗体を改質反応器内部に配設したことから、予備加熱器等が不要であり、始動時において余分な部分(装置)を加熱しなくてもよく、改質反応器を効率よく加熱でき、余分な部分の加熱に消費されていた電力を低減できる。
【0009】また、改質反応容器内部に水素分離膜を設置した場合には、水素分離膜も迅速に加熱され、早期に水素分離を行うに十分な温度に達するため、始動当初から効率の良い水素回収を行うことができる。更に、水素分離膜を上記触媒内部に配設した場合には、水素分離膜への熱伝達が一層良好であり、一層効率の良い水素回収を行うことが可能である。
【0010】本発明の改質反応器は、上述の如く余分な予備加熱器等を必要とせず、軽量且つコンパクトであることから、特に燃料電池と蓄電池との組合せを電源とする電気自動車に搭載するのに好適である。本発明の改質反応器を、燃料電池に燃料水素を供給する装置として用いれば、始動時において、燃料電池から蓄電池への充電を短時間で開始でき、蓄電池の容量設計を容易にできる。また、加熱用抵抗体の加熱電源を該蓄電池とすることもでき、電力を有効活用できる。なお、本発明の改質反応器を上述の如く電気自動車に適用するに際し、使用する燃料電池としては、リン酸塩型燃料電池、固体高分子電解質燃料電池を例示できるが、後者の方が作動温度が低く(約100℃以下)、小型・軽量であるため好ましい。更に、後者では、電極触触媒たるPtの被毒に対するCO許容量が10ppm以下と厳しく、水素分離膜を用いた本発明の改質反応器へ適用すれば、大きな効果が得られる。また、改質原料に用いる炭化水素及び/又は酸素原子を含む炭化水素としては、常温・常圧で液体であり、貯蔵・輸送等に優れるメタノール、エタノールを好ましく使用できる。
【0011】
【実施例】以下、本発明を図面を参照して実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(参考例1)図1は、改質反応器の一参考例を示す概略説明図であり、燃料電池及び蓄電池と組み合わせた装置を示している。同図において、改質反応器11は触媒10と加熱用抵抗体12とを備え、加熱用抵抗体12は触媒10に埋設されている。この触媒10は、メタノール等の炭化水素や含酸素炭化水素の部分酸化、分解、改質反応を進行・促進させる機能を有するものである。一方、抵抗体12は、特に限定されるものではなく、種々の形状、材質等を採り得るが、具体的には線状金属発熱体、板状金属発熱体、コイル状金属発熱体等を例示できる。なお、これら金属発熱体には、所要に応じて絶縁被覆を施すこともできる。また、改質反応器11は、水素分離装置14を介して燃料電池16と連結しており、燃料電池16は蓄電池18と連結し、蓄電池18は改質反応器11と連結している。
【0012】次に、図1に示す装置の作動状態を説明する。改質反応器11に供給された炭化水素、水及び酸素は、所定温度に加熱され、部分酸化反応や改質反応を起こし、主として水素と二酸化炭素とが生成する。生成した水素及び二酸化炭素は水素分離装置14に供給され、水素分離され燃料電池16に水素が供給される。この際、水素分離されなかった未透過ガスは排出される。そして、燃料電池16により発生した電力は、蓄電池18に送られ貯蔵される。蓄電池18に貯蔵された電力は、改質反応器11を加熱するのに使用することができる。
【0013】(性能評価)蓄電池18から電力を供給して改質反応器11を加熱した。改質反応器11は、改質反応、部分酸化反応が進行する温度である300℃まで約30秒で加熱された。この加熱に必要とされた電力量は、50キロジュールであった。上述のように加熱した改質反応器11に、メタノールと空気と水蒸気との混合ガスを供給すると、即座に部分酸化反応及び改質反応が開始された。このため、未反応のガスは排出されなかった。
【0014】(比較例1)図4に示した装置において、予備加熱器4に電力を供給して加熱したところ所定温度に達するまでに60秒を要した。更に、触媒燃焼器5が所定温度に達するまでに30秒を要したため、合計90秒以上の加熱が必要であった。この結果、上記加熱に要した電力は200キロジュールであり、また、予備加熱器5が加熱された後に触媒燃焼器が加熱されるまでの時間である30秒間は、未反応のガスが排出された。以上の結果を参考例1の場合と比較すると、参考例1の改質反応器は始動特性に優れ、且つ省電力に資することが分かる。
【0015】(参考例2)図2に、改質反応器の他の参考例を示す。なお、以下、上記で説明した部材と実質的に同一の部材には同一符号を付し、その説明を省略する。図2において、触媒10の内部には水素分離膜20が配設されている。水素分離膜20がこのように配設されているため、本実施例においては、水素分離膜20が水素を選択的に透過させる温度にまで迅速に加熱される。従って、初期段階においても水素を効率よく回収できる。参考例1の場合と同様の性能評価をおこなったところ、水素分離膜20は、改質反応器13が所定温度に達するのと同時に(約30秒で)、水素透過性を発揮する温度である300℃に加熱され、水素回収率も良好であった。
【0016】(実施例1)図3に、本発明の改質器の一実施例を示す。同図において、触媒10の上流側(メタノール等が供給される側)にはハニカム状抵抗体22が配設されており、また、触媒10内部に水素分離膜20が配設されている。図3に示す装置を用いて、参考例1と同様の性能評価を行うと、ハニカム状抵抗体22は、触媒反応が進行する温度である300℃に10秒で加熱された。また、改質反応器15全体が300℃に加熱されるまでの時間は、わずかに20秒であり、これら加熱に要した電力量は20キロジュールであった。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、加熱用抵抗体を改質反応器に内蔵させることとしたため、迅速且つ熱効率良く始動でき、水素回収率に優れた改質反応器を提供することができる。また、本発明によれば、コンパクトで消費電力が低減した改質反応器を提供することができる。即ち、始動持に改質反応器が効率的に加熱され、短時間で水素製造が開始でき、未反応ガスの排出を低減できる。また、始動時に必要な電力を低減できる。更に、水素分離膜による水素回収が、始動時から効率良く行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】改質反応器の一参考例を示す概略説明図である。
【図2】改質反応器の他の参考例を示す概略説明図である。
【図3】本発明の改質反応器の一実施例を示す概略説明図である。
【図4】従来の改質反応器の一例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
10 触媒、11、13、15 改質反応器、12 抵抗体、14 水素分離装置、16 燃料電池、18 蓄電池、20 水素分離膜、22 ハニカム状抵抗体
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-03-01 
出願番号 特願平6-108627
審決分類 P 1 651・ 121- YA (C01B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平塚 政宏  
特許庁審判長 大黒 浩之
特許庁審判官 鈴木 毅
岡田 和加子
登録日 2003-02-28 
登録番号 特許第3403494号(P3403494)
権利者 日本碍子株式会社
発明の名称 改質反応器  
代理人 渡邉 一平  
代理人 渡邉 一平  
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