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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01D
管理番号 1117898
異議申立番号 異議2003-72579  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-12-13 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-10-20 
確定日 2005-04-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3399157号「計測装置」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3399157号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第3399157号の請求項1及び2に係る発明についての出願は、平成7年6月1日に出願され、平成15年2月21日にその発明について特許権の設定登録がされ、平成15年4月21日にその特許掲載公報の発行がされ、平成15年10月20日に、全請求項に係る特許について、異議申立人株式会社タニタにより特許異議の申立てがなされ、平成16年8月10日付け(発送日同年8月17日)で取消の理由が通知され、その指定期間内である平成16年10月8日に訂正請求がなされ、平成16年10月27日付け(発送日同年11月9日)で再度の取消の理由が通知され、その指定期間内である平成16年12月20日に同年10月8日の訂正請求を取り下げるとともに、訂正請求がなされ、さらに平成17年1月19日付け(発送日同年1月28日)で取消の理由が通知され、その指定期間内である平成17年3月14日付けで、12月20日付けの訂正請求を取り下げるとともに、訂正請求がなされたものである。

第2 訂正の適否の判断
1 訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、平成17年3月14日付けの訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち、以下の(1)ないし(6)のとおり訂正するものである。
(1)訂正事項[1]
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項[2]
特許明細書の特許請求の範囲の請求項2の「生体信号を検知する検知手段と、この検知手段からの検知信号に基づいて生体に関する測定データを算出する演算手段と、この演算手段で得られた測定データをグラフ表示する表示手段と、前記表示手段のグラフ表示の時間軸単位を切り替える時間軸単位切替手段とを備える計測装置において、前記表示手段は、一定の時間範囲に含まれる測定データのうち基準時に最も近い測定データを基準時の測定データとして表示することを特徴とする計測装置。」を「生体信号を検知する検知手段と、この検知手段からの検知信号に基づいて生体に関する測定データを算出する演算手段と、この演算手段で得られた測定データを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された測定データをグラフ表示する表示手段と、前記表示手段のグラフ表示の時間軸単位を切り替える時間軸単位切替手段とを備える計測装置において、前記表示手段は、前記記憶手段に記憶された一定の時間範囲に含まれる測定データのうち基準時に最も近い測定データを基準時の測定データとするとともに、グラフ表示領域は表示すべき全測定データの略平均値を中心とし、該表示すべき測定データの最大値及び最小値を表示し得るように設定することを特徴とする計測装置。」とし、請求項の番号を繰り上げて新たな請求項1と訂正する。
(3)訂正事項[3]
特許明細書の第2頁第3欄の第15行ないし第29行(記載の箇所の特定は、特許掲載公報に依った。以下、同じ。)の「本発明の請求項1記載の計測装置は、生体信号を検知する検知手段と、この検知手段からの検知信号に基づいて生体に関する測定データを算出する演算手段と、この演算手段で得られた測定データをグラフ表示する表示手段と、前記表示手段のグラフ表示の時間軸単位を切り替える時間軸単位切替手段とを備えるものにおいて、前記表示手段は、一定の時間範囲に含まれる測定データの平均値を基準時の測定データとして表示する。そして、切り替え時の表示は、一定の時間範囲に含まれる測定データの平均値を基準の測定データとして表示するため、基準時に対応した適性な測定データを視認できる。」を削除する。
(4)訂正事項[4]
特許明細書の第2頁第3欄の第29行ないし第37行の「また、請求項2に係る計測装置は、生体信号を検知する検知手段と、この検知手段からの検知信号に基づいて生体に関する測定データを算出する演算手段と、この演算手段で得られた測定データをグラフ表示する表示手段と、前記表示手段のグラフ表示の時間軸単位を切り替える時間軸単位切替手段とを備えるものにおいて、前記表示手段は、一定の時間範囲に含まれる測定データのうち基準時に最も近い測定データを基準時の測定データとして表示する。」を「本発明の請求項1記載の計測装置は、生体信号を検知する検知手段と、この検知手段からの検知信号に基づいて生体に関する測定データを算出する演算手段と、この演算手段で得られた測定データを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された測定データをグラフ表示する表示手段と、前記表示手段のグラフ表示の時間軸単位を切り替える時間軸単位切替手段とを備えるものにおいて、前記表示手段は、前記記憶手段に記憶された一定の時間範囲に含まれる測定データのうち基準時に最も近い測定データを基準時の測定データとするとともに、グラフ表示領域は表示すべき全測定データの略平均値を中心とし、該表示すべき測定データの最大値及び最小値を表示し得るように設定する。」と訂正する。
(5)訂正事項[5]
特許明細書の第4頁第7欄の第23行ないし第30行目の「グラフ表示の時間軸単位を切り替えるため、測定データを1日毎に表示できるのは勿論のこと、1時間毎や12時間毎、あるいは2日おきや1週間おき等に表示したりできる。そして、切り替え時の表示は、一定の時間範囲に含まれる測定データの平均値を基準の測定データとして表示するため、基準時に対応した適性な測定データを視認できる。また、請求項2に係る発明によれば」の記載を削除する。
(6)訂正事項[6]
特許明細書中の【発明の詳細な説明】の欄の記載において、添付の訂正明細書に記載されたとおり、段落番号【0001】ないし【0024】を付加する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項[1]について
訂正事項[1]は、請求項1を削除するものであるので、特許請求の範囲の減縮を目的とする明細書の訂正に該当するものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものではない。
(2)訂正事項[2]について
訂正事項[2]は、請求項2の発明特定事項に「この演算手段で得られた測定データを記憶する記憶手段」を付加し、「表示手段」が、当該「記憶手段に記憶された測定データをグラフ表示する」ものであることを限定するとともに、「表示手段」が、「一定の時間範囲に含まれる測定データのうち基準時に最も近い測定データを基準時の測定データとする」点を当該「記憶手段に記憶された」測定データである点に限定し、「前記表示手段」が「グラフ表示領域は表示すべき全測定データの略平均値を中心とし、該表示すべき測定データの最大値及び最小値を表示し得るように設定する」ものである点を付加して限定するものであるので、特許請求の範囲の減縮を目的とする明細書の訂正に該当するものである。
そして、特許明細書の第2頁第4欄の第1行ないし第5行には「このCPUで得られた測定データをドットマトリクスでグラフ表示するLCD(表示手段)13とを備える。CPU2は、MPU3、カウンタ4、LCDドライバ5、ROM6及びRAM7を有する。」と、同第7行目ないし第16行目には「この電子体温計は、・・・記憶されている測定データを順繰りに呼び出すスイッチ、・・・測定データの記憶量が一杯になったときの測定データの送信催促等を報知するブザー(報知手段)11と、電源としてのバッテリ12とを備える。」と記載されており、演算手段で得られた測定データを記憶する記憶手段を備えていることは、当該記載から自明の事項である。
また、特許明細書の第2頁第4欄第40行ないし第3頁第5欄第5行には、「まず、グラフ表示の温度軸(縦軸)の切替えを行うフロー図を図3に示す。ST21で縦軸の分解能を手動で切り替えるか否かを問い、これがYESなら分解能を切り替える(ST25)。このST25での切替えは、スイッチにより手動で行う。切替えは、体温表示の場合、例えば0.1℃から0.25℃の範囲で略0.1℃刻みで行えるように設定されている。ST21でNOなら、温度表示範囲が測定データ範囲を越えているか否かを判定し(ST22)、これがYES(温度表示範囲>測定データ範囲)の場合、即ち測定データが温度表示範囲に収まる場合は、現温度軸のままで測定データをグラフ表示する(ST23)。ST22でNO(温度表示範囲≦測定データ範囲)の場合は、現温度軸のままで測定データを表示すると測定データが食み出すので、ST24で分解能を自動変更するか、若しくは表示領域を自動変更する。」と、同第5欄第29行ないし第38行には、「図6に示すグラフ表示は、前記グラフ表示/数値表示切替スイッチにより切り替えられ、今日(0日)から過去29日間の測定データ(体温)がまとめて表示される。ここでは、全測定データの略平均値36.6℃にラインが表示されている。この略平均値は、例えば全測定データの正確な平均値が36.62℃のとき、36.6℃とするものである。表示領域は、全測定データの略平均値36.6℃を中心として設定され、その表示領域の上限と下限には、略平均値36.6℃を基準にしてそれぞれ+0.7℃、-0.7℃が表示される。」と記載されており、「表示領域を設定する」点、及び表示手段が、「略平均値を中心とし、最大値、最小値を表示し得るようにする」点が読み取れる。
したがって、訂正事項[2]は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものでもない。
(3)訂正事項[3]について
訂正事項[3]は、訂正事項[1]による特許請求の範囲の請求項1を削除する訂正に伴う整合を図るために、特許明細書の第2頁第3欄の第29行ないし第37行の記載を削除する訂正を行うものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものでもない。
(4)訂正事項[4]について
訂正事項[4]は、訂正事項[2]による訂正に伴なう整合を図るために、同様の訂正を行うものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、上記(2)において示したとおり、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものでもない。
(5)訂正事項[5]について
訂正事項[5]は、訂正事項[1]による特許請求の範囲の請求項1を削除する訂正に伴う整合を図るために、特許明細書の第4頁第7欄の第23行ないし第30行目の記載を削除する訂正を行うものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものでもない。
(6)訂正事項[6]について
訂正事項[6]は、特許明細書の【発明の詳細な説明】の欄の記載について、段落番号【0001】ないし【0024】を付加するものであり、明細書の記載様式を施行規則に適合させるために行う形式的な訂正にすぎず、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものでもない。

3 むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律附則第2条第7項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法による改正前の特許法(以下、「平成15年改正前特許法」という。)第120条の4第3項において読み替えて準用する特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号、以下「平成6年改正特許法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法による改正前の特許法第126条第1項ただし書並びに同条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 申立ての理由の概要
特許異議申立人 株式会社 タニタは、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出し、特許第3399157号の請求項1及び2に係る特許が取り消されるべきものであるとして、つぎのように主張している。
(1)請求項1に係る特許に対しての申立ての理由
ア 理由1
請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一、または、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項または第2項の規定に違反してされたものである。
イ 理由2
請求項1に係る発明は、甲第2号証に記載された発明と同一、または、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項または第2項の規定に違反してされたものである。
ウ 理由3
請求項1に係る発明は、甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(2)請求項2に係る特許に対しての申立ての理由
理由4 請求項2に係る発明は、甲第3号証及び甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

2 甲各号証
甲第1号証:特開平4-204121号公報
甲第2号証:「No.1601 管理ヘルスメーター オモサ・デ・グラフ OMOSAde GRAPH 取扱説明書」、株式会社タニタ
甲第2号証の1:「TANITA Best Weight ’93-6月 No.1 総合カタログ」、株式会社タニタ
甲第3号証:特開平3-284236号公報
甲第4号証:特開平3-42520号公報
甲第5号証:実願昭60-99065号(実開昭62-9133号)の願書に最初に添付 した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム

3 本件発明
本件特許第3399157号の請求項1に係る発明は、平成17年3月14日付けの訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるつぎのとおりのものと認める。(以下、「本件発明」という。)

「【請求項1】
生体信号を検知する検知手段と、この検知手段からの検知信号に基づいて生体に関する測定データを算出する演算手段と、この演算手段で得られた測定データを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された測定データをグラフ表示する表示手段と、前記表示手段のグラフ表示の時間軸単位を切り替える時間軸単位切替手段とを備える計測装置において、前記表示手段は、前記記憶手段に記憶された一定の時間範囲に含まれる測定データのうち基準時に最も近い測定データを基準時の測定データとするとともに、グラフ表示領域は表示すべき全測定データの略平均値を中心とし、該表示すべき測定データの最大値及び最小値を表示し得るように設定することを特徴とする計測装置。 」

4 甲各号証に記載された事項
(1)甲第1号証に記載された事項
甲第1号証には、図面とともに、つぎの事項が記載されている。
(1a)「第1図は、この発明を適用した体重管理装置の外観を示す斜視図である。この体重管理装置は利用者自身が操作できるオンラインターミナル11と、このオンラインターミナル11に体重値データを転送する体重計測部12と、上記オンラインターミナル11に統計データおよび演算データを転送するホストコンピュータ13とから構成される。オンラインターミナル11には、・・・液晶表示部15が設けられ、この液晶表示部15には・・・体重推移グラフ等が表示される。また、液晶表示部15の上には透明タッチキーにより構成されたキー入力部16が設けられており、表示情報の入力、選択、更新操作が行なえるように構成されている。」(第2頁左上欄第9行目〜右上欄第4行目)
(1b)「計測器制御部27は、制御部21から出力される制御信号に基づいて体重計測部12を制御し、体重計測部12から出力される体重データを制御部21に送出する。」(第2頁右下欄第7行目〜第10行目)
(1c)「ステップS57のグラフ化メニュー表示では、第8図(G)に示すようにグラフ化した場合のグラフ横軸の単位(日、週、旬、月)を選択するメニュー即ち「1.各「日」毎の変化グラフ」〜「4.各「月」毎の変化グラフ」が液晶表示部15に表示され、・・・キー入力部16の操作により「1.各「日」毎の変化グラフ」を選択した場合は、・・・グラフ画面データのうちグラフ横軸が「日」単位のものを読み出し・・・同一「日」内の体重値データを平均化し、その平均データをその日の代表体重値とする。・・・キー入力部16の操作により「2.各「週」毎の変化グラフ」を選択した場合は、・・・グラフ画面データのうちグラフ横軸が「週」単位のものを読み出し、・・・・同一「週」内の体重値データを平均化し、その平均データをその週の代表体重値とする。・・・キー入力部16の操作により「3.各「旬」毎の変化グラフ」を選択した場合は、・・・グラフ画面データのうちグラフ横軸が「旬」単位のものを読み出し、・・・・同一「旬」(即ち、1日〜10日、11日〜20日、21日〜31日)内の体重値データを平均化し、その平均データをその旬の代表体重値とする。・・・キー入力部16の操作により「4.各「月」毎の変化グラフ」を選択した場合は、・・・グラフ画面データのうちグラフ横軸が「月」単位のものを読み出し、・・・・同一「月」内の体重値データを平均化し、その平均データをその月の代表体重値とする。」(第6頁左上欄第9行目〜第7頁右上欄第19行目)
(1d)「ステップS93のグラフ表示処理では、表示レイアウト制御部23に入力された推移グラフレイアウトデータと、n’ケの代表値データと、平均値・・・・とを所定のレイアウトに構成して表示制御部24に入力され液晶表示部15に表示される。例えば「4.各「月」毎の変化グラフ」を選択した場合は、・・・グラフ横軸の単位を月とした「月」毎の体重推移グラフ画面が液晶表示部15に表示される。」(第8頁左上欄第6行目〜第18行目)
(2)甲第2号証に記載された事項
(2a)第5頁下半分の「表示ボックス正面」の図面には、「表示画面 計測した数値や、グラフを表示します。」(申立人の摘記(ア))、「月グラフキー 月グラフを表示します。 週グラフキー 週グラフを表示します。 日グラフキー 日グラフを表示します。」(申立人の摘記(イ))の記載とともに、表示画面、及び、月グラフキー、週グラフキー、日グラフキーが見てとれる。
(2b)第10頁「5.目標管理機能・グラフ表示機能のご使用方法」において、「■体重を測定し、グラフを確認する。自分専用に決められた数字キーを押します。数字キーは、on/offキーの代わりになり、手早く測定することが出来ます。」、「ピッと音がし数値が確定したら、測定台から降りてください。(測定台の上ではなるべく動かないでください。動きが続くと、数値の確定に時間がかかります。)数値確定の2秒後に画面が変わり続けて、日グラフまで自動的に表示されます。」、及び、「日グラフが表示されます。日グラフは、その日にはかつた最後のデータを記録し、表示します。」(申立人の摘記(ウ))との記載とともに、グラフ表示例が見てとれる。そして、その右側には、「*センターとは、記録されている体重の平均値です。」と記載されている。
(2c)第11頁には、「週グラフキー、または月グラフキーを押すとそれぞれのタイトル、グラフが連続して表示されます。」、「*各グラフの詳しい読み取り方は、次ページをご覧ください。」、「*週グラフデータは日データをもとに、それぞれの週の平均値を計算し記録、表示しています。」、「*月グラフデータは日データをもとに、それぞれの月の平均値を計算し記録、表示しています。」(申立人の摘記(エ))との記載とともに、週グラフデータ、月グラフデータの表示例が見てとれる。
(2d)第12頁「6.グラフの読み取り方、使い方」には、「管理ヘルスメーター「オモサ・デ・グラフ」は、数字キーを使用される4人分について、各120回分のデータを記録することができます。グラフ画面に最初に表示されるデータは、120回分のうちの、新しいデータ30回分ですが、画面をスクロール(移動)させて、過去のデータを自由に確認することができます。」と記載されている。
(2e)第12頁「■グラフの読み取り方」には、表示例の記載とともに、「基準線 目標体重を表します。目標体重が設定されていないときは、基準線はセンター(記録されているデータの平均値)を表します。」(申立人の摘記(オ))、「目盛数値が2.5Kgのとき、この位置が基準線の示す数値(目標体重または、センター)+2.5Kgを表します。目盛数値が2.5Kgのとき、この位置が基準線の示す数値(目標体重または、センター)-2.5Kgを表します。」(申立人の摘記(カ))、「目盛数値 目盛数値の単位はKgです。目盛数値は、表示画面に全てのデータが表示されるように自動的に計算され、記録された体重の増減幅により変動します。表示される目盛は、下記6種類です。」と記載されており、おのおのの説明文に対応したグラフの表示例が見てとれる。
(3)甲第2号証の1に記載された事項
(3a)甲第2号証の1の第1頁には、「TANITA Best Weight ’93-6月 No.1 総合カタログ」と記載されている。
(3b)甲第2号証の1の第2頁には、「No.1601 管理ヘルスメーター オモサ・デ・グラフ」、「毎日の測定数値を日・週・月単位で記録しグラフで表示する新しい機能を備えたデジタルヘルスメーター。」と記載されている。
(3c)甲第2号証の1の第3頁には、「表示価格をはじめ、このカタログの内容は1993年6月現在のものです。」と記載されている。
(4)甲第3号証に記載された事項
甲第3号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(4a)「血圧の監視には、食餌療法等によって、効果を確認するのに、長期間の変動傾向を把握する必要がある場合と、血圧効果剤等を用いて、短期間で効果が現れるため、短期間の変動を把握すればよい場合とがある。従来の電子血圧計は、表示手段のグラフの時間軸のレンジが一定であるため、レンジを短期間に設定した場合は、長期間の変動を見ことができず、反対にレンジを長期間に設定した場合は、監視すべき期間を見誤って、誤った判断をしてしまうおそれがあり、両方の場合の監視を満足に行うのには、無理があるという問題があった。本発明は・・・・その目的とするところは、監視すべき期間が異なる場合でも、血圧の変動を誤りなく把握することができる電子血圧計を提供することにある。・・・かかる課題を解決するために、本発明の電子血圧計は、表示手段の時間軸のレンジを切り換える切換手段を備えたことを特徴とする。・・・長期間の変動を監視する場合は、切換手段を切り換えて、グラフの時間軸のレンジを長くすれば、長期間の測定データを表示でき、短期間の変動を監視する場合は、時間軸のレンジを短く切り換えれば、短期間の測定データのみを表示することができる。」(第1頁右欄第12行目〜第2頁左上欄第18行目)
(4b)「電子血圧計の全体外観は、第2図に示されるように、・・・電子血圧計本体4は、表示部1を前面に設けている上ケースと、複数の操作スイッチ5a,5b,5cを上面に設けている下ケースとを、枢軸にて連結してなる。・・・圧力検出手段11は、半導体圧力センサ等で構成され、カフ帯2内圧力を連続的に検出する。制御回路7は、マイクロコンピュータからなり、最高血圧及び最低血圧を測定する測定手段を含んでいる。・・・記憶手段12は、・・・測定した血圧データを記憶する領域を、複数有している。・・・尚、制御回路7は、内部にタイマを備えており、測定を実行した時の時間も測定して、記憶手段12に血圧データを書き込む時は、血圧データに、時間データをセットにして書き込みを行う。」(第2頁右上欄第2行目〜右下欄第15行目)
(4c)「表示部1は、ドットマトリクス液晶からなり、血圧測定が終了した時点では、測定された最高血圧及び最低血圧を数値で表示するが、記憶手段12に記憶した血圧データを読み出して表示する時は、血圧データを、横軸を時間軸14とし縦軸を圧力軸13とする二次元グラフ上に表示する。最高血圧及び最低血圧をプロットし、更にプロットした点15を直線16で結んで、血圧データを折線グラフで表示する。本実施例では、時間軸14は、軸上の位置が実際の時間に対応していないものであって、血圧データを表示する時は、測定した時間の順に時間軸14に沿ってプロットする。従って、測定した時間の間隔が異なる場合でも、グラフ上には等間隔にプロットされる。・・・切換スイッチ5cは、表示部1に表示されるグラフの時間軸14のレンジを切り換える切換手段をも兼ねている。」(第2頁右下欄第16行目〜第3頁左上欄第15行目)
(4d)「次に、記憶手段12に記憶されたデータを、表示部1にグラフ表示する時の動作を以下に説明する。・・・切換スイッチ5cを操作すると、記憶手段12に記憶されているデータが制御回路7に読み出され、第4図に示すように、記憶手段12に記憶されている全ての血圧データが表示部1にグラフ表示される。この時、血圧データが、測定された順に等間隔に時間軸14に沿ってプロットされる。・・・この時、切換スイッチ5cをもう一度操作すると、表示部1のグラフの時間軸14のレンジが短期間に切り換えられ、最新の10回分の測定データが表示される。・・・上記の実施例では、血圧データを表示部1のグラフにプロットする時、測定した時間の間隔に関係なく、測定した順に等間隔に表示しているが、記憶した時間データを利用して、測定した時間の間隔に比例した間隔で、血圧データをプロットするようにすることも可能である。」(第3頁左下欄第6行目〜右下欄第17行目)
(5)甲第4号証に記載された事項
甲第4号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(5a)「一定の表示時間幅の間にサンプリングされたデータ中の最大値、最小値、平均値、および必要に応じてデータの分布状況を示した帯グラフを、時系列的に並べた状態でCRT表示装置の表示画面上に表示するようにしている。」(第2頁左下欄第7行目〜第12行目)
(5b)「第5図は、以上の処理によるCRT表示装置11の表示状態の一例を示す図であり、図中1〜4は第6図と同様である。第5図において、一つの帯グラフ12は、一定の表示時間幅(例えば1時間)13の間にサンプリングしたデータ中の最大値の位置14から最小値の位置15までの間を所定個に等分(例えば10等分)し、そのグループにあるデータ個数がデータ個数範囲16のどれに該当するかを判別して、そのデータ個数範囲に対応した表示色17で塗りつぶし表示される。また、表示時間幅13の間のサンプリングデータの平均値の位置を示すマーク18が表示される。」(第4頁左上欄第16行目〜右上欄第7行目)
(6)甲第5号証に記載された事項
甲第5号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(6a)「次に上記実施例の動作について説明する。まず、初めに、一日の内で体重測定を行なう時間帯を設定する際の動作について述べる。時間帯の設定を行なう際には、その時間帯の中心となる時刻をアラーム報知を行う時刻として操作部11のテンキー11iでキー操作し、その後に続けて「TM」キー11cを操作する。これは例えば、その時間帯を「16時30分」から「17時30分」の一時間と決めた際には、その中心となる時刻「17時(00分)」を示す「1700(以下文中では時刻データを同様にして表わす)」をテンキー11iで置数し、・・・この「TM」キー11cの操作により、置数データ「1700」が、アラーム時刻としてアラーム時刻レジスタ14cに入力設定される。次に、中心となる時刻「1700」と、「1630」または「1730」との区間時間データが「30(分)」であるので、テンキー11iにより「30」を置数し、区間キー11eを操作すると、この区間データ「30」が、同じくレジスタ部14の区間レジスタ14dに入力設定される。」(明細書第6頁第8行目〜第7頁第7行目)
(6b)「測定を行なった時刻が、アラーム報知を行なう前の、上記特定区間内の時刻であるか否かが判断される。・・・もし「1630」と「1700」の間であると判断された場合は、次にステップS02に進む。ステップS02においては、測定が、設定時間帯内で、しかもアラーム報知前に行われたことになるので、・・・ステップS03に進む。ステップS03では、・・・現在時刻データとアラーム時刻データにより時間差が計算される。これは、アラーム時刻データから現在時刻データが減算されるもので、その減算結果が時間差データとなる。・・・ステップS04に示すように、・・・時間差データと時間差レジスタ14fから読出す、それまでに測定が行われた場合の時間差データとの比較が行われる。これは、一日に複数回測定を行なった場合に、そのアラーム時刻に対する時間差のより小さい方の測定データを有効なものとして記録するためのもので、・・・この体重測定がその日の一回目の測定でまだ時間差レジスタ14fに時間差データが入力されていない場合や、入力されていても今回の方が前回の時間差データよりも小さい場合は・・・今回の測定データを、データメモリ部13内の、日付レジスタ14bの記憶する今日の日付データに応じてアドレス指定される体重データ記憶位置に入力設定する。その後・・・ステップS03で計算した時間差データを時間差レジスタ14fに入力する。」(明細書第8頁第1行目〜第10頁第3行目)
(6c)「測定を行なった時刻が、アラーム報知前の上記特定区間内の時刻ではないと判断された場合は、次にステップS09に進んで・・・アラーム報知後の上記特定区間内の時刻であるか否かを判断する。・・・もし、「1700」と「1730」の間であると判断された場合は、やはり上記ステップS03からの動作を行なう。また、「1700」と「1730」の間ではないと判断された場合は、測定した時刻が設定した時間帯の中ではないこととなるので、測定データの記録は無効となり、・・・測定データを表示部15での表示のみを行なう。さらにまた、上記ステップS04で、今回の測定の時刻のアラーム時刻との時間差が、前回の測定の時刻のアラーム時刻との時間差よりも大きいと判断された場合は、前回の測定データの方が有効となり、今回の測定データは記録されないことになるので・・・・・ステップS10に進んで測定時刻判断部16から表示部15への表示信号の送出を取止め、・・・・測定データの表示のみを行うこととする。」(明細書第10頁第13行目〜第12頁第4行目)
(6d)「このようにして、データメモリ部13には毎日の体重データが記憶されるもので、次のこの記憶したデータを表示させる際の動作について述べる。・・・操作部11のテンキー11iによって日付データ、・・・「0328」、を置数し、その後に続けて「DT」キー11dを操作する。この「DT」キー11dの操作に応じて、置数した日付データが・・・日付レジスタ14bに入力され、制御部12はこの日付レジスタ14bの記憶内容と、データメモリ部13の日付データとを比較する。そして、データメモリー部13に対応する日付データがサーチできたら、その日付データと組になっている体重データを読出し、それを表示部15に出力して、表示装置151の体重表示体で表示するものである。」(明細書第12頁第5行目〜第20行目)

5 対比・判断
本件発明と甲第1ないし5号証に記載された発明とを対比すると、甲第1ないし4号証には、本件発明の発明特定事項である「表示手段」が、「記憶手段に記憶された一定の時間範囲に含まれる測定データのうち基準時に最も近い測定データを基準時の測定データとする」点については、記載も示唆もされていない。
次に、甲第5号証には、「一日の内で体重測定を行う時間帯を設定し、その時間帯の中心となる時刻をアラーム報知を行う時刻として設定し、当該時間帯内において体重が測定された場合には、当該測定が行われた時刻とアラーム報知を行う時刻との時間差を計算し、その日に当該時間帯において体重測定された測定時刻との時間差とを比較して、時間差が小さい場合にのみ測定データとして記憶し、アラーム報知を行う時刻との時間差が最も小さい時刻に測定されたデータをその日の測定データとして表示する」ものが記載されている。しかしながら、甲第5号証に記載された発明は、「一定の時間範囲内に含まれる測定データのうち基準時に最も近い測定データを表示部において、当該基準時のデータとして表示する表示機能を有している」ものと認めることができるものの、甲第5号証に記載された発明は、基準時に最も近い測定データのみを基準時のデータとして記憶するものであって、本件発明のように「記憶手段に記憶され」ている「一定の時間範囲に含まれる測定データ」のうち「基準時に最も近い測定データ」を「基準時の測定データ」として表示するものではない。
そして、「表示手段」が、「記憶手段に記憶された一定の時間範囲に含まれる測定データのうち基準時に最も近い測定データを基準時の測定データとする」点が周知の技術であるとも、設計的事項であるとも認められない。
そして、本件発明は、この点により明細書に記載の効果を奏するものである。
そうすると、本件発明は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、本件発明の特許が特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるとはいえない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、平成6年改正特許法附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
計測装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体信号を検知する検知手段と、この検知手段からの検知信号に基づいて生体に関する測定データを算出する演算手段と、この演算手段で得られた測定データを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された測定データをグラフ表示する表示手段と、前記表示手段のグラフ表示の時間軸単位を切り替える時間軸単位切替手段とを備える計測装置において、
前記表示手段は、前記記憶手段に記憶された一定の時間範囲に含まれる測定データのうち基準時に最も近い測定データを基準時の測定データとするとともに、グラフ表示領域は表示すべき全測定データの略平均値を中心とし、該表示すべき測定データの最大値及び最小値を表示し得るように設定することを特徴とする計測装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電子体温計や電子血圧計等の生体情報を測定する計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電子体温計としては、人体の温度を検知するサーミスタと、このサーミスタからの信号に基づいて体温等を算出する演算手段と、この演算手段で得られた体温等の測定データをドットマトリクスによりグラフ表示する表示手段とを備え、一日毎の測定値を記憶し、1カ月分の測定データを時間-温度関係のグラフとしてまとめて表示できるものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の電子体温計では、グラフ表示の目盛(時間軸・温度軸)が固定されているのが一般的である。このため、体温にはかなり個人差があるにもかかわらず、万人に適用できるように目盛が固定されているため、個人によっては体温変動が非常に分かり難くなることがある。又、一日毎の表示しかできないので、基礎体温の測定にしか使えないという問題点もある。
【0004】
このような問題点は、電子血圧計においても相当し、測定するのが血圧で、表示値が血圧値であるだけの違いであり、同様の問題点がある。
【0005】
従って、本発明は、そのような問題点に着目してなされたもので、個人によらず体温や血圧等の測定データの変動が見易く、視認できる計測装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の計測装置は、生体信号を検知する検知手段と、この検知手段からの検知信号に基づいて生体に関する測定データを算出する演算手段と、この演算手段で得られた測定データを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された測定データをグラフ表示する表示手段と、前記表示手段のグラフ表示の時間軸単位を切り替える時間軸単位切替手段とを備えるものにおいて、前記表示手段は、前記記憶手段に記憶された一定の時間範囲に含まれる測定データのうち基準時に最も近い測定データを基準時の測定データとするとともに、グラフ表示領域は表示すべき全測定データの略平均値を中心とし、該表示すべき測定データの最大値及び最小値を表示し得るように設定する。
【0007】
この計測装置では、グラフ表示の時間軸単位を切り替えるため、測定データを一日毎に表示できるのは勿論のこと、1時間毎や12時間毎、或いは二日おきや1週間おき等に表示したりできる。そして、切り替え時の表示は、一定の時間範囲に含まれる測定データのうち、基準時に最も近い測定データを基準時の測定データとして表示するため、基準時に対応した適性な測定データを視認できる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の計測装置を実施例に基づいて説明する。
その計測装置の一例として、電子体温計を例にして説明する。図1は、その電子体温計の構成を概略的に示すブロック図である。ここに示す電子体温計は、生体の温度を検知するサーミスタ(検知手段)1と、このサーミスタ1からの信号に基づいて体温等の測定データを算出するCPU(演算手段)2と、このCPU2で得られた測定データをドットマトリクスでグラフ表示するLCD(表示手段)13とを備える。CPU2は、MPU3、カウンタ4、LCDドライバ5、ROM6及びRAM7を有する。LCD13は、グラフ表示の温度軸(縦軸)と時間軸(横軸)を後述のように変更できるようになっている。
【0009】
又、この電子体温計は、2つのクロック8,9を内蔵すると共に、電源スイッチ、測定スイッチ、グラフ表示/数値表示切替スイッチ、記憶されている測定データを順繰りに呼び出すスイッチ、モード切替スイッチ等のスイッチ類10と、通信相手機器(例えばパソコン)との間で光通信により測定データの送受信を行う光通信手段(図示せず)と、送信の開始・終了、通信エラー、及び測定データの記憶量が一杯になったときの測定データの送信催促等を報知するブザー(報知手段)11と、電源としてのバッテリ12とを備える。
【0010】
このように構成した電子体温計の概略的な全体動作は、図2に示すフロー図の通りである。まず、電源OFF時にLCD13は時計を表示しており、電源をONにすると、体温計の表示に切り替わり〔ステップ(以下、STと略す)1〕、初期表示を行う(ST2)。そして、測定スイッチのONにより(ST3)、体温測定を開始し(ST4)、測定が終了すれば(ST5)、ST6に移行する。
【0011】
ST6では、得られた体温等の測定データをグラフ表示するか否かを問い、NOの場合は測定値を数値で表示し(ST7)、YESの場合はグラフ表示し(ST8)、共にST9に移る。なお、ST8のグラフ表示処理は後述する。ST9では、表示切替(測定値表示⇔グラフ表示)の要否を問い、YESならばST6に戻り、NOならばST10に移る。ST10では、電源スイッチがONか否かを判断し、ONであるならST11に移り、OFFであるならST12に移る。ST11では、タイムアップか否かを判断し、タイムアップなら体温計表示を時計表示に切り替え(ST12)、タイムアップでないならST9に戻る。なお、図2に示すフロー図のグラフ表示処理(ST8)において、温度軸(縦軸)や時間軸(横軸)の変更はモード切替えとなり、この処理流れ以外でのスイッチ操作により行う。
【0012】
次に、上記図2のフロー図におけるST8のグラフ表示処理について説明する。まず、グラフ表示の温度軸(縦軸)の切替えを行うフロー図を図3に示す。ST21で縦軸の分解能を手動で切り替えるか否かを問い、これがYESなら分解能を切り替える(ST25)。このST25での切替えは、スイッチにより手動で行う。切替えは、体温表示の場合、例えば0.1℃から0.25℃の範囲で略0.1℃刻みで行えるように設定されている。
【0013】
ST21でNOなら、温度表示範囲が測定データ範囲を越えているか否かを判定し(ST22)、これがYES(温度表示範囲>測定データ範囲)の場合、即ち測定データが温度表示範囲に収まる場合は、現温度軸のままで測定データをグラフ表示する(ST23)。ST22でNO(温度表示範囲≦測定データ範囲)の場合は、現温度軸のままで測定データを表示すると測定データが食み出すので、ST24で分解能を自動変更するか、若しくは表示領域を自動変更する。
【0014】
その分解能の自動変更処理の一例を図4のフロー図に示す。この処理では、ST31で測定データの最高値DXと最小値DNを求めると共に、ST32で表示値の最高値をTX、最小値をTNとする。そして、ST33でTX-TN>DX-DNかどうかを、つまり表示範囲が測定データ範囲よりも大きいかどうかを判定し、これがYESの場合は、測定データが表示範囲に収まるので、分解能を変更しない。NOの場合は、測定データが表示範囲を越えるので、ST34で表示単位を変える。表示単位は、例えば0.1℃を0.25℃に変えて、測定データが表示範囲に収まるようにする。
【0015】
表示領域の自動変更処理の一例を図5のフロー図に示す。このフロー図では、ST34までは図4のフロー図と全く同じである。ST33又はST34の次のST35では、TX>DX(表示値の最高値が測定データの最高値より大きいか)を判定し、これがYESの場合は、測定データが表示範囲に収まるのでリターンする。ST35がNOの場合は、測定データが表示範囲に収まらないので、ST36でTX=TX+0.1、TN=TN+0.1とし、ST35に戻る。そして、TX>DXとなるまで、表示値の最高値と最小値をそれぞれ0.1ずつ大きくしていき、TX>DXとなった時点でリターンする。これにより、表示範囲が測定データの最高値に応じて変更される。
【0016】
次に、グラフ表示の各種態様について説明する。図6に示すグラフ表示は、前記グラフ表示/数値表示切替スイッチにより切り替えられ、今日(0日)から過去29日間の測定データ(体温)がまとめて表示される。ここでは、全測定データの略平均値36.6℃にラインが表示されている。この略平均値は、例えば全測定データの正確な平均値が36.62℃のとき、36.6℃とするものである。表示領域は、全測定データの略平均値36.6℃を中心として設定され、その表示領域の上限と下限には、略平均値36.6℃を基準にしてそれぞれ+0.7℃、-0.7℃が表示される。
【0017】
図6のようなグラフ表示からグラフ表示/数値表示切替スイッチを押すと、図7に示す数値表示(測定値表示)に切り替わる。数値表示では、図示のように例えば12月26日の体温が36.51℃であることが数値で示される。ここで、例えば「←」スイッチを押すごとに、表示が1日ずつ過去のものに変わる。
図8の(a)に示すグラフ表示は、図6に示すようなグラフ表示で「←」スイッチを1回押して過去30日から59日までの測定データを表示したもので、ここから更に「←」スイッチを1回押せば、図8の(b)に示す表示となる。図8に示す表示では、過去の測定データは35日分までしか記憶されていない。又、測定データがグラフ表示領域を越える場合に、その測定データの表示形態を変更するようになっている。これには、測定データを表すバーの一部又は全部の色の濃さや色を変えたり、点滅表示したりする。例えば、図8の(a)において、34日前の体温は35.7℃であって、表示領域の下限を越えているので、34日前は35.9℃に相当するドットを点滅させたり、そのドットの色を淡くしたりして、その旨を知らせる。
【0018】
上記は温度軸に関する処理についてであるが、グラフ表示の時間軸(横軸)の切替えを行うフロー図を図9に示す。まず、ST41で時間間隔を切替えるか否かを問い、YESの場合はST44、ST45又はST46のいずれかの処理を行って時間分解能を変更し、ST43のグラフ表示に移行する。NOの場合は、ST42で時系列表示を行うか否かを問い、NOならば現時間軸のままでグラフ表示する(ST43)。YESならば単純時系列に変更して(ST47)、ST43のグラフ表示を行う。なお、ST44、ST45及びST46の処理の選択、並びにST42の時系列表示の要否の選択は、例えばスライドスイッチにより行うようになっている。
【0019】
ST44は、一定の時間範囲に含まれる測定データ(体温)のうち最大値となる測定データを表示するものである。例えば、測定時間と測定値が次の通りである場合、

正時を基準として一時間毎のグループでみると、測定データ▲2▼〜▲4▼が1つのグループ(12時台)に属することになる。そのグループにおいて、測定データ▲3▼は体温が36.6℃で最大値であるので、12:17の36.6℃をバーでグラフ表示する。勿論、時間範囲は30分毎、2時間毎等、任意に設定すればよい。
【0020】
ST45は、一定の時間範囲に含まれる体温の平均値を基準時の測定データとして表示するものである。例えば、同様に測定時間と測定値が上記の通りであり、正時を基準として一時間毎のグループに分けた場合、測定データ▲2▼〜▲4▼のグループの平均値は36.5℃となるので、12:00,36.5℃と記憶し、その値をバーでグラフ表示する。
【0021】
ST46は、一定の時間範囲に含まれる測定データのうち基準時に最も近い測定データを基準時の測定データとして表示するものである。同様に、測定時間と測定値が上記の通りで、正時を基準として一時間毎の表示とする場合、12:00の測定値は測定データ▲1▼の36.2℃とし、13:00の測定値は測定データ▲4▼の36.4℃とし、バーでグラフ表示する。これは、いずれもそれぞれ12:00及び13:00に最も近い測定時間だからである。なお、ST46の処理に切り替えたときは、不要の測定データ▲2▼,▲3▼,▲5▼等は消去される。
【0022】
ST47の単純時系列変更は、例えば図10に示すように行う。図10の(a)で、仮に測定直後、3時間前、5時間前、6時間前の測定値が有る場合、これを変更すると、測定値が無い1時間前、2時間前、4時間前を詰め、今回から3同前までの測定値としてグラフ表示される〔図10の(b)参照〕。
上記のように時間軸をソフトで変更する他に、ハードで行う場合の例を図11に示す。即ち、電子体温計20の本体21の表面にLCD表示部22とサーミスタ23を有するものにおいて、表示部22と同一サイズの表示板25が別途用意されている。この表示板25は、表示部22に着脱可能であり、表示部22の時間目盛(0,10,20,30日前)とは別の時間目盛(0,6,12,18,24時)が逆向きに表記されている。勿論、図11に示す時間目盛以外にも、分表示、週表示等、任意の時間軸を表記した表示板を適宜用意すればよい。このような表示板25は、時間軸を変更する場合に表示部22に取付けて使用する。
【0023】
なお、上記実施例は電子体温計についてであるが、電子血圧計の場合も、温度軸が血圧軸に変わるだけであり、同様に構成することが可能である。
【0024】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、グラフ表示の時間軸単位を切り替えるため、測定データを一日毎に表示できるのは勿論のこと、1時間毎や12時間毎、或いは二日おきや1週間おき等に表示したりできる。そして、切り替え時の表示は、一定の時間範囲に含まれる測定データのうち、基準時に最も近い測定データを基準時の測定データとして表示するため、基準時に対応した適性な測定データを視認できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
一実施例に係る電子体温計の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】
同実施例の体温計の概略的な全体動作を示すフロー図である。
【図3】
図2のフロー図のグラフ表示処理におけるグラフ表示の温度軸(縦軸)の切替えを行うフロー図である。
【図4】
図3のフロー図の分解能自動変更処理のフロー図である。
【図5】
図3のフロー図の表示領域自動変更処理のフロー図である。
【図6】
グラフ表示の一例を示す図である。
【図7】
数値表示の一例を示す図である。
【図8】
グラフ表示で過去の測定データを順繰りに表示した場合の図である。
【図9】
図2のフロー図のグラフ表示処理におけるグラフ表示の時間軸(横軸)の切替えを行うフロー図である。
【図10】
図9のフロー図の単純時系列変更処理を説明するための図である。
【図11】
グラフ表示の時間軸(横軸)の切替えをハードで行う場合の図である。
【符号の説明】
1 サーミスタ(検知手段)
2 CPU(演算手段)
11 ブザー(報知手段)
13 LCD(表示手段)
20 電子体温計
21 本体
22 LCD表示部
23 サーミスタ
25 表示板
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-03-22 
出願番号 特願平7-134840
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G01D)
最終処分 維持  
特許庁審判長 杉野 裕幸
特許庁審判官 三輪 学
尾崎 淳史
登録日 2003-02-21 
登録番号 特許第3399157号(P3399157)
権利者 オムロンヘルスケア株式会社
発明の名称 計測装置  
代理人 今城 俊夫  
代理人 中村 茂信  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 中村 茂信  
代理人 大塚 文昭  
代理人 西島 孝喜  
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