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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  E05F
管理番号 1117909
異議申立番号 異議2003-73601  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-05-12 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-25 
確定日 2005-03-23 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3421204号「扉の開閉支持装置」の請求項1ないし4、7ないし9に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3421204号の請求項1、2、5ないし7に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3421204号に係る出願は、平成8年10月18日の出願であって、平成15年4月18日に特許の設定登録がなされ、その後、浦上信一から請求項1ないし4、7ないし9に係る発明の特許に対して特許異議の申立がなされ、当審より請求項1ないし4、7ないし9に係る発明の特許に対して取消理由通知が通知され、その指定期間内である平成16年11月1日付けで訂正請求がなされたものである。

2.訂正事項
平成16年11月1日付けでなされた訂正請求書においては、訂正事項が明確に記載されていないが、添付された全文訂正明細書によれば、訂正事項は次のとおりと認められる。
(1)訂正事項1:特許請求の範囲の請求項1を次のように訂正する。
「【請求項1】先端部に上方へ突出するヒンジピンを有し収納庫の開口部の側縁下端部に取付けられるヒンジプレートと、同ヒンジプレート上にて前記ヒンジピンに挿通された状態で固定されて同ヒンジピンの外周に位置する第1カム部材と、前記収納庫の開口部を開閉する扉の側縁下端部に固定されて前記ヒンジピンに挿通された状態で前記第1カム部材に噛合する第2カム部材を備えて、前記扉の側縁下端部を前記収納庫の開口部の側縁下端部に開閉可能に支持し、前記扉の解放操作時には前記両カム部材の相対回転により同扉を上昇させ、閉鎖操作時には前記カム部材の相対回転により同扉を下降させてその閉鎖動作を助成(当審注:「助勢」の誤記と認める。)する形式の開閉支持装置において、前記第1カム部材が前記ヒンジピンの外周に位置する周方向の歯合面を有し、同噛合面が上方に延在する第1傾斜カム面、同第1傾斜カム面の先端から水平状に延在する平坦面、同平坦面の先端から下方に延在する第2傾斜カム面からなる凸部及び同凸部の両側に位置する凹部により凹凸形状に形成され、前記第1カム部材の歯合面に対応して位置する前記第2カム部材の噛合面が下方に延在する第1傾斜カム面、同第1傾斜カム面の先端から水平状に延在する平坦面、同平坦面の先端から上方に延在する第2傾斜カム面からなる凸部及び同凸部の両側に位置する凹部により凹凸形状に形成されていて、前記扉が前記ヒンジピンを支持軸として回動されたとき前記両カム部材の各凸部が互いに噛合するように構成され、前記扉が閉鎖されたとき前記第1カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面に前記第2カム部材の第1傾斜カム面又は第2傾斜カム面が噛合して摺接途中の状態に維持されるように前記第1カム部材の各傾斜カム面と前記第2カム部材の各傾斜カム面の周方向の長さをそれぞれ定めたことを特徴とする扉の開閉支持装置。」
(2)訂正事項2:特許請求の範囲の請求項2、3を削除する。
(3)訂正事項3:特許請求の範囲の請求項4〜11を、次のように訂正する。
「【請求項2】前記第1カム部材の凸部及び凹部の周方向の幅と、前記第2カム部材の凹部及び凸部の周方向の幅が略同一寸法に設定されていることを特徴とする請求項1に記載した扉の開閉支持装置。
【請求項3】前記扉の閉鎖時に噛合する前記第1カム部材の凹部と前記第2カム部材の凸部における前記扉の閉鎖直前に噛合する側の傾斜カム面の傾斜角度は、他の傾斜カム面の傾斜角度より大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載した扉の開閉支持装置。
【請求項4】前記扉の開放時に噛合する前記第1カム部材の凸部と前記第2カム部材の凸部における前記扉の開放方向に噛合する側の傾斜カム面を90度またはこれに近い角度に設定したことを特徴とする請求項1に記載した扉の開閉支持装置。
【請求項5】前記両カム部材の各噛合面に、前記凸部及び同凸部を挟んで位置する前記両凹部からなる凹凸部を1組として、同凹凸部の複数組が周方向に均等に形成されていることと特徴とする請求項1に記載した扉の開閉支持装置。
【請求項6】前記凹凸部が前記ヒンジピンを中心とする放射状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載した扉の開閉支持装置。
【請求項7】前記第1カム部材には前記ヒンジプレートに対する取付け用のフランジが設けられ、前記第2カム部材には前記扉に対する取付け用のフランジが設けられていることを特徴とする請求項1に記載した扉の開閉支持装置。
【請求項8】前記ヒンジプレートの先端縁には、前記ヒンジピンを中心として前記第1カム部材の外周に位置する所定長さの円弧状部と、同円弧状部の各端部にて外側へ突出する突出部が設けられ、前記第2カム部材の外周には、前記ヒンジプレートの先端縁における前記円弧状部の外周に臨み前記各突出部に係合可能な係合部が設けられていて、これら円弧状部および両端部と係合部が、前記ヒンジプレートと前記第2カム部材の間に前記扉の最大開放量を規制する開放規制機構を構成していることを特徴とする請求項1に記載した扉の開閉支持装置。
【請求項9】前記第1カム部材の外周に、前記第2カム部材を収容する筒部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載した扉の開閉支持装置。」
(4)訂正事項4:明細書の段落【0006】を次のように訂正する。
「【課題を解決するための手段】本発明は扉の開閉支持装置に関し、特に、先端部に上方へ突出するヒンジピンを有し収納庫の開口部の側縁下端部に取付けられるヒンジプレートと、同ヒンジプレート上にて前記ヒンジピンに挿通された状態で固定されて同ヒンジピンの外周に位置する第1カム部材と、前記収納庫の開口部を開閉する扉の側縁下端部に固定されて前記ヒンジピンに挿通された状態で前記第1カム部材に噛合する第2カム部材を備えて、前記扉の側縁下端部を前記収納庫の開口部の側縁下端部に開閉可能に支持し、前記扉の解放操作時には前記両カム部材の相対回転により同扉を上昇させ、閉鎖操作時には前記カム部材の相対回転により同扉を下降させてその閉鎖動作を助勢する形式の開閉支持装置を適用対象とするものである。」
(5)訂正事項5:同段落【0007】を次のように訂正する。
「しかして、本発明の開閉支持装置は、上記した形式開閉支持装置において、前記第1カム部材が前記ヒンジピンの外周に位置する周方向の歯合面を有し、同噛合面が上方に延在する第1傾斜カム面、同第1傾斜カム面の先端から水平状に延在する平坦面、同平坦面の先端から下方に延在する第2傾斜カム面からなる凸部及び同凸部の両側に位置する凹部により凹凸形状に形成され、前記第1カム部材の歯合面に対応して位置する前記第2カム部材の噛合面が下方に延在する第1傾斜カム面、同第1傾斜カム面の先端から水平状に延在する平坦面、同平坦面の先端から上方に延在する第2傾斜カム面からなる凸部及び同凸部の両側に位置する凹部により凹凸形状に形成されていて、前記扉が前記ヒンジピンを支持軸として回動されたとき前記両カム部材の各凸部が互いに噛合するように構成され、前記扉が閉鎖されたとき前記第1カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面に前記第2カム部材の第1傾斜カム面又は第2傾斜カム面が噛合して摺接途中の状態に維持されるように前記第1カム部材の各傾斜カム面と前記第2カム部材の各傾斜カム面の周方向の長さをそれぞれ定めたことを特徴とするものである。」
(6)訂正事項6:同段落【0015】を次のように訂正する。
「【発明の作用・効果】本発明の開閉支持装置においては、扉が閉鎖されている場合には、第2カム部材の凸部が第1カム部材の一方の凹部に噛合した状態にあり、閉鎖状態にある扉を開放操作すると第2カム部材は扉と一体に回転して、第2カム部材の凸部は第1傾斜カム面を第1カム部材の凸部の第2傾斜カム面に噛合して摺接しつつ同第2傾斜カム面を乗り越えて第1カム部材の平坦面に達し、さらに同平坦面を摺接しつつ第1カム部材の他方の凹部に移動し、第2傾斜カム面を第1カム部材の第1傾斜カム面に噛合して摺接しつつ第1カム部材の他方の凹部に噛合する。」
(7)訂正事項7:同段落【0021】を次のように訂正する。
「特に、本発明による開閉支持装置においては、前記扉が閉鎖されるとき前記第1カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面に前記第2カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面が噛合して摺接途中の状態に維持されるように前記第1カム部材の各傾斜カム面と前記第2カム部材の各傾斜カム面の周方向の長さをそれぞれ定めたことにより、前記第1カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面に前記第2カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面が噛合して摺接途中の状態に維持されている状態にて前記扉が閉鎖されるため、扉に対しては、閉鎖した状態においても閉鎖方向への回動力が作用していて、この回動力が扉を収納庫の開口縁部に押付けるように作用し、扉の閉鎖状態を一層確実なものとする。」
(8)訂正事項8:同段落【0008】、【0009】、【0012】〜【0014】の記載を削除する。

3.訂正の適否
上記訂正事項1ないし3に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正事項4ないし8に係る訂正は、訂正事項1ないし3に関連してなされた明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、いずれの訂正も、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する特許法第126条第2項および第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(なお、訂正後の請求項1に係る発明は、訂正前の請求項2又は3に係る発明を減縮する訂正と解することもできるが、その場合には、訂正前の請求項1、3又は1、2を削除したものとなるが、上記判断を左右するものではない。)

4.異議の申立てについての判断
(1)本件訂正後発明
訂正後の請求項1、2、5ないし7に係る発明(以下、「訂正後発明1、2、5ないし7」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、2、5ないし7に記載されたとおりのものである(上記2の訂正事項1、3参照)。

(2)引用した刊行物に記載された技術的事項
当審が先に通知した取消理由通知で引用した次の刊行物には以下の記載が認められる。
(ア)実願昭54-128603号(実開昭56-47158号)のマイクロフィルム(異議申立人提出の甲第1号証。以下、「刊行物1」という。)
2頁14行〜4頁9行に「従来の冷蔵庫扉のドアクローザー及びストッパーの構造を第1図〜第10図により説明する。1は冷蔵庫外箱であり、冷蔵庫本体を構成する。2はパッキング3を装着して冷蔵庫外箱1の開口部(図示せず)を密閉する扉である。4は下ヒンジでピン5を備えネジ6で冷蔵庫外箱1に固定されている。7はピンウケで扉2の下部に設けられた穴(図示せず)に挿入されている。8は回転子であり扉2の下部にネジ9で固定されている。10は固定子でネジ11により下ヒンジ4に固定されている。またピンウケ7,回転子8,固定子10の中心にはピン5が挿入されピン5を軸として回転子8,ピンウケ7が回動できるので扉2が開閉できるものである。更に回転子8と固定子10の摺動面は第3図〜第6図に示すように放射線状の角度90°を持った凹凸が形成され、凹部8a,10aと凸部8b,10bとの間には傾斜部8c,10cが形成されている。而してドアクローザー,ストッパー機構は回転子8と固定子10に形成された凹部8a,10aと凸部8b,10bにより作動するのであるが、その作動機構を第7図〜第9図により説明する。第7図は扉2が閉じた状態を示し、回転子8と固定子10の凸部8b,10bが対向する凹部8a,10aに互にかみあい、扉2の自重により静止しているものである。第8図はドアクローザーとしての作動状態を示したもので、固定子10の傾斜部10cに回転子8の傾斜部8cがのっており扉2の自重により固定子10の傾斜部10cを滑りおち扉2の閉じた状態、即ち第7図になるまで扉2が回転して停止する。第9図は扉2が開放されドアストッパーとして作動する状態図を示したもので第7図に示す扉2が閉じた状態から扉2を開放する力Fにより回転子8の凸部8bは固定子10の凹部10aをのりこえて180°回転した位置にある凹部10aに落ちこみ停止する構造となっているのである・・」と記載されている。
上記記載および第1〜9図を参照すると、刊行物1には、
「先端部に上方へ突出するピン5を有し冷蔵庫外箱1の開口部の側縁下端部に取付けられる下ヒンジ4と、同下ヒンジ4上にて前記ピン5に挿通された状態で固定されて同ピン5の外周に位置する固定子10と、前記冷蔵庫外箱1の開口部を開閉する扉2の側縁下端部に固定されて前記ピン5に挿通された状態で前記固定子10に噛合する回転子8を備えて、前記扉2の側縁下端部を前記冷蔵庫外箱1の開口部の側縁下端部に開閉可能に支持し、前記扉2の解放操作時には前記固定子10,回転子8の相対回転により同扉2を上昇させ、閉鎖操作時には前記固定子10,回転子8の相対回転により同扉2を下降させてその閉鎖動作を助勢する形式のドアクローザーにおいて、前記固定子10が前記ピン5の外周に位置する周方向の噛合面を有し、同噛合面が上方に延在する傾斜部10c、同傾斜部10cの先端から水平状に延びる平坦面、同平坦面の先端から下方向へ延在する傾斜部10cからなる凸部10b及び同凸部10bの両側に位置する凹部10a,10aにより凹凸形状に形成され、前記固定子10の噛合面に対応して位置する前記回転子8の噛合面が下方に延在する傾斜部8c、同傾斜部8cの先端から水平状に延在する平坦面、同平坦面の先端から上方に延在する傾斜部8cからなる凸部8b及び同凸部8bの両側に位置する凹部8a,8aにより凹凸形状に形成されていて、前記扉2が前記ピン5を支持軸として回動されたとき前記固定子10,回転子8の各凸部10b,8bが互いに噛合するように構成され、前記扉2が閉鎖されたとき前記固定子10の傾斜部10cに前記回転子8の傾斜部8cが噛合するように構成されている扉のドアクローザー」
という発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)、および、
「固定子10の凸部10bおよび凹部10aの周方向の幅と、回転子8の凹部8aおよび凸部8bの周方向の幅が略同一寸法に設定されている」構成、
「固定子10,回転子8の各噛合面に、凸部10b,8bおよび同凸部10b,8bを挟んで位置する凹部10a,10a,8a,8aからなる凹凸部を1組として、同凹凸部の2組が周方向に均等に形成されている」構成、
「凹凸部10a,8a、10b,8bがピン5を中心とする放射状に形成されている」構成、
「固定子10には下ヒンジ4に対する取付け用のフランジが設けられ、回転子8には扉2に対する取付け用のフランジが設けられている」構成
が記載されていると認められる。
(イ)実願昭55-81309号(実開昭57-4575号)のマイクロフィルム(異議申立人提出の甲第2号証。以下、「刊行物2」という。)
3頁5行〜5頁7行に「図において、1は冷蔵庫等の開口を有する箱体で、開口の前面に扉2を設けている。この扉2は一側の上下端を扉支持部材3,4で箱体1に軸支され開閉自在に取付けられている。前記一方の扉支持部材3は、ヒンジピン5が立設されている。6は前記扉2を常に閉塞方向へ付勢する制御装置で、扉2の中に取付られている。この制御装置6は、収容筒7と、第1係止部材8、第2係止部材9、コイルスプリング10、係止体11とよりなっている。前記収容筒7は上下に延びて下方に円筒部12、上方に角筒部13を一体に形成している。また収容筒7は前記扉支持部材3と上方に位置し、ヒンジピン5と扉2の孔13’と同一直線上にくるように扉2中にネジ(図示せず)にて取付られている。前記第1係止部材8は円柱状に形成され、下端に前記角柱状のヒンジピン5を受け入れる角穴14が形成されるとともに、上端に傾斜カム面15およびカム面の先端と後端を平坦部16,17に形成している。そして、この第1係止部材8は前記収容筒7の円筒部12に回動自在に収容されている。また第2係止部材9は角柱部18と円柱部19とよりなり、角柱部18の上面に前記コイルスプリング10の一部を受け入れる穴20が形成されている。また円柱部19の下端は前記第1係止部材8の傾斜カム面15と沿うように同一角度の傾斜カム面21が形成されるとともに、その先端と後端に平坦部22,23が形成されている。そして第2係止部材9の角柱部18が収容筒7の角筒部13に上下に摺動可能に設けられるとともに、円柱部19を円筒部12内で第1係止部材8の傾斜カム面15と傾斜カム面21を沿わせて設けられている。この第2係止部材9はコイルスプリング10により第1係止部材8側へ押圧されるように収容筒7の上部に形成された溝24に係止体11を取付けてコイルスプリング10を圧縮している。そして第1係止部材8の傾斜カム面15と第2係止部材9の傾斜カム面21が一致した状態になるのでなく、若干傾斜カム面15の上に傾斜カム面21が乗った状態の時に扉2が開口を閉塞しているように設定するのがよい。この理由は扉2を常に締りがってにすることにより閉じた時のシール性を向上させるためである。」と、第1〜3図とともに記載されている。

(3)対比・判断
(3-1)訂正後発明1について
(ア)対比
訂正後発明1と、刊行物1記載の発明とを比較すると、刊行物1記載の発明の「ピン5」、「冷蔵庫外箱1」、「下ヒンジ4」、「固定子10」、「回転子8」、「傾斜部10c」、「凸部10b」、「凹部10a」、「傾斜部8c」、「凸部8b」、「凹部8a」、「ドアクローザー」は、それぞれ、訂正後発明1の「ヒンジピン」、「収納庫」、「ヒンジプレート」、「第1カム部材」、「第2カム部材」、「(第1カム部材の)第1、第2傾斜カム面」、「(第1カム部材の)凸部」、「(第1カム部材の)凹部」、「(第2カム部材の)第1、第2傾斜カム面」、「(第2カム部材の)凸部」、「(第2カム部材の)凹部」、「開閉支持装置」に相当するから、両者の一致点及び相違点は次のように認定される。
一致点:
「先端部に上方へ突出するヒンジピンを有し収納庫の開口部の側縁下端部に取付けられるヒンジプレートと、同ヒンジプレート上にて前記ヒンジピンに挿通された状態で固定されて同ヒンジピンの外周に位置する第1カム部材と、前記収納庫の開口部を開閉する扉の側縁下端部に固定されて前記ヒンジピンに挿通された状態で前記第1カム部材に噛合する第2カム部材を備えて、前記扉の側縁下端部を前記収納庫の開口部の側縁下端部に開閉可能に支持し、前記扉の解放操作時には前記両カム部材の相対回転により同扉を上昇させ、閉鎖操作時には前記カム部材の相対回転により同扉を下降させてその閉鎖動作を助勢する形式の開閉支持装置において、前記第1カム部材が前記ヒンジピンの外周に位置する周方向の噛合面を有し、同噛合面が上方に延在する第1傾斜カム面、同第1傾斜カム面の先端から水平状に延在する平坦面、同平坦面の先端から下方に延在する第2傾斜カム面からなる凸部及び同凸部の両側に位置する凹部により凹凸形状に形成され、前記第1カム部材の噛合面に対応して位置する前記第2カム部材の噛合面が下方に延在する第1傾斜カム面、同第1傾斜カム面の先端から水平状に延在する平坦面、同平坦面の先端から上方に延在する第2傾斜カム面からなる凸部及び同凸部の両側に位置する凹部により凹凸形状に形成されていて、前記扉が前記ヒンジピンを支持軸として回動されたとき前記両カム部材の各凸部が互いに噛合するように構成され、前記扉が閉鎖されたとき前記第1カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面に前記第2カム部材の第1傾斜カム面又は第2傾斜カム面が噛合するように構成されている扉の開閉支持装置」。
相違点:
訂正後発明1では、扉が閉鎖されたとき第1カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面に第2カム部材の第1傾斜カム面又は第2傾斜カム面が噛合して摺接途中の状態に維持されるように前記第1カム部材の各傾斜カム面と前記第2カム部材の各傾斜カム面の周方向の長さをそれぞれ定めたのに対し、刊行物1記載の発明では、扉が閉鎖されたとき第1カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面に第2カム部材の第1傾斜カム面又は第2傾斜カム面が噛合するが、摺接途中の状態に維持されるように前記第1カム部材の各傾斜カム面と前記第2カム部材の各傾斜カム面の周方向の長さをそれぞれ定めていない点。
(イ)判断
相違点について検討するために刊行物2をみると、刊行物2には、訂正後発明1と同様に、扉を閉めたときに、扉を常に閉まるようにするため、つまり閉まりがってとなるようにするために、扉2が開口を閉塞したとき(訂正後発明1の「扉が閉鎖されたとき」に相当)、第1係止部材8の傾斜カム面15(訂正後発明1の「第1カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面」に相当)と第2係止部材9の傾斜カム面21(訂正後発明1の「第2カム部材の第1傾斜カム面又は第2傾斜カム面」に相当)が一致した状態になるのでなく、若干傾斜カム面15の上に傾斜カム面21が乗った状態となるように(訂正後発明1の「カム面が摺接途中の状態に維持されるように」に相当)する構成が記載されており、刊行物1記載の発明の凹凸噛合構成のカム面に該技術を採用して、扉が閉鎖されたとき摺接途中の状態に維持されるようにすることは、当業者が容易になし得ることにすぎない。
また、訂正後発明1において、「第1カム部材の各傾斜カム面と第2カム部材の各傾斜カム面の周方向の長さをそれぞれ定め」た構成は、傾斜カム面の周方向の長さを、摺接途中の状態に維持するのに必要な長さとする程度の技術的意味しかなく、そうだとすれば、摺接途中の状態に維持するのに必要な長さとすることは当業者が適宜なし得ることにすぎない。
したがって、訂正後発明1は、刊行物1、2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3-2)訂正後発明2、5ないし7について
訂正後発明2、5ないし7はいずれも、訂正後発明1を引用してさらに、訂正後発明2は「前記第1カム部材の凸部及び凹部の周方向の幅と、前記第2カム部材の凹部及び凸部の周方向の幅が略同一寸法に設定されている」と限定し、訂正後発明5は「前記両カム部材の各噛合面に、前記凸部及び同凸部を挟んで位置する前記両凹部からなる凹凸部を1組として、同凹凸部の複数組が周方向に均等に形成されている」と限定し、訂正後発明6は「前記凹凸部が前記ヒンジピンを中心とする放射状に形成されている」と限定し、訂正後発明7は「前記第1カム部材には前記ヒンジプレートに対する取付け用のフランジが設けられ、前記第2カム部材には前記扉に対する取付け用のフランジが設けられている」と限定したものであるが、上記訂正後発明1についての検討事項に加えて、該各限定事項はいずれも、刊行物1に記載されているから、訂正後発明2、5ないし7はいずれも、刊行物1、2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおりであるから、訂正後発明1、2、5ないし7は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、訂正後発明1、2、5ないし7の特許は、特許法第113条第2項に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
扉の開閉支持装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】先端部に上方へ突出するヒンジピンを有し収納庫の開口部の側縁下端部に取付けられるヒンジプレートと、同ヒンジプレート上にて前記ヒンジピンに挿通された状態で固定されて同ヒンジピンの外周に位置する第1カム部材と、前記収納庫の開口部を開閉する扉の側縁下端部に固定されて前記ヒンジピンに挿通された状態で前記第1カム部材に噛合する第2カム部材を備えて、前記扉の側縁下端部を前記収納庫の開口部の側縁下端部に開閉可能に支持し、前記扉の開放操作時には前記両カム部材の相対回転により同扉を上昇させ、閉鎖操作時には前記カム部材の相対回転により同扉を下降させてその閉鎖動作を助成する形式の開閉支持装置において、前記第1カム部材が前記ヒンジピンの外周に位置する周方向の噛合面を有し、同噛合面が上方に延在する第1傾斜カム面、同第1傾斜カム面の先端から水平状に延在する平坦面、同平坦面の先端から下方に延在する第2傾斜カム面からなる凸部及び同凸部の両側に位置する凹部により凹凸形状に形成され、前記第1カム部材の噛合面に対応して位置する前記第2カム部材の噛合面が下方に延在する第1傾斜カム面、同第1傾斜カム面の先端から水平状に延在する平坦面、同平坦面の先端から上方に延在する第2傾斜カム面からなる凸部及び同凸部の両側に位置する凹部より凹凸形状に形成されていて、前記扉が前記ヒンジピンを支持軸として回動されたとき前記両カム部材の各凸部が互いに噛合するように構成され、前記扉が閉鎖されたとき前記第1カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面に前記第2カム部材の第1傾斜カム面又は第2傾斜カム面が噛合して摺接途中の状態に維持されるように前記第1カム部材の各傾斜カム面と前記第2カム部材の各傾斜カム面の周方向の長さをそれぞれ定めたことを特徴とする扉の開閉支持装置。
【請求項2】前記第1カム部材の凸部及び凹部の周方向の幅と、前記第2カム部材の凹部及び凸部の周方向の幅が略同一寸法に設定されていることを特徴とする請求項1に記載した扉の開閉支持装置。
【請求項3】前記扉の閉鎖時に噛合する前記第1カム部材の凹部と前記第2カム部材の凸部における前記扉の閉鎖直前に噛合する側の傾斜カム面の傾斜角度は、他の傾斜カム面の傾斜角度より大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載した扉の開閉支持装置。
【請求項4】前記扉の開放時に噛合する前記第1カム部材の凸部と前記第2カム部材の凸部における前記扉の開放方向に噛合する側の傾斜カム面を90度またはこれに近い角度に設定したことを特徴とする請求項1に記載した扉の開閉支持装置。
【請求項5】前記両カム部材の各噛合面に、前記凸部及び同凸部を挟んで位置する前記両凹部からなる凹凸部を1組として、同凹凸部の複数組が周方向に均等に形成されていることと特徴とする請求項1に記載した扉の開閉支持装置。
【請求項6】前記凹凸部が前記ヒンジピンを中心とする放射状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載した扉の開閉支持装置。
【請求項7】前記第1カム部材には前記ヒンジプレートに対する取付け用のフランジが設けられ、前記第2カム部材には前記扉に対する取付け用フランジが設けられていることを特徴とする請求項1に記載した扉の開閉支持装置。
【請求項8】前記ヒンジプレートの先端縁には、前記ヒンジピンを中心として前記第1カム部材の外周に位置する所定長さの円弧状部材と、同円弧状部の各端部にて外側へ突出する突出部が設けられ、前記第2カム部材の外周には、前記ヒンジプレートの先端縁における前記円弧状部の外周に臨み前記各突出部に係合可能な係合部が設けられていて、これら円弧状部および両端部と係合部が、前記ヒンジプレートと前記第2カム部材の間に前記扉の最大開放量を規制する開放規制機構を構成していることを特徴とする請求項1に記載した扉の開閉支持装置。
【請求項9】前記第1カム部材の外周に、前記第2カム部材を収容する筒部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載した扉の開閉支持装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は扉の開閉支持装置に関し、特に、収納庫の開口部を開閉する扉の下側を回動可能に支持するための開閉支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】当該開閉支持装置の一形式として実開昭63-66791号公報に示されているように、先端部に上方へ突出するヒンジピンを有し収納庫の開口部の側縁下端部に取付けられるヒンジプレートと、同ヒンジプレート上にて前記ヒンジピンに挿通された状態で固定されて同ヒンジピンの外周に位置する第1カム部材と、前記収納庫の開口部を開閉する扉の側縁下端部に固定されて前記ヒンジピンに挿通された状態で前記第1カム部材に噛合する第2カム部材を備えた開閉支持装置がある。
【0003】当該開閉支持装置においては、前記扉の側縁下端部を前記収納庫の開口部の側縁下端部に開閉可能に支持するもので、前記扉の開閉時には前記両カム部材が相対回転して、前記扉の開放操作時には同扉を上昇させるとともに閉鎖操作時には下降させ、特に、同扉の閉鎖操作時の下降動作を同扉の閉鎖方向への助勢力として利用して、同扉を確実に閉鎖することを意図したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、当該開閉支持装置は、扉の開閉操作時に同扉を昇降させる機能を備えている。しかしながら、当該開閉支持装置においては、両カム部材が扉の閉鎖直前に有効に機能して同扉を確実に閉鎖させるカム形状、両カム部材が扉の開閉操作時に円滑に動作する摩耗、損傷の少ないカム形状、扉の閉鎖操作時の下降動作が開放操作時の上昇動作に比較して強くて両カム部材が扉の閉鎖直前に一層有効に機能するとともに、扉の閉鎖操作が軽く行えるカム形状、両カム部材が扉の最大開放量を規制し得て扉の最大開放量を規制する特別の回動規制機構を要しないカム形状等については考慮されていない。
【0005】従って、本発明の目的は、上記した形式の開閉支持装置において、これらの問題に対処することにあり、さらには、各カム部材の収納庫または扉に対する取付けを容易にし、または扉の最大開放量を確実に規制し得る簡単な構成の開放規制機構を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は扉の開閉支持装置に関し、特に、先端部に上方へ突出するヒンジピンを有し収納庫の開口部の側縁下端部に取付けられるヒンジプレートと、同ヒンジプレート上にて前記ヒンジピンに挿通された状態で固定されて同ヒンジピンの外周に位置する第1カム部材と、前記収納庫の開口部を開閉する扉の側縁下端部に固定されて前記ヒンジピンに挿通された状態で前記第1カム部材に噛合する第2カム部材を備えて、前記扉の側縁下端部を前記収納庫の開口部の側縁下端部に開閉可能に支持し、前記扉の開放操作時には前記両カム部材の相対回転により同扉を上昇させ、閉鎖操作時には前記カム部材の相対回転により同扉を下降させてその閉鎖動作を助勢する形式の開閉支持装置を適用対象とするものである。
【0007】しかして、本発明の開閉支持装置は、上記した形式開閉支持装置において、前記第1カム部材が前記ヒンジピンの外周に位置する周方向の噛合面を有し、同噛合面が上方に延在する第1傾斜カム面、同第1傾斜カム面の先端から水平状に延在する平坦面、同平坦面の先端から下方に延在する第2傾斜カム面からなる凸部及び同凸部の両側に位置する凹部により凹凸形状に形成され、前記第1カム部材の噛合面に対応して位置する前記第2カム部材の噛合面が下方に延在する第1傾斜カム面、同第1傾斜カム面の先端から水平状に延在する平坦面、同平坦面の先端から上方に延在する第2傾斜カム面からなる凸部及び同凸部の両側に位置する凹部により凹凸形状に形成されていて、前記扉が前記ヒンジピンを支持軸として回動されたとき前記両カム部材の各凸部が互いに噛合するように構成され、前記扉が閉鎖されたとき前記第1カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面に前記第2カム部材の第1傾斜カム面又は第2傾斜カム面が噛合して摺接途中の状態に維持されるように前記第1カム部材の各傾斜カム面と前記第2カム部材の各傾斜カム面の周方向の長さをそれぞれ定めたことを特徴とするものである。
【0008】削除
【0009】削除
【0010】また、当該開閉支持装置においては、前記第1カム部材の凸部および凹部の周方向の幅と、前記第2カム部材の凹部および凸部の周方向の幅が略同一寸法に形成する構成、前記扉の閉鎖時に噛合する前記第1カム部材の凹部と前記第2カム部材の凸部における前記扉の閉鎖直前に噛合する側の傾斜カム面の傾斜角度を、他の傾斜カム面の傾斜角度より大きく設定する構成、前記扉の開放時に噛合する前記第1カム部材の凹部と前記第2カム部材の凸部における前記扉の開放方向に噛合する側の傾斜カム面を90度またはこれに近い角度に設定する構成、前記両カム部材の噛合面には、前記凸部および同凸部を挟んで位置する前記両凹部からなる凹凸部を1組として、同凹凸部の複数組を周方向に均等に形成する構成、前記凹凸部を前記ヒンジピンを中心とする放射状に形成する構成を採用することができる。
【0011】また、本発明に係る上記した両開閉支持装置においては、前記第1カム部材に前記ヒンジプレートに対する取付け用のフランジを設けるとともに、前記第2カム部材に前記扉に対する取付け用のフランジを設ける構成、前記ヒンジプレートの先端縁に、前記ヒンジピンを中心として前記第1カム部材の外周に位置する所定長さの円弧状部と、同円弧状部の各端部にて外側へ突出する突出部を設けるとともに、前記第2カム部材の外周に前記ヒンジプレートの先端縁における前記円弧状部の外周に臨み前記各突出部に係合可能な係合部を設けて、これら円弧部および両端部と係合部により、前記ヒンジプレートと前記第2カム部材間に前記扉の最大開放量を規制する開放規制機構を形成する構成、前記第1カム部材の外周に、前記第2カム部材を収容する筒部を設ける構成を採用することができる。
【0012】削除
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【0015】
【発明の作用・効果】
本発明の開閉支持装置においては、扉が閉鎖されている場合には、第2カム部材の凸部が第1カム部材の一方の凹部に噛合した状態にあり、閉鎖状態にある扉を開放操作すると第2カム部材は扉と一体に回転して、第2カム部材の凸部は第1傾斜カム面を第1カム部材の凸部の第2傾斜カム面に噛合して摺接しつつ同第2傾斜カム面を乗り越えて第1カム部材の平坦面に達し、さらに同平坦面を摺接しつつ第1カム部材の他方の凹部に移動し、第2傾斜カム面を第1カム部材の第1傾斜カム面に噛合して摺接しつつ第1カム部材の他方の凹部に噛合する。
【0016】これにより、扉は開放方向へ回動しつつ両傾斜カム面の高さに相当する分だけ上昇し、その上昇位置にてさらに開放方向へ回動した後、両傾斜カム面の高さに相当する分下降して最大限開放される。
【0017】また、当該開閉支持装置においては、扉が最大限開放されている場合には、第2カム部材の凸部が第1カム部材の他方の凹部に噛合した状態にあり、開放状態にある扉を閉鎖操作すると、第2カム部材は扉と一体に上記とは逆方向へ回転して、第2カム部材の凸部は第2傾斜カム面を第1カム部材の凸部の第1傾斜カム面に噛合して摺接しつつ同第1傾斜カム面を乗り越えて第1カム部材の平坦面に達し、さらに同平坦面を摺接しつつ第1カム部材の一方の凹部に移動し、第1傾斜カム面を第1カム部材の第2傾斜カム面に噛合して摺接しつつ第1カム部材の一方の凹部に噛合する。
【0018】これにより、扉は閉鎖方向へ回動しつつ両傾斜カム面の高さに相当する分だけ上昇し、その上昇位置にてさらに閉鎖方向へ回動した後、両傾斜カム面の高さに相当する分下降し、この下降時の動作力が扉の閉鎖方向への回動力として作用し、扉の閉鎖動作を助勢する。この結果、扉は確実に閉鎖されて収納庫が閉鎖される。
【0019】このように、当該開閉支持装置においては、扉の開放時に第2カム部材の凸部を第1カム部材の他方の凹部に噛合させるように構成されているため、扉を最大限開放した扉をそのままの状態に保持することができ、収納庫に対する収納品の出し入れ作業を、扉の開放状態を手で保持することなく、両手で行うことができて、収納庫の使い勝手が極めてよくなる。
【0020】また、当該開閉支持装置においては、第2カム部材が第1カム部材の各凹部に噛合するまでの間は、両カム部材の凸部の平坦面で摺接する。このため、この間では扉の昇降が規制されて扉の過剰な昇降が防止されるとともに、各カム部材の噛合面の摩耗、損傷を軽減させることができる。
【0021】特に、本発明による開閉支持装置においては、前記扉が閉鎖されるとき前記第1カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面に前記第2カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面が噛合して摺接途中の状態に維持されるように前記第1カム部材の各傾斜カム面と前記第2部材の各傾斜カム面の周方向の長さをそれぞれ定めたことにより、前記第1カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面に前記第2カム部材の第2傾斜カム面又は第1傾斜カム面が噛合して摺接途中に維持されている状態にて前記扉が開閉されるため、扉に対しては、閉鎖した状態においても閉鎖方向への回動力が作用していて、この回動力が扉を収納庫の開口縁部に押付けるように作用し、扉の開閉状態を一層確実なものとする。
【0022】また、当該開閉支持装置においては、第1カム部材の凸部および凹部の周方向の幅と、第2カム部材の凹部および凸部の周方向の幅を略同一寸法に形成する構成を採用すれば、各カム部材の凸部の摺動部である平坦面を大きく形成し得て、平坦面における単位面積当りの圧力を低減して、各カム部材の作動を円滑にし、かつ耐久性を向上させることができる。
【0023】また、当該開閉支持装置においては、扉の閉鎖時に噛合する第1カム部材の凹部と第2カム部材の凸部における扉の閉鎖直前に噛合する側の傾斜カム面の傾斜角度を、他の傾斜カム面の傾斜角度より大きく設定する構成を採用すれば、扉の閉鎖操作を軽く行うことができるとともに、扉の閉鎖方向の作用力を大きくすることができる。
【0024】また、当該開閉支持装置においては、扉の開放時に噛合する第1カム部材の凹部と第2カム部材の凸部における扉の開放方向に噛合する側の傾斜カム面を90度またはこれに近い角度に設定する構成を採用すれば、扉の所定量の開放以上の開放を規制することができて、特別の回動規制機構を設けることなく、扉の最大開放量を所定量に規制することができる。
【0025】また、当該開閉支持装置においては、両カム部材の噛合面に、凸部および同凸部を挟んで位置する両凹部からなる凹凸部を1組として、同凹凸部の複数組を周方向に均等に形成する構成を採用することができ、これにより、同時に係合する各傾斜カム面が複数組となって各傾斜カム面の摺接圧力が周方向に分散され、両カム部材の作動を一層円滑に、かつ両カム部材の噛合面の摩耗、損傷を一層抑制することができる。これらの作用効果は、各凹凸部をヒンジピンを中心とする放射状に形成することにより効果的に達成できる。
【0026】本発明に係る上記した両開閉支持装置においては、第1カム部材にヒンジプレートに対する取付け用のフランジを設けるとともに、第2カム部材に扉に対する取付け用のフランジを設ける構成を採用することができ、これにより、第1カム部材の収納庫側への取付け、および第2カム部材の扉側への取付けを容易にすることができる。
【0027】また、これらの開閉支持装置においては、ヒンジプレートの先端縁に、ヒンジピンを中心として第1カム部材の外周に位置する所定長さの円弧状部と、同円弧状部の各端部にて外側へ突出する突出部を設けるとともに、第2カム部材の外周にヒンジプレートの先端縁における円弧状部の外周に臨み各突出部に係合可能な係合部を設けて、ヒンジプレートと第2カム部材間に前記扉の最大開放量を規制する開放規制機構を形成する構成を採用することができる。これにより、扉の最大開放量を規制する開放規制機構を、部品点数を増やすことなく、簡単な構造にて構成することができる。
【0028】また、これらの開閉支持装置においては、第1カム部材の外周に、前記第2カム部材を収容する筒部を設ける構成を採用することができ、これにより、両カム部材の噛合面間に介在させるグリース等の潤滑剤の外部への漏洩を防止することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下本発明を図面に基づいて説明するに、図1には本発明に係る開閉支持装置を採用して開閉扉を支持した観音開き式冷蔵庫の一例が示されている。当該観音開き式冷蔵庫(以下単に冷蔵庫ということがある)は、上側の両開閉扉および下側の両開閉扉を全て閉鎖した正面の状態を示すもので、全ての開閉扉を正面側(手前)へ回動することにより開放することができるとともに、背面側(後方)へ回動することにより閉鎖することができるものである。
【0030】当該冷蔵庫は上下2段の冷蔵室を備えたもので、図1および図2に示すように、庫本体11はその上部および下部にそれぞれ正面開口部11a,11bを備えているとともに、上側の正面開口部11aを開閉する開閉扉である一対の第1,第2扉12,13、および下側の正面開口部11bを開閉する開閉扉である一対の第1,第2扉14,15を備えている。
【0031】各第1扉12,14は、それらの基端部である左側縁部にて庫本体11の各開口部11a,11bの左側縁部に前後方向へ回動可能に支持されており、また各第2扉13,15はそれらの基端部である右側縁部にて庫本体11の各開口部11a,11bの右側縁部に前後方向へ回動可能に支持されている。
【0032】第1扉12は、図2に示すように、下端部にて本発明の一例に係る開閉支持装置20aにて支持され、かつ上端部にて公知のヒンジ装置20bにて支持されている。なお、その他の各扉13〜15も第1扉12と同様に開閉支持装置20aとヒンジ装置20bとにより支持されている。従って、以下の説明においては、全ての扉12〜15の総称として開閉扉10aなる文言を使用する。
【0033】当該冷蔵庫は、開閉扉10aを支持する開閉支持装置20aとヒンジ装置20bの軸心が互いにずれているオートクローズ方式のものであり、開閉扉10aは開閉操作時には図2の2点鎖線で示す回動軸を中心に回動し、開閉扉10aは開放状態においては回動軸の傾斜角度に相当する角度だけ傾斜した状態にあって、開放状態にある開閉扉10aは、その傾斜角度に起因するわずかな回動力の作用にて、閉鎖方向へ漸次回動して閉鎖するように構成されている。
【0034】開閉扉10aが閉鎖された状態では、開閉扉10aの背面側の周縁部に沿って配設されているシール部材が庫本体11の開口縁部に密接するとともに、開閉扉10aの先端面側に側縁部に沿って配設されているシール部材が互いに密接して、庫本体11の開口部が密閉される。
【0035】しかして、開閉支持装置20aは、図3〜図5に示すように、ヒンジプレート21、ヒンジピン22、第1カム部材23およびこれと一体の取付フランジ24a、第2カム部材25およびこれと一体の取付フランジ24bにて構成されている。
【0036】ヒンジプレート21は、図3に示すように、庫本体11の各開口部の下方縁部に取付けられるもので平板状を呈し、その先端側にはヒンジピン22が起立状に固着されている。
【0037】第1カム部材23は、図4に拡大して示すように、取付フランジ24a上の先端部に一体的に形成された円筒状のもので、上端側の噛合面には、凸部23aおよび凹部23bが周方向に所定間隔を保持して3個づつ形成されている。凸部23aおよび凹部23bは第1傾斜カム面23cと第2傾斜カム面23dにて互いに連結されているもので、凸部23aの頂部および凹部23bの底部は平坦面に形成されているとともに、各傾斜カム面23c,23dは同一の傾斜角度に形成されている。また、凸部23aと凹部23bは、周方向の幅が同一寸法に形成されているとともに、内孔23eを中心とする放射状に形成されている。内孔23eは、ヒンジピン22がガタなく挿通する寸法に形成されている。
【0038】第1カム部材23はヒンジピン22に挿通された状態でヒンジプレート21に重合されて、同ヒンジプレート21上に固定されており、凸部23a、凹部23b、および傾斜カム面23c,23dが形成されている噛合面を上方に向けて位置している。
【0039】第2カム部材25は、図5に拡大して示すように(但し図4の略0.7倍)、取付フランジ24bの下面側の先端部に一体的に形成された円筒状のもので、下面側の噛合面には、凸部25aおよび凹部25bが周方向に所定間隔を保持して3個づつ形成されている。凸部25aおよび凹部25bは第1傾斜カム面25cと第2傾斜カム面25dにて互いに連結されているもので、凸部25aの頂部および凹部25bの底部は平坦面に形成されているとともに、各傾斜カム面25c,25dは同一の傾斜角度に形成されている。また、凸部25aと凹部25bは、周方向の幅が同一寸法に形成されているとともに、内孔25eを中心とする放射状に形成されている。内孔25eは、ヒンジピン22がガタなく挿通しかつ円滑に相対回転する寸法に形成されている。
【0040】第2カム部材25においては、凸部25a、凹部25b、および傾斜カム面25c,25dが、第1カム部材23の凸部23a、凹部23b、および傾斜カム面23c,23dと略同一寸法に形成されており、取付フランジ24bにて開閉扉10aの基端部の下面に固定され、ヒンジピン22に挿通された状態で、その噛合面が第1カム部材23の噛合面に噛合している。
【0041】図6は、当該開閉支持装置20aを使用して開閉扉10aを支持した状態における両カム部材23,25の噛合状態を示すもので、同図(a)は開閉扉10aの開閉途中の噛合状態、同図(b)は開閉扉10aの閉鎖時の噛合状態、同図(c)は開閉扉10aの最大開放時における噛合状態をそれぞれ示している。
【0042】当該開閉支持装置20aにおいては、開閉扉10aの閉鎖時には、第2カム部材25の凸部25aが第1カム部材23の凹部23bに完全に噛合する直前にあって、第2カム部材25の第1傾斜カム面25cが第1カム部材23の第2傾斜カム面23dに噛合途中の状態にあるように、両カム部材23,25が形成されている。
【0043】かかる構成の開閉支持装置20aを採用して開閉扉10aを支持した冷蔵庫においては、開閉扉10aが閉鎖されている場合には、第2カム部材25の凸部25aが図6(b)に示すように第1カム部材23の凹部23bに噛合して、第1傾斜カム面25cを第1カム部材23の第2傾斜カム面23dに噛合した状態にある。
【0044】この閉鎖状態にある開閉扉20aを開放操作すると、第2カム部材25は開閉扉10aと一体に回転して、第2カム部材25の凸部25aは第1傾斜カム面25cを第1カム部材23の第2傾斜カム面23dに摺接しつつ同第2傾斜カム面23dを乗り越えて、同図(a)に示すように第1カム部材23の凸部23aの平坦面に達し、さらに同平坦面を摺接しつつ第1カム部材23の他方の凹部23bに移動し、第2傾斜カム面25dを第1カム部材23の第1傾斜カム面23cに噛合して摺接しつつ第1カム部材23の凹部23bに、同図(c)に示すように噛合する。
【0045】この間、開閉扉10aは開放方向へ回動しつつ両傾斜カム面の高さに相当する分だけ上昇し、その上昇位置にてさらに開放方向へ回動した後、両傾斜カム面の高さに相当する分下降して最大限開放される。
【0046】また、当該開閉支持装置20aにおいては、扉が最大限開放されている場合には、第2カム部材25の凸部25aが第1カム部材23の凹部23bに図6(c)に示す噛合状態にあり、開放状態にある開閉扉10aを閉鎖操作すると、第2カム部材25は開閉扉10aと一体に上記とは逆方向へ回転して、第2カム部材25の凸部25aは第2傾斜カム面25dを第1カム部材23の凸部23aの第1傾斜カム面23cに摺接しつつ同第1傾斜カム面23cを乗り越えて第1カム部材23の凸部23aの平坦面に達し、さらに同平坦面を摺接しつつ第1カム部材23の一方の凹部23bに移動し、第1傾斜カム面25cを第1カム部材の第2傾斜カム面23dに噛合して摺接しつつ第1カム部材23の一方の凹部23bに噛合し、同図(b)に示す噛合状態となる。
【0047】この間、開閉扉10aは閉鎖方向へ回動しつつ両傾斜カム面の高さに相当する分だけ上昇し、その上昇位置にてさらに閉鎖方向へ回動した後、両傾斜カム面の高さに相当する分下降し、この下降時の動作力が扉の閉鎖方向への回動力として作用し、扉の閉鎖動作を助勢する。この結果、開閉扉10aは確実に閉鎖されて収納庫が密閉される。
【0048】ところで、当該開閉支持装置20aにおいては、図6(b)に示すように、両カム部材23,25の両傾斜カム面23d,25cが互いに噛合して摺接途中の状態にあるとき開閉扉20aが閉鎖状態になるように構成されているため、開閉扉10aに対しては、閉鎖した状態においてもなお閉鎖方向への回動力が作用した状態にあり、この回動力が開閉扉10aを庫本体11の開口縁部に押付るように作用し、開閉扉10aの閉鎖状態を確実なものとする。
【0049】また、当該開閉支持装置20aにおいては、図6(c)に示すように、開閉扉10aの開放時に第2カム部材25の凸部25aを第1カム部材23の他方の凹部23bに噛合させるように構成されているため、最大限開放した開閉扉10aをそのままの状態に保持することができ、冷蔵庫に対する収納品の出し入れ作業を、開閉扉10aの開放状態を手で保持することなく両手で行うことができて、冷蔵庫の使い勝手が極めてよくなる。
【0050】また、当該開閉支持装置20aにおいては、第2カム部材25の凸部25aが第1カム部材23の各凹部23bに噛合するまでの間は、両カム部材23,25は凸部23a,25aの平坦面同士で摺接する。このため、この間では開閉扉10aの昇降が規制されて開閉扉10aの過剰な昇降が防止されるとともに、各カム部材23,25の噛合面の摩耗、損傷を軽減させることができる。
【0051】また、当該開閉支持装置20aにおいては、第1カム部材23の凸部23aおよび凹部23bの周方向の幅と、第2カム部材25の凸部25aおよび凹部25bの周方向の幅を略同一寸法に形成しているため、各カム部材23,25の凸部23a,25aの摺動部である平坦面を大きく形成し得て、平坦面における単位面積当りの圧力を低減して、各カム部材23,25の作動を円滑にし、かつ耐久性を向上させることができる。
【0052】また、当該開閉支持装置20aにおいては、両カム部材23,25の噛合面に、凸部23a,25aを挟んで位置する両凹部23b,25bからなる凹凸部を1組として、同凹凸部の3組を周方向に均等に形成しているため、同時に噛合する各傾斜カム面が3組となって各傾斜カム面の摺接圧力が周方向に分散され、両カム部材23,25の作動を一層円滑に、かつ両カム部材23,25の噛合面の摩耗、損傷を一層抑制することができる。これらの作用効果は、各凹凸部をヒンジピン22を中心とする放射状に形成することにより、効果的に達成できる。
【0053】また、当該開閉支持装置においては、第1カム部材23にヒンジプレート21に対する取付フランジ24aを設けているとともに、第2カム部材25に開閉扉10aに対する取付フランジ24bを設けているため、第1カム部材23の庫本体11側への取付け、および第2カム部材25の開閉扉10a側への取付けを容易にすることができる。
【0054】図7には、当該開閉支持装置20aにおける両カム部材23,25の第1変形例が示されている。当該変形例に係る両カム部材26,27においては、各凸部26a,27aの第1傾斜カム面26cと第2傾斜カム面27dが同一の傾斜角度に形成されているとともに、各凸部26a,27aの第2傾斜カム面26dと第1傾斜カム面27cが同一の傾斜角度に形成され、かつ各凸部26a,27aの第2傾斜カム面26dと第1傾斜カム面27cが第1傾斜カム面26cと第2傾斜カム面27dに比較して大きい傾斜角度に形成されている。
【0055】従って、このような両カム部材26,27を備えた開閉支持装置によれば、第1カム部材26の第2傾斜カム面26dと第2カム部材27の第1傾斜カム面27cが関与する開閉扉10aの開放操作時には開放操作が若干重くなるが、第1傾斜カム面26cと第2傾斜カム面27dが関与する開閉扉10aの閉鎖操作時には閉鎖操作が軽くなるとともに、開閉扉10aの閉鎖直前に生じる閉鎖方向への回動力が大きくなって、開閉扉10aの閉鎖を一層確実なものとする。
【0056】図8には、当該開閉支持装置20aにおける両カム部材23,25の第2変形例が示されている。当該変形例に係る両カム部材28,29は、形状の異なる2種類の凸部28a,28b、29a,29bを備えている。両カム部材28,29における第1凸部28aと第2凸部29b同志、および両カム部材28,29における第2凸部28bと第1凸部29a同志は互いに同一形状に形成されている。
【0057】第1カム部材28においては、第2凸部28bにおける第2傾斜カム面28fが略90度の角度に形成されているとともに、この第2傾斜カム面28fを除く全ての傾斜カム面28c〜28eは90度より小さい傾斜角度に形成されている。また、第2カム部材29においては、第1凸部29aにおける第1傾斜カム面29cが略90度の角度に形成されているとともに、この第1傾斜カム面29cを除く全ての傾斜カム面29d〜29fは90度より小さい傾斜角度に形成されている。
【0058】従って、このような両カム部材28,29を備えた開閉支持装置によれば、開閉扉10aの開放時に噛合する第1カム部材28の第2凹部28gと第2カム部材29の第1凸部29aにおける開閉扉10aの開放方向側に噛合する傾斜カム面が、略90度の角度を有する第2傾斜カム面28fと第1傾斜カム面29cとなる。このため、開閉扉10aはこの噛合状態では、これ以上開放方向へ回動させることはできず、特別の回動規制機構を設けることなく、開閉扉10aの最大開放量を所定量に規制することができる。
【0059】図9には、当該開閉支持装置20aの第1変形例が示されている。当該変形例の開閉支持装置20cにおいては、ヒンジプレート21の先端縁部が局部的に凹所21aに形成されている。同凹所21aはヒンジピン22を中心とする円弧状に形成されていて、各端部に突出する突出縁部21b,21c内に位置しているとともに、ヒンジプレート21に固定されている第1カム部材23の外周に位置している。
【0060】一方、第2カム部材25には、その先端縁に下方へ突出する突出片25fが形成されている。突出片25fは、第2カム部材25が第1カム部材23に噛合している状態においては、ヒンジプレート21の円弧状凹所21aの外周に臨んでいて、両突出縁部21b,21c間を回動可能である。
【0061】従って、当該開閉支持装置20cによれば、開閉扉10aの開放操作により、第2カム部材25に設けた突出片25fがヒンジプレート21の先端側の突出縁部21bに当接してそれ以上の開放側への回動が規制される。このため、ヒンジプレート21の円弧状凹所21aおよび各突出縁部21b,21cと、突出片25fとが開閉扉10aの最大開放量を規制する回動規制機構を構成する。当該回動規制機構は、開閉支持装置20cの構成部品の点数を増大させることなく簡単な構造に構成することができる。
【0062】図10には、当該開閉支持装置20aの第2変形例が示されている。当該開閉支持装置20dにおいては、第1カム部材23と一体に形成されている取付フランジ24a上に円筒状の筒部24cが設けられていて、同筒部24cの内部に第1カム部材23が形成されている。第1カム部材23の噛合面上には、ヒンジピン22に挿通されてヒンジプレート21上に取付けられた状態にてグリース等の潤滑剤が供給されていて、この上の第2カム部材25が噛合している。
【0063】従って、当該開閉支持装置20dによれば、両カム部材23,25の噛合面間に介在する潤滑剤の外部への漏洩を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る開閉支持装置を採用して開閉扉を支持した観音開き式冷蔵庫を示す正面図である。
【図2】同開閉扉の支持状態を示す図1の矢印2-2線方向にみた縦断側面図である。
【図3】同開閉扉の下端側の支持状態を示す開閉支持装置の側面図である。
【図4】同開閉支持装置を構成する第1カム部材の平面図(a)、および矢印4方向から見た側面図(b)である。
【図5】同開閉支持装置を構成する第2カム部材の底面図(a)、および同側面図(b)である。
【図6】両カム部材の噛合状態における展開した部分縦断面図であって、開閉扉が開閉途中にある場合(a)、同開閉扉が閉鎖状態にある場合(b)、同開閉扉が開放状態にある場合(c)の縦断面図である。
【図7】両カム部材の第1変形例を示す噛合状態における展開した部分縦断面である。
【図8】両カム部材の第2変形例を示す噛合状態における展開した部分縦断面図である。
【図9】開閉支持装置の第1変形例を示すもので、同開閉支持装置を構成するヒンジプレートの斜視図(a)、および同開閉支持装置の側面図(b)である。
【図10】開閉支持装置の第2変形例を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
10a…開閉扉、11…庫本体、11a,11b…正面開口部、12,14…第1扉、13,15…第2扉、20a,20c,20d…開閉支持装置、20b…ヒンジ装置、21…ヒンジプレート、21a…凹所、21b,21c…突出縁部、22…ヒンジピン、23,26,28…第1カム部材、23a…凸部、23b…凹部、23c,26c,28c,28e…第1傾斜カム面、23d,26d,28d,28f…第2傾斜カム面、23e…内孔、24a,24b…取付フランジ、24c…筒部、25,27,29…第2カム部材、25a…凸部、25b…凹部、25c,27c,29c,29e…第1傾斜カム面、25d,27d,29d,29f…第2傾斜カム面、25e…内孔、25f…突出片。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-02-08 
出願番号 特願平8-276515
審決分類 P 1 652・ 121- ZA (E05F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 住田 秀弘  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 新井 夕起子
伊波 猛
登録日 2003-04-18 
登録番号 特許第3421204号(P3421204)
権利者 ホシザキ電機株式会社
発明の名称 扉の開閉支持装置  
代理人 長谷 照一  
代理人 越川 隆夫  
代理人 長谷 照一  

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