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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  D21H
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  D21H
管理番号 1117948
異議申立番号 異議2003-73532  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-24 
確定日 2005-05-30 
異議申立件数
事件の表示 特許第3456377号「易離解性防湿紙」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3456377号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 I.手続きの経緯
本件特許第3456377号は、平成9年8月1日に特許出願され、平成15年8月1日にその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人森田繁太郎(以下「申立人」という。)から、請求項1〜4に係る特許について特許異議の申立てがされ、特許権者に対して審尋がされ、その指定期間内である平成17年4月14日付けで回答されたものである。

II.特許異議の申立てについて
1.本件発明
特許第3456377号の請求項1〜4に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」〜「本件発明4」という。)は、特許査定時の明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載される以下のとおりのものである。
「【請求項1】紙支持体の少なくとも片面にフィロケイ酸塩化合物とスチレン-ブタジエン系共重合体ラテックスを含む防湿塗料から形成された防湿層を有する防湿紙において、スチレン-ブタジエン系共重合体のゲル分率が70〜99%であり、ガラス転移温度が-10〜40℃であり、かつ、スチレン-ブタジエン系共重合体ラテックス中にアルカリ金属イオンが固形分に対して0.05〜1重量%、アンモニウムイオンが0.1〜2重量%含まれることを特徴とする易離解性防湿紙。
【請求項2】フィロケイ酸塩化合物がカップリング剤で処理されていることを特徴とする請求項1に記載の易離解性防湿紙。
【請求項3】スチレン-ブタジエン系共重合体が活性水素を有する官能基を含むことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の易離解性防湿紙。
【請求項4】防湿塗料が活性水素反応性化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の易離解性防湿紙。」
2.特許異議の申立ての理由の概要
(1)申立人は以下の甲第1〜4号証を提出して、本件発明1〜4は、甲第1〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、本件発明1〜4に係る特許は特許法第113条第1項第2号の規定に該当し、取り消されるべきである旨を主張し(以下、「申立て理由1」という。)、また
(2)本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者がその発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないから、本件発明1〜4に係る特許は特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、本件発明1〜4に係る特許は特許法第113条第1項第4号の規定に該当し、取り消されるべきである旨主張(以下、「申立て理由2」という。)している。
甲第1号証:特開平9-21096号公報
甲第2号証:特開平8-259875号公報
甲第3号証:国際公開97/24489号パンフレット
甲第4号証:特開昭55-30419号公報
3.甲各号証に記載された発明
甲第1号証:特開平9-21096号公報には以下の記載がある。
(1-1)
「【請求項1】紙支持体上の少なくとも片面に顔料と合成樹脂ラテックスからなる防湿性組成物層を形成した防湿性紙において、該顔料がアスペクト比が5以上の平板状顔料でありかつその平均粒子径が5μmから50μmであることを特徴とする防湿性紙。」(特許請求の範囲)
(1-2)
「【0015】
本発明で使用する平板状顔料は、フィロケイ酸塩鉱物、天然燐片状黒鉛などが挙げられる。フィロケイ酸塩鉱物に属するものは板状または薄片状であって明瞭な劈開を有し、雲母族、パイロフィライト、タルク(滑石)、緑泥石、セプテ緑石、蛇紋石、スチルプノメレーン、粘土鉱物がある。これらの中でも産出されるときの粒子が大きく産出量が多い鉱物、例えば雲母族やタルクが好ましい。…」(4頁左欄3〜21行)
(1-3)
「【0021】
本発明に用いる合成樹脂ラテックスとしては、 スチレンブタジエンラテックス(SBR)、アクリルスチレンラテックス、メタクリレートブタジエンラテックス、アクリルニトリルブタジエンラテックスなどが挙げられるが、耐水性の面が良好で伸びがよく折割れによる塗工層の亀裂が生じにくいためにスチレンブタジエンラテックスが好適である。ここで重合性単量体はスチレン及び1,3-ブタジエンを主体とするが、その他のスチレンおよび1,3-ブタジエンと共重合可能な単量体を本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。……しかし、メチルメタクリレート、アクリルニトリル、アクリル酸、アクリルアミドなどの共重合成分(数%〜数十%)や多くの乳化剤(数%)を含むSBRはこれら官能基がいずれもスチレンやブタジエンに比べ親水性を示すためにこれら共重合成分や乳化剤は極力含まない方が好ましい。」(4頁右欄30行〜5頁左欄15行)
(1-4)
「【0022】
また、……合成樹脂ラテックスのガラス転移温度(Tg)およびゲル量(テトラヒドロフランなどの有機溶媒による抽出残量をいう。分子量数十万のポリマー成分が主体)は塗工層のブロッキング(塗工面と被包装物表面の接着)のしやすさと成膜性に影響を与える。低Tgかつ低ゲル量の樹脂を使用するとブロッキングしやすくなるが成膜性は向上する。逆に高Tgかつ高ゲル量の樹脂を使用するとブロッキングはしにくくなるが成膜性は低下する。通常Tgの範囲は-30度〜50度、好ましくは-15度〜30度であり、ゲル量の範囲は30%〜95%、好ましくは60%〜90%の範囲で、成膜性とブロッキングのバランスでTgとゲル量が決定される。」(5頁左欄16〜32行)
(1-5)
「【0063】
【発明の効果】
表1〜3に示すように、粒子径が5μm〜50μmでアスペクト比が5以上の平板状顔料と合成樹脂ラテックスからなる防湿性紙は透湿度、離解性に優れ、滑りに対しても問題がないことがわかる。」(9頁右欄下から4〜末行)
甲第2号証:特開平8-259875号公報には以下の記載がある。
(2-1)
「【請求項1】 水相の乳化剤量が、0.01mmol/g以下であり、樹脂のガラス転移温度が-20〜50℃である樹脂ラテックス(A)と、一定の温度を境界にして親水性と疎水性が可逆的に変化するビニル重合体(B)を含むことを特徴とする塗工紙の製造に用いられるバインダー組成物。」(特許請求の範囲)
(2-2)
「【0005】
すなわち本発明は、水相の乳化剤量が、0.01mmol/g以下であり、樹脂のガラス転移温度が-20〜30℃である樹脂ラテックス(A)と、一定の温度を境界にして親水性と疎水性が可逆的に変化するビニル重合体(B)を含むことを特徴とする塗工紙の製造に用いられるバインダー組成物である。」(2頁左欄下3行〜右欄3行)
(2-3)
「【0009】
これらの方法のなかでは、高分子量の樹脂からなるラテックスが得られる点で乳化重合する方法が好ましく、SBRラテックスが通常の条件で容易に得られる点でラジカル重合性基を有する乳化剤(a)を使用して乳化重合する方法が特に好ましい。」(2頁右欄31〜35行)
(2-4)
「【0011】
ラジカル重合性基を有する乳化剤(a)としては、例えば、(1)アニオン系(メタ)アクリル酸エステル類[CH2=C(R3)CO2(CH2)mSO3M(式中R3は水素原子またはメチル基、mは1〜4の整数、Mはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンまたはアミニウムイオンを示す。)で示されるもの、……」(2頁右欄41〜46行)
(2-5)
「【0013】
樹脂ラテックスを製造する時の(a)の使用量は、通常、樹脂分に対して0.1〜20重量%である。」(4頁左欄5〜7行)
(2-6)
「【0017】
樹脂ラテックスの乳化重合に際しては、公知の重合開始剤や連鎖移動剤が使用される。重合開始剤としては、有機系重合開始剤[パーオキシド類(クメンハイドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、パラメンタンハイドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等)、アゾ化合物類(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等)]、無機系重合開始剤[過硫酸塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等)等]等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、通常、樹脂分に対して0.01〜5重量%である。」(4頁右欄4〜15行)
甲第3号証:国際公開第97/24489号パンフレットには以下の記載がある。
(3-1)
「請求の範囲
……
7.金属ロールと金属ロールによって形成されるニップ部に、紙を線圧200〜2500kg/cmの加圧条件下で通紙する前又は後に、紙の両面に防湿性の樹脂層を設けたことを特徴とする紙。
……
10.防湿性の樹脂層が、平均粒子径が5〜50μmでアスペクト比が5以上のフェロケイ酸塩化合物をシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤のいずれかで処理したものと、合成樹脂を主成分とした層である請求の範囲第7項記載の紙。
…… 」(特許請求の範囲)
甲第4号証:特開昭55-30419号公報には以下の記載がある。
(4-1)
「(1)ワツクスエマルジョン
(2)ワツクスエマルジヨンの固形分100重量部に対して10〜400重量部の水性結合剤および
(3)水性結合剤の固形分100重量部に対して10〜1000重量部の顔料
を含有する組成物をクラフト紙またはロール紙の表面に塗布し、乾燥することを特徴とする防湿包装用紙の製造法。」(特許請求の範囲)
(4-2)
「またワツクスの防湿性をそこなわないために、水性結合剤自身も透湿性の低いものであることが好ましい。この目的に適うものとしては、たとえば…、スチレン-ブタジエン共重合ラテックス、…などがあげられる。」(2頁左下欄14行〜右下欄7行)
(4-3)
「水分散性結合剤は、たとえばアクリル酸などの不飽和カルボン酸などによつて変性したもの、あるいは三元、四元の共重合体エマルジョンであつてもよい。」(2頁右下欄7〜10行)
(4-4)
「また、水性結合剤を、たとえば亜鉛華やメラミン-ホルムアルデヒド樹脂などで架橋させて耐水性を向上させてもよい。」(2頁右下欄15〜17行)

4.特許異議の申立てについての判断
4.1 申立て理由1について
4.1.1 本件発明1について
(1)甲第1号証に記載された発明と本件発明1との対比
本件発明1は、上記II.1.本件発明の項に記載されたとおりの「紙支持体の少なくとも片面にフィロケイ酸塩化合物とスチレン-ブタジエン系共重合体ラテックスを含む防湿塗料から形成された防湿層を有する防湿紙において、スチレン-ブタジエン系共重合体のゲル分率が70〜99%であり、ガラス転移温度が-10〜40℃であり、かつ、スチレン-ブタジエン系共重合体ラテックス中にアルカリ金属イオンが固形分に対して0.05〜1重量%、アンモニウムイオンが0.1〜2重量%含まれることを特徴とする易離解性防湿紙」である。
これに対し、甲第1号証では、摘示事項(1-1)の合成樹脂ラテックス、平板状顔料がそれぞれスチレンブタジエンラテックス、フィロケイ酸塩鉱物であることが摘示事項(1-2)、(1-3)に示され、また合成樹脂ラテックスのガラス転移温度(Tg)が-30〜50℃、ゲル量が30%〜95%であることが摘示事項(1-4)に示され、得られる防湿性紙が離解性に優れていることも摘示事項(1-5)に示されているから、それらを総合すると、甲第1号証には、「紙支持体の少なくとも片面にフィロケイ酸塩鉱物、スチレン-ブタジエンラテックスからなる防湿塗料から形成された防湿層を有する防湿紙において、スチレン-ブタジエンラテックスのゲル量の範囲が30%〜95%であり、ガラス転移温度が-30〜50℃である易離解性防湿紙」の発明が記載されているものと認める(以下、「甲1発明」という。)。
そして、甲1発明のフィロケイ酸塩鉱物が本件発明1のフィロケイ酸塩化合物に該当することは摘示事項(1-2)から明らかであり、甲1発明のゲル量が本件発明1のゲル分率に該当することは摘示事項(1-4)から明らかである。
そこで、本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者はスチレンブタジエンラテックス及びフィロケイ酸塩化合物を含有する防湿塗料から形成された防湿層を有する防湿紙である点で一致し、スチレンブタジエンラテックスのゲル分率及びガラス転移温度(Tg)の範囲でも重複一致しているが、本件発明1ではさらに共重合体ラテックス中のアルカリ金属イオン及びアンモニウムイオンの含有量についても規定しているのに対し、甲1発明ではその点について記載されていない点で相違する(以下、相違点という。)。
(2)相違点についての判断
申立人は上記相違点を補う証拠として甲第2号証を提出しているので、以下甲1発明及び甲第2号証に記載された発明(以下、「甲2発明」という。)に基づく容易性について以下に検討する。
甲第2号証には、塗工紙の製造に用いられるバインダー組成物が記載され(摘示事項2-1)、該バインダー組成物にはSBR等の樹脂ラテックス(A)をその一成分として使用でき、その樹脂ラテックス製造時にはラジカル重合性基を有するアニオン系乳化剤(a)や重合開始剤を使用できることが示されている(摘示事項(2-2〜2-4,2-6)。
また、上記ラジカル重合性基を有するアニオン系乳化剤としてアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンまたはアミニウムイオンを対イオンに有するものが例示され、上記重合開始剤にはその一例として過硫酸塩が例示され、具体例として過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが示され、併せて乳化剤や重合開始剤の使用量も示されている(摘示事項2-4〜2-6)。
しかし、上記摘示事項からも明らかなように、甲第2号証においては、上記乳化剤及び重合開始剤は種々の乳化剤、重合開始剤の一例として挙げられているにすぎず、樹脂ラテックス中にアルカリ金属イオンとアンモニウムイオンの両者を特定量含有させることについては記載も示唆もされていない。
さらに、甲第1号証では、樹脂ラテックスの成分に親水性を示す共重合成分は極力含まない方が好ましい旨のことが示されており(摘示1-3)、甲第2号証に記載されたようなラジカル重合性基を有するアニオン系乳化剤は、甲第1号証の樹脂ラテックス製造において好ましくないとされる共重合成分や乳化剤成分に該当するものであり、甲第1号証の樹脂ラテックス製造において、あえて甲第2号証のラジカル重合性基を有するアニオン系乳化剤を使用する合理的な理由は見いだせない。
そして、本件発明1において、スチレン-ブタジエン系共重合体ラテックス中にアルカリ金属イオンとアンモニウムイオンの両者を特定量含有させることの技術的意義は段落【0013】及び【0014】に示されており、そのことは実施例においても確認されている。
なお、甲第3号証はカップリング剤による処理に関する証拠(摘示3-1)であり、甲第4号証は活性水素を有する官能基や活性水素反応性化合物に関する証拠(摘示4-1〜4-4)であって、そのいずれの証拠にも上記相違点に係る事項は記載も示唆もされていない。
よって、本件発明1は、甲1発明及び甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められないので、本件発明1に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえず、特許法第113条第1項第2号の規定に該当しない。
4.1.2 本件発明2〜4について
本件発明2〜4は、本件発明1の易離解性防湿紙において、フィロ珪酸塩化合物(本件発明2)、スチレン-ブタジエン系共重合体(本件発明3)又は防湿塗料(本件発明4)を更に特定するものである。
したがって、本件発明2〜4は、上記4.1.1と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められず、特許法第113条第1項第2号の規定に該当しない。
なお、甲第3〜4号証に記載された発明の内容が、本件発明2〜4に対する結論に影響を及ぼすものではないことも、上記と同様である。
4.2 申立て理由2について
申立人は本件明細書の実施例中の【表1】、段落【0025】及び段落【0029】に記載されたラテックスA乃至Qはその入手方法及び製造方法が不明であり、当業者がこれらを用いることも製造することもできない旨主張するので、以下その点につき検討する。
本件明細書の上記【表1】には、各スチレン-ブタジエン系共重合体ラテックスのモノマー比、Naイオンの重量%、アンモニウムイオンの重量%、ゲル分率及びガラス転移温度が示されている。
そして、スチレン-ブタジエン系共重合体ラテックスの製造においては、例えば、「合成ラテックスの応用」p80-82、(株)高分子刊行会、1993年7月10日発行(権利者の提出した資料1)、特開平5-9336号公報の段落【0033】(同資料2)にも記載されているように、分子量調節剤を添加することが通常行われており、その分子量調節剤を添加することによりゲル分率の調整が可能であることは、周知の技術と認められる。
また、スチレン-ブタジエン系共重合体ラテックスのガラス転移温度は、ゲル分率に依存するものであり、このことは、例えば、「高分子ラテックスの化学」p259、(株)高分子刊行会、1986年3月15日発行(同資料4)に示されているとおりであるから、スチレン-ブタジエン系共重合体ラテックスのゲル分率及びガラス転移温度を定められた範囲に調整することは、当業者であれば技術常識に基づき適宜なし得るものである。
次に、スチレン-ブタジエン系共重合体ラテックス中のNaイオン及びアンモニウムイオンの重量%については、例えば、特開平5-32711号公報の段落【0029】(同資料5)や特開平5-9336号公報の段落【0055】(同資料2)にも記載されているように、適宜使用可能な炭酸水素ナトリウム、アンモニア水等のpH調整剤により、当業者であれば目的とする範囲に調整可能なものと認められる。
したがって、本件明細書に表1記載のラテックスA〜Qの入手方法及び製造方法が具体的に記載されていないとしても、当業者であればその技術常識に基づき表1に定めた成分、物性を有するスチレン-ブタジエン系共重合体ラテックスの製造は可能なものと認められるから、本件発明1〜4に係る特許は特許法36条第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえず、特許法第113条第1項第4号の規定に該当しない。
5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1〜4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2005-05-06 
出願番号 特願平9-207487
審決分類 P 1 651・ 121- Y (D21H)
P 1 651・ 536- Y (D21H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山崎 利直  
特許庁審判長 松井 佳章
特許庁審判官 野村 康秀
鴨野 研一
登録日 2003-08-01 
登録番号 特許第3456377号(P3456377)
権利者 王子製紙株式会社
発明の名称 易離解性防湿紙  
代理人 松川 克明  

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