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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 H01H |
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管理番号 | 1119412 |
異議申立番号 | 異議2003-71609 |
総通号数 | 68 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1995-11-14 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-06-23 |
確定日 | 2005-04-20 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3359422号「消弧用絶縁材料組成物、消弧用絶縁材料成形体およびそれらを用いた消弧装置」の請求項1、2、7ないし11、16ないし18、28ないし31に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3359422号の請求項5、10、11、21ないし24に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3359422号の請求項1ないし31に係る発明についての出願は、平成6年7月5日(優先権主張平成6年3月10日)に特許出願され、平成14年10月11日にその特許権の設定登録がなされ、その後、原田宏志より請求項1、2、7ないし11、16ないし18、28ないし31に対して特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成17年3月9日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 訂正事項A 請求項1及び2を削除し、請求項3〜7を新たな請求項1〜5へ繰り上げると共に、元の請求項3の記載形式を独立形式に改める。訂正後の記載は以下のとおり。 「【請求項1】 周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる充填材を含有し、マトリクス樹脂の主成分が、ポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種であり、上記セラミック繊維が、ケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはアルミナウィスカである消弧用絶縁材料組成物。 【請求項2】 ポリオレフィンが、ポリプロピレンまたはポリメチルペンテンである請求項1記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項3】 ポリオレフィン系共重合体が、エチレン-ビニルアルコール共重合体である請求項1記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項4】 ポリアミド系ポリマーブレンドが、ポリアミドとポリオレフィンとの組み合わせ、ポリアミドと熱可塑性エラストマーとの組み合わせまたはポリアミドとゴムとの組み合わせである請求項1記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項5】 ポリアミドが、ナイロン6T、ナイロン46またはナイロン66である請求項1または4記載の消弧用絶縁材料組成物。」 訂正事項B 請求項8〜11および18を削除し、元の請求項12〜17を繰り上げて新たに請求項6〜11とし、引用元の請求項の番号を付け替える。訂正後の記載は以下のとおり。 「【請求項6】 ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタールとは非相溶性でポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂と、ポリアセタールとの組み合わせである請求項1記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項7】 ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタールとナイロン6との組み合わせである請求項6記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項8】 ポリアセタールとは非相溶性で、ポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂と、ポリアセタールとを組み合わせたポリアセタール系ポリマーブレンドが主成分である消弧用絶縁材料組成物。 【請求項9】 ポリアセタールとは非相溶性で、ポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂がナイロン6である請求項8記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項10】 熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質がさらに含有されている請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項11】 熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンである請求項10記載の消弧用絶縁材料組成物。」 訂正事項C 訂正事項A及びBに伴い、特許請求の範囲と発明の詳細な説明との整合性を図るため、明細書の段落【0018】〜【0019】、【0024】〜【0027】、【0034】、【0049】、【0054】〜【0055】、【0062】、【0245】、【0250】〜【0251】、【0258】のすべての記載を削除し、さらに、段落【0017】、【0020】〜【0023】、【0028】〜【0033】、【0048】、【0050】〜【0053】、【0056】〜【0061】、【0244】、【0246】〜【0249】、【0252】〜【0257】をそれぞれ別紙のとおり訂正する。 訂正事項D 請求項19〜31を繰り上げて、新たに請求項12〜24とすると共に、引用元の請求項の番号を以下のとおり変更する。 「【請求項12】 周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20%以下含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層、または非強化のポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる層に積層されてなる消弧用絶縁材料成形体。 【請求項13】 周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20%以下含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層、または非強化のポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有し、マトリクス樹脂が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる層に積層されてなる消弧用絶縁材料成形体。 【請求項14】 熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が、ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートである請求項13記載の消弧用絶縁材料成形体。 【請求項15】 被アーク層および(または)被アーク層でない層におけるポリアミドが、ナイロン46またはナイロン66である請求項12または13記載の消弧用絶縁材料成形体。 【請求項16】 被アーク層および(または)被アーク層でない層における無機鉱物が、炭酸カルシウム、珪灰石または含水珪酸マグネシウムである請求項12、13、14または15記載の消弧用絶縁材料成形体。 【請求項17】 被アーク層および(または)被アーク層でない層におけるセラミック繊維が、ケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはアルミナウィスカである請求項12、13、14または15記載の消弧用絶縁材料成形体。 【請求項18】 周期表1A族の金属の化合物の合計含有量の規定がないガラス繊維が、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維である請求項12、13、14または15記載の消弧用絶縁材料成形体。 【請求項19】 熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が被アーク層に含有されている請求項12、13、14、15、16、17または18記載の消弧用絶縁材料成形体。 【請求項20】 熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンである請求項19記載の消弧用絶縁材料成形体。 【請求項21】 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を用いることを特徴とする消弧装置。 【請求項22】 アークを発生する接点部の接触面以外を被覆する絶縁物(1)を有する消弧装置において、前記絶縁物(1)が請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の消弧用絶縁材料組成物であることを特徴とする消弧装置。 【請求項23】 開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)を有する消弧装置において、前記絶縁物(2)が請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体であることを特徴とする消弧装置。 【請求項24】 アークを発生する接点部の接触面以外を被覆する絶縁物(1)および開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)を有する消弧装置において、前記絶縁物(1)が請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の消弧用絶縁材料組成物であり、前記絶縁部(2)が請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体であることを特徴とする消弧装置。」 訂正事項E 訂正事項Dに伴い、特許請求の範囲と発明の詳細な説明との整合性を図るため、明細書の段落【0035】〜【0047】、【0063】〜【0074】、【0259】〜【0270】をそれぞれ別紙のとおり訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項A、B、Dは、請求項の削除とそれに伴う記載形式ないし他の請求項の引用番号の変更であり、いずれも請求項の削除を目的としたものに該当する。 訂正事項C、Eは、訂正事項A,B,Dに伴い、明細書の発明の詳細な説明欄の記載を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的としたものに該当する。 そして、いずれの訂正事項も、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについての判断 特許異議申立人原田宏志は、本件の請求項1,2,7〜11,16〜18,28〜31項に係る発明の特許は、甲第1号証乃至甲第8号証に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、同法第113条第2項の規定により取り消すべきものであると主張している。 しかしながら、上記訂正により異議を申し立てた請求項のうち、元の請求項1,2,8〜11,18については、訂正事項A及びBにより削除されているので、これらの請求項に係る異議の申し立ての対象は存在しない。 そこで、残る請求項7,16,17,28〜31(訂正によりそれぞれ請求項5,10,11,21〜24となった。)に係る申し立てについて判断する。 請求項7に係る発明について、申立人は甲第2号証及び甲第7号証を証拠として提示しているものの、その根拠は引用元の請求項1,2に係る発明の特許が成り立たないとした前提でのものである。 ところが上述のとおり、元の請求項1,2に係る発明は訂正により削除となった関係上、申立人による異議理由の前提条件が消失したものと言え、その結果当該請求項7(訂正後の請求項5)については実質的にその申し立ての対象がなくなったものと認められるので、申立ての理由及び証拠によっては、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 更に、請求項16,17,28〜31(訂正後の請求項10,11,21〜24)に係る申し立てについても、前述と同様の消失関係を呈していることから、同様に申立ての理由及び証拠によっては、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項5,10,11,21〜24に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項5,10,11,21〜24に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
[別紙] 訂正事項C 段落番号【0017】、【0020】 〜【0023】、【0028】〜【0033】、【0048】、【0050】 〜【0053】、【0056】 〜【0061】、【0244】、【0246】 〜【0249】、【0252】〜【0257】 をそれぞれ、 「 【0017】 【課題を解決するための手段】 請求項1に係る消弧用絶縁材料組成物は、周期表1A族の金属の化合物の 合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる充填材を含有し、マト リクス樹脂の主成分が、ポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリ アミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタ ール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種からなり、セラミッ ク繊維が、ケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはア ルミナウイスカであるものである。」と、 「 【0020】 請求項2に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項1記載の消弧用絶縁材料 組成物において、ポリオレフィンが、ポリプロピレンまたはポリメチルペン テンであるものである。」と、 「 【0021】 請求項3に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項1記載の消弧用絶縁材料 組成物において、ポリオレフィン系共重合体が、エチレン-ビニルアルコー ル共重合体であるものである。」と、 「 【0022】 請求項4に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項1記載の消弧用絶縁材料 組成物において、ポリアミド系ポリマーブレンドが、ポリアミドとポリオレ フィンとの組み合わせ、ポリアミドと熱可塑性エラストマーとの組み合わせ またはポリアミドとゴムとの組み合わせであるものである。」と、 「 【0023】 請求項5に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項1または4記載の消弧用 絶縁材料組成物において、ポリアミドが、ナイロン6T、ナイロン46またはナイロン66であるものである。」と、 「 【0028】 請求項6に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項1記載の消弧用絶縁材料 組成物において、ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタールと は非相溶性でポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂と、ポリアセ タールとの組み合わせであるものである。」と、 「 【0029】 請求項7に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項6記載の消弧用絶縁材料 組成物において、ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタールと ナイロン6との組み合わせであるものである。」と、 「 【0030】 請求項8に係る消弧用絶縁材料組成物は、ポリアセタールとは非相溶性で、ポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂と、ポリアセタールとの組み合わせであるポリアセタール系ポリマーブレンドを主成分として用いたものである。」と、 「 【0031】 請求項9に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項8記載の消弧用絶縁材料組成物において、ポリアセタールとは非相溶性でポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂がナイロン6であるものである。」と、 「 【0032】 請求項10に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項1、2、3、4、5、 6、7、8または9記載の消弧用絶縁材料組成物において、熱分解によって H2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質を含有するものである。」と、 「 【0033】 請求項11に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項10記載の消弧用絶縁 材料組成物において、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生 させる物質が水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモン または五酸化アンチモンであるものである。」と、 「 【0048】 【作用】 請求項1〜7の発明では、消弧用絶縁材料組成物が、周期表1A族の金属 の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる充填材を含 有し、マトリクス樹脂の主成分が、ポリオレフィン、ポリオレフィン系共重 合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよび ポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種であり、 セラミック繊維としてケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィス カまたはアルミナウイスカを用いるため、消弧性能、耐圧強度および耐アー ク消耗性の向上を図ることができる。さらに、これらマトリクス樹脂の主成 分は熱可塑性樹脂であるため、成形時に硬化時間が必要な熱硬化性樹脂と比 較して、成形時間の短縮を図ることができる。」と、 「 【0050】 請求項2の発明では、ポリオレフィンが、比重が小さいポリプロピレンま たはポリメチルペンテンであるため、絶縁材料の軽量化を図ることができる。とくにポリメチルペンテンは、融点240℃の結晶性樹脂のために高耐熱性の絶縁材料組成物がえられる。」と、 「 【0051】 請求項3の発明では、ポリオレフィン系共重合体が、高強度樹脂であるエ チレンービニルアルコール共重合体であるため、絶縁材料組成物の一層の耐 圧強度の向上を図ることができる。」と、 「 【0052】 請求項4の発明では、ポリアミド系ポリマーブレンドが、ポリアミドとポ リオレフィンとの組み合わせ、ポリアミドと熱可塑性エラストマーとの組み 合わせまたはポリアミドとゴムとの組み合わせであるため、耐衝撃性が向上 することから絶縁材料組成物の一層の耐圧強度の向上を図ることができる。」と、 「 【0053】 請求項5の発明では、ポリアミドが、高融点の結晶性ポリアミドのナイロ ン6T、ナイロン46またはナイロン66であるため、高い熱変形温度がえ られ、一層の耐熱性の向上を図ることができる。」と、 「 【0056】 請求項6の発明では、ポリアセタールとは非相溶性でポリアセタール以上 の融点を有する熱可塑性樹脂と、ポリアセタールとの組み合わせであるポリ アセタール系ポリマーブレンドがマトリクス樹脂の主成分であるため、たと えば被アーク面をポリアセタールのリッチ層で形成したばあい、アークによ ってポリアセタールから発生するガスによって消弧性能が向上する。またポ リマーブレンドの相手の素材によってポリアセタール以上の耐熱性を有する ことができる。また周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下で あるセラミック繊維からなる充填材を含有しているため、耐圧強度と耐アー ク消耗性の向上を図ることができる。」と、 「 【0057】 請求項7の発明では、ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタ ールとナイロン6との組み合わせであり、前記請求項6の発明での記載事項 とともに、さらにナイロン6はその化学構造式中に芳香環を有していないこ とから、アークによる表面炭化が少なく、一層の消弧性の向上を図ることが できる。」と、 「 【0058】 請求項8の発明では、ポリアセタールとは非相溶性でポリアセタール以上 の融点を有する熱可塑性樹脂と、ポリアセタールとの組み合わせであるポリ アセタール系ポリマーブレンドがマトリクス樹脂の主成分であるため、たと えば被アーク面をポリアセタールのリッチ層で形成したばあい、アークによ ってポリアセタールから発生するガスによって消弧性能が向上する。またポ リマーブレンドの相手の素材によってポリアセタール以上の耐熱性を有する ことができる。」と、 「 【0059】 請求項9の発明では、ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタ ールとナイロン6との組み合わせであり、前記請求項8の発明での記載事項 とともに、さらにナイロン6はその化学構造式中に芳香環を有していないこ とから、アークによる表面炭化が少なく、一層の消弧性の向上を図ることが できる。」と、 「 【0060】 請求項10の発明では、請求項1〜9記載の消弧用絶縁材料組成物が、熱 分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質を含有し、これらの分解によって生ずるガスなどが遊離炭素の発生を抑制するため、一層の消弧性能の向上を図ることができる。」と、 「 【0061】 請求項11の発明では、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンであり、これらはより好ましく遊離炭素の発生を抑制するため、消弧性能のさらなる向上を図ることができる。」と、 「 【0244】 【発明の効果】 請求項1〜7の発明では、消弧用絶縁材料組成物が、周期表1A族の金属 の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる充填材を含 有し、マトリクス樹脂の主成分が、ポリオレフィン、ポリオレフィン系共重 合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよび ポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種であり、 セラミック繊維としてケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィス カまたはアルミナウィスカを用いるため、消弧性能、耐圧強度および耐アー ク消耗性の向上を図ることができる。さらに、これらマトリクス樹脂の主成 分は熱可塑性樹脂であるため、成形時に硬化時間が必要な熱硬化性樹脂と比 較して、成形時間の短縮を図ることができる。」と、 「 【0246】 請求項2の発明では、ポリオレフィンが、比重が小さいポリプロピレンま たはポリメチルペンテンであるため、絶縁材料の軽量化を図ることができる。とくにポリメチルペンテンは、融点240℃の結晶性樹脂のために高耐熱性の絶縁材料組成物が得られる。」と、 「 【0247】 請求項3の発明では、ポリオレフィン系共重合体が、高強度樹脂であるエ チレン-ビニルアルコール共重合体であるため、絶縁材料組成物の一層の耐 圧強度の向上を図ることができる。」と、 「 【0248】 請求項4の発明では、ポリアミド系ポリマーブレンドが、ポリアミドとポ リオレフィンとの組み合わせ、ポリアミドと熱可塑性エラストマーとの組み 合わせまたはポリアミドとゴムとの組み合わせであるため、耐衝撃性が向上 することから絶縁材料組成物の一層の耐圧強度の向上を図ることができる。」と、 「 【0249】 請求項5の発明では、ポリアミドが、高融点の結晶性ポリアミドのナイロ ン6T、ナイロン46またはナイロン66であるため、高い熱変形温度がえられ、一層の耐熱性の向上を図ることができる。」と、 「 【0252】 請求項6の発明では、ポリアセタールとは非相溶性でポリアセタール以上 の融点を有するプラスチックと、ポリアセタールとの組み合わせであるポリ アセタール系ポリマーブレンドがマトリクス樹脂の主成分であるため、たと えば被アーク面をポリアセタールのリッチ層で形成した場合、アークによっ てポリアセタールから発生するガスによって消弧性能が向上する。またポリ マーブレンドの相手の素材によってポリアセタール以上の耐熱性を有するこ とができる。また周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であ るセラミック繊維からなる充填材を含有しているため、耐圧強度と耐アーク 消耗性の向上を図ることができる。」と、 「 【0253】 請求項7の発明では、ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタ ールとナイロン6との組み合わせであり、前記請求項6の発明での記載事項 とともに、さらにナイロン6はその化学構造式中に芳香環を有していないこ とから、アークによる表面炭化が少なく、一層の消弧性の向上を図ることが できる。」と、 「 【0254】 請求項8の発明では、ポリアセタールとは非相溶性でポリアセタール以上 の融点を有する熱可塑性樹脂と、ポリアセタールとの組み合わせであるポリ アセタール系ポリマーブレンドがマトリクス樹脂の主成分であるため、たと えば被アーク面をポリアセタールのリッチ層で形成した場合、アークによっ てポリアセタールから発生するガスによって消弧性能が向上する。またポリ マーブレンドの相手の素材によってポリアセタール以上の耐熱性を有するこ とができる。したがって、前記充填材を含有しなくても良好な消弧用絶縁材 料組成物として用いることができる。」と、 「 【0255】 請求項9の発明では、ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタ ールとナイロン6との組み合わせであり、前記請求項8の発明での記載事項 とともに、さらにナイロン6はその化学構造式中に芳香環を有していないこ とから、アークによる表面炭化が少なく、一層の消弧性の向上を図ることが できる。したがって、前記充填材を含有しなくても良好な消弧用絶縁材料組 成物として用いることができる。」と、 「 【0256】 請求項10の発明では、請求項1〜9記載の消弧用絶縁材料組成物が、熱 分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質を含有し、これらの分解によって生ずるガスなどが遊離炭素の発生を抑制するため、一層の消弧性能の向上を図ることができる。」と、 「 【0257】 請求項11の発明では、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンであり、これらはより好ましく遊離炭素の発生を抑制するため、消弧性能のさらなる向上を図ることができる。」と訂正する。 訂正事項E 段落番号【0035】〜【0047】、【0063】 〜【0074】、【0259】〜【0270】をそれぞれ、 「 【0035】 請求項12に係る消弧用絶縁材料成形体は2層からなり、周期表1A族の 金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金 属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期表1A族の金 属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる群から選 択された1種以上の充填材を20%以下含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層、または非強化のポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドが主成分である層に積層されてなるものである。」と、 「 【0036】 請求項13に係る消弧用絶縁材料成形体は2層からなり、周期表1A族の 金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金 属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期表1A族の金 属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる群から選 択された1種以上の充填材を20%以下含有し、マトリクス樹脂がポリオレ フィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブ レンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる 群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アー ク層、または非強化のポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリア ミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセター ル系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用 絶縁材料組成物からなる被アーク層が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミ ック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有し、マトリクス樹脂が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が主成分である層に積層されてなるものである。」と、 「 【0037】 請求項14に係る消弧用絶縁材料成形体は、請求項13記載の消弧用絶縁 材料成形体において、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が、ナイロン6T、 ナイロンMXD6、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフ タレートであるものである。」と、 「 【0038】 請求項15に係る消弧用絶縁材料成形体は、請求項12または13記載の 消弧用絶縁材料成形体において、被アーク層および(または)被アーク層で ない層におけるポリアミドが、ナイロン46またはナイロン66であるもの である。」と、 「 【0039】 請求項16に係る消弧用絶縁材料成形体は、請求項12、13、14また は15記載の消弧用絶縁材料成形体において、被アーク層および(または) 被アーク層でない層における無機鉱物が、炭酸カルシウム、珪灰石または含 水珪酸マグネシウムであるものである。」と、 「 【0040】 請求項17に係る消弧用絶縁材料成形体は、請求項12、13、14または15記載の消弧用絶縁材料成形体において、被アーク層および(または)被アーク層でない層におけるセラミック繊維が、ケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウイスカまたはアルミナウィスカであるものである。」と、 「 【0041】 請求項18に係る消弧用絶縁材料成形体は、請求項12、13、14また は15記載の消弧用絶縁材料成形体において、周期表1A族の金属の化合物 の合計含有量の規定がないガラス繊維が、周期表1A族の金属の化合物の合 計含有量が1%以下であるガラス繊維からなるものである。」と、 「 【0042】 請求項19に係る消弧用絶縁材料成形体は、請求項12、13、14、1 5、16、17または18記載の消弧用絶縁材料成形体において、熱分解に よってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が被アーク層に含有されているものである。」と、 「 【0043】 請求項20に係る消弧用絶縁材料成形体は、請求項19記載の消弧用絶縁 材料成形体において熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生さ せる物質が水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンま たは五酸化アンチモンであるものである。」と、 「 【0044】 請求項21に係る消弧装置は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、 9、10、11、12、 13、 14、 15、16、17、18、19または20記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を使用したものである。」と、 「 【0045】 請求項22に係るアークを発生する接点部の接触面以外を被覆する絶縁物 (1)を有する消弧装置は、前記絶縁物(1)に請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の消弧用絶縁材料組成物を使用したものである。」と、 「 【0046】 請求項23に係る開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周 囲に配置された絶縁物(2)を有する消弧装置は、前記絶縁物(2)に請求 項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、 15、16、17、18、19または20記載の消弧用絶縁材料組成物また は消弧用絶縁材料成形体を使用したものである。」と、 「 【0047】 請求項24に係るアークを発生する接点部の接触面以外を被覆する絶縁物 (1)および開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周囲に配 置された絶縁物(2)を有する消弧装置は、前記絶縁物(1)に請求項1、 2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の消弧用絶縁材料組 成物を使用し、前記絶縁部(2)に請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を使用したものである。」と、 「 【0063】 請求項12〜20の発明では、消弧用絶縁材料成形体を2層にすることに よって、消弧性にすぐれた層と、耐圧強度、耐アーク消耗性および耐熱性に すぐれた層を有することができる。」と、 「 【0064】 請求項12〜14の発明では、消弧用絶縁材料成形体の被アーク層が、周 期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期 表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期 表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維から なる群から選択された1種以上の充填材を20%以下含有し、マトリクス樹 脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド 系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレ ンドからなる群から選択された1種が主成分である、または非強化のポリオ レフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマー ブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからな る群から選択された1種が主成分であるため、消弧性能の向上を図ることが できる。」と、 「 【0065】 請求項12の発明では、消弧用絶縁材料成形体が、ガラス繊維、無機鉱物 またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜 65%含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合 体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポ リアセタール系ポリマーブレンドが主成分である層に被アーク層を積層して なることから、耐圧強度および耐アーク消耗性の向上を図ることができる。」 と、 「 【0066】 請求項13および14の発明では、消弧用絶縁材料成形体が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有したナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が主成分である層に被アーク層を積層してなることから、耐圧強度および耐アーク消耗性の向上を図ることができる。とくにナイロン6Tは、ナイロン46およびナイロン66よりも高融点のため、一層の耐熱性の向上を図ることができる。」と、 「 【0067】 請求項15の発明では、ポリアミドが化学構造式中に芳香環を有していな いナイロン46またはナイロン66であるため、アークによる表面炭化が少 なく、一層の消弧性の向上を図ることができる。」と、 「 【0068】 請求項16〜18の発明では、無機鉱物として炭酸カルシウム、珪灰石ま たは含水珪酸マグネシウムを、セラミック繊維としてケイ酸アルミニウム繊 維、ホウ酸アルミニウムウイスカまたはアルミナウイスカを、周期表1A族 の金属の化合物の合計含有量の規定がないガラス繊維として周期表1A族の 金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維を用いるため、消弧 性能の向上を図ることができる。」と、 「 【0069】 請求項19の発明では、請求項12〜18記載の消弧用絶縁材料成形体の 被アーク層が、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質を含有し、これらの分解によって生ずるガスなどが遊離炭素の発生を抑制するため、一層の消弧性能の向上を図ることができる。」と、 「 【0070】 請求項20の発明では、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンであり、これらはより好ましく遊離炭素の発生を抑制するため、消弧性能のさらなる向上を図ることができる。」と、 「 【0071】 請求項21の発明では、請求項1〜20のいずれかに記載の消弧用絶縁材 料組成物または消弧用絶縁材料成形体を用いることにより消弧装置の小型化 と限流遮断性能の向上を図ることができる。」と、 「 【0072】 請求項22の発明では、アークを発生する接点部の接触面以外を被覆する 絶縁物(1)に請求項1〜11のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物を 用いることにより、消弧装置の小型化と限流遮断性能の向上を図ることがで きる。」と、 「 【0073】 請求項23の発明では、開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点 部の周囲に配置された絶縁物(2)に請求項1〜20のいずれかに記載の消 弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を用いることにより、消弧 装置の小型化と限流遮断性能の向上を図ることができる。」と、 「 【0074】 請求項24の発明では、アークを発生する接点部の接触面以外を被覆する 絶縁物(1)を有する消弧装置において、請求項1〜11のいずれかに記載 の消弧用絶縁材料組成物を用い、また開閉時の説点の軌跡を含む平面の両側 または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)に請求項1〜20のいずれか に記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を用いることに より消弧装置の小型化と限流遮断性能の向上を図ることができる。」と、 「 【0259】 請求項12〜20の発明では、消弧用絶縁材料成形体を2層にすることに よって、消弧性にすぐれた層と、耐圧強度、耐アーク消耗性および耐熱性に すぐれた層を有することができる。」と、 「 【0260】 請求項12〜14の発明では、消弧用絶縁材料成形体の被アーク層が、周 期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期 表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期 表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維から なる群から選択された1種以上の充填材を20%以下含有し、マトリクス樹 脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド 系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレ ンドからなる群から選択された1種が主成分である、または非強化のポリオ レフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマー ブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからな る群から選択された1種が主成分であるため、消弧性能の向上を図ることが できる。」と、 「 【0261】 請求項12の発明では、消弧用絶縁材料成形体が、ガラス繊維、無機鉱物 またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜 65%含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合 体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポ リアセタール系ポリマーブレンドが主成分である層に被アーク層を積層して なることから、耐圧強度および耐アーク消耗性の向上を図ることができる。」 と、 「 【0262】 請求項13および14の発明では、消弧用絶縁材料成形体が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有したナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が主成分である層に被アーク層を積層してなることから、耐圧強度および耐アーク消耗性の向上を図ることができる。とくにナイロン6Tは、ナイロン46およびナイロン66 よりも高融点のため、一層の耐熱性の向上を図ることができる。」と、 「 【0263】 請求項15の発明では、ポリアミドが化学構造式中に芳香環を有していな いナイロン46またはナイロン66であるため、アークによる表面炭化が少 なく、一層の消弧性の向上を図ることができる。」と、 「 【0264】 請求項16〜18の発明では、無機鉱物として炭酸カルシウム、珪灰石ま たは含水珪酸マグネシウムを、セラミック繊維としてケイ酸アルミニウム繊 維、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはアルミナウィスカを、周期表1A族 の金属の化合物の合計含有量の規定がないガラス繊維として周期表1A族の 金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維を用いるため、消弧 性能の向上を図ることができる。」と、 「 【0265】 請求項19の発明では、請求項12〜18記載の消弧用絶縁材料成形体の 被アーク層が、熱分解によってH20、02、0(原子状酸素)を発生させる物質を含有し、これらの分解によって生ずるガスなどが遊離炭素の発生を抑制するため、一層の消弧性能の向上を図ることができる。」と、 「 【0266】 請求項20の発明では、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンであり、これらはより好ましく遊離炭素の発生を抑制するため、消弧性能のさらなる向上を図ることができる。」と、 「 【0267】 請求項21の発明では、請求項1〜20のいずれかに記載の消弧用絶縁材 料組成物または消弧用絶縁材料成形体を用いることにより消弧装置の小型化 と限流遮断性能の向上を図ることができる。」と、 「 【0268】 請求項22の発明では、アークを発生する接点部の接触面以外を被覆する 絶縁物(1)に請求項1〜11のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物を 用いることにより、消弧装置の小型化と限流遮断性能の向上を図ることがで きる。」と、 「 【0269】 請求項23の発明では、開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点 部の周囲に配置された絶縁物(2)に請求項1〜20のいずれかに記載の消 弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を用いることにより、消弧 装置の小型化と限流遮断性能の向上を図ることができる。」と、 「 【0270】 請求項24の発明では、アークを発生する接点部の接触面以外を被覆する 絶縁物(1)を有する消弧装置において、請求項1〜11のいずれかに記載 の消弧用絶縁材料組成物を用い、また開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側 または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)に請求項1〜20のいずれか に記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を用いることに より消弧装置の小型化と限流遮断性能の向上を図ることができる。」と訂正する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 消弧用絶縁材料組成物、消弧用絶縁材料成形体およびそれらを用いた消弧装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる充填材を含有し、マトリクス樹脂の主成分が、ポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種であり、上記セラミック繊維が、ケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはアルミナウィスカである消弧用絶縁材料組成物。 【請求項2】 ポリオレフィンが、ポリプロピレンまたはポリメチルペンテンである請求項1記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項3】 ポリオレフィン系共重合体が、エチレン-ビニルアルコール共重合体である請求項1記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項4】 ポリアミド系ポリマーブレンドが、ポリアミドとポリオレフィンとの組み合わせ、ポリアミドと熱可塑性エラストマーとの組み合わせまたはポリアミドとゴムとの組み合わせである請求項1記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項5】 ポリアミドが、ナイロン6T、ナイロン46またはナイロン66である請求項1または4記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項6】 ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタールとは非相溶性でポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂と、ポリアセタールとの組み合わせである請求項1記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項7】 ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタールとナイロン6との組み合わせである請求項6記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項8】 ポリアセタールとは非相溶性で、ポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂と、ポリアセタールとを組み合わせたポリアセタール系ポリマーブレンドが主成分である消弧用絶縁材料組成物。 【請求項9】 ポリアセタールとは非相溶性で、ポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂がナイロン6である請求項8記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項10】 熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質がさらに含有されている請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項11】 熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンである請求項10記載の消弧用絶縁材料組成物。 【請求項12】 周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20%以下含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層、または非強化のポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる層に積層されてなる消弧用絶縁材料成形体。 【請求項13】 周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20%以下含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層、または非強化のポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有し、マトリクス樹脂が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる層に積層されてなる消弧用絶縁材料成形体。 【請求項14】 熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が、ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートである請求項13記載の消弧用絶縁材料成形体。 【請求項15】 被アーク層および(または)被アーク層でない層におけるポリアミドが、ナイロン46またはナイロン66である請求項12または13記載の消弧用絶縁材料成形体。 【請求項16】 被アーク層および(または)被アーク層でない層における無機鉱物が、炭酸カルシウム、珪灰石または含水珪酸マグネシウムである請求項12、13、14または15記載の消弧用絶縁材料成形体。 【請求項17】 被アーク層および(または)被アーク層でない層におけるセラミック繊維が、ケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはアルミナウィスカである請求項12、13、14または15記載の消弧用絶縁材料成形体。 【請求項18】 周期表1A族の金属の化合物の合計含有量の規定がないガラス繊維が、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維である請求項12、13、14または15記載の消弧用絶縁材料成形体。 【請求項19】 熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が被アーク層に含有されている請求項12、13、14、15、16、17または18記載の消弧用絶縁材料成形体。 【請求項20】 熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンである請求項19記載の消弧用絶縁材料成形体。 【請求項21】 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を用いることを特徴とする消弧装置。 【請求項22】 アークを発生する接点部の接触面以外を被覆する絶縁物(1)を有する消弧装置において、前記絶縁物(1)が請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の消弧用絶縁材料組成物であることを特徴とする消弧装置。 【請求項23】 開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)を有する消弧装置において、前記絶縁物(2)が請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体であることを特徴とする消弧装置。 【請求項24】 アークを発生する接点部の接触面以外を被覆する絶縁物(1)および開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)を有する消弧装置において、前記絶縁物(1)が請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の消弧用絶縁材料組成物であり、前記絶縁部(2)が請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体であることを特徴とする消弧装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、消弧用絶縁材料組成物、消弧用絶縁材料成形体およびそれらを用いた消弧装置に関する。さらに詳しくは、回路遮断器、限流器または電磁接触器など、電流遮断時に容器内にアークが発生する消弧装置および該装置に使用される消弧用絶縁材料組成物、消弧用絶縁材料成形体に関する。 【0002】 【従来の技術】 回路遮断器、限流器または電磁接触器などにおいて、過剰電流または定格電流の通電時に可動接触子の接点と固定接触子の接点を開離させると、両者の間にアークが発生する。このアークを消弧するために図14に示すように、可動接触子3の可動接点と固定接触子6の固定接点5との間に発生するアーク9の周辺部に、絶縁物(1)1および絶縁物(2)2を設けた消弧装置が使用される。なお、7は可動接点である。 【0003】 消弧装置8の絶縁物(1)1および絶縁物(2)2からアーク9によって熱分解ガスが発生し、熱分解ガスによりアーク9が冷却され、消弧される。 【0004】 前記消弧装置および消弧装置に使用される消弧用絶縁材料については、特開昭63-126136号公報、特開昭63-310534号公報、特開昭64-77811号公報、特開平2-144811号公報および特開平2-256110号公報などに記載されている。 【0005】 たとえば、特開昭63-126136号公報には、ポリメチルペンテン、ポリブチレンまたはポリメチルメタクリレートにガラス繊維を5〜35%(%、以下同様)含有させた絶縁材料を使用した消弧装置が開示されている。ポリメチルペンテン、ポリブチレンまたはポリメチルメタクリレートは水素ガスの発生量が多く、しかも水素ガスは熱伝導性がよいので急冷効果が大きい。 【0006】 また、特開昭63-310534号公報には、アクリル酸エステル共重合体、脂肪族炭化水素樹脂、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、イソプレン樹脂、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-ビニルアセテート共重合体またはポリアミド樹脂に、ガラス繊維を5〜35%含有させた絶縁材料が記載されている。 【0007】 また、特開昭64-77811号公報には、チッ素雰囲気中で764℃に1秒間高周波加熱したときに発生する水素が2.5×10-2ml/mg以上のポリメチルペンテンおよびメラミン樹脂などの絶縁材料が記載されている。 【0008】 さらに、特開平2-144811号公報には、ε-カプロラクタムおよび水酸化アルミニウムを含有したメラミン樹脂、さらには末端アミン型イミド化合物を含有したメラミン樹脂などの絶縁材料が、また、特開平2-256110号公報には、ε-カプロラクタムおよび水酸化アルミニウムを含有したメラミン樹脂の他に、ガラス繊維またはエポキシ樹脂を含有したメラミン樹脂およびε-カプロラクタム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維およびエポキシ樹脂のうちの少なくとも2種を含有するメラミン樹脂などの絶縁材料が記載されている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】 消弧装置8を小型化し、しかも限流遮断性能を向上させるには、アークを発生する接点部を被覆する絶縁物(1)1、または、開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側あるいは接点部の周囲に配置された絶縁物(2)2を使用するのが効果的である。この際、絶縁物(1)1、絶縁物(2)2の消弧性能の向上を図る必要がある。 【0010】 消弧装置8の小型化を目的として、可動接触子あるいは固定接触子の断面積を従来より縮小したばあい、可動接触子あるいは固定接触子の電気抵抗値が上昇するため、通電時の接点部およびその周囲の温度は従来よりも上昇する。そのため、絶縁物(1)1および(2)2には従来以上の耐熱性が要求される。 【0011】 消弧装置8の小型化を目的として、絶縁物(2)2の幅Wを従来より縮小したばあい、開閉時の接点の軌跡を含む平面と絶縁物(2)2との距離が近づくことになり、絶縁物(2)2からアークによって発生する熱分解ガスの圧力が従来より高くなる。そのため、絶縁物(1)1および(2)2には、従来以上の耐圧強度が要求される。 【0012】 また、開閉時の接点の軌跡を含む平面と絶縁物(2)の距離が近づき、絶縁物(2)のアークによる消耗が大きくなるため、絶縁物(2)の耐アーク消耗性の向上(具体的には穴があかないこと)が要求される。 【0013】 前記従来の技術であるメラミン樹脂または変性メラミン樹脂をマトリクスとした絶縁物あるいはメラミン-フェノール系の絶縁物を用いたばあい、可動接点の開成時に発生するアークの高熱で絶縁物から熱分解ガスが発生し、この熱分解ガスによって接点周辺の圧力が高まり、絶縁物(1)および絶縁物(2)の耐圧強度が不足して割れてしまうという問題がある。 【0014】 また、消弧装置を小型化して接点と絶縁物(2)の距離が短くなると、絶縁物(2)の耐アーク消耗性を向上させるため、充填材の量を増やす必要性が生じるが、酸化ナトリウム8%および酸化カリウム1%を含むCガラスや、酸化ナトリウム15%を含むAガラスを充填材として用いると、消弧性能が低下するといった問題がある。 【0015】 また、消弧装置8の絶縁物(1)および絶縁物(2)の被アーク部分に芳香環を多く含む耐熱性熱可塑性樹脂を用いると、耐熱性は向上する反面、アーク9によって絶縁物(1)および絶縁物(2)の表面が炭化し、また、遊離炭素が周辺に飛散して絶縁不良を起こすという問題がおこる。 【0016】 本発明は、前記従来技術にみられる問題がなく、消弧性能、耐熱性、耐圧強度、耐アーク消耗性などに優れた消弧用絶縁材料組成物、消弧用絶縁材料成形体およびそれらを用いた消弧装置を提供することを目的とする。 【0017】 【課題を解決するための手段】 請求項1に係る消弧用絶縁材料組成物は、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる充填材を含有し、マトリクス樹脂の主成分が、ポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種からなり、セラミック繊維が、ケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはアルミナウィスカであるものである。 【0018】 【0019】 【0020】 請求項2に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項1記載の消弧用絶縁材料組成物において、ポリオレフィンが、ポリプロピレンまたはポリメチルペンテンであるものである。 【0021】 請求項3に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項1記載の消弧用絶縁材料組成物において、ポリオレフィン系共重合体が、エチレン-ビニルアルコール共重合体であるものである。 【0022】 請求項4に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項1記載の消弧用絶縁材料組成物において、ポリアミド系ポリマーブレンドが、ポリアミドとポリオレフィンとの組み合わせ、ポリアミドと熱可塑性エラストマーとの組み合わせまたはポリアミドとゴムとの組み合わせであるものである。 【0023】 請求項5に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項1または4記載の消弧用絶縁材料組成物において、ポリアミドが、ナイロン6T、ナイロン46またはナイロン66であるものである。 【0024】 【0025】 【0026】 【0027】 【0028】 請求項6に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項1記載の消弧用絶縁材料組成物において、ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタールとは非相溶性でポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂と、ポリアセタールとの組み合わせであるものである。 【0029】 請求項7に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項6記載の消弧用絶縁材料組成物において、ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタールとナイロン6との組み合わせであるものである。 【0030】 請求項8に係る消弧用絶縁材料組成物は、ポリアセタールとは非相溶性で、ポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂と、ポリアセタールとの組み合わせであるポリアセタール系ポリマーブレンドを主成分として用いたものである。 【0031】 請求項9に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項8記載の消弧用絶縁材料組成物において、ポリアセタールとは非相溶性でポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂がナイロン6であるものである。 【0032】 請求項10に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の消弧用絶縁材料組成物において、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質を含有するものである。 【0033】 請求項11に係る消弧用絶縁材料組成物は、請求項10記載の消弧用絶縁材料組成物において、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンであるものである。 【0034】 【0035】 請求項12に係る消弧用絶縁材料成形体は2層からなり、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20%以下含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層、または非強化のポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドが主成分である層に積層されてなるものである。 【0036】 請求項13に係る消弧用絶縁材料成形体は2層からなり、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20%以下含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層、または非強化のポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有し、マトリクス樹脂が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が主成分である層に積層されてなるものである。 【0037】 請求項14に係る消弧用絶縁材料成形体は、請求項13記載の消弧用絶縁材料成形体において、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が、ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートであるものである。 【0038】 請求項15に係る消弧用絶縁材料成形体は、請求項12または13記載の消弧用絶縁材料成形体において、被アーク層および(または)被アーク層でない層におけるポリアミドが、ナイロン46またはナイロン66であるものである。 【0039】 請求項16に係る消弧用絶縁材料成形体は、請求項12、13、14または15記載の消弧用絶縁材料成形体において、被アーク層および(または)被アーク層でない層における無機鉱物が、炭酸カルシウム、珪灰石または含水珪酸マグネシウムであるものである。 【0040】 請求項17に係る消弧用絶縁材料成形体は、請求項12、13、14または15記載の消弧用絶縁材料成形体において、被アーク層および(または)被アーク層でない層におけるセラミック繊維が、ケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはアルミナウィスカであるものである。 【0041】 請求項18に係る消弧用絶縁材料成形体は、請求項12、13、14または15記載の消弧用絶縁材料成形体において、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量の規定がないガラス繊維が、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維からなるものである。 【0042】 請求項19に係る消弧用絶縁材料成形体は、請求項12、13、14、15、16、17または18記載の消弧用絶縁材料成形体において、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が被アーク層に含有されているものである。 【0043】 請求項20に係る消弧用絶縁材料成形体は、請求項19記載の消弧用絶縁材料成形体において熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンであるものである。 【0044】 請求項21に係る消弧装置は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を使用したものである。 【0045】 請求項22に係るアークを発生する接点部の接触面以外を被覆する絶縁物(1)を有する消弧装置は、前記絶縁物(1)に請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の消弧用絶縁材料組成物を使用したものである。 【0046】 請求項23に係る開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)を有する消弧装置は、前記絶縁物(2)に請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を使用したものである。 【0047】 請求項24に係るアークを発生する接点部の接触面以外を被覆する絶縁物(1)および開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)を有する消弧装置は、前記絶縁物(1)に請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の消弧用絶縁材料組成物を使用し、前記絶縁部(2)に請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を使用したものである。 【0048】 【作用】 請求項1〜7の発明では、消弧用絶縁材料組成物が、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる充填材を含有し、マトリクス樹脂の主成分が、ポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種であり、セラミック繊維としてケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはアルミナウィスカを用いるため、消弧性能、耐圧強度および耐アーク消耗性の向上を図ることができる。さらに、これらマトリクス樹脂の主成分は熱可塑性樹脂であるため、成形時に硬化時間が必要な熱硬化性樹脂と比較して、成形時間の短縮を図ることができる。 【0049】 【0050】 請求項2の発明では、ポリオレフィンが、比重が小さいポリプロピレンまたはポリメチルペンテンであるため、絶縁材料の軽量化を図ることができる。とくにポリメチルペンテンは、融点240℃の結晶性樹脂のために高耐熱性の絶縁材料組成物がえられる。 【0051】 請求項3の発明では、ポリオレフィン系共重合体が、高強度樹脂であるエチレン-ビニルアルコール共重合体であるため、絶縁材料組成物の一層の耐圧強度の向上を図ることができる。 【0052】 請求項4の発明では、ポリアミド系ポリマーブレンドが、ポリアミドとポリオレフィンとの組み合わせ、ポリアミドと熱可塑性エラストマーとの組み合わせまたはポリアミドとゴムとの組み合わせであるため、耐衝撃性が向上することから絶縁材料組成物の一層の耐圧強度の向上を図ることができる。 【0053】 請求項5の発明では、ポリアミドが、高融点の結晶性ポリアミドのナイロン6T、ナイロン46またはナイロン66であるため、高い熱変形温度がえられ、一層の耐熱性の向上を図ることができる。 【0054】 【0055】 【0056】 請求項6の発明では、ポリアセタールとは非相溶性でポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂と、ポリアセタールとの組み合わせであるポリアセタール系ポリマーブレンドがマトリクス樹脂の主成分であるため、たとえば被アーク面をポリアセタールのリッチ層で形成したばあい、アークによってポリアセタールから発生するガスによって消弧性能が向上する。またポリマーブレンドの相手の素材によってポリアセタール以上の耐熱性を有することができる。また周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる充填材を含有しているため、耐圧強度と耐アーク消耗性の向上を図ることができる。 【0057】 請求項7の発明では、ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタールとナイロン6との組み合わせであり、前記請求項6の発明での記載事項とともに、さらにナイロン6はその化学構造式中に芳香環を有していないことから、アークによる表面炭化が少なく、一層の消弧性の向上を図ることができる。 【0058】 請求項8の発明では、ポリアセタールとは非相溶性でポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂と、ポリアセタールとの組み合わせであるポリアセタール系ポリマーブレンドがマトリクス樹脂の主成分であるため、たとえば被アーク面をポリアセタールのリッチ層で形成したばあい、アークによってポリアセタールから発生するガスによって消弧性能が向上する。またポリマーブレンドの相手の素材によってポリアセタール以上の耐熱性を有することができる。 【0059】 請求項9の発明では、ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタールとナイロン6との組み合わせであり、前記請求項8の発明での記載事項とともに、さらにナイロン6はその化学構造式中に芳香環を有していないことから、アークによる表面炭化が少なく、一層の消弧性の向上を図ることができる。 【0060】 請求項10の発明では、請求項1〜9記載の消弧用絶縁材料組成物が、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質を含有し、これらの分解によって生ずるガスなどが遊離炭素の発生を抑制するため、一層の消弧性能の向上を図ることができる。 【0061】 請求項11の発明では、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンであり、これらはより好ましく遊離炭素の発生を抑制するため、消弧性能のさらなる向上を図ることができる。 【0062】 【0063】 請求項12〜20の発明では、消弧用絶縁材料成形体を2層にすることによって、消弧性にすぐれた層と、耐圧強度、耐アーク消耗性および耐熱性にすぐれた層を有することができる。 【0064】 請求項12〜14の発明では、消弧用絶縁材料成形体の被アーク層が、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20%以下含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である、または非強化のポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分であるため、消弧性能の向上を図ることができる。 【0065】 請求項12の発明では、消弧用絶縁材料成形体が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドが主成分である層に被アーク層を積層してなることから、耐圧強度および耐アーク消耗性の向上を図ることができる。 【0066】 請求項13および14の発明では、消弧用絶縁材料成形体が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有したナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が主成分である層に被アーク層を積層してなることから、耐圧強度および耐アーク消耗性の向上を図ることができる。とくにナイロン6Tは、ナイロン46およびナイロン66よりも高融点のため、一層の耐熱性の向上を図ることができる。 【0067】 請求項15の発明では、ポリアミドが化学構造式中に芳香環を有していないナイロン46またはナイロン66であるため、アークによる表面炭化が少なく、一層の消弧性の向上を図ることができる。 【0068】 請求項16〜18の発明では、無機鉱物として炭酸カルシウム、珪灰石または含水珪酸マグネシウムを、セラミック繊維としてケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはアルミナウィスカを、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量の規定がないガラス繊維として周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維を用いるため、消弧性能の向上を図ることができる。 【0069】 請求項19の発明では、請求項12〜18記載の消弧用絶縁材料成形体の被アーク層が、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質を含有し、これらの分解によって生ずるガスなどが遊離炭素の発生を抑制するため、一層の消弧性能の向上を図ることができる。 【0070】 請求項20の発明では、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンであり、これらはより好ましく遊離炭素の発生を抑制するため、消弧性能のさらなる向上を図ることができる。 【0071】 請求項21の発明では、請求項1〜20のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を用いることにより消弧装置の小型化と限流遮断性能の向上を図ることができる。 【0072】 請求項22の発明では、アークを発生する接点部の接触面以外を被覆する絶縁物(1)に請求項1〜11のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物を用いることにより、消弧装置の小型化と限流遮断性能の向上を図ることができる。 【0073】 請求項23の発明では、開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)に請求項1〜20のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を用いることにより、消弧装置の小型化と限流遮断性能の向上を図ることができる。 【0074】 請求項24の発明では、アークを発生する接点部の接触面以外を被覆する絶縁物(1)を有する消弧装置において、請求項1〜11のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物を用い、また開閉時の説点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)に請求項1〜20のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を用いることにより消弧装置の小型化と限流遮断性能の向上を図ることができる。 【0075】 【実施例】 本発明の消弧用絶縁材料組成物(I)は、前記特定の充填材を含有する特定のマトリクス樹脂を主成分とするものである。 【0076】 前記充填材は、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材のことである。 【0077】 前記充填材は、耐アーク消耗性、耐圧強度および消弧性能の向上のために用いられる。 【0078】 前記周期表1A族の金属(Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)の化合物とは、M2O(Na2O、K2O、Li2Oなど)のかたちになっているものをいう。 【0079】 前記充填材は前記化合物をそれらの合計量として1%以下しか含有しない。1%をこえて含有するばあいには、消弧性能がわるくなる。前記化合物の合計含有量は、0.6%以下、さらには0.15%以下であるのが消弧性能の点から好ましい。なお、前記化合物の合計含有量の測定方法としては、X線回折法が用いられる。 【0080】 ガラス繊維は、その補強効果から生じる耐圧強度および耐アーク消耗性の向上を図るために用いられる。 【0081】 ガラス繊維はガラスからなる繊維状物のことをいい、前記周期表1A族の金属の化合物の合計含有量を満足していればとくに限定はされない。ガラス素材としてはEガラス、Sガラス、Dガラス、Tガラスまたはシリカガラスなどがあげられるが周期表1A族の金属の化合物を含まないという点から、Sガラス、Dガラス、Tガラスまたはシリカガラスが好ましい。ガラス繊維製品としては長繊維、短繊維またはグラスウールなどがあげられるが、熱可塑性樹脂の充填材として用いるという点から短繊維が好ましい。 【0082】 ガラス繊維の直径が6〜13μm、アスペクト比が10以上であることが耐圧強度の点から好ましい。また、ガラス繊維には、シランカップリング剤などの処理剤が加工されているのが、耐圧強度の点から好ましい。 【0083】 無機鉱物は、消弧性能の向上とともに耐アーク消耗性、耐圧強度の向上を図るために用いられる。 【0084】 無機鉱物は前記周期表1A族の金属の化合物の合計含有量を満足していればとくに限定はされない。無機鉱物の具体例としては、炭酸カルシウム、珪灰石、タルク、アストン、クリソタイルおよびセピオライトなどの含水珪酸マグネシウムなどが、消耗性能の向上などの点から好ましいものとしてあげられる。 【0085】 炭酸カルシウムはステアリン酸など表面改質剤により、樹脂中への分散性を向上させたものが耐圧強度の点から好ましい。 【0086】 珪灰石は、繊維状でアスペクト比の大きいものほど耐圧強度の点から好ましい。含水珪酸マグネシウムは、アストンのように繊維状のものが耐圧強度の点から好ましい。 【0087】 セラミック繊維は消弧性能の向上とともに耐アーク消耗性、耐圧強度の向上を図るために用いられる。 【0088】 セラミック繊維は、セラミックからなる繊維状物のことをいい、前記周期表1A族の金属の化合物の合計含有量を満足していればとくに限定はされない。セラミック繊維の具体例としては、ケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカ、アルミナウィスカなどが、消弧性能の向上、耐圧強度の点から好ましい。 【0089】 繊維の直径が1〜10μm、アスペクト比が10以上であることが、耐圧強度の点から好ましい。 【0090】 前記充填材は1種または2種以上が用いられる。2種以上が用いられるばあいには、前記ガラス繊維と前記無機鉱物、前記ガラス繊維と前記セラミック繊維、前記無機鉱物と前記セラミック繊維、前記ガラス繊維どうし、前記無機鉱物どうし、前記セラミック繊維どうし、前記ガラス繊維と前記無機鉱物と前記セラミック繊維との組み合わせが、消弧性能の点から好ましい。 【0091】 前記組み合わせて用いる場合の重量比率としては、ガラス繊維/無機鉱物、ガラス繊維/セラミック繊維および無機鉱物/セラミック繊維においては5/50〜50/5、さらには10/30〜30/10が好ましく、ガラス繊維:無機鉱物:セラミック繊維においては1:1:1〜1:1:10が好ましい。 【0092】 前記マトリクス樹脂は、ポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種である。 【0093】 前記マトリクス樹脂は、消弧性能、耐圧強度および耐アーク消耗性の向上さらには成形時間の短縮を図るために用いられる。 【0094】 ポリオレフィンは芳香環を有さず、耐衝撃性にすぐれることから、消弧性能および耐圧強度を満足させるために用いられる。その具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどがあげられる。それらのなかではポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどの比重が小さいものが、絶縁材料の軽量化の点から好ましく、とくにポリメチルペンテンは融点240℃の結晶性樹脂のために高耐熱性が得られる点から好ましい。 【0095】 ポリオレフィン系共重合体は芳香環を有しないことから消弧性能を満足させるために用いられる。その具体例としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体などがあげられるが、エチレン-ビニルアルコール共重合体などの高強度樹脂が、耐圧強度の向上を図る点から好ましい。エチレン/ビニルアルコールの共重合比率は30/70〜45/55、さらには30/70〜35/65であるのが耐圧強度の点から好ましい。 【0096】 ポリアミドはアミド結合をもつ高分子化合物のことをいい、本発明ではポリアミド共重合体をも含む。ポリアミドは高強度樹脂であり、耐圧強度を満足させるために用いられる。その具体例としては、ナイロン6T、ナイロン46、ナイロン66、ナイロンMXD6、ナイロン610、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12およびナイロン6とナイロン66の共重合体ナイロンなどがあげられる。なおナイロンはポリアミドのうち線状の合成ポリアミドのことをいい、ナイロンmnは炭素数mのジアミン(NH2(CH2)mNH2)と炭素数nの2塩基酸(HOOC(CH2)n-2COOH)との重縮合物のことをいい、ナイロンnは炭素数nのω-アミノ酸(H2N(CH2)n-1COOH)またはラクタムの重合物のことをいう。 【0097】 前記ポリアミドの具体例のなかでは高融点の結晶性ポリアミドであるナイロン6T(融点320℃)、ナイロン46(融点290℃)およびナイロン66(融点260℃)が、高い熱変形温度が得られ、一層の耐熱性の向上を図り得る点から好ましい。 【0098】 以下に、代表的なポリアミドの化学式を示す。 【0099】 【化1】 ポリアミド系ポリマーブレンドとはポリアミド系ポリマーと他のポリマーとのブレンド物のことである。ポリアミド系ポリマーブレンドは耐衝撃性の向上のために用いられ、それらにはポリアミドとポリオレフィンとのブレンド物、ポリアミドと熱可塑性エラストマーとのブレンド物、ポリアミドとゴムとのブレンド物などがある。 【0100】 ポリアミドとしては前述のものを使用することができ、ポリアミド系ポリマーブレンドに用いられるポリアミドとしては、高融点で芳香環を有しないナイロン46、ナイロン66などが耐熱性および消弧性能の点から好ましい。 【0101】 該ポリマーブレンドに用いられるポリオレフィンとしては、前述のものを使用することができ、なかでもポリプロピレンが耐圧強度の点から好ましい。 【0102】 該ポリマーブレンドに用いられる熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマーなどがあるが、なかでもポリオレフィンエラストマーが耐圧強度の点から好ましい。 【0103】 該ポリマーブレンドに用いられるゴムとしては、ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、アクリル酸ゴムなどがあるが、なかでもエチレン-プロピレンゴムが耐圧強度の点から好ましい。 【0104】 前記ブレンド比率は、ポリアミド100部(重量部、以下同様)に対して、耐熱性および耐圧強度の点からポリオレフィン、熱可塑性エラストマーおよびゴムのいづれの場合も1〜15部、さらには5〜10部が好ましい。 【0105】 ポリアセタールはアークによってポリアセタールから発生するガスによって消弧性能を向上させるために用いられる。その具体例としては、ポリオキシメチレンのホモポリマー、コポリマーがあげられる。 【0106】 ポリアセタール系ポリマーブレンドは、ブレンド物中のポリアセタール部分が前記のごとくアークによってポリアセタールから発生するガスによって消弧性能を向上させ、またブレンド物中のポリアセタール以外の熱可塑性樹脂によってポリアセタール以上の耐熱性をもたせるために用いられるものである。 【0107】 ポリアセタールは前記の記載内容と同じ内容であり、該ポリマーブレンドに用いられるポリマーとしては、ポリアセタールとは非相溶性でポリアセタール以上の融点、好ましくは230℃以下の融点を有する熱可塑性樹脂が、耐熱性の向上という点から好ましい。ポリアセタールと非相溶性であるとは、ポリアセタールとポリマーブレンドの相手の素材のそれぞれのガラス転移温度において弾性率の著しい変化および損失正接のピークが各々みられることをいう。なお、ポリアセタールの融点は、ホモポリマーで178℃、コポリマーで167℃である。 【0108】 該熱可塑性樹脂の具体例としては、ナイロン6、ポリブチレンテレフタレートなどがあげられる。それらのなかではナイロン6がその化学構造式中に芳香環を有していないことから、アークによる表面炭化が少なく、一層の消弧性能の向上を図ることができる点から好ましい。 【0109】 前記ブレンド比率は、ポリアセタール100部に対して、耐熱性の点から100〜400部、さらには200〜300部が好ましい。 【0110】 前記マトリクス樹脂は、前記の樹脂を主成分とするものであり、前記充填材以外の副成分としては、難燃剤などの成分を含有する場合がある。難燃剤としては、芳香環を含まないリン系難燃剤や無機系難燃剤が好ましい。 【0111】 本発明の消弧用絶縁材料組成物(I)は、前記のごとくマトリクス樹脂中に、前記特定の充填材および副成分を含有している。前記特定の充填材は、消弧用絶縁材料組成物(I)の総重量に対して10〜55%、さらには30〜40%含有されることが好ましい。含有量が10%よりも少ない場合には、耐アーク消耗性、耐圧強度などが不充分となる傾向があり、55%をこえる場合には、消弧性能が不充分となる傾向がある。 【0112】 前記充填材を10〜55%含有する消弧用絶縁材料組成物(I)は、主として低い電流値(100A程度)の回路遮断器に使用される。 【0113】 なお、含有量が10%より少ない場合でも、後述するように、他のものと積層することにより、積層品として耐アーク消耗性、耐圧強度などを改善することができる。積層品とした場合には、主として高い電流値(200A程度以上)の回路遮断器に使用される。 【0114】 なお、マトリクス樹脂が、ナイロン6Tの場合には前記特定の充填材は10〜55%、さらには40〜55%含有されることが一層の耐アーク消耗性と耐圧強度の向上という点から好ましい。 【0115】 また、ナイロン46またはナイロン66の場合には、前記特定の充填材は10〜55%、さらには30〜40%含有されることが一層の消弧性能の向上と耐アーク消耗性、耐圧強度の向上という点から好ましい。 【0116】 本発明の消弧用絶縁材料組成物(I)にはさらに熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質(以下、遊離炭素抑制剤という)を含有させることが、遊離炭素の発生を抑制し、消弧性能の向上を図る点から好ましい。 【0117】 前記熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質であることを確認するためには、たとえばチッ素中で加熱分解させ、分解ガスをガス検知管を通過させ、その濃度を測定するなどの方法により行なうことができる。 【0118】 前記遊離炭素抑制剤の具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモン、五酸化アンチモンが、遊離炭素の発生抑制効果の点から好ましい。水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムの場合には前記分解によって発生するH2Oが、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンの場合には前記分解によって発生するO2、Oが、電極材などから発生する金属または消弧用材料から発生する遊離炭素と反応して酸化金属、一酸化炭素または二酸化炭素などを形成し、絶縁不良を抑制することができる。 【0119】 前記遊離炭素抑制剤の消弧用絶縁材料組成物(I)中の含有量は、20%以下であることが好ましい。含有量が20%をこえる場合には、とくにナイロンと水酸化マグネシウムの組み合わせにおいて耐圧強度が低下する傾向がある。 【0120】 前記遊離炭素抑制剤をさらに含有させる場合の本発明の消弧用絶縁材料組成物(I)の構成は、前記遊離炭素抑制剤がさらに含有されること以外にはとくに前記の消弧用絶縁材料組成物(I)と変わることはない。 【0121】 前記消弧用絶縁材料組成物(I)の製法としては、前記充填材、副成分などをマトリクス樹脂中に混合し得る限り、とくに限定はないが、通常は押出混合法、ロール混合法などの方法により行なわれ、ペレット状、シート状、その他の形状のものが得られる。 【0122】 以下に前記本発明の消弧用絶縁材料組成物(I)のなかでも総合的に好ましいものをあげる。周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるEガラスからなるガラス繊維30〜50%を含有するナイロン46、ナイロン66またはナイロン6Tを主成分とするマトリクス樹脂からなるものが、耐熱性、耐アーク消耗性、耐圧強度、経済性の点から好ましい。 【0123】 また周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるホウ酸アルミニウムウィスカまたはケイ酸アルミニウム繊維30〜40%を含有するナイロン46、ナイロン66を主成分とするマトリクス樹脂からなるものが、耐熱性、消弧性能の点から好ましい。 【0124】 また周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である含水珪酸マグネシウムまたは珪灰石30〜40%を含有するナイロン46、ナイロン66を主成分とするマトリクス樹脂からなるものが、耐熱性、消弧性能の点から好ましい。 【0125】 前記総合的に好ましい消弧用絶縁材料組成物のそれぞれに、さらに水酸化マグネシウム5〜20%を含有させた消弧用絶縁材料組成物が、さらに遊離炭素の発生抑制効果にすぐれ、絶縁不良を抑制する点から好ましい。 【0126】 つぎに本発明の消弧用絶縁材料組成物(II)について説明する。 【0127】 該組成物は、ポリアセタールとは非相溶性で、ポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂と、ポリアセタールとの組み合わせからなるポリアセタール系ポリマーブレンドが主成分である消弧用絶縁材料組成物である。該材料組成物は、ブレンド物中のポリアセタール部分がアークによってポリアセタールから発生するガスによって消弧性能を向上させ、またブレンド物中のポリアセタール以外の熱可塑性樹脂によってポリアセタール以上の耐熱性をもたせることができるものである。 【0128】 ポリアセタール、ポリアセタールとは非相溶性でポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂およびブレンド比率さらには副成分の種類、その配合量、消弧用絶縁材料組成物の形状および製造法などの説明は、消弧用絶縁材料組成物(I)に記載した内容と同じであるので、省略する。 【0129】 本発明の消弧用絶縁材料組成物(II)にも、さらに前記遊離炭素抑制剤を含有させることができ、そのばあい遊離炭素の発生を抑制し、消弧性能の向上を図ることができる。 【0130】 遊離炭素抑制剤の具体例、好ましい具体例、含有量その他の事項については前記消弧用絶縁材料組成物(I)での記載内容と同じであるので、省略する。 【0131】 前記消弧用絶縁材料組成物(II)のなかでも総合的に好ましいものとしては、ナイロン6の100部とポリアセタール100〜25部とのポリマーブレンドを主成分とする絶縁材料組成物が消弧性能、耐熱性などの点から好ましい。また、その絶縁材料に、さらに水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウム5〜20%を含有させた消弧用絶縁材料組成物が、さらに遊離炭素の発生抑制効果にすぐれ、絶縁不良を抑制する点から好ましい。 【0132】 つぎに本発明の消弧用絶縁材料組成物(III)について説明する。それは、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質を含有し、マトリクス樹脂の主成分がナイロン6T、ナイロン46およびナイロン66からなる群から選択された1種である消弧用絶縁材料組成物である。該材料組成物は、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生し、これらは遊離炭素の発生を抑制するため、消弧性能の向上を図ることができる。 【0133】 遊離炭素抑制剤およびナイロン6T、ナイロン46、ナイロン66などについての内容は、前記消弧用絶縁材料組成物(I)に記載した内容と同じであるので記載を省略する。 【0134】 遊離炭素抑制剤としては、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンが樹脂への添加の容易性の点から好ましい。 【0135】 前記遊離炭素抑制剤の消弧用絶縁材料組成物(III)中の含有量は、5〜20%であることが好ましい。含有量が5%よりも少ない場合には、遊離炭素の発生抑制効果が不充分となる傾向があり、20%をこえる場合には耐圧強度が低下する傾向がある。 【0136】 前記消弧用絶縁材料組成物(III)の製造法、形状などは絶縁材料組成物(I)と同じ内容なので記載を省略する。 【0137】 本発明の消弧用絶縁材料組成物(I)、(II)および(III)は、特定の形状に成形された成形体にすることができる。該成形体としては、たとえば消弧装置においてアークを発生する接点部の接触面以外を被覆する絶縁物(1)および(または)開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)などに用いられるものがあげられる。成形体の形状、構造、寸法(厚さ)としては、消弧装置の遮断方式などにより異なるが、たとえば図5〜7に示すものがあげられる。 【0138】 前記成形体の製法としては、たとえば射出成形法、加熱プレス法などにより行なわれ、量産性の点から好ましくは射出成形法が用いられる。 【0139】 つぎに、本発明の消弧用絶縁材料成形体(I)について説明する。 【0140】 すなわち、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20%以下含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層、または非強化のポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる層に積層されてなる消弧用絶縁材料成形体である。 【0141】 本発明では、消弧用絶縁材料を2層にすることによって、絶縁材料組成物(I)〜(III)の単層で絶縁物(2)を構成するばあいにくらべて消弧性能にすぐれた被アーク層と、耐圧強度、耐アーク消耗性および耐熱性にすぐれた、被アーク層が積層される層(以下、ベース層ともいう)を有することができる利点がある。 【0142】 被アーク層は消弧性能の向上の役割を果たすものである。充填材を含有する被アーク層(以下、被アーク層Aともいう)を構成する前記特定の充填材の使用目的、周期表1A族の金属の化合物および該化合物の含有量についての内容、ガラス繊維・無機鉱物・セラミック繊維のそれぞれの使用目的、内容、好ましい化合物などは、前記消弧用絶縁材料組成物(I)について記載した内容と同じであるから、ここでは省略する。 【0143】 また、前記マトリクス樹脂の使用目的、前記各ポリマーの使用目的、各ポリマーの内容および具体例、好ましい具体例とその理由、マトリクス樹脂の副成分の内容および含有量なども、消弧用絶縁材料組成物(I)について記載した内容と同じであるから、ここでは省略する。 【0144】 なお、マトリクス樹脂がナイロン46またはナイロン66の場合には、これら熱可塑性樹脂の化学構造式中には芳香環を有していないことから、アークによる表面炭化が少なく、一層の消弧性能の向上を図ることができる。 【0145】 被アーク層Aは、前記マトリクス樹脂中に前記特定の充填材を20%以下含有する。該含有量が20%以下の場合には、電流値の大きい消弧装置の遮断でも消弧性能を満足できる。前記含有量は、耐アーク消耗性と消弧性能の点から5〜20%が好ましい。 【0146】 本発明の消弧用絶縁材料成形体(I)を構成する被アーク層の他の態様としては、前記充填材を含有しない、すなわち非強化のマトリクス樹脂を用いる被アーク層Bがある。 【0147】 被アーク層Bを構成する前記マトリクス樹脂の使用目的、前記各熱可塑性樹脂の使用目的、各熱可塑性樹脂の内容および具体例、好ましい具体例とその理由、マトリクス樹脂の副成分の内容および含有量などは、前記被アーク層Aについて記載した内容と同じであるからここでは省略する。 【0148】 被アーク層Bは被アーク層Aに較べて、消弧装置の遮断電流が大きくなるにつれて、消弧性能の点から被アーク層Bが好ましい。 【0149】 つぎに、ベース層の説明を行なう。ベース層は耐アーク消耗性、耐圧強度の向上の役割を果たすものである。 【0150】 ベース層に含有されるガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維は、耐アーク消耗性、耐圧強度の向上のために用いられる。ベース層において、前記充填材中の周期表1A族の金属の化合物の合計含有量については、とくに限定はされない。それはアークに接しにくい位置におかれるため、消弧性能の向上はとくに要求されないからである。しかし、ガラス繊維などの前記充填材の場合にも、前記化合物の合計含有量が1%以下であるのが、消弧装置の安全性の点から好ましい。 【0151】 ベース層に含有されるガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維のその他の記載、すなわち、それぞれの使用目的、内容、好ましい化合物および前記マトリクス樹脂の使用目的、前記各ポリマーの使用目的、各ポリマーの内容および具体例、好ましい具体例とその理由、マトリクス樹脂の副成分の内容および含有量などは、消弧用絶縁材料組成物(I)について記載した内容と同じであるから、ここでは省略する。ただし、ベース層中にはクレー、カオリン、マイカなど周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%をこえる充填材であっても好ましく用いることができる。 【0152】 なお、ベース層のマトリクス樹脂がナイロン46またはナイロン66の場合には、消弧装置の安全性の点から好ましい。 【0153】 また、ベース層は前記被アーク層と積層されるために、接着性などの点から同じ種類の樹脂であることが好ましい。 【0154】 ベース層は、前記充填材を20〜65%含有する。含有量が20%より少ない場合には、耐アーク消耗性、耐圧強度が不充分となる傾向となり、65%をこえる場合には成形性が低下する傾向となる。前記含有量は、耐アーク消耗性、耐圧強度、成形性の点から、35〜50%が好ましい。 【0155】 本発明の消弧用絶縁材料成形体(I)は前記のごとく被アーク層とベース層が積層されてなるものであるが、その形状、構造、寸法としては、消弧装置の遮断方式によるが、たとえば図8〜図10に示すものがあげられる。 【0156】 前記成形体の製法としては、量産性などの点から射出成形法のうちとくに二色成形法が好ましい。 【0157】 つぎに、同じく2層となる本発明の消弧用絶縁材料成形体(II)について説明する。 【0158】 すなわち、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20%以下含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層、または非強化のポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有し、マトリクス樹脂が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる層に積層されてなる消弧用絶縁材料成形体である。 【0159】 消弧用絶縁材料成形体(II)は、前記消弧用絶縁材料成形体(I)のうち、ベース層を構成するマトリクス樹脂が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる層になった点が消弧用絶縁材料成形体(I)とは異なっている。したがって、消弧用絶縁材料成形体(II)は、消弧用絶縁材料成形体(I)にくらべてさらに耐アーク消耗性、耐圧強度が向上するという特徴を有している。 【0160】 熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂は耐アーク消耗性、耐圧強度の向上のために用いられるものである。該樹脂の具体例としては、ナイロン6T、ナイロンMXD、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトンなどがあげられる。これらは1種または2種以上用いることができる。これらの中でもナイロン6T、ナイロンMXD、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートが成形性、経済性の点から好ましい。 【0161】 前記消弧用絶縁材料成形体(II)を構成する充填材を含有する被アーク層A、充填材を含有しない被アーク層B、ベース層の素材や形状・構造および該絶縁材料成形体(II)の形状や製法などの内容については、前記消弧用絶縁材料成形体(I)についての記載と同じであるから、ここでは省略する。 【0162】 本発明の消弧用絶縁材料成形体(I)または(II)には、さらに前記遊離炭素抑制剤を含有させることが、遊離炭素の発生を抑制し、消弧性能の向上を図る点から好ましい。 【0163】 遊離炭素抑制剤の具体例、好ましい具体例などは、前記消弧用絶縁材料組成物(I)についての記載と同じであるから、ここでは省略する。 【0164】 また、遊離炭素抑制剤は前記被アーク層に含有させることが遊離炭素がアークに触れて発生することから、必要である。この場合、遊離炭素抑制剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンなどがあるが、これらのなかでも水酸化マグネシウムが添加の容易性の点から好ましい。 【0165】 前記遊離炭素抑制剤の前記被アーク層A中の含有量および前記被アーク層B中の含有量は、それぞれ20%以下であることが好ましい。含有量が20%をこえる場合には、とくにナイロンと水酸化マグネシウムとの組み合わせにおいて耐圧強度が低下する傾向がある。 【0166】 以下に前記本発明の消弧用絶縁材料成形体(I)および(II)のなかでも総合的に好ましいものをあげる。被アーク層が、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるホウ酸アルミニウムウィスカまたはケイ酸アルミニウム繊維5〜10%を含有するナイロン46またはナイロン66を主成分とするマトリクス樹脂からなり、ベース層が、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはケイ酸アルミニウム繊維35〜50%を含有するナイロン46またはナイロン66を主成分とするマトリクス樹脂からなるものが、耐熱性、消弧性能、耐アーク消耗性、耐圧強度の点から好ましい。 【0167】 また被アーク層が、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるホウ酸アルミニウムウィスカまたはケイ酸アルミニウム繊維5〜10%を含有するナイロン46またはナイロン66を主成分とするマトリクス樹脂からなり、ベース層が、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるEガラスからなるガラス繊維35〜50%を含有するナイロン46またはナイロン66を主成分とするマトリクス樹脂からなるものが、耐熱性、消弧性能、耐アーク消耗性、耐圧強度の点から好ましい。 【0168】 また被アーク層が、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるホウ酸アルミニウムウィスカまたはケイ酸アルミニウム繊維5〜10%を含有するナイロン46またはナイロン66を主成分とするマトリクス樹脂からなり、ベース層が、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるEガラスからなるガラス繊維35〜50%を含有するナイロンMXD、ナイロン6T、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートを主成分とするマトリクス樹脂からなるものが、消弧性能、耐アーク消耗性、耐圧強度の点から好ましい。 【0169】 また、被アーク層が、非強化のナイロン46またはナイロン66を主成分とするマトリクス樹脂からなり、ベース層が、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはケイ酸アルミニウム繊維35〜50%を含有するナイロン46またはナイロン66を主成分とするマトリクス樹脂からなるものが、耐熱性、消弧性能、耐アーク消耗性、耐圧強度の点から好ましい。 【0170】 前記、総合的に好ましい消弧用絶縁材料成形体(I)または(II)のそれぞれの被アーク層中に、さらに水酸化マグネシウム5〜20%を含有させた消弧用絶縁材料成形体が、さらに遊離炭素の発生抑制効果にすぐれ、絶縁不良を抑制する点から好ましい。 【0171】 つぎに、本発明の消弧装置について説明する。 【0172】 本発明の消弧装置は、前記消弧用絶縁材料組成物(I)〜(III)および(または)前記消弧用絶縁材料成形体のいずれかを用いたことを特徴とする消弧装置である。 【0173】 本発明の消弧装置には、たとえばアークを発生する接点部の接触面以外を被覆する絶縁物(1)を有する消弧装置において、前記絶縁物(1)が請求項1〜18のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物であることを特徴とする消弧装置(I)、開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)を有する消弧装置において、前記絶縁物(2)が請求項1〜27のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体であることを特徴とする消弧装置(II)およびアークを発生する接点部の接触面以外を被覆する絶縁物(1)および開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)を有する消弧装置において、前記絶縁物(1)が請求項1〜18のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物からなり、前記絶縁部(2)が請求項1〜27のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体からなることを特徴とする消弧装置(III)などがある。 【0174】 前記消弧装置のなかでも、消弧装置(II)または(III)において開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)が、開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側および該両側のアークの曲がる方向の一端どうしを連結するようにU字型に配置されたもの(たとえば図3、図4および図6〜10)であることが、本発明の効果を好適に達成する観点から好ましい。 【0175】 以下に、本発明の消弧装置および本発明の消弧用絶縁材料組成物、消弧用絶縁材料成形体の使用態様について、図面とともに詳細に説明する。 【0176】 図1は本発明の消弧用絶縁材料組成物を使用した一例としての、および本発明の消弧装置(III)の閉成状態を示す側面説明図、図2は前記消弧装置(III)の開成状態を示す側面説明図、図3は前記消弧装置(III)の閉成状態を示す平面説明図である。 【0177】 図1、図2および図3において、可動中心7を支点として開閉する可動接触子3の開動側に可動接点4が設けられ、固定接触子6の一端の可動接点4と対応する位置に固定接点5が設けられ、可動接点4および固定接点5の周囲を被覆するように厚さT1の絶縁物(1)1と可動接点4および固定接点5を囲む厚さT2、幅Wの絶縁物(2)2が設けられている。 【0178】 可動接触子3の寸法は、たとえば3mm幅×5mm厚×25mm長であり、可動接点4の寸法は、たとえば3mm平方×2mm厚であり、絶縁物(1)の寸法は、たとえばT1が0.8〜1.0mmで、接点を含む面が5mm平方(3mm平方の接点が含まれる)で、前記5mm平方と垂直方向の長さが5.8〜6.0mmであり、固定接触子6の寸法は、たとえば3mm幅×5mm厚×25mm長であり、固定接点の寸法は、3mm平方×2mm厚である。 【0179】 絶縁物(2)の寸法は、T2が0.8〜1.2mm、Wが8〜12mm、高さが10〜15mm、好ましくはT2が0.8〜1.0mm、Wが8〜10mmであり、2層になっている場合には、T2が1.5〜2.0mm、被アーク層の厚さが0.5〜1.0mm、Wが8〜15mm、高さが10〜15mmである。 【0180】 固定接点の先端部と絶縁物(2)との間隔N1は、2〜8mm、好ましくは3〜5mmである。固定接点の側面部と絶縁物(2)との間隔N2は2〜5mm、好ましくは3〜4mmである。 【0181】 図4に本発明の消弧装置(III)のうち絶縁物(2)が2層になっているばあいの閉成状態を示す平面説明図を示す。 【0182】 図15に従来の消弧装置の閉成状態を示す平面説明図を示す。 【0183】 図3、図4、図15からもわかるように、本発明の消弧装置においては、固定接点の先端部と絶縁物(2)との間隔N1および固定接点の側面部と絶縁物(2)との間隔N2は、従来の消弧装置よりも接近させることができることがわかる。 【0184】 前記のように、消弧装置の小型化が可能になったのは、絶縁物(1)および(2)に用いられる消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体の性能が大巾に向上したためである。 【0185】 消弧装置(III)においては、前記絶縁物(1)が請求項1〜18のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物であり、それらの内容はすでに記載したものと同じであるからここでは省略する。前記消弧用絶縁材料組成物のなかでも請求項8または9に係るもの、たとえばポリアミドがナイロン6Tからなり、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材の含有量が10〜55%好ましくは40〜55%である請求項1、2、3または6記載の消弧用絶縁材料組成物が耐熱性、耐アーク消耗性、耐圧強度、消弧性能の点から好ましい。 【0186】 また前記絶縁部(2)が請求項1〜27のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体であり、それらの内容はすでに記載したものと同じであるからここでは省略する。前記消弧用絶縁材料組成物のなかでも請求項10または11に係るもの、たとえばポリアミドがナイロン46またはナイロン66からなり、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材の含有量が10〜55%、好ましくは30〜40%である請求項1、2、3または6記載の消弧用絶縁材料組成物が消弧性能、耐圧強度、耐熱性、耐アーク消耗性の点から好ましい。 【0187】 また、請求項22〜24の消弧用絶縁材料成形体、たとえば周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である炭酸カルシウム、珪灰石または含水珪酸マグネシウムおよび周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはアルミナウイスカからなる群から選択された1種以上の充填材を20%以下含有し、マトリクス樹脂がナイロン46またはナイロン66などのポリアミドが主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層、または非強化のナイロン46またはナイロン66などのポリアミドが主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる被アーク層が、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、炭酸カルシウム、珪灰石または含水珪酸マグネシウムまたはケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはアルミナウイスカからなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ナイロン46またはナイロン66などのポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタール、ポリアセタール系ポリマーブレンドおよびナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる群から選択された1種が主成分である消弧用絶縁材料組成物からなる層に積層されてなる消弧用絶縁材料成形体が消弧性能、耐圧強度、耐アーク消耗性の点から好ましい。 【0188】 消弧装置のその他の態様としては、図11に示すように絶縁物(1)のみの消弧装置(I)の場合や図12、13に示すように絶縁物(2)のみの消弧装置(II)の場合がある。 【0189】 以下に具体的な実施例にもとづいて、さらに詳しく本発明について説明する。なお、実施例中においては、下記に示す遮断試験、短絡試験および耐久試験を行なった。 (遮断試験) 前記構成の消弧装置を含む回路遮断器に閉成状態で定格電流の6倍の電流(たとえば100A用回路遮断器の場合は600A)を通電し、可動接点4と固定接点5とを接点開離距離L(可動接点4と固定接点5との距離)15〜25mmで開離させ、アーク電流を発生させ、アーク電流の遮断を規定回数成功させることをもって合格とする試験。 (短絡試験) 閉成状態において、10〜100kAの過剰電流を通電して可動接触子を開離させ、アーク電流を発生させ、このアーク電流の遮断の成功と破損がないことをもって合格とする試験。 (耐久試験) 閉成状態において、通常電流(たとえば100A用回路遮断器のばあいは100A)を通電し、この状態から可動接触子を機械的に開離させて、アーク電流を発生させ、アーク電流の遮断を規定回数成功し、消弧用絶縁材料の耐アーク消耗性(具体的には穴があかないこと)をもって合格とする試験。 実施例1〜10 表1記載の消弧用絶縁材料組成物を絶縁物(1)および絶縁物(2)に用いて前記図1〜図3で示した消弧装置を作製した。そして前記遮断試験、短絡試験および耐久試験を行なった。なお、絶縁物(1)および絶縁物(2)の厚さT1、T2はいずれも1mm、絶縁物2の幅Wは10mm、可動および固定接点の接触部は3×3mmとした。 【0190】 なお、絶縁材料組成物中の充填材の含有量は、絶縁物(1)は40%、絶縁物(2)は30%とした。 【0191】 試験条件としては、遮断試験が3相720V/600A、短絡試験が3相460V/50kA、耐久試験が3相550V/100Aとした。 【0192】 なお、表中のマトリクス樹脂および充填材の詳細を以下に記載する。 PA6T:ナイロン6T、三井石油化学工業(株)製アーレン PA66:ナイロン66、三菱化成(株)製ノバミッド PA46:ナイロン46、ユニチカ(株)製ユニチカナイロン46 PBT:ポリブチレンテレフタレート、三菱化成(株)ノバドゥール メラミン:メラミン樹脂、富士化成(株)製U-CON GF-A:Eガラス(酸化ナトリウム、酸化カリウムなどの周期表1A族の金属の化合物の合計量が0.6%)からなるガラス繊維。直径10μm、平均長3mm、日本板硝子(株)製マイクログラス CaCO3:粒径(平均)1.8μm、日本タルク(株)製 3MgO・4SiO2・H2O:左記組成式のものを主成分とするタルク、粒径(平均)5μm、日本タルク(株)製 3MgO・2SiO2・2H2O:左記組成式のものを主成分とするクリソタイル、粒径(平均)3.5μm、日本タルク(株)製 5MgO・3SiO2・3H2O:左記組成式のものを主成分とするアストン、平均径1μm、平均長10μm、日本タルク(株)製 珪灰石:CaO・SiO2、純度97.4%、アスペクト比20、平均径5μm、キンセイマテック(株)製 ケイ酸アルミ:ケイ酸アルミニウム繊維、平均径5μm、平均長50μm ホウ酸アルミ:ホウ酸アルミニウムウィスカ、平均径1μm、平均長20μm アルミナ:アルミナウィスカ、平均径1μm、平均長10μm 無機材料:リン酸アルミニウム20%、アルミナ25%、ジルコニア30%、水酸化アルミニウム10%および珪灰石15% なお、前記充填材は、すべて周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であった。 【0193】 【表1】 表1から明らかなように、比較例1(絶縁物(1)、(2)ともに、有機のマトリクス樹脂を用いずに無機材料のみ使用)および2では消弧性能が不充分、比較例3では耐圧強度が不充分であるのに対して、実施例1〜10では、遮断試験で30回の成功回数をクリアし、短絡試験での遮断および破損にも問題なく、耐久試験も6000回をクリアし、合格であった。 実施例11〜16 表2に記載の消弧用絶縁材料組成物を用いて消弧装置を作製した。なお絶縁物(2)の幅Wを10mmから12mmとした以外は、実施例1〜10で用いた消弧装置と同様の装置である。 【0194】 なお、絶縁材料組成物中の充填材の含有量は、絶縁物(1)は50%、絶縁物(2)は40%とした。 【0195】 試験条件は、実施例1〜10と同条件とした。 【0196】 なお、表中のマトリクス樹脂および充填材の詳細を以下に記載する。 PP:ポリプロピレン、三菱油化(株)製三菱ポリプロ EVOH:エチレン-ビニルアルコール共重合体(30:70)、日本合成化学工業(株)製ソアライト ポリメチルペンテン:三井石油化学工業(株)製TPX 【0197】 【表2】 表2からわかるように、実施例11〜16では、遮断試験で30回の成功回数をクリアし、短絡試験での遮断および破損にも問題なく、耐久試験も6000回をクリアし、合格であった。また表2に示した以外に絶縁物(2)の無機鉱物において3MgO・4SiO2・H2Oまたは3MgO・2SiO2・2H2Oなる含水珪酸マグネシウム、またはセラミック繊維においてケイ酸アルミニウム繊維またはアルミナウィスカを用いた場合も同様の結果が得られた。また本実施例で用いたガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維の含有率を絶縁物(2)30%としたばあいも、同様の結果が得られた。 実施例17〜24 表3に記載の消弧用絶縁材料組成物を用いて実施例1〜10と同様の消弧装置を作製した。 【0198】 なお、絶縁材料組成物中の充填材の含有量は、絶縁物(1)は50%、絶縁物(2)は30%とした。 【0199】 試験条件は、実施例1〜10と同条件とした。 【0200】 【表3】 表3からわかるように、実施例17〜24では、遮断試験で30回の成功回数をクリアし、短絡試験での遮断および破損にも問題なく、耐久試験も6000回をクリアし、合格であった。また表3に示した以外に絶縁物(2)の無機鉱物において3MgO・4SiO2・H2Oまたは3MgO・2SiO2・2H2Oなる含水珪酸マグネシウム、またはセラミック繊維においてケイ酸アルミニウム繊維またはアルミナウィスカを用いた場合も同様の結果が得られた。また本実施例で用いたガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維の含有率が絶縁物(1)55%、50%、45%、40%、30%、絶縁物(2)55%、40%、35%、30%、20%、10%などの10%ないし55%の場合も、同様の結果が得られた。 実施例25〜35 表4に記載の消弧用絶縁材料組成物を用いて実施例1〜10と同様の消弧装置を作製した。 【0201】 なお、絶縁材料組成物中の充填材の含有量は、絶縁物(1)は50%、絶縁物(2)は30%とした。 【0202】 試験条件は、実施例1〜10と同条件とした。 【0203】 なお、表中のマトリクス樹脂および充填材の詳細を以下に記載する。 PA66/PP:ナイロン66 90部、PP 10部のブレンド物、なおナイロン66およびPPは前記実施例で使用したものと同じである(以下も同様)。PA66/TPE:ナイロン66 90部、熱可塑性エラストマー(オレフィン系エラストマー、三井石油化学工業(株)製グドマー)10部のブレンド物 PA66/EPR:ナイロン66 90部、エチレン-プロピレンゴム10部のブレンド物 なお、表中の実施例29〜35において充填材が2種類使用されており、その混合比率は重量比で1:1であった。 【0204】 【表4】 表4からわかるように、実施例25〜35では、遮断試験で30回の成功回数をクリアし、短絡試験での遮断および破損にも問題なく、耐久試験も6000回をクリアし、合格であった。また表4に示した以外に実施例25〜28において絶縁物(1)および(または)(2)のガラス繊維の代わりに、無機鉱物(3MgO・4SiO2・H2O、3MgO・2SiO2・2H2Oまたは5MgO・3SiO2・3H2Oなる含水珪酸マグネシウムまたはCaO・SiO2なる珪灰石)またはセラミック繊維(ケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカおよびアルミナウィスカ)を用いた場合も同様の結果が得られた。また本実施例25〜28および前記の実施例25〜28に類似の実施例で用いたガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維の含有率が絶縁物(1)55%、50%、45%、40%、30%、絶縁物(2)40%、35%、30%、20%、10%などの10%ないし55%の場合も、同様の結果が得られた。また実施例29〜35においてナイロン46の代わりにナイロン66、ナイロン46およびナイロン66のポリマーブレンド、ポリメチルペンテンを用いた場合、または絶縁物(2)の無機鉱物において3MgO・4SiO2・H2Oまたは3MgO・2SiO2・2H2Oなる含水珪酸マグネシウム、またはセラミック繊維においてケイ酸アルミニウム繊維またはアルミナウィスカを用いた場合、または前記の実施例29〜35およびそれらに類似の実施例で用いたガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維の含有率が絶縁物(1)55%、50%、45%、40%、絶縁物(2)40%、35%、30%、10%などの10%ないし55%の場合も同様の結果が得られた。 実施例36〜38 表5に記載の消弧用絶縁材料組成物を用いて消弧装置を作製した。なお絶縁物(2)の幅Wを15mmとした以外は、実施例1〜10で用いた消弧装置と同様の装置である。 【0205】 なお、絶縁材料中の充填材の含有量は、絶縁物(1)は50%、絶縁物(2)は40%とした。 【0206】 試験条件は、実施例1〜10と同条件とした。 【0207】 なお、表中のマトリクス樹脂および充填材の詳細を以下に記載する。 POM/PA6:ポリアセタール(ポリプラスチックス(株)製ジュラコン)30部、ナイロン6の70部のブレンド物 【0208】 【表5】 表5からわかるように、実施例36〜38では、遮断試験で30回の成功回数をクリアした。実施例37および38では、短絡試験での遮断および破損にも問題なく、耐久試験も6000回をクリアし、合格であった。 実施例39〜43 表6記載の消弧用絶縁材料組成物を絶縁物(2)の被アーク層およびベース層に用いて前記図12、図13で示した絶縁物(2)のみを有する消弧装置を作製した。そして前記遮断試験、短絡試験および耐久試験を行なった。なお、絶縁物(2)の厚さT2を2mmとし、うち被アーク層が1mmの2層構成とし、絶縁物2の幅Wは12mmとし、可動および固定接点の接触部分は4mm×4mmとした。本装置は絶縁物(1)がない場合である。 【0209】 なお、絶縁材料中の充填材の含有量は、表中に記載した。 【0210】 試験状態としては、遮断試験が3相720V/1500A、短絡試験が3相460V/50kA、耐久試験が3相550V/225Aとした。 【0211】 【表6】 表6からわかるように、実施例39〜43では、遮断試験で20回の成功回数をクリアし、短絡試験での遮断および破損にも問題なく、耐久試験も4000 回をクリアし、合格であった。また表6に示した以外に、被アーク層、ベース層のナイロン66の代わりにナイロン46を用いた場合も、同様の結果が得られた。 実施例44〜47 表7に記載の消弧用絶縁材料組成物を用いて実施例39〜43と同様の装置を作製した。絶縁材料中の充填材の含有量は、表中に記載した。試験条件は、実施例39〜43と同条件とした。 【0212】 なお、表中のマトリクス樹脂および充填材の詳細を以下に記載する。 PA・MXD6:ナイロンMXD6、三菱ガス化学(株)製レニー PET:ポリエチレンテレフタレート、三菱化成(株)製ノバペット T-GF-A:Tガラス(酸化ナトリウムと酸化カリウムなどの周期表1A族の金属の化合物の合計量が0%)からなるガラス繊維、直径10μm、長さ3mm、日東紡績(株)製 【0213】 【表7】 表7からわかるように、実施例44〜47では、遮断試験で20回の成功回数をクリアし、短絡試験での遮断および破損にも問題なく、耐久試験も4000回をクリアし、合格であった。また被アーク層のナイロン66の代わりにナイロン46を用いた場合も、同様の結果が得られた。 実施例48〜52 表8に記載の消弧用絶縁材料組成物を用いて消弧装置を作製した。なお実施例1〜10で用いた消弧装置と同様の装置である。 【0214】 なお、絶縁材料組成物中の充填材の含有量は、絶縁物(1)は50%、絶縁物(2)は表中に記載した。 【0215】 試験条件は、短絡試験を3相460V/50kAで2回繰り返し、その後、回路遮断器の負荷側相間絶縁抵抗を測定した。 【0216】 なお、表中の充填材の詳細を以下に記載する。 Mg(OH)2:粒径0.7μm、協和化学(株)製キスマ5 Al(OH)3:住友化学工業(株)製 Sb2O5:日産化学(株)製 GF-C:直径10μm、Cガラスの粉末、日本板硝子(株)製マイクロガラス 【0217】 【表8】 なお実施例48〜52について、遮断試験、耐久試験、短絡試験を行なったところ、遮断試験では30回の成功回数をクリアし、耐久試験も6000回をクリアし合格であり、短絡試験での遮断および破損にも問題はなかった。 実施例53〜57および比較例5〜6 表9記載の消弧用絶縁材料組成物を用いて図11で示した絶縁物(1)のみを有する消弧装置を作製した。 【0218】 可動および固定接点の寸法は、接触部3×3mm(×2mm厚)、可動および固定接触子の寸法は3mm幅×5mm厚×25mm長、絶縁物(1)の寸法は、T1=1mmで、接点を含む面が5mm平方で、該面と垂直方向の長さが6mmである。 【0219】 なお、絶縁材料中の充填材の含有量は、表中に記載した。試験条件としては、遮断試験が電流/電圧=3相600A/720V、接点開離距離25mm、短絡試験が電流/電圧=3相50kA/460V、接点開離距離25mmとした。 【0220】 【表9】 表9からわかるように、実施例では、遮断試験で30回の成功回数をクリアし、短絡試験での遮断および破壊にも問題がなかった。 実施例58〜66および比較例7 表10記載の消弧用絶縁材料組成物を用いて図12、図13で示した絶縁物(2)のみを有する消弧装置を作製した。 【0221】 可動および固定接点の接触部3×3×1mm厚、可動および固定接触子3mm×5mm×25mm、T2=1mm、W=12mm。 【0222】 なお、絶縁材料中の充填材の含有量は、表中に記載した。試験条件としては、(遮断=3相720V/600A、接点開離25mm)、短絡=3相460V、50kA、接点開離25mm、(耐久=3相550V/100A、接点開離25mm)とした。 【0223】 【表10】 短絡試験後に、直流抵抗計を用いて負荷側端子間の絶縁抵抗値を測定する。 【0224】 なお、以下の実施例における試験条件は下記に示す条件で行った。 【0225】 消弧装置を含む開閉器に閉成状態で定格電流の6倍の電流(1相420V/600Aまたは1相420V/1500A)を通電し、可動接点4と固定接点5とを接点開離距離L(可動接点4と固定接点5との距離)15mmまたは25mmで開離させ、アーク電流を発生させ、アーク電流の遮断を規定回数成功することをもって合格とする遮断試験、閉成状態において、1相265V/25KAの過剰の電流を流して可動接触子を開離させ、アーク電流を発生させ、このアーク電流の遮断の成功と破損がないことをもって合格とする短絡試験、または、閉成状態において、3相550V/100Aまたは3相550V/225Aの電流を流し、この状態から可動接触子を機械的に開離(L=25mm)させて、アーク電流を発生させ、アーク電流の遮断を規定回路数成功し、消弧用絶縁材料の耐消耗性(具体的には穴があかないこと)をもって合格する耐久試験。 実施例67〜78および比較例8〜11 表11に本願発明の実施例67〜78と比較例8〜11とに使用した絶縁物と試験結果を示す。表11において、絶縁物(1)および絶縁物(2)の厚さT1、T2を1mm、絶縁物(2)の幅Wを10mmとし、実施例では絶縁物(2)をナイロン46またはナイロン66にEガラスからなるガラス繊維(以下GFという)を30%含有させたものとし、絶縁物(1)をナイロン6TにGF、プラスチック補強用無機充填材である無機鉱物(CaCO3、タルク、アストン、セピオライト、ウオラストナイト)またはセラミック繊維(ケイ酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウムおよびアルミナ)を30%含有させたものとした。 【0226】 比較例では、絶縁物(1)または絶縁物(2)を変性メラミン樹脂、PBTあるいは液晶ポリエステルにそれぞれのGFを30%含有させたものとした。 (試験条件) 遮断:1相420V/600A、開離距離L=15mm、耐久:3相550V/100A、開離距離L=15mm、短絡:1相265V/25kA、開離距離L=25mm。 【0227】 【表11】 表11から明らかなように、比較例8〜11の変性メラミン樹脂、液晶ポリエステルにそれぞれのGFを含有させたものは変性による遮断失敗、遮断試験における遮断回数および耐久試験回数の低下があったのに対して、実施例67〜78のナイロン6Tに上記充填材を含有させたものおよびナイロン46またはナイロン66にGFを含有させたものには破壊がなく、また、遮断試験で遮断成功回数30回をクリアし、耐久試験も6000回をクリアし、合格であった。 【0228】 高融点のナイロン6T、ナイロン46およびナイロン66に上記充填材を含有させることによって、熱変形温度が上昇するとともに機械的強度が向上する。ナイロン6Tは300℃をこえる融点を有し、このナイロン6Tに充填材として、GF、プラスチック補強用無機充填材である無機鉱物(CaCO3、タルク、アストン、セピオライト、ウオラストナイト)またはセラミック繊維(ケイ酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウムまたはアルミナ)の1種類を10%以上含有させると、熱変形温度が上昇した。ナイロン6Tに上記充填材を10%以上含有させたものは、絶縁物(1)に使用すると、上記熱変形温度の上昇に加えて熱分解ガスの消弧作用が効果的に働いて良好な結果をもたらすものであり、また、絶縁物(1)よりも熱的条件が緩い絶縁物(2)にも使用できるものである。 【0229】 また、ナイロン6T、ナイロン46およびナイロン66は、芳香環が少ないか、または無いので、炭化および遊離炭素の飛散が少なく、絶縁不良が軽減される。 【0230】 なお、上記充填材の含有量は55%をこえると消弧性能が低下する傾向があり、使用しにくくなる。 実施例79〜94 表12に本願発明の実施例79〜94に使用した絶縁物と試験結果を示す。表12において、絶縁物(1)および絶縁物(2)の厚さT1、T2を1mm、絶縁物(2)の幅Wを12mmとし、絶縁物(1)はナイロン6TにGFを30%含有させたもの、また、絶縁物(2)はナイロン46、ナイロン66またはナイロン66とポリプロピレンとのブレンド物(ナイロン66/プロピレン=90/10)にGF、プラスチック補強用無機充填材である無機鉱物(アストン)、セラミック繊維(ホウ酸アルミニウム)、GFとホウ酸アルミニウムとの混合体またはアストンとホウ酸アルミニウムとの混合体を10〜50%含有させたものを使用した。 (試験条件) 遮断:1相420V/600A、開離距離L=15mm、耐久:3相550V/100A、開離距離L=15mm、短絡:1相265V/25kA、開離距離L=25mm。 【0231】 【表12】 表12から明らかなように、実施例では充填材としてGF、プラスチック補強用無機充填材である無機鉱物(アストン)、セラミック繊維(ホウ酸アルミニウム)またはそれらの混合体を10〜50%含有させたものは、遮断試験で遮断成功回数30回をクリアし、耐久試験も6000回をクリアし、合格であった。 【0232】 ウォラストナイトおよびセピオライトは、アストンと同様、優れた機械的補強効果を有する繊維状の無機充填材であり、また、ケイ酸アルミニウムおよびアルミニウムウィスカもホウ酸アルミニウムウィスカと同様、優れた機械的補強効果を有するセラミック繊維であり、アストンの代わりにウォラストナイトまたはセピオライトを、またホウ酸アルミニウムウィスカの代わりにケイ酸アルミニウムまたはアルミニウムウィスカを使用しても同様の効果がえられた。なお、セピオライトは平均径0.1μm、平均長2μmの日本タルク(株)製のものを用いた。 【0233】 高融点のナイロン46またはナイロン66に上記充填材単独または混合体を含有させることによって、熱変形温度が上昇するとともに機械的強度が向上する。ナイロン46およびナイロン66は融点がそれぞれ290℃および260℃と高融点で、上記充填材を10%以上含有させることによって、それぞれ熱変形温度(試験方法ASTM-D648による)が285℃(非強化では220℃)および245℃(非強化では100℃)に上昇し、特に30%以上で効果が大きくなるので、30%以上含有させるのが好ましい。なお、上記充填材の含有量は55%が限界で、これをこえると加工性がわるくなり、使用しにくくなる。 実施例95〜96 表13に本願発明の実施例95〜96に使用した絶縁物と試験結果を示す。表13において、絶縁物(1)および絶縁物(2)の厚さTを1mm、絶縁物(2)の幅Wを12mmとし、絶縁物(1)はナイロン6TにGFを50%含有させたもの、また、絶縁物(2)はナイロン6をポリアセタールにポリマーブレンド(ナイロン6/ポリアセタール=70/30)したもの、さらに、GFを40%含有させたものとした。 (試験条件) 遮断:1相420V/600A、開離距離L=15mm、耐久:3相550V/100A、開離距離L=15mm、短絡:1相265V/25kA、開離距離L=25mm。 【0234】 【表13】 表13に示すように、本実施例のものは遮断試験で遮断回数30回をクリアし、耐久試験も3000回、6000回をクリアし、合格であった。 【0235】 ポリアセタールとナイロン6は非相溶性でナイロン6をポリアセタールにポリマーブレンドすることによって、絶縁物(2)は被アーク面をポリアセタールで形成することができ、アークの高熱に触れた時、ポリアセタールから消弧ガスを発生させることができる。ポリアセタールから発生した消弧ガスは消弧効果が大きくこの消弧作用によって、限流遮断性能が向上する。また、ナイロン6をポリマーブレンドすることによって熱変形温度が高くなり、小型化した消弧装置においても、アークによる圧力上昇に耐える機械的強度がえられた。 実施例97〜101 表14に本願発明の実施例97〜101に使用した絶縁物と試験結果を示す。表14において、絶縁物(1)および絶縁物(2)の厚さTを1mm、絶縁物(2)の幅Wを12mmとし、絶縁物(1)はナイロン6TにGFを50%含有させたもの、また、絶縁物(2)はナイロン46にGFを30%含有させたもの、または、ポリアセタールにナイロン6をポリマーブレンドしたものに、水酸化マグネシウム、五酸化アンチモンまたは水酸化アルミニウムを添加したものである。 【0236】 試験条件は、実施例58〜62と同条件とした。 【0237】 【表14】 本実施例は、無添加のものと比較して負荷側相間絶縁抵抗を一桁以上大きくすることができる。 【0238】 アークの熱によって、水酸化アルミニウムはアルミナとH2Oに、水酸化マグネシウムは酸化マグネシウムとH2Oに、四酸化アンチモンは三酸化アンチモンとO2またはOに、また、五酸化アンチモンは四酸化アンチモンとO2またはOに分解したのち、三酸化アンチモンとO2またはOに分解する。この分解によってえられたH2OまたはO2またはOが、電流遮断時に接点周辺から発生する金属蒸気および絶縁物から発生する遊離炭素と反応して、金属酸化物または一酸化炭素、二酸化炭素を形成し、絶縁不良を抑制するので小型化した消弧装置に使用しても絶縁不良が発生しなくなる。 【0239】 本実施例において、ナイロン46に代えて、ナイロン66またはナイロン6Tを使用してもよい。これらのものは、無添加の場合と比較して負荷側相間絶縁抵抗を一桁以上大きくすることができる。 実施例102〜108 表15に本願発明の実施例102〜108に使用した絶縁物と試験結果を示す。表15において絶縁物(2)のみを用い、この厚さT2を1.5mm、幅Wを10mmとし、絶縁物(2)は被アーク層(1mm)とこの外側を覆うベース層(0.5mm)から成る2層構造とした。被アーク層には充填材含有率20%以下のナイロン46またはナイロン66、あるいは非強化のナイロン46またはナイロン66とし、この外側のベース層はGFを含有させて強化したナイロン46、ナイロンMXD6、PETまたはナイロン6Tとした。 (試験条件) 遮断:1相420V/1500A、開離距離L=25mm、耐久:3相550V/225A、開離距離L=25mm、短絡:1相265V/25kA、開離距離L=25mm。 【0240】 【表15】 表15に示したように、短絡試験によって、絶縁物(2)に破壊が生じることなく、遮断試験では遮断成功回数20回をクリアしまた、耐久試験も穴の発生はなく合格であった。 【0241】 ベース層の材料には、前記ナイロン46、ナイロンMXD6、PETおよびナイロン6Tのほか、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネイト、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンまたはポリエーテルケトンをGFで補強したものを用いても良好な試験結果が得られた。 【0242】 前記実施例において使用された充填材は、いずれもアーク熱にさらされても絶縁抵抗が低下するものではないので、絶縁抵抗の高い消弧用絶縁材料が得られた。 【0243】 なお、前記実施例102〜108の消弧用絶縁材料は絶縁物(2)に使用したときに大きな効果を発揮するものであるが、絶縁物(1)に使用しても効果が発揮された。 【0244】 【発明の効果】 請求項1〜7の発明では、消弧用絶縁材料組成物が、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる充填材を含有し、マトリクス樹脂の主成分が、ポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種であり、セラミック繊維としてケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはアルミナウィスカを用いるため、消弧性能、耐圧強度および耐アーク消耗性の向上を図ることができる。さらに、これらマトリクス樹脂の主成分は熱可塑性樹脂であるため、成形時に硬化時間が必要な熱硬化性樹脂と比較して、成形時間の短縮を図ることができる。 【0245】 【0246】 請求項2の発明では、ポリオレフィンが、比重が小さいポリプロピレンまたはポリメチルペンテンであるため、絶縁材料の軽量化を図ることができる。とくにポリメチルペンテンは、融点240℃の結晶性樹脂のために高耐熱性の絶縁材料組成物が得られる。 【0247】 請求項3の発明では、ポリオレフィン系共重合体が、高強度樹脂であるエチレン-ビニルアルコール共重合体であるため、絶縁材料組成物の一層の耐圧強度の向上を図ることができる。 【0248】 請求項4の発明では、ポリアミド系ポリマーブレンドが、ポリアミドとポリオレフィンとの組み合わせ、ポリアミドと熱可塑性エラストマーとの組み合わせまたはポリアミドとゴムとの組み合わせであるため、耐衝撃性が向上することから絶縁材料組成物の一層の耐圧強度の向上を図ることができる。 【0249】 請求項5の発明では、ポリアミドが、高融点の結晶性ポリアミドのナイロン6T、ナイロン46またはナイロン66であるため、高い熱変形温度がえられ、一層の耐熱性の向上を図ることができる。 【0250】 【0251】 【0252】 請求項6の発明では、ポリアセタールとは非相溶性でポリアセタール以上の融点を有するプラスチックと、ポリアセタールとの組み合わせであるポリアセタール系ポリマーブレンドがマトリクス樹脂の主成分であるため、たとえば被アーク面をポリアセタールのリッチ層で形成した場合、アークによってポリアセタールから発生するガスによって消弧性能が向上する。またポリマーブレンドの相手の素材によってポリアセタール以上の耐熱性を有することができる。また周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる充填材を含有しているため、耐圧強度と耐アーク消耗性の向上を図ることができる。 【0253】 請求項7の発明では、ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタールとナイロン6との組み合わせであり、前記請求項6の発明での記載事項とともに、さらにナイロン6はその化学構造式中に芳香環を有していないことから、アークによる表面炭化が少なく、一層の消弧性の向上を図ることができる。 【0254】 請求項8の発明では、ポリアセタールとは非相溶性でポリアセタール以上の融点を有する熱可塑性樹脂と、ポリアセタールとの組み合わせであるポリアセタール系ポリマーブレンドがマトリクス樹脂の主成分であるため、たとえば被アーク面をポリアセタールのリッチ層で形成した場合、アークによってポリアセタールから発生するガスによって消弧性能が向上する。またポリマーブレンドの相手の素材によってポリアセタール以上の耐熱性を有することができる。したがって、前記充填材を含有しなくても良好な消弧用絶縁材料組成物として用いることができる。 【0255】 請求項9の発明では、ポリアセタール系ポリマーブレンドが、ポリアセタールとナイロン6との組み合わせであり、前記請求項8の発明での記載事項とともに、さらにナイロン6はその化学構造式中に芳香環を有していないことから、アークによる表面炭化が少なく、一層の消弧性の向上を図ることができる。したがって、前記充填材を含有しなくても良好な消弧用絶縁材料組成物として用いることができる。 【0256】 請求項10の発明では、請求項1〜9記載の消弧用絶縁材料組成物が、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質を含有し、これらの分解によって生ずるガスなどが遊離炭素の発生を抑制するため、一層の消弧性能の向上を図ることができる。 【0257】 請求項11の発明では、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンであり、これらはより好ましく遊離炭素の発生を抑制するため、消弧性能のさらなる向上を図ることができる。 【0258】 【0259】 請求項12〜20の発明では、消弧用絶縁材料成形体を2層にすることによって、消弧性にすぐれた層と、耐圧強度、耐アーク消耗性および耐熱性にすぐれた層を有することができる。 【0260】 請求項12〜14の発明では、消弧用絶縁材料成形体の被アーク層が、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下である無機鉱物および周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20%以下含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分である、または非強化のポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドからなる群から選択された1種が主成分であるため、消弧性能の向上を図ることができる。 【0261】 請求項12の発明では、消弧用絶縁材料成形体が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有し、マトリクス樹脂がポリオレフィン、ポリオレフィン系共重合体、ポリアミド、ポリアミド系ポリマーブレンド、ポリアセタールおよびポリアセタール系ポリマーブレンドが主成分である層に被アーク層を積層してなることから、耐圧強度および耐アーク消耗性の向上を図ることができる。 【0262】 請求項13および14の発明では、消弧用絶縁材料成形体が、ガラス繊維、無機鉱物またはセラミック繊維からなる群から選択された1種以上の充填材を20〜65%含有したナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が主成分である層に被アーク層を積層してなることから、耐圧強度および耐アーク消耗性の向上を図ることができる。とくにナイロン6Tは、ナイロン46およびナイロン66よりも高融点のため、一層の耐熱性の向上を図ることができる。 【0263】 請求項15の発明では、ポリアミドが化学構造式中に芳香環を有していないナイロン46またはナイロン66であるため、アークによる表面炭化が少なく、一層の消弧性の向上を図ることができる。 【0264】 請求項16〜18の発明では、無機鉱物として炭酸カルシウム、珪灰石または含水珪酸マグネシウムを、セラミック繊維としてケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカまたはアルミナウィスカを、周期表1A族の金属の化合物の合計含有量の規定がないガラス繊維として周期表1A族の金属の化合物の合計含有量が1%以下であるガラス繊維を用いるため、消弧性能の向上を図ることができる。 【0265】 請求項19の発明では、請求項12〜18記載の消弧用絶縁材料成形体の被アーク層が、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質を含有し、これらの分解によって生ずるガスなどが遊離炭素の発生を抑制するため、一層の消弧性能の向上を図ることができる。 【0266】 請求項20の発明では、熱分解によってH2O、O2、O(原子状酸素)を発生させる物質が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、四酸化アンチモンまたは五酸化アンチモンであり、これらはより好ましく遊離炭素の発生を抑制するため、消弧性能のさらなる向上を図ることができる。 【0267】 請求項21の発明では、請求項1〜20のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を用いることにより消弧装置の小型化と限流遮断性能の向上を図ることができる。 【0268】 請求項22の発明では、アークを発生する接点部の接触面以外を被覆する絶縁物(1)に請求項1〜11のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物を用いることにより、消弧装置の小型化と限流遮断性能の向上を図ることができる。 【0269】 請求項23の発明では、開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)に請求項1〜20のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を用いることにより、消弧装置の小型化と限流遮断性能の向上を図ることができる。 【0270】 請求項24の発明では、アークを発生する接点部の接触面以外を被覆する絶縁物(1)を有する消弧装置において、請求項1〜11のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物を用い、また開閉時の接点の軌跡を含む平面の両側または接点部の周囲に配置された絶縁物(2)に請求項1〜20のいずれかに記載の消弧用絶縁材料組成物または消弧用絶縁材料成形体を用いることにより消弧装置の小型化と限流遮断性能の向上を図ることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の消弧装置(III)の閉成状態を示す側面説明図である。 【図2】 本発明の消弧装置(III)の開成状態を示す側面説明図である。 【図3】 本発明の消弧装置(III)の閉成状態を示す平面説明図である。 【図4】 絶縁物(2)が2層構成である本発明の消弧装置(III)の閉成状態を示す平面説明図である。 【図5】 本発明の消弧材料組成物から成形された絶縁物(1)を説明する斜視図である。 【図6】 本発明の消弧材料組成物から成形された1層からなる絶縁物(2)の態様を説明する斜視図である。 【図7】 本発明の消弧材料組成物から成形された1層からなる絶縁物(2)の別の態様を説明する斜視図である。 【図8】 本発明の消弧材料組成物から成形された2層からなる絶縁物(2)の態様を説明する斜視図である。 【図9】 本発明の消弧材料組成物から成形された2層からなる絶縁物(2)の別の態様を説明する斜視図である。 【図10】 本発明の消弧材料組成物から成形された2層からなる絶縁物(2)のさらに別の態様を説明する斜視図である。 【図11】 絶縁物(1)を有する本発明の消弧装置(I)の開成状態を示す側面説明図である。 【図12】 絶縁物(2)を有する本発明の消弧装置(II)の開成状態を示す斜視図である。 【図13】 絶縁物(2)を有する本発明の消弧装置(II)の開成状態を示す側面説明図である。 【図14】 従来の消弧装置のアーク発生状態を説明する斜視図である。 【図15】 従来の消弧装置の閉成状態を示す平面説明図である。 【符号の説明】 1 絶縁物(1)、2 絶縁物(2)、3 可動接触子、4 可動接点、5 固定接点、6 固定接触子、7 可動接触子の可動中心、8 消弧装置、9 アーク、10 被アーク層、11 ベース層。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2005-03-25 |
出願番号 | 特願平6-153717 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
YA
(H01H)
|
最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
増山 剛 |
特許庁審判官 |
西村 泰英 平上 悦司 |
登録日 | 2002-10-11 |
登録番号 | 特許第3359422号(P3359422) |
権利者 | 三菱電機株式会社 |
発明の名称 | 消弧用絶縁材料組成物、消弧用絶縁材料成形体およびそれらを用いた消弧装置 |
代理人 | 稲葉 忠彦 |
代理人 | 中鶴 一隆 |
代理人 | 村上 加奈子 |
代理人 | 稲葉 忠彦 |
代理人 | 村上 加奈子 |
代理人 | 佐木 啓二 |
代理人 | 佐木 啓二 |
代理人 | 朝日奈 宗太 |
代理人 | 中鶴 一隆 |
代理人 | 高橋 省吾 |
代理人 | 高橋 省吾 |
代理人 | 朝日奈 宗太 |