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審決分類 |
審判 訂正 発明同一 訂正する A63B 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A63B 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A63B 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63B 審判 訂正 2項進歩性 訂正する A63B 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A63B |
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管理番号 | 1119964 |
審判番号 | 訂正2005-39056 |
総通号数 | 69 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-03-28 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2005-03-29 |
確定日 | 2005-05-20 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3466510号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3466510号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
【1】請求の要旨 特許3466510号に関する本件審判請求の要旨は、明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。 【2】訂正事項 a.請求項1の「帯状の金属片または樹脂の成型品」を「帯状の金属片」に訂正。 b.請求項2の「負荷部」(2カ所)を「付加部」に訂正。 c.請求項5の「クラブ」を「クラブ。」に訂正。 d.段落【0025】中の「この場合、重量付加部23Bの材質としては、FRP(繊維強化プラスチック)などの樹脂の成型品を用いることができる。」を削除。 e.段落【0035】中の「または樹脂の成型品」を削除。 【3】特許法第126条第1,3,4項についての検討 訂正事項aは、択一的に記載されていた「金属片」と「樹脂の成型品」の内、後者を削除するもので、特許請求の範囲の減縮に該当する。 訂正事項bは、明細書全体の記載からみて、「負荷部」が「付加部」の明白な誤記であることが明らかであり、誤記の訂正に該当する。 訂正事項cは、他の請求項の末尾の記載からみて、誤記の訂正、あるいは、明りょうでない記載の釈明に該当する。 訂正事項d及びeは、訂正事項aと整合させるための、明りょうでない記載の釈明に該当する。 そして、これらの訂正は、いずれも、願書に添付した明細書または図面に記載した範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものでもない。 したがって、特許法第126条第1,3,4項の規定に適合する。 【4】特許法第126条第5項についての検討 (1)本件訂正発明 本件訂正発明は、訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】木製のシャフトと該シャフトの下端部に固定され主素材が木からなる木製ヘッドとを有し、前記ヘッドのトウからヒールまでの長径方向の長さが前記ヘッドの高さよりも長く設定され、かつ、前記ヘッドの高さが70mm〜80mmに定められたグラウンド・ゴルフ用クラブにおいて、 前記ヘッドの底面におけるトウ側からヒール側の両端部にわたって、前記ヘッドの主素材である木よりも比重およびヤング率の大きい帯状の金属片からなる重量付加部を固定したグラウンド・ゴルフ用クラブ。 【請求項2】請求項1において、 前記重量付加部はヘッドのトウ側およびヒール側の両端面の少なくとも下部にも設けられており、該両端の部分が重量付加部の他の部分よりも上下方向に厚肉に形成されているグラウンド・ゴルフ用クラブ。 【請求項3】請求項1において、 前記重量付加部はヘッドのトウ側およびヒール側の両端面を覆うような形状に設定されているグラウンド・ゴルフ用クラブ。 【請求項4】木製のシャフトと該シャフトの下端部に固定され主素材が木からなる木製ヘッドとを有し、前記ヘッドのトウからヒールまでの長径方向の長さが前記ヘッドの高さよりも長く設定され、かつ、前記ヘッドの高さが70mm〜80mmに定められたグラウンド・ゴルフ用クラブにおいて、 前記ヘッドの底面に帯状の金属片が設けられていると共に、前記ヘッドのトウ側およびヒール側の両端部に、前記ヘッドの主素材である木よりも比重の大きい金属柱または金属粒からなる重量付加部が設けられているグラウンド・ゴルフ用クラブ。 【請求項5】請求項1ないし4のいずれか1項において、 前記金属片が金属を鋳造、鍛造またはプレス加工、あるいは、更に切削加工を加えて形成されているグラウンド・ゴルフ用クラブ。 【請求項6】請求項1ないし5のいずれか1項において、 ヘッドの重心位置をヘッドの最下端から10mm〜30mmの位置に設定したグラウンド・ゴルフ用クラブ。 【請求項7】請求項1ないし6のいずれか1項において、 ヘッドの重心を通る鉛直軸線まわりの慣性モーメントを5,000gcm2 以上に設定したグラウンド・ゴルフ用クラブ。」 (2)刊行物記載の発明、及び先願発明 (2-1)請求人が提示した、本件特許出願前に頒布された刊行物である、特開平10-179830号公報(第1資料)には、以下の記載がある。 「【請求項1】ヘッドの底面と両側面に亘って補強盤の形状とその厚さに相当する深さの凹部を刻設する一方、前記補強盤は合成樹脂材乃至軽合金材で底板と両側の打撃板を一体的に形成して、前記刻設凹部に嵌合して接着配置し、両側の打撃板を締付手段で緊締配設したことを特徴とするグランドゴルフのクラブヘッド用補強盤 【請求項2】補強板の相対向する打撃板は放物線形状に形成し、その周縁より片刃を延設した請求項1記載のグランドゴルフのクラブヘッド用補強盤。 【請求項3】ヘッドの両側面の凹部の所望位置にはほぼ両凹部の間隔の長さで外周にスプラインを設けたメネジ管を貫通配設し、両凹部に配置した打撃板を締付手段としてのネジで緊締固定した請求項1記載のグランドゴルフのクラブヘッド用補強盤。」 「【0001】【産業上の利用分野】本発明はグランドゴルフのクラブヘッドに配設する補強盤に関し、特にヘッドの底面より両側のボール打撃面に亘って一体に設けた損傷防止用の補強盤に関するものである。」 「【0019】【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。 【0020】ヘッドに配設した補強盤の一方の打撃盤にボールの衝撃力が負荷されても、これに一体的な底板と他方の打撃板とが相剰的力で固定保持し、更に、締付手段で緊締固定しているので補強盤は不用意に位置ずれや変位をすることはなく、強力な配設位置への固定性があり、長期の使用に耐えることができる。 【0021】更に、締付手段により補強盤は圧力的にヘッドに取付配設されているので、ボールの衝撃力が負荷されても補強盤は歪み、屈曲、変形、損傷などの発生することがなく、打撃されたボールのころがり走行方向にくるいの生ずることがない。 【0022】補強盤の両打撃板はその周縁に片刃が形成され、この片刃部分は刻設凹部周縁の立上り部に喰い込むように係止固定され、該周縁部の変形し易い部分にボールが激突して局所的に内側へ歪むと周端が外方へ折曲してヘッド側面より突出しようとする力を発生するが、片刃の係止固定力で確実に該突出変形を阻止し、長期に亘ってグラフのスウイングの方向に沿う正確な指向機能を保持する。 【0023】補強盤の締付手段であるネジはメネジ管との間に打撃板を強力に緊締固定しているが、ヘッドに圧力的に配設される打撃板は歪みや変形を生じない程度に調節圧着することができるので、長期に亘って平らな打撃面を保持することができ、プレイヤーの意図する打撃方向に正確に沿ってころがり走行する高性能のクラブを得ることができる。 【0024】補強盤は断面U字形状に形成されてヘッドの一側面より底面を介して他側面まで配設されているので、ヘッドの隅角部の稜線部分が打撃の衝撃力で損傷したり、欠けめが発生することがなく、長期に亘って美麗な外観を保持することができる。 【0025】クラブヘッドはその両側に補強盤の打撃板が配設されているので、プレイヤーの腕が右利きか左利きかに拘らず、その個性に応じ、何れかの打撃板を自在に使用することができるなど多くの有益な効果を奏する。」 (2-2)同じく、特開平7-236715号公報(第2資料)には、以下の記載がある。 「【請求項1】フェース部、上面部、側周面部、ソール部を金属製殻によって各々形成し、これらをシャフト取付用ボーゼル部と一体に結合してゴルフクラブヘッド本体を形成し、前記ボーゼル部にシャフトの先端側を挿着したゴルフクラブにおいて、前記ソール部に該ソール部の内側に突設して凹部を形成すると共に、該凹部に前記ゴルフクラブヘッド本体の材質より比重の大きいウエイトを前記ソール部とほぼ同一面状に配設したことを特徴とするゴルフクラブヘッド。」 「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、いわゆるメタルウッドなどと称せられる中空なゴルフクラブに関する。」 「【0021】15はベリリューム銅合金(比重略8.2)、銅、或いは真鍮からなる薄板状のウエイトであり、該ウエイト15は前記凹部12とほぼ同一形状であって、該凹部12と嵌合していると共に、外側からビス等の螺子15Aにより螺着している。ウエイト15の下面15Aは前記ソール部7における凹部12以外の箇所とほぼ同一面に形成されている。さらに、前記下面15Aには2本のリブ16が前記ウエイト15と一体に形成されている。このリブ16はその始端16Aをフェース5に配置し間隔をおいて平行に配設されており、フェース5から後方にかけて円弧状に形成されている。尚、このリブ16の曲率半径Rはスイング半径、すなわちゴルファーの腕の長さとシャフト10の長さを加えた長さとほぼ等しいようにすることによって、前記リブ16が引掛かることなくスイングすることができる。」 「【0024】【発明の効果】請求項1記載のゴルフクラブヘッドは、フェース部、上面部、側周面部、ソール部を金属製殻によって各々形成し、これらをシャフト取付用ボーゼル部と一体に結合してゴルフクラブヘッド本体を形成し、前記ボーゼル部にシャフトの先端側を挿着したゴルフクラブにおいて、前記ソール部に該ソール部の内側に突設して凹部を形成すると共に、該凹部に前記ゴルフクラブヘッド本体の材質より比重の大きいウエイトを前記ソール部とほぼ同一面に配設したことにより、ヘッド本体の重心を下げてスイートエリヤの拡大を図ることができると共に、スイング時には引掛かりなくショットすることができ、かつ強度が劣るという虞もない。」 (2-3)同じく、実願平2-84981号(実開平4-42864号)のマイクロフィルム(第3資料)には、以下の記載がある。 「ヘッド部1とシャフト部2からなり、前記ヘッド部1はその上面6側にシャフト嵌合凹み5を有する芯部品3と被覆層4かなり、前記ヘッド部1はその芯部品3がその少なくとも底面7及び打球面8、8となる両側面を耐摩耗性、耐衝撃性及び/又は反発性の良好な熱可塑性若しくは熱硬化性の合成樹脂で成る前記被覆層4で被覆され一体的に結合されて成ることを特徴とするスポーツ用の打球具。」(明細書1頁5〜18行) 「<産業上の利用分野> 本発明は地上に置いたボール打球して転がし目標点に数少ない打撃数で到着させる競技に主として用いられるスポーツ用の打球具の主としてヘッド部の改良に関する。」(同2頁5〜8行) 「<効果> 本考案のスポーツ用の打球具Aの主要部であるヘッド部1は、その芯部品3がその外表面である被覆層4より軽重心の木製であってスイングし易いのみならず、前記被覆層4で被覆されているのでラフな仕上がりで良いから製造工程が簡単で製造コストを低減できる。同じくぜんきヘッド部1の芯部品3は上面6の一部若しくは大部分、両打球面8,8及び底面7を前記被覆層4で被覆され一体的に結合されているので、いずれの打球面8で打撃してもその打撃衝撃によっても合成樹脂の被覆層4が容易に剥離しないし芯部品3が容易に破損したり摩損しないし極めて耐久の良いスポーツ用の打球具Aである。」(同8頁3〜17行) (2-4)請求人が提示した、本件特許出願前の出願であって本件特許出願後に出願公開された、特願平10-75967号(特開平10-179830号、第4資料)の明細書には、以下の記載がある。 「【請求項1】シャフトの先端にヘッドを設けたクラブであって、該ヘッドの重心が低く設定されていることを特徴とするグランドゴルフ用クラブ。 【請求項2】上記クラブが木質材料で作られている請求項1のグランドゴルフ用クラブ。 【請求項3】上記ヘッドが、少なくともその下部分が硬質樹脂で作られている請求項1または2のグランドゴルフ用クラブ。」 「【0001】【産業の属する技術分野】本発明は、スィートスポットを改革したグランドゴルフ用のクラブに関するものである。」 「【0013】実施例 本発明のグランドゴルフ用クラブを、図面を参考にしながら説明する。図1(a)には、全長820mmのシャフトの先端に設けたヘッドを示している。直径25mmの木製のシャフトの中心軸とヘッド(巾150mm×高さ75mm×厚さ45mm)の中心の垂直軸とが15度の角度をなしている。ヘッドは凸曲面となった下面を有しており、凸曲面となった下面のソール部分は平面化されている。クラブはヘッド全体が楓材で軽量に作っており、ヘッド下面の凸曲面部分15mm×35mmが硬質樹脂で作られている。本実施例品は、クラブヘッドの打面部分両面にも厚さ5mmの硬質樹脂層が設けられている。本実施例品のクラブの重心は、上記シャフトの軸に相当する位置の、ソウル部分より高さ約30mmのところに来るようにしている。」 「【0015】【発明の効果】スィートスポットの改革により、構造的に打球点(スポット)を正確に捕らえることができ、かつ、握り手の振動をなくしたグランドゴルフ用のクラブを提供するこができる。」 (3)対比・判断 上記第1〜4資料には、本件訂正発明の技術的事項である「ヘッドの底面におけるトウ側からヒール側の両端部にわたって、前記ヘッドの主素材である木よりも比重およびヤング率の大きい帯状の金属片からなる重量付加部を固定した」点について、何ら記載されていないし示唆もない。そして、本件訂正発明は上記技術的事項を備えることにより、「グラウンド・ゴルフ用クラブにおいて、ヘッドの低重心化を図ったので、草などが生い茂っている場所でも、ヘッドの重心位置でボールを打撃することができる。また、ヘッドの慣性モーメントを従来よりも大きくしたので、フェースの中心を外れた位置においてヘッドがボールに衝突しても、ヘッドが回転しにくくなる。したがって、フェース面の方向が安定するので、打球方向が安定する。したがって、体力や技術力が低い者でも楽にボールを飛ばして楽しむことができる。」等の作用効果を奏するものである。 したがって、本件訂正発明は、上記第1〜3資料に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないし、また、第4資料に記載された発明と同一であるともいえないから、その特許出願の際、独立して特許を受けることができるものである。 【5】むすび 以上のとおり、本件審判請求は、特許法第126条第1項に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3〜5項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 グラウンド・ゴルフ用クラブ (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 木製のシャフトと該シャフトの下端部に固定され主素材が木からなる木製ヘッドとを有し、前記ヘッドのトウからヒールまでの長径方向の長さが前記ヘッドの高さよりも長く設定され、かつ、前記ヘッドの高さが70mm〜80mmに定められたグラウンド・ゴルフ用クラブにおいて、 前記ヘッドの底面におけるトウ側からヒール側の両端部にわたって、前記ヘッドの主素材である木よりも比重およびヤング率の大きい帯状の金属片からなる重量付加部を固定したグラウンド・ゴルフ用クラブ。 【請求項2】 請求項1において、 前記重量付加部はヘッドのトウ側およびヒール側の両端面の少なくとも下部にも設けられており、該両端の部分が重量付加部の他の部分よりも上下方向に厚肉に形成されているグラウンド・ゴルフ用クラブ。 【請求項3】 請求項1において、 前記重量付加部はヘッドのトウ側およびヒール側の両端面を覆うような形状に設定されているグラウンド・ゴルフ用クラブ。 【請求項4】 木製のシャフトと該シャフトの下端部に固定され主素材が木からなる木製ヘッドとを有し、前記ヘッドのトウからヒールまでの長径方向の長さが前記ヘッドの高さよりも長く設定され、かつ、前記ヘッドの高さが70mm〜80mmに定められたグラウンド・ゴルフ用クラブにおいて、 前記ヘッドの底面に帯状の金属片が設けられていると共に、前記ヘッドのトウ側およびヒール側の両端部に、前記ヘッドの主素材である木よりも比重の大きい金属柱または金属粒からなる重量付加部が設けられているグラウンド・ゴルフ用クラブ。 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項において、 前記金属片が金属を鋳造、鍛造またはプレス加工、あるいは、更に切削加工を加えて形成されているグラウンド・ゴルフ用クラブ。 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項において、 ヘッドの重心位置をヘッドの最下端から10mm〜30mmの位置に設定したグラウンド・ゴルフ用クラブ。 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項において、 ヘッドの重心を通る鉛直軸線まわりの慣性モーメントを5,000gcm2以上に設定したグラウンド・ゴルフ用クラブ。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明はグラウンド・ゴルフ用クラブの特にヘッドに関するものである。 【0002】 【従来の技術】 グラウンド・ゴルフは、図12のクラブ1により直径約60mmのボールをショットして直径36cmのホールポストのリング(輪)の中に静止(トマリ)するまでの打撃数を競うものである。このグラウンド・ゴルフに使われているクラブ1は、一般に木製のヘッド2およびシャフト4からなり、一方、ボールは木製または樹脂製である。 【0003】 グラウンド・ゴルフは、通常のゴルフと異なり、健康の増進と娯楽を主眼とするものであり、したがって、技術の高さや体力により勝負を競うよりも、力の弱い者でも勝利を手にする面白さが必要となる。また、手軽に楽しむためには、手入れされた芝生などと異なり、通常の草地などにおいて、ゲームを行える必要がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、ラフのような草地でボールを打撃すると、草がヘッド2に絡んで、体力のない者では十分な打撃力がボールに伝わらず、そのため、体力差で勝敗が決定し易い。 また、ヘッド2がボールに当たり易いように、また、飛距離があまり出ないように、ボールおよびヘッド2を大きくしているのであるが、運動能力の低い者はヘッド2の中央にボールが当たらず、打球方向が左右にばらつき、そのため、技術が低い者には面白くない結果となる。 【0005】 したがって、本発明は、体力や技術が低くても、手軽に楽しめるというグラウンド・ゴルフ本来の目的を達成し得るグラウンド・ゴルフ用クラブを提供することである。 【0006】 【発明の原理】 本発明の構成の説明に先立って本発明の原理について説明する。 図1(a)において、ヘッド2の上下方向にヘッド2とボール3の衝撃位置を変えて、直径60mmのボール3(グラウンド・ゴルフ用ボール)とヘッド2とを衝突させたところ、図1(b)のような結果を得た。図1(b)の横軸は衝突後のボールのスピードを衝突前のボールのスピードで除算した値である。また、図1(b)の縦軸は、フェース面20のボール3との衝突点とヘッド2の重心Gとの上下方向の距離である。 【0007】 この試験結果から分かるように、ヘッド2の重心Gないしは重心Gよりも若干上方5mmぐらいの位置でボールを打撃すれば、最も高い反発特性が得られることが分かる。 【0008】 しかし、グラウンド・ゴルフの競技規則上、ヘッド2の高さが70mm〜80mmに定められているので、ヘッド2の重心G1の位置が高くなり、従来は、ヘッド2の重心G1がヘッド2の下端面21から32mmよりも上方の位置に存在していた。一方、ボールの直径が約60mm程度であるため、ヘッド2の下端面21を地面Fに接するように打撃しても、ボール3を重心付近で捕らえることができず、十分な反発特性が得られない。そこで、本発明は、従来のヘッド2の重心G1を重心Gのように、下方に下げることで、ヘッド2の反発特性の向上を図ると共に、草などが伸びていても、力の弱い人等でも、重心G付近でボール3を打撃できるようにしたものである。 【0009】 一方、図2(a)の平面図に示すように、ボール3がヘッド2の長径方向Lの端部に衝突すると、ヘッド2が重心を中心に矢印方向に回転しようとする。そのため、フェース面20が傾き、ボール3の飛び出す方向が、矢印Aのように斜めになる。そこで、本発明では、図2(b)のヘッド2における重心Gを通る鉛直軸線まわりの慣性モーメントIzを大きく設定することにより、ボール3がヘッド2の長径方向Lの端部に当たっても、ヘッド2が回転しにくくすることにより、打球方向のバラツキを小さくするものである。 【0010】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。 図3(b)において、シャフト4の下端部にはヘッド2が固定されている。該ヘッド2の前面は、ボールを打撃するためのフェース面20を形成している。前記ヘッド2の底面22には、金属板23が図3(c),(d)のビス24により固定されている。図3(a)に明示するように、該金属板23は、ヘッド2の底面22における中央からヘッド2の長径方向Lの両端部にわたって設けられている。すなわち、金属板23は、トウ25からヒール26にわたって、ヘッド2の底面22に設けられている。 【0011】 なお、「中央からヘッド2の長径方向Lの両端部にわたって」とは、1枚の金属板23がトウ25からヒール26まで連続して設けられていることをいうのではなく、ある程度、中央および両端部の底面を覆うように形成されていればよいことを意味する。たとえば、金属板23を中央と左右の3つに分割したり、あるいは、中央で2分割してもよい。また、両端部とは、トウ25およびヒール26およびこれらの近傍の部分をいう。 【0012】 前記金属板23を設けることにより、図3(b)のヘッド2の重心Gの位置を下げることができると共に、ヘッド2の慣性モーメントIzを増大させることができる。 【0013】 ヘッド2の重心Gの位置は、ヘッド2の最下端からの高さHが10mm〜30mm程度に設定されるが、H=20mm〜28mm程度とするのが好ましい。 これにより、図1の直径60mmのボール3を重心Gの付近で容易に打撃することができるようになる。 なお、本発明において、「ヘッド2の重心」とは、シャフト4にヘッド2を固定した状態のヘッド部分のみを取り出した該ヘッド部分の重心をいう。 また、図3の高さHを10mm以上とした理由は、ボール3がフェース面20に衝突したときに、ボール3が偏平して、ボール3が直径約20mm程度の面積で接触するからである。 なお、慣性モーメントIzは、5,000gcm2以上に設定する。 【0014】 図4(a)は第2実施形態、図4(b),(c)は本発明に含まれない例を示す。 図4(a),(b)では、ヘッド2の重心Gの位置よりも下部の位置に、重量付加部23Aが埋設されて設けてある。重量付加部23Aは、図4(a)のようにトウ25側およびヒール26側の双方に設ける。重量付加部23Aとしては、金属柱、金属粒の他に樹脂を含浸させてもよく、ヘッド2を構成する主素材(たとえば木)よりも比重が大きければよい。 【0015】 また、重量付加部23Aは図4(a)のように両端部にのみ設けてもよいが、図4(b)のようにヘッド2の下部の全域に設けてもよい。また、図4(c)のように、ヘッド2の下部の中央に設けてもよいが、この場合は、慣性モーメントIzを大きくする効果が小さくなる。なお、21Aはヘッド2の底面を保護する金属板製のソールプレートである。 【0016】 図5は両端に重量を付加する構造の他の例を示す。 慣性モーメントIzのみを大きくするためには、図5(a)〜(c)のようにヘッド2を形成する。図5(a)のヘッド2は、トウ25およびヒール26側(ヘッド2の長径方向の両端部)に、樹脂を含浸させている。図5(b)のヘッド2は、トウ25およびヒール26の表面を金属プレートからなる重量付加部23Aで覆っている。図5(c)のヘッド2は、トウ25およびヒール26に金属柱からなる重量付加部23Aを埋設している。 【0017】 図6および図7は他の実施形態を示す。 図6において、シャフト4の下端部にはヘッド2が固定されている。該ヘッド2の前面は、ボールを打撃するためのフェース面20を形成している。前記ヘッド2の底面22には、板状の金属片からなる重量付加部23Bが図示しないビスにより固定されている。図6に明示するように、該金属板23Bは、ヘッド2の底面22における中央からヘッド2の長径方向Lの両端部にわたって設けられている。すなわち、金属片23Bは、トウ25側からヒール26側にわたって、ヘッド2の底面22に設けられている。 なお、フェース面20は、FRPで形成されている。 【0018】 「トウ側からヒール側にわたって」とは、1枚の金属片23Bがトウ25からヒール26まで連続して設けられていることをいうのではなく、ある程度、中央および両端部の底面を覆うように形成されていればよいことを意味する。たとえば、金属片23Bを中央と左右の3つに分割したり、あるいは、中央で2分割してもよい。また、両端部とは、トウ25およびヒール26およびこれらの近傍の部分をいう。 【0019】 前記金属片23Bを設けることにより、図6(b)のヘッド2の重心Gの位置を下げることができると共に、ヘッド2の慣性モーメントIzを増大させることができる。なお、慣性モーメントIzは、5,000gcm2以上に設定する。 ヘッド2の重心Gの位置は、ヘッド2の最下端からの高さHが10mm〜30mm程度に設定されるが、H=20mm〜28mm程度とするのが好ましい。 【0020】 前記金属片23Bは、ヘッド2のトウ25側およびヒール26側の両端面の下部まで一体に形成されている。また、この金属片23Bの両側の部分23aは、金属片23Bの他の部分に比べ上下方向に厚肉に形成してある。これらにより、慣性モーメントIzの更なる増大を図り得る。 【0021】 図7(a),(b)に示すように、金属片23Bの振抜方向Fに沿った底面の断面形状は、下方に向って膨出した(凸となる)曲線ないし直線で形成されている。これにより、フェース面20の下端が地面等に接触した場合の抵抗が小さくなって、振り抜き易くなる。 なお、振抜方向Fの中央付近が両端よりも下方に膨出している形状がより好ましい。 【0022】 図6に示すように、前記金属片23Bには、その底面22に振抜方向Fに沿って複数本の突条部23cが一体に形成されている。これらの突条部23cは、芝や砂がヘッド2の底面に接触した場合に、これらの芝や砂を後方に流れ易くして、打撃時の振り抜き抵抗を小さくする作用を持つ。 【0023】 また、本実施形態では、前記金属片23Bは、たとえばアルミのダイカスト(金属の鋳造品)で形成されている。このように鋳造品とすることで、慣性モーメントIzの増大や低重心化を図り易い形状を低価格で製作することができる。 【0024】 本明細書において、前記「金属片」とは金属板を含む概念であるが、必ずしも板状である必要はなく、図8(a)のように、局部的に厚肉な部分や塊状部23bがあってもよい。また、「金属片」としては、鋳造品の他に鍛造やプレス加工、更には、これらに切削加工を加えた機械加工により製作してもよい。 【0025】 また、前記本発明においては、金属片23Bに代えて、ヘッド2を構成する主素材よりも比重および剛性(ヤング率)の大きい板状などの重量付加部23Bとしてもよい。 【0026】 図8(a),(b)は第4実施形態の変形例を示す。 図8(a)に示すように、本発明では重量付加部23Bに該重量付加部23Bよりも比重の大きい別の重量付加部23Cを埋設ないし固定してもよい。また、図8(b)に示すように、重量付加部23Bは底面の中央から両側に行くに従い厚肉としてもよい。 【0027】 また、図9に示すように、突条部23cは複数本設ければよく、また、その形状は底面側から見てV字状やU字状などであってもよい。 また、金属片23は、トウ25側およびヒール26側の両端面を覆うような形状としてもよく、また、これらの部分が金属片23の中央部と同等の厚肉ないし若干薄肉であってもよい。なお、このようにすれば、慣性モーメントIzを更に大きくすることができる。 【0028】 図10は本発明に含まれない中空のヘッドを示す。 【0029】 図10においては、ヘッド2を中空に形成すると共に、ヘッド2の上面部2aよりも底面部2bを厚肉に設定している。このようにヘッド2を中空にすることで、ヘッド2の重心位置Gがヘッド2の最下端から10mm〜30mm(好ましくは20mm〜28mm)の位置に設定されていると共に、ヘッド2の重心Gを通る鉛直軸線まわりの慣性モーメントIzが5,000gcm2以上に設定されている。 なお、ヘッド2の底面部2bまたは中空部2cには、種々の重量付加部を設けてもよい。 【0030】 また、ヘッド2の形状としては、図11に示すように、フェースにおける長径線L1と、シャフト4の軸線との交点Oが、ヘッド2の全高H1の1/2よりも低いのが好ましい。また、ヘッド2の全高H1に対する長径方向Lの長さを長く(たとえば2倍以上)するのが好ましい。 【0031】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明によれば、グラウンド・ゴルフ用クラブにおいて、ヘッドの低重心化を図ったので、草などが生い茂っている場所でも、ヘッドの重心位置でボールを打撃することができる。 また、ヘッドの慣性モーメントを従来よりも大きくしたので、フェースの中心を外れた位置においてヘッドがボールに衝突しても、ヘッドが回転しにくくなる。したがって、フェース面の方向が安定するので、打球方向が安定する。 したがって、体力や技術力が低い者でも楽にボールを飛ばして楽しむことができる。 【0032】 また、ヘッドの底面に振抜方向に沿って複数本の突条部を一体に形成すれば、ヘッドの底面に芝や砂が接触した場合に、これらの障害物が後方に流れ易くなって打撃時の振り抜き易さが増大する。 【0033】 また、ヘッドの振抜方向に沿った底面の断面形状を下方に向って凸となるようにすれば、フェース面の下端が芝や地面に接触した場合の抵抗が更に小さくなって、振り抜き易くなる。 【0034】 また、重量付加部をトウ側およびヒール側の両端面の少なくとも下部にも設ければ、慣性モーメントを更に増大させることができる。 【0035】 また、重量付加部を金属の鋳造品で形成すれば、所望の形状が得られると共に低価格化を図ることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 (a)は本発明の原理を説明するための打球時の側面図、(b)は反発特性を示す特性図である。 【図2】 (a)は本発明の原理を説明するための打球時の平面断面図、(b)はヘッドの斜視図である。 【図3】 第1実施形態を示すヘッドの断面図、正面図、底面図および側面図である。 【図4】 (a)は第2実施形態を示すヘッドの正面図、(b),(c)は本発明に含まれないヘッドの正面図である。 【図5】 両端部に重量を付加する構造の他の例を示すヘッドの斜視図である。 【図6】 他の実施形態を示すヘッドの底面図および断面図である。 【図7】 (a)は図6の7a-7a線断面図、(b)は図6の7b-7b線断面図である。 【図8】 図6の実施形態の変形例を示す重量付加部の正面図である。 【図9】 図6の実施形態の他の変形例を示す重量付加部の正面図である。 【図10】 本発明に含まれないヘッドを示す斜視図である。 【図11】 ヘッドの好ましい形状を示す正面図である。 【図12】 従来の一般的なグラウンド・ゴルフ用クラブの正面図である。 【符号の説明】 1:クラブ 2:ヘッド 20:フェース面 21:下端面 23:金属板(重量付加部) 23A:重量付加部 23B:金属片(重量付加部) 25:トウ 26:ヒール 4:シャフト |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2005-04-26 |
結審通知日 | 2005-04-27 |
審決日 | 2005-05-10 |
出願番号 | 特願平11-183400 |
審決分類 |
P
1
41・
121-
Y
(A63B)
P 1 41・ 853- Y (A63B) P 1 41・ 161- Y (A63B) P 1 41・ 856- Y (A63B) P 1 41・ 852- Y (A63B) P 1 41・ 851- Y (A63B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 土屋 保光 |
特許庁審判長 |
山 田 忠 夫 |
特許庁審判官 |
高 橋 祐 介 南 澤 弘 明 |
登録日 | 2003-08-29 |
登録番号 | 特許第3466510号(P3466510) |
発明の名称 | グラウンド・ゴルフ用クラブ |
代理人 | 山村 喜信 |
代理人 | 山村 喜信 |