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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H05F
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H05F
管理番号 1119969
審判番号 訂正2005-39017  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-02-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2005-01-28 
確定日 2005-06-02 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2622821号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2622821号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 1.手続きの経緯
特許第2622821号の請求項1〜10に係る発明についての出願は、平成6年8月12日に特許出願され、平成9年4月11日にその特許権の設定登録がなされ、その後、特許権者より本件審判が請求され、訂正拒絶理由が通知され、平成17年4月8日付けで訂正明細書の手続補正がなされたものである。

2.平成17年4月8日付け手続補正の適否について
平成17年4月8日付け手続補正は、本件審判請求書に添付された訂正明細書の段落番号【0012】の記載を
「アース電極4は、一枚の導電金属板、例えば一枚のステンレス板片をコ字状に折曲し、その中央部の一辺縁に、鋸歯状の複数の尖端部9を所定の間隔で一体に突出したもので、これら尖端部9を口部2の段部3の稜線に沿って位置させて口部2の内面に接着又はビス止めされている。従って、複数の尖端部9は、絶縁体1の一部分を介して高電圧電極5と所定の間隔を保持して平行に対向している。図示していないが、アース電極4にはアース用のリード線が接続される。」
と特許明細書の段落番号【0012】に記載された通りのものに戻す補正であるから、実質的に審判請求書の訂正事項B-bを削除する補正に相当し、審判請求書の要旨を変更するものでなく、平成6年法改正前の特許法第131条第2項の規定に適合する。

3.請求の要旨
上記のように平成17年4月8日付け手続補正は適法にされたものと認められるから、本件の審判請求の要旨は、上記手続補正で補正された訂正明細書のとおり、すなわち下記のとおり訂正することを求めるものである。
訂正事項a.
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1を
「複数の尖端部を有する板状又は箔状の導電性部材を絶縁体の面に添えて付着してアース電極とするとともに、この絶縁体にワイヤ状又は板状の導電性部材を埋設して前記複数の尖端部と所定の間隔を保持して対向する高電圧電極としたことを特徴とする除帯電電極構造。」から
「複数の尖端部を有する板状又は箔状の導電性部材を絶縁体の面に添えて付着してアース電極とするとともに、この絶縁体にワイヤ状又は板状の導電性部材を埋設して、この導電性部材を、前記複数の尖端部のみと前記絶縁体の一部分を介し所定の間隔を保持して平行に対向する高電圧電極としたことを特徴とする除帯電電極構造。」に訂正する。
訂正事項b.
特許明細書の段落【0006】の記載を、
「【課題を解決するための手段】
本発明による除帯電電極構造は、複数の尖端部を有する板状又は箔状の導電性部材を絶縁体の面に添えて付着してアース電極とするとともに、この絶縁体にワイヤ状又は板状の導電性部材を埋設して複数の尖端部と所定の間隔を保持して対向する高電圧電極としたものである。」から
「【課題を解決するための手段】
本発明による除帯電電極構造は、複数の尖端部を有する板状又は箔状の導電性部材を絶縁体の面に添えて付着してアース電極とするとともに、この絶縁体にワイヤ状又は板状の導電性部材を埋設して、この導電性部材を、複数の尖端部のみと前記絶縁体の一部分を介し所定の間隔を保持して平行に対向する高電圧電極としたものである。」に訂正する。
訂正事項c.
特許明細書の段落【0015】の記載を、
「次に、図3に示す第2実施例は、絶縁体1を長い板状とし、その肉厚に大小の差を持たせることにより表面の長手方向に長い段部3を形成している。そして、この板状の絶縁体1の肉厚の大きい部分の表面に、長い導電金属板であるアース電極4を付着し、このアース電極4の鋸歯状の多数の尖端部9を段部3の稜線に沿って位置させ、また第1実施例と同様に高圧ケーブル6の心線の一部分である高電圧電極5を、段部3の近傍でしかもこれと平行にして絶縁体1に埋設したものである。この第2実施例は、フィルムや紙などの長い対象物体を除電又は帯電するのに好適である。」から
「次に、図3に示す第2実施例は、絶縁体1を長い板状とし、その肉厚に大小の差を持たせることにより表面の長手方向に長い段部3を形成している。そして、この板状の絶縁体1の肉厚の大きい部分の表面に、長い導電金属板であるアース電極4を付着し、このアース電極4の鋸歯状の多数の尖端部9を段部3の稜線に沿って位置させ、また第1実施例と同様に高圧ケーブル6の心線の一部分である高電圧電極5を、段部3の近傍でしかもこれと平行にして絶縁体1に埋設したもので、金属ワイヤである高電圧電極5と導電金属板であるアース電極4の尖端部9との対向関係については第1実施例と同様である。この第2実施例は、フィルムや紙などの長い対象物体を除電又は帯電するのに好適である。」に訂正する。
訂正事項d.
特許明細書の段落【0020】の記載を、
「最後に、図8及び図9に示す第7実施例は、アース電極4とその矢形の多数の尖端部9とを、導電パターンによってプリント基板10上に一体に形成し、このプリント基板10を板状の絶縁体1の表面に付着して絶縁体1の表面とプリント基板10との間に段部3を形成し、この段部3に沿って高電圧電極5を絶縁体1に埋設したものである。この場合、プリント基板10は、その裏面に設けた接着層11により絶縁体1の表面に接着し、また絶縁体1は、その裏面に設けた接着層12により適宜な箇所に接着して使用できるようにするとよい。」から
「最後に、図8及び図9に示す第7実施例は、アース電極4とその矢形の多数の尖端部9とを、導電パターンによってプリント基板10上に一体に形成し、このプリント基板10を板状の絶縁体1の表面に付着して絶縁体1の表面とプリント基板10との間に段部3を形成し、この段部3に沿ってワイヤ状の高電圧電極5を絶縁体1に埋設したもので、ワイヤ状の高電圧電極5と導電パターンによる箔状のアース電極4の尖端部9との対向関係については第1実施例と同様である。この場合、プリント基板10は、その裏面に設けた接着層11により絶縁体1の表面に接着し、また絶縁体1は、その裏面に設けた接着層12により適宜な箇所に接着して使用できるようにするとよい。」に訂正する。

4.当審の判断
そこで、これらの訂正事項について検討する。
上記訂正事項aの訂正は、訂正前の請求項1における「この絶縁体にワイヤ状又は板状の導電性部材を埋設して前記複数の尖端部と所定の間隔を保持して対向する高電圧電極とした」との記載を「この絶縁体にワイヤ状又は板状の導電性部材を埋設して、この導電性部材を、前記複数の尖端部のみと前記絶縁体の一部分を介し所定の間隔を保持して平行に対向する高電圧電極とした」と訂正して、アース電極の複数の尖端部に対する高電圧電極の対向関係を限定しようとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当する。
そして、この訂正は、特許明細書の段落番号【0012】の中の「複数の尖端部9は、絶縁体1の一部分を介して高電圧電極5と所定の間隔を保持して平行に対向している。」との記載、同段落番号【0015】の中の「このアース電極4の鋸歯状の多数の尖端部9を段部3の稜線に沿って位置させ、また第1実施例と同様に高圧ケーブル6の心線の一部分である高電圧電極5を、段部3の近傍でしかもこれと平行にして絶縁体1に埋設したものである。」との記載、同段落番号【0020】の中の「アース電極4とその矢形の多数の尖端部9とを、導電パターンによってプリント基板10上に一体に形成し、このプリント基板10を板状の絶縁体1の表面に付着して絶縁体1の表面とプリント基板10との間に段部3を形成し、この段部3に沿って高電圧電極5を絶縁体1に埋設したものである。」との記載、同段落番号【0008】及び段落番号【0022】の中の「アース電極が絶縁体から露呈し、高電圧を印加される高電圧電極は絶縁体に埋設されて保護されており、しかもアース電極は、その尖端部において高電圧電極との間で放電が生じるだけで、その他の大部分は、絶縁体の面に沿って拡がるアース面を形成する」との記載、及び図1〜8にも図示されているように、高電圧電極は、アース電極に対してその複数の尖端部のみと対向しているが、アース電極のその他の部分とは対向していないことを根拠とするものであるから新規事項の追加に該当しない。
上記訂正事項b〜dの訂正は、明細書の記載を上記訂正事項aの訂正に整合させるとともに、図面に明示されている実施例を図面の記載の通りに行う訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当しない。
そして、上記各訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正後における特許請求の範囲に記載された発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でもない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、改正前の特許法第126条第1項ただし書き、及び同条第2、3項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
除帯電電極構造
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の尖端部を有する板状又は箔状の導電性部材を絶縁体の面に添えて付着してアース電極とするとともに、この絶縁体にワイヤ状又は板状の導電性部材を埋設して、この導電性部材を、前記複数の尖端部のみと前記絶縁体の一部分を介し所定の間隔を保持して平行に対向する高電圧電極としたことを特徴とする除帯電電極構造。
【請求項2】
アース電極となる導電性部材を鋸歯状とすることで複数の尖端部を一体に形成したことを特徴とする請求項1に記載の除帯電電極構造。
【請求項3】
アース電極の複数の尖端部と高電圧電極とを平行に対向させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の除帯電電極構造。
【請求項4】
絶縁体の面に段部を形成し、この段部に、アース電極の複数の尖端部を位置させたことを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の除帯電電極構造。
【請求項5】
絶縁体に口部を設け、この口部の内面に沿ってアース電極となる導電性部材を付着したことを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれかに記載の除帯電電極構造。
【請求項6】
絶縁体を板状とし、その表面にアース電極となる導電性部材を付着したことを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれかに記載の除帯電電極構造。
【請求項7】
絶縁体を棒状とし、その表面にアース電極となる導電性部材を付着したことを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれかに記載の除帯電電極構造。
【請求項8】
絶縁体を筒形とし、その内面にアース電極となる導電性部材を付着したことを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれかに記載の除帯電電極構造。
【請求項9】
アース電極を導電パターンによってプリント基板上に形成し、このプリント基板を絶縁体に付着して絶縁体の面とプリント基板との間に段部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の除帯電電極構造。
【請求項10】
高電圧電極を、高圧ケーブルの心線の一部をもって構成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9のいずれかに記載の除帯電電極構造。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、直流又は交流の高電圧を印加してイオンを生成し、そのイオンによって対象物体を除電又は帯電するための除帯電電極の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の除帯電電極は、多数の針状電極を絶縁体に所定の間隔をおいて植設するとともに、これら針状電極に棒状又は板状のアース電極を対向させ、多数の針状電極に高電圧を印加してアース電極との間にコロナ放電を起こし、その放電で生成されるイオンによって対象物体を除電又は帯電する型式が一般的であった。
【0003】
また、これとは逆に、針状電極をアースして棒状又は板状の電極に高電圧を印加する型式も従来有った。図10はこの型式の一つで、凹溝50を有する長い絶縁体51に、凹溝50内において多数の針状アース電極52を所定の間隔をおいて植設するとともに、凹溝50の両側においてワイヤによる高電圧電極53を絶縁体52に埋設したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の電極構造は、上記2つの型式のいずれの場合も、多数の針状電極を絶縁体の面からほぼ直角に空間に突出させたもので、次のような問題点があった。
▲1▼ 針状電極を1本ずつ絶縁体に植設しなければならないため、製造が面倒でコスト高になっていた。
▲2▼ 針状電極を絶縁体に植設して空間に突出させるため、小型化するのに制限があり、また取り扱いの際に危険でもあった。
▲3▼ 対象物体がフィルムや紙などで、これを針状電極とは離れたところで通過させながら除電又は帯電する場合には問題はないが、対象物体が粉体等のような流動物の場合、針状電極に触れたり近接するため、針状電極の周りに流動物が滞留してコロナ放電が阻害され、イオン生成能力が低下して満足な除電又は帯電処理を行えなかった。
▲4▼ 対象物体がフィルムや紙、その他の固形物の場合、針状電極に触れないようにする手段を講ずるか、又は十分な距離を保たなければならず、専有スペースが大きくなり、狭い場所での除電又は帯電処理を行えなかった。
▲5▼ 対象物体が粉体等の流動物の場合、これが針状電極に付着するため、針状電極の清掃を短い周期で定期的に行う必要があり、しかもその清掃は針の1本1本について行わなければならないため、作業が大変であった。
▲6▼ 粉体等の流動物を、例えばホッパの排出口から排出する際に除電したり、移送管の移送途中で除電する場合、流動物が針状電極に触れないようにするための手段を講じなければならないため、構造が複雑になり小型化できなかった。
【0005】
本発明の目的は、針状電極を使用した場合の上記のような問題点を一掃し、製造が容易でコストを低減できるとともに、小型化でき、かつ安全性も高く、特に粉体等の流動物を除電又は帯電する場合、流動物の付着そのものが少ない構造にできる上に、たとえ付着してもその清掃が容易であり、また各種の機器や器具に組み込む場合にも、簡素でしかも専有スペースの少ない組み込み構造にできる除帯電電極構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による除帯電電極構造は、複数の尖端部を有する板状又は箔状の導電性部材を絶縁体の面に添えて付着してアース電極とするとともに、この絶縁体にワイヤ状又は板状の導電性部材を埋設して、この導電性部材を、複数の尖端部のみと絶縁体の一部分を介し所定の間隔を保持して平行に対向する高電圧電極としたものである。
【0007】
このような構成を基本として次のような態様にすることができる。アース電極となる導電性部材を鋸歯状とすることで複数の尖端部を一体に形成する。アース電極の複数の尖端部と高電圧電極とを平行に対向させる。絶縁体の面に段部を形成し、この段部に、アース電極の複数の尖端部を位置させる。絶縁体に口部を設け、この口部の内面に沿ってアース電極となる導電性部材を付着する。絶縁体を板状とし、その表面にアース電極となる導電性部材を付着する。絶縁体を棒状とし、その表面にアース電極となる導電性部材を付着する。絶縁体を筒形とし、その内面にアース電極となる導電性部材を付着する。アース電極を導電パターンによってプリント基板上に形成し、このプリント基板を絶縁体に付着して絶縁体の面とプリント基板との間に段部を形成する。高電圧電極を、高圧ケーブルの心線の一部をもって構成する。
【0008】
【作用】
本発明による除帯電電極構造では、絶縁体に埋設された高電圧電極に直流又は交流の高電圧を印加すると、この高電圧電極とアース電極の複数の尖端部との間で、絶縁体(電気的に静電容量となる)を介して放電し、アース電極が絶縁体から露呈しているため、その周囲にイオンが生成される。アース電極は絶縁体から露呈するものの、その面に沿った板状又は箔状であるため、針状電極のように絶縁体の面から突出するようなことはない。アース電極が絶縁体から露呈し、高電圧を印加される高電圧電極は絶縁体に埋設されて保護されており、しかもアース電極は、その尖端部において高電圧電極との間で放電が生じるだけで、その他の大部分は、絶縁体の面に沿って拡がるアース面を形成するので、安全性が高いとともに、人体に対する危険性も少ない。
【0009】
絶縁体の面に段部を形成し、この段部に、アース電極の複数の尖端部を位置させた場合には、アース電極と高電圧電極との間に必要な絶縁性を確保しながら、アース電極の複数の尖端部の周りに十分なイオン生成空間を確保できるので、安全性の確保とともにイオン生成効率の向上が図れる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。
【0011】
図1及び図2は本発明の第1実施例を示す。この第1実施例は、長方形の樹脂板である絶縁体1を本体とし、その中央に上下に貫通する方形な口部2を設け、この口部2の内面の一辺に、その全長にわたる段部3を形成している。そして、この口部2の内面に、アース電極4を口部2の内面に沿って付着するとともに、金属ワイヤによる高電圧電極5を、段部3の近傍でしかもこれと平行にして絶縁体1に埋設している。この高電圧電極5は、高圧ケーブル6の一部の被覆を剥離して心線(金属ワイヤ)を所要長さだけ露呈させ、その露呈部分を絶縁体1に設けられた横穴に挿入したもので、この横穴からの引き出し部分は樹脂スリーブ7で保護されている。なお、高圧ケーブル6の被覆を剥離しないで横穴にそのまま挿入してもよい。絶縁体1には取付孔8が設けられている。
【0012】
アース電極4は、一枚の導電金属板、例えば一枚のステンレス板片をコ字状に折曲し、その中央部の一辺縁に、鋸歯状の複数の尖端部9を所定の間隔で一体に突出したもので、これら尖端部9を口部2の段部3の稜線に沿って位置させて口部2の内面に接着又はビス止めされている。従って、複数の尖端部9は、絶縁体1の一部分を介して高電圧電極5と所定の間隔を保持して平行に対向している。図示していないが、アース電極4にはアース用のリード線が接続される。
【0013】
この第1実施例の場合、高圧ケーブル6を通じてその心線の一部である高電圧電極5に直流又は交流の高電圧を印加すると、この高電圧電極5とアース電極4の複数の尖端部9との間で絶縁体1を介してコロナ放電が生じ、口部2内にイオンが生成される。この場合、複数の尖端部9は段部3の稜線に沿っているので、尖端部9の周りには十分なイオン生成空間が形成される。
【0014】
第1実施例の電極ユニットは、例えばコーヒー豆を粉砕するコーヒーミルの排出口に取り付け、コーヒー粉を口部2を通じて落下させながら除電する目的で使用される。このような使用形態のとき、アース電極4はアースされているため、帯電したコーヒー粉がアース電極4に触れれば、そのことで直接除電され、またアース電極4は従来の針状電極のように空間に突出しておらず、口部2の内面に沿って拡がっているだけで、しかも高電圧電極5との間の放電は尖端部9で集中して行われるため、コーヒー粉がアース電極4に触れてもイオン生成効率はほとんど低下しない。また、アース電極4にコーヒー粉が付着した状態がたとえ続いて清掃の必要が生じたとしても、アース電極4の表面を拭き取るようにするだけで、容易に清掃できる。
【0015】
次に、図3に示す第2実施例は、絶縁体1を長い板状とし、その肉厚に大小の差を持たせることにより表面の長手方向に長い段部3を形成している。そして、この板状の絶縁体1の肉厚の大きい部分の表面に、長い導電金属板であるアース電極4を付着し、このアース電極4の鋸歯状の多数の尖端部9を段部3の稜線に沿って位置させ、また第1実施例と同様に高圧ケーブル6の心線の一部分である高電圧電極5を、段部3の近傍でしかもこれと平行にして絶縁体1に埋設したもので、金属ワイヤである高電圧電極5と導電金属板であるアース電極4の尖端部9との対向関係については第1実施例と同様である。この第2実施例は、フィルムや紙などの長い対象物体を除電又は帯電するのに好適である。
【0016】
図4に示す第3実施例は、絶縁体1を棒状としたもので、その他については第2実施例と同様である。
【0017】
図5に示す第4実施例は、絶縁体1を円筒形とし、その内周面に、円周方向に延びる段部3を環状に形成している。そして、この絶縁体1の内周面に、導電金属板を環状にしたアース電極4を付着し、その複数の尖端部9を段部3の稜線に沿って位置させ、また高圧ケーブル6の心線の一部分である高電圧電極5を、段部3の近傍で環状にして絶縁体1に埋設したものである。この第4実施例は、円筒形の絶縁体1中に、粉体や塵埃や空気等を通過させて除電又は帯電するのに好適である。
【0018】
図6に示す第5実施例は、絶縁体1を長い円筒形とし、その内周面の二箇所に軸線方向に延びる長い段部3を形成している。そして、鋸歯状の多数の尖端部9を有する2枚の長いアース電極4を、二箇所の段部3のそれぞれ沿って絶縁体1の内周面に付着するとともに、2本の高電圧電極5を、二箇所の段部3のそれぞれの近傍において絶縁体1に埋設したものである。この第5実施例は、円筒形の絶縁体1を輸送管の一部として粉体等を輸送しながら除電又は帯電するのに好適である。
【0019】
図7に示す第6実施例は、絶縁体1を長い角筒形とし、その内周面の一箇所に軸線方向に延びる長い段部3を形成し、その一箇所の段部3について第5実施例と同様の構造にしたものである。
【0020】
最後に、図8及び図9に示す第7実施例は、アース電極4とその矢形の多数の尖端部9とを、導電パターンによってプリント基板10上に一体に形成し、このプリント基板10を板状の絶縁体1の表面に付着して絶縁体1の表面とプリント基板10との間に段部3を形成し、この段部3に沿ってワイヤ状の高電圧電極5を絶縁体1に埋設したもので、ワイヤ状の高電圧電極5と導電パターンによる箔状のアース電極4の尖端部9との対向関係については第1実施例と同様である。この場合、プリント基板10は、その裏面に設けた接着層11により絶縁体1の表面に接着し、また絶縁体1は、その裏面に設けた接着層12により適宜な箇所に接着して使用できるようにするとよい。
【0021】
なお、上記の実施例では高電圧電極5をいずれもワイヤ状としたが、板状にしてもよい。また、絶縁体1を可撓性を有する材質として全体に可撓性をもたることもできる。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、針状電極を用いた従来の電極構造の問題点を一掃し、次のような効果を奏することができる。
▲1▼ 製造が容易でコストを低減できる。
▲2▼ アース電極は絶縁体から露呈するものの、その面に沿った板状又は箔状であるため、針状電極のように絶縁体の面から突出するようなことはなく、また高電圧を印加される高電圧電極は絶縁体に埋設されているので、小型化できるとともに、各種の機器や器具等に組み込んだときも簡素で専有スペースの少ない構造にできる。
▲3▼ アース電極が絶縁体から露呈し、高電圧を印加される高電圧電極は絶縁体に埋設されて保護されており、しかもアース電極は、その尖端部において高電圧電極との間で放電が生じるだけで、その他の大部分は、絶縁体の面に沿って拡がるアース面を形成するので、安全性が高いとともに、人体に対する危険性も少ない。
▲4▼ 対象物体が粉体等の流動物であっても、針状電極のようにイオン生成能力を阻害されずに除電又は帯電作用を発揮できる。
▲5▼ 高電圧を印加される高電圧電極は絶縁体に埋設され、絶縁体から露呈しているのはアースされるアース電極で、しかもこのアース電極は空間に突出することなく絶縁体の面に沿って拡がっているので、針状電極による場合に比べ清掃が格段に容易である。
▲6▼ 絶縁体の面に段部を形成し、この段部に、アース電極の複数の尖端部を位置させた場合には、アース電極と高電圧電極との間に必要な絶縁性を確保しながら、アース電極の複数の尖端部の周りに十分なイオン生成空間を確保できるので、安全性の確保とともにイオン生成効率の向上が図れる。
▲7▼ 高電圧電極を、高圧ケーブルの心線の一部をもって構成すれば、製造が一層容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1実施例を示す一部切欠斜視図である。
【図2】
同上の断面図である。
【図3】
本発明の第2実施例を示す斜視図である。
【図4】
第3実施例を示す斜視図である。
【図5】
第4実施例を示す一部切欠斜視図である。
【図6】
第5実施例を示す斜視図である。
【図7】
第6実施例を示す一部切欠斜視図である。
【図8】
第7実施例を示す斜視図である。
【図9】
同上の分解側面図である。
【図10】
従来例の斜視図である。
【符号の説明】
1 絶縁体
2 口部
3 段部
4 アース電極
5 高電圧電極
6 高圧ケーブル
9 尖端部
10 プリント基板
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2005-05-23 
出願番号 特願平6-210689
審決分類 P 1 41・ 851- Y (H05F)
P 1 41・ 853- Y (H05F)
最終処分 成立  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 平上 悦司
北川 清伸
登録日 1997-04-11 
登録番号 特許第2622821号(P2622821)
発明の名称 除帯電電極構造  
代理人 原田 信市  
代理人 原田 信市  
代理人 原田 敬志  
代理人 原田 敬志  
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