• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06F
管理番号 1121064
異議申立番号 異議2003-71339  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-05-20 
確定日 2005-05-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3348338号「ワイヤレス式入力装置」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3348338号の請求項1ないし2に係る特許を取り消す。 
理由 【1】手続きの経緯
本件特許第3348338号「ワイヤレス式入力装置 」の発明は、平成8年2月16日に特許出願したものであって、平成14年9月13日にその特許(請求項の数4)の設定登録がなされ、平成14年11月20日に特許公報が発行され、その全請求項(請求項1乃至4)について平成15年5月20日に末岡定より特許異議の申立てがなされ、その全請求項について平成15年8月13日付で取消理由の通知がなされ、その指定期間内である平成15年10月20日に訂正請求がなされ、さらに平成15年12月2日付で訂正拒絶理由の通知がなされ、これに対して平成16年2月5日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。

【2】訂正の適否について
(1)訂正請求書に対する手続補正について
(1-1)手続補正の内容
特許権者は、訂正拒絶理由に対して平成16年2月5日付手続補正書により、要旨、以下のとおり訂正請求書を補正するものである。
(i)訂正請求書中の訂正事項aを削除し、訂正事項bを訂正事項aとし、次のよう補正する。
(ii)○1請求項2を削除する。
○2訂正請求書中の訂正事項c、dを削除する。
(iii)訂正請求書中の訂正事項eを訂正事項bとし、次のように補正する。
(iv)訂正請求書中の訂正事項fを訂正事項cとし、次のように補正する。
(v)訂正請求書中の訂正事項gを訂正事項dとし、次のように補正する。
(1-2)手続補正の可否について
上記補正は、訂正事項の削除とこの削除に係わる明りょうでない記載の釈明と、これらに伴う訂正請求書の「請求の原因」に係る記載を整合させるための瑕疵の補正であるから、訂正請求書の要旨を変更するものではなく、特許法第120条の4第3項において準用する同法第131条第2項の規定に適合するので、これを認める。
(1-3)補正された訂正(以下「本件訂正」という。)の要旨
補正された訂正請求書による訂正内容は、以下のとおりである。
(i)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の「前記発光素子から光を受ける受光素子と、前記特定キーの操作状態を表示するための表示素子と、電源コードと、データを伝達するためのリードとを備える表示アダプター」を、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、「前記発光素子から光を受ける受光素子と、前記特定キーの操作状態を表示するための表示素子と、電源コードと、前記キーボードのデータを伝達するための第1のリードと、前記キーボード以外の入力部のデータを伝達するための第2のリードとを備える表示アダプター」と訂正する。
(ii)訂正事項b
特許請求の範囲の請求項3の「前記発信手段から前記信号を受ける受信手段と、前記特定キーの操作状態を表示するための表示素子と、電源コードと、データを伝達するためのリードとを備える表示アダプター」を、特許請求の範囲の減縮及び請求項2の削除等に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、請求項2として、「前記発信手段から前記信号を受ける受信手段と、前記特定キーの操作状態を表示するための表示素子と、電源コードと、前記キーボードのデータを伝達するための第1のリードと、前記キーボード以外の入力部のデータを伝達するための第2のリードとを備える表示アダプター」と訂正する。
(iii)訂正事項c
訂正事項aに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正前の【0004】の訂正前の請求項1の内容を訂正して、訂正後の【0004】を訂正後の請求項1の内容に訂正する。
(iv)訂正事項d
訂正事項b、請求項2、4の削除に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正前の【0005】の訂正前の請求項2、3、4の内容を訂正して、訂正後の【0005】を訂正後の請求項2の内容に訂正する。
(2)本件訂正の適否についての判断
<訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否についての判断>
(2-1)訂正の目的等
本件訂正の要旨は、上記訂正事項a乃至dのとおりであって、その訂正事項a及び訂正事項bに係る訂正内容は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、また訂正事項c及び訂正事項dに係る訂正内容は、訂正事項a、bの訂正及び請求項2、4の削除に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
(2-2)検討
以下、各訂正事項について検討する。
前記訂正事項a、bについては、特許請求の範囲の請求項1、3について、その構成を限定して特許請求の範囲の減縮を行うとともに請求項2及び4を削除するものであり、当該限定される構成は本件明細書全般及び図面に記載された事項である。また、訂正事項c、dについては、前記訂正事項a、bによる特許請求の範囲の減縮に伴い、この記載と整合性を保つために訂正するものであって、明りょうでない記載の釈明にあたるものである。
以上のとおりであって、前記訂正事項a乃至dに係る訂正は、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、また請求項を追加するなど実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものとも認められない。
(2-3)まとめ
以上のとおり、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

【3】本件特許発明
訂正された特許請求の範囲の請求項1乃至2に係る発明は、以下のとおりである。
「【請求項1】 特定キーを含むキー列と、発光素子と、内蔵電池とを備えるキーボードと、前記発光素子から光を受ける受光素子と、前記特定キーの操作状態を表示するための表示素子と、電源コードと、前記キーボードのデータを伝達するための第1のリードと、前記キーボード以外の入力部のデータを伝達するための第2のリードとを備える表示アダプターと、を具備したワイヤレス式入力装置。
【請求項2】 特定キーを含むキー列と、前記特定キーの操作によって生じる入力信号を発信する発信手段と、内蔵電池とを備えるキーボードと、前記発信手段から前記信号を受ける受信手段と、前記特定キーの操作状態を表示するための表示素子と、電源コードと、前記キーボードのデータを伝達するための第1のリードと、前記キーボード以外の入力部のデータを伝達するための第2のリードとを備える表示アダプターと、を具備したワイヤレス式入力装置。」

【4】取消理由通知
本件特許発明における全請求項[請求項1乃至4]に係る発明について、特許法第29条第2項違反として、特許異議申立人末岡定が提出した甲第1号証乃至甲第2号証に係る刊行物を引用し、概要、以下のような取消理由を通知した。
『<引用刊行物>
刊行物1 「FM77AV ハードウェア解説書」1986年1月、富士通株式会社発行(第I部メイン,サブ編第1章/第2章/第5章、第II部キーエンコーダ編)、P4、P10、P42、P153、P191(異議申立人末岡定の甲第1号証参照)
刊行物2 特開平8-36446号公報(同じく、甲第2号証参照)

特許請求の範囲の請求項1乃至4に係る発明は、いずれも上記刊行物1〜2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項1乃至4に係る発明の特許は、何れも特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。』

【5】当審の判断
(1)刊行物記載の発明
(1-1)取消理由で引用した刊行物1(「FM77AV ハードウェア解説書」1986年1月、富士通株式会社発行)には、その図面「第2章.ブロック図」(第9〜10頁)、「2.3キーボードのブロック図」(第22頁)、「5.1キーボードインタフェース 5.1.1ブロック図」(第42〜43頁)及び「1.1キーボード系ブロック図」(第153頁)とこれに係わる記載等を参酌すると、以下のような技術的事項が開示されている。
(i)「制御 ワイヤレス方式(コードにて接続可能)
キー配列 …(略)…
キー総数 …(略)…
特殊機能 ……スーパーインポーズの制御が可能」(第4頁「1.1機能仕様」キーボード)
(ii)「キーボードインタフェースは,ワイヤレス/ワイヤード両用のインタフェースとなっており,ワイヤレスリモコンのようにキーボードを使用したり,従来のようにキーボードケーブルを接続して使用することができます.
ワイヤレスでは,キーボードからの赤外光を本体前面にある赤外線受光部のPINダイオードで受光して,プリアンプで電気信号に変換します.
キーボードからの信号は,4ビットマイコンMB88201でシリアル/パラレル変換を行った後,4ビットマイコンMB88551によってキーコードに変換されます。変換されたキーコードは,メインCPUおよびサブCPUいずれからでも自由に読み取ることができます。」(第42頁第2〜8行)

上記した図面等(第10頁、第153頁等)の記載によれば、この刊行物1には、以下のような発明が記載されているものと認められる。
「キーマトリックス等からなる特定キーを含むキー列と、LED赤外線発光素子による赤外線発信部と、内蔵電池とを備えるキーボードと、前記LED赤外線発光素子からの赤外線を受けるPINダイオードによる赤外線受光部と、前記特定キーの操作状態を表示するためのCAP.LED表示素子及びかなLED表示素子と、電源コードと、前記キーボードのデータを伝達する手段とを備える本体のサブシステムと、を具備したワイヤレス式入力装置。」

(1-2)取消理由で引用した刊行物2(特開平8-36446号公報)には、この実施例と図面等の記載を参酌すると、以下のような技術的事項が開示されている。
(i)「【0001】【産業上の利用分野】本発明はワイヤレスキーボードに関し、特にパーソナルコンピュータやワークステーション等のOA機器におけるデータ入力用のワイヤレスキーボードに関する。」(段落【0001】、第3頁右欄第48行〜第4頁左欄第2行)
(ii)「【0016】【実施例】次に、本発明の第1の実施例をブロックで示す図1を参照すると、この図に示す本実施例のワイヤレスキーボードは、データ入力用のキースイッチをマトリクス状に配置したキーマトリクス11を含みキーボード本体を構成する入力装置1と、入力装置1との双方向通信制御を行いパーソナルコンピュータ本体(以下パソコン本体)3とケーブル4を経由して入出力インタフェースする制御装置2とを備える。」(段落【0016】、第5頁右欄第23〜31行)

(2)対比・判断
(2-1)請求項1に係る発明について
(対比)
請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)と前記刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明においてもシステム本体の「サブシステム」はサブCPU等で構成され、情報処理を行うメインCPUによるシステム本体とキーボードとの間に介在されてデータの授受を行うものであるから、本件発明における「表示アダプター」に対応させることができ、両者は情報処理装置本体の「補助装置」として共通するものと認められる。
したがって、両者は、以下のとおりの一致点及び相違点を有するものと認め
られる。
(一致点)
「特定キーを含むキー列と、発光素子と、内蔵電池とを備えるキーボードと、前記発光素子から光を受ける受光素子と、前記特定キーの操作状態を表示するための表示素子と、電源コードと、前記キーボードのデータを伝達する手段とを備える補助装置と、を具備したワイヤレス式入力装置。」
(相違点)
(i)本件発明にあっては、前記補助装置が、表示アダプターであり、この表示アダプターが「前記発光素子から光を受ける受光素子と、前記特定キーの操作状態を表示するための表示素子と、電源コードと、前記キーボードのデータを伝達するための第1のリードと、前記キーボード以外の入力部のデータを伝達するための第2のリードとを備える表示アダプター」であるのに対して、刊行物1に記載された発明は、前記補助装置が、本体のサブシステムであり、前記特定キーの操作状態を表示するためのCAP.LED表示素子及びかなLED表示素子と、電源コードとを備えるものの、「前記キーボードのデータを伝達するための第1のリードと、前記キーボード以外の入力部のデータを伝達するための第2のリードとを備える」ものではない点、
(検討)
前記相違点(i)について検討すると、本件発明について、情報処理装置本体(パソコンなど)とは個別の「表示アダプター」として具備することの技術的意義は、本件特許明細書の記載から明確ではないものの、「キーの操作状態を表示する表示部を」ワイヤレス式キーボード側に設けることがないようにして、「特定キーの表示を設けても電池の消費電力が少ないワイヤレス式の入力装置を提供」(段落【0003】)し、「特定キーの操作を表示アダプター側で表示し、表示のための電源を商用電源から得る。」(段落【0004】)点にあるものと推認でき、このことは本件特許明細書の段落【0018】の記載からも裏付けられる。
しかしながら、前記刊行物1に記載された発明においても、ワイヤレス式キーボード側に表示部を設けることなく本体側にCAP.LED表示素子及びかなLED表示素子を設けるもので、本件発明と同様の技術的意義を有するものであり、また上記刊行物2には、入力装置(1)から入力されるデータなどに関し、制御装置(2、表示アダプターに対応)とパソコン本体(3)との間に「データを伝達するためのリード」を介在させることが開示されているので、パソコン本体のキーボードインターフェイスをパソコン本体とは個別の「表示アダプター」とし、データを伝達するためのリードを介在させて構成すること、すなわち刊行物1に記載された発明のサブシステムを本体のメインシステムとは個別の表示アダプターとして構成することは当業者が適宜になし得ることと認められる。
そして、前記キーボードのデータを伝達するための第1のリードと、前記キーボード以外の入力部のデータを伝達するための第2のリードとを備えることも、データを伝達するためのリードを構成する際に、パソコン本体が有するインターフェイスに基づいて当業者が適宜に定めうる設計上の事項にすぎず、また、本件特許明細書の記載によってもデータの種別(キーボードのデータとこれ以外のデータ)に応じた別個のリードとして構成することによる格別の技術的意義があるものとも認められない。
したがって、本件発明のように構成することは刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得るものと認められる。
また、本件発明による作用効果も、当業者が予測し得るものであって格別のものとは認められない。
(2-2)請求項2に係る発明について
請求項2に係る発明は、前記したとおりのもので、当該請求項2に係る発明と前記刊行物1に記載された発明とを対比すると、実質的に前記請求項1に係る発明と同一の相違点(i)を有するものであって、その余は一致するものと認められる。
したがって、請求項2に係る発明についても、前記請求項1に係る発明と同様の理由により当業者が容易になし得ることと認められる。

(3)まとめ
以上のとおり、本件請求項1乃至2に係る発明は、取消理由で引用した前記刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

【6】まとめ
以上のとおりであって、本件特許請求の範囲の請求項1乃至2に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ワイヤレス式入力装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 特定キーを含むキー列と、発光素子と、内蔵電池とを備えるキーボードと、前記発光素子から光を受ける受光素子と、前記特定キーの操作状態を表示するための表示素子と、電源コードと、前記キーボードのデータを伝達するための第1のリードと、前記キーボード以外の入力部のデータを伝達するための第2のリードとを備える表示アダプターと、を具備したワイヤレス式入力装置。
【請求項2】 特定キーを含むキー列と、前記特定キーの操作によって生じる入力信号を発信する発信手段と、内蔵電池とを備えるキーボードと、前記発信手段から前記信号を受ける受信手段と、前記特定キーの操作状態を表示するための表示素子と、電源コードと、前記キーボードのデータを伝達するための第1のリードと、前記キーボード以外の入力部のデータを伝達するための第2のリードとを備える表示アダプターと、を具備したワイヤレス式入力装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータ、ワープロ等の情報処理装置に用いられるワイヤレス式の入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ、ワープロ等の情報処理装置に用いられてデータ入力装置であるキーボードにはNum Lock(Numerical Lock)、Caps Lock(Capture Lock)、Scroll Lock等のキーが存在し、それらのキーにはキー操作状態を表示する表示部が付属されている。
情報処理装置とキーボードがコードで接続されている場合は、何の問題もない。ところが、キーボードと本体間を赤外線を利用してワイヤレス式に接続したものがあり、この場合には、本体と分離されているため商用電源の供給ができず電池が内蔵されている。
このワイヤレス式キーボードの場合にも、これらのキーに操作状態の表示部が付属されており、表示部で消費される電力は通常大きいので、瞬く間に電池電力が消費されてしまうと言う問題が生じている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ワイヤレス式の入力装置において、特定キーの表示を設けても電池の消費電力が少ないワイヤレス式の入力装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載のワイヤレス式入力装置は、特定キー(ナメラルロックキー、キャプスロックキー、スクロールロックキー等を指す)を含むキー列と(赤外線等の)、前記特定キーの操作によって生じる入力信号を発信する発信手段と、内蔵電池とを備えるキーボードと、前記発信手段から前記信号を受ける受信手段と、前記特定キーの操作状態を表示するための表示素子と、電源コードと、前記キーボードのデータを伝達するための第1のリードと、前記キーボード以外の入力部のデータを伝達するための第2のリードとを備える表示アダプターを具備した構成とした。
【0005】
請求項2に記載のワイヤレス式入力装置は、特定キーを含むキー列と、前記特定キーの操作によって生じる入力信号を発信する発信手段と、内蔵電池とを備えるキーボードと、前記発信手段から前記信号を受ける受信手段と、前記特定キーの操作状態を表示するための表示素子と、電源コードと、前記キーボードのデータを伝達するための第1のリードと、前記キーボード以外の入力部のデータを伝達するための第2のリードとを備える表示アダプターとを具備した構成とした。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図1〜図4を参照しつつ説明をする。
第1実施例図1は、本発明の第1の実施例であるワイヤレス式入力装置の斜視図であり、図2はその装置の一部である表示アダプターの正面図であり、図3は当該装置のブロック回路図である。まず、キーボード1には通常のものと同様に、文字キー列2、数字キー列3、制御キー列4が備えられ、その一部にはキャップスロックキー2a、ナメラルロックキー3a、スクロールロックキー4aが配置されている。
【0007】
キーボード1の側縁にはキー以外の入力手段である例えばタッチパッド(マウス)5が接続されている。そして、キーボード1の正面の側縁には、各種キーとマウス5の操作によって生じる入力信号を赤外線パルスの形で発信するための半導体から成る赤外線発光素子6が取り付けられている。
【0008】
このキーボード1には従来と異なり、キャップスロックキー2a、ナメラルロックキー3a、スクロールキー4aの操作状態を表示する表示部は設けず、また図示しないが電源として電池が収納されている。
【0009】
そして、キーボード1とは分離して、表示アダプター7が設けられている。この表示アダプター7には、キーボード1の発光素子6からの赤外線を受ける受光素子8が正面パネル7aに設けられ、さらに受光素子8の下部にナメラルロック表示のための表示素子9a、キャップスロック表示のための表示素子9b、スクロールロックの表示のための表示素子9cが横方向一列に配置されている。
【0010】
そして、表示アダプター7の裏面には、キーボード1のデータラインとしての第1のリード10a、タッチパッド(マウス)5のデータラインとしての第2のリード10bが設けられており、これら第1、第2のリード10a、10bは図示しない情報処理装置に接続されて、受光素子8が受けた入力データを伝達する。
【0011】
さらに、表示アダプター7の裏面には表示素子9a〜9b等に電力を供給するための電源コード10cが設けられ、プラグ10dを通じて、図示しない情報処理装置か別に用意した電源アダプターから商用電源から電力を受けるようになされている。尚、10a、10bのデータラインのリードが電力を供給するシステムになっている場合は、電源コード10c、プラグ10dは不要である。
【0012】
図3に表示アダプター7のブロック回路図を示すが、表示アダプター7には受光素子8が受けた信号を処理するためのマイコン11が備えられている。
【0013】
以上のように構成された、ワイヤレス式入力装置の動作について説明する。キーボード1の各種キー又はタッチパッド(マウス)5が押されて入力が行われると、キーボード1内のマイコンにより押されたキーに応じたコード信号を発生し、このコードを発光素子6に送り、赤外線の信号を発信する。そして、表示アダプター7に設けられた受光素子8がこの赤外線の信号を受信して、キーコードを発生させて、これらのキーコードを第1、第2のリード10a、10bを介して情報処理装置に伝える。
【0014】
そして、キーボード1の各種キーの内で、キャップスキー2a、ナメラルロックキー3a、スクロールロックキー4aが押された場合は、表示アダプター7側では、マイコン11がこれらを識別して、これらのキーに応じた表示を表示素子9a、9b、9cで行う。そして、これらのキーの動作解除信号を受けたときには、各表示が消されるようになされている。
【0015】
この第1実施例のワイヤレス式入力装置によれば、、ナメラルロック表示のための表示素子9a、キャップスロック表示のための表示素子9b、スクロールロックの表示のための表示素子9cを表示アダプター7に設けて表示アダプター7には商用電源から電力供給するようにし、キーボード1には表示素子が設けられていないので、内蔵電池の電力消費を少なくできる。また、表示アダプター7は比較的製造コストを少なく製造でき、情報処理装置も既存のものが使えるという利点がある。
【0016】
第2実施例図4は本発明に係る第2実施例のワイヤレス式入力装置を示す斜視図である。情報処理装置本体12には通常備えられているディスプレイ12a、記憶媒体挿入口12b、12c等を備える。そして、特にこの第2実施例では、表示素子9a、9b、9cを情報処理装置本体12の正面パネル12dに水平一列に設け、またそのコーナー部に赤外線の受光素子8を設けている。
【0017】
キーボード1には第1実施例と同様に、キー列と発光素子6、タッチパッド(マウス)5等を備えてなる。この第2実施例の場合はナメラルロック表示のための表示素子9a、キャップスロック表示のための表示素子9b、スクロールロックの表示のための表示素子9cを情報処理装置本体12に設けて、そこで商用電源から電力供給するようにし、キーボード1には表示素子が設けられていないので、キーボード1の内蔵電池の電力消費を少なくできる。
【0018】
本発明の第1、第2の実施例では表示素子を表示アダプターや情報処理装置に設けたが、情報処理装置に付属するディスプレイを利用して表示を行わせることも可能である。
【0019】
【発明の効果】
本発明によればキーボードの内蔵電池の消費電力が少なく、使用可能時間の長いワイヤレス式の入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係るワイヤレス式入力装置の斜視図。
【図2】 本発明の第1実施例に係るワイヤレス式入力装置の一部の表示アダプターの正面図。
【図3】 本発明の第1実施例に係るワイヤレス式入力装置の回路ブロック図。
【図4】 本発明の第2実施例に係るワイヤレス式入力装置の斜視図。
【符号の説明】
1 キーボード
2 文字キー列
2a キャップスロックキー
3 数字列キー
3a ナメラルロックキー
4 制御キー列
4a スクロールキー
5 タッチパッド(マウス)
6 発光素子
7 表示アダプター
7a 正面パネル
8 発光素子
9a ナメラルロックの表示素子
9b キャップスロックの表示素子
9c スクロールロックの表示素子
10a 第1のリード
10b 第2のリード
10c 電源コード(電源ライン)
10d プラグ
11 マイコン
12 情報処理装置本体
12a ディスプレイ
12b、12c 記憶媒体挿入口
12d 正面パネル
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-03-22 
出願番号 特願平8-29596
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (G06F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 田中 友章  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 植松 伸二
内田 正和
登録日 2002-09-13 
登録番号 特許第3348338号(P3348338)
権利者 ソニー株式会社
発明の名称 ワイヤレス式入力装置  
代理人 脇 篤夫  
代理人 鈴木 伸夫  
代理人 鈴木 伸夫  
代理人 脇 篤夫  
代理人 草野 浩一  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ