• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  A63F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1121066
異議申立番号 異議2003-70791  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-10-10 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-03-31 
確定日 2005-05-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3328633号「カード式遊技装置」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3328633号の請求項1ないし2に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3328633号の請求項1及び2に係る発明は、平成3年7月20日に特許出願した特願平3-203168号の一部を平成12年3月27日に新たな特許出願とし、平成14年7月12日にその特許権の設定登録がなされ、その後小林澄より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年10月22日に訂正請求がなされ、同年11月22日に特許異議申立人より上申書が提出されたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のaないしcのとおりである
(下線部が訂正個所である)。
訂正事項a
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の「上記球貸要求信号に基づく遊技球の排出制御が可能であることを上記カードユニットのカード制御部へ連絡するための球貸排出可能信号を送信する球貸排出可能信号送信手段と」を、
「上記球貸要求信号に基づく遊技球の排出制御が可能となる排出開始条件を満たす状態であることを上記カードユニットのカード制御部へ連絡するための球貸排出可能信号を送信する球貸排出可能信号送信手段と」と訂正する。
訂正事項b
特許明細書の段落【0004】の、「上記球貸要求信号に基づく遊技球の排出制御が可能であることを上記カードユニットのカード制御部へ連絡するための球貸排出可能信号を送信する球貸排出可能信号送信手段と」を、
「上記球貸要求信号に基づく遊技球の排出制御が可能となる排出開始条件を満たす状態であることを上記カードユニットのカード制御部へ連絡するための球貸排出可能信号を送信する球貸排出可能信号送信手段と」と訂正する。
訂正事項c
特許明細書の段落【0114】の、「排出制御手段158による遊技媒体排出動作が可能となるのでる。」を、
「排出制御手段158による遊技媒体排出動作が可能となるのである。」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されている、「球貸排出可能信号送信手段」に関し、同特許明細書の段落【0114】及び【0118】の記載に基いてより下位概念に限定する、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正であり、上記訂正事項bは、特許請求の範囲の訂正に伴って、訂正された特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための、明瞭でない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、上記訂正事項cは、特許明細書の段落【0114】の、「排出制御手段158による遊技媒体排出動作が可能となるのでる。」の記載を、「排出制御手段158による遊技媒体排出動作が可能となるのである。」と訂正する、誤記の訂正を目的とした訂正であって、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議申立てについての判断
(1)本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるので、本件の請求項1及び2に係る発明(以下順に「本件発明1」、「本件発明2」という)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載されたとおりのものと認められ、以下のように分説して記載することができる。
【請求項1】
A.挿入された球貸用のプリペイドカードによる球貸制御を行うカード制御部を補助枠内に収納してなるカードユニットと、
B.遊技盤に設けた各種遊技装置の制御を行う遊技制御部と、該遊技制御部から出力される賞球データ信号もしくはカードユニットのカード制御部から出力される球貸要求信号に基づき、所要数の遊技球を排出させる制御を行う排出制御部と、を含む遊技機本体と、からなるカード式遊技装置であって、
C.上記遊技機本体の排出制御部には、上記球貸要求信号に基づく遊技球の排出制御が可能となる排出開始条件を満たす状態であることを上記カードユニットのカード制御部へ連絡するための球貸排出可能信号を送信する球貸排出可能信号送信手段と、
D.上記球貸排出可能信号の出力中に上記カード制御部から送信された上記球貸要求信号が入力されると、該球貸要求信号に対応して実行する球貸のための遊技球の排出を、球貸の最小単位数毎に排出制御する球貸排出制御手段と、
E.賞球データ信号に基づく賞としての遊技球数を計数して、所定遊技球数単位毎に賞球数信号を外部へ出力する賞球情報出力手段と、
F.球貸要求信号に基づく球貸としての遊技球数を計数して、最小単位数毎に球貸数信号を外部へ出力する球貸情報出力手段と、
G.上記遊技制御部からの賞球データ信号の受信に基づき賞球排出実行情報を一時的に記憶可能な記憶手段と、
H.当該カード式遊技装置への電源供給が遮断された際に上記排出制御部の記憶手段に記憶された賞球排出実行情報を保持するバックアップ手段と、を設けた
I.ことを特徴とするカード式遊技装置。

【請求項2】
J.上記遊技機本体の排出制御部は、電源供給の復帰時において、賞球排出が正常に実行することが可能か否かを判定して、賞球排出が正常に実行可能であると判定されたことを条件に上記バックアップ手段により保持された賞球排出実行情報に基づく賞球排出を再開するようにした
K.ことを特徴とする請求項1に記載のカード式遊技装置。
(2)当審における取り消しの理由
当審が平成16年8月24日付けで通知した取消しの理由の概要は、以下の[I]及び[II]のとおりである。
[I]本件発明1及び2は、本件出願前に頒布された下記の刊行物に記載された発明及び下記に例示する周知例1ないし6に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1及び2の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

1.特開昭63-102783号公報
2.特開平3-39183号公報
3.特開平2-174883号公報

[II]本件発明1及び本件発明2は、下記に例示する周知例1ないし6を勘案すると、本件出願の日前の出願であって本件出願後に出願公開された下記の特許出願(以下、「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書または図面(以下、「先願明細書」という。)に記載された発明(以下、「先願発明」という。)と同一であると認められ、しかも本件発明1及び2の発明者は上記先願発明の発明者と同一でも、本件出願の時において、その出願人が上記先願の出願人と同一でもないので、本件発明1及び2の特許は、特許法第29条の2第1項の規定に違反してなされたものである。
記 先願:特願平3-99344号(特開平4-329988号公報)
(特許異議申立人が提示した甲第1号証)
(3)特許法第29条第2項違反について
(3-1)刊行物に記載された発明
本件出願前に頒布された下記の刊行物1ないし3には、以下の発明が記載されていると認められる。
刊行物1:特開昭63-102783号公報
刊行物1には、以下の記載が認められる。
1-a.「カード挿排口とカード読取装置と金額表示器を少なくとも有する球貸機能部をパチンコ機或いはその近傍に配設し、該球貸機能部の少なくともカード読取装置と金額表示器を電気的制御装置に接続するとともに、該電気的制御装置を当該パチンコ機の球排出装置の制御装置に接続し、上記球貸機能部のカード挿排口にカードが挿入され、或いは遊技中における入賞にもとづいて上記球排出装置を作動して球を当該パチンコ機前面の受皿に排出するようにしたことを特徴とするパチンコ機のカード式球貸機構。」(特許請求の範囲)
1-b.「従来の球貸機は、・・・パチンコ機とパチンコ機との間に設置したり、或いはパチンコ機とは全く別個に設置され・・・2つの球排出装置が必要であった。」(第1頁右下欄第5-13行)
1-c.「各球貸機能部2の電気的制御装置(図示せず)を対応するパチンコ機の球排出装置4の制御装置(図示せず)に電気的に接続するとともに、伝送路5を介して管理室内に設置してある中央管理装置(図示せず)に電気的に接続する。」(第2頁右上欄第1-6行)
1-d.「球貸機能部2は、・・・内部にはカード読取装置11と上記電気的制御装置を設け・・・てある。」(第2頁右上欄第7-14行)
1-e.「遊技者が・・・所望する金額を選択すると、電気的制御装置が当該パチンコ機1の球排出装置4を作動して、遊技者が選択した金額に対応した数量の球を該パチンコ機1前面の受皿25に排出させる。」(第3頁右上欄第2-7行)
1-f.「金額選択操作部10を1つの押釦で構成し、1回操作する毎に例えば200円分の球が排出され、この押釦を繰り返し操作することにより所望の金額分だけ球を借りるようにしてもよい。」(第3頁右上欄第10-14行)
1-g.「遊技者の所望する金額分の球が受皿25に排出されると、これに伴って電気的制御装置の演算手段が作動し、排出した球に相当する金額を減算し、・・・この残高は、中央管理装置に送られ、当該カード21のカード識別情報とともに記憶装置内に記憶される。」(第3頁右上欄第18行-左下欄第4行)
1-h.「球排出装置4は、・・・貯留タンク26から延出した樋27の途中に設けられ、ソレノイド28の駆動により樋27内に出没して球の流下を規制する球ストッパ部29と、通過する球を一個宛検出する球通過検出部30等を備え、上記ソレノイド28及び球通過検出部30を電気的制御装置に接続してある。電気的制御装置からの信号によりソレノイド28が励磁すると、・・・樋27内の球が流下するとともに、球通過検出部30が通過する球を検出して電気的制御装置に信号を送る。電気的制御装置は、球通過検出部30からの信号を計数し、所定数の球が通過したことを計数するとソレノイド28を消磁して球の流下を停止する。したがって、遊技者が球貸機能部2の金額選択操作部10を操作すると、選択した金額に対応する所定数の球が流下し、これらの球は球排出樋31を介してパチンコ機1前面の受皿25に排出される。」(第3頁左下欄第5行-右下欄第3行)
1-i.「上記した球排出装置4は、遊技中に打球が入賞口に入る等して入賞態様が形成されると、電気的制御装置からの信号を受けて作動し、入賞態様に対応する数、例えば13個の球を流下し、受皿25に賞球として排出する。この様に・・・球貸出排出と賞球排出とを1つの排出装置4で行うようにした。」(第3頁右下欄第8-14行)
1-j.「第11図に示す第3の実施例は、パチンコ機1の前面枠37の表面左側に球貸機能部2を配設したものである。この様に、球貸機能部2をパチンコ機1自体に設けると、パチンコ機1とパチンコ機1との間隔を従来よりも縮小することができる・・・。」(第4頁右上欄第11-17行)
上記の摘示事項より、「パチンコ機1の前面枠37の表面左側に球貸機能部2を配設した」第3の実施例(摘示事項1-j.)において、刊行物1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「球貸機能部のカード挿排口にカードが挿入され、或いは遊技中における入賞にもとづいて上記球排出装置を作動して球を当該パチンコ機前面の受皿に排出するようにしたパチンコ機のカード式球貸機構であって、カード挿排口とカード読取装置と金額表示器を少なくとも有する球貸機能部2をパチンコ機1の前面枠37の表面左側に配設し、該球貸機能部2の少なくともカード読取装置と金額表示器を電気的制御装置に接続し、該電気的制御装置を当該パチンコ機1の球排出装置4の電気的制御装置に接続するとともに、伝送路5を介して管理室内に設置してある中央管理装置に電気的に接続し、上記球貸機能部2のカード挿排口にカードが挿入され、遊技者が所望する金額を選択して、1つの押釦で構成した金額選択操作部10を1回操作する毎に、電気的制御装置が当該パチンコ機1の球排出装置4を作動して、例えば200円分の球を該パチンコ機1前面の受皿25に排出させ、この押釦を繰り返し操作することにより遊技者が選択した金額に対応した数量の球を上記受皿25に排出させ、遊技者の所望する金額分の球が受皿25に排出されると、これに伴って電気的制御装置の演算手段が作動し、排出した球に相当する金額を減算し、この残高は中央管理装置に送られ、或いは遊技中に打球が入賞口に入る等して入賞態様が形成されると、電気的制御装置からの信号を受けて作動し、入賞態様に対応する数、例えば13個の球を流下し、受皿25に賞球として排出するようにし、この様に球貸出排出と賞球排出とを1つの球排出装置4で行うようにした、パチンコ機のカード式球貸機構。」
(なお、上記摘示事項には、参照符合4が付された構成に対して、「球排出装置4」(摘示事項1-a.1-e.1-h.1-i.)と「排出装置4」(摘示事項1-i.)の記載があるが、「球排出装置4」に統一し、同様に、「球排出装置4」を制御する構成に対して「球排出装置4の制御装置」(摘示事項1-a.1-c.)と「球排出装置4は、・・・(ソレノイド28及び球通過検出部30を)電気的制御装置に接続してある。電気的制御装置からの信号によりソレノイド28が励磁すると、・・・電気的制御装置は、球通過検出部30からの信号を計数し、・・・」(摘示事項1-h.)の記載があるが、「(球排出装置4の)電気的制御装置」に統一して記載した。)

刊行物2:特開平3-39183号公報
刊行物2には、以下の記載が認められる。
2-a.「パチンコ遊技機1の下方部分には、カードリーダ/ライタユニット64が組込まれており、そのカードリーダ/ライタユニット64に形成されているカード挿入・排出口94から記録媒体の一例のカードを挿入することにより、そのカードに記録されている遊技者の持ち点の範囲内でパチンコ遊技が可能となる。」(第3頁左下欄第7-13行)
2-b.「第12図は、カードリーダ/ライタ制御用マイクロコンピュータ220およびそれに接続されている各種機器の電気回路を示すブロック図である。」(第13頁右下欄第6-8行)
2-c.「カードリーダ/ライタ制御用マイクロコンピュータ220には、入力信号として、次のような信号が与えられる。・・・パチンコ機制御用マイクロコンピュータ190から、回収カード満杯信号、カード真偽判定信号、カード書込データ信号、0カード書込データ信号、カード排出信号ならびにパチンコ機稼動データ信号が入力される。」(第13頁右下欄第13行-第14頁右上欄第5行)
2-d.「カードリーダ/ライタ制御用マイクロコンピュータ220は以下の各種機器に制御信号を与える。・・・カード読取データ信号、パチンコ機稼動データ出力要求信号ならびにカード処理完了信号がパチンコ機制御用マイクロコンピュータ190に与えられる。」(第14頁右上欄第6-18行)
2-e.「カードデータ収集用のカードがカードリーダ/ライタユニット64に挿入されれば、・・・稼動データ出力要求信号がカードリーダ/ライタ制御用マイクロコンピュータから出力されるために、・・・パチンコ遊技機の稼動データをカードリーダ/ライタ制御用マイクロコンピュータに出力し・・・」(第20頁左上欄第20行-右上欄第7行)
上記の摘示事項より、刊行物2には、以下の発明が記載されていると認められる。
「パチンコ遊技機1の下方部分には、カードリーダ/ライタユニット64が組込まれており、そのカードリーダ/ライタユニット64に形成されているカード挿入・排出口94から記録媒体の一例のカードを挿入することにより、そのカードに記録されている遊技者の持ち点の範囲内でパチンコ遊技が可能となるパチンコ遊技機1であって、カードデータ収集用のカードがカードリーダ/ライタユニット64に挿入されれば、パチンコ機稼動データ出力要求信号がカードリーダ/ライタ制御用マイクロコンピュータ220からパチンコ機制御用マイクロコンピュータ190に出力され、パチンコ機制御用マイクロコンピュータ190からはパチンコ機稼動データ信号をカードリーダ/ライタ制御用マイクロコンピュータ220に出力するパチンコ遊技機。」

刊行物3:特開平2-174883号公報
刊行物3には、以下の記載が認められる。
3-a.「玉貸機4は、パチンコ機5とパチンコ機5との間に配置するもので、・・・カードリーダライタ77をメイン制御装置87に電気的に接続し、メイン制御装置87、・・・球排出装置85をローカル制御装置88に電気的に接続し、メイン制御装置87を店内伝送路7を介して管理装置6に接続してある。」(第10頁右上欄第15行-左下欄第10行)
3-b.「第17図に上記した玉貸機4のメイン制御装置87およびローカル制御装置88のブロック図が示してある。」(第11頁右下欄第7-9行)
3-c.「メイン制御装置87とローカル制御装置88との間で各種の信号が授受されるが、メイン制御装置87からローカル制御装置88へは、レディ信号、カード金額データが送信され、ローカル制御装置88からメイン制御装置87へは、購入金額データ・・・が送信される。・・・ローカル制御装置88からメイン制御装置87へは、排出完了信号が送信される。」(第12頁右上欄第11行-左下欄第1行)
3-d.「メイン制御装置87において、玉貸機4の電源がオンになると・・・管理装置6での準備がととのったことを示すレディ信号をローカル制御装置88へ送出し、ローカル制御装置88では、玉貸機4が使用可能となり」(第12頁左下欄第4-14行)
3-e.「ローカル制御装置88において、玉貸機4の電源がオンになると・・・メイン制御装置87からのレディ信号を受信し、・・・カード2の受付が可能なことを遊技者に表示し、・・・その後、・・・購入選択スイッチ81が操作され、指定された金額に足りる場合は、球排出動作に移る。・・・所定数の球・・・が球貸口82に排出される。球の排出動作を終えると、購入金額データをメイン制御装置87へ送信し」(第13頁右上欄第4行-左下欄第16行)
上記の摘示事項より、刊行物3には、以下の発明が記載されていると認められる。
「パチンコ機5とパチンコ機5との間に玉貸機4を配置し、カードリーダライタ77をメイン制御装置87に電気的に接続し、メイン制御装置87、球排出装置85をローカル制御装置88に電気的に接続し、メイン制御装置87を店内伝送路7を介して管理装置6に接続した玉貸機であって、メイン制御装置87からローカル制御装置88へは、レディ信号、カード金額データが送信され、ローカル制御装置88からメイン制御装置87へは、購入金額データ、排出完了信号が送信されるものであり、玉貸機4の電源がオンになると、管理装置6での準備がととのったことを示すレディ信号をメイン制御装置87からローカル制御装置88へ送出し、ローカル制御装置88では、メイン制御装置87からのレディ信号を受信し、玉貸機4が使用可能となり、カード2の受付が可能なことを遊技者に表示し、その後、購入選択スイッチ81が操作され、指定された金額に足りる場合は、球排出動作に移り、所定数の球が球貸口82に排出され、球の排出動作を終えると、購入金額データをメイン制御装置87へ送信する、玉貸機。」

(3-2)対比・判断
(3-2-1)本件発明1に対して
引用発明は「パチンコ機のカード式球貸機構」に関する発明であり、本件発明1と同様の「カード式遊技装置」であるといえる。そこで本件発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「カード挿排口にカードが挿入され」は本件発明1における「挿入された球貸用のプリペイドカード」に対応しており、同様に「球貸機能部」は「カードユニット」に、「(球貸機能部の)電気的制御装置」は「球貸制御を行うカード制御部」に、「(球排出装置の)電気的制御装置」は「排出制御部」に、「入賞態様に対応する数、例えば13個の球を流下」は「所要数の遊技球を排出」に、「パチンコ機」は「遊技機本体」に、それぞれ対応しており、さらに、引用発明に関して以下のことがいえる。
(i)引用発明は、「パチンコ機1の前面枠37の表面左側に球貸機能部2を配設したもの」(摘示事項1-j.)であり、また「球貸機能部2は内部に電気的制御装置を設けてある」(摘示事項1-d.)から、引用発明は「球貸機能部2の電気的制御装置」を「前面枠37の表面左側」に配設したものであるということができる。そして、刊行物1の図面第11図を参照すると、上記「球貸機能部2の電気的制御装置」が「配設」される「前面枠37の表面左側」は、本件発明1における「補助枠」と実質的に変わるところがない。そうすると、引用発明は本件発明1の構成である、「球貸制御を行うカード制御部を補助枠内に収納してなるカードユニット」に対応する構成を備えているといえる。
(ii)引用発明が、各種遊技装置の制御を行う遊技制御部を遊技盤に備えていることは刊行物1に明記はされていないが、一般にパチンコ機が各種遊技装置の制御を行う遊技制御部を遊技盤に備えていることは明らかであり、引用発明においても同様のことがいえる。そして引用発明は、「球貸機能部のカード挿排口にカードが挿入され、或いは遊技中における入賞にもとづいて上記球排出装置を作動して球を当該パチンコ機前面の受皿に排出するようにした」(摘示事項1-a.)ものであり、上記「遊技中における入賞」においては、遊技盤に設けた各種遊技装置の制御を行う遊技制御部から入賞に関するデータが信号として「(球排出装置4の)電気的制御装置」に送信されることが明らかであり、該信号は、実質的に本件発明1の「賞球データ信号」に相当する信号であるといえる。一方、引用発明は「遊技者が所望する金額を選択すると、電気的制御装置が当該パチンコ機1の球排出装置4を作動」(摘示事項1-e.)するものであり、その際に、「(球貸機能部2の)電気的制御装置」から球貸に関するデータが信号として「(球排出装置4の)電気的制御装置」に送信されることが明らかであり、該信号は、実質的に本件発明1の「球貸要求信号」に相当する信号であるといえる。そうすると、引用発明は、本件発明1の構成である、「(遊技盤に設けた各種遊技装置の制御を行う遊技制御部を備えており、)該遊技制御部から出力される賞球データ信号もしくはカードユニットのカード制御部から出力される球貸要求信号に基づき、所要数の遊技球を排出させる制御を行う排出制御部」に対応する構成を実質上備えているといえる。
(iii)引用発明は「遊技者が所望する金額を選択して、1つの押釦で構成した金額選択操作部10を1回操作する毎に、電気的制御装置が当該パチンコ機1の球排出装置4を作動して、例えば200円分の球を該パチンコ機1前面の受皿25に排出させ」(摘示事項1-f.)るものであり、球貸のための遊技球の排出の態様は、「(押釦を)1回操作する毎」に所要数の排出がなされるものであって、この「1回毎」の排出は球貸の最小単位数毎の排出であるといえる。また、(ii)に記載したとおり、「(球貸機能部2の)電気的制御装置」から球貸に関するデータが、実質上、「球貸要求信号」として「(球排出装置)の電気的制御装置」に送信されるということができるから、引用発明は、本件発明1の構成である、「球貸要求信号が入力されると、該球貸要求信号に対応して実行する球貸のための遊技球の排出を、球貸の最小単位数毎に排出制御する球貸排出制御手段」に対応する構成を実質的に備えているといえる。
(iv)引用発明において、「(球排出装置4の)電気的制御装置は、球通過検出部30からの信号を計数し、所定数の球が通過したことを計数する」(摘示事項1-h.)ものであり、この「計数」は、「遊技中における入賞にもとづいて球排出装置を作動」するときに行われるものである。また一方、引用発明において、「(球貸機能部2の)電気的制御装置」から送信される球貸に関するデータの信号(球貸要求信号)に対しても「(球排出装置4の)電気的制御装置」は「球排出装置4を作動して、遊技者が選択した金額に対応した数量の球を該パチンコ機1前面の受皿25に排出させ」(摘示事項1-e.)るものであり、このときにも「(球排出装置4の)電気的制御装置は、球通過検出部30からの信号を計数」(摘示事項1-h.)するものである。そうすると、引用発明における「(球排出装置4の)電気的制御装置」と、本件発明1における「排出制御部」とは、「賞球データ信号に基づく賞としての遊技球数及び球貸要求信号に基づく球貸としての遊技球数を計数」する点で共通している。
そうすると、本件発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また相違していると認められる。
一致点;
挿入された球貸用のプリペイドカードによる球貸制御を行うカード制御部を補助枠内に収納してなるカードユニットと、遊技盤に設けた各種遊技装置の制御を行う遊技制御部と、該遊技制御部から出力される賞球データ信号もしくはカードユニットのカード制御部から出力される球貸要求信号に基づき、所要数の遊技球を排出させる制御を行う排出制御部と、を含む遊技機本体と、からなるカード式遊技装置であって、上記遊技機本体の排出制御部には、該球貸要求信号に対応して実行する球貸のための遊技球の排出を、球貸の最小単位数毎に排出制御する球貸排出制御手段と、賞球データ信号に基づく賞としての遊技球数及び球貸要求信号に基づく球貸としての遊技球数を計数する手段と、を設けたカード式遊技装置、である点。
相違点;
遊技機本体の排出制御部が、本件発明1は以下の各手段を備えているのに対して、引用発明は対応する手段を備えていない点。
1.球貸要求信号に基づく遊技球の排出制御が可能となる排出開始条件を満たす状態であることをカードユニットのカード制御部へ連絡するための球貸排出可能信号を送信する球貸排出可能信号送信手段であって、上記球貸排出可能信号の出力中に上記カード制御部から送信された上記球貸要求信号が入力されると、該球貸要求信号に対応して実行する球貸のための遊技球の排出を行うものである、球貸排出可能信号送信手段。
2.所定遊技球数単位毎に賞球数信号を外部へ出力する賞球情報出力手段。
3.最小単位数毎に球貸数信号を外部へ出力する球貸情報出力手段。
4.遊技制御部からの賞球データ信号の受信に基づき賞球排出実行情報を一時的に記憶可能な記憶手段及びカード式遊技装置への電源供給が遮断された際に排出制御部の記憶手段に記憶された賞球排出実行情報を保持するバックアップ手段。
上記の相違点について検討する。
相違点1.について検討する。
本件発明1の構成である「排出制御が可能となる排出開始条件を満たす状態」の構成を技術的に裏付ける事項として本件の明細書の詳細な説明を参酌すると、その段落【0260】には、「排出開始条件確認処理においては、排出センサ1球有フラグがセットされているか否か、排出センサ2球有フラグがセットされているか否か、半端センサ球有フラグがセットされているか否か、オーバーフロー球無フラグがセットされているか否かを判定し、全てのフラグがセットされている場合にのみ、排出可能フラグをセットするのである。しかしながら、何れかのフラグがセットされていない場合には、排出可能フラグをリセットすることで、上記した球貸開始処理を不可能とするのである。」と記載されている。すなわち、上記「排出開始条件」とは、「排出センサ1」及び「排出センサ2」が「球有」を検出し、「半端センサ」が「球有」を検出し、「オーバーフロー球」が「無」という条件を満たす状態をいうものであり、さらに具体的には、「調流樋89a、89b」の「調流部98」にパチンコ球が有り(特許明細書の段落【0053】)、「遊技媒体排出装置64が賞球排出動作もしくは貸球排出動作を行うのに必要十分な球が待機している状態」(特許明細書の段落【0400】)であり、「分配樋117に球が溢れている溢球状態」(特許明細書の段落【0396】)でない状態をいうものである。
ところで、パチンコ機における賞球排出処理において、賞球排出装置が正常に作動するかどうかのチェックは随時行われており、排出が正常に作動する条件を満たす状態である時に賞球排出装置を作動させることは、例えば下記の周知例1、2及び5に例示されるように周知である。これらの周知例において、例えば周知例1は「玉切れ検出器58」、「払出景品玉検出器61」、「満タン検出器68」を制御する景品玉払出制御用の制御基板をゲーム制御用の制御基板に対し別体に設けた弾球遊技機(周知例1の第9頁左上欄第9-18行)であって、それぞれの機能に照らすと、上記「玉切れ検出器58」は本件発明1の「半端センサ」に対応しており、上記「払出景品玉検出器61」は本件発明1の「排出センサ1」及び「排出センサ2」に対応しており、上記「満タン検出器68」は本件発明1の「オーバーフロー球」が「無」を検出する検出器に対応している。そうすると、引用発明に上記の周知技術を付加することにより、「球貸」が可能となる排出開始条件を満たす状態であることのチェックを行うことは当業者が適宜になし得る設計事項にすぎない。
ここで上記(ii)に記載したとおり、引用発明において、「(球貸機能部2の)電気的制御装置」から「(球排出装置4の)電気的制御装置」に信号(球貸要求信号)が送信されることは明らかであるが、「(球排出装置4の)電気的制御装置」から「(球貸機能部2の)電気的制御装置」に対して信号が送信されるか否か、すなわち、引用発明における上記「(球貸機能部2の)電気的制御装置」と「(球排出装置4の)電気的制御装置」とが双方向に交信するように構成されているか否かは刊行物1の記載からは明らかではない。しかし、上記刊行物2には、「パチンコ機制御用マイクロコンピュータ190」と「カードリーダ/ライタ制御用マイクロコンピュータ220」との間で「パチンコ機稼動データ出力要求信号」と「パチンコ機稼動データ信号」として双方向の信号の交信を行うことが記載されている。また刊行物3には、「メイン制御装置87」と「ローカル制御装置88」とが双方向の信号の交信を行うように構成された「玉貸機4」において、「メイン制御装置87」から「管理装置6での準備がととのったことを示すレディ信号をローカル制御装置88へ送出」し、「ローカル制御装置88」では、上記「レディ信号」が受信されたのちに、「購入金額データをメイン制御装置87へ送信」することが記載されており、上記「レディ信号」は、「球貸」が可能であることを「ローカル制御装置88」へ連絡するための信号であって、その機能に照らすと、相違点1.に係る構成における球貸排出可能信号に対応する信号であるということができる。ここで、一般にレディ信号は、該信号の送信側において準備がととのったことを連絡する信号としてコンピュータの分野において通常使用される信号であり、受信側では、該レディ信号が送信されていることを確認した上で、交信情報に係る信号を返信するものであり、その機能に照らすと、該レディ信号は連続して送信される信号であるということができ、受信側から返信される交信情報に係る信号は、レディ信号の出力中に送信されるものであるといえる。
そうすると、引用発明において、「(球排出装置4の)電気的制御装置」から「球貸」が可能となる排出開始条件を満たす状態であることを「(球貸機能部2の)電気的制御装置」へ連絡するための信号(球貸排出可能信号)を出力するように構成するとともに、該信号(球貸排出可能信号)の出力中に「(球貸機能部2の)電気的制御装置」から「(球排出装置4の)電気的制御装置」に信号(球貸要求信号)が入力されるように構成し、相違点1.に係る構成を得ることは格別な技術的困難性を伴うことではない。
相違点2.について検討する。
上記(iv)に記載のとおり、引用発明における「(球排出装置4の)電気的制御装置」は、実質上、「賞球データ信号に基づく賞としての遊技球数を計数」するものであり、「計数」は「遊技中における入賞にもとづいて球排出装置を作動」するときに行われるものであるから、「入賞」に対応した、「所定遊技球数単位毎」の「計数」であるといえる。
ところでパチンコ機において、賞球に関するデータを管理コンピュータ等の外部へ送信することが適宜行われており、例えば、下記の周知例3及び4に例示するものにおいては、打球が入賞口に入賞し、検出スイッチにより検出されると、信号が管理コンピュータへ送信されるものであり、送信される信号は入賞口の種類に対応して設定されている所定数の賞球数信号、すなわち所定遊技球数単位の賞球数信号である。そうすると、引用発明において、「(球排出装置4の)電気的制御装置」が「計数」した、上記「所定遊技球数単位毎」の「球数」、すなわち「賞球数」を、「伝送路5を介して接続されている中央管理装置」(摘示事項1-c.)に「賞球数信号」として出力するように構成することは、単なる設計事項にすぎない。
相違点3.について検討する。
上記(iv)に記載のとおり、引用発明における「(球排出装置4の)電気的制御装置」は、「(球貸機能部2の)電気的制御装置」から送信される球貸に関するデータの信号(球貸要求信号)に対して「球排出装置4を作動」するときに「球通過検出部30からの信号を計数」するものであり、該「計数」は上記(iii)に記載のとおり、「遊技者が所望する金額を選択して、金額選択操作部10を1回操作する毎」の、「球貸の最小単位数毎の排出」に対応した、「球貸の最小単位数毎」の「計数」であるといえる。
一方、同引用発明において、「遊技者の所望する金額分の球が受皿25に排出されると、これに伴って電気的制御装置の演算手段が作動し、排出した球に相当する金額を減算し、この残高は、中央管理装置に送られ、当該カード21のカード識別情報とともに記憶装置内に記憶される」(摘示事項1-g.)ものである。上記摘示事項1-g.に適示された「排出した球に相当する金額を減算し」、「残高」を「中央管理装置に送」る「電気的制御装置」は「(球貸機能部2の)電気的制御装置」であるのか、「(球排出装置4の)電気的制御装置」であるのか、必ずしも明確とはいえないが、上記したとおり、「(球排出装置4の)電気的制御装置」は、「球貸の最小単位数毎」に遊技球数を「計数」するものであり、しかも球貸機において球貸に関する情報を球貸数として外部である中央管理装置に送信することが周知(例えば、下記の周知例7及び8があげられる。)であるから、引用発明において、「排出した球に相当する金額を減算し、この残高」を「中央管理装置に送」ることに換えて、「(球排出装置4の)電気的制御装置」から、「計数」した「球貸の最小単位数毎」の「遊技球数」を「球貸数信号」として送ることとして相違点3.に係る構成を得ることは、単なる設計の変更に過ぎない。
相違点4.について検討する。
賞球排出装置に設けた排出制御部に、賞球排出に関する情報を一時的に記憶可能な記憶手段を設けるとともに、遊技装置への電源供給が遮断された際に、記憶手段に記憶された賞球排出に関する情報を保持するバックアップ手段を上記排出制御部に設けることは、例えば下記の周知例5及び周知例6に例示されるように周知である。これらの周知例において、周知例5は、「景品球処理装置(300)」に「CPU(310)、RAM(320)、ROM(330)」を設け、「RAM(320)」は、「入賞球数を記憶したり演算処理を行う際にデータを一時格納するよう作用し、停電時にも記憶データが消滅しないようコンデンサー等によってその電源はバック・アップされている。」ものである。そうすると、引用発明における「(球排出装置4の)電気的制御装置」に上記周知技術を適用して、賞球排出に関する情報を一時的に記憶可能な記憶手段を設けるとともに、「パチンコ機のカード式球貸機構」(「カード式遊技装置」)への電源供給が遮断された際に、上記記憶手段に記憶された賞球排出に関する情報を保持するバックアップ手段を設けて、相違点4.に係る構成を得ることに格別な技術的困難性はない。
そして、上記相違点1.ないし相違点4.に係る構成を備えた本件発明1が奏する効果も、引用発明並びに刊行物2、3に記載された発明及び周知技術(周知例1ないし8)から当業者が容易に予測できる範囲内のものであって、格別なものとはいえない。
したがって、本件発明1は引用発明並びに刊行物2、3に記載された発明及び周知技術(周知例1ないし8)から当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3-2-2)本件発明2に対して
本件発明2は本件発明1をさらに限定して、上記において分説したJ.の構成を備えているところ、本件発明1については「(3)特許法第29条第2項違反について」における「(3-2-1)本件発明1に対して」において検討したとおりであるので、本件発明2がさらに備える上記J.の構成について検討する。
引用発明に周知技術(周知例5及び6)を適用することにより、「(球排出装置4の)電気的制御装置」に、賞球排出に関する情報を一時的に記憶可能な記憶手段を設けるとともに、「パチンコ機のカード式球貸機構」(「カード式遊技装置」)への電源供給が遮断された際に、上記記憶手段に記憶された賞球排出に関する情報を保持するバックアップ手段を設けることは当業者が容易になし得たものであることは本件発明1に対する検討として上記したとおりである。上記の周知技術において、周知例6に係る周知技術は、「停電処理」において、「電源が投入されると、その停電が10秒以内であるかどうか」をチェックし、「10秒以内の停電である場合」または「継続信号が得られた場合」には、「CPU23のスタンバイモードを解除し、所定のデータ・レジスタを呼出し、中断の再開を行」うことを併せて開示しており、また周知例5に係る周知技術は「景品球処理装置(300)」の「RAM(320)」に「一時格納」した「データ」を「バック・アップ」するよう構成し、電源投入時の初期処理におけるメイン・プログラムのスタート時に「景品球処理装置(300)」が正常に作動するかどうかのチェックを行うものであり、電源供給が復帰した時にも電源投入時に行う初期処理と同様に「景品球処理装置(300)」が正常に作動するかどうかのチェックを行うことを併せて示唆しているといえる。また上記したとおり、一般に賞球排出装置が正常に作動するかどうかのチェックは随時行われている(例えば、下記の周知例1及び2があげられる。)。
以上を総合すると、引用発明に周知技術(周知技術5及び6)を適用することにより賞球排出に関する情報を保持するバックアップ手段を「(球排出装置4の)電気的制御装置」に設けてなるものにおいて、電源供給の復帰時において、賞球排出が正常に実行することが可能か否かをチェックし判定して、賞球排出が正常に実行可能であると判定されたことを条件に上記バックアップ手段により保持された記憶情報に基づく賞球排出を再開することとし、本件発明2が備えるJ.の構成を得ることは当業者が容易に想到することができたものであり、本件発明2が奏する効果も、引用発明並びに刊行物2、3に記載された発明及び周知技術(周知例1ないし8)から当業者が容易に予測できる範囲内のものであって、格別なものとはいえない。
したがって、本件発明2は引用発明並びに刊行物2、3に記載された発明及び周知技術(周知例1ないし8)から当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)特許法第29条の2違反について
(4-1)先願発明
先願である、特願平3-99344号(特開平4-329988号公報)の明細書(先願明細書)には、以下の記載が認められる。
a.「図1は、本発明に係る玉払出装置が用いられている弾球遊技機の一例のパチンコ遊技機60およびカード処理機62を示す正面図である。・・・パチンコ遊技機60の左右方向一側部(図面では左側)にはカード処理機62がパチンコ遊技機60に対し分離可能な状態で設けられている。図中130は処理機使用可表示器であり、カード処理機62が作動中で使用可能である旨を点灯表示するためのものである。カード処理機62にはカードリーダライタが設けられたカードリーダライタ制御部134が設けられており、カード挿入・排出口133からカードを挿入すればそのカードに記録されている記録情報がこのカードリーダライタにより読取れる。・・・このカード処理機62にはCPU,ROM,RAM等が内蔵されたカード処理機制御部135が設けられており、このカード処理機制御部135よりカード処理機62全体が制御される。」(第2頁第2欄第17-36行及び図1)
b.「パチンコ玉の入賞に基づいて払出される景品玉が所定個数a(たとえば10個)に達するごとに払出制御基板から所定のパルス信号を出力しその所定のパルス信号が遊技機用ターミナルボックス149,コネクタ156,コネクタ155を介してホール用管理コンピュータに伝送されるように構成されている。」(第5頁第7欄第41-47行)
c.「証拠玉を貯留する代わりにマイクロコンピュータ等で入賞個数等を記憶しておき、その記憶値に基づいて払出制御を行なうようにしてもよい。その場合には、バツクアップ電源を利用して記憶値が停電等で消去されないようにすることが望ましい。」(第8頁第13欄第9-13行)
d.「図19は、カード処理機制御部の制御回路を示すブロック図である。カード処理機制御部135(図2参照)にはカード処理機制御用マイクロコンピュータ300が組込まれている。」(第11頁第20欄第8-11行)
e.「払出制御用マイクロコンピュータ350から中継端子基板138,情報入力回路312を介して、後述する払出可能信号,玉貸準備信号,貸玉完了信号が入力される。」(第12頁第21欄第16-19行)
f.「カード処理機制御用マイクロコンピュータ300は以下の回路や機器に対して制御信号を出力する。・・・LED駆動回路310,中継端子基板138を介して、玉貸可表示器48d,返却可表示器46d,カード残高表示器50(図1参照)にそれぞれ表示用制御信号を出力する。LED駆動回路310を介して挿入時残高表示器131(図1参照)に表示用制御信号を与える。ランプ駆動回路311を介して、カード挿入表示器132,処理器使用可表示器130にそれぞれ表示用制御信号を与える。カードリーダライタ制御部134(図1,図2参照)に、後述する現在の残高データ,カード書込排出指令信号,残高ゼロデータ,カード回収指令信号を出力する。中継端子基板138を介して払出制御用マイクロコンピュータ350に、後述する玉貸要求信号を出力する。」(第12頁第21欄第30-45行)
g.「払出制御回路には払出制御用マイクロコンピュータ350が設けられている。」(第12頁第22欄第6-7行)
h.「遊技場の係員がリセットボタン147(図2参照)を押圧することによりリセットスイッチ147がONになり検出回路359からリセット操作検出信号が払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される。余剰玉受皿122(図1参照)が満杯となり満タンスイッチ162(図2参照)がONになればそのON信号が検出回路360を介して払出制御用マイクロコンピュータ350に与えられる。玉通過口64a(図10参照)内にパチンコ玉が存在する場合には、投光器(投光素子)67aからの投光が遮られて玉確認センサA(63a)で受光されなくなり、玉が存在することが確認できるのであり、その確認信号が中継端子基板138,検出回路360を介して払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される。同様に、玉通過口64b(図10参照)にパチンコ玉が存在することが玉確認センサB(68b)により検出されてその検出信号が中継端子基板138,検出回路360を介して払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される。」(第12頁第22欄第19-36行)
i.「入賞玉処理機構445の入賞玉センサA(170a),B(170b)が入賞玉を検出すれば、その検出出力が検出回路360を介して入力される。タンク玉センサ150による玉タンク151内の玉の有無が検出され(図2参照)、その検出出力が遊技機用ターミナルボックス149,検出回路360を介して入力される。ゲーム制御基板ボックス148(図2参照)内に収納されているゲーム制御基板に設けられているゲーム制御用マイクロコンピュータ370から中継端子基板138,情報入力回路365を介し、後述するパチンコ玉の入賞信号が払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される。カード処理機制御用マイクロコンピュータ300から中継端子基板138,情報入力回路365を介して、玉貸要求信号が入力される。」(第13頁第23欄第9-22行)
j.「払出制御用マイクロコンピュータ350は以下の回路や機器に対し次のような制御信号を出力する。・・・LED駆動回路361を介して、投光器67a〜67dにそれぞれ投光器制御用信号を出力する。またLED駆動回路361を介してエラー原因表示器146(図2参照)にエラー原因表示用制御信号を与える。ソレノイド駆動回路362を介して払出ソレノイド223(図9参照)にソレノイド励磁用制御信号を出力する。」(第13頁第23欄第36-45行)
k.「S4に進み、払出制御用マイクロコンピュータから払出可能信号が入力されたか否かの判断が行なわれ、入力されるまで待機する。払出制御用マイクロコンピュータでは、後述する玉確認センサA,Bがともに玉有を検出し、満タン状態でなく、タンク玉センサが玉を検出している場合に払出可能信号をカード処理機制御用マイクロコンピュータに出力するのであり(払出制御用マイクロコンピュータからの出力処理はフローチャートを省略している)、カード処理機制御用マイクロコンピュータではそれを受けてS4によりYES判断を行なう。」(第13頁第24欄第42行-第14頁第25欄第2行)
l.「S17に進み、払出制御用マイクロコンピュータに玉貸要求信号の出力を開始する制御がなされる。次にS18に進み、タイマT1がセットされ、S19に進み、払出制御用マイクロコンピュータから玉貸準備信号が入力されたか否かの判断がなされる。」(第14頁第26欄第2-6行)
m.「一方、T3が終了する以前に払出制御用マイクロコンピュータから玉貸完了信号が入力されればS35により、現在残高から単位額を減算し、貸玉額から単位額を減算する処理がなされる。払出制御用マイクロコンピュータから玉貸完了信号が入力されたということは、パチンコ遊技機側で単位額(たとえば100円)に相当するパチンコ玉が貸出されたことを意味するために、その貸出されたパチンコ玉に相当する金額である単位額を、挿入カードの現在残高から減算するとともにS14,S15でセットされた貸玉額からその単位額を減算するのである。次にS36に進み、カード処理機用ターミナルボックスに単位額売上信号を出力する処理がなされる。」(第15頁第27欄第36-48行)
n.「パチンコ遊技機側で単位額(たとえば100円)に相当するパチンコ玉(たとえば25個)が貸出されるごとに払出制御用マイクロコンピュータからカード処理機制御用マイクロコンピュータに玉貸完了信号が出力されるのであり、カード処理機制御用マイクロコンピュータではその出力信号を入力するたびに貸玉額(S14,S15を参照)分のパチンコ玉がすべて貸出されたか否かの判断を行ない、未だに貸出されていない未貸出分がある場合にはその未貸出分をすべて貸出すまで前記単位額(たとえば100円)のパチンコ玉の貸出を繰返し行なうのである。」(第15頁第28欄第45行-第16頁第29欄5行)
o.「S119により、ゲーム制御用マイクロコンピュータから入賞信号があったか否かの判断が行なわれ、あるまで待機する。そして遊技領域120に打込まれたパチンコ玉が始動入賞口125a(図1参照)に入賞すれば、ゲーム制御用マイクロコンピュータ370から払出制御用マイクロコンピュータ350に入賞信号が入力され、S120により入賞記憶数を「1」加算してS119に戻る。」(第16頁第29欄第27-34行)
p.「次に図23ないし図25に基づいて玉払出用の制御動作を説明する。まずS48により、玉確認センサA,B共に玉有の検出をしているか否かの判断が行なわれる。図10に示した玉確認センサA(68a)と玉確認センサB(68b)との検出位置にパチンコ玉が存在する場合には、S49に進み、満タン検出が行なわれているか否かの判断が行なわれる。余剰玉貯留皿122(図1参照)が未だに満杯になっていなければS50に進み、未払出数=0であるか否かの判断が行なわれる。この「未払出数」とは、払出すべきパチンコ玉のうち未だに払出が行なわれていないパチンコ玉の数を意味し、後述するS54,S59,S62,S63でそれぞれの値にセットされ、パチンコ玉が払出されるごとに後述するS89により「1」ずつ減算される。」(第16頁第29欄第35-48行)
q.「始動入賞口125a,125b,125cのいずれかにパチンコ玉が入賞すれば入賞玉センサAにより検出され、S56によりYESの判断がなされてS58に進み、入賞記憶数=0であるか否かの判断が行なわれる。この「入賞記憶数」とは、前述したS120により「1」ずつ加算され、S106より「1」ずつ減算されるものであり、始動入賞口125aに入賞した入賞玉のうち未だに景品玉の払出が行なわれていない入賞玉の個数を意味する。そして、入賞記憶数が0でない場合にS59に進み、未払出数にn個(たとえば7個)がセットされ、払出状態を「n払出」にし、払出表示ランプ126の点灯を開始する処理が行なわれた後にS69に進む。つまり、パチンコ玉が始動入賞口125aに入賞すれば1個の入賞につきn個(たとえば7個)の景品玉が払出されることになる。一方、入賞記憶数=0である場合にはS60に進み、払出状態が、「n払出」かまたは「m払出」かの判断が行なわれる。現在の払出状態が「n払出」または「m払出」の場合にはS61に進み、入賞玉センサB(170b)がパチンコ玉を検出したか否かの判断が行なわれ、検出していなければS62に進み、未払出数にm(たとえば10個)をセットし、払出状態を「m払出」にし、払出表示ランプ126の点灯を開始する処理が行なわれる。つまり、始動入賞口125a,125b,125cにパチンコ玉が複数個入賞した場合においては、まず始動入賞口125aに入賞した入賞玉に基づくn個(たとえば7個)のパチンコ玉の払出を優先し、その後始動入賞口125b,125cに入賞した入賞玉に基づくm個(たとえば10個)の景品玉の払出が行なわれる。一方、始動入賞口125a〜125c以外の入賞口にパチンコ玉が入賞した場合には、入賞玉センサB(170b)(図8参照)によりその入賞玉が検出され、S57によりYESの判断がなされてS63に進む。一方、前回の景品玉の払出が入賞玉センサA(170a)の検出出力に基づくnまたはmの景品玉の払出であり、かつ入賞玉センサB(170b)からパチンコ玉の検出出力があればS61によりYESの判断がなされてS63に進む。S63では、未払出数にk(たとえば15個)をセットし、払出状態を「k払出」にし、・・・その結果、入賞玉センサA,Bが共に入賞玉を検出している場合には一方の入賞玉センサに基づく景品玉の払出と他方の入賞玉センサに基づく景品玉の払出とが交互が行なわれる。前述したS59,S62,S63のn,m,kの景品玉払出定数は、本実施例ではROM352に固定記憶させるようにした」(第17頁第31欄第22行-第32欄第16行)
r.「一方、払出状態が「玉貸」の場合にはS91に進み、未払出数=0であるか否かの判断が行なわれ、0でない場合にはS48に進むが、0の場合にはS92に進み、カード処理機制御用マイクロコンピュータ300に玉貸完了信号を出力する処理が行なわれ、S93により、遊技機用ターミナルボックス149,コネクタ158,157を介してホール用管理コンピュータに単位額売上信号を出力する処理が行なわれる。この「単位額売上信号」とは、単位額(S14,S15を参照)分のパチンコ玉がカードを用いて貸出されたことによる単位額分のパチンコ玉の売上信号であり、この信号を受信したホール用管理コンピュータが、カードによる売上額の集計を行なう。」(第18頁第34欄第17-29行)
s.「払出状態が「玉貸」ではなく景品玉の払出の場合にはS98により、景品玉払出数を「1」加算する。つまり、入賞に基づいて景品玉が1個払出されるごとにS98により景品玉払出数を「1」ずつ加算する処理が行なわれる。次にS99により、景品玉払出数が「a」になったか否かの判断が行なわれ、なっていない場合にはS102に進むが、なっている場合にはS100に進み、遊技機用ターミナルボックス149ネコネクタ156,155を介してホール用管理コンピュータに景品玉払出信号の出力がなされる。ホール用管理コンピュータでは、この景品玉払出信号に基づいて遊技場にとって不利益となる不利益球数を集計する。このように、所定個数の景品玉が払出されるごとに景品玉払出信号が1パルスホール用管理コンピュータに出力されるのであり、この1パルスの景品玉払出信号が出力されるのに要する景品玉の払出個数が「a」でありたとえば10個に設定されている。」(第19頁第35欄第34-50行)

(4-2)対比・判断
(4-2-1)本件発明1に対して
本件発明1と先願発明とを対比すると、先願発明に関して以下のことがいえる。
(i)先願明細書の摘示事項a.によれば、「パチンコ遊技機60の左右方向一側部(図面では左側)にはカード処理機62がパチンコ遊技機60に対し分離可能な状態で設けられて」おり、該「カード処理機62」は、「カード挿入・排出口133」を備えるとともに、「CPU,ROM,RAM等が内蔵されたカード処理機制御部135が設けられ」るものであり、先願明細書の摘示事項d.及びf.を参酌すれば、先願発明における「カード」は本件発明1における「球貸用のプリペイドカード」に対応し、同様に、「カード処理機制御部135」は「球貸制御を行うカード制御部」に、「カード処理機62」は「カードユニット」に、それぞれ対応しているということができる。また先願発明において、「カード処理機62」が設けられる位置(「左右方向一側部(図面(注;図1)では左側)」)は、本件発明1において、「カードユニット」が設けられる位置(「補助枠」)と実質的に変わるところがない。そうすると、先願発明は、本件発明1における上記A.の構成を備えている。
(ii)先願明細書の摘示事項g.i.j.及びo.によれば、「パチンコ玉が始動入賞口125a」に入賞すれば、「ゲーム制御用マイクロコンピュータ370から払出制御用マイクロコンピュータ350に入賞信号が入力され」、また「カード処理機制御用マイクロコンピュータ300」から「玉貸要求信号が入力される」ものであり、先願発明における「ゲーム制御用マイクロコンピュータ370」は、その機能に照らすと本件発明1における「遊技盤に設けた各種遊技装置の制御を行う遊技制御部」に対応し、同様に、「ゲーム制御用マイクロコンピュータ370から入力される入賞信号」は、実質上「遊技制御部から出力される賞球データ信号」に、「カード処理機制御用マイクロコンピュータ300」から「玉貸要求信号が入力される」は、実質上「カードユニットのカード制御部から出力される球貸要求信号」に、「払出制御用マイクロコンピュータ350」は「所要数の遊技球を排出させる制御を行う排出制御部」に、それぞれ対応しているということができる。そうすると、先願発明は、本件発明1における上記B.の構成を備えている。
(iii)先願明細書の摘示事項k.によれば、「払出制御用マイクロコンピュータでは、玉確認センサA,Bがともに玉有を検出し、満タン状態でなく、タンク玉センサが玉を検出している場合に払出可能信号をカード処理機制御用マイクロコンピュータに出力する」ものであり、上記「玉確認センサA,B」は、「(玉払出器の)玉通過口64a、64b(図10参照)内にパチンコ玉が存在する」ことを「確認」するセンサであり、「満タン状態」とは「余剰玉受皿122(図1参照)が満杯となり満タンスイッチ162(図2参照)がONにな」(摘示事項h.)る状態であり、「タンク玉センサ」は「玉タンク151内の玉の有無」を検出する「センサ150」(摘示事項i.)である。
ここで、「(3)特許法第29条第2項違反について」「(3-2-1)本件発明1に対して」における、「相違点1.について」に記載したとおり、本件発明1の上記C.の構成において、「球貸要求信号に基づく遊技球の排出制御が可能となる排出開始条件を満たす状態」の構成を技術的に裏付ける事項は、「排出センサ1」及び「排出センサ2」が「球有」を検出し、「半端センサ」が「球有」を検出し、「オーバーフロー球」が「無」という条件を満たす状態をいうものであり、さらに具体的には、「調流樋89a、89b」の「調流部98」にパチンコ球が有り(特許明細書の段落【0053】)、「遊技媒体排出装置64が賞球排出動作もしくは貸球排出動作を行うのに必要十分な球が待機している状態」(同じく【0400】)であり、「分配樋117に球が溢れている溢球状態」(同じく【0396】)でない状態をいうものといえる。
そうすると、先願発明における上記の「玉確認センサA,B」、「タンク玉センサ」、「満タン状態でな」いことは、本件発明1における上記の「排出センサ1」及び「排出センサ2」、「半端センサ」、「オーバーフロー球」が「無」であることにそれぞれ対応しており、先願発明は、上記のセンサ等で「確認」を行った後に「払出可能信号をカード処理機制御用マイクロコンピュータに出力する」ものであるから、先願発明は、本件発明1における上記C.の構成を備えている。
(iv)先願発明は、「払出可能信号」が「カード処理機制御用マイクロコンピュータに出力」されると、「カード処理機制御用マイクロコンピュータではそれを受けて」(摘示事項k.)、「払出制御用マイクロコンピュータに玉貸要求信号の出力を開始する制御」(摘示事項l.)を行うものである。そして先願発明において、「玉貸要求信号」に対応して、「パチンコ遊技機側で単位額(たとえば100円)に相当するパチンコ玉が貸出され」(摘示事項m.)るものであるから、同先願発明は、本件発明1における上記D.の構成に関連して、「球貸排出可能信号」の「出力」により、「上記カード制御部から送信された上記球貸要求信号が入力されると、該球貸要求信号に対応して実行する球貸のための遊技球の排出を、球貸の最小単位数毎に排出制御する球貸排出制御手段」の構成を備えているといえる。
(v)先願明細書の摘示事項i.及びq.によれば、「始動入賞口125a,125b,125cのいずれかにパチンコ玉が入賞すれば」、「パチンコ玉の入賞信号が払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される」ものであり、また摘示事項b.及びs.によれば、「所定個数の景品玉が払出されるごとに景品玉払出信号が1パルスホール用管理コンピュータに出力されるのであり、この1パルスの景品玉払出信号が出力されるのに要する景品玉の払出個数が『a』ありたとえば10個に設定されている」から、先願発明は、本件発明1における上記E.の構成を備えている。
(vi)先願発明は、「パチンコ遊技機側で単位額(たとえば100円)に相当するパチンコ玉が貸出され」(摘示事項m.)ると、「遊技機用ターミナルボックス149,コネクタ158,157を介してホール用管理コンピュータに単位額売上信号を出力する処理が行なわれる。この『単位額売上信号』とは、単位額(S14,S15を参照)分のパチンコ玉がカードを用いて貸出されたことによる単位額分のパチンコ玉の売上信号であり、この信号を受信したホール用管理コンピュータが、カードによる売上額の集計を行なう」(摘示事項r.)ものであり、上記の「単位額売上信号」は「玉貸要求信号」に基づく最小単位額毎の信号であるといえる。
(vii)上記(ii)に記載したとおり、先願発明の「払出制御用マイクロコンピュータ350」は本件発明1の「排出制御部」に対応し、同様に先願発明の「ゲーム制御用マイクロコンピュータ370」は本件発明1の「遊技制御部」に対応している。さらに先願発明は、「パチンコ玉が始動入賞口125aに入賞すれば、ゲーム制御用マイクロコンピュータ370から払出制御用マイクロコンピュータ350に入賞信号が入力され」(摘示事項h.)るものであり、「ゲーム制御用マイクロコンピュータ370から」の上記「入賞信号」は、本件発明1における「遊技制御部からの賞球データ信号」に対応している。また先願発明において、「入賞記憶数を『1』加算」(摘示事項o.)するのは、「入賞信号が入力され」る「払出制御用マイクロコンピュータ350」において「加算」するものであることが明らかであり、しかも「入賞記憶数」は「(S120により)『1』ずつ加算され、(S106より)『1』ずつ減算されるものであ」(摘示事項q.)って、変動するものであるから、該「入賞記憶数」の「記憶」は一時的な「記憶」であるということができる。そして上記「入賞記憶数」とは、「入賞玉のうち未だに景品玉の払出が行なわれていない入賞玉の個数を意味」(摘示事項p.)し、「始動入賞口125aに入賞した入賞玉」に対しては、「未払出数にn個(たとえば7個)がセットされ、払出状態を『n払出』にし」、「始動入賞口125b,125cに入賞した入賞玉」に対しては「m個(たとえば10個)の景品玉の払出が行なわれ」、一方、「始動入賞口125a〜125c以外の入賞口にパチンコ玉が入賞した場合には」、「未払出数にk(たとえば15個)をセットし、払出状態を『k払出』に」するものである。ここで、「n,m,kの景品玉払出定数は、ROM352に固定記憶させるようにした」(摘示事項q.)ものであり、「玉払出用の制御動作」は、上記「n,m,kの景品玉払出定数」を参照して、上記「入賞記憶数」に基いて行われるものであるということができ、これらは、「玉払出」を実行するための情報であり、本件発明1における「賞球排出実行情報」に対応しているということができる。
そうすると、先願発明は「ゲーム制御用マイクロコンピュータ370」(本件発明1における「遊技制御部」に対応する。以下、括弧内は本件発明1における対応構成を示す。)からの「入賞信号」(「賞球データ信号」)の「入力」(「受信」)に基づき「玉払出」を実行するための情報(「賞球排出実行情報」)を一時的に記憶可能な記憶手段を備えているから、先願発明は本件発明1における上記G.の構成を備えている。
(viii)先願発明に係る遊技装置は、「パチンコ遊技機60およびカード処理機62」よりなるものであるから、先願発明は本件発明1における上記I.の構成を備えている。
そこで、本件発明1と先願発明とを対比すると、両者は以下の点で相違していると認められ、その余の点では両者に差異は認められない。
1.球貸情報出力手段により外部へ出力する信号が、本件発明1では最小単位数毎の球貸数信号であるのに対して、先願発明では最小単位額毎の単位額売上信号(上記(vi))である点。
2.球貸要求信号に対応して実行する球貸のための遊技球の排出を、本件発明1では、球貸排出可能信号の出力中に球貸要求信号が入力されると実行するものであるのに対して、先願発明では、払出可能信号(球貸排出可能信号)の出力により、玉貸要求信号(球貸要求信号)が入力されると実行するもの(上記(iv))であるが、払出可能信号(球貸排出可能信号)の出力中に玉貸要求信号(球貸要求信号)が入力されると実行するものであるか否かは明らかではない点。
3.本件発明1はカード式遊技装置への電源供給が遮断された際に排出制御部の記憶手段に記憶された賞球排出実行情報を保持するバックアップ手段を備えているのに対して、先願発明はバツクアップ電源により、入賞個数の記憶値が停電等で消去されないようにするものである点。
上記の相違点について検討する。
相違点1.について検討する。
球貸機における球貸数を外部である中央管理装置に送信することは周知(例えば、下記の周知例7及び8があげられる。)であり、最小単位毎に送信する信号を本件発明1のように球貸数信号とするか、先願発明のように単位額売上信号とするかは、単なる設計上の微差にすぎない。
相違点2.について検討する。
先願発明における「払出可能信号」は、「玉貸要求信号」の出力を可能とする信号(摘示事項e.及びk.)であり、「玉払出装置」において準備がととのったことを送信側である「払出制御用マイクロコンピュータ350から」受信側である「カード処理機制御用マイクロコンピュータ300」に連絡する信号であって、コンピュータの分野において通常使用されるレディ信号に該当する信号であるということができる。そして、「(3)特許法第29条第2項違反について」における、「(3-2-1)本件発明1に対して」において、「相違点1.についての検討」に記載したように、レディ信号は、その送信側において準備がととのったことを連絡する信号であるというその機能に照らすと、連続して送信される信号であるということができるから、上記「玉貸要求信号」は、「払出可能信号」の出力中に送信されるものというべきである。
相違点3.について検討する。
相違点3.をさらにみると、先願明細書には、「証拠玉を貯留する代わりに入賞個数等を記憶しておき、その記憶値に基づいて払出制御を行なうようにしてもよく、前記記憶値はバツクアップ電源を利用して記憶値が停電等で消去されないようにする」(摘示事項c.)ことが記載されているが、上記「バツクアップ電源」が、「遊技機」(「カード式遊技装置」)への電源供給が遮断された際に「払出制御用マイクロコンピュータ350」(「排出制御部」)の記憶手段に記憶された「玉払出」を実行するための情報(「賞球排出実行情報」)を保持するバックアップ手段として機能し得るものか否か、先願明細書の記載からは直ちに明らかではない。しかしながら、「(3)特許法第29条第2項違反について」における「(3-2-1)本件発明1に対して」において、「相違点4.についての検討」に記載したとおり、賞球排出装置に設けた排出制御部に、賞球排出に関する情報を一時的に記憶可能な記憶手段を設けるとともに、遊技装置への電源供給が遮断された際に、該記憶手段に記憶された賞球排出に関する情報を保持するバックアップ手段を上記排出制御部に設けることは周知(例えば下記の周知例5及び6があげられる。)である。そうすると、相違点3.は、先願発明に上記周知技術を付加し、「遊技装置」(「カード式遊技装置」)への電源供給が遮断された際に「払出制御用マイクロコンピュータ350」(「排出制御部」)の記憶手段に記憶された「玉払出」を実行するための情報(「賞球排出実行情報」)を保持するバックアップ手段を設けたことによる設計上の微差にすぎず、本件発明1は先願発明と実質的に同一である。

(4-2-2)本件発明2に対して
本件発明2は本件発明1をさらに限定して、上記において分説したJ.の構成を備えているところ、本件発明1については「(4)特許法第29条の2違反について」における「(4-2-1)本件発明1に対して」において検討したとおりであるので、本件発明2がさらに備える上記J.の構成について検討する。
賞球排出装置に設けた排出制御部に、賞球排出に関する情報を一時的に記憶可能な記憶手段を設けるとともに、遊技装置への電源供給が遮断された際に、該記憶手段に記憶された賞球排出に関する情報を保持するバックアップ手段を上記排出制御部に設けることは周知(周知例5及び6)であり、本件発明1は先願発明に周知技術を付加し、「遊技装置」(「カード式遊技装置」)への電源供給が遮断された際に、「払出制御用マイクロコンピュータ350」(「排出制御部」)の記憶手段に記憶された「玉払出」を実行するための情報(「賞球排出実行情報」)を保持するバックアップ手段を設けたものにすぎないことは上記したとおりである。そして、先願発明に周知技術が付加されて、電源供給が遮断された際に、「払出制御用マイクロコンピュータ350」(「排出制御部」)に記憶されている記憶情報である、「玉払出」を実行するための情報(「賞球排出実行情報」)を保持するバックアップ手段を設けたものにおいて、電源供給が復帰したとき、該バックアップ手段により保持されている「玉払出」を実行するための情報(「賞球排出実行情報」)に基いて賞球排出が再開されることは明らかである。
そこで、本件発明2が備えるJ.の構成における、「賞球排出が正常に実行することが可能か否かを判定して、賞球排出が正常に実行可能であると判定されたことを条件に(賞球排出を行う)」の構成について本件の特許明細書を参酌し、該構成を技術的に裏付ける事項をみると、次のことがいえる。
本件の特許明細書の段落【0260】には、「排出開始条件確認処理においては、排出センサ1球有フラグがセットされているか否か、排出センサ2球有フラグがセットされているか否か、半端センサ球有フラグがセットされているか否か、オーバーフロー球無フラグがセットされているか否かを判定し、全てのフラグがセットされている場合にのみ、排出可能フラグをセットするのである。」と記載されている。上記の記載及び【図52】によれば、「判定」とは、「排出センサ1」、「排出センサ2」、「半端センサ」がいずれも「球有」を検出し、「オーバーフロー球無」の状態であることを「判定」するものであり、さらにいえば、「調流樋89a、89b」の「調流部98」にパチンコ球が有り(特許明細書の段落【0053】)、「遊技媒体排出装置64が賞球排出動作もしくは貸球排出動作を行うのに必要十分な球が待機している状態」(特許明細書の段落【0400】)であり、「分配樋117に球が溢れている溢球状態」(特許明細書の段落【0396】)でないことを「判定」するものである。
ところで「(3)特許法第29条第2項違反について」における「(3-2-2)本件発明2に対して」に記載したように、パチンコ機における初期処理や通常の賞球排出処理において、賞球排出装置が正常に作動するかどうかのチェックは随時行われており(例えば、下記の周知例1、2及び5があげられる。)、また先願発明においても、「入賞玉処理機構445の入賞玉センサA(170a),B(170b)が入賞玉を検出すれば・・・タンク玉センサ150による玉タンク151内の玉の有無が検出され」(摘示事項i.)、「パチンコ玉の入賞信号が払出制御用マイクロコンピュータ350に入力され」(摘示事項i.及びo.)ると、「玉確認センサA(68a)と玉確認センサB(68b)との検出位置にパチンコ玉が存在する場合には、S49に進み、満タン検出が行なわれているか否かの判断が行なわれる。余剰玉貯留皿122(図1参照)が未だに満杯になっていなければS50に進」(摘示事項p.)むことにより、「玉払出」の際には「玉払出装置」が正常に作動するかどうかの確認を行っている。そして、上記「玉確認センサA(68a)と玉確認センサB(68b)」は「玉通過口64a」と「玉通過口64b」にパチンコ玉が存在することを検知するセンサ」(摘示事項h.)であり、「満タン検出」は「余剰玉受皿122が満杯とな」ると「ON」となる「満タンスイッチ162」(摘示事項h.)により構成されるものであって、先願発明における上記「タンク玉センサ150」は本件の特許明細書に記載された上記「半端センサ」に相当するものであり、同様に「玉確認センサA(68a)」と「玉確認センサB(68b)」は本件の特許明細書に記載された上記「排出センサ1」、「排出センサ2」に、同様に「満タンスイッチ162」は本件の特許明細書に記載された上記「オーバーフロー球無」の状態を検知する手段に、それぞれ相当するものである。すなわち先願発明において、「玉払出」の際には常に本件発明2における「判定」に相当する「確認」を行うものである。
そうすると、先願発明に上記した周知技術を付加し、電源供給が遮断された際に、「払出制御用マイクロコンピュータ350」に記憶されている「玉払出」を実行するための情報(「賞球排出実行情報」)を保持するバックアップ手段を設けたものにあって、電源供給が復帰し、バックアップ手段により保持されている「玉払出」を実行するための情報(「賞球排出実行情報」)に基づいて賞球排出を再開するときにも、先願発明が「玉払出」の際に常に行う上記「確認」(「判定」)を行うことは、当業者にとって明らかなことである。
したがって、本件発明2が本件発明1を限定することにより備えるJ.の構成は、先願発明に周知技術を付加したことによる設計上の微差にすぎないから、本件発明2は先願発明1と実質的に同一である。
【周知例】
1.特開平2-295584号公報
「玉切れ検出器58」、「払出景品玉検出器61」、「満タン検出器68」を制御する景品玉払出制御用の制御基板をゲーム制御用の制御基板に対し別体に設け、景品玉払出制御処理の際に「払出景品玉検出器チェック処理」を行うよう構成した弾球遊技機が記載されている。(第5頁右上欄第17行-右下欄第14行、第8頁左下欄第7-20行、第9頁左上欄第9-18行、第12頁左下欄第3行-第14頁左下欄第10行)
2.特開平2-57282号公報
「球ケース41」内の賞球群を排出した後次回分の賞球群を収容する作業にあって、「感知部材62」により「球ケース41」内の賞球群が規定数未満である旨を検出し、それに基いて賞球排出作動を不能動化する、パチンコ遊技機における賞球排出装置が記載されている。(第3頁右上欄第10行-左下欄第3行、第4頁右下欄第18行-第5頁左下欄第9行)
3.特開昭63-38481号公報
入賞した遊技球は、「遊技球検出スイッチ19」を通って落下し、発生する信号は遊技店に設置された「コンピュータ21」の「算出手段22」に送られることが記載されている。(第3頁右下欄第2-11行)
4.特開平3-73184号公報
遊技球が「入賞口4」に入り、「入賞球検出器6」通過時に発生する信号を「遊技用インターフェイス13」を介して「記憶装置14」に送る機構に関して記載されている。(第2頁左下欄第6-12行及び第3頁右上欄第1-8行)
5.特開昭64-20871号公報
「景品球処理装置(300)」は「CPU(310)、RAM(320)、ROM(330)」を備えており、「RAM(320)は、7個用入賞口(3)に入賞した入賞球数を記憶したり演算処理を行う際にデータを一時格納するよう作用し、停電時にも記憶データが消滅しないようコンデンサー等によってその電源はバック・アップされている。」(第4頁右下欄末行-第5頁右上欄第2行)こと、及び、メイン・プログラムのスタート時に「各種のリミット・スイッチ(5)(212)(264)」や「景品球処理装置(300)」の「電磁石(131)等が正常に作動しうるか否かをチェックする。」(第5頁左下欄第12行-右下欄第14行)ことが記載されている。
6.特開昭60-58186号公報(甲第4号証)
「賞球放出機と、賞球放出情報を保持するメモリと、該メモリの賞球データに基づいて該賞球放出機を制御する制御手段と、を有する遊技機において、前記メモリは停電時にその内容が保持可能なメモリであり、停電を検知する停電検知手段と、電源投入時に保持された前記メモリの記憶内容に基づいて動作を再開するか、新に動作を開始するかを定める継続/クリアスイッチと、を具備し、前記制御手段は、前記停電検知手段の停電検知に基づいて前記メモリに制御データを保持するように制御するものであることを特徴とする遊技機の停電処理装置。」(特許請求の範囲第1項)
「次にこの停電処理装置を含むパチンコ台の動作について第5図及び第6図のフローチャートを参照しつつ説明する。電源が投入されると・・・その停電が10秒以内であるかどうかを単安定マルチバイブレータ36の出力によりチェックする。これが10秒以内の停電でなければステップ52に進み個別クリア信号11又はオールクリア信号14が出力されているかどうかをチェックし、更にステップ53に進み個別継続信号12又はオール継続信号15があるかどうかをチェックしてステップ51〜53のループを繰り返す。・・・そしてステップ51において10秒以内の停電である場合、又はステップ53において継続信号が得られた場合にはステップ54に進んでCPU23のスタンバイモードを解除し、所定のデータ・レジスタを呼出し・・・中断の再開を行う。」(第3頁右下欄第3行-第4頁左上欄第4行)
7.実願昭51-58015号(実開昭52-148172号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム
「カード販売装置である玉貸機52」は「加算回路」を介して「集中制御装置65」の「玉貸合計数メモリ回路89」に接続されている、パチンコ機に関して(第14頁第1-6行及び第17頁第2-13行)
8.特開平2-174884号公報
「遊技球を貸し出す玉貸機」を備えたパチンコ遊技システムにおいて、該「玉貸機」は「伝送路」を介して「管理装置」に電気的に接続されており、「管理装置」は「玉貸機」で貸し出した球数を演算記憶する「演算記憶手段」を備えた点(特許請求の範囲)

(5)むすび
以上のとおりであるから、本件発明1及び2についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機制御装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 挿入された球貸用のプリペイドカードによる球貸制御を行うカード制御部を補助枠内に収納してなるカードユニットと、
遊技盤に設けた各種遊技装置の制御を行う遊技制御部と、該遊技制御部から出力される賞球データ信号もしくはカードユニットのカード制御部から出力される球貸要求信号に基づき、所要数の遊技球を排出させる制御を行う排出制御部と、を含む遊技機本体と、
からなるカード式遊技装置であって、
上記遊技機本体の排出制御部には、
上記球貸要求信号に基づく遊技球の排出制御が可能となる排出開始条件を満たす状態であることを上記カードユニットのカード制御部へ連絡するための球貸排出可能信号を送信する球貸排出可能信号送信手段と、
上記球貸排出可能信号の出力中に上記カード制御部から送信された上記球貸要求信号が入力されると、該球貸要求信号に対応して実行する球貸のための遊技球の排出を、球貸の最小単位数毎に排出制御する球貸排出制御手段と、
賞球データ信号に基づく賞としての遊技球数を計数して、所定遊技球数単位毎に賞球数信号を外部へ出力する賞球情報出力手段と、
球貸要求信号に基づく球貸としての遊技球数を計数して、最小単位数毎に球貸数信号を外部へ出力する球貸情報出力手段と、
上記遊技制御部からの賞球データ信号の受信に基づき賞球排出実行情報を一時的に記憶可能な記憶手段と、
当該カード式遊技装置への電源供給が遮断された際に上記排出制御部の記憶手段に記憶された賞球排出実行情報を保持するバックアップ手段と、
を設けたことを特徴とするカード式遊技装置。
【請求項2】 上記遊技機本体の排出制御部は、電源供給の復帰時において、賞球排出が正常に実行することが可能か否かを判定して、賞球排出が正常に実行可能であると判定されたことを条件に上記バックアップ手段により保持された賞球排出実行情報に基づく賞球排出を再開するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のカード式遊技装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、挿入された球貸用のプリペイドカードによる球貸制御を行うカード制御部を補助枠内に収納してなるカードユニットと、遊技盤に設けた各種遊技装置の制御を行う遊技制御部と、該遊技制御部から出力される賞球データ信号もしくはカードユニットのカード制御部から出力される球貸要求信号に基づき、所要数の遊技球を排出させる制御を行う排出制御部と、を含む遊技機本体と、からなるカード式遊技装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
小球を遊技媒体とする遊技装置において、従来から一般的に知られているものの一例として、たとえば、遊技者の打球操作に従って打球が遊技領域に打込まれ、その打込球が所定の入賞領域に入賞する等の所定の遊技状態が発生した場合に、所定個数の賞球(遊技価値の一例である景品球)が遊技者に払い出される弾球遊技機があった。
そして、上述したような弾球遊技機が多数列設された島設備には台間球貸機も適宜配設されており、遊技者は席を離れることなく台間球貸機より球を借り受けることができるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような台間球貸機より排出された球は、遊技者が自らの手で弾球遊技機の球供給皿に移さなければならず、遊技中の遊技者にとってはこの作業が大変煩しい。
そこで、各弾球遊技機の球供給皿に直接遊技媒体たる小球を排出する構成を採用することが望ましく、このような事情も加味され、遊技者にとって便利であるプリペイドカードを用いた球貸システムの提案がある。
このシステムは、遊技機に設けられている球排出装置を利用して貸球の排出も行わせようとするもので、遊技機本体に併設したカード式球貸制御装置が、挿入されたカードに基づき球貸制御を行う。詳しくは、遊技機の球供給皿に球貸操作部を設け、この操作部の制御をカード式球貸制御装置が行い、球貸スイッチの入力を検出すると、遊技機の球排出装置を制御する排出制御装置へ、球貸要求信号を出力して、球排出装置より貸球を球供給皿へ排出させるものである。
また、このようなカード式球貸システムに用いるカード式遊技装置を実現するに際して、既存の島設備と物理的な配置構成上の互換性を保てることが望ましいので、挿入されたカードが保有する有価データの範囲内で遊技者の球貸要求に基づき所要の球貸制御を行うカードユニットを、遊技を実行する遊技機(遊技機本体)とは別構成とすることが考えられる。すなわち、従来の台間球貸機の挿入部位にカードユニットを配置し、カードユニットと遊技機とを電気的に導通状態として該カードユニットから送信される球貸要求の信号に基づき遊技機側で貸球の排出制御を行うようにすれば、台間球貸機と遊技機とが並設された旧来の島設備の構造と近似するので、従来の島設備の配置構成に慣れ親しんだ遊技者に違和感を与えることもない。
しかしながら、このようなプリペイドカードを用いた球貸システムは、遊技者にとって便利であるが、遊技店にとっては必ずしも望ましいとは言えない点もある。すなわち、遊技領域における遊技結果に対する賞球を球供給皿へ排出するべく遊技機に設けられている球排出装置が、球貸にも使用されるので、従来通りの打止管理が行えなくなってしまうという問題が生ずるのである。
というのは、従来は、台間球貸機へ球を補給するルートと遊技機の補給タンクへ球を補給するルートが異なっていたので、遊技店においては、各遊技機の補給タンクに補給した遊技球の量に基づいて遊技者が賞として獲得できた球数を概算し、打止管理を行うことが可能であったが、補給タンクへ補給された遊技球が賞球と貸球の両方に使用されることとなると、賞球排出動作に供した球数と貸球排出動作に供した球数を識別できなくなってしまうので、このような補給タンクへの補給球の数に基づく打止管理が行えなくなってしまう。よって、上記した如きプリペイドカードを用いた球貸システムでは、従来から慣例的に遊技店で行われていた補給タンクへの補給球数による打止管理を行えなくなってしまうという問題が生じてしまうのである。
さらに、遊技装置が備える球排出装置を使って賞球排出動作と貸球排出動作を行う構成とすると、賞球と貸球のどちらも球供給皿に排出されることになるため、適正量の賞球および貸球を受け取っていないような不信感を遊技者に与えてしまうことがないよう、信頼性の高い球排出動作が不可欠である。そして、球貸排出動作に関しては、金銭と等価なプリペイドカード等を取り扱う関係上、必然的にカード管理と貸球排出数との厳密な整合が要求されており、不意の停電等で遊技装置が停止するような事態が起きても、球貸に関する情報は有体物であるカードに記録されて残っていると遊技者は認識するため、この種のカードを取り扱う装置に対し、遊技者はある程度の信頼感を持っている。その反面、賞球排出動作については、不意の停電等で遊技装置が停止した場合でも不利益を受けることが無いという安心感を遊技者に与える要因が無いため、その動作に不信感を持ち易く、例えば適正量の賞球排出が完了した直後に停電が発生した場合でも、未排出分の賞球が多く残っているような錯覚を起こし、遊技店との無用なトラブルに繋がる可能性もある。
そこで、カードユニットと遊技機本体とに分割して遊技機本体が備える球排出装置を使って賞球排出動作と貸球排出動作を行う構成のカード式遊技装置とした場合でも、適正な賞球排出動作が行えずに遊技者に不利益を与えることがなく、信頼性の高い賞球と貸球の排出動作を期せるようなカード式遊技装置とすることが望まれる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、挿入された球貸用のプリペイドカードによる球貸制御を行うカード制御部を補助枠内に収納してなるカードユニットと、遊技盤に設けた各種遊技装置の制御を行う遊技制御部と、該遊技制御部から出力される賞球データ信号もしくはカードユニットのカード制御部から出力される球貸要求信号に基づき、所要数の遊技球を排出させる制御を行う排出制御部と、を含む遊技機本体と、からなるカード式遊技装置であって、上記遊技機本体の排出制御部には、上記球貸要求信号に基づく遊技球の排出制御が可能となる排出開始条件を満たす状態であることを上記カードユニットのカード制御部へ連絡するための球貸排出可能信号を送信する球貸排出可能信号送信手段と、上記球貸排出可能信号の出力中に上記カード制御部から送信された上記球貸要求信号が入力されると、該球貸要求信号に対応して実行する球貸のための遊技球の排出を、球貸の最小単位数毎に排出制御する球貸排出制御手段と、賞球データ信号に基づく賞としての遊技球数を計数して、所定遊技球数単位毎に賞球数信号を外部へ出力する賞球情報出力手段と、球貸要求信号に基づく球貸としての遊技球数を計数して、最小単位数毎に球貸数信号を外部へ出力する球貸情報出力手段と、上記遊技制御部からの賞球データ信号の受信に基づき賞球排出実行情報を一時的に記憶可能な記憶手段と、当該カード式遊技装置への電源供給が遮断された際に上記排出制御部の記憶手段に記憶された賞球排出実行情報を保持するバックアップ手段と、を設けた。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、遊技機本体の排出制御部は、電源供給の復帰時において、賞球排出が正常に実行することが可能か否かを判定して、賞球排出が正常に実行可能であると判定されたことを条件に上記バックアップ手段により保持された賞球排出実行情報に基づく賞球排出を再開するようにしたことを特徴とする。
【0005】
従って、請求項1に係るカード式遊技装置では、賞球情報出力手段によって所定遊技球数毎に賞球数信号を外部へ出力し、球貸情報出力手段によって球貸の最小単位数毎に球貸数信号を外部へ出力するので、賞球データ信号に基づいて排出した遊技球数は賞球数信号から知ることができ、球貸要求信号に基づいて排出した遊技球数は球貸の最小単位数毎に出力される球貸数信号から知ることができ、上記球貸要求信号は、遊技機本体の球貸排出可能信号送信手段からカードユニットへ送信される球貸排出可能信号を受信中のカード制御部から送信されるので、遊技機本体とカードユニットの双方が適正な球貸動作を行える場合に送信される信頼性の高い信号となり、球貸のための遊技球の排出を球貸排出制御手段が球貸の最小単位数毎に排出制御してゆき、当該カード式遊技装置の電源供給が遮断された際には、バックアップ手段によって、記憶手段に一時的に記憶された賞球排出実行情報が消失することなく保持される。
また、請求項2に係るカード式遊技装置では、電源供給の復帰時に賞球排出が正常に実行可能であれば、バックアップ手段により保持された記憶手段の記憶内である賞球排出実行情報に基づく賞球排出が再開される。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るカード式遊技装置をパチンコ機とした実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明に係るカード式遊技装置は遊技機本体とカードユニットとを別体としたものであるが、先ず、カードユニットの機能を遊技機へ一体的に組み込んだパチンコ機1に基づいて、遊技機とカードユニットに分散させる諸機能の具体的構成を以下に説明する。
【0007】
パチンコ機1は図1に示すように、中空箱枠状の機枠2の前面側へ額縁状の前面枠3を回動可能に設け、該前面枠3に開設した窓部4を後方から塞ぐように遊技領域たる遊技盤5を配設してあり、該遊技盤5に遊技媒体たる遊技球を発射し、各種入賞具(後に詳述)に入賞することによって、賞球が得られるパチンコ遊技を行えるようにしてある。また、前面枠3の下部適所には打球発射用の球発射機構を操作するための操作ハンドル6、球発射機構へ供給する球を貯留する球供給皿7、この球供給皿7の下方に設けられた球受皿8等を適宜に設けてある。
【0008】
上記球受皿8の側方にはカード制御装置9(後に詳述)を設けてあり、このカード制御装置9はカード挿排口10より挿入されたプリペイドカード(所定の金額で予め販売されるパチンコ遊技用のカードであって、通貨と等価な有価データを磁気記録部に記憶させたものをいう)の有価データを読み取ると共に、例えば球供給皿7に設けた第1〜第4選択スイッチ11a〜11dよりなる球貸ボタン11の何れかを遊技客が選択することに応じて所定数の遊技球を貸し出し、貸し出した遊技球に相当する通貨を減算した値にプリペイドカードの有価データを書き換え、返却ボタン12を遊技客が選択するか、もしくはプリペイドカードの有価データの残数が“0”になった場合に、カード挿排口10へ挿入されたプリペイドカードを排出するのである。
【0009】
なお、上記した球貸ボタン11を構成する第1〜第4選択スイッチ11a〜11dの各近傍には、第1〜第4選択表示部13a〜13dよりなる球貸ボタン押圧表示部13を設けてあり、該球貸ボタン押圧表示部13を点灯表示させることによって、遊技者は自らが選択した選択スイッチ11a〜11dを確認できるようにしてある。
【0010】
上記球貸ボタン12を選択することによってプリペイドカードの磁気記憶部に記録された有価データが減ぜられた残りの有価データに基づく残高を遊技者が把握できるように、球供給皿7における遊技者の視認可能な適所には残高表示部14(例えば第1〜第3表示部14a,14b,14cより構成)を設けてある。なお、カード挿排口10の上方適所には、挿入時におけるプリペイドカードの残高を表示するための挿入残高表示部15(例えば第1〜第3表示部15a〜15cより構成)を設けて、一旦挿入されたプリペイドカードが排出されるまで、挿入時の残高を継続的に表示させる。斯くすることによって、遊技者が当該パチンコ機1にプリペイドカードを挿入してから、どの程度の球貸要求をしたかを把握できるのである。
【0011】
また、上記挿入残高表示部15の一側方(図1に示す実施形態においては右側)には、カード制御装置9内にプリペイドカードが挿入された状態であることを表示するためのカード保持表示部16を設けると共に、当該パチンコ機1において貸球動作が可能な状態にあることを遊技者に表示するための貸球可能表示部17をパチンコ機1の適所(例えば前面枠3の上部)に設けてある。さらに、例えば球供給皿7の適宜上方には、当該パチンコ機1がプリペイドカードの使用による貸球動作中であることを示すための貸球排出表示部18、当該パチンコ機1が入賞球に基づく賞球排出動作中であることを示すための賞球排出表示部19を、例えば球供給皿7の適宜上方に並設してある。
【0012】
上記遊技盤5は図2に示すように、前面側にガイドレール20で囲まれた遊技部21を有し、該遊技部21内に各種の入賞具22…や風車23…及び多数の釘24…等を適宜に配設すると共に、当該遊技部21のほぼ中央部には可変表示装置25を配設し、可変表示装置25に設けた可変表示器26と、打止め表示部27が遊技者に良好に視認されるようにしてある。
【0013】
また、可変表示装置25の適宜下方には変動入賞装置28を、該変動入賞装置28と可変表示装置25との間には第1始動スイッチ29aを内部に有する第1始動口30を、変動入賞装置28の左右翼部にはそれぞれ内部に第2始動スイッチ29b,第3始動スイッチ29cを有する第2始動口31、第3始動口32を夫々設けてあり、遊技部21の中央下部には各種入賞具22や第1〜第3始動口30〜32に入賞しなかった遊技球を遊技盤5の裏面側へ導くためのアウト口33を開設してある。
【0014】
上記した可変表示装置25は、図3及び図4に示すように、遊技盤5に取り付けるための取付基板34の前面のほぼ中央部に可変表示器26を設け、この可変表示器26よりも適宜上方には鎧部35を突出状に形成し、該鎧部35の上部には上部入賞口36を、鎧部35の前面側には打止め表示部27を設けるようにしてあり、この打止め表示部27は透光性の表示板27aの裏面側から打止め表示用発光体27b…を発光させることで、表示板27aに書した「打止め」等の文字が照らし出されるように構成してある。
【0015】
また、上記可変表示器26の適宜下方には例えば4個の記憶表示用発光体37…を並設し、上記第1〜第3始動口30〜32に入賞した入賞球の数を最大4個まで記憶表示するようにしてあると共に、所要位置に適数設けた装飾用ランプ38を適宜に点灯もしくは点滅させることによって、当該パチンコ機1が補助遊技状態または特別遊技状態にあることを遊技者に知らせるようにしてある。
【0016】
可変表示器26は例えば第1可変表示部26a、第2可変表示部26b、第3可変表示部26cの3つの可変表示部から構成されるようにしてあり、該第1〜第3可変表示部26a〜26cは縦横に整列配置した多数の可変表示用発光体39…を適宜に点灯もしくは消灯することによって、各可変表示部12a〜12cに所望の図柄や英数字等を表示できるようにしてある。
【0017】
変動入賞装置28は図5に示すように、遊技盤5に取り付ける第1基板40の前面側ほぼ中央へ上部適所が開成する球受体41を突出状に設け、該球受体41の上部開成部たる横長な球通過口42を開設し、該球通過口42の左右縁部には球通過口42への球流下路を閉塞可能な球受扉43,43を回動可能に軸着してあり、これら球受扉43は第2基板44に取り付けられたソレノイド等よりなる駆動源45と所望のクランク機構によって連結してある。
【0018】
上記駆動源45の非駆動時には球通過口42への球流下路を阻む第1状態にある1対の球受扉43,43は、駆動源45が駆動することによって左右に所定角度だけ回動し、球通過口42へ至る球流下路が開成され、球通過口42への入賞が可能な第2状態に変換される。すなわち、駆動源45を適宜駆動させることによって、該変動入賞装置28は遊技者にとって不利な第1状態から遊技者にとって有利な第2状態に変換駆動されるのである。
【0019】
また、球受体41の前面側適所には透光性部材46を設けてあり、該透光性部材46の背面側に配設した7セグメントの可変表示器等よりなる継続回数表示器47及び入賞個数表示器48の表示内容がパチンコ機1の前面側から視認可能な状態となるようにしてある。そして、上記継続回数表示器47は球通過口42の中央部に設けた継続入賞球検出器49が特別遊技中に入賞球を検出することによって継続更新されたサイクル数たる継続回数を表示し、入賞個数表示器48は変動入賞装置28が第2状態に変換した際に球通過口42内に入賞した入賞球を検出する入賞個数検出器50が検出した入賞個数を表示し、遊技者が特別遊技中の遊技状態を把握できるようにしてある。
【0020】
一方、パチンコ機1の裏面側(図6に示す)には、上記遊技盤5の遊技部21内へ弾球された球(セーフ球およびアウト球)を回収して、適宜に処理すると共に、各入賞球に応じた賞球の排出制御、プリペイドカードの使用に基づいた遊技者の選択による球貸排出制御を行えるように、各種の機構部を備えた裏機構盤51を設けてあり、該裏機構盤51に設けた主な機構部について以下説明する。
【0021】
上記遊技盤5の裏面には各種入賞口から裏面側へ導かれたセーフ球たる入賞球を集めるための入賞球集合樋(図示省略)を設けてあり、該入賞球集合樋から流下してきた入賞球を受け得る所要位置において上面が開成する入賞球案内樋52によって、遊技盤5からの入賞球を集め、磁気センサ等よりなるセーフセンサ53へ導くための調流樋54へ入賞球を整列状態で供給し、該調流樋54を通過する間に入賞球は上記セーフセンサ53で1個宛検出され、調流樋54と接続する導出樋55からパチンコ機1外へ排出される。
【0022】
また、上記調流樋54におけるセーフセンサ53の下流側適所には、セーフ球払出機構56を設けてあり、このセーフ球払出機構56が作動しない限り貯留樋54を流下してきた入賞球が導出樋55へ達することができないようにしてある。すなわち、セーフセンサ53が入賞球を検出することに基づいて、当該入賞球に対する賞球の排出動作が行われるまで、上記セーフ球払出機構56によってセーフ球を貯留状態とし、賞球排出動作が完了した時点でセーフ球を1個宛払い出すのである。
【0023】
上記セーフ球払出機構56は、回動自在に軸着された略扇形の第1流下阻止部材57aの自由端側たる弧状部分を調流樋54内に臨ませ、この第1流下阻止部材57aを調流樋54内から引き上げるためのセーフソレノイド58を適宜なクランク機構を介して第1流下阻止部材57aと接続すると共に、該第1流下阻止部材57aが調流樋54内から引き上げられた際に調流樋54内へ臨む状態となって、セーフセンサ53の直上部に位置する球の流下を阻止する第2流下阻止部材57bを回動自在に軸着することで構成してある(図7参照)。
【0024】
すなわち、常時はスプリングの付勢力によってセーフソレノイド58のプランジャが垂下した状態となるために、第1流下阻止部材57aが調流樋54内に突出して、球の流下を阻止する状態(本実施形態においては、最上流側の球がセーフセンサ53内に滞留した状態)となり、第2流下阻止部材57bはウエイト等の付勢力によって、調流樋54内に臨む流下阻止部が上方へ回動した状態となるのである。一方、セーフソレノイド58がオンすると、プランジャがスプリングリングの付勢力に抗して引き上げられるために、第1流下阻止部材57aが調流樋54から引き出され、セーフソレノイド53をオンさせた状態で停留されていた最上流側に位置する入賞球の流下を許容すると共に、第2流下阻止部材57bが調流樋54内に入り込むことで、第1流下阻止部材57aに開放された入賞球の直上部に位置する入賞球の流下を阻止する状態になる。そして、入賞球が流下するために必要十分な時間が経過した後に、セーフソレノイド58をオフにすることで、第1流下阻止部材57aを復帰させると共に、第2流下阻止部材57bを調流樋54から引き出す。かくすることによって、セーフ球払出機構56が1回動作する毎に、入賞球が1個宛確実に払い出されるのである。
【0025】
なお、セーフ球払出機構56は上記の構成に限らず、例えば、第2流下阻止部材57bを廃して、入賞球1個のみが流下する時間に等しい時間が経過した時点で、第1流下阻止部材57aを調流樋54内に復帰させるようにしてもよい。
【0026】
また、遊技盤5に設けた入賞具22…や変動入賞装置28への入賞球によって排出する賞球数を異らしめる場合には、各入賞具22や変動入賞装置28内に設けた入賞球検出手段(例えば、第1〜第3始動スイッチ29a〜29cや継続入賞球検出器49、入賞個数検出器50等)の何れが入賞球を検出したかに基づいて、セーフセンサ53がオンした際の排出賞球数を決定するようにすればよい。また、遊技盤5の背面側に設ける入賞球集合樋を2系統設け、各入賞球集合樋と接続される入賞球案内樋を夫々構成し、各入賞球案内樋に応じた2系統の流路を設けて、各流路を通過する入賞球を異なる入賞球検出手段によって別途に検出するように構成してもよい。
【0027】
一方、アウト口33より遊技盤5の裏面側へ導かれたアウト球は、アウト球導出路59を経て、アウト球流下路60からパチンコ機1外へ排出される。尚、アウト球流下路60には適宜な凹凸を設けることで、アウト球の落下する勢いを減殺し、該アウト球が落下する回収樋への衝撃を軽減するようにしてある。また、アウト球流下路60の適所にはアウトセンサ61を配設し、アウト球として回収された球数を計数可能なようにしてある。
【0028】
裏機構盤51の上部には補給された遊技媒体たる球を貯留する補給タンクとしての球貯留タンク62を設けてあり、該球貯留タンク62内の球は誘導樋63を経て、遊技媒体たる球を排出する球排出装置としての遊技媒体排出装置64へ供給される。上記球貯留タンク62へはパチンコ機列より構成された島設備の球供給樋より球供給されるものとしてあり、例えば各パチンコ機1…を総括的に管理する管理装置の制御によって、球が適宜に補給されるようにしてある。この球貯留タンク62内の球数が不足したことを検出するための補給センサ65を、例えば誘導樋63の球流入部に配設してあり、上記補給センサ65が球不足を検出し、該検出情報を管理装置が受信することによって、当該パチンコ機1の球貯留タンク62への球補給が為されるのである。
【0029】
また、誘導樋63には2条の球流路を設けてあり、各流路から遊技媒体排出装置64へ球を供給する球出口66a,66bの適宜上流側には排出待機球検出機構部67を設けてあり、上記補給センサ65の破損や球補給機構の破損等によって球が補給されなかった場合、もしくは当該パチンコ機1において極短時間に大量の遊技媒体排出が行われた為に球供給が間に合わなかった場合等に、この排出待機球検出機構部67によって排出用の遊技媒体数が極端に減少している状態(例えば球貸要求に対する十分な排出球が残存していない状態や、入賞球に対する賞球用の球が十分に残存していない状態等)を検出するのである。
【0030】
図8に示す排出待機球検出機構部67は、リミットスイッチ等より構成される排出待機球検出器68と、該排出待機球検出器68に作用する作用部材69と、誘導樋63内に球が無いことに基づいて上記作用部材69に作用する球不足検出部材70とから構成してある。なお、この排出待機球検出器68は、遊技媒体排出装置64から遊技球として排出可能な遊技媒体の残量が所定量以下になったことを検出し、遊技媒体の排出を規制するか否かの排出制御に供される。
【0031】
球不足検出部材70は、軸71に対して相対する方向に延出する球受片72および第1作用片73を有し、誘導樋63の取付基板74に取り付けられた軸71に対して、球受片72および第1作用片73が揺動自在な状態としてある。なお、第1作用片73には第1ウエイト75を設けてあり、常時は第1作用片73が下方に付勢されると共に、球受片72が上動するようにしてある。また、誘導樋63の球流路76a,76bの適所には検出孔77a,77bを開設してあり、上動した球受片72が球流路76a,76bの上流側から下流側へ上り傾斜する状態で、該検出孔77a,77bから誘導樋63の球流路76a,76b内へ若干突出した状態となるように、各部材の取付位置および寸法形状を設定してある(図8(a)参照)。
【0032】
さらに、誘導樋63の球流路76a,76b内を球が流下した場合には、球が球受片72上へ乗り上げ、該流下球の重量によって、第1作用片73に設けた第1ウエイト75の付勢力に抗して球受片72を押し下げ、押し下げられた球受片72は球流下路47の検出孔77a,77bを滑らかに閉塞し得る位置に移動する(図8(b)参照)。したがって、流下球が球流路76a,76bの検出孔77a,77bから落下することなく、スムースに球流下路47内を流下可能とするのである。
【0033】
また、作用部材69は、軸78に対して相対する方向に延出する第2作用片79およびスイッチ押圧片80を有し、第2作用片79は上記球不足検出部材70の第1作用片73の先端部下方と当接し得る所要形状に、スイッチ押圧片80は上記排出待機球検出器68の作動突起を押圧可能な所要形状に夫々形成してある。なお、スイッチ押圧片80には上記第1ウエイト75よりも適宜軽い第2ウエイト81を設けてあり、球不足検出部材70の第1作用片73によって第2作用片79が下方へ押圧されていない間は、上記第2ウエイト81の付勢力によって、第2作用片79を上方へ押し上げる(図8(b)参照)が、第1ウエイト75の付勢力によって第2作用片79が下方に押し下げられると、スイッチ押圧片80が上方に押し上げられて、該スイッチ押圧片80によって排出待機球検出器68がオンさせられるのである(図8(a)参照)。
【0034】
したがって、誘導樋63の球流路76a,76b内における検出孔77a,77b上に球が存する場合には、球不足検出部材70の球受片72が球によって下方に押し下げられることにより、該球不足検出部材70の第1作用片73が作用部材69の第2作用片79に作用しないため、作用部材69のスイッチ押圧片80は第2ウエイト81の付勢力によって下方に押し下げられ、作用部材69のスイッチ押圧片80が作用しないために、排出待機球検出器68はオフ状態となる。
【0035】
一方、誘導樋63の球流路76a,76b内における検出孔77a,77b上に球が存しない場合には、球不足検出部材70の球受片72が第1作用片73に設けた第1ウエイト75の付勢力によって上方に押し上げられることにより、該球不足検出部材70の第1作用片73が作用部材69の第2作用片79を押し下げる方向に作用するため、作用部材69のスイッチ押圧片80は上方に押し上げられ、作用部材69のスイッチ押圧片80が作用することによって、排出待機球検出器68はオン状態となる。
【0036】
斯くして、上記のように構成した排出待機球検出機構部67によれば、誘導樋63の球流路76a,76bに設けた検出孔77a,77bよりも上流側にのみ球が存在しない場合を球不足状態として検出するので、遊技媒体排出装置64へ排出用の遊技媒体として供給する球が十分であるか否かを検出することが可能となる。
【0037】
なお、誘導樋63の球流路76a,76bにおける検出孔77a,77bの上方適所には、球ならし部材82を揺動自在に軸着してあり、該球ならし部材82は、下方に若干突出する弧状の球ならし片83の球ならし部83a(球ならし片83の上流側)が球流入阻止部83b(球ならし片83の下流側)に比して長くなる適所に軸84を設けた構成としてある。この球ならし部材82は、球流路76a,76bの上流側より流下する球を1個宛にならして球出口66a,66bへ供給するように作用すると共に、例えば球ならし片83の球ならし部83aを上方へ回動させることによって、球流入阻止部83bが下方へ回動させられて、球の流下を阻むように球流路76a,76bへ延在した状態となり、球流路76a,76bの検出孔77a,77bに位置する球不足検出部材70の球受片72へ球が至ることを阻止するのである。
【0038】
上記のように2条の球流路76a,76bを構成した誘導樋63より遊技媒体たる球が供給される遊技媒体排出装置64は、第1遊技媒体排出機構85a及び第2遊技媒体排出機構85bより構成してあり、例えば球流路76aの球出口66aより第1遊技媒体排出機構85aへ、球流路76bの球出口66bより第2遊技媒体排出機構85bへ夫々遊技媒体たる球が供給されるものとしてある。
【0039】
遊技媒体排出装置64の第1遊技媒体排出機構85a及び第2遊技媒体排出機構85bは、前面枠3の裏機構盤51に取り付けるユニット基板86の前後方向へ2系統に設けるものとしてあり、その概略は図9に示すようなもので、誘導樋63に2条に設けた球流路76a,76bと連通する流入樋87a,87bと、該流入樋87a,87bに設置した排出ロック機構88と、上記流入樋87a,87bに続く調流樋89a,89bに設置した排出ストッパ機構90a,90b及び排出球の検出手段たる第1排出センサ91a、第2排出センサ91bとから構成してある。
【0040】
なお、本実施形態においては流入樋87a、調流樋89aをユニット基板86の裏面側(パチンコ機1の前面側)に、流入樋87b、調流樋89bをユニット基板86の表面側(パチンコ機1の背面側)に一体的に形成するものとし、ユニット基板86を間に介して流入樋87a、調流樋89a、排出ストッパ機構90a、第1排出センサ91aは前面枠3の裏機構盤51後面の奥側に、流入樋87b、調流樋89b、排出ストッパ機構90b、第2排出センサ91bは前面枠3の裏機構盤51後面の手前側に位置した状態となる。
【0041】
上記流入樋87a,87bは、パチンコ球を一個ずつ通過可能な通路で、誘導樋63の球流路76a,76bに続いて図9中右側に緩やかに下り傾斜する第1傾斜部92と、該第1傾斜部92の下流端に続いて通路方向を略180度反転させる第1屈曲部93と、該第1屈曲部93に続いて図中左側に緩やかに下り傾斜する第2傾斜部94と、該第2傾斜部94の下流端に続いて通路方向を再び略180度反転させる第2屈曲部95とから形成してある。
【0042】
なお、流入樋87a,87bの各部の通路断面をパチンコ球の径よりもやや大きい正方形とすることで、各通路のほぼ中心にてパチンコ球を通すようにし、通路を略180度反転させるように第1屈曲部93及び第2屈曲部95を設けることで、通路内を流下するパチンコ球の落下速度を減少させると共に、排出ストッパ機構90a,90bによる通路内パチンコ球の流下阻止状態(後に詳述する)において、誘導樋63の各球流路76a,76bに停留する球から第1,第2遊技媒体排出機構85a,85b内の球が受ける球圧を軽減させ得るのである。
【0043】
上記調流樋89a,89bは、同じくパチンコ球を一個ずつ通過可能な通路で、第2屈曲部95に続いて通路方向を略90度反転させて垂直下方に向う垂直部96と、該垂直部96の終端の側部に続く誘導部97と、該誘導部97に略45度の傾斜角で続く調流部98と、該調流部98に垂直に続く落下部99とから形成してある。
【0044】
垂直部96の通路断面はパチンコ球の径よりもやや大きい正方形に、ほぼ通路の中心にてパチンコ球を通すように形成し、垂直部96の終端の底壁100は誘導部97側へ緩やかに傾斜する下り傾斜に形成し、垂直部96の誘導部97と対向側の壁面101は誘導部97側にいくらか迫り出させて形成してある。
上記のように誘導部97と対向側の壁面101を迫り出させることにより、垂直部96の底壁100上に乗ったパチンコ球の中心は後続のパチンコ球の中心よりも誘導部97側に位置することになり、垂直部96の底壁100上に乗ったパチンコ球には後続のパチンコ球によって誘導部97側へ押し出されるような球圧が生じる。これにより、垂直部96内のパチンコ球は終端部分において球詰まりを生じることなく誘導部97へ流入するのである。
【0045】
誘導部97の上壁102は略45度下り傾斜するように形成してあり、誘導部97においてパチンコ球が後続の垂直部96の底壁100上のパチンコ球よりも、上方に行かないようにすると共に、垂直部96の底壁100にて方向を変えながら誘導部97に流入するパチンコ球を略45度傾斜した上壁102に当てることにより、誘導部97においてパチンコ球を一定の間隔で流下させ、かつパチンコ球の流下速度を調整する。これにより、垂直部96から誘導部97に入ったパチンコ球は誘導部97を所定の速度および間隔で流下し、スムースに調流部98に流入される。また、垂直部96に接続される誘導部97を設けることで、後述する排出ストッパ機構90a,90bによる流下阻止状態において、調流部98内のパチンコ球が後続の球から受ける球圧を軽減することができる。
【0046】
また、調流部98は直線の通路形状で所定の長さ(例えばパチンコ球2個分)に形成され、調流部98の通路断面はパチンコ球の径よりもやや大きい正方形に、ほぼ通路の中心にてパチンコ球を通すように形成し、落下部99は調流部98からのパチンコ球を素早く落下させるように調流部98よりも大きな通路断面に形成してある。
【0047】
排出ストッパ機構90a,90bには、調流樋89a,89bの調流部98側上方より調流部98内に進入して各流路内のパチンコ球の流下を阻止するストッパ用係止爪103a,103bと、それぞれストッパ用係止爪103a,103bを駆動させるための駆動手段たる第1排出ソレノイド104a、第2排出ソレノイド104bを設けてある。上記ストッパ用係止爪103a,103bは流路内に臨む部分を弧状とした扇状部材からなり、両ストッパ用係止爪103a,103bは調流部98の流下部側方にてユニット基板86に突設した支軸105により揺動自在に支持されるものとしてあり、該支軸105を支点に両ストッパ用係止爪103a,103bが回動した際には、球阻止部となる扇状外周部が揺動軌跡と一致するように形成してある。
【0048】
なお、このストッパ用係止爪103a,103bはリンク106を介して第1,第2排出ソレノイド104a,104bのプランジャとピン連結してある。また、ストッパ用係止爪103a,103bに対応して調流部98の側壁には適宜なスリットを設け、ストッパ用係止爪103a,103bが調流部98内に進入した状態において調流部98内に流下を阻止されたパチンコ球2個が並ぶように、ストッパ用係止爪103a,103bの配設位置やスリットの位置等を設定する。
【0049】
なお、これら第1,第2排出ソレノイド104a,104bはユニット基板86に設けた所要形状の嵌合枠(図示省略)に嵌装し、嵌合枠に立設した取付片にネジ止めする等の適宜手段によってユニット基板86へ固定する。
【0050】
第1,第2排出ソレノイド104a,104bの非通電状態においては、図10(a)のようにストッパ用係止爪103a,103bの球阻止部が調流部98内に所定量進入した第1状態にあり、この状態では調流部98内のパチンコ球はストッパ用係止爪103a,103bの球阻止部により流下を阻止される。そして、第1,第2排出ソレノイド104a,104bへ通電することで第1,第2排出ソレノイド104a,104bを駆動させると、図10(b)のようにリンク106の引動によりストッパ用係止爪103a,103bが上方に回動して、ストッパ用係止爪103a,103bの球阻止部がスリット内に後退した第2状態となる。このため調流部98内のパチンコ球はストッパ用係止爪103a,103bから解放され、落下部99に落下する。そして、第1,第2排出ソレノイド104a,104bの通電が断たれると、リターンスプリングの付勢力によって、ストッパ用係止爪103a,103bが元の位置(第1状態)に戻り、各球阻止部により調流部98内のパチンコ球は流下を阻止される。
【0051】
しかして、ストッパ用係止爪103a,103bは支軸105によって揺動自在に支持してあると共に、各球係止部を揺動軌跡と一致する扇状に形成してあるので、各球係止部はパチンコ球とストッパ用係止爪103a,103bの接点における接線方向へ常に回動することとなり、ストッパ用係止爪103a,103bが第2状態から第1状態に復帰する際に、ストッパ用係止爪103a,103bが調流部98内のパチンコ球を噛んだり、ストッパ用係止爪103a,103bが第1状態から第2状態に変動する際に、流下を阻止しているパチンコ球の球圧が過大に変化することがなく、ストッパ用係止爪103a,103bを第1,第2排出ソレノイド104a,104bのオン・オフに応じてスムースに動作させることができる。
【0052】
さらに、図9および図10(a)に示すごとく、ストッパ用係止爪103a,103bとパチンコ球との接点および支軸105の軸心を、当該パチンコ球の中心点を通る水平面上に設けるように構成すれば、このパチンコ球よりストッパ用係止爪103a,103bにかかる球圧を支軸105によって受けることができるので、極めて機械的強度に優れた排出ストッパ機構90a,90bとすることができる。
【0053】
上記第1,第2排出センサ91a,91bは、パチンコ球が通過可能な通孔を有する近接スイッチ等より構成してあり、排出ストッパ機構90a,90bのストッパ用係止爪103a,103bによりパチンコ球の流下を阻止した第1状態において、先頭に続く2番目のパチンコ球のほぼ中央に各近接スイッチが位置するように、調流樋89a,89bの調流部98に設けた収納部107に設置してある。なお、パチンコ球が第1,第2排出センサ91a,91b内にあるときは第1,第2排出センサ91a,91bはオン信号を出力し、無いときはオフ信号を出力する。
【0054】
上記排出ロック機構88には、それぞれ流入樋87a,87bの第1傾斜部92の下流部の上壁に設けたスリットを介して第1傾斜部92内に進入可能な扇状部材からなるロック用係止爪108a,108bと、該ロック用係止爪108a,108bの駆動手段たるロックソレノイド109を設けてあり、第1傾斜部92の下流部上方にてユニット基板86に設けた支軸110によってロック用係止爪108a,108bは揺動自在に支持されると共に、上記したストッパ用係止爪103a,103bと同様にして、球阻止部となる扇状外周部が揺動軌跡と一致するようにしてある。なお、ロック用係止爪108a,108bはリンク111を介してロックソレノイド109のプランジャとピン連結してある。また、ロックソレノイド109は例えばロック用係止爪108bの上方にてユニット基板86の表面側(パチンコ機1の背面側)に設けた嵌合枠(図示省略)に嵌装し、嵌合枠から立設した取付片にボルト止めすることでユニット基板86に固定する。
【0055】
ロックソレノイド109の通電状態においては、ロック用係止爪108a,108bの球阻止部が第1傾斜部92の球通路外へ後退した第1状態となり、ロックソレノイド109の通電が断たれた場合には、スプリングの付勢力によりロック用係止爪108a,108bが下方に回動し、両ロック用係止爪108a,108bの球阻止部が第1傾斜部92内に進入し、第1傾斜部92内のパチンコ球の流下を阻止する第2状態(図9参照)となる。
なお、ロック用係止爪108a,108bの球阻止部は揺動軌跡と一致するように形成してあるために、第2状態から第1状態に変動する際に第1傾斜部92内のパチンコ球を噛んだり、第2状態から第1状態に変動する際に第1傾斜部92内のパチンコ球より受ける球圧が過大に変化することがなく、ロック用係止爪108a,108bをロックソレノイド109のオン・オフに応じてスムースに動作させることができる。
【0056】
次に、上記のように構成した第1,第2遊技媒体排出機構85a,85bにおけるパチンコ球の動きを詳述する。
【0057】
排出ストッパ機構90a,90bのストッパ用係止爪103a,103bが調流樋89a,89bの調流部98内に進入してパチンコ球の流下を阻止している第1状態では、ストッパ用係止爪103a,103bに当接するパチンコ球を先頭に調流樋89a,89b及び流入樋87a,87b内にパチンコ球が隙間なく整列した状態で静止している。
【0058】
この際、誘導樋63側のパチンコ球からの球圧は流入樋87a,87bの第1屈曲部93及び第2屈曲部95によって軽減されるので、調流樋89a,89bの上流側に位置する球群から調流樋89a,89b側に過大な球圧がかかることを防げる。したがって、排出ストッパ機構90a,90bのストッパ用係止爪103a,103bにかかる球圧は調流樋89a,89bの調流部98内および誘導部97内に位置するパチンコ球より受ける球圧に近似したものとなる。
【0059】
そして、排出ストッパ機構90a,90bの第1,第2排出ソレノイド104a,104bをオンさせることによって、ストッパ用係止爪103a,103bが調流部98から後退した第2状態に変動させると、調流部98内の先頭のパチンコ球および先頭に続く調流部98、誘導部97内のパチンコ球が速やかに流下し始め、これに続いて垂直部96内のパチンコ球が誘導部97内に進入し、誘導部97の上壁102より速度、間隔を調整されて誘導部97内を落下し、調流部98内を速やかに流下する。
【0060】
さらに、これに続いて流入樋87a,87bの第2屈曲部95内のパチンコ球が垂直部96内に、第1屈曲部93内のパチンコ球が第2傾斜部94内に、第1傾斜部92内のパチンコ球が第1屈曲部93内に夫々速やかに流入する。
この際、ストッパ用係止爪103a,103bの後退により、先頭のパチンコ球と先頭に続く調流部98内のパチンコ球はほぼ接しながら調流部98内を流下し、誘導部97からのパチンコ球は45度の角度で調流部98が続くため、方向を変えつつ前方のパチンコ球と漸次離間して調流部98内を流下し、さらに垂直部96からのパチンコ球は誘導部97の上壁102により速度、間隔を調整されるため、それぞれの所定の離間距離で調流部98内を流下するようになる。
【0061】
そして、排出ストッパ機構90a,90bの第1,第2排出ソレノイド104a,104bをオフにすることで、ストッパ用係止爪103a,103bが調流部98内に進入した第1状態に変換させると、調流部98内を流下途中のパチンコ球がストッパ用係止爪103a,103bに衝突して流下を阻止され、これに続いて調流部98、誘導部97、垂直部96、第2屈曲部95、第2傾斜部94、第1屈曲部93、第1傾斜部92内のパチンコ球も流下を阻止されることとなり、パチンコ球の排出動作が終了して元の静止状態に戻る。
【0062】
このとき、ストッパ用係止爪103a,103bの球阻止部は揺動軌跡と一致するようにしてあるので、パチンコ球がストッパ用係止爪103a,103bに衝突した際の衝撃力を支軸105によって受けることができ、パチンコ球の衝撃力に抗して良好にパチンコ球を係止できると共に、球阻止部はパチンコ球に対して接線方向に動くため、ストッパ用係止爪103a,103bが調流部98内へ進入する際にパチンコ球と衝突しても、ストッパ用係止爪103a,103bがパチンコ球を噛んだりすることはなく、ストッパ用係止爪103a,103bは調流部98内へスムースに進入する。
【0063】
このように、誘導樋63の球流路76a,76bに続く第1,第2遊技媒体排出機構85a,85bの流入樋87a,87bに2つの屈曲部93,95を、第2屈曲部95に続いて垂直部96を設け、垂直部96の壁面72を迫り出させて対向側に上壁102を傾斜した誘導部97を設け、誘導部97の下方に略45度傾斜した調流部98を設けると共に、この調流部98に排出ストッパ機構90a,90bを配設したので、第1,第2排出ソレノイド104a,104bのオン時たる第2状態においてはパチンコ球がスムースに流下すると共に、第1,第2排出ソレノイド104a,104bのオフ時たる第1状態においてはストッパ用係止爪103a,103b等にかかる球圧を充分に軽減でき、第1,第2遊技媒体排出機構85a,85bの信頼性を大幅に向上させることができる。
【0064】
また、第1,第2遊技媒体排出機構85a,85bはユニット構造としてあるので、各部品が故障したとき等には、故障部分をユニット単位で簡便に交換することが可能であり、故障等に対して迅速に対応できる。しかも、第1,第2排出ソレノイド104a,104b及びロックソレノイド109を鉛直方向に配設することにより、駆動用プランジャの挿通孔よりソレノイド内部へ塵埃が侵入したり、プランジャと挿通孔の摩擦によってプランジャが片減りするのを防止できる。
【0065】
なお、83は前面枠3の前面に適宜形成した操作孔よりピンあるいはワイヤのような器具を挿入することにより、オン・オフ操作可能なスイッチたる球抜センサ112で、後述する球抜きゲートを作動させるためのものである。
【0066】
上記のように構成した第1,第2遊技媒体排出機構85a,85bはそれぞれ個別に制御されるものとしてあり、例えば“13個”の球排出動作を行う場合には、第1遊技媒体排出機構85aより“7個”の賞球を排出させると共に、第2遊技媒体排出機構85bより“6個”の賞球を排出させることで、短時間に総計“13個”の賞球を排出させるのである。すなわち、賞球を2系統排出にすることで、特別遊技の発生に伴って多量の入賞球が発生した場合や、多量の球貸要求が発生した場合においても、迅速に遊技媒体の排出処理を行うことができるので、球排出動作の遅延によって遊技者に不快感を与えることを防止できる。
なお、各遊技媒体排出機構85a,85bより排出される球数は第1,第2排出センサ91a,91bによって計数されるものとしてあり、排出球数に過不足の無い正確な球排出動作が可能である。
【0067】
第1,第2遊技媒体排出機構85a,85bに続く球排出樋113は、図6に示すように1系統からなるもので、第1,第2遊技媒体排出機構85a,85bの調流樋89a,89bの両落下部99,99に接続する流入部114と、前面枠3前面の球供給皿7につながる流下樋115を設けた排球部116から形成され、調流樋89a,89bの両落下部99,99から流入したパチンコ球を突壁等に当てながら流下樋115上に落として球供給皿7へ排出する。
【0068】
上記流下樋115の下部につながる分配樋117は前面枠3の前面下部の球受皿8につながり、球供給皿7がパチンコ球で一杯になると前記流下樋115から溢れたパチンコ球を球受皿8へ排出する。また、分配樋117には流下樋115の直下方にて樋壁を兼ねる検知片118に連動するスイッチたるオーバーフロースイッチ119を設けてあり、分配樋117内がパチンコ球で一杯になった場合には、その押圧力で検知片118が押圧されて、オーバーフロースイッチ119がオン信号を出力するのである。
【0069】
球排出樋113の途中から分岐する球抜き樋120の流入部には、例えば板状の球抜ゲート121を支軸122によって回動自由に配設してあり、この球抜ゲート121を回動させることによって、球抜き樋120への分岐路を適宜開閉できるようにしてある。
この球抜ゲート121は、樋壁の外部において支軸122と球抜ソレノイド123とを適宜なリンク124を介して接続し、上記球抜ソレノイド123をオン・オフさせることによって、球抜ゲート121を所望角度回動可能(流下樋115への流入口を閉塞し得る状態と、球抜き樋120への流入口を閉塞し得る状態とに変換可能)なようにしてある。
【0070】
そして、球抜ソレノイド123へ通電すると、球抜ソレノイド123のプランジャが引き上げられるためにリンク124が上動して、球抜ゲート121を流下樋115側へ回動させることによって、球抜き樋120の流入口を開成させる。なお、球抜ゲート121は球排出樋113を塞ぐ位置(パチンコ球が通過不可能な状態となる位置)まで回動されるものとしてある。また、球抜ソレノイド123への通電を断つと、バネ等より構成した適宜な復元力により、球抜ゲート121が球抜き樋120の流入口を閉塞する位置へ速やかに復帰する。
【0071】
なお、球抜ゲート121が復帰する際に、球抜ソレノイド123のプランジャが所定位置まで下降すると、それ以上球抜ゲート121は回動できないので、球抜ゲート121が球抜き樋120内へ大きく後退することはない。また、球抜ゲート121が所定位置に復帰した状態で当接する適宜なストッパ等を設けるようにすれば、球抜ゲート121が揺動運動するのを防げると共に、バネ等の復帰力によって球抜ソレノイド123が破損する危険性をも小ならしめることができる。
【0072】
しかも、上記リンク124の側方には球抜ゲート121の位置を検知するゲートセンサ(図示省略)を設けてあり、球抜ゲート121が球抜き樋120の閉位置にあればゲートセンサはオフ信号を出力し、球抜ゲート121が球抜き樋120の開位置(球排出樋113の閉塞位置)にあれば、ゲートセンサはオン信号を出力するのである。斯くして、球抜ソレノイド123やリンク124の破損等によって、球抜ゲート121の正常な動作が行われていない場合には、このゲートセンサによって球抜きゲートの位置を検知することで、該状態を知ることができ、迅速な対応が可能となるのである。
【0073】
以上、賞球排出動作もしくは貸球排出動作における排出球の流路について説明したが、球抜き樋120の下流側はアウト球流下路60と合流させてあり、図示しない回収樋へ導いて、パチンコ機列よりなる島設備の遊技球循環機構へ還元し、回収された遊技球を研摩・清浄した後、再び球貯留タンク62へ供給するのである。
【0074】
また、パチンコ機1の前面枠3に開閉自在に設けた前面パネル3aが前面枠3から開かれた状態(開放状態)にあることを検出するための検出手段として枠センサ125を設けてあり、この枠センサ125の検出情報を遊技媒体排出制御に供するのである。すなわち、球供給皿7が設けられる前面パネル3aが開放状態にあるときに、賞球排出動作もしくは貸球排出動作が行われると、これら排出された球が球供給皿7へ供給されずに、こぼれ落ちてしまうため、このような事態が生ずることを回避する目的で、枠センサ125が前面パネル3aの開放状態を検出してるか否かの情報を収集するのである。
【0075】
さらに、パチンコ機1の適所(本例においては裏面上部)にはスピーカ126を設けてあり、遊技中の効果音や賞球排出制御時、貸球排出制御時等の音声表現等を適宜に行えるようにしてある。
【0076】
以上は、パチンコ機1の機枠2内にカード制御装置9を一体的に設けるカード式遊技装置として構造および動作を説明したが、本発明は、カード制御装置9を含むカードユニットを別体として構成したものである。
【0077】
すなわち、本実施形態においては、図11に示すように、遊技機としての必須機能を備える機枠2の一側方(図面においては左側)にカードユニットとしての必須機能を備える補助枠127を設け、該補助枠127内にカード制御装置9を収納し、カード挿排口10、挿入残高表示部15、カード保持表示部16が補助枠127の前面に位置するように構成したパチンコ機1′としてある。この補助枠127を機枠2の高さと略々等しく設定すると共に、比較的横幅の狭い縦長形状に構成すると、パチンコ機1′を島設備に組み込んだ際、各補助枠127…が機枠2…間の離隔板を兼ねることになり(図12参照)、既存の島設備と配置構造の互換性が保てる。
【0078】
一方、図13に示すように、上記補助枠127と同様な枠体にカード制御に関連した各種表示部(球貸ボタン押圧表示部13、残高表示部14等)および操作部(カード挿排口10、球貸ボタン11等)を集約させたカード制御枠128を機枠2の一側方に設けたパチンコ機1″としてもよいが、斯く構成したパチンコ機1″を島設備に取り付けた際には、カード制御枠128が従来の台間球貸機と同様な配置となり(図14参照)、遊技者は違和感なくプリペイドカードの使用による球貸を受けることができる反面、カード制御に関連した各種表示部や操作部が遊技者の手元から離隔した位置になるため、必ずしも球貸操作の利便性を高め得るものではない。
【0079】
なお、上記したパチンコ機1′やパチンコ機1″のように、カード挿排口10を球受皿8から離隔させて設けると、球受皿8に設けることが慣例となっている灰皿に溜った灰がカード制御装置9に不具合を引き起こすことを防止できる。また、カード制御装置9が台間に配設されることで、隣接するパチンコ機のカード制御装置9におけるカード挿排口10と誤認する危険性もあるが、例えば図11及び図13に示すように、カード挿排口10の一側方にプリペイドカードの挿入ガイド板129を立設するように構成すれば、この挿入ガイド板129によってカード挿排口10の見えない方のカード制御装置9が、当該パチンコ機に設けられたものでないことを遊技者に認識させることができる。
【0080】
次に、パチンコ機1(パチンコ機1′,パチンコ1″も含む)の遊技制御、賞球排出制御、貸球排出制御等を行うための制御装置の構成について詳述する。
【0081】
パチンコ機1の動作制御を司る部分は、図15のブロック図に示すように、遊技媒体たる小球の排出動作を行ったり、変動入賞装置28や可変表示装置25等の大型の遊技装置を動作制御したりする遊技盤制御装置130と、プリペイドカード131を遊技者が使用することによって、当該パチンコ機1の遊技媒体排出装置64から遊技媒体たる球を借りることを可能にするカード制御装置9とから構成してある。
【0082】
また、遊技盤制御装置130は、主として遊技盤5に設けた各種の遊技装置を制御する遊技制御部としての遊技盤制御部132と、主として遊技媒体排出装置64を制御して賞球排出および貸球排出を行わせる排出制御部としての機能を備えた排出制御部133とから構成してあり、当該パチンコ機1における遊技制御をカード制御装置9から独立して行うことができる。また、上記遊技盤制御部132及び排出制御部133から遊技店に設置された管理装置134へ、種々の情報が適宜に送出されるように構成してある。なお、管理装置134から種々の制御情報が遊技盤制御装置130へ入力されて、該制御情報に基づいて遊技盤制御装置130が当該パチンコ機1の制御を行うように構成する場合もある。
【0083】
遊技盤制御部132には、セーフセンサ53より入賞球の検出情報や、遊技盤5に設けた各種検出手段(例えば第1〜第3始動スイッチ29a〜29c、計測入賞検出器49、入賞個数検出器50等)の検出情報が入力されるものとしてあり、これら入力情報に基づいて、遊技盤制御部132はセーフソレノイド58を駆動させたり、可変表示装置25の第1〜第3可変表示部26a〜26cを変換表示させたり、変動入賞装置28の球受扉43,43を所定のタイミングで左右へ回動させて第2状態に変換させたりする。
【0084】
また、遊技盤制御部132は、当該パチンコ機1の遊技内容に応じた効果音や、賞球排出動作時もしくは貸球排出動作時の効果音等をスピーカ126より出力させると共に、大当り情報出力信号線L1を介して“大当り情報”を、スタート情報出力信号線L2を介して“スタート情報”を、エラー情報出力信号線L3を介して“エラー情報”を、夫々管理装置134へ出力する。
【0085】
一方、排出制御部133には、上記遊技盤制御部132より“賞球データ”が供給されるものとしてあり、該賞球データに基づく賞球排出を行うための所定条件(後に詳述)が満たされていれば、この排出制御部133が第1,第2排出ソレノイド104a,104bを適宜に駆動させ、第1,第2排出センサ91a,91bが所定数の排出球を確認した時点で第1,第2排出ソレノイド104a,104bの駆動を停止させ、賞球データに基づく所定数の賞球排出を行ったことを意味する“賞球排出確定信号”を賞球排出確定信号送信路L4を介して遊技盤制御部132に送出する。
【0086】
さらに、排出制御部133は、賞球排出中信号送信路L5を介して“賞球排出音要求信号”を、貸球排出中信号送信路L6を介して“貸球排出中信号”を、カード挿入音要求信号送信路L7を介して“カード挿入音要求信号”を、カード排出音要求信号送信路L8を介して“カード排出音要求信号”を夫々遊技盤制御部132へ出力し、これらの信号入力に基づいて、遊技盤制御部132がスピーカ126より適宜な音声出力を行うのである。
【0087】
また、排出制御部133には、枠センサ125より前面パネル3aの開閉情報が、オーバーフロースイッチ119よりオーバーフロー検出情報が、排出待機球検出器68より排出待機球検出情報が、補給センサ65より貯留球不足検出情報が、アウトセンサ61よりアウト球検出情報が夫々入力されると共に、貸球可能表示部17へ貸球可能表示出力を、貸球排出表示部18へ貸球排出表示出力を、賞球排出表示部19へ賞球排出表示出力を夫々出力する。
【0088】
さらに、排出制御部133は、賞球数信号線L9を介して“賞球数信号”を、買信号線L10を介して“買信号”を、補給信号線L11を介して“補給信号”を、アウト数信号線L12を介して“アウト数信号”を、夫々管理装置134へ出力するものとしてある。なお、本実施形態においては、賞球数信号は排出球数10個に対して1パルスを、買信号は最小貸球単位(例えば100円:25個)に対して1パルスを、アウト数信号はアウト球10個に対して1パルスを夫々出力するものとしてあるが、これに限定されるものではなく、例えば、排出球・アウト球が1個検出される毎に、賞球数信号もしくはアウト数信号を1パルス出力するように構成したり、所定貸球単位(例えば1000円)に達した時点で買信号を1パルス出力するように構成してもよい。
【0089】
また、排出制御部133は、球抜センサ112よりオン信号が入力されると、球抜ソレノイド123を駆動させて球抜き樋120へ流路を切り変えると共に、第1,第2排出ソレノイド104a,104b等を適宜に駆動させて、球抜動作を行うのである。
【0090】
一方、上記カード制御装置9は球貸要求信号線L13を介して“球貸要求信号”を上記排出制御部133へ出力し、該排出制御部133よりカード制御装置9には、P台レディ信号線L14を介して“P台レディ信号”が、払出完了信号線L15を介して“払出完了信号”が夫々入力され、カード制御装置9から遊技盤制御装置130の排出制御部133へ、カード信号線L16を介して“カード信号”が出力される。
【0091】
このカード制御装置9は、遊技者がプリペイドカード131をカード挿排口10よりカード制御装置9内へ挿入することに基づいて、当該プリペイドカード131の有価データたるカード残高を読み取り、挿入残高表示部15にカード挿入時のカード残高を表示出力すると共に、カード制御装置9がカードを保持していることを示すためにカード保持表示部16へ表示出力する。なお、プリペイドカード131の使用に基づく貸球排出動作が行われるまでは、残高表示部14にもカード挿入時のカード残高が表示されるものとしてある。
【0092】
また、第1〜第4選択スイッチ13a〜13dよりなる球貸ボタン11を遊技者が操作すると、当該操作された球貸ボタン11に対応する球貸ボタン押圧表示部13へ表示出力する。そして、この球貸ボタン11が操作されることに基づいて、カード制御装置9は排出制御部133へ上記球貸要求信号線L13を介して球貸要求信号を出力し、該球貸要求に基づく貸球排出動作が完了することに基づく払出完了信号が払出完了信号線L15を介して入力されると、払い出した遊技球数に該当する有価データをカード残高から減算し、残高表示部14の表示内容をこの時点における有価データの残高に表示変更する。
【0093】
さらに、遊技者が返却ボタン12を操作すると、プリペイドカード131がカード挿排口10より排出されるものとしてあり、このときにカード制御装置9はプリペイドカード131のカード残高を残高表示部14に表示した残高に書き変えると共に、このカード残高が所定の残高を下回っていた場合にはプリペイドカード131の所定位置にパンチ孔加工を施す。なお、カード残高の書き変えやパンチ孔加工は、カード排出時に一括して行うものに限らず、随時行うように構成してもよい。また、返却ボタン12が操作されない場合であっても、プリペイドカード131のカード残高が“0”になった時点で、強制的にプリペイドカード131をカード挿排口10から排出するように構成してもよい。
【0094】
なお、カード制御装置9は、プリペイドカード131の使用に基づいて排出した貸球数(もしくは貸出球数に応じた有価データ)を“決済情報信号”として、決済情報信号線L17を介してカード管理装置135へ出力するものとしてある。
【0095】
上記のように、当該パチンコ機1の遊技制御及び遊技媒体排出制御を行うための電気的制御装置たる遊技盤制御装置130は、遊技盤制御機能たる遊技盤制御部132と排出制御機能たる排出制御部133を機能的に分割したので、遊技盤5に設けられた各種遊技装置の動作制御を行う遊技盤制御機能から独立して、排出制御部133は遊技媒体排出装置64の動作制御を行うことができる。すなわち、遊技盤制御装置130の排出制御部133は、当該パチンコ機1に設けられた唯一の遊技媒体排出装置64を動作する唯一の排出制御装置として機能するので、遊技盤制御部132よりの賞球データに基づく賞球排出動作と、カード制御装置9よりの球貸要求信号に基づく貸球排出動作とを別途に処理させることができるのである。
【0096】
したがって、遊技盤制御部132よりの賞球排出要求とカード制御装置9よりの球貸要求とが略々同時に為されることで競合した場合にも、何れの排出要求を優先させるかは、排出制御部133において判断処理させるように構成することができ、賞球排出動作用の制御装置と貸球排出動作用の制御装置を別途構成した場合の如く、一方から遊技媒体排出要求が為されている場合には、他方の遊技媒体排出要求を規制するように、賞球排出動作制御装置と貸球排出動作制御装置に排出要求可能か否かの判断処理を行えるように構成する必要がない。しかも、両排出制御装置が相互に賞球排出要求もしくは貸球排出要求の有無を判定可能なように、一方の排出制御装置から出力される排出要求信号が他方の排出制御装置に入力されるように構成する必要が無いので、結線構造の簡素化も期せるのである。
【0097】
また、遊技盤制御機能(遊技盤制御部132)と排出制御機能(排出制御部133)とを、単一基材に集約的に設けることで、ワンチップ・マイクロコンピュータとして構成した場合、電気的制御装置の軽量小型化を極めて容易に達成することができる。しかも、遊技盤制御機能と排出制御機能とを一体の制御装置として構成することにより、両制御装置を接続する信号線の結線不良による故障や、該信号線を介して侵入するノイズ等による誤動作も防止でき、装置としての信頼性を向上させることにも寄与するのである。
【0098】
次に、遊技盤制御装置130の遊技盤制御部132について詳述する。
この遊技盤制御部132は、遊技盤5内に設けられた可変表示装置25や変動入賞装置28等の遊技装置を遊技内容に応じて制御すると共に、各種入賞具22…に入賞した球を第1入賞球として処理し、第1〜第3始動口30〜32等に入賞した入賞球を第2入賞球として処理し、これら賞球排出条件が成立したことに基づいて第1入賞球もしくは第2入賞球に応じた所定の排出賞球数を賞球データ信号として排出制御部133へ送出する遊技盤制御手段136を設けてある。
【0099】
なお、遊技盤制御部132には上記遊技盤制御手段136のほかに、入賞球払出手段137、大当り情報出力手段138、スタート情報出力手段139、エラー情報出力手段140、音声出力手段141を設けてあり、排出制御部133より賞球排出が完了したことに基づく賞球排出確定信号が賞球排出確定信号送信路L4を介して入賞球払出手段137に入力されると、入賞球払出手段137はセーフソレノイド58を所定時間オンさせて入賞球1個のみの払出を行い、上記遊技盤制御手段136より大当り情報出力手段138、スタート情報出力手段139、エラー情報出力手段140へ各情報出力要求が為されると、大当り情報出力手段138より大当り情報出力信号線L1を介して大当り情報を、スタート情報出力信号線L2を介してスタート情報を、エラー情報出力信号線L3を介してエラー情報を夫々管理装置134へ出力するのである。
【0100】
上記大当り情報出力手段138は、可変表示装置25の可変表示器26の所定の表示態様が表示されてなる「大当り」が当該パチンコ機1に発生したことを管理装置134へ出力するものであり、スタート情報出力手段139は、第1〜第3始動スイッチ29a〜29cに入賞することに基づいて可変表示器26の変換表示が実際に行われた回数(第1〜第3始動口30〜32への入賞記憶は4個までであるために、始動入賞の発生回数と実際の始動回数は異る場合がある。)を管理装置134へ出力するものであり、エラー情報出力手段140は、各種遊技装置のエラー情報や当該パチンコ機1に対して為された不正の状態を管理装置134へ出力するものである。
【0101】
このように、各種の遊技情報を遊技盤制御部132から管理装置134へ出力させることによって、各パチンコ機1…における遊技状態を管理装置134で総括的に管理することができる。しかも、当該パチンコ機1における営業上の収支を概算する上で有用な判断資料となる大当りの発生率を算出するための大当り情報およびスタート情報を管理装置134に供給可能としたので、これらの情報を必要とする遊技店側が各パチンコ機1の制御基板に違法な改造を施し、無用な故障を引き起こすような事態を避けられる。
【0102】
また、遊技盤制御部132の音声出力手段141に、排出制御部133より賞球排出中信号送信路L5を介して賞球排出中信号が、貸球排出中信号送信路L6を介して貸球排出中信号が、カード挿入音要求信号送信路L7を介してカード挿入音要求信号が、カード排出音要求信号送信路L8を介してカード排出音要求信号が夫々入力されると、音声出力手段141は各入力信号に応じて予め設定された所定の効果音をスピーカ126より出力するのである。なお、遊技盤制御手段136が行う遊技制御に関連した遊技音を発するために、遊技盤制御手段136からも遊技音要求信号送信路L18を介して“遊技音要求信号”が音声出力手段141に入力されるようにしてある。
【0103】
上記遊技盤制御手段136には、直接遊技盤5の動作制御を行わせるための遊技制御手段142を設けてあり、該遊技制御手段142は第1〜第3始動スイッチ29a〜29cが始動入賞球を検出することに基づいて、可変表示装置25の可変表示器26を視認不可能な速度で変換表示させる補助遊技を行い、この変換表示の開始から所定時間が経過するか、もしくは遊技者がストップスイッチ(図示省略)を操作することに基づいて変換表示を停止させ、停止図柄が予め設定された特別図柄に該当した場合にのみ変動入賞装置28を所定時間所定のタイミングで第2状態に変換させる特別遊技を開始させるのである。
【0104】
また、全ての入賞球を検出するセーフセンサ53とは別途に各入賞口内に設けた第2入賞球検出器143(例えば第1〜第3始動スイッチ19a〜19c、継続入賞検出器49、入賞個数検出器50等)の検出信号が遊技盤制御手段136に入力されると、該検出信号に基づいて第2入賞球検出手段144が第2入賞球検出信号を賞球数確定手段145に送出する。
【0105】
上記賞球数確定手段145には、セーフセンサ53よりのオン信号に基づいて、入賞球検出信号を送出する入賞球検出手段146を設けてあり、該入賞球検出手段146より入賞球検出信号が入力される賞球数記憶手段147には第1入賞球に基づく第1賞球数(例えば13個)を予め記憶させてある。そして、入賞球検出手段146より入賞球検出信号が入力されると、賞球数記憶手段147は賞球データ送信路148を介して、第1賞球数に応じた賞球データ信号を排出制御部133へ出力し、該賞球データ信号が入力されることによって、排出制御部133による遊技媒体排出装置64の動作制御に基づく第1賞球数分の遊技媒体が賞球として排出される。なお、上記賞球データ信号は、例えば数ビットのデータ信号として設定し、複数の信号路よりなる賞球データ送信路148を介して、パラレルに排出制御部133へ送信されるのである。
【0106】
ここで、セーフセンサ53をオンさせた入賞球が、第2入賞球検出器143によって検出された第2入賞球であった場合には、遊技制御手段142の第2入賞球検出手段144より出力された第2入賞球検出信号が賞球数確定手段145内の第2賞球数記憶手段149に入力され、該信号の入力に伴って第2賞球数記憶手段149は予め記憶している第2賞球数(例えば7個)を第2入賞球数信号として賞球数記憶手段147へ出力する。そして、この第2賞球数信号が入力されている間においては、賞球数記憶手段147が記憶する第1賞球数は規制されて、賞球数記憶手段147を介して賞球データ送信路148へ第2賞球数が供給されるようにしてある。かくして、第2入賞球検出器143が検出した第2入賞球に基づく賞球数を異らしめることが可能になるのである。
【0107】
また、第2賞球数記憶手段149より発される第2入賞球数信号は、2入力の第1アンド回路150の一方の入力側に供給されるものとしてあり、該第1アンド回路150の他方の入力側には、排出制御部133より賞球排出確定信号送信路L4を介して供給される賞球排出確定信号を入力させてある。そして、この第1アンド回路150のゲート出力が第2賞球数記憶手段149のリセット信号として機能するように構成してある。すなわち、第2賞球数記憶手段149より賞球数記憶手段147へ第2賞球数信号が供給されることに基づいて排出制御部133が賞球排出動作を行い、この賞球排出動作が完了することに基づいて排出制御部133より発される賞球排出確定信号が第1アンド回路150に入力されることで、第1アンド回路150のゲート出力が第2賞球数記憶手段149をリセットするのである。
【0108】
上記のようにして第2賞球数記憶手段149がリセットされた後においても、第2入賞球検出手段144に別の第2入賞記憶が残っている場合には、一旦リセットされた第2賞球数記憶手段149に改めて第2入賞球検出手段144より第2入賞記憶が供給されることに基づいて、第2賞球数記憶手段149が賞球数記憶手段147へ第2賞球数を供給し、第2賞球数分の賞球排出動作が行われる。一方、第2入賞球検出手段144に他の第2入賞球記憶がなく、入賞球検出手段146より賞球数記憶手段147へ入賞球検出信号が出力されていた場合には、賞球数記憶手段147から排出制御部133へ賞球データ送信路148を介して第1賞球数信号が出力されることに基づいて、第1賞球数分の賞球排出動作が行われるのである。
【0109】
なお、本実施形態における賞球数確定手段145においては、賞球数記憶手段147とは別途に第2賞球数を記憶させるための第2賞球数記憶手段149を設けるものとしたが、例えば、第1賞球数および第2賞球数を併せて記憶する賞球数記憶手段を構成し、入賞球検出手段146から入賞球検出信号が入力されて、尚且つ第2入賞球検出手段144に第2入賞球記憶がある場合に、第2賞球数を賞球データ送信路148を介して排出制御部133へ供給し、第2入賞球検出手段144に第2入賞記憶がない場合には、第1賞球数を賞球データ送信路148を介して排出制御部133へ供給するように構成してもよい。
【0110】
また、第1入賞球および第2入賞球の他に第3入賞球等を設定し、遊技盤5内の所定の入賞口内に第3入賞球検出器等を設けておき、第1〜第3入賞球に応じた賞球数を賞球データ送信路148を介して排出制御部133へ供給するように構成し、3種類の異った数の賞球排出を行い得るようにしてもよい。無論、4種類以上の賞球排出数を設定してもよい。なお、全ての入賞球に基づく排出賞球数を同一とする場合には、セーフセンサ53のオン信号に基づいて第1賞球数のみが賞球データ送信路148を介して排出制御部133へ供給されるように、賞球数確定手段145を構成すればよい。
【0111】
上記音声出力手段141には優先制御手段151を設けてあり、各信号線を介して音声出力手段141に供給される賞球排出中信号、貸球排出中信号、カード挿入音要求信号、カード排出音要求信号、遊技音要求信号が上記優先制御手段151へ一旦入力され、複数の音要求信号が競合した場合の優先順位を優先制御手段151が決定するのである。例えば、遊技音の出力中に、遊技者の意志に基づく球貸要求があり、該球貸要求による貸球排出動作が行われる場合においては、この貸球排出動作が的確に行われたことを遊技者に認識させることが優先されるために、遊技音の出力を一旦中止して、貸球排出音の出力を行わせる。
【0112】
そして、優先制御手段151は、遊技音要求信号に基づいて遊技音出力手段152へ信号出力し、賞球排出中信号に基づいて賞球排出音出力手段153へ信号出力し、貸球排出中信号に基づいて貸球排出音出力手段154へ信号出力し、カード挿入音要求信号に基づいてカード受付音出力手段155へ信号出力し、カード排出音要求信号に基づいてカード排出音出力手段156へ信号出力する。優先制御手段151より信号入力されることで、予め設定された所定の音声が各音出力手段より出力され、第1オア回路157を介してスピーカ126へ供給されるのである。
【0113】
次に、遊技盤制御装置130の排出制御部133について詳述する。
排出制御部133は図18に示すように、遊技盤制御部132よりの賞球排出要求もしくはカード制御装置9よりの球貸要求に応じて、遊技媒体排出装置64を適宜に駆動させ、所定数の遊技媒体たる遊技球を賞球若しくは貸球として排出させる排出制御手段158を設けてある。
【0114】
また、排出制御部133には排出開始条件確認手段159を設けてあり、この排出開始条件確認手段159が排出制御可能な状態であるか否かを確認し、該排出開始条件確認手段159より“排出開始可能信号”が排出開始可能信号送信路L19を介して排出制御手段158に供給された場合にのみ、排出制御手段158による遊技媒体排出動作が可能となるのである。
【0115】
上記排出開始条件確認手段159には、枠センサ125、オーバーフロースイッチ119、排出待機球検出器68の検出出力が入力されるようにしてあり、枠センサ125より発される検出出力は枠閉塞状態確認手段160に、オーバーフロースイッチ119より発される検出出力は溢球貯留量確認手段161に、排出待機球検出器68より発された検出出力は排出待機球確認手段162に夫々供給される。そして、前面パネル3aが開放された状態を枠センサ125が検出(例えばハイレベルの検出信号を出力)した場合には、該検出信号の入力に伴って上記枠閉塞状態確認手段160は第1排出可能信号の出力を停止する。また、オーバーフロースイッチ119が分配樋117内に球が溢れた状態を検出(例えばHレベルの検出信号を出力)した場合には、該検出信号の入力に伴って上記溢球貯留量確認手段161は第2排出可能信号の出力を停止する。さらに、排出待機球確認手段162が遊技媒体排出装置64に供給可能な排出待機球の不足を検出(例えばHレベルの検出信号を出力)した場合には、該検出信号の入力に伴って上記排出待機球確認手段162が第3排出可能信号の出力を停止する。
【0116】
枠閉塞状態確認手段160より出力される第1排出可能信号、溢球貯留量確認手段161より出力される第2排出可能信号、排出待機球確認手段162より出力される第3排出可能信号は、3入力の第2アンド回路163に夫々供給されるものとしてあり、これら第1〜第3排出可能信号が入力されている間にのみ、第2アンド回路163のゲート出力として排出開始可能信号が排出開始可能信号送信路L19を介して排出制御手段158に供給される。すなわち、溢球貯留量確認手段161、オーバーフロースイッチ119、排出待機球検出器68の何れかが遊技媒体排出に好ましくない状態を検出している場合には、第2アンド回路163より排出開始可能信号を出力させないことで、排出制御手段158の制御に基づく遊技媒体排出動作を規制するのである。
【0117】
上記排出開始条件確認手段159より排出開始可能信号が入力されている間においては、遊技盤制御部132より賞球データ送信路148を介して賞球データ信号が入力されることに基づき、排出制御手段158は遊技媒体排出装置64の第1,第2排出ソレノイド104a,104bを駆動させると共に、第1,第2排出センサ91a,91bよりの検出信号に基づいて排出球数をカウントし、遊技盤制御部132より供給された賞球データ信号に対応する所定数の遊技球を排出するのである。
【0118】
また、排出制御手段158は球貸排出が可能な状態にある場合には、P台レディ信号線L14を介してP台レディ信号をカード制御装置9へ出力しており、該信号出力中にカード制御装置9より球貸要求信号線L13を介して球貸要求信号が入力されると、上記賞球排出動作と同様にして、要求された所定数の遊技球を遊技媒体排出装置64から排出させるのである。なお、本実施形態においては、排出制御手段158が貸球排出動作を行うに際しては、カード制御装置9よりカード信号線L16を介してカード信号が入力されていることが動作可能条件の一つとなるように設定してあり、カード信号が停止することに伴って、排出制御手段158は、未排出分の貸球要求があった場合でも、これらの貸球要求を無効とするのである。
【0119】
さらに、上記排出制御手段158は球抜排出動作の制御も行うものとしてあり、球抜センサ112より検出信号が入力されると、排出制御手段158は球抜ソレノイド123を駆動させて排出球の流下路を切り変えると共に、第1,第2排出ソレノイド104a,104bを駆動させて排出待機球を遊技媒体排出装置64より排出させるのである。なお、球抜動作と関連させて排出ロック機構88を駆動させるものとすれば、該排出ロック機構88よりも上流側(図9に示す実施形態においては、第1屈曲部93、第2傾斜部94、第2屈曲部95、垂直部96、誘導部97、調流部98)に位置する待機球のみを遊技媒体排出装置64から排出することができる。
【0120】
加えて、排出制御手段158からは、賞球排出動作の実行中であることに関連して出力される賞球排出中信号および貸球排出動作中であることに関連して出力される貸球排出中信号が、夫々賞球排出中信号送信路L5及び貸球排出中信号送信路L6を介して遊技盤制御部132へ出力され、これらの入力信号に基づいて遊技盤制御部132の音声出力手段141よりスピーカ126へ音声出力が為されるのである。なお、カード制御装置9よりカード信号線L16を介して入力されたカード信号線は、カード挿入音要求信号としてカード挿入音要求信号送信路L7を介して遊技盤制御部132へ供給されると共に、該カード信号をノット回路164によって反転させることで生成されたカード排出中信号がカード排出中信号送信路L8を介して遊技盤制御部132へ供給されるものとしてあり、これらの信号に基づく所定の音声出力も可能なようにしてある。
【0121】
また、排出制御部133には排出制御手段158のほかに、情報出力手段165、表示駆動手段166、賞球排出確定信号出力手段167、貸球排出確定信号出力手段168を設けてあり、以下これらについて説明する。
【0122】
図20に示すように、上記情報出力手段165には、賞球情報出力手段169、球貸情報出力手段としての売上情報出力手段170、補給要求出力手段171、アウト情報出力手段172を設けてあり、賞球排出動作を行うことに関連して排出制御手段158より出力される“賞球排出数信号”が賞球排出数信号送信路L20を介して上記賞球情報出力手段169に、貸球排出動作を行うことに関連して排出制御手段158より出力される“貸球排出終了信号”が貸球排出終了信号送信路L21を介して上記売上情報出力手段170に、補給センサ65の検出出力が上記補給要求出力手段171に、アウトセンサ61の検出出力が上記アウト情報出力手段172に、夫々供給されるものとしてある。
【0123】
そして、上記賞球情報出力手段169は、排出制御手段158が行った排出賞球数情報たる賞球排出数信号を計数し、該計数値が所定数(例えば10個)に達することに基づいて、1パルスの賞球数信号を賞球数信号線L9を介して当該パチンコ機1の外部たる管理装置134へ出力する。上記売上情報出力手段170は、排出制御手段158が行った貸球排出数情報たる貸球排出終了信号を計数し、所定数(例えば遊技媒体貸出の最小単位数たる25個)の貸球排出数を一単位として、一単位に対して1パルスの球貸数信号たる買信号を買信号線L10を介して当該パチンコ機1の外部たる管理装置134へ出力する。上記補給要求出力手段171は、補給センサ65の検出出力を受信することに基づいて、補給信号を補給信号線L11を介して管理装置134へ出力する。上記アウト情報出力手段172は、アウトセンサ61の検出出力を計数して、該計数値が所定数(例えば10個)に達することに基づいて、1パルスのアウト数信号をアウト数信号線L12を介して管理装置134へ出力する。
【0124】
このように、各種の遊技情報等を管理装置134へ出力することによって、管理装置134は当該パチンコ機1の遊技状態を取得可能となる。例えば、賞球情報出力手段169から当該パチンコ機1で実際に排出された賞球数が、アウト情報出力手段172から当該パチンコ機1において遊技盤5の遊技部21内に弾球された打込球数が、夫々管理装置134へ供給されるので、これらの情報に基づいて当該パチンコ機1における打止め管理を行うことができ、従来のごとく、各パチンコ機1…の球貯留タンク62へ補給した球数や、遊技媒体排出装置64から排出された球数によって打止め管理を行う必要がない。さらに、補給数や排出数には、遊技者に意志に基づく貸球排出動作に供された球数も含まれるので、単に補給数や排出数を打止め管理に供した場合の弊害も解消することができる。また、これらの情報を得るために、遊技店側が各種検出機構部等に違法な改造を施す必要もない。
【0125】
なお、賞球情報出力手段169および売上情報出力手段170は、排出制御手段158より供給される賞球排出数信号もしくは貸球排出終了信号を計数して、該カウント数が所定数に達する毎に信号出力するとした上記構成に限定されるものではない。例えば、賞球排出動作もしくは貸球排出動作を行うことによって排出された遊技媒体数を排出制御手段158が計数し、この計数値が所定数(例えば、排出賞球数が10個、排出貸球数が25個)に達する毎に、単位賞球数排出完了信号もしくは単位貸球数排出完了信号を賞球情報出力手段169もしくは売上情報出力手段170へ出力し、これら完了信号の入力毎に1パルスの賞球数信号もしくは買信号を出力するように構成してもよい。また、所定数の排出賞球もしくは排出貸球が検出される毎に、賞球数信号もしくは買信号を出力する構成に限らず、排出賞球もしくは排出貸球が検出される毎に、賞球情報出力手段169もしくは売上情報出力手段170が排出賞球検出信号もしくは排出貸球検出信号を出力するように構成してもよい。
【0126】
図21に示すように、上記表示駆動手段166には、貸球可能表示手段173、貸球排出表示手段174、賞球排出表示手段175を設けてあり、上記貸球可能表示手段173には、プリペイドカード131を保持していることに関連してカード制御装置9より発されるカード信号がカード信号線L16を介して、上記貸球排出表示手段174には、排出制御手段158が貸球排出動作を行うことに関連して出力される貸球排出中信号が貸球排出中信号線L6を介して、上記賞球排出表示手段175には、排出制御手段158が賞球排出動作を行うことに関連して出力される賞球排出中信号が賞球排出中信号線L5を介して、夫々供給されるものとしてある。
【0127】
そして、貸球可能表示手段173は、カード信号が入力されている間継続して貸球可能表示部17へ貸球可能表示出力を行い、貸球排出表示手段174は、貸球排出中信号が入力されている間継続して貸球排出表示部18へ貸球排出表示出力を行い、賞球排出表示手段175は、賞球排出中信号が入力されている間継続して賞球排出表示部19へ賞球排出表示出力を行う。かくして、カード制御装置9がプリペイドカード131を保持している貸球可能時においては貸球可能表示部17が、プリペイドカード131の使用に基づく球貸要求に基づく貸球排出動作中には貸球排出表示部18が、各種入賞具22…等への入賞に基づく賞球排出動作中には賞球排出表示部19が、夫々オン状態となり、各状態を遊技者に可視表示するのである。なお、本実施形態においては、プリペイドカード131の残高が“0”(球貸不可能な状態)になった場合には、プリペイドカード131を強制的に排出するものとし、プリペイドカード131がカード制御装置9内に挿入されている間は球貸可能な状態となるようにしてある。
【0128】
また、上記賞球排出確定信号出力手段167は、排出制御手段158が賞球排出動作を完了することに基づいて出力される“賞球排出終了信号”が賞球排出終了信号送信路L22を介して入力されることで、遊技盤制御部132より受信した賞球データ分の賞球排出動作が完了したことを意味する賞球排出確定信号を賞球排出確定信号送信路L4を介して遊技盤制御部132へ出力するものとし、上記貸球排出確定信号出力手段168は、排出制御手段158が貸球排出動作を完了することに基づいて出力される貸球排出終了信号が貸球排出終了信号送信路L21を介して入力されることで、遊技媒体貸出の最小単位数(例えば25個)の排出を一単位として、この一単位分の貸球排出動作終了毎に、払出完了信号を払出完了信号線L15を介してカード制御装置9へ出力するものとしてある。
【0129】
次に、排出制御部133の主たる機能を司どる排出制御手段158について詳述する。
この排出制御手段158の主要部は、賞球排出手段176、停電制御手段177、貸球排出手段178、球抜排出手段179から構成してある。また排出制御手段158には、上記賞球排出手段176、貸球排出手段178、球抜排出手段179の制御出力に基づいて、遊技媒体排出装置64の第1,第2排出ソレノイド104a,104bへ駆動出力を行う排出ソレノイド駆動手段180、該第1,第2排出ソレノイド104a,104bの駆動に伴って排出される遊技媒体を検出する第1,第2排出センサ91a,91bの検出出力を賞球排出手段176、貸球排出手段178、球抜排出手段179へ供給する排出球検出手段181を別途設けてある。
【0130】
図23に示すように、上記賞球排出手段176は、遊技盤制御部132から賞球データ送信路148を介して賞球データが入力されることに基づいて、この賞球データに応じた数の賞球排出動作を行うものであり、遊技媒体排出装置64の第1遊技媒体排出機構85aから賞球排出動作を行わせるための第1排出ソレノイド駆動指令信号を第1排出ソレノイド駆動指令信号線L23aを介して排出ソレノイド駆動手段180へ、第2遊技媒体排出機構85bから賞球排出動作を行わせるための第2排出ソレノイド駆動指令信号を第2排出ソレノイド駆動指令信号線L23bを介して排出ソレノイド駆動手段180へ、夫々別個に供給するものとしてある。
【0131】
かくすることによって、排出賞球数が奇数であった場合(例えば13個排出の場合)等に、第1遊技媒体排出機構85aからの排出球数(例えば7個)と第2遊技媒体排出機構85bからの排出球数(例えば6個)とを指令制御できると共に、停電や不正・エラー等によって排出途中で遊技媒体排出装置64の動作停止を余儀なくされた場合の未排出数分の賞球を改めて排出する際にも、第1遊技媒体排出機構85aと第2遊技媒体排出機構85bとから夫々排出させる球数の指令制御も行えるのである。
【0132】
上記した賞球データは、賞球排出手段176に設けた賞球排出数記憶・演算手段183に入力され、この賞球排出数記憶・演算手段182が賞球データを記憶し、賞球排出動作が開始されることに伴って、第1排出球検出信号線L24aおよび第2排出球検出信号線L24bを介して入力される第1排出球検出信号および第2排出球検出信号を夫々“1”として、賞球データに基づく賞球数から順次減数するのである。そして、排出すべき賞球の残数を賞球排出残数信号として、賞球排出残数信号送信路L25を介して賞球排出動作制御手段183へ供給するのである。すなわち、賞球排出数記憶・演算手段182は、遊技制御部たる遊技盤制御部132からの賞球データ信号の受信に基づき賞球実行情報を一時的に記憶可能な記憶手段として機能するのである。
【0133】
なお、この賞球排出残数信号は停電制御手段177にも供給され、停電等による強制停止時に賞球排出残数が記憶保持されるようにしてある。また、当該パチンコ機1の電源が復旧した際には、停電制御手段177より賞球排出残数記憶信号送信路L26を介して、賞球排出残数記憶信号が賞球排出数記憶・演算手段182に入力されるものとしてあり、該信号の入力に基づいて、賞球排出手段176は賞球排出動作の再開が可能となるのである。
【0134】
上記賞球排出数記憶・演算手段182より賞球排出残数信号送信路L25を介して賞球排出残数信号が供給される賞球排出動作制御手段183は、排出開始条件確認手段159より排出開始可能信号送信路L19を介して排出開始可能信号が入力されている場合であって、且つ、貸球排出手段178より貸球排出中信号送信路L6を介して出力される貸球排出中信号および球抜排出手段179より球抜排出中信号送信路L27を介して出力される球抜排出中信号が、何れも入力されていない場合に限って、排出ソレノイド駆動手段180へ第1,第2排出ソレノイド駆動指令信号を出力するのである。
【0135】
なお、本実施形態における賞球排出動作制御手段183は、賞球データに基づく排出賞球数が偶数の場合には両遊技媒体排出機構85a,85bから同数の球排出動作を行わせるものとし、排出賞球数が奇数の場合には何れか一方の遊技媒体排出機構から1個だけ多く排出させるものとしてある。かくすれば、第1,第2遊技媒体排出機構85a,85bより排出させる排出球数を予め設定する必要がなく、賞球排出数記憶・演算手段182より供給される賞球排出残数信号が“1”になった場合に、何れか一方の排出ソレノイドを停止させ、他方の遊技媒体排出機構から端数の賞球を1個のみ排出させることで、所定数の賞球を排出することが可能となるのである。
【0136】
一方、賞球排出動作制御手段183は、賞球排出中継続して、賞球排出中信号を賞球排出中信号線L22を介して表示駆動手段166及び遊技盤制御部132へ出力し、賞球排出中であることを賞球排出表示部19に表示すると共に、遊技盤制御部132の制御に基づく所定の音声をスピーカ126より出力させるのである。この賞球排出中信号は貸球排出手段178、球抜排出手段179及び停電制御手段177へも供給されるものとしてあり、賞球排出手段176の制御に基づく賞球排出動作が行われている間においては、貸球排出動作および球抜排出動作が規制されると共に、停電等によるシステムの強制ダウンが生じた場合のバックアップを可能ならしめるのである。
【0137】
また、賞球排出動作制御手段183は、賞球排出動作が終了することに伴って、賞球排出終了信号を賞球排出終了信号送信路L22を介して賞球排出確定信号出力手段167へ出力し、賞球データとして供給された賞球排出要求分の球排出動作が終了したことを意味する賞球排出確定信号を遊技盤制御部132へ出力させるのである。さらに、賞球排出動作の終了時には、当該賞球排出動作によって排出した賞球数の総数を賞球排出数信号として、賞球排出数信号送信路L20を介して情報出力手段165へ出力する。なお、上記したように、賞球排出手段176内の賞球排出動作制御手段183より情報出力手段165へ排出賞球数を出力するものに限らず、例えば賞球排出残数信号が減数される毎に一の球排出完了信号を出力するようにしてもよい。
【0138】
また、停電等による強制停止時に賞球排出残数が停電制御手段177に記憶保持されていた場合に、当該パチンコ機1の復旧時には、停電制御手段177より上記賞球排出数記憶・演算手段182へ賞球排出残数記憶信号送信路L26を介して賞球排出残数記憶信号が入力されると共に、賞球排出続行信号送信路L28を介して賞球排出続行信号が賞球排出動作制御手段183へ供給されることによって、賞球排出数記憶・演算手段182より賞球排出残数信号が供給された賞球排出動作制御手段183は、第1,第2排出ソレノイド駆動指令信号を排出ソレノイド駆動手段180へ出力する。かくして、賞球排出動作が続行されるのである。
【0139】
図24に示すように、上記貸球排出手段178は、カード制御装置9から貸球要求信号線L13を介して貸球要求信号が入力されることに基づいて、この貸球要求信号に応じた数の貸球排出動作を行うものであり、遊技媒体排出装置64の第1遊技媒体排出機構85aから貸球排出動作を行わせるための第1排出ソレノイド駆動指令信号を第1排出ソレノイド駆動指令信号線L23aを介して排出ソレノイド駆動手段180へ、第2遊技媒体排出機構85bから貸球排出動作を行わせるための第2排出ソレノイド駆動指令信号を第2排出ソレノイド駆動指令信号線L23bを介して排出ソレノイド駆動手段180へ、夫々別個に供給するものとしてある。
【0140】
かくすることによって、排出貸球数が奇数であった場合(例えば25個排出の場合)等に、第1遊技媒体排出機構85aからの排出球数(例えば13個)と第2遊技媒体排出機構85bからの排出球数(例えば12個)とを指令制御できると共に、停電や不正・エラー等によって排出途中で遊技媒体排出装置64の動作停止を余儀なくされた場合の未排出数分の貸球を改めて排出する際にも、第1遊技媒体排出機構85aと第2遊技媒体排出機構85bとから夫々排出させる球数の指令制御も行えるのである。
【0141】
上記した貸球要求信号は、例えば所定時間幅のパルス信号としてあり、貸球可能な最小単位を1パルスとして出力する。したがって、貸球可能な最小価値単位(例えば100円)に該当する第1選択スイッチ11aが選択された場合には1パルスの貸球要求信号が、2単位に該当する第2選択スイッチ11bが選択された場合には2パルスの貸球要求信号が、3単位に該当する第3選択スイッチ11cが選択された場合には3パルスの貸球要求信号が、5単位に該当する第4選択スイッチ11dが選択された場合には5パルスの貸球要求信号が、夫々カード制御装置9から供給されるのである。
【0142】
そして、上記のようにして貸球排出手段178に供給された貸球要求信号は、先ず2入力の第3アンド回路184の一方の入力側へ供給される。この第3アンド回路184の他方の入力側には、貸球数記憶手段185より貸球数記憶信号が入力されるものとしてあり、貸球要求信号線L13を介して貸球要求信号が入力される毎に、第3アンド回路184のゲート出力として貸球排出数信号が貸球排出数記憶・演算手段186に入力される。すなわち、貸球要求に応じた球貸単位のパルス数に等しい貸球排出数信号が上記貸球排出数記憶・演算手段186に入力され、該貸球排出数信号に基づいて、貸球排出数記憶・演算手段186は排出すべき球数を記憶するのである。
【0143】
また、この貸球排出数記憶・演算手段186は、貸球排出動作が開始されることに伴って、第1排出球検出信号線L24aおよび第2排出球検出信号線L24bを介して入力される第1排出球検出信号および第2排出球検出信号を夫々“1”として、排出すべき球数から順次減数する。そして、排出すべき球数の残数を貸球排出残数信号として、貸球排出残数信号送信路L29を介して貸球排出動作制御手段187へ供給するのである。
【0144】
なお、この貸球排出残数信号は停電制御手段177にも供給され、停電等による強制停止時に貸球排出残数が記憶保持されるようにしてある。また、当該パチンコ機1の電源が復旧した際には、停電制御手段177より貸球排出残数記憶信号送信路L30を介して、貸球排出残数記憶信号が貸球排出数記憶・演算手段186に入力されるものとしてあり、該信号の入力に基づいて、貸球排出手段178は貸球排出動作の再開が可能となるのである。
【0145】
上記貸球排出数記憶・演算手段186より貸球排出残数信号送信路L29を介して貸球排出残数信号が供給される貸球排出動作制御手段187は、排出開始条件確認手段159より排出開始可能信号送信路L19を介して排出開始可能信号が入力されている場合であって、且つ、賞球排出手段176より賞球排出中信号送信路L5を介して出力される賞球排出中信号および球抜排出手段179より球抜排出中信号送信路L27を介して出力される球抜排出中信号が、何れも入力されていない場合に限って、排出ソレノイド駆動手段180へ第1,第2排出ソレノイド駆動指令信号を出力し、遊技媒体排出装置64より遊技球の排出が可能になるようにする。
【0146】
しかして、本実施形態においては、予め設定された貸球排出可能な上限値に基づいて、該上限値を越えた球貸要求があった場合には、該上限値以上の貸球動作を行わないように、貸球上限判定手段188及び貸球上限記憶手段189を設けてある。上記貸球上限判定手段188には、貸球要求信号線L13を介して入力される貸球要求信号が供給され、該貸球要求信号に基づく貸球排出要求数が、貸球上限記憶手段189に記憶されている貸球可能上限値を越えているか否かを判定するのである。そして、貸球可能上限値を越えていた場合には、貸球排出数記憶・演算手段186および貸球排出動作制御手段187へ貸球排出規制信号送信路L31を介して貸球排出規制信号を出力する。該貸球排出規制信号が貸球上限判定手段188より供給された貸球排出数記憶・演算手段186は、入力された貸球排出数信号に基づく貸球排出数の積算記憶値のうち、貸球上限値を越えた部分を無効とし、該貸球排出規制信号が入力された貸球排出動作制御手段187は、貸球排出残数信号に基づく貸球排出動作を行わない。
【0147】
かくすることによって、短時間に為された貸球要求に基づく連続した貸球排出数を規制することができ、遊技者が誤って球貸ボタン11を操作した場合等に、常識では考えられない程多量の貸球要求が為されたような場合には、該要求によって遊技者が不利益を蒙ることを未然に防止できると共に、多量の貸球排出を連続して行うことによって、賞球排出動作等の他の動作制御に支障を来すような事態が生ずることを避けられるのである。また、多量の貸球排出が行われることによって、オーバーフロースイッチ119がオンすることも防げる。
【0148】
なお、上記した本実施形態における貸球排出数記憶・演算手段186は、貸球上限判定手段188が貸球上限記憶手段189の貸球記憶上限値を越えると判定した場合に出力する貸球排出規制信号に基づいて、貸球可能上限値を越える部分のみを無効にするものとしたが、例えば、該貸球排出規制信号が入力される直前に第3アンド回路184より供給された貸球排出数信号のみを無効とするように構成してもよい。また、貸球要求信号が無効となることによって、当該無効とされた貸球要求信号に基づく貸球排出終了信号が入力されないことで、排出エラーが生じないように、無効とした貸球要求信号についての貸球要求エラーメッセージ等をカード制御装置9へ送出するように構成してもよい。
【0149】
一方、貸球排出動作制御手段187は、貸球排出中継続して、貸球排出中信号を貸球排出中信号線L6を介して表示駆動手段166、遊技盤制御部132へ出力し、貸球排出中であることを貸球排出表示部18に表示させると共に、遊技盤制御手段132の制御に基づく所定の音声をスピーカ126より出力させるのである。この貸球排出中信号は賞球排出手段176および球抜排出手段179および停電制御手段177へも供給されるものとしてあり、貸球排出手段178の制御に基づく貸球排出動作が行われている間においては、賞球排出動作および球抜排出動作が規制されると共に、停電等によるシステムの強制ダウンが生じた場合のバックアップを可能ならしめるのである。
【0150】
また、貸球排出動作制御手段187は、貸球排出動作が終了することに伴って、貸球排出終了信号を貸球排出終了信号送信路L21を介して情報出力手段165及び貸球排出確定信号出力手段168へ出力し、管理装置134への売上情報出力を可能にすると共に、球貸要求信号として供給された貸球排出要求分の球排出動作が終了したことを意味する払出完了信号をカード制御装置9へ出力させるのである。なお、上記したように、貸球排出手段178内の貸球排出動作制御手段187より情報出力手段165へ排出貸球数を出力するものに限らず、例えば最小価値単位に該当する貸球数を一単位として出力するようにしてもよい。
【0151】
また、停電等による強制停止時に貸球排出残数が停電制御手段177に記憶保持されていた場合に、当該パチンコ機1の復旧時には、停電制御手段177より上記貸球排出数記憶・演算手段186へ貸球排出残数記憶信号送信路L30を介して貸球排出残数記憶信号が入力されると共に、貸球排出続行信号送信路L32を介して貸球排出続行信号が貸球排出動作制御手段187へ供給されることによって、貸球排出数記憶・演算手段186より貸球排出残数信号が供給された貸球排出動作制御手段187は、第1,第2排出ソレノイド駆動指令信号を排出ソレノイド駆動手段180へ出力する。かくして、貸球排出動作が続行されるのである。
【0152】
なお、貸球排出数記憶・演算手段186及び貸球上限判定手段188には、カード制御装置9よりカード信号線L18を介してカード信号が入力されるものとしてあり、このカード信号が入力されていることに基づいて、貸球排出数記憶・演算手段186及び貸球上限判定手段188は貸球排出動作に関連した各制御動作が可能な状態となるのである。そして、貸球排出動作中にプリペイドカード131が排出されることで、カード制御装置9内にプリペイドカード131が存在しない状態となったような場合には、カード信号がカード制御装置9より出力されなくなるために、貸球上限判定手段188は貸球要求信号に基づく貸球数の記憶が消去され、貸球排出数記憶・演算手段186は全ての貸球排出動作を行うことなく、貸球排出動作制御手段187による排出動作を終了させる。
【0153】
なお、貸球排出動作の強制終了に際しては、貸球排出動作制御手段187から貸球排出終了信号が出力された時点(貸球可能な最小価値単位の整数倍分の貸球排出が終了した時点)で、貸球排出動作制御手段187から排出ソレノイド駆動手段180への第1,第2排出ソレノイド駆動指令信号が停止するように、貸球排出数記憶・演算手段186が貸球排出残数信号を調整する。斯くすることによって、プリペイドカード131の残度数が半端になってしまう(最小価値単位たる1度数を割り込んでしまう)ことを防止できる。また、カード信号を貸球排出動作制御手段187へも供給するように構成しておき、該カード信号が停止された後、当該貸球排出動作に基づく貸球排出終了信号を出力するまで貸球排出動作を継続(最小価値単位分の球を排出し終わるまで排出動作を継続)するようにしてもよい。
【0154】
図25に示すように、上記停電制御手段177は、停電等により遊技盤制御装置130の動作に必要な電源供給が絶たれた場合に、賞球排出中の賞球排出手段176から賞球排出残数信号送信路L25を介して入力された賞球排出残数信号に基づく賞球排出残数、もしくは、貸球排出中の貸球排出手段178から貸球排出残数信号送信路L29を介して入力された貸球排出残数信号に基づく貸球排出残数を記憶保持することで、排出動作中のシステムダウンに対するバックアップを図るものであり、電源復帰の際には、賞球排出手段176へ賞球排出残数記憶信号および賞球排出続行信号を送出することで賞球排出動作の続行を、或いは貸球排出手段178へ貸球排出残数記憶信号および貸球排出続行信号を送出することで貸球排出動作の続行を、夫々可能にするのである。
【0155】
そして、上記制御を可能ならしめるために、停電制御手段177には、排出球数記憶データバックアップ手段190、排出態様バックアップ手段191、停電検出手段192、排出続行制御手段193、停電回復検出手段194を設けてある。
【0156】
賞球排出手段176より賞球排出残数信号送信路L25を介して停電制御手段177に供給される賞球排出残数信号は、2入力の第4アンド回路195の一方の入力側に、賞球排出手段176より賞球排出中信号送信路L5を介して停電制御手段177に供給される賞球排出中信号は、上記第4アンド回路195の他方の入力側に、夫々入力されるものとしてあり、これら両信号の入力に伴って、上記第4アンド回路195のゲート出力として、排出球数記憶信号が排出球数記憶データバックアップ手段190に入力される。そして、この排出球数記憶信号に基づく排出球数が排出球数記憶データバックアップ手段190に記憶保持されるのである。すなわち、この排出球数記憶データバックアップ手段190が、賞球排出実行情報を一時的に記憶可能な記憶手段たる賞球排出数記憶・演算手段182に記憶された賞球排出実行情報を保持するバックアップ手段として機能するのである。
【0157】
一方、貸球排出手段178より貸球排出残数信号送信路L29を介して停電制御手段177に供給される貸球排出残数は、2入力の第5アンド回路196の一方の入力側に、停電制御手段177より貸球排出中信号送信路L6を介して停電制御手段177に供給される貸球排出中信号は、上記第5アンド回路196の他方の入力側に、夫々入力されるものとしてあり、これら両信号の入力に伴って、上記第5アンド回路196のゲート出力として、排出球数記憶信号が排出球数記憶データバックアップ手段190に入力される。そして、この排出球数記憶信号に基づく排出球数が排出球数記憶データバックアップ手段190に記憶保持されるのである。
【0158】
また、賞球排出中信号送信路L5を介して賞球排出手段176より入力される賞球排出中信号および貸球排出中信号送信路L6を介して貸球排出手段178より入力される貸球排出中信号は、夫々排出態様バックアップ手段191にも供給されるものとしてあり、この排出態様バックアップ手段191は、排出球数記憶データバックアップ手段190に記憶保持された排出球数が、賞球排出用の残数であるのか、貸球排出用の残数であるのかを判別するための排出態様を記憶する。すなわち、賞球排出中信号が入力されている間に停電が発生した場合には、賞球排出中信号に基づく“賞球排出態様”を記憶保持し、貸球排出中信号が入力されている間に停電が発生した場合には、貸球排出中信号に基づく“貸球排出態様”を記憶保持するのである。斯くすることによって、停電回復時に再開させるべき遊技媒体排出動作の再開指令を確実に、賞球排出手段176か貸球排出手段178に送出できるのである。
【0159】
なお、上記のごとく、排出態様を記憶保持するための排出態様バックアップ手段191を設けることなく、例えば、第4アンド回路195より出力される信号を第1排出球数信号、第5アンド回路196より出力される信号を第2排出球数記憶信号として、第1,第2排出球数記憶信号を記憶保持するためのメモリ領域を排出球数記憶データバックアップ手段190内に別途設けるように構成したり、第1排出球数記憶信号専用のバックアップ手段と第2排出球数記憶信号専用のバックアップ手段とを別個に設けてもよい。また、排出球数記憶データバックアップ手段190及び排出態様バックアップ手段191は、電源供給停止後にも記憶保持可能なものであれば何でもよく、例えばバックアップ用の電池等を別途設けておき、このバックアップ電源によってこれらの記憶が保持されるように構成してもよいし、排出球数記憶データバックアップ手段190及び排出態様バックアップ手段191のみ不揮発性のメモリを使用して、停電検出手段192より停電信号送信路L33を介して停電信号が入力された際の排出球数信号および排出態様をメモリに書き込むように構成してもよい。
【0160】
上記のようにして、停電時の排出動作に対するバックアップが完了した後に、停電回復検出手段194が停電回復を検出することに基づいて停電回復信号送信路L34を介して停電回復信号を排出続行制御手段193へ出力すると、該排出続行制御手段193は、排出球数記憶データバックアップ手段190より排出残数信号送信路L35を介して供給される排出残数信号と、排出態様バックアップ手段191より排出態様信号送信路L36を介して供給される排出態様信号とに基づいて、賞球排出手段176へ賞球排出残数記憶信号および賞球排出続行信号を出力、或いは貸球排出手段178へ貸球排出残数記憶信号および貸球排出続行信号を出力するのである。斯くして、賞球排出手段176による賞球排出動作もしくは貸球排出手段178による貸球排出動作が続行されるのである。
【0161】
図26に示すように、上記球抜排出手段179は、球抜センサ112のセンサ出力に基づいて、遊技媒体の排出流路を切り換えることにより、島設備の内部に設けた球回収樋へ排出することで、当該パチンコ機1に供給された球を抜き落すものであり、この制御を行うために、球抜排出手段179には、球抜制御手段197、排出動作制御手段198及び球抜ソレノイド駆動手段199を設けてある。
【0162】
球抜センサ112より発された検出出力は、球抜排出手段179の球抜制御手段197に供給され、この検出出力に基づいて、球抜制御手段197は排出動作指令信号送信路L37を介して排出動作指令信号を排出動作制御手段198へ供給すると共に、球抜排出用に排出流路を切り換えるための流路変換指令信号を流路変換指令信号送信路L38を介して球抜ソレノイド駆動手段199へ供給する。そして、排出動作指令信号が入力された排出動作制御手段198は、第1,第2排出ソレノイド駆動指令信号を排出ソレノイド駆動手段180へ送出し、これによって遊技媒体排出装置64内及びその上流側(球貯留タンク62及び誘導樋63)に停留している球を流下させるのである。一方、流路変換指令信号が入力された球抜ソレノイド駆動手段199は、球抜ソレノイド123を駆動させて、球抜ゲート121を変換させ、遊技媒体排出装置64より排出された排出球を球抜き樋120へ導くようにする。
【0163】
上記のようにして球抜き処理が開始され、遊技媒体排出装置64より球が排出されると、排出球検出手段181から第1,第2排出球検出信号線L24a,24bを介して排出球検出信号が球抜制御手段197に入力される。そして、球抜制御手段197は排出球検出手段181よりの検出信号が例えば3秒間継続して入力されない状態を球抜処理の完了と看做し、排出動作制御手段198への排出動作指令信号を停止すると共に、球抜ソレノイド駆動手段199への流路変換指令信号を停止して、球抜処理を終了する。
【0164】
この球抜処理の終了に際して、球抜制御手段197は球抜ソレノイド駆動手段199へ短いパルス状の流路変換指令信号を2回送信し、球抜ゲート121の開閉動作を2回行わせるようにしてある。斯くすることによって、球抜ゲート121の近傍に滞留していた球があった場合、この球を球抜ゲート121が噛み込んで、球抜き樋120への流路を完全に閉塞できない状態が生ずることを防止できる。
また、球抜処理が行われた直後に再び球抜センサ112が検出出力を発した場合等、球無し状態において球抜処理が要求された場合には、球抜処理の開始から1秒間継続して排出球検出手段181から検出出力が得られないことから、直ちに球抜処理を終了させる。
【0165】
なお、球抜センサ112より検出出力が入力された際に、賞球排出手段176から賞球排出中信号送信路L5を介して賞球排出中信号が入力されていた場合、もしくは貸球排出手段178から貸球排出中信号送信路L6を介して貸球排出中信号が入力されていた場合には、球抜制御手段197が球抜センサ112の検出出力を無効とすることで、球抜動作の開始を規制する。また、球抜動作を行っている間、球抜制御手段197は球抜排出中信号送信路L27を介して球抜排出中信号を賞球排出手段176及び貸球排出手段178へ出力し、賞球排出手段176もしくは貸球排出手段178が球排出動作を行うことを規制する。
【0166】
次に、カード制御装置9について詳述する。
カード制御装置9は図27に示すように、通貨と等価な有価データが記録されたパチンコ遊技用のプリペイドカード131から有価データを読み出し、該有価データの範囲内で遊技者が選択した球貸ボタン11に対応する球貸数に応じた球貸要求信号を遊技盤制御装置130の排出制御部133へ送出すると共に、該球貸要求信号に応じた球を排出制御部133が遊技者に貸し出したことに基づいて、プリペイドカード131の有価データを書き換えるカード制御手段200を単一基板に設けて構成したものである。すなわち、プリペイドカード131による球貸制御を行うと共に球貸要求信号を出力するカード制御手段200を備えることで、カード制御装置9がカード制御部として機能する。
【0167】
また、カード制御装置9には球貸ボタン押圧表示駆動手段201を設けてあり、上記カード制御手段200が押圧選択有りと判定した第1〜第4選択スイッチ11a〜11dの何れかに対応する選択スイッチの種別を示す押圧ボタン種別信号が、押圧ボタン種別信号送信路L39を介して入力されることに伴って、この球貸ボタン押圧表示駆動手段201が押圧ボタン種別に対応する第1〜第4選択表示部13a〜13dの何れかを点灯表示させる。なお、球貸ボタン押圧表示駆動手段201が行う球貸ボタン押圧表示部13への駆動出力は、例えばカード制御手段200より球貸要求信号線L13を介して球貸要求信号が入力されている間継続して行われるものとしてある。
【0168】
さらに、カード制御装置9には、カード保持表示駆動手段202及び金額表示手段203を設けてあり、プリペイドカード131がカード制御装置9内に挿入・保持されていることに関連してカード制御手段200よりカード信号線L16を介して出力されるカード信号が供給されることに基づいて、カード保持表示駆動手段202はカード保持表示部16を点灯表示させ、金額表示手段203は、挿入された状態のプリペイドカード131よりカード制御手段200が読み出した有価データを遊技者に可視表示するのである。なお、金額表示手段203には、挿入残高表示駆動手段204と残高表示駆動手段205を設けてあり、挿入残高表示駆動手段204はカード制御手段200より挿入残高信号送信路L40を介して入力される挿入残高信号に基づく挿入残高表示駆動信号を挿入残高表示部15に出力し、残高表示駆動手段205はカード制御手段200より残高信号送信路L41を介して入力される残高信号に基づく残高表示駆動信号を残高表示部14に出力するのである。
【0169】
次に、カード制御手段200について詳述する。
カード制御手段200には、直接プリペイドカード131の読み込み、書き換えを行うカード読込・書換制御手段206と、遊技者が選択した球貸ボタン11の選択スイッチを識別して球貸数を判定する球貸数判定手段207と、該球貸数判定手段207より球貸数信号送信路L42を介して入力される球貸数信号に基づく球貸要求信号を球貸要求信号線L13を介して排出制御部133へ出力する球貸要求手段208とから構成してある。
【0170】
上記カード読込・書換制御手段206にはカード残高読込・記憶手段209を設けてあり、該カード残高読込・記憶手段209はプリペイドカード131のカード残高を読み込むと共に、挿入された際のカード残高を記憶保持し、このプリペイドカード131が排出されるまで、挿入残高信号を挿入残高信号送信路L40を介して挿入残高表示駆動手段204及び残高記憶手段210へ出力する。上記のようにして残高記憶が供給された残高記憶手段210は、残高信号送信路L41を介して残高表示駆動手段205、カード残高判定手段211及びパンチ孔加工手段212へ残高信号を送出する。
【0171】
また、カード制御装置9内にプリペイドカード131が挿入されたことに基づいて、カード保持制御手段213は、カード信号線L16を介して排出制御部133、球貸数判定手段207、カード保持表示駆動手段202及びパンチ孔加工手段212へカード信号を出力する。なお、残高記憶手段210から発された残高信号に基づくカード残高が“0”であった場合に、カード残高判定手段211より残高ゼロ信号送信路L43を介して残高ゼロ信号が入力されると、カード保持制御手段213は強制的にプリペイドカード131を排出すると共に、記憶クリア信号送信路L44を介してカード残高読込・記憶手段209及び残高記憶手段210へ記憶クリア信号を出力し、カード残高読込・記憶手段209の挿入残高記憶および残高記憶手段210の残高記憶をクリアする。
【0172】
上記カード読込・書換制御手段206のカード保持制御手段213よりカード信号が入力されることで能動化される球貸数判定手段207は、球貸ボタン11よりの選択情報を判定可能となり、第1〜第4選択スイッチ11a〜11dの何れかが選択されたことに基づく球貸数信号を球貸数信号送信路L42を介して球貸要求手段208へ出力すると共に、選択されたスイッチの種別を示す押圧ボタン種別信号を、押圧ボタン種別信号送信路L39を介して球貸ボタン押圧表示駆動手段201へ供給する。
【0173】
そして、球貸数判定手段207より球貸数信号が供給された球貸要求手段208は、遊技盤制御装置130の排出制御部133より貸球排出可能状態であることを示す球貸排出可能信号たるP台レディ信号がP台レディ信号線L14を介して入力されている場合(球貸排出可能信号を受信中)に、球貸数信号に基づく球貸要求信号を球貸要求信号線L13を介して遊技盤制御装置130、球貸ボタン押圧表示駆動手段201、球貸数判定手段207及びカード読込・書換制御手段206へ送出する。すなわち、球貸要求信号は、遊技機本体とカードユニットの双方が適正な球貸動作を行える場合に送信される信頼性の高い信号である。この球貸要求信号が入力されることに基づいて、遊技盤制御装置130の排出制御部133は貸球排出動作を行い、球貸ボタン押圧表示駆動手段201は押圧ボタン種別信号に基づく押圧ボタン表示出力(第1〜第4選択表示部13a〜13dの何れかを点灯)を行い、球貸数判定手段207は他の球貸要求を無効とする。
【0174】
また、球貸要求手段208より球貸要求信号が入力されるカード読込・書換制御手段206のカード保持制御手段213は、返却ボタン12からのカード返却要求信号を無効として、球貸ボタン11が選択されたことに基づく貸球排出動作が完了するまでプリペイドカード131の排出動作を規制する。なお、上記返却ボタン12のカード返却要求信号は球貸要求手段208へも供給されるものとしてあり、例えば貸球可能な最小価値単位毎に1パルスの球貸要求信号が全て送出される前にカード返却要求信号が入力された場合には、以降の球貸要求信号の送出を停止するように構成してある。したがって、遊技者が本来「3度数」の球貸要求を行うつもりで「5度数」の球貸ボタンを選択してしまったような場合には、この返却ボタン12を操作することで、不本意な球貸要求の一部についてキャンセルすることが可能になるのである。
【0175】
上記のようにしてカード制御装置9より為された球貸要求に基づいて、排出制御部133が所定数の貸球排出動作を完了すると、排出制御部133の貸球排出動作確定信号出力手段168より払出完了信号線L15を介して払出完了信号がカード制御装置9のカード読込・書換制御手段206に供給される。なお、上記した所定信号レベルの球貸要求信号を遊技盤制御装置130の排出制御部133へ送出するように構成した場合には、この払出完了信号を球貸要求手段208へも供給するように構成(図27中破線で示す信号線)することで、球貸要求信号の出力停止タイミング等に供することができる。
【0176】
払出完了信号はカード読込・書換制御手段206の金額減算手段214へ入力され、これに伴って金額減算手段214は、残高記憶手段210の残高記憶から貸球排出動作が行われた分だけ減算すると共に、プリペイドカード131の残高も書き換えるのである。なお、プリペイドカード131の残高書換動作は、貸球排出動作が完了する毎に行わず、プリペイドカード131の排出動作時に一括して行うようにしてもよい。また、払出完了信号は決済情報出力手段215へも入力されるものとしてあり、この決済情報出力手段215は遊技盤制御装置130の排出制御部133が行った球貸数に等しい決済情報を決済情報信号線L17を介してカード管理装置135へ出力する。
【0177】
なお、上記したように、排出制御部133より払出完了信号が出力されるタイミングは、球貸可能な最小価値単位に等しい量の貸球排出が行われる毎に出力されるものとしてあるので、払出完了信号が入力される毎に金額減算手段214が残高記憶手段210から残高記憶を減算し、この残高記憶が“ゼロ”になった時点でカード残高判定手段211が残高ゼロ信号をカード保持制御手段213へ送出し、該信号が入力されることに伴ってカード保持制御手段213はプリペイドカード131を強制排出し、記憶クリア信号を出力すると共に、カード信号の出力を停止する。したがって、プリペイドカード131の残高記憶を上回る球貸要求が為された場合には、プリペイドカード131の残高記憶分の貸球排出動作が行われた時点でカード信号が停止されるので、プリペイドカード131のカード残高以上の貸球排出動作が為されることはない。
【0178】
また、上記のようにしてカード信号が停止される前に次の貸球排出動作が開始されることがないように、貸球可能な最小価値単位分の貸球排出動作が終了した後に適宜なインターバルタイムを設け、該インターバルタイムの後に次の最小価値単位分の貸球排出動作を行わせるのである。
【0179】
さらに、本実施形態においては、カード保持制御手段213がカード信号の出力を停止することによって、パンチ孔加工手段212がプリペイドカード131に穿孔処理を施すものとしてある。例えば、このパンチ孔を穿つ位置は所定のカード残高毎に数ケ所と予め定めておき、このカード残高を下回っていた場合にパンチ孔を穿つのである。なお、パンチ孔加工処理は、カード排出の際に一括して行う場合に限らず、カード残高が所定度数を下回る毎に、逐次行うように構成してもよい。
【0180】
以上、遊技盤制御部132と排出制御部133より構成した遊技盤制御装置130及びカード制御装置9の具体的構成例について説明したが、各制御装置の構成は上記実施形態に限定されるものではなく、所定の制御動作が可能であればよい。
【0181】
例えば、カード制御装置9より排出制御部133へ出力する球貸要求信号は所定時間幅のパルス信号に限らず、所定の貸球排出動作が行われるまでの間継続して所定信号レベルの球貸要求を行うように構成してもよい。斯く構成した場合、排出制御部133の貸球排出手段182が一定サイクル(例えば400ms)で球貸可能な最小価値単位分の球排出動作を行うようにすれば、貸球排出動作中における返却ボタン12の操作や残高記憶手段210の残高記憶が“0”になることに基づいて、球貸要求手段208から球貸要求信号が出力されなくなった後の貸球排出動作が無効となり、球貸要求のキャンセルやカード残高以上の貸球排出動作の規制を行うことができる。
【0182】
また、上記のように構成した場合、球貸要求信号が所定時間(例えば5ms)継続して所定の電位レベル(例えば通常時の“Hレベル”から反転して“Lレベル”)になったことに基づいて、排出制御部133よりP台レディ信号が出力(例えば通常の“Hレベル”から“Lレベル”に変化)されると共に、球貸要求信号が入力されている間P台レディ信号を継続してカード制御装置9へ出力するように構成し、予め設定した貸球上限回数(例えば5回)分の貸球排出動作を連続して行った後も球貸要求信号が停止されない場合には、このP台レディ信号を停止(通常時の“Hレベル”に復帰)させ、このP台レディ信号が常態に復帰することに基づいて、カード制御装置9が球貸要求信号を停止させると共に他の球貸要求を無効とすることで、貸球排出動作の連続回数を規制するための貸球排出禁止処理を行うことができる。
【0183】
なお、この貸球排出禁止処理の解除は、貸球要求信号が所定時間(例えば5ms)継続して通常の電位レベル(ハイレベル)になることで、自動的に行われるものとする。
【0184】
また、以上説明した遊技盤制御装置130とカード制御装置9との間の信号授受は負論理・フォトカプラ絶縁方式により接続するものとしてあり、その信号送受信構成の一例を図29に基づいて説明する。
【0185】
遊技盤制御装置130より出力される払出完了信号は、1対の信号ライン(以下、第1信号ラインL15a、第2信号ラインL15bとする。)よりなる払出完了信号線L15を介してカード制御装置9へ送信されるものとしてある。そして、第1信号ラインL15aの排出制御部133側には電源が、第2信号ラインL15bの排出制御部133側には第1スイッチ素子216(例えばエミッタ接地のNPN型トランジスタ)のコレクタが、夫々接続されるものとしてあり、第1ラインL15aのカード制御装置9側と第2信号ラインL15bのカード制御装置9側には、第1フォトカプラ217のフォトダイオード217aが順方向に接続されるようにしてある。そして、第1スイッチ素子216のベースに払出完了信号が入力されるようにしてあり、第1フォトカプラ217のフォトトランジスタ217bのコレクタには、電源電圧が印加されるようにしてある。
【0186】
上記構成により、第1スイッチ素子216に払出完了信号が入力されていない常態においては、払出完了信号線L15の電位レベルは遊技盤制御装置130側の電源電位に等しいハイレベルとなり、払出完了信号が入力された場合には第1スイッチ素子216がオンすることで、払出完了信号線L15の電位レベルは電源電位よりも低いローレベルとなる。一方、フォトダイオード217aがオンしていない常態においては、カード制御装置9側の払出完了信号は電源電位に等しいハイレベルであるが、払出完了信号線L15に電流が流れることで順方向接続のフォトダイオード217aが発光すると、これに伴ってフォトトランジスタ217bがオンし、ローレベルの払出完了信号が得られるのである。
【0187】
また、第1信号ラインL16a及び第2信号ラインL16bよりなるカード信号線L16の遊技盤制御装置130側には第2フォトカプラ218を、カード制御装置9側には第2スイッチ素子219を夫々接続し、第1信号ラインL13a及び第2信号ラインL13bよりなる球貸要求信号線L13の遊技盤制御装置130側には第3フォトカプラ220を、カード制御装置9側にはスイッチ素子221を夫々接続し、第1ラインL14a及び第2信号ラインL14bよりなるP台レディ信号線L14の遊技盤制御装置130側には第4スイッチ素子222を、カード制御装置9側には第4フォトカプラ223を夫々接続し、上記した払出完了信号線と同様な信号の送受信構成とすることができる。
【0188】
上記のように、交信信号を負論理とすることにより、遊技盤制御装置130とカード制御装置9間を接続するコネクタの抜けによって、各装置が誤作動することを防止できる。また、フォトカプラ絶縁によって信号の送受信を行うので、一方の装置に損壊が生じた場合に、信号線を介して過大電流が他方の装置に流れる等して、双方の装置がダウンするような事態を避けられる。
【0189】
次に、上記した各制御装置(遊技盤制御装置130及びカード制御装置9)の制御概要の流れを、図面に示すフローチャートに基づき説明する。
【0190】
先ず、遊技盤制御部132と排出制御部133より構成した遊技盤制御部130の制御概要について説明する。
図30のゼネラルフローに示すように、遊技盤制御の開始に際しては、先ず、賞球排出動作もしくは貸球排出動作中に電源が断たれることでセットされる停電フラグがセットされているか否かを判定し、この停電フラグがセットされていた場合には、停電回復処理(後に詳述)を行うために、処理番号を「5」に設定する。一方、上記停電フラグがセットされていなかった場合には、電源投入等に伴うRAMのクリアや各出力のリセットやフラグの初期化等を行う初期化処理を行い、該初期化が正常に為された後に、各種検出器の検出情報の有無を判定する“スイッチ入力処理”を行い、当該パチンコ機1における遊技装置の動作制御等を適宜に行う“役物制御処理”を行い、排出制御部133が排出動作指令を行っていないにも拘らず、遊技媒体排出装置64において、球の移動が有るか否かの排出装置不正監視処理を行い、この排出装置不正監視処理において排出不正フラグがセットされているか否かを判定し、該フラグがセットされていた場合には、排出装置不正解除処理を行う。
【0191】
排出不正フラグがセットされていない場合には、セットされている処理番号を順次確認してゆく。そして、処理番号が“5”にセットされている場合には停電回復処理を、処理番号が“4”にセットされている場合には球抜処理を、処理番号が“3”にセットされている場合には球貸排出処理を、処理番号が“2”にセットされている場合には賞球排出処理を、処理番号が“1”にセットされている場合には賞球開始処理を、夫々行う。
【0192】
また、処理番号が“1”〜“5”の何れでもない(本実施形態においては処理番号が“0”にセットされるものとしてある)場合には、先ず球抜フラグがセットされているか否かを判定する。この球抜フラグは、球抜センサ112のセンサ出力を一定時間毎に読み込んで、センサ出力が検出された場合にセットされるフラグであり、この球抜フラグがセットされていれば、処理番号を“4”に設定する。そして、再び上記処理が行われた際には、処理番号が“4”に設定されたことに基づいて、球抜処理が開始されるのである。
【0193】
球抜フラグがセットされていない場合には、カード制御装置9より球貸要求信号が入力されているか否かを判定し、球貸要求信号が入力されていた場合には、球貸開始処理を行う。
【0194】
また、球貸要求が為されていない場合には、セーフセンサ入力処理(後に詳述)において、セーフ立上りフラグがセットされているか否かを判定し、該フラグがセットされていた場合には、賞球数確定処理を行う。
【0195】
次いで、遊技制御に関連して各遊技装置の表示を動作させたり、排出エラー等が生じた場合における表示出力を行わせるための“ランプ表示処理”、遊技制御に関連した所定の音声出力や、排出制御部133より賞球排出や貸球排出に伴って、音声出力要求が為された場合に、所定の音声をスピーカ126より出力させるための“音声出力処理”、補給センサ65が貯留球の不足を検出したことに基づいて管理装置134に球の補給を要求するための“補給処理”、出力すべき情報に基づく出力データがセットされていることに基づいて、該データをカード制御装置9もしくは管理装置134へ適宜に出力するための情報出力処理を行う。そして、これら一連の処理が終了すると、再びスイッチ入力処理から順次各処理を繰り返し行うのである。
【0196】
次に、上記したスイッチ入力処理を詳述する。
本処理においては、先ず、処理開始時における各スイッチのレベル状態(ハイレベルであるかローレベルであるか)を読み込み、これら読み込んだスイッチレベルのうち、始動スイッチが「立ち上がり」であるか否かを判定し、始動スイッチの立ち上がりがあれば始動記憶の確認を行い、例えば始動記憶数が4よりも小なる場合には、始動記憶に“1”を加算し、始動記憶が4であった場合には、始動記憶の加算は行わない。なお、このスイッチの読み込みに際しては、スイッチの2度読み(当該スイッチが所定時間以上継続してそのレベルを維持しているか否かの判断に供するため)をさせることによって、検出出力の誤認を防止することができる。
【0197】
次いで、第2賞球数検出センサもしくは第3賞球数検出センサの「立ち上がり」が検出されているか否かを判定し、これらの検出レベルの立ち上がりが検出されていれば、第2賞球数入賞記憶もしくは第3賞球数入賞記憶に“1”を加算する。なお、上記したブロック構成図においては、遊技盤5には第2入賞球検出器143を設けるものとしたが、本実施形態においては、第2入賞球検出器たる第2賞球数検出センサ及び第3入賞球検出器たる第3賞球数検出センサを設け、遊技盤制御部132に第2入賞球検出手段と第3入賞球検出手段を設けて、3種類の賞球排出数を設定できるようにしてある。また、第2,第3入賞球検出器をオンさせなかった場合には、第1入賞球として処理するものとしてある。
【0198】
また、役物制御処理においては、先ず当該パチンコ機1に対して不正が為された場合の不正処理を行い、次いで不正状態であるか否かを判定し、不正状態でなければ、デジタル処理中か否かを判定し、デジタル処理中であった場合には、“デジタル処理”を行い、デジタル処理中でなかった場合には、始動記憶の有無を判定し、始動記憶が有った場合には、デジタル開始処理を行うと共に、始動記憶から“1”減算する。そして、上記処理を行った後には、乱数の更新を行って、役物制御処理を一旦終了する。
【0199】
上記した役物処理において行われる不正処理に際しては、まず入賞個数検出器50に不正が発生しているか否かを判定する。
ここで、第2入賞球検出器143たる入賞個数検出器50は常時ハイレベルの信号を遊技盤制御装置130の遊技盤制御部132へ送信し、入賞球を検出した場合にのみローレベルの検出信号を遊技盤制御部132へ送信する検出器で構成してあり、遊技盤制御部132内では入賞個数検出器50より入力された信号を反転させて入力判定するものとしてあるので、入賞個数検出器50内に遊技球が停留している状態もしくは入賞個数検出器50と遊技盤制御部132とを結ぶ結線コードの断線やコネクタの抜け等が生じた状態になると、ハイレベル(“H”レベル)の検出信号が遊技盤制御手段136へ供給され続けることになる。
【0200】
そこで、入賞個数検出器50からの入力信号が“H”レベルか否かの判定を行い、当該検出信号が“H”レベルであればオープン不正フラグ(後に詳述する)がセットされた状態たるオープン不正中か否かを判定して、オープン不正中でなければオープン不正判定用のオープン不正タイマをセットする。そして、このオープン不正タイマによる計時時間が例えば2秒を経過すると、入賞個数検出器50に異常があるものとして、オープン不正中であることを判定するためのオープン不正フラグをセットすると共に、不正発生フラグをセットする。なお、この不正発生フラグがセットされていることに関連して、不正状態か否かの判定を行うと共に、後述する遊技状態送信処理において、不正信号が管理装置134へ送信されるのである。
【0201】
なお、オープン不正タイマのセット後に入賞個数検出器50からの入力信号がローレベルになると、オープン不正タイマを初期化すると共に、オープン不正フラグがセットされていれば、オープン不正フラグをリセットする。
【0202】
次いで、後述する特別遊技処理においてセットされる通過不正監視フラグがセットされているか否かを判定し、通過不正監視フラグがセットされていなければ、後述する特別遊技処理においてセットされるノーカウント不正フラグがセットされているか否かの判定を行う。
【0203】
特別遊技中に継続入賞球検出器49がオンすることで通過不正監視フラグがセットされている場合には、まず入賞個数検出器50が入賞球を検出したか否かを判定し、入賞球が検出されていなければ通過不正タイマをセットする。そして、通過不正タイマが計時する2秒の間に入賞個数検出器50より入力がなければ、通過不正が発生したものとして、通過不正フラグ及び不正発生フラグをセットする。
【0204】
すなわち、通過不正とは、継続入賞球検出器49をオンさせた入賞球が例えば2秒の間に入賞個数検出器50に達しなかった場合に検出される不正であり、正当な入賞球に依らないで、特定周波数の電磁波を放射する等の不正行為によって継続入賞球検出器49をオンさせたような場合における当該パチンコ機1の状態を検出させるのである。
【0205】
なお、通過不正タイマが計時する2秒の間に入賞個数検出器50が入賞球を検出した場合には、通過不正監視フラグ及び通過不正フラグをリセットすると共に、通過不正タイマを初期化する。
【0206】
また、ノーカウント不正フラグがセットされていた場合には、入賞個数検出器50が入賞球を検出したか否かを判定し、該入賞球が検出されればノーカウント不正フラグをリセットする。
【0207】
このノーカウント不正は、後述する特別遊技処理が開始されることに伴い、所定時間継続して球受扉43,43が開成される変動入賞装置28に遊技球が全く入賞しなかった場合に検出される不正状態であり、ノーカウントフラグのセットと共に、不正発生フラグもセットされる。
【0208】
上記した各不正判定により、不正発生フラグがセットされている場合には、当該パチンコ機1が不正状態にあるものとして、不正表示を行う。なお、不正表示は特定の不正表示ランプを点灯あるいは点滅させたり、各種の装飾用ランプを点滅あるいは点灯させたり、所定の表示内容を表示した表示部材等を変換表示させたりといった、視覚的表示手段によって適宜に行うことで、パチンコ店の従業員が不正の発生した当該パチンコ機1を明瞭に識別可能なようにしてある。また、不正表示の代りに不正音を発するようにし、聴覚的に識別可能なように構成してもよい。
【0209】
不正処理による不正検出で、当該パチンコ機1が不正状態にある場合には、不正原因が全て除去されるまで他の処理は行わないものとしてあり、不正原因が全て除去された場合には、不正原因発生時の遊技状態に復帰する。
【0210】
次に、第1〜第3始動スイッチ29a〜29cが始動入賞球を検出することに基づいて開始される補助遊技たるデジタル処理について詳述する。
【0211】
デジタル処理が開始されると、特別遊技処理中か否か、及び可変表示器26の停止動作中か否かの判定を行い、どちらにも該当しなければオートストップ規定時間が経過したか否かを判断し、オートストップ規定時間が経過すると、第1〜第3可変表示部26a〜26cの停止図柄決定のための乱数読込み処理を行うと共に、可変表示器26の停止動作を開始する。なお、乱数読込み処理は、例えば2mS毎に更新される乱数を読み込んで、この乱数を基に可変表示器26の第1〜第3可変表示部26a〜26cの停止図柄を所定の算出法によって決定するものである。
【0212】
上記のようにして可変表示器26の停止動作が開始されることによって停止動作中と判断され、デジタル停止処理が行われる。
このデジタル停止処理に際しては、まず第1可変表示部26aが停止したか否かを判定し、未だ停止状態になっていなければ、当該判定時における第1可変表示部26aの表示内容が、乱数読み込み処理によって決定された停止図柄に合致するか否かを判定し、表示中の表示内容が停止図柄でなければ、更にデジタル停止処理を継続し、第1可変表示部26aの表示内容が停止図柄に一致した時点で第1可変表示部26aを停止させる。
【0213】
第1可変表示部26aが停止すると、第2可変表示部26bが停止したか否かを判定し、上記第1可変表示部26aの停止動作と同様にして第2可変表示部26bを停止させ、次いで第3可変表示部26cを停止させる。
【0214】
なお、可変表示器26の表示内容は上記タイマ処理によって逐次更新されてゆくので、デジタル停止処理においては、更新された表示内容と停止図柄とが一致した場合に当該図柄を停止させるものとし、表示内容と停止図柄が一致するまでの所要時間が、第1〜第3可変表示部26a〜26cの停止タイミングにおける遅延時間となるようにしてある。斯く構成することによって、単純に予測できない不特定な遅延時間を設けることができ、パチンコ遊技の興趣を高めることができる。なお、上述した各遅延時間とは別途に、各可変表示部毎に適宜な固定時間を設定し、オートストップ規定時間と固定時間と遅延時間とを合わせて停止タイミングをとるように構成すれば、偶発的に各可変表示部が極めて僅少な時間差で停止してしまうことを防止できる。
【0215】
上記のような処理を行うことで、第1〜第3可変表示部26a〜26cにより構成した可変表示器26の表示内容3桁全てが停止すると、デジタル停止処理を終了し、第1〜第3可変表示部26a〜26cの停止図柄が所定の態様を構成して成る「大当り」か否かを判定する。
【0216】
図柄の判定結果が「大当り」に該当しなかった場合には、デジタル処理を終了し、第1〜第3始動スイッチ15a〜15cへの入賞記憶たるセーフ記憶が有るか否かを判定し、セーフ記憶が有れば再びデジタル処理を開始する。
【0217】
一方、図柄の判定結果が「大当り」であった場合には、特別遊技開始フラグをセットし、特別遊技処理を開始する。なお、ここでセットする特別遊技開始フラグは特別遊技発生情報として機能し、このフラグがセットされることにより、遊技状態送信処理における特別遊技信号の送信処理が実行され、特別遊技開始データが管理装置134へ送信されるのである。
【0218】
特別遊技処理の開始に際しては、まず変動入賞装置28の駆動源45を駆動させることによって、球通過口42を閉塞状態にしている球受扉43,43を左右に開成させ、球通過口42への入賞を可能ならしめる第2状態に変換駆動させるのである。
【0219】
そして、特別遊技における1サイクルの終了条件となる「予め定めた所定時間たる動作時間(例えば30秒)の経過」もしくは「入賞個数検出器50によって検出された入賞個数が10個」のうち、最先の条件が満たされるまで変動入賞装置28を第2状態に保持するのである。
【0220】
上記した最先の条件が満たされた時点で当該サイクルは終了するが、このサイクル中に継続入賞球検出器49が入賞球を検出していた場合には、改めて特別遊技中のサイクルが更新され、このサイクル更新による継続は例えば最大16回まで可能なものとしてある。
【0221】
以下に、上記した特別遊技処理における1サイクル中の処理概要について詳述する。
当該サイクルの開始に伴って、変動入賞装置28の駆動源45がオン状態であるか否かを判断し、当該サイクル開始直後においては第1状態にある変動入賞装置28の駆動源45を駆動させて、球通過口42への入賞が可能な第2状態に変換する。そして、球通過口42へ入賞した入賞球を検出する入賞個数検出器50が入賞球を検出したか否かを判断し、入賞個数検出器50に入力があれば、入賞個数をカウントする入賞個数カウンタのカウント数に“1”を加算する。
【0222】
次いで、現在実行中のサイクルが継続回数16回目に該当するか否かを継続カウンタのカウント数によって判断し、継続カウントが“16”でなければ、サイクルの継続更新条件たる継続入賞球検出器49が入賞球を検出したか否かの判定を行う。ここで、継続入賞球検出器49に入力があれば、上記継続回数カウンタのカウント数に“1”加算すると共に、図示を省略した継続ランプを点灯し、継続入賞球検出器49に対して為された不正を検出するための通過不正監視フラグをセットする。
【0223】
なお、1サイクル中に有効な継続入賞球は1個だけであり、継続入賞球に対する特典は次回以降のサイクルへ持ち越せないものとしてあるので、継続入賞球検出器49が“2”以上の入賞球を検出しても、上記継続入賞球検出時の処理を行うことがないように、例えば継続ランプがオン状態にあるか否かを判定し、継続ランプがオン状態にあると判定した場合には、継続入賞球検出器49の入力判定を行わせないものとしてある。
【0224】
そして、動作時間が終了したか否かを判定し、未だ動作時間が経過していなければ、入賞個数検出器50が検出した入賞球数が10個になったか否かを判定することで、当該サイクルの終了条件が満たされたか否かを判定する。終了条件が満足されていなければ、入賞個数表示器48による入賞個数表示および継続回数表示器47による継続回数表示を更新し、上記したと同様な特別遊技処理を行う。
【0225】
しかして、当該サイクルの終了条件が満たされた場合には、変動入賞装置28の駆動源45をオフにすることで、変動入賞装置28を第1状態に復せしめると共に、入賞個数カウンタのカウント数をクリアする。なお、当該サイクルの終了条件が「動作時間の終了」であった場合には、入賞個数検出器50が検出した入賞球数たる入賞個数が“0”であるか否かを判断し、入賞個数が“0”であった場合には、ノーカウント不正フラグおよび不正発生フラグをセットすることによって、上記不正処理のノーカウント不正検出に供する。
【0226】
次いで、特別遊技中におけるサイクル更新の判断条件として、継続入賞球検出器49が入賞球を検出することによってオンされる継続ランプがオン状態にあるか否かを判断し、ここで継続ランプがオン状態であれば、サイクル更新に伴って継続ランプを消灯し、入賞個数表示および継続回数表示を更新する。しかし、継続ランプがオン状態でなければ、特別遊技中のサイクル更新は為されず、継続カウンタのカウント数をクリアして、特別遊技処理自体を終了させるのである。
【0227】
各サイクル毎に継続入賞球検出器49が継続入賞球を検出し、特別遊技中におけるサイクルの更新継続回数が16回に達した場合には、各サイクルの更新毎に“1”加算される継続回数カウンタのカウント数が“16”であるために、継続入賞球検出器49の入力判定は行わず、入賞個数検出器50による入賞球の検出のみを行い、最先のサイクル終了条件が満たされた時点で、変動入賞装置28を第1状態に戻すように駆動源45をオフにし、当該サイクル中に入賞個数検出器50によって検出された入賞球数たる入賞個数が“0”でなければ、継続カウンタのカウント数をクリアして、特別遊技処理を終了する。
【0228】
なお、上記したゲーム処理は一具体例であり、デジタル処理において判断する可変表示器26の図柄判定に際して、隣接する可変表示部(例えば第1可変表示部26aと第2可変表示部26b)の表示内容が一致する場合を「小当り」とすることで、特別遊技とは異る遊技処理(例えば変動入賞装置28を極く短時間だけ第2状態に変換駆動させる)を行うように構成すれば、パチンコ遊技の興趣を一層高めることができる。
【0229】
次に、上記した役物処理が終了した後に行う排出装置不正監視処理について説明する。
【0230】
排出装置不正監視処理に際しては、遊技媒体排出装置64の第1遊技媒体排出機構85a及び第2遊技媒体排出機構85bについて、夫々監視するものとしてあり、先ず第1遊技媒体排出機構85aの第1排出ソレノイド104aへ駆動出力しているか否かを判定し、排出ソレノイド104aをオンさせていれば、第1排出不正監視カウンタをクリア(カウント数を“0”に)し、次いで、第2遊技媒体排出機構85bの第2排出ソレノイド104bへ駆動出力しているか否かを判定し、第2排出ソレノイド104bをオンさせていれば、第2排出不正監視カウンタをクリアする。そして、排出装置不正監視処理を一旦終了させ、再び行う排出装置不正監視処理において、第1,第2排出ソレノイド104a,104bがオン状態であれば、上記と同様にして第1,第2排出不正監視カウンタをクリアし続けるのである。
【0231】
一方、第1排出ソレノイド104aに駆動出力を行っていない場合には、第1遊技媒体排出機構85aより排出される球を検出する第1排出センサ91aの立上りフラグがセットされているか否かを判定し、セットされていた場合には、第1排出不正監視カウンタのカウント数に“1”を加算すると共に、第1排出センサ立上りフラグをリセットする。次いで、第1排出不正監視カウンタのカウント数が“3”に達したか否かを判定し、該カウント数が未だ“3”に達していなければ、第2遊技媒体排出機構85bの不正監視を行う。
【0232】
上記した第1遊技媒体排出機構85aの排出不正監視において、排出ソレノイド104aがオンであった場合、排出ソレノイド104aがオンであるが第1排出センサ立上りフラグがセットされていない場合、もしくは第1排出不正監視カウンタのカウント数が“2”以下であった場合に行う第2遊技媒体排出機構85bの排出不正監視において、第1排出ソレノイド104bに駆動出力を行っていない場合には、第2遊技媒体排出機構85bより排出される球を検出する第2排出センサ91bの立上りフラグがセットされているか否かを判定し、セットされていた場合には、第2排出不正監視カウンタのカウント数に“1”を加算すると共に、第2排出センサ立上りフラグをリセットする。次いで、第2排出不正監視カウンタのカウント数が“3”に達したか否かを判定し、該カウント数が未だ“3”に達していなければ、排出装置不正監視処理を一旦終了する。
【0233】
上記のようにして、排出不正監視処理を繰り返すことで、第1排出監視カウンタもしくは第2排出監視カウンタのカウント数が“3”に達した場合には、遊技媒体排出装置6に対して不正が為されたものとみなし、球抜ソレノイド123をオンさせて球抜ゲート121を流下樋115内へ臨ませ、排出球の流下路を球抜き樋120側へ切り換えると共に、排出不正フラグをセットする。また、この球抜きフラグがセットされることに基づいて、球貸排出表示部18及び賞球排出表示部19の点滅動作を行わせるものとし、当該パチンコ機1において、排出装置不正が発生したことを可視表示させる。
【0234】
上記のようにして、排出不正フラグがセットされることに基づいて行われる排出装置不正解除処理においては、先ず排出1エラー解除フラグもしくは排出2エラー解除フラグがセットされているか否かを判定し、両エラー解除フラグがセットされるまで、この排出装置不正解除処理においては、他の処理を行わせない。なお、これら排出1エラー解除フラグおよび排出2エラー解除フラグは、後に詳述する割込処理において所定時間毎に行う排出センサ1レベル入力処理および排出センサ2レベル入力処理においてセットされるものであり遊技媒体排出装置64の第1,第2排出センサ91a,91bが所定時間(例えば50ミリ秒)継続して球有り状態であった場合に、遊技媒体排出装置64に作用した不正要因の除去が適正に行われた指標とするものである。
【0235】
排出1エラー解除フラグ及び排出2エラー解除フラグが共にセットされた場合には、排出不正フラグをリセットすると共に、球抜きソレノイド123をオフにする。併せて、球貸排出表示部18及び賞球排出表示部19の点滅表示動作を停止させるのである。
【0236】
上記のようにして、排出装置の不正が解除された後には、排出装置の不正を検出する前に付されていた処理番号に従って各処理が行われるものとしてある。処理番号が“0”に設定されている場合には、先ず、球抜フラグがセットされているか否かを判定し、球抜フラグがセットされていない場合には球貸要求が為されているか否か、この球貸要求が為されていない場合にはセーフ立上りフラグがセットされているか否かを判定する。
【0237】
ここで、一定時間(例えば1ミリ秒)毎に行われる割込処理(後に詳述)において行われる球抜センサ入力処理において、球抜フラグがセットされていた場合には、処理番号が“4”に設定され、この処理番号に基づいて球抜き処理が行われる。
【0238】
この球抜処理に際しては、先ず強制終了フラグがセットされているか否かを判定する。この強制終了フラグとは、球抜き処理が適正に行われて終了するのではなく、例えば球抜き処理を実行している最中に、再度球抜きセンサ112がオンすることで、球抜フラグがセットされた場合に付されるフラグであり、該強制終了フラグがセットされていた場合には、球抜き処理を中断するための処理(後に詳述)を行う。
【0239】
強制終了フラグがセットされていなければ、球抜き実行フラグがセットされているか否か、球抜き開始フラグがセットされているか否かを判定し、何れのフラグもセットされていなければ、球抜フラグをリセットし、球抜き開始タイマ(例えば1000ms)をセットすると共に球抜ソレノイド123をオンする。上記球抜き開始タイマは、球抜き処理として、遊技媒体排出装置64から球を排出するために、球の流下路を切り換えるのに必要十分な時間(球抜ソレノイド123がオンして球抜きゲートが変換されるのに必要十分な時間)を計時するためのものである。
【0240】
上記のようにして球抜きタイマセットおよび球抜ソレノイド123をオンさせた後には球抜開始フラグをセットし、球抜フラグがセットされているか否かを判定する。ここで有無を判断する球抜フラグは、上記処理においてリセットされた球抜フラグ(処理番号を“4”に設定する際に用いられたフラグ)を意味するものではなく、当該球抜処理の実行中に球抜センサ123がオンすることによって、新たな球抜フラグがセットされているか否かを判定するものである。この球抜フラグがセットされていた場合には、球抜処理を強制終了させるための処理(後に詳述)を行う。なお、上記した球抜開始フラグの有無の判定処理において、球抜開始フラグがセットされていた場合には、この球抜フラグの有無の判定処理にスキップする。
【0241】
球抜フラグがセットされていなければ、球抜ソレノイド123をオンさせると同時にセットした球抜開始タイマが所定時間を計時したか否かを判定し、タイムアップしていなければ、一旦球抜処理を終了させて、再び上記した球抜処理を行う。
【0242】
上記処理を繰り返した後に、球抜開始タイマがカウントアップすると、第1排出ソレノイド104a及第2排出ソレノイド104bをオンさせて、実際の球抜動作を開始すると共に、この球抜動作の実行に伴って、球抜実行フラグをセットする。
【0243】
そして、球抜実行フラグがセットされていない場合には、球抜処理中に球抜センサ112がオンすることに基づく球抜フラグがセットされているか否かを再び判定し、球抜フラグがセットされていない場合には、排出1終了フラグもしくは排出2終了フラグがセットされているか否かを判定する。なお、上記した球抜実行フラグの有無の判定処理において、球抜実行フラグがセットされていた場合には、この球抜フラグの有無の判定処理へスキップする。
【0244】
第1遊技媒体排出機構85aよりの球排出動作が終了しておらず、排出1終了フラグがセットされていない場合には、後述する排出センサ1入力処理において、排出1球無フラグがセットされているか否かを判定する。そして、排出1球無フラグがセットされていなければ、第1排出センサ91aが球を検出していない状態であるか否かを判定し、第1排出センサ91aが排出球を検出していない状態であった場合には、排出1球無フラグをセットすると共に、排出1球無タイマ(例えば3秒)をセットする。この球無タイマは遊技媒体排出装置64内に球が残留していない状態であることを確認するためのものである。
【0245】
上記のようにして、排出1球無フラグがセットされた後に、再び開始される球抜処理においては、排出1終了フラグおよび排出1球無フラグがセットされていることに基づいて、再び第1排出センサ91aが球を検出していない状態であるか否かの判定を行う。ここで、球を第1排出センサ91aが検出していた場合には、残留球があるものとして、排出1球無フラグをリセットする。一方、ここでも第1排出センサ91aが球を検出していない状態であれば、排出球無タイマが所定時間を計時したか否かを判定し、所定時間を計時していた場合には、排出1終了フラグをセットし、排出球無フラグをリセットする。
【0246】
第2遊技媒体排出機構85bについても、上記第1遊技媒体排出機構85aと同様にして、排出2終了フラグをセットする。すなわち、第2遊技媒体排出機構85bよりの球排出動作が終了しておらず、排出2終了フラグがセットされていない場合には、後述する排出センサ2入力処理において、排出2球無フラグがセットされているか否かを判定する。そして、排出2球無フラグがセットされていなければ、第2排出センサ91bが球を検出していない状態であるか否かを判定し、第2排出センサ91bが排出球を検出していない状態であった場合には、排出2球無フラグをセットすると共に、排出2球無タイマ(例えば3秒)をセットする。
【0247】
上記のようにして、排出2球無フラグがセットされた後に、再び開始される球抜処理においては、排出2終了フラグおよび排出2球無フラグがセットされていることに基づいて、再び第2排出センサ91bが球を検出していない状態であるか否かの判定を行う。ここで、球を第2排出センサ91bが検出していた場合には、残留球があるものとして、排出2球無フラグをリセットする。一方、ここでも第2排出センサ91bが球を検出していない状態であれば、排出球無タイマが所定時間を計時したか否かを判定し、所定時間を計時していた場合には、排出2終了フラグをセットし、排出球無フラグをリセットする。
【0248】
排出1終了フラグおよび排出2終了フラグがセットされるまでは、上記の処理を繰り返すものとしてあり、例えば排出1終了タイマもしくは排出2終了タイマがセットされてから所定時間(3秒)が経過する前に、球を第1,第2排出センサ91a,91bが検出した場合には、改めて排出1終了タイマもしくは排出2終了タイマをセットし、再び3秒の計時を開始するのである。また、排出1終了フラグおよび排出2終了フラグがセットされるまで、同様な処理を繰り返す。
【0249】
上記のようにして、排出1終了フラグ及び排出2終了フラグがセットされると、球抜実行フラグ、球抜開始フラグ、排出1終了フラグ、排出2終了フラグを併せてリセットし、第1,第2排出ソレノイド104a,104bおよび球抜ソレノイド123を駆動停止させ、処理番号を“0”に設定して、球抜処理を終了する。
【0250】
次に、球抜処理中に球抜センサ112から検出出力が入力されることに基づいて、球抜処理の強制終了を行う場合を説明する。
【0251】
球抜実行フラグがセットされた後においては、既に第1,第2遊技媒体排出機構82a,82bが動作を開始しているので、この排出動作が終了したとして、排出1終了フラグもしくは排出2終了フラグがセットされているか否かを判定すし、各終了フラグがセットされていれば、第1排出ソレノイド104aもしくは第2排出ソレノイド104bをオフにする。そして、上記判断処理を行った後、第1,第2排出センサ91a,91bが所定時間継続してオフ状態を維持していることを確認するために、排出1球無フラグおよび排出2球無フラグをリセットする。
【0252】
上記のようにして球無フラグをリセットした場合および球抜開始フラグをセットした後に球抜フラグがセットされた場合には、球抜フラグをリセットすると共に、強制終了フラグおよび強制終了タイマ(例えば1秒)をセットする。そして、上記のようにして強制終了フラグがセットされた後においては、強制終了タイマがカウントアップしたか否かを判定し、強制終了タイマが所定時間(1秒)を計時していなければ、排出1終了フラグおよび排出2終了フラグの有無を判定する。
【0253】
排出1終了フラグがセットされていない場合には、第1排出センサ91aが球を検出したことに基づいて付される排出センサ1立上りフラグがセットされているか否かの判定をおこない、該排出センサ1立上りフラグがセットされていれば、第1排出センサ91aが球を検出したタイミングで、第1排出ソレノイド104aをオフにすると共に、排出1終了フラグをセットする。
【0254】
上記のようにして、第1遊技媒体排出機構85aにおける排出1終了フラグがセットされた後、もしくは排出センサ1立上りフラグがセットされていない場合には、遊技媒体排出機構85bについて、上記と同様な処理を行う。すなわち、排出2終了フラグがセットされていない場合には、第2排出センサ91bが球を検出したことに基づいて付される排出センサ2立上りフラグがセットされているか否かの判定をおこない、該排出センサ2立上りフラグがセットされていれば、第2排出センサ91bが球を検出したタイミングで、第2排出ソレノイド104bをオフにすると共に、排出2終了フラグをセットする。斯くして、強制終了タイマが所定時間を計時する前に、第1,第2排出ソレノイド104a,104bがオフにされると共に、排出1終了フラグ及び排出2終了フラグがセットされると、強制終了タイマをリセットすると共に、強制終了フラグをリセットする。
【0255】
一方、排出1終了フラグ及び排出2終了フラグが共にセットされる前に、強制終了タイマが所定時間を計時すると、排出センサ1立上りフラグもしくは排出センサ2立上りフラグの有無に拘らず、強制的に第1,第2排出ソレノイド104a,104bをオフにした後、強制終了フラグをリセットする。なお、本実施形態においては、強制終了フラグのセットから強制終了タイマによって1秒を計時するものとしてあることから、球が残留していた場合には、この間に一度は第1,第2排出センサ91a,91bを通過する筈であるから、排出センサ1立上りフラグ及び排出センサ2立上りフラグがセットされないということは、既に球抜きが完了したものとみなして、第1,第2排出ソレノイド104a,104bをオフにするのである。
【0256】
上記のようにして強制終了フラグをリセットすると、次いで球抜実行フラグおよび球抜開始フラグをリセットすると共に、排出1終了フラグ及び排出2終了フラグをリセットし、球抜ソレノイド123をオフにして球抜ゲート121を通常の状態に復帰せしめる。そして、処理番号を“0”にセットすることで、球抜処理を終了させるのである。
【0257】
次に、処理番号“0”の状態において、カード制御装置9より球貸要求信号が入力されることに基づいて行われる球貸開始処理について説明する。
【0258】
球貸開始処理においては、先ず排出開始条件確認処理を行い、この排出開始条件確認処理において排出可能フラグがセットされていた場合には、カード制御装置9のカード制御手段200より要求された排出球数に応じた球貸数データを排出レジスタ0にセットすると共に、球貸排出表示部18をオンさせる。さらに、球貸音フラグをセットすることで、音声出力処理(後に詳述)が実行された際に、スピーカ126より球貸排出音が出力されるようにすると共に、該球貸排出音の出力時間を設定するための球貸音タイマ及び生成音を特定するための球貸排出音データをセットする。次いで、遊技盤制御装置130からカード制御装置9へ貸球排出動作が可能であることを示唆するP台レディ信号を送信するためのP台レディフラグをセットする。
【0259】
上記の処理が終了すると、第1,第2遊技媒体排出機構85a,85bを適宜に駆動させて実際の貸球排出動作をさせるための排出開始処理を行い、処理番号を“3”に設定して球貸開始処理を終了する。なお、排出開始条件確認処理において、排出可能フラグがセットされなかった場合には、P台レディフラグがセットされないために、P台レディ信号がカード制御装置9へ送信されず、この球貸要求に基づく貸球排出動作は行われない。
【0260】
排出開始条件確認処理においては、排出センサ1球有フラグがセットされているか否か、排出センサ2球有フラグがセットされているか否か、半端センサ球有フラグがセットされているか否か、オーバーフロー球無フラグがセットされているか否かを判定し、全てのフラグがセットされている場合にのみ、排出可能フラグをセットするのである。しかしながら、何れかのフラグがセットされていない場合には、排出可能フラグをリセットすることで、上記した球貸開始処理を不可能とするのである。
【0261】
また、排出開始条件確認処理において排出開始可能フラグがセットされることに基いて行われる排出開始処理においては、先ず排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「1」であるか否か判定し、「1」であった場合には、1個排出フラグをセットすると共に、交互排出フラグをリセットする。そして、球を1個だけ排出するために第1排出ソレノイド104aもしくは第2排出ソレノイド104bをオンさせる時間を計時するための1個排出タイマをセットする。
【0262】
一方、排出レジスタ0の球貸数データが1ではない場合には、排出レジスタ0の球貸数データが「8」以下であるか否かを判定し、「8」以下であった場合には、1個排出フラグをリセットすると共に、交互排出フラグをセットする。
【0263】
上記のようにして、1個排出タイマがセットされた場合および交互排出フラグがセットされた場合には、反転フラグ処理を行い、その後に反転フラグがセットされた状態(“1”)であるか、リセットされた状態(“0”)であるかを判定する。この反転フラグ処理は、反転フラグがセットされているか否かを判定して、反転フラグがセットされていれば、反転フラグをリセットし、反転フラグがリセットされていれば、反転フラグをセットするものである。
そして、上記反転フラグ処理において反転された反転フラグのセット・リセットに応じて、第1排出ソレノイド104aもしくは第2排出ソレノイド104bの一方を駆動させることで、第1遊技媒体排出機構85aと第2遊技媒体排出機構85bを交互にオンさせる交互排出が可能になるのである。次いで、排出ウエイトフラグ及び排出終了フラグをリセットし、排出監視タイマ(例えば3秒を計時)をセットする。
【0264】
排出レジスタ0の球貸数データが「9」より大であった場合には、第1遊技媒体排出機構85aより排出させる排出球数と第2遊技媒体排出機構85bより排出させる球数を設定するための排出数分割処理を行い、1個排出フラグ、交互排出フラグ、排出1終了フラグ、排出2終了フラグをリセットすると共に、第1,第2排出ソレノイド104a,104bをオンさせるのである。次いで、排出ウエイトフラグ及び排出終了フラグをリセットし、排出監視タイマ(例えば3秒を計時)をセットする。
【0265】
また、上記排出数分割処理においては、先ず、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「9」か否かを判定し、「9」であった場合には、排出レジスタ1に「5」を、排出レジスタ2に「4」を夫々セットして排出数分割処理を終了する。次いで、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「10」か否かを判定し、「10」であった場合には、排出レジスタ1に「5」を、排出レジスタ2に「5」を夫々セットして排出数分割処理を終了する。
【0266】
以下、同様にして、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「11」か否かを判定し、「11」であった場合には、排出レジスタ1に「6」を、排出レジスタ2に「5」を夫々セットし、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「12」か否かを判定し、「12」であった場合には、排出レジスタ1に「6」を、排出レジスタ2に「6」を夫々セットし、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「13」か否かを判定し、「13」であった場合には、排出レジスタ1に「7」を、排出レジスタ2に「6」を夫々セットし、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「14」か否かを判定し、「14」であった場合には、排出レジスタ1に「7」を、排出レジスタ2に「7」を夫々セットし、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「15」か否かを判定し、「15」であった場合には、排出レジスタ1に「8」を、排出レジスタ2に「7」を夫々セットし、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「16」か否かを判定し、「16」であった場合には、排出レジスタ1に「8」を、排出レジスタ2に「8」を夫々セットし、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「17」か否かを判定し、「17」であった場合には、排出レジスタ1に「9」を、排出レジスタ2に「8」を夫々セットし、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「18」か否かを判定し、「18」であった場合には、排出レジスタ1に「9」を、排出レジスタ2に「9」を夫々セットし、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「19」か否かを判定し、「19」であった場合には、排出レジスタ1に「10」を、排出レジスタ2に「9」を夫々セットし、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「20」か否かを判定し、「20」であった場合には、排出レジスタ1に「10」を、排出レジスタ2に「10」を夫々セットし、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「21」か否かを判定し、「21」であった場合には、排出レジスタ1に「11」を、排出レジスタ2に「10」を夫々セットし、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「22」か否かを判定し、「22」であった場合には、排出レジスタ1に「11」を、排出レジスタ2に「11」を夫々セットし、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「23」か否かを判定し、「23」であった場合には、排出レジスタ1に「12」を、排出レジスタ2に「11」を夫々セットし、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「24」か否かを判定し、「24」であった場合には、排出レジスタ1に「12」を、排出レジスタ2に「12」を夫々セットし、排出レジスタ0にセットされた球貸数データが「25」か否かを判定し、「25」であった場合には、排出レジスタ1に「13」を、排出レジスタ2に「12」を夫々セットして排出数分割処理を終了する。
【0267】
上記した球貸開始処理において、処理番号が“3”に設定されることによって開始される球貸排出処理について説明する。
【0268】
球貸排出処理においては、先ず排出ウエイトフラグがセットされているか否かを判定し、該排出ウエイトフラグがセットされていなければ、排出処理を行う。そして、排出処理が終了した後には、所定数の球排出が終了したことに基づいてセットされる排出終了フラグがセットされているか否かを判定し、未だ排出終了フラグがセットされていなければ、一旦球貸排出処理を終了させる。上記処理を繰返した後に、排出終了フラグがセットされると、排出ウエイトフラグをセットすると共に、排出ウエイトタイマ(例えば400ms)をセットする。さらに、払出終了フラグをセットすると共に、貸球排出表示部18等への表示出力を停止させて、球貸排出表示をオフにする。
【0269】
また、排出終了フラグがセットされることに伴って行う上記処理と共に、連続球貸カウンタのカウント数に“1”を加算する。この連続球貸カウンタは、例えば、貸球排出手段178の球貸上限判定手段188に設けるものとしてあり、この連続球貸カウンタのカウント上限値(例えば5回)は、球貸上限記憶手段189より供給される。そして、球貸連続カウンタのカウント値が記憶上限値である場合には、カード制御装置9より入力された球貸要求信号を無効とすることによって、連続して球貸可能な回数(排出球数)を規制するのである。
【0270】
上記のようにして、排出ウエイトフラグがセットされると、排出ウエイトタイマが所定時間を計時したか否かを判定し、未だ所定時間が経過していなければ、一旦球貸排出処理を終了させる。そして、上記処理を繰り返した後に、ウエイトタイマがタイムアップすると、処理番号を“0”に設定して、球貸排出処理を終了する。
【0271】
次に、上記した球貸排出処理において、球貸要求に基づく所定数の球排出動作が終了することに伴って排出ウエイトフラグがセットされるまで継続して行われる排出処理を説明する。
【0272】
排出処理に際しては、先ず、排出エラーフラグ(後に詳述)がセットされているか否かを判定し、この排出エラーフラグがセットされていなければ、遊技媒体排出装置64より適正な球排出動作が行われたことに基づいてセットされる排出終了フラグがセットされているか否かを判定する。そして、排出監視処理においてセットされた排出監視タイマ(3秒)がタイムアップしたか否かを判定し、排出監視タイマがカウントアップしていなければ、1個排出フラグがセットされているか否かを判定する。
【0273】
上記判定処理において、1個排出フラグがセットされていた場合には、第1遊技媒体排出機構85aもしくは第2遊技媒体排出機構85bの一方から遊技球を「1個」だけ排出させる1個排出処理を行い、1個排出フラグがセットされていなければ、交互排出フラグがセットされているか否かを判定する。そして、交互排出フラグがセットされていた場合には、第1遊技媒体排出機構85aもしくは第2遊技媒体排出機構85bの一方のみから「8個」以下の遊技球を排出させる交互排出処理を行い、交互排出フラグがセットされていない場合には、第1遊技媒体排出機構85a及び第2遊技媒体排出機構85bの両方を用いて「9個」以上の遊技球を排出させる併用排出処理を行って、排出処理を終了する。
【0274】
また、排出処理において、排出監視タイマが所定時間を計時した場合には、第1排出ソレノイド104aおよび第2排出ソレノイド104bをオフにすると共に、排出エラーフラグをセットする。そして、この排出処理を行っている際の処理番号が「2」であるか「3」であるかを確認し、処理番号が「2」であった場合には賞球排出表示部19を、処理番号が「3」であった場合には貸球排出表示部18を夫々点滅動作させ、当該パチンコ機1において貸球排出時の排出エラーもしくは賞球排出時のエラーが生じたことを可視表示させるのである。
【0275】
上記のようにして排出エラーフラグがセットされることに基づいて、排出エラー回復処理が行われるのである。この排出エラー回復処理においては、先ず排出1エラー解除フラグ及び排出2エラー解除フラグがセットされているか否かを判定する。そして、第1,第2排出センサ91a,91bが3秒間継続して球有り状態を検出することに基づいて両フラグが共にセットされると、球排出動作が可能な状態であるか否かを確認するために、上記した排出開始条件確認処理をおこなう。
【0276】
この排出開始条件確認処理において、排出開始可能フラグがセットされていなければ、そのまま排出エラー回復処理を終了するが、排出開始可能フラグがセットされていた場合には、排出レジスタ1の値が“1”より大であるか否かを判定し、“1”以下であれば、排出レジスタ2の値を排出レジスタ0にセットする。また、排出レジスタ1の値が“1”より大であった場合には、排出レジスタ2の値が“1”より大であるか否かを判定し、この排出レジスタ2の値が“1”以下であれば、排出レジスタ1の値を排出レジスタ0にセットする。さらに、排出レジスタ2の値も“1”より大であった場合には、排出レジスタ1の値と排出レジスタ2の値との加算値を排出レジスタ0にセットする。
【0277】
上記のようにして、排出レジスタ0に賞球データもしくは球貸データがセットされると、処理番号が「2」であるか「3」であるかを判定し、処理番号が「2」であった場合には、賞球排出表示部19を点滅動作から通常の点灯動作に復帰させ、処理番号が「3」であった場合には、貸球排出表示部18を点滅動作から通常の点灯動作に復帰させ、上記した排出開始処理を行うと共に、排出エラーフラグをリセットする。かくすることによって、排出エラー発生によって中断された賞球排出もしくは貸球排出動作の継続を可能ならしめるのである。
【0278】
なお、上記した排出エラー回復処理において、排出レジスタ1及び排出レジスタ2の値を単純に加算せずに、排出レジスタ1もしくは排出レジスタ2の値が“1”以下であった場合には、他方の排出レジスタの値のみを排出レジスタ0にセットするようにしたのは、以下の理由による。
【0279】
本実施形態の第1,第2遊技媒体排出機構85a,85bは図9〜図10に示すように、ストッパ用係止爪103a,103bによって球が流下を阻止されている第1状態においては、ストッパ用係止爪103a,103bに流下を阻止されている最上流側の球に当接した2番目の球が第1,第2排出センサ91a,91bに検出されている状態となるように構成してある。したがって、第1,第2排出センサ91a,91bの検出出力の立上りエッジに基づいて通過球を検出するとした本実施形態においては、例えば「6個」の球排出を行う場合には、当該排出処理において第1排出センサ91aもしくは,第2排出センサ91bが検出する5番目の立上りエッジを検出した時点で第1,第2排出ソレノイド104a,104bをオフにして、ストッパ用係止爪103a,103bを復帰させれば、所定数の球排出動作がおこなえるのである。すなわち、排出レジスタ1もしくは排出レジスタ2の値が“1”であった場合には、当該排出レジスタ側における所定数の球排出動作は終了していることになる。
【0280】
上記のようなことから、排出レジスタの値が“1”であっても、これらを加算した値を排出レジスタ0にセットしてしまうと、余分な球排出動作を行うことになるのである。また、全ての球排出動作の完了に基づいてセットされる排出終了フラグがセットされていないことから、一方の排出レジスタが“1”以下であった場合には、他方の排出レジスタの値が“1”より大であることを意味するので、排出レジスタ1が“1”以下であった場合には、排出レジスタ2の値を排出レジスタ0にセットし、排出レジスタ2が“1”であった場合には、排出レジスタ1の値を排出レジスタ0にセットするのである。
【0281】
なお、排出監視タイマがタイムアップする前に所定数の球排出動作が可能な場合(球切れや球詰まり等を生じていない場合)には、第1排出ソレノイド104aもしくは第2排出ソレノイド104bをオフにした後に、排出動作停止のタイミングを図るための立上りエッジが検出された球(5番目の立上りエッジにおいては7番目の球)がストッパ用係止爪103a,103bによって停止させられた後に、更に後続の球(8番目の球)が第1排出センサ91aもしくは第2排出センサ91bに検出された状態で停止するので、該後続球の検出に基づく立上りエッジが検出されることで、排出レジスタ1もしくは排出レジスタ2の値は“0”になる。
【0282】
次に、排出開始処理において、排出球数が1個である場合に1個排出フラグがセットされることに基づいて開始される1個排出処理を説明する。
この1個排出処理においては、先ず、上記排出開始処理においてセットされた1個排出タイマ(35ms)がタイムアップしたか否かを判定し、タイムアップしていれば、反転フラグのセット・リセット状態を判定する。そして、この反転フラグの状態に応じて、上記排出開始処理において駆動させた排出ソレノイドをオフにする。すなわち、反転フラグがセットされていれば、排出開始処理においてオンさせた第2排出ソレノイド104bをオフにし、反転フラグがセットされていなければ、排出開始処理においてオンさせた第1排出ソレノイド104aをオフにする。そして、排出終了フラグをセットした後に、1個排出処理を終了するのである。
【0283】
また、上記した排出開始処理において、排出球数が1個より大で且つ8個より小であった場合に、交互排出フラグがセットされることに基づいて行われる交互排出処理においては、先ず、反転フラグがセット・リセット状態を判定し、この反転フラグの状態に応じて、上記排出開始処理において駆動させた排出ソレノイド側の排出センサの検出状態を判定する。
【0284】
すなわち、反転フラグがセットされていなければ、上記排出開始処理において第1排出ソレノイド104aをオンさせることによって駆動させた第1遊技媒体排出機構85aの第1排出センサ91aから球の検出出力が入力されることに基づいてセットされる排出センサ1立上りフラグがセットされているか否かを判定し、反転フラグがセットされていれば、上記排出開始処理において第2排出ソレノイド104bをオンさせることによって駆動させた第2遊技媒体排出機構85bの第2排出センサ91bから球の検出出力が入力されることに基づいてセットされる排出センサ2立上りフラグがセットされているか否かを判定するのである。そして、該フラグがセットされていなければ、一旦交互排出処理を終了して、再び上記処理を繰り返す。
【0285】
ここで、排出センサ1立上りフラグがセットされていた場合には、排出レジスタ0の値から“1”減算し、排出センサ1立上りフラグをリセットする。そして、排出レジスタ0の値が“1”であるか否かを判定し、その値が“1”でなければ、一旦交互排出処理を終了して、再び上記処理を繰り返す。しかして、排出レジスタ0の値が“1”であった場合には、上記排出エラー回復処理において説明したように、所定数の球排出が行われたことになるため、第1排出ソレノイド104aをオフにして球排出動作を終了させると共に、排出終了フラグをセットして、交互排出処理を終了するのである。
【0286】
一方、排出センサ2立上りフラグがセットされていた場合も同様に、排出レジスタ0の値から“1”減算し、排出センサ2立上りフラグをリセットする。そして、排出レジスタ0の値が“1”であるか否かを判定し、その値が“1”でなければ、一旦交互排出処理を終了して、再び上記処理を繰り返す。しかして、排出レジスタ0の値が“1”であった場合には、第2排出ソレノイド104bをオフにして球排出動作を終了させると共に、排出終了フラグをセットして、交互排出処理を終了するのである。
【0287】
次に、上記排出開始処理において1個排出フラグ及び交互排出フラグがリセットされることにより、排出処理で行われる併用排出処理を説明する。
この併用排出処理においては、先ず排出1終了フラグがセットされているか否かを判定し、排出1終了フラグがセットされていれば、第1遊技媒体排出機構85aからの球排出動作は終了しているため、第1遊技媒体排出機構85a側の制御処理をスキップして、排出2終了フラグがセットされているか否かの判定を行う。
【0288】
しかし、排出1終了フラグがセットされていない場合には、排出センサ1立上りフラグがセットされているか否かの判定を行い、排出センサ1立上りフラグがセットされていた場合には、排出センサ1立上りフラグをリセットして、排出レジスタ1の値から“1”減算する。そして、排出レジスタ1の値が“1”であるか否かを判定し、その値が“1”でなければ、第2遊技媒体排出機構85b側の制御処理へスキップする。ここで、排出レジスタ1の値が“1”であった場合には、上記排出エラー回復処理において説明したように、所定数の球排出が行われたことになるため、第1排出ソレノイド104aをオフにして球排出動作を終了させると共に、排出1終了フラグをセットして、第2遊技媒体排出機構85b側の制御処理が終了することに基づいて排出2終了フラグがセットされているか否かを判定する。
【0289】
上記のようにして、第1遊技媒体排出機構85a側の制御処理が終了した後に排出2終了フラグがセットされているか否かを判定した結果、排出2終了フラグがセットされていた場合には、両遊技媒体排出機構85a,85bの球排出動作が終了したことになり、排出終了フラグをセットして、併用排出処理を終了する。
【0290】
しかし、上記判定処理において排出2終了フラグがセットされていなかった場合、および未だ排出1終了フラグをセットしていない場合には、排出センサ2立上りフラグがセットされているか否かの判定を行い、排出センサ2立上りフラグがセットされていた場合には、排出センサ2立上りフラグをリセットして、排出レジスタ2の値から“1”減算する。そして、排出レジスタ2の値が“1”であるか否かを判定し、その値が“1”でなければ、一旦併用排出処理を終了して、再び同様な処理を行う。ここで、排出レジスタ2の値が“1”であった場合には、上記排出エラー回復処理において説明したように、所定数の球排出が行われたことになるため、第2排出ソレノイド104bをオフにして球排出動作を終了させると共に、排出2終了フラグをセットする。
【0291】
そして、第1遊技媒体排出機構85a側の制御処理が終了することに基づいて排出1終了フラグがセットされているか否かを判定し、排出1終了フラグがセットされていなければ、一旦併用排出処理を終了して、再び上記した第1遊技媒体排出機構85a側の制御処理を行う。一方、排出1終了フラグもセットされていた場合には、両遊技媒体排出機構85a,85bの球排出動作が終了したことになり、排出終了フラグをセットして、併用排出処理を終了する。
【0292】
次に、遊技盤5の第2入賞球検出手段もしくは第3入賞球検出手段より検出出力が入力されることに基づいて、遊技盤制御部132が排出制御部133へ供給するための賞球データを確定する賞球数確定処理について説明する。
この賞球数確定処理に際して、先ず、上記スイッチ入力処理において第3賞球数入賞記憶がセットされているか否かを判定し、この第3賞球数入賞記憶がセットされていた場合には、第3賞球数設定記憶の記憶値(例えば“7個”)を賞球データとしてセットし、第3賞球数入賞記憶が無ければ、次いで第2賞球数入賞記憶の有無を判定する。そして、第2賞球数入賞記憶がセットされていた場合には、第2賞球数設定記憶の記憶値(例えば“10個”)を賞球データとしてセットし、第3賞球数入賞記憶も第2賞球数入賞記憶も無い場合には、第1賞球数設定記憶の記憶値(例えば“15個”)を賞球データとしてセットする。斯くして、第1〜第3賞球数設定記憶の何れかを賞球データとしてセットした後に、セーフセンサ53がセーフ球を検出することに基づいてセーフセンサ入力処理において付されたセーフ立上りフラグをリセットすると共に、処理番号を“1”に設定して、当該賞球数確定処理を終了する。
【0293】
次に、上記した賞球数確定処理において処理番号が“1”に設定されることに基づいて行われる賞球排出開始処理について説明する。
この賞球排出開始処理に際しては、先ず、排出開始条件確認処理を行い、該排出開始条件確認処理において、排出可能フラグがセットされていなければ、遊技媒体排出装置64による球排出動作が規制されているために、そのまま賞球排出処理を終了する。一方、排出可能フラグがセットされていた場合には、遊技盤制御部132より賞球データ送信路148を介して排出制御部133へ供給される賞球データ(上記賞球数確定処理においてセットされた第1〜第3賞球数設定記憶の何れか)を排出レジスタ0にセットすると共に、賞球排出表示部19をオンさせる。そして、上記した排出処理を開始させるための排出開始処理を行い、所定数の賞球排出動作が終了すると、処理番号を“2”に設定して賞球開始処理を終了する。
【0294】
上記した賞球開始処理において、処理番号が「2」に設定されることによって開始される賞球排出処理について説明する。
【0295】
賞球排出処理においては、先ずセーフ球払出フラグがセットされているか否かを判定し、セーフ球払出フラグがセットされていなければ、次いで排出ウエイトフラグがセットされているか否かを判定し、該排出ウエイトフラグもセットされていなければ、上記した排出処理を行う。そして、排出処理が終了した後には、所定数の球排出が終了したことに基づいてセットされる排出終了フラグがセットされているか否かを判定し、未だ排出終了フラグがセットされていなければ、一旦賞球排出処理を終了させる。上記処理を繰返した後に、排出終了フラグがセットされると、セーフソレノイド58をオンさせて賞球排出の完了したセーフ球を開放すると共に、セーフ球払出処理へ移行させるためのセーフ払出フラグ及びセーフ球払出エラーの発生を監視するためのセーフ球払出エラータイマ(例えば200ms)を夫々セットする。さらに、排出ウエイトフラグをセットし、排出ウエイトタイマ(例えば400ms)をセットし、賞球排出表示部19等への表示出力を停止させて、賞球排出表示をオフにする。また、排出した賞球数データを賞球排出数カウンタに加算して、管理装置134へ出力するための賞球数データとして用いる。
【0296】
上記のようにして、セーフ払出フラグがセットされたことに基づいて行われるセーフ球払出処理に際しては、先ず払出エラー処理中であるか否かを判定し、払出エラー処理中でなければ、セーフソレノイド・オフタイマが作動中であるか否かを判定し、セーフソレノイド・オフタイマが作動中でなければ、セーフ立下りフラグがセットされているか否かを判定し、セーフ球がセーフセンサ53を通過したことに基づいてセーフセンサ入力処理において付されるセーフ立下りフラグがセットされているか否かを判定する。ここで、セーフソレノイド58がオンした直後においては、セーフ球が未だセーフセンサ53をオンさせているために、セーフ立下りフラグはセットされておらず、次いで、上記賞球払出処理に於いてセットされたセーフ球払出エラータイマがカウントアップしたか否かを判定する。そして、セーフ球払出エラータイマが計時する所定時間が経過していない場合には、一旦セーフ球払出処理を終了させる。
【0297】
上記と同様なセーフ球払出処理を繰り返した後に、一定時間が経過すると、セーフ球が落下することに基づいて、セーフセンサの検出出力が無くなり、セーフセンサ入力処理においてセーフ立下りフラグがセットされる。そして、セーフ立下りフラグがセットされた後には、セーフソレノイド58をオフにするためのセーフソレノイド・オフタイマ(例えば100ms)をセットすると共に、セーフ立下りフラグをリセットし、排出されたセーフ球が第2入賞球もしくは第3入賞球として処理されたものであった場合には、第2賞球数排出終了もしくは第3賞球数排出終了として、第2賞球数入賞記憶もしくは第3賞球数入賞記憶から“1”減数する。
【0298】
そして、セーフソレノイド・オフタイマがセットされた後には、セーフソレノイド・オフタイマ作動中として、セーフソレノイド・オフタイマの計時時間がタイムアップしたか否かの判断処理を行い、セーフソレノイド・オフタイマがカウントアップすると、セーフソレノイドをオフにする。
【0299】
一方、上記のようなセーフ球払出処理を繰り返した際に、セーフ立下りフラグがセットされなかった場合には、セーフ球払出エラータイマが計時する所定時間(200ms)が経過すると、払出エラー処理が開始される。この払出エラー処理が開始されることに基づいて、再び行われたセーフ球払出処理においては、払出エラー処理中と判定されて、セーフセンサ53がセーフ球を検出しなくなったか否かを判定する。すなわち、球詰まり等によって、正常にセーフ球が払い出されない場合には、このセーフ球払出処理において、セーフセンサ53の球無し情報が得られるまで他の処理は行わせず、未処理分のセーフ球に基づく賞球排出が行われることを防止するのである。
【0300】
そして、正常状態に復帰することでセーフ球が排出され、セーフセンサ入力処理においてセーフ立下りフラグがセットされると、再び開始されるセーフ球払出処理において払出エラー処理が解除され、セーフ立下りフラグをリセットすると共に、セーフソレノイド・オフタイマをセットする。また、該セーフ球が第2,第3賞球数入賞記憶に基づく賞球排出動作に供されたものであった場合には、各賞球数入賞記憶から“1”減数する。以後、上記と同様にして、セーフソレノイド・オフタイマがカウントアップすることに基づいて、セーフ払出フラグをリセットすると共にソレノイド58をオフにしてセーフ球払出処理を終了するのである。
【0301】
上記セーフ球払出処理が完了することに基づいてセーフ払出フラグがリセットされると、排出ウエイトフラグがセットされていることに基づいて、排出ウエイトタイマが所定時間を計時したか否かを判定し、未だ所定時間が経過していなければ、一旦賞球排出処理を終了させる。そして、上記処理を繰り返した後に、ウエイトタイマがタイムアップすると、処理番号を“0”に設定して、賞球排出処理を終了する。
【0302】
次に、賞球排出動作もしくは貸球排出動作中に電源が断たれたことを検出することに基づいて停電フラグがセットされ、処理番号が「5」に設定された場合に開始される停電回復処理を説明する。
【0303】
この停電回復処理においては、先ず球排出動作が可能な状態であるか否かを確認するために、上記した排出開始条件確認処理をおこなう。この排出開始条件確認処理において、排出開始可能フラグがセットされていなければ、そのまま停電回復処理を終了するが、排出開始可能フラグがセットされていた場合には、排出レジスタ1の値が“1”より大であるか否かを判定し、“1”以下であれば、排出レジスタ2の値を排出レジスタ0にセットする。また、排出レジスタ1の値が“1”より大であった場合には、排出レジスタ2の値が“1”より大であるか否かを判定し、この排出レジスタ2の値が“1”以下であれば、排出レジスタ1の値を排出レジスタ0にセットする。さらに、排出レジスタ2の値も“1”より大であった場合には、排出レジスタ1の値と排出レジスタ2の値との加算値を排出レジスタ0にセットする。
【0304】
上記のようにして、排出レジスタ0に賞球データもしくは球貸データがセットされると、例えば球貸排出中記憶の有無を判定し、球貸排出中記憶が有った場合には、球貸音フラグ及びP台レディフラグをセットすると共に貸球排出表示部18をオンにして、上記排出開始処理を行う。一方、球貸排出中記憶が無かった場合には、賞球排出表示部19をオンにして、上記排出開始処理を行うのである。
【0305】
なお、上記処理においては、球貸排出中記憶の有無に基づいて、停電フラグがセットされた際に実行していた球排出動作が賞球排出動作であるか貸球排出動作であったかを判定するものとしたが、これに限定されるものではなく、球貸要求による排出動作であったか、賞球排出要求による排出動作であったかの記憶に基づいて、排出動作の復帰を行わせるようにすればよい。例えば、前述した排出制御部133に設ける停電制御手段177においては、排出態様バックアップ手段191によって記憶保持された排出態様(賞球排出態様もしくは貸球排出態様)に基づいて、賞球排出手段176もしくは貸球排出手段178へ排出続行信号を送信するものとした。
【0306】
上記のようにして排出開始処理を行うと、球貸排出中記憶に基づく場合には球貸排出中記憶を消去して処理番号を「3」に設定した後に、球貸排出中記憶が無いことに基づく場合には処理番号を「2」に設定した後に、夫々停電フラグをリセットして、停電回復処理を終了する。斯くして、各処理番号に基づく球貸排出処理もしくは賞球排出処理が行われるのである。
【0307】
次に、上記した処理番号に基づく各処理の後に行うランプ表示処理について説明する。
【0308】
ランプ表示処理に際しては、当該パチンコ機1が不正状態か否か、特別遊技処理中か否か、デジタル処理中であるか否かを判定し、何れにも該当しなければ、通常表示(例えば装飾用のランプ等を適宜に点灯させる)を行う。しかし、不正状態であれば不正状態表示を行い、特別遊技処理中であれば特別遊技表示を行い、デジタル処理中であればデジタル作動表示を行う。なお、これらの表示に際しては、不正状態表示が最優先され、当該パチンコ機1に不正が為された場合には、特別遊技表示もしくはデジタル作動表示は行われない。
【0309】
上記した一連の処理を行った後には、払出エラー処理中か否かを判定し、セーフ球の払い出しが正常に為されないことに基づいて払出エラー処理が開始された場合には、払出エラー処理中として、払出エラー表示を行う。
【0310】
上記したランプ表示処理に次いで行われる音声出力処理について説明する。
【0311】
音声出力処理に際しては、先ず、カード制御装置9にプリペイドカード131が挿入されたことに基づいて付されるカード挿入音フラグがセットされているか否かを判定し、該カード挿入フラグがセットされていなければ、カード制御装置9にプリペイドカード131が挿入されたことに基づいてカード挿入検出処理においてセットされるカード立下りフラグがセットされているか否かを判定する。このカード立下りフラグもセットされていなければ、球貸開始処理において付される球貸音フラグがセットされているか否かを判定する。この球貸音フラグもセットされていなければ、次いで、カード制御装置9からプリペイドカード131が排出されたことに基づいて付されるカード排出音フラグがセットされているか否かを判定し、該カード排出フラグがセットされていなければ、カード制御装置9よりプリペイドカード131が排出されたことに基づいてカード挿入検出処理においてセットされるカード立上りフラグがセットされているか否かを判定する。
【0312】
何れのフラグもセットされていなければ、当該パチンコ機1が不正状態か否かを判定し、不正状態でなければ特別遊技処理中であるか否かを判定し、特別遊技処理中でもなければデジタル処理中であるか否かを判定する。そして、デジタル処理中でもない場合には、音声出力用にセットされていた音データをリセットして、音声出力処理を一旦終了する。なお、何れかの音データがセットされていた場合には、その音データに基づく音声出力を行うものとしてある。
【0313】
ここで、カード制御装置9にプリペイドカード131が挿入されることに基づき、カード信号線L16を介して入力されるカード信号がローレベルに反転することで、カード挿入検出処理においてカード立下りフラグがセットされていた場合、カード挿入音フラグをセットし、カード挿入音データをセットし、音声の出力時間を監視するためのカード音タイマをセットし、カード立下りフラグをリセットする。かくして、カード挿入音フラグがセットされた後には、カード挿入音フラグのセット判定に基づいて、カード音タイマがタイムアップしたか否かの判定を行い、カード音タイマがタイムアップしていなければ、セットされたカード挿入音データに基づく所定の音声出力を行って、音声出力処理を一旦終了する。そして、上記処理を繰り返した後に、カード音タイマがタイムアップすると、カード挿入音データをリセットすると共に、カード挿入音フラグをリセットし、カード挿入音の出力を停止する。
【0314】
また、球貸開始処理において球貸音フラグがセットされていた場合には、該球貸音フラグと共にセットされた球貸音タイマがタイムアップしたか否かの判定処理を行い、球貸音タイマが未だタイムアップしていなければ、球貸音フラグと共にセットされた球貸排出音データに基づく所定の音声出力を行って、音声出力処理を一旦終了する。そして、球貸音タイマがタイムアップすると、球貸排出音データをリセットすると共に、球貸音フラグをリセットし、球貸音の出力を停止する。
【0315】
一方、カード制御装置9よりプリペイドカード131が排出されることに基づき、カード信号線L16を介して入力されるカード信号がハイレベルに反転することで、カード挿入検出処理においてカード立上りフラグがセットされていた場合、カード排出音フラグをセットし、カード排出音データをセットし、音声の出力時間を監視するためのカード音タイマをセットし、カード立上りフラグをリセットする。かくして、カード排出音フラグがセットされた後には、カード排出音フラグのセット判定に基づいて、カード音タイマがタイムアップしたか否かの判定を行い、カード音タイマがタイムアップしていなければ、セットされたカード排出音データに基づく所定の音声出力を行って、音声出力処理を一旦終了する。そして、上記処理を繰り返した後に、カード音タイマがタイムアップすると、カード排出音データをリセットすると共に、カード排出音フラグをリセットし、カード排出音の出力を停止する。
【0316】
さらに、上記役物制御処理において不正処理が実行されていることに基づいて不正状態と判定された場合には、不正動作音データをセットし、特別遊技処理が実行されていることに基づいて特別遊技中と判定された場合には、特別遊技音データをセットし、デジタル処理が実行されていることに基づいてデジタル処理中と判定された場合には、デジタル作動音データをセットして、各状態に応じた音声出力を行う。そして、各状態を脱した場合には、各音データがリセットされて、音声出力が停止されるのである。
【0317】
上記した音声出力処理に次いで行われる補給処理について説明する。
【0318】
この補給処理においては、先ず、スイッチの入力処理において補給センサ立上りフラグがセットされているか否かを判定し、該補給センサ立上りフラグがセットされていなければ、スイッチの入力処理において補給センサ立下りフラグがセットされているか否かを判定し、該補給センサ立下りフラグもセットされていなければ、一旦補給処理を終了し、再び同様な処理を繰り返す。
【0319】
上記処理を繰り返すうちに、補給センサ65の検出出力に基づく補給センサ立上りフラグがセットされていた場合には、球貯留タンク62内に球が無くなってしまったことを可視表示するために、パチンコ機1の適所(例えば前面枠3の上部)に設けた完了ランプを点灯させ、管理装置134へ補給信号を送出するために補給要求フラグをセットすると共に、補給センサ立上りフラグをリセットする。
【0320】
上記のようにして補給要求を管理装置134へ送出した後に、管理装置134の制御に基づく球補給が行われ、該補給球を補給センサ65が検出することで補給センサ立下りフラグがセットされると、完了ランプをオフにすると共に、補給要求フラグ及び補給センサ立下りフラグをリセットして、当該補給処理を終了する。
【0321】
上記した補給処理に次いで行われる情報出力処理は、各種のデータを管理装置134へ出力するもので、排出した賞球数の情報(例えば、10個につき1パルス)を出力する賞球情報処理、P台レディ信号及び払出し完了信号を出力するための貸球情報処理、補給信号やアウト数信号等を管理装置134へ出力する遊技台情報処理、排出エラーや排出装置不正の発生情報を出力するためのエラー情報処理、当該パチンコ機1の遊技状態を出力するための遊技状態送信処理よりなる。
【0322】
上記した情報出力処理における賞球情報処理を説明する。
【0323】
この賞球情報処理においては、先ず、賞球数信号の信号レベルが“L”であるか否かを判定し、この賞球数信号の信号レベルハイであった場合には、賞球送信禁止フラグがセットされているか否かを判定する。この賞球送信禁止フラグは、賞球数データの送信に際して、各賞球数信号と賞球数信号との間隔が一定の時間間隔(例えば100ms)となるようにするために、信号出力を規制するためにセットするものである。
【0324】
そして、賞球送信禁止フラグがセットされていなければ、賞球排出カウンタのカウント値が「10」以上であるか否かを判定し、この賞球排出カウンタのカウント値が「10」に達していなければ、一旦処理を終了し、上記と同様な処理を再び開始する。ここで、上記した賞球排出処理における球排出動作が終了することに伴って、排出球数分の賞球データが賞球排出カウンタに加算され、賞球排出カウンタのカウント値が「10」以上に達すれば、賞球数信号を“L”に反転させると共に、賞球数タイマをセットする。
【0325】
上記のようにして、賞球数信号がローレベルに反転されると、賞球数タイマがタイムアップしたか否かを判定し、未だ所定時間を計時していなければ、一旦処理を終了し、上記と同様な処理を再び行う。ここで、賞球数タイマがタイムアップした場合には、賞球数信号を“H”に反転させると共に、賞球数データとして送信済みとなった賞球数分の値たる「10」を賞球数カウンタのカウント値から減算する。そして、賞球送信禁止フラグをセットすると共に、賞球数タイマ(例えば100ms)をセットして、この後に行う賞球データ送信を一定時間規制する。
【0326】
賞球送信禁止フラグがセットされることに基づいて、以後の賞球情報処理においては、賞球数タイマがタイムアップしたか否かの判定を行い、賞球数タイマがタイムアップしていなければ、そのまま賞球情報処理を一旦終了し、賞球数タイマがタイムアップしていれば、賞球数禁止フラグをリセットして、再び賞球数信号の送信が可能な状態に復帰させるのである。
【0327】
貸球情報処理においては、先ず、カード制御装置9からの球貸要求がセットされているか否かを判定し、セットされていなければP台レディフラグをリセットした後に、セットされていればそのまま払出完了信号が“ローレベル”であるか否かを判定する。なお、この払出完了信号は、球貸要求に基づく球排出動作が完了したことに伴って、カード制御装置9へ出力される(負論理においては“H”から“L”に反転される)信号である。
【0328】
払出完了信号の信号レベルが“H”であった場合には、上記球貸排出処理においてセットされる払出終了フラグの有無を判定し、払出終了フラグがセットされていれば、払出完了信号および買信号を“L”に反転させると共に、払出完了タイマ(例えば10ms)をセットし、さらに払出終了フラグをリセットする。このようにして、払出完了信号がローレベルに反転することで、払出完了タイマがカウントアップしているか否かを判定し、払出完了タイマがタイムアップしていれば、払出完了信号および買信号の信号レベルを“H”に反転させる。なお、払出完了信号はカード制御装置9へ送出するもので、買信号は管理装置134へ出力されるものであるから、夫々出力時間を異ならしめる(例えば買信号は100ms)ように、信号送出時間を計時するためのタイマを別途設けるようにしてもよい。
【0329】
また、上記処理を行った後には、球貸排出が開始された時点でセットされるP台レディ信号の有無を判定し、該P台レディフラグがセットされていれば、P台レディ信号の信号レベルを“L”に反転させ、P台レディフラグがリセットされていれば、P台レディ信号を“H”にして、貸球情報処理を終了する。
【0330】
遊技台情報処理においては、先ず、上記補給要求処理において補給要求フラグがセットされているか否かを判定し、補給要求フラグがセットされていれば補給信号を“L”に反転させ、補給要求フラグがリセットされていれば、補給要求信号を“H”に戻す。次いで、前面パネル3aが開放状態にあることに関連してセットされる枠開放フラグの有無を判定し、この枠開放フラグがセットされていれば、枠開放信号を“L”に反転させ、枠開放フラグがセットされていない場合には、前面パネル3aが閉塞状態に復帰することに関連して付される枠閉塞フラグがセットされているか否かを判定し、枠閉塞フラグがセットされていた場合には、枠開放信号を“H”に戻す。
【0331】
上記のようにして、補給信号と枠開放信号の送信処理を行った後には、アウト数信号の送信処理を行うもので、先ずアウト数信号が“L”であるか否かを判定し、未だアウト数信号が出力されていない状態であれば、アウト送信禁止フラグがセットされているか否かを判定し、アウト送信禁止フラグもセットされていなければ、アウトセンサ61の検出出力に基づくアウト球数をカウントするアウトカウンタのカウンタ値が「10」に達したか否かを判定し、未だカウント値が「10」に達していなければ、一旦遊技台情報処理を終了して、上記と同様な処理を繰り返す。
【0332】
そして、アウトカウンタのカウント値が「10」に達すると、アウト数信号を“L”に反転すると共に、アウト数タイマ(例えば100ms)をセットする。かくして、アウト数信号がローレベルに反転された後においては、アウト数タイマがタイムアップしたか否かを判定し、タイムアップしていれば、アウト数信号を“H”レベルに戻し、アウトカウンタのカウント値から「10」減算し、アウト送信禁止フラグをセットすると共に、アウト数タイマを再セットする。
【0333】
上記のようにして、アウト送信禁止フラグをセットすると共に、アウト数タイマを再セットした後に再開される遊技台情報報処理においては、アウト送信フラグがセットされていることに基づいて、アウト数タイマがタイムアップしたか否かを判定する。ここで、アウト数タイマがカウントアップしていれば、アウト送信フラグをリセットして、遊技台情報処理を一旦終了するのである。なお、この遊技台情報処理においては、アウト信号の送信時間の計時に用いるタイマと、アウト数信号の送信後におけるアウト数信号の送信を規制する時間を計時するタイマとを、アウト数タイマによって併用するものとしたが、これらを別途設けて、アウト数信号の送信時間とアウト数信号の規制時間とを異ならしめるようにしてもよい。
【0334】
エラー情報処理においては、先ず、遊技媒体排出装置64の作動から所定時間が経過したにも拘らず排出球が検出されないことに基づいてセットされる排出エラーフラグの有無を判定し、この排出エラーフラグがセットされていなければ、排出ソレノイドを動作させていないにも拘らず球の移動を検出した場合にセットされる排出不正フラグの有無を判定し、何れのフラグもセットされていなければ、エラー信号の信号レベルを“H”に戻して、エラー情報処理を終了させる。しかし、排出エラーフラグもしくは排出不正フラグの何れか一方でもセットされていた場合には、エラー信号を“L”に反転させて、当該パチンコ機1の排出系にエラーが生じたことを管理装置134へ知らせるのである。なお、このエラー信号の送信に際しては、エラーの内容が明瞭となるように、排出エラーフラグがセットされた場合に出力する排出エラー信号と、排出不正フラグがセットされた場合に出力する排出不正信号とに分けて送信するようにしてもよい。
【0335】
上記した不正処理やデジタル処理において、送信すべきデータが発生した際に行われる遊技状態送信処理においては、上記デジタル処理において補助遊技が開始され、例えば可変表示部26の第1可変表示部26aが変換動作を開始した時点から変換表示が停止するまでスタート信号を管理装置134へ送信し、不正処理において、不正状態が検出された場合には、当該不正が解除されるまで継続して不正信号を管理装置134へ送信し、上記デジタル処理において、補助遊技から特別遊技に移行することで、特別遊技が開始されると、特別遊技中継続して特別遊技信号を管理装置134へ送信するのである。
【0336】
なお、図83に示す遊技状態送信処理の実施形態においては、スタート信号の送信に際して第1可変表示部26aの変換開始および変換停止を基準にするものとしたが、これに限定されるものではなく、第2可変表示部26bの変換開始および変換停止、もしくは第3可変表示部26cの変換開始および変換停止を基準にするようにしてもよい。また、第1〜第3可変表示部26a〜26cの全てが停止した時点でスタート信号を送信するように構成してもよい。
【0337】
次に、各種検出器の検出情報等の入力処理を一定時間毎に行う割込処理について説明する。
【0338】
この割込処理は例えば1ms毎に行われるもので、先ず、各種制御に使用するタイマを更新し、次いでカード制御装置9より球貸要求信号線L13を介して入力される球貸要求信号の検出処理を行う球貸リクエスト検出処理を行い、次いでセーフセンサ53の検出信号を入力処理するセーフセンサ入力処理を行い、次いでカード制御装置9よりカード挿入・排出に伴って入力されるカード信号の検出処理を行うカード挿入検出処理を行い、次いで前面パネル3aの開放状態を検出する枠センサ125よりの入力される検出信号を入力処理する枠センサ入力処理を行い、次いで第1遊技媒体排出機構85aの第1排出センサ91aの検出信号を入力処理する排出センサ1入力処理を行い、次いで第2遊技媒体排出機構85bの第2排出センサ91bの検出信号を入力処理する排出センサ2入力処理を行う。
【0339】
続けて、第1排出センサ91aの検出信号の信号レベルの変化を検出処理する排出1レベル入力処理を行い、次いで第2排出センサ91bの検出信号の信号レベルの変化を検出処理する排出2レベル入力処理を行い、次いで球抜センサ112の検出信号を入力処理する球抜きセンサ入力処理を行い、次いで補給センサの検出信号を入力処理する補給センサ入力処理を行い、次いで、オーバーフロースイッチ119の検出信号を入力処理するオーバーフロースイッチ入力処理を行い、次いで排出待機球検出器67の検出出力を入力処理する半端センサ入力処理を行い、最後に、アウトセンサ61の検出出力を入力処理するアウトセンサ入力処理を行って、割込処理を終了する。
【0340】
上記した割込処理において行われる球貸リクエスト検出処理においては、先ず、上記連続球貸カウンタのカウント値が「5」に達したか否かを判定する。球貸カウンタのカウント値が未だ「5」に達していなければ、賞球排出中であるか否かを判定し、賞球排出中であった場合には、球貸排出賞球をリセットし、賞球排出中に為された球貸要求を行わせないようにする。一方、賞球排出中でなかった場合には、球貸排出中であるか否かを判定し、球貸排出中であった場合には、一旦球貸排出リクエスト検出処理を終了する。
【0341】
また、賞球排出中でも球貸排出中でもなかった場合には、球貸リクエスト(球貸要求信号線L13を介して入力される球貸要求信号)の信号レベルが“L”出あるか(出力されているか)否かを判定する。そして、該球貸信号の信号レベルが“L”であった場合には、球貸リクエストが5msの間連続して同レベルを保持しているか否かを判定する。そして、球貸リクエストが5ms以上連続して入力されていた場合には、球貸要求が為されたものとして、球貸要求をセットするのである。このようにして、球貸要求がセットされることに基づいて、球貸処理が行われるのである。
【0342】
一方、球貸リクエストの信号レベルが“H”であった場合には、球貸リクエストが5ms以上連続して同レベルを保持した場合には、球貸リクエストが一旦停止されたものとして、連続球貸カウンタをクリアすると共に、球貸要求をリセットし、更に、P台レディフラグをリセットする。
【0343】
しかしながら、球貸リクエストの信号レベルが“L”を継続していた場合には、この球貸要求リクエストが入力されていることに基づいて、球貸排出処理が終了する毎に再び球貸要求がセットされるため、上記した球貸排出処理において連続球貸カウンタのカウント値が増える。そして、球貸連続カウンタのカウント値が「5」を越えると、球貸リクエストの信号レベルが継続して“H”レベルであるか否かを判定し、未だ“L”レベルを維持していた場合には、もう球貸要求のセットは行わずに、球貸リクエスト検出処理を終了させ、再び行われる球貸排出処理においても同様の処理を行う。斯くすることによって、貸球排出動作の連続回数を例えば5までに制限できるのである。
【0344】
そして、球貸リクエストの信号レベルが“H”に戻ると、該信号レベルが5ms以上連続して維持されるか否かを判定し、5ms連続して“H”レベルを保持した場合には、球貸リクエストが一旦停止されたものとして、連続球貸カウンタをクリアする。
【0345】
次に、セーフセンサ53より検出出力が入力されることに伴って、この検出出力がセーフ球の検出に基づく適正なものであるか、ノイズ等の混入による一時的なレベル変化であるかを、セーフセンサ53の2度読みによって判定するセーフセンサ入力処理について詳述する。
このセーフセンサ入力処理に際しては、先ずセーフセンサ53がオン状態(信号レベルが“H”)か否かを判定し、該セーフセンサ53がオン状態であった場合には、セーフ立上り変化フラグがセットされているか否かを判定する。
【0346】
セーフ立上り変化フラグがセットされていなければ、更にセーフ立下り変化フラグがセットされているか否かを判定し、このセーフ立下り変化フラグもセットされていなければ、次いでセーフLレベルフラグがセットされているか否かを判定し、このセーフLレベルフラグもセットされていなければ、最後にセーフHレベルフラグがセットされているか否かを判定し、このセーフHレベルフラグもセットされていなければ、セーフHレベルフラグをセットして、セーフセンサ入力処理を終了する。そして、再び行われるセーフセンサ入力処理において、セーフHレベルフラグがセットされたことに基づいて、上記と同様な処理ループが繰り返される。
【0347】
ここで、セーフセンサ53がオフ状態になった場合(賞球排出動作が完了したことに基づいて、セーフ球の払出が行われた場合)には、セーフ立下り変化フラグがセットされているか否かを判定し、セーフ立下り変化フラグがセットされていなければ、更にセーフ立上り変化フラグがセットされているか否かを判定し、このセーフ立上り変化フラグもセットされていなければ、次いでセーフHレベルフラグがセットされているか否かを判定し、上記処理によってセーフHレベルフラグがセットされているので、セーフ立下り変化フラグをセットすると共に、セーフHレベルフラグをリセットして、セーフセンサ入力処理を一旦終了する。
【0348】
上記のようして、セーフ立下り変化フラグがセットされた後に再び開始されるセーフセンサ入力処理においてもセーフセンサ53がオフ状態であった場合には、セーフ立下り変化フラグがセットされていることに基づいて、セーフ立下りフラグをセットすると共に、セーフ立上りフラグをリセットし、セーフ立下り変化フラグをリセットすると共に、セーフLレベルフラグをセットする。かくして、セーフ立下りフラグがセットされることに基づき、セーフ球払出処理における賞球排出動作が停止されるのである。
【0349】
また、セーフLレベルフラグがセットされた状態で再開されるセーフセンサ入力処理においも、セーフセンサ53がオフ状態であった場合には、セーフ立下り変化フラグもセーフ立上り変化フラグもセーフHレベルフラグもセットされていないため、セーフLレベルフラグがセットされているか否かの判断処理で、セーフセンサ入力処理を抜ける処理ループが繰り返される。
【0350】
一方、新たなセーフ球がセーフセンサ53に検出されることで、セーフセンサ53がオン状態になった場合には、セーフ立下り変化フラグがセットされた状態で開始されるセーフセンサ入力処理において、セーフ立上り変化フラグがセットされているか否かの判定処理を経て、セーフ立下り変化フラグがセットされているか否かの判断処理へ至る。ここで、セーフ立下り変化フラグがセットされてることから、セーフ立上り変化フラグをセットすると共に、セーフ立下り変化フラグをリセットして、当該セーフセンサ入力処理を一旦終了する。
【0351】
そして、上記のようにセーフ立上り変化フラグがセットされた状態で再び開始されるセーフセンサ入力処理においても、セーフセンサがオン状態であった場合には、セーフ立上り変化フラグがセットされていると判定されて、セーフ立上りフラグをセットすると共に、セーフ立下りフラグをリセットし、セーフ立上り変化フラグをリセットし、更にセーフHレベルフラグをセットして、当該セーフセンサ入力処理を一旦終了する。上記のようにして、セーフ立上りフラグがセットされると、賞球数確定処理が行われるのである。
【0352】
上記した様に、セーフセンサ53のオン・オフ状態が変化した時点ではセーフ立上り変化フラグもしくはセーフ立下り変化フラグをセットしておき、該フラグセットから1ms経過後に行われるセーフセンサ入力処理においても、セーフセンサのオン・オフ状態が保持されていた場合にのみセーフ球検出信号が立ち上がったか、もしくは立ち下ったものとして、セーフ立上りフラグもしくはセーフ立下りフラグをセットするのである。このように、セーフセンサ53の検出出力の2度読みをさせることによって、ノイズの混入等により生じた一時的な信号レベルの変化を、セーフセンサのオン・オフ動作と誤認することに基づく誤動作を防止できるのである。
【0353】
なお、セーフLレベルフラグがセットされた後に、セーフセンサ53がオン状態に変化した場合は、上述した処理と逆に、セーフ立上り変化フラグをセットすると共に、セーフLレベルフラグをリセットし、その後に行うセーフセンサ入力処理においてセーフセンサ53がオフ状態に変化していた場合には、セーフ立下り変化フラグをセットすると共に、セーフ立上り変化フラグをリセットするのである。
【0354】
カード挿入検出処理に際しては、先ずカード制御装置9よりカード信号線L16を介して入力されるカード信号の信号レベルが“H”である(カード制御装置9内にプリペイドカード131が挿入されていない状態)か否かを判定し、該カード信号が“H”レベルであった場合には、カード立上り変化フラグがセットされているか否かを判定する。
【0355】
カード立上り変化フラグがセットされていなければ、更にカード立下り変化フラグがセットされているか否かを判定し、このカード立下り変化フラグもセットされていなければ、次いでカードLレベルフラグがセットされているか否かを判定し、このカードLレベルフラグもセットされていなければ、最後にカードHレベルフラグがセットされているか否かを判定し、このカードHレベルフラグもセットされていなければ、カードHレベルフラグをセットして、カード挿入検出処理を終了する。そして、再び行われるカード挿入検出処理において、カードHレベルフラグがセットされたことに基づいて、上記と同様な処理ループが繰り返される。
【0356】
ここで、カード信号の信号レベルが“L”に変化した場合(カード制御装置9内にプリペイドカード131が挿入された場合)には、カード立下り変化フラグがセットされているか否かを判定し、カード立下り変化フラグがセットされていなければ、更にカード立上り変化フラグがセットされているか否かを判定し、このカード立上り変化フラグもセットされていなければ、次いでカードHレベルフラグがセットされているか否かを判定し、上記処理によってカードHレベルフラグがセットされているので、カード立下り変化フラグをセットすると共に、カードHレベルフラグをリセットして、カード挿入検出処理を一旦終了する。
【0357】
上記のようして、カード立下り変化フラグがセットされた後に再び開始されるカード挿入処理においてもカード信号が“L”レベルであった場合には、カード立下り変化フラグがセットされていることに基づいて、カード立下りフラグをセットすると共に、カード立上りフラグをリセットし、カード立下り変化フラグをリセットすると共に、カードLレベルフラグをセットする。かくして、カード立下りフラグがセットされることに基づくカード排出音出力が、音声出力処理において為されるのである。
【0358】
また、カードLレベルフラグがセットされた状態で再開されるカード挿入検出処理において、カード信号が“L”レベル状態を保持していた場合には、カード立下り変化フラグもカード立上り変化フラグもカードHレベルフラグもセットされていないため、カードLレベルフラグがセットされているか否かの判断処理で、カード挿入検出処理を抜ける処理ループが繰り返される。
【0359】
一方、カード信号が“H”レベルから“L”レベルに変化したことに基づくカード立下り変化フラグをセットした後に、再び開始されるカード挿入検出処理において、カード信号が再び“H”レベルに戻っていた場合には、カード立上り変化フラグがセットされているか否かの判定処理を経て、カード立下り変化フラグがセットされているか否かの判断処理へ至る。ここで、カード立下り変化フラグがセットされてることから、カード立上り変化フラグをセットすると共に、カード立下り変化フラグをリセットして、当該カード挿入処理を一旦終了する。
【0360】
そして、上記のようにカード立上り変化フラグがセットされた状態で再び開始されるカード挿入検出処理においても、カード信号が“H”レベルを保持していた場合には、カード立上り変化フラグがセットされていると判定されて、カード立上りフラグをセットすると共に、カード立下りフラグをリセットし、カード立上り変化フラグをリセットし、更にカードHレベルフラグをセットして、当該カード処理を一旦終了する。
【0361】
上記した様に、カード信号の信号レベルが変化した時点ではカード立上り変化フラグもしくはカード立下り変化フラグをセットしておき、該フラグセットから1ms経過後に行われるカード挿入検出処理においても、カード信号が同レベルを保持していた場合にのみカード信号が立ち上がったか、もしくは立ち下ったものとして、カード立上りフラグもしくはカード立下りフラグをセットするのである。このように、カード信号の2度読みをさせることによって、ノイズの混入等により生じた一時的な信号レベルの変化を、プリペイドカード131の挿入や排出と誤認することに基づく誤動作を防止できるのである。
【0362】
なお、カードLレベルフラグがセットされた後に、カード信号が“H”レベルに変化した場合には、上述した処理と逆に、カード立上り変化フラグをセットすると共に、カードLレベルフラグをリセットする。そして、その後に行うカード挿入検出処理においてカード信号が“L”レベルに反転していた場合には、カード立下り変化フラグをセットすると共に、カード立上り変化フラグをリセットするのである。
【0363】
次に、枠センサ入力処理について説明する。
枠センサ入力処理の開始に際しては、先ず枠センサ125がオン状態(前面パネル3aを検出している状態)か否かを判定し、この枠センサ125がオフ状態(前面パネル3aが開放状態)であった場合には、枠開放フラグがセットされているか否かを判定し、この枠開放フラグもセットされていない場合には、枠開放監視フラグがセットされているか否かを判定する。そして、枠開放監視フラグもセットされていなければ、前面パネル3aが開放状態になったことに基づく枠開放監視フラグをセットすると共に、枠閉塞監視フラグをリセットし、枠開放タイマ(1000ms)をスタートさせる。
【0364】
上記のようにして、枠開放監視フラグがセットされた後には、枠開放タイマがタイムアップしたか否かを判定し、枠開放タイマがタイムアップしていなければ、そのまま枠センサ入力処理を終了し、再び同様な処理を繰り返す。そして、枠開放タイマがタイムアップした場合には、枠開放フラグをセットすると共に、枠閉塞フラグをリセットする。斯くして、枠開放フラグがセットされた後には、枠センサ125が枠の閉塞状態を検出するまで、枠開放フラグの有無に基づく判定処理を経て枠センサ入力処理を終了する処理ループを繰り返す。
【0365】
また、枠センサ125が前面パネル3aの閉塞状態を検出した場合には、枠閉塞フラグがセットされているか否かを判定し、枠開放状態から枠閉塞状態に変化した直後には、この枠閉塞フラグがセットされていないので、次いで枠閉塞監視フラグがセットされているか否かを判定する。そして、枠閉塞監視フラグもセットされていなければ、前面パネル3aが閉塞状態になったことに基づく枠閉塞監視フラグをセットすると共に、枠開放監視フラグをリセットし、枠閉塞タイマ(1000ms)をスタートさせる。
【0366】
上記のようにして、枠閉塞監視フラグがセットされた後には、枠開放タイマがタイムアップしたか否かを判定し、枠閉塞タイマがタイムアップしていなければ、そのまま枠センサ入力処理を終了し、再び同様な処理を繰り返す。そして、枠閉塞タイマがタイムアップした場合には、枠閉塞フラグをセットすると共に、枠開放フラグをリセットする。斯くして、枠閉塞フラグがセットされた後には、枠センサ125が枠の開放状態を検出するまで、枠閉塞フラグの有無に基づく判定処理を経て枠センサ入力処理を終了する処理ループを繰り返す。
【0367】
次に、第1排出センサ91aの検出情報の入力処理に関する排出センサ1入力処理を説明する。この排出センサ1入力処理においては、先ず排出1変化フラグがセットされているか否かを判定し、この排出1変化フラグがセットされていなければ、排出1Lレベルフラグがセットされているか否かを判定し、この排出1Lレベルフラグもセットされていなければ、第1排出センサ91aの検出出力が入力されていない(信号レベルが“L”)場合には、排出1Lレベルフラグをセットし、第1排出センサ91aの検出出力が入力されていた(信号レベルが“H”)場合には、そのまま排出センサ1入力処理を終了する。
【0368】
上記のようにして排出1Lレベルフラグがセットされた後には、排出1Lレベルフラグがセットされていることに基づいて、第1排出センサ91aがオンしているか否かを判定し、第1排出センサ91aが球を検出していない場合には、そのまま排出センサ1入力処理を終了させ、同様の処理ループを繰り返す。一方、第1排出センサ91aが球を検出していた場合には、排出1変化フラグをセットすると共に、排出1Lレベルフラグをリセットする。
【0369】
排出1変化フラグがセットされた後に行われる排出センサ1入力処理においては、第1排出センサ91aがオン状態であるか否かを判定し、オン状態であれば、排出センサ1立上りフラグをセットすると共に、排出1変化フラグをリセットする。しかし、排出1Lレベルフラグがセットされた直後(1ms後)に行われる排出1入力処理において、第1排出センサ91aが既にオフ状態であった場合には、排出1Lレベルフラグをセットし、排出1変化フラグをリセットする。すなわち、第1排出センサ91aの検出出力を2度読みさせることによって、ノイズ等による一時的なレベル変化を第1排出センサ91aの検出出力と誤認することを防止できるのである。なお、ここでセットされた排出センサ1立上りフラグは、該フラグが使用される処理(排出処理や不正監視処理等)においてリセットされる。
【0370】
次に、第2排出センサ91bの検出情報の入力処理に関する排出センサ2入力処理を説明する。
この排出センサ2入力処理においては、先ず排出2変化フラグがセットされているか否かを判定し、この排出2変化フラグがセットされていなければ、排出2Lレベルフラグがセットされているか否かを判定し、この排出2Lレベルフラグもセットされていなければ、第2排出センサ91bの検出出力が入力されていない(信号レベルが“L”)場合には、排出2Lレベルフラグをセットし、第2排出センサ91bの検出出力が入力されていた(信号レベルが“H”)場合には、そのまま排出センサ2入力処理を終了する。
【0371】
上記のようにして排出2Lレベルフラグがセットされた後には、排出2Lレベルフラグがセットされていることに基づいて、第2排出センサ91bがオンしているか否かを判定し、第2排出センサ91bが球を検出していない場合には、そのまま排出センサ2入力処理を終了させ、同様の処理ループを繰り返す。一方、第2排出センサ91bが球を検出していた場合には、排出2変化フラグをセットすると共に、排出2Lレベルフラグをリセットする。
【0372】
排出2変化フラグがセットされた後に行われる排出センサ2入力処理においては、第2排出センサ91bがオン状態であるか否かを判定し、オン状態であれば、排出センサ2立上りフラグをセットすると共に、排出2変化フラグをリセットする。しかし、排出2Lレベルフラグがセットされた直後(1ms後)に行われる排出2入力処理において、第2排出センサ91bが既にオフ状態であった場合には、排出2Lレベルフラグをセットし、排出2変化フラグをリセットする。すなわち、第2排出センサ91bの検出出力を2度読みさせることによって、ノイズ等による一時的なレベル変化を第2排出センサ91bの検出出力と誤認することを防止できるのである。なお、ここでセットされた排出センサ2立上りフラグは、該フラグが使用される処理(排出処理や不正監視処理等)においてリセットされる。
【0373】
次に、第1排出センサ91aが所定時間(例えば3秒)排出球を検出できないことで排出エラーとしたり、第1排出センサ91aが所定時間(例えば50ms)継続して球有り状態を検出したことで、該エラー状態を復帰させる排出センサ1レベル入力処理を説明する。
【0374】
この排出センサ1レベル入力処理においては、先ず、第1排出センサ91aが球を検出している(信号レベルが“H”)か否かを判定し、排出可能な球が第1遊技媒体排出機構85aに供給されている通常状態においては、第1排出センサ91aは球検出状態であることから、排出センサ1球有りフラグがセットされているか否かを判定し、電源投入直後の初期状態においては、排出センサ1球有りフラグはセットされていないために、排出1球有り監視フラグがセットされているか否かを判定する。ここでも、排出1球有りフラグがセットされていないことから、排出1球有り監視フラグをセットすると共に、排出1球有りタイマ(例えば50ms)をセットする。
【0375】
次いで、排出1エラー解除フラグがセットされているか否かを判定し、初期状態においては該排出1エラー解除フラグはセットされていないことから、排出1エラー監視フラグがセットされているか否かを判定し、この排出1エラー監視フラグもセットされていないことから、排出1エラー監視フラグをセットすると共に、排出エラータイマ(例えば3秒)をセットして、一旦排出センサ1レベル入力処理を終了する。
【0376】
上記のようにして、排出1球有り監視フラグ及び排出1エラー監視フラグがセットされた後に行われる排出センサ1レベル入力処理においては、排出1球有りタイマもしくは排出1エラータイマがタイムアップした時点で、排出センサ1球有りフラグもしくは排出1エラー解除フラグがセットされるのである。そして、これら排出センサ1球有りフラグ及び排出1エラー解除フラグがセットされた後には、第1排出センサ91aがオフ状態となるまで、排出センサ1球有りフラグの有無判定と排出1エラー解除フラグの有無判定を行う処理ループを繰り返すのである。
【0377】
ここで、第1排出センサ91aが球を検出しなくなった場合には、排出1球有り監視フラグ、排出センサ1球有りフラグ、排出1エラー監視フラグ、排出1エラー解除フラグを全てリセットする。そして、再び第1排出センサ91aが球を検出した際には、上記処理によって各フラグがリセットされたことに基づいて、上記したと同様な処理が行われ、排出1球有りタイマもしくは排出1エラータイマが所定時間を計時する間継続して該状態が保持された場合には、再び排出センサ1球有りフラグ及び排出1エラー解除フラグがセットされるのである。
【0378】
次に、排出センサ2レベル入力処理を説明する。
【0379】
この排出センサ2入力処理も、上記排出センサ1レベル入力処理と同様に、先ず、第2排出センサ91bが球を検出しているか否かを判定し、排出可能な球が第2遊技媒体排出機構85bに供給されている通常状態においては、第2排出センサ91bは球検出状態であることから、排出センサ2球有りフラグがセットされているか否かを判定し、電源投入直後の初期状態においては、排出センサ2球有りフラグはセットされていないために、排出2球有り監視フラグがセットされているか否かを判定する。ここでも、排出2球有りフラグがセットされていないことから、排出2球有り監視フラグをセットすると共に、排出2球有りタイマ(例えば50ms)をセットする。
【0380】
次いで、排出2エラー解除フラグがセットされているか否かを判定し、初期状態においては該排出2エラー解除フラグはセットされていないことから、排出2エラー監視フラグがセットされているか否かを判定し、この排出2エラー監視フラグもセットされていないことから、排出2エラー監視フラグをセットすると共に、排出エラータイマ(例えば3秒)をセットして、一旦排出センサ2レベル入力処理を終了する。
【0381】
上記のようにして、排出2球有り監視フラグ及び排出2エラー監視フラグがセットされた後に行われる排出センサ2レベル入力処理においては、排出2球有りタイマもしくは排出2エラータイマがタイムアップした時点で、排出センサ2球有りフラグもしくは排出2エラー解除フラグがセットされるのである。そして、これら排出センサ2球有りフラグ及び排出2エラー解除フラグがセットされた後には、第2排出センサ91bがオフ状態となるまで、排出センサ2球有りフラグの有無判定と排出2エラー解除フラグの有無判定を行う処理ループを繰り返すのである。
【0382】
ここで、第2排出センサ91bが球を検出しなくなった場合には、排出2球有り監視フラグ、排出センサ2球有りフラグ、排出2エラー監視フラグ、排出2エラー解除フラグを全てリセットする。そして、再び第2排出センサ91bが球を検出した際には、上記処理によって各フラグがリセットされたことに基づいて、上記したと同様な処理が行われ、排出2球有りタイマもしくは排出2エラータイマが所定時間を計時する間継続して該状態が保持された場合には、再び排出センサ2球有りフラグ及び排出2エラー解除フラグがセットされるのである。
【0383】
次に、球抜センサ112よりセンサ出力があった場合に、球抜処理を行うための球抜フラグをセットする球抜センサ入力処理を説明する。
この球抜センサ入力処理に際しては、先ず処理番号が「0」もしくは「4」であるか否かを判定し、処理番号が「1」「2」「3」「5」であった場合(すなわち、当該パチンコ機1において、賞球排出処理や貸球排出処理、停電回復処理が行われていた場合)には、球抜センサ変化フラグ及び球抜センサLレベルフラグをリセットして、球抜センサ処理を終了する。斯くすることによって、当該パチンコ機1が通常の遊技動作中もしくは、球抜動作を既に実行している間にのみ、球抜センサ112の検出出力を有効とし、それ以外の状態においては、球抜フラグがセットされることを規制し、球抜処理が開始されることのないように制御できるのである。
【0384】
上記判定処理において、処理番号が「0」もしくは「4」であれば、球抜センサ変化フラグがセットされているか否かを判定する。電源投入等に伴う初期状態においては、該球抜センサ変化フラグはセットされていないので、球抜センサLレベルフラグがセットされているか否かを判定する。球抜センサLレベルフラグもセットされていなければ、球抜センサ112がオフ状態であるか否かを判定し、球抜センサ112より検出出力が入力されていればそのまま、球抜センサ112より検出出力が入力されていなければ球抜センサLレベル変化フラグをセットして、球抜センサ処理を一旦終了する。なお、球抜センサLレベルフラグがセットされる前に球抜センサ112がオン状態となった場合には、球抜センサLレベルフラグがセットされることなく上記処理ループを繰り返すことになるので、この球抜センサ出力は無効となる。
【0385】
球抜センサLレベルがセットされた後には、球抜センサ112がオン状態であるか否かを判定し、球抜センサ112の検出出力が入力されていなければ、そのまま球抜センサ入力処理を終了する。一方、球抜センサ112の検出出力が入力された場合には、球抜センサ変化フラグをセットすると共に、球抜センサLレベルフラグをリセットして、一旦球抜センサ入力処理を終了する。そして、1ms経過後に再開される球抜センサ入力処理において、球抜センサ変化フラグがセットされたことに基づいて、球抜センサ112がオン状態であるか否かを判定し、球抜センサ112がオン状態であれば、球抜フラグをセットすると共に、球抜センサ変化フラグをリセットして、球抜センサ入力処理を終了する。この球抜フラグがセットされることに基づいて、処理番号が「0」であった場合には球抜処理を、処理番号が「4」であった場合には、実行中の球抜処理を強制終了させる処理を夫々行うのである。
【0386】
しかし、球抜センサ変化フラグがセットされた後に行った球抜センサ入力処理において、球抜センサ112がオフ状態になっていた場合には、球抜センサLレベルフラグをセットすると共に、球抜センサ変化フラグをリセットするのである。したがって、球抜センサ112のオン状態検出に基づく球抜フラグのセットに際しては、球抜センサ112のオン状態を2度読みすることで、ノイズ混入等に基づく瞬時てきなレベル変化を球抜センサ112の出力と誤認することを防止できるのである。
【0387】
次に、補給センサ65より検出出力が入力されることに伴って、球貯留タンク62への球補給を管理装置134へ要求する補給信号を送出させるための補給センサ検出出力を入力処理する補給センサ入力処理について詳述する。
この補給センサ入力処理に際しては、先ず補給センサ65がオン状態(信号レベルが“H”)か否かを判定し、該補給センサ65がオン状態であった場合には、補給立上り変化フラグがセットされているか否かを判定する。
【0388】
補給立上り変化フラグがセットされていなければ、更に補給立下り変化フラグがセットされているか否かを判定し、この補給立下り変化フラグもセットされていなければ、次いで補給Lレベルフラグがセットされているか否かを判定し、この補給Lレベルフラグもセットされていなければ、最後に補給Hレベルフラグがセットされているか否かを判定し、この補給Hレベルフラグもセットされていなければ、補給Hレベルフラグをセットして、補給センサ入力処理を終了する。そして、再び行われる補給センサ入力処理において、補給Hレベルフラグがセットされたことに基づいて、上記と同様な処理ループが繰り返される。
【0389】
ここで、補給センサ65がオフ状態になった場合(球貯留タンク62の貯留球が不足した場合)には、補給立下り変化フラグがセットされているか否かを判定し、補給立下り変化フラグがセットされていなければ、更に補給立上り変化フラグがセットされているか否かを判定し、この補給立上り変化フラグもセットされていなければ、次いで補給Hレベルフラグがセットされているか否かを判定し、上記処理によって補給Hレベルフラグがセットされているので、補給立下り変化フラグをセットすると共に、補給Hレベルフラグをリセットして、補給センサ入力処理を一旦終了する。
【0390】
上記のようして、補給立下り変化フラグがセットされた後に再び開始される補給センサ入力処理においても補給センサがオフ状態であった場合には、補給立下り変化フラグがセットされていることに基づいて、補給センサ立下りフラグをセットすると共に、補給センサ立上りフラグをリセットし、補給立下り変化フラグをリセットすると共に、補給Lレベルフラグをセットする。かくして、補給センサ立下りフラグがセットされることに基づく補給要求フラグが補給処理においてセットされ、該補給フラグがセットされることに基づく補給信号出力が、遊技台情報処理において為されるのである。
【0391】
また、補給Lレベルフラグがセットされた状態で再開される補給センサ入力処理においも、補給センサ65がオフ状態であった場合には、補給立下り変化フラグも補給立上り変化フラグも補給Hレベルフラグもセットされていないため、補給Lレベルフラグがセットされているか否かの判断処理で、補給センサ入力処理を抜ける処理ループが繰り返される。
【0392】
一方、球貯留タンク62に球補給が為されることで、補給センサ65がオン状態になった場合には、補給立下り変化フラグがセットされた状態で開始される補給センサ入力処理において、補給立上り変化フラグがセットされているか否かの判定処理を経て、補給立下り変化フラグがセットされているか否かの判断処理へ至る。ここで、補給立下り変化フラグがセットされてることから、補給立上り変化フラグをセットすると共に、補給立下り変化フラグをリセットして、当該補給センサ入力処理を一旦終了する。
【0393】
そして、上記のように補給立上り変化フラグがセットされた状態で再び開始される補給センサ入力処理においても、補給センサがオン状態であった場合には、補給立上り変化フラグがセットされていると判定されて、補給センサ立上りフラグをセットすると共に、補給センサ立下りフラグをリセットし、補給変化立上り変化フラグをリセットし、更に補給Hレベルフラグをセットして、当該補給処理を一旦終了する。
【0394】
上記した様に、補給センサ65のオン・オフ状態が変化した時点では補給立上り変化フラグもしくは補給立下り変化フラグをセットしておき、該フラグセットから1ms経過後に行われる補給センサ入力処理においても、補給センサのオン・オフ状態が保持されていた場合にのみ補給信号が立ち上がったか、もしくは立ち下ったものとして、補給センサ立上りフラグもしくは補給センサ立下りフラグをセットするのである。このように、補給センサ65の検出出力の2度読みをさせることによって、ノイズの混入等により生じた一時的な信号レベルの変化を、補給センサのオン・オフ動作と誤認することに基づく誤動作を防止できるのである。
【0395】
なお、補給Lレベルフラグがセットされた後に、補給センサ65がオン状態に変化した場合は、上述した処理と逆に、補給立上り変化フラグをセットすると共に、補給Lレベルフラグをリセットし、その後に行う補給センサ入力処理において補給センサ65がオフ状態に変化していた場合には、補給立下り変化フラグをセットすると共に、補給立上り変化フラグをリセットするのである。
【0396】
次に、オーバーフロースイッチ入力処理について説明する。
オーバーフロースイッチ入力処理の開始に際しては、先ずオーバーフロースイッチ119がオン状態(分配樋117内に球が溢れている溢球状態)か否かを判定し、このオーバーフロースイッチ119がオフ状態であった場合には、オーバーフロー球無フラグがセットされているか否かを判定し、このオーバーフロー球無フラグもセットされていない場合には、オーバーフロー球無監視フラグがセットされているか否かを判定する。そして、オーバーフロー球無監視フラグもセットされていなければ、オーバーフロー球無監視フラグをセットすると共に、オーバーフロー球有監視フラグをリセットし、オーバーフロー球無タイマ(例えば2秒)をスタートさせる。
【0397】
上記のようにして、オーバーフロー球無監視フラグがセットされた後には、オーバーフロー球無タイマがタイムアップしたか否かを判定し、オーバーフロー球無タイマがタイムアップしていなければ、そのままオーバーフロースイッチ入力処理を終了し、再び同様な処理を繰り返す。そして、オーバーフロー球無タイマがタイムアップした場合には、オーバーフロー球無フラグをセットすると共に、オーバーフロー球有フラグをリセットする。斯くして、オーバーフロー球無フラグがセットされた後には、オーバーフロースイッチ119が分配樋117内の溢球状態を検出するまで、オーバーフロー球無フラグの有無に基づく判定処理を経てオーバーフロースイッチ入力処理を終了する処理ループを繰り返す。なお、オーバーフロー球無フラグがセットされた後には、他の排出開始条件具備を条件に、遊技媒体たる球の排出動作を行うことが可能になるのである。
【0398】
また、オーバーフロースイッチ119が分配樋117内の溢球状態を検出した場合には、オーバーフロー球有フラグがセットされているか否かを判定し、オーバーフロー球有りフラグがセットされていないことに基づいて、オーバーフロー球有監視フラグがセットされているか否かを判定する。そして、オーバーフロー球有監視フラグもセットされていなければ、分配樋117内が溢球状態になったことに基づくオーバーフロー球有監視フラグをセットすると共に、オーバーフロー球無監視フラグをリセットし、オーバーフロー球有タイマ(例えば2秒)をスタートさせる。
【0399】
上記のようにして、オーバーフロー球有監視フラグがセットされた後には、オーバーフロー球無タイマがタイムアップしたか否かを判定し、オーバーフロー球有タイマがタイムアップしていなければ、そのままオーバーフロースイッチ入力処理を終了し、再び同様な処理を繰り返す。そして、オーバーフロー球有タイマがタイムアップした場合には、オーバーフロー球有フラグをセットすると共に、オーバーフロー球無フラグをリセットする。斯くして、オーバーフロー球有フラグがセットされた後には、オーバーフロースイッチ119がオフになるまで、オーバーフロー球有フラグの有無に基づく判定処理を経てオーバーフロースイッチ入力処理を終了する処理ループを繰り返すのである。
【0400】
次に、半端センサ入力処理について説明する。
半端センサ入力処理の開始に際しては、先ず、遊技媒体排出動作に供する球残量が半端であることを検出するための半端センサたる排出待機球検出器68がオン状態(遊技媒体排出装置64が賞球排出動作もしくは貸球排出動作を行うのに必要十分な球が待機している状態)か否かを判定し、この排出待機球検出器68がオン状態であった場合には、半端センサ球無フラグがセットされているか否かを判定し、この半端センサ球無フラグもセットされていない場合には、半端球無監視フラグがセットされているか否かを判定する。そして、半端球無監視フラグもセットされていなければ、半端球無監視フラグをセットすると共に、半端球有監視フラグをリセットし、半端球無タイマ(例えば2秒)をスタートさせる。
【0401】
上記のようにして、半端球無監視フラグがセットされた後には、半端球無タイマがタイムアップしたか否かを判定し、半端球無タイマがタイムアップしていなければ、そのまま半端センサ入力処理を終了し、再び同様な処理を繰り返す。そして、半端球無タイマがタイムアップした場合には、半端センサ球無フラグをセットすると共に、半端センサ球有フラグをリセットする。斯くして、半端センサ球無フラグがセットされた後には、排出待機球検出器68が待機球を検出するまで、半端センサ球無フラグの有無に基づく判定処理を経て半端センサ入力処理を終了する処理ループを繰り返す。
【0402】
また、排出待機球検出器68が待機球を検出した場合には、半端センサ球有フラグがセットされているか否かを判定し、半端センサ球有フラグがセットされていないことに基づいて、半端球有監視フラグがセットされているか否かを判定する。そして、半端球有監視フラグもセットされていなければ、半端球有監視フラグをセットすると共に、半端球無監視フラグをリセットし、半端球有タイマ(例えば2秒)をスタートさせる。
【0403】
上記のようにして、半端球有監視フラグがセットされた後には、半端球無タイマがタイムアップしたか否かを判定し、半端球有タイマがタイムアップしていなければ、そのまま半端センサ入力処理を終了し、再び同様な処理を繰り返す。そして、半端球有タイマがタイムアップした場合には、半端センサ球有フラグをセットすると共に、半端センサ球無フラグをリセットする。斯くして、半端センサ球有フラグがセットされた後には、他の排出条件が満たされることを条件に、遊技媒体たる球の排出動作が可能となるのである。
【0404】
次に、アウトセンサ61の検出情報の入力処理に関するアウトセンサ入力処理を説明する。
このアウトセンサ入力処理においては、先ずアウト変化フラグがセットされているか否かを判定し、このアウト変化フラグがセットされていなければ、アウトLレベルフラグがセットされているか否かを判定し、このアウトLレベルフラグもセットされていなければ、アウトセンサ61の検出出力が入力されていない(オフ状態)場合には、アウトLレベルフラグをセットした後に、アウトセンサ61の検出出力が入力されていた場合には、そのままアウトセンサ入力処理を終了する。
【0405】
上記のようにしてアウトLレベルフラグがセットされた後には、アウトLレベルフラグがセットされていることに基づいて、アウトセンサ61がオンしているか否かを判定し、アウトセンサ61が球を検出していない場合には、そのままアウトセンサ入力処理を終了させ、同様の処理ループを繰り返す。一方、アウトセンサ61が球を検出していた場合には、アウト変化フラグをセットすると共に、アウトLレベルフラグをリセットする。
【0406】
アウト変化フラグがセットされた後に行われるアウトセンサ入力処理においては、アウトセンサ61がオン状態であるか否かを判定し、オン状態であれば、アウト変化フラグをリセットすると共に、アウト球数を計数するアウトカウンタに“1”加算する。しかし、アウトLレベルフラグがセットされた直後(1ms後)に行われるアウトセンサ入力処理において、アウトセンサ61が既にオフ状態であった場合には、アウトLレベルフラグをセットして、アウトセンサ入力処理を終了する。すなわち、アウトセンサ61の検出出力を2度読みさせることによって、ノイズ等による一時的なレベル変化をアウトセンサ61の検出出力と誤認することを防止できるのである。なお、アウトカウンタで計数されたアウト球数の値が「10」以上になると、遊技台情報処理において、管理装置134へ出力されるのである。
【0407】
次に、当該パチンコ機1に供給される電圧が低下した際に行われる停電割込処理について説明する。
【0408】
この停電割込処理においては、先ず、排出処理中(賞球排出もしくは貸球排出の動作中)であるか否かを判定し、排出処理中でなければ、そのまま処理は行わない。しかし、排出処理中であった場合には、第1排出ソレノイド104a及び第2排出ソレノイド104bの駆動を停止させ、排出レジスタ1及び排出レジスタ2の内容をバックアップの可能なメモリに記憶する。次いで、球貸排出中か否かを判定し、排出動作が球貸排出に基づくものであれば、球貸数データ及び“球貸排出中”という状態を記憶して、停電フラグをセットして、電源が復帰するまで閉鎖ループとなる。一方、排出処理が賞球排出動作に基づくもので、球貸排出中でなかった場合には、賞球排出数データ及び“賞球排出中”という状態を記憶させて、停電フラグをセットする。
【0409】
次に、カード制御装置9の制御概要の流れについて説明する。
【0410】
このカード制御装置9が行う制御は、図104のメインフローに示すように、先ず、電源投入等に伴う各出力のリセットやフラグの初期化等を行う初期設定を行い、該初期設定が正常に為された後に、プリペイドカード131が挿入されることに基づいて付されるカードインフラグがセットされているか否かを判定し、該カードインフラグがセットされていなければ、カード挿排口10にプリペイドカード131が挿入されたか否かを判定する。カード挿入と判定した場合には、カード挿入処理を行った後に、カード挿入でなければ、そのまま表示処理及び情報送信処理を行って、上記したカードインフラグの有無判定処理へ戻るループを繰り返す。
【0411】
そして、上記処理を繰り返す内にプリペイドカード131がカード制御装置9に挿入されることでカード挿入処理を行い、該カード挿入処理においてカードインフラグがセットされると、カードインフラグがセットされたことに基づいて、球貸要求フラグがセットされているか否かの判定を行い、球貸ボタン11が操作されることに基づいて行われる球貸要求開始処理において球貸要求フラグがセットされていた場合には、遊技盤制御装置130の排出制御部133へ球貸要求をするための球貸要求処理を行い、この球貸要求処理に基づいて球貸排出処理が行われている間は、表示処理および情報送信処理を行った後、カードインフラグの有無判定および球貸要求フラグの有無判定を経て球貸要求処理へ戻るループを繰り返す。
【0412】
また、球貸要求に基づく貸球排出動作が終了することで、球貸要求フラグがリセットされると、カード返却フラグがセットされているか否かを判定し、返却ボタン12が操作されることに基づいて返却フラグがセットされていた場合には、カード返却処理を行い、カード返却フラグがセットされていなければ、球貸スイッチ立上りフラグがセットされているか否かの判定を行い、この球貸スイッチ立上りフラグがセットされていた場合には、上記した球貸要求処理を行うための球貸要求フラグ等をセットする球貸要求開始処理を行った後に、表示処理および情報送信処理を行って、再び同様な処理を繰り返す。
【0413】
カード挿入に伴って行われるカード挿入処理に際しては、先ず、プリペイドカード131に記憶されているカード残高を読み込み、このカード残高が“0”であるか否かを判定し、カード残高が“0”であった場合には、カード返却フラグをセットすると共にカードインフラグをセットして、カード挿入処理を終了する。このように、カード残高が“0”(球貸可能な有価データがゼロ)である場合には、カードインフラグおよびカード返却フラグをセットすることに基づいて、上述したようにカード返却処理が行われ、使用不可能なプリペイドカード131が強制的に排出されるのである。
【0414】
また、プリペイドカード131のカード残高が“0”でなかった場合には、その挿入残高を「挿入残高記憶部」および「残高記憶部」に書き込んだ後、カードインフラグをセットしてカード挿入処理を終了する。なお、上記したカード制御手段200においては、カード読込・書換制御手段206中のカード残高読込・記憶手段209が挿入残高記憶部として機能し、残高記憶手段210が残高記憶部として機能するものとしてある。
【0415】
次に、球貸要求スイッチ立上りフラグがセットされることに基づいて開始されれる球貸要求貸処理について説明する。
この球貸要求開始処理においては、先ず、第1〜第4選択スイッチ13a〜13dの何れが操作されたかによって定まる球貸数をセットする。なお、この球貸数のセットに際しては、球貸可能な最小単位(例えば100円)を“1度数”として、選択スイッチに応じた度数を球貸数としてセットするようにしてもよいし、唯一の選択スイッチが球貸ボタンとして設けてあるような場合には、該スイッチを1回選択する毎に予め設定した球貸数(実際の球数でも度数でもよい)がセットされるようにしてもよい。
そして、球貸要求フラグをセットすると共に、球貸スイッチ立上りフラグをリセットし、遊技盤制御装置130の排出制御部133が球排出制御可能な状態か否かを判定するための球貸要求タイマ(例えば3秒)をセットして球貸要求開始処理を終了する。
【0416】
上記のようにして球貸要求フラグがセットされることで行われる球貸要求処理においては、先ず、遊技盤制御装置130の排出制御部133において貸球排出動作が開始されることに関連して(P台レディ信号が排出制御部133より入力されることに基づいて)セットされる球貸フラグがセットされているか否かを判定し、未だ球貸フラグがセットされていなければ、P台レディ立下りフラグがセットされているか否かを判定する。なお、このP台レディ立下りフラグは、排出制御装置132より負論理で供給されるP台レディ信号が入力(信号レベルが“L”に反転)されることに基づいて、後述する割込処理のP台レディ信号受信処理においてセットされる。
【0417】
この時点で、未だP台レディ立下りフラグがセットされていなければ、次に、上記球貸要求開始処理においてセットした球貸要求タイマがタイムアップしたか否かを判定し、球貸要求タイマが未だ所定時間を計時していない場合には、一旦球貸要求処理を終了して、再び上記と同様な処理を開始する。ここで、P台レディ立下りフラグがセットされる前に球貸要求タイマがタイムアップ(3秒が経過)した場合には、遊技盤制御装置130の排出制御部133が貸球排出動作を行えない状態でないものとして、球貸数をリセットすると共に球貸要求フラグをリセットする。また、カード返却フラグをセットすることでカード返却処理が行われるようにし、カード返却が強制的に行われたことで、遊技者が行った当該球貸要求が実行されなかったことを遊技者に知らせる。
【0418】
また、球貸要求タイマがタイムアップする前にP台レディ立下りフラグがセットされた場合には、球貸フラグをセットすると共に、P台レディ立下りフラグをリセットする。
【0419】
上記のようにして球貸フラグがセットされた後に行われる球貸要求処理においては、払出完了フラグがセットされているか否かを判定し、未だ払出完了フラグがセットされていなければ、一旦球貸要求処理を終了して、再び同様な処理を行う。なお、この払出完了フラグは、排出制御部133が所定数の貸球排出動作を実行することに関連して出力(信号レベルが“L”)する払出完了信号が停止(信号レベルが“H”)されたことに基づき、後述する割込処理の払出完了信号受信処理においてセットされるものである。
【0420】
また、払出完了フラグがセットされた場合には、払出完了立上りフラグをリセットすると共に、残高記憶から貸球排出に供した球数分の有価データを減算する。そして、減数した結果の残高が“0”であるか否かを判定し、残高が“0”でなかった場合には、選択スイッチの操作に基づいて遊技者が要求した球貸数から球貸排出が終了した球貸数を減数する。次いで、カード返却フラグがセットされているか否かを判定し、カード返却フラグがセットされていた場合及び上記判断処理で残高が“0”であった場合には、球貸数をリセットすると共に、カード返却フラグをセットする。すなわち、プリペイドカード131の残高が“0”になって球貸要求を受けられない状態となった場合、および球貸要求を行った後に遊技者の意志で返却ボタン12が操作されることで返却フラグがセットされた場合には、上記のようにして球貸要求がキャンセルされるのである。
【0421】
一方、球貸数の減算後において、カード返却フラグがセットされていないと判断した場合には、要求された球貸数が“0”になったか否かを判定し、未だ排出を行っていない球貸数が残っているために、球貸数が“0”でないと判定された場合には、一旦球貸要求処理を終了させて、再び同様の処理を繰り返す。しかし、要求された全ての球貸要求を消化することによって球貸数が“0”になった場合には、球貸フラグおよび球貸要求フラグをリセットして、球貸要求処理を終了する。なお、球貸数が“0”になった場合には、球貸フラグ及び球貸要求フラグと併せてカード返却フラグをセットするようにして、球貸要求分の貸球排出動作が終了した時点で、プリペイドカード131を一旦排出させるように構成してもよい。
【0422】
次に、返却ボタン12が操作された場合等にカード返却フラグがセットされることで行われるカード返却処理を説明する。
このカード返却処理に際しては、先ず、プリペイドカード131に記録されていた有価データを、球貸要求処理を行った後における残高記憶に基づいて書き換え、この残高に応じた目安として、プリペイドカード131の適所にパンチ孔を穿つ(一定残高を下回っていない場合には、このパンチ孔加工は行わない。)のである。なお、カード残高の書換や残高目安孔のパンチ加工は、プリペイドカード131の排出時に一括して行わずに、所定残高を下回った場合に逐次行うようにしてもよい。
次いで、上記挿入残高記憶部および残高記憶部にセットされた挿入残高記憶および残高記憶を消去して、プリペイドカード131をカード挿排口10より排出する。また、プリペイドカード131を排出したことに伴って、カードインフラグおよびカード返却フラグをリセットし、カード返却処理を終了する。
【0423】
球貸制御に関連した表示を行うための表示処理においては、先ず、カードインフラグがセットされているか否かを判定し、カードインフラグがセットされていた場合にはカード保持表示部16を点灯させ、カードインフラグがセットされていない場合にはカード保持表示部16を消灯させる。そして、挿入残高記憶部にセットされた挿入残高記憶および残高記憶部にセットされた残高記憶を、挿入残高表示部15および残高表示部14へ夫々可視表示させる。次いで、遊技者が球貸ボタン11を操作することに基づく球貸数が“0”であるか否かを判定し、この球貸数が“0”でなければ、遊技者が選択した第1〜第4選択スイッチ11a〜11dの何れかに対応する第1〜第4選択表示部13a〜13dよりなる球貸ボタン押圧表示部13の何れかを点灯表示させて、プリペイドカード131の使用に基づく貸球排出動作が終了していないことを表示し、球貸数が“0”であった場合には、球貸押圧ボタン表示部13の表示を停止させる。
【0424】
次に、遊技盤制御装置130もしくはカード管理装置135へ各種の情報を送信する情報送信処理について説明する。
この情報送信処理においては、先ず、球貸要求開始処理において付される球貸フラグがセットされているか否かを判定し、該球貸要求フラグがセットされていた場合には、球貸リクエスト信号を出力(負論理の信号レベルを“H”から“L”に反転)し、球貸要求信号がセットされていない場合には、球貸リクエスト信号を停止(信号レベルを“L”から“H”に反転)する。次いで、プリペイドカード131が挿入されてることに伴って付されるカードインフラグがセットされているか否かを判定し、カードインフラグがセットされていた場合には、カード信号を出力(負論理の信号レベルを“H”から“L”に反転)し、カードインフラグがセットされていない場合には、カード信号を停止(信号レベルを“L”から“H”に反転)する。
【0425】
上記のようにして遊技盤制御装置130への情報出力を行った後には、カード管理装置135への情報出力処理を行うものとしてあり、先ず、遊技盤制御装置130の排出制御部133による貸球排出動作が完了したことに関連して付される決済フラグがセットされているか否かを判定し、未だ決済フラグがセットされていなければ、遊技盤制御装置130の排出制御部133が貸球排出動作を完了した際に出力される払出完了信号が入力されることに基づいて付される払出完了立下りフラグがセットされているか否かを判定し、この払出完了フラグもセットされていなければ、一旦情報送信処理を終了させて、再び上記と同様の処理を行う。
【0426】
そして、払出完了フラグがセットされた場合には、決済フラグをセットすると共に、決済情報を出力する時間(信号のパルス幅)を決定するための決済タイマ(例えば10ms)をセットし、決済情報信号線L17を介してカード管理装置135へ出力する決済情報信号の信号レベルを“L”(負論理における信号出力状態)にし、更に払出完了立下りフラグをリセットして、一旦情報送信処理を終了する。
【0427】
上記のようにして、決済フラグがセットされた後に行われる情報送信処理においては、決済タイマがタイムアップしたか否かを判定し、所定時間経過の後に決済タイマがタイムアップすると、決済情報信号の出力レベルを“H”(負論理における出力停止状態)に戻すと共に、決済フラグをリセットし、情報送信処理を終了する。
【0428】
次に、一定時間毎に起動されて各種信号等の入力処理を行い、該入力情報に基づいて上記した各処理で使用される各種フラグをセットする割込処理について説明する。
この割込処理は例えば1ms毎に行われるものとしてあり、先ず、カード制御装置9で使用する各タイマの更新を行った後、球貸スイッチ入力処理、返却スイッチ入力処理、払出完了信号受信処理、P台レディ信号受信処理を順次行った後、割込処理を終了する。
【0429】
上記割込処理において行われる球貸スイッチ入力処理においては、プリペイドカード131がカード制御装置9内に挿入された状態にあることに基づいて付されるカードインフラグがセットされているか否か、球貸ボタン11を操作することに基づいて付される球貸要求フラグがリセットされているか否か、カード返却フラグがリセットされているか否か、の各条件を判定し、上記の各条件が満たされていない場合には、そのまま球貸スイッチ入力処理を終了する。すなわち、プリペイドカード131が使用可能な状態でない場合、既に球貸要求が為されている場合、挿入状態にあったプリペイドカード131に対して返却要求がが為されている場合には、仮に球貸要求があったとしても、その球貸要求を受入ないのである。なお、カード返却フラグがセットされていた場合には、既に入力処理した球貸要求に基づく球貸変化フラグをリセットする。
【0430】
球貸要求を受入可能な状態であった場合には、球貸変化フラグがセットされているか否かを判定し、球貸変化フラグがセットされていなければ、次に球貸Lレベルフラグがセットされているか否かを判定し、この球貸Lレベルフラグもセットされていなければ、球貸スイッチたる球貸ボタン11がオフ状態であるか否かを判定し、球貸スイッチがオフ状態でなければそのまま、球貸スイッチがオフ状態であれば球貸Lレベルフラグをセットして、球貸スイッチ入力処理を終了する。なお、球貸Lレベルフラグがセットされる前に球貸スイッチが操作されることで、球貸スイッチがオン状態であった場合には、上記処理ループが繰り返されることになり、この球貸要求に基づく貸球排出動作は行われずに無効とされる。
【0431】
上記のようにして球貸Lレベルフラグがセットされた後に、再び開始される球貸スイッチ入力処理において、球貸Lレベルフラグがセットされていることに基づく球貸スイッチのオン・オフ判定処理を行い、ここでも球貸スイッチがオフ状態であった場合には、そのまま球貸スイッチ入力処理を終了し、再び割込処理が開始されることに基づいて行われる球貸スイッチ入力処理においても、上記と同様な処理を繰り返す。
【0432】
ここで、球貸スイッチがオン状態に変化した場合には、球貸変化フラグをセットすると共に、球貸Lレベルフラグをリセットして球貸スイッチ入力処理を終了する。そして、その後に開始される球貸スイッチ入力処理においては、球貸変化フラグがセットされていることに基づいて、再び球貸スイッチのオン・オフ判定を行い、この時点においても球貸スイッチがオン状態を保持していた場合には、球貸スイッチ立上りフラグをセットすると共に、球貸変化フラグをリセットして球貸スイッチ入力処理を終了する。この球貸スイッチ立上りフラグがセットされることに基づいて、上記した球貸要求開始処理が行われるのである。
【0433】
一方、球貸Lレベルフラグがセットされていることに基づく球貸スイッチのオン・オフ判定処理において、球貸スイッチがオフ状態に変化していた場合には、球貸Lレベルフラグをリセットして球貸スイッチ入力処理を終了する。このように、検出出力の2度読みによって球貸スイッチのオン・オフ判定処理を行うことによって、ノイズの混入等による一時的なレベル変化をスイッチ入力と誤認することを防止できるのである。
【0434】
上記割込処理において行われる返却スイッチ入力処理においては、プリペイドカード131がカード制御装置9内に挿入された状態にあることに基づいて付されるカードインフラグがセットされているか否か、カード返却フラグがリセットされているか否か、の各条件を判定し、上記の各条件が満たされていない場合には、そのまま返却スイッチ入力処理を終了する。すなわち、プリペイドカード131が使用可能な状態でない場合、挿入状態にあったプリペイドカード131に対して返却要求が為されている場合には、仮に返却要求があったとしても、その返却要求を受入ないのである。なお、カード返却フラグがセットされていた場合には、既に入力処理されたカード返却要求に基づく返却変化フラグをリセットする。
【0435】
カード返却要求を受入可能な状態であった場合には、返却変化フラグがセットされているか否かを判定し、返却変化フラグがセットされていなければ、次に返却Lレベルフラグがセットされているか否かを判定し、この返却Lレベルフラグもセットされていなければ、返却スイッチたる返却ボタン12がオフ状態であるか否かを判定し、返却スイッチがオフ状態でなければそのまま、返却スイッチがオフ状態であれば返却Lレベルフラグをセットして、返却スイッチ入力処理を終了する。なお、返却Lレベルがセットされる前に返却スイッチが操作されることで、返却スイッチがオン状態であった場合には、上記処理ループが繰り返されることになり、この返却要求は無効とされる。
【0436】
上記のようにして返却Lレベルフラグがセットされた後に、再び開始される返却スイッチ入力処理において、返却Lレベルフラグがセットされていることに基づく返却スイッチのオン・オフ判定処理を行い、ここでも返却スイッチがオフ状態であった場合には、そのまま返却スイッチ入力処理を終了し、再び割込処理が開始されることに基づいて行われる返却スイッチ入力処理においても、上記と同様な処理を繰り返す。
【0437】
ここで、返却スイッチがオン状態に変化した場合には、返却変化フラグをセットすると共に、返却Lレベルフラグをリセットして返却スイッチ入力処理を終了する。そして、その後に開始される返却スイッチ入力処理においては、返却変化フラグがセットされていることに基づいて、再び返却スイッチのオン・オフ判定を行い、この時点においても返却スイッチがオン状態を保持していた場合には、カード返却フラグをセットすると共に、返却変化フラグをリセットして返却スイッチ入力処理を終了する。このカード返却フラグがセットされることに基づいて、上記したカード返却処理が行われるのである。
【0438】
一方、返却Lレベルフラグがセットされていることに基づく返却スイッチのオン・オフ判定処理において、返却スイッチがオフ状態に変化していた場合には、返却Lレベルフラグをリセットして返却スイッチ入力処理を終了する。このように、検出出力の2度読みによって返却スイッチのオン・オフ判定処理を行うことによって、ノイズの混入等による一時的なレベル変化をスイッチ入力と誤認することを防止できるのである。
【0439】
払出完了信号受信処理に際しては、先ず遊技盤制御装置130の排出制御部133より払出完了信号線L15を介して入力される払出完了信号線の信号レベルが“H”である(球貸要求に基づく球排出動作を遊技盤制御装置130の排出制御部133が完了していない状態)か否かを判定し、該払出完了信号が“H”レベルであった場合には、払出立上り変化フラグがセットされているか否かを判定する。
【0440】
この払出立上り変化フラグがセットされていなければ、更に払出立下り変化フラグがセットされているか否かを判定し、この払出立下り変化フラグもセットされていなければ、次いで払出Lレベルフラグがセットされているか否かを判定し、この払出Lレベルフラグもセットされていなければ、最後に払出Hレベルフラグがセットされているか否かを判定し、この払出Hレベルフラグもセットされていなければ、払出Hレベルフラグをセットして、払出完了信号受信処理を終了する。そして、再び行われる払出完了信号受信処理において、払出Hレベルフラグがセットされたことに基づいて、上記と同様な処理ループが繰り返される。
【0441】
ここで、払出完了信号の信号レベルが“L”に変化した場合(遊技盤制御装置130の排出制御部133による貸球排出動作が完了した場合)には、払出立下り変化フラグがセットされているか否かを判定し、払出立下り変化フラグがセットされていなければ、更に払出立上り変化フラグがセットされているか否かを判定し、この払出立上り変化フラグもセットされていなければ、次いで払出Hレベルフラグがセットされているか否かを判定し、上記処理によって払出Hレベルフラグがセットされているので、払出立下り変化フラグをセットすると共に、払出Hレベルフラグをリセットして、払出完了信号受信処理を一旦終了する。
【0442】
上記のようして、払出立下り変化フラグがセットされた後に再び開始される払出完了信号受信処理においても払出完了信号が“L”レベルであった場合には、払出立下り変化フラグがセットされていることに基づいて、払出完了立下りフラグをセットすると共に、払出完了立上りフラグをリセットし、払出立下り変化フラグをリセットすると共に、払出Lレベルフラグをセットする。かくして、払出完了立下りフラグがセットされることに基づく決済情報の出力処理が行われるのである。
【0443】
また、払出Lレベルフラグがセットされた状態で再開される払出完了信号受信処理において、払出完了信号が“L”レベル状態を保持していた場合には、払出立下り変化フラグも払出立上り変化フラグも払出Hレベルフラグもセットされていないため、払出Lレベルフラグがセットされているか否かの判断処理で、払出完了信号受信処理を抜ける処理ループが繰り返される。
【0444】
一方、払出完了信号が“H”レベルから“L”レベルに変化したことに基づく払出立下り変化フラグをセットした後に、再び開始される払出完了信号受信処理において、払出完了信号が再び“H”レベルに戻っていた場合には、払出立上り変化フラグがセットされているか否かの判定処理を経て、払出立下り変化フラグがセットされているか否かの判断処理へ至る。ここで、払出立下り変化フラグがセットされてることから、払出立上り変化フラグをセットすると共に、払出立下り変化フラグをリセットして、当該払出完了信号受信処理を一旦終了する。
【0445】
そして、上記のように払出立上り変化フラグがセットされた状態で再び開始される払出完了信号受信処理においても、払出完了信号が“H”レベルを保持していた場合には、払出立上り変化フラグがセットされていると判定されて、払出完了立上りフラグをセットすると共に、払出完了立下りフラグをリセットし、払出立上り変化フラグをリセットし、更に払出Hレベルフラグをセットして、当該カード処理を一旦終了する。上記のようにして、払出完了立上りフラグがセットされることに基づいて、球貸要求処理による新たな球貸要求が可能となるのである。
【0446】
上記した様に、払出完了信号の信号レベルが変化した時点では払出立上り変化フラグもしくは払出立下り変化フラグをセットしておき、該フラグセットから1ms経過後に行われる払出完了信号受信処理においても、払出完了信号が同レベルを保持していた場合にのみ払出完了信号が立ち上がったか、もしくは立ち下ったものとして、払出完了立上りフラグもしくは払出完了立下りフラグをセットするのである。このように、払出完了信号の2度読みをさせることによって、ノイズの混入等により生じた一時的な信号レベルの変化を、払出完了信号の出力(信号レベルが“L”)もしくは停止(信号レベルが“H”)と誤認することに基づく誤動作を防止できるのである。
【0447】
なお、払出Lレベルフラグがセットされた後に、払出完了信号が“H”レベルに変化した場合は、上述した処理と逆に、払出立上り変化フラグをセットすると共に、払出Lレベルフラグをリセットし、その後に行う払出完了信号受信処理において払出完了信号が“L”レベルに反転していた場合には、払出立下り変化フラグをセットすると共に、払出立下り変化フラグをリセットするのである。
【0448】
上記割込処理において行われるP台レディ信号受信処理においては、先ず、P台変化フラグがセットされているか否かを判定し、P台変化フラグがセットされていなければ、次にP台Hレベルフラグがセットされているか否かを判定し、このP台Hレベルフラグもセットされていなければ、P台レディ信号が“H”レベル(負論理における出力停止状態)であるか否かを判定し、P台レディ信号が“H”レベルでなければそのまま、P台レディ信号が“H”レベルであればP台Hレベルフラグをセットして、P台レディ信号受信処理を終了する。
【0449】
上記のようにしてP台Hレベルフラグがセットされた後に、再び開始されるP台レディ信号受信処理において、P台Hレベルフラグがセットされていることに基づくP台レディ信号のレベル判定処理を行い、ここでもP台レディ信号が“H”レベルであった場合には、そのままP台レディ信号受信処理を終了し、再び割込処理が開始されることに基づいて行われるP台レディ信号受信処理においても、上記と同様な処理を繰り返す。
【0450】
ここで、P台レディ信号が“L”レベルに変化した場合には、P台変化フラグをセットすると共に、P台HレベルフラグをリセットしてP台レディ信号受信処理を終了する。そして、その後に開始されるP台レディ信号受信処理においては、P台変化フラグがセットされていることに基づいて、再びP台レディ信号のレベル判定を行い、この時点においてもP台レディ信号が“L”レベルを保持していた場合には、P台レディ信号立下りフラグをセットすると共に、P台変化フラグをリセットしてP台レディ信号受信処理を終了する。このP台レディ信号立下りフラグがセットされることに基づいて、上記した球貸要求処理において、球貸要求が無効にされることなく、貸球排出動作が行われるのである。
【0451】
一方、P台Lレベルフラグがセットされていることに基づくP台レディ信号のレベル判定処理において、P台レディ信号が“H”レベルに変化していた場合には、P台LレベルフラグをリセットしてP台レディ信号受信処理を終了する。このように、検出出力の2度読みによってP台レディ信号のオン・オフ判定処理を行うことによって、ノイズの混入等による一時的なレベル変化をスイッチ入力と誤認することを防止できるのである。
【0452】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係るカード式遊技装置では、賞球情報出力手段によって所定遊技球数毎に賞球数信号を外部へ出力し、球貸情報出力手段によって球貸の最小単位数毎に球貸数信号を外部へ出力するので、賞球データ信号に基づいて排出した遊技球数は賞球数信号から知ることができ、球貸要求信号に基づいて排出した遊技球数は球貸の最小単位数毎に出力される球貸数信号から知ることができるので、補給タンクへ補給された遊技球が賞球と貸球の両方に使用されることとなっても、賞球排出動作に供した遊技球数と貸球排出動作に供した遊技球数を識別することが可能となる。
しかも、上記球貸要求信号は、遊技機本体の球貸排出可能信号送信手段からカードユニットへ送信される球貸排出可能信号を受信中のカード制御部から送信されるので、遊技機本体とカードユニットの双方が適正な球貸動作を行える場合に送信される信頼性の高い信号となり、更には、球貸のための遊技球の排出を球貸排出制御手段が球貸の最小単位数毎に排出制御してゆくので、球貸情報出力手段により出力される球貸数の信頼性を向上させることができる。
従って、球貸用のプリペイドカードを用いた貸球排出が可能な遊技者にとって利便性の高いカード式遊技装置を遊技店に導入しても、遊技者が賞として獲得できた遊技球数を把握することができ、従来と同様の打止管理を行うことが可能となり、加えて、カード式遊技装置による球貸動作の安全性、正確性を担保することも可能となる。
更に、当該カード式遊技装置の電源供給が遮断された際には、バックアップ手段によって、記憶手段に一時的に記憶された賞球排出実行情報が消失することなく保持されるので、不意の停電等で遊技装置が停止した場合でも遊技者に不利益を与えることが無い。したがって、遊技者が安心して遊技を行える信頼性の高い賞球排出動作を期せるカード式遊技装置となる。
また、請求項2に係るカード式遊技装置では、電源供給の復帰時に賞球排出が正常に実行可能であれば、バックアップ手段により保持された記憶手段の記憶内容である賞球排出実行情報に基づく賞球排出が再開されるので、正常な賞球排出動作を期せる状態に復帰した場合には、遊技店員等の手を煩わせることなく、速やかに賞球排出動作を再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る遊技機の一例たるパチンコ機の斜視図である。
【図2】
遊技盤の正面図である。
【図3】
可変表示装置の正面図である。
【図4】
同可変表示装置の斜視図である。
【図5】
変動入賞装置の斜視図である。
【図6】
パチンコ機の裏面図である。
【図7】
(a)はセーフ球の流下阻止状態におけるセーフ球払出機構および調流樋の概略図である。
(b)はセーフ球の開放状態におけるセーフ球払出機構および調流樋の概略図である。
【図8】
(a)はオン状態における排出待機球検出機構部の概略図である。
(b)はオフ状態における排出待機球検出機構部の概略図である。
【図9】
遊技媒体排出装置の概略断面図である。
【図10】
(a)はオフ状態における遊技媒体排出機構部の概略図である。
(b)はオン状態における遊技媒体排出機構部の概略図である。
【図11】
補助枠を備えるパチンコ機の第1の実施形態である。
【図12】
同パチンコ機を島設備に組込んだ状態を示す斜視図である。
【図13】
補助枠を備えるパチンコ機の第2の実施形態である。
【図14】
同パチンコ機を島設備に組込んだ状態を示す斜視図である。
【図15】
パチンコ機における遊技制御・排出制御・球貸制御を行うための制御機構の概略構成を示すブロック図である。
【図16】
遊技盤制御部の構成概略を示すブロック図である。
【図17】
音声出力手段の構成概略を示すブロック図である。
【図18】
排出制御部の構成概略を示すブロック図である。
【図19】
排出開始条件確認手段の構成概略を示すブロック図である。
【図20】
情報出力手段の構成概略を示すブロック図である。
【図21】
表示駆動手段の構成概略を示すブロック図である。
【図22】
排出制御手段の構成概略を示すブロック図である。
【図23】
賞球排出手段の構成概略を示すブロック図である。
【図24】
貸球排出手段の構成概略を示すブロック図である。
【図25】
停電制御手段の構成概略を示すブロック図である。
【図26】
球抜排出手段の構成概略を示すブロック図である。
【図27】
カード制御装置の構成概略を示すブロック図である。
【図28】
カード読込・書換制御手段の構成概略を示すブロック図である。
【図29】
遊技盤制御装置とカード制御装置間における負論理・フォトカプラ絶縁による信号送受信のための、信号出力部および信号入力部における回路図である。
【図30】
遊技盤制御装置の制御概要の前段を示すゼネラルフローチャートである。
【図31】
遊技盤制御装置の制御概要の後段を示すゼネラルフローチャートである。
【図32】
スイッチ入力処理を示すフローチャートである。
【図33】
役物制御処理を示すフローチャートである。
【図34】
不正処理の前段を示すフローチャートである。
【図35】
不正処理の中段を示すフローチャートである。
【図36】
不正処理の後段を示すフローチャートである。
【図37】
デジタル処理を示すフローチャートである。
【図38】
乱数読込み処理を示すフローチャートである。
【図39】
デジタル停止処理を示すフローチャートである。
【図40】
特別遊技処理の前段を示すフローチャートである。
【図41】
特別遊技処理の後段を示すフローチャートである。
【図42】
排出装置不正監視処理の前段を示すフローチャートである。
【図43】
排出装置不正監視処理の後段を示すフローチャートである。
【図44】
排出装置不正解除処理を示すフローチャートである。
【図45】
球抜処理の第1段を示すフローチャートである。
【図46】
球抜処理の第2段を示すフローチャートである。
【図47】
球抜処理の第3段を示すフローチャートである。
【図48】
球抜処理の第4段を示すフローチャートである。
【図49】
球抜処理の第5段を示すフローチャートである。
【図50】
球抜処理の第6段を示すフローチャートである。
【図51】
球貸開始処理を示すフローチャートである。
【図52】
排出開始条件確認処理を示すフローチャートである。
【図53】
排出開始処理を示すフローチャートである。
【図54】
反転フラグ処理を示すフローチャートである。
【図55】
排出数分割処理の第1段を示すフローチャートである。
【図56】
排出数分割処理の第2段を示すフローチャートである。
【図57】
排出数分割処理の第3段を示すフローチャートである。
【図58】
排出数分割処理の第4段を示すフローチャートである。
【図59】
球貸排出処理を示すフローチャートである。
【図60】
排出処理を示すフローチャートである。
【図61】
排出エラー回復処理を示すフローチャートである。
【図62】
1個排出処理を示すフローチャートである。
【図63】
交互排出処理を示すフローチャートである。
【図64】
併用排出処理の前段を示すフローチャートである。
【図65】
併用排出処理の後段を示すフローチャートである。
【図66】
賞球数確定処理を示すフローチャートである。
【図67】
賞球開始処理を示すフローチャートである。
【図68】
賞球排出処理を示すフローチャートである。
【図69】
セーフ球払出処理の前段を示すフローチャートである。
【図70】
セーフ球払出処理の後段を示すフローチャートである。
【図71】
停電回復処理を示すフローチャートである。
【図72】
ランプ表示処理を示すフローチャートである。
【図73】
音声出力処理の前段を示すフローチャートである。
【図74】
音声出力処理の中段を示すフローチャートである。
【図75】
音声出力処理の後段を示すフローチャートである。
【図76】
補給処理を示すフローチャートである。
【図77】
情報出力処理を示すフローチャートである。
【図78】
賞球情報処理を示すフローチャートである。
【図79】
貸球情報処理を示すフローチャートである。
【図80】
遊技台情報処理の前段を示すフローチャートである。
【図81】
遊技台情報処理の後段を示すフローチャートである。
【図82】
エラー情報処理の前段を示すフローチャートである。
【図83】
遊技状態送信処理を示すフローチャートである。
【図84】
遊技盤制御処理における割込処理を示すフローチャートである。
【図85】
球貸リクエスト検出処理を示すフローチャートである。
【図86】
セーフセンサ入力処理の前段を示すフローチャートである。
【図87】
セーフセンサ入力処理の後段を示すフローチャートである。
【図88】
カード挿入検出処理の前段を示すフローチャートである。
【図89】
カード挿入検出処理の後段を示すフローチャートである。
【図90】
枠センサ入力処理を示すフローチャートである。
【図91】
排出センサ1入力処理を示すフローチャートである。
【図92】
排出センサ2入力処理を示すフローチャートである。
【図93】
排出センサ1レベル入力処理の前段を示すフローチャートである。
【図94】
排出センサ1レベル入力処理の後段を示すフローチャートである。
【図95】
排出センサ2レベル入力処理の前段を示すフローチャートである。
【図96】
排出センサ2レベル入力処理の後段を示すフローチャートである。
【図97】
球抜センサ入力処理を示すフローチャートである。
【図98】
補給センサ入力処理の前段を示すフローチャートである。
【図99】
補給センサ入力処理の後段を示すフローチャートである。
【図100】
オーバーフロースイッチ入力処理を示すフローチャートである。
【図101】
半端センサ入力処理を示すフローチャートである。
【図102】
アウトセンサ入力処理を示すフローチャートである。
【図103】
停電割込処理を示すフローチャートである。
【図104】
カード制御装置の制御概要を示すゼネラルフローチャートである。
【図105】
カード挿入処理を示すフローチャートである。
【図106】
球貸要求開始処理を示すフローチャートである。
【図107】
球貸要求処理の前段を示すフローチャートである。
【図108】
球貸要求処理の後段を示すフローチャートである。
【図109】
カード返却処理を示すフローチャートである。
【図110】
表示処理を示すフローチャートである。
【図111】
情報送信処理を示すフローチャートである。
【図112】
カード制御処理における割込処理を示すフローチャートである。
【図113】
球貸スイッチ入力処理を示すフローチャートである。
【図114】
返却スイッチ入力処理を示すフローチャートである。
【図115】
払出完了信号受信処理の前段を示すフローチャートである。
【図116】
払出完了信号受信処理の後段を示すフローチャートである。
【図117】
P台レディ信号受信処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 遊技機としてのパチンコ機
5 遊技盤
9 カード制御装置
21 遊技部
22 入賞具
28 変動入賞装置
64 遊技媒体排出装置
131 プリペイドカード
130 遊技盤制御装置
132 遊技盤制御部
133 排出制御部
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-04-04 
出願番号 特願2000-85720(P2000-85720)
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A63F)
P 1 651・ 161- ZA (A63F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 神 悦彦土屋 保光  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 國分 直樹
渡部 葉子
登録日 2002-07-12 
登録番号 特許第3328633号(P3328633)
権利者 株式会社ソフィア
発明の名称 カード式遊技装置  
代理人 後藤 政喜  
代理人 後藤 政喜  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ