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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  G02B
管理番号 1121071
異議申立番号 異議2003-72720  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-10-13 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-07 
確定日 2005-05-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3404871号「カラーフィルタ製造方法およびTFT回路製造方法」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3404871号の請求項1ないし4に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3404871号の請求項1〜4に係る発明は、平成6年3月18日に特許出願され、平成15年3月7日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、特許異議申立人加藤清子により特許異議の申立てがなされ、取消の理由が通知され、その指定期間内である平成17年3月4日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1および3において、「ガラス基板上の膜に対する処理」とあるのを、「ガラス基板上の膜に対する浸漬処理、または浸漬および散布の双方による処理」と訂正する。
イ.訂正事項b
明細書の段落【0008】、【0010】、【0012】において、「ガラス基板上の膜に対する処理」とあるのを、「ガラス基板上の膜に対する浸漬処理、または浸漬および散布の双方による処理」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、訂正前の請求項1および3について、ガラス基板上の膜に対する処理を「浸漬処理、または浸漬および散布の双方による処理」と限定したものであり、この点は、特許明細書の段落【0018】に記載されており、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、また、上記訂正事項bは上記訂正事項aと整合を図るものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(3)むすび
したがって、上記訂正は、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
特許異議申立人加藤清子は、証拠として甲第1号証(特開平6-260412号公報)を提出し、請求項1〜4に係る発明の特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきものである旨主張している。

(2)本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1〜4に係る発明(以下、「本件発明1」〜「本件発明4」という。)は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
【請求項1】フォトリソグラフ法を用いてガラス基板上にカラーフィルタを製造する方法において、処理液を用いてガラス基板上の膜に対する浸漬処理、または浸漬および散布の双方による処理を行う膜処理部(2)と、膜処理部(2)において付着した処理液を純水で洗い流す洗浄部(4)との間に接続部(3)を設け、該接続部(3)において、処理液切りの後、3秒以内にガラス基板に対して純水を付与することを特徴とするカラーフィルタ製造方法。
【請求項2】 膜処理部(2)が、現像液を用いてガラス基板上の感光性レジストを現像するものである請求項1に記載のカラーフィルタ製造方法。
【請求項3】 フォトリソグラフ法を用いてガラス基板上にTFT回路を製造する方法において、処理液を用いてガラス基板上の膜に対する浸漬処理、または浸漬および散布の双方による処理を行う膜処理部(2)と、膜処理部(2)において付着した処理液を純水で洗い流す洗浄部(4)との間に接続部(3)を設け、該接続部(3)において、処理液切りの後、3秒以内にガラス基板に対して純水を付与することを特徴とするTFT回路製造方法。
【請求項4】 膜処理部(2)が、現像液を用いてガラス基板上の感光性レジストを現像するものである請求項3に記載のTFT回路製造方法。

(3)先願の発明
当審が通知した取消しの理由に引用された特願平5-43732号(特開平6-260412号公報(甲第1号証)参照)には以下の事項が記載されている。
ア.「【産業上の利用分野】
本発明は、液晶パネルなどのワークに対して微細なパターニングを行うフォトリソグラフィ工程において使用されるシャワー型枚葉式現像装置に関する。」(【0001】)

イ.「ポンプ3を駆動すると現像液タンク1の現像液が現像液供給パイプ2を介して現像液シャワーノズル4にポンプアップされ、搬送装置6上のワーク(液晶パネルの基板)wに対してシャワーノズル4より現像液が噴霧される。現像液の供給によって現像処理が行われるワークwは、搬送装置6によって現像処理室aの出口より搬出され、N2ナイフ7によってワーク上の現像液の液切りが行われる。
」(【0023】)

ウ.「そして、N2ナイフ7によって現像液の液切りが行われたワークwは、搬送装置8によって6000mm/min=100mm/secという高速でニュートラルb中を水洗室cに向けて搬送される。その搬送途中において、ワークwは現像ストップ水洗ノズル17の純水噴射箇所に至る。N2ナイフ7から現像ストップ水洗ノズル17までの距離を100mm以内とすると、ワークwは液切り後1秒以内で純水噴射を受けることになる。ワークw上の現像液は噴射された純水により平坦化される。すなわち、N2ナイフ7の噴射圧力が0.1〜0.15kg/m2程度と比較的高いのでワークw上の現像液に凹凸ができやすいが、そのワークwを1秒以内という短時間のうちに純水に当てるため、凹凸を素早く平坦化し、かつ、現像を強制的にストップさせることができ、平坦化した状態で現像液を固めてしまうので乾燥むらをなくすことができるのである。」(【0025】)

エ.「現像液の固まったワークwは搬送装置12に受け継がれて水洗室c内に入り、洗浄液シャワーノズル10からの純水噴射によりワークw上の不要成分・汚れ成分が除去洗浄される。そして、乾燥室dにおいてエアーナイフ13,14によって乾燥され、図示しないベーク炉へ搬送される。」(【0026】)

したがって、甲第1号証には、「液晶パネルなどのワークに対して微細なパターニングを行うフォトリソグラフィ工程において使用されるシャワー型枚葉式現像方法であって、ワーク(液晶パネルの基板)wに対してシャワーノズル4より現像液が噴霧される現像処理室aと、洗浄液シャワーノズル10からの純水噴射によりワークw上の不要成分・汚れ成分が除去洗浄される水洗室cとの間にニュートラルbを設け、該ニュートラルbにおいて、N2ナイフ7によって現像液の液切りが行われ、液切り後1秒以内でワークwに対して純水噴射するシャワー型枚葉式現像方法。」(以下、「先願発明」という。)が記載されている。

(4)対比・判断
(4)-1本件発明1について
本件発明1と先願発明とを対比すると、先願発明の「フォトリソグラフィ」は、本件発明1の「フォトリソグラフ法」に、以下同様に、「液晶パネルなどのワーク」は「基板」に、「処理室a」は「処理部(2)」に、「純水噴射によりワークw上の不要成分・汚れ成分が除去洗浄される水洗室c」は「膜処理部(2)において付着した処理液を純水で洗い流す洗浄部(4)」に、「ニュートラルb」は「接続部(3)」に、「純水噴射する」は「純水を付与する」に、それぞれ相当する。また、刊行物1発明は、「液切り後1秒以内でワークwに対して純水噴射」しているのであるから、これが3秒以内であることは明らかである。また、先願発明の「現像」、「現像液」は「基板上の膜に対する処理」、「処理液」の概念に含まれるものであり、さらに、先願発明は「液晶パネルなどのワークに対して微細なパターニングを行うフォトリソグラフィ工程において使用される」のであるから、基板上に部材を製造(パターニング)しているといえるから、結局、両者は、
「フォトリソグラフ法を用いて基板上に部材を製造する方法において、処理液を用いてガラス基板上の膜に対する処理を行う膜処理部(2)と、膜処理部(2)において付着した処理液を純水で洗い流す洗浄部(4)との間に接続部(3)を設け、該接続部(3)において、処理液切りの後、3秒以内にガラス基板に対して純水を付与することを特徴とする部材の製造方法。」
である点で一致し、以下の点で、一応相違する。

相違点1;本件発明1が、ガラス基板上にカラーフィルタを製造するのに対し、先願発明が、基板の材質についてかかる限定が付されていない点。

相違点2;本件発明1が、基板上にカラーフィルタを製造するのに対し、先願発明が、基板上に何を製造するのかの明示がない点。

相違点3;本件発明1が、膜処理部(2)における処理を、浸漬処理、または浸漬および散布の双方による処理としたのに対し、先願発明は、そのような構成を採用していない点。

以下相違点について検討する。
相違点1;フォトリソグラフィの技術分野において、パターニングする基板として、ガラスを用いることは従来周知であり、当該周知技術を刊行物1発明に適用することによる新たな効果は認められず、結局、上記相違点1における両者の相違は、実質的な差異であるとは認められない。

相違点2;先願の明細書には、「液晶パネルなどのワークに対して微細なパターニングを行う」との記載があり(上記3.(3)の記載事項ア.参照)、通常、液晶パネルに対して微細なパターニングを行う部材とは、カラーフィルタ、TFT回路等であることはこの出願の出願時、当業者にとって自明といえる事項であり、してみれば、基板上にカラーフィルタを製造することは、先願明細書に(明示はないものの)実質的に開示されているといえ、また、仮に、先願明細書にこの点についての実質的な開示があるとはいえないとしても、上記相違点1における両者の相違は、課題解決のための具体化手段における微差というべき事項にすぎず、結局のところ、この点については、実質的な差異であるとは認められない。

相違点3;フォトリソグラフィの技術分野において、現像を現像液に浸漬することにより処理すること(以下「浸漬法」という)、現像液をシャワーすることにより処理すること(以下「シャワー法」という)、はいずれもこの出願の出願時に、当業者にとって周知の技術事項である(必要であれば、特開平5-181287号公報、特開平5-333541号公報等参照)。そして、浸漬法を採用したことによる新たな効果(ここでいう「新たな効果」とは、浸漬法それ自体が有する効果のことではなく、先願発明に浸漬法を適用することによって生ずる効果のことである)は認められないから、結局、上記相違点2における両者の相違は、課題解決のための具体化手段における微差というべき事項にすぎず、実質な差異であるとは認められない。
なお、特許権者は、この点につき、特許異議意見書において、参考資料1(特開平5-181287号公報)参考資料2(特開平5-333541号公報)を提出し、参考資料1、2にはシャワー法の欠点が記載されていると主張し、また、浸漬法が有する効果を主張することにより、両者、すなわち浸漬法とシャワー法との差異は、課題解決のための具体化手段における微差ではない旨主張するが、上記の参考資料1、2は、浸漬法、シャワー法がそれぞれ固有の欠点を有するということを開示しているのであり、シャワー法に比べ浸漬法が特段優れていることを示すものではなく、むしろ、浸漬法、シャワー法が共に、この出願の出願前よく知られていたことを証左するものであるというべきである。従って、特許権者の上記主張は採用できない。

(4)-2本件発明2について
本件発明2は、本件発明1に「膜処理部(2)が、現像液を用いてガラス基板上の感光性レジストを現像するものである」という構成を付加したものである。

上記付加された構成について検討するに、先願発明は「シャワーノズル4より現像液が噴霧される」のであるから、「現像液を用いて現像する」ものであることは明らかであり、フォトリソグラフィにおいて感光性レジストを用いることも当業者にとって自明といえる事項である。してみれば、「感光性レジストを現像する」点は、先願明細書に(明示はないものの)実質的に開示されているというべきであり、また、仮に、先願明細書にこの点についての実質的な開示があるとはいえないとしても、この点、すなわち、本件発明2が感光性レジストを現像するのに対して、先願発明にはかかる限定が付されていない点は、課題解決のための具体化手段における微差というべき事項にすぎず、結局のところ、この点については、実質な差異であるとは認められない。

(4)-3本件発明3について
本件発明3は、本件発明1の「カラーフィルタ」を「TFT回路」と置き換えたものであるが、「(4)-1本件発明1について」で述べたとおり、通常、液晶パネルに対して微細なパターニングを行う部材とは、カラーフィルタ、TFT回路等であることはこの出願の出願時、当業者にとって自明といえる事項であり、本件発明1と同様の理由により、本件発明3は先願発明と同一である。

(4)-4本件発明4について
本件発明4は、本件発明3に「膜処理部(2)が、現像液を用いてガラス基板上の感光性レジストを現像するものである」という構成を付加したものであるが、当該付加された構成については、「(4)-2本件発明2について」で述べたとおりであり、本件発明4は先願発明と同一である。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1〜4は、先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本件発明1〜4の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本件発明1〜4の特許は、特許法第29条の2第1項の規定に違反してなされたものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
カラーフィルタ製造方法およびTFT回路製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 フォトリソグラフ法を用いてガラス基板上にカラーフィルタを製造する方法において、処理液を用いてガラス基板上の膜に対する浸漬処理、または浸漬および散布の双方による処理を行う膜処理部(2)と、膜処理部(2)において付着した処理液を純水で洗い流す洗浄部(4)との間に接続部(3)を設け、該接続部(3)において、処理液切りの後、3秒以内にガラス基板に対して純水を付与することを特徴とするカラーフィルタ製造方法。
【請求項2】 膜処理部(2)が、現像液を用いてガラス基板上の感光性レジストを現像するものである請求項1に記載のカラーフィルタ製造方法。
【請求項3】 フォトリソグラフ法を用いてガラス基板上にTFT回路を製造する方法において、処理液を用いてガラス基板上の膜に対する浸漬処理、または浸漬および散布の双方による処理を行う膜処理部(2)と、膜処理部(2)において付着した処理液を純水で洗い流す洗浄部(4)との間に接続部(3)を設け、該接続部(3)において、処理液切りの後、3秒以内にガラス基板に対して純水を付与することを特徴とするTFT回路製造方法。
【請求項4】 膜処理部(2)が、現像液を用いてガラス基板上の感光性レジストを現像するものである請求項3に記載のTFT回路製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はカラーフィルタ製造方法およびTFT回路製造方法に関し、さらに詳細にいえば、フォトリソグラフ法を用いてガラス基板上にカラーフィルタを製造する方法およびフォトリソグラフ法を用いてガラス基板上にTFT回路を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ガラス基板上にLCD(液晶ディスプレイ)用のカラーフィルタ、またはTFT回路を製造するに当って、微細加工のためにフォトリソグラフ法を採用することがある。フォトリソグラフ法は、微細加工を行なう場合に好適な方法の1つであり、ガラス基板上に感光性レジストを塗布し、微細加工パターンに適合するマスクを用いて露光処理を行なった後に現像処理を行ない、次いで、残った感光性レジストを除去することにより、ガラス基板上にマスクパターンを形成する方法である。
【0003】そして、上記現像処理は、露光処理が施されたガラス基板を現像液に浸漬するとともに、必要に応じて現像液を散布(シャワー)する第1工程と、ガラス基板の表面に残留する現像液を低減するためにエアーナイフ処理(エアーによりガラス基板の表面の現像液の大半を第1工程に戻し、または回収する処理)を行なう第2工程と、ガラス基板に対して何らの処理を行なうことなく搬送のみを行なう第3工程と、ガラス基板を水洗処理して表面に残留する現像液を排除する第4工程とから構成されている。
【0004】したがって、ガラス基板の表面の残留する現像液の大半をエアーナイフ処理により排除して、現像液の残留量が少なくなったガラス基板に対して洗浄処理を行なうとともに、エアーナイフ処理以前の工程において排除された現像液が水洗工程に混入するおそれを効果的に防止することにより、良好な現像処理を達成することができるように思われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の現像方法を採用した場合には、エアーナイフ処理が行なわれた後、水洗処理が行なわれるまでの間に、ガラス基板の搬送のみを行なうかなり長い第3工程が介在させられているのであるから、水洗処理を開始する時点において、ガラス基板が部分的に乾燥してしまい、部分的な乾燥の影響を受けて水洗処理にむらが生じ、ひいては現像むらが生じてしまうという不都合がある。
【0006】そして、現像むらが生じると、所期の微細加工を達成することができなくなってしまう。また、以上には現像処理についてのみ説明したが、ウェットエッチング処理のように、処理液を用いて所定の処理を行なった後に、処理液を洗い流す場合には同様の不都合が生じてしまう。
【0007】
【発明の目的】この発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、処理液を用いる処理のむらの発生を防止し、高品質のカラーフィルタ、TFT回路を製造することができるカラーフィルタ製造方法およびTFT回路製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1のカラーフィルタ製造方法は、処理液を用いてガラス基板上の膜に対する浸漬処理、または浸漬および散布の双方による処理を行う膜処理部と、膜処理部において付着した処理液を純水で洗い流す洗浄部との間に接続部を設け、該接続部において、処理液切りの後、3秒以内にガラス基板に対して純水を付与する方法である。
【0009】請求項2のカラーフィルタ製造方法は、膜処理部として、現像液を用いてガラス基板上の感光性レジストを現像するものを採用する方法である。
【0010】請求項3のTFT回路製造方法は、処理液を用いてガラス基板上の膜に対する浸漬処理、または浸漬および散布の双方による処理を行う膜処理部と、膜処理部において付着した処理液を純水で洗い流す洗浄部との間に接続部を設け、該接続部において、処理液切りの後、3秒以内にガラス基板に対して純水を付与する方法である。
【0011】請求項4のTFT回路製造方法は、膜処理部として、現像液を用いてガラス基板上の感光性レジストを現像するものを採用する方法である。
【0012】
【作用】請求項1のカラーフィルタ製造方法であれば、フォトリソグラフ法を用いてガラス基板上にカラーフィルタを製造するに当たって、処理液を用いてガラス基板上の膜に対する浸漬処理、または浸漬および散布の双方による処理を行う膜処理部と、膜処理部において付着した処理液を純水で洗い流す洗浄部との間に接続部を設け、該接続部において、処理液切りの後、3秒以内にガラス基板に対して純水を付与するのであるから、処理液切りを行った後、処理液を洗い流すまでの間にガラス基板の少なくとも一部が乾燥してしまうという不都合の発生を未然に防止することができるとともに、処理液を洗い流した後の水の処理に必要な負荷を低減することができる。
【0013】請求項2のカラーフィルタ製造方法であれば、膜処理部として、現像液を用いてガラス基板上の感光性レジストを現像するものを採用しているのであるから、現像処理に関して請求項1と同様の作用を達成することができる。
【0014】請求項3のTFT回路製造方法であれば、フォトリソグラフ法を用いてガラス基板上にTFT回路を製造するに当たって、処理液を用いてガラス基板上の膜に対する浸漬処理、または浸漬および散布の双方による処理を行う膜処理部と、膜処理部において付着した処理液を純水で洗い流す洗浄部との間に接続部を設け、該接続部において、処理液切りの後、3秒以内にガラス基板に対して純水を付与するのであるから、処理液切りを行った後、処理液を洗い流すまでの間にガラス基板の少なくとも一部が乾燥してしまうという不都合の発生を未然に防止することができるとともに、処理液を洗い流した後の水の処理に必要な負荷を低減することができる。
【0015】請求項4のTFT回路製造方法であれば、膜処理部として、現像液を用いてガラス基板上の感光性レジストを現像するものを採用しているのであるから、現像処理に関して請求項3と同様の作用を達成することができる。
【0016】
【0017】
【実施例】以下、実施例を示す添付図面によってこの発明を詳細に説明する。図1はこの発明のカラーフィルタ製造方法の一実施例の要部を示す概略図であり、ガラス基板搬送ライン1の所定位置に、現像部2、ニュートラル部3および洗浄部4をこの順に連続させて配置している。そして、ニュートラル部3のうち、現像部2に近接する所定位置に現像液切り用のエアーナイフ部3aが設けられてあるとともに、エアーナイフ部3aよりもやや洗浄部4寄り所定位置に純水シャワー3bが設けられてある。
【0018】上記現像部2は、現像液タンク2aに収容された現像液中をガラス基板が搬送される、いわゆる浸漬式のものであるが、図示しない現像液シャワーを設けることにより、浸漬および散布の双方によりガラス基板に対して現像液を供給するようにしてもよい。上記ニュートラル部3は、少なくともガラス基板を1枚収容し得る長さに設定されており、現像部2と洗浄部4とを完全に分離して、洗浄部4に侵入する現像液の量を著しく少なくすることができる。
【0019】上記エアーナイフ部3aはガラス基板の両面に高圧の空気を噴射することにより、ガラス基板の表面に残量する現像液の大半を除去するものである。そして、特には図示していないが、除去された現像液を現像部2に戻して再利用し、または回収するようにしている。上記純水シャワー3bは、ガラス基板の所定範囲に純水をほぼ均一に散布するものであり、ガラス基板を洗浄部に向かって搬送することにより、ガラス基板の全範囲に純水を散布することができる。また、純水シャワー3bの配置位置は、エアーナイフ部3aによる現像液の除去後、3秒以内に純水を散布できるように所定位置に配置されている。具体的には、現像部2の全長を2500mm、ニュートラル部3の全長を500mm、洗浄部4の全長を1500mm、ガラス基板の搬送速度を1200mm/分、エアーナイフ部3aと純水シャワー3bとの距離を50mmとすれば、エアーナイフ部3aによる現像液切り後、純水シャワー3bにより純水が散布されるまでの時間が2.5秒になる。
【0020】上記洗浄部4は、ガラス基板の両面に十分な量の純水を散布してガラス基板の全範囲から現像液を完全に洗い流すものであり、水洗処理後の水を図示しない水処理部に導くようにしている。したがって、ガラス基板上の感光性レジストに対する露光処理が行なわれた後に、現像部2において現像処理が行なわれ、ニュートラル部3においてエアーナイフ部3aによる現像液の除去、純水シャワー3bによる純水の散布が行なわれ、ガラス基板の乾燥を未然に防止する。そして、乾燥が防止されたガラス基板が洗浄部4に導かれ、純水による現像液の洗い流しを行なって、残留している現像液をガラス基板の全範囲にわたって完全に除去することができる。この結果、現像液が部分的に残留して現像が部分的に進行するという不都合(現像むらが発生するという不都合)を確実に防止することができる。
【0021】以上にはカラーフィルタ製造方法における現像工程についてのみ説明したが、カラーフィルタを製造するに当ってウェットエッチング処理を行なう場合には、エッチング液へのガラス基板の浸漬処理とエッチング液の洗い流し処理との間にニュートラル部を設け、ニュートラル部においてエアーナイフ部によるエッチング液の除去および純水シャワーによる純水の散布を行なわせることにより、エッチングむらの発生を防止することができる。
【0022】また、以上にはカラーフィルタ製造方法についてのみ説明したが、TFT回路製造方法においても、カラーフィルタ製造方法と同様に現像工程が存在し、該当する場合にはウェットエッチング処理が存在するのであるから、これら現像工程、ウェットエッチング処理に上記の方法を適用することができ、同様の作用を達成することができる。
【0023】
【発明の効果】請求項1の発明は、処理液切りを行った後、処理液を洗い流すまでの間にガラス基板の少なくとも一部が乾燥してしまうという不都合の発生を未然に防止することができるとともに、処理液を洗い流した後の水の処理に必要な負荷を低減することができるという特有の効果を奏する。請求項2の発明は、現像処理に関して請求項1と同様の効果を奏する。
【0024】請求項3の発明は、処理液切りを行った後、処理液を洗い流すまでの間にガラス基板の少なくとも一部が乾燥してしまうという不都合の発生を未然に防止することができるとともに、処理液を洗い流した後の水の処理に必要な負荷を低減することができるという特有の効果を奏する。請求項4の発明は、現像処理に関して請求項3と同様の効果を奏する。
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のカラーフィルタ製造方法の一実施例の要部を示す概略図である。
【符号の説明】
2 現像部 3 ニュートラル部
4 洗浄部
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-03-18 
出願番号 特願平6-48776
審決分類 P 1 651・ 161- ZA (G02B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 峰 祐治  
特許庁審判長 上野 信
特許庁審判官 瀬川 勝久
青木 和夫
登録日 2003-03-07 
登録番号 特許第3404871号(P3404871)
権利者 東レ株式会社
発明の名称 カラーフィルタ製造方法およびTFT回路製造方法  

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