ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H01L |
---|---|
管理番号 | 1121072 |
異議申立番号 | 異議2003-72206 |
総通号数 | 69 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1995-05-19 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-09-01 |
確定日 | 2005-05-06 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3383033号「基板処理方法」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3383033号の請求項1に係る特許を取り消す。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本件特許第3383033号の請求項1に係る発明についての出願は、平成5年10月29日に特許出願され、平成14年12月20日にその特許の設定登録がなされ、その後、異議申立人永田大樹から特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年4月30日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 訂正事項1 特許明細書の請求項1 「【請求項1】 基板に所定の処理液を供給して基板の表面処理を行う基板処理方法であって、 基板を基板保持部に対して水平に保持する第1の工程と、 前記基板保持部に保持された基板の表面に沿ってスリットノズルを含む処理液供給部を相対移動させながら、前記基板の表面に前記スリットノズルから処理液を供給して液盛りし、前記基板の表面ぬれ性を向上させる第2の工程と、 前記第2の工程による液盛り処理によって表面ぬれ性が向上している基板表面に沿って処理液供給部を相対移動させながら、前記基板の表面に前記スリットノズルからさらに処理液を供給する第3の工程と、 を備えた基板処理方法。」を、 「【請求項1】 基板に所定の処理液を供給して基板の表面処理を行う基板処理方法であって、基板を基板保持部に対して水平に保持する第1の工程と、 前記基板保持部に保持された基板の表面に沿ってスリットノズルを含む処理液供給部を、前記スリットノズルの底面と前記基板表面との隙間が0.5〜2.0mmの範囲内になるように相対移動させながら、前記基板の表面に前記スリットノズルから処理液を供給して液盛りし、前記基板の表面ぬれ性を向上させる第2の工程と、 前記第2の工程による液盛り処理によって表面ぬれ性が向上している基板表面に沿って処理液供給部を相対移動させながら、前記基板の表面に前記スリットノズルからさらに前記処理液を供給する第3の工程と、 を備えた基板処理方法。」 と訂正する 訂正事項2 特許明細書の【0005】段落を、 「【0005】 【課題を解決するための手段】 請求項1に係る基板処理方法は、基板に所定の処理液を供給して基板の表面処理を行う方法であり、第1の工程と第2の工程と第3の工程とを含んでいる。第1の工程は基板を基板保持部に対して水平に保持する。第2の工程は、基板保持部に保持された基板の表面に沿ってスリットノズルを含む処理液供給部を、前記スリットノズルの底面と前記基板表面との隙間が0.5〜2.0mmの範囲内になるように相対移動させながら、基板の表面にスリットノズルから処理液を供給して液盛りし、基板の表面ぬれ性を向上させる。第3の工程は、第2の工程による液盛り処理によって表面ぬれ性が向上している基板表面に沿って処理液供給部を相対移動させながら、基板の表面にスリットノズルからさらに前記処理液を供給する。」 と訂正する。 訂正事項3 特許明細書の【0006】段落を、 「【0006】 【作用】 請求項1に係る基板処理方法では、スリットノズルを含む処理液供給部が、前記スリットノズルの底面と前記基板表面との隙間が0.5〜2.0mmの範囲内になるようにして基板に対して相対移動され、スリットノズルから基板の表面に処理液が供給されて液盛りされる。この液盛り処理によって基板の表面ぬれ性が向上する。続いて、処理液供給部が基板に対して相対移動され、ぬれ性が向上している基板表面にスリットノズルからさらに前記処理液が再液盛りされる。このように処理液の液盛りを2度に分けて行い、先の液盛りで基板表面のぬれ性を向上させることで、たとえ供給される処理液の量が少なくても、基板表面に処理液が全面的に供給され処理むらが生じにくくなる。」 と訂正する。 訂正事項4 特許明細書の【0021】段落を、 「【0021】 【発明の効果】 本発明に係る基板処理方法では、スリットノズルを含む処理液供給部を、前記スリットノズルの底面と前記基板表面との隙間が0.5〜2.0mmの範囲内になるようにして基板に対して相対移動させながらスリットノズルから基板に液盛りして基板の表面ぬれ性を向上させた後に、さらに処理液供給部を相対移動させながらスリットノズルから基板に前記処理液を再液盛りするので、少ない処理液でも基板表面に全面的に供給され、処理むらが減少する。」 と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 訂正事項1について 上記訂正事項1は、訂正前の請求項1に対して、第2の工程における「処理液供給部を相対移動」を「処理液供給部を、前記スリットノズルの底面と前記基板表面との隙間が0.5〜2.0mmの範囲内になるように相対移動」と限定し、第3の工程における「処理液」を「前記処理液」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 「処理液供給部を、前記スリットノズルの底面と前記基板表面との隙間が0.5〜2.0mmの範囲内になるように相対移動」については、特許明細書【0014】及び【0015】段落に記載されていたものであり、また、第3の工程における「前記処理液」については、【0013】及び【0011】段落から導き出されるものである。 また、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。 さらに訂正事項2ないし4については、明りようでない記載の釈明に相当するものである。また、これらの訂正事項2ないし4は、特許明細書又は図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、改正前の特許法第126条第1項ただし書、同条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについて (1)本件発明 上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 (2)当審が平成16年2月23日に通知した取消の理由において引用した引用例3:特開昭63-233528号公報の記載 記載A 引用例3の第2頁左下欄第12行ないし同頁右下欄第8行には、 「[問題点を解決するための手段] 本発明は、静止する半導体ウエハ上の一端から中心に向かってノズルを移動させて、中心位置でノズルを停止するとともに半導体ウエハを回転させ、この状態下で該ノズルから現像液を扇形に予備噴射し、該噴射の終了とともにノズルを半導体ウエハの他端へと移動させ、更にノズルの上記移動軌跡に沿ってノズルを復帰させる間、静止した半導体ウエハに現像液を扇形に噴射して半導体ウエハを現像処理するものである。 [作用] 本発明によれば、半導体ウエハに本来の現像液を噴射する前に、予備噴射するために、現像液の半導体ウエハへのなじみが向上しているため均等な塗布を行ない得、余分な現像が抑制されてパタ-ンの解像度が向上する。」 と記載されている。 記載B 引用例3の第3頁左上欄第19行ないし同頁右上欄第7行には、 「半導体ウエハ(1)がスピンチャック(4)に吸着されて…ノズル(5)が…半導体ウエハ(1)上を平行移動する。…スピンチャック(4)を回転させると…半導体ウエハ(1)も回転する。回転とともにノズル(5)から現像液が…噴射される。」 と記載されている。 記載C 引用例3の第3頁右上欄第9行ないし同頁左下欄第6行には、 「噴射は…予備噴射であるため現像液の噴射量は、…小量とする。予備噴射が終了すると、…ノズル(5)をC点から元の位置A点に…復帰させる。…この復帰させる間に再びノズル(5)から現像液を噴射させて本来の現像に供する。従って噴射量は現像に必要な量だけ適宜選択される。」 と記載されている。 記載D 引用例3に記載された第1図 (3)引用例3に記載された発明の認定 半導体ウエハがスピンチャックに吸着され、静止する半導体ウエハ上の一端から中心に向かってノズルを移動させて、中心位置でのノズルを停止させるとともに、スピンチャックを回転させることにより、半導体ウエハを回転させ、この状態下で該ノズルから現像液を予備噴射し現像液の半導体ウエハへのなじみを向上させ、該噴射の終了とともにノズルを半導体ウエハの他端へと移動させ、更にノズルの上記移動軌跡に沿ってノズルを復帰させる間、静止した半導体ウエハに現像液を噴射して半導体ウエハを現像処理する方法。 (4)対比・判断 (4).1 本件発明引用例3とに記載された発明の対比・判断 引用例3に記載された「半導体ウエハ」、「現像液」、「現像処理」、「現像処理する方法」、「スピンチャック」及び「半導体ウエハへのなじみを向上」は、本件発明の「基板」、「処理液」、「表面処理」、「基板処理方法」、「基板保持部」及び「基板の表面ぬれ性を向上」に相当する。 また、引用例3に記載された半導体ウエハがスピンチャックに吸着することは、スピンチャックが通常の使用状態においてウエハ支持面が水平に置かれるから、本件発明の「基板を基板保持部に対して水平に保持する」ことに実質的に相当する。 さらに、引用例3に記載されたノズルは、現像液を噴射するノズルであるから、当然、現像液を供給する供給部を備えており、引用例3の第1図の5aとして図示されているものは、本件発明の「処理液供給部」に相当し、引用例3に記載されたノズルから半導体ウエハに現像液を噴射することは、本件発明の基板の表面にノズルから処理液を供給して液盛りすることに実質的に相当する。 また、引用例3に記載された発明において、現像液の予備噴射及びその後の噴射において、同一の処理液を用いていることは、異なる処理液を用いる点の記載がないこと及び引用例3に記載された第1図には5aとして示される処理供給部が予備噴射及びそれに続く噴射に用いられていることを考慮すると明らかである。 さらに、引用例3に記載された発明において、現像液の予備噴射及びその後の噴射時において、ノズルと半導体ウエハは、相対移動することは記載B及び記載Cを参照すると明らかである。 そうすると、本件発明と引用例3記載の発明は、 「基板に所定の処理液を供給して基板の表面処理を行う基板処理方法であって、基板を基板保持部に対して水平に保持する第1の工程と、 基板保持部に保持された基板の表面に沿ってノズルを含む処理液供給部を、相対移動させながら、前記基板の表面に前記ノズルから処理液を供給して液盛りし、前記基板の表面ぬれ性を向上させる第2の工程と、 前記第2の工程による液盛り処理によって表面ぬれ性が向上している基板表面に沿って処理液供給部を相対移動させながら、前記基板の表面に前記ノズルからさらに前記処理液を供給する第3の工程と、 を備えた基板処理方法。」 において一致する。 相違点 本件第1発明が、「基板保持部に保持された基板の表面に沿ってスリットノズルを含む処理液供給部を、前記スリットノズルの底面と前記基板表面との隙間が0.5〜2.0mmの範囲内になるように相対移動させながら、前記基板の表面に前記スリットノズルから処理液を供給して液盛り」するものであるのに対し、引用例3記載の発明は、基板保持部に保持された基板の表面に沿ってノズルを含む処理液供給部を、相対移動させながら、前記基板の表面に前記ノズルから処理液を噴射して液盛りする構成を有するものの、予備噴射及びその後の噴射に用いるノズルがスリットノズルではなく、またスリットノズルの底面と前記基板表面との隙間が0.5〜2.0mmの範囲内になるようにする記載がない点で相違(以下、「相違点」という。)する。 相違点について検討する。 基板保持部に保持された基板の表面に沿ってスリットノズルを含む処理液供給部を、相対移動させながら、前記基板の表面に前記スリットノズルから処理液を供給して液盛りすることは、当該技術分野において周知手段(例えば、特開平5-158055号公報、特開平4-124812号公報等参照)にすぎず、引用例3記載の発明のようにノズルから処理液を噴射して液盛りすることに変え、上記周知手段を適用し液盛りすることに何ら適用困難性は認められない。 また、スリットノズルの底面と前記基板表面との隙間が0.5〜2.0mmの範囲内になるようにする点については、近接して配置することは周知であり当該数値範囲において臨界的意義は認められず、また、スリットノズルの底面と前記基板表面との隙間は、処理液の粘度等によっても最適値が変わるから、この観点からみても、上記数値範囲において臨界的意義は認められない。 したがって、スリットノズルの底面と前記基板表面との隙間が0.5〜2.0mmの範囲内になるようにすることに特段の意義はなく、上記数値については、当業者が実験的に選択しうる程度のことであり、格別の技術的困難性を伴うものではない。 また、上記相違点に基づく効果も、記載A及び記載C等を参照すると、当業者が予測し得た程度のものにすぎない。 してみると、本件発明は、引用例3に記載された発明及び周知手段に基づいて当業者が容易に発明できたものである。 (5)むすび 以上のとおりであるから、本件請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件請求項1に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 基板処理方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 基板に所定の処理液を供給して基板の表面処理を行う基板処理方法であって、基板を基板保持部に対して水平に保持する第1の工程と、 前記基板保持部に保持された基板の表面に沿ってスリットノズルを含む処理液供給部を、前記スリットノズルの底面と前記基板表面との間の隙間が0.5〜2.0mmの範囲内になるように相対移動させながら、前記基板の表面に前記スリットノズルから処理液を供給して液盛りし、前記基板の表面ぬれ性を向上させる第2の工程と、 前記第2の工程による液盛り処理によって表面ぬれ性が向上している基板表面に沿って処理液供給部を相対移動させながら、前記基板の表面に前記スリットノズルからさらに前記処理液を供給する第3の工程と、 を備えた基板処理方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、基板処理方法、特に基板に所定の処理液を供給して基板の表面処理を行う基板処理方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 特開平5-158055号公報に開示された基板現像装置は、基板を水平に保持するスピンチャックと、スピンチャック上に載置された基板より広い幅を有する現像液供給ノズルとを備えている。現像液供給ノズルは、吐出部が基板表面に近接しており、その状態で現像液供給ノズルは基板表面に沿って相対的に平行移動しながら基板表面に現像液を吐出する。現像終了後には、スピンチャックを高速回転させて、基板表面の現像液を振り切る。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 前記従来の特開平5-158055号公報に開示された基板現像装置で、現像液の消費量を減らすためには、基板1枚あたりに供給する現像液の量を減らすことが考えられる。しかしその場合は、現像中に基板表面に存在する現像液の量が少なくなり、基板表面の一部で現像液が不足する部分が発生する。このような現象が著い場合には、現像液が不足した部分が現像不良になる。 【0004】 本発明の目的は、少ない処理液でも処理むらが生じにくくすることにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】 請求項1に係る基板処理方法は、基板に所定の処理液を供給して基板の表面処理を行う方法であり、第1の工程と第2の工程と第3の工程とを含んでいる。第1の工程は基板を基板保持部に対して水平に保持する。第2の工程は、基板保持部に保持された基板の表面に沿ってスリットノズルを含む処理液供給部を、スリットノズルの底面と基板表面との間の隙間が0.5〜2.0mmの範囲内になるように相対移動させながら、基板の表面にスリットノズルから処理液を供給して液盛りし、基板の表面ぬれ性を向上させる。第3の工程は、第2の工程による液盛り処理によって表面ぬれ性が向上している基板表面に沿って処理液供給部を相対移動させながら、基板の表面にスリットノズルからさらに前記処理液を供給する。 【0006】 【作用】 請求項1に係る基板処理方法では、スリットノズルを含む処理液供給部が、スリットノズルの底面と基板表面との間の隙間が0.5〜2.0mmの範囲内になるようにして基板に対して相対移動され、スリットノズルから基板の表面に処理液が供給されて液盛りされる。この液盛り処理によって基板の表面ぬれ性が向上する。続いて、処理液供給部が基板に対して相対移動され、ぬれ性が向上している基板表面にスリットノズルからさらに前記処理液が再液盛りされる。このように処理液の液盛りを2度に分けて行い、先の液盛りで基板表面のぬれ性を向上させることで、たとえ供給される処理液の量が少なくても、基板表面に処理液が全面的に供給され処理むらが生じにくくなる。 【0007】 【実施例】 図1において、本発明の一実施例による基板処理方法が採用される基板現像装置は、現像処理部1と現像液圧送部2とを主に備えている。現像処理部1は、矩形のガラス基板Pを真空吸着孔により吸着し水平に保持し得る基板保持部4と、基板保持部4に保持された基板Pに対して現像液を供給する現像液供給部5とを備えている。基板保持部4の周囲には、現像液やリンス液(純水)の飛散を防止するためのカップ6が配置されている。基板保持部4はモータ機構26によって垂直軸回りに回転させられるようになっている。 【0008】 現像液供給部5は、基板Pの上面に沿って基板Pの短手方向(図1の奥行き方向)に延びるノズル部7を有している。ノズル部7は、ノズル支持アーム8の下端に固定されている。ノズル支持アーム8は、倒立L字状の部材であり、移動フレーム9に上下移動可能に支持されている。移動フレーム9は、移動ガイド10に移動可能に支持されている。移動ガイド10は、基板Pの長手方向(図1の左右方向)に沿って延びている。この結果、ノズル部7は、基板Pの長手方向に基板Pの上面に沿って図2に示すように移動して、基板Pの全面に現像液を塗布し得る。 【0009】 ノズル部7は、図3に示すように断面が倒立家型の部材である。ノズル部7の底面は基板Pの長手方向両端から中央に向かって低くなるように傾斜している。ノズル部7の底面と基板Pとのなす角度θは、たとえば5°程度である。なお、この角度は、液盛り時に現像液を表面張力によって引っ張って液垂れしない角度であればよく、1°〜30°の範囲、好ましくは3°〜10°の範囲であればよい。 【0010】 ノズル部7内には、下方に開口するスリットノズル20が形成されている。スリットノズル20の途中には、上下に配置された1対の液溜め31,32が形成されている。この液溜め31,32は、現像液供給配管16から供給された現像液をノズル部7の長手方向(図3の奥行き方向)に均一に分散させるためのものである。 【0011】 現像液圧送部2は、図1に示すように、現像液を貯溜したポリタンク12を収納し、かつ内部が気密に封止された加圧タンク11を有している。加圧タンク11の上部には、図示しない窒素ガス源から加圧された窒素ガスが供給される加圧配管13が開口している。加圧配管13の途中には、吸排用三方弁14及びレギュレータ15が加圧タンク11側からこの順に配置されている。なお、三方弁14は、窒素ガスを加圧タンク11に供給するかまたは他に排気するかを選択できる。現像液供給配管16は、一端がポリタンク12の底面近傍に達し、他端がノズル部7に接続されている。現像液供給配管16の途中には、流量計17及び現像液供給弁18がポリタンク12側からこの順で配置されている。 【0012】 さらに、この基板現像装置は、図4に示すように、マイクロコンピュータからなる制御部23を備えている。制御部23には、基板保持部4(真空チャック)、ノズル支持アーム8及び移動フレーム9の駆動部、吸排用三方弁14、現像液供給弁18が接続されている。さらに、制御部23には、ノズル支持アーム8や移動フレーム9の位置の検出を行うセンサ等の各種センサ(図示せず)及びその他の入出力装置が接続されている。 【0013】 次に、基板現像装置の動作を、図5に示す制御フローチャートにしたがって説明する。まずステップS1で基板現像装置全体の初期設定を行う。ステップS2では、図示しない搬送機構が基板Pを基板現像装置に搬入するのを待つ。この基板Pは、予め感光性樹脂が塗布されかつ所定のパターンに露光されたものである。 【0014】 基板Pが搬入されると、ステップS3に移行し、基板保持部4の真空チャックで基板Pを真空吸着する。ステップS4では、ノズル部7をスタート位置に移動させる。ここでは、ノズル部7が図6に点線で示す位置(すなわち基板Pの左端)に配置される。ノズル部7の底面と基板Pとの間の隙間は、0.5〜2.0mmの範囲内である。 【0015】 ステップS5では、ノズル部7のノズルスリット20から基板Pに現像液を吐出させる。この吐出開始動作は、三方弁14を供給側に切り換えさらに現像液供給弁18を開き、ポリタンク12から現像液をノズル部7に供給することで行う。ステップS6では、図6に示すように、ノズル部7を基板Pに沿って往方向に水平移動させる。ノズル部7は、図2及び図3に矢印で示すように移動しながら、基板P上に現像液D1を液盛りする。ステップS7では、ノズル部7が基板Pの右端に到達するのを待つ。ノズル部7が図6に示すように基板Pの右端に到達するとステップS8に移行し、移動フレーム9の移動を停止させる。 【0016】 以上で説明した1回目の液盛り動作において、たとえば、ノズル部7から吐出される現像液の流量は3.5リットル/分であり、ノズル部7の移動速度は400mm/秒である。この基板Pの長辺の長さが400mmであるとすると、1回目の液盛り動作は1秒かかる。ステップS9に移行すると、ノズル部7を復方向に図7のように水平移動させる。このときの移動速度は、200mm/秒であり、1回目の液盛り速度の1/2である。すなわち、2回目の液盛り動作は2秒かかる。ステップS10では、ノズル部7が基板Pの左端に到達するのを待つ。その間、ノズル部7は図8に示すように、1回目に液盛りされた現像液D1の上に現像液D2を再液盛りしていく。ノズル部7が左端に到達すると、ステップS11でノズル部7からの現像液の供給を停止する。ここでは、三方弁14を排気側に切り換えるとともに、現像液供給弁18を閉じる。ステップS12では、ノズル部7の移動を停止して、2回目の液盛り処理を終了させる。 【0017】 この2回目の液盛り処理では、1回目の液盛り処理の際に基板Pの表面ぬれ性が向上していることから、現像液が基板P上に速やかにかつむらなく塗布される。このため、たとえ現像液の量が少なくても、基板Pに現像むらが生じにくい。ステップS13に移行すると、基板Pの搬入出を邪魔しない位置にノズル部7を退避させる。ステップS14では、現像が終了するまで一定時間待つ。現像が終了すると、ステップS15に移行し、図示しない純水供給ノズルにより基板Pをリンス(洗浄)する。このリンス時には、モータ機構26により基板保持部4を低速回転させる。続いて、モータ機構26により基板保持部4を高速回転させて、基板Pに対して液切り乾燥を行う。ステップS16に移行すると、基板保持部4の真空チャックによる基板Pの吸着を解除する。ステップS17では、図示しない搬送機構が基板Pを次の処理のために搬出するのを待つ。基板Pが搬出されると、ステップS2に戻り次の基板Pが搬入されるのを待つ。 【0018】 本実施例では液盛り処理時間が短縮される。従来の基板現像装置では、確実に現像液を基板P上に塗布するために、ノズル部7の移動を100mm/秒といった低速で行う必要がある。そのため、本実施例のように長辺が400mmの基板であれば、従来は液盛り処理に4秒かかる。これが本実施例の液盛り処理では往復で3秒に短縮される。 【0019】 〔他の実施例〕 2回目の液盛り処理で、1回目の現像液の一部を掻き出しながら現像液を供給する構成としてもよい。そのためには、前記実施例の図5において、ステップS8でノズル部7が基板Pの右端で移動を停止した後に、ノズル部7を僅かに下降させる。その結果、図9及び図10で示すように、2回目の液盛り処理時にノズル部7は1回目の現像液D1の上部を基板Pの左端側に掻き出していく。このとき、掻き出される現像液の量は半分程度が好ましい。ノズル部7により上部が掻き出された現像液D1の上に新たに現像液D2が液盛りされると、既に反応し古くなった現像液D1が排除されるので現像の反応速度が高いまま維持される。この結果、現像時間が短縮される。 【0020】 基板Pの左端からこぼれる現像液は、たとえば、図9に示すような樋21を設けることで回収が可能である。樋21に受けられた現像液は図示しない現像液回収機構によりポリタンク12に回収されることで、再利用され得る。さらに、現像液のみならず、液盛りによって基板表面の処理を行うエッチング装置及び剥離装置にも本発明は適用可能である。 【0021】 【発明の効果】 本発明に係る基板処理方法では、スリットノズルを含む処理液供給部を、スリットノズルの底面と基板表面との間の隙間が0.5〜2.0mmの範囲内になるようにして基板に対して相対移動させながらスリットノズルから基板に液盛りして基板の表面ぬれ性を向上させた後に、さらに処理液供給部を相対移動させながらスリットノズルから基板に前記処理液を再液盛りするので、少ない処理液でも基板表面に全面的に供給され、処理むらが減少する。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の一実施例による基板処理方法が採用された基板現像装置のブロック模式図。 【図2】 液盛り処理中のノズル部の部分斜視図。 【図3】 図2のIII-III断面図。 【図4】 基板現像装置の制御構成を示すブロック模式図。 【図5】 基板現像装置の制御フローチャート。 【図6】 現像処理の一状態を示す縦断面図。 【図7】 現像処理の一状態を示す縦断面概略図。 【図8】 図7の拡大部分図。 【図9】 別の実施例の現像処理の一状態を示す縦断面概略図。 【図10】 図9の拡大部分図。 【符号の説明】 1 現像処理部 4 基板保持部 5 現像液供給部 20 スリットノズル 23 制御部 P 基板 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2005-03-23 |
出願番号 | 特願平5-271490 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZA
(H01L)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 岩本 勉 |
特許庁審判長 |
鹿股 俊雄 |
特許庁審判官 |
辻 徹二 柏崎 正男 |
登録日 | 2002-12-20 |
登録番号 | 特許第3383033号(P3383033) |
権利者 | 大日本スクリーン製造株式会社 |
発明の名称 | 基板処理方法 |
代理人 | 小野 由己男 |
代理人 | 小野 由己男 |