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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08K 審判 全部申し立て 2項進歩性 C08K 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 C08K 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備 C08K |
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管理番号 | 1121091 |
異議申立番号 | 異議2003-73795 |
総通号数 | 69 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-10-15 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-12-26 |
確定日 | 2005-06-13 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3456301号「繊維および特定のカーボンブラックを均一に含有する繊維強化熱可塑性複合体」の請求項1ないし10に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3456301号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。 |
理由 |
[1].手続きの経緯 本件特許第3456301号に係る発明は、平成7年3月30日に特許出願され、平成15年8月1日に特許権の設定登録がなされ、その後、渡辺 俊郎(以下、「特許異議申立人」という。)より特許異議の申立てがなされ、平成16年8月17日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年10月19日に特許異議意見書及び訂正請求書が提出されたものである。 [2].訂正の適否 1.訂正の内容 訂正請求書に添付された全文訂正明細書の記載からみて、特許権者の求める訂正は以下のとおりのものと認める。 訂正事項a 請求項1の 「熱可塑性樹脂中に繊維強化材およびカーボンブラックが高分散状態で含有され、該繊維強化材が、平均直径3〜21μm、平均長0.3〜30mmであると共に複合体基準で5〜80重量%含有され、該カーボンブラックが、一次凝集時のストラクチャー長60nm以下であって該複合体基準で0.01〜5重量%含有されている繊維強化熱可塑性複合体A。」を 「熱可塑性樹脂中に繊維強化材およびカーボンブラックが高分散状態で含有され、該繊維強化材が、平均直径3〜21μm、平均長0.3〜30mmであると共に複合体基準で5〜80重量%含有され、該カーボンブラックが、一次凝集時のストラクチャー長55nm以下であって該複合体基準で0.01〜5重量%含有され、酸化チタンを含有しない繊維強化熱可塑性複合体A。」と訂正する。 訂正事項b 請求項5を削除する。 訂正事項c 請求項6〜10の項番を繰り上げて請求項5〜9とする。 訂正事項d 訂正後の請求項6(訂正前の請求項7)の「請求項6に記載の」を「請求項5に記載の」と、 訂正後の請求項7(訂正前の請求項8)の「請求項6に記載の」を「請求項5に記載の」と、 訂正後の請求項8(訂正前の請求項9)の「請求項6〜8の何れかの項に記載の」を「請求項5〜7の何れかの項に記載の」と、及び 訂正後の請求項9(訂正前の請求項10)の「請求項6〜9の何れかの項に記載の」を「請求項5〜8の何れかの項に記載の」と訂正する。 訂正事項e 訂正後の請求項5(訂正前の請求項6)の 「・・・更に、硫化亜鉛が該複合体基準で0.45〜2.0重量%含有されている繊維強化熱可塑性複合体B」を 「・・・更に、硫化亜鉛が該複合体基準で0.45〜2.0重量%含有され、酸化チタンを含有しない繊維強化熱可塑性複合体B」と訂正する。 訂正事項f 段落「【0012】の「改良構成9」を「改良構成4」と訂正する。 訂正事項g 段落【0012】の「該カーボンブラックが一次凝集時のストラクチャー長60nm以下であって該複合体基準で0.01〜5重量%含有されている」を「該カーボンブラックが一次凝集時のストラクチャー長55nm以下であって該複合体基準で0.01〜5重量%含有され、酸化チタンを含有しない」と訂正する。 訂正事項h 段落【0033】及び【0034】(2箇所)の「硫酸亜鉛」を「硫化亜鉛」と訂正する。 訂正事項i 段落【0038】の「平均ストラクチャー長60nm以下、好ましくは55nm以下を言う」を「平均ストラクチャー長55nm以下を言う」と訂正する。 訂正事項j 段落【0039】の「カーボンブラックに加えて、硫化亜鉛を含有する」を「カーボンブラック(但し、平均ストラクチャー長60nm以下、好ましくは55nm以下)に加えて、硫化亜鉛を含有する」と訂正する。 訂正事項k 段落【0049】の「実施例1〜6」を「実施例1〜5、参考例1」と、 段落【0050】の「実施例4、実施例5」を「実施例3、実施例4」と、「実施例3」を「参考例1」と、「実施例6」を「実施例5」と、 段落【0052】の「実施例7」を「実施例6」と、 段落【0056】の「実施例7」(2箇所)を「実施例6」と、 段落【0057】表2の「実施例3」を「参考例1」と、「実施例4」を「実施例3」と、「実施例5」を「実施例4」と、「実施例6」を「実施例5」と、「実施例7」を「実施例6」と、 段落【0058】の「実施例8〜11」を「実施例7〜10」と、「実施例7」(3箇所)を「実施例6」と、「実施例8」を「実施例7」と、「実施例9」を「実施例8」と、「実施例10」を「実施例9」と、「実施例11」を「実施例10」と、 段落【0059】の「実施例7」を「実施例6」と、 段落【0060】、【0061】及び【0062】の「実施例12」を「実施例11」と、 段落【0063】表3の「実施例8」を「実施例7」と、「実施例9」を「実施例8」と、「実施例10」を「実施例9」と、「実施例11」を「実施例10」と、「実施例12」を「実施例11」と、 段落【0064】の「実施例13〜14」を「実施例12〜13」と、「実施例7」を「実施例6」と、「実施例13」を「実施例12」と、「実施例14」を「実施例13」と、 段落【0065】の「実施例7」を「実施例6」と、 段落【0067】の「実施例15〜16」を「実施例14〜15」と、「実施例13」を「実施例12」と、「実施例15」を「実施例14」と、 段落【0068】の「実施例14」を「実施例13」と、「実施例16」を「実施例15」と、 段落【0070】表4の「実施例13」を「実施例12」と、「実施例14」を「実施例13」と、「実施例15」を「実施例14」と、そして、「実施例16」を「実施例15」と、それぞれ訂正する。 2.訂正の目的の適否、訂正の範囲の適否及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項aには、「一次凝集時のストラクチャー長60nm以下」を「一次凝集時のストラクチャー長55nm以下」とする訂正(以下、「訂正事項a-1」という。)及び「繊維強化熱可塑性複合体A」の前に「酸化チタンを含有しない」を付加する訂正(以下、「訂正事項a-2」という。)が含まれているので、それぞれの適否について検討する。 (i)訂正事項a-1 訂正前の明細書には「一次凝集時のストラクチャー長が特定ストラクチャー長のカーボンブラックを、複合体の重量基準で0.01〜5重量%必要とする。また、ここでいう「特定ストラクチャー長」とは平均ストラクチャー長60nm以下、好ましくは55nm以下を言う」(段落【0038】)と記載されており、訂正事項a-1はこの記載に基づいて繊維強化熱可塑性複合体Aの成分であるカーボンブラックの特性を更に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (ii)訂正事項a-2 訂正前の明細書には「本発明は・・・酸化チタンによってその表面に損傷を受けるという事実を回避し・・・」(段落【0011】)と記載されており、また、比較例11、16及び19(段落【0063】表3)には、請求項1に記載された要件を満たす複合体に酸化チタンを配合したものは所期の性能を発揮しないことが示されている。訂正事項a-2はこれらの記載に基づいて繊維強化熱可塑性複合体Aに含まれない成分を特定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)訂正事項bは請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (3)訂正事項cは、訂正事項bによる請求項5の削除に伴って、それ以降の請求項を繰り上げ、項番を整理するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 (4)訂正事項dは、訂正事項cによる項番整理後の請求項6〜9において、引用されている請求項の項番を整理後のものとする訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 (5)訂正事項eは、訂正前の明細書の「本発明は・・・酸化チタンによってその表面に損傷を受けるという事実を回避し・・・」(段落【0011】)との記載に基づいて繊維強化熱可塑性複合体Bに含まれない成分を特定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (6)訂正事項fは、訂正前の段落【0013】〜【0016】に「Aの改良構成1」〜「Aの改良構成4」、段落【0018】〜【0021】に「Bの改良構成1」〜「Bの改良構成4」がそれぞれ記載されており、いずれにも「改良構成4」までしか記載されていなかったことに基づいて、段落「【0012】の「改良構成9」という明らかな誤記を「改良構成4」と訂正するものであるから、誤記の訂正を目的とするものである。 (7)訂正事項gは、訂正事項aによる特許請求の範囲の訂正に伴い、対応する発明の詳細な説明の項の記載をこの訂正と整合させるための訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 (8)訂正事項hは、訂正前の請求項6、段落【0001】、【0062】等の記載からみて、「硫化亜鉛」とすべきところ誤って記載したことが明らかな段落【0033】及び【0034】(2箇所)の「硫酸亜鉛」を、本来の「硫化亜鉛」と訂正するものであるから、誤記の訂正を目的とするものである。 (9)訂正事項iは、訂正事項aによる特許請求の範囲の訂正に伴い、対応する発明の詳細な説明の項の記載をこの訂正と整合させるための訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 (10)訂正事項jは、訂正前の明細書の「本発明の複合体Aを作成する為には更に別異の添加物として一次凝集時のストラクチャー長が特定ストラクチャー長のカーボンブラックを、複合体の重量基準で0.01〜5重量%必要とする。また、ここでいう「特定ストラクチャー長」とは平均ストラクチャー長60nm以下、好ましくは55nm以下を言う。・・・本発明の繊維強化熱可塑性複合体Bは、上述した複合体Aを構成する熱可塑性樹脂、繊維強化材およびカーボンブラックに加えて、硫化亜鉛を含有する」(段落【0038】〜【0039】)との記載に基づいて繊維強化熱可塑性複合体Bにおけるカーボンブラックについて説明を加えるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 (11)訂正事項kは、訂正事項aによる特許請求の範囲の訂正によって、実施例ではなくなった「実施例3」を「参考例1」と訂正し、実施例4以降の実施例の番号を順に繰り上げるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、これらの訂正事項a〜kはいずれも、明細書に記載された事項の範囲内においてされたものであり、これらの訂正はいずれも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成16年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項および第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 [3].本件発明 上記の結果、訂正後の本件請求項1〜9に係る発明(以下、「本件発明1」〜「本件発明9という。)は、訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜9に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 熱可塑性樹脂中に繊維強化材およびカーボンブラックが高分散状態で含有され、該繊維強化材が、平均直径3〜21μm、平均長0.3〜30mmであると共に複合体基準で5〜80重量%含有され、該カーボンブラックが、一次凝集時のストラクチャー長55nm以下であって該複合体基準で0.01〜5重量%含有され、酸化チタンを含有しない繊維強化熱可塑性複合体A。 【請求項2】 繊維強化材が、ガラス、石英、天然鉱物、金属および炭素よりなる群から選ばれる1種以上の無機物質を繊維化することによって形成される繊維である請求項1に記載の繊維強化熱可塑性複合体A。 【請求項3】 繊維強化材が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アラミド樹脂およびポリイミド樹脂よりなる群から選ばれる1種以上の有機物質を繊維化することによって形成される繊維である請求項1に記載の繊維強化熱可塑性複合体A。 【請求項4】 カーボンブラックの平均粒径が、13〜24nmの範囲内にある請求項1〜3の何れかの項に記載の繊維強化熱可塑性複合体A。 【請求項5】 熱可塑性樹脂中に繊維強化材およびカーボンブラックが高分散状態で含有され、該繊維補強材が平均直径3〜21μm、平均長長0.3〜30mmであると共に複合体基準で5〜80重量%含有され、該カーボンブラックが一次凝集時のストラクチャー長60nm以下であって該複合体基準で0.025〜0.4重量%含有され、更に、硫化亜鉛が該複合体基準で0.45〜2.0重量%含有され、酸化チタンを含有しない繊維強化熱可塑性複合体B。 【請求項6】 繊維強化材が、ガラス、石英、天然鉱物、金属および炭素よりなる群から選ばれる1種以上の無機物質を繊維化することによって形成される繊維である請求項5に記載の繊維強化熱可塑性複合体B。 【請求項7】 繊維強化材が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アラミド樹脂およびポリイミド樹脂よりなる群から選ばれる1種以上の有機物質を繊維化することによって形成される繊維である請求項5に記載の繊維強化熱可塑性複合体B。 【請求項8】 カーボンブラックの平均粒径が、13〜24nmの範囲内にある請求項5〜7の何れかの項に記載の繊維強化熱可塑性複合体B。 【請求項9】 カーボンブラックの一次凝集時のストラクチャー長が、55nm以下である請求項5〜8の何れかの項に記載の繊維強化熱可塑性複合体B。」 [4].特許異議の申立についての判断 [4-1].特許異議申立人の主張 特許異議申立人は、甲第1〜5号証及び参考資料1〜6を提出して、概略、次の理由により訂正前の本件請求項1〜10に係る特許は取り消されるべきである旨、主張する。 (1)訂正前の請求項1、2及び4に係る発明は甲第1号証に記載された発明であるから、いずれも特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (2)訂正前の請求項1〜10に係る発明は甲第1〜5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、いずれも特許法第29条第2項の規定に違反し、特許を受けることができない。 (3)訂正前の明細書の記載には不備があるから、訂正前の請求項1〜10に係る特許は、特許法第36条第4項に規定された要件を満たしていない出願についてされたものである。 [4-2].合議体の判断 [4-2-1].取消理由 当審において平成16年8月17日付けで通知した取消理由の概要は次のとおりであり、以下の刊行物等を引用した。 (1)訂正前の請求項1、2及び4に係る発明は刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。 (2)訂正前の本件明細書の記載には不備があるから、訂正前の請求項1〜10に係る発明についての特許は、特許法第36項第4項、第5項第2号及び第6項に規定された要件を満たしていない特許出願についてされたものである。 <刊行物等> 刊行物1:特開平6-32981号公報(特許異議申立人が提出した甲第1号証) 刊行物2:特開平5-125278号公報(同甲第2号証) 参考資料1:本件の審査過程において平成15年5月16日に提出された意見書の写し(同参考資料2) 参考資料2:「機能性添加材料の新展開-新製品情報および最近の技術開発動向-」,(株)東レリサーチセンター,1993.4.1,p.69-71(同参考資料3) <刊行物等の記載事項> 刊行物1 (1-1)「キシリレンジアミンとα,ω-直鎖脂肪族二塩基酸とから得られるポリアミド樹脂100重量部に対して、ポリアミド11、ポリアミド12もしくはポリアミド612から選ばれた少なくとも1種を1〜15重量部、銅化合物を銅化合物中の銅を基準として0.01〜5重量部、およびカーボンブラックを1〜10重量部配合し、更にハロゲン化アルカリを上記銅化合物中の銅1原子に対し該ハロゲン化アルカリ中のハロゲン原子が0.3〜4原子の割合となるように配合してなる耐候性に優れた成形用ポリアミド樹脂組成物。」(特許請求の範囲の請求項1) (1-2)「本発明のポリアミド樹脂組成物に、機械的強度向上の目的でさらにガラス繊維、カーボン繊維等の繊維強化材を適宜配合して使用することができる。この場合、繊維強化材の配合割合は、本発明のボリアミド(註:「ボリアミド」は「ポリアミド」の誤記と認める。)樹脂もしくは混合ポリアミド樹脂100重量部に対し、30〜70重量部の割合が好ましい。(段落【0012】) (1-3)「実施例1 ポリ(メタキシリレンアジパミド)(以下「MXナイロン」と記す。三菱ガス化学(株)製、重合体1gを98%硫酸100mlに溶解し、25℃で測定した相対粘度(以下、「相対粘度」という):2.14のもの)90重量部およびナイロン66(相対粘度:2.25)のペレット5重量部、ポリアミド12(フローテスター(加重:5kg)による325℃での溶融粘度:3000ポイズ)のペレット5重量部、ヨウ化銅0.2重量部、ヨウ化カリウム0.2重量部、カーボンブラック(三菱化成(株)製 ♯45)5重量部をタンブラーで混合しベント式押出機を用いて、275℃で溶融混練した後に紐状に押出し、水槽で冷却、切断乾燥してペレット状成形材料を製造した。」(段落【0015】) (1-4)「実施例3 実施例1で用いたMXナイロン40重量部、ポリアミド66 5重量部、ポリアミド12 5重量部、および長さ3mmのガラス繊維チョップドストランド(旭ファイバーグラス(株)、商品名:CS03JAFT2)50重量部、ヨウ化銅0.2重量部、ヨウ化カリウム0.2重量部、更に実施例1で使用したカーボンブラック5重量部を実施例1と同様な方法で成形し、耐候性の評価をおこなった。これらの評価結果を表1に示した。」(段落【0017】) 刊行物2 (2-1)「ガラス繊維旭ファイバーグラス(株)製、CS03JAFT2A(繊維径=10μm、繊維長=3mm」(段落【0026】) 参考資料1 (参1-1)「(2)本願実施例1〜16において使用した結晶性熱可塑性樹脂およびカーボンブラックの商品名(もしくは内容)は、下記の通りである。 【表1】 -省略- 「記載場所」:【0050】7行目、「表記」:一次凝集時の平均ストラクチャー長が58nmのカーボンブラック(♯45)、「商品名(もしくは内容)」:三菱化成製「三菱カーボンブラック♯45」 -省略- 「記載場所」:【0050】13行目、「表記」:一次凝集時の平均ストラクチャー長が46nmのカーボンブラック(MCF88)、「商品名(もしくは内容)」:三菱化成製「三菱カーボンブラックMCF88」(第1/4〜2/4頁) 参考資料2 (参2-1)「表22 三菱カーボンブラック代表値 -省略- 「グレード」:中級カラー(MCF) MCF88、「粒子径(nm)」:18、・・・ -省略- 「グレード」:汎用カラー(RCF) ♯45、「粒子径(nm)」:24、・・・」(第71頁) [4-2-2].特許法第29条第1項(第3号に該当)違反について (1)本件発明1 刊行物1には、「キシリレンジアミンとα,ω-直鎖脂肪族二塩基酸とから得られるポリアミド樹脂100重量部に対して、ポリアミド11、ポリアミド12もしくはポリアミド612から選ばれた少なくとも1種を1〜15重量部、銅化合物を銅化合物中の銅を基準として0.01〜5重量部、およびカーボンブラックを1〜10重量部配合し、更にハロゲン化アルカリを上記銅化合物中の銅1原子に対し該ハロゲン化アルカリ中のハロゲン原子が0.3〜4原子の割合となるように配合してなる耐候性に優れた成形用ポリアミド樹脂組成物」(摘示記載(1-1))が記載されており、該組成物中にポリアミド樹脂もしくは混合ポリアミド樹脂100重量部に対し、30〜70重量部の割合でガラス繊維等の繊維強化材を配合し得ること(摘示記載(1-2))も記載されている。また、「実施例1で用いたMXナイロン40重量部、ポリアミド66 5重量部、ポリアミド12 5重量部、および長さ3mmのガラス繊維チョップドストランド(旭ファイバーグラス(株)、商品名:CS03JAFT2)50重量部、ヨウ化銅0.2重量部、ヨウ化カリウム0.2重量部、更に実施例1で使用したカーボンブラック5重量部を実施例1と同様な方法で成形」(摘示記載(1-4))したとする実施例3が示されており、実施例1の記載からみて、「MXナイロン」が「ポリ(メタキシリレンアジパミド)(三菱ガス化学(株)製)」を、「カーボンブラック」が「カーボンブラック(三菱化成(株)製 ♯45)」を、それぞれ意味する(摘示記載(1-3))ものと認められる。このMXナイロン(ポリ(メタキシリレンアジパミド))、ポリアミド66及びポリアミド12はいずれも熱可塑性樹脂に外ならず、また、実施例3には、酸化チタンを配合することは特に記載されていない。 そうすると、本件発明1と刊行物1の実施例3に記載された発明とを対比すると、両者はともに「熱可塑性樹脂中に繊維強化材およびカーボンブラックが含有され、酸化チタンを含有しない繊維強化熱可塑性複合体」である点で一致しており、繊維強化材の平均長、並びに、繊維強化材及びカーボンブラックの配合量においても重複一致しているが、本件発明1における以下の点について刊行物1には記載されていない点でこれらの発明の間には相違が認められる。 (ア)「繊維強化材およびカーボンブラックが高分散状態で含有」されている点、 (イ)「繊維強化材が、平均直径3〜21μm」である点、 (ウ)「カーボンブラックが、一次凝集時のストラクチャー長55nm以下」である点 これらの相違点の内、まず(イ)の点についてみると、刊行物2には「ガラス繊維旭ファイバーグラス(株)製、CS03JAFT2A(繊維径=10μm、繊維長=3mm」(摘示記載(2-1))と記載されており、このガラス繊維は商品名及び繊維長からみて刊行物1の実施例3に記載された「長さ3mmのガラス繊維チョップドストランド(旭ファイバーグラス(株)、商品名:CS03JAFT2)」と同じグレードのものと解されるので、刊行物1の実施例3に記載されたガラス繊維チョップドストランドも、その繊維径は10μmと認められ、本件発明1における「平均直径3〜21μm」に含まれるものである。 次に(ウ)の点について検討する。 参考資料1によれば、本件の審査過程で平成15年5月16日に提出された意見書において出願人(特許権者)は、「本願実施例1〜16において使用した結晶性熱可塑性樹脂およびカーボンブラックの商品名(もしくは内容)は、下記の通りである。」として、「一次凝集時の平均ストラクチャー長が58nm(♯45)」のカーボンブラックの商品名が「三菱カーボンブラック♯45」(三菱化成製)である(摘示記載(参1-1))と述べていることが認められる。 そうすると、刊行物1の実施例3で用いられた「カーボンブラック(三菱化成(株)製 ♯45)」は一次凝集時の平均ストラクチャー長が58nmのものであり、「55nm以下」とされる本件発明1におけるカーボンブラックの一次凝集時のストラクチャー長の範囲を外れるものというほかはない。 してみれば、本件発明1と刊行物の実施例3に記載された発明とはこの点で明確に相違しており、刊行物1には他に、本件発明1の(ウ)の要件を満たすカーボンブラックを使用する点について記載されていないので、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1が刊行物1に記載された発明であるとすることはできない。 (2)本件発明2及び4 本件発明2及び4は、本件発明1に更に他の技術的手段を付加したものであるが、上記のように、本件発明1が刊行物1に記載された発明ではない以上、本件発明2及び4もまた、同様の理由により刊行物1に記載された発明ではない。 [4-2-3].特許法第36条第4項、第5項第2号及び第6項違反について 取消理由通知において、訂正前の本件明細書の記載不備として指摘したのは、下記(i)の点及び特許異議申立人の主張を引用した下記(ii)の点である。 (i)比較例11等の記載からみて、複合体の成分として酸化チタンを使用することは本件発明の目的からみて避けるべきものと解されるが、請求項1及び6、更にはこれらを引用する請求項2〜5及び7〜10において、複合体中に酸化チタンを包含することは排除されておらず、これらの請求項の記載からは特許を受けようをする発明の構成に欠くことのできない事項が不明瞭である。 (ii) (a)「高分散状態」がどのような状態を意味するのか不明である。 (b)繊維強化材の平均長を「0.3〜30mm」に調整する手段が不明である。また、カーボンブラックのストラクチャー長と繊維強化材の平均長との間に相関関係がない。 (c)「一次凝集時のストラクチャー長」の測定方法が不明である。 そこで、これらの点について以下に検討する。 (i)上記訂正により、請求項1及び5に記載された繊維強化熱可塑性複合体A及びBが「酸化チタンを含有しない」ものであることが明確にされたので、この点の不備は解消された。 (ii) (a)「高分散状態」とは、「カーボンブラックが樹脂中で凝集していない」という程度の均一分散状態を意味するものと理解され、それを実現する手段も実施例中に開示されているから、この点が不明で発明が実施し得ないとまではいえない。 (b)ペレットに含有させる繊維強化材の長さを調整することにより、組成物中の繊維強化材の平均長を調整することは可能であると解される。また、訂正後の明細書の実施例の記載からみて、カーボンブラックの一次凝集時のストラクチャー長を本件発明1等の範囲内にすることにより引張強度保持率等が向上するという効果を奏することが認められ、該ストラクチャー長と繊維強化材の平均長との間に相関関係がないことにより効果が不明であるとすることはできない。 (c)カーボンブラックの一次凝集時のストラクチャー長は、訂正明細書の段落【0042】に記載されているように、透過型電子顕微鏡の映像から測定可能であるものと認められ、これが特に困難であると解すべき理由も見当たらない。 [4-2-4].その他の特許異議申立ての理由について 特許異議申立人は、訂正前の請求項1〜10に係る発明は甲第1〜5号証(刊行物1、2及び甲第3〜5号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反し、特許を受けることができない旨主張している。 しかしながら、刊行物1、2及び甲第3〜5号証には、カーボンブラックの一次凝集時のストラクチャー長という概念自体について記載されておらず、まして、それが樹脂組成物の物性に及ぼす影響については全く教示するところがないから、本件発明1及びこれに硫化亜鉛を加えた複合体に関する本件発明5、更にはこれらを引用して技術的限定を加えた本件発明2〜4及び6〜9はいずれも、刊行物1、2及び甲第3〜5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。 [5].むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件発明1ないし9についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1ないし9についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 繊維および特定のカーボンブラックを均一に含有する繊維強化熱可塑性複合体 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 熱可塑性樹脂中に繊維強化材およびカーボンブラックが高分散状態で含有され、該繊維強化材が、平均直径3〜21μm、平均長0.3〜30mmであると共に複合体基準で5〜80重量%含有され、該カーボンブラックが、一次凝集時のストラクチャー長55nm以下であって該複合体基準で0.01〜5重量%含有され、酸化チタンを含有しない繊維強化熱可塑性複合体A。 【請求項2】 繊維強化材が、ガラス、石英、天然鉱物、金属および炭素よりなる群から選ばれる1種以上の無機物質を繊維化することによって形成される繊維である請求項1に記載の繊維強化熱可塑性複合体A。 【請求項3】 繊維強化材が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アラミド樹脂およびポリイミド樹脂よりなる群から選ばれる1種以上の有機物質を繊維化することによって形成される繊維である請求項1に記載の繊維強化熱可塑性複合体A。 【請求項4】 カーボンブラックの平均粒径が、13〜24nmの範囲内にある請求項1〜3の何れかの項に記載の繊維強化熱可塑性複合体A。 【請求項5】 熱可塑性樹脂中に繊維強化材およびカーボンブラックが高分散状態で含有され、該繊維補強材が平均直径3〜21μm、平均長0.3〜30mmであると共に複合体基準で5〜80重量%含有され、該カーボンブラックが一次凝集時のストラクチャー長60nm以下であって該複合体基準で0.025〜0.4重量%含有され、更に、硫化亜鉛が該複合体基準で0.45〜2.0重量%含有され、酸化チタンを含有しない繊維強化熱可塑性複合体B。 【請求項6】 繊維強化材が、ガラス、石英、天然鉱物、金属および炭素よりなる群から選ばれる1種以上の無機物質を繊維化することによって形成される繊維である請求項5に記載の繊維強化熱可塑性複合体B。 【請求項7】 繊維強化材が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アラミド樹脂およびポリイミド樹脂よりなる群から選ばれる1種以上の有機物質を繊維化することによって形成される繊維である請求項5に記載の繊維強化熱可塑性複合体B。 【請求項8】 カーボンブラックの平均粒径が、13〜24nmの範囲内にある請求項5〜7の何れかの項に記載の繊維強化熱可塑性複合体B。 【請求項9】 カーボンブラックの一次凝集時のストラクチャー長が、55nm以下である請求項5〜8の何れかの項に記載の繊維強化熱可塑性複合体B。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は繊維および特定のカーボンブラックで強化された成形時に強化材である繊維の切断が生じにくい着色された強化熱可塑性樹脂複合体Aおよびこの複合体Aに更に硫化亜鉛が添加された成形時に強化材である繊維の切断が一層生じにくい着色された強化熱可塑性樹脂複合体Bに関する。 【0002】 【従来の技術】 樹脂、例えば、熱可塑性樹脂の剛性、曲げ強度および引張強度等を格段に強化する為に繊維強化材を添加することは周知である。繊維強化材の中でもガラス繊維が実用的見地から常用されていることも周知である。他方、樹脂に着色する目的特に、紫外線に対する耐久性等の見地からカーボンブラックを添加することも周知である。 【0003】 しかし、ガラス繊維強化材は樹脂に添加された状態で成形に供されると、その切断又は折損等(以下、「破損」と総括することがある)に起因する短小化によって補強効果が低減することを余儀無くされている。繊維補強材が特に長くなると、その破損は一層甚だしくなる。 【0004】 例えば、特開平2-150444号公報(先行例1)には、ポリマーとしてポリプロピレン、カルボキシル基導入ポリプロピレンとの混合ポリマー、強化繊維としてシラン処理された強化材および着色成分として硫化亜鉛とカーボンブラックとの二成分顔料にポリエチレンワックスの分散材が添加されたグレイに着色したポリプロピレン樹脂の繊維強化組成物が開示されて、ポリエチレンワックスを分散剤として使用することにより、ホイールキャップとしての強度(剛性、耐衝撃性)が向上することが記載されているが、本発明のように、特定のストラクチャー長のカーボンブラックを使用することにより、共存するガラス繊維の破損を防止することについてはなんら開示されていない。 【0005】 次に、特開平4-353536号公報(先行例2)には、目的として「成形品中のガラス繊維の繊維長を長く保つ」ことを挙げている。それと共に開示されている組成物は(A)熱可塑性樹脂、(B)硫化亜鉛、平均長1〜10mmおよび平均繊維径3〜20μmのガラス繊維を含有するものである。 【0006】 これは更にコバルト塩の添加によって成形品の長期性能を向上させ得る強化組成物である。先行例2における硫化亜鉛の存在意義は成型物の色調を調整する為の白色付与剤の中でガラス繊維を損傷しないものという点にある。 【0007】 即ち、白色付与の為に通常添加される酸化チタンでは繊維強化材が傷つけられる結果としてその破損に繋がるが、硫化亜鉛であればその虞が無い旨が開示されている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、上述の様に先行例1の特開平2-150444号公報には特定構成のカーボンブラックを選択して配合する開示が見あたらず、ましてカーボンブラックのストラクチャー長によって存在するガラス繊維の破損が実用に十分に耐える程度に低減されることなどは全く開示されていない。 【0009】 また、上述の様に先行例2の特開平4-353536号公報にはカーボンブラックを用いることさえも全く開示されていない。従って、何れの先行例も本発明の先行文献には値しない。 【0010】 本発明は用いるカーボンブラックの重要性に着目してそれと繊維強化材とを協同作用させる為の諸条件について検討が重ねられた結果、初めて到達された成果をその主眼とするものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】 本発明は先行例1に明記されている様にガラス繊維程に表面硬度の高いものでさえも多用されて来た白色顔料である酸化チタンによってその表面に損傷を受けるという事実を回避し、繊維で強化された成形体中に含有される繊維の長さを少しでも当初の長さに近い値に留めることによって機械的強度および物理的強度に一層優れた成形品を与える複合体を提供することを目的とする。 【0012】 上記の目的を達成する為に本発明は下記の「基本的構成」および「改良構成1」〜「改良構成4」に規定された各構成からなるものである。 [基本的構成A] 熱可塑性樹脂中に繊維強化材およびカーボンブラックが分散状態で含有され、該繊維強化材が平均直径3〜21μm、平均長0.3〜30mmであると共に複合体基準で5〜80重量%含有され、該カーボンブラックが一次凝集時のストラクチャー長55nm以下であって該複合体基準で0.01〜5重量%含有され、酸化チタンを含有しない着色された繊維強化熱可塑性複合体A。 【0013】 [Aの改良構成1] 繊維強化材が無機物質の繊維化によって形成され、無機物質が、ガラス、石英、天然鉱物、金属および炭素から選ばれる1種以上の物質である「基本的構成A」に記載の繊維強化熱可塑性複合体。 【0014】 [Aの改良構成2] 繊維強化材が有機物質の繊維化によって形成され、有機物質がポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アラミド樹脂およびポリイミド樹脂から選ばれる1種以上の物質である「基本的構成A」および「Aの改良構成1」に記載の繊維強化熱可塑性複合体。 【0015】 [Aの改良構成3] カーボンブラックの平均粒径(ストラクチャーを形成するカーボンの単位粒子の平均粒子径)が13〜24nmの範囲内にある「基本的構成A」並びに「Aの改良構成1」および「Aの改良構成2」に記載の繊維強化熱可塑性複合体。 【0016】 【0017】 [基本的構成B] 熱可塑性樹脂中に繊維強化材およびカーボンブラックが分散状態で含有され、該繊維強化材が平均直径3〜21μmで複合体ペレット中における平均長0.3〜30mmであると共に複合体基準で5〜80重量%含有され、該カーボンブラックが一次凝集時のストラクチャー長60nm以下であって該複合体基準で0.025〜0.4重量%含有され更に、硫化亜鉛が該複合体基準で0.45〜2.0重量%含有されている着色された長繊維強化複合体B。 【0018】 [Bの改良構成1] 繊維強化材が無機物質の繊維化によって形成され、無機物質が、ガラス、石英、天然鉱物、金属および炭素から選ばれる1種以上の物質である「基本的構成B」に記載の繊維強化熱可塑性複合体。 【0019】 [Bの改良構成2] 繊維強化材が有機物質の繊維化によって形成され、有機物質がポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アラミド樹脂およびポリイミド樹脂から選ばれる1種以上の物質である「基本的構成B」および「Bの改良構成1」に記載の繊維強化熱可塑性複合体。 【0020】 [Bの改良構成3] カーボンブラックの平均粒径(ストラクチャーを形成するカーボンの単位粒子の平均粒子径)が13〜24nmの範囲内にある「基本的構成B」並びに「Bの改良構成1」および「Bの改良構成2」に記載の繊維強化熱可塑性複合体。 【0021】 [Bの改良構成4] カーボンブラックの一次凝集時のストラクチャー長が55nm以下である「基本的構成B」および「Bの改良構成1」〜「Bの改良構成3」に記載の繊維強化熱可塑性複合体。 【0022】 <<繊維強化熱可塑性複合体A>> 本発明の繊維強化熱可塑性複合体Aは、熱可塑性樹脂と、この熱可塑性樹脂中に高い分散状態で分散された繊維強化材およびカーボンブラックとからなる。 【0023】 本発明の複合体を形成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン樹脂、ポリアミド-6(ナイロン6)、ポリアミド-66(ナイロン66)、ポリアミド610(ナイロン610)、ポリアミド612(ナイロン612)、ポリアミド11(ナイロン11)、ポリアミド12(ナイロン12)、ポリアミドMXD6(ナイロンMXD6)のようなポリアミド、アクリロニトリル-スチレン共重合体のようなアクリル系(共)重合体、ポリエチレンテレフタレートのようなポリアルキレンテレフタレエートおよびポリカーボネートなどを挙げることができる。これらの樹脂は単独であるいは組み合わせて使用することができる。例えば、ポリアミド-6とポリプロピレンとの樹脂組成物のように、種類の異なる樹脂から樹脂組成物を形成し、この樹脂組成物を熱可塑性樹脂として使用することもできる。 【0024】 本発明で使用される熱可塑性樹脂は結晶性であることが好ましく、本発明で好ましく使用されるポリアミド-6、ポリプロピレン、および、ポリアミド-6とポリプロピレンとからなる樹脂組成物は共に結晶性を有している。 【0025】 さらに、本発明で使用する熱可塑性樹脂は、改質物であってもよい。例えば、ポリプロピレンを使用する場合、マレイン酸あるいは無水マレイン酸のようなジカルボン酸あるいはその無水物などで改質した改質物を使用することができる。 【0026】 本発明において改質物を使用する場合、使用される改質物の変性率、例えばポリプロピレンをマレイン酸改質する際のグラフト率は、通常は1〜10%程度である。 【0027】 上記のような熱可塑性樹脂に分散される繊維強化材には、無機系繊維強化材と有機系繊維強化材とがある。 本発明で使用される無機系繊維強化材の例としては、ガラスから形成された繊維、石英から形成された繊維、天然鉱物から形成された繊維、金属から形成された繊維および炭素から形成された繊維を挙げることができる。上記のような無機繊維は単独であるいは組み合わせて使用することができる。さらに上記のような無機繊維を形成する素材を組み合わせて繊維化することにより形成される繊維を使用することもできる。 【0028】 本発明で使用される有機系繊維強化材の例としては、ポリアミド樹脂から形成される繊維、中でも全芳香族系繊維から形成される繊維、ポリエステル樹脂から形成される繊維、中でも全芳香族系繊維およびポリイミド樹脂から形成される繊維等を挙げることができる。上記のような有機系繊維は単独であるいは組み合わせて使用することができる。さらに、上記のような無機繊維を形成する樹脂を組み合わせた樹脂組成物から形成された繊維を使用することもできる。 【0029】 このような有機系繊維強化材を使用する場合には、本発明の繊維強化熱可塑性複合体中において、この有機系繊維強化材の形態が損なわれないように、この有機系繊維強化材が配合される熱可塑性樹脂よりも融点(あるいは熱分解温度)の高い樹脂から形成された有機系繊維強化材を使用する。 【0030】 なお、本発明では、上記のような無機系繊維と有機系繊維とを組み合わせて使用することもできる。 本発明で使用されるカーボンブラックは、カーボン基本粒子が単一粒子として存在しているのではなく、ストラクチャーを形成している。ここでストラクチャーはカーボン基本粒子が融着した一次凝集体(アグリゲート)であり、この一次凝集体がファンデルワース力で凝集した二次凝集体(アグロメレート)とは区別される。 【0031】 上記のようなガラス繊維を熱可塑性樹脂に配合するに際しては、ガラス繊維とカーボンブラックと熱可塑性樹脂と、さらに必要により硫化亜鉛のような顔料を混合して混練すればよい。長繊維を少量の熱組成樹脂で処理した長繊維マスターバッチを予め調製して使用することが好ましい。 【0032】 長繊維マスターバッチは、例えば次のようにして調製される。熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを使用する場合、まず、未改質のポリプロピレンに、無水マレイン酸のような改質剤および反応開始剤、さらに必要により滑剤(例えばステアリン酸カルシウムのような高級脂肪酸塩)を混合し、溶融混練して改質ポリプロピレンを調製する。次いで、この改質ポリプロピレンを溶融状態を維持できるように加熱しながら、エンドレスの長繊維を投入して該長繊維に改質ポリプロピレンを含浸させる。この際、改質ポリプロピレンと長繊維とは、任意の割合で配合することができる。 【0033】 また、本発明において、特定のカーボンブラックは、硫化亜鉛を使用する場合には、これと共に、予め混練することにより熱可塑性樹脂中に分散させたマスターバッチを調製して、この顔料マスターバッチを熱可塑性樹脂に配合して本発明の複合体を製造することが好ましい。 【0034】 この顔料マスターバッチは、熱可塑性樹脂、好ましくは本発明の複合体を形成する熱可塑性樹脂に、上述した特定のカーボンブラックの少なくとも一部を配合し、さらに硫化亜鉛を使用する場合には、この硫化亜鉛の少なくとも一部を配合して混練することにより調製することができる。この場合、顔料の合計量(即ちカーボンブラックと硫化亜鉛との合計量)と熱可塑性樹脂との量は、適宜設定することができるが、熱可塑性樹脂の量と顔料との合計量とを95:5〜20:80の範囲内、好ましくは80:20〜50:50の範囲内にすることが好ましい。上記のような量比にすることにより、顔料と熱可塑性樹脂との混練を充分に行うことができる。なお、カーボンブラックなどは、全量を上記のようにマスターバッチとして配合することを特に必要とするものではなく、一部をマスターバッチの状態で配合し、残部をそのままの状態で配合した後、混練成形して本発明の複合体を形成することもできる。 【0035】 以下、本発明の繊維強化熱可塑性複合体について具体例を示して説明する。本発明の繊維強化熱可塑性複合体Aを作成する為の要素として、繊維強化材(平均直径3〜21μm)を形成する材料物質は硬質ガラスが一般的である。このガラス繊維に代表される繊維の平均長は通常0.3〜30mm、好ましくは0.5〜10mmである。 【0036】 この外にも繊維を形成し得る材料からなる人工繊維であれば本発明の目的に用いられ得るのであって、例えば岩綿、溶融石英(クォーツ)等からなる繊維および全芳香族ポリアミド(商品名「アラミド」)繊維のような有機系繊維も包含される。 【0037】 本発明の複合体Aにおける上記繊維の含有量は硬質ガラス繊維の場合を例にとれば、複合体基準で通常5〜80重量%、好ましくは10〜50重量%、更に好ましくは15〜40重量%に選べば十分である。 【0038】 本発明の複合体Aを作成する為には更に別異の添加物として一次凝集時のストラクチャー長が特定ストラクチャー長のカーボンブラックを、複合体の重量基準で0.01〜5重量%必要とする。また、ここでいう「特定ストラクチャー長」とは平均ストラクチャー長55nm以下を言う。 【0039】 上記のカーボンブラックはその平均粒径通常13〜24nm、好ましくは10〜20nmのものであれば殆どの本発明の目的に適合する。 <<繊維強化熱可塑性複合体B>> 本発明の繊維強化熱可塑性複合体Bは、上述した複合体Aを構成する熱可塑性樹脂、繊維強化材およびカーボンブラック(但し、平均ストラクチャー長60nm以下、好ましくは55nm以下)に加えて、硫化亜鉛を含有する。 【0040】 本発明の繊維強化熱可塑性複合体Bには、上記の処方に加えて更に硫化亜鉛を該複合体基準で通常0.45〜2重量%用いるが、該硫化亜鉛の得られる複合体の着色度合いによって決めるものである。 【0041】 なお、本発明の繊維強化熱可塑性複合体AおよびBには、本発明の複合体の特性を損なわない範囲内で、分散剤、耐熱耐候安定剤などを配合することができる。 【0042】 【実施例】 本発明の複合体を形成させる為の添加剤の性状測定は下記の試験方法によって行なった: (1)平均ストラクチャー長(一次凝集時) 透過型電子顕微鏡の映像から測定; (2)平均粒径 透過型電子顕微鏡の映像から測定; (3)分散性 カーボンブラックを対象樹脂中に練り込み、この混練物ををプレス成形して薄膜を得、これを顕微鏡で観察して分散性を目視した結果を評価して次の様に格付ける: ○:分散性良好;×:分散性不良。 (4)引張強度保持率 JIS K7113に準拠して引張強度を測定した。その測定値を顔料不添加の場合の引張強度「100」に対する比率に換算して「引張強度保持率」とする。 (5)曲げ強度保持率 JIS K7203に準拠して曲げ強度を測定した。その測定値を顔料不添加の場合の引張強度「100」に対する比率に換算して「曲げ強度保持率」とする。 (6)ノッチ付きアイゾット衝撃強度保持率 JIS K7110に準拠してノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。その測定値を顔料不添加の場合のアイゾット衝撃強度「100」に対する比率に換算して「ノッチ付きアイゾット衝撃強度保持率」とする。 【0043】 上記(4)、(5)および(6)における「保持率」の換算式を下記に示す。 保持率(%)=(顔料添加時の物性/顔料不添加時の物性)×100(%)。 (7)実施例および比較例で用いられたマスターバッチ(MB)の調製法: <顔料MBの調製法> ポリプロピレン[MFR(230℃;2.16kgf):3g/10min]に表1記載のカーボンブラック、硫化亜鉛(ZnS)又は酸化チタン(TiO2)を表1に示された割合でドライブレンドした後に二軸押出機で混練して各種顔料MBを調製した。 【0044】 【表1】 【0045】 <ガラス繊維MBの調製法> 非改質プロピレン粉末99.20重量%、改質剤に用いられる不飽和酸として無水マレイン酸0.5重量%、有機酸化物として1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン0.1重量%、少量の酸化防止剤、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.1重量%および滑剤としてステアリン酸カルシウム0.1重量%から構成される各樹脂成分をヘンシェルミキサー(商品名)中で撹拌下に混合した。樹脂成分混合物を押出機の供給口から供給して温度200℃で溶融混練後に押出し造粒した。得られた改質ポリプロピレンはMFR(230℃;2.16kgf)130g/10minおよび改質剤グラフト率0.3%の改質物であった。 【0046】 樹脂成分混合物を押出機の供給口から定量供給する一方でベントから吸引しながら溶融状態で混練した後に押出機の押出バレル下流端に装着されたガラス繊維に対する含浸装置によってガラス繊維含有量が80重量%になる様に複合体を押出した。 【0047】 この含浸装置は、該装置の上流側から装入される溶融樹脂流に、同じく上流側に装着されたガラス繊維ロービング原反から装入されるガラスロービングを、装置内で開繊しながら、生ずる単一ファイバーの間に溶融樹脂を十分に含浸させて長繊維強化ストランドを製造する装置である。 【0048】 ここで用いられたガラスロービングとしてはその平均繊維径17μm、フィラメント集束本数4000本およびそのTEX番手2310のポリプロピレン用のものを用いた。押出されたストランドを冷却槽内で水で常温に冷却し、ストランド用カッターで切断(平均長6mm)することによって作成されたものである。 【0049】 【実施例1〜5、参考例1並びに比較例1〜4】 ガラス繊維MBおよび顔料MBならびに非改質ポリプロピレン(PP)をそれぞれ表2に記載する配合量になるように、ドライブレンドした後に、このブレンド物を射出成型機に投入して強化複合体からなる試験片を作成した。 【0050】 作成された試験片を状態調整(23℃×48hr)した後にその物性を測定して表2に記載の結果を得た。 実施例1、実施例3、実施例4および比較例3では、一次凝集時の平均ストラクチャー長さが44nmのカーボンブラック(#900)を使用し、 実施例2では一次凝集時の平均ストラクチャー長が50nm(#45L)を使用し、 参考例1では一次凝集時の平均ストラクチャー長が58nm(#45)を使用し、 比較例1では一次凝集時の平均ストラクチャー長が78nm(#40)を使用し、 比較例2では一次凝集時の平均ストラクチャー長が248nm(#10)を使用し、 実施例5では一次凝集時の平均ストラクチャー長が46nm(MCF88)を使用し、 そして、 比較例4では一次凝集時の平均ストラクチャー長が46nm(MCF88)を使用した。 【0051】 なお、比較例3ではカーボンブラックの添加量が高濃度であるため、成型品中での分散性が悪く、また比較例4はMB中での分散性が悪く二次凝集を起こしているMBを使用した。 【0052】 【実施例6】 非改質ポリプロピレン粉末99.2重量%、改質剤である不飽和酸として無水マレイン酸0.5重量%、有機過酸化物として1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン0.1重量%を酸化防止剤として、2,6-ジ-ブチル-p-ベンゾイル0.1重量%および滑剤としてステアリン酸カルシウム0.1重量%から構成される各樹脂成分を商品名「ヘンシェルミキサー」中で攪拌下に混合した。得られた樹脂成分混合物を押出機の供給口から供給し、溶融混練(温度200℃)後に押出し、造粒(ペレタイズ)して改質ポリプロピレンペレット[MFR(230℃;2.16kgf)130g/10min]を得た。得られた改質ポリプロピレンにおける改質剤のグラフト率は0.3重量%であった。 【0053】 次いで、別の押出機の第一(上流側)供給口から上記の改質ペレットを、第二(中央)供給口から一次凝集ストラクチャー長44nmのカーボンブラック(#900)を、第三(下流側)供給口からガラスチョップドストランド(平均長13mm)をそれぞれ表2に記載の量で供給した後に、ベントから吸引しながら溶融混練し、次いで押出してストランドを成形した。 【0054】 得られた強化ストランドを冷却槽内の水で常温に冷却し、更にストランドカッターで切断して強化ペレット(平均長6mm)を作成した。 作成された強化ペレットから射出成形機で試験片を作成した。 【0055】 これらを実施例1におけると同様に状態調整した後にそれらの物性測定を行なった。その結果を表2に示す。 【0056】 【比較例5】 実施例6におけるカーボンブラックを、一次凝集時の平均ストラクチャー長が78nmのカーボンブラック(#40)に代えた以外は実施例6におけると同様に操作して強化ペレットを得、得られたペレットから物性を測定し、表2に示す。 【0057】 【0058】 【実施例7〜10および比較例6〜9】 実施例6における樹脂を次の通りに置き換えた。即ち、 実施例7ではポリアミド-6(PA6)、 実施例8ではポリカーボネート(PC)、 実施例9ではアクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂 そして、 実施例10ではポリマーアロイとしてPA-6/PPを用い、 それぞれガラス繊維を30重量%用いる以外は実施例6と同様にしてペレットを作成し、得られたペレットを用いて実施例6に準拠して試験片を作成、状態調整およびその物性測定を行なった。その結果を表3に示す。 【0059】 また比較例5における樹脂を次の通り置き換えた。即ち、 比較例6ではポリアミド-6(PA6)、 比較例7ではポリカーボネート(PC)、 比較例8ではアクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂 そして、 比較例9ではポリマーアロイとしてPA-6/PPを用いた以外は比較例5と同様にしてペレットを作成し、得られたペレットを用いて実施例6に準拠して試験片を作成、状態調整およびその物性測定を行なった。その結果を表3に示す。 【0060】 【実施例11および比較例10〜12】 ガラス繊維MBおよび顔料MB並びに非改質ポリプロピレン(PP)をそれぞれ表2に記載の種別および配合量でドライブレンドした後に該ブレンドを射出成型機へ入れ、強化複合体からなる試験片を作成した。作成された試験片を状態調整(23℃×48h)した後にその物性を測定して表3に記載の結果を得た。 【0061】 実施例11、比較例11は、一次凝集時の平均ストラクチャー長が44nmのカーボンブラック(#900)を、比較例10、比較例12では、一次凝集時の平均ストラクチャー長が78nmのカーボンブラック(#40)を使用した。 【0062】 また、実施例11および比較例10では、硫化亜鉛を使用し、比較例11および比較例12では酸化チタンを使用している。 【0063】 【表3】 【0064】 【実施例12〜13および比較例13〜14】 実施例6における樹脂成分混合物を次の通りに置き換えた。即ち、実施例12では炭素繊維、実施例13ではアラミド繊維を用いた。 【0065】 実施例6と同様にして試験片を作成し、状態調整およびその物性を測定し、その結果を表4に示す。 また、比較例5における樹脂成分混合物を次の通りに置き換えた。即ち比較例13では炭素繊維、比較例14ではアラミド繊維を用いた。 【0066】 比較例5と同様にして試験片を作成し、状態調整およびその物性を測定し、その結果を表4に示す。 【0067】 【実施例14〜15および比較例15〜20】 実施例12における樹脂成分混合物を次のように置き換えた。即ち、 実施例14ではカーボンブラック(一次凝集時の平均ストラクチャー長が44nm)0.1%/硫化亜鉛0.9%に、 比較例15では、カーボンブラック(一次凝集時の平均ストラクチャー長78nm)0.1%/硫化亜鉛0.9%に、 比較例16では、カーボンブラック(一次凝集時の平均ストラクチャー長が44nm)0.1%/酸化チタン0.9%に、 比較例17では、カーボンブラック(一次凝集時の平均ストラクチャー長78nm)0.1%/酸化チタン0.9%に置き換えた。 【0068】 さらに、実施例13における樹脂成分混合物を次のように置き換えた。即ち、実施例15ではカーボンブラック(一次凝集時の平均ストラクチャー長が44nm)0.1%/硫化亜鉛0.9%に、 比較例18ではカーボンブラック(一次凝集時の平均ストラクチャー長が78nm)0.1%/硫化亜鉛0.9%に、 比較例19ではカーボンブラック(一次凝集時の平均ストラクチャー長が44nm)0.1%/酸化チタン0.9%に、 比較例20ではカーボンブラック(一次凝集時の平均ストラクチャー長が78nm)0.1%/酸化チタン0.9%に置き換えた。 【0069】 上記と同様にして試験片を作成し、状態調整およびその物性を測定し、その結果を表4に示す。 【0070】 【表4】 【発明の効果】 本発明の繊維強化材および特定ストラクチャー長を有するカーボンブラックを配合した複合体を用いて形成された成形品は下記の諸種の効果を発現する。 【0072】 (1)黒又は灰色(グレー)に着色された成形品中で強化用ガラス繊維の折損が効果的に防止される。従って、機械的強度例えば引張強度、曲げ強度およびアイゾッド衝撃強度の何れにおいても高い保持率の成形品が得られる。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2005-05-24 |
出願番号 | 特願平7-97771 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(C08K)
P 1 651・ 531- YA (C08K) P 1 651・ 534- YA (C08K) P 1 651・ 113- YA (C08K) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 森川 聡 |
特許庁審判長 |
井出 隆一 |
特許庁審判官 |
大熊 幸治 佐野 整博 |
登録日 | 2003-08-01 |
登録番号 | 特許第3456301号(P3456301) |
権利者 | チッソ株式会社 |
発明の名称 | 繊維および特定のカーボンブラックを均一に含有する繊維強化熱可塑性複合体 |
代理人 | 八本 佳子 |
代理人 | 鈴木 亨 |
代理人 | 鈴木 俊一郎 |
代理人 | 出田 晴雄 |
代理人 | 出田 晴雄 |
代理人 | 八本 佳子 |
代理人 | 牧村 浩次 |
代理人 | 牧村 浩次 |
代理人 | 鈴木 亨 |
代理人 | 鈴木 俊一郎 |