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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C22C
管理番号 1121147
異議申立番号 異議2003-72963  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-01-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-08 
確定日 2005-06-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3415208号「R-Fe-B系永久磁石材料の製造方法」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3415208号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第3415208号の手続きの経緯は次のとおりである。
特許出願 平成 5年 7月 6日
設定登録 平成15年 4月 4日
公報発行 平成15年 6月 9日
特許異議申立 平成15年 2月 8日 (異議申立人:川崎雅章)
取消理由通知 平成16年 6月29日付
訂正請求 平成16年 9月 7日
異議意見書 平成16年 9月 7日
審尋 平成16年 9月16日付

2.訂正の適否
2-1.訂正の要旨
(1)訂正事項a:特許請求の範囲の請求項1の「不活性ガス気流中で微粉砕して得た平均粒径が1〜10μmの微粉末をモールド内に充填密度1.4〜3.0g/cm3に充填し、」を、
「不活性ガス気流中で微粉砕して得た主相の結晶粒が細分化されて粒度分布が均一な平均粒径が1〜10μmの微粉末をモールド内に充填密度1.4〜3.0g/cm3に充填し、」と訂正する。
(2)訂正事項b:特許請求の範囲の請求項1の「10kOe以上のパルス磁界をかけて配向させた後、成形し、」を、
「10kOe以上のパルス磁界をかけて配向させた後、静水圧プレスし、」と訂正する。
(3)訂正事項c:明細書段落【0014】の「不活性ガス気流中で微粉砕して得た平均粒径が1〜10μmの微粉末」を、
「不活性ガス気流中で微粉砕して得た主相の結晶粒が細分化されて粒度分布が均一な平均粒径が1〜10μmの微粉末」と訂正する。
(4)訂正事項d:明細書段落【0014】の「10kOe以上のパルス磁界をかけて配向させた後、成形し、」を、
「10kOe以上のパルス磁界をかけて配向させた後、静水圧プレスし、」と訂正する。

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項aは、請求項1に記載された「不活性ガス気流中で微粉砕して得た平均粒径が1〜10μmの微粉末」を、より下位概念である「不活性ガス気流中で微粉砕して得た主相の結晶粒が細分化されて粒度分布が均一な平均粒径が1〜10μmの微粉末」と限定するものであるから、特許請求の範囲の滅縮を目的とするものである。
そして、この訂正の根拠は、願書に添付した明細書(特許明細書)の段落【0010】の「ストリップキャスティングされた特定板厚のRリッチ相が微細に分離した組織を有する特定組成のR-Fe-B系合金にH2吸蔵させると、微細に分散されたRリッチ相が水素化物を生成して体積膨張することにより、前記合金を自然崩壊させることができ、その結果、微粉砕により、合金塊を構成している主相の結晶粒を細分化することが可能となり、粒度分布が均一な粉末を作製することができる」の記載に基づくものであるから、訂正事項aは、願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
訂正事項bは、請求項1に記載された「成形し」をより下位概念である「静水圧プレスし」と限定するものであるから、特許請求の範囲の滅縮を目的とするものである。
そして、この訂正の根拠は、同じく明細書の段落【0013】や【0029】などの記載に基づくものであるから、訂正事項bは、願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
訂正事項c、dは、上記訂正事項a、bにより特許請求の範囲を訂正したことに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合性を図るものであり、この訂正は、明りようでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記訂正事項c、dは、願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

2-3.訂正の適否についての結論
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するものであるから、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
3-1.異議申立て及び取消理由の概要
当審が通知した特許取消理由は、本件特許の訂正前の請求項1、2に係る発明は、特許異議申立人の提出した特許異議申立書に記載の理由により、刊行物1〜4及び参考資料(刊行物1〜4は、特許異議申立人が提出した甲第1〜4号証であり、参考資料も特許異議申立人が提出したものである。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、というものである。

3-2.訂正後の本件発明
本件特許の訂正後の請求項1、2に係る発明は、前記訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】R(但しRはYを含む希土類元素のうち、少なくとも1種)10at%〜30at%、B2at%〜28at%、残部Fe(但しFeの一部をCo、Niの一種または二種にて置換できる)及び不可避的不純物からなる合金溶湯をストリップキャスティング法にて板厚0.03mm〜10mmの薄板で、主相のR2Fe14B相の短軸方向の寸法が0.1μm〜50μm、長軸方向の寸法が5μm〜200μmであり、かつその主相結晶粒を取り囲むようにRリッチ相が5μm以下に微細に分離した組織を有する鋳片に鋳造後、前記鋳片を容器に収容して200Torr〜50kg/mm2のH2ガスを供給して崩壊合金粉を得、該合金粉を脱H2処理した後、不活性ガス気流中で微粉砕して得た主相の結晶粒が細分化されて粒度分布が均一な平均粒径が1〜10μmの微粉末をモールド内に充填密度1.4〜3.0g/cm3に充填し、10kOe以上のパルス磁界をかけて配向させた後、静水圧プレスし、焼結、時効処理することを特徴とするR-Fe-B系永久磁石材料の製造方法。
【請求項2】水素吸蔵により得られた崩壊合金粉末を100℃〜750℃に加熱して脱H2処理することを特徴とする請求項1に記載のR-Fe-B系永久磁石材料の製造方法。」
(上記請求項1、2に係る発明を、以下では順に、「本件発明1」、「本件発明2」という。)

3-3.引用刊行物1〜4、参考資料及び、これらに記載される事項
(1)刊行物1:特開平3-222304号公報
刊行物1は、永久磁石の製造方法の発明に関するものであり、製造工程に関して次のように記載されている。
・摘示1-1:特許請求の範囲に、「R(ただし、Rは、Yを含む希土類元素の1種以上である。)、BおよびT(ただし、Tは、Fe、またはFeおよびCoである。)を主成分とする合金溶湯を高速急冷して急冷合金を得る急冷工程、急冷合金に水素を吸蔵させる水素吸蔵工程、水素を吸蔵させた急冷合金を機械的に粉砕して合金粉末を得る粉砕工程、合金粉末の成形体を形成する成形工程および成形体を焼結する焼結工程を有することを特徴とする永久磁石の製造方法」
・摘示1-2:第5頁左上欄第4〜8行に、「R、B及びTの含有量は、R:27.5〜40重量%、B:0.8〜1.5重量%、T:残部であることが好ましく」
・摘示1-3:第3頁右下欄第6〜9行に、「薄帯状の急冷合金の厚さは一般に20〜80μm程度であるが、特に30〜60μmとすると、膜厚方向の結晶粒径の分布が小さくなるので、粒径の揃った合金粉末を得る上で好ましい。」
・摘示1-4:第3頁右下欄下第2〜末行に、「このような結晶粒径範囲は、平均結晶粒径で0.2〜10μm、特に0.5〜5μmである。」、 また、第6頁の表2に、合金粒子の平均粒径が3.0〜3.5μmであることが示されている。
・摘示1-5:第4頁右上欄第4〜8行に、「雰囲気中の水素圧および放置時間に特に制限はないが、結晶粒界の脆化ないし破断を効率的に行うためには、水素圧を0.5〜20気圧程度とすることが好ましく、放置時間は0.5〜5時間とすることが好ましい。」
・摘示1-6:第4頁右上欄下から第3行〜左下欄第1行に、「熱処理条件に特に制限はないが、急冷合金からの水素除去を効果的に行うためには、400〜700℃にて0.5〜5時間の熱処理を行うことが望ましい。」
・摘示1-7:第4頁左下欄第4〜8行に、「粉砕工程では、・・・急冷合金を結晶粒単位に分離する。従って、粉砕により得られる合金粒子の平均粒径は、上記した急冷合金の平均結晶粒径とほぼ同等である。」
・摘示1-8:第4頁左下欄下から第2行〜右上欄第1行に、「成形は磁場中で行われることが望ましく、磁場強度に特に制限はないが、例えば10kOe以上とすることが好ましい。」
・摘示1-9:第4頁右下欄第7〜8行及び第14〜16行に、「得られた成形体を、焼結工程において焼結し、永久磁石とする。」、「この後、好ましくは不活性ガス雰囲気中で、500〜900℃にて1〜5時間時効処理を行う。」
・摘示1-10:第3頁左下欄第16〜右上欄第1行に、「急冷工程に用いる高速急冷法に特に制限はなく、片ロール法、ディスク法、双ロール法等の他・・・が適用できるが、本発明には片ロール法が最も適当である。」
また、急冷方法及びそれによって得られた急冷合金について、次のように記載されている。
・摘示1-11:「急冷工程において所望の結晶粒径が得られない場合には、第1熱処理工程において急冷合金に熱処理を施し、結晶粒を成長させる。」(第3頁左上欄第4〜6行)、「急冷合金は結晶粒径がほぼ均一な結晶質あるいは非晶質組織を有するので、さらに熱処理を施した場合でも結晶粒径の均一な合金を得ることができる。」(第3頁右上欄第10〜13行)、「急冷工程では、通常、103℃/秒以上の冷却速度で、合金溶湯を急冷する。」(第3頁左下欄第14〜15行)、「急冷合金の組織構造は冷却速度によっても異なるが、通常、微結晶またはこれと非晶質との混合組織、あるいは非晶質からなる。」(第3頁右下欄第10〜12行)、「このような結晶粒径範囲は、平均結晶粒径で0.2〜10μm、特に0.5〜5μmである。この範囲の平均結晶粒径範囲とするためには、急冷時の冷却速度を制御してもよいが、上記範囲の結晶粒径を得るためには冷却速度をかなり低下させる必要がある。冷却速度を低下させると急冷合金内の結晶粒径がバラつき易くなるので、急冷工程後の第1熱処理工程により結晶粒を成長させ、所望の結晶粒径とすることが好ましい。」(第3頁右下欄第19行〜第4頁左上欄第8行)、「ロール材質にはCuを用い、ロール周速は50m/sとした。」(第5頁右下欄第8〜9行)

(2)刊行物2:特開昭64-706号公報
刊行物2は、希土類磁石の製造方法の発明に関し、
・摘示2-1:特許請求の範囲に、「Rが28.5〜33.5wt%、Bが0.85〜1.35wt%、残部Tなる結晶化した液体急冷合金を出発原料として使用し、これを粉砕、磁場中成形、焼結することにより、(BH)max50M・G・Oe以上の磁気特性を得ることを特徴とする希土類磁石の製造法。」、
・摘示2-2:第2頁左下欄下から第2行〜右下欄第9行に、「すなわち、原料合金の作製方法とは、液体急冷法により適度に結晶化した急冷合金を得るものである。この場合の金属組織は、柱状に成長した微細な主相粒子をNdrich相で囲んだ状態となっており、Fe相の析出は認められない。この場合、主相結晶の短軸方向は約3〜10μmが、焼結性と焼結体の配向度を考慮した場合、好適な領域となる。これを片ロール法にて液体急冷合金を作製する場合、厚さが約1mm〜3mmの薄帯(薄片、薄板)となり、両ロール法にて作成する場合は約5mm程度の厚さまでは同等の効果が示される。」、
・摘示2-3:実施例1に、「Cu製ロールに噴射し、片ロール法により、幅約10mm、厚さ約1.0μmの液体急冷合金薄帯を得た。これらインゴットと液体急冷合金薄帯内部の冷却面に平行な面の金属組織を写真に示す。」(第3頁左上欄第13〜17行)、「原料合金を粗粉砕した後、・・・平均粒径約2.5μmに微粉砕した。」(第3頁右上欄第6〜8行)、
・摘示2-4:実施例2に、「Cu製ロールを使用して厚さ約1mmの液体急冷合金薄帯を得た。」(第3頁左下欄第8〜9行)、実施例4に、「Cu製ロールを使用して、厚みが約2mmの液体急冷合金薄帯を得た。」(第3頁右下欄第13〜14行)、
ことが記載されている。また、
・摘示2-5:実施例4の結果を示す第4頁の第1表には、液体急冷合金を原料として使用した磁石の特性として、iHe11.0kOe、(BH)max54.5M・G・Oeであることが記載されている。

(3)刊行物3:特開平5-43904号公報
刊行物3は、永久磁石圧粉体の製造方法の発明に関し、
特許請求の範囲に、「1つ以上の凹部または貫通孔と底からなるキャビテイを有するゴムモールドの前記キャビテイに永久磁石粉末を高密度充填しあるいは永久磁石粉末の予備成形体を装填し、前記ゴムモールドのキャビテイを遮蔽板で覆い、遮蔽板で覆われた永久磁石粉末に瞬間的に磁界を印加し、ゴムモールド及び永久磁石粉末をダイプレス機のパンチにより圧縮し、そして圧粉体をゴムモールドから取り出す各工程を、ゴムモールド又はゴムモールド及びダイを搬送する周回経路で順次繰り返し行うとともに、前記瞬間的な磁界印加以降の区間に亙り前記周回経路を前記遮蔽板で密封し、また前記ダイプレスによる圧縮を行う位置で引き続きパンチ又は遮蔽板によりゴムモールドを密封しつつゴムモールド及び永久磁石粉末のパンチによる圧縮を行うことを特徴とする永久磁石圧粉体の製造方法。」、
第2頁段落【0005】に、「すなわち本発明者らは、成形体の割れや欠けの発生を防止するためには、ゴムモールドに永久磁石粉末を高密度に充填することが有効であることを見出し、希土類磁石については真密度の17%以上、フェライト磁石については14%以上、望ましくは希土類磁石については25%以上、フェライト磁石では20%以上の高密度に充填することを先願で提案した。・・・次に、磁界を瞬間的に印加した後、磁界中でもしくは無磁界中でプレスすることにより、高い配高度の異方性永久磁石を割れや欠け、変形を生ずることなく製造できる。」と、また、第3頁段落【0016】に「本発明において、瞬間的磁界の印加とは・・一般には、5〜100kOeの磁界を1μsec〜1secのパルスとして印加する。」と記載されている。

(4)刊行物4:特開昭63-317643号公報
刊行物4は、希土類‐鉄系永久磁石材料の製造法に関するものであり、
特許請求の範囲に、「(1)Fe100-a-bRaBb(ただし、RはNdまたはPrの少なくとも1種を含むYおよび希土類元素から成る成分、a、bは含有率でそれぞれa:10〜20at%、b:4〜1oat%)なる合金の溶湯を双ロ一ル法で板厚0.05〜3mm、結晶粒径3〜20μmの範囲の均質な組織を有する薄板に急冷鋳造し、引続き、該薄板を粉砕したのち通常の粉末冶金法で製造することを特徴とする希土類-鉄系永久磁石材料の製造方法。」、
第3頁左下欄から実施例が示され、第3頁右下欄第3〜7行には「本発明による双ロール鋳造鋳片の組織写真を第1図に、および磁気特性値を第1表(a)にそれぞれ示した。第1図において鋳片組織中に残留αFeは認められず、結晶粒径が3〜20μmの範囲にある均質な組織となっている。」と記載されている。

(5)参考資料:特開昭64-53507号公報
参考資料は、希土類永久磁石の製造方法の発明に関し、特許請求の範囲等に、「磁石合金粉末を10kOe以上の磁場中で配向させながら横押しまたは縦押しでプレス成形すること」、
第3頁左下欄12〜13行に、「縦押しプレスではソレノイドコイルによる強磁場パルスを使用することが望ましい」が記載されている。

3-5.当審の判断
3-5-1.本件発明1について
本件発明1は、R(但しRはYを含む希土類元素のうち、少なくとも1種を含有)、Fe、Bを主成分とする永久磁石材料の製造方法に係り(本件明細書段落【0001】)、「ストリップキャスティングされた・・・Rリッチ相が微細に分離した組織を有する・・・R-Fe-B系合金にH2吸蔵させると、・・・合金を自然崩壊させることができ、その結果、微粉砕により、合金を構成している主相の結晶粒を細分化することが可能となり、粒度分布が均一な粉末を作製することができる」(同段落【0010】)こと、「磁界強度を高くすればする程、高Br化でき、瞬間的に強磁界を発生させることの可能なパルス磁界を用いることによって、より一層高Br化できる」(同段落【0013】)こと、「パルス磁界を用いる方法においては、粉末を静水圧プレスによって成形することが可能」(同段落【0013】)であること、などの知見に基づいてなされたもので、特に、請求項1に記載されたように、特定組成の合金溶湯をストリップキャスティング法にて、主相の短軸方向の寸法が0.1μm〜50μm、長軸方向の寸法が5μm〜200μmであり、かつその主相結晶粒を取り囲むようにRリッチ相が5μm以下に微細に分離した組織を有する鋳片に鋳造することにより、H2吸蔵と脱H2処理、及びその後の微粉砕によって、主相の結晶粒を細分化することが可能となり、粒度分布が均一な粉末を従来の約2倍程度の効率で作製することができ、かつ、得られた微粉末を強パルス磁界配向後に静水圧プレス成形することにより、磁石特性の1つである最大エネルギー積値(BH)max(MGOe);Aと保磁力iHc(kOe)の特性値;Bの合計値A+Bが59以上の値を示す高性能R-Fe-B系永久磁石が得られるものである(同段落【0001】、【0049】)。

3-5-2.本件発明1と刊行物1との対比
本件発明1と刊行物1記載の発明(摘示1-1〜10参照)とを対比すると、両者は共に、R-Fe-Bの特定組成からなる磁石合金溶湯を急冷法により所定厚さの急冷合金(鋳片)に鋳造後、H2ガス吸蔵及び脱H2、微粉砕、磁場配向成形、焼結、時効の各処理により、磁石特性に優れたR-Fe-B系永久磁石を製造する方法である点で共通している。
しかしながら、本件発明1は、上記のような特定組織を有する鋳片に鋳造することにより、微粉砕により、合金を構成している主相の結晶粒を細分化することが可能となるものであるが、刊行物1には、急冷法によって平均結晶粒径で0.2〜10μmの(摘示1-4)急冷合金を得ることは記載されているが、合金の組織については何ら記載されていない。
刊行物1には、急冷方法及びそれによって得られた急冷鋳片合金について摘示1-11のように記載されており、その記載によれば、刊行物1の急冷法(摘示1-10)、即ち、単ロール法や双ロール法によるストリップキャスティング法によって得られた鋳片は、「微結晶またはこれと非晶質との混合組織、あるいは非晶質からなる」ものであり、微結晶のものについても、「冷却速度を低下させると急冷合金内の結晶粒径がバラつき易くなるので、急冷工程後の第1熱処理工程により結晶粒を成長させ、所望の結晶粒径とする」ことが好ましいことが記載されているから、鋳造時の冷却速度は非晶質とするための速度あるいはそれに近い高速のものといえる。そして、非晶質を熱処理して結晶を析出させたものや、微結晶のものであっても、熱処理をして結晶粒を成長させたものの結晶粒形状は、粒状や球状のものと認められ、かつ、粉砕工程では、急冷合金を結晶粒単位に分離するものであり(摘示1-7)、本件発明1のように主相の結晶粒を細分化するものではないから、刊行物1記載のこれらの鋳片の組織は、主相結晶粒が本件のような短軸、長軸寸法のものではないし、また、5μ以下の所定寸法のRリッチ相がこの主相結晶粒を取り囲むように微細に分散したものであるものとはいえない。
さらに、本件発明1は、上記の鋳片組織にするとともに、強パルス磁界配向後に静水圧プレス成形することにより、上記のA+Bが59以上の値を示す永久磁石が得られるものであるが、刊行物1には、強パルス磁界配向後に静水圧プレス成形することは示されておらず、かつ、A+Bが59以上の具体例も示されていない。
以上のように、刊行物1には、本件発明1のように特定組織を有する鋳片を用い、所定の処理と組み合わせることについては何ら記載されていないから、刊行物1の記載に基づいて本件発明1を容易に想到できるものではない。

3-5-3.本件発明1と刊行物2、4との対比
本件発明1と刊行物2記載の発明(摘示2-1〜2-5参照)とを対比すると、両者は共に、R-Fe-Bの特定組成からなる磁石合金溶湯を液体急冷法により結晶化した急冷合金に鋳造後、微粉砕、磁場配向成形、焼結、時効の各処理により、磁石特性に優れたR-Fe-B系永久磁石を製造する方法である点で共通している。
さらに、刊行物2には、「急冷合金の金属組織は、柱状に成長した微細な主相粒子をNdrich相で囲んだ状態となっており、主相結晶の短軸方向は約3〜10μmが、・・・好適な領域となる。これを片ロール法にて液体急冷合金を作成する場合、厚さが約1mm〜10mmの薄帯(薄片、薄板)となり、両ロール法にて作成する場合は約5mm程度の厚さまでは同等の効果が示される。」(摘示2-2)と記載されているから、両者は、ストリップキャステング法で得られる薄板の厚み、柱状に成長した主相をRリッチ相が取り囲む結晶組織、主相結晶の短軸寸法の点で重複しおり、さらに、刊行物2には、(BH)max50MGOe以上の磁石特性を得ること、及び、第1表に上記A+Bが59以上の例が記載されており、磁石特性においても両者共通している。
しかしながら、刊行物2には、得られた液体急冷合金をH2ガス吸蔵及び脱H2処理することは記載されておらず、かつ、主相の長軸方向の寸法が5μm〜200μmであり、Rリッチ相が5μm以下に分離していることについても記載されておらず、刊行物2の写真からも、Rリッチ相が5μ以下に微細に分散しているとはいえないものである。
また、刊行物4にも刊行物2と同様のR-Fe-B系永久磁石を製造する方法が記載されており、鋳片の結晶粒径については記載されているものの、具体的な鋳片組織については記載されていない。さらに、鋳片の組織を写した第1図には、柱状結晶が示されているが、中心部分の柱状結晶は長さ200μmを超えているものであり、また、主相結晶粒を取り囲むようにRリッチ相が5μm以下に微細に分散していることが示されているともいえない。
そうすると、刊行物2、4には、ストリップキャステング法で柱状結晶を得ることが記載されているが、主相結晶粒を取り囲むRリッチ相の分散間隔については記載されておらず、かつ、主相結晶粒のサイズや上記分散間隔とH2ガス吸蔵及び脱H2処理を経た後の粉砕効率との関連についても何ら記載されていないから、主相結晶粒のサイズや上記分散間隔を規定することにより、H2ガス吸蔵及び脱H2処理を経た後の粉砕が効率的に行われる本件発明1が、上記刊行物2、4の記載に基づいて容易に想到できたものとはいえない。

3-5-4.刊行物1〜4及び参考資料の組合せについて
以上のように、刊行物1、2、4には、本件発明1と同様な化学組成からなる合金溶湯をストリップキャスティング法にて薄板の鋳片に鋳造後、前記鋳片を微粉砕して得た微粉末を用いて永久磁石合金を製造することが記載されているが、これら刊行物のいずれにも、前記溶湯を、主相の短軸方向と長軸方向の寸法が上記のようであり、かつその主相結晶粒を取り囲むようにRリッチ相が5μm以下に微細に分離した組織を有する鋳片に鋳造後、この鋳片をH2ガス吸蔵及び脱H2処理することにより、続いて行われる微粉砕工程で主相の結晶粒を細分化することが可能となり、粒度分布が均一な粉末を高効率で作製できることは記載されておらず、かつ、このようにして作製された微粉末を強パルス磁界配向後に静水圧プレス成形することも記載されていない。
刊行物3及び参考資料には、パルス磁界の使用に関し、「永久磁石の製造に際し、磁界を瞬間的に印加した後、磁界中でもしくは無磁界中でプレスすることにより、高い配高度の異方性永久磁石を割れや欠け、変形を生ずることなく製造でき、また、瞬間的磁界の印加とは一般には、5〜100kOeの磁界を1μsec〜1secのパルスとして印加する。」ことや「磁石合金粉末を10kOe以上の磁場中で配向させながら横押しまたは縦押しでプレス成形する差異に強磁場パルスを使用すること」が記載されているが、ストリップキャスティング法にて鋳造した薄板の鋳片の組織については何ら記載されていない。
そうすると、刊行物1〜4及び参考資料に記載の事項を総合的に勘案してみても、本件発明1を当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

3-5-3.本件発明2について
本件発明2は、上記本件発明1における脱H2処理の温度条件を規定したものである。
これは、本件発明1の構成を更に限定するのであるから、本件発明1が、上記各刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたといえない以上、同様に判断される。

3-5-4、当審の判断のまとめ
よって、本件発明1、2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるすることはできない。

4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申し立ての理由によっては、本件発明1、2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1、2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1、2に係る特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
R-Fe-B系永久磁石材料の製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 R(但しRはYを含む希土類元素のうち、少なくとも1種)10at%〜30at%、B2at%〜28at%、残部Fe(但しFeの一部をCo、Niの一種または二種にて置換できる)及び不可避的不純物からなる合金溶湯をストリップキャスティング法にて板厚0.03mm〜10mmの薄板で、主相のR2Fe14B相の短軸方向の寸法が0.1μm〜50μm、長軸方向の寸法が5μm〜200μmであり、かつその主相結晶粒を取り囲むようにRリッチ相が5μm以下に微細に分散した組織を有する鋳片に鋳造後、前記鋳片を容器に収容して200Torr〜50kg/mm2のH2ガスを供給して崩壊合金粉を得、該合金粉を脱H2処理した後、不活性ガス気流中で微粉砕して得た主相の結晶粒が細分化されて粒度分布が均一な平均粒径が1〜10μmの微粉末をモールド内に充填密度1.4〜3.0g/cm3に充填し、10kOe以上のパルス磁界をかけて配向させた後、静水圧プレスし、焼結、時効処理することを特徴とするR-Fe-B系永久磁石材料の製造方法。
【請求項2】 水素吸蔵により得られた崩壊合金粉末を100℃〜750℃に加熱して脱H2処理することを特徴とする請求項1に記載のR-Fe-B系永久磁石材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、R(但しRはYを含む希土類元素のうち、少なくとも1種を含有)、Fe、Bを主成分とする永久磁石材料の製造方法に係り、R、Fe、Bを主成分とする合金溶湯を単ロール法あるいは双ロール法等のストリップキャスティング法にて特定板厚のRリッチ相が微細に分離した均質組織を有する鋳片を得、これをR含有Fe合金のH2吸蔵性を利用して鋳片を自然崩壊させ、さらに脱H2処理して安定化させて、効率よい微粉砕を可能にし、微粉末にパルス磁界をかけて配向させた後、成形して焼結することにより、磁石特性の1つである最大エネルギー積値(BH)max(MGOe);Aと保磁力iHc(kOe)の特性値;Bの合計値A+Bが59以上の値を示す高性能R-Fe-B系永久磁石を得る製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、高性能永久磁石として代表的なR-Fe-B系永久磁石(特開昭59-46008号)は、三元系正方晶化合物の主相とRリッチ相を有する組織にて高い磁石特性が得られ、一般家庭の各種電器製品から大型コンピュータの周辺機器まで幅広い分野で使用され、用途に応じた種々の磁石特性を発揮するよう種々の組成のR-Fe-B系永久磁石が提案されている。
しかしながら、電気・電子機器の小型・軽量化ならびに高機能化の要求は強く、R-Fe-B系永久磁石のより一層の高性能化とコストダウンが要求されている。
【0003】
R-Fe-B系焼結磁石の残留磁束密度(Br)を高めるためには、1)強磁性相であり、主相のR2Fe14B相の存在量を多くすること、2)焼結体の密度を主相の理論密度まで高めること、3)さらに主相結晶粒の、磁化容易軸方向の配向度を高めることが要求される。
すなわち、前記1)項の達成のためには、磁石の組成を上記R2Fe14Bの化学量論的組成に近づけることが重要であるが、上記組成の合金を溶解し、鋳型に鋳造した合金塊を、出発原料としてR-Fe-B系焼結磁石を作製しようとすると、合金塊に晶出したα-Feや、R-rich相が局部的に遍在していることなどから、特に微粉砕時に粉砕が困難となり、組成ずれを生ずる等の問題があった。
【0004】
詳述すると、前記合金塊をH2吸蔵、脱H2処理して機械的微粉砕をおこなう場合(特開昭60-63304号、特開昭63-33505号)、合金塊に晶出したα-Feはそのまま粉砕時に残留し、その展延性の性質のために粉砕を妨げ、又局部的に遍在したR-rich相はH2吸蔵処理によって、水素化物を生成し、微細な粉末となるため、機械的な微粉砕時に酸化が促進されたり、またジェットミルを用いた粉砕では優生的に飛散することにより組成ずれを生ずる。
【0005】
また、前記1)項の達成のためR2Fe14Bの化学量論的組成に近づけた合金粉末を用いて焼結体を作製しようとすると、焼結体の作製工程において不可避な酸化により、液相焼結を引き起こすためのNd-rich相が酸化物を生成するため消費されて焼結できなかったり、上記R2Fe14B相の存在量を増加によって必然的に、Nd-rich相やB-rich相の存在量が減少するので、焼結体の製造をより一層困難なものにしていた。
さらに、前記3)項については、通常R-Fe-B系永久磁石の製造方法において、主相結晶粒の磁化容易軸方向を揃えるために、磁界中でプレス成形する方法が採用されている。その際、磁界の印加方向とプレス加圧する方向とによって、残留磁束密度(Br)値が変化したり、また、印加磁界の強度によっても影響を受けることが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
最近、鋳塊粉砕法によるR-Fe-B系合金粉末の欠点たる結晶粒の粗大化、α-Feの残留、偏析を防止するために、R-Fe-B系合金溶湯を双ロール法により、特定板の鋳片となし、前記鋳片を通常の粉末冶金法に従って、鋳片をスタンンプミル・ジョークラッシャーなどで粗粉砕後、さらにディスクミル、ボールミル、アトライター、ジェットミルなど機械的粉砕法により平均粒径が3〜5μmの粉末に微粉砕後、磁場中プレス、焼結時効処理する製造方法が提案(特開昭63-317643号公報)されている。
【0007】
しかし、前記方法では従来の鋳型に鋳造した鋳塊粉砕法の場合に比し、微粉砕時の粉砕能率の飛躍的な向上は望めず、また微粉砕時、粒界粉砕のみならず、粒内粉砕も起こるため、磁気特性の大幅の向上も達成できなかった。また、R-rich相が酸化に対して安定なRH2になっていないため、さらにR-rich相の微細で表面積が大きいために耐酸化性に劣り、工程中に酸化が進み高磁石特性が得られない。
また、R-Fe-B系永久磁石材料に対するコストダウンの要求が強く、効率よく高性能永久磁石を製造することが、極めて重要になっている。
このため、極限に近い特性を引き出すための製造条件の改良が必要となっている。
【0008】
この発明は、上述したR-Fe-B系永久磁石材料の製造方法における問題点を解消し、効率よい微粉砕を可能にし、かつ耐酸化性に優れ、しかも磁石の結晶粒の微細化により高いiHcを発現し、さらに各結晶粒の磁化容易方向の配向度を高めて、(BH)max値(MGOe);Aと、iHc値(kOe);Bの合計値、A+B≧59の値を示す高性能R-Fe-B系永久磁石材料の製造方法の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、まずR-Fe-B系合金を出発原料として微粉砕能率の向上、かつ耐酸化性にすぐれ、磁石合金の磁気特性、特にiHcの向上を目的に、粉砕方法について種々検討した結果、組織が微細かつ均等なR-Fe-B系合金を水素吸蔵させた後、脱H2処理して安定化させた合金粉末を微粉砕した場合、微粉砕能は従来の約2倍にも向上し、且つ微粉末にパルス磁界をかけて配向させた後、成形して焼結することにより、(BH)max値とiHc値の合計値が59以上の値を有し、かつ焼結磁石のiHcが向上することを知見した。
【0010】
すなわち、ストリップキャスティングされた特定板厚のRリッチ相が微細に分離した組織を有する特定組成のR-Fe-B系合金にH2吸蔵させると、微細に分散されたRリッチ相が水素化物を生成して体積膨張することにより、前記合金を自然崩壊させることができ、その結果、微粉砕により、合金塊を構成している主相の結晶粒を細分化することが可能となり、粒度分布が均一な粉末を作製することができる。
【0011】
特に、この際Rリッチ相が微細に分散され、しかもR2Fe14B相が微細であることが重要である。しかも通常の鋳型を用いて合金塊を溶製する方法では、合金組成をR2Fe14Bの化学量論的組成に近づけた場合、Fe初晶の晶出が避け難く、次工程の微粉砕能を大きく低下させる要因になってしまう。そのため、合金塊を均質化させる目的で熱処理を加えて、α-Feを消失させる手段がとられるが、主相結晶粒の粗大化と、Rリッチ相の偏析も進むため、焼結磁石のiHc向上を図ることが困難となる。
また、主相結晶粒の磁化容易軸方向を揃える、すなわち、配向度を高めることも高Br化を達成するための必須条件である。そのため、粉末冶金的手法で製造される永久磁石材料、たとえば、ハードフェライト磁石、Sm-Co磁石ならびにR-Fe-B磁石では、その粉末を磁界中でプレスする方式が採られている。
【0012】
しかしながら、磁界を発生させるために通常のプレス装置(油圧プレス、機械プレス)に配置されているコイルおよび電源では、高々10kOe〜20kOeの磁界しか発生することしかできず、より高い磁界を発生させるためには、コイルの巻数を多くする必要があり、また高い電源を必要とするための装置の大型化を必要とする。
【0013】
本発明者らは、プレス時の磁界強度と焼結体のBrとの関係を解析したところ、磁界強度を高くすればする程、高Br化でき、瞬間的に強磁界を発生させることの可能なパルス磁界を用いることによって、より一層高Br化できることを知見した。
さらに、パルス磁界を用いる方法においては、一旦パルス磁界で瞬間的に配向させることが重要で、さらに、粉末を静水圧プレスによって成形することが可能であり、パルス磁界と電磁石による静磁界との組み合せによって、磁界中プレス成形することも可能であることを知見した。
【0014】
この発明は、
この発明は、
R(但しRはYを含む希土類元素のうち、少なくとも1種)10at%〜30at%、B2at%〜28at%、残部Fe(但しFeの一部をCo、Niの一種または二種にて置換できる)及び不可避的不純物からなる合金溶湯をストリップキャスティング法にて板厚0.03mm〜10mmの薄板で、主相のR2Fe14B相の短軸方向の寸法が0.1μm〜50μm、長軸方向の寸法が5μm〜200μmであり、かつその主相結晶粒を取り囲むようにRリッチ相が5μm以下に微細に分散した組織を有する鋳片に鋳造後、
例えば、前記鋳片を吸排気可能な容器に収容し、該容器内の空気をH2ガスにて置換した後、該容器内に200Torr〜50kg/mm2のH2ガスを供給して水素吸蔵により得られた崩壊合金粉を、例えば、100℃〜750℃に加熱して脱H2処理した後、不活性ガス気流中で微粉砕して得た主相の結晶粒が細分化されて粒度分布が均一な平均粒径が1〜10μmの微粉末をモールド内に充填密度1.4〜3.0g/cm3に充填し、瞬間的に10kOe以上のパルス磁界をかけて配向させた後、
静水圧プレスし、焼結、時効処理することを特徴とするR-Fe-B系永久磁石材料の製造方法である。
【0015】
この発明によるR-Fe-B系永久磁石の磁気特性は、BH(max)が50MGOe以上の場合は、iHcは10kOe以上であり、又BH(max)が45MGOe以上の場合は、iHcは15kOe以上で、組成、製造条件等を適宜選択することにより所要の磁気特性を得ることができる。
【0016】
この発明の特定組成のRリッチ相が微細に分離した組織を有する磁石材料の鋳片は、特定組成の合金溶湯を単ロール法、あるいは双ロール法によるストリップキャスティング法にて製造される。得られた鋳片は板厚が0.03mm〜10mmの薄板材であり、所望の鋳片板厚により、単ロール法と双ロール法を使い分けるが、板厚が厚い場合は双ロール法を、また板厚が薄い場合は単ロール法を採用したほうが好ましい。
【0017】
鋳片の板厚を0.03mm〜10mmに限定した理由は、0.03mm未満では急冷効果が大となり、結晶粒径が3μmより小となり、粉末化した際に酸化しやすくなるため、磁気特性の劣化を招来するので好ましくなく、また10mmを超えると、冷却速度が遅くなり、α-Feが晶出しやすく、結晶粒径が大となり、Ndリッチ相の偏在も生じるため、磁気特性が低下するので好ましくないことによる。
【0018】
この発明のストリップキャスティング法により得られた特定組成のR-Fe-B系合金の断面組織は主相のR2Fe14B結晶が従来の鋳型に鋳造して得られた鋳塊のものに比べて、約1/10以上も微細であり、例えば、その短軸方向の寸法は0.1μm〜50μm、長軸方向は5μm〜200μmの微細結晶であり、かつその主相結晶粒を取り囲むようにRリッチ相が微細に分散されており、局部に遍在している領域においても、その大きさは20μm以下である。
【0019】
Rリッチ相が5μm以下に微細に分離することによって、H2吸蔵処理時にRリッチ相が水素化物を生成した際の体積膨張が均一に発生して細分化されるため、微粉砕にて主相の結晶粒が細分化されて粒度分布が均一な微粉末が得られる。前記鋳片はそのままでH2吸蔵処理してもよいが、所要の大きさに破断して、金属面を露出させてH2吸蔵処理したほうが好ましい。
【0020】
H2吸蔵処理には、例えば、所定大きさに破断した0.03mm〜10mm厚みの鋳片を原料ケース内に挿入し、上記原料ケースを蓋を締めて密閉できる容器内に装入して密閉したのち、容器内を十分に真空引きした後、200Torr〜50kg/cm2の圧力のH2ガスを供給して、該鋳片にH2を吸蔵させる。
【0021】
このH2吸蔵反応は、発熱反応であるため、容器の外周には冷却水を供給する冷却配管が周設して容器内の昇温を防止しながら、所定圧力のH2ガスを一定時間供給することにより、H2ガスが吸収されて該鋳片は自然崩壊して粉化する。さらに、粉化した合金を冷却したのち、真空中で脱H2ガス処理する。
前記処理の合金粉末は粒内に微細亀裂が内在するので、ボール・ミル、ジェットミル等で短時間で微粉砕され、1μm〜80μmの所要粒度の合金粉末を得ることができる。
【0022】
この発明において、上記処理容器内を予め不活性ガスで空気を置換し、その後H2ガスで不活性ガスを置換してもよい。
また、鋳塊の破断大きさは、小さいほど、H2粉砕の圧力を小さくでき、また、H2ガス圧力は、減圧下でも破断した鋳塊はH2吸収し粉化されるが、圧力が大気圧より高くなるほど、粉化されやすくなる。しかし、200Torr未満では粉化性が悪くなり、50kg/cm2を超えるとH2吸収による粉化の点では好ましいが、装置や作業の安全性からは好ましくないため、H2ガス圧力は200Torr〜50kg/cm2とする。量産性からは、2kg/cm2〜10kg/cm2が好ましい。
この発明において、H2吸蔵による粉化の処理時間は、前記密閉容器の大きさ、破断塊の大きさ、H2ガス圧力により変動するが、5分以上は必要である。
【0023】
H2吸蔵により粉化した合金粉末を冷却後、真空中で1次の脱H2ガス処理する。さらに、真空中またはアルゴンガス中において、粉化合金を100℃〜750℃に加熱し、0.5時間以上の2次脱H2ガス処理すると、粉化合金中のH2ガスは完全に除去できるとともに、長期保存に伴う粉末あるいはプレス成形体の酸化を防止して、得られる永久磁石の磁気特性の低下を防止できる。
【0024】
この発明による100℃以上に加熱する脱水素処理は、すぐれた脱水素効果を有しているために上記の真空中での1次脱水素処理を省略し、崩壊粉を直接100℃以上の真空中またはアルゴンガス雰囲気中で脱水素処理してもよい。
すなわち、前述したH2吸蔵反応用容器内でH2吸蔵・崩壊反応させた後、得られた崩壊粉を続いて同容器の雰囲気中で100℃以上に加熱する脱水素処理を行うことができる。あるいは、真空中での脱水素処理後、処理容器から取り出して崩壊粉を微粉砕したのち、再度処理容器で100℃以上に加熱するこの発明の脱水素処理を施してもよい。
【0025】
上記の脱水素処理における加熱温度は、100℃未満では崩壊合金粉内に残存するH2を除去するのに長時間を要して量産的でない。また、750℃を超える温度では液相が出現し、粉末が固化してしまうため、微粉砕が困難になったり、プレス時の成形性を悪化させるので、焼結磁石の製造の場合には好ましくない。
また、焼結磁石の焼結性を考慮すると、好ましい脱水素処理温度は200℃〜600℃である。また、処理時間は処理量によって変動するが0.5時間以上は必要である。
【0026】
次に微粉砕には、不活性ガス(例えば、N2、Ar)によるジェット・ミルにて微粉砕を行う。勿論、有機溶媒(例えば、ベンゼンやトルエン等)を用いたボールミルや、アトライター粉砕を用いることも可能である。
微粉砕での粉末の平均粒度は、1μm〜10μmが好ましい。1μm未満になると粉砕した粉末が極めて活性となり著しく酸化されやすく、発火等の恐れが生ずる。また、10μmを超えると粉砕されない粗大粒子が残存し、保磁力が低下したり、焼結の進行が遅く密度の低下を引き起こすことになる。より好ましくは、2〜4μmの平均粒度の微粉末にすることである。
【0027】
磁界を用いたプレスには、つぎの方法を提案する。
微粉砕した粉末を不活性ガス雰囲気中でモールドに充填する。モールドは、非磁性の金属、酸化物から作製したもののほか、プラスチックやゴム等の有機化合物でも良い。
粉末の充填密度は、その粉末の静止状態の嵩密度(充填密度1.4g/cm3)から、タッピング後の固め嵩密度(充填密度3.0g/cm3)の範囲が好ましい。従って充填密度は1.4〜3.0g/cm3に限定する。
【0028】
これを、空心コイル、コンデンサー電源によるパルス磁界を加えて粉末の配向を行う。配向の際、上下パンチを用いて圧縮を行いながら、繰り返し、パルス磁界を加えてもよい。パルス磁界の強度は大きければ大きい程良く、最低10kOe以上は必要とする。
パルス磁界の時間は、図2の時間と磁界強さのグラフに示す如く、1μmsec〜10secが好ましく、さらには5μmsec〜100mmsecが好ましく、パルス磁界の印加回数は1〜10回、さらに、好ましくは1〜5回である。
【0029】
配向後の粉末は、静水圧プレスによって固めることができる。この際、可塑性のあるモールドを使用した場合には、そのまま、静水圧プレスを行うことが可能である。
また、パルス磁界による配向とプレスとを連続的に行うためには、ダイス内部にパルス磁界を発生させるコイルを埋め込み、パルス磁界を用いて配向させた後、通常の磁界中プレス方法で成形することも可能である。
【0030】
以下に、この発明における、希土類・ボロン・鉄系永久磁石合金用鋳塊の組成限定理由を説明する。
この発明の永久磁石合金用鋳塊に含有される希土類元素Rはイットリウム(Y)を包含し、軽希土類及び重希土類を包含する希土類元素である。
Rとしては、軽希土類をもって足り、特にNd,Prが好ましい。また通常Rのうち1種もって足りるが、実用上は2種以上の混合物(ミッシユメタル、ジジム等)を入手上の便宜等の理由により用いることができ、Sm,Y,La,Ce,Gd等は他のR、特にNd,Pr等との混合物として用いることができる。なお、このRは純希土類元素でなくてもよく、工業上入手可能な範囲で製造上不可避な不純物を含有するものでも差し支えない。
【0031】
Rは、R-Fe-B系永久磁石を製造する合金鋳塊の必須元素であって、10原子%未満では高磁気特性、特に高保磁力が得られず、30原子%を越えると残留磁束密度(Br)が低下して、すぐれた特性の永久磁石が得られない。よって、Rは10原子%〜30原子%の範囲とし、特に好ましい範囲はRは12〜15at%である。
【0032】
Bは、R-Fe-B系永久磁石を製造する合金鋳塊の必須元素であって、2原子%未満では高い保磁力(iHc)は得られず、28%原子を越えると残留磁束密度(Br)が低下するため、すぐれた永久磁石が得られない。よって、Bは2原子%〜28原子%の範囲と特に好ましい範囲は4〜8at%である。
【0033】
Feは42原子%未満では残理磁束密度(Br)が低下し、88原子を超えると高い保磁力が得られないため、Feは77〜84at%が好ましく。さらに好ましくはFe77原子%〜84原子%である。
また、Feの一部をCo、Niの1種又は2種で置換する理由は、永久磁石の温度特性を向上させる効果及び耐食性を向上させる効果が得られるためであるが、Co、Niの1種又は2種はFeの50%を越えると高い保磁力が得られず、すぐれた永久磁石が得られない。よって、CoはFeの50%を上限とする。
【0034】
この発明の合金鋳塊において、高い残留磁束密度と高い保磁力を共に有するすぐれた永久磁石を得るためには、R12原子%〜15原子%、B4原子%〜8原子%、Fe77原子%〜84原子%が好ましい。
また、この発明による合金鋳塊は、R、B、Feの他、工業的生産上不可避的不純物の存在を許容できるが、Bの一部を4.0原子%以下のC、3.5原子%以下のP、2.5原子%以下のS、3.5原子%以下のCuのうち少なくとも1種、合計量で4.0原子%以下で置換することにより、磁石合金の製造性改善、低価格化が可能である。
【0035】
さらに、前記R、B、Fe合金あるいはCoを含有するR-Fe-B合金に、9.5原子%以下のAl、4.5原子%以下のTi、9.5原子%以下のV、8.5原子%以下のCr、8.0原子%以下のMn、5原子%以下のBi、12.5原子%以下のNb、10.5原子%以下のTa、9.5原子%以下のMo、9.5原子%以下のW、2.5原子%以下のSb、7原子%以下のGe、35原子%以下のSn、5.5原子%以下のZr、5.5原子%以下のHfのうち少なくとも1種添加含有させることにより、永久磁石合金の高保磁力が可能になる。
この発明のR-B-Fe系永久磁石において、結晶相は主相が正方晶であることが不可欠であり、特に、微細で均一な合金粉末を得て、すぐれた磁気特性を有する焼結永久磁石を作成するのに効果的である。
【0036】
この発明による合金の微粉砕粉末の粒度は、平均粒度80μmを越えると、永久磁石の作成時にすぐれた磁気特性、とりわけ高い保磁力が得られず、また、平均粒度が1μm未満では、焼結磁石とした場合の製作工程、すなわち、プレス成形、焼結、時効処理工程における酸化が著しく、すぐれた磁気特性が得られないため、1〜80μmの平均粒度とする。さらに、すぐれた磁気特性を得るには、平均粒度2〜10μmの合金粉末が最も望ましい。
【0037】
【作用】
この発明は、ストリップキャスティングされた特定板厚の特定組成を有するR-Fe-B系合金にH2吸蔵させることにより、微細に分散されたRリッチ相が水素化物を生成して体積膨張させて前記合金を自然崩壊させ、その後微粉砕にて合金塊を構成している主相の結晶粒を細分化することが可能となり、粒度分布が均一な粉末を作製することができ、この際Rリッチ相が微細に分散され、かつR2Fe14B相も微細化され、脱H2処理して安定化させた合金粉末を微粉砕した場合、微粉砕能は従来の約2倍にも向上するため、製造効率が大幅に向上するともに、パルス磁界を用いて瞬間的に配向した後、プレス成形、焼結することにより、Br、BH(max)及びiHcを著しく改善向上したR-Fe-B系永久磁石が得られる。
【0038】
【実施例】
実施例1
高周波溶解炉にて溶解して得られたNd13.4-B6.0-Fe80.6組成の合金溶湯を直径200mmの銅製ロール2本を併設した双ロール式ストリップキャスターを用い、板厚約1mmの薄板状鋳片を得た。前記鋳片内の結晶粒径は短軸方向の寸法0.5μm〜15μm、長軸方向寸法は5μm〜80μmであり、Rリッチ相は主相を取り囲むように3μm程度に微細に分離して存在する。
【0039】
前記鋳片を50mm角以下に破断後、前記破断片1000gを吸排気可能な密閉容器内に収容し、前記容器内にN2ガスを30分間流入して、空気と置換した後、該容器内に3kg/cm2のH2ガスを2時間供給してH2吸臓により鋳片を自然崩壊させて、その後真空中で500℃に5時間保持して脱H2処理した後、室温まで冷却し、さらに100メッシュまで粗粉砕した。
【0040】
次いで、前記粗粉砕を採取した800gをジェットミルで粉砕して平均粒度3.5μmの合金粉末を得た。得られた合金粉末を用いて、ゴム質のモールドに原料粉末を充填し、パルス磁界60kOeを瞬間的に付加して、配向させた後、静水圧プレス装置にて2.5T/cm2の圧力で静水圧プレスした。
モールドから取り出した成形体を1090℃で3時間の条件にて焼結し、600℃で1時間の時効処理を行って、永久磁石を得た。得られた永久磁石の磁石特性を表1に表す。
【0041】
実施例2
実施例1で得られた粉末を、図1に示す如く、上下パンチ1,2の外周部に静磁界用コイル3,4を配置し、ダイス5内にパルス磁界用コイル6を配設して、原料粉末7にパルス磁界と通常の静磁界とを併用して作用させることができるプレス装置を用いて、まず、約30kOeのパルス磁界で配向させた後、約12kOeの磁界中でプレス成形した。その後、成形体は実施例1と同一の条件で、焼結、時効処理を行った。
得られた永久磁石の磁石特性を第1表に示す。
【0042】
実施例3
実施例1と同様にNd13.0-Dy0.5-B6.5-Co1.0-Fe7の合金をストリップキャスティングし、薄板状鋳片を得た。これを50mm角以下に破断後、1000gを実施例1と同様にH2吸蔵により自然崩壊させた後、真空中で6時間の脱H2処理した。これを粗粉砕後、ジェットミル粉砕して、平均粒度3.5μmの粉末を得た。
得られた粉末を実施例1と同様にパルス磁界配向、静水圧プレスして、成形体を作製し、同様に焼結熱処理を行った。得られた永久磁石の磁石特性を表1に示した。
【0043】
比較例1
実施例1で得られた粉末を通常の磁界中プレス装置で約12kOeの磁界中でプレス成形し、その後、実施例1と同一条件で焼結・時効処理を行った。
得られた永久磁石の磁石特性を表1に示した。
【0044】
比較例2
高周波溶解炉にて溶解して得られたNd13.4-B6.0-Fe80.6組成の合金溶湯を鉄製鋳型に鋳造した。得られた合金塊の組織を観察したところ、初晶Feの晶出が認められたため、1050℃で10時間熱処理して均質化処理を行った。
鋳塊の結晶粒径は、短軸方向30〜150μm、長軸方向100〜数mmにもなり、R-リッチ相が局部的150μm程度の大きさで偏析していた。
【0045】
この合金塊を粗砕後、実施例1と同様の方法でH2吸蔵処理、脱H2処理して、粗粉末を得た。さらに、実施例1と同一の条件でジエットミル粉砕し、平均粒径約3.7μmの合金で得られた粉末を約12kOeの磁界中でプレス成形し、実施例1と同一の条件で、焼結、熱処理を行った。得られた永久磁石の特性を表1に示す。
【0046】
比較例3
実施例1と同一組成、同一板厚のストリップキャスティング鋳片を50mm以下に粗粉砕後、H2吸蔵処理、脱H2処理することなく、前記粗粉砕粉1000gをスタンプミルにて1時間粉砕して100メッシュの粗粉砕粉となした後、ジェットミル粉砕し、平均粒径約3.8μmの合金粉末を得た。
前記合金粉末を約12kOe磁界中での磁界中プレス、焼結、時効処理を行って永久磁石を得た。得られた永久磁石の磁気特性を表1に表す。
【0047】
比較例4
Nd13.0-Dy0.5-B6.5-Co1.0-Fe79の組成の合金を比較例2と同様の手法で鋳造した。得られた合金塊には、Fe初晶が晶出していたため、1050℃×6Hrの熱処理を行った。この合金塊を粗粉砕後、実施例1と同時にH2吸蔵処理し、真空中で脱H2処理を行った。これを粗粉砕後、ジェットミル粉砕して、平均粒径約3.7μmの粉末を得た。
さらに、約12kOeの磁界中で磁界中プレスした後、実施例1と同一条件で、焼結・熱処理を行った。得られた永久磁石の磁気特性を表1に表す。
【0048】
【表1】

【0049】
【発明の効果】
この発明による製造方法は、特定組成を有するR-Fe-B系合金溶湯をストリップキャスティングにて特定板厚の鋳片となし、この鋳片にH2吸蔵させて自然崩壊させることにより、その後、脱H2処理して安定化させた合金粉末を微粉砕にて合金塊を構成している主相の結晶粒を細分化することが可能となり、粒度分布が均一な粉末を、従来の約2倍程度の効率で作製することができ、粉砕時にRリッチ相とR2Fe14B相も微細化され、パルス磁界を用いてプレスすることにより、磁石化すると耐酸化性にすぐれ、磁石合金の磁気特性、特に最大エネルギー積値(BH)max(MGOe);Aと保磁力iHc(kOe)の特性値;Bの合計値A+Bが59以上の値を示す高性能R-Fe-B系永久磁石が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
パルス磁界と通常の静磁界とを併用して作用させることができるプレス装置の説明図である。
【図2】
パルス磁界の時間と磁界強さとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1,2 パンチ
3,4 静磁界用コイル
5 ダイス
6 パルス磁界用コイル
7 原料粉末
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-05-17 
出願番号 特願平5-192886
審決分類 P 1 651・ 121- YA (C22C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平塚 義三木村 孔一  
特許庁審判長 中村 朝幸
特許庁審判官 原 賢一
綿谷 晶廣
登録日 2003-04-04 
登録番号 特許第3415208号(P3415208)
権利者 株式会社NEOMAX
発明の名称 R-Fe-B系永久磁石材料の製造方法  
代理人 池条 重信  
代理人 池条 重信  
代理人 押田 良輝  
代理人 押田 良輝  

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