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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 一部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  H01L
審判 一部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  H01L
管理番号 1121148
異議申立番号 異議2003-72923  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-02-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-03 
確定日 2005-05-23 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3411757号「積層型圧電トランス素子」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3411757号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本件特許第3411757号に係る手続の主な経緯は以下のとおりである。
特許出願(特願平8-201737号) 平成 8年 7月31日
特許権設定登録 平成15年 3月20日
特許異議申立(特許異議申立人:雨山範子) 平成15年12月 3日
取消理由通知 平成16年10月25日(起案日)
特許異議意見書・訂正請求書 平成16年12月17日

第2 訂正の適否についての判断
1.訂正事項について
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の「【請求項1】 交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有することを特徴とする積層型圧電トランス素子。」を
「【請求項1】
内部電極用の導体ペーストを印刷した後に圧電セラミックステープを積層し、熱圧着して焼成することにより得られ、交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有することを特徴とする積層型圧電トランス素子。」と訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の「【請求項2】 内部電極が素子の側面に露出しておらず、セラミック圧電体に設けられた孔に充填された導電体により内部電極が電気的に接続されており、該導電体が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ該導電体の直径が50〜200μmであることを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電トランス素子。」を
「【請求項2】
交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有するとともに、
内部電極が素子の側面に露出しておらず、セラミック圧電体に設けられた孔に充填された導電体により内部電極が電気的に接続されており、該導電体が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ該導電体の直径が50〜200μmであることを特徴とする積層型圧電トランス素子。」と訂正する。
(3)訂正事項3
特許明細書の第8段落の「従って本発明は、上記の知見に基づき、交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有することを特徴とする積層型圧電トランス素子を提供するものである。」を
「従って本発明は、上記の知見に基づき、内部電極用の導体ペーストを印刷した後に圧電セラミックステープを積層し、熱圧着して焼成することにより得られ、交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有することを特徴とする積層型圧電トランス素子を提供するものである。」と訂正する。
(4)訂正事項4
特許明細書の第11段落の「従って本発明の積層型圧電トランス素子の好適な態様は、内部電極が素子の側面に露出しておらず、入力領域のセラミック圧電体に設けられた孔に充填された導電体により内部電極が電気的に接続されており、該導電体が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ該導電体の直径が50〜200μmであることを特徴とする。」を
「従って本発明の積層型圧電トランス素子の好適な態様は、交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有するとともに、内部電極が素子の側面に露出しておらず、入力領域のセラミック圧電体に設けられた孔に充填された導電体により内部電極が電気的に接続されており、該導電体が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ該導電体の直径が50〜200μmであることを特徴とする。」と訂正する。

2.訂正の内容
(1)訂正事項1
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1の「交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において」の前に「内部電極用の導体ペーストを印刷した後に圧電セラミックステープを積層し、熱圧着して焼成することにより得られ、」を追加するものである。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2の「内部電極が素子の側面に露出しておらず」の前に、「交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有するとともに、」を追加するとともに、「特徴とする請求項1に記載の積層型圧電トランス素子。」を「特徴とする積層型圧電トランス素子。」とするものである。
(3)訂正事項3
訂正事項3は、「従って本発明は、上記の知見に基づき、交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において」を「従って本発明は、上記の知見に基づき、内部電極用の導体ペーストを印刷した後に圧電セラミックステープを積層し、熱圧着して焼成することにより得られ、交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において」と訂正するものである。
(4)訂正事項4
訂正事項4は、「従って本発明の積層型圧電トランス素子の好適な態様は、内部電極が素子の側面に露出しておらず」を「従って本発明の積層型圧電トランス素子の好適な態様は、交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有するとともに、内部電極が素子の側面に露出しておらず」と訂正するものである。

3.訂正の目的の適否、明細書記載事項の範囲内外及び拡張・変更の有無について
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、「交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子」の構成について「内部電極用の導体ペーストを印刷した後に圧電セラミックステープを積層し、熱圧着して焼成することにより得られ」たものであるとの限定を追加するものであって、この点については、本件特許明細書の第37段落に、「図1に示したような外部導体で内部電極間の電気的接続を取る構造の本発明の圧電トランス素子の場合、先ずドクターブレード法等により形成した圧電セラミックステープを焼成後に素子の所望の平面寸法が得られるような寸法に切断したものを用意する。・・・このようなセラミックステープ上にメッシュマスクを用いて内部電極用の導体のペーストを内部電極の形状に圧電セラミックステープ上に印刷する。このとき、内部電極は例えば素子入力領域側端部の片側の隅に切り欠きを設ける以外は入力領域の全面に設ける。この場合内部電極の切り欠きは入力領域側端部の右の隅または左の隅に設けたものの2パターンを用意する。この2つのパターンで内部電極を印刷した圧電セラミックステープを交互に所望の数だけ同数積層し、最後に内部電極を印刷していない圧電セラミックステープを内部電極が露出している側に積層する。そして積層された内部電極を有する圧電セラミックステープを相互に熱圧着し、焼成し、必要により切断、研削等の加工を行い、Agペーストを焼き付けること等により外部電極及び内部電極接続導体を設け、分極処理することにより本発明の積層型圧電トランス素子を得ることができる。」と記載されており、訂正事項1が特許請求の範囲の減縮を目的とし、特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項1に係る発明の全ての特徴部分である「交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有する」ことを追加するとともに、訂正前の請求項2の「ことを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電トランス素子」を「ことを特徴とする積層型圧電トランス素子」と訂正することにより、請求項2を独立請求項とするものであって、請求項2は、訂正前と訂正後で実質的に変更されていない。
したがって、訂正事項2は、明りょうでない記載の釈明を目的とし、特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
(3)訂正事項3
訂正事項3は、請求項1の訂正に対応して、特許明細書の記載を整合させるためのものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とし、特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
(4)訂正事項4
訂正事項4は、請求項2の訂正に対応して、特許明細書の記載を整合させるためのものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とし、特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

4.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3 特許異議申立について
1.特許異議申立の概要
特許異議申立人雨山範子は、証拠として本願出願前に国内において頒布された
1)甲第1号証 特開平 6-252466号公報
2)甲第2号証 特公昭63- 10593号公報
を提出し、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許法第113条第2項の規定により取り消すべきものである旨主張している。

2.取消理由の概要
平成16年10月25日付けの取消理由通知の内容は以下のとおりである。
「1)特許法第29条違反について
本件の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された下記の刊行物1ないし5に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件の請求項1に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

さらに、特許異議申立人雨山範子が提出した特許異議申立書の「3.申立ての理由」を参照されたい。
また、雨山範子提出の特許異議申立書において、甲第1号証、甲第2号証及び、参考資料1ないし3は、それぞれ、刊行物1ないし刊行物5と読み替えるものとする。



刊行物1.特開平 6-252466号公報(特許異議申立人雨山範子提出の甲第1号証)
刊行物2.特公昭63- 10593号公報(同甲第2号証)
刊行物3.特開平 2- 79508号公報(同雨山範子提出の参考資料1)
刊行物4.特公平 5- 56031号公報(同参考資料2)
刊行物5.「化学辞典」 第358頁〜第359頁、第1095頁〜第1096、株式会社東京化学同人 1994年10月1日発行 (同参考資料3)」

3.刊行物記載事項
(1)刊行物1 特開平6-252466号公報(特許異議申立人雨山範子提出の甲第1号証)
刊行物1には、図1,図9〜図12とともに、以下の事項が記載されている。
「【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明するが、まず、以下の各実施例において共通の事項をまとめて説明する。
○1 圧電体(圧電トランス用素板)
NEPEC 8[商品名、(株)ト-キン製]の焼結体を用い、所用の寸法形状に切断加工して、長板状の圧電体素板にした。
○2 電極の形成
銀75%、パラジュ-ム25%の銀-パラジュ-ムペ-ストを使用し、厚膜スクリ-ン印刷法でパタ-ン形成し、600℃で焼付けを行って電極を形成した。
○3 分極処理
150℃の絶縁油中で、厚さ方向は約1.5KV/mm、長さ方向は約1.1mmV/mの直流電界を印加し、30分間保持した。
○4 引出し線(入出力リ-ド線)の接続
機械振動の接点に相当する位置で、電極の中央部に0.1φの銅線を半田付け接続した。
【0016】(実施例1)図1は、本発明の実施例1による圧電トランスの斜視図であり、実施例1では、図1に示すようなλモ-ドの昇圧型圧電トランス(λ/2の2倍モ-ドの圧電トランス)を製作した。図1において、1は圧電体素板であり、2及び3は入力電極、4及び5は出力電極である。図1において示されている矢印は分極処理による残留分極の向きを模式的に示したものである。即ち入力部は上下の入力電極2、3面に垂直な方向に、出力部は両側面の出力電極4、5に垂直な方向であることを示す。
【0017】圧電体の寸法は、長さ75.0mm、幅20.0mm、厚さ1.6mmとした。入出力電極は中央部で間隙を残し、入力部は上下面の半分に入力電極2、3を形成し、出力部は、両側部で出力電極4、5を形成した。・・・」(第15〜17段落)
「【0033】(実施例7)図9は、本発明の実施例7による圧電トランスの斜視図であり、実施例7では、図9に示すように図1に示す実施例1の圧電トランスを多数個(本実施例7では5個)厚さ方向に積み重ねた圧電トランスを示す。この図に示す番号は実施例1と同様である。
【0034】図10は、本発明の実施例7による積層型圧電トランスの入力部を示す縦断面図である。また、図11は、実施例7による積層型圧電トランスの出力部の構造の1例を示す縦断面図であり、図12は、実施例7の出力部の構造の他の例を示す縦断面図である。
【0035】前記した実施例1〜6では、単板トランスでの事例について述べてきたが、複数枚の長板状の圧電体と表面に形成した電極よりなる圧電トランスを積層したものにおいても、何ら支障はなく前記実施例1〜6と同様の昇圧(降圧)効果を発揮することができる。」(第33〜35段落)
(2)刊行物2 特公昭63-10593号公報(特許異議申立人雨山範子提出の甲第2号証)
刊行物2には、第2図、第3図(A),(B)及び第4図とともに以下の事項が記載されている。
「第2図及び第3図Aは本発明による圧電トランスの構造例を示し、積層部20と基体部21とを有する。積層部20は図示のごとく圧電体層25と電極層・・・とを交互に配列した構造を有し、各圧電体層25の厚さ、つまり電極層の間隔dは例えば1mm程度とする。一方基体部21は図示のごとく積層部20の積層方向にもうけられ、圧電体のみにより構成される。基体部21の電極層・・・に直交する平面には図示のごとく1対の1次電極31a,31bが付着される。・・・」(第2頁第3欄第26〜36行)
「圧電体の材料としては例えば東京電気化学工業(株)製の91A材PZT素子を用いることが出来る。この素子の組成は、「PbO;60wt%、TiO2;25wt%、ZrO2;15wt%で微少組成物としてNb、Coが用いられる。」又電極層の材料としては銀-パラジウムペースト等(Pb+Pd、Ag+Pd又はAu+Pd)が用いられる。
第2図の積層部20はスクリーン印刷法により製造することが出来る。すなわち第4図に示すごとく、圧電体による基台40の上にパターン42を有するマスク41を置き、圧電磁器材料のスラリー(泥)をスキーズ(へら)43によりパターン42の上に塗布する(スクリーン印刷)。層の厚さは塗布の回数により制御することができる。次に銀-パラジウムペーストによる電極層をやはりスクリーン印刷法により塗布する。銀-パラジウムペーストの厚さは例えば1〜2μm程度とする。・・・
圧電体層と電極層の塗布を繰り返すことにより積層部が完成する。
次に電極31a,31b及び引出し電極・・・を銀-パラジウムペーストにより塗布した後、焼成する。」(第2頁第4欄第10〜38行)
(3)刊行物3 特開平2-79508号公報(特許異議申立人雨山範子提出の参考資料1)
刊行物3には、以下の事項が記載されている。
「Nepec-8(商標;東北金属工業株式会社販売)なる圧電セラミックス・・・」(第4頁左下欄第4〜5行)
(4)刊行物4 特公平5-56031号公報(特許異議申立人雨山範子提出の参考資料2)
刊行物4は、「積層圧電素子」に関するものであって、以下の事項が記載されている。
「・・・金属導電ペーストは、銀粉体、パラジウム粉体を重量比で70,30wt%で混合したのち・・・」(第2頁第3欄第44行〜同頁第4欄第2行)
(5)刊行物5 「化学辞典」(大木道則他3編集)、東京化学同人1994年10月1日発行(特許異議申立人雨山範子提出の参考資料3)
第358頁〜第359頁に「銀」の項目が記載され、「原子量 107.8682」、「密度 10.49g・cm-3(20℃)」と記載され、また、第1095頁〜第1096頁に「パラジウム」の項目が記載され、その中に、「原子量が106.42」であること、「密度 11.99g・cm-3(20℃)」であることが記載されている。

4.本件発明
上記第2 4のとおり、訂正請求は容認されたので、本件発明はその訂正請求書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された以下のとおりのものであり、以下において、訂正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明を「本件発明」という。
「【請求項1】
内部電極用の導体ペーストを印刷した後に圧電セラミックステープを積層し、熱圧着して焼成することにより得られ、交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有することを特徴とする積層型圧電トランス素子。
【請求項2】
交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有するとともに、
内部電極が素子の側面に露出しておらず、セラミック圧電体に設けられた孔に充填された導電体により内部電極が電気的に接続されており、該導電体が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ該導電体の直径が50〜200μmであることを特徴とする積層型圧電トランス素子。
【請求項3】
セラミック圧電体の導電体を充填する孔を素子の振動の節の位置に設けたことを特徴とする請求項2に記載の積層型圧電トランス素子。」

5.対比・判断
刊行物1には、「表面に銀-パラジュ-ムペ-ストを厚膜スクリ-ン印刷法でパターン形成し、焼付けにより形成した電極を表面に備えた長板状の圧電素体を複数枚積層した積層型圧電トランス」(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されており、刊行物1発明と、本件発明とを比較検討する。
刊行物1発明の、「圧電素体」及び「積層型圧電トランス」は、それぞれ、本件発明の、「セラミック圧電体」、「積層型圧電トランス素子」に相当する。
刊行物1発明においても、「電極を表面に備えた長板状の圧電素体を複数枚積層した」ものであるから、電極と電圧素体が交互に積層されていることは明らかであり、刊行物1発明の、「電極を表面に備えた長板状の圧電素体を複数枚積層した」ことは、本件発明の、「複数の内部電極」と「交互に積層された複数のセラミック圧電体」に相当する。
また、刊行物1発明の電極は電圧素体の間に実質的に挟まれており、本件発明の内部電極もセラミック圧電体の間に実質的に挟まれているから、刊行物1発明の「電極」は、本件発明の「内部電極」に相当するとともに、刊行物1発明の「銀-パラジュ-ム」は、本件発明の「Ag-Pd混合物」に相当することは当業者にとって明らかである。
したがって、本件発明と刊行物1発明とは、
「交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極がAg-Pd混合物からなることを特徴とする積層型圧電トランス素子。」の点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1
本件発明においては、「内部電極用の導体ペーストを印刷した後に圧電セラミックステープを積層し、熱圧着して焼成することにより得られ、交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子」であるのに対して、
刊行物1発明では、「表面に銀-パラジュ-ムペーストを厚膜スクリーン印刷法でパターン形成し、焼付けにより形成した電極を表面に備えた長板状の圧電素体を複数枚積層した」積層型圧電トランスである点。
相違点2
本件発明においては、「各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有する」のに対して、
刊行物1発明では、「銀-パラジュ-ムペーストを厚膜スクリーン印刷法でパターン形成し、焼付けにより形成した電極」を備える点。

以下、各相違点について検討する。
相違点1について
刊行物1発明では、「電極を表面に備えた長板状の圧電素体を複数枚積層した積層型圧電トランス」が、焼成済みの「長板状の圧電素体」の「表面に銀-パラジュ-ムペ-ストを厚膜スクリ-ン印刷法でパタ-ン形成し、焼付けにより形成した電極を表面に備えた」「長板状の圧電素体」を複数枚積層して形成されており、さらに、刊行物2には、「圧電体による基台40の上」に置いたマスクを用いて「圧電磁器材料のスラリー(泥)」を塗布し、「次に銀-パラジウムペーストによる電極層」を塗布する、即ち、圧電体層と電極層の塗布を繰り返すことにより積層部を形成した後に焼成することは記載されている(第2頁第4欄第17〜38行)ものの、基台40は、焼成前圧電セラミックシートを積層した後に焼成したか否か何ら記載されておらず、また、刊行物3ないし5にも上記の点は何ら記載も示唆もされていないから、本件発明の「内部電極用の導体ペーストを印刷した後に圧電セラミックステープを積層し、熱圧着して焼成することにより得られ、交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子」である点、即ち、「交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極」を備えた「積層型圧電トランス素子」が、「内部電極用の導体ペーストを印刷した後に圧電セラミックステープを積層し、熱圧着して焼成することにより得られ」たものである点については、刊行物1ないし5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をし得たものとすることはできない。

相違点2について
刊行物1には「銀-パラジュ-ムペ-スト」の組成が銀75%でパラジュ-ム25%のペーストが記載されているものの、金属ペーストにはバインダー等の混合物が含まれており、金属ペーストを圧電素体等の表面に塗布し、焼成すると体積(厚さ)が減少することは当業者の技術常識であり、厚さ1〜2μmの「銀-パラジュ-ムペ-スト」を焼成した後に、形成される電極層の厚さが1〜5μmの範囲内となる可能性がないわけではないものの、刊行物2では、圧電トランスの長さ方向に入力電圧を印加し、圧電トランスの厚さ方向に出力電圧を取り出す動作方式の圧電トランスであるのに対して、刊行物1の図9及びその説明に記載される圧電トランスは、圧電トランスの厚さ方向に入力電圧を印加し、幅方向に出力電圧を取り出す動作方式の圧電トランスであり、また、圧電トランスの動作方式が異なれば、圧電体と交互に積層する電極層の厚さの最適値の範囲は異なることは当業者が容易に推測でき、さらに、本件発明の内部電極の厚さ(1〜5μm)の上限値及び下限値ともに、いわゆる「ローゼン型」の積層型圧電トランス素子の特性と密接に関連したものであるから、刊行物2に記載される「銀-パラジウムペースト」電極層の厚さを単に刊行物1発明に適用することにより、当業者が、本件発明の、内部電極の厚さの範囲(1〜5μm)が適切な厚さであると容易に考えられたとはいえない。
また、「Ag-Pd混合物」について、刊行物3ないし5には記載も示唆もされていないから、本件発明の「各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有する」ことが、刊行物1ないし5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をなすことができたとはいえない。
さらに、本件発明は、「内部電極用の導体ペーストを印刷した後に圧電セラミックステープを積層し、熱圧着して焼成することにより得られ、交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極」及び「各内部電極」が「1〜5μmの厚さを有する」との構成を備えることにより、「本発明の積層型の圧電トランス素子は高いエネルギー変換効率を示し、積層型圧電トランス素子のさらに多くの用途への応用を可能とする」(特許明細書第65段落参照)という本件特許明細書記載の顕著な効果を奏するものである。

したがって、本件発明は、刊行物1ないし5に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。
よって、特許異議申立は理由がないものである。

6.特許異議申立についての判断のむすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び取消理由によっては本件特許の請求項1に係る発明についての特許を取り消すことはできない
また、他に本件特許の請求項1に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
積層型圧電トランス素子
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部電極用の導体ペーストを印刷した後に圧電セラミックステープを積層し、熱圧着して焼成することにより得られ、交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有することを特徴とする積層型圧電トランス素子。
【請求項2】
交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有するとともに、
内部電極が素子の側面に露出しておらず、セラミック圧電体に設けられた孔に充填された導電体により内部電極が電気的に接続されており、該導電体が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ該導電体の直径が50〜200μmであることを特徴とする積層型圧電トランス素子。
【請求項3】
セラミック圧電体の導電体を充填する孔を素子の振動の節の位置に設けたことを特徴とする請求項2に記載の積層型圧電トランス素子。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置のバックライト用冷陰極管の電源等に使用するのに好適な圧電トランス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
持ち運び可能なノート型パーソナルコンピュータ等に用いられる液晶表示装置用のバックライトには通常冷陰極管が発光源として用いられている。この冷陰極管を点灯させるためには1kV以上の高電圧が必要であり、発光を維持するためには数百Vの電圧が必要である。
【0003】
上記のようなノート型パーソナルコンピュータ等の製品ではその性質上、バックライト点灯用の昇圧モジュールに対しても小型化、省電力化の要請が高く、このような要請に答えるためにローゼン型の圧電トランス素子を使用した昇圧モジュールが利用されている。このような圧電トランスを使用した昇圧モジュールは同出力の巻線トランスを用いた昇圧モジュールに比べてモジュール全体の厚みを薄くできるというメリットがある。
【0004】
しかしながら、例えば長さ30mm、幅3mm、厚み2mmの寸法の単板のセラミック圧電体を用いた圧電トランス素子では、例えば2ワット出力時の昇圧比(出力電圧と入力電圧の比)は4〜6倍程度と低い。従って圧電トランスの前段に巻線の小型トランスを接続する必要があった。
【0005】
そこで最近では、積層型の圧電トランス素子が提案されている。積層型の圧電トランス素子は、入力領域が交互に積層された厚さ50〜300μm程度のセラミック圧電体と内部電極からなり、積層された内部電極が一層おきに電気的に接続されて電気的に接続された2つの群を構成しており、その2つの内部電極の群が前記入力領域の両表面に設けられた2つの外部電極にそれぞれ電気的に接続された構造を有している(例えば特開平7-302938号参照)。即ち、このような積層型の圧電トランス素子は複数の単板の圧電トランス素子を並列に接続したものに相当し、これにより高い昇圧比を得ようとするものである。
【0006】
上記のような積層型の圧電トランス素子では負荷時の昇圧比が大幅に向上し、本発明者らが圧電体1層の厚みを約80μmとして25層積層し、長さ30mm、幅3mm、厚み2mmの積層型の圧電トランス素子を作製して試験したところ、2ワット出力時の昇圧比が約80倍と桁違いに大きい昇圧比が得られた。しかしながらこのような積層型の圧電トランス素子では、トランスの変換効率、即ち出力電力を入力電力で除した値は70〜80%と、単板素子の変換効率が90%以上であるのに比較して小さいものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、変換効率の高い積層型圧電トランス素子を提供することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】
本発明者等は、上記のような積層型の圧電トランス素子は、使用されるセラミック圧電体に比べて柔らかい導電体を多く含むと圧電トランス素子に与えられた振動が吸収されやすく、結果としてその変換効率が低下することを見出した。即ち、内部電極をなるべく硬度の高いものとし、かつその厚さを薄くすることにより積層型圧電トランス素子の変換効率を改善できることを見出したものである。従って本発明は、上記の知見に基づき、内部電極用の導体ペーストを印刷した後に圧電セラミックステープを積層し、熱圧着して焼成することにより得られ、交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有することを特徴とする積層型圧電トランス素子を提供するものである。
【0009】
また、上記のような積層型圧電トランス素子において複数の内部電極を1層おきに電気的に接続する場合、圧電トランス素子の側面に露出した部分でその接続を得るようにすると、特に圧電トランス素子の分極処理を空気中で行う場合、素子側面に露出した内部電極間で放電が起こって絶縁が破壊され、分極処理が完全になされないことがあるという問題があった。この問題に対し本発明者等は、内部電極を素子側面に露出しないようにし、圧電体の内部電極が積層される位置に予め設けた孔に導電体(バイア導体)を充填することにより内部電極間の電気的接続を得る構造の積層型圧電トランス素子を既に提案している(特願平8-52553号)。
【0010】
このような構造は本発明にも使用することができるが、上記のようなバイア導体を内部に有する圧電トランス素子においては、内部電極と同様にバイア導体が圧電トランス素子の固有振動を吸収しやすく、変換効率を低下させていることが見出された。そしてこの問題は上記の内部電極と同様にバイア導体をなるべく硬度の高いものとし、バイア導体の直径を一定の値以下にすることによりそのような構造の積層型圧電トランス素子の変換効率を改善できることを見出したものである。
【0011】
従って本発明の積層型圧電トランス素子の好適な態様は、交互に積層された複数のセラミック圧電体と複数の内部電極からなる入力領域を有する積層型圧電トランス素子において、各内部電極が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ1〜5μmの厚さを有するとともに、内部電極が素子の側面に露出しておらず、入力領域のセラミック圧電体に設けられた孔に充填された導電体により内部電極が電気的に接続されており、該導電体が20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなり、かつ該導電体の直径が50〜200μmであることを特徴とする。
【0012】
【作用】
圧電トランスの変換効率は、素子のQm(機械的品質係数)と密接な関係がある。ローゼン型圧電トランスの昇圧比の公式を用いて、エネルギーロスとQmとの関係式を導くことができ、これによればQmが大きくなるほどエネルギーロスが小さくなり、変換効率は向上する。
【0013】
Qmは与えた振動の減衰のしにくさを表しており、与えた振動が減衰しにくければ、振動を継続させるために与え続けなければならないエネルギーが小さくてすみ、変換効率が高くなるのである。
【0014】
圧電トランス素子に使用される圧電体の材料自体は高いQmを有する材料を用いることが常識である。例えばPZT系の圧電体セラミックであれば、FeやMnを徴量添加することで高いQmを有する圧電体材料が得られる。しかし積層型の圧電トランス素子の場合は、圧電体の間に挿入される内部電極が必ず必要である。
【0015】
本発明の積層型圧電トランス素子においては、内部電極に振動を吸収しにくい特定の組成のAg-Pd混合物を使用し、特定の厚さとすることによって素子全体のQmを高いものとし、素子の変換効率の上昇を図るものである。
【0016】
また本発明の好適な態様においては、入力領域のセラミック圧電体に設けられた孔に充填された導電体により内部電極間を電気的に接続するが、この導電体によっても振動が吸収されるので、導電体の組成を上記の内部電極と同様のものとし、またその直径を特定の大きさよりも小さいものとすることにより素子の変換効率の上昇を図るものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0018】
本発明の積層型圧電トランス素子の構造自体は、従来公知の任意のものとすることができるが、例えば図1に示したようなλモードで振動するローゼン型の圧電トランス素子とすることができる。
【0019】
図1に示した本発明の積層型圧電トランス素子1は、全体として矩形板(平板状の直方体)の形状のローゼン型の圧電トランス素子であり、ほぼ半分ずつの大きさを有する入力領域2と出力領域3からなる。入力領域2においては、セラミックス圧電体7と内部電極6a及び6bとが交互に積層され(セラミックス圧電体は内部電極の数より1多い数だけ積層される)、上面及び下面に入力用外部電極4を有し、その圧電体は厚み方向(図1において上下方向)に分極されている。出力領域3は、入力領域と逆の側の端部面に出力用外部電極5を有し、またその圧電体は長さ方向(図1において左右方向)に分極されている。
【0020】
入力領域2の交互に積層された内部電極6a及び6bは1つおきに電気的に接続され、即ち、内部電極6a同士、内部電極6b同士が電気的に接続されて電気的に接続された2つの群、内部電極6aの群と内部電極6bの群を形成し、それぞれの群が入力領域の上下の電極4のそれぞれに電気的に接続されている。
【0021】
図1に示した圧電トランス素子では、素子の入力領域側の端部の2つの隅の一方の部分において内部電極の隅が直角三角形に切り欠かれている(内部電極6aと6bとでは逆の隅が切り欠かれている)ことを除いては、入力領域の内部電極と圧電体は同じ平面形状を有し、内部電極が素子側面に露出している。素子の入力領域側の端部の2つの隅の外側にそれぞれ内部電極接続用導体8が設けられ、内部電極6a間、並びに内部電極6b間を電気的に接続し、さらにそれらを外部電極4の一方にそれぞれ電気的に接続している。
【0022】
内部電極の電気的接続は、図1に示すように内部電極接続用導体8により圧電トランス素子側面に露出した内部電極の端部で行ってもよいが、好ましくは本発明者等が上記特願平8-52553号において開示したように圧電体の入力領域平面内部に設けられた孔に充填された導電体により行う。そして内部電極の平面形状を圧電体よりもやや小さいものとし、積層したときに内部電極が素子側面に露出しないようにすることにより、上記したような内部電極が素子側面に露出していることにより起こる問題を回避することができる。
【0023】
このような構造においては、入力領域の各圧電体は、電気的に接続される内部電極の2つの群のそれぞれのための2つの導体を収容する2つの孔を有する。これらの圧電体の2つの孔は、それぞれの圧電体において、そこに充填された導電体が積層された内部電極と接触し、後の焼成時に一体化されて内部電極を電気的に接続できるような圧電体入力領域内の任意の位置に設けることができるが、通常は積層される各圧電体の同じ位置に設けられたバイアホールとする。これらの孔中には上記のように導電体(バイア導体)を充填する。
【0024】
これらの圧電体の入力領域に相当する部分の間にはそれぞれ内部電極を積層する。各内部電極には、積層される圧電体中の2つの導電体のいずれか一方に対応する位置に導電体よりも大きい直径の孔を1個設ける。この内部電極の孔は、内部電極を圧電体を介して積層したときに、積層した順に上記の圧電体の2つの導電体のそれぞれに対応する位置に交互に存在するように設け、内部電極が一つおきに電気的に接続されるようにする。即ち、一つの内部電極においては、上記圧電体の導電体の一方に対応する位置で導電体よりも大きい直径の孔が設けられており、その内部電極は両側の圧電体のその位置の導電体と接続されず、一方、圧電体の他方の導電体に対応する位置には孔が設けられておらず、両側の圧電体中のその位置の導電体と接続される。そしてその隣の内部電極においては、前記各圧電体中の2つの導電体について逆のパターンで孔が設けられる。このような構造とすることにより内部電極の一層おきの電気的接続が得られる。また、特にこのような構造により内部電極の電気的接続を得る場合には上記の通り内部電極が外部に露出しないように圧電体よりもやや小さい寸法のものとする。
【0025】
図2に、上記のような構造を有する本発明の積層型圧電トランス素子の、一方のバイアホール及びそれに充填されたバイア導体9の部分を含む、素子の長さ方向の概略断面図を、図3に2つのバイアホール及びそれに充填されたバイア導体9の部分を含む、素子の幅方向の概略断面図をそれぞれ示す。これらの図に示した本発明の積層型圧電トランス素子においては、上記のように2つの異なるパターンで孔を設けた複数の内部電極6a’及び6b’が圧電体7を介して交互に積層されており、内部電極6a’同士及び内部電極6b’同士が電気的に接続されている。
【0026】
上記のような構造の本発明の積層型圧電トランス素子においては、2つの入力用外部電極4の間に、素子の材質及び振動方向の長さから求められる共振周波数に対応する周波数の交流電圧を印加すると、逆圧電効果によって前記共振周波数で圧電トランス素子全体が機械的に振動し、定在波が形成される。λモードで振動する場合、定在波の振動の節(ノード点)は素子の両端部から素子の長さの4分の1の距離(素子の長さをLとするとL/4)の位置に存在する。そしてこの定在波による圧電効果により、入力用外部電極4と出力用外部電極5の間から交流電圧が取り出せるようになる。圧電トランス素子では、入力電極間の距離よりも入力電極及び出力電極間の距離の方が長くなるように形成されているので、入力電極と出力電極との間に生じる電圧は入力電極間に印加された電圧よりも昇圧される。
【0027】
本発明の積層型圧電トランス素子の寸法等は従来の公知の積層型圧電トランス素子と同様のものでよく、一般的には長さ20〜50mm、幅4〜15mm、厚さ1〜3mm程度の寸法を有し、入力領域においては50〜300μm程度の厚さの圧電体を10〜30層程度積層する。圧電体を形成するセラミックス自体も従来公知のものでよく、例えばチタン酸ジルコン酸鉛系(PZT)セラミックスにより形成される。
【0028】
本発明の積層型圧電トランス素子においては、内部電極を20〜80重量%のPdを含むAg-Pd混合物からなるものとする。
【0029】
セラミックス誘電体を積層する場合、電極材料としてはAg、Ag-Pd混合物、Ag-Pt混合物、Pd、Pt、Cu、Ni等が一般的に用いられる。しかし圧電トランスに利用されるPb系の圧電体(Pb(Zr,Ti)O3等)は酸素が存在する雰囲気で1000℃以上の温度で焼成する必要があるため、これと共に焼成しようとするとAg、Cu、Niは用いることができない。また、Ptは高価であるためこれのみで用いられることは少なく、通常Ag-Pt混合物やAg-Pd混合物の形態の導電体が用いられることが多い。
【0030】
本発明においては、変換効率向上の点から特にAg-Pd混合物を選択し、さらにPdを20重量%以上、80重量%以下含むものを使用する。
【0031】
Ag-Pd混合物は一般にAg-Pt混合物よりも高い硬度が得られるが、Ag-Pd混合物においても、Pd含有量が20重量%未満であると内部導電体(電極)の「硬度」が不足するためと思われるQmの低下が起こり、変換効率向上の効果が低くなる。また、Pd量が80重量%を越えると焼成後に導電体が繊密にならなくなるため、やはりQmが低下し、変換効率は向上しなくなる。
【0032】
内部電極の厚みも同様にQmに影響を及ぼし、この影響の程度は圧電トランス素子自体の寸法や、内部電極の積層される数にもよるが、上記のような一般的な寸法と積層数を有する本発明の積層型圧電トランス素子においては特に1〜5μmとする。
【0033】
Ag-Pd導体をセラミックス圧電体間に積層すると、基本的にセラミックス圧電体単体よりもQmが低下する。上記のような寸法及び積層数の圧電トランス素子においては1層の内部電極の厚みが5μmより厚いとこの低下が無視できなくなり、変換効率の低下が許容できないものとなる。一方、1μmより薄いと、圧電体と同時に焼成されたときに導電体金属が表面張力により丸くなろうとし、網の目状の導電体となってしまい、結果として連続した1枚の導電体として機能できなくなる。このような導電体では一様に電界を印加することは不可能であり、圧電体の電気-機械エネルギー変換能力を十分に引き出すことができず、変換効率が低下する。
【0034】
また上記のように内部電極の電気的接続をバイア導体により得る構造とする場合、バイア導体により素子の振動が吸収され、素子の変換効率が低下する。そこでこのような構造の場合には、上記に内部電極について述べたのと同様の理由から、バイア導体もPdを20重量%以上、80重量%以下の量で含むAg-Pd混合物とすることが好ましい。またバイア導体の直径が大きくなると素子の振動が吸収されやすくなるので、本発明においてはその直径を200μm以下とする。また、直径が50μmよりも小さいと導体抵抗が無視できない程高くなって素子全体のインピーダンスが高くなり、結果的にQ値が低下し、変換効率が低下する。
【0035】
上記のように内部電極間の接続のためにバイア導体を設ける場合、バイア導体は素子の入力領域平面内の任意の位置に設けることができるが、好ましくは素子の振動の節の位置に設ける。このような素子の振動の最も少ない位置にバイア導体を設けることにより、導電体の振動による劣化を最小限にすることができる。また、バイア導体による素子の振動の吸収を最小限にすることができる。
【0036】
上記のような構造を有する本発明の積層型圧電トランス素子を製造する方法は特に限定されないが、例えば公知の低温焼成多層セラミック基板の製造方法を使用して製造することが好ましい。以下に、公知の低温焼成多層セラミック基板の製造方法を使用した、本発明の圧電トランス素子の製造方法の概略を示す。
【0037】
図1に示したような外部導体で内部電極間の電気的接続を取る構造の本発明の圧電トランス素子の場合、先ずドクターブレード法等により形成した圧電セラミックステープを焼成後に素子の所望の平面寸法が得られるような寸法に切断したものを用意する。この場合圧電セラミックステープは、複数の圧電体を積層した後に形成された積層体を切断して複数の素子が得られるような、所望個数の素子の平面寸法に対応する寸法(積層、焼成及び切断後に所望寸法の素子が所望個数だけ得られるような寸法)のものとしてもよい。このようなセラミックステープ上にメッシュマスクを用いて内部電極用の導体のペーストを内部電極の形状に圧電セラミックステープ上に印刷する。このとき、内部電極は例えば素子入力領域側端部の片側の隅に切り欠きを設ける以外は入力領域の全面に設ける。この場合内部電極の切り欠きは入力領域側端部の右の隅または左の隅に設けたものの2パターンを用意する。この2つのパターンで内部電極を印刷した圧電セラミックステープを交互に所望の数だけ同数積層し、最後に内部電極を印刷していない圧電セラミックステープを内部電極が露出している側に積層する。そして積層された内部電極を有する圧電セラミックステープを相互に熱圧着し、焼成し、必要により切断、研削等の加工を行い、Agペーストを焼き付けること等により外部電極及び内部電極接続導体を設け、分極処理することにより本発明の積層型圧電トランス素子を得ることができる。
【0038】
また、図2及び図3に示したようなバイア導体により内部電極を接続した構造の本発明の圧電トランス素子の場合は、先ず入力領域の圧電体の1層に相当するドクターブレード法等により形成した圧電セラミックステープにバイアホールに対応する孔を開けたものを用意する。この場合も、圧電セラミックステープは、複数の圧電体を積層した後に形成された積層体を切断して複数の素子が得られるような、所望個数の素子の平面寸法に対応する寸法のものとすることができる。図4に示した圧電セラミックステープ10は、積層して得られた積層体を焼成した後に切断して4個の圧電トランス素子を得るために、2個1組で8個の孔11を設けたものである。次にこれらの孔にバイア導体のペーストをメタルマスク等を用いた印刷法により充填する。図5は、圧電セラミックステープ10の孔11にバイア導体のペースト12を充填したところを部分断面図により示すものである。その後、メッシュマスクを用いて内部電極用の導体のペーストを内部電極6a’、6b’の形状に圧電セラミックステープ上に印刷する(図6)。このとき、積層したときに素子の側面に内部電極6a’、6b’が露出しないようにその外形を圧電体よりも小さいものとする。また2つの孔の部分においては、その孔を通るバイア導体を電極に接続しない場合はバイア導体よりも大きい孔を設ける。そして他方のバイア導体に対応する位置ではベタで印刷し、電極がバイア導体と接続されるようにする。2個のバイア導体のいずれか一方の部分に孔を設けた2種の電極のパターンを有するもの(例えば図6(a)及び(b)に示したもの)を製造しこれを交互に積層する。内部電極側を上面として、例えば図6(a)及び(b)に示したものをそれぞれパターンA及びBとすると、例えばBABA…BABのようにパターンBが上下にくるように所望数だけ積層し、さらにその下にはパターンAのもので電極に孔が設けられていない方の孔に対応する位置にはバイア導体が形成されておらず圧電セラミックスのままのものを積層し、上にはパターンBの電極が接続される側のバイア導体に対応する位置が圧電セラミックスのままのもので内部電極も設けられていない上記と同様のセラミック圧電体を積層する。そして積層された圧電セラミックステープを熱圧着し、焼成し、必要により切断、研削等の加工を行い、Agペーストを焼き付けること等により外部電極を設け、分極処理することにより本発明の積層型圧電トランス素子を得ることができる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を非限定的な実施例及び比較例によりさらに詳細に説明する。
【0040】
実施例1〜5
Pb(Zr,Ti)O3系の圧電材料粉末100重量部に対し水25重量部、エマルション型のアクリル系バインダ10重量部を配合し、ボールミルでスラリーを作製した。このスラリーからドクターブレード装置を用いて乾燥後の厚みが130μmのテープを成形し、焼成後のテープの厚さが約100μmとなるようにした。
【0041】
得られたテープを長さ100mm、幅100mmの矩形にカットした後、印刷用フレームに貼り、スクリーンマスクを用いてその上に表1に示したAg/Pd重量比の内部電極を、素子の入力領域となる部分に印刷した。但し内部電極は、積層、焼成及び積層体の切断後に入力領域側端部の左右の隅のいずれかに隅を頂角部分とする2辺が2mmの直角三角形の内部電極の切り欠きが形成されるように、2種類のパターンで印刷した。
【0042】
スクリーンマスクの乳剤厚み及びペーストの固形分濃度を変えて印刷して、焼成後の内部電極の厚みが表1に記載した所定の厚みとなるようにした。
【0043】
上記の2種のパターンで内部電極を印刷したテープを交互に各10層ずつ重ね、さらに内部電極が露出している側に、内部電極を印刷していない上記と同様の圧電セラミックステープを積層した。
【0044】
これを100℃、30MPaの条件で熱圧着し、空気中1150℃で2時間焼成した。
【0045】
得られた焼成体を長さ48mm、幅10mmに切断し、入力領域上下面及び出力領域端部面の外部電極をAgペーストで印刷し、700℃にて焼きつけた。入力用外部電極については、それぞれ隣接する内部電極と左右逆のパターンで同様の直角三角形の切り欠きを設けた。さらに、入力領域端部の2つの角の外側にそれぞれ厚み方向全体にわたって、幅方向及び長さ方向の側面にそれぞれ1mmの幅を有する内部電極用接続導体を、外部電極と同様にAgペーストで印刷し、700℃で焼きつけた。
【0046】
この結果、図1に示したような形態で内部電極が外部電極に電気的に接続された分極前の素子が得られた。
【0047】
この分極前の素子を、入力領域について、空気中250℃で、3MV/mの電界強度(300V/100μm)で分極処理し、さらに入力電極を短絡させ、空気中250℃で、0.8MV/mの電界強度(19kV/24mm)で出力領域を分極処理して本発明の積層型圧電トランス素子を得た。
【0048】
このようにして得た積層型圧電トランス素子の出力側に50kΩの負荷抵抗及び電流計、電圧計を接続し、また入力側に電源及び同様に電流計、電圧計を接続し、2ワットの一定出力に保ちながら入力電力と出力電力を測定し、変換効率を算出した。表1に結果を示す。
【0049】
変換効率を測定した後、積層型圧電トランス素子を切断し、電子顕微鏡により内部電極の厚みを測定してそれぞれが所定の値にあることを確認した。
比較例1〜5
表1に示したAg-Pdの組成比を使用し、内部電極の厚さが表1に示したものになるようにして、実施例と同様に積層型の圧電トランス素子を製造した。
【0050】
実施例と同様にして変換効率を測定し、また内部電極の厚みを測定した。この結果も表1に示す。
【0051】
【表1】

表1に示した結果から判る通り、内部電極のAg/Pd比が80/20〜20/80の範囲にあり、かつ厚さが1〜5μmの範囲にある場合に圧電トランスの変換効率が85%以上となり、上記範囲外の比較例と比べて変換効率が有意に改善されることは明らかである。
【0052】
実施例6〜12
Pb(Zr,Ti)O3系の圧電材料粉末100重量部に対し水25重量部、エマルション型のアクリル系バインダ10重量部を配合し、ボールミルでスラリーを作製した。このスラリーからドクターブレード装置を用いて乾燥後の厚みが130μmのテープを成形し、焼成後のテープの厚さが約100μmとなるようにした。
【0053】
得られたテープを長さ100mm、幅100mmの矩形にカットした後、印刷用フレームに貼り、パンチング装置を用いて層間接続用導体(バイア導体)を充填するための円形の孔(バイアホール)を、焼成後にそれぞれ表1に示す直径になるような大きさで所定位置に穿孔した。バイアホールは、焼成、切断後に、素子をλモードで振動させたときに節の位置となる、素子の長さ方向の端部から12mmの位置に幅方向に2mmの間隔を空けて位置するように設けた。
【0054】
表2に示すように組成比を変えたAg-Pd混合物に有機バインダ等を加えて作製したバイア導体ペーストをメタルマスクを用いた印刷法によって前記孔に充填し、乾燥させ、さらにスクリーンマスクを用いてその上にバイア導体と同じAg/Pd比の内部電極を、後で切り出した時に側面にはみ出さないように図6(a)及び(b)に示したような形態(パターンA及びB)で、焼成後に長さ23.5mm、幅9mmの寸法を有し、対応するバイア導体と同心でバイア導体よりも約1mm大きい直径の円形の孔を1個有するように印刷した。
【0055】
スクリーンマスクの乳剤厚みおよびペーストの固形分濃度を変えて印刷して、内部電極の厚みが表2に記載した所定の厚みとなるようにした。
【0056】
内部電極側を上面として、パターンBが上下にくるようにパターンBを10枚、パターンAを9枚交互に積層し、さらにその下に最下層としてパターンAのもので、但しパターンAの電極が接続される方のバイア導体が設けられていない(圧電セラミックスのまま)ものを積層し、上には最上層として内部電極を印刷していない上記と同様のセラミックステープで、但しパターンAの電極が接続される方のバイア導体のみが形成されたものを積層した。
【0057】
これを100℃、30MPaの条件で熱圧着し、空気中1150℃で2時間焼成した。
【0058】
これらのサンプルを内部電極が側面に露出しないように長さ48mm、幅10mmに切断し、入力領域上下面及び出力領域端部面の外部電極をAgペーストで印刷し、700℃で焼きつけた。この結果、図2及び図3に示したような形態で内部電極が外部電極に電気的に接続された分極前の素子が得られた。
【0059】
この分極前の素子を、入力領域(積層側)について、空気中250℃で、3MV/mの電界強度(300V/100μm)で分極処理し、さらに入力電極を短絡させ、空気中250℃で、0.8MV/mの電界強度(19kV/24mm)で出力領域を分極処理して本発明の積層型圧電トランス素子を得た。
【0060】
このようにして得た積層型圧電トランス素子の出力側に50kΩの負荷抵抗及び電流計、電圧計を接続し、また入力側に電源及び同様に電流計、電圧計を接続し、2ワットの一定出力に保ちながら入力電力と出力電力を測定し、変換効率を算出した。表2に結果を示す。
【0061】
変換効率を測定した後、積層型圧電トランス素子を切断し、電子顕微鏡にてバイアホールの直径及び内部電極の厚みを測定してそれぞれが所定の値にあることを確認した。
【0062】
比較例6〜13
表2に示したAg-Pdの組成比を使用し、内部電極の厚さ、バイアホールの直径を表2に示したものになるようにして、実施例6〜12と同様に積層型の圧電トランス素子を製造した。
【0063】
実施例6〜12と同様にして変換効率を測定し、またバイアホールの直径及び内部電極の厚みを測定した。この結果も表2に示す。
【0064】
【表2】

表2に示した結果から判る通り、内部電極のAg/Pd比が80/20〜20/80、厚さが1〜5μm、及びバイア導体直径が50〜200μmの範囲にある場合は圧電トランスの変換効率が85%を超え、上記範囲外の比較例と比べて有意に改善されることは明らかである。
【0065】
【発明の効果】
以上詳細に述べたように、本発明の積層型の圧電トランス素子は高いエネルギー変換効率を示し、積層型圧電トランス素子のさらに多くの用途への応用を可能とするものである。
【0066】
また、本発明の好ましい態様におけるように、内部電極間の電気的接続を素子内部に設けられるバイア導体で得るようにすれば、内部電極を外部に露出しないようにすることができ、素子の分極処理を空気中で行っても絶縁が破壊されることがなく、製造上有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の積層型圧電トランス素子の一実施例の概略斜視図である。
【図2】 本発明の積層型圧電トランス素子の一実施例の構造を示す概略断面図である。
【図3】 本発明の積層型圧電トランス素子の一実施例の構造を示す概略断面図である。
【図4】 本発明の積層型圧電トランス素子の製造過程を示す図である。
【図5】 本発明の積層型圧電トランス素子の製造過程を示す図である。
【図6】 本発明の積層型圧電トランス素子の製造過程を示す図である。
【符号の説明】
1‥‥積層型圧電トランス素子、
2‥‥積層型圧電トランス素子の入力領域、
3‥‥積層型圧電トランス素子の出力領域、
4‥‥入力用外部電極、
5‥‥出力用外部電極、
6a…内部電極、
6b…内部電極、
6a’‥内部電極、
6b’‥内部電極、
7‥‥セラミックス圧電体、
8‥‥内部電極接続用導体、
9‥‥内部電極接続用バイア導体、
10…圧電セラミックステープ、
11…バイアホール、
12…導電体ペースト。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-04-26 
出願番号 特願平8-201737
審決分類 P 1 652・ 121- YA (H01L)
P 1 652・ 851- YA (H01L)
P 1 652・ 853- YA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岡 和久  
特許庁審判長 河合 章
特許庁審判官 河本 充雄
橋本 武
登録日 2003-03-20 
登録番号 特許第3411757号(P3411757)
権利者 太平洋セメント株式会社
発明の名称 積層型圧電トランス素子  
代理人 高山 宏志  
代理人 高山 宏志  

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