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審決分類 審判 一部申し立て 特39条先願  C08F
審判 一部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  C08F
審判 一部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  C08F
審判 一部申し立て 2項進歩性  C08F
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C08F
審判 一部申し立て 発明同一  C08F
管理番号 1121153
異議申立番号 異議2003-73667  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-08-01 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-30 
確定日 2005-06-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3432020号「プロピレン単独重合体およびプロピレン共重合体」の請求項3、4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3432020号の請求項3、4に係る特許を維持する。 
理由 [1].手続きの経緯
本件特許第3432020号に係る発明は、平成6年11月29日に特許出願(優先日 平成5年11月29日 日本)され、平成15年5月23日に特許権の設定登録がなされ、その後、日本ポリプロ株式会社(以下、「特許異議申立人」という。)より請求項3及び4に係る特許について特許異議の申立がなされ、平成16年7月27日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年10月5日に特許異議意見書及び訂正請求書が提出されたものである。

[2].訂正の適否
1.訂正の内容
訂正事項a
請求項3の
「(i)プロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが99.0〜99.7%であり、(ii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.10〜0.20%であり、(iii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が0.1〜20dl/gの範囲にあるプロピレン単独重合体。」を
「(i)プロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが99.0〜99.7%であり、(ii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.10〜0.18%であり、(iii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が1〜20dl/gの範囲にあるプロピレン単独重合体。」と訂正する。
訂正事項b
請求項4の
「(i)エチレン単位を50モル%以下の量で含み、(ii)頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが98.0〜99.3%であり、(iii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.09〜0.20%であり、(iv)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が0.1〜20dl/gの範囲にあるプロピレン共重合体。」を
「(i)エチレン単位を50モル%以下の量で含み、(ii)頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが98.0〜99.3%であり、(iii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.12〜0.20%であり、(iv)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が0.1〜20dl/gの範囲にあるプロピレン共重合体(ただし、(a)プロピレン単位を70〜90モル%、エチレン単位を10〜30モル%含んでなり、(b)13C-NMRにより求められる、頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部のメソトリアドタクシティーが96.7%以上であり、(c)13C-NMRにより求められる、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.05〜0.3%であり、(d)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜12dl/gの範囲にあることを特徴とするポリプロピレン系エラストマーを除く)。」と訂正する。
訂正事項c
段落「【0015】の
「本発明に係る第2のプロピレン単独重合体は、(i)プロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが99.0〜99.7%であり、(ii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.10〜0.20%であり、(iii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が0.1〜20dl/gの範囲にあることを特徴としている。」を
「本発明に係る第2のプロピレン単独重合体は、(i)プロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが99.0〜99.7%であり、(ii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.10〜0.18%であり、(iii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が1〜20dl/gの範囲にあることを特徴としている。」と訂正する。
訂正事項d
段落【0016】の
「本発明に係る第2のプロピレン共重合体は、(i)エチレン単位を50モル%以下の量で含み、(ii)頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが98.0〜99.3%であり、(iii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.09〜0.20%であり、(iv)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が0.1〜20dl/gの範囲にあることを特徴としている。」を
「本発明に係る第2のプロピレン共重合体は、(i)エチレン単位を50モル%以下の量で含み、(ii)頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが98.0〜99.3%であり、(iii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.12〜0.20%であり、(iv)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が0.1〜20dl/gの範囲にあることを特徴としている(ただし、(a)プロピレン単位を70〜90モル%、エチレン単位を10〜30モル%含んでなり、(b)13C-NMRにより求められる、頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部のメソトリアドタクシティーが96.7%以上であり、(c)13C-NMRにより求められる、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.05〜0.3%であり、(d)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜12dl/gの範囲にあることを特徴とするポリプロピレン系エラストマーを除く)。 」と訂正する。
訂正事項e
段落【0154】の「【実施例6】」を「【参考例1】」と、
段落【0156】の「【実施例7】」を「【参考例2】」と、
段落【0158】の「【参考例1】」を「【参考例3】」と、及び
段落【0160】の「【実施例2】」を「【参考例4】」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項aは請求項3についての次の2つの訂正を含んでいる。
(イ)訂正事項a-1
「2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.10〜0.20%」を「2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.10〜0.18%」とする訂正
(ロ)訂正事項a-2
「135℃、デカリン中で測定した極限粘度が0.1〜20dl/g」を「135℃、デカリン中で測定した極限粘度が1〜20dl/g」とする訂正
そこでまず、これらの訂正事項a-1及びa-2について検討する。
(イ)訂正前の明細書には「プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は、0.5%以下、 好ましくは0.18%以下、より好ましくは0.15%以下であることが望ましい。」(段落【0026】)と記載されており、訂正事項a-1はこの記載に基づいてプロピレンモノマーの「2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合」という特性値の範囲をより限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的として、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてされたものである。
(ロ)訂正前の明細書には「135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.1〜20dl/g、好ましくは0.5〜10dl/g、より好ましくは1〜5dl/gの範囲にあることが望ましい。」(段落【0027】)と記載されており、訂正事項a-2はこの記載に基づいてプロピレンモノマーの「135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]」という特性値の範囲をより限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的として、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてされたものである。
(2)訂正事項bは請求項4についての次の2つの訂正を含んでいる。
(ハ)訂正事項b-1
「2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.09〜0.20%」を「2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.12〜0.20%」とする訂正
(ニ)訂正事項b-2
「プロピレン共重合体」後に「(ただし、(a)プロピレン単位を70〜90モル%、エチレン単位を10〜30モル%含んでなり、(b)13C-NMRにより求められる、頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部のメソトリアドタクシティーが96.7%以上であり、(c)13C-NMRにより求められる、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.05〜0.3%であり、(d)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜12dl/gの範囲にあることを特徴とするポリプロピレン系エラストマーを除く)。」を加入する訂正
これらの訂正事項b-1及びb-2について以下に検討する。
(ハ)訂正前の明細書には「プロピレンモノマーの 2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は0.12%」(段落【0151】、【0153】)との実施例が示されており、訂正事項b-1はこの記載に基づいてプロピレンモノマーの「2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合」という特性値の範囲をより限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的として、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてされたものである。
(ニ)訂正事項b-2は、特許法第39条第1項違反との取消理由で引用された特願平6-146415号(特開平7-149833号)に係る発明に相当する部分を本件請求項4の記載事項から削除して、当該取消理由を回避しようとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的として、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてされたものである。
(3)訂正事項c〜eは、訂正事項a及びbによる特許請求の範囲の訂正に伴い、対応する発明の詳細な説明の項の記載をこの訂正と整合させるための訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的として、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてされたものである。

また、これらの訂正はいずれも、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものではない。

3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成16年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項および第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

[3].本件発明
上記の結果、訂正後の本件請求項3及び4に係る発明(以下、「本件発明3」及び「本件発明4」という。)は、訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項3及び4に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。

「【請求項3】(i)プロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが99.0〜99.7%であり、(ii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.10〜0.18%であり、(iii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が1〜20dl/gの範囲にあるプロピレン単独重合体。
【請求項4】(i)エチレン単位を50モル%以下の量で含み、(ii)頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが98.0〜99.3%であり、(iii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.12〜0.20%であり、(iv)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が0.1〜20dl/gの範囲にあるプロピレン共重合体(ただし、(a)プロピレン単位を70〜90モル%、エチレン単位を10〜30モル%含んでなり、(b)13C-NMRにより求められる、頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部のメソトリアドタクシティーが96.7%以上であり、(c)13C-NMRにより求められる、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.05〜0.3%であり、(d)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜12dl/gの範囲にあることを特徴とするポリプロピレン系エラストマーを除く)。」

[4].特許異議の申立についての判断
[4-1].特許異議申立人の主張
特許異議申立人は、甲第1〜6号証及び参考資料1〜5を提出して、概略、次の理由により訂正前の本件請求項3及び4に係る特許は取り消されるべきである旨、主張する。
(1)訂正前の請求項3に係る発明は甲第1号証に、また、訂正前の請求項4に係る発明は甲第2号証に、それぞれ記載された発明であるから、いずれも特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2)訂正前の請求項3に係る発明は甲第1号証に記載された発明に基づいて、また、訂正前の請求項4に係る発明は甲第2号証に記載された発明に基づいて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるから、いずれも特許法第29条第2項の規定に違反し、
(3)訂正前の請求項4に係る発明は、本件の出願日前の出願に係る特願平6-146415号(以下、「先願1」という。特開平7-149833号公報(甲第3号証)参照。)に係る発明と同一であるから、特許法第39条第1項の規定に違反し、特許を受けることができない。
(4)訂正前の請求項3に係る発明は、本件の出願前の出願であって本件の出願後に公開された特願平5-301854号(以下、「先願2」という。特開平6-239934号公報(甲第4号証)参照。)の願書に最初に添付した明細書(以下、「先願2明細書」という。)に記載された発明と同一であり、訂正前の請求項3に係る発明の発明者と先願2明細書に記載された発明の発明者は同一ではなく、また、本件の出願の時に本件の出願人と先願2の出願人とが同一でもないから、特許法第29条の2の規定に違反し、特許を受けることができない。
(5)訂正前の明細書の記載には不備があるから、訂正前の請求項3及び4に係る特許は、特許法第36条第4項、第5項第2号及び第6項に規定された要件を満たしていない出願についてされたものである。

[4-2].合議体の判断
[4-2-1].取消理由
当審において平成16年7月27日付けで通知した取消理由の概要は、特許異議申立人が申し立てた上記理由(1)、(3)、(4)及び(5)と同旨であり、引用した刊行物等は以下のとおりである。

<刊行物等>
刊行物1:特開平5-209013号公報(特許異議申立人が提出した甲第1号証)
刊行物2:特開平5-148284号公報(同、甲第2号証)
先願1:特願平6-146415号〔特開平7-149833号公報(同、甲第3号証)参照。〕
先願2:特願平5-301854号〔特開平6-239934号公報(同、甲第4号証)参照。〕
実験報告書1:日本ポリプロ株式会社 重合技術センター 内野 英史 作成の平成15年12月22日付け実験報告書(同、甲第5号証)
実験報告書2:日本ポリプロ株式会社 重合技術センター 内野 英史 作成の平成16年1月21日付け実験報告書(同、甲第6号証(平成16年1月27日提出の「特許異議申立て上申書」に添付。)
参考資料1:「高分子分析ハンドブック」,(株)朝倉書店,1987.7.25,p.252-253(同、参考資料1)
参考資料2:高木 謙行 外1名編著「プラスチック材料講座〔7〕 ポリプロピレン樹脂」,日刊工業新聞社,S.44.11.30,p.46-49(同、参考資料2)
参考資料3:「mmと2,1-量バランス(重合温度の影響)」と題するグラフ(同、参考資料3)
参考資料4:Toshiyuki Tsutsui et al.”Propylene homo-and copolymerization with ethylene using an ethylenebis(1-indenyl)zirconium dichloride and methylaluminoxane catalyst system”POLYMER,1989,Vol.30,July,p.1350-1356 (同、参考資料4)
参考資料5:本件の審査過程において提出された平成14年10月16日付け意見書の写し(同、参考資料5)

<刊行物等の記載事項>
刊行物1
(1-1)「一般式(1)で示されるメタロセン化合物

[式(1)中Mは、Ti、Zr、Hfのいずれかの遷移金属を意味する。X1 及びX2 は、互いに同じでも異なってもよく、水素原子、炭素原子数1から10の炭化水素基、または、アルキルシリル基、ハロゲン原子を意味する。R1 、R2 、R3 、R6 、R7 は、水素原子、炭素原子数1から10の炭化水素基、アルキルシリル基を意味し、R1 、R2 のうちどちらか一方は水素原子でない。また、R4 、R5 は、炭素原子数1から10の炭化水素基または、アルキルシリル基を意味し、互いに結合して環を形成してもよい。Yは、炭素原子または、ケイ素原子または、ゲルマニウム原子を意味する。式中nは、1から3の整数]を使用することを特徴とするポリオレフィンの製造方法。」(特許請求の範囲の請求項1)
(1-2)「・・・ポリマー主鎖中にケミカルインバージョン(重合時にモノマーの挿入の方向が1回だけ逆転した結果つくられるポリマー鎖の欠陥)が見られポリマーの剛性を下げるという欠点がある。」(段落【0003】)
(1-3)「本発明の課題は、前記従来技術における問題点を解決し新規かつ有用なメタロセン化合物を開発することにより高立体規則性ポリオレフィンの経済的な製造方法を提供することにある。」(段落【0004】)
(1-4)「【実施例】
・・・なお、得られたポリオレフィンの立体特性は、C13-NMRにより求められ、mm、mr、rrのシグナルの強度比として評価された。」(段落【0017】)
(1-5)「実施例3
[イソプロピリデン(4-tブチル-シクロペンタジエニル)(3-tブチルインデニル)ハフニウムジクロリド]反応は、すべて不活性ガス雰囲気下で行なった。・・・
[重合]十分に窒素置換した内容積1.5リットルのSUS製オートクレーブに精製トルエン300ml、東ソー・アクゾ製メチルアルミノキサン(アルミ換算で2.7moll/lのトルエン溶液)を15ml及びイソプロピリデン(4-tブチルシクロペンタジエニル)(3-tブチルインデニル)ハフニウムジクロリド0.02mmolを順次添加し、3℃に冷却した。ついでプロピレン2molを投入し1時間重合を行なった反応後、メタノールにより触媒成分を分解し得られたポリプロピレンを乾燥した。この結果、高アイソタクティックポリプロピレンが35g得られた。mm%=99.6%、ポリマーの分子量は260000であった。」(段落【0020】)
(1-6)「実施例1から3及び比較例1から2で得られたポリプロピレンのケミカルインバージョンの定量を文献記載の方法で13C-NMRにより定量した。(Macromolecules,21,617(1988))結果を次の表1にまとめた。
【表1】

」(段落【0023】〜【0024】)

刊行物2(2-1)「【請求項1】 一般式(1)で示される非対称な配位子を有するジルコニウム化合物。

[式(1)中X1 及びX2 は、互いに同じでも異なってもよく、水素原子、炭素原子数1から10の炭化水素基、または、アルキルシリル基、ハロゲン原子を意味する。R3 、R2 、R1 は、水素原子、炭素原子数1から10の炭化水素基、アルキルシリル基を意味し、R2 、R3 のうち一方は水素原子である。R4 は、水素原子または、炭素原子数1から10の炭化水素基または、アルキルシリル基を意味する。]
-中略-
【請求項4】請求項1記載の式(1)の化合物を有効成分とするオレフィン重合用触媒成分。」(特許請求の範囲)
(2-2)「本発明が解決しようとする課題は、前記のような従来の技術における問題点の生じない新規なジルコニウム化合物を合成し、有用な立体特異性オレフィン重合用触媒成分を提供することである。」(段落【0003】)
(2-3)「実施例3
[共重合]十分に窒素置換した内容積1.5リットルのSUS製オートクレーブに精製トルエン300ml.東ソー・アクゾ製メチルアルミノキサン(アルミあたり2.7M)を15ml及びイソプロピリデン(3-tブチルシクロペンタジエニル)(3-tブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド0.02mmolを順次添加し、3℃に冷却した。ついでプロピレン2molを投入しさらにエチレン圧1kg/cm2 かけた、1時間重合を行なった反応後、メタノ-ルにより触媒成分を分解し得られたポリプロピレンを乾燥した。この結果ランダム性の良好なEPRが37g得られた。ポリマ-の分子量は150000であった。 」(段落【0013】)
(2-4)「本発明によれば、非対称な置換基を持つ架橋型配位子を有する新規なジルコニウム化合物が得られる。これらのジルコニウム化合物をオレフィン重合触媒成分としてオレフィン重合に用いれば、立体特異性ポリマ-を効率よく製造することが出来る。」(段落【0014】)

先願1に添付した明細書
(3-1)「(a)プロピレン単位を70〜90モル%、エチレン単位を10〜30モル%含んでなり、(b)13C-NMRにより求められる、頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部のメソトリアドタクシティーが96.7%以上であり、(c)13C-NMRにより求められる、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.05〜0.3%であり、(d)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜12dl/gの範囲にあることを特徴とするポリプロピレン系エラストマー。」(平成14年7月23日付けで補正された明細書の特許請求の範囲)

先願2明細書
(4-1)「式Ra-CH=CH-Rb [式中、Ra及びRbは同一かまたは異なっており、そしてそれぞれ水素または直鎖状もしくは枝分かれしているC1 -C15-アルキルであるか、またはRaとびRbとはこれらを互いにつなぐ原子と一緒になって環系を形成している]で表される少なくとも3個の炭素原子を有するオレフィンとコモノマーとしてのエチレンまたは上記と同様の第2のオレフィン0〜10重量%から形成されるポリオレフィンから本質的に成るポリオレフィン成形材料であって、5〜1000g/10分のMFI 230/2.16、15〜3000g/10分のMFI 230/5、分子量(Mw)75,000〜350,000g/mol、多分散性(Mw/Mn)1.8〜3.5、粘度数70〜300cm3 /g、融点120〜165℃、アイソタクチックブロック長さ25〜150及びポリマーの全重量に基づいて、エーテル抽出物2重量%未満によって特徴づけられる上記ポリオレフィン成形材料。」(特許請求の範囲の請求項1)
(4-2)「実施例25
メタロセンとしてrac-ジメチルシリルビス(2-メチル-4-(1-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロライドを用いて、重合温度65℃、重合時間6時間及び反応器中の水素含有率6.0±0.2容量%として実施例1の手順を繰り返し、23.4Kgの粉末ポリマーが生じた。
この粉末は以下のデータを持つことがわかった。
MFI(230/2.16)=1000g/10分;VN=71cm3 /g;Mw=75400g/mol,Mw/Mn=2.0;融点165℃, ・・・。」(段落【0025】〜【0026】)
(4-3)「実施例 1
乾燥した150dm3の反応器をプロピレンでパージし、そして沸騰範囲100〜120℃のナフサ留分80dm3を20℃において装入する。液状プロピレン50リットルを添加し、次いでメチルアルミノキサン溶液64cm3(トルエン溶液、Al100mmolに相当する)を添加する。反応器の内容物を40℃にし、そして水素を反応器のガス空間中の含有率が1.3容量%になるまで配量供給する。rac-ジメチルシリルビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロライド17.8mgをメチルアルミノキサントルエン溶液32mol(Al50mmolに相当する)中に溶解し、そして反応器に添加する。反応器中の水素含有率を 1.3±0.5容量%に一定に維持しながら、その中身を40℃で18時間保って重合させる。重合をCO2ガスを用いて終了させ、そしてポリマー懸濁液を下流の反応器中に放出する。懸濁媒質を水蒸気蒸留によって濾過棒を経て、粉末ポリマーから分離し、次いでポリマー水性懸濁液を加圧ヌッツェ濾過器を経て、水から分離する。この粉末を80℃/100mbarにおいて24時間乾燥する。収量は20.5kgである。」(段落【0013】)
(4-4)「実施例25
メタロセンとしてrac-ジメチルシリルビス(2-メチル-4-(1-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロライドを用いて、重合温度65℃、重合時間6時間及び反応器中の水素含有率6.0±0.2容量% として実施例 1の手順を繰り返し、23.4の粉末ポリマーが生じた。
この粉末は以下のデータを持つことがわかった。
MFI(230/2.16)=1000g/10分;VN=71cm3/g ;Mw=75400g/mol,Mw/Mn=2.0; 融点 165℃・・・」
(4-5)「実施例27
rac-ジメチルシリルビス(2-エチル-4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロライドを用いて、そして反応器中の水素含有率5.0±0.2容量%として実施例25の手順を繰り返す。
この粉末は以下のデータを持つことがわかった:
MFI(230/2.16)=920g/10分;VN=82cm3 /g;Mw=80,000g/mol,Mw/Mn=2.1;融点163℃,・・・」(段落【0028】〜【0029】)

[4-2-2].特許法第29条第1項(第3号に該当)違反について
(1)本件発明3
刊行物1には、特許請求の範囲の請求項1に「一般式(1)で示されるメタロセン化合物

・・・を使用することを特徴とするポリオレフィンの製造方法」(摘示記載(1-1))が記載されており、プロピレンを製造した実施例3において、得られたポリマーのmm%は99.6、分子量は260000であり、ケミカルインバージョン(個/1000モノマー)は2.0であったこと(摘示記載(1-5)、(1-6))も記載されている。
この「mm%」は13C-NMRで求められるmm、mr、rrのシグナルの強度比(摘示記載(1-4))に基づくものであり、本件訂正明細書に記載されたトリアドタクシティーの定義(段落【0041】)と対比すると、本件発明3における(i)の「13C-NMRで測定したトリアドタクシティー」と同様の特性を意味するものと解され、刊行物1に記載された「99.6」という数値は本件発明3の(i)のトリアドタクシティー「99.0〜99.7」の範囲に含まれるものである。
また、刊行物1の実施例3の分子量26000は、参考資料2の48頁の3・7式に従えば、135℃デカリン中の極限粘度2.35dl/gに相当するものと計算され、これは本件発明3の(iii)の「135℃、デカリン中で測定した極限粘度が1〜20dl/gの範囲」に含まれるといえる。
このようにしてみると、本件発明3と刊行物1に記載された発明とは、ともに
「(i)プロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが99.0〜99.7%であり、(iii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が1〜20dl/gの範囲にあるプロピレン単独重合体」
である点で一致するが、本件発明3における、
「(ii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.10〜0.18%」
という点について、刊行物1には記載されていない点で、これらの発明の間には相違が認められる。
そこでこの点についてみると、刊行物1に記載された「ケミカルインバージョン」は「重合時にモノマーの挿入の方向が1回だけ逆転した結果つくられるポリマー鎖の欠陥」(摘示記載(1-2))とされ、13C-NMRにより定量される(摘示記載(1-6))ものであるから、本件発明3における「(ii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合」と実質的に同じ特性値であると解されるが、刊行物1に記載された「2.0」というケミカルインバージョン(個/1000モノマー)の値は、本件発明3の(ii)「2,1-挿入に基づく位置不規則割合が0.10〜0.18%」という数値範囲を外れるので、この点で、本件発明3と刊行物1に記載された発明とが同一の発明であるということはできない。
ゆえに、本件発明3は刊行物1に記載された発明ではない。
なお、刊行物1には、ケミカルインバージョンの割合を減少させる技術的手段について具体的に開示されていないから、刊行物1に記載された2.0というケミカルインバージョン(個/1000モノマー)の値を、本件発明1における「2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合0.10〜0.18%」に相当する1.0〜1.8とすることを、当業者が容易になし得たものとすることもできない。

(2)本件発明4
刊行物2には、特許請求の範囲の請求項1に「一般式(1)

で示される非対称な配位子を有するジルコニウム化合物」が記載されており、請求項4には、「請求項1記載の式(1)の化合物を有効成分とするオレフィン重合用触媒成分」と記載されている。また、
「実施例3
[共重合]十分に窒素置換した内容積1.5リットルのSUS製オートクレーブに精製トルエン300ml.東ソー・アクゾ製メチルアルミノキサン(アルミあたり2.7M)を15ml及びイソプロピリデン(3-tブチルシクロペンタジエニル)(3-tブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド0.02mmolを順次添加し、3℃に冷却した。ついでプロピレン2molを投入しさらにエチレン圧1kg/cm2 かけた、1時間重合を行なった反応後、メタノ-ルにより触媒成分を分解し得られたポリプロピレンを乾燥した。この結果ランダム性の良好なEPRが37g得られた。ポリマ-の分子量は150000であった 」との実施例が記載されている(摘示記載(2-3))。
特許異議申立人が提出した、この実施例3を追試したものとする実験報告書1には、得られたエチレン-プロピレン共重合体について、「追試結果」として次のようなデータが示されている。
「エチレン含量(mol%)=29.2、mm %=98.5、特定2,1-量 %= 0.10、極限粘度 dl/g=1.6」
なお、ここで、「mm」は本件訂正明細書の段落【0041】に記載された定義に従って求めた13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーのことであり、また、「特定2,1-量」とは、同明細書の段落【0061】に記載の定義に従って計算した13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合のことであり、極限粘度は135℃、デカリン中で測定したものである。
そこで、本件発明4と刊行物2の実施例3の追試結果とを対比する。
まず、(i)のエチレン単位含量については、実施例3の追試結果では29.2%であるから、本件発明4において「エチレン単位を50モル%以下の量で含み」とされる範囲に包含される。
また、(ii)のトリアドタクシティーについては、実施例3の追試結果では98.5%であるから、本件発明において「頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが98.0〜99.3%であり」とされる範囲に包含される。
しかしながら、(iii)の2,1-挿入に基づく位置不規則については、実施例3の追試結果では0.10%であるから、本件発明4において「13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.12〜0.20%であり」とされる範囲からは外れるものであり、この点で、本件発明4と刊行物2に記載された発明とが同一の発明であるということはできない。
ゆえに、本件発明4は刊行物2に記載された発明ではない。

なお、刊行物2の記載においては「全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合」という概念自体について触れられておらず、もとよりこれを増加させる技術的手段については何ら開示されていないから、刊行物2の実施例3を追試して得られた0.10%という値を、本件発明1における「0.12〜0.20%」とすることを、当業者が容易になし得たものとすることもできない。

[4-2-3].特許法第39条第1項違反について
先願1に係る発明は、平成14年7月23日付で補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項で特定されるとおりのものである。
「(a)プロピレン単位を70〜90モル%、エチレン単位を10〜30モル%含んでなり、(b)13C-NMRにより求められる、頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部のメソトリアドタクシティーが96.7%以上であり、(c)13C-NMRにより求められる、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.05〜0.3%であり、(d)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜12dl/gの範囲にあることを特徴とするポリプロピレン系エラストマー。」(摘示記載(3-1))
そして、上記訂正により、本件請求項4の末尾に「(ただし、(a)プロピレン単位を70〜90モル%、エチレン単位を10〜30モル%含んでなり、(b)13C-NMRにより求められる、頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部のメソトリアドタクシティーが96.7%以上であり、(c)13C-NMRにより求められる、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.05〜0.3%であり、(d)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜12dl/gの範囲にあることを特徴とするポリプロピレン系エラストマーを除く)」との記載が付加された結果、本件発明4は、先願1に係る発明に相当する部分が除かれたものとなっている。
したがって、本件発明4は先願1に係る発明と同一の発明ではない。

[4-2-4].特許法第29条の2違反について
先願2明細書には、「式Ra-CH=CH-Rb [式中、Ra及びRbは同一かまたは異なっており、そしてそれぞれ水素または直鎖状もしくは枝分かれしているC1 -C15-アルキルであるか、またはRaとびRbとはこれらを互いにつなぐ原子と一緒になって環系を形成している]で表される少なくとも3個の炭素原子を有するオレフィンとコモノマーとしてのエチレンまたは上記と同様の第2のオレフィン0〜10重量%から形成されるポリオレフィンから本質的に成るポリオレフィン成形材料であって、5〜1000g/10分のMFI 230/2.16、15〜3000g/10分のMFI 230/5、分子量(Mw)75,000〜350,000g/mol、多分散性(Mw/Mn)1.8〜3.5、粘度数70〜300cm3 /g、融点120〜165℃、アイソタクチックブロック長さ25〜150及びポリマーの全重量に基づいて、エーテル抽出物2重量%未満によって特徴づけられる上記ポリオレフィン成形材料。」(摘示記載(4-1))が記載されており、メタロセン化合物触媒を使用してプロピレンを重合する以下の実施例25及び27(実施例1を引用)が示されている。
「実施例 1
乾燥した150dm3の反応器をプロピレンでパージし、そして沸騰範囲100〜120℃のナフサ留分80dm3を20℃において装入する。液状プロピレン50リットルを添加し、次いでメチルアルミノキサン溶液64cm3(トルエン溶液、Al100mmolに相当する)を添加する。反応器の内容物を40℃にし、そして水素を反応器のガス空間中の含有率が1.3容量%になるまで配量供給する。rac-ジメチルシリルビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロライド17.8mgをメチルアルミノキサントルエン溶液32mol(Al50mmolに相当する)中に溶解し、そして反応器に添加する。反応器中の水素含有率を 1.3±0.5容量%に一定に維持しながら、その中身を40℃で18時間保って重合させる。重合をCO2ガスを用いて終了させ、そしてポリマー懸濁液を下流の反応器中に放出する。懸濁媒質を水蒸気蒸留によって濾過棒を経て、粉末ポリマーから分離し、次いでポリマー水性懸濁液を加圧ヌッツェ濾過器を経て、水から分離する。この粉末を80℃/100mbarにおいて24時間乾燥する。収量は20.5kgである。
実施例25
メタロセンとしてrac-ジメチルシリルビス(2-メチル-4-(1-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロライドを用いて、重合温度65℃、重合時間6時間及び反応器中の水素含有率6.0±0.2容量% として実施例 1の手順を繰り返し、23.4の粉末ポリマーが生じた。
この粉末は以下のデータを持つことがわかった。
MFI(230/2.16)=1000g/10分;VN=71cm3/g ;Mw=75400g/mol,Mw/Mn=2.0; 融点 165℃
実施例27
rac-ジメチルシリルビス(2-エチル-4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロライドを用いて、そして反応器中の水素含有率5.0±0.2容量%として実施例25の手順を繰り返す。
この粉末は以下のデータを持つことがわかった:
MFI(230/2.16)=920g/10分;VN=82cm3 /g;Mw=80,000g/mol,Mw/Mn=2.1;融点163℃」(摘示記載(4-3)〜(4-5))
特許異議申立人が提出した実験報告書2には、このような実施例の内、実施例25及び27を追試して得られたとする得られたポリプロピレンについて、次のようなデータが示されている。
追試I(実施例25の追試)「mm %=99.5、2,1-量 %= 0.12、・・・、極限粘度 dl/g=0.90」
追試II(実施例27の追試)「mm %=99.2、2,1-量 %= 0.14、・・・、極限粘度 dl/g=0.94」
なお、ここで、「mm」は本件訂正明細書の段落【0041】に記載された定義に従って求めた13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーのことであり、また、「2,1-量」とは、同明細書の段落【0063】に記載の定義に従って計算した13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合のことであり、極限粘度は135℃、デカリン中で測定したものである。
そこで、本件発明3と先願2明細書の実施例25及び27の追試結果とを対比する。
まず、(i)のトリアドタクシティーについては、実施例25及び実施例27の追試結果ではそれぞれ99.5%及び99.2%であるから、本件発明3の(i)「プロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが99.0〜99.7%であり」と一致している。
また、(ii)の2,1-挿入に基づく位置不規則については、実施例25及び実施例27の追試結果ではそれぞれ0.12%及び0.14%であるから、本件発明3の「13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.10〜0.18%であり」と一致している。
しかしながら、(iii)の極限粘度については、実施例25及び実施例27の追試結果ではそれぞれ0.90dl/g及び0.94dl/gであるから、本件発明3の「135℃、デカリン中で測定した極限粘度が1〜20dl/gの範囲にある」からは外れるものであり、この点で本件発明3と先願2明細書に記載された発明とが同一の発明であるということはできない。

[4-2-5].特許法第36条第4項、第5項第2号及び第6項違反について
取消理由で引用した訂正前の本件明細書記載不備についての特許異議申立人の主張は以下の4点に要約される。
(1)発明の詳細な説明には、特許請求の範囲に記載された発明の要件である、エチレン単位のモル%、トリアドタクティシティー、2,1-挿入に基づく位置不規則性単位の割合、極限粘度、などを相互にどのように制御するのか記載がない。
(2)同詳細な説明には、2,1-挿入等の異種結合を検証する13C-NMRにおいて、測定周波数やサンプル濃度などが記載されておらず、2,1-挿入等の異種結合の定義や説明が不十分である。
(3)特許請求の範囲に記載されたプロピレン単独重合体及びプロピレン共重合体について、各種数値規定が実施例などにより実証されていない。
(4)発明の詳細な説明の実施例においては、特許請求の範囲に記載された発明の効果の実証が何もされていないし、比較例の記載もない。

しかしながら、以下のとおり、訂正後の本件明細書には、上記のような記載不備はない。
(1)本件訂正明細書の実施例には、請求項3及び4に規定された特性値を満たすポリマーを製造する方法について、使用した装置、モノマー、触媒、温度などの各種条件にわたって詳細に開示されているのであり、その具体的に示された条件を中心に若干の変更を試みることにより、製品ポリマーにおけるトリアドタクティシティー等の特性値を調整する程度のことは、当業者が容易になし得る範囲を逸脱するものではない。
(2)本件訂正明細書の実施例には「NMR(CDCl3 、90MHz)」と記載(段落【0143】)されているから、周波数についてはこの実施例の90MHzを参考にすることができ、また、濃度についても多少の予備的試行により好適な範囲を見つけ出すことが可能であり、更に、2,1-挿入等の異種結合の定義については訂正明細書の段落【0060】〜【0062】に明示されている。
(3)本件訂正明細書の実施例1〜3は本件発明3の実施例であり、また、実施例4及び5は本件発明4の実施例であり、各実施例で得られたポリマーはいずれも請求項に記載された特性値を満足するものであるから、本件発明3及び4が実施例などにより実証されていないとはいえない。
(4)本件訂正明細書の実施例には、本件発明3及び4のポリマーの剛性、耐熱性、透明性等について具体的データは示されていないが、【発明の効果】の項(段落【0114】、【0115】)には、本発明のプロピレン重合体及び共重合体が、剛性、耐熱性、表面硬度、光沢性に優れるとともに透明性、耐衝撃強度に優れていることが記載されているのであり、試験データーがないことをもって効果の記載がないとまではいえない。

[5].むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件発明3及び4についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明3及び4についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
プロピレン単独重合体およびプロピレン共重合体
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
[A]下記一般式[I]で表される遷移金属化合物と、
【化1】

(式中、Mは、チタニウム、ジルコニウムおよびハフニウムよりなる群から選ばれる遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または有機シリル基で置換されていてもよい。
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す。)
[B]
(B-1)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-2)前記遷移金属化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(i)プロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが99.0〜99.7%であり、
(ii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.10〜0.20%であり、
(iii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が0.1〜20dl/gの範囲にあるプロピレン単独重合体。
【請求項2】
[A]下記一般式[I]で表される遷移金属化合物と、
【化2】

(式中、Mは、チタニウム、ジルコニウムおよびハフニウムよりなる群から選ばれる遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または有機シリル基で置換されていてもよい。
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す。)
[B]
(B-1)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-2)前記遷移金属化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下に、
プロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、プロピレン単位を50モル%以上の量で含み、
(i)頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが98.0〜99.3%であり、
(ii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.09〜0.20%であり、
(iii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が0.1〜20dl/gの範囲にあることを特徴とするプロピレン共重合体。
【請求項3】
(i)プロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが99.0〜99.7%であり、
(ii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.10〜0.18%であり、
(iii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が1〜20dl/gの範囲にあるプロピレン単独重合体。
【請求項4】
(i)エチレン単位を50モル%以下の量で含み、
(ii)頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが98.0〜99.3%であり、
(iii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.12〜0.20%であり、
(iv)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が0.1〜20dl/gの範囲にあるプロピレン共重合体(ただし、
(a)プロピレン単位を70〜90モル%、エチレン単位を10〜30モル%含んでなり、
(b)13C-NMRにより求められる、頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部のメソトリアドタクティシティーが96.7%以上であり、
(c)13C-NMRにより求められる、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単立の割合が0.05〜0.3%であり、
(d)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜12dl/gの範囲にあることを特徴とするプロピレン系エラストマーを除く)。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、特定のオレフィン重合用触媒を用いて得られるプロピレン単独重合体およびプロピレン共重合体、および、立体規則性が高く、かつ位置不規則単位の割合が少ないプロピレン単独重合体およびプロピレン共重合体に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】
プロピレン系重合体特にプロピレン単独重合体は、剛性、表面硬度、耐熱性、光沢性、透明性に優れているため、各種工業用部品、容器、フィルム、不織布などの種々の用途に用いられている。
【0003】
しかしながら、従来のプロピレン単独重合体は、用途によっては透明性、耐衝撃強度などが必ずしも充分ではなかった。このため、さらに剛性、耐熱性、表面硬度、光沢性に優れるとともに、透明性、耐衝撃強度に優れたプロピレン単独重合体の出現が望まれている。
【0004】
また、プロピレンと、プロピレン以外のα-オレフィンとの共重合体は、その組成により物性が異なるため、一般にプロピレン以外のαオレフィンから誘導されるモノマー単位の含量が5モル%を境に区別されている。
【0005】
プロピレン以外のα-オレフィン含有量から誘導されるモノマー単位の含量が5モル%以下のプロピレン共重合体は、剛性、表面強度、体熱性、透明性、ヒートシール性に優れるため、フィルムなどの包装材料、容器など種々の用途に用いられている。しかしながら、たとえばフィルムとして用いる場合、透明性、ヒートシール性、耐ブロッキング性、耐ブリードアウト性、耐衝撃強度などが必ずしも充分ではなった。そのため、さらに透明性、剛性、表面強度、耐熱性、ヒートシール性に優れるとともに、耐ブロッキング性、耐ブリードアウト性、耐衝撃強度などに優れたプロピレン共重合体が求められている。
【0006】
また、プロピレン以外のα-オレフィン含有量から誘導されるモノマー単位の含量が5モル%以上のプロピレン共重合体は、透明性、低温ヒートシール性、耐環境老化性、衝撃吸収性などに優れているため、フィルム、複合フィルムのヒートシール層、または熱可塑性樹脂の耐衝撃性、耐ヒートール性の改質剤として用いられている。しかしながら、従来の共重合体は、用途によっては、透明性、低温ヒートシール性、耐ブロッキング性、耐ブリードアウト性、耐衝撃強度が必ずしも充分ではなく、また改質剤としても、低温ヒートシール性、耐衝撃強度の改良効果が必ずしも充分ではなかった。そのため、さらに透明性、耐環境老化性、耐衝撃強度に優れるとともに、低温ヒートシール性、耐衝撃強度の改良効果に優れたプロピレン共重合体が求められている。
【0007】
本発明者らはこのような状況に鑑みて検討した結果、特定の遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを単独重合して得られたプロピレン重合体、および特定の遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合させたて得られたプロピレン共重合体は、上記のような要求を満足することを見出して本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、剛性、耐熱性、表面硬度、光沢性に優れるとともに、透明性、耐衝撃強度に優れたプロピレン重合体を提供することを目的としている。
【0009】
また、本発明は、透明性、剛性、表面強度、耐熱性、ヒートシール性に優れるとともに、耐ブロッキング性、耐ブリードアウト性、耐衝撃強度などに優れたプロピレン共重合体を提供することを目的とするとともに、透明性、耐環境老化性、耐衝撃強度に優れ、かつ低温ヒートシール性、耐衝撃強度の改良効果に優れたプロピレン共重合体を提供することを目的としている。
【0010】
【発明の概要】
本発明に係る第1のプロピレン単独重合体は、
下記一般式[I]で表される遷移金属化合物と、
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、Mは、チタニウム、ジルコニウムおよびハフニウムよりなる群から選ばれる遷移金属を示し、
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、このアリール基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または有機シリル基で置換されていてもよい。
【0013】
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示す。)
[B]
(B-1)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-2)前記遷移金属化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを重合することにより得られ、
(i)プロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが99.0〜99.7%であり、
(ii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.10〜0.20%であり、
(iii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が0.1〜20dl/gの範囲にあることを特徴としている。
【0014】
本発明に係る第1のプロピレン共重合体は、
[A]上記一般式[I]で表される遷移金属化合物と、
[B]
(B-1)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-2)前記遷移金属化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを
含むオレフィン重合用触媒の存在下に、
プロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合することにより得られ、プロピレン単位を50モル%以上の量で含み、
(i)頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが98.0〜99.3%であり、
(ii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.09〜0.20%であり、
(iii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が0.1〜20dl/gの範囲にあることを特徴としている。
【0015】
本発明に係る第2のプロピレン単独重合体は、
(i)プロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが99.0〜99.7%であり、
(ii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.10〜0.18%であり、
(iii)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が1〜20dl/gの範囲にあることを特徴としている。
【0016】
本発明に係る第2のプロピレン共重合体は、
(i)エチレン単位を50モル%以下の量で含み、
(ii)頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部の、13C-NMRで測定したトリアドタクティシティーが98.0〜99.3%であり、
(iii)13C-NMRで測定した、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.12〜0.20%であり、
(iv)135℃、デカリン中で測定した極限粘度が0.1〜20dl/gの範囲にあることを特徴としている(ただし、
(a)プロピレン単位を70〜90モル%、エチレン単位を10〜30モル%含んでなり、
(b)13C-NMRにより求められる、頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部のメソトリアドタクティシティーが96.7%以上であり、
(c)13C-NMRにより求められる、全プロピレン挿入中のプロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が0.05〜0.3%であり、
(d)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜12dl/gの範囲にあることを特徴とするプロピレン系エラストマーを除く)。
【0017】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るプロピレンの単独重合体およびプロピレン共重合体について具体的に説明する。
【0018】
本発明に係る第1のプロピレン単独重合体は、後述するようなオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを単独重合させることにより得られるプロピレン単独重合体である。
【0019】
このようなプロピレン単独重合体の135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.1〜20dl/g、好ましくは0.5〜10dl/g、より好ましくは1〜5dl/gの範囲にあることが望ましい。
【0020】
Mw/Mnの値は、1.5〜3.5、好ましくは2.0〜3.0、より好ましくは2.0〜2.5の範囲にあることが望ましい。
本発明に係る第1のプロピレン共重合体は、後述するようなオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンと、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとを共重合させることにより得られるプロピレン共重合体である。
【0021】
このプロピレン共重合体は、プロピレン単位を50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上の量で含有し、エチレンおよび炭素数4〜20のα-オレフィンからなる群より選ばれるα-オレフィンから誘導されるコモノマー単位を50モル%以下、好ましくは0.1〜50モル%、より好ましくは5〜40モル%、さらに好ましくは10〜30モル%の量で含有することが望ましい。
【0022】
ここで、炭素数が4〜20のα-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、2-エチル-1-ヘキセン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。
【0023】
共重合に用いられるコモノマーとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンを用いることが好ましい。本発明においてプロピレン共重合体の組成は、13C-NMRを利用して求めた。
【0024】
このようなプロピレン共重合体の、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.1〜20dl/g、好ましくは0.5〜10dl/g、より好ましくは1〜5dl/gの範囲にあることが望ましい。
【0025】
Mw/Mnの値は、1.5〜3.5、好ましくは2.0〜3.0、より好ましくは2.0〜2.5の範囲にあることが望ましい。
本発明に係る第2のプロピレン単独重合体では、
トリアドタクティシティー(mm分率)は、99.0%以上、好ましくは99.2%以上、より好ましくは99.5%以上であることが望ましい。
【0026】
プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は、0.5%以下、好ましくは0.18%以下、より好ましくは0.15%以下であることが望ましい。
【0027】
135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.1〜20dl/g、好ましくは0.5〜10dl/g、より好ましくは1〜5dl/gの範囲にあることが望ましい。
【0028】
このようにトリアドタクティシティー(mm分率)が、99.0%以上であり、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が、0.5%以下であり、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が、0.1〜20dl/gの範囲にあるようなプロピレン単独重合は、従来存在しなかった。
【0029】
また、本発明に係る第2のプロピレン単独重合体では、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は、13C-NMRによる測定の検出下限未満(0.03%未満)であることが望ましい。
【0030】
Mw/Mnの値は、1.5〜3.5、好ましくは2.0〜3.0、より好ましくは2.0〜2.5の範囲にあることが望ましい。
このような本発明に係る第2のプロピレン単独重合体は、たとえば後述するようなオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンを単独重合することにより製造することができる。
【0031】
本発明に係る第2のプロピレン共重合体は、
プロピレン単位を50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上の量で含有し、エチレン単位を50モル%以下、好ましくは0.1〜50モル%、より好ましくは5〜40モル%、さらに好ましくは10〜30モル%以下の量で含有するプロピレン-エチレンランダム共重合体である。
【0032】
本発明のプロピレン共重合体は、プロピレン単位およびエチレン単位以外に、前記のような炭素数4〜20のα-オレフィンまたはジエンなどの他のモノマーから誘導されるモノマー単位を少量含んでいてもよい。
【0033】
トリアドタクティシティー(mm分率)は、98.0%以上、好ましくは98.2%以上、より好ましくは98.5%以上であることが望ましい。
プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は、0.5%以下、好ましくは0.18%以下、より好ましくは0.15%以下であることが望ましい。
【0034】
135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.1〜20dl/g、好ましくは0.5〜10dl/g、より好ましくは1〜5dl/gの範囲にあることが望ましい。
【0035】
このようにトリアドタクティシティー(mm分率)が、98.0%以上であり、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合が、0.5%以下であり、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が、0.1〜20dl/gの範囲にあるようなプロピレン-エチレンランダム共重合体は、従来存在しなかった。
【0036】
また、本発明に係る第2のプロピレン共重合体では、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は、13C-NMRによる測定の検出下限未満(0.03%未満)であることが望ましい。
【0037】
Mw/Mnの値は、1.5〜3.5、好ましくは2.0〜3.0、より好ましくは2.0〜2.5の範囲にあることが望ましい。
このような本発明に係る第2のプロピレン共重合体は、たとえば後述するようなオレフィン重合用触媒の存在下にプロピレンとエチレンとを共重合することにより製造することができる。
【0038】
なお本発明において、分子量分布(Mw/Mn)、トリアドタクティシティー(mm分率)、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則性単位の割合およびプロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則性単位の割合は以下のようにして測定される。
【0039】
[分子量分布(Mw/Mn)]
Waters社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(150-ALC/GPC)を用いて測定したクロマトグラフから、ユニバーサル法によるポリプロピレン換算(ただし、コモノマー量が10モル%以上の場合にはポリスチレン換算)の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を算出し、Mw/Mnを求めた。測定は、東洋ソーダ製GMH-HTおよびGMH-HLTタイプカラムを用い、o-ジクロルベンゼンを溶媒として140℃で行った。
【0040】
[トリアドタクティシティー(mm分率)]
プロピレン共重合体のトリアドタクティシティー(mm分率)は、ポリマー鎖中の任意の3個の頭尾結合したプロピレン単位連鎖を平面ジグザグ構造で表現した時、そのメチル分岐の方向が同一である割合と定義し、13C-NMRスペクトルから下記式により求めた。
【0041】
【数1】

【0042】
13C-NMRスペクトルは、試料をNMRサンプル管(5mmφ)中でヘキサクロロブタジエン、o-ジクロロベンゼンまたは1,2,4-トリクロロベンゼン約0.5mlに、ロック溶媒である重水素化ベンゼンを約0.05ml加えた溶媒中で完全に溶解させた後、120℃でプロトン完全デカップリング法で測定した。測定条件は、フリップアングル45°、パルス間隔3.4T1(T1は、メチル基のスピン格子緩和時間のうち最長の値)以上を選択する。ポリプロピレンでは、メチル基のスピン格子緩和時間は、メチレン基およびメチン基のスピン格子緩和時間より長いので、この条件では、試料中の全ての炭素の磁化の回復は99%以上である。ケミカルシフトは、頭-尾結合したプロピレン単位5連鎖の第3単位目のメチル基を21.593ppmとして設定し、他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とした。
【0043】
ピーク領域は、第1領域(21.1〜21.9ppm)、第2領域(20.3〜21.0ppm)および第3領域(19.5〜20.3ppm)に分類した。第1領域では、PPP(mm)で示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基が共鳴する。
【0044】
第2領域では、PPP(mr)で示されるプロピレン単位3連鎖の第2単位目のメチル基および、隣接する単位がプロピレン単位およびエチレン単位であるプロピレン単位のメチル基(PPE-メチル基)が共鳴する。
【0045】
第3領域では、PPP(rr)で示されるプロピレン単位3連鎖の第2単位目のメチル基および、隣接する単位がいずれもエチレン単位であるプロピレン単位のメチル基(EPE-メチル基)が共鳴する。
【0046】
ここでプロピレン系共重合体は、位置不規則ユニットを含む部分構造として、下記構造(i)、(ii)および(iii)を有する。
【0047】
【化4】

【0048】
この構造(i)、(ii)および(iii)に由来するピークの内、炭素Aおよび炭素Bは、それぞれ17.3ppm、17.0ppmで共鳴するので、炭素Aおよび炭素Bに基づくピークは、前記第1〜3領域には現れない。さらに炭素Aおよび炭素Bは、ともに頭尾結合に基づくプロピレン3連鎖に関与しないので、トリアドタクティシティーの計算では考慮する必要はない。
【0049】
また、炭素Cに基づくピーク、炭素に基づくDピークおよび炭素D’に基づくピークは、第2領域に現れ、炭素Eに基づくピークおよび炭素E’に基づくピークは第3領域に現れる。
【0050】
したがって、第1〜3領域に現れるピークのうち、頭-尾結合したプロピレン単位3連鎖に基づかないピークは、PPE-メチル基(20.7ppm付近で共鳴)、EPE-メチル基(19.8ppm付近で共鳴)、炭素C、炭素D、炭素D’、炭素Eおよび炭素E’に基づくピークである。
【0051】
PPE-メチル基に基づくピーク面積は、PPE-メチン基(30.6ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができ、EPE-メチル基に基づくピーク面積は、EPE-メチン基(32.9ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができる。また、炭素Cに基づくピーク面積は、隣接するメチン基(31.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができ、炭素Dに基づくピーク面積は、前記構造(ii)のαβメチレン炭素に基づくピーク(34.3ppm付近および34.5ppm付近で共鳴で共鳴)のピーク面積の和の1/2より求めることができ、炭素D’に基づくピーク面積は、前記構造(iii)の炭素E’のメチル基の隣接メチン基に基づくピーク(33.3ppm付近で共鳴)の面積より求めることができ、炭素Eに基づくピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.7ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができ、炭素E’に基づくピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができる。
【0052】
したがって、これらのピーク面積を第2領域および第3領域のピーク面積より差し引くと、残りのメチル炭素のピーク面積は全て頭-尾結合したプロピレン単位3連鎖(PPP(mr)およびPPP(rr))に由来するピーク面積となる。
【0053】
以上によりPPP(mm)、PPP(mr)およびPPP(rr)のピーク面積を求めることができるので、上記数式に従って、頭-尾結合からなるプロピレン単位連鎖部のトリアドタクティシティー(mm分率)を求めることができる。
【0054】
プロピレン単独重合体のトリアドタクティシティー(mm分率)は、ポリマー鎖中の任意の3個のプロピレン単位連鎖のうち、主鎖を平面ジグザグ構造で表現したとき、そのメチル基の方向が同一で、かつ頭-尾結合している割合と定義し、前記と同様に測定した13C-NMRスペクトルから下記式により求めた。
【0055】
【数2】

【0056】
ケミカルシフトは、頭-尾結合したプロピレン単位5連鎖の第3単位目のメチル基を21.593ppmとして設定し、他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とした。
【0057】
この基準では、PPP(mm)示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは、21.1〜21.9ppmの範囲内に現れ、PPP(mr)示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは、20.3〜21.0ppmの範囲内に現れ、PPP(rr)示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは、19.5〜20.3ppm)の範囲内に現れる。
【0058】
ここで、プロピレン単独重合体は、プロピレン単位が頭-尾で結合した規則構造の他、前記構造(i)で示されるような2,1-挿入に基づく位置不規則単位を含む部分構造を少量有する。
【0059】
前記構造(i)で示される不規則構造において、炭素A、炭素Bおよび炭素Cは、前述のPPP(mm)の定義に合致しない。しかし、炭素Aおよび炭素Bは、16.5〜17.5ppmの領域で共鳴し、炭素Cは、20.7ppm付近(PPP(mr)の領域)で共鳴する(ただし、位置不規則単位を含む部分構造の確認は、これらのメチル基だけでなく、隣接するメチレン基、メチン基のピークの確認とあわせて行う必要がある)。このため、炭素A、炭素Bおよび炭素Cは、PPP(mm)の領域には含まれない。
【0060】
従って、プロピレン単独重合体のトリアドタクティシティー(mm分率)は、上記式により求めることができる。
[プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則性単位の割合]
重合時、プロピレンモノマーは、1,2-挿入(メチレン側が触媒と結合する)するが、稀に2,1-挿入することがある。このためプロピレン共重合体は、前記構造(i)、(ii)および(iii)で示されるような2,1-挿入に基づく位置不規則単位を有する。この2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は、13C-NMRを利用して下記の式から求めた。
【0061】
【数3】

【0062】
ここで、ピークの命名は、Carmanらの方法(Rubber Chem.Technol.,44(1971),781)に従った。また、Iαβなどは、αβピークなどのピーク面積を示す。
プロピレンの単独重合体は、前記構造(i)で示されるような2,1-挿入に基づく位置不規則単位を有する。この2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は、13C-NMRを利用して下記の式から求めた。
【0063】
【数4】

【0064】
[プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則性単位の割合]
プロピレン共重合体では、プロピレンの1,3-挿入に基づく3連鎖量は、βYピーク(27.4ppm付近で共鳴)により求めた。
【0065】
プロピレン単独重合体では、プロピレンの1,3-挿入に基づく3連鎖量は、αδピーク(37.1ppm付近で共鳴)およびβYピーク(27.4ppm付近で共鳴)により求めた。
【0066】
次に、本発明に係る第1、第2のプロピレン単独重合体および第1、第2のプロピレン共重合体を製造する際に用いられるオレフィン重合用触媒について説明する。
【0067】
本発明に係る第1、第2のプロピレン単独重合体および第1、第2のプロピレン共重合体を製造する際に用いられるオレフィン重合用触媒は、
[A]下記一般式[I]で表される遷移金属化合物と、
[B]
(B-1)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-2)前記遷移金属化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むオレフィン重合用触媒触媒である。
【0068】
図1に、本発明のプロピレン系重合体を製造する際に用いられるオレフィン重合用触媒の調製工程を示す説明図である。
本発明で用いられるオレフィン重合用触媒を形成する[A]遷移金属化合物(以下「成分[A]」と記載することがある。)は、下記一般式[I]で表される遷移金属化合物である。
【0069】
【化5】

【0070】
式中、Mは周期律表第IVa、Va、VIa族の遷移金属原子を示し、具体的には、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステンであり、好ましくはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはジルコニウムである。
【0071】
R1は、炭素数2〜6の炭化水素基を示し、具体的には、
エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシルなどのアルキル基、ビニル、プロペニルなどのアルケニル基などの炭素数2〜6の炭化水素基が挙げられる。
【0072】
これらのうちインデニル基に結合した炭素が1級のアルキル基が好ましく、さらに炭素数2〜4のアルキル基が好ましく、特に、エチル基が好ましい。
R2は、炭素数6〜16のアリール基を示し、具体的には、
フェニル、α-ナフチル、β-ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリレニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェリニルなどである。これらのうちフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリルであることが好ましい。
【0073】
これらのアリール基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール基などの炭素数1〜20の炭化水素基;トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリルなどの有機シリル基で置換されていてもよい。
【0074】
X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、具体的には、
ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基としては、前記と同様の原子および基を例示することができる。また、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記炭素数1〜20の炭化水素基にハロゲン原子が置換した基を例示することができる。
【0075】
酸素含有基としては、ヒドロオキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリロキシ基、フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などが挙げられる。
【0076】
イオウ含有基としては、前記含酸素化合物の酸素がイオウに置換した置換基、およびメチルスルホネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が挙げられる。
【0077】
これらのうち、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
Yは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR3-、-P(R3)-、-P(O)(R3)-、-BR3-または-AlR3-[ただし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示し、具体的には、
メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2-エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2-エチレンなどのアリールアルキレン基などの炭素数1〜20の2価の炭化水素基;
クロロメチレンなどの上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレン基、テトラメチル-1,2-ジシリル、テトラフェニル-1,2-ジシリルなどのアルキルジシリル、アルキルアリールジシリル、アリールジシリル基などの2価のケイ素含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した2価のゲルマニウム含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をスズに置換した2価のスズ含有基置換基などであり、
R3は、前記と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0078】
このうち2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレンであることがより好ましい。
【0079】
以下に上記一般式[I]で表される遷移金属化合物の具体的な例を示す。
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(o-メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(m-メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(p-メチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(2,3-ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(2,4-ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(2,5-ジメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(2,4,6-トリメチルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(o-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(m-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(p-クロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(2,3-ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(2,6-ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(3,5-ジクロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(2-ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(3-ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(4-ブロモフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(4-ビフェニリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(4-トリメチルシリルフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-i-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-i-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-s-ブチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(8-メチル-9-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-s-ブチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-ペンチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-ペンチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-ブチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-ブチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-i-ブチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(2-メチル-1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(5-アセナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-i-ブチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-ネオペンチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-ネオペンチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-ヘキシル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-n-ヘキシル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチルフェニルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジフェニルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(4-ビフェリニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-メチレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-エチレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルゲルミル-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルゲルミル-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルゲルミル-ビス{1-(2-n-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルスズ-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルスズ-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルスズ-ビス{1-(2-n-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルスズ-ビス{1-(2-n-プロピル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリドなど。
【0080】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属、チタニウム金属、ハフニウム金属を、バナジウム金属、ニオブ金属、タンタル金属、クロム金属、モリブデン金属、タングステン金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
【0081】
このような本発明に係る新規な遷移金属化合物は、Journal of Organometallic Chem.288(1985)、第63〜67頁、ヨーロッパ特許出願公開第0,320,762号明細書および実施例に準じて、たとえば下記のようにして製造することができる。
【0082】
【化6】

【0083】
前記遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
本発明で用いられるオレフィン重合用触媒を形成する(B-1)有機アルミニウムオキシ化合物(以下「成分(B-1)」と記載することがある。)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0084】
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができる。
(1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水や氷や水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0085】
なお、該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解あるいはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
【0086】
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどが挙げられる。
【0087】
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
また、アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として、下記一般式[II]で表されるイソプレニルアルミニウムを用いることもできる。
【0088】
(i-C4H9)xAly(C5H10)z… [II]
(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)
上記のような有機アルミニウム化合物は、単独であるいは組合せて用いられる。たとえば、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを組み合わせて用いられる。
【0089】
アルミノキサンの溶液に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。その他、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
【0090】
本発明で用いられるオレフィン重合用触媒を形成する(B-2)前記遷移金属化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物(以下「成分(B-2)」と記載することがある。)としては、特表平1-501950号公報、特表平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、US-547718号公報などに記載されたルイス酸、イオン性化合物およびカルボラン化合物、カルボラン化合物を挙げることができる。
【0091】
ルイス酸としては、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、MgCl2、Al2O3、SiO2-Al2O3などが例示できる。
【0092】
イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリn-ブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが例示できる。
【0093】
カルボラン化合物としては、ドデカボラン、1-カルバウンデカボラン、ビスn-ブチルアンモニウム(1-カルベドデカ)ボレート、トリn-ブチルアンモニウム(7,8-ジカルバウンデカ)ボレート、トリn-ブチルアンモニウム(トリデカハイドライド-7-カルバウンデカ)ボレートなどが例示できる。
【0094】
上記のような前記遷移金属化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物(B-2)は、2種以上混合して用いることができる。本発明で用いられるオレフィン重合用触媒を形成する[C]有機アルミニウム化合物(以下「成分[C]」と記載することがある。)としては、たとえば下記一般式[III]で表される有機アルミニウム化合物を例示することができる。
【0095】
R7nAlX3-n… [III]
(式中、R7は炭素数1〜12の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子または水素原子であり、nは1〜3である。)
上記一般式[III]において、R7は炭素数1〜12の炭化水素基例えばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
【0096】
このような有機アルミニウム化合物[C]としては、具体的には以下のような化合物が挙げられる。
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ(2-エチルヘキシル)アルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなど。
【0097】
また有機アルミニウム化合物[C]として、下記一般式[IV]で表される化合物を用いることもできる。
R7nAlL3-n… [IV]
(式中、R7は上記と同様であり、Lは-OR8基、-OSiR93基、-OAlR102基、-NR112基、-SiR123基または-N(R13)AlR142基であり、nは1〜2であり、R8、R9、R10およびR14はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、R11は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、R12およびR13はメチル基、エチル基などである。)
このような有機アルミニウム化合物のなかでは、
R7nAl(OAlR102)3-nで表される化合物、例えば
Et2AlOAlEt2、(iso-Bu)2AlOAl(iso-Bu)2などが好ましい。
【0098】
上記一般式[III]および[IV]で表される有機アルミニウム化合物の中では、一般式R73Alで表される化合物が好ましく、特にRがイソアルキル基である化合物が好ましい。
【0099】
本発明で用いられるオレフィン重合用触媒は、成分[A]、成分(B-1)(または成分(B-2))および所望により成分[C]を不活性炭化水素溶媒中またはオレフィン溶媒中で混合することにより調製することができる。
【0100】
オレフィン重合用触媒の調製に用いられる不活性炭化水素溶媒として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。
【0101】
オレフィン重合用触媒を調製する際の各成分の混合順序は任意であるが、成分(B-1)(または成分(B-2))と成分[A]とを混合するか、
成分(B-1)と成分[C]とを混合し、次いで成分[A]を混合するか、
成分[A]と成分(B-1)(または成分(B-2))とを混合し、次いで成分[C]を混合するか、あるいは、
成分[A]と成分[C]とを混合し、次いで成分成分(B-1)(または成分(B-2))を混合することが好ましい。
【0102】
上記各成分を混合するに際して、成分(B-1)中のアルミニウムと、成分[A]中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜10000、好ましくは20〜5000であり、成分[A]の濃度は、約10-8〜10-1モル/リットル、好ましくは10-7〜5×10-2モル/リットルの範囲である。
【0103】
成分(B-2)を用いる場合、成分[A]と成分(B-2)とのモル比(成分[A]/成分(B-2))は、通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5の範囲であり、成分[A]の濃度は、約10-8〜10-1モル/リットル、好ましくは10-7〜5×10-2モル/リットルの範囲である。
【0104】
成分[C]を用いる場合は、成分[C]中のアルミニウム原子(AlC)と成分(B-1)中のアルミニウム原子(AlB-1)との原子比(AlC/AlB-1)は、通常0.02〜20、好ましくは0.2〜10の範囲である。
【0105】
上記各触媒成分は、重合器中で混合してもよいし、予め混合したものを重合器に添加してもよい。
予め混合する際の混合温度は、通常-50〜150℃、好ましくは-20〜120℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間である。また、混合接触時には混合温度を変化させてもよい。
【0106】
本発明で用いられるオレフィン重合用触媒は、無機あるいは有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である微粒子状担体に、上記成分[A]、成分[B]および成分[C]のうち少なくとも一種の成分が担持された固体状オレフィン重合用触媒であってもよい。
【0107】
無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、たとえばSiO2、Al2O3などを例示することができる。
有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体としては、エチレン、プロピレン、1-ブテンなどのα-オレフィン、もしくはスチレンを主成分として生成される重合体または共重合体を例示することができる。
【0108】
また、本発明で用いられるオレフィン重合触媒は、上記の微粒子状担体、成分[A]、成分[B]、予備重合により生成するオレフィン重合体および、所望により成分[C]から形成されるオレフィン重合触媒であってもよい。
【0109】
予備重合に用いられるオレフィンとしては、プロピレン、エチレン、1-ブテンなどのオレフィンが用いられるが、これらと他のオレフィンとの混合物であってもよい。
【0110】
なお、本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記のような各成分以外にもオレフィン重合に有用な他の成分、たとえば、触媒成分としての水なども含むことができる。
【0111】
本発明のプロピレン系共重合体は、上記のオレフィン重合用触媒の存在下にエチレンとプロピレンとの共重合を行うことによって製造することができる。共重合は懸濁重合、溶液重合などの液相重合法あるいは気相重合法いずれにおいても実施できる。
【0112】
液相重合法では上述した触媒調製の際に用いた不活性炭化水素溶媒と同じものを用いることができ、プロピレンおよび/またはエチレンを溶媒として用いることもできる。
【0113】
プロピレンとエチレンとの共重合温度は、懸濁重合法を実施する際には、通常-50〜100℃、好ましくは0〜90℃の範囲であることが望ましく、溶液重合法を実施する際には、通常0〜250℃、好ましくは20〜200℃の範囲であることが望ましい。また、気相重合法を実施する際には、共重合温度は通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の範囲であることが望ましい。共重合圧力は、通常、常圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧〜50kg/cm2の条件下であり、共重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに共重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0114】
【発明の効果】
本発明のプロピレン単独重合体は、剛性、耐熱性、表面硬度、光沢性に優れるとともに、透明性、耐衝撃強度に優れている。
【0115】
本発明のプロピレン共重合体は、プロピレン以外のα-オレフィンから誘導されるモノマー単位の含量が5モル%以下である場合、透明性、剛性、表面強度、耐熱性、ヒートシール性に優れるとともに、耐ブロッキング性、耐ブリードアウト性、耐衝撃強度などに優れている。また、プロピレン以外のα-オレフィンから誘導されるモノマー単位の含量が5モル%以上である場合、透明性、耐環境老化性、耐衝撃強度に優れ、かつ低温ヒートシール性、耐衝撃強度の改良効果に優れている。
【0116】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0117】
【製造例1】
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロライドの合成
[3-(2-ビフェニリル)-2-エチルプロピオン酸の合成]
500ml-4口丸底フラスコ(攪拌器、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計付)にカリウム-t-ブトキシド13.46g(120ミリモル)、トルエン100ml、N-メチルピロリドン20mlを加え、窒素雰囲気で60℃に加温しながら、エチルマロン酸ジエチル20.7g(110ミリモル)をトルエン50mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、同温で1時間反応させた。次に同温で2-フェニルベンジルブロミド20.27g(100ミリモル)を30mlのトルエンに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後昇温し、2時間還流した。反応混合物を水200mlに注ぎ、2N-HClを加えてpH=1とした。有機相を分離し、水相をトルエン100mlでさらに3回抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水で中性まで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下で濃縮し、黄橙色液体の濃縮物36.7gを得た。
【0118】
1リットル-4口丸底フラスコ(攪拌器、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計付)に水酸化カリウム67.3g(1.02モル)とメタノール水溶液160ml(メタノール/水=4/1(=v/v))を加えた。室温下、窒素雰囲気で上記濃縮物をメタノール水溶液50ml(メタノール/水=4/1(=v/v))に溶解させた溶液を滴下した。滴下後、昇温し、4時間還流させた。その後、室温まで冷却し、析出した固体を濾過した。濾物を水に溶解させ、硫酸を加え酸性(pH=1)とし、塩化メチレン100mlで5回抽出した。合わせた有機相を無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下濃縮して、白色固体の生成物24.2gを得た。
【0119】
次に、300ml-3口丸底フラスコ(スターラーチツプ、ジムロートコンデンサー、温度計付)に上記白色固体24.2g、酢酸56ml、水37mlおよび濃硫酸13.1mlを加え、窒素雰囲気で6時間還流させた。反応終了後、酢酸を減圧下で留去し水50mlを加え、塩化メチレン50mlで3回抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水50mlで洗浄後、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧で留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1→1/1容量部で展開)で分離精製して白色固体13.7を得た(収率:54%)。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0120】
【化7】

【0121】
[3-(2-ビフェニリル)-2-エチルプロピオニルクロリドの合成]
100ml-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、ジムロートコンデンサー、温度計、NaOHトラップ付)に3-(2-ビフェニリル)-2-エチルプロピオン酸13.3g(52.4ミリモル)と塩化チオニル25.9ml(355ミリモル)を加え、窒素雰囲気で2.5時間加熱還流させた。反応終了後、未反応の塩化チオニルを減圧で蒸留して黄橙色液体の粗生成物15.2gを得た。この酸クロリドはこれ以上精製せず次の反応に用いた。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0122】
IR(Neat) :1786cm-1(vc=o)
[4-エチル-2-フェニル-1-インダノンの合成]
200ml-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計、NaOHトラップ付)に無水塩化アルミニウム8.04g(60.3ミリモル)と二硫化炭素50mlを加え、氷冷下、窒素雰囲気で前記で得られた3-(2-ビフェニリル)-2-エチルプロピオニルクロリド15.2g(52.4ミリモル)を二硫化炭素21mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、内温を室温に上げ、1時間反応させた。反応溶液を氷水200mlに注いで分解し、エーテル100mlで2回抽出した。合わせた有機相を飽和NaHCO3水100ml、次に飽和食塩水100mlで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧で留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1容量部で展開)で分離精製して目的物を黄色固体として10.8g得た(収率:88%)。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0123】
【化8】

【0124】
[2.エチル-1-ヒドロキシ-4-フェニルインダンの合成]
200ml-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計付)に水素化ホウ素ナトリウム0.85g(22.6ミリモル)と28mlのエタノールを加え、窒素雰囲気下室温で2-エチル-4-フェニル-1-インダノン10.6g(45.1ミリモル)を20mlのエタノールに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、50℃に昇温し、さらに3.5時間反応させた。反応後冷却し、未反応の水素化ホウ素ナトリウムをアセトンを滴下して分解した。次に反応混合物を減圧下、濃縮し、水50mlとエーテル50mlを加え抽出した。有機相を分離後、水相をエーテル50mlで2回抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水100mlで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下で留去して粘調な淡黄色液体の目的物(2種類の異性体混合物)を10.67g得た(収率:99%)。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0125】
【化9】

【0126】
[2-エチル-4-フェニルインデンの合成]
300ml-4口丸底フラスコ(スターラーチップ、滴下ロート、温度計付)に2-エチル-1-ヒドロキシ-4-フェニルインダン9.78g(41.3ミリモル)、トリエチルアミン17.2ml(123.8ミリモル)、4-ジメチルアミノピリジン0.25g(2.1ミリモル)および塩化メチレン98mlを加えた。氷冷下、窒素雰囲気でメタンスルホニルクロリド6.4ml(82.5ミリモル)を塩化メチレン6.5mlに溶解した溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、同温度でさらに3.5時間反応させた。反応混合物を氷水250mlに注いだ後、有機相を分離し、水相を塩化メチレン50mlでさらに2回抽出した。合わせた有機相を飽和NaHCO3水、次に飽和食塩水で洗浄した後、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧で留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンで展開)で分離精製して目的物(2種類の異性体混合物)を淡黄色液体として6.56g得た(収率:73%)。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0127】
NMR(CDCl3、90MHz):
δ=1.20(t、J=7.6Hz、3H、CH3);
2.49(q、J=7.6Hz、2H);
3.41(s、2H);
6.61、6.72(それぞれbs、合わせて1H);
7.09〜8.01(m、8H)
[ジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニルインデン)の合成]
200ml-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計付)に2-エチル-4-フェニルインデン5.0g(22.8ミリモル)、チオシアン酸銅80mg(0.63ミリモル)および無水エーテル50mlを加えた、窒素雰囲気で氷冷下1.6M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液15.7ml(25.1ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温に昇温し、さらに1時間反応させた。次に、ジメチルジクロロシラン1.52ml(12.6ミリモル)を無水エーテル4.5mlに溶解した溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温でさらに12時間反応させた。反応混合物をセライトで濾過後、濾液を飽和塩化アンモニウム水50mlに注いだ。有機相を分離後、水相をエーテル50mlで抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン→ヘキサン/塩化メチレン=20/1容量部で展開)で分離して淡黄色固体の目的物(2種類の異性体混合物)を4.5g得た(収率80%)。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0128】
【化10】

【0129】
[rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-フェニル-1-インデニル)}ジルコニウムジクロライドの合成]
50ml-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、玉入コンデンサー、滴下ロート、温度計付)にアルゴン雰囲気でジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニルインデン)0.84g(1.69ミリモル)と無水エーテル17mlを加え、室温で1.58M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液2.25ml(3.56ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下後、さらに13.5時間反応させた。得られた反応液をドライアイス〜アセトン浴で-70℃に冷却し、ZrCl40.395g(1.69ミリモル)の粉末を徐々に添加した。添加終了後、攪拌を継続しながら、終夜放置した。次に室温で溶媒を減圧下に留去した。塩化メチレン30mlを加えた後、不溶物を濾過し、濾液を室温で濃縮晶析した。析出した固体を濾過した後、無水エーテル3mlで2回洗浄し、減圧下で乾燥させて目的物を橙黄色固体として0.17g得た(収率:15%)。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0130】
NMR(CDCl3、90MHz):
δ=1.09(t、J=7.3Hz、6H、CH3);
1.34(s、6H、Si-CH3);
2.46(quin、J=7.3Hz、2H);
2.73(quin、J=7.3Hz、2H);
6.96(s、2H、3-H-Ind);
6.99〜7.88(m、16H)
【0131】
【製造例2】
rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロライドの合成
[3-(2-ブロモフェニリル)-2-エチルプロピオン酸の合成]
2リットル-4口丸底フラスコ(攪拌器、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計付)にカリウム-t-ブトキシド44.2g(394ミリモル)、トルエン392ml、N-メチルピロリドン30mlを加え、窒素雰囲気で60℃に加温しながら、エチルマロン酸ジエチル61.2g(325ミリモル)をトルエン61mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、同温で1時間反応させた。次に同温で2-ブロモベンジルブロミド75.4g(302ミリモル)を75mlのトルエンに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後昇温し、5時間還流した。反応混合物を水300mlに注ぎ、10%硫酸水溶液を加えてpH=1とした。有機相を分離し、水相をエーテル100mlでさらに3回抽出した。合わせた有機相を飽和重曹水200ml、次に飽和食塩水150mlで3回洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下で濃縮し、黄色液体の濃縮物111.1gを得た。
【0132】
2リットル-4口丸底フラスコ(攪拌器、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計付)に水酸化カリウム195g(2.96モル)とメタノール水溶液585ml(メタノール/水=4/1(=v/v))を加えた。室温下、窒素雰囲気で上記濃縮物を滴下した。滴下後、昇温し、3時間還流させた。その後、室温まで冷却し、析出した白色固体を濾過した。濾液を濃縮後、冷却し二次晶を得た。さらに同様にして三次晶を得た。合わせた濾物をヘキサンでスラリー化した後、乾燥して白色粉末101.5gを得た。得られた白色粉末を水400mlに溶解させ、50%硫酸水溶液を加えて酸性(pH=1)とし、塩化メチレン200mlで5回抽出した。合わせた有機相を無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下濃縮して、硬い白色固体74.2gを得た。
【0133】
次に、300ml-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、ジムロートコンデンサー、温度計付)に上記白色固体を加え、窒素雰囲気で油浴温度200℃で5時間加熱反応させた。反応後、室温まで冷却し目的物を淡黄白色固体として61.2得た(収率:79%)。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0134】
FD-MS :256(M+)、258(M++2)
NMR(CDCl3、90MHz):
δ=1.0(t、J=7.0Hz、3H、CH3);
1.40〜1.85(m、2H);
2.53〜3.12(m、3H);
6.88、7.66(m、3H);
[3-(2-ブロモフェニル)-2-エチルプロピオニルクロリドの合成]
300ml-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、ジムロートコンデンサー、温度計、NaOHトラップ付)に3-(2-ブロモフェニル)-2-エチルプロピオン酸60.86g(237ミリモル)とベンゼン40mlおよび塩化チオニル120mlを加え、窒素雰囲気で1.5時間加熱還流させた。反応終了後、未反応の塩化チオニルを減圧で蒸留して黄色液体の粗生成物を得た。この酸クロリドはこれ以上精製せず次の反応に用いた。
【0135】
[4-ブロモ-2-エチル-1-インダノンの合成]
1リットル-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計、NaOHトラップ付)に無水塩化アルミニウム36.3g(272ミリモル)と二硫化炭素280mlを加え、氷冷下、窒素雰囲気で前記で得られた3-(2-ブロモフェニル)-2-エチルプロピオニルクロリド(237ミリモル相当)を二硫化炭素50mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、内温を室温に上げ、1時間反応させた。反応溶液を氷水1リットルに注いで分解し、エーテル300mlで2回抽出した。合わせた有機相を飽和NaHCO3水、次に飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧で留去して、やや粘性の高い赤茶色の液体56.9gを得た。このケトンは、これ以上精製せずに次の反応に用いた。
【0136】
[4-ブロモ-2-エチル-1-トリメチルシリルオキシインダンの合成]
500ml-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計付)に水素化ホウ素ナトリウム4.97g(118ミリモル)と200mlのエタノールを加え、窒素雰囲気下室温で4-ブロモ-2-エチル-1-インダノン56.93g(236ミリモル相当)を85mlのエタノールに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、さらに4時間反応させた。反応後冷却し、未反応の水素化ホウ素ナトリウムをアセトン35mlを滴下して分解した。次に反応混合物を減圧下、濃縮し、水300mlとエーテル300mlを加え抽出した。有機相を分離後、水相をエーテル100mlで3回抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水150mlで3回洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下で留去して肌色の固形物(2種類の異性体混合物)58.92gを得た。
【0137】
次に、500ml-4口丸底フラスコ(スターラーチップ、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計付)に前記固形物を58.91g(244ミリモル相当)、トリエチルアミン43.3ml(307ミリモル)および塩化メチレン280mlを加えた。氷冷下、窒素雰囲気でMe3SiCl37.2ml(293ミリモル)の塩化メチレン溶液(15ml)をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温に昇温し、さらに3.5時間反応させた。反応混合物に水100mlを注いだ後、有機相を分離し、水相を塩化メチレン100mlでさらに2回抽出した。合わせた有機相を水100mlで3回洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧で留去し、残渣を減圧蒸留して目的物(2種類の異性体混合物)を無色の液体として69.9g得た(3-(2-ブロモフェニル)-2-エチルプロピオン酸からの通算収率:95%)。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0138】
mp. :133〜135℃/2mmHg
FD-MS :312(M+)、314(M++2)
NMR(CDCl3、90Hz):
δ=0.17、0.24(それぞれs、合わせて9H、Si-CH3);
0.79〜1.12(m、3H);
1.16〜3.31(m、5H);
4.82、5.10(それぞれbd、それぞれJ=6.4Hz、合わせて1H、-CH-O-);
6.91〜7.46(m、3H)
[2-エチル-4-(1-ナフチル)フェニルインデンの合成]
300ml-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計付)に4-ブロモ-2-エチル-1-トリメチルシリルオキシインダン11.4g(36.4ミリモル)、PdCl2(deef)0.13g(0.18ミリモル)および無水エーテル35mlを加えた。窒素雰囲気下、室温で0.72M濃度の1-ナフチルマグネシウムブロミドのエーテル/ベンゼン溶液101ml(72.8ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応させた。次に内温50〜51℃に昇温し5時間反応させた。反応終了後、氷冷しながら、5Nの塩酸水溶液135mlをゆっくり加え過剰のグリニャール試薬を分解し、エーテル100mlで2回抽出した。合わせた有機相を飽和重曹水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧で留去し、赤茶色液体20.5gを得た。
【0139】
次に、前記赤茶色液体をテトラヒドロフラン20ml希釈し、12%塩酸水溶液5mlを加えて終夜室温で反応させた。反応終了後、エーテル100mlを加えて油水分離した。有機相を飽和重曹水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧で留去し、得られた赤茶色の液体残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(MERCK社シリカゲル60、70-230メッシュ、ヘキサン→ヘキサン/酢酸エチル=1/3容量部で展開)で分離精製して目的物(2種類の異性体混合物)を黄色固体として9.0g得た(収率:98%)。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0140】
FD-MS :270(M+)
NMR(CDCl3、90MHz):
δ=1.20(t、J=7.4Hz、3H、CH3);
2.38(bq、J=7.4Hz、2H);
3.02、3.42(それぞれs、合わせて2H);
6.54(bs、1H);
6.19〜8.12(m、10H)
[ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(1-ナフチル)インデン)}の合成]
200ml-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、ジムロートコンデンサー、滴下ロート、温度計付)に2-エチル-4-(1-ナフチル)インデン4.97g(18.4ミリモル)、シアン化銅50mg(0.51ミリモル)および無水エーテル53mlを加えた、窒素雰囲気で-10℃に冷却しながら1.58M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液12.8ml(20.2ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温に昇温し、さらに4時間反応させた。次に、ジメチルジクロロシラン1.24ml(10.1ミリモル)を無水エーテル5mlに溶解した溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温でさらに15時間反応させた。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水50mlに注いだ後、セライトで濾過し、濾液を油水分離し、水相をエーテル50mlで抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、赤茶色の粘調液体残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサンで展開)で分離して、黄色固体の目的物(2種類の異性体混合物)を3.2g得た(収率:58%)。得られた生成物の物性を下記に示す。
【0141】
FD-MS :596(M+)
NMR(CDCl3、90MHz):
δ=-0.20、-0.20(それぞれs、合わせて6H、Si-CH3);
0.82〜1.41(m、6H、CH3);
2.23、2.74(m、4H);
3.84〜4.10(m、2H、-CH-Si);
6.20、6.30(それぞれbd、2H)
6.98〜8.14(m、20H)
[rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロライドの合成]
100ml-3口丸底フラスコ(スターラーチップ、玉入コンデンサー、滴下ロート、温度計付)にアルゴン雰囲気でジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-(1-ナフチル)インデン)2.0g(3.36ミリモル)と無水エーテル40mlを加え、室温で1.54M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液4.58ml(7.06ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下後、さらに17.5時間反応させた。得られた反応液をドライアイス〜アセトン浴で-75℃に冷却し、ZrCl40.83g(3.56ミリモル)の粉末を除々に添加した。添加終了後、攪拌を継続しながら、終夜放置した。
【0142】
得られた赤黄色の反応スラリーを濾過し、濾物を無水エーテル45mlで洗浄した。濾物に塩化メチレン60mlと無水エーテル40mlを加えた後、不溶物を濾過し、濾液を室温で濃縮乾固した。得られた黄色乾固物に塩化メチレン15mlを加えて溶解後、約1/3に濃縮した。次に、無水エーテル2mlを加えて晶析を行った。析出した固体を濾過後、無水エーテル2mlで洗浄し、減圧下で乾燥させて目的物を黄橙色粉末として0.12g得た(収率:5%)。
【0143】
得られた生成物の物性を下記に示す。
NMR(CDCl3、90MHz):
δ=1.04(t、J=7.4Hz、6H、CH3);
1.38(s、6H、Si-CH3);
2.12〜3.02(m、4H);
6.53(s、2H、3-H-Ind);
6.86〜8.02(m、20H)
【0144】
【実施例1】
充分に窒素置換した内容積2リットルのガス流通式ガラス製重合器に、トルエン1.7リットルを入れ、-30℃に冷却し、プロピレン100リットル/hr、水素10リットル/hrで流通し、系を充分に飽和させた。次いで、トリイソブチルアルミニウムを4.25ミリモル、メチルアルミノキサンをAl原子に換算して8.5ミリモル、rac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して0.017ミリモル加え、系を-30℃に保ったまま45分間重合した。重合の停止は少量のメタノールを加えることにより行った。重合懸濁液を少量の塩酸を加えた3リットルのメタノールに加えて充分に攪拌し、濾過した。ポリマーを大量のメタノールにて洗浄し、80℃で10時間乾燥した。
【0145】
得られたポリマ-は51.3gであり、重合活性は4.02kgPP/ミリモルZr・hr、[η]=3.37dl/g、Mw/Mn=2.22、トリアドタクティシティーは99.7%、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は0.10%、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は検出下限未満(0.03未満)であった。
【0146】
【実施例2】
実施例1においてプロピレンを100リットル/hr、水素を2リットル/hr、トリイソブチルアルミニウムを0.65ミリモル、メチルアルミノキサンをAl原子に換算して1.3ミリモル、rac-ジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して0.0026ミリモル加え、系を0℃に保った以外は実施例1と同様にして重合を行った。
【0147】
得られたポリマ-は60.7gであり、重合活性は31.1kgPP/ミリモルZr・hr、[η]=3.01dl/g、Mw/Mn=2.18、トリアドタクティシティーは99.5%、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は0.15%、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は検出下限未満(0.03未満)であった。
【0148】
【実施例3】
遷移金属化合物触媒成分としてrac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロライドを用いた以外は実施例2と同様にして重合を行った。
【0149】得られたポリマ-は20.2gであり、重合活性は10.4kg-PP/ミリモルZr・hr、[η]=3.08dl/g、Mw/Mn=2.09、トリアドタクティシティーは99.7%、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則性単位の割合は0.12%、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則性単位の割合は検出下限未満(0.03未満)であった。
【0150】
【実施例4】
充分に窒素置換した内容積500mlのガス流通式ガラス製重合器に、トルエン250mlを入れ、0℃に冷却し、プロピレンを160リットル/hr、エチレンを40リットル/hrで流通し、系を充分に飽和させた。次いで、トリイソブチルアルミニウムを0.25ミリモル、メチルアルミノキサンをAl原子に換算して0.5ミリモル、rac-ジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して0.001ミリモル加え、系を0℃に保ったまま10分間重合した。重合の停止は少量のメタノールを加えることにより行った。重合懸濁液を少量の塩酸を加えた2リットルのメタノールに入れて充分に攪拌し、濾過した。ポリマーを大量のメタノールにて洗浄し、80℃で10時間乾燥した。
【0151】
得られたポリマ-は5.62gであり、重合活性は33.7kgポリマー/ミリモルZr・hr、エチレン含量は3.9モル%、[η]=1.80dl/g、Mw/Mn=2.15、トリアドタクティシティーは99.3%、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は0.12%、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は検出下限未満(0.03未満)であった。
【0152】
【実施例5】
実施例4においてプロピレンを140リットル/hr、エチレンを60リットル/hrとした以外は実施例4と同様にして重合を行った。得られた重合溶液を少量の塩酸を加えた2リットルのメタノールに入れてポリマーを析出させた。メタノールを充分に除いた後、130℃で10時間乾燥した。
【0153】
得られたポリマ-は6.63gであり、重合活性は39.8kgポリマー/ミリモルZr・hr、エチレン含量は8.7モル%、[η]=1.66dl/g、Mw/Mn=2.46、トリアドタクティシティーは99.2%、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は0.12%、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は検出下限未満(0.03未満)であった。
【0154】
【参考例1】
実施例4においてプロピレンを100リットル/hr、エチレンを100リットル/hrとした以外は実施例4と同様にして重合を行った。得られた重合溶液を少量の塩酸を加えた2リットルのメタノールに入れてポリマーを析出させた。。メタノールを充分に除いた後、130℃で10時間乾燥した。
【0155】
得られたポリマ-は8.95gであり、重合活性は53.7kgポリマー/ミリモルZr・hr、エチレン含量は28.9モル%、[η]=1.34dl/g、Mw/Mn=1.95、トリアドタクティシティーは98.5%、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則単位の割合は0.09%、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則単位の割合は検出下限未満(0.03未満)であった。
【0156】
【参考例2】
遷移金属化合物触媒成分としてrac-ジメチルシリル-ビス{1-(2-エチル-4-(1-ナフチル)インデニル)}ジルコニウムジクロライドを用いた以外は実施例5と同様にして重合を行った。
【0157】
得られたポリマ-は2.08gであり、重合活性は12.5kg-ポリマー/ミリモルZr・hr、エチレン含量は7.9モル%、[η]=1.39dl/g、Mw/Mn=2.33、トリアドタクティシティーは99.2%、プロピレンモノマーの2,1-挿入に基づく位置不規則性単位の割合は0.10%、プロピレンモノマーの1,3-挿入に基づく位置不規則性単位の割合は検出下限未満(0.03未満)であった。
【0158】
【参考例3】
充分に窒素置換した2リットルのオートクレーブに、ヘキサンを920ml、1-ブテンを50g仕込み、トリイソブチルアルミニウムを1ミリモル加え、70℃に昇温した後、プロピレンを供給して全圧を7kg/cm2-Gにし、メチルアルミノキサン0.28ミリモル、rac-ジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロライドをZr原子に換算して0.0007ミリモル加え、プロピレンを連続的に供給して全圧を7kg/cm2-Gに保ちながら30分間重合を行った。重合後、脱気して大量のメタノール中でポリマーを回収し、110℃で12時間減圧乾燥した。
【0159】得られたポリマ-は52.1gであり、重合活性は149kg-ポリマー/ミリモルZr・hr、1-ブテン含量は20.2モル%、[η]=1.90dl/g、Mw/Mn=2.05、融点は101.5℃であった。
【0160】
【参考例4】
充分に窒素置換した500mlガス流通式ガラス製重合器に、トルエンを250ml、1-オクテンを9.4ml入れ、50℃に昇温し、プロピレンを250リットル/hrで流通し系を充分に飽和させた。次いで、トリイソブチルアルミニウムを0.1ミリモル加え、メチルアルミノキサンをAl原子に換算して1.1ミリモル、rac-ジメチルシリル-ビス(2-エチル-4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロライドをZr原子に換算して0.002ミリモル加え、系を50℃に保ち、プロピレンを250リットル/hrで連続的に流通させながら30分間重合を行った。重合の停止は、少量のメタノールを加えることにより行った。重合溶液を少量の塩酸を加えた2リットルのメタノールに加えてポリマーを析出させポリマーを回収し、110℃で12時間減圧乾燥した。
【0161】
得られたポリマ-は5.4gであり、重合活性は5.4kg-ポリマー/ミリモルZr-hr、1-オクテン含量は6.7モル%、[η]=1.44dl/g、Mw/Mn=2.41、融点は131℃であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明のプロピレン系重合体を製造する際に用いられるオレフィン重合用触媒の調整工程を示す説明図である。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-05-24 
出願番号 特願平6-294785
審決分類 P 1 652・ 113- YA (C08F)
P 1 652・ 4- YA (C08F)
P 1 652・ 161- YA (C08F)
P 1 652・ 121- YA (C08F)
P 1 652・ 534- YA (C08F)
P 1 652・ 531- YA (C08F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小出 直也  
特許庁審判長 井出 隆一
特許庁審判官 佐野 整博
船岡 嘉彦
登録日 2003-05-23 
登録番号 特許第3432020号(P3432020)
権利者 三井化学株式会社
発明の名称 プロピレン単独重合体およびプロピレン共重合体  
代理人 牧村 浩次  
代理人 小島 隆  
代理人 鈴木 俊一郎  
代理人 牧村 浩次  
代理人 鈴木 俊一郎  
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