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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01S
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01S
管理番号 1124212
審判番号 不服2003-14794  
総通号数 71 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-04-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-31 
確定日 2005-10-06 
事件の表示 平成 9年特許願第264741号「光源モジュールおよび光走査装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 4月23日出願公開、特開平11-112097〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成9年9月30日の出願であって、平成15年6月19日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月31日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年8月22日に手続補正がなされたものである。
2.平成15年8月22日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年8月22日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、特許法第17条の2第1項第3号の規定に基づく手続補正であり、該手続補正は、平成14年1月7日付の手続補正書により補正された願書に添付した明細書の特許請求の範囲の、
「【請求項1】半導体レーザと、
前記半導体レーザが搭載されるとともに、前記半導体レーザを駆動する駆動回路が搭載される基板と、
前記半導体レーザから出射されるレーザ光の出射光量を調整するための出射光量調整手段と、
前記基板及び前記出射光量調整手段をその内部に収納するカバーと、
を備えることを特徴とする、光源モジュール。
【請求項2】前記カバーは、絶縁体で成形されていることを特徴とする、請求項1記載の光源モジュール。
【請求項3】前記光源モジュールにおいて、前記出射光量調整手段が前記基板上に設けられたことを特徴とする、請求項1記載の光源モジュール。
【請求項4】前記基板には、前記カバーから露出するように構成され、前記半導体レーザの駆動電圧を外部から供給するコネクタが設けられたことを特徴とする、請求項1記載の光源モジュール。」

の記載を、

「【請求項1】筐体が密閉された光学ユニットに取り付けられる光学モジュールであって、
半導体レーザと、
前記半導体レーザが搭載されるとともに、前記半導体レーザから出射される前記レーザ光の出射光量を調整するための出射光量調整手段と、前記半導体レーザを駆動する駆動回路が搭載される基板と、
前記半導体レーザと前記基板を完全に覆う絶縁体で構成されたカバーと、
前記半導体レーザから出射されるレーザ光を通過させるための穴と、
を備え
交換される際に、前記半導体レーザから出射されるレーザ光が直接前記穴に到達し通過した後に、前記光学ユニットに設けられた穴を通過して前記光学ユニット内に設けられた走査光生成手段に入射するように前記光学ユニットの筐体の外部に取り付けられ、前記光学ユニットの防塵性を保持しつつ交換作業を行うことが可能となるよう構成されることを特徴とする光源モジュール。
【請求項2】前記基板には、前記カバーから露出するように構成され、前記半導体レーザの駆動電圧を外部から供給するコネクタが設けられたことを特徴とする、請求項1記載の光源モジュール。」

の記載に補正するものである。

(2)補正の適否の検討
上記本件補正の適否について検討すると、本件補正の請求項1において、本件補正前に「前記基板及び前記出射光量調整手段をその内部に収納するカバー」とあるのを、本件補正により「前記半導体レーザと前記基板を完全に覆う絶縁体で構成されたカバー」としており、これは、上記「カバー」に係る「前記基板及び前記出射光量調整手段をその内部に収納する」という限定を、「前記半導体レーザと前記基板を完全に覆う絶縁体で構成された」という新たな限定に変更したことになるが、これは、補正前の請求項1に記載された構成要件をさらに限定したものとは云えないから、本件補正は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当せず、はたまた、「請求項の削除」、「誤記の訂正」及び「明りょうでない記載の釈明」を目的とする補正にも該当しないと認められるので、
結局、本件補正は、特許法第17条の2第4項第1号ないし第4号に掲げる事項を目的とする補正であるということができない。

(3)むすび
したがって、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反してなされたものであるから、同条第159条第1項の規定で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
(4)追記
なお、仮に、本件補正が「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当すると解釈した場合でも、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)は、以下の【理由】に述べるように、本件特許出願の際独立して特許を受けることができるものとは認められず、平成15年改正前特許法第17条の2第4項で準用する同法第126条第3項の規定に違反し、特許法第159条第1項の規定で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

【理由】
【1】本件補正発明
本件補正発明は、請求項1に記載された事項により特定される、
「【請求項1】筐体が密閉された光学ユニットに取り付けられる光学モジュールであって、
半導体レーザと、
前記半導体レーザが搭載されるとともに、前記半導体レーザから出射される前記レーザ光の出射光量を調整するための出射光量調整手段と、前記半導体レーザを駆動する駆動回路が搭載される基板と、
前記半導体レーザと前記基板を完全に覆う絶縁体で構成されたカバーと、 前記半導体レーザから出射されるレーザ光を通過させるための穴と、
を備え
交換される際に、前記半導体レーザから出射されるレーザ光が直接前記穴に到達し通過した後に、前記光学ユニットに設けられた穴を通過して前記光学ユニット内に設けられた走査光生成手段に入射するように前記光学ユニットの筐体の外部に取り付けられ、前記光学ユニットの防塵性を保持しつつ交換作業を行うことが可能となるよう構成されることを特徴とする光源モジュール。」である。

【2】これに対して、原査定の拒絶の理由で引用された特開平6-76095号公報(以下、「引用例1」という。)には、【図面】とともに以下の事項が記載されている。

a.「【0009】【実施例】本発明の第一の実施例を図1および図2に基づいて説明する。前記従来例で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示す。本実施例は、従来例と同じく定置式のバーコードスキャナで、本体ケース9の上面に設けられた透光性のある窓2から出射されるレーザー光でこの窓2の上にかざされたバーコード3を読み取るものである。
【0010】前記本体ケース9は、トップカバー9aとボトムカバー9bとにより形成され、前記トップカバー9aにはガラス10とアクリル11とにより窓2が形成されている。そして、前記本体ケース9の中には、半導体レーザダイオードユニット12やこの半導体レーザダイオードユニット12から出射されたレーザー光を偏向して前記バーコード3を走査させるための偏向光学系13等が設けられている。
【0011】ここで、前記偏向光学系13は、モータ6に駆動されて回転し様々な角度にレーザー光を反射するポリゴンミラー14とこのポリゴンミラー14の反射光を前記窓2に向けて反射する反射鏡15とから形成され、光学ベース16を介して前記本体ケース9に取り付けられている。また、バーコード3から反射したレーザー光をセンサ(図示せず)に集光する凹面鏡17が前記ポリゴンミラー14に対向する位置に前記光学ベース16を介して取り付けられている。
【0012】一方、前記半導体レーザダイオードユニット12は周囲を仕切壁となる断熱壁18に囲まれて完全に一個の部屋として独立した断熱エリア19内に配設されている。そして、この半導体レーザダイオードユニット12から出射されるレーザー光を前記ポリゴンミラー14に向けて反射するプリズム20が前記断熱エリア19の天井面に取り付けられている。ここで、前記半導体レーザダイオードユニット12は、図2に示すように半導体レーザダイオード21と、前記半導体レーザダイオード21を駆動するドライブ回路基盤22と、前記半導体レーザダイオード21から発振されるレーザー光の光束を細くする凸レンズ23と、楕円形の光束を円形にするための絞り24と、前記絞り24と前記凸レンズ23とを支持する鏡筒25と、前記半導体レーザダイオード21の発熱を逃がすヒートシンク26とから形成されている。
【0013】また、前記本体ケース9の前記半導体レーザダイオードユニット12の下方に位置する部分には半導体レーザダイオードユニット交換口が設けられており、この半導体レーザダイオードユニット交換口は取り外し自在の蓋27で閉じられている。
【0014】なお、前記プリズム20で反射されたレーザー光の光路に干渉する前記凹面鏡17と、前記断熱壁18とにはレーザー光を遮らないようにそれぞれレーザー透光窓28が形成されている。
【0015】このような構成によれば、ポリゴンミラー14を駆動するモータ等の発生する熱が前記半導体レーザダイオードユニット12を形成している半導体レーザダイオード21に伝達することを防止でき、半導体レーザダイオード21の寿命を伸ばすことができる。
【0016】さらに、半導体レーザダイオード21の寿命の際は蓋27だけを外して前記半導体レーザダイオードユニット12を交換すれば良く、そのため、本体ケース9を開放する必要がなく光学系内部に埃等が入ることを防止できバーコード3の読取り性能を良好に維持できるものとなると同時に、作業が容易で交換の手間が掛からないものとなる。」(【0009】〜【0016】)

b.「【0017】つづいて、本発明の第二の実施例を図3および図4に基づいて説明する。前記実施例で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示す。本実施例も、従来例と同じく定置式のバーコードスキャナで、本体ケース29の上面に設けられた透光性のある窓2から出射されるレーザー光でこの窓2の上にかざされたバーコード3を読み取るもので、本体ケース29の下部に挿入される形で半導体レーザダイオードユニット12を内蔵した半導体レーザダイオードユニットケース30が着脱自在に取り付けられて装置本体が形成されている。
【0018】まず、前記本体ケース29は、トップカバー29aとボトムカバー29bとより形成され、前記トップカバー29aにはガラス10とアクリル11とにより窓2が形成されている。そして、前記本体ケース29の中には、モータ6に駆動されて回転し様々な角度にレーザー光を反射するポリゴンミラー14とポリゴンミラー14の反射光を窓2に向けて反射する反射鏡15とから形成された偏向光学系13が、光学ベース31を介して取り付けられている。さらに、バーコード3から反射したレーザー光をセンサ(図示せず)に集光する凹面鏡17がポリゴンミラー14に対向する位置に前記光学ベース31を介して取り付けられている。
【0019】一方、前記半導体レーザダイオードユニットケース30は、上端に設けられたツメ32を前記本体ケース29に設けられた穴33に係合させて、下端に設けられたタブ34を前記本体ケース29にねじ止めさせて取り付けられている。
【0020】そして、前記半導体レーザダイオードユニットケース30の中には半導体レーザダイオードユニット12が設けられ、この半導体レーザダイオードユニット12から出射されるレーザー光をポリゴンミラー14に向けて反射するプリズム20が前記半導体レーザダイオードユニットケース30の内部上面に取り付けられている。
【0021】また、前記半導体レーザダイオードユニットケース30の背面には放熱穴35が設けられている。
【0022】なお、前記プリズム20で反射されたレーザー光の光路に干渉する前記凹面鏡17と、前記光学ベース31と、前記本体ケース29と、前記半導体レーザダイオードユニットケース30とにはレーザー光を遮らないようにそれぞれレーザー透光窓28が形成されている。
【0023】このような構成によれば、前記実施例と同じく、ポリゴンミラー14を駆動するモータ等の発生する熱が半導体レーザダイオード21に伝達することを防止す
ることができ、半導体レーザダイオード21の寿命を伸ばすことができる。
【0024】さらに、半導体レーザダイオード21の寿命の際は半導体レーザダイオードユニットケース30を交換すれば良く、そのため、本体ケース29を開放する必要がなく光学系内部に埃等が入ることを防止できバーコード3の読取り性能を良好に維持できるものとなると同時に、作業がさらに容易で交換の手間が掛からないものとなる。」(【0017】〜【0024】)

c.「 【図1】

」 d.「 【図2】


e.「 【図3】


f.「 【図4】



そして、引用例1の、特に、【図3】、【図4】を参酌すれば、引用例1には、
「本体ケース29に取り付けられる光学モジュールであって、
半導体レーザダイオード21と、
前記半導体レーザダイオード21が搭載されるとともに、前記半導体レーザダイオード21を駆動するドライブ回路が搭載されるドライブ回路基盤22と、
前記半導体レーザダイオード21と前記回路基盤22を完全に覆う半導体レーザダイオードユニットケース30と、
前記半導体レーザダイオード21から出射されるレーザ光を通過させるためのレーザー透光窓28と、を備え
交換される際に、前記半導体レーザダイオード21から出射されるレーザ光がプリズム20で反射されて前記レーザー透光窓28に到達し通過した後に、前記本体ケース29に設けられたレーザー透光窓28を通過して前記本体ケース29内に設けられた偏向光学系13に入射するように前記本体ケース29の筐体の外部に取り付けられ、前記本体ケース29の防塵性を保持しつつ交換作業を行うことが可能となるよう構成されてなる光学装置。」(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認める。

【3】対比・判断
本件補正発明と引用発明1とを対比すると、
引用発明1の「半導体レーザダイオードユニットケース30」は、レーザダイオード21やドライブ回路基盤22等から形成される「半導体レーザダイオードユニット12」を完全に覆うものであり(引用例1【0017】、【図4】)、通常は絶縁体で構成されるものであるから、本件補正発明の「絶縁体で構成されるカバー」に相当し、

また、引用発明1の「半導体レーザダイオードユニット12」と「半導体レーザダイオードユニットケース30」を合わせたものは、筐体が密閉された本体ケース29の外部に取り付けられるものであるから(同【図4】)、本件補正発明の「光源モジュール」に相当する。

さらに、引用発明1の「本体ケース29」、「半導体レーザダイオード21」、「ドライブ回路基盤22」、「レーザー透光窓28」及び「偏向光学系13」は、本件補正発明の「光学ユニットの筐体」、「半導体レーザ」、「基板」、「レーザ光を通過させるための、光源モジュールに設けられた穴、および 光学ユニットに設けられた穴」及び「走査光生成手段」に、それぞれ相当することは明らかである。

したがって、本件補正発明と引用発明1は、
「筐体が密閉された光学ユニットに取り付けられる光学モジュールであって、
半導体レーザと、
前記半導体レーザが搭載されるとともに、前記半導体レーザを駆動する駆動回路が搭載される基板と、
前記半導体レーザと前記基板を完全に覆う絶縁体で構成されたカバーと、 前記半導体レーザから出射されるレーザ光を通過させるための穴と、
を備え
交換される際に、前記半導体レーザから出射されるレーザ光が前記穴に到達し通過した後に、前記光学ユニットに設けられた穴を通過して前記光学ユニット内に設けられた走査光生成手段に入射するように前記光学ユニットの筐体の外部に取り付けられ、前記光学ユニットの防塵性を保持しつつ交換作業を行うことが可能となるよう構成される光源モジュール。」の点で一致し、以下の点で相違している。

【相違点1】
本件補正発明は、基板に、「半導体レーザから出射されるレーザ光の出射光量を調整するための出射光量調整手段」が搭載されているのに対し、引用発明1は、「出射光量調整手段」が搭載されていない点。

【相違点2】
本件補正発明は、光源モジュールが、「半導体レーザから出射されるレーザ光が直接前記穴に到達し通過」するのに対し、引用発明1は、「半導体レーザから出射されるレーザ光がプリズムで反射されて前記穴に到達し通過」する点。

上記相違点について検討する。

【相違点1】について
バーコード読取り装置に用いられるレーザ制御装置は、出射光量を所定範囲に制御するために、レーザダイオードの駆動回路に、出射光量調整のための出射光量調整手段を搭載することは広く行われているから(例えば、特開平6-275896号公報の【0003】〜【0006】の【従来の技術】の欄、特開平5-110175号公報の【0011】〜【0012】等参照)、引用発明1においても、レーザ制御装置であるドライブ回路基盤に、出射光量調整のための出射光量調整手段を搭載することは、当業者が容易に想到し得る程度のものである。

【相違点2】について
引用発明1は、半導体レーザから出射されるレーザ光が、プリズムで反射されて、前記穴に到達し通過するものであるが、一方、光学ユニットに対する光源モジュールの配置の仕方を種々工夫することは、当業者の設計事項であるから、引用発明1の光源モジュールの配置の仕方を変更し、プリズムを使用することなく、レーザ光が直接前記穴に到達し通過するようにすることは、当業者が適宜行い得る程度のことである。

また、本件補正発明の効果は、引用発明1及び周知技術から当業者が当然予期し得る範囲のものである。

したがって、本件補正発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.本件発明について
平成15年8月22日付の手続補正は、上記のとおり却下されたので、本件の請求項に係る発明は、平成14年1月7日付の手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という)は、以下のとおりである。

「【請求項1】 半導体レーザと、
前記半導体レーザが搭載されるとともに、前記半導体レーザを駆動する駆動回路が搭載される基板と、
前記半導体レーザから出射されるレーザ光の出射光量を調整するための出射光量調整手段と、
前記基板及び前記出射光量調整手段をその内部に収納するカバーと、
を備えることを特徴とする、光源モジュール。」

(1)引用例記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1及びその記載事項は、前記したとおりである(上記2(4)【理由】【2】参照)。

そして、引用例1の、特に、【図1】、【図2】を参酌すれば、引用例1には、
「半導体レーザダイオード21と、
前記半導体レーザダイオードが搭載されるとともに、前記レーザダイオードを駆動するドライブ回路が搭載されるドライブ回路基盤22と、
前記回路基盤をその内部に収納する断熱壁18と、
を備えてなる、半導体レーザダイオードユニット12」(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認める。

(2)対比・判断
本件発明と引用発明2とを対比すると、
引用発明2の「半導体レーザダイオードユニット12」は、レーザダイオード21やドライブ回路基盤22等から形成されるものであり、「断熱壁1
8」は、上記「半導体レーザダイオードユニット12」を内部に収納するものであるから(引用例1【0012】、【図1】)、本件発明の「カバー」に相当し、
また、引用発明2の「半導体レーザダイオードユニット12」と 「断熱壁18」を合わせたものは(同【図1】)、本件発明の「光源モジュール」に相当すると認められる。
さらに、引用発明2の「半導体レーザダイオード21」及び「ドライブ回路基盤22」は、本件発明の「半導体レーザ」及び「基板」に、それぞれ相当する。

したがって、本件発明と引用発明2は、
「半導体レーザと、
前記半導体レーザが搭載されるとともに、前記半導体レーザを駆動する駆動回路が搭載される基板と、
前記基板をその内部に収納するカバーと、
を備える光源モジュール」の点で一致し、以下の点で相違している。

【相違点】
本件発明は、「基板」に、「半導体レーザから出射されるレーザ光の出射光量を調整するための出射光量調整手段」を搭載し、「カバー」は「基板と出射光量調整手段」をその内部に収納するものであるのに対し、引用発明2は、「基板」に、「出射光量調整手段」を搭載しておらず、「カバー」は「基板」を収納するものである点。

上記相違点について検討する。

前述したように(上記2(4)【理由】【3】【相違点1】について 参照)、バーコード読取り装置に用いられるレーザ制御装置は、出射光量を所定範囲に制御するために、レーザダイオードの駆動回路に、出射光量調整のための出射光量調整手段を搭載することは広く行われているから、引用発明2においても、レーザ制御装置であるドライブ回路基盤に、出射光量調整のための出射光量調整手段を搭載することは、当業者が容易に想到し得るものである。
また、「出射光量調整手段」が基板に搭載されているのであれば、「カバー」は当然「出射光量調整手段」を収納するものとなる。

そして、本件発明の効果は、引用発明2及び周知技術から当業者が当然予期し得る範囲のものである。

したがって、本件発明は、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-08-02 
結審通知日 2005-08-09 
審決日 2005-08-22 
出願番号 特願平9-264741
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H01S)
P 1 8・ 121- Z (H01S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柏崎 康司金高 敏康  
特許庁審判長 平井 良憲
特許庁審判官 吉田 禎治
吉田 英一
発明の名称 光源モジュールおよび光走査装置  
代理人 横山 淳一  
代理人 横山 淳一  

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