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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 全部申し立て 特29条の2  H01L
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  H01L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
管理番号 1124264
異議申立番号 異議2003-72156  
総通号数 71 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-08-25 
確定日 2005-08-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3380868号「投影露光装置」の請求項1ないし9に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3380868号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第3380868号の請求項1ないし9に係る発明についての出願は、平成4年2月4日に特許出願され、平成14年12月20日にその特許の設定登録がなされ、その後、異議申立人キャノン株式会社から特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年5月6日に訂正請求がなされ(後日取り下げ)、その後再度の取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成17年6月13日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
訂正事項
a.訂正前の請求項1「【請求項1】 露光光を発射する露光光源と、該露光光源から発射した露光光をパターンを形成したマスク又はレチクルに照射する照明光学系と、該照明光学系により照射されて前記マスク又はレチクルを透過した光を被露光物体上に前記マスク又はレチクルのパターン像として結像する露光結像レンズ系とを備えた投影式露光装置であって、前記露光光源は、露光光としてエキシマレーザを発射し、前記照明光学系は、前記エキシマレーザの可干渉性を低減する手段と、前記露光光の光路を変換することにより前記露光結像レンズ系の入射瞳と共役な場所での前記露光光の形状を1つの光束形状と輪帯形状又は4つ以上に分離した光束形状の何れかとの間で切替え可能な切替え手段とを有することを特徴とする投影露光装置。
」を、「【請求項1】 露光光を発射する露光光源と、該露光光源から発射した露光光をパターンを形成したマスク又はレチクルに照射する照明光学系と、該照明光学系により照射されて前記マスク又はレチクルを透過した光を被露光物体上に前記マスク又はレチクルのパターン像として結像する露光結像レンズ系とを備えた投影式露光装置であって、前記露光光源は、露光光としてエキシマレーザを発射し、前記照明光学系は、光路長の異なる複数の光ファイバを組み合わせて構成した光ファイバ束を用いた前記エキシマレーザの可干渉性を低減する手段と、該可干渉性を低減する手段で可干渉性を低減した前記露光光の光路を変換することにより前記露光結像レンズ系の入射瞳と共役な場所での前記露光光の形状を1つの光束形状と輪帯形状又は8つに分離した光束形状との間で切替え可能な切替え手段とを有することを特徴とする投影露光装置。」と訂正する。
b.訂正前の請求項3ないし9を削除する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、訂正前の請求項1における、「前記照明光学系は、前記エキシマレーザの可干渉性を低減する手段と、前記露光光の光路を変換する」を、「前記照明光学系は、光路長の異なる複数の光ファイバを組み合わせて構成した光ファイバ束を用いた前記エキシマレーザの可干渉性を低減する手段と、該可干渉性を低減する手段で可干渉性を低減した前記露光光の光路を変換する」と訂正し、「露光光の形状を1つの光束形状と輪帯形状又は4つ以上に分離した光束形状の何れかとの間で切替え可能な切替え手段」を、「露光光の形状を1つの光束形状と輪帯形状又は8つに分離した光束形状との間で切替え可能な切替え手段」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
光路長の異なる複数の光ファイバを組み合わせて構成した光ファイバ束を用いた前記エキシマレーザの可干渉性を低減する手段は、特許明細書の請求項3に記載されていたものであり、また、可干渉性を低減する手段で可干渉性を低減した前記露光光の光路を変換する点については、特許明細書の【0027】及び【0028】段落に記載されていたものであり、さらに、8つに分離した光束形状については、【0026】段落及び図18(b)に記載されていたものである。
また、訂正事項aは、実質上特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。
上記訂正事項bは、訂正前の請求項3ないし9を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項bは、実質上特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、同条第2項及び第3項の規定に適合する。
従って、当該請求を認める。

3.特許異議の申立てについて
3.特許異議申立てについての判断
(1)本件発明
上記のとおり、訂正は認められるから、本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下、「本件発明1」及び「本件発明2」という。)は、上記訂正された特許明細書に記載された次のとおりのものである。
【請求項1】
露光光を発射する露光光源と、該露光光源から発射した露光光をパターンを形成したマスク又はレチクルに照射する照明光学系と、該照明光学系により照射されて前記マスク又はレチクルを透過した光を被露光物体上に前記マスク又はレチクルのパターン像として結像する露光結像レンズ系とを備えた投影式露光装置であって、前記露光光源は、露光光としてエキシマレーザを発射し、前記照明光学系は、光路長の異なる複数の光ファイバを組み合わせて構成した光ファイバ束を用いた前記エキシマレーザの可干渉性を低減する手段と、該可干渉性を低減する手段で可干渉性を低減した前記露光光の光路を変換することにより前記露光結像レンズ系の入射瞳と共役な場所での前記露光光の形状を1つの光束形状と輪帯形状又は8つに分離した光束形状との間で切替え可能な切替え手段とを有することを特徴とする投影露光装置。
【請求項2】
前記エキシマレーザ光は、KrFエキシマレーザ又はArFエキシマレーザであることを特徴とする請求項1記載の投影露光装置。

(2)異議申立人提出の証拠に記載された発明/取消理由で引用された刊行物に記載された発明
先願1(甲第1号証):特願平3-225221号(特開平5-47639号公報)
甲第1号証には、段落【0018】において、「図1において、11は光源であり比較的空間的コヒーレンシィーが小さな(横モードの数が多い)KrFエキシマレーザー、から成っている。光源11からはコヒーレントな平行光束が放射されている。」と記載されている。
甲第1号証には、段落【0027】において、「・・又第1ビームスプリッター3から第1偏向部材8に至る光路に沿って配列した各光学要素でコヒーレント光をインコヒーレント光に変換する光学手段(インコヒーレント化光学系)20を構成している。」と記載されている。
甲第1号証には、段落【0032】において、「光学系201と光学系202はアフォーカル系を構成し、該アフォーカル系の角倍率を変えることにより入射光束のビーム断面形状を変化させている。」と記載されている。
甲第1号証には、請求項16において、「前記2次光源の像が前記投影光学系の入射瞳に形成されることを特徴とする」と記載されている。また、段落【0026】において、「このときオプティカルインテグレーター22の光射出面22bの2次光源が後述する投影光学系(投影レンズ)24の瞳面上に形成されるようにしている。」と記載されている。また、段落【0041】には、「図3(A),(B)は瞳面24a上におけるオプティカルインテグレーター22の光射出面22b(2次光源)の強度分布を示す概略図である。同図において黒く塗りつぶした領域は相対的に光強度が弱い領域、白い領域は光強度が相対的に強い領域を示している」と記載されている。
甲第1号証には、段落【0053】〜【0055】において、「・・今通常の投影露光のときの2次光源の強度分布を図4(D)とする。・・即ち光入射面22aでは図5(D)に示すようにX軸上とY軸上での強度が小さい強度分布となる。」と記載されている。
甲第1号証には、段落【0054】において、「そこでビーム断面調整手段2により図4(A)のビーム断面LをU方向に縮小し、かつ平行平板203でU方向に平行移動させるとビーム断面は図5(A)のようになる。」と記載されている。
甲第1号証には、段落【0063】において、「(イ)図8に示すようにビーム断面調整手段2をビーム断面の拡大及び縮小が可能な光学系202と平行平板203との間に光束を2分割するダハプリズムより成る光学素子204を配置して構成しても良い」と記載されている。
甲第1号証には、段落【0065】において、「(ロ)オプティカルインテグレーター22の光入射面22aの強度分布が例えば円形又は矩形のリング状となるようにビ一ム断面調整手段2を利用して設定しても良い」と記載されている。
甲第1号証には、段落【0068】に「(ニ)特に半導体デバイスを製造するには、最小線幅が相対的に大きな回路パターンを照明する際と最小線幅が相対的に小さな回路パターンを照明する際の各々で、前記2次光源形成部材の光入射面上に中心強度が周辺強度よりも大きいかほぼ均一な光強度分布を形成する第1の状態と前記2次光源形成部材の光入射面上に周辺強度が中心強度よりも大きな光強度分布を形成する第2の状態を選択するべく前記単一のコヒーレントビームの断面を変えること。」と記載されている。
先願2(甲第2号証):特願平4-16590号(特開平5-217851号公報)
甲第2号証には、段落【0029】において、「・・本実施例では光分割器として2個の多面体プリズムを使用し、さらに光路差発生部材として平行平板ガラスを使用したものである。図1において、露光用光源1はKrF、ArFエキシマレーザ、あるいは金属蒸気レーザやYAGレーザの高調波等のレジスト層を感光させる波長域の照明光を発生する。」と記載されている。
甲第2号証には、段落【0030】において、「ここで、図1に示すように光分割器20、21で分割された2つの光束のうち、いずれか一方の光路中(図1では第2フライアイレンズ群40aへ入射する光束の光路中)に、光路差発生部材としての平行平板ガラス30が配置されている。」と記載されている。段落【0044】において、「図4は、光路差発生部材として平行平板ガラスの代わりにミラーを使用した例を示しており、・・」と記載されており、図4にハーフミラー30aと反射ミラー30bとが記載されている。段落【0045】において、「図5の例は、光路差発生部材30a、30b及び光分割器20、21を含めた構成は図4の例と全く同一であるが、ここではさらにイメージローテーター35を1つの光束の光路中に配置した例を示している。このイメージローテーター35によって、ハーフミラー30aで分割された一方の光束(図では反射光束)のみを、光軸AXと垂直な面内で、例えば180°回転させる。以上の構成によって、各光束の可干渉性がさらに低減され、ノイズ成分となるスペックル干渉縞のコントラストがますます低下して有利である。尚、イメージローテーターとしては、図5中に示したようなプリズムを組み合わせたもの以外であっても構わない。」と記載されている。段落【0067】において、「・・例えば図14(A)に示した光路差発生部材60を、輪帯照明法を採用した投影露光装置に対して適用すると、レチクルパターン面での照度均一性の向上が期待できる。・・」と記載されている。
甲第2号証には、段落【0033】において、「・・一方、照明光学系中にもパターン9に対するフーリエ変換面に相当する照明光学系の瞳面17が存在するが、前述の第1フライアイレンズ41a、41bのレチクル側焦点面(射出側焦点面)は、照明光学系の瞳面17とほぼ一致した位置にある。・・」と記載されている。
甲第2号証には、段落【0064】において、「また、本発明の実施例で示した装置において、光分割器から第1フライアイレンズ群、ガイド光学系、第2フライアイレンズ群の各光学系(図2に示す構成)を、従来の照明光学系における対応部分、すなわちリレーレンズと1つのフライアイレンズとを一体にしたものと交換可能にしても良い。」と記載されている。
甲第2号証には、段落【0067】において、「・・ところで、プリズム70は入射面と射出面の各々に円錐状の斜面を有する、いわゆるコーンプリズムであって、プリズム70の屈折作用によって照明光束は輪帯状に整形され、光路差発生部材60に照射されることになる。また、第1、第2フライアイレンズ群72、71はともに、光軸AXと垂直な面内での輪帯状の照明光東の通過領域の全面に広がる1つの大きなフライアイレンズであって、各エレメントはその断面積が非常に小さく作られている。上記構成、すなわち2段のインテグレータ構造を採用し、かつ光路差発生部材60によって輪帯状の照明光束を4分割し、この分割された各光東間の相互の光路差をコヒーレント長Lより長く定めることにより、レチクルパターン面での照度均一性を向上させることができる。・・」と記載されている。
先願3(甲第3号証):特願平2-408093号(特開平4-225357号公報)
甲第3号証には、段落【0012】において、「・・図12において、フライアイレンズ(11A,11B)は、そのレチクル側焦点面11bがレチクル16上の回路パターン(レチクルパターン)17に対してほぼフーリエ変換面の位置(投影レンズ18の瞳面19と共役な位置)となるように配置され、・・フライアイレンズ11A,11Bの光源側(またはレチクル側、もしくはフライアイレンズと一体に)遮光部材10を設ける。・・」と記載されており、図12にレチクル側焦点面11b、瞳面19、遮光部材10の配置関係が記載されている。
甲第3号証には、段落【0043】において、「図5は各フライアイレンズ群に照明光束を集中させる光学部材として、複数の屈折面を有するプリズム8を用いた例である。・・」と記載されており、図5にプリズム8が記載されている。
甲第3号証には、段落【0047】において、「・・フライアイレンズ群の個数は3個以上であってももちろんよい。・・」と記載されている。
甲第3号証には、段落【0056】において、「図8は可動部材の具体的な構成を示す図であって、ここでは4つの保持部材11,21,22,23が約90°間隔で、回転軸24aを中心として回転可能な可動部材(ターレット板)24上に配置されている。・・」と記載されており、図8に1つ又は4つ以上に分離した光束形状に切替え可能なターレット板24が記載されている。
甲第3号証には、段落【0060】において、「・・特に光ファイバー束7(図4)を用いる場合には、フライアイレンズ群の移動に伴ってその射出端7bも移動するように構成しておく、例えば射出端7bとフライアイレンズ群とを一体に固定しておけば良い。・・」と記載されている。
甲第3号証には、段落【0061】において、「また、保持部材を交換する際には上記インプット光学系、例えば回折格子状パターン5及びリレーレンズ9(図1)や光ファイバー束7(図4)等も交換する必要があるので、保持部材毎にその複数のフライアイレンズ群の偏心状態に応じたインプット光学系を一体に構成して、可動部材24に固定しておくことが望ましい。」と記載されている。
甲第3号証には、段落【0062】において、「図9は保持部材交換用の可動部材の変形例を示す図であって、インプット光学系(光ファイバー束71、72)と保持部材(32、34)とが一体に可動部材(支持棒36)に固定されている。・・」と記載されている。 甲第3号証には、段落【0077】において、「・・他の輝線ランプやレーザ(エキシマレーザ等)、あるいは連続スペクトルの光源であってもよい。・・」と記載されている。
刊行物4(甲第4号証):特開平5-217854号公報
甲第4号証は本件特許の出願公開公報である。
刊行物5(甲第5号証):特開昭61-502507号公報
甲第5号証には、4頁左下欄9行目〜12行目において、「一例として、第1図のレーザー12は2484オングストロームの公称中心波長にて動作するように設計されたパルスKrFガス エクサイマー レーザーから構成される。」と記載されている。
甲第5号証には、8頁左上欄12行目〜17行目において、「前述の大きな面積の仮想源のサイズはシャフト116によってミラー112がロックされる程度を変えることによって変化することができる。これに加えて、仮想源の形状はミラー112がロックされている間のシャフト114の回転速度を変えることによって変化できる。」と記載されている。
刊行物6(甲第6号証):特開昭63-257225号公報
甲第6号証には、1頁9行目〜20行目において、「スペックルと呼ばれる斑状の露光むらを引き起こす、これを解決する一方法として、エス・ピー・アイ.イー174,ブイベロップメント・イン・セミコンダクタ・マイクロリソグラフィIV(1979年)第35頁(SPIE Vol.174,Developmentin SemiconductorMicrolithographyIV,1979,pp35)で提案されているように、ガルバノミラ一等の光偏向器を2個用い、縮小レンズ瞳上に集光されたスポット光を二次元的に走査し、複数パルス光で異なるスペックルパターンを重畳し、結果的に現像後のパターンに生じるスペックルを解消する方法が知られている。」と記載されている。
甲第6号証には、2頁左下欄9行目〜10行目において、「・・図中1は発振波長を狭域化したエキシマレーザ光源」と記載されている。甲第6号証には、3頁右上欄10行目〜18行目において、「本実施例によれば露光光の時間積算的コヒーレンシ(瞳上スポット走査領域半径/瞳半径)は(4)式のRを変えることによって簡単に制御することができる。また円形走査領域を得る他の実施例として2個のガルバノミラーの振れを第11図のように円形領域外にスポットが出ないように制御することにより、第4図に示す走査領域を絞りを使わずに得ることもできる。」と記載されている。
甲第6号証には、3頁左下欄3行目〜10行目において、「以上説明したように本発明によれば、従来、縮小レンズ瞳と共役な位置(第1図B点)に置く必要があった円形絞り(第1図25)を省略することができ、また全発光パルスを有効に利用することができ、エネルギー利用効率(有効パルス数/全パルス数)は21%向上し、また同一の時間積算的コヒーレンシを選るのに必要な露光時間を従来に比べて21%削減することができる効果を奏する。」と記載されている。
刊行物7(甲第7号証):特開昭61-91662号公報
甲第7号証には、2頁左下欄20行目〜右上欄5行目において、「フィルタ10は、光学系が収差補正されている波長の光だけを通すためのものであり、コールドミラー11,12は光路を曲げて装置の高さを低くするとともに、長波長光熱線を透過させてランプハウス13の冷却可能部分に吸収させる役目を担う。」と記載されている。
甲第7号証には、4頁右上欄18行目〜左下欄1行目において、「本発明の構成は、第5図または第6図に示した従来装置の構成と同じでよく、開口絞り9の代わりに第1図〜第4図に示した絞りを装着すればよい。」と記載されている。
甲第7号証には、5頁右上欄1行目〜8行目において、「また、装置を第5図のごとく構成し、オプチカルインテグレータ5の前に円錐レンズを着脱可能とし、オプチカルインテグレータ5に入る光の分布を円錐レンズの着脱により周辺円輪状と中央集中型とに切替え可能とし、従来の円形絞り等の均一絞り使用時と特殊絞り使用時とで使い分けられるようにすれば、光線の使用効率を落とさずに使い分けができる。」と記載されている。
甲第7号証には、特許請求の範囲の(5)において、「2次光源は、その前面に、2次光源を形成するための均一化光学系に入射する光束の光強度分布を2次光源の直後に入れる絞りの関口形状、透過率分布に類似させることを可能にする円錐レンズを有することを特徴とする特許請求の範囲第4項記載の投影露光装置。」と記載されている。
刊行物8(甲第8号証):特開昭59-49514号公報
甲第8号証には、1頁右欄16行目〜18行目において、「3はレーザー光のコヒーレンスを減少せしめるためのマットガラスで、」と記載されている。
甲第8号証には、2頁左上欄11行目〜13行目において、「マットガラス3を透過することにより少しインコヒーレントにされて、スペックルパターンの発生が防止され結像性能が改善される」と記載されている。
甲第8号証には、3頁左欄7行目〜16行目において、「尚、以上の説明では、光源としてレーザー管を用いているが、これに限らず、超高圧水銀灯、キセノンアークランプ、キセノンフラツシユ等の高輝度放電管または高輝度ヨウ素ランプ等を使用することも好ましいが、他の光源を使用することも可能である。この場合、マットガラス3、3´は省略される。また第2図の実施例の場合光ファイバー4自体によりレーザー光が或る程度インコヒーレントになるので、マットガラス3が不要となることもある。」と記載されている。
刊行物9(甲第9号証):特開昭64-77124号公報
甲第9号証には、2頁右下欄4行目〜6行目において、「本実施例の特徴は、第4図に示す投影式露光装置の照明光学系にスペックルの発生を抑制するスペックル抑制光学系25を備えた点にある。」と記載されており、第5図及び第6図にスペックル抑制光学系25が記載されている。
甲第9号証には、3頁左上欄4行目〜8行目において、「可干渉性の高いレーザ光18は可干渉波長を超えるような長さの不均一さをもった光ファイバ束29に入り、低干渉性の光30として出てくるため、スペックルの発生を抑制することができる。」と記載されている。
刊行物10(甲第10号証):特開昭55-143033号公報
甲第10号証には、3頁右上欄5行目〜6行目において、「レーザを用いる方が好ましい。」と記載されている。
甲第10号証には、3頁右下欄11行目〜14行目において、「S点により表面2を走査することにより合成される光源が、同じ形および同じエネルギー分布の時間的にコヒーレントでない光源に等しいことを示すことができる。」と記載されている。
甲第10号証には、4頁左上欄12行目〜14行目において、「第4図fにはSx=Rocoswt,Sy=Rosinwtの時に得られる半径がRoの輪状光源が示されている。」と記載されている。
甲第10号証には、3頁右下欄15行目〜17行目において、「第4図aには、信号SxとSyが零の時に得られるコヒーレント光線が中心に示されている。」と記載されている。
甲第10号証には、5頁左上欄17行目〜右上欄5行目において、「コヒーレントな照明の場合には、光線がほぼ点光源で、時間的な可干渉性が高いから、位相ノイズと散乱ノイズとの振幅と位相が結像面内の任意の点で加え合わされる。本発明の走査が用いられる場合には、対物レンズの入射ひとみにおいて光源の像を拡大することにより散乱ノイズを減少させることができる。位相ノイズは、露光中にマスクを照明する光波の位相を変えることにより減少させることができる。」と記載されている。
刊行物11(甲第11号証):特開昭60-230629号公報
甲第11号証には、1頁右欄13行目〜14行目において、「本発明の目的は、レーザー等のコヒーレント光源を用いながら、均一性に優れた照明を行い得る照明光学装置を提供することにある。」と記載され、3頁左下欄8行目〜10行目において、「コヒーレント光源(10)としては、エキシマレーザの一つで高出力高効率の希ガスハイドライドレーザー(XeCl)を用いるものとする。」と記載されている。
甲第11号証には、2頁左下欄4行目〜8行目において、「この光路差Δ1がコヒーレント光源からの光によって定まる可干渉距離Lより大きい場合には、二次光源上の1対の点i及びjからの光束によっては、物体面上の点Pにおいては干渉が起こらない。」と記載されている。
甲第11号証には、3頁右上欄10行目〜11行目において、「光路差生起部材としての階段プリズム(30)」と記載されている。
甲第11号証には、4頁右上欄19行目〜左下欄4行目において、「また、光路差生起部材としては、上述の如きプリズムに限らず、第7図の側面図のようにオプチカルファイバー(33)を用いることもできる。図示した例では、その入射面(33a)と射出面(33b)とを共に平面として各ファイバー束の長さが必要な光路差に応じて変えられている。」と記載されている。
刊行物12(甲第12号証):特開平2-222918号公報
甲第12号証には、3頁右下欄2行目〜7行目に、「このレーザビーム7はまず第1の円錐レンズ2によって円錐筒状のビーム形状に拡げられ・・、この後第2の円錐レンズ3によって円筒状のビーム形状とされ」と記載されている。また3頁左下欄4行目〜11行目に、「上記構成においては、前述した従来技術のようにビーム中央部を遮光して光ビームを分離するのではなく、前述したような光ビームを分離する手段を用いて光ビームを確実に分離しているので、光源から射出された光ビームの光量が全て集束レンズの焦点位置に集められ、これにより光量損失等の問題を生じることなく、超解像現象によるビームスポットの縮小化を図ることが可能となる。」と記載されている。

(3)本件発明1に対する各刊行物との対比・判断
(3).1 本件発明1と先願1ないし3に記載された発明とを対比すると、先願1ないし3に記載された発明は、いずれも本件発明1の「照明光学系は、光路長の異なる複数の光ファイバを組み合わせて構成した光ファイバ束を用いた前記エキシマレーザの可干渉性を低減する手段と、該可干渉性を低減する手段で可干渉性を低減した前記露光光の光路を変換する」構成を有していないから、本件発明1は、先願1ないし3に記載された発明のいずれとも同一ではなく、特許法第29条の2の規定に該当しない。

(3).2 本件発明1と刊行物5ないし12に記載された発明とを対比すると、刊行物5ないし12に記載された発明は、いずれも本件発明1の「照明光学系は、光路長の異なる複数の光ファイバを組み合わせて構成した光ファイバ束を用いた前記エキシマレーザの可干渉性を低減する手段と、該可干渉性を低減する手段で可干渉性を低減した前記露光光の光路を変換することにより前記露光結像レンズ系の入射瞳と共役な場所での前記露光光の形状を1つの光束形状と輪帯形状又は8つに分離した光束形状との間で切替え可能な切替え手段とを有する」構成を有しておらず、当該構成は、刊行物5ないし12に記載された発明を組み合わせても導くことができないから、本件発明1は、刊行物5ないし12に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとすることはできない。

(3).3 本件発明1と刊行物4に記載された発明の対比
上記訂正により、本件発明1及び2は「照明光学系は、光路長の異なる複数の光ファイバを組み合わせて構成した光ファイバ束を用いた前記エキシマレーザの可干渉性を低減する手段と、該可干渉性を低減する手段で可干渉性を低減した前記露光光の光路を変換することにより前記露光結像レンズ系の入射瞳と共役な場所での前記露光光の形状を1つの光束形状と輪帯形状又は8つに分離した光束形状との間で切替え可能な切替え手段とを有する」構成に限定されるとともに、請求項3ないし9は削除されたから、本件特許出願日は遡及し、本件発明1は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当する発明ではない。

(4)本件発明2に対する刊行物との対比・判断
本件発明2は、本件発明1をさらに限定するものであるから、本件発明1と同様に先願1ないし3に記載された発明と同一ではなく、また、刊行物5ないし12に基づいて当業者が容易に発明できたものとすることもできない。

(5)記載不備についての検討
特許異議申立人が指摘する理由1ないし4に係る記載不備は、訂正前の請求項3ないし9を削除し、また本件発明1および2において光ファイバ束を用いることを構成要件とする訂正により、解消した。

(5)むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1及び2に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1及び2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
従って、本件請求項1及び2に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
投影露光装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光光を発射する露光光源と、該露光光源から発射した露光光をパターンを形成したマスク又はレチクルに照射する照明光学系と、該照明光学系により照射されて前記マスク又はレチクルを透過した光を被露光物体上に前記マスク又はレチクルのパターン像として結像する露光結像レンズ系とを備えた投影式露光装置であって、前記露光光源は、露光光としてエキシマレーザを発射し、前記照明光学系は、光路長の異なる複数の光ファイバを組み合わせて構成した光ファイバ束を用いた前記エキシマレーザの可干渉性を低減する手段と、該可干渉性を低減する手段で可干渉性を低減した前記露光光の光路を変換することにより前記露光結像レンズ系の入射瞳と共役な場所での前記露光光の形状を1つの光束形状と8つに分離した光束形状との間で切替え可能な切替え手段とを有することを特徴とする投影露光装置。
【請求項2】
前記エキシマレーザ光は、KrFエキシマレーザ又はArFエキシマレーザであることを特徴とする請求項1記載の投影露光装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は半導体集積回路の回路パターンの形成に用いられる投影式露光装置に係り、特に露光するパターンの寸法や形状、或いはマスクまたはレチクルやウェハの種類に応じて照明光の指向性を制御し、最適な状態でのパターン露光やパターン検出を可能にする投影式露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路のパターン微細化は光の波長に近いパターン幅に迫る程に進んで来ている。光に代わる露光方法として、X線或いは電子線による方法も開発が進められているが、需要の大きいメモリ等では短時間で多数の集積回路チップが露光できる光露光に比べ量産性が劣り、安価なメモリーを大量に生産することが難しい。このような状況下で、近年、従来のi線縮小投影露光装置(i線ステッパ)に用いるマスクあるいはレチクル上のパターンに位相シフト部を設け、従来使用されていた通常のレチクルに比べパターンの解像度を大幅に向上させる技術の開発が進められている。またこのような特殊なレチクルを用いなくても、特開昭61-91662号に記載されているように、レチクルに照射する照明光が縮小投影レンズの入射瞳上で輪帯状になるようにし、レチクル透過光の高い空間周波数成分が露光結像レンズの入射瞳を通過する様にすることにより、パターンの解像度を向上させる技術の開発も進められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような解像度向上方法を用いようとするとき、従来用いていた半導体露光装置(i線ステッパ)をそのまま用いると、レチクルを照明する照明光の照明指向性を示すいわゆるσの値(σ=露光結像レンズの瞳径に対する照明光のこの瞳上での広がりの比)が上記の解像度向上方法で最適とされる照明指向性を示すσ値と一致しないという課題を有していた。
【0004】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決すべく、各種の解像度向上方法に対し最適となる照明光を容易に選択制御し、かつ露光光源から発する露光光を無駄にすることなく利用できるようにした投影式露光装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、露光光を発射する露光光源と、この露光光源から発射した露光光をパターンを形成したマスク又はレチクルに照射する照明光学系と、この照明光学系により照射されてマスク又はレチクルを透過した光を被露光物体上にマスク又はレチクルのパターン像として結像する露光結像レンズ系とを備えた投影式露光装置において、露光光源は、露光光としてエキシマレーザを発射し、照明光学系は、光路長の異なる複数の光ファイバを組み合わせて構成した光ファイバ束を用いてエキシマレーザの可干渉性を低減する手段と、この可干渉性を低減する手段で可干渉性を低減した露光光の光路を変換することにより露光結像レンズ系の入射瞳と共役な場所での露光光の形状を1つの光束形状と8つに分離した光束形状との間で切替え可能な切替え手段とを有するように構成した。
【0006】削除
【0007】削除
【0008】削除
【0009】
【作用】
上記の手段を用いることにより、位相シフトレチクルの場合に適した指向性の比較的高い、σの小さな照明にしたり、通常のレチクルで高解像度のパターンを得るために輪帯照明にしたり、あるいは従来の照明の指向性にしたりすることが容易に可能となる。更に上記手段を用いることにより光源から出射した光を高い利用効率で被露光物体に照射させることが可能となる。
また将来パターン線幅が更に小さくなり、露光波長を小さくするためにエキシマレーザ等を用いるようになると、レーザの干渉性や指向性に伴う、照明のむらの問題を上記の方法で容易に解決することが可能となり、エキシマレーザステッパにおいても上記の各種の照明を容易に、かつ光の損失を少なく実現することができる。
【0010】
【実施例】
以下に本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
図4は投影式露光装置における露光照明光学系を示した図である。水銀ランプ24から出射したi線光を楕円面鏡25で反射させ波長選択ミラー26、インプットレンズ27を通し、ロットレンズ28に集める。ロットレンズを出射した光はアウトプットレンズ29で集めながらミラー26’で反射させ、コンデンサレンズ23を通した後レチクル3に照射される。レチクル3のパターンを通過した光は縮小レンズ4によりウエハステージ6上のウエハチャックに固定されたウエハ5にレチクルのパターンの1/5倍の像を結像し、露光する。1回の露光では20ないし25mm角の領域に2ないし3チップを同時に露光する。ウエハステージはレーザ測長機(図示せず)のレーザビーム60と平面ミラー61により正確に位置決めされ、ウエハ全面にチップのパターンが露光される。
【0011】
この投影式露光装置で上記の例えば位相シフトレチクルを用いる場合、指向性を高く、即ちσを小さくする必要があるため、露光照明系内の上記露光結像レンズの入射瞳と共役な場所に露光光束の外周部分を遮光する遮光板を挿入する必要がある。そこで図4(b)に示す開口を有する遮光版19をインプットレンズ27の前面もしくはアウトプットレンズ29の後方に設け遮光版19内の比較的小さな開口192を通ったi線を露光に用いる。
また上記の輪帯照明ではこの入射瞳と共役な場所に露光光束の中心部を遮光する円板を挿入する必要が生じる。この場合には図4(b)に示す開口を有する遮光版19内の輪帯上の開口193を用いる。また、この輪帯照明の場合、照明光束の入射瞳と共役な場所での露光光束を従来の半導体露光装置の露光光束に比べ1.2から1.6倍程度拡大する事が望ましい。
【0012】
このように解像度を向上するための上記各種の方法を一台の半導体露光装置で実現しようとすると、方法が変わるたびに、露光照明系2’の内部に各種の遮光板を入れ替える必要があるばかりでなく、露光光束を一部遮光することにより、露光光を無駄にすることになり、この結果集積回路チップを露光する時間が長くなり露光のスループットを大幅に落してしまう。例えば位相シフトレチクルを用いるため、σを0.6から0.4に変えようとすると、露光のエネルギーはこの比の2乗に逆比例するため、2.25倍露光時間がかかることになる。
【0013】
そこで、本発明は、これらの課題を解決するようにしたものであり、本発明について更に図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の露光照明装置2を示す一実施例である。水銀ランプ24から発した光は楕円面鏡25で反射され、所望の露光波長である例えばi線を反射する波長選択ミラー26で反射された後にレンズ21を透過し、光ファイバー束1の端面A-A’面に入射する。光ファイバーの入射端面A-A’面は多数の光ファイバーを束ねたものであり、例えば光ファイバー1本の径は0.2mmで、束ねたものの径は30mm程度である。束ねられた光ファイバーは入射端から或る距離離れた所から複数の小光ファイバー束に分岐される。分岐された複数の小光ファイバー束の各端面の相対的位置を制御可能にする機能を持つ小光ファイバー束相対位置可変機構10により、小光ファイバー束出射端面が面B-B’内で相対的な位置を変える。B-B’面に有る光ファイバー束の出射端はいわゆる2次光源となるため、小光ファイバー束相対位置可変機構10を稼働することにより2次光源の形状や大きさを変える事が可能となる。B-B’面上の光ファイバー束端面から出射した露光光は通常の半導体露光装置等で用いられる照明系と同様にアウトプットレンズ22を通過した後コンデンサレンズ23を通り被露光物体であるレチクル3を照明する。
【0014】
半導体露光装置の場合、図4に示す様に従来の露光照明系2’では水銀ランプの2次光源はいわゆるロットレンズの出射端であり、この出射端が図1のB-B’面上にある小光ファイバー束の出射端に相当する。この2次光源から出た露光光は上記のアウトプットレンズとコンデンサレンズ23を通りレチクル3を照射する。レチクルのパターンを透過した光は縮小投影露光レンズ4によりxyzの3次元方向に粗微動可能なウエハステージ6上のウエハチャック51上に有るウエハ5の表面にレチクルの1/5倍の像を結像、露光する。先に説明したように従来の半導体露光装置では、露光照明系の2次光源の縮小露光レンズの瞳41上での像200の径dの瞳径Dに対する比、即ちパーシャルコヒーレンシーσは固定であったが、本発明の露光照明系2を半導体露光装置に搭載することにより、縮小露光レンズの瞳41上の2次光源の像の大きさは小光ファイバー束相対位置可変機構10を稼働することにより可変となる。例えば従来の光を通すか、通さないかでパターン情報を表すレチクルの場合にはσ=0.6程度に、また位相シフトレチクルを用いる場合σ=0.4程度にはなるように小光ファイバー束相対位置可変機構10を駆動制御回路を含む制御系7を用いて駆動する。
【0015】
図2は上記の小光ファイバー束相対位置可変機構10の詳細を説明する本発明の1実施例である。光ファイバー束1は分岐されフレキシブルな部分11’と、これに続く周囲が剛性の有る金属パイプで覆われた部分11からなる。この剛性の有る金属パイプで覆われた部分11の端面110が出射端で有り、面B-B’上に出射端が有る。金属パイプで覆われた部分11はその長さ方向の中間点に対してほぼ対称な形状をしており、垂直な部分(光の進む方向の部分)111’と111及び傾斜部分112’、112からなっている。傾斜部分は表面が滑らかであり、傾斜穴ガイドスライド機構12’、12の各傾斜穴ガイドの穴の方向に沿ってスライドする。傾斜穴ガイドスライド機構12’、12はその周辺にガイド棒16(複数)を通すスライド穴が複数有るとともに、モータ19により歯車15、15’を介して回転駆動する左右回りネジ付き回転シャフト14が回転することにより互いに近付いたり、離れたりする。この結果、近付くと各光ファイバー端110は接近し、照明のパーシャルコヒーレンシーσは小さくなり、離れればσは大きくなる。傾斜穴ガイドスライド機構12’、12の間隔の変化に伴うこのようなσの変化を示したものが図3である。図3の(a)は傾斜穴ガイドスライド機構12’、12が最も接近したときの小光ファイバー束の出射端B-B’における配列を示している。図3(b)〜(d)は傾斜穴ガイドスライド機構12’、12が徐々に離れていったときの配列を表している。このように制御系7からの指令信号にもとずき、モータ19を駆動する事により光源の光を損失することなく、所望の照明の指向性σに簡単に、短時間に設定することが可能となる。
【0016】
次に輪帯照明を実現する本発明の実施例を図6を用いて説明する。図6の部品に付けた番号が図1のそれと同じものは同一物を表す。水銀ランプ24から出射した光は光ファイバー束1の入射端に集光される。この入射端面はその外形が円形もしくはほぼ正多角形である。この入射端面の法線に対し平行な対称軸を有し、その表面が露光光に対し高反射率を有する鏡面である柱状鏡を、この対称軸が光ファイバー束の入射端面の外形の中心とほぼ一致するごとく配置し、光源より出射した光を光ファイバー束の入射端面に輪帯状に高い光の利用効率で入射させる。このような構成にすると図7(a)に示すようにもしこの柱状鏡17がなかったとしたときに、光ファイバー束の中心付近に入射する光は柱状鏡17の表面で反射し、図7の(b)の斜線で示すように光ファイバー束の外周より内側で外周に近い部分に入射する。この光の入射角は柱状鏡17が無いとしたときに光ファイバー束の入射端に入射する光のそれとほぼ同になるため、光の損失を生じること無く光ファイバー束に入射し、他端の小光ファイバー束から、輪帯状の露光照明光が出射される。ただしこの場合入射端の光ファイバーの位置とその光ファイバーの出射端での位置はランダムではなく、入射端の周辺部のファイバは出射端の周辺部にのみつながっていることは明らかである。
【0017】
輪帯照明を実現する本発明の他の実施例を図8を用いて説明する。図8の部品に付けた番号が図1のそれと同じものは同一物を表す。水銀ランプ24から出射した光は光ファイバー束1の入射端に集光される。この入射端面はその外形が円形もしくはほぼ正多角形である。この入射端の前面近傍にこの入射端面の法線に対し平行な回転対称軸を持ちこの法線を含む平面で切った断面が凹状のほぼ直線となる透明物体を配置する。この凹状透明物体を透過する光は光軸の外側に発散するので凸レンズで各光ファイバーに入射する光束の主光線がほぼ平行になるようにすれば、上記光源より出射した光を光ファイバー束の入射端面に輪帯状に高い光の利用効率で入射させる事が可能になる。このようにすると図9(a)に示すように光ファイバー束の入射端面の中央部には光が達せず光ファイバー束の外周より内側で外周に近い部分に入射し、他端の小光ファイバー束から、図9(b)の斜線で示すように輪帯状の露光照明光が出射される。ただしこの場合にも入射端の光ファイバーの位置とその光ファイバーの出射端での位置はランダムではなく一定の関係を持っていることは明らかである。
【0018】
図10は光ファイバー束1から出射する光を所望の発散角にするための手段を示す1実施例である。図10(a)に示すように、出射端の各小光ファイバー束に微小な凹レンズ122を配置し、小光ファイバー束の開口角(発散角)θを大きくし、Θにしている。本実施例では凹レンズを出射端に配置しているが、凸レンズを用いても本発明の目的を達成できることは明らかである。
【0019】
図11は光ファイバー束1から出射する光を所望の発散角にするための手段を示す1実施例である。図11(a)(b)に示すように、光ファイバー束の入射端の径Dと出射端の径dが異なる様に徐々に光ファイバー径を変化させておくと、入射側の開口角θと出射側の開口角Θが異なるようにできる。出射側の開口角が所望の角Θになるようにすれば、図10の実施例の様に凹レンズを用いなくとても所望の発散角にすることができる。
【0020】
図12は光ファイバー束1の入射端の拡大した構造を示す本発明の実施例である。図12(a)は入射端が円形の光ファイバーからなり、各光ファイバーの間隙は反射率の高い素材および構造からなっている。特に光源として紫外線の水銀ランプのi線、あるいはKrFやArFエキシマレーザのような遠視外線を用いる場合にはアルミニュウムのようなこの波長域で反射率の高い素材を用い、その表面の保護と、増反射効果を持った酸化シリコンの薄膜を保護コートするとよい。このようにすれば、露光光のエネルギーが高くなっても、光ファイバー束の入射端面で光エネルギーを吸収して高温になり、光ファイバー入射端面が破損するようなことが無くなり、照度の高い、長寿命の光ファイバー束が実現できる。なお図12からも分かるように、各光ファイバー間の間隙は面積が小さいほど光の利用効率は高くなり、特に図12(b)に示すような入射端面ファイバ形状にし、この間隙の面積を原理的に0にすることができるようにすることが好ましい。上記の間隙に充填された高反射材は光ファイバー束の入射端面の近傍のみにあれば本発明の目的を十分達成できる事は明らかである。またこの間隙に充填された高反射材の表面の形状は平面にしたり、凹面にしたりして、この反射面で反射した光が本発明の照明系の目標に合致するように形状を選択する。
【0021】
図13は本発明の照明装置の光源がKrFやArFエキシマレーザの場合の場合の1実施例である。この図の部品番号と図5の部品番号が同じものは同一物を表している。光源24’から出射したレーザ光はそのビーム断面は矩形であるが、そのままの形状で、この矩形と同じ入射端面を有する光ファイバー束1’に入射させる。出射端には図10の実施例に示した様に各小光ファイバー束に小さいレンズを配置し、出射光が所望の発散角になるようにしている。この照明系を図5の投影露光装置に搭載することにより、レーザ光の光利用効率の高い投影露光装置が実現する。また本レーザ光を用いた照明系は投影露光装置に限らず各種のレーザ光の一様照明を必要とする装置に適用することにより、高い光の利用効率を有し、光の指向性あるいは照明範囲を可変にする照明を実現することが可能となる。
【0022】
図14は本発明の投影露光装置の1実施例である。この図の部品番号と図5の部品番号が同じものは同一物を表している。露光光源はKrFまたはArFエキシマレーザである。縮小露光装置に用いられる縮小投影レンズは合成石英のみから構成されているため、レーザ光のスペクトル幅は例えば1pm程度に狭いほど、石英ガラスの屈折率の分散に伴う色収差による解像度劣化が無く、微細なパターンが露光できるようになる。しかし、一般にスペクトル幅を狭くするほどモード数が少なくなる傾向が有る。この結果図13の光ファイバー束の各光ファイバーの長さが総べてほぼ同一であると小光ファイバー束から出射した光が発散され互いに重なりあうと、干渉が生じレチクル上の照明光にむらが発生する。本実施例では図14(a)から(e)に示すように、入射端面AA’では(b)に示すようにレーザ光のビーム形状とほぼ等しい形状をしており、ビーム形状の長手方向には1100から1500の5つの部分に分割されている。各部分は図14(c)に示すようにマトリックス状に分割されている。このマトリックスの互いに近い部分は可干渉性が強いため、各マトリックス内の光ファイバーの長さは等しいが、互いのマトリックス間では光ファイバーの長さが異なる。この長さの差は可干渉距離以上であることが望ましいが、必ずしもその長さの差がなくても、十分効果がある。上記の5つの部分に分割した各部分については、図14(c)に示すように、互いに対応する場所、例えば1111と1211、1151と1251、1114と1214は同一の光ファイバー長を有し、これら同一光ファイバー長を有する物は出射側で同一の小光ファイバー端110の1111’や1211’等につながっている。
【0023】
このようにすば、各小光ファイバー束から出射するレーザ光はお互いに干渉すること無く、レチクル上では照明強度のバラツキはほとんど無くなり、照度が一様で、光の利用効率が高く、所望の指向性を持った露光照明光を実現することができる。本実施例では光ファイバー束の断面積はエキシマレーザのビームの断面積と等しく、4×20mm程度で良いため、高出力の水銀ランプを光源にする場合(20〜30mmφ)に比べ、少ない光ファイバー数で目的を達成することができ、経済的である。
【0024】
図15はレーザ光の可干渉性の低減とレーザが元もと持っている指向性を低減する機能を有する部分と、所望の照明の指向性を付与する機能の部分とを分離した本発明の実施例である。即ち光ファイバー束1A’は図16(a)に示すように入射断面が上記のエキシマレーザのビームの断面形状にほぼ等しい矩形であり、出射端面は図16(b)に示すように円形に成っている。また光ファイバーの長さは出射したレーザ光が互いに干渉しないように可干渉距離程度以上にしてある。光ファイバー束1A’の出射端にはレーザ光の高い指向性を除去するため小レンズ群を配置し、これにより得られる発散光をレンズにより、図16(c)に示す第2の光ファイバー束1B’の入射端面に集めている。光ファイバー束1B’の出射端B2B2’は図16(d)に示すように小光ファイバー束相対位置可変機構10により所望の広がりを与えられる。小光ファイバー束出射端面から後の光路は図1の実施例と構成は同じである。
【0025】
図17は本発明の投影露光装置の露光照明系の1実施例である。光源としては水銀ランプを用いても、エキシマレーザを用いてもよい。例えば図5の露光装置に図6の光ファイバ入射端付近の構造と同じ照明系が搭載されている。光ファイバー束1”の出射端は図17に示すように5つの小光ファイバー束に分離されており、一つは中心に、他の4つは周辺に配置されている。中心の小光ファイバー束は固定であり、周辺の4つは放射状にスライド可能な機構に固定されている。通常のレチクルを用い、比較的広いパターン幅を露光する場合には周辺の4つの小光ファイバー束を比較的内側に寄せて5つの小光ファイバー束全部の露光光を用いて露光を行う。通常のレチクルを用い、比較的狭いパターン幅を露光する場合には制御系7の指令により、柱状鏡17を光ファイバー束1の入射端の前面に挿入し、光ファイバー束1の出射端である中心に有る小光ファイバー束に向かう光を柱状鏡17の側面での反射により周辺に有る4つの小光ファイバー束に通じる光ファイバーの入射端に向ける。さらに周辺の4つの小光ファイバー束を小光ファイバー束相対位置可変機構10により外側に寄せる。このようにすることにより、光の損失を発生させずに輪帯照明にして比較的狭いパターンを露光する。次に非常に狭いパターンを露光する場合には、位相シフトレチクルを用いて、制御系7の指令により周辺の4つの小光ファイバー束を一番内側まで寄せて、5つの小光ファイバー束全部の露光光を用いて露光を行う。本実施例では簡単な構成により、露光するパターンの形状、寸法に応じて、照明の指向性を容易に変化させ、かつ光の損失無く、露光することが可能になる。
【0026】
図18は本発明の投影露光装置の露光照明系の1実施例である。光ファイバー束1”の出射端は図に示すように9つの小光ファイバー束に分離されており、一つは中心に、4つは中心の小光ファイバー束の周辺に配置されており、この4つの小光ファイバー束の周辺に残りの4つ小光ファイバー束が配置されている。中心の小光ファイバー束は固定であり、その周辺の8つは放射状にスライド可能な機構に固定されている。8つの小光ファイバー束を図18の(a)(b)(c)に示すように移動し、(b)の輪帯照明の時には上記図6で説明したように、柱状鏡17を挿入することにより、解像度とレチクルの種類に応じて所望の露光照明光の指向性と最大の光の利用効率を実現することが可能と成る。
【0027】
図19は本発明の投影露光装置の露光照明系の1実施例である。レーザ光源24’を出射しA3A3’断面のレーザ光は図20(a)に示すように、図19の紙面に垂直な方向には長く、紙面内の方向には短い。この紙面内の方向にはモード数が少ないため、干渉性が強い。シリンドリカルレンズ261、262により図20(b)にA4A4’断面を示すように、図19の紙面内の方向を広げる。広げられたビームは光路長差発生プリズム250により光路長差の付いた6つのビームに分割される。各分割ビームは入射端面が6つに分割された入射端面分割光ファイバー束1C’に入射する。この入射端面A5A5’は図20(c)に示すような強度分布をしている。光ファイバー束1C’の入射端は図20(c)に示すように6つに分離した矩形の端面を有し、中央付近の2つのファイバー端は図の矢印が示すように移動する。移動する合計4つのファイバー端のうち図19、20に示すファイバー端101”、101’はそれぞれファイバー出射端122の中心部と周辺部につながっている。他の固定の入射端101は全て出射端122の周辺部にのみつながっている。このようにすることにより、101”に光が入射する状態(位置)の時には通常の、σが可変な照明を、また101’に光が入射する状態(位置)の時には輪帯照明を実現することが可能となる。
【0028】
図21は本発明の投影露光装置の露光照明系のの1実施例である。レーザ光源24’を出射したレーザ光は図19の実施例同様シリンドリカルレンズ261、262により所望の大きさに拡大され、光路長差発生プリズム250’により光路長差の付いた6つのビームに分割される。図19と異なるのは各分割ビームのビーム寸法が異なることである。周辺は寸法が大きく、中心部は小さい。この光路長差発生プリズムを出射したビームは図22(c)(d)(e)にその断面を示す光路選択プリズム120に到る。このプリズムは120A,120Bの2つのプリズムからなり、この2つのプリズムが一定の距離を保ち、固定され、一体となって、図22の(c)〜(e)で紙面内を左右に移動可能になっている。この光路選択プリズム120を通過した光は光ファイバー束1D’の入射端に入射する。この入射端はビームの寸法に応じて、周辺は大きく、中心部は小さい。また、このファイバーの端面は図21および図22(a)に示すように、その法線方向が周辺部では入射光線に対し傾き、中心部では入射光線に対し平行になっている。光ファイバー端への入射角と出射光線の出射端面法線に対する角度の関係を図23を用いて説明する。周辺部に有り、入射光線に対しθ1傾いている光ファイバー101aや101fに入射した光は図23(a)に示すように、出射端101a’や101f’からは図23(b)に示すように、出射端の法線に対し、一定の角度範囲を持った指向性で出射する。即ち、出射端法線に対し出射光線のなす角度をθとすると、
θ1-Δθ≦θ≦θ1+Δθ
となる。一方中心部の光ファイバー101cや101dに垂直に入射する光は図23(e)に示すように、その主光線が出射端にほぼ垂直に若干の広がりを持って出射して来る。中心と周辺の中間の位置に有る光ファイバー101b,101eは図23(c)に示すように図の(a)と(e)の中間的な広がりを持って出射する。このような光ファイバーの入射角度と出射光の指向性の関係があるから、次に示すような入射端と出射端のつながりにすると、出射端の各場所からは所望の一様な指向性の光が平均的に得られ、レチクルを一様に照明することが可能となる。即ち、図22(a)に示すように光ファイバー束1D’の各入射端、例えば101aを3つの部分101aA,101aB、および101aCに分割し、101aAは図22(f)に示すように光ファイバー出射端110の中心と周辺の中間にある110Aにつながっている。同様にして101aBは110Bに、101aCは110Cにつながっている。光ファイバーの入射端101bについても同様に、101bAは110Aに、101bBは110Bに、101bCは110Cにそれぞれつながっている。図21に示す光路選択プリズム120が図22(c)に示す状態にある時には、光路長差発生プリズム250’から出射した光はファイバー入射端の101aB,101bB,101cB,101dB,101eBおよび101fBに入射し、光ファイバー出射端101Bからのみ出射光が出て来る。またこの出射光の指向性は図23を用いて説明したごとく、ファイバー入射端への光の指向性が高いにもかかわらず、所望の指向性を得ることが可能となる。しかも光ファイバー出射端101Bのみから光が発射するので、露光光学系には指向性の高い、即ちσの小さな露光照明が、位相シフトレチクル3になされる。
【0029】
レチクルが通常の線幅を有するものに変えられた場合には光路選択プリズムを移動し、プリズム120Aが図22(b)に示すような位置に来るようにする。このようにすると光ファイバー入射端101aAと101aBの2部分に同時に光が入射する。他の光ファイバー入射端に付いても同様に2部分に入射する。この2部分は光ファイバー出射端110Aと110Bにつながっているので、照明の指向性が中間程度の照明光が得られ上記線幅のレチクルに対し最適な指向性となるように小光ファイバー束相対位置可変機構10を駆動すれば、この線幅パターンに対し最適な露光が実現できる。
【0030】
位相シフトレチクルではないが、線幅が縮小レンズの解像限界に近いパターンを含むレチクル3が露光装置に搭載された場合には、図22(e)に示すように、光路選択プリズム120を移動し、プリズム120Bが光路中に入り、光を光ファイバー入射端101aC等に入射する様にする。このようにすれば各光ファイバー入射端から入った光は光ファイバー出射端の最外周の110Cから出射することになり、輪帯照明が実現し、解像限界に近いパターンが良好なパターン形状で解像可能となる。
【0031】
以上の実施例では縮小露光装置に本発明の照明系を適用したものについて説明したが、これに限られる訳ではない。即ち、例えば、大面積の液晶テレビディスプレイ用の露光装置や、パターン検査装置、あるいは各種のディスプレイ装置等、照明光がその2次光源を変えることにより、最適な照明指向性、あるいは最適照明照度分布を得、パターンの結像による、露光、検出あるいは表示等を行う対象に広く適用することが可能である。またある場合には結像系の無い、露光(プロキシミティ露光)や検出或いは表示等に適用できる。
【0032】
図24は本発明の1実施例を示す図である。この図の部品番号と図5及び図6のそれが等しいものは同一物を表している。照明系2は上記に示した実施例のいずれであってもよい。縮小レンズ4’には入射瞳41’上にここを通過する光を所望の領域に限り部分的に遮光又は透過光量を減少することが可能な可変フィルタ400が挿入されている。可変フィルタ400は例えば図24(b)に示すように3つの部分401、402、403からなり、図24(a)に示すように、縮小レンズ4の瞳に各部分が来るように移動可能である。通常のパターン線幅のレチクルの時には小光ファイバー束相対位置可変機構10を駆動し、σ=0.5になるようにし、可変フィルタ400は401の部分が瞳上に来るようにする。次に細いパターン線幅の通常のレチクルを用いて露光する場合には、光ファイバー束1の入射端に有る柱状鏡17を光路に挿入し、小光ファイバー束相対位置可変機構10を駆動して出射ファイバー端を広げ、輪帯照明にする。さらに可変フィルタ400の403の部分が瞳上に来るようにする。403は輪帯照明の瞳上の2次光源像とほぼ等しい形状と大きさであるため、403が401に代わった単なる輪帯照明の場合に比べ、細いパターンと太いパターンが混ざったような回路パターンに対し、両パターンを比較的解像度高く露光することが可能となる。このように縮小レンズの瞳上に可変フィルタを設けることにより、更に各種のパターンに対し、対応可能となる。
【0033】
図25は本発明の照明系をパターン検査装置に適用した実施例である。この図の部品番号と図5、図6及び図24のそれが等しいものは同一物を表している。光ファイバ出射端より出射した光はコンデンサレンズ23”によりハーフミラー91で反射された後、対物レンズ4”の瞳41”上に光ファイバ出射端の像を結像する。この像の外径の瞳径に対する比率σがパターン検出における照明のパーシャルコヒーレンシになる。小光ファイバー束相対位置可変機構10を駆動することにより、光ファイバ出射端の広がりが変えられると、上記σを変化させることができる。例えば、表面が粒状のパターンの時にはσを1に近くし、照明光の指向性を低くすることにより、ノイズの小さな検出が可能となる。また段差が小さなパターンに対しては、σを小さくすることにより、低いコントラストを高くし、信号を検出しやすくできる。またパターンのエッジを強調して検出したいときには柱状鏡17を光路に挿入することにより輪帯照明にでき、エッジ部が強調されてくる。更に図には表していないが、この対物レンズの瞳の位置に図24の実施例と同様に図24(b)の403に示すような輪帯状のストッパを挿入すれば、いわゆる暗視野照明となり、パターンエッジ部のみが明るい暗視野像が得られる。このように本発明の照明装置をパターン検出系に用いることにより、制御系7’の指令により、検出パターンの種類に応じて、最適な照明を簡単に光の損失を少なく実現することが可能となる。
【0034】
本発明の小光ファイバー束相対位置可変機構10は図2で示した実施例に限定されるものではなく、例えばそれを駆動することにより、図6や図8の輪帯照明用の光学部品の搬入搬出を行わずに、その小光ファイバー束相対位置可変機構のみで総ての所望の照明指向性を実現することも可能である。またこの駆動による小ファイバ束の位置変化は上記の実施例で示した放射状の移動に限らず、例えば螺旋状、あるいは非線形な動きであってもよいことは明らかである。
【0035】
【発明の効果】
以上実施例を用いて説明したように、本発明によりパターンの露光、検査或いは表示等に用いる照明系において、露光、検査或いは表示の対象とするパターンの形状や寸法とこの露光、検査或いは表示を行う際に用いられる光学系の関係において最適となる照明を比較的簡単な構成で、容易に得られるのみならず、パターンの形状や寸法の変化や、光学系の変化に伴う最適照明の変化を簡単に実現することが可能と成る。これにより従来固定の照明系内に照明光を部分的に遮光する必要がなくなり、光の利用効率を低下させることなく、所望の照明指向性あるいは照明光分布を実現することが可能となり、スループットの大きな露光装置あるいは検査装置が実現する。また表示装置においても明るい表示が可能となり、同一の明るさを実現しようとする場合には、出力の小さな光源で済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の投影式露光装置等に用いる水銀ランプを光源とする露光照明装置の光学系の実施例を示す図である。
【図2】
本発明の照明装置の小光ファイバー束相対位置可変機構の実施例を示す図である。
【図3】
本発明の小光ファイバー束相対位置可変機構の小光ファイバー束端の配置を示す図である。
【図4】
本発明に係る照明光学系を用いた投影式露光装置で各種照明法を実現する場合を示す図である。
【図5】
本発明の照明光学系を備えた投影式露光装置を示す図である。
【図6】
本発明の投影式露光装置等に用いられる照明装置で輪帯照明を実現する第1の実施例を示す図である。
【図7】
図6の実施例の詳細を示す図である。
【図8】
本発明の投影式露光装置等に用いられる照明装置で輪帯照明を実現する第2の実施例を示す図である。
【図9】
図8の実施例の詳細を示す図である。
【図10】
本発明の投影式露光装置等に用いられる照明装置で小光ファイバー束の出射端に光拡散光学部品を実装した実施例を示す図である。
【図11】
光ファイバーの径を変化させる実施例を示す図である。
【図12】
光ファイバー入射端の隣接する各ファイバー間の部分を高反射材とする実施例を示す図である。
【図13】
光源としてレーザを用いる場合の第1の実施例を示す図である。
【図14】
光源としてレーザを用い場合の実施例において光ファイバーの入射端と出射端の関係を示す図である。
【図15】
2つの光ファイバー束を用いた場合の実施例を示す図である。
【図16】
図15の実施例の光路の断面を示す図である。
【図17】
本発明の小光ファイバー束の出射端が小光ファイバー束相対位置可変機構により変化する状況を示す図である。
【図18】
本発明の小光ファイバー束の出射端が小光ファイバー束相対位置可変機構により変化する状況を示す図である。
【図19】
光源としてレーザを用いる場合の第2の実施例を示す図である。
【図20】
図19の実施例で光路の断面を示す図である。
【図21】
光源としてレーザを用いる場合の第3の実施例を示す図である。
【図22】
図21の実施例で光路の断面を示す図である。
【図23】
図21、22の実施例の原理を示す光ファイバーの入射光の入射角と出射光の出射角(発散光の状況)を示す図である。
【図24】
本発明の縮小投影露光装置の実施例で、縮小露光レンズの入射瞳の位置に可変フィルタを実装したものを示す図である。
【図25】
本発明の照明装置をパターン検査装置に適用した実施例を示す図である。
【符号の説明】
1、1’、1A’、1B’、1C’、1D’…光ファイバー束、10…小光ファイバー束相対位置可変機構、17…柱状鏡、2、2’…照明光学系、24…水銀ランプ光源、24’…レーザ光源、3…レチクル、4、4’…縮小投影(露光)レンズ、4”…対物レンズ、400…可変フィルタ、5…ウエハ、6…ウエハ駆動ステージ、60…測長用のレーザビーム、7、7’…制御系。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-07-14 
出願番号 特願平4-18676
審決分類 P 1 651・ 16- YA (H01L)
P 1 651・ 531- YA (H01L)
P 1 651・ 121- YA (H01L)
P 1 651・ 113- YA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 新井 重雄  
特許庁審判長 鹿股 俊雄
特許庁審判官 柏崎 正男
辻 徹二
登録日 2002-12-20 
登録番号 特許第3380868号(P3380868)
権利者 株式会社日立製作所
発明の名称 投影露光装置  
代理人 作田 康夫  
代理人 作田 康夫  
代理人 藤元 亮輔  

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