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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1124337
異議申立番号 異議2001-70718  
総通号数 71 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-01-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-03-05 
確定日 2005-10-22 
異議申立件数
事件の表示 特許第3084412号「競争ゲーム装置及びその制御方法」の請求項1ないし12に係る特許に対する特許異議申立についてなされた平成13年11月19日付け取消決定に対し、東京高等裁判所において上記決定を取り消す旨の判決(平成17年(行ヶ)10053号)、平成17年8月30日判決言渡)があったので更に審理の上、次のとおり決定する。  
結論 特許第3084412号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由
理 由
第一.手続の経緯
本件特許第3084412号(以下「本件特許」という)の請求項1〜12に係る発明(以下「特許発明1〜12」という)は、
[1].昭和63年4月9日に出願された特願昭63-86289号を分割して特願平8-322027号とし、それを分割して特願平10-243033号とし、さらに、それを平成11年6月7日に分割して特願平11-159218号として新たな出願としたものであって、平成12年7月7日付で特許の設定登録がなされ、

[2].その後、本件特許に対して平成13年3月5日に異議が申し立てられ、特許取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年9月25日に訂正請求なされ、平成13年11月19日付けで、前記訂正を認め、特許発明1〜12に係る特許を取り消す旨の異議決定がなされ、

[3].当該異議決定に対して、その取消を求めて提訴(東京高等裁判所、平成14年(行ヶ)029号)がなされ、その訴訟継続中である、平成17年3月28日に訂正審判が請求され、当該訂正を認める平成17年6月16日付審決が確定し、上記特許を取り消す旨の決定は平成17年8月30日の判決言渡によって取り消された。


第二.特許異議申立の理由の概要 、及び証拠方法
[1].特許発明1、2は、本件特許の原出願(特願昭63-86289号)である特許第2645851号の請求項1に係る発明と同一であり、また、特許発明7、8は、上記特許第2645851号の請求項2に係る発明と同一であるから、本件特許の出願は特許第44条第1項の規定を充足しないものである。
したがって、特許発明1〜12は、下記の甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないもので、同法第113条第2項の規定により取り消されるべきである。

[2].特許発明1,及び特許発明7は、下記の甲第2号証〜第9号証に基づいて、又特許発明2〜6は甲第2号証〜甲第11号証に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第113条第2項の規定により取り消されるべきである。

[3].特許発明8〜12は、特許発明2〜6に係る発明とカテゴリーが相違するにすぎず、実質的にはこれらと同一であるから、同様の理由により特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないもので、同法第113条第2項の規定により取り消されるべきである。

[4].証拠方法
(1).甲第1号証:特開平1-259404号公報
(2).甲第2号証:米国特許第2188619号明細書及び訳文
(3).実願昭49-14153号(実開昭50-104785号)のマイクロフィルム
(4).実公昭55-46222号公報
(5).特開昭58-200177号公報
(6).特開昭60-153509号公報
(7).特開昭59-100915号公報
(8).実願昭56-8254号(実開昭57-123191号)のマイクロフィルム
(9).特公昭52-38781号公報
(10).特開昭62-105206号公報
(11).特開昭63-65512号公報


第三.本件特許発明
[1].訂正明細書の特許請求の範囲の請求項に記載された発明(以下「本件訂正発明」という)は、以下のとおりである。
(1). 請求項1(以下「本件訂正発明1」という)
「複数の模型体がフィールド上を順位を競って走行する競争ゲーム装置であって、
前記複数の模型体が自由走行可能に配置されたフィールド面と、
前記フィールド面の下方に配置された走行面と、
前記フィールド面を挟んで対応する模型体のそれぞれと磁力を介して結合するように前記走行面上に配置され、それぞれに搭載された駆動手段によって自走可能に構成された複数の走行体と、
前記複数の走行体のそれぞれについて、所定の制御周期で各走行体の現在時刻における位置の座標値を順次検出する手段と、
前記複数の走行体のそれぞれに対し、前記所定の制御周期に対応して所定時間間隔で設定された、曲線を含む自由な走行ラインに沿った一連の走行目標位置の座標値を含む走行テーブルを設定する手段とを有し、
前記複数の走行体のそれぞれについて、検出された現在時刻における位置の座標値と対応する次の時刻における走行目標位置の座標値とに基づき次の時刻までの間に各走行体の進むべき走行方向および速度を含む前記駆動手段を制御するための駆動量を前記制御周期毎に順次演算し、
これに基づき前記駆動手段を制御することにより、前記走行体のそれぞれが設定された走行テーブルに格納された制御周期毎の前記位置座標値によって規定される前記走行ラインに沿って走行し、 走行体に牽引される各模型体が順位を競って前記自由な走行ラインに沿って走行するように構成されてなり、 前記走行テーブルは、少なくとも観客がベットした状況を要素として所定のアルゴリズムに従ってレースの度毎に作成されることを特徴とする競争ゲーム装置。」

(2).請求項2(以下「本件訂正発明2」という)
「複数の模型体がフィールド上を順位を競って走行する競争ゲーム装置の制御方法であって、
前記複数の模型体をフィールド面上に自由走行可能に配置し、
前記フィールド面の下方に配置された走行面上に、前記フィールド面を挟んで対応する模型体のそれぞれと磁力を介して結合するように複数の走行体を配置し、前記複数の走行体は、それぞれに搭載された駆動手段によって自走可能であり、
前記複数の走行体のそれぞれに対し、所定の制御周期に対応して所定時間間隔で設定された、曲線を含む自由な走行ラインに沿った一連の走行目標位置の座標値を含む走行テーブルを設定し、前記複数の走行体のそれぞれについて、前記所定の制御周期で各走行体の現在時刻における位置の座標値を順次検出し、
前記複数の走行体のそれぞれについて、検出された現在時刻における位置の座標値と対応する次の時刻における走行目標位置の座標値とに基づき次の時刻までの間に各走行体の進むべき走行方向および速度を含む前記駆動手段を制御するための駆動量を前記制御周期毎に順次演算し、これに基づき前記駆動手段を制御することにより、前記走行体のそれぞれが設定された走行テーブルに格納された制御周期毎の前記位置座標値によって規定される前記走行ラインに沿って走行し、走行体に牽引される各模型体が順位を競って前記自由な走行ラインに沿って走行し、 前記走行テーブルは、少なくとも顧客がベットした状況を要素として所定のアルゴリズムに従ってレースの度毎に作成されることを特徴とする競争ゲーム装置の制御方法。」


第四.特許異議申立の検討
[1].甲号証記載事項
(A).米国特許第2188619号明細書及び訳文(以下「刊行物2」という:異議申立人提出の甲第1号証)記載事項
(2-1).「本発明は、レーシングゲームに関し、詳細には、複数の目標体がレースのコースを推進されるゲームに関する。本発明の目的は、個々のオペレータにより駆動されるように設計されているが、レースの進行中に前記オペレータの完全な制御を受けない複数の形態を有するレーシングゲームを提供することである。ほかの目的は、レーシングの目標体が電気的に推進され、手動で駆動される電気的手段により部分的に制御され、かつ、自動的に駆動される電気的手段により部分的に制御されるレーシングゲームを提供することである。さらにほかの目的は、個々のオペレータの制御を受ける、モーターを備えている複数の電気駆動車(car)を有する電気的レーストラックを提供することであり、前記電気駆動車はまた、レーシング目標体をトラック上で前記駆動車で吸引し、これを移動する自動制御された電磁石を有する。さらに詳細には、本発明は、駆動車のモーターの速度を制御する、手動で作動される複数の加減抵抗器と、電磁石を流れる電流の強さを制御する、もう一組の自動で作動される複数の加減抵抗器とから成っている。従って、各オペレータは、オペレータの各駆動車の速度を制御することが出来る一方で、オペレータは、彼の駆動車の電磁石を流れる電流の強さを連続的に変化する加減抵抗器を制御しない。従って、その各レーシング目標体の電磁石の吸引が比較的に弱いとき、特に、駆動車がトラックのカーブ部分を通過しているとき、駆動車の速度が非常に速いならば、駆動車がレースから除外される可能性があるので、レースの勝利は、駆動車の速度により完全には支配されない。さらにほかの目的は、電磁石を流れる電流を制御する前記もう一組の加減抵抗器を自動作動するモーター駆動のカムを提供することである。」(甲第2号証の1頁左欄1〜43行[訳文の1頁2行〜24行]参照)、
(2-2).「図1,2,および2aに関し、数字10は、一般に、本発明の電気的レーシングゲームを示す。このゲームは、脚12により適切に支持されたテーブルまたはケーシング11から成っている。見てお分かりのように、テーブルは、非金属の滑らかで薄い上部13、中間の棚14、およびベースまたは底部15から構成している。以降に詳細に説明するように、操作機構とレーシング器の幾つかの構成要素のすべては、上部13とベース15との間のケーシング12に収容されており、従って、隠蔽されて見えない。数字16,17,および18は、それぞれがエンドレスのトラックを形成するように環状の、三つのトラックを表している。これらのトラックは単に表示されているだけで、すべての数字は、望むならば設定することが出来ることが理解されるであろう。トラックの真上に、トロリ集電レール20と21が、それぞれ各トラックに一つ配置されている。これらのレールは、上部13の下側に固定されており、以降に詳細に説明するように、トラックとレールは、電気回路の一部を形成するように構成されている。図2,4,および5に関し、各トラックは、車輪24に支持されたフレーム22から成る駆動車22(car)を乗せるように設計されており、これらの車輪24は、その各トラックのレールと噛み合って乗るように設計されている。各駆動車は、駆動車の一組の車輪駆動するシャフト26の一つへ動作可能に接続されたモーター25を備えている。望むならば、モーターは、数組の車輪を駆動する両方のシャフトと連動させることが出来る。トロリ集電輪27は、その各トロリレールと噛み合って、動作可能に接触して保持されるように、フレーム23の前の上部分に取り付けられ、車輪が縁づけされている。トロリ集電輪27は、ヨーク部またはブラケット29に軸受けされているシャフト28へ固定されている。シャフト28の端は、フレーム23の反対側に形成された縦方向の開孔30を貫通している。コイルスプリング31が、ブラケット29の基部とフレーム23のクロスバー32との間に配置されており、ブラケット、シャフト、およびトロリ集電輪をその各トロリ集電レールと動作可能に噛み合うに垂直に押しつけている。ブラケット構造体とトロリ集電輪の運動は、シャフト28の端が開孔30内で滑動可能であるので、行われる。電磁石33が、フレーム23の後ろの上端に取り付けられており、トロリ集電輪27へ電気的に接続されている。磁石は、望むならば、フランジの中心または前部に取り付けることが出来ることは理解されるであろう。見て分かるように(図5参照)、駆動車(car)22が各トラックに位置付けられると、電磁石の上端は、テーブルの上部13の下側に最も接近して配置され、起動されると、前記上部に支持された金属製目標体つまり図の姿状体(figure)34を、薄い非金属の上部13を通して吸引するように設計されている。これらの目標体は、どのような形状でもよく、この例では、レーシングカーの形を取っている。しかし、望むならば、各目標体は、競走馬、または、とのようなほかの従来のレーシング具を表現することが出来る。図1、9および10に関し、各駆動車のモーター25の速度は、三つの加減抵抗器35,36および37の一つにより制御されるように設計されており、前記加減抵抗器は、制御レバー38,39および40をそれぞれ備えており、テーブルまたはケーシングの外側で、各種の駆動車を操作し、制御するオペレータが握るのに都合良い位置に取り付けられている。これらの加減抵抗器は単に図示されているだけであり、それらはすべての周知の構造であり、それぞれは、トラック16,17,および18へ電気的に接続され、これにより、レバーの操作は,駆動車22のモーター25の速度を制御する。」(甲第2号証の1頁右欄38行〜2頁左欄61行[訳文の2頁23行〜4頁11行]参照)、
(2-3).「この様に説明した構造により、駆動車の操作は、制御レバー38,39および40を操作するオペレータにより完全に制御される。しかし、数人のオペレータの制御から少し外れて、駆動車の操作を行うため、本発明者は、個々の駆動車の電磁石33を通る電流の強さを自動的に制御する手段を提供する。この制御は、各レースの最終結果が予測できないように、完全に自動化される。従って、本発明は、個々の駆動車の速度がオペレータの制御内にあることを可能にする手段を提供するように設計されている。しかし、この手動制御は、テーブル上部13上の目標体を移動する場合の電磁石の作用を自動的に制御する手段を備えることにより、補われる。この構成により、駆動車が曲線路を通過するとき、電磁石の一つを流れる電流がかなり弱いので、速度は単にレースの勝利を保証せず、遠心力が目標体34の一つを磁石との電気的接触から投げだし、従って、目標体のオペレータをレースから除くことが可能である。電磁石を自動的に制御する手段は、もう一組の加減抵抗器52,53および54(図6,7参照)から成っている。これらの加減抵抗器は、駆動車22の磁石33を流れる電流を制御し、制御レバー55,56および57をそれぞれ備えている。これらの加減抵抗器とレバ-は、すべて、棚16とべース15との間に支持されたフレーム58に取り付けられている(図2aと9参照)。」(甲第2号証の2頁右欄10〜44行[訳文の4頁25行〜5頁12行]参照)、
(2-4).「この構造の場合、駆動車が、数本のトラック(図1参照)の指定されたスタート点に一直線に並ぶと、自動車34が、各磁石33の上の位置で上部板13の上に配置される。これらの磁石は、薄い上部板を通して自動車を吸引し、モーター25が起動されると、それらをテーブル上で搬送する。前述したように、個々のオペレータが、制御レバー38,39および40を手動で操作すると、駆動車22は、加減抵抗器のコイル上のレバーの動きに従って、各トラックの回りを進行する。同時に、モーター76の動きは、歯車70,71および72を回転し、これにより、各ピニオン64,65および65を回転する。これは偏心して取り付けられたカム61,62および63を回転し、これにより、レバー55,56および57をピボットの回りに回転し、従って、球状ライダー59を加減抵抗器52,53および54のコイル上で動かす。これは、磁石33を流れる電流の強さを変化する作用を行い、オペレータは、彼の駆動車の速度の制御を行う一方で、電磁石33により姿状体つまり自動車34へ加えられた磁気吸引を制御しない。」(甲第2号証の3頁右欄5〜15行[訳文の6頁14行〜6頁26行]参照)、
(2-5).「従って、レースの勝利は、駆動車が手動制御された加減抵抗器の操作により走行出来る位置に完全には依存されない。従って、各オペレータは、その駆動車の磁石の強さがいつも変化しており、オペレータが駆動車を時々余り速い速度にしているならば、オペレータが彼の駆動車をレースから投げ出す可能性があることを、各オペレータは考慮することが必要である。」(甲第2号証の3頁左欄21〜47行[訳文の7頁23行〜7頁19行]参照)。
(2-6).刊行物2には以下の発明(以下「引用発明」という)が記載されている。
「非金属の滑らかで薄い上部13を走行する複数の金属製目標体34と、中間の棚14の環状トラック16,17,18のレールに噛み合って乗る車輪24に支持されモーター25を備える複数の駆動車22とが、前記非金属の滑らかで薄い上部13を通して、前記複数の駆動車22の電磁石33の磁力により互いに吸引するように配置されていて、各駆動車22のモーター25の速度は、三つの加減抵抗器35、36、37の一つにより制御されるように設計されており、前記加減抵抗器35、36、37はそれぞれ制御レバー38,39,40を備えていて、オペレータが制御レバー38,39,40を操作することにより各駆動車22の速度を制御することができるように設計され、さらに、非金属の滑らかで薄い上部13上に配置された金属製目標体34を吸引する駆動車22の電磁石33の磁力を自動的に制御する手段として、制御レバー55、56、57により自動制御される加減抵抗器52、53、54が設けられていて、前記加減抵抗器52、53、54が加減されると駆動車22の電磁石33の吸引力が変化するようになっており、複数の駆動車22のモーター25が起動されると各駆動車22は前記上部13上の対応する複数の金属製目標体34を搬送し、オペレータが制御レバー38,39,40を操作して加減抵抗器35、36、37を加減させると電流の強さが変化するモーター25によってレースの度毎に時間と共に速度及び位置が変化することにより各駆動車22の走行を制御して、前記複数の金属製目標体34を競争させる電気的レーシングゲーム、」

(B).実願昭49-14153号(実開昭50-104785号)のマイクロフィルム(以下「刊行物3」という:異議申立人提出の甲第3号証)記載事項
(3-1).「ゲーム盤上に載置した複数台の永久磁石付き走行体の該永久磁石を吸着する複数個の移動永久磁石を、ゲーム盤の裏面に公転可能に配置した回転腕の先端に自転可能に枢支した支持板に固着し、さらにゲーム盤の裏面であって、該支持板の公転軌跡上に前記移動永久磁石の当接する最長辺を有する移動永久磁石用の位置規制板を配置し、前記規制板の最長辺の先端(A)に移動永久磁石の任意の1個が位置したときにおける各移動永久磁石の真上位置であってゲーム盤上面にサークル表示を付したことを特徴とするレース玩具。」(1頁4〜14行)
(3-2).「第1図はレース玩具1の斜視図で、2はゲーム盤3上に載置した複数台の永久磁石4付き走行体で、該永久磁石4はゲーム盤3の裏面に接して公転しかつ自転する移動永久磁石5に吸着されてゲーム盤3上を内側または外側寄りにずれながら円周コースを抜きつ抜かれつ走行してレース展開を行なうものであり、しかも各走行体2はゲーム盤3上のサークル表示25からスタートし、しかも順位は入れ変ってゴールするも、いずれも走行体2はサークル表示25の1着から4着までのどれかの位置で停止し、かつスタートするものである。そのための構造は後で順次説明する。前記走行体2は図示例では競輪選手を形どっているが、その他に競馬或いは自動車競争を行なうごとき形状としてもよく、少なくとも永久磁石4を有しているものであれば任意の形状にしてよい。」(3頁5行〜4頁5行)
(3-3).「したがって、前記走行体2は単にゲーム盤3上を所定の円周コースを走行するだけでなく、コースを互いに内側または外側寄りに移動しながら互にぶつかり合うことなく、抜きつ抜かれつ走行する。しかも、前記移動永久磁石5の自転運動は不規則に行なわれる。つまり、固定板17と回転板23のそれぞれの環状壁21,24はいずれも偏心位置に設けてあるので、回転腕7が公転する際ベルト22に緊張,弛緩状態が生じ、緊張状態においては確実に回転板23、移動磁石5に自転運動が伝えられるが、弛緩状態においては、これらに殆ど自転運動が伝えられず、したがってベルト22のこのような緊張,弛緩により移動永久磁石5に不規則な自転運動を起こさせるのである。」(6頁15行〜7頁13行)

(C).実公昭55-46222号公報(以下「刊行物4」という:異議申立人提出の甲第4号証)記載事項
(4-1).「本考案は、磁石を操作することにより自由に盤上の物体を動かすことのできる玩具に関する。」(1欄27〜28行)、
(4-2).「第1図は、盤を二層に形成したものであり、磁石4は4’より磁力が弱く形成されており、その結果磁石4,4’による磁力は盤1の表面においてほぼ等しくなるようにする。その結果、物体5,5’の磁石6,6’にはほぼ等しい磁気吸引力が作用する。したがってロッド7,7’によって磁石4,4’を自由自在に操作できる。」(2欄2〜8行)
(4-3).「第8図に第3の実施例を示す。これは、競馬ゲーム等、競争ゲーム盤であり、モーター(図示せず)等適当な動力により、回転する磁石が第1図と同様二層に設けられ、例えばそれぞれの回転中心をロッド7,7’によって動かす等して図示のごとく、コースを自由に選択できる。」(4欄18〜23行)

(D).特開昭58-200177号公報(以下「刊行物5」という:異議申立人提出の甲第5号証)記載事項
(5-1).「本発明は、移動体の位置検出方法に関し、特に、自動車、船舶、航空機等の移動体の位置を自動的に測定し、移動体の自動運航や自動走行等に有効に利用され得る移動体の位置検出方法に関する。」(2頁右上欄8〜11行)
(5-2).「こうして、移動体(V)側から受光信号が発せられると、その時の方位角(α)及び(β)が識別信号と共にレーザー光源(1)側から移動体(V)側へ送信される。この信号は移動体(V)のアンテナを介し受信器(35)で受信され、方位角(α)及び(β)が演算制御部(33)に与えられる。演算制御部(33)は方位角(α)が0°の場合には反射光を受光したと判別して方位角(β)を受け取り、(α)が0°以外の場合にはレーザー光源(1)からの直接光を受光したと判別して方位角(β)を受けとる。よって、この方位角(α)及び(β)より三角測量の原理で受光器(31)の位置(R)を計算し、移動体(V)が所定コースを走行するように走行方向を制御する。」(3頁1〜13行)
(5-3).「第2図は別の実施例を図解したものであって、移動体(V)に受光器(31)としてコーナーキューブ(31a)を設けたものである。・・・この反射レーザー光線を発光器(11a)に固着の受光器(11b)で受光し、その時の角度を光源(1)の演算制御部(19a)に送るものである。この演算部(19a)の動作は第1図の車輌(V)の演算部(33)と同様に移動体(V)の位置を求め、これに基づいて移動体(V)をコントロールする信号を送信機(18a)から移動体(V)に送信する様に構成されている。そして、移動体(V)の受信器(37)でコントロール信号を受信し、駆動回路(38)は信号に基づいて移動体(V)を操縦する。第3図は更に別実施例を図解したものであって、移動体(V)の2つの位置にコーナーキューブ(31a),(31b)を設け、各々の位置(R1)及び(R2)を第2図と同様の方法で算出し、移動体(V)の現在位置及び進行方位を検出できるものである。これを利用して、所定コースを走行する様に移動体(V)をラジオコントロールすることも可能である。」(4頁左上欄1行〜4頁右上欄6行)。

(E).特開昭60-153509号公報(以下「刊行物6」という:異議申立人提出の甲第6号証)記載事項
(6-1).「このような状態において、コントローラ201は所定のタイミングで出力バッファ回路202を介してカウンタ203をクリアすると共に、パルス電流発生器204を動作させる。カウンタ203は、クロック発振器205のクロックパルス(パルス繰り返し周波数は例えば100MHz)のカウントを開始する。」(3頁左下欄2〜8行)
(6-2).「第19図は本発明の別の実施例を示す説明図である。同図において、110は座標位置検出装置、120は無人車、130は受信機、140は送信機、150は処理装置である。座標位置検出装置110は前述した座標入力装置4と同一構成からなるもので、そのタブレットは無人車120の移動範囲全域にわたる面積を有しており、無人車120はこのタブレット上で移動する。無人車120は第20図に示すようにその上部に受信機130を有すると共に、下部中央に位置指定用磁気発生器、例えば棒磁石121を取り付け、左右の後輪122,123にそれぞれ直結したモータ124,125を有している。また126は前輪である。」(6頁右下2〜15行)
(6-3).「まず、処理装置150に図示しないキーボード等より無人車120を誘導すべき座標位置を入力する。処理装置150は、座標位置検出装置110より無人車120の現時点の座標値を読み込む。この座標値は棒磁石121が座標位置検出装置110の磁極伝達媒体へバイアス磁界を加えている位置のものである。処理装置150は指定座標値と現座標値とを比較し演算処理し、必要な制御コードを送信機140のアナログスイッチ141へ送出する。この制御コードは送信用IC142で変調され、更に発光ダイオード143より無人車120へ向けて光信号によって送出される。この光信号は受信機130の受光ダイオード131で受信され、増幅器132,ローパスフィルタ133を介して受信用IC134へ送出され復調される。受信用IC134の出力は更にデコーダ135により制御コードにデコードされ、その出力はリレードライバ136-1〜136-4のいずれかを駆動しリレーRL1〜RL4のいずれかを動作させる。これによりモータ122,123が駆動され無人車120が指定座標位置まで誘導される。」(7頁左上欄12行〜7頁右上欄14行)

(F).特開昭59-100915号公報(以下「刊行物7」という:異議申立人提出の甲第7号証)記載事項
(7-1).「更に、前記車体(1)には、この車体(1)の移動距離を連続的に検出すべく単位走行距離(k)当り1回のパルスを発生する距離センサー(6)としての第5軸(6A)を設けるとともに、走行方向を検出する方位センサー(7)を設けている。」(2頁左下欄20行〜2頁右下欄4行)
(7-2).「一方、前記距離センサー(6)は、車体(1)の単位移動距離(k)毎に1回のパルスを発生して、このパルスを所定回数カウントすることによって所定移動距離(l0)を検出すべく構成してある。」(3頁左上欄18行〜3頁右上欄1行)、
「第4図に示すように、制御システムは、マイクロコンピュータを主要部とする演算制御装置(10)に入力インターフェース(11)を介して前記倣いセンサー(5A),(5B)、距離センサー(6)及び方位センサー(7)の各信号が入力されてあり、これら各センサーからの信号に基いて、電磁バルブ(12)を作動させて、アクチュエータである油圧シリンダ(8)を駆動して、前輪(2),(2)を操作すべく、出力インターフェース(13)に演算結果である制御信号を出力すべく構成してある。そして、第5図に示すように、芝刈作業地(14)における芝刈作業を行うに先だって、回向地(14A)部分を予め人為的に既刈地とすべく、作業者が運転して芝刈作業を行ないながら1行程走行し、この間に、前記距離センサー(6)および方位センサー(7)によって、作業地外周をサンプリングし、このサンプリング情報に基いて作業地概形をティーチングして、座標(Xo,Yo),(Xo,Ya)・・・(Xg,Yg)で示す各コーナー部における旋回角(θoa),(θab)・・・(θgo)を算出する。その後、前記予め人為的に既刈地とされた最外周部(14A)の内側の未刈地(14B)をこの未刈地(14B)と前記外周部(14A)との境界の前記倣いセンサー(5A),(5B)の検出結果に基いて倣い走行制御することにより2周目以降の外周刈取作業を自動的に行なうのである。そして、この外周刈取作業時に前記距離センサー(6)及び方位センサー(7)によって検出される走行距離(l)及び方位(θ)の変化をチェックし、作業幅(a)を減じた距離に相当する座標(Xn,Yn)に達した場合は、前記旋回角(θoa),(θab)・・・(θgo)に基いて、ステアリング角(k)を夫々所定角(θn)補正したステアリング角(θn±k)を基準にバンバン制御しながら所定方向へ自動的に旋回させるのである。」(3頁右上欄5行〜3頁左下欄19行)
(7-3).「1つのメインユニットと同メインユニットに結合され少なくとも1台のテーブルユニットよりなり、前記メインユニットは、出走前、出走中および出走後の画像、音声を表示するメイン表示装置と、レース番号、出走馬の如き出走体の名称、配当等を表示するサブ表示装置と、多種類のレース展開、入賞組合せ等に関する画像、音声、配当等を記憶し、前記多種類のレース展開、入賞組合等の内、適当なものを選出し所定のフローに従って画像、音声等の信号を前記両表示装置に送信し、コイン投入がなされて遊戯者の予想が当たった時に所定の賞金に相当するコインを払出しまたは数字を加算するように制御動作する中央処理装置とで構成され、前記テーブルユニットは、前記中央処理装置と後記コイン管理装置や操作パネルとの信号の送受を行なう入出力中継装置と、コインの投入枚数をカウントするとゝもに、投票数に対応してコインを減算しかつ賞金に相当するコイン金額の払出しを行ないあるいはこれを計算してゲーム終了時に余剰コイン金額に相当するコインを排出するコイン管理装置と、出走体の入賞を予想選定しその選定個数を表示する操作パネルとを有することを特徴とする競馬等の競走遊戯装置。」(1頁5行〜同2頁6行)
(7-4).「本案は前記したように構成されているので、メイン表示装置に出走前の出走体が表示されるとゝもに、サブ表示装置にレース番号、出走体の名称等が表示され、レース開始前の状況が再現される。この状態で前記各テーブルユニットの前に居る遊戯者は前記操作パネルで出走体の入賞を予想選定すると、投入コインから選定した個数だけ減算されて表示され、一定時間経過後または選定終了後、レーが開始され、その状況が前記メイン表示装置に表示される。そして出走体がゴールに達すると、入賞出走体の名称および配当が前記サブ表示装置に表示されるとゝもに、コイン投入が行われて配当があれば、当該テーブルユニットの操作パネルに配当金に相当するコインが加算される。この場合本案においては、前記中央処理装置に多種類のレース展開、入賞組合せ等に関する画像、音声、配当等が記憶されているため、レースを何回反覆して行なっても、レース展開、入賞組合せ等が変化し、遊戯者が飽ることがない。」(4頁11行〜5頁9行)

(G).実願昭56-8254号(実開昭57-123191号)のマイクロフィルム(以下「刊行物8」という:異議申立人提出の甲第8号証)記載事項
(8-1).「1つのメインユニットと同メインユニットに結合され少なくとも1台のテーブルユニットよりなり、前記メインユニットは、出走前、出走中および出走後の画像、音声を表示するメイン表示装置と、レース番号、出走馬の如き出走体の名称、配当等を表示するサブ表示装置と、多種類のレース展開、入賞組合せ等に関する画像、音声、配当等を記憶し、前記多種類のレース展開、入賞組合等の内、適当なものを選出し所定のフローに従って画像、音声等の信号を前記両表示装置に送信し、コイン投入がなされて遊戯者の予想が当たった時に所定の賞金に相当するコインを払出しまたは数字を加算するように制御動作する中央処理装置とで構成され、前記テーブルユニットは、前記中央処理装置と後記コイン管理装置や操作パネルとの信号の送受を行なう入出力中継装置と、コインの投入枚数をカウントするとゝもに、投票数に対応してコインを減算しかつ賞金に相当するコイン金額の払出しを行ないあるいはこれを計算してゲーム終了時に余剰コイン金額に相当するコインを排出するコイン管理装置と、出走体の入賞を予想選定しその選定個数を表示する操作パネルとを有することを特徴とする競馬等の競走遊戯装置。」(1頁5行〜同2頁6行)、
(8-2).「本案は前記したように構成されているので、メイン表示装置に出走前の出走体が表示されるとゝもに、サブ表示装置にレース番号、出走体の名称等が表示され、レース開始前の状況が再現される。この状態で前記各テーブルユニットの前に居る遊戯者は前記操作パネルで出走体の入賞を予想選定すると、投入コインから選定した個数だけ減算されて表示され、一定時間経過後または選定終了後、レーが開始され、その状況が前記メイン表示装置に表示される。そして出走体がゴールに達すると、入賞出走体の名称および配当が前記サブ表示装置に表示されるとゝもに、コイン投入が行われて配当があれば、当該テーブルユニットの操作パネルに配当金に相当するコインが加算される。この場合本案においては、前記中央処理装置に多種類のレース展開、入賞組合せ等に関する画像、音声、配当等が記憶されているため、レースを何回反覆して行なっても、レース展開、入賞組合せ等が変化し、遊戯者が飽ることがない。」(4頁11行〜5頁9行)等々。
(8-3).「この場合本案においては、前記中央処理装置に多種類のレース展開、入賞組合せ等に関する画像、音声、配当等が記憶されているため、レースを何回反覆して行っても、レース展開、入賞組合せ等が変化し、遊技者が飽きることがない。」(第5頁第5〜9行)
(8-4).「第7図ないし第8図に図示のようなレース番号、レース展開予想、出走馬の名称、◎、○、△、▲等の予想マークを参考意見、入賞組合せ(連勝複式)、投票数を表示するサブ表示装置たる白黒ブラウン管6と、」(第6頁第12〜16行)

(H).特公昭52-38781号公報(以下「刊行物9」という:異議申立人提出の甲第9号証)記載事項
(9-1).「例えば、複数の競走用自動車模型を環状レースコース上で走らせて、到着順次を競う競走遊戯装置は、従来から数多くあった。」(1欄22〜24行)
(9-2).「その目的とする処は、複数の移動模型の内、どの模型が真先にゴールに到達するのか全く予想がつかずに遊戯者の興味をそそることができる競走遊戯装置を供する点にある。本発明は、前記したように案内手段と、該案内手段によって設定された一定の循環軌跡に沿って移動しうる循環手段と前記軌跡に沿いそれぞれ別個に往復動自在に前記循環手段に設けられた複数の移動模型と、該移動模型をそれぞれ別個に駆動させる駆動手段とで構成したため、スタートラインにおいて前記移動模型を一線に並ばせてから、前記循環手段をゴールに向けて出発させるとともに、前記駆動手段を始動させると、前記複数の移動模型はそれぞれ相対的にかつ時間の経過に伴って速度を変えながら前記一定の循環軌跡に沿って移動することができる。また本発明においては、前記駆動手段の作動タイミングを適宜変更させることにより、前記移動模型の往復動のストロークおよび往復動切換タイミングを自由に変えることができ、遊戯者に興味を充分に与えることができる。」(2欄1〜22行)

(J).特開昭62-105206号公報(以下「刊行物10」という:異議申立人提出の甲第10号証)記載事項
(10-1).「第1図は本発明の一実施例を示す構成図である。図において、3は無人誘導車、8は進行方向前方に無人誘導車に取付けられた操舵輪、9は無人誘導車を推進する駆動輪、10は路面との相対変位を直交2軸(X,Y)成分に分解して非接触で測定する変位センサで、無人誘導車3上の異なる2点P,Qに固定されている。Oは無人誘導車3の車輪8,9によって定まる中心点、I軸は無人誘導車3の進行方向に一致し中心点Oに固定された軸、II軸はI軸と直交し中心点Oに固定された軸である。X軸は変位センサ10の測定に用いる軸で、I軸とは約45度傾けてある。Y軸はX軸と直交する軸で、変位センサ10の測定に用いられる。11は、変位センサ10の信号から無人誘導車3の移動距離l及び移動方向φを演算する移動量演算手段、12は移動量演算手段11で演算した結果に基づいて無人誘導車3の現在位置と無人誘導車3が到達すべき位置との偏差を求める偏差演算手段、13は偏差演算手段12に到達すべき位置を伝達する指令手段で、必要に応じて一連の移動位置を指定できる。14は偏差演算手段12で求めた偏差の方向に基づいて操舵輪8を製御する操舵手段、15は偏差量に基づいて駆動輪9を制御する駆動手段である。このように構成された装置においては次の如く動作する。一般力学の知識によると、剛体の平面内の運動は剛体内の2点の運動ベクトルが決まると確定する。そこで、変位センサ10のP点,Q点に於ける直方2方向の変位(X,Y)を測定すると、当該2点の運動ベクトルが確定する。次に無人誘導車3の移動距離lと移動方向φは、移動量演算手段11を用いて計算される。」(2頁左下欄2行〜2頁右下欄13行)
(10-2).「第3図は変位センサ10の他の具体例を示す要部構成図で、ここでは一軸方向の移動を検出する空間フィルタを示してある。図において、40は空間フィルタを構成するフォトダイオードアレイ(PDA)、41はPDA40に間隔P/3で3n個設けられた光電感応部で、互いに2つおきに接続され、n段ピッチpの3個の空間フィルタになっている。42は3個の空間フィルタの信号を増幅する増幅器、43は増幅器42の出力を順次走査するスイッチ、44はスイッチ43によって接続された信号を増幅する加算増幅器、45はスイッチ43の切換えによって生ずる高周波成分を除去するローパスフィルタ、46はローパスフィルタ45の出力信号の周波数fを検出する検出回路で、基準の周波数f0との差をとり、移動量演算手段11に出力する。47は周波数3f0のクロック(CLK)に応じてスイッチ43を切換える制御回路で、スイッチ43のひとつだけをONする。」(3頁左下欄4行〜3頁右下欄1行)

(K).特開昭63-65512号公報(以下「刊行物11」という:異議申立人提出の甲第11号証)記載事項。
(11-1).「(1)車体上の異なる2ケ所において路面との相対変位を直交2成分に分解して非接触で測定する変位センサと、これらの変位センサの信号から車体の移動距離及び移動方向を演算する移動量演算手段と、この移動量演算手段で演算した結果に基づいて車体の現在の位置と指令された位置との偏差を求める偏差演算手段とを備え、この偏差演算手段の演算に基づいて車体を当該指令位置に誘導するようにしたことを特徴とする無人誘導車の誘導装置。」(1頁左欄5〜16行)、
(11C-2).「所定の位置関係で配設され、それぞれ電波測量用の電波を送信する主局および2つの従局を地上装置とし、前記車両に配設され、前記地上装置から送信された電波を受信する受信手段と、この受信手段によって受信された各電波の受信時間差に基づいて、該車両の位置を検出する車両位置検出手段と、予め設定された該車両の目標経路およびこの目標経路上での車速指令を記憶している目標経路記憶手段と、前記車両位置検出手段によって検出された該車両の位置、および前記目標経路記憶手段から読み出した該車両の目標経路に基づいて、該車両の操舵角指令を演算する演算手段と、実際の操舵角を検出する操舵角センサと、実際の車速を検出するセンサと、前記演算手段によって演算された操舵角指令、および前記操舵角センサによって検出された実際の操舵角に基づいて、該車両の操舵角を制御する操舵角制御手段と、前記目標経路記憶手段から読み出した車速指令、および前記車速センサによって検出された実際の車速に基づいて、該車両の車速を制御する車速制御手段とを該車両の車載装置として備えたことを特徴とする車両の走行自動化システム。」(1頁左欄5行〜1頁右欄12行)、
(11-3).「磁界によって車両1に設けられた4つのピックアップコイル37a,37b,37cおよび37dに磁界強度に応じた信号がそれぞれ発生すると、これらの信号がピックアップアンプ38を介して第2の車両制御演算手段36に加えられる。第2の車両制御演算手段36はこれらの信号を入力すると、ピックアップコイル37aと37bの信号出力の差、およびピックアップコイル37cと37dの信号出力の差に基づいて車両1の誘導線に対するコースずれ量および姿勢角を検出する。そして、これらのコースずれ量および姿勢角に基づいて操舵角指令を求めるとともに、目標経路記憶手段3から上記角座標位置に対応する各車速指令を読み出し、これらの操舵角指令および各車速指令を示すそれぞれの信号を車両制御選択手段7に加える。車両制御選択手段7はこれらの信号を入力すると、上記操舵角指令に基づいて操舵制御を行うとともに、上記各車速指令に基づいて車速制御を行う。」(5頁左上欄1〜19行)等々。
(11-4).「車両位置検出手段5は上記のようにして車両1の現在位置(X、Y)をインターバルタイムτで求め、この位置を示す信号を第1の車両制御演算手段6に加える。第1の車両制御演算手段6は、この信号を入力すると、目標経路記憶手段3から目標経路Aについての各座標位置(XA1、YA1)〜(XAn、YAn)および車速指令を読出し、目標経路Aについての各座標位置及び車両1の現在位置に基づいて操舵指令を算出する。」(第3頁右上欄第17行〜同頁左下欄第5行)

[2].当審の判断
(1).特許法第29条第1項第3号の検討
異議申立理由において、原出願と同一であるとされた、特許発明1、2、7,8は、前記訂正明細書において削除されたものであるから、当該取消理由は解消されたものである。

(2).特許法第29条第2項の検討
前記刊行物2〜11には、本件訂正発明1,2における「少なくとも観客がベットした状況」によってレース展開が変化する旨の記載、及びそれを示唆する記載は認められないから、「少なくとも観客がベットした状況」によってゲームのレース展開が変化する点は、当業者が容易に想到できたものとは認められない。


第五.まとめ
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件訂正発明1,2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に、本件訂正発明1,2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件訂正発明1,2に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2001-11-19 
出願番号 特願平11-159218
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 神 悦彦瀬津 太朗  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 塩崎 進
渡戸 正義
登録日 2000-07-07 
登録番号 特許第3084412号(P3084412)
権利者 株式会社セガ
発明の名称 競争ゲーム装置及びその制御方法  
代理人 園田 敏雄  
代理人 北野 好人  

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