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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G03B
管理番号 1125768
異議申立番号 異議2003-72716  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-02-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-06 
確定日 2005-08-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3404131号「写真処理装置」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3404131号の請求項1、2に係る特許を取り消す。 
理由 (1)手続の経緯
特許第3404131号の請求項1〜4に係る発明は、平成6年7月12日に特許出願され、平成15年2月28日にその特許の設定登録がなされ、その後、特許異議申立人藤本佐恵子により特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年10月25日に訂正請求がなされたものである。

(2)訂正の適否についての判断
(ア)訂正の内容
訂正事項a
訂正前の特許請求の範囲の請求項1〜4を、請求項1及び2として、次のように訂正する。
「【請求項1】 幅寸法の異なる露光済の写真フィルムを搬送しながら現像処理するフィルム現像工程と、光源から照射する光によって前記現像処理された写真フィルムに記録されている画像に応じて印画紙を露光する画像露光工程と、を備えた写真処理装置であって、
前記幅寸法の異なる写真フィルムのそれぞれに対して設けられ写真フィルムを所定の位置に配置することにより写真フィルムの画像コマを露光可能に覆うマスクが写真フィルムの搬送幅方向に沿って配置されたマスク部と、
前記フィルム現像工程で処理されて送り込まれる前記写真フィルムを前記マスク部の写真フィルムの幅寸法に応じたマスクの所定の位置に搬送する案内搬送手段と、
前記マスク部の所定の位置に配置された前記幅寸法の異なる写真フィルムの画像を前記印画紙へ同じ大きさで露光可能な光学手段と、
露光後に前記幅寸法の異なる写真フィルムをフィルムサイズに応じた一画像コマ分送る搬送手段と、
を画像露光工程に含み、
前記案内搬送手段が前記写真フィルムの幅方向の中心を一致させて写真フィルムを搬送するとき、前記マスク部を前記写真フィルムの搬送幅方向に沿って前記案内搬送手段に対して移動して所定のマスクを前記案内搬送手段による写真フィルムの搬送路上に配置すると共に、前記搬送路上に配置されたマスクに応じて前記光学手段の露光倍率の切り換えを行うことを特徴とする写真処理装置。

【請求項2】 幅寸法の異なる露光済の写真フィルムを搬送しながら現像処理するフィルム現像工程と、光源から照射する光によって前記現像処理された写真フィルムに記録されている画像に応じて印画紙を露光する画像露光工程と、を備えた写真処理装置であって、
前記幅寸法の異なる写真フィルムのそれぞれに対して設けられ写真フィルムを所定の位置に配置することにより写真フィルムの画像コマを露光可能に覆うマスクが写真フィルムの搬送幅方向に沿って配置されたマスク部と、
前記フィルム現像工程で処理されて送り込まれる前記写真フィルムを前記マスク部の写真フィルムの幅寸法に応じたマスクの所定の位置に搬送する案内搬送手段と、
前記マスク部の所定の位置に配置された前記幅寸法の異なる写真フィルムの画像を前記印画紙へ同じ大きさで露光可能な光学手段と、
を画像露光工程に含み、
前記案内手段が前記写真フィルムの幅方向の一端を一致させて搬送させるとき、前記マスク部を前記写真フィルムの搬送幅方向に沿って前記案内搬送手段に対して移動して所定のマスクを前記案内搬送手段による写真フィルムの搬送路上に配置すると共に、前記搬送路上に配置されたマスクに応じて前記光学手段の露光倍率及び光軸の切り換えを行うことを特徴とする写真処理装置。」

訂正事項b
訂正前の明細書の段落【0008】の記載を、削除する。

訂正事項c
訂正前の明細書の段落【0009】を、段落【0008】として、次のように訂正する。
「【0008】
また、前記案内搬送手段が前記写真フィルムの幅方向の中心を一致させて写真フィルムを搬送するとき、前記マスク部を前記写真フィルムの搬送幅方向に沿って前記案内搬送手段に対して移動して所定のマスクを前記案内搬送手段による写真フィルムの搬送路上に配置すると共に、前記搬送路上に配置されたマスクに応じて前記光学手段の露光倍率の切り換えを行うことを特徴とする。」

訂正事項d
訂正前の明細書の段落【0010】を、段落【0009】として、次のように訂正する。
「【0009】
請求項2に係る写真処理装置は、幅寸法の異なる露光済の写真フィルムを搬送しながら現像処理するフィルム現像工程と、光源から照射する光によって前記現像処理された写真フィルムに記録されている画像に応じて印画紙を露光する画像露光工程と、を備えた写真処理装置であって、前記幅寸法の異なる写真フィルムのそれぞれに対して設けられ写真フィルムを所定の位置に配置することにより写真フィルムの画像コマを露光可能に覆うマスクが写真フィルムの搬送幅方向に沿って配置されたマスク部と、前記フィルム現像工程で処理されて送り込まれる前記写真フィルムを前記マスク部の写真フィルムの幅寸法に応じたマスクの所定の位置に搬送する案内搬送手段と、前記マスク部の所定の位置に配置された前記幅寸法の異なる写真フィルムの画像を前記印画紙へ同じ大きさで露光可能な光学手段と、を画像露光工程に含み、前記案内手段が前記写真フィルムの幅方向の一端を一致させて搬送させるとき、前記マスク部を前記写真フィルムの搬送幅方向に沿って前記案内搬送手段に対して移動して所定のマスクを前記案内搬送手段による写真フィルムの搬送路上に配置すると共に、前記搬送路上に配置されたマスクに応じて前記光学手段の露光倍率及び光軸の切り換えを行うことを特徴とする」

訂正事項e
訂正前の明細書の段落【0013】の記載を、削除する。

訂正事項f
訂正前の明細書の段落【0014】を、段落【0012】として、次のように訂正する。
「【0012】
また、案内搬送手段が異なる幅寸法の写真フィルムを幅方向の中心位置である画像コマの中心位置を一致させて搬送する。この案内搬送手段による写真フィルムの搬送路上に所定のマスクを移動させて配置する。これと共に光学手段の露光倍率を変更することにより、幅寸法が異なり画像コマの大きさが異なる写真フィルムのそれぞれの画像を同じ大きさで印画紙へ焼付けることができる。」

訂正事項g
訂正前の明細書の段落【0015】を、段落【0013】として、次のように訂正する。
「【0013】
請求項2に記載の写真処理装置では、案内搬送手段が写真フィルムの幅方向の一端を一致させて搬送する。すなわち、幅寸法の異なる写真フィルムをエッジ(幅方向の一端)を基準として搬送する案内搬送手段を設けている。この案内搬送手段による写真フィルムの搬送路上にマスク部を移動させて写真フィルムの幅寸法に応じたマスクを配置するときには、写真フィルムの幅寸法に応じて画像コマの中心位置がずれるため、光学手段の倍率変更と共に、画像コマの中心位置のずれに合わせて光学手段の光軸をずらす。これによって、同じ大きさの画像を印画紙へ焼付けることができる。」

訂正事項h
訂正前の明細書の段落番号【0009】〜【0012】を、順次、段落番号【0008】〜【0011】に訂正する。

訂正事項i
訂正前の明細書の段落番号【0014】〜【0071】を、順次、段落番号【0012】〜【0069】に訂正する。

(イ)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項aに係る訂正は、特許請求の範囲の減縮に該当し、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではないし、新規事項の追加にも該当しない。

訂正事項b〜iに係る訂正は、明瞭でない記載の釈明に該当し、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではないし、新規事項の追加にも該当しない。

(ウ)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)(以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

(3)特許異議の申立について
(ア)申立の理由の概要
特許異議申立人藤本佐恵子は、証拠として甲第2号証〔特願平5-223483号(特開平7-77744号公報)〕、甲第3号証(特開昭63-60443号公報)、甲第4号証(特開昭61-262735号公報)、甲第5号証(特開平2-29728号公報)を提出し、訂正前の本件請求項1及び2に係る発明の特許は、その出願日前の出願であって、その出願後に出願公開された甲第2号証の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「先願明細書」という。)に記載された発明と同一であると認められ、しかも、訂正前の本件請求項1及び2に係る発明の発明者が前記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、本件出願の時において、その出願人が前記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、訂正前の本件請求項1及び2に係る発明の特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、訂正前の本件請求項1〜4に係る発明の特許は、甲第3〜5号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるので、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。したがって、訂正前の本件請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すべき旨主張している。

(イ)本件請求項1及び2に係る発明
本件請求項1及び2に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 幅寸法の異なる露光済の写真フィルムを搬送しながら現像処理するフィルム現像工程と、光源から照射する光によって前記現像処理された写真フィルムに記録されている画像に応じて印画紙を露光する画像露光工程と、を備えた写真処理装置であって、
前記幅寸法の異なる写真フィルムのそれぞれに対して設けられ写真フィルムを所定の位置に配置することにより写真フィルムの画像コマを露光可能に覆うマスクが写真フィルムの搬送幅方向に沿って配置されたマスク部と、
前記フィルム現像工程で処理されて送り込まれる前記写真フィルムを前記マスク部の写真フィルムの幅寸法に応じたマスクの所定の位置に搬送する案内搬送手段と、
前記マスク部の所定の位置に配置された前記幅寸法の異なる写真フィルムの画像を前記印画紙へ同じ大きさで露光可能な光学手段と、
露光後に前記幅寸法の異なる写真フィルムをフィルムサイズに応じた一画像コマ分送る搬送手段と、
を画像露光工程に含み、
前記案内搬送手段が前記写真フィルムの幅方向の中心を一致させて写真フィルムを搬送するとき、前記マスク部を前記写真フィルムの搬送幅方向に沿って前記案内搬送手段に対して移動して所定のマスクを前記案内搬送手段による写真フィルムの搬送路上に配置すると共に、前記搬送路上に配置されたマスクに応じて前記光学手段の露光倍率の切り換えを行うことを特徴とする写真処理装置。

【請求項2】 幅寸法の異なる露光済の写真フィルムを搬送しながら現像処理するフィルム現像工程と、光源から照射する光によって前記現像処理された写真フィルムに記録されている画像に応じて印画紙を露光する画像露光工程と、を備えた写真処理装置であって、
前記幅寸法の異なる写真フィルムのそれぞれに対して設けられ写真フィルムを所定の位置に配置することにより写真フィルムの画像コマを露光可能に覆うマスクが写真フィルムの搬送幅方向に沿って配置されたマスク部と、
前記フィルム現像工程で処理されて送り込まれる前記写真フィルムを前記マスク部の写真フィルムの幅寸法に応じたマスクの所定の位置に搬送する案内搬送手段と、
前記マスク部の所定の位置に配置された前記幅寸法の異なる写真フィルムの画像を前記印画紙へ同じ大きさで露光可能な光学手段と、
を画像露光工程に含み、
前記案内手段が前記写真フィルムの幅方向の一端を一致させて搬送させるとき、前記マスク部を前記写真フィルムの搬送幅方向に沿って前記案内搬送手段に対して移動して所定のマスクを前記案内搬送手段による写真フィルムの搬送路上に配置すると共に、前記搬送路上に配置されたマスクに応じて前記光学手段の露光倍率及び光軸の切り換えを行うことを特徴とする写真処理装置。」

(ウ)引用刊行物記載の発明
当審が平成16年8月16日付で通知した取消理由において引用した刊行物1〔甲第3号証(特開昭63-60443号公報)〕には、次のような記載がある。
(あ)「一般に写真の形成においては、撮影済のフィルムを現像してネガフィルムまたはポジフィルムを得た後に、このネガフィルムまたはポジフィルム(以下「原画フィルム」ともいう。)の原画像を写真感光材料に焼付けて焼付け画像を形成することが必要とされる。」(第1頁右欄第7〜12行)

(い)「〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、原画フィルムの1駒のサイズとしては、一般に、「110mm」、「126mm」、「135mm」、「フルサイズ」、「ハーフサイズ」等種々のサイズのものがあり、従来においてはそれぞれのサイズに専用の原画キャリアを複数台用意しなければ、注文者の要求に応じた焼付け処理を行うことができず、その結果経済的な焼付け処理を行うことが困難であった。」(第1頁右欄第17行〜第2頁左上欄第5行)

(う)「第1図において、10は焼付け用光源、11は防熱フィルター(赤外カットフィルター)、12は調光フィルター、13は平面反射鏡、14はバンドカットフィルター、15は光拡散板、16は光拡散混合部材、17は拡大倍率変更可能な投影レンズ、18は印画紙台、19は印画紙、20は原画キャリア、21は原画フィルムである。」(第2頁右下欄第1〜7行)

(え)「キャリア基板30には、中央部および隅部にそれぞれサイズの異なる露光窓31A,31B,31C,31Dが設けられている。・・・これらの露光窓31A,31B,31C,31Dは、それぞれ原画フィルムのサイズが例えば「フルサイズ」、「110mm」、「126mm」、「ハーフサイズ」に対応する大きさを有するものである。
これらの露光窓31A,31B,31C,31Dの周囲には、それぞれ対応するサイズの原画フィルムがガイドされながら通過する通路を構成する凹部32A,32B,32C,32Dが設けられている。これらの凹部32A,32B,32C,32Dの幅は、対応する原画フィルムの幅に対応する大きさである。従って、これらの凹部内に対応するサイズの原画フィルムが位置されて移送されることにより、各原画フィルムは位置ズレを伴わずに規定された通路を安定に通過するようになる。
このキャリア基板30は、下方に固定配置された支持板60上に載置されて当該支持板60に対して水平方向に移動可能に保持され、これにより露光窓31A,31B,31C,31D・・・のそれぞれが焼付け用光源10に係る光路中に位置できるようになっている。」(第2頁右下欄第14行〜第3頁左上欄第16行)

(お)「サイズの異なる各原画フィルムは、それぞれ凹部32A,32B,32C,32D内を矢印A,B,C,Dで示す方向にステップ的に移送される構成である。」(第3頁右上欄第7〜10行)

(か)「また露光窓の配設位置も特に限定されず、例えば3つ以上の露光窓を1列に並ぶように配置して、これらの露光窓を通過する原画フィルムの進行方向をすべて平行になるように構成してもよい。」(第4頁右下欄第1〜5行)

原画フィルムに記録されている画像に応じて、印画紙を焼付けする画像焼付け装置において、原画フィルムを移送するには、当然に、原画フィルムの移送手段を有するものであるので、刊行物1記載の発明は、当然に、原画フィルムの移送手段を有している。
前記記載事項および図面からみて、刊行物1には「サイズの異なる撮影済のフィルムを現像し、光源から照射する光によって現像された原画フィルムに記録されている画像に応じて印画紙を焼付けする画像焼付け工程を備えた画像焼付け装置であって、
サイズの異なる原画フィルムのそれぞれに対して設けられ原画フィルムを所定の位置に配置することにより原画フィルムの画像コマを焼付け可能に覆う露光窓が配置されたキャリア基板と、
フィルム現像されて送り込まれる原画フィルムをキャリア基板の原画フィルムのサイズに応じた露光窓の所定の位置に移送する移送手段と、
キャリア基板の所定の位置に配置されたサイズの異なる原画フィルムの画像を印画紙へ焼付け可能な光学手段と、
サイズの異なる原画フィルムをステップ的に移送する移送手段と、
を画像焼付け工程に含み、
移送手段が原画フィルムを移送するとき、キャリア基板を移送手段に対して移動して所定の露光窓を移送手段による原画フィルムの移送路上に配置することを特徴とする画像焼付け装置。」が記載されている。

同刊行物2〔甲第5号証(特開平2-29728号公報)〕には、次のような記載がある。
「フィルムの一側縁を案内するフィルムキャリアの一方の幅ガイドを固定し、他方の幅ガイドをフィルムの幅サイズに応じて平行移動自在とし、このフィルムキャリアにセットされるフィルムの幅サイズに対応して焼付倍率の異なる複数個の焼付レンズを設け、フィルムの幅サイズに対応した焼付レンズを選択すると共に所定のアオリ位置にセットして、フィルムの幅サイズに関わりなく感光材料の同一位置にフィルムの写真画像をプリントすることを特徴とする写真焼付装置。」(第1頁左欄、特許請求の範囲)

「ネガフィルム33のサイズ情報がコントローラ60に入力されると、フィルムキャリア30の可動幅ガイド36の移動に対応して、モータ56が回動し、これによりネガフィルム33のサイズに対応した焼付レンズが所定のアオリ位置にセットされる。
前記焼付レンズ50〜52は、フィルムキャリア30にセットされる例えば135タイプ、110タイプ、120タイプのネガフィルム33の駒の画像を、露光位置にセットされた印画紙10に、同一位置及び同一大きさになるように倍率を変えて結像させるものであり、所定の倍率のレンズ群から構成されている。これら焼付レンズ50〜52は具体的には、レンズ保持部材53Aにより焼付光路内に以下のようにセットされる。135タイプのフィルムがフィルムキャリア30にセットされた場合の焼付レンズ50の位置を基準にして説明すると、110タイプのネガフィルムがフィルムキャリア30にセットされる場合には、110タイプ用の焼付レンズ51は、135タイプの焼付レンズ50の位置を基準にして、下方にH1、フィルムの幅方向に固定幅ガイド35側にE1だけ変位した位置とされる。また、120タイプのフィルムがフィルムキャリア30にセットされる場合には、120タイプ用の焼付レンズ52は、135タイプの焼付レンズ50の位置を基準にして、上方にH2、フィルムの幅方向に固定幅ガイド35とは反対側にE2だけ変位した位置とされる。」(第3頁右上欄第20行〜同頁右下欄第8行)

同刊行物3〔甲第4号証(特開昭61-262735号公報)〕には、次のような記載がある。
「写真焼付の対象である原画フィルムの最大サイズに応じた開口部を有し、前記原画フィルムの搬送路を形成するように配置された全サイズ共通のフィルムキャリアと、このフィルムキャリアに対する前記原画フィルムの搬送をガイドすると共に、前記原画フィルムの搬送方向の中心を常に一致させる位置調整機構と、前記フィルムキャリアの開口部に位置された前記原画フィルムの画像情報を検出するイメージセンサとを具備したことを特徴とする写真焼付装置。」(第1頁左欄、特許請求の範囲)

「位置調整機構30は・・・第2図(A),(B)に示すように・・・両側に突設されたガイド部33及び34を有し、ガイド部33及び34の間の凹部でネガフィルム1を搬送するようになっている。」(第3頁右下欄第10〜15行)

(エ)対比・判断
(本件請求項1に係る発明について)
刊行物1記載の発明の「サイズ」、「撮影済のフィルム」、「原画フィルム」、「焼付け」、「露光窓」、「キャリア基板」、及び「移送」は、本件請求項1に係る発明の「幅寸法」、「露光済の写真フィルム」、「写真フィルム」、「露光」、「マスク」、「マスク部」、及び「搬送」にそれぞれ相当するものであるので、両者は「幅寸法の異なる露光済の写真フィルムを現像し、光源から照射する光によって現像された写真フィルムに記録されている画像に応じて印画紙を露光する画像露光工程を備えた画像焼付け装置であって、
幅寸法の異なる写真フィルムのそれぞれに対して設けられ写真フィルムを所定の位置に配置することにより写真フィルムの画像コマを露光可能に覆うマスクが配置されたマスク部と、
フィルム現像されて送り込まれる写真フィルムをマスク部の写真フィルムの幅寸法に応じたマスクの所定の位置に搬送する搬送手段と、
マスク部の所定の位置に配置された幅寸法の異なる写真フィルムの画像を印画紙へ露光可能な光学手段と、
幅寸法の異なる写真フィルムを搬送する搬送手段と、
を画像露光工程に含み、
搬送手段が写真フィルムを搬送するとき、マスク部を搬送手段に対して移動して所定のマスクを搬送手段による写真フィルムの搬送路上に配置することを特徴とする画像焼付け装置。」という点で一致し、次の点で相違する。

相違点(A)
本件請求項1に係る発明は、露光済の写真フィルムを搬送しながら現像処理するフィルム現像工程と、光源から照射する光によって現像処理された写真フィルムに記録されている画像に応じて印画紙を露光する画像露光工程と、を備えた写真処理装置であるのに対して、刊行物1記載の発明は、前記「露光済の写真フィルムを搬送しながら現像処理するフィルム現像工程と、光源から照射する光によって現像処理された写真フィルムに記録されている画像に応じて印画紙を露光する画像露光工程と、を備えた写真処理装置」の記載がない点。

相違点(B)
幅寸法の異なる写真フィルムの画像を印画紙へ露光可能である光学手段が、本件請求項1に係る発明は、印画紙へ同じ大きさで露光可能であるのに対して、刊行物1記載の発明は、「印画紙へ同じ大きさで露光可能である」点の記載がない点。

相違点(C)
搬送手段が幅寸法の異なる写真フィルムを送るのに、本件請求項1に係る発明は、露光後に、写真フィルムをフィルムサイズに応じた一画像コマ分送るのに対して、刊行物1記載の発明は、写真フィルムをステップ的に搬送する点。

相違点(D)
本件請求項1に係る発明は、案内〔第1ガイド部(78),第2ガイド部(80)〕が、写真フィルムの幅方向の中心を一致させるのに対して、刊行物1記載の発明は、案内〔凹部(32A,32B等)〕を有するが、その点の記載がない点。

相違点(E)
本件請求項1に係る発明は、マスク部を案内搬送手段に対して移動するのに対して、刊行物1記載の発明は、マスク部を搬送手段に対して移動する点。

相違点(F)
マスク部を搬送手段に対して移動して所定のマスクを搬送手段による写真フィルムの搬送路上に配置するものにおいて、本件請求項1に係る発明は、マスクが写真フィルムの搬送幅方向に沿って配置されており、かつ、マスク部を写真フィルムの搬送幅方向に沿って移動するのに対して、刊行物1記載の発明は、マスクが写真フィルムの搬送幅方向に沿っては配置されておらず、かつ、マスク部を写真フィルムの搬送幅方向に沿って移動するものではない点。

相違点(G)
本件請求項1に係る発明は、搬送路上に配置されたマスクに応じて光学手段の露光倍率の切り換えを行うのに対して、刊行物1記載の発明は、光学手段が露光倍率の切り換えを行うことはできるが、前記「搬送路上に配置されたマスクに応じて」の記載がない点。

(本件請求項1に係る発明に対する判断)
相違点(A)について
露光済の写真フィルムを搬送しながら現像処理するフィルム現像工程と、光源から照射する光によって前記現像処理された写真フィルムに記録されている画像に応じて印画紙を露光する画像露光工程と、を備えた写真処理装置は、周知技術(例えば、特開平6-148756号公報、特開平5-289186号公報)であり、その周知技術を刊行物1記載の画像焼付け装置に採用して、相違点(A)における本件請求項1に係る発明のような構成にしたことに、格別の困難性は認められない。

相違点(B)について
刊行物2記載の発明の「フィルムの幅サイズ」、及び「ネガフィルム」は、本件請求項1に係る発明の「幅寸法」、及び「写真フィルム」にそれぞれ相当するものであるので、刊行物2には、「幅寸法の異なる写真フィルムの画像を印画紙へ同じ大きさで露光可能である光学手段」が記載されており、この構成を刊行物1記載の画像焼付け装置に採用して、相違点(B)における本件請求項1に係る発明のような構成にしたことは、格別なものとはいえない。

相違点(C)について
画像露光工程において、露光後に、写真フィルムをフィルムサイズに応じた一画像コマ分送ることは、周知・自明の構成であり、前記周知・自明の構成を刊行物1記載の画像焼付け装置に採用して、相違点(C)における本件請求項1に係る発明のような構成にしたことは、格別なものとはいえない。

相違点(D)について
刊行物3記載の発明の「位置調整機構〔ガイド部(33,34)〕」、及び「原画フィルムの搬送方向の中心を一致させる」は、本件請求項1に係る発明の「案内」、及び「写真フィルムの幅方向の中心を一致させる」にそれぞれ相当するものであるので、刊行物3には、「案内が、写真フィルムの幅方向の中心を一致させる」ことが記載されており、この構成を刊行物1記載の画像焼付け装置に採用して、相違点(D)における本件請求項1に係る発明のような構成にしたことは、格別なものとはいえない。

相違点(E)について
本件請求項1に係る発明は、案内〔第1ガイド部(78),第2ガイド部(80)〕が、搬送手段の側に設けられているのに対して、刊行物1記載の発明は、案内〔凹部(32A,32B等)〕が、マスク部の側に設けられていることに伴う構成の差異であって、相違点(E)における本件請求項1に係る発明の構成は、格別なものとはいえない。

相違点(F)について
刊行物1記載のマスク部に設けられたマスクの内「露光窓31A、及び露光窓31B」について注目すると、マスクが写真フィルムの搬送幅方向に対して略45゜の角度で配置されており、マスク部を写真フィルムの搬送幅方向に対して略45゜の角度で移動することが記載されている。
上記「記載事項(か)」において、「露光窓の配設位置も特に限定されず、例えば3つ以上の露光窓を1列に並ぶように配置して、これらの露光窓を通過する原画フィルムの進行方向をすべて平行になるように構成してもよい。」という記載もあるように、前記マスク(露光窓31A、及び露光窓31B)が写真フィルムの搬送幅方向に対して対して略45゜の角度で配置されることに替えて、マスク(露光窓31A、及び露光窓31B)が写真フィルムの搬送幅方向に沿って、1列に並ぶように配置し、それにともなって、マスク部を写真フィルムの搬送幅方向に沿って移動するようにして、相違点(F)における本件請求項1に係る発明のような構成にしたことに、格別の困難性は認められない。

相違点(G)について
本件請求項1に係る発明において、マスクの幅寸法と、写真フィルムの幅寸法とは、対応するものであるので、「搬送路上に配置されたマスクに応じて光学手段の露光倍率の切り換えを行う」とは、「搬送路上に配置された写真フィルムに応じて光学手段の露光倍率の切り換えを行う」と同じことを意味するものである。
刊行物2記載の発明の「フィルムキャリアにセットされる」、「フィルムの幅サイズに対応して」、及び「フィルムの幅サイズに対応した焼付レンズを選択する」は、本件請求項1に係る発明の「搬送路上に配置された」、「写真フィルムに応じて」、及び「光学手段の露光倍率の切り換えを行う」にそれぞれ相当するものであるので、刊行物2には「搬送路上に配置された写真フィルムに応じて光学手段の露光倍率の切り換えを行う」ことが記載されている。
前記したように、「搬送路上に配置されたマスクに応じて光学手段の露光倍率の切り換えを行う」とは、「搬送路上に配置された写真フィルムに応じて光学手段の露光倍率の切り換えを行う」と同じことを意味するものであるので、前記刊行物2記載の構成を、刊行物1記載の画像焼付け装置に採用して、その場合に、写真フィルムではなく、マスクに応じて露光倍率の切り換えを行うようにして、相違点(G)における本件請求項1に係る発明のような構成にしたことに、格別の困難性は認められない。

そして、前記相違点(A)〜(G)における本件請求項1に係る発明の構成による効果は、刊行物1〜3記載の発明と上記周知技術および周知・自明の構成から予測される範囲のものである。

(本件請求項2に係る発明について)
刊行物1記載の発明の「サイズ」、「撮影済のフィルム」、「原画フィルム」、「焼付け」、「露光窓」、「キャリア基板」、及び「移送」は、本件請求項2に係る発明の「幅寸法」、「露光済の写真フィルム」、「写真フィルム」、「露光」、「マスク」、「マスク部」、及び「搬送」にそれぞれ相当するものであるので、両者は「幅寸法の異なる露光済の写真フィルムを現像し、光源から照射する光によって現像された写真フィルムに記録されている画像に応じて印画紙を露光する画像露光工程を備えた画像焼付け装置であって、
幅寸法の異なる写真フィルムのそれぞれに対して設けられ写真フィルムを所定の位置に配置することにより写真フィルムの画像コマを露光可能に覆うマスクが配置されたマスク部と、
フィルム現像されて送り込まれる写真フィルムをマスク部の写真フィルムの幅寸法に応じたマスクの所定の位置に搬送する搬送手段と、
マスク部の所定の位置に配置された幅寸法の異なる写真フィルムの画像を印画紙へ露光可能な光学手段と、
を画像露光工程に含み、
マスク部を搬送手段に対して移動して所定のマスクを搬送手段による写真フィルムの搬送路上に配置することを特徴とする画像焼付け装置。」という点で一致し、前記「相違点(A)、(B)、及び(F)」以外に、次の点で相違する。

相違点(H)
本件請求項2に係る発明は、案内手段〔固定ガイド(132),可動ガイド(134)〕が写真フィルムの幅方向の一端を一致させて搬送させるのに対して、刊行物1記載の発明は、案内手段〔凹部(32A,32B等)〕を有するが、その点の記載がない点。

相違点(E’)
本件請求項2に係る発明は、マスク部を案内搬送手段に対して移動するのに対して、刊行物1記載の発明は、マスク部を搬送手段に対して移動する点。
相違点(I)
本件請求項2に係る発明は、搬送路上に配置されたマスクに応じて光学手段の露光倍率及び光軸の切り換えを行うのに対して、刊行物1記載の発明は、光学手段が露光倍率の切り換えを行うことはできるが、前記「搬送路上に配置されたマスクに応じて」の記載がない点。

(本件請求項2に係る発明に対する判断)
相違点(H)について
刊行物2記載の発明の「一方の幅ガイド(固定幅ガイド35),他方の幅ガイド(可動幅ガイド36)」、「フィルム(ネガフィルム)」、及び「フィルムの一側縁を案内する」は、本件請求項2に係る発明の「案内手段」、「写真フィルム」、及び「幅方向の一端を一致させて搬送させる」にそれぞれ相当するものであるので、刊行物2には、「案内手段が写真フィルムの幅方向の一端を一致させて搬送させる」ことが記載されており、この構成を刊行物1記載の画像焼付け装置に採用して、相違点(H)における本件請求項2に係る発明のような構成にしたことは、格別なものとはいえない。

相違点(E’)について
本件請求項2に係る発明は、案内〔固定ガイド(132),可動ガイド(134)〕が、搬送手段の側に設けられているのに対して、刊行物1記載の発明は、案内〔凹部(32A,32B等)〕が、マスク部の側に設けられていることに伴う構成の差異であって、相違点(E’)における本件請求項2に係る発明の構成は、格別なものとはいえない。

相違点(I)について
本件請求項2に係る発明において、マスクの幅寸法と、写真フィルムの幅寸法とは、対応するものであるので、「搬送路上に配置されたマスクに応じて光学手段の露光倍率及び光軸の切り換えを行う」とは、「搬送路上に配置された写真フィルムに応じて光学手段の露光倍率及び光軸の切り換えを行う」と同じことを意味するものである。
刊行物2記載の発明の「フィルムキャリアにセットされる」、「フィルムの幅サイズに対応して」、及び「フィルムの幅サイズに対応した焼付レンズを選択すると共に所定のアオリ位置にセット」は、本件請求項2に係る発明の「搬送路上に配置された」、「写真フィルムに応じて」、及び「光学手段の露光倍率及び光軸の切り換えを行う」にそれぞれ相当するものであるので、刊行物2には「搬送路上に配置された写真フィルムに応じて光学手段の露光倍率及び光軸の切り換えを行う」ことが記載されている。
前記したように、「搬送路上に配置されたマスクに応じて光学手段の露光倍率及び光軸の切り換えを行う」とは、「搬送路上に配置された写真フィルムに応じて光学手段の露光倍率及び光軸の切り換えを行う」と同じことを意味するものであるので、前記刊行物2記載の構成を、刊行物1記載の画像焼付け装置に採用して、その場合に、写真フィルムではなく、マスクに応じて露光倍率及び光軸の切り換えを行うようにして、相違点(I)における本件請求項2に係る発明のような構成にしたことに、格別の困難性は認められない。

そして、前記相違点(A)、(B)、(F)、(H)、(E’)、及び(I)における本件請求項2に係る発明の構成による効果は、刊行物1〜3記載の発明と上記周知技術および周知・自明の構成から予測される範囲のものである。

(オ)むすび
以上のとおり、本件請求項1及び2に係る発明は、刊行物1〜3記載の発明と上記周知技術および周知・自明の構成に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1及び2に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件請求項1及び2に係る発明の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
写真処理装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】幅寸法の異なる露光済の写真フィルムを搬送しながら現像処理するフィルム現像工程と、光源から照射する光によって前記現像処理された写真フィルムに記録されている画像に応じて印画紙を露光する画像露光工程と、を備えた写真処理装置であって、
前記幅寸法の異なる写真フィルムのそれぞれに対して設けられ写真フィルムを所定の位置に配置することにより写真フィルムの画像コマを露光可能に覆うマスクが写真フィルムの搬送幅方向に沿って配置されたマスク部と、
前記フィルム現像工程で処理されて送り込まれる前記写真フィルムを前記マスク部の写真フィルムの幅寸法に応じたマスクの所定の位置に搬送する案内搬送手段と、
前記マスク部の所定の位置に配置された前記幅寸法の異なる写真フィルムの画像を前記印画紙へ同じ大きさで露光可能な光学手段と、
露光後に前記幅寸法の異なる写真フィルムをフィルムサイズに応じた一画像コマ分送る搬送手段と、
を画像露光工程に含み、
前記案内搬送手段が前記写真フィルムの幅方向の中心を一致させて写真フィルムを搬送するとき、前記マスク部を前記写真フィルムの搬送幅方向に沿って前記案内搬送手段に対して移動して所定のマスクを前記案内搬送手段による写真フィルムの搬送路上に配置すると共に、前記搬送路上に配置されたマスクに応じて前記光学手段の露光倍率の切り換えを行うことを特徴とする写真処理装置。
【請求項2】幅寸法の異なる露光済の写真フィルムを搬送しながら現像処理するフィルム現像工程と、光源から照射する光によって前記現像処理された写真フィルムに記録されている画像に応じて印画紙を露光する画像露光工程と、を備えた写真処理装置であって、
前記幅寸法の異なる写真フィルムのそれぞれに対して設けられ写真フィルムを所定の位置に配置することにより写真フィルムの画像コマを露光可能に覆うマスクが写真フィルムの搬送幅方向に沿って配置されたマスク部と、
前記フィルム現像工程で処理されて送り込まれる前記写真フィルムを前記マスク部の写真フィルムの幅寸法に応じたマスクの所定の位置に搬送する案内搬送手段と、
前記マスク部の所定の位置に配置された前記幅寸法の異なる写真フィルムの画像を前記印画紙へ同じ大きさで露光可能な光学手段と、
を画像露光工程に含み、
前記案内手段が前記写真フィルムの幅方向の一端を一致させて搬送させるとき、前記マスク部を前記写真フィルムの搬送幅方向に沿って前記案内搬送手段に対して移動して所定のマスクを前記案内搬送手段による写真フィルムの搬送路上に配置すると共に、前記搬送路上に配置されたマスクに応じて前記光学手段の露光倍率及び光軸の切り換えを行うことを特徴とする写真処理装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、露光済の写真感光材料を現像処理する工程と、現像処理の終了した写真感光材料に記録されている画像を印画紙等の感光材料へ露光するための工程とを備えた写真処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
写真感光材料(以下「ネガフィルム」と言う)に撮影されて記録された画像は、ネガフィルムを現像液等の処理液に浸漬されて処理されることにより顕像化される。このネガフィルム上で顕像化された画像は、露光装置によって印画紙に焼付けられる。この画像が焼付けられた印画紙を現像処理することにより、写真プリントとなる。このような撮影済のネガフィルムの現像処理から写真プリントを仕上げるまでの処理を1台で行う写真処理装置がある。
【0003】
一般に用いられているネガフィルムは幅寸法が35mmのサイズであり、このネガフィルムを処理する写真処理装置では、35mm幅のネガフィルムを搬送して処理するようにしている。また、写真処理装置内の露光装置では、この35mm幅のネガフィルムに合わせて搬送路及び露光用の光学系が設定されており、ネガフィルムに記録されている画像コマの中心位置と光学系の光軸を一致させ、画像コマの周囲を画像コマの大きさに合わせたマスクによって覆って画像露光を行うようになっている。また、このような露光用の光学系では、必要に応じて露光倍率の変更が可能となっているものがある。
【0004】
ところで、ネガフィルムには、110と呼ばれる狭幅なものなど、一般的な35mm幅のネガフィルムと幅寸法が異なるものがある。このような幅寸法の異なるネガフィルムは、画像コマの中心が幅方向の中心線上にあるが、画像コマの大きさが異なっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、写真処理装置においては、特に露光装置においてネガフィルムを正確に搬送して各画像コマを所定の位置に配置する必要があるため、一般的な35mm幅のネガフィルムに合わせて搬送路や露光用光学系が設定されている。このため、画像コマの大きさの異なるネガフィルム、すなわち、幅寸法の異なるネガフィルムの現像から印画紙への露光及び露光した印画紙の現像処理までを、1台の写真処理装置で行うことは実質的に困難となっている。
【0006】
本発明は上記事実を考慮してなされたものであり、異なる幅寸法の写真フィルムを同じ大きさで印画紙等へ露光可能な画像露光工程を備えた写真処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る写真処理装置は、幅寸法の異なる露光済の写真フィルムを搬送しながら現像処理するフィルム現像工程と、光源から照射する光によって前記現像処理された写真フィルムに記録されている画像に応じて印画紙を露光する画像露光工程と、を備えた写真処理装置であって、前記幅寸法の異なる写真フィルムのそれぞれに対して設けられ写真フィルムを所定の位置に配置することにより写真フィルムの画像コマを露光可能に覆うマスクが写真フィルムの搬送幅方向に沿って配置されたマスク部と、前記フィルム現像工程で処理されて送り込まれる前記写真フィルムを前記マスク部の写真フィルムの幅寸法に応じたマスクの所定の位置に搬送する案内搬送手段と、前記マスク部の所定の位置に配置された前記幅寸法の異なる写真フィルムの画像を前記印画紙へ同じ大きさで露光可能な光学手段と、露光後に前記幅寸法の異なる写真フィルムをフィルムサイズに応じた一画像コマ分送る搬送手段と、を画像露光工程に含むことを特徴とする。
【0008】
また、前記案内搬送手段が前記写真フィルムの幅方向の中心を一致させて写真フィルムを搬送するとき、前記マスク部を前記写真フィルムの搬送幅方向に沿って前記案内搬送手段に対して移動して所定のマスクを前記案内搬送手段による写真フィルムの搬送路上に配置すると共に、前記搬送路上に配置されたマスクに応じて前記光学手段の露光倍率の切り換えを行うことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る写真処理装置は、幅寸法の異なる露光済の写真フィルムを搬送しながら現像処理するフィルム現像工程と、光源から照射する光によって前記現像処理された写真フィルムに記録されている画像に応じて印画紙を露光する画像露光工程と、を備えた写真処理装置であって、前記幅寸法の異なる写真フィルムのそれぞれに対して設けられ写真フィルムを所定の位置に配置することにより写真フィルムの画像コマを露光可能に覆うマスクが写真フィルムの搬送幅方向に沿って配置されたマスク部と、前記フィルム現像工程で処理されて送り込まれる前記写真フィルムを前記マスク部の写真フィルムの幅寸法に応じたマスクの所定の位置に搬送する案内搬送手段と、前記マスク部の所定の位置に配置された前記幅寸法の異なる写真フィルムの画像を前記印画紙へ同じ大きさで露光可能な光学手段と、を画像露光工程に含み、前記案内手段が前記写真フィルムの幅方向の一端を一致させて搬送させるとき、前記マスク部を前記写真フィルムの搬送幅方向に沿って前記案内搬送手段に対して移動して所定のマスクを前記案内搬送手段による写真フィルムの搬送路上に配置すると共に、前記搬送路上に配置されたマスクに応じて前記光学手段の露光倍率及び光軸の切り換えを行うことを特徴とする
【0010】
【作用】
本発明の請求項1に記載の写真処理装置は、異なる幅寸法の写真フィルムに記録された画像を印画紙へ露光するときに、写真フィルムを保持するフィルムキャリアに設けているマスク部に処理する写真フィルムの幅寸法(画像コマのサイズ)に応じたマスクを設けている。また、案内搬送手段は、異なる幅寸法の写真フィルムをそれぞれ幅寸法に応じた所定のマスクへ搬送し、光学手段は、いずれのマスクに配置された異なる大きさの画像を印画紙に同じ大きさで露光することができる。
【0011】
これによって、フィルム現像工程で処理された異なる幅寸法の写真フィルムに記録されている画像を、画像の大きさに拘らず同じ大きさで印画紙に焼き付けることができる。
【0012】
また、案内搬送手段が異なる幅寸法の写真フィルムを幅方向の中心位置である画像コマの中心位置を一致させて搬送する。この案内搬送手段による写真フィルムの搬送路上に所定のマスクを移動させて配置する。これと共に光学手段の露光倍率を変更することにより、幅寸法が異なり画像コマの大きさが異なる写真フィルムのそれぞれの画像を同じ大きさで印画紙へ焼付けることができる。
【0013】
請求項2に記載の写真処理装置では、案内搬送手段が写真フィルムの幅方向の一端を一致させて搬送する。すなわち、幅寸法の異なる写真フィルムをエッジ(幅方向の一端)を基準として搬送する案内搬送手段を設けている。この案内搬送手段による写真フィルムの搬送路上にマスク部を移動させて写真フィルムの幅寸法に応じたマスクを配置するときには、写真フィルムの幅寸法に応じて画像コマの中心位置がずれるため、光学手段の倍率変更と共に、画像コマの中心位置のずれに合わせて光学手段の光軸をずらす。これによって、同じ大きさの画像を印画紙へ焼付けることができる。
【0014】
このように、画像露光工程で、幅寸法の異なる写真フィルムの画像露光を行うときには、案内搬送手段の切り換えないしマスクの切り換えを行うと共に、それに合わせて光学手段による露光倍率の切り換えと共に光路又は光軸の切り換えを行う。これにより、幅寸法の異なる写真フィルムの画像を容易に同じ大きさで印画紙へ焼付けることができ、1台の写真処理装置によって異なる幅寸法の写真フィルムの処理が可能となる。
【0015】
【実施例】
〔実施例1〕
図1には、本発明の一実施例として適用した写真処理装置10の概略構成の一部を示している。この写真処理装置10は、露光済の写真フィルム(以下「ネガフィルム12」と言う)を処理液によって現像処理するフィルム現像部14、フィルム現像部14で処理したネガフィルム12に記録されている画像を図示しない印画紙へ焼き付ける画像露光部16及び、図示は省略するが画像露光部16で画像が焼付けられた印画紙を現像処理する印画紙現像部によって構成され、これらを図示しないケーシングに一体で収容している。
【0016】
フィルム現像部14には、現像液を貯留した現像槽20、漂白液を貯留した漂白槽22、それぞれに定着液を貯留した第1定着槽24と第2定着槽26、水洗水を貯留した水洗槽28及び安定浴液を貯留している第1安定浴槽30、第2安定浴槽32がネガフィルム12の搬送方向に沿って連続して設けられている。また、第2安定浴槽32のネガフィルム12搬送方向の下流側には、乾燥室34が設けられ、乾燥室34と画像露光部16との間にリザーバ部36が配置されている。
【0017】
この写真処理装置10では、フィルム現像部14へネガフィルム12が送り込まれると、図示しないローラ対によってこのネガフィルム12を引き入れて処理を開始する。この写真処理装置10のフィルム現像部14では、ネガフィルム12として幅寸法が35mmの一般的なネガフィルム12Aに加えて、ネガフィルム12Aより幅が狭いネガフィルム12B(例えば16mm幅の110フィルム)の処理も可能となっている。
【0018】
なお、ネガフィルム12A、12B(以下総称するときには「ネガフィルム12」と言う)は、例えばパトローネ44に収容されているものを、パトローネ44から引出して、現像槽20の上流側に設けたリザーバ部38に一端貯留し、パトローネ44から図示しないカッタによってパトローネ44内から引き出したネガフィルム12の後端を切離し、この切り離したネガフィルム12の後端から現像槽20内へ送り込むようにしてもよく、また、パトローネ44から引き出したネガフィルム12の先端から現像槽20内へ送り込むようにしてもよい。
【0019】
フィルム現像部14では、ネガフィルム12を図示しない多数のローラによって搬送しながら現像液、漂白液、定着液、水洗水及び安定浴液に順次浸漬して処理した後、乾燥室34内で、図示しないファン、ヒータ等によって構成した乾燥風発生手段によって発生させた乾燥風をネガフィルム12の表面に吹き付けて乾燥処理するようになっている。なお、ネガフィルム12A、12Bは、それぞれ画像コマの大きさが異なるが、幅方向の中心と画像コマの中心とが一致するように画像コマが形成されており、フィルム現像部14では、ネガフィルム12A、12Bの幅方向の中心位置が一致するように搬送するようにしてもよく、幅方向の一端が一致するように搬送してもよい。
【0020】
また、図2に示されるように、第2安定浴槽32と乾燥室34の間には、複数のスクイズローラ対52(本実施例では一例として3対)を備えたスクイズ部53が設けられており、第2安定浴液槽32から送り出されたネガフィルム12の表面に付着している水分をスクイズして乾燥室34へ送り込むようになっている。
【0021】
このスクイズローラ対52を構成するローラの中には、少なくとも一つの吸水性ローラ52Aを設けている。この吸水性ローラ52Aを設ける位置は、いずれでも良いが、最下流側(乾燥室34側)でネガフィルム12の乳剤層側の面に接触する位置がより好ましい。このスクイズローラ対52の中の吸水性ローラ52Aは、ネガフィルム12の幅方向の端部に形成されたパーフォレーション12Cに表面張力等によって水膜を形成するなどしてスクイズされずに残った水分を吸収し、ネガフィルム12から除去する役目を有している。
【0022】
乾燥処理の終了したネガフィルム12は、乾燥室34から送り出され、乾燥室34と画像露光部16との間に設けられたリザーバ部36を経て、画像露光部16へ送り込まれるようになっている。
【0023】
一方、図3に示されるように画像露光部16には、複数の搬送ローラ対54(図3では一部のみ図示)が設けられており、リザーバ部36から送り込まれたネガフィルム12を挟持して、所定のタイミングで画像露光部16内へ引き入れて搬送するようになっている。また、画像露光部16には、ネガフィルム12を所定の露光位置に配置して保持するネガキャリア56、ネガキャリア56へ向けて露光用の光を照射する光源部58、光源部58から照射されてネガキャリア56に配置されたネガフィルム12を透過した光を印画紙18へ結像させる露光用光学系60が配置されている。なお、印画紙18は、図示しないマガジンにロール状に巻き取られて収容されているのを必要な長さだけ引出して、搬送ローラ対62、64によって所定の焼付け位置に挟持して保持されている。また、画像が露光された印画紙18は、図示しない印画紙現像部へ送られて、現像処理が施され、写真プリントとして仕上げられる。
【0024】
図4に示されるように、ネガキャリア56には、中央部にネガマスク66が配置されている。このネガマスク66には、ネガフィルム12Aに対応する開口68が上下に形成された第1マスク70と、ネガフィルム12Bに対応する開口72が上下に形成された第2マスク74が一体で設けられており、ネガフィルム12の搬送方向と直交する方向に摺動させて、第1マスク70又は第2マスク74のいずれかをネガフィルム12の搬送路上に配置することができるようになっている。
【0025】
また、ネガキャリア56には、ネガマスク66を挟むように両側にネガ搬送路76が形成されている。このネガ搬送路76には、ネガフィルム12Aの幅方向の両端部を搬送方向に沿って案内する第1ガイド部78と、第1ガイド部78の内方でネガフィルム12Bの幅方向の両端部を搬送方向に沿って案内する第2ガイド部80とが設けられている。また、第2ガイド部80には、ネガフィルム12の搬送方向に沿って傾斜し、ネガフィルム12Aの幅方向の両端部を第2ガイド部80の間から退避させるガイド斜面82が形成されている。
【0026】
また、ネガマスク66の第1マスク70には、第1マスク70をネガキャリア56のネガ搬送路76の間に配置したときに、第2ガイド部80から突出する第1ガイド部78の間に露出するようにスリット状のネガ挿通口84が形成されている。また、ネガマスク66の第2マスク74には、ネガキャリア56の第2ガイド部80の間で露出可能なスリット状のネガ挿通口86が形成されている。
【0027】
このため、ネガマスク66の第1マスク70をネガキャリア56のネガ搬送路76の間に配置した状態で、ネガフィルム12Aが送り込まれると、このネガフィルム12Aは、幅方向の両端部がガイド斜面82に沿って移動し、第1ガイド部78の間から第1マスク70のネガ挿通口84へ案内されて挿入される。これによって、ネガフィルム12Aの画像コマを開口68の間に配置して位置決め可能となる。また、ネガマスク66の第2マスク74をネガ搬送路76の間へ移動させた状態で、幅の狭いネガフィルム12Bが送り込まれると、このネガフィルム12Bが第2ガイド部80の間からネガ挿通口86へ送り込まれ、開口72の間にネガフィルム12Bに形成されている画像コマを位置決め可能となる。
【0028】
一方、図3に示されるように、画像露光部16に配置された光源部58には、光源88とフィルタ駆動機構90が設けられており、光源88から発した光がフィルタ駆動機構90のY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色フィルタによって補正されて、ネガキャリア56のネガマスク66に配置したネガフィルム12に照射されるようになっている。
【0029】
また、露光用光学系60には、シャッタ92、結像レンズ94等が設けられており、ネガキャリア56の所定の位置に配置したネガフィルム12を透過した光を搬送ローラ対62、64の間に引き出されて保持されている印画紙18上にマスク96の開口を通過させて結像させて、ネガフィルム12に記録された画像を焼付けるようになっている。
【0030】
ところで、この露光用光学系60では、ネガキャリア56のネガ搬送路76の間に配置するネガマスク66の第1マスク70と第2マスク74の切換が行われると、結像レンズ94を移動させて、印画紙18に結像する画像の倍率を変更するようになっている。このとき、光源部58から印画紙18までの光軸がずれないように結像レンズ94が移動され、ネガフィルム12A、12Bのそれぞれの異なる大きさの画像コマに記録されている画像を印画紙18に同じ大きさで結像される。
【0031】
なお、シャッタ92とネガキャリア56の間には、図示しないハーフミラー、画像濃度センサ等が設けられており、シャッタ92を開いて画像の露光を行うのに先立ってネガフィルム12の画像コマの画像濃度を測定して、露光時間、フィルタ駆動機構90及び光源88の輝度等の調整を行うようになっている。
【0032】
次に本実施例の作用を説明する。
写真処理装置10では、ネガフィルム12Aの処理に先立って、画像露光部16のネガキャリア56のネガ搬送路76の間にネガマスク66の第1マスク70を移動させて配置すると共に、所定の露光倍率となるように露光用光学系60の結像レンズ94を移動させる。この後、ネガフィルム12Aをフィルム現像部14へ送り込んで、処理を開始する。
【0033】
フィルム現像部14では、送り込まれたネガフィルム12Aを挟持して引き入れて現像槽20へ送り込み、ネガフィルム12Aを図示しない多数のローラによって現像槽20から漂白槽22、第1及び第2定着槽24、26内を搬送して、現像液、漂白液、定着液に浸漬して現像、漂白、定着処理を行い、水洗槽28、第1及び第2安定浴槽30、32で水洗水、安定浴液に浸漬して水洗、安定浴処理を行う。
【0034】
さらに、フィルム現像部14では安定浴処理の終了したネガフィルム12Aをスクイズ部53のスクイズローラ対52によって挟持搬送して、表面に付着している水分を除去しながら乾燥室34へ送り込み、乾燥室42内で乾燥風を吹き付けて乾燥処理を行う。このとき、スクイズローラ対52に吸水性ローラ52Aを用いているため、スクイズローラ対52によってスクイズされずにネガフィルム12Aのパーフォレーション12Cに水膜等を形成して残っている水分を吸収することができる。
【0035】
このようなネガフィルム12Aのパーフォレーション12Cに水膜を形成して残っている水分は、ネガフィルム12Aが乾燥室34内で乾燥処理するときに、パーフォレーション12Cの周囲の乾燥を遅らせたり、この水膜を除去するために、多量の乾燥風を必要として、乾燥風を発生させるためのヒータや乾燥ファンに大きな負荷をかけてしまう。
【0036】
これに対して、本実施例の写真処理装置10では、乾燥室34へ挿入されるネガフィルム12Aのパーフォレーション12Cに水膜として残っている水分を吸水性ローラ52Aによって吸い取っているため、パーフォレーション12Cの周囲の乾燥を遅らせたり、水膜を除去するために乾燥風発生手段に必要以上の大きな負荷を掛けることなく、ネガフィルム12Aの乾燥を行うことができる。
【0037】
また、吸水性ローラ52Aを最も乾燥室42側に設けることにより、ネガフィルム12Aの非処理時には、乾燥室42内の空気によって吸水性ローラ52Aからの水分の除去が可能となり、多量のネガフィルム12Aを処理しても、吸水性ローラ52Aの吸水性能を維持して効率的なネガフィルム12Aの乾燥処理を行うことができる。
【0038】
乾燥処理の終了したネガフィルム12Aは、リザーバ部36を経て画像露光部16へ送り込まれ、先端部が搬送ローラ対62に挟持されて、ネガキャリア56へ搬送される。このとき、例えば、リザーバ部36に画像露光部16でのネガフィルム12Aの搬送を開始してもフィルム現像部14内のネガフィルム12Aに影響を及ぼすことのない弛みが生じたタイミングでネガフィルム12Aの搬送を開始する。
【0039】
ネガキャリア56へ搬送されたネガフィルム12Aは、第1ガイド部78及びガイド斜面82に案内されて、ネガマスク66の第1マスク70に形成したネガ挿通口84へ送り込まれる。ネガキャリア56では、ネガ挿通口84へ送り込まれたネガフィルム12Aの画像コマが開口68の間となるようにしてネガフィルム12Aの搬送を停止してネガフィルム12Aを保持する。
【0040】
この後、画像露光部16では、光源部58の光源88からの光をネガフィルム12Aへ照射し、ネガフィルム12Aを透過して光を印画紙18に所定の大きさで結像させて画像露光する。露光後、ネガフィルム12Aは搬送ローラ対54によってそのフィルムサイズに応じた画像コマ分送られ、次の画像コマが第1マスク70の開口68の間に保持されて画像露光が行なわれる。
【0041】
一方、この写真処理装置10において、ネガフィルム12Aよりも幅寸法が狭いネガフィルム12Bの処理を行うときには、画像露光部16のネガキャリア56のネガマスク66を移動させてネガ搬送路76の間の所定の位置に第2マスク74を配置し、結像レンズ94を移動させて露光用光学系60の露光倍率をネガフィルム12Bに合わせる。
【0042】
フィルム現像部14では、前記したネガフィルム12Aと同様にネガフィルム12Bを搬送しながら処理液に浸漬して処理した後に乾燥処理して、リザーバ部36を経て画像露光部16へ送り込む。このとき、画像露光部16では、現像処理の終了したネガフィルム12Bがリザーバ部36内に所定の長さ溜まったタイミングで搬送ローラ対54によって引き入れ、ネガキャリア56へ送り込む。
【0043】
ネガキャリア56へ送り込まれたネガフィルム12Bは、第1ガイド部78の間にネガフィルム12Bの幅寸法に合わせて設けられた第2ガイド部80の間を通過して、第2マスク74のネガ挿通口86へ挿入され、開口72に画像コマが配置された位置で搬送が停止されて保持される。
【0044】
ここで、ネガフィルム12Bに記録されている画像に応じて印画紙18を露光するが、このとき、露光用光学系60は、ネガフィルム12Bの画像コマの大きさに合わせて露光倍率が変更されているため、印画紙18には、ネガフィルム12Aの画像を露光したときと同じ大きさで画像露光される。
【0045】
このように、ネガフィルム12の幅寸法に合わせて第1マスク70又は第2マスク74を所定の位置へ移動させて、ネガフィルム12の画像を印画紙18へ結像させる露光用光学系60の倍率を変更することにより、写真処理装置10により幅寸法の異なる複数のネガフィルム12の現像から露光処理及び画像露光された印画紙18の現像処理が可能となる。
【0046】
〔実施例2〕
次に図5及び図6を参照しながら、本発明の実施例2を説明する。なお、実施例2においては、基本的な構成は実施例1と同一であり、同一の部品には同一の番号を付与してその説明を省略する。
【0047】
図5に示されるように、画像露光部16に代えて設けた画像露光部16A内のネガキャリア100には、開口68が形成された第1マスク102と開口72が形成された第2マスク104を備えたネガマスク106が設けられている。図6に示されるように、このネガキャリア100の近傍には、複数の搬送ローラ108によってリザーバ部36から第1マスク102を通過するネガフィルム12Bのネガ搬送路110が構成され、複数の搬送ローラ112によって第2マスク104を通過するネガフィルム12Bのネガ搬送路114が構成されている。また、リザーバ部36を経てフィルム現像部14からネガフィルム12が送り込まれる搬送ローラ対54は、ネガ搬送路110上とネガ搬送路114上の間を移動可能となっている。
【0048】
通常、搬送ローラ対54は、ネガ搬送路110上に位置してリザーバ部36側から送り込まれるネガフィルム12の先端部を挟持する。ここで、ネガフィルム12Bが設定され、現像処理の終了したネガフィルム12Bが送り込まれると、搬送ローラ対54は、このネガフィルム12Bの先端を挟持し、ネガ搬送路114側へ平行移動した後に、ネガフィルム12Bの搬送を開始してネガフィルム12Bを第2マスク104へ送り込む。
【0049】
図5に示されように、画像露光部16Aには、ネガキャリア100を挟んで光源部116と露光用光学系118が配置されている。光源部116は、内部に光源88及び反射ミラー122が設けられた光拡散筒120を備えている。この光拡散筒120には、第1マスク102、第2マスク104のそれぞれに向けて光源88からの光を射出する射出口120A、120Bが形成されており、反射ミラー122の突出(図5に実線で示す)により光源88からの光を第1マスク102へ向けて射出し、反射ミラー122の退避(図5で二点鎖線で示す)により第2マスク104へ向けて光を射出することができるようになっている。
【0050】
一方、露光用光学系118には、結像レンズ94、対で移動する反射ミラー124、126が設けられており、第1マスク102に配置したネガフィルム12Aの画像に応じて印画紙18を露光するときは、反射ミラー124を退避(図に実線で示す位置)させて、光拡散筒120の射出口120Aから照射されネガフィルム12Aを透過した光を結像レンズ94によって所定の倍率で印画紙18に結像させるようになっている。また、第2マスク104に配置したネガフィルム12Bの画像に応じて印画紙18を露光するときには、反射ミラー対124、126及び結像レンズ94が所定の位置に移動(図5で二点鎖線で示す)し、光拡散筒120の射出口120Bから照射されネガフィルム12Bを透過した光を反射ミラー126、124で結像レンズ94へ向けて反射させ、結像レンズ94によってネガフィルム12Aからの写真プリントと同じ大きさとなるように印画紙18へ結像させるようになっている。
【0051】
このように構成した画像露光装置16Aでは、ネガフィルム12Aの処理が設定されると、光拡散筒120内で反射ミラー122を突出させると共に、結像レンズ94を所定の位置に移動させ、反射ミラー124を退避させる。
【0052】
また、ネガフィルム12Bの処理が設定されると、画像露光部16Aでは、光拡散筒120内の反射ミラー122を退避させると共に、結像レンズ94、反射ミラー124、126を所定の位置へ移動させる。この状態で、搬送ローラ対54が、リザーバ部36を通過して現像処理の終了したネガフィルム12Bが画像露光部16A内に送り込まれと、搬送ローラ対54がネガフィルム12Aの先端部を挟持してネガ搬送路114上へ移動して、所定のタイミングで搬送を開始する。これによって、ネガフィルム12Bが、第2マスク104へ送り込まれ、ネガフィルム12Bに記録された画像の露光が行われる。
【0053】
ここで、搬送ローラ対54を移動させることにより、フィルム現像部14から画像露光部16Aの間でのネガフィルム12Bの搬送路がずれることになるが、リザーバ部36では、ネガフィルム12Bを弛ませているため、このリザーバ部36で搬送路のずれを吸収させることができ、無理にネガフィルム12Bが曲げられてたりして損傷してしまうことがない。なお、この搬送路のずれの吸収は画像露光部16A内で行うようにしてもよい。
【0054】
このように、処理するネガフィルム12の幅寸法に応じて画像露光部16Aでの搬送路を変更すると共に、光源部116、露光用光学系118を切り換えて光路及び露光倍率を変更することにより、ネガフィルム12の幅寸法の相違に拘らず同じ大きさの画像を印画紙18に露光することができる。
【0055】
〔実施例3〕
次に、図7及び図8を参照しながら、本発明の実施例3を説明する。なお、この実施例3においても、実施例2と同様に基本的な構成は実施例1と同じであり、実施例1又は実施例2と同一の部品には同一の符号を付与してその説明を省略している。
【0056】
図7及び図8に示されるように、画像露光部16(16A)に代えて設けた画像露光部16B内には、図示しないネガキャリア上に、ネガマスク106が配置されている。図8に示されるように、このネガマスク106は、ネガフィルム12の搬送方向と交差する方向に沿って移動して、第1マスク102又は第2マスク104を複数の搬送ローラ対54によって構成されるネガ搬送路128上の所定の位置に配置することができ、ネガ挿通口84又はネガ挿通口86にネガフィルム12A、12Bが挿入可能となっている。
【0057】
搬送ローラ対54のリザーバ部36側には、ガイドローラ130が配置され、リザーバ部36から送り込まれたネガフィルム12の先端部は、ガイドローラ130の上方を案内されて搬送ローラ対54に挟持されるようになっている。
【0058】
搬送ローラ対54とガイドローラ130との間には、固定ガイド132及び可動ガイド134がネガフィルム12の搬送幅方向に沿って対で配置されている。可動ガイド134は、コイルバネ136を介してベース板138に連結されており、コイルバネ136によって固定ガイド132に接近する方向へ付勢されている。
【0059】
このため、リザーバ部36から送り込まれたネガフィルム12は、幅寸法に拘らず幅方向の一端側が固定ガイド132に当接した状態で搬送される。すなわち、実施例3では、実施例1及び実施例2でネガフィルム12の幅方向の中心を基準として搬送しているのに対して、幅方向の一端側を基準として搬送して、それぞれのネガフィルム12A、12Bの画像コマを位置決めするようにしている。このため、ネガマスク106は、第1及び第2マスク102、104のネガ挿通口84、86の幅方向の一端側が固定ガイド132に沿った同じ位置となるように移動される。
【0060】
このとき、リザーバ部36では、例えば図8に示すネガフィルム12B(二点鎖線で示す)のように、搬送路がずれるときには、ガイドローラ130の周面をガイドローラ130の軸線方向に沿って移動しながら案内されると共に、搬送路のずれをリザーバ部36から固定ガイド132と可動ガイド134の間までで吸収することができるようになっている。
【0061】
図7には、実施例3に適用した露光用光学系140の概略を示しており、この露光用光学系140では、幅寸法の異なるネガフィルム12A、12Bをそれぞれ幅方向の一端を基準にして露光位置に配置するために、露光位置に配置されたネガフィルム12A、12Bの画像コマの中心位置(幅方向の中心)のずれに対して、画像コマの中心位置と、この画像コマに記録された画像が露光される印画紙の中心位置とを結ぶ線上に結像レンズ94の中心が位置するように、結像レンズ94を移動させるようになっている。
【0062】
すなわち、露光用光学系140は、ネガフィルム12Aの画像露光を行うときには、光軸142となるように結像レンズ94を配置し、ネガフィルム12Bの画像露光を行うときには、光軸142に対して所定の角度傾斜した光軸144となるように結像レンズ94を移動させる。このとき、ネガフィルム12Aとネガフィルム12Bの画像も同じ大きさとなるように露光倍率も変更するようにしている。
【0063】
このように構成された画像露光部16Bにおいても、幅寸法の異なるネガフィルム12A、12Bのいずれの画像であっても、印画紙18上に同じ大きさに露光することができる。
【0064】
すなわち、幅寸法の異なる複数のネガフィルム12の露光処理を行うときには、幅寸法に合わせて設けたマスクへネガフィルム12を搬送するようにすると共に、ネガフィルム12に記録された画像を印画紙18へ露光するための光学手段を切り換え、露光倍率と共に、必要に応じて光路、光軸を変更する。これによって、1台の写真処理装置10で、異なる幅寸法のネガフィルム12の処理を行うことができる。
【0065】
なお、実施例1乃至実施例3では、結像レンズ94の移動機構、ネガマスク56、106の移動機構、搬送ローラ対54の移動機構についての説明を省略したが、これらの移動機構は、ネガフィルム12の幅寸法によって画像コマの大きさ、倍率、基準となる位置に対する画像コマの位置がそれぞれ決まっているため、2種類のネガフィルム12A、12Bを処理するためには、機械的に2位置の間を移動させる一般的な機構を適用したものでよい。
【0066】
また、本実施例では、ネガフィルム12と印画紙18をそれぞれ所定の露光位置に保持して露光処理を行うように説明したが、これに限らず、ネガフィルム12と印画紙18を露光倍率に応じた相対速度で移動させてスリット露光を行うものであってもよく、また、ネガフィルム12に記録されている画像をCCD等の撮像手段によって読み込んで、読み込んだ画像に応じたレーザ光等を印画紙18へ照射して露光するデジタル露光を行うものなど種々の画像露光方法を適用することができる。
【0067】
なお、本実施例では、35mm幅と16mm幅の2種類のネガフィルム12A、12Bを処理するものとして説明したが、本発明を適用した写真処理装置は、2種類以上の異なる幅寸法の写真フィルムの処理に適用することが可能であり、処理するネガフィルムの幅寸法を限定するものではない。
【0068】
例えば、実開平4-109758号公報に示されるように、幅寸法が20〜30mmの写真フィルムの処理に適用が可能であるように設定することもできる。また、写真フィルムとしては、ネガ型であってもよくポジ型であってもよく、例えば、特許出願公表平4-502518号に記載される如き種々の情報が記録された写真フィルムの処理に適用してもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明の写真処理装置では、異なる幅寸法の写真フィルムのそれぞれをフィルム現像工程で現像処理した後、写真フィルムの幅寸法に応じて設けたマスクへ写真フィルムを案内搬送すると共に、光学手段を写真フィルムの幅寸法に応じて切り換えて画像露光を行う。これによって、単一の写真処理装置によって幅寸法の異なる複数種の写真フィルムの処理を行うことができる優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本実施例に適用した写真処理装置の要部概略構成図である。
【図2】
写真処理装置のスクイズ部の概略構成図である。
【図3】
実施例1に適用した露光用光学系の概略構成図である。
【図4】
実施例1に適用した画像露光部に設けたフィルムキャリアの要部斜視図である。
【図5】
実施例2に適用した露光用光学系の概略構成図である。
【図6】
実施例2に適用した画像露光部内のネガフィルムの搬送路の概略構成図である。
【図7】
実施例3に適用した露光用光学系の概略構成図である。
【図8】
実施例3に適用した画像露光部内のネガフィルムの搬送路の概略構成図である。
【符号の説明】
10 写真処理装置
12、12A、12B ネガフィルム(写真フィルム)
14 フィルム現像部
16、16A、16B 画像露光部
18 印画紙
56 ネガキャリア
58、116 光源部(光学手段)
60、118、140 露光用光学系(光学手段)
66 ネガマスク
70、102 第1マスク
74、104 第2マスク
120 光拡散筒(光学手段)
124、126 反射ミラー(光学手段)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-06-22 
出願番号 特願平6-159999
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (G03B)
最終処分 取消  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 井口 猶二
柏崎 正男
登録日 2003-02-28 
登録番号 特許第3404131号(P3404131)
権利者 富士写真フイルム株式会社
発明の名称 写真処理装置  
代理人 加藤 和詳  
代理人 加藤 和詳  
代理人 福田 浩志  
代理人 中島 淳  
代理人 西元 勝一  
代理人 福田 浩志  
代理人 西元 勝一  
代理人 中島 淳  
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