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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C09J 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 C09J 審判 全部申し立て 特29条の2 C09J |
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管理番号 | 1125786 |
異議申立番号 | 異議2003-71010 |
総通号数 | 72 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1995-04-18 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-04-17 |
確定日 | 2005-08-22 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3337777号「接着性樹脂組成物」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3337777号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3337777号の請求項1ないし2に係る発明は、平成5年10月5日に出願され、平成14年8月9日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、杉崎筆雄より、請求項1ないし2に係る特許に対して特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年7月30日に特許異議意見書とともに訂正請求書が提出されたものである。 2.訂正の適否についての判断 2.1 訂正の内容 (1)訂正事項a 特許請求の範囲(請求項1)において「(A)ポリオレフィン…を含み、…」とあるのを、「(A)ポリオレフィン…を含み(ただし、下記(B)エチレン-α-オレフィン共重合体を除く)、…」に訂正する。 (2)訂正事項b 特許請求の範囲(請求項1)において「…残存する金属含有量…」とあるのを、「…残存する遷移金属含有量…」に訂正する。 (3)訂正事項c 特許明細書(段落0004)において「前記課題は、(A)ポリオレフィン…を含み、…」とあるのを「前記課題は、(A)ポリオレフィン…を含み(ただし、下記(B)エチレン-α-オレフィン共重合体を除く)、…」に、「…金属含有量…」とあるのを「…遷移金属含有量…」に訂正する。 (4)訂正事項d 特許明細書(段落0011及び同0012)において「…金属含有量…」とあるのを、「…遷移金属含有量…」に訂正する。 2.2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 (1)訂正事項a 訂正事項aは、特許明細書における「ここで未変性のポリオレフィンとしては、例えばエチレン、…等のαオレフィンの…うち2種以上の共重合体…をいう。」(段落0006)との記載、及び、「…ポリオレフィンとして未変性ポリオレフィンと変性ポリオレフィンとを混合した組成物からなる、一部が変性されたポリオレフィンを用いることが組成物中の変性モノマーの濃度を適当に調整できるため、好ましい。」(段落0009)との記載からすると、請求項1に記載の(B)成分は、同(A)成分中の未変性ポリオレフィンの構成要件を満たすものと認められ、(A)成分中の未変性ポリオレフィンと(B)成分とを区別することができない点(平成16年5月26日付け取消理由通知書における理由3))を回避するものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものである。 そして、この訂正は、(A)成分に関して、訂正前の請求項1に記載の表現を残したまま、特許明細書に記載した(B)成分を除外するものであって、除外後の(A)成分は特許明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 (2)訂正事項b 訂正事項bは、特許明細書において、実施例に「残存の遷移金属元素量」が記載されており、「残存する金属含有量」として示されていない点(平成16年5月26日付け取消理由通知書における理由2))に対応するものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものである。 そして、金属が「遷移金属」であることは、特許明細書(段落0018〜0025)に記載されているので、この訂正は特許明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 (3)訂正事項c,d 訂正事項c,dとも、前記訂正事項a,bに対応して、特許明細書の記載の整合性をとるためのものであって、いずれも、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものであり、かつ、特許明細書に記載した事項の範囲内の訂正であって、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 2.3 むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項で準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについての判断 3.1 申立ての理由の概要 申立人は、甲1号証ないし甲8号証を提出して、本件の請求項1ないし2に係る特許を取り消すべきであるとして、次の主張をしている。 (1)本件特許の請求項1ないし2に係る発明は、甲1号証ないし甲6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 (2)本件特許の請求項1ないし2に係る発明は、甲8号証をも勘案して、甲7号証に係る出願の願書に最初に添付した明細書に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 (3)本件特許明細書は、ソックスレー抽出の方法や金属含有量の測定方法について記載されておらず、また、(A)成分中の未変性ポリオレフィンと(B)成分とを区別することができない点で記載不備があるから、特許法第36条の規定により、特許を受けることができない。 3.2 訂正後の本件特許発明 訂正後の本件特許発明は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(以下、各々「本件特許発明1」ないし「本件特許発明2」という。) (1)本件特許発明1 「(A)ポリオレフィンの少なくとも一部が不飽和カルボン酸誘導体で変性されたものを含み(ただし、下記(B)エチレン-α-オレフィン共重合体を除く)、不飽和カルボン酸含有量が0.01〜5重量%であるポリオレフィン99ないし60重量部に、(B)イソブチルアルコールの沸点における6時間ソックスレー抽出量が3重量%以下であり、かつ残存する遷移金属含有量が5重量ppm以下であるエチレン-α-オレフィン共重合体を1ないし40重量部を配合したことを特徴とする接着性樹脂組成物。」 (2)本件特許発明2 「(B)成分のエチレン-α-オレフィン共重合体がメタロセン化合物を使用する触媒系を用いて得られるものであることを特徴とする請求項1記載の接着性樹脂組成物。」 3.3 甲各号証記載の発明 申立人が引用した甲1ないし8号証には、各々、次の発明が記載されている。 (1)甲1号証(特開平2-150481号公報) 「1.ラジカル重合性不飽和化合物をグラフト重合させたグラフト化ポリプロピレンと未変性ポリプロピレン(配合用ポリプロピレン)とからなる接着性ポリプロピレン組成物において、(1)接着性ポリプロピレン組成物中のラジカル重合性不飽和化合物の含有量が0.01〜2重量であること、(2)配合用ポリプロピレンが、エチレン含有率20〜90重量%であるプロピレン-エチレンランダム共重合部を10〜50重量%含む結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体であることを特徴とする、…接着剤用接着性ポリプロピレン組成物。」(特許請求の範囲) (2)甲2号証(特開平5-156096号公報) 「【請求項1】(A)実質的に線状の低密度ポリエチレン、(B)高圧法低密度ポリエチレン、(C)不飽和カルボン酸もしくはその誘導体で変性されたエチレン系重合体、ここでこのエチレン系重合体はエチレン単独重合体であるか又はエチレンとそれ以外のα-オレフィンの合計モル数に基づいてエチレン以外の該α-オレフィンが10モル%以下を占めるエチレンとそれ以外のα-オレフィンとのランダム共重合体である、および(D)粘着付与剤を含有して成り、…(A)成分が30〜80重量%、(B)成分が1〜50重量%、そして(C)成分および(D)成分はそれぞれ独立に1〜30重量%を占める、ことを特徴とする接着性組成物。 【請求項2】…(F)エチレンとα-オレフィンのランダム共重合体をさらに含有し、そしてこの(F)成分が上記(A)成分〜(D)成分および(F)成分の合計重量に基づいて30重量%以下を占める請求項1に記載の接着性組成物。」(特許請求の範囲) (3)甲3号証(特開昭64-45406号公報) 「(1)下記の成分(A)、成分(B)および成分(C)の組合せからなる触媒にエチレンまたはエチレンと少なくとも一種のα-オレフィンとを接触させることを特徴とする、エチレンの重合法。成分(A)IVB族、VB族およびVIB族の遷移金属のメタロセン化合物、成分(B)アルモキサン、成分(C)Si-O-C結合を有するケイ素化合物。」(特許請求の範囲) 「…本発明の方法で得たエチレン重合体は、低分子量又は低結晶性のワツクス分が少なくなつている為に、フイルムに成形した場合、耐ブロツキング性、透明性等が向上する。」(2頁右下欄5〜8行) (4)甲4号証(特開昭64-6003号公報) 「(1)[A]マグネシウム化合物(a)および共役π電子を有する基を配位子としたジルコニウム化合物(b)から形成され、マグネシウム、ジルコニウムおよびハロゲンを必須成分として含有する高活性ジルコニウム固体触媒成分、および[B]アルミノオキサン触媒成分、から形成される触媒の存在下に、オレフインを重合させることを特徴とするオレフインの重合方法。」(特許請求の範囲) 「…例えばメチルアルミノオキサンとチタンまたはジルコニウムのビス(シクロペンタジエニル)化合物とを混合して、オレフィンの重合を行うと、1gの遷移金属当り且つ1時間当り、25百万g以上のポリエチレンが得られると記載されている。」(2頁右上欄下から2行〜左下欄4行) (5)甲5号証(日本接着協会誌、13巻1号(1977年)15〜21頁) 「(2)WBL WBLは申すまでもなく、界面に生じた弱い境界層であり、この存在のために接着強度が著るしく低下するか、接着そのものが阻害されるものである。WBLの原因はいろいろある。しかし被着体ポリマーの側からすれば、(i)ポリマー中に含まれているオリゴマーとか低分子物質が、その小さな表面張力のゆえに、ポリマー表面に滲出してきたもの…がある。この原因から考えると、難接着のためのポリマーの要件として、つぎのものを挙げることができよう。(a)ポリマー中オリゴマーを含むもの、とくに、低分子部分が豊富な分子量分布をもつもの。」 (20頁左欄2〜18行) (6)甲6号証(欧州特許出願公開552911号明細書) 「2.芯層が第一のαオレフィンコポリマーとして、ゴム部分を有する無水物改質エチレン-αオレフィンコポリマーを含有し、この第一のポリマーは第二のエチレン-αオレフィンコポリマーとブレンドされていることを特徴とする…フィルム。 4.第二のαオレフィンコポリマーがメタロセン触媒エチレン-αオレフィンコポリマーであることを特徴とする…フィルム。 5.第一のαオレフィンコポリマーのゴム部分がエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)型ゴムを含み、無水物は無水マレイン酸であることを特徴とする…フィルム。」(特許請求の範囲) (7)甲7号証(特開平6-206947号公報) 「【請求項2】[A](a)有機アルミニウムオキシ化合物と、(b)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物とを、含むオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα-オレフィンとを共重合させることにより得られる共重合体であって、…グラフト変性エチレン・α-オレフィン共重合体と、[B]ポリオレフィンとからなり、上記[A]グラフト変性エチレン・α-オレフィン共重合体と、[B]ポリオレフィンとの重量比([A]:[B])が1:99〜99:1の範囲内にあることを特徴とするエチレン系共重合体組成物。」(特許請求の範囲) (8)甲8号証(JSR HANDBOOK(1993年9月)117頁) エチレン-プロピレン共重合体の粘度式、及び、[η]とMwとの関係図が記載されている。 3.4 対比・判断 (1)特許法第29条第2項について 甲1号証、甲2号証及び甲6号証には、いずれも、(a)変性ポリオレフィンを含むポリオレフィンと、(b)エチレン-α-オレフィン共重合体とを含む組成物が記載されており、(a)は本件特許発明1における(A)成分に、また(b)は同じく(B)成分に相当するものと認められる。しかし、甲1号証、甲2号証及び甲6号証には、(B)成分に相当するものとして、低分子量成分や遷移金属成分が特定量以下であるエチレン-α-オレフィン共重合体を用いることは記載されていない。 また、甲3号証にはメタロセン触媒を用いるとエチレン重合体の低分子量又は低結晶性のワックス分が少なくなることが記載され、また、甲4号証には特定のメタロセン触媒を用いると遷移金属当たり大量のポリエチレンが得られることが記載されてはいるが、いずれも、メタロセン触媒の使用による低分子量成分ないし金属成分の低減という、一般的傾向の説示に止まるものであり、本件特許発明1のような剥離強度との関係における許容値を示唆するものとは言えない。 さらに、甲5号証には、難接着ポリマーの要件として低分子部分が豊富な分子量分布をもつものが望ましい旨記載されるにすぎず、本件特許発明1のような接着性組成物を評価する観点から、剥離強度に対する低分子量成分の許容値について示唆するものではない。 なお、甲3号証ないし甲4号証に徴して、メタロセン触媒を用いて合成したエチレン-α-オレフィン共重合体が、低分子量成分や金属成分の含有量が少ないものであることが言いうるとしても、そのことと、接着性組成物の評価指標である剥離強度との間における相関関係は何らも記載されていないから、依然として、剥離強度との関係における許容値を示唆するものとは言えない。 そうすると、甲1号証ないし甲6号証を総合勘案しても、本件特許発明1における(B)成分のエチレン-α-オレフィン共重合体として「イソブチルアルコールの沸点における6時間ソックスレー抽出量が3重量%以下であり、かつ残存する遷移金属含有量が5重量ppm以下」であることが記載ないし示唆されているとすることはできない。そして、本件特許発明1は、上記構成を採用することにより、剥離強度が向上し、接着性の優れた接着性樹脂組成物を提供するという顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件特許発明1が上記甲1号証ないし甲6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、本件特許発明2は、本件特許発明1の(B)成分を更に技術的に特定したものであるから、前記と同様に、甲1号証ないし甲6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)特許法第29条の2について 甲7号証に係る出願の願書に最初に添付した明細書(以下「先願明細書」という。)には、グラフト変性エチレン-α-オレフィン共重合体を含む組成物が記載され、これは本件特許発明1の(A)成分に相当するものと認められるが、本件特許発明1の(B)成分である「イソブチルアルコールの沸点における6時間ソックスレー抽出量が3重量%以下であり、かつ残存する遷移金属含有量が5重量ppm以下である」エチレン-α-オレフィン共重合体は何らも記載されていない。 また、メタロセン触媒を用いて合成したエチレン-α-オレフィン共重合体が、低分子量成分や金属成分の含有量が少ないものであるということが言いうるとしても、そのことと、接着性組成物の評価指標である剥離強度との間における相関関係については記載されておらず、本件特許発明1のような剥離強度との関係における許容値が示されているものとは言えない。 さらに、本件特許発明1の構成である(A)成分の不飽和カルボン酸含有量についても、先願明細書には記載されていないところ、申立人は、甲8号証に記載されている[η]とMwの関係を援用して、先願明細書に記載された発明における不飽和カルボン酸含有量の推定を説明している。しかし、係る事項はあくまでも推定事項であって、先願明細書に記載された発明の一部を構成するものとして先願明細書に記載されていたものとも、また記載されているに等しいものともすることはできないので、申立人の説明は採用の限りでない。 したがって、本件特許発明1は先願明細書に記載された発明と同一であるとはいえない。 また、本件特許発明2は、本件特許発明1の(B)成分を更に技術的に特定したものであるから、前記と同様に、先願明細書に記載された発明と同一であるとはいえない。 (3)特許法第36条について ソックスレー抽出の方法ないし残存する金属含有量の測定方法について、明細書に厳密な記載がないとしても、訂正後の本件特許明細書全体の記載を考慮すれば、当業者は本件出願時の技術常識に基づいて容易にその実施をすることができるものと認められる。 また、訂正後の本件特許明細書には、請求項1に記載の(A)成分において(B)成分が除外され、また、請求項1に記載の金属成分も「遷移金属」に特定されたことから、明細書の記載不備は解消され、本件特許発明1ないし2が不明りょうであるとは言えない。 したがって、訂正後の本件特許明細書には、申立人主張の記載不備があるものとはいえない。 4.むすび 以上のとおりであるから、申立人が主張する特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては、本件特許発明1ないし2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許発明1ないし2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 接着性樹脂組成物 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】(A)ポリオレフィンの少なくとも一部が不飽和カルボン酸誘導体で変性されたものを含み(ただし、下記(B)エチレン-α-オレフィン共重合体を除く)、不飽和カルボン酸含有量が0.01〜5重量%であるポリオレフィン99ないし60重量部に、 (B)イソブチルアルコールの沸点における6時間ソックスレー抽出量が3重量%以下であり、かつ残存する遷移金属含有量が5重量ppm以下であるエチレン-α-オレフィン共重合体を1ないし40重量部を配合したことを特徴とする接着性樹脂組成物。 【請求項2】(B)成分のエチレン-α-オレフィン共重合体がメタロセン化合物を使用する触媒系を用いて得られるものであることを特徴とする請求項1記載の接着性樹脂組成物。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は各種の基材に対して高い接着性が得られる接着性樹脂組成物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 ポリオレフィンは、そのままでは、ナイロン、EVOH、ポリエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アルミニウム箔、金属、コンクリート等と接着しないため、ポリオレフィンを改質することが行われている。また、ポリオレフィンを不飽和カルボン酸もしくはその誘導体で変性するとナイロン、EVOH、ポリエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アルミ箔、金属、コンクリート等への接着性が得られることも知られている。 この方法は高い接着性が得られるため、好ましい方法ではあるが、ナイロン、EVOH、ポリエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アルミニウム箔、金属、コンクリート等の種類によっては接着性が低い等の欠点があった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 本発明の課題は、従来技術の問題点を改善し、より接着性の優れた接着性樹脂組成物を提供することである。 【0004】 【課題を解決するための手段】 前記課題は、(A)ポリオレフィンの少なくとも一部が不飽和カルボン酸誘導体で変性されたものを含み(ただし、下記(B)エチレン-α-オレフィン共重合体を除く)、不飽和カルボン酸含有量が0.01〜5重量%であるポリオレフィン99ないし60重量部に、(B)イソブチルアルコールの沸点における6時間ソックスレー抽出量が3重量%以下であり、かつ残存する遷移金属含有量が5重量ppm以下であるエチレン-α-オレフィン共重合体を1ないし40重量部を配合したことを特徴とする接着性樹脂組成物によって解決することができる。 【0005】 以下、本発明を詳細に説明する。本発明のポリオレフィンとは、少なくとも一部が不飽和カルボン誘導体で変性されたものをいう。 【0006】 ここで未変性のポリオレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、6-メチル-1-ヘプテン、イソオクテン、イソオクタジエン、デカジエン等のα-オレフィンの単独重合体、もしくは上記α-オレフィンのうち2種以上の共重合体、またはこれらの混合物をいう。これらポリオレフィンのうちでは、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンに対して本発明の効果が顕著である。 【0007】 不飽和カルボン酸誘導体としては、例えば、不飽和カルボン酸のエステル、アミド、ヒドラジド、酸ハライド等を挙げることができる。好ましくは不飽和カルボン酸の無水物であり、この中では、無水マレイン酸、無水イタコン酸を使用するのが最も好ましい。 【0008】 上記、不飽和カルボン酸無水物でポリオレフィンを変性する方法としては、公知の種々の方法を採用することができる。例えばオレフィンと不飽和カルボン酸無水物を溶媒の存在下あるいは不存在下でラジカル開始剤を添加して高圧で共重合する方法や、酸無水物でポリオレフィンを溶融グラフトする等の方法で変性することができる。反応に際し、スチレンのような他のビニルポリマーを共存させてもよい。 【0009】 ポリオレフィンのうち、不飽和カルボン酸無水物で変性された量(以下変性率という)は、0.01ないし5重量%の範囲にあるように調製するのが好ましい。ポリオレフィンは一部が変性されたものでも、全部が変性されたもの、すなわちポリオレフィンが変性ポリオレフィンのみからなるものでも差し支えないが、工業的製造上からは、予め変性率0.1ないし10重量部の変性ポリオレフィンを製造しておき、次に未変性ポリオレフィンにこの変性ポリオレフィンを混合すること、すなわち、ポリオレフィンとして未変性ポリオレフィンと変性ポリオレフィンとを混合した組成物からなる、一部が変性されたポリオレフィンを用いることが組成物中の変性モノマーの濃度を適当に調整できるため、好ましい。 【0010】 本発明のエチレン-α-オレフィン共重合体で使用されるα-オレフィンとしては、炭素数3から20までのα-オレフィンである。例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、6-メチル-1-ヘプテン、イソオクテン、イソオクタジエン、デカジエン等である。これらを1種もしくは2種以上使用することができる。好ましくは、炭素数3から8の上記重合体を1種もしくは2種以上共重合する。 【0011】 本発明でいうエチレン-α-オレフィン共重合体としては低分子量成分量が少なくかつ残存する遷移金属含有量が少ないことが必要である。 また、エチレン-α-オレフィン共重合体のMFR(JIS K7210の表1の条件4に従う。)は0.01ないし200g/10分であり、密度は0.86ないし0.92g/cm3である。好ましくは0.88ないし0.91g/cm3の範囲である。 該エチレン-α-共重合体を得る方法としてはメタロセン化合物を使用する触媒系を用いることが好ましい。 本発明における「メタロセン化合物を使用する触媒系」とは一般的に知られているものであり、例えば日本国特許公開公報昭和60年035007号や日本国特許公開公報平成3年163088号で開示されているものをあげることができる。これらを使用して、オレフィン重合体を得ることが出来る。 【0012】 該触媒系を用いて得られるエチレン-α-オレフィン共重合体は分子量分布が狭く、極低分子量成分の成分量が少ないために、接着性界面に形成されるWBL(Weak Boundary Layer)が薄くなるために接着性が優れると考えられる。その評価方法として、イソブチルアルコールの沸点抽出物で示される極低分子量の成分量がある。極低分子量成分の成分量は、該エチレン-α-オレフィン共重合体の使用量とそのものの抽出量との積により決まる。優れた接着性をだすには、該エチレン-α-オレフィンの使用量が5wt%以上の場合であれば、極低分子量成分の成分量は2wt%以下であることが好ましく、2wt%以下であれば3wt%以下であることが好ましい。また、本発明で得られるエチレン-α-オレフィン共重合体は、該触媒系の残存する遷移金属含有量が少ないために、本来接着のために相互作用すべき官能基と基剤との相互作用が阻害されず、接着性の向上に寄与すると考えられる。そのため、残存する遷移金属含有量は5.0ppm以下、好ましくは2.0ppm以下である。本発明における低分子量成分が少なくかつ残存の遷移金属含有量が少ないエチレン-α-オレフィン共重合体を得るには、該メタロセン触媒系が最も有効であり、他の触媒系では低分子量成分が多く、また残存の遷移金属含有量が多いために不飽和カルボン酸誘導体の官能基に作用し、基材との相互作用が阻害され、基材に対する接着強度が低下してしまう。 【0013】 変性ポリオレフィンを含む本発明のポリオレフィンへの該エチレン-α-オレフィン共重合体の配合量は、該ポリオレフィン99ないし60重量部に、メタロセン化合物を使用する触媒系を用いて得られるエチレン-α-オレフィン共重合体を1ないし40重量部を配合する。好ましくは、該ポリオレフィン97から70重量部に該エチレン-α-オレフィン共重合体を3ないし30重量部配合する。該エチレン-α-オレフィン共重合体の配合量が1重量部未満では、該エチレン-α-オレフィン共重合体による接着性改良効果が殆ど認められず、他方40重量部をこえると接着性が低下し、かつ接着性樹脂組成物の機械的特性が失われる。 【0014】 ポリオレフィンにエチレン-α-オレフィン共重合体を配合する方法としては、任意の方法が採用出来、例えば、両者を押出機、ニーダー、2本ロール、バンバリーミキサー等でポリオレフィンの融点以下の適宜の温度で混練する等の方法によるのが好ましい。 【0015】 本発明で使用する接着性樹脂組成物には、更に、通常使用する程度の耐熱安定剤、耐候安定剤、滑剤、帯電防止剤、核剤、充填剤、顔料、染料、難燃剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤等を含んでもよい。 【0016】 本発明において接着性樹脂組成物とナイロン、EVOH、ポリエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アルミニウム箔、金属、コンクリート等とを接着する方法としては、接着性樹脂組成物と該被着材料を加熱し、少なくとも接着性樹脂組成物を溶融状態にした後、両者を接合することによって行う。例えばナイロン、EVOH、ポリエステル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アルミニウム箔、金属、コンクリート等の上に溶融したポリオレフィンを積層する方法、予め両層を重ね合わせた後、加熱溶融圧着する方法、静電気等によりポリオレフィンをナイロン、EVOH、ポリエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アルミニウム箔、金属、コンクリート等に付着せしめた後にポリオレフィンを溶融積層せしめる方法等を採用できる。本発明で接着性樹脂組成物とナイロン、EVOH、ポリエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アルミニウム箔、金属、コンクリート等を接着するには、いずれかの面、叉は両面に火炎処理、コロナ放電などの処理及び叉はプライマーの塗布などの処理は何等必要としないが、これらの前処理をしていても、いっこうにさしつかえない。 【0017】 本発明の方法による接着性樹脂組成物とナイロン、EVOH、ポリエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アルミニウム箔、金属、コンクリート等を接着する方法は、従来の不飽和カルボン酸無水物で変性されたポリオレフィンのみを使用した場合に比べ接着性が向上する。 本発明の方法は、例えば積層フィルム、積層シート、積層ボトル、金属板、金属管等への防錆コーティング、ホットメルト接着等多くの用途に適用する事ができる。 本発明の接着性樹脂組成物は、フィラー、アロイ等の相容化剤として使用することができる。 次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく述べるが、本発明はその要旨を越えない限りにおいてこれら実施例に限定されるものではない。 【0018】 【実施例】 [参考例1] 撹拌器を備えたジャケット方式20リットルオートクレーブを使用し、非水系、脱酸素チッソ雰囲気下で以下の実験を実施した。 トリエチルアルミニウムトルエン溶液(1M)6mlを仕込んだ後、トルエン10リットルを導入した。撹拌下にてメチルアルミノキサン100mgとイソプロピル(t-ブチルシクロペンタジエニル)(t-ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(以下、メタロセン化合物という)2.7mgをトルエン10ml中で接触させた後、該トルエン溶液を圧入した。水素780ml(標準条件)を加えた後、プロピレン80gをエチレンで圧入し、エチレン分圧が10KGになるように調節し、5分間隔で消費推定プロピレンを間欠的に供給し50℃で1時間重合した。メタノール100mlを圧入して重合を停止させた後、重合モノマーを開放した後、冷却、メタノール中に再沈、乾燥させた。その結果、得られた共重合体の収量及びMFR、密度、極低分子量成分、残存の遷移金属元素量を表1に示す。 【0019】 [参考例2] 本参考例で使用する触媒成分は以下に従って合成した。 無水塩化マグネシウム(市販の無水塩化マグネシウムを乾燥した窒素気流中で約500℃において約15時間加熱乾燥する事によって得られたもの)20.0g(0.20モル)、AA型三塩化チタン4.0g及び2.7gのメチルフェニルポリシロキサン{粘度(25℃)100センチストークス}とを振動ボールミル用の容器(ステンレ製、円筒型、内容積1リットル、直径が10mmの磁性ボールミルを見かけ容積で50%充填)に入れた。これを振幅が6mm、振動数が30Hzの振動ボールに取付、8時間共粉砕を行い、均一状の共粉砕物{チタン原子含有量3.62重量%、マグネシウム原子含有量66.9%、以下「固体成分(1)」と云う}が得られた。 この固体成分(1)のうち、15.0gを500mlのフラスコに入れた後、100mlのトルエンを加えて懸濁させ、室温(約25℃)において十分に撹拌しながら32mlのテトラヒドロフランを2時間かけて滴下した。滴下終了後、処理系を80℃に昇温し、この温度において2時間撹拌した。ついで、処理系を再び室温に冷却し、生成物をn-ヘキサンを用いて十分に洗浄した(洗浄液中にチタン原子がほぼ認められなくなるまで)後、60℃の温度において減圧下で3時間乾燥を行った。その結果、粉末状の固体生成物{以下「固体触媒成分(A)」という}が得られた。 「エチレンとプロピレンの重合方法」 参考例1において用いたオートクレーブに主触媒として表1に示す量の固体触媒成分(A)を入れ、36gのトリエチルアルミニウム加え、不活性溶媒として7.0Kgのイソブタンを仕込んだ。ついで、オートクレーブを閉じ、内温を55℃まで昇温した。つぎに、オートクレーブに1.5Kg/cm2(ゲージ圧)の水素を加え、さらに、エチレンの分圧が3.5Kg/cm2(ゲージ圧)になるように圧入し、且つプロピレン(供給量を表1に示す。)を重合の開始時に圧入し、エチレンとプロピレンの共重合を2時間行った。ついで、参考例1と同様に内容ガスの放出及び乾燥を行った。その結果、得られた共重合体の収量及びMFR、密度、極低分子量成分、残存の遷移金属元素量を表1に示す。 【0020】 [参考例3] 参考例1においてα-オレフィンとして1-ブテンを用いる以外は、参考例1に従って重合を行った。α-オレフィンの使用量及び、得られた共重合体の収量及びMFR、密度、極低分子量成分、残存の遷移金属元素量を表1に示す。 【0021】 [参考例4] 参考例2において、α-オレフィンとして1-ブテンを用いる以外は、参考例2に従って重合した。α-オレフィンの使用量及び、得られた共重合体の収量及びMFR、密度、極低分子量成分、残存の遷移金属元素量を表1に示す。 【0022】 [参考例5] 参考例1においてα-オレフィンとして1-ヘキセンを用いる以外は、参考例1に従って重合を行った。α-オレフィンの使用量及び、得られた共重合体の収量及びMFR、密度、極低分子量成分、残存の遷移金属元素量を表1に示す。 【0023】 [参考例6] 参考例2において、α-オレフィンとして1-ヘキセンを用いる以外は、参考例2に従って重合した。α-オレフィンの使用量及び、得られた共重合体の収量及びMFR、密度、極低分子量成分、残存の遷移金属元素量を表1に示す。 【0024】 [参考例7] 参考例1において、α-オレフィンとしてイソオクタジエンを用いる以外は、参考例1に従って重合した。α-オレフィンの使用量及び、得られた共重合体の収量及びMFR、密度、極低分子量成分、残存の遷移金属元素量を表1に示す。 【0025】 [参考例8]参考例2においてα-オレフィンとしてイソオクタジエンを用いる以外は、参考例2に従って重合を行った。α-オレフィンの使用量及び、得られた共重合体の収量及びMFR、密度、極低分子量成分、残存の遷移金属元素量を表1に示す。 【0026】 【表1】 【0027】 [実施例1] ポリプロピレン(MFR(230℃)0.5g/10分)に無水マレイン酸をグラフトさせた変性ポリプロピレン(MFR(230℃)70g/10分グラフト率0.7重量%以下MAHグラフトPP1と略す)20重量%と、未変性ポリプロピレン(MFR(230℃)5.5g/10分以下PPと略す)60重量%と、参考例1で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体20重量%をドライブレンド後、径30mm、L/D36の2軸押出機にて、230℃でストランド状に押出し、水冷後ペレット化し、ポリオレフィン系樹脂組成物を得た。 このようにして得られたポリオレフィン系樹脂組成物及びエチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物[EVOH](エチレン含有量29モル%MFR(210℃)3.2g/10分)を40mmφ、45mmφの押出機からなる二種二層共押出し成形機を用いて、ダイス温度220℃、通水状態のチルロールを使用して、二種二層フィルム(各層厚み30μm)を作った。 このようにして得られたラミネートフィルムの180℃剥離試験を剥離速度300mm/分で、成形して48時間後評価した。 剥離強度は550g/15mm幅であった。 【0028】 [実施例2] MAHグラフトPP1の代わりに、線状低密度ポリエチレン(1-ブテン含量4モル% MFR(190℃)6.0g/10分密度0.917g/cm3)に無水マレイン酸をグラフトさせた変性ポリエチレン(MFR(190℃)2.5g/10分グラフト率0.4wt% 以下MAHグラフトPEと略す)、未変性ポリプロピレンの代わりに、未変性線状低密度ポリエチレン(1-ブテン含量4モル% MFR(190℃)6.0g/10分密度0.917g/cm3)を使用する以外は、実施例1と同様に行った。 剥離強度は600g/15mm幅であった。 【0029】 [実施例3] 参考例1で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体の代わりに、参考例3で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体を使用する以外は、実施例1と同様に行った。 剥離強度は500g/15mm幅であった。 【0030】 [実施例4] 参考例1で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体の代わりに、参考例5で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体を使用する以外は、実施例2と同様に行った。 剥離強度は540g/15mm幅であった。 【0031】 [実施例5] 参考例1で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体の代わりに、参考例7で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体を使用する以外は、実施例1と同様に行った。 剥離強度は510g/15mm幅であった。 【0032】 [実施例6] MAHグラフトPP1を70重量%、参考例1で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体を30重量%使用する以外は、実施例1と同様に行った。 剥離強度は650g/15mm幅であった。 【0033】 [実施例7] MAHグラフトPP1を10重量%、未変性ポリプロピレンを70重量%使用する以外は、実施例1と同様に行った。 剥離強度は430g/15mm幅であった。 【0034】 [実施例8] MAHグラフトPP1の代わりに、ポリプロピレン(MFR(230℃)0.5g/10分)に無水マレイン酸をグラフトさせた変性ポリプロピレン(MFR(230℃)81g/10分 グラフト率3.6重量%以下MAHグラフトPP2と略す)70重量%、参考例1で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体を30重量%使用する以外は実施例1に従った 剥離強度は480g/15mm幅であった。 【0035】 [実施例9] MAHグラフトPP1の代わりにラジカル重合性無水マレイン酸共重割合が0.5重量%であるエチレン・無水マレイン酸共重合体(MFR(190℃)8.6/10分 密度0.936g/cm3)を20重量%、実施例2の線状低密度ポリエチレンを70重量%、参考例1で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体を10重量%使用する以外は、実施例1に従った。 剥離強度は530g/15mm幅であった。 【0036】 [比較例1] 参考例1で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体を0.5重量%、未変性ポリプロピレンを79.5重量%使用する以外は、実施例1と同様に行った。 剥離強度は150g/15mm幅であり、エチレン-α-オレフィン共重合体量が少ないため、接着性能が不十分であった。 【0037】 [比較例2] 参考例1で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体を50重量%、未変性ポリプロピレンを30重量%使用する以外は、実施例1と同様に行った。 剥離強度は220g/15mm幅であり、エチレン-α-オレフィン共重合体量が多いため、接着性能が不十分及び成形性にも問題があった。 【0038】 [比較例3] MAHグラフトPP1を使用せず、未変性ポリプロピレンを80重量%使用する以外は、実施例1と同様に行った。 剥離強度は20g/15mm幅であり、 変性PPを使用しないため接着性能不十分であった。 【0039】 [比較例4] 参考例1で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体を、参考例2で得られたものに代えた以外は、実施例1と同様に行った。 剥離強度は200g/15mm幅で、接着性能が不十分であった。 【0040】 [比較例5] 参考例1で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体を、参考例4で得られたものに代えた以外は、実施例1と同様に行った。 剥離強度は160g/15mm幅で、接着性能が不十分であった。 【0041】 [比較例6] 参考例1で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体を、参考例6で得られたものに代えた以外は、実施例2と同様に行った。 剥離強度は180g/15mm幅で、接着性能が不十分であった。 【0042】 [比較例7] 参考例1で得られたエチレン-α-オレフィン共重合体を、参考例8で得られたものに代えた以外は、実施例1と同様に行った。 剥離強度は140g/15mm幅で、接着性能が不十分であった。 【0043】 以上の実施例1〜9、比較例1〜7の結果をまとめて表2に示す。 比較例に比べて実施例の接着性能は良好であり、成形性、外観についても問題はなかった。 【0044】 【表2】 【0045】 【発明の効果】 本発明の接着性樹脂組成物は特にナイロン、EVOH、ポリエステル、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の積層フィルム、積層シート、積層ボトル、金属板、金属管への防錆コーティング、ホットメルト接着等多くの用途に適用することができる。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2005-08-04 |
出願番号 | 特願平5-249501 |
審決分類 |
P
1
651・
16-
YA
(C09J)
P 1 651・ 121- YA (C09J) P 1 651・ 534- YA (C09J) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 森川 聡 |
特許庁審判長 |
宮坂 初男 |
特許庁審判官 |
平塚 政宏 佐野 整博 |
登録日 | 2002-08-09 |
登録番号 | 特許第3337777号(P3337777) |
権利者 | 昭和電工株式会社 |
発明の名称 | 接着性樹脂組成物 |
代理人 | 高橋 詔男 |
代理人 | 鈴木 三義 |
代理人 | 村山 靖彦 |
代理人 | 西 和哉 |
代理人 | 青山 正和 |
代理人 | 鈴木 三義 |
代理人 | 渡邊 隆 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 村山 靖彦 |
代理人 | 青山 正和 |
代理人 | 西 和哉 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 渡邊 隆 |
代理人 | 高橋 詔男 |