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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:533  H04N
審判 全部申し立て 4項(5項) 請求の範囲の記載不備  H04N
管理番号 1125792
異議申立番号 異議2003-72678  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-03-05 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-06 
確定日 2005-08-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3402617号「撮像装置及び撮像方法」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3402617号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3402617号の請求項1ないし5に係る発明は、平成3年8月22日に特許出願され、平成15年2月28日にその特許権の設定登録がなされ、その後、溝呂木寛より特許異議の申立てがなされ、平成16年4月14日付けで取消しの理由(1)が通知され、その指定期間内である平成16年6月22日に訂正請求(1)がなされ、平成16年9月29日付けで審尋がなされ、平成16年12月6日に審尋回答書が提出され、平成17年1月14日付けで取消しの理由(2)が通知され、その指定期間内である平成17年3月28日に訂正請求(2)がなされ、訂正請求(1)が取り下げられ、平成17年6月27日付けで取消しの理由(3)が通知され、その指定期間内である平成17年7月21日に訂正請求(3)がなされ、訂正請求(2)が取り下げられたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載について、「撮影状況に応じて撮影モードを選択する撮影モード選択手段」とあるのを、「前記撮影画面を分割して測光される複数の領域の輝度レベルの変化に応じ予め記憶手段に格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整する複数の撮影モードの中から所定の撮影モードを選択することで撮影状況に応じて代表的な場面を設定し各場面において最適化をはかる撮影モード選択手段」と訂正する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項1の記載について、「前記撮影モード選択手段によって所定の撮影モードが選択された場合、露出を制御するための評価基準値を変更するとともに、前記撮像画面を分割して測光される複数の領域のうち輝度レベルに応じて選択される一部の領域の測光結果を前記変更した評価基準値とを比較することによって露出を制御する露出制御手段」とあるのを、「前記撮影モード選択手段によって前記複数の撮影モードの中から画面の広範囲が高輝度となる撮影状況のための所定の撮影モードが選択された場合、露出を制御するために前記撮像画面を分割して得られる測光結果と比較する評価基準値を当該所定の撮影モードが選択される前よりも高くなるように変更するとともに、前記撮像画面を分割して測光される複数の領域のうち検出された輝度レベルに応じて選択される一部の領域の測光結果を前記変更した評価基準値と比較することによって、前記予め格納されているプログラムに従い露出制御パラメータを自動調整する露出制御手段」と訂正する。
ウ.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項2の記載について、「前記評価基準値を高くするように構成されていること」とあるのを、「前記評価基準値を前記複数の撮影モードの中から当該所定の撮影モード以外の撮影モードが選択される場合よりも高くなるように構成されていること」と訂正する。
エ.訂正事項d
特許請求の範囲の請求項3の記載について、「前記モード選択手段によって、前記所定の撮影モードが選択されたとき、前記露出制御手段は、前記撮像画面を複数の小領域に分割したそれぞれに対し、その輝度レベルの高い方からN個の小領域によって形成される領域を測光する」とあるのを、「前記撮影モード選択手段によって、前記所定の撮影モードが選択されたとき、前記露出制御手段は、前記撮像画面を複数の小領域に分割したそれぞれに対し、その輝度レベルの上位N%の小領域によって形成される領域を測光する」と訂正する。
オ.訂正事項e
特許請求の範囲の請求項4の記載について、「撮影状況に応じて設けられた複数の撮影モードより任意の撮影モードを選択する撮影モード選択手段」とあるのを、「前記撮像画面を分割して測光される複数の小領域の輝度レベルの変化に応じ予め記憶手段に格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整する複数の撮影モードの中から任意の撮影モードを選択することで撮影状況に応じて代表的な場面を設定し各場面において最適化をはかる撮影モード選択手段」と訂正する。
カ.訂正事項f
特許請求の範囲の請求項4の記載について、「前記露出制御手段は、前記撮影モード選択手段によって、選択された撮影モードによって前記重み付け及び前記評価基準値を変更し、前記撮影モード選択手段によって高輝度被写体を対象とした所定の撮影モードが選択されたとき、前記複数の小領域の輝度レベルの高い方からN個の小領域によって形成される領域の重み付けを大きくして重点測光するとともに、前記評価基準値を高く変位するように構成されていること」とあるのを、「前記露出制御手段は、前記撮影モード選択手段によって、選択された撮影モードによって前記重み付け及び前記評価基準値を変更し、前記撮影モード選択手段によって前記複数の撮影モードの中から画面の広範囲が高輝度となる撮影状況のための所定の撮影モードが選択されることに応答して、前記複数の小領域の検出された輝度レベルの上位N%の小領域によって形成される領域の重み付けを大きくして重点測光するとともに、前記評価基準値を高く変位するように構成されていることによって、前記予め格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整して露出制御すること」と訂正する。
キ.訂正事項g
特許請求の範囲の請求項5の記載について、「撮影状況に応じて設けられた複数の撮影モードより所定の撮影モードが選択された場合」とあるのを、「撮影画面を分割して測光される複数の領域の輝度レベルの変化に応じて予め記憶手段に格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整する複数の撮影モードの中から画面の広範囲が高輝度となる撮影状況のための所定の撮影モードが選択された場合」と訂正する。
ク.訂正事項h
特許請求の範囲の請求項5の記載について、「露出を制御するための評価基準値を変更するとともに、前記撮像画面を分割して測光される複数の領域のうち輝度レベルに応じて選択される一部領域の測光結果を変更した評価基準値と比較することによって露出を制御する」とあるのを、「露出を制御するために前記撮像画面を分割して得られる測光結果と比較する評価基準値を当該所定の撮影モードが選択される前よりも高くなるように変更するとともに、前記撮像画面を分割して測光される複数の領域のうち検出された輝度レベルに応じて選択される一部領域の測光結果を変更した評価基準値と比較することによって、前記予め格納されているプログラムに従い露出制御パラメータを自動調整する露出を制御し、前記撮影モードは撮影状況に応じて代表的な場面を設定し各場面において最適化をはかる撮影モードである」と訂正する。
ケ.訂正事項i
上記訂正事項aないしhに対応する発明の詳細な説明の記載を訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aないしhは、特許請求の範囲の減縮および明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、また、上記訂正事項iは、上記訂正事項aないしhと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
申立人溝呂木寛は、請求項1ないし5に係る発明は、甲第1号証(特開昭59-91778号公報)、甲第2号証(実公昭60-11475号公報)、甲第3号証(特開昭62-147872号公報)をもとに容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであり、また、記載不備があるから特許法第36条第4項及び第5項の規定により、特許を取り消すべきと主張している。

(2)本件の請求項1ないし5に係る発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1ないし5に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明5」ともいう)は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
【請求項1】 撮像画面に結像される入射光を光電変換する撮像手段と、
前記撮影画面を分割して測光される複数の領域の輝度レベルの変化に応じ予め記憶手段に格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整する複数の撮影モードの中から所定の撮影モードを選択することで撮影状況に応じて代表的な場面を設定し各場面において最適化をはかる撮影モード選択手段と、
前記撮影モード選択手段によって前記複数の撮影モードの中から画面の広範囲が高輝度となる撮影状況のための所定の撮影モードが選択された場合、露出を制御するために前記撮像画面を分割して得られる測光結果と比較する評価基準値を当該所定の撮影モードが選択される前よりも高くなるように変更するとともに、前記撮像画面を分割して測光される複数の領域のうち検出された輝度レベルに応じて選択される一部の領域の測光結果を前記変更した評価基準値と比較することによって、前記予め格納されているプログラムに従い露出制御パラメータを自動調整する露出制御手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】 請求項1において、前記露出制御手段は、前記撮影モード選択手段によって、撮像画面の広範囲が高輝度となる撮影状況を想定した所定の撮影モードが選択されたとき、前記評価基準値を前記複数の撮影モードの中から当該所定の撮影モード以外の撮影モードが選択される場合よりも高くなるように構成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】請求項1において、前記撮影モード選択手段によって、前記所定の撮影モードが選択されたとき、前記露出制御手段は、前記撮像画面を複数の小領域に分割したそれぞれに対し、その輝度レベルの上位N%の小領域によって形成される領域を測光するとともに、該測光結果を前記評価基準値と比較することによって露出制御を行うように構成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】 撮像画面を複数の小領域に分割したそれぞれの小領域における輝度レベルに対して所定の重み付けを施した結果に基づいて演算された入力輝度レベルを、所定の評価基準値と比較することによって露出制御を行う露出制御手段と、
前記撮像画面を分割して測光される複数の小領域の輝度レベルの変化に応じ予め記憶手段に格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整する複数の撮影モードの中から任意の撮影モードを選択することで撮影状況に応じて代表的な場面を設定し各場面において最適化をはかる撮影モード選択手段とを備え、
前記露出制御手段は、前記撮影モード選択手段によって、選択された撮影モードによって前記重み付け及び前記評価基準値を変更し、前記撮影モード選択手段によって前記複数の撮影モードの中から画面の広範囲が高輝度となる撮影状況のための所定の撮影モードが選択されることに応答して、前記複数の小領域の検出された輝度レベルの上位N%の小領域によって形成される領域の重み付けを大きくして重点測光するとともに、前記評価基準値を高く変位するように構成されていることによって、前記予め格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整して露出制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】 撮影画面を分割して測光される複数の領域レベルの変化に応じて予め記憶手段に格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整する複数の撮影モードの中から画面の広範囲が高輝度となる撮影状況のための所定の撮影モードが選択された場合、露出を制御するために前記撮像画面を分割して得られる測光結果と比較する評価基準値を当該所定の撮影モードが選択される前よりも高くなるように変更するとともに、前記撮像画面を分割して測光される複数の領域のうち検出された輝度レベルに応じて選択される一部領域の測光結果を変更した評価基準値と比較することによって、前記予め格納されているプログラムに従い露出制御パラメータを自動調整する露出を制御し、前記撮影モードは撮影状況に応じて代表的な場面を設定し各場面において最適化をはかる撮影モードである撮像方法。

(3)刊行物
取消理由通知において提示した刊行物は、特許異議申立人が証拠として提示した刊行物を含む以下のものである。
刊行物1:特開昭59-91778号公報(本件異議申立の甲第1号証)
刊行物2:実公昭60-11475号公報(本件異議申立の甲第2号証)
刊行物3:特開昭62-147872号公報(本件異議申立の甲第3号証)
刊行物4:特開平2-60378号公報(本件異議申立の参考資料1)
刊行物5:特開昭62-62229号公報(本件異議申立の参考資料2)
刊行物6:特開昭62-201420号公報(審尋回答書の甲第1号証)
刊行物7:特開昭56-19274号公報(審尋回答書の甲第2号証)
刊行物8:特開昭59-143134号公報(審尋回答書の甲第3号証)

刊行物1には、スイッチAE8,9のON,OFFに応じて、AEの基準レベルを僅かに上下させる点等、撮像画面に結像される入射光を光電変換する撮像手段と、撮影状況に応じて撮影モードを選択する撮影モード選択手段と、撮影モード選択手段によって所定の撮影モードが選択された場合、露出を制御するための評価基準値を変更する露出制御手段とを有することが開示されており、
刊行物2には、分割して測光される複数の領域のうち、輝度レベルに応じて選択される一部の領域の測光結果を露出制御手段である第1,第2の阻止回路によって基準値(閾値レベル)と比較して露出を制御すること、また、画面全体が高輝度で同一の輝度のときには光電出力の最大値がひとつだけ回路に印加されて高輝度に対して露出オーバーとなるように露出制御される点が開示されており、
刊行物3には、画像データの大小を比較して大きな画像データを任意個数取り出して露出制御する点が開示されており、
刊行物4には、分割測光において重み付けする点が開示されており、
刊行物5には、ヒストグラムを作成して必要な領域を決める点が開示されており、
刊行物6には、撮影状況の変化に応じて、露出制御パラメータを予め記憶手段に格納されているプログラムに従って自動調整する点が開示されており、
刊行物7には、被写体照度のピーク値が一定値以下の場合は平均的基準で露光制御を行い、一定値以上の場合はピーク値基準で露光制御を行う点が開示されており、
刊行物8には、スポット露光のハイライト基準露光モードが選択されている場合、露出を制御するための露出値を、そのモードの選択前の露出値よりも高くして露光制御を行う点が開示されている。

(4)対比・判断
本件発明1ないし5と上記刊行物1ないし8に記載の発明とを対比すると、各刊行物に記載の発明は、本件発明を特定する事項である、「撮影状況に応じて代表的な場面を設定し各場面において最適化をはかる撮影モード」を「選択」するものであって、前記撮影モードのうち、「広範囲に高輝度」の撮影状況のためのモードが選択された場合についてのものである点を備えておらず、当該事項により本件発明1ないし5は、明細書記載の顕著な効果を奏するのであり、本件発明が上記刊行物1ないし8に記載のものから容易に発明をすることができたものとはいえない。
すなわち、刊行物8にはハイライト基準露光モードがあるものの、スポット露光についてのものであり、本件発明における上記撮影モードとはいえないとともに、刊行物2,3にあるような画面を分割して測光する機構を採用することには阻害要因があるともいえるし、一方、刊行物2のものには、画面を分割して測光する機構を有し、画面全体が高輝度の場合の露出オーバーとする露出制御について記載されているものの、本件発明における上記撮影モードがあるわけでもない。
その他の刊行物にも本件発明を特定する上記事項を備えているとはいえない。
また、上記訂正により、記載不備は解消された。

(5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1ないし5についての特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明1ないし5についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1ないし5についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
撮像装置及び撮像方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】撮像画面に結像される入射光を光電変換する撮像手段と、
前記撮像画面を分割して測光される複数の領域の輝度レベルの変化に応じ予め記憶手段に格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整する複数の撮影モードの中から所定の撮影モードを選択することで撮影状況に応じて代表的な場面を設定し各場面において最適化をはかる撮影モード選択手段と、
前記撮影モード選択手段によって前記複数の撮影モードの中から画面の広範囲が高輝度となる撮影状況のための所定の撮影モードが選択された場合、露出を制御するために前記撮像画面を分割して得られる測光結果と比較する評価基準値を当該所定の撮影モードが選択される前よりも高くなるように変更するとともに、前記撮像画面を分割して測光される複数の領域のうち検出された輝度レベルに応じて選択される一部の領域の測光結果を前記変更した評価基準値と比較することによって、前記予め格納されているプログラムに従い露出制御パラメータを自動調整する露出制御手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】請求項1において、前記露出制御手段は、前記撮影モード選択手段によって、撮像画面の広範囲が高輝度となる撮影状況を想定した所定の撮影モードが選択されたとき、前記評価基準値を前記複数の撮影モードの中から当該所定の撮影モード以外の撮影モードが選択される場合よりも高くなるように構成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】請求項1において、前記撮影モード選択手段によって、前記所定の撮影モードが選択されたとき、前記露出制御手段は、前記撮像画面を複数の小領域に分割したそれぞれに対し、その輝度レベルの上位N%の小領域によって形成される領域を測光するとともに、該測光結果を前記評価基準値と比較することによって露出制御を行うように構成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】撮像画面を複数の小領域に分割したそれぞれの小領域における輝度レベルに対して所定の重み付けを施した結果に基づいて演算された入力輝度レベルを、所定の評価基準値と比較することによって露出制御を行う露出制御手段と、
前記撮像画面を分割して測光される複数の小領域の輝度レベルの変化に応じ予め記憶手段に格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整する複数の撮影モードの中から任意の撮影モードを選択することで撮影状況に応じて代表的な場面を設定し各場面において最適化をはかる撮影モード選択手段とを備え、
前記露出制御手段は、前記撮影モード選択手段によって、選択された撮影モードによって前記重み付け及び前記評価基準値を変更し、前記撮影モード選択手段によって前記複数の撮影モードの中から画面の広範囲が高輝度となる撮影状況のための所定の撮影モードが選択されることに応答して、前記複数の小領域の検出された輝度レベルの上位N%の小領域によって形成される領域の重み付けを大きくして重点測光するとともに、前記評価基準値を高く変位するように構成されていることによって、前記予め格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整して露出制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】撮像画面を分割して測光される複数の領域の輝度レベルの変化に応じて予め記憶手段に格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整する複数の撮影モードの中から画面の広範囲が高輝度となる撮影状況のための所定の撮影モードが選択された場合、露出を制御するために前記撮像画面を分割して得られる測光結果と比較する評価基準値を当該所定の撮影モードが選択される前よりも高くなるように変更するとともに、前記撮像画面を分割して測光される複数の領域のうち検出された輝度レベルに応じて選択される一部領域の測光結果を変更した評価基準値と比較することによって、前記予め格納されているプログラムに従い露出制御パラメータを自動調整する露出を制御し、前記撮影モードは撮影状況に応じて代表的な場面を設定し各場面において最適化をはかる撮影モードである撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はビデオカメラ等の撮像装置及びその撮像方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオカメラを初めとする映像機器の進歩は目覚ましく、各種機能の自動化、操作性の改善がはかられ、たとえばズームレンズの装備、自動焦点制御、自動露出制御等の自動化は必須となつており、たとえば自動露出制御について見れば、撮影画像の品位を決定する需要な要素であり、あらゆる撮影環境においても、常に安定で良好な自動露出制御が可能でなければならず、自動露出制御機能の重要性はきわめて高い。
【0003】
図18は一般的なビデオカメラの露出制御系の基本構成を示すブロツク図で、101は撮影レンズ光学系、102は入射光量を調節するアイリス、103は撮影レンズ光学系によりその撮像面に結像され且つアイリスによつて光量を調節された画像を光電変換して撮像信号に変換するCCD等の撮像素子、104は撮像素子より出力された撮像信号に所定の信号処理を施して規格化された映像信号に変換するカメラ信号処理回路、105は映像信号出力端子、106はアイリス102を駆動して開口量を可変するモータ、107はモータ106を駆動制御する絞り駆動回路、108は撮像素子103の蓄積、読み出し、リセツトタイミングを制御するとともに、蓄積時間(露光時間)を可変制御して所望のシヤツタスピードを設定するCCD駆動回路、109はカメラ信号処理回路より出力された輝度信号のレベルに基づいて、露光状態を評価し、絞り駆動回路107、CCD駆動回路108を制御して露光を最適に制御する自動露出制御回路(AE回路)、110はキー操作の入力を受け付けるスイツチパネルである。
【0004】
AE回路109による露光制御について説明すると、カメラ信号処理回路104より出力された輝度信号を積分してそのレベルが所定の範囲内に入るように絞り駆動回路107を制御し、アイリスモータへと出力する駆動電流を制御してアイリスの開口量を可変するアイリス制御用の閉ループが構成されるとともに、スイツチパネル110のキー操作に応じて、CCD駆動回路108を制御してその駆動パルスを切り換え、撮像素子103の蓄積時間を可変することにより露光時間すなわちシヤツタスピードを制御し、適正露光状態を得るような制御系を備えている。
【0005】
またこの蓄積時間制御はいわゆる電子シヤツタと称されるものであり、たとえばNTSCの場合通常の毎画面1/60秒の露光時間の他に、1/100から1/10000秒程度のものまで複数段階の光蓄積時間の選択が可能である。
【0006】
このように構成されたシステムにおいて、高速電子シヤツタを使用すると、任意に選択した各々の設定露光時間すなわちシヤツタスピードごとに、これを基準として撮像光学系の絞り機構(アイリス)を制御する自動露光制御モードが存在することになるため、いわゆるシヤツタ優先モードとなる。図19はシヤツタ優先モードを示し、横軸のシヤツタスピードを選択し、そのシヤツタスピードを固定して縦軸の絞り値を可変するものである。
【0007】
【発明の解決しようとする課題】
しかしながら、上述したビデオカメラ装置のように、撮像信号の輝度レベルによるアイリス制御、シヤツタ優先モードでは、様々な撮影環境、撮影状況において常に適切な露出制御を実現することはできず、適切な露出制御ができない場合がしばしば生じていた。
【0008】
特に銀塩カメラのように一瞬の静止画撮影を行なうカメラにおいては、撮影の瞬間の露出制御が適切に行なわれればよいが、ビデオカメラのように、動画を長時間にわたって撮影するような場合においては、撮影中にも刻々と変化する撮影状況、撮影環境に対して自然に追従し、常に安定で且つ最適な露出制御が行なわれなければならず、これらの条件を満たすビデオカメラの露出制御装置の実現が強く望まれている。
【0009】
本発明の目的は、これらの条件をすべて満たし、撮影環境、撮影状況によらず常に最適露出制御の可能なビデオカメラの自動露出制御装置を提供することにある。
【0010】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、上述した問題点を解決することを目的としてなされたもので、その請求項1に記載の発明によれば、撮像画面に結像される入射光を光電変換する撮像手段と、前記撮像画面を分割して測光される複数の領域の輝度レベルの変化に応じ予め記憶手段に格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整する複数の撮影モードの中から所定の撮影モードを選択することで撮影状況に応じて代表的な場面を設定し各場面において最適化をはかる撮影モード選択手段と、前記撮影モード選択手段によって前記複数の撮影モードの中から画面の広範囲が高輝度となる撮影状況のための所定の撮影モードが選択された場合、露出を制御するために前記撮像画面を分割して得られる測光結果と比較する評価基準値を当該所定の撮影モードが選択される前よりも高くなるように変更するとともに、前記撮像画面を分割して測光される複数の領域のうち検出された輝度レベルに応じて選択される一部の領域の測光結果を前記変更した評価基準値と比較することによって、前記予め格納されているプログラムに従い露出制御パラメータを自動調整する露出制御手段とを有する撮像装置を特徴とする。また本願の請求項2に記載の発明によれば、請求項1において、前記露出制御手段は、前記撮影モード選択手段によって、撮像画面の広範囲が高輝度となる撮影状況を想定した所定の撮影モードが選択されたとき、前記評価基準値を前記複数の撮影モードの中から当該所定の撮影モード以外の撮影モードが選択される場合よりも高くなるように構成されている撮像装置を特徴とする。また本願の請求項3に記載の発明によれば、請求項1において、請求項1において、前記撮影モード選択手段によって、前記所定の撮影モードが選択されたとき、前記露出制御手段は、前記撮像画面を複数の小領域に分割したそれぞれに対し、その輝度レベルの上位N%の小領域によって形成される領域を測光するとともに、該測光結果を前記評価基準値と比較することによって露出制御を行うように構成されている撮像装置を特徴とする。また本願の請求項4に記載の発明によれば、撮像画面を複数の小領域に分割したそれぞれの小領域における輝度レベルに対して所定の重み付けを施した結果に基づいて演算された入力輝度レベルを、所定の評価基準値と比較することによって露出制御を行う露出制御手段と、前記撮像画面を分割して測光される複数の小領域の輝度レベルの変化に応じ予め記憶手段に格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整する複数の撮影モードの中から任意の撮影モードを選択することで撮影状況に応じて代表的な場面を設定し各場面において最適化をはかる撮影モード選択手段とを備え、前記露出制御手段は、前記撮影モード選択手段によって、選択された撮影モードによって前記重み付け及び前記評価基準値を変更し、前記撮影モード選択手段によって前記複数の撮影モードの中から画面の広範囲が高輝度となる撮影状況のための所定の撮影モードが選択されることに応答して、前記複数の小領域の検出された輝度レベルの上位N%の小領域によって形成される領域の重み付けを大きくして重点測光するとともに、前記評価基準値を高く変位するように構成されていることによって、前記予め格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整して露出制御することを特徴とする。また本願の請求項5に記載の発明によれば、撮像画面を分割して測光される複数の領域の輝度レベルの変化に応じて予め記憶手段に格納されているプログラムに従って露出制御パラメータを自動調整する複数の撮影モードの中から画面の広範囲が高輝度となる撮影状況のための所定の撮影モードが選択された場合、露出を制御するために前記撮像画面を分割して得られる測光結果と比較する評価基準値を当該所定の撮影モードが選択される前よりも高くなるように変更するとともに、前記撮像画面を分割して測光される複数の領域のうち検出された輝度レベルに応じて選択される一部領域の測光結果を変更した評価基準値と比較することによって、前記予め格納されているプログラムに従い露出制御パラメータを自動調整する露出を制御し、前記撮影モードは撮影状況に応じて代表的な場面を設定し各場面において最適化をはかる撮影モードである撮像方法を特徴とする。
【0011】
【作用】
これによつて、設定された撮影モードに最適な制御を行なうことができ、特に雪景色や砂浜等の広範囲に高輝度部分の存在するような特殊な撮影状況に対しても、その主要被写体と背景の両方に程よい露出制御を行なうことができる。
【0012】
またこのような制御情報を撮影モードに応じて自動的に設定できるため、撮影状況、撮影環境によらず、常に最適な撮影を行なうことが可能となる。
【0013】
【実施例】
以下本発明における撮像装置を各図を参照しながら、その実施例について説明する。
【0014】
図1は本発明の撮像装置をビデオカメラに適用した一実施例の構成を示すブロツク図で、同図において、1は撮影レンズ光学系、2は入射光量を調節するアイリス、3は撮影レンズ光学系によりその撮像面に結像され且つアイリスによつて光量を調節された画像を光電変換して撮像信号に変換するCCD等の撮像素子、4は撮像素子の蓄積電荷のノイズを低減する2重相関サンプリング回路(CDS)、5は撮像信号のゲインを自動調節するAGC回路、6はAGC回路5より出力された撮像信号に所定の信号処理を施して規格化された映像信号に変換するカメラ信号処理回路、7はカメラ信号処理回路より出力された映像信号を、ビデオテープレコーダ等に記録するのに適した信号に変換する画像信号処理回路、8は磁気テープを記録媒体として用いるビデオテープレコーダである。
【0015】
一方、9は撮像画面上を複数画面に分割し、任意の領域に相当する画像信号を抽出すべくAGC回路5より出力された信号にゲートをかけるゲート回路、10はゲート回路9によつて選択された撮像画面内の指定領域内に相当する撮像信号を積分してその平均光量を求める積分器、11は積分器より出力された信号を後述するシステムコントロール回路によつて処理可能なデジタル信号に変換するA/D変換器である。このゲート回路9による領域指定動作と積分器10の積分動作は撮影モードに応じた測光領域の指定および重み付け設定に関するものであり、その選択特性については、後述のシステムコントロール回路13より出力されるゲートパルスと、積分リセツトパルスの制御によつて任意に設定することができる。その詳しい処理については後述する。
【0016】
12は撮像素子3の蓄積動作、読み出し動作、リセツト動作等を制御するCCD駆動回路、13はアイリス2を駆動するアイリスモータ、14はアイリスモータを駆動するアイリス駆動回路、15は後述のシステムコントロール回路より出力されたデジタルのアイリス制御信号をアナログ信号に変換するD/A変換器、16はアイリスの開口量すなわち絞り値を検出するホール素子等で構成されたアイリスエンコーダ、17はアイリスエンコーダ16の出力を増幅するアンプ、18はアンプ17によつて所定レベルに増幅されたアイリスエンコーダの出力を後述のシステムコントロール回路によつて処理可能なデジタル信号に変換するA/D変換器である。
【0017】
19a,19b,19c,…は露出制御用の各種データを記憶したデータ参照テーブル(LUT:Look up table)で、撮影状況に応じて複数の設定が行なわれるよう、本実施例では3つのテーブルを図示しているが、用意されている撮影モードそれぞれについて備えられており、後述するフルオート撮影モードでは2つのデータテーブルを選択的に使用するように構成されている。ちなみに、本実施例では、後述するように、『室内撮影モード』、『スポーツ撮影モード』、『風景撮影モード』、『ポートレートモード』、『サーフ&スノー撮影モード』について説明されている。
【0018】
具体的には、複数の撮影モードそれぞれに応じた、アイリス,シヤツタスピード,ゲイン等の露出制御用のパラメータの制御特性の情報が格納されており、設定された撮影モードに応じて必要なデータが読み出されるようになつている。
【0019】
20は各種操作を行なうための複数の操作キーからなる操作部、21はシステムコントロール回路より出力されたデジタルのゲイン制御信号をアナログ制御信号に変換してAGC回路へと供給するD/A変換器、22,23はそれぞれ撮影状況に応じてカメラ信号処理、画像信号処理における各種特性を変化または修正すべくシステムコントロール回路より出力されたデジタルの制御信号をアナログ制御信号に変換して、カメラ信号処理回路6、画像処理回路7へと供給するD/A変換器である。
【0020】
25は本実施例におけるビデオカメラシステム全体を総合的に制御する、マイクロコンピユータによつて構成されたシステムコントロール回路である。
【0021】
システムコントロール回路25は、操作部20によつて操作された撮影モードに応じてカメラ信号処理回路6、画像信号処理回路7の特性を制御する制御信号をD/A変換器22,23を介して出力するとともに、撮影モードに応じて、ゲート回路9に供給するゲートパルスを制御し、撮像画面上における光量検出を行なう測光領域の設定を行なう。また積分器10に供給する積分リセツトパルスを制御して積分動作の選択特性を制御する。
【0022】
たとえば、図2は撮像画面に測光領域を設定した一例を示すものであり、同図は、撮像画面内の中央部分に測光領域を設定し、この領域内の信号を重点的に露出制御演算に用いる『中央部分重点測光』の領域設定状態を示すものである。
【0023】
これは主要被写体が画面のほぼ中央に位置する確立が高いという経験則に基づいたもので、露出演算の際、実線で示した中央領域の内側の信号に外側の信号よりも大きな演算係数を割り振って中央部の重み付けを大きくした露出制御を行なうようにするものである。
【0024】
そしてゲート回路9を介して取り込まれた測光領域内における撮像信号の撮影モードに応じた積分値を取り込み、LUT19a,19b,19c…のデータを参照しながらその撮影状況に応じたアイリス制御信号を演算し、D/A変換器15を介してアイリス駆動回路14へと供給するとともに、AGC回路5へとD/A変換器21を介してゲイン制御信号を供給し、撮影モード、撮影状況に応じてAGC回路5のゲインを可変する制御を行ない、さらにCCD駆動回路12へも制御信号を供給し、撮影モード、撮影状況に応じて、撮像素子の蓄積時間(電子シヤツタ)、読み出しタイミング、リセツトタイミング等の制御を行なう。
【0025】
またこれらの各種制御は、撮影モードによつてアイリスエンコーダ16の出力を参照しながら行なわれ、各種の制御パラメータを算出、設定され、上述の各制御を選択的に、または同時に、または適宜組み合わせて実行される。
【0026】
このようにシステムコントロール回路25は、上述したような、積分値によるアイリス制御、ゲイン制御、撮像素子の駆動制御(たとえば蓄積時間制御による電子シヤツタ)等を撮影モード撮影状況、アイリスの駆動状態に基づいて同時にあるいは適宜組み合わせて動作させることにより、あらゆる撮影状況に対して最適露出制御を行なうものである。
【0027】
本発明における撮像装置は以上のような構成となつており、以下その具体的な動作について順を追って説明する。
【0028】
まず本発明装置において露出制御に用いられる各種制御パラメータについて説明する。
(1)アイリス開口量(パラメータP1)
システムコントロール回路より出力されたアイリス制御信号は、D/A変換器15によつてアナログ信号に変換された後、アイリス駆動回路14へと供給されて電流増幅され、アイリスモータ13へと供給されてこれを駆動する。アイリスモータ13はこれによつてアイリス2の絞り状態を制御する。
【0029】
A/D変換器11より供給される積分器10の積分値が、その撮影モードに対応するLUT19a,19b,19bc…にて規定されている制御値よりも大であれば、露出オーバーであるため、アイリス駆動回路14を制御してアイリスモータ13をアイリス2を絞り込む方向に駆動し、入射光量を減少させて結果的に積分器10の出力レベルを減少させる。
【0030】
逆にLUT19にて規定された制御値よりもA/D変換器11より供給される積分値が小さい場合は、上述とは逆にアイリスモータ13を反対方向に駆動し、アイリス2を開いて入射光量を増大させ結果的に積分値を増大させるように制御される。
(2)シヤツタスピード(パラメータ2)(図3を参照)
撮像素子の蓄積時間設定信号Dtがシステムコントロール回路25よりデジタル信号の形態で出力され、これを受けてCCD駆動回路12はCCDの各種タイミングを決定するパルスを発生し、蓄積時間を制御する。
【0031】
この蓄積時間の設定方法及び設定範囲は撮像素子であるCCDの構造により大きく異なるので、本実施例ではHブランキング期間にOFD(オーバーフロードレイン)に不要電荷を捨てる構造を持つCCDを例にして説明する。
【0032】
図3(a)はこのCCDの動作を説明するためのものであり、設定可能な範囲は、高速側はHブランキング内であれば撮像光量やスミヤ等の画質面で許される範囲で設定できる。実質的には1/10000秒程度である。低速側はNTSCの場合は1/60秒までHブランキング周期(約63.5μ秒)のステツプで設定可能である。
【0033】
そして具体的な時間制御の方法としてDtをシステムコントロール回路25が出力することにより、以下の演算によりシヤツタスピードTが決定される。
▲1▼.TNTSC≒(262.5-Dt)*63.5μsec
▲2▼.TPAL≒(312.5-Dt)*64.0μsec
このようにして指示を受けたCCD駆動回路12は、電子シヤツタ動作を実現するためにVsub(垂直サブストレート印加電圧)に更にΔVsubを加算して光電変換による電荷蓄積部分の電位分布を変化させ、不要電荷を基板方向に捨てる。このようにして任意のシヤツタスピードを設定することができる。図3(b)はこの動作を示すものである。
【0034】
そしてシステムコントロール回路25は、現在のシヤツタスピードがA/D変換器11からの積分値に対応してLUT19に規定されている制御値よりも速ければシヤツタスピードを遅くすべく前記Dtを現在の値より小さい値に変更し、逆にLUT19に規定されている制御値よりも遅ければシヤツタスピードを速くすべく前記のDtを現在の値よりも大きな値に変更する。
(3)ゲイン(パラメータP3)
D/A変換器21からは映像信号の増幅率を決定するゲイン設定信号を出力し、AGC回路5へと供給する。
【0035】
AGCゲインの設定はAGCCアンプがCDS4の出力信号が次段のカメラ信号処理回路6にて適正な信号処理が施されるように設けられているもので、従来はアイリスによるAEループの構成要素の一部として取り扱われており、これだけを任意に制御する対象とされているものではなかつた。
【0036】
近年CCDのS/Nが向上し、AGCのゲインを大きくとつて増幅率を増大しても、撮像系のノイズが余り目立たなくなり、制御パラメータとしての設定可能範囲が拡大した。
【0037】
ゲインは撮像系の中では、制御レスポンスの速いパラメータであるので、素早反応が要求される場面でのAE制御に適したパラメータである。
【0038】
現在のAGCゲインがA/D変換器11からの積分値に対応してLUT19に規定されている制御値よりも大きければ、システムコントロール回路25は、AGCゲインを小さくすべくゲイン設定値を更新する。
【0039】
逆に現在のAGCゲインがA/D変換器25からの積分値に対応してLUT25にて規定されている制御値よりも小さければAGCのゲインを大きくすべくゲイン設定を更新する。
【0040】
本発明によれば、以上3つのパラメータを用い、撮影状況、撮影モードに応じて、撮像系の適正な露光状態を維持することを可能としたものであり、以下上述の各パラメータを用いた露出制御について説明するが、まず各露出制御モードに応じて変化する撮像画面上における測光領域の設定について説明する。
【0041】
ビデオカメラで撮影する被写体は、場所、環境、そのときの撮影状況に応じて様々に変化する。したがつて、これらの撮影状況において常に最適な自動露出制御を行なうためには、撮像画面内における測光領域の設定位置及びその測光領域の重み付け制御も適宜変更してその状況に適した制御を行なう必要がある。
【0042】
そこで、設定した代表的な場面に応じた光線状況を考慮して、画面内の輝度分布を想定し、露光量決定に効果的な情報を提供してくれる画面内の領域にAE(自動露出制御)演算係数を大きく割り付け、重み付けを大きくするようにした測光領域を設定するような自動撮影モードが必要となる。
【0043】
本実施例によれば、図4に示すように、撮像画面を縦4分割、横6分割し、全画面を24の小領域に分割した例を示す(図において、説明の便宜上、各領域には1〜24の番号を付してある)。
【0044】
これらの分割動作は、システムコントロール回路25によつて制御されるものであり、システムコントロール回路25より出力されるゲートパルスによつてゲート回路9を開閉制御して、AGC回路5の出力信号を各領域1〜24ごとに抽出し、各領域ごとに積分器10で独立した値として積分処理され、その結果はA/D変換器11によつてデジタル信号に変換された後システムコントロール回路25内に取り込まれる。
【0045】
システムコントロール回路25内では、これらの各領域における積分値に対して前記したその撮影モードに応じてあらかじめ設定されている重み付け係数を付与した処理を行なう。なおこれらの処理は24分割に対応した時分割処理で行なうことが可能である。
【0046】
図5,図6は重み付け係数処理を行なった撮像画面の例をそれぞれ示すものである。
【0047】
図5は、前述の『中央部分重点測光』を本発明における24分割AE方式で実現したものであり、画面中央に相当する領域8〜11、14〜17における重み付け演算係数を1.0とし、その周囲の領域の重み付け演算係数を0.5と設定し、中央部に重点を置いたAE制御となる。具体的には、これらの重み付けされた各領域の積分値を加算した値に基づいてアイリス、シヤツタスピード、ゲインを制御すれば、これらの制御に上述の重み付けを反映させることができる。
【0048】
図6は『風景撮影』等に適した測光領域の例である。一般に風景撮影を行なう場合に地面と空を両方同時に画面に写し込むことが多い。また空の部分は地面の部分と比較して、若干の曇天であつても非常に高輝度であることが多い。このため従来の測光領域を考慮しないAE制御を用いて撮影すると、地面部分あるいは空を背景とした人物等が光量不足で黒くつぶれてしまうことが多かった。
【0049】
これらの不都合を解消するため、空に相当する画面最上部の領域1〜6の重み付け係数を0.0にして実質的に無視し、画面中央部の上方の係数を0.5にし、画面の下半分の係数を1.0にそれぞれ設定する。このように演算係数を割り振ることにより、地面に相当する画面の下方部分に重きを置いたAE演算処理を行なうことができる。この風景撮影モードについての詳細は後述する。
【0050】
上記2例以外にも、撮影状況に応じた撮影モードを設定し、測光領域設定及び後述する撮影状況に応じた撮影プログラムを適宜選択できるようにしておけば、種々のAE特性の設定が可能である。
【0051】
次に前述の3つのパラメータを用いて撮影状況に応じた実際のAE制御について説明する。前述した通り、様々な撮影状況に適応した撮影を行なうためには、従来のアイリス制御だけでは対応しきれないため、本発明では更に多くのパラメータを用意し、これらを最適制御可能とした。
【0052】
すなわち本発明では、幾つかの代表的な撮影状況を想定してそれぞれをその状況に最適な条件にて自動調整しながら撮影が可能となるような『プログラム・モード』と称する撮影制御方式を発明した。そしてこれらのプログラム・モードは、操作部20のキー操作によって任意に選択設定可能である。
【0053】
ビデオ撮影の様々な場所、様々な状況下において、常に良好な撮影を行なうためには、撮影状況に応じて代表的な場面を設定し、場面において最適化をはかるためには複数の自動撮影(露出制御)モードを備える必要がある。
【0054】
この問題を解決するため、複数のパラメータ制御のための制御関数を格納したルツクアツプテーブル(LUT)を複数個設定し、図1に示すようにLUT19a,LUT19b,LUT19c…の複数のテーブルがROM等のメモリによつて準備されており、システムコントロール回路25から選択的に読み取り可能に構成されており、この選択は、操作部20のキー操作によつて行なわれる。
【0055】
このLUT19a,19b,19c…から読み取ったデータにより制御される各パラメータの制御特性の例を図7,図8に示す。
【0056】
図7は、パラメータ(2)のシヤツタスピードを可能なかぎり1/100秒に設定できるようにし、入力パラメータの輝度情報の変化に対しては、パラメータ(1)のアイリスあるいはパラメータ(3)のAGCゲインを可変することによって適正露出制御を行なうようにしたプログラム制御の動作を示すプログラム線図であり、これはたとえばLUT19a内に格納されている。
【0057】
このプログラムモードは、電源周波数が50Hzの地域でNTSC方式のビデオカメラを使用したときに発生する蛍光灯のフリツカを抑制するためのものであり、いわば『室内撮影モード』と称することができる。
【0058】
同図において横軸は入力パラメータとしての被写体照度、縦軸は各パラメータの設定値である。同図から明らかなように、各パラメータの設定範囲は、入力パラメータすなわち被写体照度に応じてA,B,C3つのエリアに分割されており、各エリアの中で3つのパラメータを組み合わせることにより、露出制御を行なうようになっている。
【0059】
すなわちエリアAを見ると、シヤツタスピード(P2)は1/100秒に固定され、且つゲイン(P3)も固定されており、アイリス(P1)を明るさに応じて制御することにより露出制御が行なわれる。このエリアAで大抵の被写体に適応することが可能である。
【0060】
一方エリアBでは照度が低くなり、アイリスが開放になってしまった状況を示しており、アイリスは図に示すように開放値で一定となっている。したがってシヤツタスピードを1/60秒まで変化させることによって、露出制御が行なわれる。すなわちNTSC方式では本来1/60秒周期で蓄積、読み出しを行なっているため、1/60秒は本来の動作タイミングを示す。
【0061】
またさらに照度が低下すると、エリア3に示すように、アイリス,シヤツタが限界に達しているので、ゲイン(P3)を上げることにより、露出制御を行なっている。
【0062】
このように、被写体照度を示す入力パラメータの変化に応じて、制御パラメータP1〜P3を変化させることにより、その撮影状況に応じた最適露出制御を行なうことができるものである。
【0063】
また図8は、別のプログラムモードを示すもので、たとえばLUT19b内に格納されているプログラム線図で、シヤツタスピード(P2)をできるだけ1/500秒という高速シヤツタに設定し、動きの速い被写体に対してブレを抑え、画面を鮮明に撮影できるように用意されたプログラムモードであり、本発明においては『スポーツ撮影モード』と称することにする。
【0064】
同図から明らかなように、エリアA,エリアBにおいてシヤツタスピードを可能な限り1/500秒に維持し、被写体照度の変化に対してはアイリス(P1)とゲイン(P3)によつて露出制御を行ない、被写体照度が低下してシヤツタスピードが維持できなくなつたエリアCで初めて1/60秒まで徐々に変化させるように動作する。
【0065】
また図9は、前述の図6に示す『風景撮影モード』におけるプログラム線図である。実際のプログラム線図は、図7,図8のようになるが、簡単のため、図9では、アイリス,シヤツタスピード,ゲインの順に上方より順次作動範囲を示すことにする。
【0066】
すなわち同図において、Iはアイリス制御パラメータ(P1)、Sはシヤツタスピード制御パラメータ(P2)、Gはゲイン制御パラメータ(P3)を示しており、図の右方に示すように、アイリス制御パラメータ(P1)はCLOSEとOPENの間を動作し、シヤツタスピード制御パラメータ(P2)は一定、ゲイン制御パラメータ(P3)は、±0dBの増幅率1(入力信号をそのまま出力するのでTHROUGHとする)から所定値G1までの間を変化することを意味している。ただし、各パラメータとも可変領域内では、前述の図7,図8のプログラム線図と同様に、入力パラメータである輝度レベルに応じてその値を変化するものとする。
【0067】
風景撮影モードでは、フリツカ、動きの速い被写体等は存在しない場合が多いため、シヤツタスピード(P2)は標準の1/60秒に固定され、アイリス(P1)中心の制御となり、アイリスが開放となつた後、ゲイン(P3)の制御が行なわれる。
【0068】
すなわち同図に示すように、入力パラメータの被写体輝度の値に応じてパラメータの制御範囲がyを境に2つのエリアに分割されている。シヤツタスピード(P2)は、入力パラメータの被写体輝度の値に関係なく1/60秒に固定され、輝度がyまで低下するまではAGCゲイン(P3)は±0dBに固定され、アイリス(P1)のみの制御となる。輝度がy以下となってアイリスが開放となつた後は、AGCゲインを変化させて最適露光制御を行なうように制御される。
【0069】
このように、撮影状況に応じて複数のプログラム・モードを用意しておき、これを操作部20のキー操作で適宜選択することによつて、あらゆる撮影状況に対しても最適な露出制御を行なうことができる。
【0070】
なお、操作部20で撮影プログラムモードを切り換える際、前述したように撮像画面における測光領域の設定も同時に連動して切り換える。たとえば図7の室内撮影モード、図8のスポーツ撮影モードでは通常人物等の画面中央に位置させる被写体を撮ることが多いため、図5に示す『中央部分重点測光』画面とする。また図9の風景撮影モードについても、この撮影モードに切り換える動作に連動して撮像画面における測光領域を図6に示す『風景撮影モード』用の測光領域に切り換える。
【0071】
ところで、上述した各プログラム線図における各パラメータの制御には、以下に示す特徴がある。
【0072】
すなわち、図7,図8等から明らかなように、各制御パラメータを複数のエリア(本実施例ではA,B,Cの3エリア)に分割し、入力パラメータすなわち被写体照度の変化に応じて各エリアが選択されるようになされ、且つ各エリアごとに見ると、いずれもAE制御に用いる可変のパラメータが1つだけ指定され、他の2つは固定(FIX)されている。この様子はプログラム線図下方の表に示されている。
【0073】
すなわち図7では、エリアAではパラメータ(P1)が可変で他は固定、すなわちアイリス制御を行なっているときには、シヤツタスピード、ゲインは固定されている。
【0074】
またエリアBではパラメータ(P2)すなわちシヤツタスピードが可変で他は固定、またエリアCではパラメータ(P3)すなわちゲインが可変で他は固定となつている。
【0075】
この結果、3つの制御パラメータを可変して制御を行なうにもかかわらず、各エリア単位では、可変するパラメータが常に1つとなり、固定されたパラメータの演算処理が不要となるため、演算処理は従来の単一パラメータ処理によるものと変わらない。
【0076】
すなわち本発明は、あらゆる撮影状況に対応させるために制御パラメータを増やしたことによって当然生じる複雑な演算処理を、パラメータの設定領域を複数の領域に分割し、その各領域で可変するパラメータを1つとして他を固定することにより、複雑多岐にわたる撮影条件と複数の制御すべきパラメータの取り扱いが簡素化でき、大規模なロジツクや大型のコンピユータを用いることなく最適AE制御を実現することができるものである。
【0077】
なお、本発明は、上述の制御パラメータの切り換え動作において、もう1つの特徴を備えている。
【0078】
すなわち本発明は、可変するパラメータを常に1つにして他を固定することによって演算処理の削減をはかっているが、ビデオカメラ特有の性質として、通常撮影の対象が動画像であり刻々と撮影条件が変化していることが挙げられる。
【0079】
入力パラメータに対応して各制御パラメータを設定する場合、撮影条件の変化に伴い、分割した複数のエリア間を入力パラメータの値が移動することが生じてくる。このとき、被制御パラメータの切り換え動作が発生するが、パラメータによっては画面上の変化の仕方が大きく異なることがあり、この変化が頻繁に発生すると、画面が見ずらくなることが予想される。
【0080】
この対策として、エリア移行の際にヒステリシスを持たせ、エリア移行の頻度を低く抑えることが考えられるが、切り換えが発生した場合には効果がなく、根本的な対策には成り得ない。
【0081】
そこで、本発明では、この対策として図7,8に示すように、隣接エリアの2つのパラメータを、エリアの境界付近辺の境界部分の領域B1、B2においてのみ同時に変化させるように制御している。
【0082】
図7において、破線で挟まれた境界部分B1がパラメータP1とP2とが同時に動作する境界領域であり、同様に境界部分B2ではパラメータP2とP3とが同時に動作されている。
【0083】
このようにして2つのパラメータを同時に変化させることによって、各パラメータ特有の画像変化が同時にかつ徐々に発生して行くので、エリア間におけるパラメータの移動が発生した場合でも画面の変化を視覚的に違和感のないものとすることができる。
【0084】
以上、露出を複数の撮影プログラム・モードによつて制御する方法について説明したが、本発明によれば、上述の撮影モードの切り換えにともない、システムコントロール回路25の指令により、D/A変換器22,23を介して各種の画像処理や、カメラ信号処理の各種特性を標準位置から、それぞれの撮影状況に応じて変化させるための制御信号が供給可能に構成されている。
【0085】
すなわち撮影の行なわれる様々な場所、状況において、各々の場面を常に最適に表現するためには、撮影時の基本的な制御パラメータによる制御に加え、図1に示すカメラ信号処理回路6,画像信号処理回路7等に対する制御も効果的である。
【0086】
そこで、設定した代表的な場面に応じた撮像画面を考慮し、設定された撮影モードに応じて、図1のカメラ信号処理回路6では映像信号レベルの非線形変換特性(knee特性やγ特性)を図11に示すa,b,cのように変化させたり、画像の先鋭度を変化させるアパーチヤ補正回路の特性等を制御可能となし、また同図の画像信号処理回路7では、付加的な画像効果を付与するための処理として、たとえば撮像した映像信号に『フエード効果』や『残像効果』を与えることが考えられる。
【0087】
図12図にこのような付加効果を施す機能を備えた画像信号処理回路6の構成例を示し、以下にその構成及び動作について説明する。
【0088】
色信号処理回路30からはシステムコントロール回路25からの制御信号※1によつて指定された色信号(たとえば全面青のブルーバツクあるいは全面白等)を発生し、その色信号と、映像出力をフイールドメモリ回路32により1画面遅延した信号と、無信号の3者択一の選択を行なう選択スイツチ31へと供給される。
【0089】
この選択スイツチ31より、システムコントロール回路25の指示※2によって選択された3者のうちの1つの情報が、乗算器33の入力端子へと供給される。乗算器33は、システムコントロール回路25の指示※3によって乗算係数発生器34より出力された係数を用いて乗算処理を実行する。その乗算結果は加算器35によって、入力端子36より入力された映像入力信号に乗算器38によって同様の係数乗算処理を行なった結果の信号と加算され、出力端子37へと供給される。
【0090】
このような信号の処理過程において、選択スイツチで無信号のOFF端子を選択すると加算器35に入力されるのは入力端子緒36からの映像信号のみであるので、この映像入力信号がそのまま映像信号出力端子37へ(スルー)出力される。この時の乗算器38の係数は1.0でスルーとなっている。
【0091】
次に色信号発生器30の出力を選択スイツチ31で選択した場合には、システムコントロール回路25の指示(開始/終了のタイミングあるいは直接の係数設定)に応じて乗算係数発生器34の出力との演算を行ない映像入力端子36からの入力映像信号と逆動作(係数で1の補数関係)にて一方が0→1と出現し、他方が1→0と消滅し、結果的に色信号と入力信号が入れ替わる。視覚的には、青画面から徐々に動画像に変化していくように画面が変化する。
【0092】
またフイールドメモリの出力を選択した場合も乗算器38の係数の関係は前述同様に1の補数である。違いは時間的な変化を伴わず、たとえば0.5等に固定して動作させる点である。
【0093】
この場合、加算して出力した結果を1画面遅れで所定の割合で巡回的に加算して行くので、入力画像が時間軸方向に尾を引くように表現される。
【0094】
そしてこのような信号処理を、たとえば人物を重点的に撮影するような、ポートレート撮影モード等において動作させることにより、前述のカメラ信号処理回路においては、アパーチヤ特性等を変化させて人間の視覚特性の先鋭度に関与する周波数、テレビ信号においては2〜3MHz近辺の周波数レスポンスを低下させることによって画像に柔らかな感じを付与することができる等、画質調節を行なうことができる。
【0095】
また上述の図12に示すような回路を動作させれば、画像に色フエードをかけることができる等、特殊画像処理の効果を自動的に付与することができる。
【0096】
このポートレート撮影モードは基本的には図5に示すような測光領域に同図のような重み付けを施した中央重点測光による撮影モードであり、撮影プログラム・モードについて示すと、そのプログラム線図は図13に示すように設定されている。実際のプログラム線図は、図7,図8のようになるが、簡単のため、図9と同様に、アイリス,シヤツタスピード,ゲインの順に上方より順次作動範囲を示すことにする。
【0097】
すなわち図13において、Iはアイリス制御パラメータ(P1)、Sはシヤツタスピード制御パラメータ(P2)、Gはゲイン制御パラメータ(P3)を示しており、図の右方に示すように、アイリス制御パラメータ(P1)はCLOSEとOPENの間を動作し、シヤツタスピード制御パラメータ(P2)はHighスピード(T1)と標準の1/60秒の間を変位し、ゲイン制御パラメータ(P3)は、±0dBの増幅率1(入力信号をそのまま出力するのでTHROUGHとする)から所定値G1までの間を変化することを意味している。
【0098】
ただし、各パラメータとも可変領域内では、前述の図7,図8のプログラム線図と同様に、入力パラメータである輝度レベルに応じてその値を変化するものとする。
【0099】
このポートレートモードは、被写体が人物であることを想定しており、したがって被写界深度を浅く撮ることを重視している。
【0100】
同図から明らかなように、横軸の被写体照度に対してy1,y2の2つのしきい値が設けられ、3つのエリアに分割されている。
【0101】
アイリスはについて見ると、高輝度のエリアAでは、アイリスによる制御が行なわれるが、高輝度でS/Nを確保したいため、アイリスが開放値となるまでAGCのゲインは±0dBのまま保持されるが、アイリスの小絞りによる回折現象からくる解像力の低下を考慮してアイリスの制御が行なわれる。
【0102】
具体的には、入力輝度レベルがy1以下ではアイリスは開放値に制御される。これによって通常の輝度ではアイリスは開放となり、被写界深度を最も浅くすることができる。すなわちアイリスの制御特性は、y1を境にして高輝度から低輝度までの全域を可変領域と開放領域の2段階に切り換えられる。
【0103】
シヤツタスピードについて見ると、y1以上の高輝度領域では、通常の1/60秒より高速の高速シヤツタスピードT1に設定されており、これは小絞り対策に加え、高輝度でもできる限り被写界深度を浅くするため、ある程度高めのシヤツタスピードに設定されている。実際には1/250〜1/4000秒程度の範囲内で設定される。
【0104】
またこれはS/Nをかせぐため、低輝度になってもAGCゲインを上げずに制御できる意味もある。
【0105】
y1〜y2のエリアにおいては、アイリスが開放値になつており、AGCゲインもS/Nの点から上げたくないので、シヤツタスピードを前記T1と標準の1/60秒の間で変化させることによって露出制御が行なわれる。
【0106】
輝度レベルがy2以下では、シヤツタスピードをテレビジヨン信号の標準値である1/60秒(NTSC)に設定される。
【0107】
この状態ではAGCゲインのみによる露出制御となり、S/Nの許容範囲内でゲインを上げることにより露出制御が行なわれる。
【0108】
AGCゲインについては、上述したように、輝度がy2以上では常に±0dBに固定されており、AGC回路5自体増幅作用を持たない状態に制御され、このy2以上の領域が被写体照度の大部分を占めるようにするので、全域にわたってS/Nの良好な撮影画像を得ることができる。
【0109】
入力輝度レベルがy2以下となって、初めてゲインの制御が行なわれ、ゲインアツプすることによってS/Nの許す範囲で露出制御が行なわれる。
【0110】
このように、ポートレートモードにおいては、中央重点測光で撮影されるが、人物を基本とした撮影が前提となるので、上述した画質調整や画像処理を併用するときわめて有効である。
【0111】
以上、各撮影モードにおける各制御パラメータの設定、同じく撮影モードに応じた測光領域の設定、さらに撮影モードに応じた信号処理系の特性の切り換えについて基本的な説明を行った。
【0112】
次に上述したアイリス,シヤツタスピード,ゲイン等の各制御パラメータの設定動作の手順について説明する。
【0113】
図10は、たとえば図7のプログラム線図を用いるプログラム撮影モードにおける、上述のエリア境界部分のパラメータ処理を含めたパラメータ設定動作を示すフローチヤートである。
【0114】
同図において、制御をスタートすると、S1にて電源投入を監視し、電源投入がなされるとS2へと進み、操作部20によつて選択された撮影プログラム・モード(M)を確認してS3へと進み、選択されているプログラム・モード(M)に対応するLUT19aあるいは19b、19cを参照し、指定のプログラム特性を設定する。
【0115】
S4では前記指定されたLUTから撮像画面上に設定された24分割それぞれの重み付けに関するデータを読み出し、前述のように、その撮影モードに応じた重み付けを行ない、S5へと進む。
【0116】
S5では指定された撮影モードに応じて、LUTより画像処理の内容及び特性を読み出し、その撮影モードに適応した、上述の例で言えばアパーチヤ制御による画質調整や、色フエード等による画像処理が設定される。
【0117】
S6では、基準パラメータ軸上における現在のエリアすなわち入力パラメータに対応する被写体照度から現在のエリアを確認する。
【0118】
続いてS7へと進んで、現在のエリアに応じて分岐先を決定する。
【0119】
エリアAと決定された場合には、S8へと進んでアイリス制御パラメータP1を算出し、続いてS9でエリアの境界域B1の内外の判定を行ない、境界B1外であれば、S10に進んでシヤツタスピード制御パラメータP2を前置保持して固定し、B1内であればS11へと進んでシヤツタスピード制御P2を算出して更新した後、S21へと進み、ゲイン制御パラメータP3を前置保持して固定し、S24へと進む。
【0120】
またS6でエリアBと決定された場合は、S12でシヤツタスピード制御パラメータP2を算出し、S13へと進んでエリアの境界域B1,B2それぞれの内外の判定を行ない、B1内であつた場合はS14でアイリス制御パラメータP1を算出してS21へと進み、ゲイン制御パラメータP3を前置保持して固定した後S24へと進む。
【0121】
B2内であつた場合にはS16へと進んでゲイン制御パラメータP3を算出して、S23へと進み、アイリス制御パラメータP1を前置保持して固定した後、S24へと進む。
【0122】
B1にもB2にも属していない場合には、S15でアイリス制御パラメータP1を前置保持して固定し、S22でゲイン制御パラメータP3を固定した後、S24へと進む。
【0123】
またS7において、エリアCと決定された場合には、S17へと進んでゲイン制御パラメータP3を算出し、続いてS18でエリアの境界域B2の内外の判定を行ない、境界B2外であれば、S20に進んでシヤツタスピード制御パラメータP2を前置保持して固定し、B2内であればS19へと進んでシヤツタスピード制御P2を算出して更新してS23へと進み、アイリス制御パラメータP1を前置保持して固定した後、S24へと進む。
【0124】
S24では、前述の処理によつて設定した各パラメータの値P1,P2,P3すなわちアイリス、シヤツタスピード、ゲインの各制御値をシステムコントロール回路25より出力して、アイリス2、撮像素子3、AGC回路5をそのプログラム・モードに応じてそれぞれ制御し、S25で次の処理時間単位が来るまで待機し(本実施例では、1フレームに1演算を基本単位とする)、S26で電源遮断を確認し、電源ONが継続していればS1へと戻って上述の処理を繰り返し行ない、電源OFFが指示されていれば、処理を終了する。
【0125】
これによつて、選択されたプログラム・モードそれぞれに応じた各種パラメータの制御が可能となり、これに基づいて露出制御が行なわれる。
【0126】
また撮影プログラム・モードの切り換えに連動して撮像画面における測光領域及び画像信号処理系の特性あるいは付加的機能もその撮影状況に適したものに切り換えるようになつているため、それらの各の撮影状況に応じて常に最適な自動露出制御及び撮影を行なうことができる。
【0127】
しかも撮影状況が変化してもカメラの撮影状態が不自然に変化することがなく、最適な制御モード切り換えを行なうことができる。
【0128】
次に、本発明のさらに別のプログラム撮影モードである『サーフ&スノー撮影モード』について説明するとともに、『サーフ&スノー撮影モード』を例にして各種撮影モードの設定及び制御、及びデータテーブルLUTの内部構造及びその設定による制御パラメータの制御について詳細に説明する。
【0129】
『サーフ&スノー撮影モード』とは、たとえば雪景色、砂浜等、画面の広範囲が高輝度となる撮影状況を想定したプログラム撮影モードである。
【0130】
一般にこのような画面を背景にして主要被写体を撮影すると、主要被写体は背景の高輝度に引っ張られて『黒つぶれ』を生じる。
【0131】
これを防止するために露出を補正して主要被写体の黒つぶれを防止することが考えられるが、単純にこのような方法をとれば、また雪景色、砂浜等のように輝度の高い背景が広範囲にあると、背景と主要被写体の両方に程よい露出制御を行なうことは困難であり、逆に白が灰色になる等、背景の景色が不自然になる問題が生じる。
【0132】
本発明の『サーフ&スノー撮影モード』はこのような撮影状況においても良好な露出制御を行ない不自然さのない撮影を可能とするプログラム撮影モードであり、操作部20の操作によって設定される。
【0133】
図14はこのモードが選択されたとき参照され、その制御に必要な各種制御パラメータの定義、特性を格納したデータテーブルLUTの内部構造を示す。
【0134】
またこのLUTによって定義、設定された各種制御パラメータの動作すなわち入力輝度レベルに対する各制御パラメータの遷移を示すプログラム図は、図13に示すポートレート撮影モードにおける制御パラメータ遷移図のデザインと同様である。したがって、本願では、このサーフ&スノー撮影モードにおける制御パラメータの設定の説明を図13を用いて行なう。
【0135】
ただしデザインが同様であるだけで、2つのしきい値と、シヤツタスピード、ゲイン制御値はこれらの撮影モード間では、別個に設定されるものであり、これらを区別するため、2つのしきい値をそれぞれy1’,y2’とし、高速シヤツタスピードをT1’とし、ゲイン制御値をG1’として図示することにする。
【0136】
以下各図における個々のパラメータについて順に説明する。
(P1:アイリス制御パラメータ)アイリス制御パラメータは、入力パラメータYすなわち輝度レベルによって変化し、その属性として関数f(y)が定義されている。
【0137】
入力輝度レベルが図13に示すしきい値y1’よりも高い場合には図14の右側のデータ欄から明らかなように、『→CAL』の表示で演算(calculation)が必要であることを示している。
【0138】
高輝度でS/Nを確保したいため、AGCゲインは±0dB(THRUGH)のままで、アイリスの小絞りによる光の回折現象に起因する解像力の低下という小絞り対策を考慮し、アイリスを先に開放値まで開ききるように制御される。
【0139】
入力輝度レベルがy1’以下では、アイリスを開放に設定する制御が『→OPEN』で示されている。
【0140】
このようにして1つのしきい値y1にて高輝度から低輝度までの全域を2分割してアイリスの制御特性が定義されている。
(P2:シヤツタ制御パラメータ)シヤツタ制御パラメータは、しきい値y1’,y2’によって入力パラメータの輝度の関数f(Y)が定義されている。
【0141】
入力輝度レベルがy1’よりも高い場合には『→T1’』が指定され、シヤツタスピードを高速のT1に固定する設定になっている。この場合においては演算は不要である。
【0142】
ここでT1は前述したように、小絞り対策のため、ある程度高めのシヤツタスピードに設定する。
【0143】
実際には1/125〜1/500秒程度の範囲内で選択される。
【0144】
またこの段階では、S/Nをかせぐため、低輝度になつてもできる限りAGCゲインを上げずに制御される。
【0145】
入力輝度レベルがy1’とy2’の間では、『→CAL』が設定されており、入力輝度レベルに応じた最適なシヤツタスピードを演算によって求め、制御パラメータ値の設定を行なうよう制御することを示している。
【0146】
またここでの制御可変幅は前述のT1’とテレビジヨンの標準の画面周波数(標準値)の間である。
【0147】
入力輝度レベルがy2’以下ではシヤツタスピードをテレビジヨン信号の標準値に設定すべきであることが『→標準値』で示されている。
【0148】
ここで言うテレビジヨン信号の標準値とは、NTSCでは1/60秒、PALでは1/50秒のことを指す。
【0149】
この状態では、AGCゲインだけが制御可能なパラメータとして残っているので、S/N劣化の点で許容し得る範囲内でゲインアツプし、露出制御を行なうように制御される。(P3:AGCゲイン)AGCゲインを処理対象のパラメータとした場合も、複数のしきい値により、その入力輝度の関数f(Y)が定義されており、入力輝度レベルがy2’より高い場合は『→±0dB』の指定がなされ、AGCゲインを±0dBに固定し、増幅作用を持たせない利得設定がなされている。すなわちアイリスとシヤツタによって露出制御が可能な場合は、AGCゲインを固定してS/Nの劣化を防止するためであり、この場合も演算不要である。
【0150】
またこの区間が被写体照度の範囲の大部分を占めるように設定されているため全域にわたってS/Nの良好な撮像が可能となる。
【0151】
また入力輝度レベルがy2’以下では、最適なAGCゲインが演算され、ゲイン制御パラメータの設定が行なわれるよう、『→CAL』が指定されている。
【0152】
既に他のパラメータは限界にきており、この状態において残されている制御可能なパラメータはAGCゲインのみであるため、S/N劣化との兼ね合いを考慮しながら、許容し得る範囲内でゲインアップをはかり露出制御が実行される。
【0153】
これらのしきい値y1’,y2’によって3つに分割されたエリアと3つの制御パラメータの関係は、図13より明らかであり、ここでも演算すべきパラメータは、3つのエリアそれぞれにおいて常に1つとなるよう分散して配置され、演算の簡略化がはかられており、その配置は高輝度側のエリアより、I,S,Gとなっている。
(P4:AEウエイテイングパラメータ=測光領域重み付け設定)撮像画面内の測光領域分布及びそれらの重み付けを設定するパラメータであり、図14より明らかなように、属性はf(Y)で、入力輝度の関数であることが示されている。
【0154】
具体的には入力輝度信号に応じて作成するヒストグラムによって定義されており、撮像画面の24分割それぞれの領域における入力輝度信号レベルを検出して輝度レベルのヒストグラムを作成し、これによって撮像画面上の輝度の高い部分、低い部分の分布状態を正確に検出し、重点測光する領域を決定する。
【0155】
本実施例では24分割の領域に対して各々の輝度レベルを検出してこれらより作成した輝度ヒストグラムから上位N%(本実施例ではN=50%すなわち24÷2=12となつており、この値は程度に応じて複数備えてもよい)の領域を抽出し、この12領域の輝度情報のみを用いて露光制御を行なう。
【0156】
係数で表現すると、抽出領域には各々1.0を、非抽出領域には各々0.0をわりあててAE制御の演算を実行することになる。
【0157】
このようなヒストグラムの様子を図15に示す。同図の上部が輝度ヒストグラムで横軸はIREのレベルを示し、左方から右方へとレベルが高くなり、縦軸の0〜6は各IREレベルに該当するエリアの数を示す。
【0158】
また下部は上部の輝度ヒストグラムの累積ヒストグラムである。縦軸は24分割した領域の数を表わしている。
【0159】
そして同図では、この累積ヒストグラムの24領域中、50%にあたる上位12領域(1〜12)を抽出することを示している。またこのヒストグラムに基づいて撮像画面内の24の分割領域に重み付けを行なった測光領域分布を図16に示す。上記のヒストグラムによって抽出した領域には1.0の重み付け演算係数が割り振られている。
【0160】
このようにして、撮像画面内における輝度の高い方から半数の12個を選択して、その部分を重視したAE測光特性が設定でき、画面内において輝度の高い部分を広めに重点測光するため、雪景色や砂浜等の全体的に高輝度部分が多い撮影状況でも、主要被写体の黒つぶれや、画面内の一部の黒つぶれを防止すべく露出補正を行なった結果によって画面の高輝度部分の画像が白とびを起こして不自然になるような品位の悪い撮影を防止し、画面全体で自然な撮影画像を得ることができる。
(P5:AE基準値パラメータ)AE基準値のパラメータは露出制御の基準となる輝度レベルを示すものであり、数値定義で格納されている。この基準値をもとにして露出の過不足の判定が行なわれるものであり、本実施例では雪景色、砂浜等のように撮像画面内において高輝度部分の占める割合の多い撮影状況を想定した撮影モードであるので、高輝度被写体部分が全体的にきれいに写るように、AE基準値は一般的な50IREに対して若干高めの設定として80IREの設定になっている。このパラメータも入力輝度レベルによらず、その撮影モードでは一定である。
(P6:画質調整パラメータ)前述したアパーチヤ制御等による画質調整処理を指定するパラメータで、処理内容をコードによって定義されており、属性は固定で、撮影モードに応じて設定されており、入力輝度レベルによっては変化しない。
【0161】
この撮影モードでは『NORMAL』の設定になつており、基本画質を標準値に設定する。
(P7:画像効果処理パラメータ)図12で説明したような、フエード等の画像処理を指定するためのパラメータで、処理内容はコードによって定義されている。
【0162】
『NORMAL』の指定がなされており、画像の特殊効果は行なわれない設定となっている。
【0163】
このように、本発明におけるデータテーブルLUTには、制御に必要な各種パラメータの定義、特性が格納されており、且つこのようなLUTを撮影モードに応じて複数備え、指定された撮影モードに応じて選択できるため、あらゆる撮影状況、撮影環境に対して、常に最適な制御を行なうことができる。
【0164】
このように、本発明におけるデータテーブルLUTには、制御に必要な各種パラメータの定義、特性が格納されており、且つこのようなLUTを撮影モードに応じて複数備え、指定された撮影モードに応じて選択できるため、あらゆる撮影状況、撮影環境に対して、常に最適な制御を行なうことができる。
【0165】
以上『サーフ&スノー撮影モード』を例にして、その制御パラメータを定義したデータテーブルLUT、及びそれによって設定された制御パラメータの動作特性について説明した。
【0166】
ここで、図14に示すLUTからデータをシステムコントロール回路へと読み出して制御パラメータを演算し、図13のように制御パラメータを設定する動作について、図17のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0167】
これらの処理動作は、基本的には、図10のフローチヤートにおけるS2のプログラム撮影モードの確認処理からS24の、各制御パラメータに基づくアイリス,シヤツタ,ゲイン制御データの出力までの処理の中で行なわれる。
【0168】
図17は、撮影プログラム・モードに応じた制御特性をセツトするためのデータセツトの手順を示す動作フローチヤートで、図10のフローチヤートのS2〜S24の処理の中で並行して実行されるルーチンであり、このルーチンを終了後は図10のS25へとリターンするものとする。
【0169】
制御をスタートすると、S101で撮影モードの選択を図1の操作部20によって行ない、その選択結果がシステムコントロール回路25へと取り込まれ、S102において、選択された撮影モードに応じたLUTが、LUT19a〜19bの中から選択される。
【0170】
S103ではパラメータを指定するためのパラメータカウンタnをn=01に初期設定を行ない、S104でS103にて指定されたパラメータPnのデータを読み込む。
【0171】
このパラメータ指定について説明すると、図14の例では、n=01のときはアイリスに関するデータ、n=02のときはシヤツタスピードに関するデータ、n=03のときはAGCゲインに関するデータ、n=04のときはAEウエイテイング(測光領域の重み付け係数)に関するデータ、n=05のときはAEの評価基準値に関するデータすなわち輝度レベルを一定に合わせる基準となるレベル、n=06のときは画質調整に関するデータ、n=7で特殊効果的な画像処理等に関するデータがそれぞれシステムコントロール回路25に読み込まれる。
【0172】
S105では、読み込まれたパラメータの属性を確認し、入力パラメータに依存したものであるか(f(Y))、入力パラメータに依存せずモードに対応した固定的なデータかの判別が行なわれる。
【0173】
すなわち図14のテーブルに示すように、属性とは入力パラメータすなわち本実施例では被写体照度に対して、所定の関数f(Y)にしたがって変化するものであるか、入力パラメータの変化に関係なく固定であるかを示しており、S105でパラメータの属性がf(Y)で入力パラメータに依存するものであれば、S107へと進み、固定であればS106へと進み、データの属性が輝度レベルによらず固定であるとしてそのパラメータの値を設定する。
【0174】
S107ではパラメータ・カウンタnに1を加算して、n+1とし、S108でnがLUT内の最大値よりも大きくなつたか否かを確認し、nが最大値に達するまで、上述のS104〜S107の動作を繰り返し行ない、パラメータの読み込みと属性の判別動作を繰り返し行ない、nが最大値を越えた場合にはS109以下のデータ出力処理へと移行する。
【0175】
S109以降はS101〜S108でLUTより読み込んだパラメータをもとに制御データの出力演算を行なう処理を示すもので、S109ではパラメータカウンタをn=01にリセットする。
【0176】
S110では、パラメータの属性を確認し、入力パラメータに依存するもの(f(Y))であるか、入力パラメータには依存せずモードに対応した固定的なものであるかの判定が行なわれ、f(Y)ならS111へ、固定ならS111、S112を飛ばしてS113へと進む。
【0177】
S111では単位処理時間(たとえば1フイールド期間)ごとに積分器10の出力をA/D変換器11にてサンプリングし、入力パラメータとしての輝度信号レベルをシステムコントロール回路25へと取り込む。この入力信号の値に応じて、LUTのデータ定義を参照し、データ演算の要/不要の判断を行なう。演算の条件に合致した場合にはS112へと進んで現在の状態において指示されたパラメータだけを変化させ、AEの制御を行ない、適正露光に調節するためのそのパラメータの最適値を演算する。
【0178】
またS111で演算不要と判断された場合には、S112の制御出力の演算処理を飛ばしてを飛ばしてS113へと進む。
【0179】
S113ではパラメータカウンタnに1を加算し、n+1としてS114へと進み、パラメータカウンタnがLUTのパラメータ番号の最大値を越えるまで、ステツプS110へと戻り、全パラメータに関して上述のS110〜S113の処理を繰り返し行ない、パラメータカウンタnがLUTのパラメータ番号の最大値を越えたら、次のS115へと進んで、図10のフローチヤートのS25の処理へとリターンする。
【0180】
以上がデータ参照テーブルLUTより各パラメータの特性を読み出してAE制御データを演算するまでの処理手順であり、このようにして、設定された撮影モードに応じたLUTより、その撮影状況に適した制御データを読み出して制御を行なうことにより、最適な撮影を実行することができる。
【0181】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明における撮像装置によれば、複数のパラメータを用いて撮影状態を制御するようになすとともに、その撮影モードに応じたデータテーブルより撮影状況に適した制御データの設定条件を読み出して制御するようにしているので、従来の装置に比べてよりきめ細かな制御が可能となり、様々な撮影条件においても、撮影モードの選択のみで最適な撮影が可能となる効果を有する。
【0182】
また実際の制御について見ると、撮像画面を複数領域に分割してマルチエリア測光方式とし、各測光領域ごとに輝度レベルに基づいた輝度ヒストグラムを作成し、その輝度の上位N%の領域のみを用いて測光領域を決定するとともにAE制御の評価基準値を可変してAEを行なう測光モードを備えているので、画面内に雪景色、砂浜等の広範囲の高輝度被写体を含むような従来では適正露出の制御が困難であつた撮影状況に対しても、高輝度部分及び主要被写体の両方に程よくバランスのとれた、白とび、黒つぶれ等のない露出制御を行なうことができる等、種々の撮影状況に対して常に最適露出制御を行なうことができる。
【0183】
また撮影モードを切り換えることにより、測光分布も連動してそのモードに適応した設定に切り換わるようにしたので、操作性が向上し、設定ミス等の防止にもなる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明における撮像装置をビデオカメラの露出制御装置に適用した場合の構成を示すブロツク図である。
【図2】
中央部分重点測光における測光領域を示す図である。
【図3】
電子シヤツタの動作を説明するための図である。
【図4】
本発明における撮像画面上の領域分割状態を示す図である。
【図5】
本発明における『中央部分重点測光』の測光領域設定及び重み付けを説明するための図である。
【図6】
本発明における『風景撮影モード』の測光領域設定及び重み付けを説明するための図である。
【図7】
本発明の『室内撮影モード』に応じたパラメータ処理を説明するためのプログラム線図である。
【図8】
本発明の『スポーツ撮影モード』に応じたパラメータ処理を説明するためのプログラム線図である。
【図9】
本発明の『風景撮影モード』に応じたパラメータ処理を説明するためのプログラム線図である。
【図10】
図7,図8におけるパラメータ設定を説明するため処理を説明するためのフローチヤートである。
【図11】
本発明における撮影モードの切り換えに連動して行なわれるカメラ信号処理回路の特性を示す図である。
【図12】
本発明における撮影モードの切り換えに連動して行なわれる、画像処理回路の制御を説明するための図である。
【図13】
本発明の『ポートレート撮影モード』及び『サーフ&スノー撮影モード』に応じたパラメータ処理を説明するためのプログラム線図である。
【図14】
本発明の『サーフ&スノー撮影モード』に応じたデータテーブルの構造を説明するための図である。
【図15】
本発明の『サーフ&スノー撮影モード』に応じた測光領域を決定するための輝度ヒストグラムを示す図である。
【図16】
図15のヒストグラムに基づいて測光領域設定及び重み付けを行なった撮像画面を示す図である。
【図17】
図10のフローチヤートの処理をさらに細部にわたつて詳細に説明するためのフローチヤートである。
【図18】
一般的な撮像装置をビデオカメラの露出制御装置に適用した場合の構成を示すブロツク図である。
【図19】
シヤツタ優先モードを説明するための図である。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-08-11 
出願番号 特願平3-210877
審決分類 P 1 651・ 532- YA (H04N)
P 1 651・ 121- YA (H04N)
P 1 651・ 533- YA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 関谷 隆一  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 西谷 憲人
安田 太
登録日 2003-02-28 
登録番号 特許第3402617号(P3402617)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 撮像装置及び撮像方法  
代理人 西山 恵三  
代理人 内尾 裕一  
代理人 内尾 裕一  
代理人 西山 恵三  

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