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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H04N
管理番号 1125801
異議申立番号 異議2003-73765  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-02-12 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-30 
確定日 2005-08-27 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3449486号「電子スチルカメラ」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3449486号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3449486号の請求項1に係る発明は、平成3年7月31日に特許出願され、平成15年7月11日にその特許権の設定登録がなされ、その後、有限会社オフィスアテナ(代表者藁科ひさ子)より特許異議の申立てがなされ、平成17年5月11日付けで取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成17年7月25日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載について、「
所定の記録媒体上の記録ブロツクごとに、映像信号に変換された静止画像を記録、再生する電子スチルカメラにおいて、
再生モードにするための再生スイツチと、上記記録媒体に記録、再生された履歴を記憶するデータメモリとを設け、 上記電子スチルカメラに装填された上記記録媒体上に記録された上記静止画像を上記再生スイツチと操作して再生する際に、上記データメモリに記憶された履歴に基づいて、上記記録媒体が上記電子スチルカメラに装填されてから上記再生スイツチが操作されるまでに再生された上記静止画像が消去された場合には、当該消去された静止画像が記録されていた記録ブロツクからみて後ろの最初の記録済ブロツクに記録されている上記静止画像を再生することを特徴とする電子スチルカメラ。」と訂正する。
イ.訂正事項b
明細書の段落番号【0007】を、「
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、 所定の記録媒体50上の記録ブロツクTR1,TR2,TR3……ごとに、映像信号に変換された静止画像を記録、再生する電子スチルカメラ10において、再生モードにするための再生スイツチ34と、記録媒体50に記録、再生された履歴を記憶するデータメモリ41Cとを設け、電子スチルカメラ10に装填された記録媒体50上に記録された静止画像を再生スイツチ34を操作して再生する際に、データメモリ41Cに記憶された履歴に基づいて、記録媒体50が電子スチルカメラ10に装填されてから再生スイツチ34が操作されるまでに再生された静止画像が消去された場合には、当該消去された静止画像が記録されていた記録ブロツクTR1,TR2,TR3……からみて後ろの最初の記録済ブロツクに記録されている静止画像を再生するようにした。」と訂正する。
ウ.訂正事項c
明細書の段落番号【0008】を、「
【0008】
【作用】
記録媒体50に記録された静止画像を再生スイツチ34を操作して再生する際に、データメモリ41Cに記憶された履歴に基づいて、記録媒体50が装填されてから再生スイツチ34が操作されるまでに再生された静止画像が消去されていたとき、当該消去された静止画像の後ろの最初の記録済ブロツクに記録されている静止画像を再生するようにしたことにより、ユーザは、記録媒体50を装填してから再生スイツチ34を操作するまでに行われた静止画像の再生、消去動作状態を基準にして再生したい記録ブロツクを容易に判断できる。」と訂正する。
エ.訂正事項d
明細書の段落番号【0051】を、「
【0051】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、記録媒体に記録された静止画像を再生スイツチを操作して再生する際に、データメモリに記憶された履歴に基づいて、記録媒体が装填されてから再生スイツチが操作されるまでに再生された静止画像が消去されていたとき、当該消去された静止画像の後ろの最初の記録済ブロツクに記録されている静止画像を再生するようにしたことにより、ユーザは、記録媒体を装填してから再生スイツチを操作するまでに行われた静止画像の再生、消去動作状態を基準にして再生したい記録ブロツクを容易に判断できる。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、また、上記訂正事項bないしdは、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
申立人有限会社オフィスアテナ(代表者藁科ひさ子)は、請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開昭63-152284号公報)のものと同一であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、甲第1号証、甲第2号証(特開昭63-286077号公報)をもとに容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許を取り消すべきと主張している。

(2)本件の請求項1に係る発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(上記2(1)ア参照)により特定されるとおりのものである。

(3)刊行物
取消理由に係る刊行物は、特許異議申立人が証拠として提示した以下の刊行物である。
刊行物1:特開昭63-152284号公報(甲第1号証)
これには、磁気シートに映像信号を記録する記録再生装置であって、連続的に消去を行う場合は、消去したらヘッドを1トラックずつ移動させ、一定時間だけ画像を再生する点、および消去実行時にあきトラックを飛ばしてもよいとする点が記載されている。
刊行物2:特開昭63-286077号公報(甲第2号証)
これには、順次表示されている画像に対して消去指令を与える点が記載されている。

(4)対比・判断
本件発明と上記刊行物1及び2に記載の発明とを対比すると、両刊行物に記載の発明は、本件発明を特定する事項である、「データメモリに記憶された履歴に基づいて、再生スイツチ操作以前の再生履歴に応じて消去された静止画像の後ろの最初の記録済ブロツクに記録されている静止画像を再生する」事項を備えておらず、当該事項により本件請求項1に係る発明は、明細書記載の顕著な効果を奏するのであり、本件発明が上記刊行物1記載のものと同一とはいえないし、上記刊行物1及び2に記載のものから容易に発明をすることができたものともいえない。

(5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電子スチルカメラ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の記録媒体上の記録ブロツクごとに、映像信号に変換された静止画像を記録、再生する電子スチルカメラにおいて、
再生モードにするための再生スイツチと、上記記録媒体に記録、再生された履歴を記憶するデータメモリとを設け、
上記電子スチルカメラに装填された上記記録媒体上に記録された上記静止画像を上記再生スイツチを操作して再生する際に、上記データメモリに記憶された履歴に基づいて、上記記録媒体が上記電子スチルカメラに装填されてから上記再生スイツチが操作されるまでに再生された上記静止画像が消去された場合には、当該消去された静止画像が記録されていた記録ブロツクからみて後ろの最初の記録済ブロツクに記録されている上記静止画像を再生することを特徴とする電子スチルカメラ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【目次】
以下の順序で本発明を説明する。
産業上の利用分野
従来の技術
発明が解決しようとする課題
課題を解決するための手段(図5)
作用(図5)
実施例(図1〜図5)
発明の効果
【0002】
【産業上の利用分野】
本発明は電子スチルカメラに関し、例えば磁気デイスク上の同心円状に形成された記録トラツクに静止画を記録、再生するようになされた電子スチルカメラに適用して好適なものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、電子スチルカメラにおいては、被写体を固体撮像素子(以下これをCCDと呼ぶ)を介して撮像することによつて得られる静止画信号を磁気デイスク上に形成された同心円状の記録トラツクに記録するようになされたものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこの種の電子スチルカメラにおいては、被写体を撮影して磁気デイスク上に記録する撮影モードに加えて磁気デイスク上に記録された静止画を再生する再生モードを設ければ、当該電子スチルカメラだけで撮影及び再生をすることができ、一段と使い勝手が良いと考えられる。
【0005】
ところがこのような構成の電子スチルカメラにおいては、撮影モードにおいて例えば直前に撮影した画像を確認しようとする場合、又は再生モードにおいて装填した磁気デイスクに記録されている画像を初めて再生する場合、さらには不要画を消去した後に続く記録画を再生する場合等においてそれぞれサーチしようとする記録トラツクが異なることにより、ユーザはそれぞれの場合において所望の記録トラツクをサーチするといつた煩雑な操作が必要であつた。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、再生時において煩雑なサーチ操作を行うことなく、必要に応じた記録トラツクをサーチし得る電子スチルカメラを提案しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、所定の記録媒体50上の記録ブロツクTR1、TR2、TR3……ごとに、映像信号に変換された静止画像を記録、再生する電子スチルカメラ10において、再生モードにするための再生スイツチ34と、記録媒体50に記録、再生された履歴を記憶するデータメモリ41Cとを設け、電子スチルカメラ10に装填された記録媒体50上に記録された静止画像を再生スイツチ34を操作して再生する際に、データメモリ41Cに記憶された履歴に基づいて、記録媒体50が電子スチルカメラ10に装填されてから再生スイツチ34が操作されるまでに再生された静止画像が消去された場合には、当該消去された静止画像が記録されていた記録ブロツクTR1、TR2、TR3……からみて後ろの最初の記録済ブロツクに記録されている静止画像を再生するようにした。
【0008】
【作用】
記録媒体50に記録された静止画像を再生スイツチ34を操作して再生する際に、データメモリ41Cに記憶された履歴に基づいて、記録媒体50が装填されてから再生スイツチ34が操作されるまでに再生された静止画像が消去されていたとき、当該消去された静止画像の後ろの最初の記録済ブロツクに記録されている静止画像を再生するようにしたことにより、ユーザは、記録媒体50を装填してから再生スイツチ34を操作するまでに行われた静止画像の再生、消去動作状態を基準にして再生したい記録ブロツクを容易に判断できる。
【0009】
【実施例】
以下図面について、本発明の一実施例を詳述する。
【0010】
(1)全体構成図1において10は全体として電子スチルカメラを示し、レンズ12Aとメカニズムコントローラ42からの制御信号S11によつて制御される絞り部12Bとでなる光学系12を介して得られる撮像光をミラー部13の反射ミラー13Aにおいて反射することにより当該撮像光をフアインダ15に入射し、これにより撮影者は当該フアインダにおいて光学系12を介して得られる被写体像を目視し得るようになされている。
【0011】
またフアインダ15にはSPD受光素子16が設けられており、反射ミラー13Aを介してフアインダ15に入射した撮像光の光量を検出すると共に、当該検出結果に基づいて検出信号S16をモードコントローラ41に送出する。
【0012】
モードコントローラ41はSPD受光素子16において検出された撮像光の光量に基づいて露出値を算出し、このときのモード状態に応じた制御信号CONTをメカニズムコントローラ42及びLCD表示部43に送出することにより、絞り12B、シヤツタ20をそれぞれ制御すると共にLCD表示部43に必要な情報を表示するようになされている。
【0013】
またミラー部13には、メカニズムコントローラ42からの制御信号S11に基づいて反射ミラー13Aを駆動するようになされたミラー駆動部13Bが設けられており、撮影者がレリーズスイツチ31を操作した際にこれに応動して反射ミラー13Aを跳上げることにより、光学系12を介して得られる撮像光が続くシヤツタ20に入射される。
【0014】
シヤツタ20はメカニズムコントローラ42からの制御信号S11に基づいて動作するようになされており、撮影者がレリーズスイツチ31を操作した際に、このときモードコントローラ41において設定されているシヤツタスピード値に基づいて動作し、所定時間だけ撮像光を続くダイクロイツクプリズム23に入射する。
【0015】
ダイクロイツクプリズム23は入射した撮像光を赤色成分、緑色成分及び青色成分に分離し、それぞれ第1のCCD22R、第2のCCD22G及び第3のCCD22Bに入射する。
【0016】
第1のCCD22Rはダイクロイツクプリズム23から得られる撮像光の赤色成分を撮像することにより撮像信号S1を得、これを続くカメラ回路部25に送出する。
【0017】
また第2のCCD22Gはダイクロイツクプリズム23から得られる撮像光の緑色成分を撮像することにより撮像信号S2を得、これを続くカメラ回路部25に送出する。
【0018】
また第3のCCD22Bはダイクロイツクプリズム23から得られる撮像光の青色成分を撮像することにより撮像信号S2を得、これに続くカメラ回路部25に送出する。
【0019】
カメラ回路部25は、モードコントローラ41からの制御信号CONTに基づいて動作するようになされており、第1、第2及び第3のCCD22R、22G及び22Bから得られる撮像信号S1、S2、S3及び、ホワイトバランス検出部24から得られるホワイトバランス検出信号S4に基づいて色信号S5を得、これを続くビデオ回路部26に送出する。
【0020】
ビデオ回路部26はモードコントローラ41からの制御信号CONTに基づいて動作するようになされており、色信号S5から輝度信号及びクロマ信号を生成し、これに基づいて得られるビテオ信号S6を磁気デイスク駆動部45の記録/再生回路部47に送出する。
【0021】
磁気デイスク駆動部45は、撮影者がレリーズスイツチ31を操作した際にモードコントローラ41から出力される制御信号CONTに基づいてコントローラ46から記録/再生回路部47を制御する制御信号S11を送出すると共に、サーボ信号S12をサーボ回路48に送出する。
【0022】
これにより記録/再生回路部47は入力されたビデオ信号S6を記録信号に変調し、これを磁気ヘツド51A及び又は51Bに送出することにより、磁気デイスク50の所定記録トラツクに被写体像を静止画像として記録するようになされている。
【0023】
またこれに対して磁気デイスク駆動部45は、再生スイツチ34が操作されて当該電子スチルカメラ10が再生モード状態となつた際にモードコントローラ41から出力される制御信号CONTに基づいて記録/再生回路部47が再生状態に切り換えられ、磁気ヘツド51A及び又は51Bを介して磁気デイスク上から得られる再生信号を復調することによりビデオ信号S10を得、これをビデオ回路部26及び出力アダプタ27を介して出力するようになされている。
【0024】
さらにモードコントローラ41には、各種モードを設定するようになされたモード設定用ダイアル39、各種設定値を選択するようになされたシフトダイアル38及びシフトスイツチ32が接続されており、モード設定用ダイアル39が指示している選択項目の詳細について、シフトスイツチ32を押しながらシフトダイアル38を回すことにより選択し得るようになされている。
【0025】
例えばモード設定用ダイアル39がAE(自動露出)モード設定項目を指示している際にシフトスイツチ32を押しながらシフトダイアル38を回すと、これに応じてプログラムモード、絞り優先モード、シヤツタスピード優先モード又はマニユアルモードに設定することができる。
【0026】
またシフトスイツチ32を押さない状態でシフトダイアル38を回すことにより、このとき当該電子スチルカメラ10が設定されているモードに応じた項目を選択し得るようになされている。
【0027】
例えばシヤツタスピード優先モードに設定されている際には、シフトスイツチ32を押さずにシフトダイアルを回すと、シヤツタスピードを変更することができる。
【0028】
さらにモードコントローラ41には、LCD表示部43のセグメント表示を切り換えるようになされたセレクトスイツチ33及びID11/カレンダ切換スイツチ35等が接続され、撮影者の使用目的に応じて当該電子スチルカメラ10を種々の状態に制御し得るようになされている。
【0029】
またモードコントローラ41には電源電圧検出回路53及びバツテリタイプ検出部54が設けられており、当該電子スチルカメラ10に装着されたバツテリの電圧値を検出すると共に、当該バツテリの種別に応じて検出電圧値が所定の電圧値まで降下した際に、所定の警告表示をLCD(液晶)表示部43及びフアインダ表示部17において表示するようになされている。
【0030】
ここでLCD表示部43は図2に示すように、AE設定モードを表示するAE表示部43A、撮影感度設定を表示する感度設定表示領域43B、撮影動作モードを表示する撮影動作表示部43C、ホワイトバランスの設定状態を表示するホワイトバランス設定表示部43D、撮影した静止画像をそのままモニタ表示する際のビデオ出力表示部43E、音声を同時に記録する際の音声記録表示部43F、再生モードを表す再生表示部43G、シヤツタスピード、絞り値、時間等の種々のデータをセグメント表示するデータ表示部43I、データ表示部43Iに表示されている値の規格を表す規格表示部43H、データ表示部43Iに表示されている時間が午前であるか又は午後であるかを表す時間判別表示部43J、露出値を補正した際の補正表示部43K、現在撮影シヨツト数又は現在トラツクを表示するデータ表示部43M、データ表示部43Mに表示されているデータの種別を表すデータ判別表示部43L、記録方法がフレーム記録であるか又はフイールド記録であるかを示す記録モード表示部43N、磁気デイスク上に空トラツクを作成する際の空トラツク作成表示部43P、音声用トラツクを予め作成しておく際の予約表示部43Q、バツテリの状態を表示するバツテリ警告表示部43R、結露表示部43Sがそれぞれ必要に応じて表示されるようになされている。
【0031】
(2)再生アクセス処理図3は本発明による電子スチルカメラ10に用いる記録媒体としての磁気デイスク50を示し、デイスク上において外周側から内周側にかけて同心円状に52本の記録トラツクTR1、TR2、TR3、……、TR52が順次形成されている。
【0032】
この52本の記録トラツクのうち、第1〜第50の記録トラツクTR1〜TR50をメイントラツクとして、第1の記録トラツクTR1から順次各トラツクごとに画像、音声等のデータが記録される。
【0033】
また第52の記録トラツクは、キユー専用トラツクとしてメイントラツクに記録されている画像の管理情報を記録するようになされている。
【0034】
ここでモードコントローラ41(図1)は図4に示すように、入出力部41A、CPU41B、磁気デイスク50を装填してから取り出すまでの間に当該磁気デイスク50に記録、再生された履歴を記憶するデータメモリ41C及び再生時の記録トラツクのサーチ方法を記憶したプログラムメモリ41Dによつて構成され、ユーザによつて再生スイツチ(PLAY SW)34が操作されると、当該電子スチルカメラ10のそれまでの使用状態に応じた記録トラツクのサーチ動作を実行するようになされている。
【0035】
すなわちモードコントローラ41は図5に示す再生アクセス処理RT40を実行し、ステツプSP41において再生スイツチ34が押されたか否かを判断する。
【0036】
ここで肯定結果が得られると、このことはユーザが再生スイツチ34をオン操作したことをあらわしており、このときモードコントローラ41は続くステツプSP42に移つて、パツク(すなわち磁気デイスク50)が装填されてから当該時点までの間に撮影をしたか否かを判断する。
【0037】
すなわちモードコントローラ41は、磁気デイスク50を電子スチルカメラ10に装填した後撮影が実行されると、このことをデータメモリ41Cに格納し、これを当該磁気デイスク50が取り出されるまで記憶しておくようになされている。
【0038】
従つて撮影が実行された場合には、モードコントローラ41は当該電子スチルカメラ10が撮影モード状態にあると判断し、ステツプSP42において肯定結果を得、続くステツプSP47に移つて当該処理時点以前に撮影された画像のうち、当該処理時点に最も近い時点における撮影画像が記録された記録トラツクをサーチすると共にこれを再生し、ステツプSP49において当該再生アクセス処理を終了する。
【0039】
従つてユーザは当該電子スチルカメラ10を使つて撮影している際、直前に撮影した画像を確認する場合において再生スイツチ34をオン操作するだけでこれを再生することができる。
【0040】
これに対してステツプSP42において否定結果が得られると、このことは磁気デイスク50を当該電子スチルカメラ10に装填してから一度も撮影されていない状態で再生スイツチ34がオン操作された(すなわち電子スチルカメラ10が再生モード状態にある)ことを表しており、このときモードコントローラ41は続くステツプSP43に移つて磁気デイスク50が装填されてから一度でも再生したことがあるか否かを判断する。
【0041】
ここで否定結果が得られると、このことは磁気デイスク50が装填されてから一度も再生されていないことを表しており、このときモードコントローラ41は続くステツプSP48において最外周から内周側を見て最初の記録済トラツクを再生した後、ステツプSP49において当該再生アクセス処理を終了する。
【0042】
これに対してステツプSP43において肯定結果が得られると、このことは磁気デイスク50が装填されてから一度でも再生されたことがあることを表しており、このときモードコントローラ41は続くステツプSP44に移つて再生した画像を消去したか否かを判断する。
【0043】
ここで否定結果が得られると、このことは再生モードが中断されている状態であることを表しており、このときモードコントローラ41はステツプSP46において当該処理時点以前に再生していた記録トラツクをサーチして再生することにより、ユーザは再生を中断した画像を再び再生することができる。
【0044】
これに対してステツプSP44において肯定結果が得られると、このことは磁気デイスク50が装填されてから再生された画像が消去されたことを表しており、このときモードコントローラ41はステツプSP45において、消去した記録トラツクから見て内周側の最初の記録済トラツクの画像を再生した後、ステツプSP49において当該再生アクセス処理を終了する。
【0045】
従つてユーザは不要画像を消去する際、外周側から内周側にかけて順次記録画像を確認しながら不要画像を消去して行くことができる。
【0046】
以上の構成において、電子スチルカメラ10はユーザが再生スイツチ34をオン操作したとき、それまでの動作状態からユーザが再生しようとする記録トラツクを判断し再生する。
【0047】
例えば撮影モードにおいては再生スイツチ34をオン操作するだけで直前に撮影した画像を再生することができ、再生モードにおいては一度でもその内容を再生したか否かによつて必要とする記録トラツクを判断し、これによりユーザが必要とする画像を判断してこれを再生することができる。
【0048】
従つてユーザは再生スイツチ34をオン操作するごとに記録トラツクを指定するという煩雑な操作を行うことなく所望とする再生画像を得ることができる。
【0049】
以上の構成によれば、再生スイツチ34をオン操作するだけの簡単な操作で必要とする再生画像をサーチして再生するようにしたことにより、電子スチルカメラ10の使い勝手を一段と向上することができる。
【0050】
なお上述の実施例においては、記録媒体として磁気デイスク50を用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば直線的に記録するようになされた磁気ストライプを有する磁気カード、ICメモリ等、種々の記録媒体を用いる場合に広く適用することができる。
【0051】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、記録媒体に記録された静止画像を再生スイツチを操作して再生する際に、データメモリに記憶された履歴に基づいて、記録媒体が装填されてから再生スイツチが操作されるまでに再生された静止画像が消去されていたとき、当該消去された静止画像の後ろの最初の記録済ブロツクに記録されている静止画像を再生するようにしたことにより、ユーザは、記録媒体を装填してから再生スイツチを操作するまでに行われた静止画像の再生、消去動作状態を基準にして再生したい記録ブロツクを容易に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明による電子スチルカメラの一実施例を示すブロツク図である。
【図2】
LCD表示部を示す略線図である。
【図3】
記録トラツクの構成を示す略線図である。
【図4】
モードコントローラの構成を示す略線図である。
【図5】
再生アクセス処理手順を示すフローチヤートである。
【符号の説明】
10……電子スチルカメラ、12……光学系、13……ミラー部、15……フアインダ、20……シヤツタ、23……ダイクロイツクプリズム、22R、22G、22B……固体撮像素子、38……シフトダイアル、41……モードコントローラ、42……メカニズムコントローラ、43……LCD表示部、45……磁気デイスク駆動部、50……磁気デイスク。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-08-11 
出願番号 特願平3-214666
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H04N)
P 1 651・ 113- YA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 野村 章子  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 堀井 啓明
西谷 憲人
登録日 2003-07-11 
登録番号 特許第3449486号(P3449486)
権利者 ソニー株式会社
発明の名称 電子スチルカメラ  
代理人 田辺 恵基  
代理人 田辺 恵基  

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