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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20061739 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 (訂正、訂正請求) 特許、登録しない。 A61J
管理番号 1126997
審判番号 不服2003-7518  
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2006-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-05-01 
確定日 2005-12-02 
事件の表示 特許権存続期間延長登録願2001-700045「眼灌流・洗浄液バッグ包装体」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本件特許及び本件発明

特許第3116118号(以下、本件特許という。)は、平成10年10月23日(国内優先権主張 平成9年10月27日及び平成9年11月14日)に出願され、平成12年10月6日に特許権の設定登録がなされたものであって、その特許発明は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1〜22に記載のとおりのものである。

【請求項1】
ガス透過性プラスチック製複室バッグをガス非透過性プラスチック包装材で包装した包装体であって、該複室バッグはオキシグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1種を含む薬液又は固形剤が封入されたA室と、重炭酸イオンを含む薬液が封入されたB室とを少なくとも有しており
、上記複室バッグと包装材との空間部は炭酸ガス雰囲気とされており、且つ該空間部には重炭酸イオンを含む液と該液のpH変化に応じて色調変化を起こすpH指示薬とをガス透過性プラスチック製小容器に封入してなるpHインジケーターが配置されていることを特徴とする眼灌流・洗浄液バッグ包装体。
(請求項2以下は省略する。以下、これを本件特許発明という。)
2.本件出願

本件特許権存続期間の延長登録出願(以下、本件出願という。)は、平成13年6月4日に出願され、平成15年4月1日に拒絶査定がなされ、平成15年5月1日に審判請求がされたものである。
本件出願は、平成14年11月27日および平成15年6月16日付けで補正された本件出願の願書の記載及び処分を受けたことを証明する添付資料(承認書 承認番号21300AMZ00192000)によると、特許発明の実施について特許法67条第2項の政令に定める処分を受けることが必要であったその政令で定める処分として、以下の内容を特定している。

(1)延長登録の理由となる処分
薬事法第14条第1項に規定する医薬品に係る同項の承認
(2)処分を特定する番号
承認番号21300AMZ00192000
(3)処分を受けた日
平成13年3月9日
(4)処分の対象となった物
オキシグルタチオン溶液含有キット
(5)処分の対象となった物について特定された用途
眼科手術時の眼灌流及び洗浄

3,原審の拒絶の理由の概要

原審の拒絶の理由は、特許第3116118号に記載の医薬製剤の有効成分「オキシグルタチオン」については、願書の「処分の対象となった物について特定された用途」欄に記載の用途に適用することが既に厚生労働大臣によって承認されていたものと認められるから、出願人が特許権の存続期間延長を求めている特許発明の有効成分、効能・効果を有する医薬品に関しては、特許発明を既に実施することができるようになっていたものである。したがって、当該承認は、上記特許発明の実施に必要な処分とはいえず、特許法第67条の3第1項第1号に該当するというものである。

4,当審の判断

特許法第68条の2は、「特許権の存続期間が延長された場合・・・の当該特許権の効力は、その延長登録の理由となった第67条第2項の政令で定める処分の対象となった物(その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合にあっては、当該用途に使用されるその物)についての当該特許発明の実施以外の行為には、及ばない。」と規定しており、この規定に照らすと、延長登録が認められるためには、政令で定める当該処分の範囲と延長登録出願の対象である特許発明の範囲とが重複していることが必要であり、かつ同じ物及び同じ用途に使用されるものに特許期間の延長効果を何回も付与することは法律の予定するところではないから、すでに別の同様な処分を受けたことによって特許発明の実施をすることができるようになっていないことが必要である。
したがって、同じ物を同じ用途に使用する以上、その使用形態等の変更のため重ねて政令で定める処分が必要とされる場合であっても、そのことを理由に特許期間の登録延長は認められない。これを医薬特許についてみると、特許法第67条2項の規定する政令に基づく薬事法第14条1、4項の規定する医薬品の製造、輸入等の承認は、当該医薬品の有効成分、効能・効果のみならず、剤形、用法、用量などを特定した品目単位で行われているが、その記載内容から見て当該医薬品の有効成分、効能・効果から当然特許発明の実施と認めるために必要なその物及び用途が特定されるから、最初に当該処分を受けた後、当該医薬品の有効成分、効能・効果以外の剤形、用法、用量などの変更の必要上、再度処分を受ける必要が生じたとしても、後の処分によって特許期間の登録延長を認めることはできない。(平成7年(行ケ)155号判決)

これを、本件についてみるに、ビーエスエスプラス(商品名)の添付文書によれば(当該資料についてはhttp://www.pharmassys.gr.jpによる検索でも参照可能である。)、眼科手術(白内障、硝子体、緑内障)時の眼灌流及び洗浄に使用されるオキシグルタチオンを有効成分とする医薬品が、承認番号20300AMY00297000として承認され、1991年11月に薬価収載され、1992年1月に販売開始されていることが明らかである。そうすると、オキシグルタチオンを有効成分(物)とし、同一の効能・効果(用途)を有する医薬品については本件の処分以前に厚生労働大臣の承認を受けていたのであるから、当該医薬品の有効成分、効能・効果以外の剤形などの変更の必要上、新たに処分を受ける必要が生じたとしても、後の処分によって特許期間の登録延長を認めることはできない。このことは後の処分を受けた者が先に処分を受けた者と同じであるか異なるかによって左右されるものではなく、又、その後発生した同じ有効成分、効能効果を有する医薬品の特許(通常は先の発明に対し改良を加えた発明)に対する登録延長の場合であっても同様である。

請求人は、本件に関して、前記最初の処分(ビーエスエスプラス、承認番号(03AM輸)297)は、本件特許とは別異の特許発明である特許第1657828号に関連する処分であり、該処分を受けた者は、本件特許権者とは別であるから、別人が受けた処分によって、当該特許権に係る発明の実施ができることはあり得ない。後の処分を受けた者が最初の処分を受けた者と異なる場合、当該後の処分を受けた者は、当該後の処分を待たなければ、自己の特許発明を実施することができず、該特許発明の実施が相当期間妨げられているのであり、この本来享受できるはずの特許期間を回復するためにも、特許権存続期間延長登録が原則通り認められて然るべきものである旨主張する。

しかしながら、上記のとおり医薬特許については、医薬品の有効成分、効能・効果から特許発明の実施と認めるために必要なその物及び用途が特定されるのであるから、同じ有効成分、効能効果を有する医薬品の特許発明であれば、その最先の特許発明のみならず、その後発生した同じ有効成分、効能効果を有する医薬品の特許発明(通常は先の発明に対し改良を加えた発明)であっても、その物及び用途という観点からみれば、その特許発明の実施が可能であるということになる。
そして、既に承認を受けた者と異なる者が、当該医薬品の有効成分、効能・効果以外の剤形などを変更の上、新たに処分を受ける必要がある場合であっても、その物及び用途という観点からみれば、その特許発明の実施はすでに可能であることに変わりはない。したがって、その後の処分が、既に処分を受けた者とは異なる者が受けたものであることや、延長登録出願の対象とされる特許が相違することをもって、特許期間の登録延長を認めることはできない。

以上のとおり、本件処分は本件特許発明の実施に必要な処分であったと認められないから、特許法第67条の3第1項第1号の規定に該当し、本件出願によって特許権の存続期間の延長登録を受けることはできない。

よって、結論の通り審決する。
 
審理終結日 2003-12-03 
結審通知日 2003-12-10 
審決日 2003-12-24 
出願番号 特願2001-700045(P2001-700045)
審決分類 P 1 8・ 71- Z (A61J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨永 保  
特許庁審判長 森田 ひとみ
特許庁審判官 深津 弘
竹林 則幸
発明の名称 眼灌流・洗浄液バッグ包装体  
代理人 掛樋 悠路  
代理人 舘 泰光  
代理人 藤井 淳  
代理人 関 仁士  
代理人 掛樋 悠路  
代理人 小原 健志  
代理人 関 仁士  
代理人 中川 博司  
代理人 中野 睦子  
代理人 藤井 淳  
代理人 斎藤 健治  
代理人 三枝 英二  
代理人 中川 博司  
代理人 小原 健志  
代理人 中野 睦子  
代理人 斎藤 健治  
代理人 三枝 英二  
代理人 舘 泰光  

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