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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B |
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管理番号 | 1127192 |
審判番号 | 不服2003-8669 |
総通号数 | 73 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-10-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-05-15 |
確定日 | 2005-11-28 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第 77062号「セラミックスフェルールおよびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年10月31日出願公開、特開平 7-287145〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成6年4月15日の出願であって、平成15年4月1日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年5月15日付で拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成15年6月16日付で特許法第17条の2第1項第5号の規定による手続補正がなされたものである。 2.平成15年6月16日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成15年6月16日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正の内容 本件補正は、請求項2を削除するとともに、請求項1を下記のように補正しようとするものである。 「【請求項1】射出成形法を用いて得た成形体を焼結して、外径の中心と内径の中心との距離を15μm以下、内径の寸法精度の公差を±2μmに精密成形したセラミックスフェルールブランクを作製し、その後センターレス研削盤にて前記セラミックスブランクを連続的に外径研削加工して、セラミックスブランクの外径寸法精度の公差を±5μm、真円度を4μm以下、円筒度を4μm以下、面粗度をRaで0.3以下に精密加工してセラミックスフェルールを得ることを特徴とするセラミックスフェルールの製造方法。」 上記請求項1についての補正は、セラミックスフェルールブランク及びセラミックスフェルールの寸法精度等を具体的数値で規定するものであるから、特許法第17条の2第3項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。 (2)刊行物記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用した刊行物1:特開平4-16318号公報(以下、「引用例1」という。)には、下記の記載が認められる。 「以上の構成からなる金型装置を用いてセラミックフェルールを射出成形する手順を以下に説明する。 先ず、第1図に示す型締め状態とし、この状態で射出機のノズル4からスプルー6、ランナ7、リングゲート8、・・・を介してキャビティ10内にセラミックコンパウンドを射出する。・・・第6図に示すようにセラミックコンパウンドが固まって成形品W0が出来たならば・・・キャビティ10から成形品W0を引き出す。・・・ 次いで、成形品W0を焼成した後に製品であるフェルールとなる部分を切断し、第10図に示すように成形品W0の上端部及び下端部のダミー部W1、W2を研削治具33,34にて除去する。 このようにして第11図に示すような光ファイバの挿入孔35、この挿入孔35にその中心が正確に一致するテーパガイド孔36及び面取り部37を一体的に後加工せずに成形したセラミックフェルールWが得られる。」(4頁左上欄3行〜5頁左上欄8行)。 同じく、刊行物2:特開平5-113522号公報(以下、「引用例2」という。)には、下記の記載が認められる。 「【0007】このような方法にて、砥石の粒度を変えて、例えば荒加工、中加工、仕上加工の3段階の外径加工が行われ、ブランクの同心度、真円度、外形寸法精度、円筒度が所定値内に仕上られる。・・・ 【0014】【実施例】以下、本発明に係るセラミックスフェルールの外径加工方法を図面に則して更に詳しく説明する。本実施例では、射出成形ブランクを使用して、図3(B)に示すセラミックス一体型フェルール用のセラミックスフェルール110を製造する場合について説明する。 【0015】本発明によれば、ブランクの外径加工は、少なくとも、(1)射出時に生じた後端のバリを除去した後に、ブランクの外径の曲がり及びテーパー除去のための外径一次研削加工、(2)ブランクの穴加工後に行われる、同心度を出すための外径二次研削加工、(3)面粗度を向上し、最終外径寸法出しのため外径三次研削加工及び外径仕上からなっており、外径一次研削加工、外径三次研削加工及び外径仕上加工は、図1(A)、(B)に図示するような、センタレスグラインダにて実施され、外径二次研削加工は、図2に示すような、両センタ円筒研削盤にて実施される。・・・ 【0021】このような、本発明に従ったブランクの外径加工により、ブランクの同心度、外径寸法精度、真円度、円筒度、及び面粗度が所定値内にもたらされる。」 (3)対比 本願補正発明と引用例1記載のものとを対比する。 引用例1の「セラミックコンパウンドが固まった成形品W0」、「セラミックフェルールW」は、それぞれ、本願補正発明の「成形体」、「セラミックスフェルールブランク」に相当する。また、引用例1の上記記載から、引用例1のセラミックフェルールが「射出成形法を用いて得た成形体を焼結」したものであることは明らかである。 したがって、両者は、「射出成形法を用いて得た成形体を焼結して、セラミックスフェルールブランクを作製し、その後前記セラミックスブランクを加工してセラミックスフェルールを得るセラミックスフェルールの製造方法」である点で一致し、下記の点で相違する。 相違点1: 本願補正発明のセラミックスフェルールブランクは、外径の中心と内径の中心との距離を15μm以下、内径の寸法精度の公差を±2μmに精密成形したのに対して、引用例1記載のものは、このような数値が記載されていない点、 相違点2: 本願補正発明は、その後センターレス研削盤にて前記セラミックスブランクを連続的に外径研削加工して、セラミックスブランクの外径寸法精度の公差を±5μm、真円度を4μm以下、円筒度を4μm以下、面粗度をRaで0.3以下に精密加工するのに対して、引用例1記載のものは、研削治具で成形品W0の上端部及び下端部のダミー部W1、W2を除去するものであるが、外径研削加工等の後加工はしない点。 (4)判断 上記相違点につき検討する。 相違点1について: フェルールにおいて、外径の中心と内径の中心との距離が小さければ小さいほど(同心度がよければよいほど)望ましいことは自明の事項であり、それをどの程度にするかは必要に応じて決定すべき設計事項にすぎない。 なお仮に、本願補正発明において、「外径の中心と内径の中心との距離を15μm以下」と規定した点が、L/D(細孔の長さ/細孔の径)が45以下で、同心度が15μm以下を意味するものである(本願補正明細書【0029】の表1参照。)としても、射出成形によりフェルールのL/D(細孔の長さ/細孔の径)を45以下とすることは、原審の拒絶理由に引用した刊行物3:特開平2-16022号公報に記載され(第2頁左下欄16行〜右下欄5行に記載された「細径部の径0.126mm、長さ1.5mm」から計算すると、L/Dは約12となるから、本願補正発明の範囲内にあることは明らかである。)ている。また、このフェルールの材料は樹脂であるが、本願補正発明と同じ射出成形法を用いるものであるから、これをセラミックスフェルールの製造に適用できないとはいえない。したがって、本願補正発明において、外径の中心と内径の中心との距離を15μm以下と規定することは、当業者が容易になし得る数値限定にすぎない。 また、引用例1には前掲のように、「光ファイバの挿入孔35・・・を・・・後加工せずに成形したセラミックフェルールWが得られる」と記載されていることからみて、内径が射出成形、焼成後に所望の精度に形成されていることは明らかであり、その内径寸法の精度をどの程度にするかは、設計事項にすぎない。 相違点2について: 射出成形ブランクを使用して、センタレスグラインダにより外径加工を施し、外径寸法精度、真円度、円筒度、及び面粗度が所定値内になるようにすることは、上記引用例2に記載されている。 一方、本願補正発明において、セラミックスブランクの外径寸法精度の公差を±5μm、真円度を4μm以下、円筒度を4μm以下、面粗度をRaで0.3以下に規定した点は、各寸法の許容誤差の範囲(加工精度)を規定した程度のことで(本願明細書【0018】参照。)あるから、この点は、必要とされる精度に応じて当業者が適宜設定し得る事項にすぎない。 また、引用例1記載のものは、後加工せずに成形したセラミックフェルールWが得られるとされているが、外形寸法精度をさらに良くしたい場合に、上記引用例2記載のセンタレスグラインダによる最終外形寸法出しのための外径仕上加工等を施すことは当業者が容易に想到し得たものである。 したがって、本願補正発明は、引用例1及び引用例2に記載された発明を組合せ、その加工精度を望ましい数値範囲に適宜規定することによって当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成6年改正前の特許法第17条の2第4項において読み替えて準用する同法126条第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成15年6月16日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、出願当初の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される以下のものである。 「【請求項1】射出成形法を用いてセラミックスフェルールの外径と内径の同心度と、内径の寸法精度を所定の値に精密成形したセラミックスフェルールブランクを作製し、その後センターレス研削盤にて前記セラミックスブランクを連続的に外径研削加工して、セラミックスブランクの外径寸法精度、真円度、円筒度、面粗度を所定の値に精密加工してセラミックスフェルールを得ることを特徴とするセラミックスフェルールの製造方法。」(以下、「本願発明」という。) (2)引用例記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用した、この出願前公知の刊行物1:特開平4-16318号公報(以下、「引用例1」という。)及び刊行物2:特開平5-113522号公報(以下、「引用例2」という。)には、上記2.(2)刊行物記載の発明に摘記した事項が記載されている。 (3)対比・判断 本願発明は、本願補正発明に比べて、成形体を焼結した点及び加工精度に関する数値限定を欠くものである。 したがって、本願発明は、上記本願補正発明に対するとほぼ同様の理由により、引用例1及び引用例2に記載された発明を組合せることにより当業者が容易に想到し得たものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-09-09 |
結審通知日 | 2005-09-20 |
審決日 | 2005-10-05 |
出願番号 | 特願平6-77062 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G02B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉田 英一 |
特許庁審判長 |
平井 良憲 |
特許庁審判官 |
樋口 信宏 瀧本 十良三 |
発明の名称 | セラミックスフェルールおよびその製造方法 |