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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C09J 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 C09J 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 C09J |
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管理番号 | 1128592 |
審判番号 | 不服2004-12161 |
総通号数 | 74 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-06-14 |
確定日 | 2006-01-24 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第520248号「新規のシート材料」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 8月 3日国際公開、WO95/20635、平成 9年 8月26日国内公表、特表平 9-508431、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、1995年 1月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1994年 1月31日、(US)アメリカ合衆国)の出願であって、平成14年 1月28日付けで手続補正書が提出され、平成15年 7月17日付けの拒絶理由通知に対して、平成16年 1月28日付けで意見書と共に手続補正書が提出された後、同年 3月 5日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年 6月14日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされると共に、同年 7月13日付けで手続補正書が提出されたものである。 2 平成16年 7月13日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年 7月13日付けの手続補正を却下する。 [理由] 2.1 補正の内容 平成16年 7月13日付けの手続補正は、特許請求の範囲を以下の通りに補正しようとするものである。 「【請求項1】 (i)アクリレート系感圧接着ポリマーを含んで成る感圧接着フィルム、および (ii)エチレンと炭素数3〜10のα-オレフィンとから形成され、密度が0.905g/cc(立方センチメートル)以下でかつCDBIが70%を超える1種以上のコポリマーを含有する第1層から構成される剥離フィルム、 を含んで成り、かつ感圧接着フィルムが剥離フィルムの第1層と接触しているシート材料において、 シリコーン剥離コーティングを実質上有しないシート材料。 【請求項2】 前記コポリマーの密度が0.89g/cc以下である請求項1に記載のシート材料。 【請求項3】 前記コポリマーの密度が0.88g/cc以下である請求項1に記載のシート材料。 【請求項4】 前記コポリマーのCDBIが80%を超えている請求項1に記載のシート材料。 【請求項5】 α-オレフィンがブテン-1である請求項4に記載のシート材料。 【請求項6】 第1層が、0.91g/cc以上の密度を有するポリエチレンポリマーを実質上含まない請求項1に記載のシート材料。 【請求項7】 剥離フィルムが、更にポリブチレンポリマーを含有する第2層を含んで成る請求項1に記載のシート材料。 【請求項8】 第2層が、ポリブチレンホモポリマー、または5重量%以下のコモノマーを含んで成るポリブチレンコポリマーを含有し、感圧接着フィルムが剥離フィルムの第1層および第2層のうち少なくとも一方と接触している請求項7に記載のシート材料。 【請求項9】 前記第1層がエチレンと炭素数3〜10のα-オレフィンとから形成され、密度が0.905g/cc以下でかつCDBIが70%を超える1種以上のコポリマーから本質的になる請求項1記載のシート材料。 2.2 補正の適否についての判断 上記補正により下記の補正がなされた。 1)請求項1に記載の剥離フィルムの第1層を構成するポリオレフィンポリマーについて、補正前は、「密度が0.90g/cc以下」であったのに対して補正後は、「密度が0.905g/cc以下」と補正された。 2)請求項4として、「前記コポリマーのCDBIが80%を超えている請求項1に記載のシート材料。」が追加された。 3)請求項6に記載の剥離フィルムの第1層について、補正前は、「密度が0.91g/cc以上の密度を有するポリオレフィンポリマーを実質上含まない」であったのに対して補正後は、「密度が0.91g/cc以上の密度を有するポリエチレンポリマーを実質上含まない」と補正された。 4)請求項9として、「前記第1層がエチレンと炭素数3〜10のα-オレフィンとから形成され、密度が0.905g/cc以下でかつCDBIが70%を超える1種以上のコポリマーから本質的になる請求項1記載のシート材料。」が追加された。 そこで、補正後の発明の構成について検討する。 1)について 補正後、剥離フィルムの(ii)の第1層を構成するポリマーについて密度が0.905g/cc以下とされたが、補正前のものと比較すると補正後のものは、密度が0.90g/ccを超え、0.905g/cc以下であるポリマーが含まれることになるから、当該補正は、特許請求の範囲を拡張するものであって、特許請求の範囲の減縮に該当しないのものである。 なお、審判請求人は、「平成16年1月28日付手続補正書によりコポリマーの密度を『0.90g/cc以下』とした訂正は、『0.905g/cc以下』と訂正すべきところを『約』の文言を単に削除してしまった誤記であり、今回行う訂正は明細書の記載から本来その意であることが明らかな誤りを、その意味内容に正す、誤記訂正を目的とするものである。」と主張しているが、誤記の訂正とは、本来その意であることが明細書、特許請求の範囲又は図面の記載などから明らかな字句・語句の誤りを、その意味内容の字句・語句に正すことであり、「密度が0.90g/cc以下」との記載が明らかな字句・語句の誤りということはできないから、審判請求人の主張は採用できない。 2)及び4)について 補正後の請求項4及び請求項9に記載された発明は、補正前の特許請求の範囲の各請求項に記載されたものではなく、請求項数を増加する補正に該当し、引用形式請求項を複数の請求項にしたものでもないから、当該補正は、特許請求の範囲の減縮には該当しないものである。 なお、審判請求人は、請求項4について、コポリマーのCDBIを80%を超えているように規定することは、補正前の請求項4の発明特定事項を限定することに該当し、請求項9について、剥離フィルムの(ii)の第1層が、エチレンと炭素数3〜10のα-オレフィンとから形成され、密度が0.905g/cc以下でかつCDBIが70%を超える1種以上のコポリマーから本質的になるように規定することは、補正前請求項9の発明特定事項を限定することに該当する旨主張している。 しかしながら、補正前の請求項4には、コポリマーのCDBIについて規定されておらず、また、補正前の請求項9には、剥離フィルムの(ii)の第1層の材質についての記載はない。したがって、請求項4においてコポリマーのCDBIを80%を超えているように規定すること、及び請求項9において剥離フィルムの(ii)の第1層が特定のコポリマーから本質的になるように規定することは、これを規定しない補正前の請求項4及び請求項9記載の発明と解決しようとする課題が同一であるとは言えない。 3)について ポリオレフィンポリマーはポリエチレンポリマーの上位概念であるから、補正前の「ポリオレフィンポリマーを実質上含まない」を「ポリエチレンポリマーを実質上含まない」に補正することは、特許請求の範囲を拡張するものであって、特許請求の範囲の減縮には該当しないのものである。 なお、審判請求人は、同補正について、「請求項1において、剥離フィルム(ii)の第1層に含有されるポリオレフィンポリマーをポリエチレンポリマー(すなわち、エチレンと炭素数3〜10のα-オレフィンとから形成される1種以上のコポリマー)に限定したことに整合させたものである。」と主張しているが、補正後の請求項1に記載されたポリマーは、エチレンと炭素数3〜10のα-オレフィンとから形成される1種以上のコポリマーであって、ポリエチレンポリマーではない。エチレンと炭素数3〜10のα-オレフィンとから形成される1種以上のコポリマーはポリオレフィンポリマーに包含されるから、補正前は、剥離フィルム(ii)の第1層には実質的に含まれないとされていた0.91g/cc以上の密度を有する該コポリマーが補正後は含まれることになるから、審判請求人の主張を採用することはできない。 したがって、上記補正は、特許法第17条の2第3項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。 また、上記1)〜4)の補正は、特許法第17条の2第3項第1号の請求項の削除、同項第3号の誤記の訂正又は同項第4号の明瞭でない記載の釈明のいずれにも該当しない。 2.3 むすび 以上のとおりであるから、平成16年 7月13日付けの手続補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反しているので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3 本願発明、当審の判断 平成16年 7月13日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜9に係る発明は、平成14年 1月28日付けで手続補正書及び平成16年 1月28日付け手続補正書で補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜9に記載されたとおりのものと認める。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2006-01-11 |
出願番号 | 特願平7-520248 |
審決分類 |
P
1
8・
536-
WY
(C09J)
P 1 8・ 121- WY (C09J) P 1 8・ 537- WY (C09J) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山田 泰之 |
特許庁審判長 |
原 健司 |
特許庁審判官 |
天野 宏樹 岩瀬 眞紀子 |
発明の名称 | 新規のシート材料 |
代理人 | 青山 葆 |
代理人 | 山本 宗雄 |