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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  B29C
審判 全部申し立て 2項進歩性  B29C
管理番号 1128909
異議申立番号 異議2003-73663  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-08-11 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-26 
確定日 2005-11-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3431141号「穴あきプラスチック発泡体およびその製造法」の請求項1ないし9に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3431141号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 [1]手続きの経緯
本件特許第3431141号の請求項1〜9に係る発明についての出願は、1992年3月24日(優先権主張1991年4月30日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成15年5月23日に特許権の設定登録がなされ、その後、その請求項1〜9に係る特許について、特許異議申立人 川端慶子より特許異議の申立がなされ、平成17年2月8日付及び同年6月14日付けで取消しの理由が通知され、それぞれに対する意見書及び訂正請求書が提出された後、さらに、同年10月12日付で取消しの理由が通知され、その指定期間内である同年10月14日付けで、先の訂正請求をいずれも取り下げると共に、訂正請求がなされたものである。

[2]訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
(1)訂正事項
特許請求の範囲の記載「【請求項1】可燃性発泡剤を含有する押出しオレフィン系プラスチック発泡体からの可燃性発泡剤の放出を促進する方法であって、該発泡体をその表面から裏面まで穴あけして該表面からプラスチック発泡体中にのびる0.05〜5.1mmの平均幅をもつ多数の溝を形成することを特徴とする押出しオレフィン系プラスチック発泡体からの可燃性発泡剤の放出を促進する方法。
【請求項2】オレフィン系プラスチック発泡体がポリエチレン発泡体である請求項1の方法。
【請求項3】可燃性発泡剤が空気中4容量%未満の爆発下限をもつ請求項1または2の方法。
【請求項4】可燃性発泡剤が2〜9個の炭素原子をもつアルカンである請求項3の方法。
【請求項5】アルカンがイソブタンである請求項4の方法。
【請求項6】溝が発泡体の押出し方向に対して垂直方向にある請求項1〜5のいずれか1項の方法。
【請求項7】溝が2.5cm以下の平均間隔をもつ請求項1〜6のいずれか1項の方法。
【請求項8】発泡体が浸透度変性剤を含有する請求項1〜7のいずれか1項の方法。
【請求項9】浸透度変性剤がグリセロールモノステアレートである請求項8の方法。」を
「【請求項1】可燃性発泡剤を含有する押出しオレフィン系プラスチック発泡体からの可燃性発泡剤の放出を促進する方法であって、該発泡体をその表面から裏面まで穴あけして該表面からプラスチック発泡体中にのびる0.05〜5.1mmの平均幅をもつ多数の溝を形成すると共に、該発泡体がグリセロールモノステアレート及びステアリルステアロアミドから選ばれた浸透度変性剤を含有することを特徴とする押出しオレフィン系プラスチック発泡体からの可燃性発泡剤の放出を促進する方法。
【請求項2】オレフィン系プラスチック発泡体がポリエチレン発泡体である請求項1の方法。
【請求項3】可燃性発泡剤が空気中4容量%未満の爆発下限をもつ請求項1または2の方法。
【請求項4】可燃性発泡剤が2〜9個の炭素原子をもつアルカンである請求項3の方法。
【請求項5】アルカンがイソブタンである請求項4の方法。
【請求項6】溝が発泡体の押出し方向に対して垂直方向にある請求項1〜5のいずれか1項の方法。
【請求項7】溝が2.5cm以下の平均間隔をもつ請求項1〜6のいずれか1項の方法。
【請求項8】浸透度変性剤がグリセロールモノステアレートである請求項1〜7のいずれか1項の方法。」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項
本件訂正は、請求項1に関する訂正、請求項8に関する訂正及び請求項9を削除する訂正(以下、それぞれ訂正事項(1)〜(3)という)からなるものなので、以下、それぞれについて判断する。
(1)訂正事項(1)
訂正前の請求項1における「形成する」を「形成すると共に、該発泡体がグリセロールモノステアレート及びステアリルステアロアミドから選ばれた浸透度変性剤を含有する」と訂正するものである。
この訂正は、訂正前の請求項8の記載、明細書第3頁5〜7行の記載及び表1の記載に基づき、浸透度変性剤を構成要件として追加すると共に、該浸透度変性剤をグリセロールモノステアレート及びステアリルステアロアミドに限定するものである。
したがって、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする明細書の訂正に該当するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項(2)
訂正前の請求項8における「発泡体が浸透度変性剤を含有する」を「浸透度変性剤がグリセロールモノステアレートである」と訂正するものである。
この訂正は、訂正前の請求項9の構成要件を訂正後の請求項8の構成要件とし、浸透度変性剤をグリセロールモノステアレートに限定するものであるから、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする明細書の訂正に該当するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項(3)
訂正前の請求項9を削除するものである。
したがって、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする明細書の訂正に該当するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)まとめ
したがって、本件訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、訂正を認める。

[3]本件発明
上記[2]のとおり、本件訂正は認めることができるので、本件特許第3431141号の請求項1〜8に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」〜「本件発明8」という)は、平成17年10月14日付け訂正請求書に添付された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】可燃性発泡剤を含有する押出しオレフィン系プラスチック発泡体からの可燃性発泡剤の放出を促進する方法であって、該発泡体をその表面から裏面まで穴あけして該表面からプラスチック発泡体中にのびる0.05〜5.1mmの平均幅をもつ多数の溝を形成すると共に、該発泡体がグリセロールモノステアレート及びステアリルステアロアミドから選ばれた浸透度変性剤を含有することを特徴とする押出しオレフィン系プラスチック発泡体からの可燃性発泡剤の放出を促進する方法。
【請求項2】オレフィン系プラスチック発泡体がポリエチレン発泡体である請求項1の方法。
【請求項3】可燃性発泡剤が空気中4容量%未満の爆発下限をもつ請求項1または2の方法。
【請求項4】可燃性発泡剤が2〜9個の炭素原子をもつアルカンである請求項3の方法。
【請求項5】アルカンがイソブタンである請求項4の方法。
【請求項6】溝が発泡体の押出し方向に対して垂直方向にある請求項1〜5のいずれか1項の方法。
【請求項7】溝が2.5cm以下の平均間隔をもつ請求項1〜6のいずれか1項の方法。
【請求項8】浸透度変性剤がグリセロールモノステアレートである請求項1〜7のいずれか1項の方法。」

[4]特許異議申立の理由及び取消理由通知の概要
1.特許異議申立の理由の概要は、
(1)訂正前の請求項1〜7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、また、訂正前の請求項8及び9に係る発明は、周知技術を考慮すれば甲第1号証に記載された発明と同一であり、訂正前の本件請求項1〜9に係る特許は特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであり、取り消すべきものである、
(2)訂正前の請求項1〜7に係る発明は、下記の甲第2号証及び甲第4〜7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、訂正前の本件請求項8及び9に係る発明は、下記の甲第2〜7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正前の請求項1〜9に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消すべきものである、というものである。
2.平成17年2月8日付け及び同年6月14日付け取消理由通知の概要は、
訂正前の請求項1〜7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、訂正前の本件請求項1〜7に係る特許は特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであり、取り消すべきものである、というものである。

甲第1号証:特願平3-99379号(特開平4-307227号公報)
甲第2号証:特開平2-303815号公報
甲第3号証:特開昭58-47409号公報
甲第4号証:特開昭62-153327号公報
甲第5号証:特開平3-33136号公報
甲第6号証:特開昭63-151435号公報
甲第7号証:特開昭60-4038号公報

[5]甲号証の記載
甲第1号証:特願平3-99379号(特開平4-307227号公報)
甲第1号証には、以下の事項が記載されている。
(1-1)
「【請求項1】 オレフィン系樹脂発泡板の少なくとも片面に小孔を穿設した後、該発泡板を厚み方向に加圧し、圧縮率が30%以上となるように発泡板を圧縮して発泡板中に残留する発泡剤ガスを無機ガスと置換することを特徴とするオレフィン系樹脂発泡板中の残留発泡剤ガスの無機ガス置換方法。」(特許請求の範囲)
(1-2)
「…押出発泡法により得られたシート状或いは板状の発泡体中には発泡に用いた発泡剤ガスが、製造後しばらくの間残留しているが、発泡剤としてプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の可燃性発泡剤を用いた場合、発泡体中の残留発泡剤ガスが空気等の不燃性のガスと置換するまでの間に、発泡板中に残留している発泡剤ガスに静電気のスパーク等で着火する危険があり、製造業者は発泡体中の残留発泡剤ガスが空気等と置換するまでの間、安全確保のため製品を出荷できないのが現状である。」(段落(0003))
(1-3)
「【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】 ポリエチレン発泡体やポリプロピレン発泡体等のオレフィン系樹脂発泡体は緩衝性、断熱性等に優れ、各種緩衝材、包装材、断熱材等として広く利用されている。オレフィン系樹脂発泡体を製造する方法としては、長尺なシート状のものや板状のものは、押出機内で原料樹脂と発泡剤とを溶融混練した後、押出機の先端に設けたダイスより押出機内より低圧下に押出して発泡する押出発泡法が用いられている。」(段落(0002))
(1-4)
「【課題を解決するための手段】即ち本発明のオレフィン系樹脂発泡板中の残留発泡剤ガスの無機ガス置換方法は、オレフィン系樹脂発泡板の少なくとも片面に小孔を穿設した後、該発泡板を厚み方向に加圧し、圧縮率が30%以上となるように発泡板を圧縮して発泡板中に残留する発泡剤ガスを無機ガスと置換することを特徴とする。本発明においては発泡板の少なくとも片面に小孔を穿設すると同時に、該発泡板を加圧して圧縮率30%以上となるように圧縮する方法を採用することもできる。また小孔は、発泡板の厚みの1/4以上の深さ、0.3〜5mmの径を有するものを、3〜50mm間隔で発泡板に穿設することが好ましい。
」(段落(0006))
(1-5)
「本発明方法において発泡板に小孔を形成するためには、図1に示すように周面に複数の針1を有する針ロール2等を用いることができる。針1によりオレフィン系樹脂発泡板3に穿設する小孔4の深さは発泡板3の厚みの特に1/3以上が好ましく、小孔4は発泡板3を貫通しても良い。…また針1は3〜50mm間隔、特に10〜20mm間隔で針ロール2の周面に設けることが好ましい。」(段落(0009))
(1-6)
「実施例1
低密度ポリエチレン20重量%、高密度ポリエチレン60重量%、ポリスチレン20重量%とからなるポリエチレン系混合樹脂100重量部当たり、イソブタン13重量部を添加して押出機内で溶融混練した後、押出機から押出して厚さ30mmの発泡板を得た。この発泡板の両面に、孔径0.9mm、深さ10mmの小孔を針ロールを用いて10mm間隔で穿設した。次にこの発泡板をプレス装置により圧縮率50%に圧縮し、60秒後に加圧を解除した。この発泡板を室温23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内に置き、1日後、4日後、1週間後、1ケ月後の発泡板内の残留イソブタンガスをガス検知機(理研計器社製:GX-85型)により測定した。残留イソブタン量は、発泡板の任意の箇所に貫通しない切込みを入れ、切込み形成後直ちに、この切込みにガス検知機の測定管をその先端が発泡板の略中央に位置するように差込み、ピーク時の値を測定した
○・・・ガスを検出せず。
△・・・ガスが残留するが爆発限界以下である。
×・・・爆発限界以内のガスが残留する。
として評価した。測定は5回行い、5回の内で最も悪い評価を表1に示した。

実施例2
プレス装置のかわりにピンチロールを用い、小孔を穿設した発泡板を10mm/秒の速度でピンチロール間を通過させて圧縮した他は実施例1と同様の処理を行った。結果を表1に示す。

実施例5
小孔を発泡板を貫通して穿設した他は実施例2と同様の処理を行った。結果を表1に示す。」(段落(0015)〜(0019))
(1-7)
「本発明において発泡板の基材樹脂であるオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-プロピレンブロック共重合体、エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-ブテンランダム共重合体、エチレン-ブテン-プロピレンランダム共重合体等が挙げられる。これらの樹脂は適宜混合して用いることができる。…」(段落(0007))
(1-8)
「本発明方法は、主として揮発性発泡剤のガスが残留する発泡体に適用されるが、特に揮発性発泡剤が可燃性の場合に適用すると好適である。また板厚が10〜100mmの発泡板の処理に特に好適である。一般に用いられている可燃性発泡剤としては、例えばプロパン、n-ブタン、i-ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロペンタン等である。」(段落(0008))
(1-9)
図1,図2及び段落(0009)〜(0011)には、小孔が押出方向と直角に形成される旨のことが記載されている。

甲第2号証:特開平2-303815号公報
甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
(2-1)
「(1)…低密度ポリエチレン系樹脂を、イソブタン単独又は…他の発泡剤との混合物からなる発泡剤及び収縮防止剤と共に押出機内で溶融混練して発泡性溶融混練物とした後、…低圧下に排出すると共に厚み40mm以上の板状物に成形することを特徴とする低密度ポリエチレン系樹脂発泡体の製造方法。」(特許請求の範囲(1))
(2-2)
「本発明は、…低密度ポリエチレン系樹脂から、オゾン破壊能の高いフロンガス系発泡剤を用いずに、ないしはこのようなフロンガス系発泡剤の使用量を減少して、低密度でありながら成形後の収縮が小さい厚板状発泡体を製造する方法を提供することをその課題とする。」(2頁左下欄5〜10行)
(2-3)
「収縮防止剤の存在下で、イソブタンの低密度ポリエチレン樹脂に対するガス透過速度が小さい点に着目し、イソブタンを主成分とする発泡剤ないしイソブタンと他の低密度ポリエチレン樹脂に対するガス透過速度の小さい揮発性発泡剤との混合発泡剤を使用することにより、非常に高い発泡倍率で且つ収縮が非常に小さい厚板状低密度ポリエチレン系樹脂発泡体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。」(2頁左下欄13行〜右下欄1行)
(2-4)
実施例1〜5には、低密度ポリエチレンに収縮防止剤としてモノステアリン酸グリセライドを配合し、発泡剤としてイソブタン等を使用して板状発泡体を得たことが記載されている。(4頁右下欄10〜5頁末行)

甲第3号証:特開昭58-47409号公報
(3-1)
発泡剤としてブタンを用いる無架橋のポリエチレンの押出発泡プロセスにおいて、ステアリン酸モノグリセライドを配合する旨が実施例に記載されている(4頁7欄4行〜8欄11行及び同頁表1)

甲第4号証:特開昭62-153327号公報
(4-1)
甲第4号証には、イソブタン発泡剤を使用するオレフィンポリマー発泡体の製造方法において安定性調節剤として長鎖脂肪酸とポリオールとの部分エステル、ポリスチレン等を使用する旨が記載されている。(特許請求の範囲1)
(4-2)
「オレフィンポリマーを膨張させるのに使用することができ然も高度の寸法安定性をもちポリマー発泡体の熟成もしくは硬化中に最小の収縮しか示さない低コストの炭化水素発泡体の必要性が当業技術において依然として存在する。
〈発明が解決しようとする問題点〉
本発明は安価なイソブタンを主たる発泡剤として使用して高度の寸法安定性と最小の収縮率をもつ膨張性変性オレフィンポリマー組成物とその製造方法を提供することによって前記の必要性をみたすものである。」(3頁左上欄8行〜右上欄2行)

甲第5号証:特開平3-33136号公報
甲第5号証には、以下の事項が記載されている。
(5-1)
「1.押出熱可塑性ポリマー発泡体構造物をこの発泡体を実質的にへこませることなく残存発泡剤の大部分を除去するのに有効な時間高温度で処理する工程よりなることを特徴とするポリマー状発泡体製品から残存発泡剤を急速にパージする方法。

3.前記熱可塑性樹脂が…から選ばれるポリオレフィンである請求項1に記載の方法。
4.前記ポリオレフィンがポリプロピレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリブチレン…から選ばれる請求項3に記載の方法。

11.前記ポリマー発泡体が前記残存発泡剤の大部分をパージするために要する時間を減らすのに有効な量の透過性調節剤を含む請求項1に記載の方法。
12.前記透過性調節剤は…グリセロールモノおよびジグリセライドの混合物、…請求項11に記載の方法。

20.前記押出ポリマー発泡体製品が…請求項1に記載の方法。

24.押出発泡体シーティングを…特徴とする可燃性炭化水素発泡剤を含有するポリオレフィン発泡体製品から残存発泡剤を急速にパージする方法。

28.前記発泡剤がエタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、ペンタン、ネオペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、および石油エーテルよりなる群から選ばれる請求項24に記載の方法。」(特許請求の範囲)
(5-2)
「空気と比較した場合の発泡剤に対するポリマー発泡体のセル壁の相対透過性は、ポリマーの溶剤や本明細書では”透過性調節剤”と称するいわゆるエイジング防止剤または安定性調節剤のような添加剤の使用により、発泡剤の適当なパージ速度が得られるように変えることができる。このような添加剤の例として、…グリセロールモノおよびジグリセライドの混合物があげられる。」(10頁左下欄1〜16行)

甲第6号証:特開昭63-151435号公報
甲第6号証には、以下の事項が記載されている。
(6-1)
「1.プラスチック発泡シートをロール間で圧縮しつつ通過させて気泡膜を破壊することにより連続気泡構造とする方法において、前記ロールの間隔を該発泡シートの厚みの1/2以下とし、該ロール間に、予め穿孔針にて多数の細孔を穿設したプラスチック発泡シートを入れて圧縮通過させるか、もしくは前記ロール間を圧縮通過させると同時に穿孔針にて多数の細孔を穿孔することを特徴とする連続気泡プラスチックフォームの製造方法。」(特許請求の範囲)

甲第7号証:特開昭60-4038号公報
甲第7号証には、以下の事項が記載されている。
(7-1)
「ポリオレフィン気泡体を常圧下にてポリオレフィンの軟化点以下で一定時間加熱及び系内空気を循環置換することを特徴とするポリオレフィン気泡体内部の気体の強制置換方法。」(特許請求の範囲)

[6]判断
I.特許法第29条の2について
(1)本件発明1について
本件発明1と甲第1号証に記載された発明とを対比する。
摘示事項(1-1)〜(1-9)から、甲第1号証には「可燃性発泡剤を含有する押出しオレフィン系プラスチック発泡板からの可燃性発泡剤の放出を促進する方法であって、該発泡板をその表面から裏面まで穴あけして該表面からプラスチック発泡体中にのびる小孔を穿設した後、該発泡板を厚み方向に加圧し、発泡板を圧縮することを特徴とする押出しオレフィン系プラスチック発泡板からの可燃性発泡剤の放出を促進する方法。」の発明(以下、「先願発明」という)が記載されているものと認める。
本件発明1と先願発明とは、押出しオレフィン系プラスチック発泡体からの可燃性発泡剤の放出を促進する方法である点では共通するものの、先願発明では本件発明1の構成要件である「発泡体がグリセロールモノステアレート及びステアリルステアロアミドから選ばれた浸透度変性剤を含有する」点が構成要件とされていない点で相違する(以下、「相違点」という)。
そこで、この相違点が、両者における実質的な相違点といえるか否かを次に検討する。
甲第2号証は、収縮防止剤の存在下でイソブタンの低密度ポリエチレン樹脂に対するガス透過度が小さい点に着目した低密度ポリエチレン系樹脂発泡体の製造方法に関するものである((2-1)〜(2-4))。
したがって、収縮防止剤が本件発明1の浸透度変性剤に該当するとしても、その製造方法は、収縮防止剤、特定の発泡剤及び特定の樹脂を構成要件とする場合に限られるものであり、甲第2号証からは、押出しオレフィン系プラスチック発泡体について、一般的に収縮防止剤が配合されているとまではいえない。
甲第3号証には、低密度ポリエチレンの押出発泡プロセスにおいて、ステアリン酸モノグリセライドを配合する例が記載されているものの、どのような目的で該ステアリン酸モノグリセライドが配合されるのかが記載されておらず、低密度ポリエチレンの押出発泡プロセスにおいてステアリン酸モノグリセライドの配合が一般的なものであるかは、甲第3号証からは不明である。
甲第4号証には、イソブタン発泡剤を使用する膨張性ポリオレフィン組成物の製造において、安定性調節剤として長鎖脂肪酸とポリオールの部分エステル、ポリスチレン等を使用する旨が特許請求の範囲に記載されている。
しかし、安定性調節剤の配合が発明の構成要件として記載されているということは、その構成が発明の特徴点の少なくとも一部をなす事項と認識されていたことを示すものと認められる。
したがって、甲第4号証における安定性調節剤の配合は、その発明における他の構成要件と密接に関連するものであり、構成要件の一部のみを取り出して一般化することができるものか不明である。そうすると、安定性調節剤が本件発明1の浸透度変性剤に該当するとしても、甲第4号証からは、押出しオレフィン系プラスチック発泡体について、一般的に安定性調節剤が配合されているとまではいえない。
甲第5号証においても、特許請求の範囲11項及び12項において、透過性調節剤の配合が発明の構成要件として記載されており、甲第4号証と同様の理由で、透過性調節剤が本件発明1の浸透度変性剤に該当するとしても、甲第5号証からは、押出しオレフィン系プラスチック発泡体について、一般的に透過性調節剤が配合されているとまではいえない。
以上のとおり、甲第2〜5号証の記載を参酌しても、押出しオレフィン系プラスチック発泡体からの可燃性発泡剤の放出を促進する方法において、浸透度変性剤、特に「発泡体がグリセロールモノステアレート及びステアリルステアロアミドから選ばれた浸透度変性剤を含有する」点は、当該技術分野における周知の技術であるとまではいえないので、上記相違点は実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は、先願発明と同一とはいえないので、本件発明1に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものとはいえない。

(2)本件発明2〜8について
本件発明2〜8は本件発明1を直接又は間接に引用し、更に限定を付加する発明であるから、本件発明1と同様の理由により、先願発明と同一とはいえない。
したがって、本件発明2〜8に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものとはいえない。

II.特許法第29条第2項について
(1)本件発明1について
本件発明1は、「可燃性発泡剤を含有する押出しオレフィン系プラスチック発泡体からの可燃性発泡剤の放出を促進する方法であって、該発泡体をその表面から裏面まで穴あけして該表面からプラスチック発泡体中にのびる0.05〜5.1mmの平均幅をもつ多数の溝を形成する」ことを発明の構成要件の一部とするものである。
これに対して、甲第6号証は連続気泡プラスチックフォームの製造方法
の発明であり、プラスチック発泡体の表面から裏面まで穴あけして該表面からプラスチック発泡体中にのびる多数の溝を形成することにより、発泡体からの可燃性発泡剤の放出を促進する方法については記載も示唆もされていない。
甲第2〜5号証及び7号証にも、プラスチック発泡体の表面から裏面まで穴あけして該表面からプラスチック発泡体中にのびる多数の溝を形成することにより、発泡体からの可燃性発泡剤の放出を促進する方法については記載も示唆もされていない。
したがって、本件発明1は、甲第2〜7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないので、本件発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとはいえない。

(2)本件発明2〜8について
本件発明2〜8は本件発明1を直接又は間接に引用し、更に限定を付加する発明であるから、本件発明1と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、本件発明2〜8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとはいえない。

[7]むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明1〜8についての特許を取り消すことはできない。
又、他に本件発明1〜8についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
穴あきプラスチック発泡体およびその製造法
(57)【特許請求の範囲】
〔請求項1〕可燃性発泡剤を含有する押出しオレフィン系プラスチック発泡体からの可燃性発泡剤の放出を促進する方法であって、該発泡体をその表面から裏面まで穴あけして該表面からプラスチック発泡体中にのびる0.05〜5.1mmの平均幅をもつ多数の溝を形成すると共に、該発泡体がグリセロールモノステアレート及びステアリルステアロアミドから選ばれた浸透度変性剤を含有することを特徴とする押出しオレフィン系プラスチック発泡体からの可燃性発泡剤の放出を促進する方法。
〔請求項2〕オレフィン系プラスチック発泡体がポリエチレン発泡体である請求項1の方法。
〔請求項3〕可燃性発泡剤が空気中4容量%未満の爆発下限をもつ請求項1または2の方法。
〔請求項4〕可燃性発泡剤が2〜9個の炭素原子をもつアルカンである請求項3の方法。
〔請求項5〕アルカンがイソブタンである請求項4の方法。
〔請求項6〕溝が発泡体の押出し方向に対して垂直方向にある請求項1〜5のいずれか1項の方法。
〔請求項7〕溝が2.5cm以下の平均間隔をもつ請求項1〜6のいずれか1項の方法。
〔請求項8〕浸透度変性剤がグリセロールモノステアレートである請求項1〜7のいずれか1項の方法。
【発明の詳細な説明】
大気中のオゾン枯渇に伴いクロロフルオロカーボン発泡剤をオゾン枯渇能力を実質的に減少させた発泡剤たとえば炭化水素に速かに置きかえる必要が生じている。
炭化水素および若干の他の代替発泡剤はそれ自身の独特の問題を示す。これらのうちで主なものは捕捉発泡剤により独立気泡発泡体に炎災の危険が多くなることである。然しその他の問題として毒性または環境上の非混和性があげられる。独立気泡発泡体の難燃性または環境上の非混和性は炭化水素を包含する若干の発泡剤の比較的おそい浸透性により発泡体からの回収がおそくなることがある。
難燃性の問題を解決するために、発泡剤とくに可燃性発泡剤をもっと迅速に放出させる独立気泡発泡体をもつことが望ましい。またこのような発泡体の製造法も望ましい。
本発明によれば、発泡体の表面からそして好ましくは発泡体の中にのびる多数の溝を形成するプラスチック発泡体から成る独立気泡プラスチック発泡体が提供される。これらの溝は発泡体の縦方向の伸び即ち発泡体の押出し方向に対して方向が自由即ち適宜の方向を向いていてよい。これらの溝は発泡構造体の外側の環境と気体連通しており、発泡構造体からの発泡剤の増大した放出を与える。
更に本発明によれば、(a)プラスチック発泡体を用意し、(b)この発泡体をその表面で穴あけして表面から好ましくは発泡体の中にのびる多数の溝を形成して発泡構造体を製造することから成るプラスチック発泡構造体の製造法が提供される。これらの溝は発泡体の縦方向の伸びに対して方向が自由であり、発泡構造体の外側の環境に気体連通している。
本発明の新規な特徴およびそれらの内容は添付の図面と共に次の記述を読むことにより良く理解されるであろう。
図1は本発明による発泡構造体を示す。
図2は図1の発泡構造体の線2-2にそった断面図を示す。
発泡剤の増大した放出を与える本発明の独立気泡プラスチック発泡構造体は図1および2にみられ、符号10によって一般的に示される。発泡構造体10はプラスチック発泡体20および対向面の一方または両方から発泡体20にのびる多数の溝30から成る。構造体10は面40にほぼ垂直な対向面50も形成する。
本発明の発泡構造体の発泡体に好適なプラスチック材料はすべての周知の発泡性の熱可塑性または熱硬化性材料を包含する。好適なプラスチック材料として2種以上の熱可塑性材料のブレンド、2種以上の熱硬化性材料のブレンド、熱硬化性材料と熱可塑性材料とのブレンドも含まれる。好適なプラスチック材料としてポリスチレン、ポリオレフィンたとえばポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリウレタン、およびポリイソシアネートがあげられる。好適な熱可塑性材料はモエチレン性モノマーのホモポリマーまたはコポリマーでありうる。有用なポリスチレンまたはその誘導体としてα-メチルスチレン、ブチルスチレンおよびジビニルベンゼンがあげられる。本発明はポリエチレンについて特に有用である。有用なポリエチレンとして高、中、低、および超低度の種類のものがあげられる。有用なポリエチレンとしてエチレン-アクリル酸、およびエチレン-ビニルアセテートのようなコポリマーもあげられる。
発泡構造体の発泡体は必要ならば更にエラストマー成分たとえばポリイソブチレン、ポリブタジエン、エチレン/プロピレンコポリマー、およびエチレン/プロピレン/ジエンインターポリマーを含むこともできる。必要ならば他の可能な追加成分として交差結合剤があげられる。他の追加成分として所望ならば核剤、押出し助剤、酸化防止剤、着色剤、顔料などをあげることもできる。
発泡構造体の発泡体は、形成の際の構造体の実質的な収縮を防ぎ、発泡剤の早まった過度の損失を防ぎ、然も発泡体からの発泡剤の放出を可能にするに十分な量の1種以上の浸透度変性剤を含むことができる。好適な浸透度変性剤として脂肪酸アミドおよびエステルたとえばステアリルステアロアミドおよびグリセロールモノステアレートがあげられる。
本発明の発泡構造体は当業技術に周知の1種以上の発泡剤と共に押出される。好適な揮発性発泡剤として、ハロカーボンたとえばフルオロカーボンおよびクロロフロロカーボン;ハイドロハロカーボンたとえばハイドロフルオロカーボンおよびハイドロクロロフルオロカーボン;アルキルハライドたとえばメチルクロライドおよびエチルクロライド;炭化水素たとえば3〜9個の炭素原子のアルカンまたはアルケンがあげられる。他の好適な発泡剤として原始的な発泡剤たとえば空気、二酸化炭素、窒素、アルゴンおよび水があげられる。発泡剤は上記発泡剤の2種以上の混合物を含むことができる。他の好適な発泡剤はアンモニウムおよびアゾ型化合物のような化学発泡剤をも含む。好適な化合物として炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸カリウム、ジアゾアミノベンゼン、ジアゾアミノトルエン、アゾジカーボンアミド、およびジアゾイソブチロニトリルがあげられる。
好ましい発泡剤は3〜9個の炭素原子をもつアルカンを包含する炭化水素である。好ましいアルカンとしてブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、およびヘプタンがあげられる。最も好ましい発泡剤はイソブタンである。
発泡剤は可燃性または不燃性であるけれども、本発明の発泡構造体は可燃性発泡剤を用いるときに特に有用である。それが与える発泡剤の加速された放出のためである。本発明の目的にとって、可燃性発泡剤はASTM681-85試験により空気中4容量%未満の爆発下限値をもつ発泡剤である。可燃性発泡剤の例として上記のアルキルハライド、アルカン、およびアルケンがあげられる。
本発明の発泡構造体は好ましくは1.6〜160、更に好ましくは16〜48kg/m3の總体密度(すなわち内部の溝もしくは空隙によって形成されるすきま容積を含む独立気泡発泡体の嵩密度)をもつ。
本発明の独立気泡発泡構造体は、構造体の内部にのびる溝または空隙を除いてASTM D-2856-Aによりその気泡の少なくとも70%の数が好ましくは独立気泡である。
溝30は表面40から発泡体20の内部にのびる。溝30は発泡構造体10の内部と構造体10の外側環境との間に気体連通を与えて発泡剤の加促された放出を容易にする。発泡剤は発泡体20から溝30に浸入して溝のない場合の速度から発泡剤の放出速度を加促する。溝30は表面40の区域の上に均一に分散しているのが好ましい。図1および2に示すような好ましい態様において、溝は発泡体の中を発泡体の一表面から対向表面にのびる。
溝30は好ましくは0.05〜5.1mmの更に好ましくは0.5〜1.5mmの平均巾または平均直径をもつ。溝30は好ましくは2.5cmまでの更に好ましくは1.3cmまでの平均間隔もしくは表面40から離れた距離をもつ。
溝の断面形状は臨界的ではない。たとえば、溝は円形、楕円形、方形、長方形、または他の多角形の断面形状をとることができる。然しながら、代表的には、このような形状は便宜上ほぼ円形の形体をとる。溝によって形成される発泡体中の通路はまっすぐで線状であるのが好ましいが、非線状たとえば曲線であってもよい。
従来技術として、米国特許第3,573,152号および同第4,824,720号にみられるように、マルチオリフィス・ダイからの押出しによって形成される縦方向の延長の溝方向をもつ合着した発泡体ストランドの発泡構造体がある。本発明の発泡構造体は、発泡構造体の縦の延長または押出し方向に対して方向の自由な又は方向性のない溝をもつことによってこの従来技術の構造体と区別される。本発明の構造体の溝30は縦の延長に向って角度をもっていてもよいが方向性はない。溝30は発泡構造体10の縦延長に対して好ましくは30〜90度に位置するが、更に好ましくは発泡構造体の縦延長にほぼ垂直である。溝30の角度の引用が図2に示してある。すなわち図2には押出し方向に向って角度のある溝、逆の押出し方向に向って角度のある溝、またはこれらの間の任意の方向に向って角度のある溝、の角度θが示してある。押出し方向とその逆方向の両者は構造体の縦延長に対応する。あるいは、又は付加的に、溝(図示していない)は表面50から発泡体にのびて発泡剤の除去を助けるようにすることもできる。表面40から発泡体20にのびる溝30については、表面50から発泡体20にのびる溝(図示していない)は対応する様式で角度が付いていてもよいが、縦延長ではなく、押出し方向と逆の押出し方向との間の任意の方向に向けて角度が付いていてもよく、あるいは縦延長に対してほぼ垂直にのびていてもよい。発泡剤の除去を更に助けるために、発泡構造体は米国特許第3,573,152号および同第4,824,720号にみられるように縦延長の方向に追加の溝(図示していない)をもつこともできる。
発泡剤の促進された放出を与えるプラスチック発泡構造体の製造法が本発明により提供される。この方法はプラスチック発泡体20を提供し、次いで発泡体20をその表面または表面40において穴あけして発泡体20内に発泡体20の縦延長に対して方向の自由な溝30を形成することから成る。
プラスチック発泡体の用意は、発泡性ポリマーと発泡剤との樹脂質溶融物を含む種々の成分を加圧下にブレンドして発泡性プラスチックゲルを形成し、この発泡性ゲルを通常のダイ(図示していない)から低圧領域に押出して発泡体を生成させることから成る。発泡性ゲルのブレンドは当業技術に周知の技術により達成することができる。溶融発泡性ゲルは次いで通常のダイを通過させて発泡体にする。
発泡体の穴あけは、針、ピン、スパイク、またはツメの性質の多数のとがった鋭い対象物を用いて発泡体を刺すことから成る。発泡体20は表面40を図3に示すラック60のクギ62と接着またはクギ62で刺すことによって穴あけすることができる。このような穴あけは図3に示すように発泡体20中に部分的に部分的に刺すか又は好ましくは図2にみられるように発泡体中に完全に刺すことによって行なわれる。クギのマットまたは床あるいはラック60と均等の他の装置が意図される。鋭いとがった対象物以外の穴あけ手段、たとえばドリル孔あけ、レーザー・カッティング、高圧流体カッティング、空気銃、または発射体を使用しうることは明らかであろう。
本発明の発泡構造体からの発泡剤の放出を促進するのを更に助けるために、構造体を室温水準(22℃)を越える昇温にある時間さらすこともできる。望ましい露出温度は室温より高い温度から発泡体の不安定が起る以下の温度までの範囲である。望ましい露出温度は、構造物を構成する発泡プラスチック物質の性質、構造体自身の物理的寸法、および使用する発泡剤により変わりうる。昇温は、本発明の穴あけと組合せて、構造体中の発泡剤が使用者に提供される安全水準にまで減少するに十分な時間保たれる。構造体は好適な手段たとえばオーブン、加熱ユニットもしくはエレメント、または昇温環境を内部にもつ倉庫によって昇温にさらすことができる。
本発明を更に具体的に説明するために、次の実施例を与えるが、これらは限定的なものではない。
実施例
本発明の穴あきポリエチレン発泡構造体を製造し、発泡剤の保持を時間、温度、および配合の関数として試験した。穴あき発泡体の発泡剤の保持を本発明ではない固体の穴のあいていない構造体の発泡剤の保持と更に比較した。
5.1cm×25.4cmの断面の発泡構造体を表1に示す発泡性ゲルの押出しによって製造した。ゲル処方物の諸成分を8.8cm押出し機中でブレンドし、9.5cm×0.3cm寸法のダイ・オリフィスから180kg/hrの速度および2360キロパスカルのダイの発泡性圧力で押出した。押出し機をそれぞれ80℃、140℃、190℃、200℃、225℃、および225℃の温度の帯域1-6中で操作した。ダイの発泡圧力および温度はそれぞれ2360キロパスカルおよび112℃であった。

(1)ボーエリンガー・インジエルヒーエムによるHydrocerol CF-20
(2)チバ・ガイギーによるIrganox1010
HC・FC-142b=1,1,1ジフルオロクロロエタン
SS=ステアリルステアロアミド
GMS=グリセロール・モノステアレート
発泡構造体を2.4mの長さにカットし、直径3mmのスパイクもしくはクギで穴あけして、2つの大きな表面のあいだを通ってのびる断面がほぼ円形の溝を作った。溝は図1にみられるものと類似の1.3cmまたは2.5cmの方形の形態にあった。構造体は3mmのスパイクで穴あけしたけれども、スパイクの挿入および抜出しの際に生成した溝は、抜出しの際の発泡構造体の発泡体の弾力性もしくは回復のために直径が約1mmであった。
測定または熟成の各時間において、発泡構造体の縦延長にそって28cmのセグメントを除き、構造体の中央からとった試料の発泡剤含量をしらべた。発泡剤含量はガス・クロマトグラフによって測定した。本発明のものではない穴あけしなかった発泡構造体の発泡剤含量を実質的に同様にしらべた。


*本発明の実施例ではない。
(a)熟成の温度

*本発明の実施例ではない。
(a)熟成の温度
iC4イソブタン

*本発明の実施例ではない。
(a)熟成の温度
iC4イソブタン
表2〜4からわかるように、処方1,2および3に相当する発泡構造体の発泡剤含量は、与えられた熟成、熟成温度、または穴あき(溝)間隔についての対応する穴のあけていないものよりも傾向として実質的に低かった。表2〜4からわかるように、処方1,2および3に相当する発泡構造体は、与えられた熟成温度または穴あけ間隔について、対応する非穴あけ構造体のそれよりも実質的に速い経時的発泡剤放出を実証した。更に、1.25cm間隔をもつ発泡構造体は、与えられた熟成または熟成温度について、2.5cmの間隔をもつものよりも実質的に速い経時的発泡剤放出を実証した。更に、46℃で熟成した発泡構造体は、与えられた熟成および穴あけ間隔について、21℃で熟成したものよりも実質的に速い経時的発泡剤放出を実証した。
本発明の発泡構造体およびその製造法の態様を特定の詳細に関して示したけれども、製造法および製造者の望みに応じて、本発明はここに示す新規な教示と原理の範囲内に依然として確かに存在する種々の変化によって変性しうるということが理解されるであろう。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-10-20 
出願番号 特願平4-511811
審決分類 P 1 651・ 161- YA (B29C)
P 1 651・ 121- YA (B29C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 上坊寺 宏枝  
特許庁審判長 松井 佳章
特許庁審判官 川端 康之
鴨野 研一
登録日 2003-05-23 
登録番号 特許第3431141号(P3431141)
権利者 ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレーテッド
発明の名称 穴あきプラスチック発泡体およびその製造法  
代理人 斉藤 武彦  
代理人 畑 泰之  
代理人 畑 泰之  
代理人 斉藤 武彦  
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