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審決分類 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  D06N
審判 一部申し立て 2項進歩性  D06N
審判 一部申し立て 特174条1項  D06N
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  D06N
管理番号 1128923
異議申立番号 異議2003-72866  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-07-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-25 
確定日 2005-11-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3409554号「皮革様シート状物およびその製造方法」の請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3409554号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3409554号の手続の経緯は以下の通りである。

特許出願 平成 7年12月28日
特許権設定登録 平成15年 3月20日
特許異議の申立て(特許異議申立人 株式会社クラレ)
平成15年11月25日付け
取消理由通知 平成16年11月25日付け
訂正請求 平成17年 2月 1日付け
(平成17年5月12日付けで取下げ)
特許異議意見書 平成17年 2月 1日付け
取消理由通知を兼ねる訂正拒絶理由通知 平成17年 3月 7日付け
訂正請求 平成17年 5月12日付け


2.訂正の適否についての判断
2-1 訂正の内容
平成17年5月12日付けでなされた訂正請求に係る訂正は以下の内容のものである。

訂正事項1
(i)特許請求の範囲請求項1〜7および9を削除する。
(ii)特許請求の範囲請求項8「繊維を含む基材の、少なくとも片側に被覆層を有する皮革様シート状物の製造方法において、該基材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜を化学的および/または機械的に微少に分割し、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめることを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。」を「【請求項1】繊維を含む基材の、少なくとも片側に被覆層を有する皮革様シート状物の製造方法において、該基材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜をアルカリ性水溶液処理及び揉み加工で微少に分割することにより、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめることを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。」
と訂正する。

訂正事項2
段落【0007】の
「【課題を解決するための手段】 本発明は、かかる課題を解決するために次のような手段を採用する。すなわち、本発明の皮革様シート状物は、基材の少なくとも片側に被覆層を有するシート状物であって、該被覆層がミクロジョイント構造からなり、かつ、該ジョイント構造の少なくとも1部から毛羽あるいは立毛状の繊維が露出してなることを特徴とするものであり・・・・・また、かかる皮革様シート状物の製造方法は、繊維を含む基材の、少なくとも片側に被覆層を有する皮革様シート状物の製造方法において、該基材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜を化学的および/または機械的に微少に分割し、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめることを特徴とするものである。」とあるのを、「【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を解決するために次のような手段を採用する。すなわち、本発明の皮革様シート状物の製造方法は、繊維を含む基材の、少なくとも片側に被覆層を有するシート状物の製造方法において、該基材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜をアルカリ性水溶液処理および揉み加工で微少に分割することにより、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめることを特徴とするものである。」と訂正する。

訂正事項3
発明の名称「皮革様シート状物およびその製造方法」を、「皮革様シートシート状物の製造方法」と訂正する。

2-2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について
(i)請求項1〜7及び9を削除することは、特許請求の範囲の減縮を目的とする明細書の訂正に該当する。そしてこの訂正は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ii)に関する訂正は、訂正前の「連続膜を化学的および/または機械的に微少に分割し」という事項の、「化学的」な分割を「アルカリ性水溶液処理」に限定し、「機械的」な分割を「揉み加工」による分割に限定して、「アルカリ性水溶液処理及び揉み加工」の双方を含む方法に限定するから、この訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして「アルカリ性水溶液処理」とする訂正は、訂正前の請求項9「該連続膜を分割せしめる工程が、アルカリ性水溶液処理であることを特徴とする請求項8記載の皮革様シート状物の製造方法」、願書に添付された明細書の「溶解による除去する方法としては特に制限はないが、例えば製膜時に、後で除去可能な成分を混合し被覆層形成後に除去する方法を採用することができる。また、例えばアルカリ性水溶液中で加熱しながら揉み加工することにより比較的容易にミクロジョイントを形成せしめることができる。」(段落【0026】)、「該基材上にさきほどと同じポリウレタンをナイフコーターで塗布し、乾燥後、180℃の加熱エンボスロールにてプレスした。それを95℃10g/lの水酸化ナトリウム水溶液中で揉み加工した。」(段落【0044】)、「実施例2と全く同じ工程を通してシート状物を得た。該シート状物を液流染色機にて95℃5g/lの水酸化ナトリウム水溶液中で揉み加工し、さらに80℃の温水中で揉み加工を行った。」(段落【0054】)と記載されていることに基づくものである。一方「揉み加工」と訂正することは、願書に添付された明細書の「機械的に分割する方法としては、乾燥状態での揉み加工、液中での揉み加工、擦過処理等を用いることができる。」(段落【0024】)という記載、及び先に示した段落【0044】【0054】に「揉み加工」と記載されていることに基づくから、訂正事項1(ii)は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は特許請求の範囲の訂正に伴い、発明の詳細な説明の記載を、特許請求の範囲の記載に整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そしてこの訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は特許請求の範囲の訂正に伴い、発明の名称を、特許請求の範囲の記載に整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そしてこの訂正は、訂正前の「皮革様シート状物およびその製造方法」という発明の名称に基づくものだから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

2-3 むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。


3.本件発明
上記2.に記載したように訂正が認められるから、本件の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
【請求項1】
「繊維を含む基材の、少なくとも片側に被覆層を有する皮革様シート状物の製造方法において、該基材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜をアルカリ性水溶液処理及び揉み加工で微少に分割することにより、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめることを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。」


4.申立ての理由の概要
特許異議申立人 株式会社クラレは、証拠として甲第1〜6号証及び参考資料1を提出し、訂正前の特許請求の範囲請求項1〜8に関する発明は、次のような理由により拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであり、特許を取り消すべきものである旨の主張をする。
(1)本件特許請求の範囲請求項1〜8に係る発明は、甲各号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができない。
(2)本件特許請求の範囲請求項1〜8に係る発明は、甲各号証及び参考資料1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

甲第1号証:特開平7-292579号公報
甲第2号証:特開昭59-199874号公報
甲第3号証:特開昭59-94685号公報
甲第4号証:特開昭60-34678号公報
甲第5号証:特開昭61-12984号公報
甲第6号証:実験報告書(甲第2号証(特開昭59-199874号公報) の実施例の追試)
参考資料1:特開昭60-7876号公報


5.取消理由の概要
平成16年11月25日付け及び平成17年3月7日付けの取消理由通知の概要は、以下のような内容である。

イ.本件特許は、明細書及び図面の記載が下記(1)、(2)の点で不備であるから、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(1)特許法第36条第6項第1号について
本件請求項8の記載によれば、「連続膜を化学的および/または機械的に微少に分割し、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめること」が発明を特定するための事項として含まれるものと認められるが、明細書の発明の詳細な説明及び図面の記載において、少なくとも化学的にのみ連続膜を微少に分割し、「露出」を達成することについて、実質的に記載されているとはいえない。
してみれば、本件請求項8に係る発明は、明細書の発明の詳細な説明に実質的に記載されたものではない。

(2)特許法第36条第6項第2号について
(2-1)本件請求項1に記載されている「ミクロジョイント構造」が、どのようなものを意味しているのかが明りょうでない。
(2-2)本件請求項1に記載されている「ジョイント構造の少なくとも1部から毛羽あるいは立毛状の繊維が露出していること」が、どのような状態を意味しているのかが明りょうでない。
(2-3)本件請求項5に記載されている基材における「交絡点間距離」が、どのようにして求められるものであるのかが明りょうでない。
(2-4)本件請求項8に記載されている「連続膜を化学的および/または機械的に微小に分割し、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめる」について、「分割」することと「露出」せしめることとの関係が、それぞれ別々の工程があるものとして理解されるべきものであるのか、「分割」の結果として「露出」せしめられることになると理解されるべきものであるのかが明りょうでない。

ロ.本件特許は、明細書又は図面の記載が下記の点で特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。

本件請求項8の記載は、「連続膜を化学的および/または機械的に微少に分割し、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめること」との記載を含むものである。他方、願書に最初に添付された明細書及び図面の記載においては、連続膜を化学的にのみ微少に分割することにより、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめることについては少なくとも請求項には記載されておらず、また、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめるための具体的な手法に関し、化学的にのみ連続膜を微少に分割することによって「露出」が達成されることについて、実質的に記載されていたとはいえなかったものである。 してみれば、本件請求項8の記載は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正に係る記載を含むものである。


6.甲各号証の記載事項
異議申立人の提出した甲第1〜6号証には以下の事項が記載されている。

甲第1号証
(A-1)
「【請求項1】 表面に凹凸模様を有する皮革様シート状物において、凸部は弾性重合体被膜により覆われており、凹部には凸部の高さより低い繊維立毛を有していることを特徴とする皮革様シート状物。
【請求項2】(1) 一面に繊維立毛を有する繊維質基体層の立毛表面に易溶解除去性高分子溶液を塗布・乾燥する工程、(2)該表面にエンボシングにて凹凸模様を形成する工程、(3)凸部に付着している易溶解除去性高分子の一部を除去する工程、(4)易溶解除去性高分子を除去した凸部に弾性重合体の溶液または分散液を塗布・乾燥する工程、(5)易溶解除去性高分子を溶解除去する工程、を必須とする皮革様シート状物の製造方法。」(特許請求の範囲請求項1及び2)
(A-2)
「本発明でいう易溶解除去性高分子とは、皮革様シート状物を構成する繊維や弾性重合体を溶解や膨潤しない有機溶剤や水、熱水等に可溶で、凸部に付与する弾性重合体の溶液によって溶解や膨潤しない高分子であり、さらに、エンボス型押し時の高温、例えば180℃の温度で溶融しない高分子である。すなわち立毛表面に塗布された易溶解除去性高分子の被膜は、極細繊維の立毛面を侵すことなく覆うことにより後工程のエンボス型押しに於いて、立毛面を溶融し銀面化することを保護するものである。このような高分子として、例えば水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、デンプン等が挙げられる。」(段落【0009】第2〜13行)
(A-3)
「得られたシート状物はさらに、柔軟処理、もみ処理を加えることにより風合いが向上する。」(段落【0014】第12〜14行)

なお、甲第1号証は請求項2中(1)〜(5)は、丸付き数字で表示されているが、特許異議の決定で使用できる字体では制限があるため、上記のように表記している。

甲第2号証
(B-1)
「繊維集合体と弾性ポリマーからなる多孔質または非多孔質の表面被覆層を形成して仕上げるに際し、まず体質顔料の微粉末を含む弾性ポリマー組成物を基体層の表面に塗布して下地層を形成し、次いで凹凸模様のエンボシングを加熱状態で施し、続いて着色顔料及び必要に応じて体質顔料を添加した弾性ポリマー組成物を塗布して表面着色層を形成し、更に必要に応じて着色顔料を添加した樹脂組成物をを主として凸部に塗布して凸部被覆層形成したのち、もみ処理などの機械的変形を与えることによって凹部に亀裂を形成させる方法が挙げられる。」
(第2頁右下欄第17行〜第3頁左上欄第9行)
(B-2)
「実施例
ナイロン-6の極細繊維束の絡合不織布に多孔質ポリウレタンが含有されて成る厚さ1.5mmの基体層の表面をバッフィングして繊維毛羽とポリウレタンが混在した平滑面を得た……このようにして得られた人工皮革を機械的にもみ処理を施したところ、凹部に細い亀裂が凸部を囲むように非連続状で発生しており、その大部分は基体層内部にまで達していた。」(第3頁右上欄第15行〜同頁左下欄第15行)

甲第3号証
(C-1)
「かかる本発明の人工皮革は、表面に立毛を有する有機質基体の立毛表面に、熱可塑性ポリウレタンを霧状にして塗布して後、加熱乾燥してポリウレタンを粒子状で繊維質基体表面に付着させ、次いで熱ローラで処理してポリウレタン粒子を偏平化して非連続状に形成された微少亀裂を有するポリウレタン層に変換させることによって製造される」(第2頁右上欄第10〜15行)

甲第4号証
(D-1)
「本発明は次の2つの処理の組み合わせからなる。一つは,基材表面の熱溶融処理であり,該処理により銀付人工皮革の銀面層が主として熱可塑性の極細繊維および高分子弾性体からなる熱溶融物で構成される皮革状基材とすること。もう一つは該皮革状基材を揉み処理することであり,揉処理により表面の熱溶融膜に非定形の微少な亀裂を付与する」
(第2頁左下欄第15行〜同頁右下欄第2行)
(D-2)
「該皮革状基材を強く揉処理したところ,天然皮革様のシボが発現し,風合いが柔軟となり,ドレープ性がよくなり,通気透湿性のすぐれた銀付き人工皮革とする」
(第4頁右下欄第4〜8行)

甲第5号証
(E-1)
「柔らかくて充実感のある風合と、高級感、自然感のある折り曲げ皺と揉み皺が付与でき、かつ透湿性・通気性を付与した新規な皮革状シート物に関する」(第1頁左欄第6〜9行)
(E-2)
「高分子重合体溶液(塗料)を実質的に支持体のシボの凹部(皮革状シートの凸部)のみに塗布し、凸部(皮革状シートの凹部)には塗料が僅かしか存在しないようにして、基体と圧着すると、気孔のほとんどは、支持体の凸部(皮革状シートの凹部)に実質的に集中させることができる。
また、別の方法として、平滑な離型性支持体を用い、高分子重合体溶液(塗料)を、うすく塗布し、基体と貼合せ、薄膜を形成させる。その後、凸凹性の支持体を圧着させることにより、膜の一部を破壊させ気孔を設けることができる。この場合も凸部の圧力により、塗膜の一部が基体にしみこみ気孔がこの部分に実質的に集中して形成されることになる。
気孔を形成する別の方法として、発泡剤を利用する方法、水溶性物質を添加し、これを抽出除去する方法、機械的及び物理的に穿孔する方法などもとり得る。
このようにして得たシート物に、気孔をつぶさない程度に表面仕上げしたり、もみ加工を施してもよい。」(第3頁左上欄第2行〜右下欄第2行)

甲第6号証
(F-1)
甲第2号証(特開昭59-199874号公報)の実施例を追試した人工皮革の外観に関する実験報告書であり、当該人工皮革の表面を走査型電子顕微鏡にて写真撮影したものである図1には、亀裂部分から毛羽あるいは毛羽状の繊維が露出していることが確認できる。


7.対比・判断
7-1.取消理由の妥当性についての検討
先に、上記5.で挙げた取消理由の妥当性について検討する。

上記5-1の取消理由は、訂正前の請求項1〜8に係る発明の特許について記載不備があり、その特許を取り消す旨のものである。このうち請求項1〜7は、上記2.に記載したように訂正により削除されたから、これらの請求項に係る発明について、記載不備であるとして指摘した上記取消理由の理由イ.(2)の(2-1)、(2-2)、(2-3)に関する不備は解消されている。
一方で、本件発明は、訂正前の請求項8に係る発明を減縮したものであるので、本件発明に関する取消理由の妥当性について検討する。

7-1-2
(1)理由イ.(1)(特許法第36条第6項第1号)について
本件発明は訂正により「繊維を含む基材の、少なくとも片側に被覆層を有する皮革様シート状物の製造方法において、該基材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜をアルカリ性水溶液処理及び揉み加工で微少に分割することにより、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめることを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。」とされた。
一方、願書に添付された明細書には「例えばアルカリ性水溶液中で加熱しながら、揉み加工することにより比較的容易にミクロジョイントを形成せしめることができる」(段落【0026】)、
「95℃10g/lの水酸化ナトリウム水溶液中で揉み加工した。
得られたものを十分に水洗後、120℃にて分散染料で染色を施した。表面は平均面積約0.07平方ミリメートルのミクロジョイント構造を形成していた」(実施例1)、「95℃5g/lの水酸化ナトリウム水溶液中で揉み加工し、さらに80℃の温水中で揉み加工を行った。表面は平均面積約0.005平方ミリメートルのミクロジョイント構造を形成していた。」(実施例4)と記載されている。
そして、毛羽あるいは立毛状の繊維は連続膜を微少に分割した結果、露出せしめられることは明らかであるから、該連続膜をアルカリ性水溶液処理及び揉み加工で機械的に微少に分割することにより、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめることは、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されている事項である。
したがって、この記載不備は解消されたものである。

(2)理由イ.(1)(2-4)(特許法第36条第6項第2号)について
本件発明は訂正により「〜機械的に微少に分割することにより、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめることを特徴とする」とされた。したがって、毛羽あるいは立毛状の繊維は、「分割」の結果として「露出」せしめられることが明りょうになったものであり、この記載不備は解消されたものである。

(3)理由ロ.(特許法第17条の2第3項)について
上記(1)において示した、願書に添付した明細書の段落【0026】、実施例1及び4の記載は、この出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されている事項でもある。したがって、本件発明は、この出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。

7-1-3.まとめ
以上のことから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たさない特許出願に対して特許されたものであるとはいえず、また、明細書及び図面の記載が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対して特許されたものでもない。

7-2. 特許異議申立人の主張についての検討
上記の特許異議申立人の主張は、訂正前の請求項1に係る発明は甲第1〜6号証に、同請求項2及び3に係る発明は甲第1、2、4〜6号証に、同請求項4に係る発明は甲第1〜3、5号証に、同請求項5に係る発明は甲第4号証に、同請求項6に係る発明は甲第1、4、5号証に、同請求項7に係る発明は甲第1〜5号証に、同請求項8に係る発明は甲第2〜5号証に、それぞれ記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、また訂正前の請求項1〜8に係る発明は、甲各号証及び参考資料1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第1項又は第2項の規定により特許を受けることができないから、発明についてについて特許されたものである旨のものである。
しかし、請求項1〜7は訂正により削除されたから、その結果、これらの請求項に係る発明について、取消の理由は検討するまでもなく存在しないことは明らかである。
一方、本件発明は、訂正前の請求項8に係る発明を減縮したものである。そこで、請求項8に関する特許異議申立人の主張について検討する。

7-2-1.理由1(特許法第29条第1項3号)について
(1)甲第2ないし5号証について
(1-i)甲第2号証には、摘示(B-1)〜(B-3)の記載からみて、下記の発明が記載されていると認められる。
「繊維集合体と弾性ポリマーからなる多孔質または非多孔質の表面被覆層を形成して仕上げるに際し、まず体質顔料の微粉末を含む弾性ポリマー組成物を基体層の表面に塗布して下地層を形成し、次いで凹凸模様のエンボシングを加熱状態で施し、続いて着色顔料及び弾性ポリマー組成物を塗布して表面着色層を形成し、更に樹脂組成物をを主として凸部に塗布して凸部被覆層形成したのち、もみ処理などの機械的変形を与えることによって凹部に亀裂を形成させる方法」
本件発明と甲第2号証に記載された発明とを対比すると、後者の「繊維集合体」「表面被覆層」「もみ処理」「機械的変形を与えることによって凹部に亀裂を形成させる」が、前者の「繊維を含む基材」「被覆層」「揉み加工」「機械的に微少に分割」にそれぞれ相当するから、両者は「繊維を含む基材の、少なくとも片側に被覆層を有する皮革様シート状物の製造方法において、該基材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜を揉み加工で微少に分割することを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。」である点で一致するが、後者には「アルカリ性水溶液処理」について記載が無く、また「毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめる」ものであるか不明であるから、両者はこれらの点で相違し、そしてこれらの点は実質的な相違点である。
したがって、本件発明は甲第2号証に記載された発明ではない。

(1-ii)甲第3号証について
甲第3号証には、摘示(C-1)に記載されたとおりの、下記の発明が記載されていると認められる。
「表面に立毛を有する有機質基体の立毛表面に、熱可塑性ポリウレタンを霧状にして塗布して後、加熱乾燥してポリウレタンを粒子状で繊維質基体表面に付着させ、次いで熱ローラー処理してポリウレタン粒子を偏平化して非連続状に形成された微少亀裂を有するポリウレタン層に変換させる人工皮革の製造方法」
本件発明と甲第3号証に記載された発明とを対比すると、後者の「表面に立毛を有する有機質基体」「ポリウレタン層」「非連続状に形成された微少亀裂」が、前者の「繊維を含む基材」「被覆層」「微少に分割」にそれぞれ相当するから、両者は「繊維を含む基材の、少なくとも片側に被覆層を有する皮革様シート状物の製造方法において、該基材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜を微少に分割することを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。」である点で一致するが、後者には「連続膜をアルカリ性水溶液処理及び揉み加工」することについて記載が無く、また「毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめる」ものであるか不明であるから、両者はこれらの点で相違し、そしてこれらの点は実質的な相違点である。
したがって、本件特許は甲第3号証に記載された発明ではない。

(1-iii)甲第4号証について
甲第4号証には、摘示(D-1)に記載されたとおりの、下記の発明が記載されていると認められる。
「基材表面の熱溶融処理であり、該処理により銀付人工皮革の銀面層が主として熱可塑性の極細繊維および高分子弾性体からなる熱溶融物で構成される皮革状基材とし、該皮革状基材を揉み処理することで、揉処理により表面の熱溶融膜に非定形の微少な亀裂を付与する方法」
本件特許と甲第4号証に記載された発明とを対比すると、後者の「基材」「高分子弾性体からなる熱溶融物」「揉み処理」「揉処理により表面の熱溶融膜に非定形の微少な亀裂を付与する」が、前者の「繊維を含む基材」「被覆層」「揉み加工」「微少に分割」にそれぞれ相当するから、両者は「繊維を含む基材の、少なくとも片側に被覆層を有する皮革様シート状物の製造方法において、該基材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜を揉み加工で微少に分割することを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。」である点で一致するが、後者には「アルカリ性水溶液処理」について記載が無く、また「毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめる」ものであるか不明であるから、両者はこれらの点で相違し、そしてこれらの点は実質的な相違点である。
したがって、本件特許は甲第4号証に記載された発明ではない。

(1-iv)甲第5号証について
甲第5号証には、摘示(E-1)(E-2)の記載からみて、下記の発明が記載されているものと認められる。
「基材に微細な気孔が形成された被覆層を設けた、シート状物に、気孔をつぶさない程度に表面仕上げしたり、もみ加工を施す皮革様シート状物の製造方法」
本件発明と甲第5号証に記載された発明とを対比すると、後者の「基材」「被覆層」「もみ加工」が、前者の「繊維を含む基材」「被覆層」「揉み加工」にそれぞれ相当するから、両者は「繊維を含む基材の、少なくとも片側に被覆層を有する皮革様シート状物の製造方法において、該基材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜を揉み加工することを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。」である点で一致するが、後者には「アルカリ性水溶液処理」について記載が無く、また「毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめる」ものであるか不明であるので、両者はこれらの点で相違し、そしてこれらの点は実質的な相違点である。
したがって、本件発明は甲第5号証に記載された発明ではない。

7-2-2.理由2(特許法第29条第2項)について
(1)甲第1〜6号証及び参考資料1について
先に7-2-1.にて、検討したように、本件発明と甲第2号証に記載された発明とは、「繊維を含む基材の、少なくとも片側に被覆層を有する皮革様シート状物の製造方法において、該基材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜を揉み加工で微少に分割することを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。」である点で一致するが、後者には「アルカリ性水溶液処理」について記載が無く、また「毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめる」ものであるか不明であるという実質的な相違点を有するものである。
上記相違点について検討すると、上記7-2-1.で検討したように、皮革様シート状物の製造方法において「アルカリ性水溶液処理」をすることは甲第3〜5号証には記載されておらず、それを示唆する記載もない。また、甲第1号証は、その摘示(A-1)〜(A-3)をみても、連続膜を「アルカリ性水溶液処理」することについて記載されていないし、甲第6号証は、甲第2号証の実施例を追試した実験成績証明書であるから、甲第2号証と同様に「アルカリ水溶液処理」を開示するものではない。
したがって、甲第1〜6号証に記載された発明からは、「基材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜をアルカリ性水溶液処理及び揉み加工で機械的に微少に分割する」ことを想起しうるとはいえず、甲第1〜6号証に記載された発明に基いて、本件発明のように構成することは、当業者といえども容易に想到することとはいえない。
なお、参考資料1である特開昭60-7876号公報には、人工皮革を構成する繊維シートが極細繊維形成型繊維からなる不織布と織編物とを交絡一体化する技術に関するものが記載され、「繊維シートに高速流体流を接触させて銀面層に相当する部分を極細繊維および/またはその束に枝分かれさせると同時に緻密に交絡させる。ここでいう流体とは,液体あるいは気体であり,特別な場合は,きわめて微細な固体を含むものであってもよいが,取り扱いやすさ,コスト,流体としての衝突エネルギー量の点から水が最も好ましく用いられる。さらに目的に応じて,該極細繊維形成型繊維の一部成分を溶解可能な種々の有機溶剤あるいは水酸化ナトリウムなどのアルカリまたは酸の水溶液なども使用できる。」(第4頁右上欄第5〜16行)、「樹脂を付与する工程は,前記のほかに高速流体流の処理工程と該繊維の一部成分の溶解除去工程の間に持ってくることが可能で,この場合は,該一部成分の溶解除去に使用する溶剤で,付与した樹脂が溶解しないことが必要であるが,得られた繊維シートの極細繊維束と樹脂との間に該一部成分が存在していた空間ができ相互の動きに自由度が増すため風合いを柔軟にするのに好ましい方法である。」(第4頁右下欄第2〜10行)との記載からみて、繊維シートに樹脂を付与して被覆層を生成した後に、アルカリ処理をすることを想定すると認められる。しかし、参考資料1には被覆層を生成した後に揉み加工することの記載は見られないし、「繊維どうしの交絡が緻密にでき、平滑性がよくしなやかで、亀裂が発生しにくく手になじみのよい銀面層を有する皮革様シート状物が得られる」(第2頁右下欄第19〜第3頁左上欄第2行)と記載されているように、本件発明の「被覆層」に相当する銀面層は、亀裂を忌避すべきとの技術思想を有していると認められるから、参考資料1を参酌しても、本件発明の「連続膜をアルカリ性水溶液処理及び揉み加工で機械的に微少に分割する」という工程を想起させるものではない。
これに対して、本件発明は「基材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜をアルカリ性水溶液処理及び揉み加工で機械的に微少に分割する」という工程を含むことで、得られる皮革様シート状物は、自然な外観と柔軟性を有し、さらに表面のタッチはしっとりとした良好なものとなるから、甲第1〜6号証及び参考資料1に記載された発明からは、導き出せない格別の効果を奏するものである。

7-2-3.まとめ
以上みてきたように、本件発明は、甲第2〜5号証に記載された発明ではなく、また、甲1〜6号証及び参考資料1に記載された発明から容易に発明をすることができたものでもないから、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反するものではない。

8.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
皮革様シート状物の製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】繊維を含む基材の、少なくとも片側に被覆層を有する皮革様シート状物の製造方法において、該基材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜をアルカリ性水溶液処理および揉み加工で微少に分割することにより、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめることを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は従来にない、柔軟でしっとりした触感を有する皮革様シート状物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
皮革様シート状物としては織編物または不織布の基材表面に、被覆層として高分子弾性体等を塗布または転写してフィルム状の連続膜を形成したものが知られているが、これらは風合い、柔軟性に関しては、硬くて、フィルムライクであり、外観、タッチに関しては自然感がなく、プラスチックライクであり、通気性、透湿性に関しても不十分であるといった問題点があった。
【0003】
上記問題点のうち、風合いを柔軟化する方法としては表面の被覆層を構成する膜に柔軟な素材を用いるという方法が知られているが、そのような膜は擦過に弱く、耐久性が低いという問題があった。また、高分子弾性体の微多孔構造膜を用いることにより、ある程度の柔軟性は得られるが、まだまだ満足のいくものではなく、また風合いがゴムライクになるという欠点があった。さらに、外観、タッチを改良する方法としては、表面層を形成した後エンボス加工したり、皮シボ様の凹凸を有する離型紙上で製膜したのち、基材上に転写する方法が知られている。これらはいずれも天然皮革の凹凸を真似しようとするものであるが、所詮規則的で人工的な外観しか得られなかった。さらに製膜の際に微粒子を混合することにより、シート表面にランダムな凹凸を形成する方法が知られているが、この手法もある程度の効果はあるものの、やはり人工的でプラスチックライクな外観しか得られなかった。通気性、透湿性を改善する方法としては被覆層を微多孔構造とする方法、被覆層に親水性物質を付与する方法等が知られている。これらの方法により、通気性、透湿性はある程度改善されるものの、被覆層により、基材の通気性、透湿性が損なわれるため、満足しうる性能のものは得られていなかった。
【0004】
なお、特開平6ー33577号公報には表面に弾性重合体と立毛の混在した皮革用シートを得る方法が示唆されている。この方法は、繊維質シートの表面に弾性重合体を付与し、次いで繊維の表面の重合体を少なくとも1部を残した状態で立毛を形成するまでバフィングし、しかる後該繊維質シートに収縮を付与するものであるため、得られるシート状物は、銀面の表面にバフィングによる毛羽と基材の収縮による細かな折れ皺を有するヌバック調のものであり、平滑でスムースな表面のものではなく、さらに付け加えるなら、該ヌバック調の皮革用シート状物は低収縮率の弾性重合体と高収縮率の繊維を複合させるため、残留歪が生じ、ドライクリーニングなどにより表面に凹凸を生じるという問題点があるものであった。
【0005】
以上述べたように従来の問題点を根本的に解決する手段はなく、ましてやそれらを同時に解決する手段はいままで存在しなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、柔軟性、風合いに優れ、自然な外観としっとりしたタッチを有し、従来品に比べて平滑でスムースな表面を有する上に、通気性、透湿性に非常に優れた皮革様シート状物およびその製造方法を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を解決するために次のような手段を採用する。すなわち、本発明の皮革様シート状物の製造方法は、繊維を含む基材の、少なくとも片側に被覆層を有する皮革様シート状物の製造方法において、該基材の少なくとも片側に連続膜を形成した後、該連続膜をアルカリ性水溶液処理および揉み加工で微少に分割することにより、毛羽あるいは立毛状の繊維を露出せしめることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記技術の問題点に鑑み、鋭意検討したところ、これらの問題点は、いずれも基材の表面をフィルム状の均一な連続膜が覆っていることに起因することを究明し、該被覆層を特定な構造形態のものにしたところ、見事に従来品に比べて柔軟性、風合い、外観はもとより通気性、透湿性に非常に優れた皮革様シート状物を提供することに成功したものである。
【0009】
本発明でいうミクロジョイント構造とは、微小なユニット膜とミクロジョイント部からなるものである。◎
これに反し、従来の銀付き人工皮革では基材表面を連続したフィルム状もしくは膜状物で被覆し、シート状物に皮革様の外観を与えていた。
【0010】
すなわち、このような従来のものに反し、本発明のミクロジョイント構造とは、図1のごとく、微小ユニット膜が集合したものであって、ユニット膜間にミクロジョイント部を有することにより、従来では得られなかった銀面の耐擦過性、柔軟性、タッチ、ひいては極めてナチュラルな外観を併せ持つ新規な皮膚感覚調人工皮革となさしめたものである。
【0011】
ここでいうユニット膜とは独立した膜状のものであって、基材表面を被覆あるいは基材と一体化したものである。また、ここでいうミクロジョイント部とは、ユニット膜とユニット膜の間に存在し、自由に屈曲しうる機能を有するものである。
【0012】
本発明のユニット膜の大きさは特に制限はないが、品位の点で、一見したところあたかも1つの連続膜のように見えるほうが好ましいので、面積は0.1平方センチメートル以下が好ましく、0.01平方センチメートル以下が最も好ましい。また品位の点でも折れ皺を細かくするという点で小さい方が好ましい。したがって衣料用に用いる場合はできるだけ小さくした方がよいが、靴などに用いる場合は必ずしも0.1平方センチメートル以下でなくともよい。このユニット膜とユニット膜は完全に分離した状態であっても、一部が繋がった状態であってもよい。
【0013】
また、図1のごとく大きさ、形状の異なるものが含まれていてもよいし、図2のごとく同一形状のものの集合体であってもかまわない。
【0014】
ユニット膜を構成する物質としては特に制限はないが、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリアミノ酸、ポリアミノ酸ポリウレタン共重合体、シリコーン樹脂などを用いることができるが、風合いを柔軟にする点で弾性高分子重合体、特にポリウレタンが好ましい。ポリウレタンの種類としては特に制限はなく、例えばポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系ウレタンを用いることができる。
【0015】
また、必要に応じて架橋剤を加えることはシート状物の耐久性を向上し、またミクロジョイント構造を形成しやすくなるため好ましい。また、基材との接着性、耐擦過性、外観等の特性を満足するためにユニット膜を多層構造とするは好ましい。また必要に応じて、コラーゲンやフィブロインなどの蛋白質、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの耐候剤、顔料、染料、難燃剤、撥水剤等を含むことができる。
【0016】
本発明のミクロジョイント部は、基材の屈曲に対して追随し、基材の柔軟性を損なわない性質を有するものである。具体的には、ユニット膜よりも柔軟な物質でユニット膜同士を一部結ぶものでもよいし、ユニット膜と同じ素材で基材との接着が弱かったり、基材と接着していない部分が一部存在していてもよいし、単に空隙が存在するだけでも構わない。さらに本発明では、ミクロジョイント部から毛羽あるいは立毛状の繊維が露出していることが、表面タッチを改善する上で必要である。このことにより、表面に毛羽またはうぶ毛が生じ、触ったときに心地よいタッチを得ることができるのである。このようなタッチは従来の銀付き、スエード、ヌバックいずれとも異なり、天然皮革にもない独特のもので、あえていうなら、皮膚のようなタッチである。かかるミクロジョイントの大きさは特に制限されるものではないが、表面の品位の点からは好ましくは0.1mm以下が好ましく、0.01mm以下が最も好ましい。一方、柔軟性の点からは膜の厚さの1/3以上の大きさが好ましく、さらに好ましくは膜の厚さ以上が好ましく、最も好ましくは膜の厚さの2倍以上が好ましい。
【0017】
したがって、基材や膜の材質、厚さ、目標とする柔軟性等により、適宜選択する必要がある。全体に対するミクロジョイント部の面積の割合としては1〜30%が好ましい。1%以下であれば本発明の効果が得られず、30%以上であれば品位や表面の耐久性が低下する。
【0018】
【0019】
該繊維の長さは特に制限はなく、膜厚よりも長い場合は表面を触っただけで効果があるのに対し、短い場合はシート状物が屈曲したときのみ効果があらわれる。いずれの場合も心地よいタッチが得られ、目的に応じて適宜選択することができる。該立毛状の繊維の太さは0.5d以下が好ましい。0.5d以下であることにより毛倒れがスムーズになり、よりなめらかで心地よい感触が得られる。
【0020】
また、本発明の目的を達成するのに、ユニット膜の厚さは、特に制限はないが、10μm以下であることが好ましい。ユニット膜が薄いほど柔軟で通気性が高く、また自然な外観を得ることができる。このようなミクロジョイント構造を形成するにあたっては、本発明の効果を阻害しない範囲内において特に制限はない。
【0021】
すなわち、基材表面にミクロジョイント構造を有する被覆層を1段階で形成してもよいし、いったんミクロジョイント構造を有する被覆層を形成した後に、基材上に転写してもかまわない。あるいは以下に例示するようにいったん連続膜を形成した後にミクロジョイント化する方法により比較的容易に形成することができる。
【0022】
まず、連続膜を形成する方法としては、本発明の目的を満足するものであれば、乾式法、湿式法いずれの方法でもかまわない。また、基材の表面に直接塗布する方法、基材と膜を別々に形成した後に両者を張り合わせる方法どちらでもかまわない。
【0023】
基材の表面に直接塗布する方法としては、リバースロールコーティング、ナイフコーティング、グラビアコーティング、スリットコーティング、スプレー等を用いることができる。また基材と膜を別々に形成した後に両者を張り合わせる方法としては、フィルムを単独で形成した後に基材と一体化する方法や、離型紙上に膜を形成した後に基材上に転写する方法を採用することができる。
【0024】
該連続膜をミクロジョイント化するにあたって、機械的に分割する方法としては、乾燥状態での揉み加工、液中での揉み加工、擦過処理等を用いることができる。
【0025】
ミクロジョイント処理の前に、熱処理や薬品で結晶化したり、製膜の際に架橋剤を加えたり、あるいは分割処理を冷却下で行うことは分割を容易にするために好ましい。
【0026】
溶解による除去する方法としては特に制限はないが、例えば製膜時に、後で除去可能な成分を混合し被覆層形成後に除去する方法を採用することができる。また、例えばアルカリ性水溶液中で加熱しながら揉み加工することにより比較的容易にミクロジョイントを形成せしめることができる。
【0027】
本発明で用いられる基材は、以下に例示するが、それ以外でも本発明の目的を達成しうるものであれば材質、構造に特に制限はない。たとえば構造としては、不織布、織物、編物あるいはこれらの複合したもの、さらにこれら基材にバインダーとなる樹脂を付与したものを用いることができる。かかる基材にバインダーを付与するか否かは、重視する特性如何で、適宜選択することができる。たとえば形態安定性や質感を重視する場合はバインダーを付与することができる。
【0028】
かかるバインダーとしては特に制限はないが、例えばポリウレタン等の高分子弾性体、あるいはポリアクリル酸エステル樹脂、シリコーン樹脂、等を溶液あるいはエマルジョンの状態で付与することができる。通気性や柔軟性を重視する場合はバインダーを付与しない方が望ましい。
【0029】
特に、本発明の、ミクロジョイント構造を有する銀面は、ユニット膜とユニット膜の間に空隙を有することにより、従来の連続膜の銀面に比較して極めて柔軟かつ通気性が高いという特徴を有しており、バインダーを含有しない基材と組み合わせることにより、柔軟で通気性に優れた皮革様シート状物を得ることができる。
【0030】
上述の不織布としては特に制限はなく、短繊維不織布、長繊維不織布いずれでもかまわない。また、製造方法もスパンボンド、メルトブロー、フラッシュ紡糸、ニードルパンチ、水流交絡、抄紙法等、適宜採用することができる。また、織物としては組織、密度に制限はなく、平織や綾織等適宜採用することができる。該織物を構成する織糸の糸加工についても特に制限はなく、仮撚り加工、捲縮加工、無撚り、甘撚りから強撚まで目的に応じた織糸を適宜選択することができる。編物についても同様である。
【0031】
かかる基材を構成する材質としては、ナイロン6、ナイロン6、6等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、共重合成分を含むポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、綿等を単独あるいは混合して用いることができる。
【0032】
また、かかる基材を構成する繊維の形態としては通常の丸断面の他に、中空断面、三角型やY型の異型断面、あるいは2種類以上のポリマーの複合糸、海島型繊維、ブレンド糸などを目的に応じて適宜選択することができる。繊維の形成方法については特に制限はなく、通常の紡糸・延伸工程を採用することもできるし、スーパードロー法、あるいは2種類以上の成分を紡糸した後に剥離して分割する方法などを採用することができる。特に溶解性の異なる2種類以上のポリマーをあわせて紡糸した後に少なくとも1成分を溶解除去する方法を用いると、繊維と繊維の間に空間ができるので、柔軟性に優れたシート状物を得ることができる。このような場合の除去成分としては例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、共重合ポリスチレン、ポリエステル、共重合ポリエステル等を用いることができる。
【0033】
また、基材が0.2d以下の極細繊維および/または極細繊維束からなり、該極細繊維の交絡点間距離が200μm以下であることは本発明の目的を達成する上で好ましい。すなわち、繊維の太さが0.2d以下であり、交絡点間距離が200μm以下であることにより、ユニット膜およびミクロジョイントが細かく均一に発生し、表面外観や柔軟性が著しく向上するのである。さらに、繊維の太さが0.2d以下であることにより、基材表面の平滑性が向上し、また、交絡点間距離が200μm以下であるということは極細繊維が緻密に絡みあった構造であり、ユニット膜を補強する効果がある。その結果、ユニット膜を薄くすることができ、柔軟性、通気性、透湿性に優れた皮革様シート状物を得ることができるのである。
【0034】
なお、ここでいう交絡点間距離とは、次の方法で求めた値のことであり、繊維の交絡の緻密さを示す1つの尺度として値が小さい程、交絡が緻密であることを示すものである。
【0035】
図1は、被覆層における構成繊維を表面側から観察したときの構成繊維の拡大模式図である。構成繊維をf1、f2、f3……とし、そのうち任意の2本の繊維f1、f2が交絡する点をa1とし、a1で上になっている繊維f2が他の繊維の下になる形で交差している点までたどっていき、その交差した点をa2(f2とf3の交絡点)とする。同様にa3、a4、a5……とする。次にこうして求めた交絡点の間の距離直線水平距離a1a2、a2a3、a3a4……を測定し、これら多数の測定値の平均値を求め、これを繊維交絡点間距離とする。
【0036】
さらに上記基材が0.2d以下の極細繊維および/または極細繊維束と織編物からなり、該極細繊維の交絡点間距離が200μm以下であり、該極細繊維および/または極細繊維束と該織編物が一体となっていることは、シート状物の柔軟性および形態安定性の点で好ましい。
【0037】
従来の皮革様シート状物の場合、表面の被覆層によりある程度、形態安定性が付与されている場合があった。本発明の被覆層の場合、従来の被覆層に比べて形態安定性に劣る場合があるが、織編物と一体化した基材と組み合わせることにより、特に湿潤時の形態安定性が向上し、湿潤状態で揉み加工を施すことができる。その結果として柔軟性が大幅に向上するのである。さらに、形態安定性が向上することにより衣料および資材用素材として特性の優れたものとなることはいうまでもない。
【0038】
ここでいう織編物の種類としては、本発明の目的を満足するものであれば特に制限はない。
【0039】
用いる繊維としては、綿等の天然繊維、レーヨンなどの半合成繊維、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等の合成繊維を目的に応じて適宜選択することができる。
【0040】
また、糸の形態としては通常の丸断面の他に中空断面、三角型やY型の異型断面、あるいは2種類以上のポリマーの複合糸、海島型繊維、ブレンド糸などを目的に応じて適宜選択することができる。
【0041】
糸加工についても特に制限はなく、仮撚り加工糸、捲縮糸、無撚り、甘撚りから強撚まで目的に応じて適宜選択することができる。
【0042】
織物としては組織、密度に制限はなく、平織や綾織等適宜採用することができる。編物についても同様である。
【0043】
また該極細繊維および/または極細繊維束と該織編物を一体化する方法についても特に制限はないが、例示するなら、接着剤等で張合せる方法、ニードルパンチまたは高圧柱状水流により絡合する方法などを採用することができる。特にバインダーを使用せずに繊維の絡合で一体化した基材を用いることにより、柔軟性、通気性に優れたシート状物を得ることができる。該織編物は基材の内部に存在しても、被覆層のない側の表面に存在してもいずれでもよい。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を具体的に実施例を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
0.4デニールのポリエチレンテレフタレート繊維に捲縮を付与した後51mmに切断しカードおよびクロスラッパーを用いてウェブとし、さらにニードルパンチを施し、不織布を得た。ポリエチレンアジペートとポリブチレンアジペートとの混合ジオールと、p,p’-ジフェニルメタンジイソシアネートとを反応させて得られたのプレポリマーをエチレングリコールで鎖伸長して得られたポリウレタンDMF-トルエン混合溶媒にて希釈し、10%溶液とした。該不織布に該ポリウレタンDMF溶液を含浸し、ポリウレタン付き量を不織布重量に対して35%とした後に、ポリウレタンを湿式にて凝固し、直ちにプレス、乾燥して基材とした。該基材上にさきほどと同じポリウレタンをナイフコーターで塗布し、乾燥後、180℃の加熱エンボスロールにてプレスした。それを95℃10g/lの水酸化ナトリウム水溶液中で揉み加工した。
【0045】
得られたものを十分に水洗後、120℃にて分散染料で染色を施した。表面は平均面積約0.07平方ミリメートルのユニット膜がミクロジョイント構造を形成していた。ミクロジョイント部の全体に対する割合は約15%であった。
【0046】
得られた皮革様シート状物は自然な外観と柔軟性を有しするものであった。
比較例1
水酸化ナトリウム水溶液中で揉み加工を行わない以外は、実施例1と同じ工程により、皮革様シート状物を得た。
【0047】
得られたシート状物の表面はポリウレタンの連続した膜で覆われており、ユニット膜もミクロジョイント部も存在しなかった。該シート状物の風合いは実施例1のシート状物に比較して硬く、タッチ、外観もプラスチックライクであった。
実施例2
ポリスチレンを海成分として50部、極細成分としてナイロン6が50部からなる割合で1フィラメント中に極細繊維成分が多数含まれる形態の混合紡糸繊維の4.0デニール、51mmのステープルを用いてカード、クロスラッパーを通してウェブを形成し、しかる後ニードルパンチを施し、不織布を作った。この不織布の密度は約450g/平方mであった。
【0048】
この不織布に孔径1.0mmの穴が0.4mmのピッチで並んでいるノズルから130kg/平方センチメートルの圧力で水流を表裏3同ずつ噴射した。
【0049】
次に該不織布を130℃に熱した鏡面ロールにて1/3の厚さになるようにプレスした。実施例1で用いたポリウレタンをDMF-トルエン混合溶媒にて希釈し、25%溶液とした。これに架橋剤として三官能イソシアネートおよびカーボンブラックを加えてたものを先ほどの不織布に100g/平方メートルの塗布量になるようにグラビアコーターにて塗布し、乾燥した。その後、塗布面を180℃の加熱エンボスロールにてプレした。
【0050】
次にトリクロルエチレン中にて浸漬、絞液を繰り返してポリスチレンを完全に除去した後に乾燥を行った。さらに零下10℃中で揉み加工を行い、表面に微細な亀裂を形成した。該亀裂からは不織布の繊維が表面に露出しており、その平均太さは約0.01デニールであった。しかるのち、酸性染料にて95℃で黒色に染色した。
【0051】
表面は平均面積約0.02平方センチメートルのユニット膜がミクロジョイント構造を形成していた。ミクロジョイント部の全体に対する割合は約19%であった。該シート状物のポリウレタン層を溶剤により除去し、繊維の交絡点間距離を測定したところ、約120μmであった。
【0052】
得られた皮革様シート状物は自然な外観と柔軟性を有し、さらに表面のタッチはしっとりした良好なものであった。
実施例3
実施例1で用いたポリウレタンの替わりにポリカーボネート系ポリウレタンとポリエステル系ポリウレタンを10:1の割合で混合したものを用いたほかは、ポリスチレンの除去まで全く同じ工程を通してシート状物を得た。該シート状物を95℃50g/lの水酸化ナトリウム水溶液中で15分間処理することによりポリエステル系ポリウレタン部分の一部を溶解除去し、表面に微細な亀裂を形成せしめた。しかるのち、酸性染料にて95℃で黒色に染色した。
【0053】
表面は平均面積約0.03平方センチメートルのユニット膜がミクロジョイント構造を形成していた。ミクロジョイント部の全体に対する割合は約11%であった。
【0054】
得られた皮革様シート状物は自然な外観と柔軟性を有し、さらに表面のタッチはしっとりした良好なものであった。
実施例4
実施例2で用いたウェブをニードルパンチする際に、縦横とも75デニールのナイロン糸で織った平織物と重ねてニードルパンチを行った。それ以外は染色まで実施例2と全く同じ工程を通してシート状物を得た。該シート状物を液流染色機にて95℃5g/lの水酸化ナトリウム水溶液中で揉み加工し、さらに80℃の温水中で揉み加工を行った。表面は平均面積約0.005平方センチメートルのユニット膜がミクロジョイント構造を形成していた。ミクロジョイント部の全体に対する割合は約8%であった。
【0055】
得られた皮革様シート状物は自然な外観と柔軟性を有し、さらに表面のタッチはしっとりした良好なものであった。また揉み加工の前後でもシート状物の寸法変化は3%以下で、表面品位の低下もみられなかった。
比較例2
水酸化ナトリウム水溶液による処理と温水中での揉み加工をしない以外は実施例4と同じウエブ、平織物を用い、同じ処理を行いシート状物を得た。
【0056】
得られたシート状物の被覆層は連続した1枚のフィルム状の形状をしており、実施例4で得られたシート状物と比較して、風合いは硬く、外観、タッチは人工的なプラスチックライクなものであった。
比較例3
水酸化ナトリウム水溶液による処理をしない以外は実施例4と同じウエブ、平織物を用い、同じ処理を行いシート状物を得た。
【0057】
得られたシート状物の被覆層は連続した1枚のフィルム状の形状をしており、比較例2で得られたシート状物よりは柔軟ではあるものの、実施例4で得られたシート状物と比較して風合いは硬く、外観、タッチは人工的なプラスチックライクなものであった。
【0058】
【発明の効果】
本発明の皮革様シート状物の効果について、以下詳述する。◎
まず、第一の効果は、高い耐擦過性と柔軟性を両立せしめた点である。すなわち、耐擦過性についてはユニット膜を硬くして、耐久性を向上せしめると同時に、シート状物の屈曲に対してはミクロジョイント部が曲がることにより、柔軟性を得ることができるのである。
【0059】
第二の効果は、しっとりしたタッチおよびナチュラルな外観である。すなわち、ユニット膜とミクロジョイント部が混在するため、従来の均一でプラスチックライクなものではなく、しっとりした、自然なタッチ、外観が得られる。
【0060】
第三の効果は、高い通気性、透湿性である。すなわち、ユニット膜とユニット膜の間に間隙があるため、空気や水蒸気などの気体が極めて容易に通過できる機能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のミクロジョイント構造の1例の模式図である。
【図2】本発明のミクロジョイント構造の他の1例の模式図である。
【図3】本発明のミクロジョイント構造の他の1例の模式図である。
【図4】本発明のミクロジョイント構造の1例のミクロジョイント部における繊維の形状を示す顕微鏡写真図である。
【符号の説明】
1:ユニット膜
2:ミクロジョイント
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-10-18 
出願番号 特願平7-352699
審決分類 P 1 652・ 55- YA (D06N)
P 1 652・ 537- YA (D06N)
P 1 652・ 113- YA (D06N)
P 1 652・ 121- YA (D06N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐野 健治  
特許庁審判長 石井 淑久
特許庁審判官 石井 克彦
澤村 茂実
登録日 2003-03-20 
登録番号 特許第3409554号(P3409554)
権利者 東レ株式会社
発明の名称 皮革様シート状物の製造方法  

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