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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  D21H
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  D21H
審判 全部申し立て 2項進歩性  D21H
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  D21H
管理番号 1128940
異議申立番号 異議2003-71310  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-05-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-05-19 
確定日 2005-11-14 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3346515号「製紙用添加剤」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3346515号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 1.経緯
特許出願 平成6年10月11日
特許設定登録 平成14年9月6日
特許異議の申立て
申立人星光PMC株式会社 平成15年5月19日
取消理由通知(第1回) 平成17年3月10日付
訂正請求及び特許異議意見書 平成17年4月26日
取消理由通知(第2回) 平成17年7月20日付
平成17年4月26日付訂正請求の取下書
平成17年8月9日
訂正請求 平成17年8月9日

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
訂正事項a.
特許請求の範囲の請求項1の
「【請求項1】(a)アニオン性ビニルモノマーおよびカチオン性ビニルモノマーから選ばれるイオン性ビニルモノマーの少なくとも一種50〜99.99重量%、(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(式中、R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基から選択される少なくとも一種の連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーの少なくとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニルモノマーの混合物(A)100重量部を、水分散性多糖類(B)500〜3000重量部を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤。」を、「【請求項1】(a)イオン性ビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これら各種有機酸のナトリウム塩、これら各種有機酸のカリウム塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの塩酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの硫酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの酢酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマ一とメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸またはエピクロルヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、アリルアミン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種50〜99.99重量%、(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとして、アリル(メタ)アクリレート、N-アリル(メタ)アクリルアミド、N-ジアリル(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸、2-アクリルアミドー2-メチルプロパンスルホン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルおよび2-アクリルアミドー2-メチルプロパンカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニルモノマーの混合物(A)100重量部を、水分散性多糖類(B)500〜3000重量部を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤。」と訂正する。

訂正事項b.
特許請求の範囲の請求項2の
「【請求項2】(a)アニオン性ビニルモノマーおよびカチオン性ビニルモノマーから選ばれるイオン性ビニルモノマーの少なくとも一種50〜99.99重量%、(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(式中、R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基から選択される少なくとも一種の連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーの少なくとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニルモノマーの混合物(A)100重量部を予め共重合させて得られたイオン性共重合体を、水分散多糖類(B)500〜3000重量部を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤。」を、「【請求項2】(a)イオン性ビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これら各種有機酸のナトリウム塩、これら各種有機酸のカリウム塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの塩酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの硫酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの酢酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸またはエピクロルヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、アリルアミン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種50〜99.99重量%、(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2…R3(R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとして、アリル(メタ)アクリレート、N-アリル(メタ)アクリルアミド、N-ジアリル(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドおよびイソプロピルアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルおよび2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニルモノマーの混合物(A)100重量部を予め共重合させて得られたイオン性共重合体を、水分散性多糖類(B)500〜3000重量部を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤。」と訂正する。

訂正事項c.
特許請求の範囲の請求項4の
「【請求項4】ビニルモノマーの混合物(A)として、(d)前記(b)を除く架橋性ビニルモノマーを0〜1重量%含有してなる請求項1、2または3記載の製紙用添加剤。」を、
「【請求項4】ビニルモノマーの混合物(A)として、(d)架橋性ビニルモノマーとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、N-メチロールアクリルアミド、ジビニルベンゼン、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-S-トリアジンおよびテトラメチロールメタンテトラアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種を0〜1重量%含有してなる請求項1、2または3記載の製紙用添加剤。」と訂正する。

訂正事項d.
明細書の段落【0008】中の、
「(1)(a)アニオン性ビニルモノマーおよびカチオン性ビニルモノマーから選ばれるイオン性ビニルモノマーの少なくとも一種50〜99.99重量%、(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(式中、R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基から選択される少なくとも一種の連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーの少なくとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニルモノマーの混合物(A)100重量部を、水分散性多糖類(B)500〜3000重量部を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤、ならびに、(2)(a)アニオン性ビニルモノマーおよびカチオン性ビニルモノマーから選ばれるイオン性ビニルモノマーの少なくとも一種50〜99.99重量%、(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(式中、R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基から選択される少なくとも一種の連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーの少なくとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニルモノマーの混合物(A)100重量部を予め共重合させて得られたイオン性共重合体を、水分散性多糖類(B)500〜3000重量部を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤に関する。」を、
「(1)(a)イオン性ビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これら各種有機酸のナトリウム塩、これら各種有機酸のカリウム塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの塩酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの硫酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの酢酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸またはエピクロルヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、アリルアミン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種50〜99.99重量%、(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとして、アリル(メタ)アクリレート、N-アリル(メタ)アクリルアミド、N-ジアリル(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミドー2-メチルプロパンカルボン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルおよび2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニルモノマーの混合物(A)100重量部を、水分散性多糖類(B)500〜3000重量部を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤、ならびに(2)【請求項2】(a)イオン性ビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これら各種有機酸のナトリウム塩、これら各種有機酸のカリウム塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの塩酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの硫酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの酢酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸またはエピクロルヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、アリルアミン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種50〜99.99重量%、(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとして、アリル(メタ)アクリレート、N-アリル(メタ)アクリルアミド、N-ジアリル(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドおよびインプロピルアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロバンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロバンスルホン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルおよび2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニルモノマーの混合物(A)100重量部を予め共重合させて得られたイオン性共重合体を、水分散性多糖類(B)500〜3000重量部を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤。に関する。」に変更する。

訂正事項e.
明細書の段落【0009】中の
「アニオン性ビニルモノマー(a-1)の具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸等のジカルボン酸;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロバンスルホン酸などの有機スルホン酸;またはこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等があげられる。これらのなかでも重合性や価格面から、アクリル酸が好ましい。また、カチオン性ビニルモノマー(a-2)の具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジンなどの第三級アミノ基を有するビニルモノマーまたはそれらの塩酸、硫酸、酢酸などの無機酸もしくは有機酸の塩類、または該第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリンなどの四級化剤との反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、その他、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミンなどのアリルアミン類があげられる。」を、
「アニオン性ビニルモノマー(a-1)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸またはこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩を用いる。これらのなかでも重合性や価格面から、アクリル酸が好ましい。また、カチオン性ビニルモノマー(a-2)としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジンといった第三級アミノ基を有するビニルモノマーまたはそれらの塩酸、硫酸、酢酸の塩、または該第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸またはエピクロルヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミンを用いる。」と変更する。

訂正事項f.
明細書の段落【0012】中の
「連鎖移動性置換基としてアリル基を有するビニルモノマーの具体例としては、アリル(メタ)アクリレート、N-アリル(メタ)アクリルアミド、N-ジアリル(メタ)アクリルアミドなどがあげられる。また、連鎖移動性置換基としてポリアルキレングリコール基を有するビニルモノマーとしては、少なくとも2個のオキシアルキレン基の繰り返し単位を有するものがあげられる。通常はオキシアルキレン基の繰り返し単位10個程度までのものを使用するのが好ましい。具体例としては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、前記同様のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ一ルプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等があげられる。また、連鎖移動性置換基として前記一般式(1)で表されるN-置換アミド基を有するビニルモノマーの具体例としては、ジメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸およびこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルがあげられる。」を、
「連鎖移動性置換基としてアリル基を有するビニルモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、N-アリル(メタ)アクリルアミド、N-ジアリル(メタ)アクリルアミドを用いる。また、連鎖移動性置換基としてポリアルキレングリコール基を有するビニルモノマーとしては、少なくとも2個のオキシアルキレン基の繰り返し単位を有するものがあげられる。通常はオキシアルキレン基の繰り返し単位10個程度までのものを使用するのが好ましい。このものとしては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、前記同様のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートを用いる。また、連鎖移動性置換基として前記-般式(1)で表されるN-置換アミド基を有するビニルモノマーとしては、ジメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸およびこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルを用いる。」と変更する。

訂正事項g.
明細書の段落【0014】中の
「任意のビニルモノマー成分として(d)前記(b)成分を除く架橋性ビニルモノマーを使用することもできる。当該(d)架橋性ビニルモノマーとしては、以下のような多官能性ビニルモノマーがあげられる。たとえば、2官能性ビニルモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等のジビニルエステル類、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、N-メチロールアクリルアミド、ジビニルベンゼン等があげられる。また、3官能性ビニルモノマーとしては、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-S-トリアジン等があげられる。4官能性ビニルモノマーとしては、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等があげられる。なお、これらのなかでは、製造時の反応制御が容易なことから、官能基がすべてビニル系二重結合のものが好ましい。」を、「任意のビニルモノマー成分として(d)架橋性ビニルモノマーを使用することもでき、2官能性ビニルモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、N-メチロールアクリルアミド、ジビニルベンゼン、3官能性ビニルモノマーとして、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-S-トリアジン、4官能性ビニルモノマーとして、テトラメチロールメタンテトラアクリレートを用いる。」と変更する。

訂正事項h.
明細書の段落【0020】中の
「本発明のグラフト構造の多糖類-イオン性共重合体は、(1)前記(a)〜(d)成分からなるビニルモノマーの混合物(A)を、水分散性多糖類(B)を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重で共重合させる方法、」を
「本発明のグラフト構造の多糖類-イオン性共重合体は、(1)前記(a)〜(d)成分からなるビニルモノマーの混合物(A)を、水分散性多糖類(B)を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト共重合させる方法、」と変更する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張変更の存否
訂正事項aについて
訂正事項aは、請求項1に記載された、
「アニオン性ビニルモノマーおよびカチオン性ビニルモノマーから選ばれるイオン性ビニルモノマーの少なくとも一種」を、
特許明細書の段落【0009】の記載に基づいて、
「イオン性ビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これら各種有機酸のナトリウム塩、これら各種有機酸のカリウム塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの塩酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの硫酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの酢酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマ一とメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸またはエピクロルヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、アリルアミン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種」と限定し、
さらに、「アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(式中、R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基から選択される少なくとも一種の連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーの少なくとも一種」を、
特許明細書の段落【0012】の記載に基づいて、
「アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとして、アリル(メタ)アクリレート、N-アリル(メタ)アクリルアミド、N-ジアリル(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミドー2-メチルプロパンカルボン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルおよび2-アクリルアミドー2-メチルプロパンカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種」と限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、特許明細書又は図面に記載した事項の範囲のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

訂正事項bについて
訂正事項bは、請求項2に記載された、
「アニオン性ビニルモノマーおよびカチオン性ビニルモノマーから選ばれるイオン性ビニルモノマーの少なくとも一種」を、
特許明細書の段落【0009】の記載に基づいて、
「イオン性ビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これら各種有機酸のナトリウム塩、これら各種有機酸のカリウム塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの塩酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの硫酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの酢酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸またはエピクロルヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、アリルアミン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種」と限定し、
さらに、「アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(式中、R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基から選択される少なくとも一種の連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーの少なくとも一種」を、
特許明細書の段落【0012】の記載に基づいて、
「アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2…R3(R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとして、アリル(メタ)アクリレート、N-アリル(メタ)アクリルアミド、N-ジアリル(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドおよびイソプロピルアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルおよび2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種」と限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、特許明細書又は図面に記載した事項の範囲のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

訂正事項cについて
訂正事項cは、請求項4に記載された、
「(d)前記(b)を除く架橋性ビニルモノマー」を、
特許明細書の段落【0014】の記載に基づいて、
「(d)架橋性ビニルモノマーとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、N-メチロールアクリルアミド、ジビニルベンゼン、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-S-トリアジンおよびテトラメチロールメタンテトラアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種」と限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、特許明細書又は図面に記載した事項の範囲のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

訂正事項dないしgについて
訂正事項dないしgは、それぞれ、請求項1、2及び4の訂正に伴い発明の詳細な説明の記載を整合させようとする訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、特許明細書又は図面に記載した事項の範囲のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

訂正事項hについて
訂正事項hは、「本発明のグラフト構造の多糖類-イオン性共重合体は、(1)前記(a)〜(d)成分からなるビニルモノマーの混合物(A)を、水分散性多糖類(B)を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重で共重合させる方法、」の記載中の「グラフト重で共重合させる」を「グラフト共重合させる」と訂正するものであり、訂正前の記載は文として不完全であるが、グラフト共重合させることを意味することが明らかであるから、誤記の訂正を目的とするものに該当し、特許明細書又は図面に記載した事項の範囲のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)むすび
上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、この訂正を認める。

3.特許異議申立について
(1)本件請求項1ないし4に係る発明
上記「2.訂正の適否」において記載したとおり、訂正前の本件請求項1ないし4は、適法な訂正により新たな請求項1ないし4となった。
本件請求項1ないし4に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明4」という。)は訂正後の明細書及び図面の記載からみてその特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認められる。
【請求項1】(a)イオン性ビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これら各種有機酸のナトリウム塩、これら各種有機酸のカリウム塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの塩酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの硫酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの酢酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマ一とメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸またはエピクロルヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、アリルアミン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種50〜99.99重量%、(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとして、アリル(メタ)アクリレート、N-アリル(メタ)アクリルアミド、N-ジアリル(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸、2-アクリルアミドー2-メチルプロパンスルホン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルおよび2-アクリルアミドー2-メチルプロパンカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニルモノマーの混合物(A)100重量部を、水分散性多糖類(B)500〜3000重量部を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤。
【請求項2】(a)イオン性ビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これら各種有機酸のナトリウム塩、これら各種有機酸のカリウム塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの塩酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの硫酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの酢酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸またはエピクロルヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、アリルアミン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種50〜99.99重量%、(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとして、アリル(メタ)アクリレート、N-アリル(メタ)アクリルアミド、N-ジアリル(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドおよびイソプロピルアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルおよび2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニルモノマーの混合物(A)100重量部を予め共重合させて得られたイオン性共重合体を、水分散性多糖類(B)500〜3000重量部を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤。
【請求項3】 ビニルモノマーの混合物(A)として、(c)前記(b)を除くノニオン性ビニルモノマー0〜50重量%を含有してなる請求項1または2記載の製紙用添加剤。
【請求項4】ビニルモノマーの混合物(A)として、(d)架橋性ビニルモノマーとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、N-メチロールアクリルアミド、ジビニルベンゼン、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-S-トリアジンおよびテトラメチロールメタンテトラアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種を0〜1重量%含有してなる請求項1、2または3記載の製紙用添加剤。

(2)特許異議申立の概要
特許異議申立人星光PMC株式会社(以下、「申立人」という)は、甲第1号証(特開昭54-34409号公報)、甲第2号証(特開平5-140893号公報)、甲第3号証(特開昭58-41998号公報)を提出して、
1)訂正前の請求項1、3及び4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、訂正前の請求項1、3及び4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してなされたものであり(理由1)、
2)訂正前の請求項1ないし4に係る発明は、甲第1ないし3号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1ないし4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり(理由2)、
3)特許請求の範囲の記載が明瞭でないので、本件特許は、特許法第36条第5項及び第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるので(理由3)、
請求項1ないし4に係る特許は、特許法第113条第2号及び第4号の規定に該当し、取り消されるべきものである旨、主張している。

(3)甲各号証の記載
甲第1号証には、以下の事項が記載されている。
1-1「2.特許請求の範囲
1.デンプン(A)とカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(B)または(B)75モル%以上および他の単量体25モル%以下とのグラフト重合体からなる製紙用内添処理剤。
2.該内添処理剤が紙力増強剤である特許請求の範囲1の製紙用内添処理剤。
3.該エチレン性不飽和単量体(B)がアクリル酸、メタアクリル酸またはマレイン酸である、特許請求の範囲1または2の製紙用内添処理剤。」(特許請求の範囲)、
1-2「グラフト重合体を構成するカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としてはモノエチレン性不飽和モノ-またはポリ-カルボン酸たとえば(メタ)アクリル酸(アクリル酸およびメタアクリル酸を意味する。以下同様の表現を用いる。)マレイン酸、フマル酸等;およびモノエチレン性不飽和ポリカルボン酸部分エステルたとえばマレイン酸半エステル等が挙げられる。好ましいものは高グラフト率が得られることから(メタ)アクリル酸である。」(2頁左上欄12行-2頁右上欄1行)、
1-3「加水分解によりカルボキシル基を生成する単量体(B´)としては少なくとも1個の加水分解性基(エステル基、アミド基、酸無水物基、ニトリル基等)を有する単量体が使用できる。エステル基含有単量体としてはモノエチレン性不飽和カルボン酸の低級アルキル(C1〜3)エステルたとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート;2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。アミド基含有単量体としては(メタ)アクリルアミドが挙げられる。酸無水物基含有単量体としては無水マレイン酸が挙げられる。ニトリル基含有単量体としては(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。これらのうち、好ましいのはメチル(メタ)アクリレート(MMA)およびアクリルアミドである。
本発明におけるグラフト重合体はデンプン(A)およびカルボキシル基を有する単量体(B)に加えて他のエチレン性不飽和単量体(C)を共重合させたものでよい。このような単量体(C)としては、前記加水分解によりカルボキシル基を生成する単量体(未加水分解)のほか、下記のものが挙げられる。
1.スルホン酸基含有単量体:脂肪族または芳香族ビニルスルホン酸類たとえばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸類(スルホプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、等);およびこれらの塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等)。
2.水酸基含有単量体:モノエチレン性不飽和アルコールたとえば(メタ)アリルアルコール;ポリオール(アルキレングリコール、グリセリン、ポリオキシアルキレングリコール等)のモノエチレン性不飽和エステルまたはエーテルたとえばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ-オキシエチレン-オキシプロピレン(ランダムまたはブロック)グリコールモノ(メタ)アリルエーテル(末端の水酸基はエーテル化またはエステル化されていてもよい)。
3.置換アミド基含有単量体:N-アルキル(メタ)アクリルアミドたとえばN-メチルアクリルアミド、N-ヘキシルアクリルアミド;N、N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドたとえばN,N-ジメチルアクリルアミド、N、N-ジ-n-またはi-プロピルアクリルアミド;N-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドたとえばN-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド;N、N-ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドたとえばN、N-ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド:ビニルラクタム類(N-ビニルピロリドン等)。
4.アミノ基含有単量体:モノエチレン性不飽和モノ-またはジカルボン酸のアミノ基含有エステル(ジアルキルアミノアルキルエステル、ジヒドロキシアルキルアミノアルキルエステル、モルホリノアルキルエステル等)たとえばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルフマレート;複素環式ビニル化合物たとえばビニルピリジン類(2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、N-ビニルピリジン)、N-ビニルイミダゾール。
5.4級アンモニウム塩基含有単量体:N、N、N-トリアルキル-N-(メタ)アクリロイロキシアルキルアンモニウム塩たとえばN、N、N-トリメチル-N-(メタ)アクリロイロキシエチルアンモニウムクロリド、2-ヒドロキシ、3-(メタ)アクリロイロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドおよび英国特許第1034296号記載の単量体。
6.オレフィン性炭化水素たとえばスチレン、エチレン、プロピレン、ブテンなど。
7.モノエチレン性不飽和アルコールのエステルたとえば酢酸ビニル、酢酸(メタ)アリル。
これらのうち、好ましいのはノニオン性またはアニオン性のものである。とくにグラフト率の点でMMA、アクリルアミドが好ましい。」(2頁右上欄12行-3頁左下欄1行)、
1-4「本発明で用いるグラフト重合体において、デンプン(A)とカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(B)との割合は種々変えることができるが、デンプン100重量部に対し単量体(B)は通常10〜1000部好ましくは20〜200部用いられる。」(3頁右下欄10-15行)
1-5「デンプン(A)と単量体(B)および/または単量体(B′)および必要により他の単量体(C),(D)を重合させる方法は通常の方法で行われる。(1)重合触媒例えば第二セリウム塩触媒または過酸化水素系や過硫酸アンモニウム系のレドツクス触媒または過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレリル酸などのラジカル重合触媒を用いる方法、(2)放射線、電子線、紫外線などを照射する方法、などの方法があげられる。これらの方法のうち、第二セリウム塩または過酸化水素系、過硫酸アンモニウム系のレドツクス触媒を用いる方法が、高いグラフト率を与え本発明の目的(少ない使用量で優れたサイズ効果を与える)の点から、より好ましい。」(4頁左上欄11行-右上欄4行)。

甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
2-1「【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドと、(B)アニオン性ビニルモノマーおよび(C)カチオン性ビニルモノマーから選ばれる少なくとも一種、(D)一般式(1):
【化1】……(省略))
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3はメチル基、イソプロピル基または、一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R4(R4はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)

で表されるN-置換アクリルアミド類、必要により(E)前記以外のノニオン性ビニルモノマー、並びに(F)架橋性ビニルモノマーを共重合させて得られる共重合体を含有してなる製紙用添加剤。
【請求項2】 前記(D)成分がジメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドまたはイソプロピルアクリルアミドから選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の製紙用添加剤。
【請求項3】 前記(D)成分の使用量が(A)〜(F)成分の総モル和の0.5〜20モル%である請求項1記載の製紙用添加剤。」(特許請求の範囲)、
2-2「【発明が解決しようとする課題】本発明は、高分子量の(メタ)アクリルアミド系共重合体を含有してなり、しかも比較的低粘度の製紙用添加剤を提供することを目的とする。」(段落【0007】)
2-3「(B)成分であるアニオン性ビニルモノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、ムコン酸等のジカルボン酸;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸などの有機スルホン酸;またはこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等があげられ、これらの一種を単独でまたは2種以上を使用できる。」(段落【0013】)、
2-4「(C)成分であるカチオン性ビニルモノマーとしては、代表的なものにはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アリルアミン、ジアリルアミン、もしくはトリアリルアミンなどの第三級アミノ基を有するビニルモノマーまたはそれらの塩酸、硫酸、酢酸などの無機酸もしくは有機酸の塩類、または該第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリンなどの四級化剤との反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマーなどがあげられ、これらの一種を単独でまたは2種以上を使用できる。」(段落【0014】)、
2-5「【化1】で表されるN-置換アクリルアミド類を使用することを必須とする。すなわち、該成分は分子中のメチル基またはメチレン基が連鎖移動点として作用することを利用して、これにより得られる共重合体に多くの分岐構造を導入しようとするものである。(D)成分の具体例としては、ジメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸およびこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルがあげられる。」(段落【0016】-【0017】)、
2-6「任意モノマー成分である(E)ノニオン性ビニルモノマーとしては、前記(B)アニオン性ビニルモノマーのアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜8)、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、メチルビニルエーテルなどがあげられる。「(段落【0018】)、
2-7「(F)成分である架橋性ビニルモノマーの代表的なものとしては以下のものがあげられる。たとえば、2官能性ビニルモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等のジビニルエステル類、アリルメタクリレート、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、N-メチロールアクリルアミド、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルフタレート、ジアリルクロレンデート、ジビニルベンゼン等があげられる。また、3官能性モノマーとしては、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-S-トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、トリアリルトリメリテート、N,N-ジアリルアクリルアミド等を、4官能性ビニルモノマーとしては、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラアリルピロメリテート、N,N,N’,N’-テトラアリル-1,4-ジアミノブタン、テトラアリルアミン塩、テトラアリルオキシエタン等があげられる。これらは一種を単独でまたは2種以上を使用できる。これらのなかでも、製造時の反応制御が容易なことから、官能基がすべて二重結合のものを使用するのが好ましい。」(段落【0019】)、
2-8「 表2、表3の結果より、本発明で得られる(メタ)アクリルアミド系共重合体は、従来品に比べて高分子量体でありながら、ほぼ同様の粘度であり、また優れた紙力増強効果を発現していると認められる。」(段落【0033】)。

甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
3-1「特許請求の範囲
1 下記一般式(I)、(II)、(III)で表わされる重合性ビニル単量体を、それぞれ、1〜20モル%、1〜10モル%、40〜98モル%含み、かつ、一般式(IV)で表わされる重合性ビニル単量体を、前記一般式(I)、(II)、(III)で表わされた重合性ビニル単量体の総モル数の30モル%以下含むかまたは含まない重合性ビニル単量体の混合物を、該重合性ビニル単量体の混合物の5〜90重量%の水溶性多糖類を溶存する水溶液中で重合してなる紙力増強剤。
……(I)……(II)……(III)……(IV)(省略)
(式中R1、R′1、R″1は水素原子またはメチル基;R2、R′2はメチル基またはエチル基;R3はシアノ基、炭素数9までのアルコキシカルボニル基、芳香族炭化水素、炭素数2または3のω-ヒドロキシアルコキシカルボニル基のうちいずれか1の基、Aは-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CHOHCH2-のうちいずれか1の基、M+はプロトン、アルカリ金属、アンモニウムイオンのうちいずれか1のカチオンを表わす。)」(特許請求の範囲)、
3-2「本発明は重合性ビニル単量体を水溶性多糖類の水溶液中で重合して得られる紙力増強剤に関するものである。」(1頁右欄下から5-3行)、
3-3「(I)で表わされる化合物の例を挙げると、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、これらに塩酸、硫酸、蟻酸、酢酸などを付加した塩、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、塩化ベンジルなどを付加した4級アンモニウム塩などである。」(3頁左上欄8-17行)、
3-4「化合物(II)の例を挙げると、アクリル酸、メタクリル酸、またはそれらのNa、Kまたはアンモニウム塩である。」(3頁右上欄7-9行)、
3-5「化合物(III)の例を挙げるとアクリルアミド、メタクリルアミド、N、N-ジメチルアクリルアミドなどである。」(3頁右上欄16-18行)、
3-6「化合物(IV)の例を挙げると、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸オクチル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N-メチロールアクリルアミドなどである。」(3頁左下欄3-7行)、
3-7「次に、化合物(I)、(II)、(III)、または(I)、(II)、(III)、(IV)の混合物を水溶性多糖類の水溶液中で重合させる触媒としては、水溶性のラジカル重合触媒が一般に使用可能であり、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが好適である。(3頁左下欄8-12行)、
3-8「上記したとおり本発明の紙力増強剤は優れた紙力増強効果を有するばかりでなく、アルキルケテンダイマー糸サイズ剤のサイズ効果、填料の歩留効果を向上させることは明白である。」(4頁右下欄10-13行)。

(4)取消理由通知について
答申が通知した第1回及び第2回の取消理由通知の概要は、以下のとおりである。
(4)-1 第1回取消理由通知
理由1)
発明の詳細な説明には、請求項1に記載された(a)のアニオン性ビニルモノマーと、(b)の一般式(1):-CONR1R2で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとの、どちらにも含まれる例示化合物が記載されており、(a)または(b)のどちらのモノマーとして把握するのか、その判断基準が明確ではないから、請求項1の記載は、イオン性共重合体を構成する(a)及び(b)のモノマーの特定が明確であるとはいえず、また、各モノマーの組成重量%の規定も、明確とはいえないので、本件特許は、明細書の記載が不備な特許法第36条第4項、第5項及び第6項に規定する要件を満たしていない特許出願について、特許されたものである。
理由2)
平成14年7月11日付けの手続補正書による、請求項4及び段落【0014】に係る「前記(b)を除く」と補正した点は、願書に最初に添付した明細書に任意のビニルモノマー成分としての(d)架橋性ビニルモノマーが(b)成分を除くものとして記載されておらず、このような(b)成分を除くという概念も自明であるとは認められないので、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものとはいえないから、本件特許は、特許法第17条の2第2項で準用する第17条第2項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願について、特許されたものである。

(4)-2 第2回取消理由通知
刊行物1である特開昭54-34409号公報(甲第1号証)には、「単量体(C)」として、「置換アミド基含有単量体:N-アルキル(メタ)アクリルアミドたとえばN-メチルアクリルアミド、N-ヘキシルアクリルアミド;N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドたとえば、N,N-ジメチルアクリルアミド;N,N-ジ-n-またはi-プロピル(メタ)アクリルアミド」が例示されており、これらのうちのあるものは、請求項1に係る発明の(b)N-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとしての、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミドに相当するから、請求項1、請求項1を引用する請求項3及び4に係る発明は、刊行物1に記載された発明であり、本件請求項1、3及び4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(5)当審の判断
(5)-1 第1回取消理由通知についての判断
上記の訂正により、請求項1の(a)及び(b)のビニルモノマーについては相互に異なる具体的化合物に特定して記載され、請求項4の(d)のビニルモノマーについては(b)のビニルモノマーを除く具体的化合物が記載されたので、取消理由の1及び2は解消した。

(5)-2 第2回取消理由通知についての判断
上記の訂正により、本件発明1の(b)のビニルモノマー化合物にはジメチルアクリルアミド及びイソプロピルアクリルアミドが含まれないこととなったので、取消理由は解消した。

(5)-3 申立の理由3についての判断
申立人は、明細書の段落【0009】の記載には、イオン性モノマーの中にアリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミンなどアリル基を有するモノマーが例示されており、アリル基とイオン性基を有するモノマーは、請求項1に記載された(a)のアニオン性ビニルモノマーと、(b)の一般式(1):-CONR1R2で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとのどちらに分類されるのか不明であるため、請求項1に記載されているイオン性モノマーのモル%数値、連鎖移動性置換基を側鎖に有するモノマーのモル%数値が明確でないため、請求項1の範囲が不明確である旨主張している。
しかし、上記の訂正により、請求項1の(a)及び(b)のビニルモノマーについては相互に異なる具体的化合物に特定して記載されたので、両ビニルモノマーは明確に区別されると認められるので、申立人の主張する理由3は採用できない。

(5)-4 申立の理由1についての判断
(5)-4-1 本件発明1について
甲第1号証には、摘示1-1ないし1-5の記載からみて、
「デンプン(A)とカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(B)75モル%以上および他の単量体(C)25モル%以下とをラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られるグラフト構造のデンプン-イオン性共重合体からなる製紙用内添処理剤であって、
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(B)は(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸半エステルであり、
他の単量体(C)は、加水分解によりカルボキシル基を生成する単量体(未加水分解)である、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート;2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、無水マレイン酸、(メタ)アクリロニトリルのほか、1.ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸;およびこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、2.(メタ)アリルアルコール、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ-オキシエチレン-オキシプロピレン(ランダムまたはブロック)グリコールモノ(メタ)アリルエーテル(末端の水酸基はエーテル化またはエステル化されていてもよい)、3.N-メチルアクリルアミド、N-ヘキシルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N、N-ジ-n-またはi-プロピルアクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N、N-ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、4.ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルフマレート、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、N-ビニルピリジン、N-ビニルイミダゾール、5.N、N、N-トリメチル-N-(メタ)アクリロイロキシエチルアンモニウムクロリド、2-ヒドロキシ、3-(メタ)アクリロイロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、6.スチレン、エチレン、プロピレン、ブテン、7.酢酸ビニル、酢酸(メタ)アリルであり、
デンプン(A)とカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(B)との割合は、デンプン100重量部に対し単量体(B)は10〜1000部である、製紙用内添処理剤」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
本件発明1と甲1発明とを対比すると、
甲1発明の「他の単量体(C)」は、本件発明1の、「(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとしての化合物」(以下、「(b)成分」という。)に対応すると認められるところ、甲1発明の「他の単量体(C)」として記載された化合物には本件発明の(b)成分が含まれていない点で相違する。
したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明であるとは認められない

(5)-4-2 本件発明3及び4について
本件発明1を引用する本件発明3及び4は、本件発明1を引用してこれをさらに限定したものであるから、本件発明1についてと同様な理由で、甲第1号証に記載された発明であるとは認められない

(5)-5 申立の理由2についての判断
(5)-5-1 本件発明1について
本件発明1と甲1発明とは上記(5)-4-1において示した相違点を有する。
甲第2号証には、「(A)アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドと、(B)アニオン性ビニルモノマーおよび(C)カチオン性ビニルモノマーから選ばれる少なくとも一種、(D)一般式(1):
【化1】……(省略)
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3はメチル基、イソプロピル基または、一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R4(R4はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)
で表されるN-置換アクリルアミド類、必要により(E)前記以外のノニオン性ビニルモノマー、並びに(F)架橋性ビニルモノマーを共重合させて得られる共重合体を含有してなる製紙用添加剤」の発明が記載されているが、この発明の製紙用添加剤はそれ自体で使用されるものであって、この製紙用添加剤をデンプンなどの水分散性多糖類と共重合させることは記載も示唆もされていないから、甲1発明の「他の単量体(C)」に代えて甲第2号証に記載された共重合体を構成する【化1】で表されるN-置換アクリルアミ類を用いることは当業者が容易に想到できることとは認められない。
また、甲第3号証には、「下記一般式(I)、(II)、(III)で表わされる重合性ビニル単量体を、それぞれ、1〜20モル%、1〜10モル%、40〜98モル%含み、かつ、一般式(IV)で表わされる重合性ビニル単量体を、前記一般式(I)、(II)、(III)で表わされた重合性ビニル単量体の総モル数の30モル%以下含むかまたは含まない重合性ビニル単量体の混合物を、該重合性ビニル単量体の混合物の5〜90重量%の水溶性多糖類を溶存する水溶液中で重合してなる紙力増強剤。
式(I)、(II)、(III)、(IV)……(省略)
(式中R1、R′1、R″1は水素原子またはメチル基;R2、R′2はメチル基またはエチル基;R3はシアノ基、炭素数9までのアルコキシカルボニル基、芳香族炭化水素、炭素数2または3のω-ヒドロキシアルコキシカルボニル基のうちいずれか1の基、Aは-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CHOHCH2-のうちいずれか1の基、M+はプロトン、アルカリ金属、アンモニウムイオンのうちいずれか1のカチオンを表わす。)」の発明が記載されているが、甲1発明の「他の単量体(C)」に代えて、本件発明の「(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとしての化合物」を使用することについては、記載も示唆もされていない。
そして、甲1発明の「他の単量体(C)」は、甲1発明においては、任意に配合可能な成分であって、このような成分として甲第3号証に記載されたモノマーの中から特定のものを選択して、連鎖移動性基を有するビニルモノマーとして採用することは当業者にとって容易に想到できることとは認められない。
さらに、甲第3号証記載の発明における重合性ビニル単量体の混合物として、甲第2号証記載の発明の共重合体を構成するビニルモノマーを用いることも、甲1発明のデンプンとグラフト重合させるビニルモノマーに代えて甲第2号証に記載された共重合体を構成するビニルモノマーを用いることと同様に、当業者が容易に想到できることとは認められない。
したがって、本件発明1は、甲第1ないし3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることが出来たものとは認められない。

(5)-5-2 本件発明2について
本件発明2と甲1発明とを対比すると、本件発明2が、イオン性ビニルモノマーと、連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとの混合物を予め共重合させて得られたイオン性共重合体を、水分散性多糖類(B)を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤であるのに対し、甲1発明は、水分散性多糖類の1種であるデンプン(A)とカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(B)および他の単量体(C)とを水分散液中でラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られるグラフト構造のデンプン-イオン性共重合体からなる製紙用内添処理剤である点で相違している。
甲第2ないし3号証には、本件発明2の相違点について、記載も示唆もされていない。
そして、2種成分のビニルモノマーを同時に水分散性多糖類にグラフト重合させる場合と、2種成分のビニルモノマーを予め共重合させて得られたイオン性共重合体を水分散性多糖類にグラフト重合させる場合とは反応条件も生成物も異なると認められるから、単なる工程の変更とは認められず、当業者にとって容易に想到できることとは認められない。
したがって、本件発明2は、甲第1ないし3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることが出来たものとは認められない。

(5)-5-3 本件発明3及び4について
本件発明3及び4は、本件発明1又は2を引用してこれをさらに限定したものであるから、本件発明1又は2についてと同様な理由で、甲第1ないし3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることが出来たものとは認められない。

4.むすび
以上のとおりであるから、申立人の特許異議申立の理由及び証拠によっては本件発明1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
製紙用添加剤
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)イオン性ビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これら各種有機酸のナトリウム塩、これら各種有機酸のカリウム塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの塩酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの硫酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの酢酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸またはエピクロルヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、アリルアミン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種50〜99.99重量%、(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとして、アリル(メタ)アクリレート、N-アリル(メタ)アクリルアミド、N-ジアリル(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルおよび2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニルモノマーの混合物(A)100重量部を、水分散性多糖類(B)500〜3000重量部を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤。
【請求項2】(a)イオン性ビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これら各種有機酸のナトリウム塩、これら各種有機酸のカリウム塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの塩酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの硫酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの酢酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸またはエピクロルヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、アリルアミン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種50〜99.99重量%、(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとして、アリル(メタ)アクリレート、N-アリル(メタ)アクリルアミド、N-ジアリル(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドおよびイソプロピルアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルおよび2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニルモノマーの混合物(A)100重量部を予め共重合させて得られたイオン性共重合体を、水分散性多糖類(B)500〜3000重量部を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤。
【請求項3】ビニルモノマーの混合物(A)として、(c)前記(b)を除くノニオン性ビニルモノマー0〜50重量%を含有してなる請求項1または2記載の製紙用添加剤。
【請求項4】ビニルモノマーの混合物(A)として、(d)架橋性ビニルモノマーとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、N-メチロールアクリルアミド、ジビニルベンゼン、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-S-トリアジンおよびテトラメチロールメタンテトラアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種を0〜1重量%含有してなる請求項1、2または3記載の製紙用添加剤。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、製紙用添加剤に関する。詳しくは、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、製紙用添加剤は、紙力増強剤、濾水向上剤として用いられており、主にポリアクリルアミド系共重合体と、澱粉に代表される水分散性多糖類が使用されている。
【0003】
これらのうち水分散性多糖類はポリアクリルアミド系共重合体に比べて安価であるが、濾水性、パルプへの定着性が低いため多量に使用しなければならない。そのため、廃水への負荷が高くなること、スライムが発生すること、さらには抄紙機へ汚れが付着することなどの問題がある。一方、ポリアクリルアミド系共重合体は、水分散性多糖類に比べて価格面においては不利であるが、そのイオン性から濾水性、パルプへの定着性に優れるといった特徴を有する。
【0004】
そこで、アクリルアミド系共重合体と澱粉などの水分散性多糖類の互いの長所を伸ばすべく、種々の検討がなされている。例えば、特公昭38-17051号には水分散性多糖類の存在下で不飽和アミド(たとえば、アクリルアミド)と不飽和カルボン酸(たとえば、アクリル酸)をグラフト重合してなる製紙用添加剤が記載されている。また、特公昭50-12481号には、水分散性多糖類およびその誘導体の少なくとも一種の存在下に、アクリルアミドとアクリル酸とをグラフト重合させた、アクリルアミドを主要単量体成分とする特定の共重合体からなる紙力増強剤が記載されている。しかし、近年、製紙用添加剤の使用条件はますます厳しくなってきており、前記従来のグラフト構造の多糖類-アクリルアミド系共重合体では、製紙用添加剤としての性能上限界にきている。そのため、性能の向上を図るべく高分子量化が種々検討されているが、単に高分子量化したのでは、粘度が過度に上昇するため、抄紙時に過度の凝集が生じ、成紙の地合い乱れを引き起こしやすいという問題がある。
【0005】
また、澱粉などの水分散性多糖類を、たとえば2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウム、2-ジエチルアミノエチルクロライド各種のカチオン化剤で処理することにより、澱粉などにカチオン性を付与した製紙用添加剤も知られている。しかし、一般に知られているカチオン化澱粉は、濾水性、パルプへの定着性を充分に満足するものではない。また、かかるカチオン化剤により、高カチオン化の澱粉を製造することもできるが、製造上価格面の不利があり、安価な澱粉を使用する意義がなくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、濾水性とパルプへの定着性に優れ、かつ比較的低粘度で安価な製紙用添加剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、澱粉などの水分散性多糖類に濾水性、パルプへの定着性を充分に満足できるイオン性を付与すべく鋭意研究を重ねた結果、水分散性多糖類に、イオン性ビニルモノマーとともに特定連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーをグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体が、本発明の目的に合致した製紙用添加剤であることを見出した。本発明は、かかる新たな知見に基づいて完成されたものである。
【0008】
すなわち本発明は、(1)(a)イオン性ビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これら各種有機酸のナトリウム塩、これら各種有機酸のカリウム塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの塩酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの硫酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの酢酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸またはエピクロルヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、アリルアミン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種50〜99.99重量%、(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとして、アリル(メタ)アクリレート、N-アリル(メタ)アクリルアミド、N-ジアリル(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルおよび2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニルモノマーの混合物(A)100重量部、水分散性多糖類(B)500〜3000重量部を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤、ならびに(2)(a)イオン性ビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これら各種有機酸のナトリウム塩、これら各種有機酸のカリウム塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの塩酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの硫酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーの酢酸塩、これら第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸またはエピクロルヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、アリルアミン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種50〜99.99重量%、(b)アリル基、ポリアルキレングリコール基および一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基である連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとして、アリル(メタ)アクリレート、N-アリル(メタ)アクリルアミド、N-ジアリル(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドおよびイソプロピルアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルおよび2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種0.01〜20重量%を含有してなるビニルモノマーの混合物(A)100重量部を予め共重合させて得られたイオン性共重合体を、水分散性多糖類(B)500〜3000重量部を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる、グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤に関する。
【0009】
(a)イオン性ビニルモノマーとしては、アニオン性ビニルモノマー(a-1)およびカチオン性ビニルモノマー(a-2)から選ばれるいずれか少なくとも1種を用いる。アニオン性ビニルモノマー(a-1)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸またはこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩を用いる。これらの中でも重合性や価格面から、アクリル酸が好ましい。また、カチオン性ビニルモノマー(a-2)としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジンといった第三級アミノ基を有するビニルモノマーまたはそれらの塩酸、硫酸、酢酸の塩、または該第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸またはエピクロルヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミンを用いる。これらのなかでも重合性や価格面から、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。これら(a)イオン性ビニルモノマーは、アニオン性ビニルモノマー(a-1)またはカチオン性ビニルモノマー(a-2)を単独で使用してもよく、アニオン性ビニルモノマー(a-1)およびカチオン性ビニルモノマー(a-2)を併用してもよい。
【0010】
(b)連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーとは、重合に際し連鎖移動点として作用するメチル基、アルキレン基等の連鎖移動性置換基を側鎖に有し、得られる共重合体に多くの分岐構造を導入できるビニルモノマーをいう。本発明はかかる連鎖移動性の置換基の作用により、濾水性とパルプへの定着性に優れ、かつ高分子量化した場合にも比較的低粘度のグラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を得ようとするものである。
【0011】
このような連鎖移動性置換基としては、たとえば、アリル基、ポリアルキレングリコール基または一般式(1):-CONR1R2(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はメチル基、イソプロピル基または一般式(2):-C(CH3)2-CH2-R3(R3はカルボキシル基、スルホニル基もしくはこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルまたはアセチル基を表す)で表される基を表す)で表されるN-置換アミド基があげられる。
【0012】
連鎖移動性置換基としてアリル基を有するビニルモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、N-アリル(メタ)アクリルアミド、N-ジアリル(メタ)アクリルアミドを用いる。また、連鎖移動性置換基としてポリアルキレングリコール基を有するビニルモノマーとしては、少なくとも2個のオキシアルキレン基の繰り返し単位を有するものがあげられる。通常はオキシアルキレン基の繰り返し単位10個程度までのものを使用するのが好ましい。このものとしては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、前記同様のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートを用いる。また、連鎖移動性置換基として前記一般式(1)で表されるN-置換アミド基を有するビニルモノマーとしては、ジメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸およびこれらの炭素数1〜4のアルキルエステルを用いる。これら(b)連鎖移動性置換基を側鎖に有するビニルモノマーのなかでも、重合性がよく共重合体に多くの分岐構造を導入できることから、ジメチルアクリルアミドが好ましい。
【0013】
本発明では、任意のビニルモノマー成分として(c)前記(b)成分を除くノニオン性ビニルモノマーを使用できる。かかる(c)ノニオン性ビニルモノマーとしては、前記(a-1)アニオン性ビニルモノマーのアルキルエステルや、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル、(メタ)アクリルアミドなどがあげられる
【0014】
さらに本発明では、任意のビニルモノマー成分として(d)架橋性ビニルモノマーを使用することもでき、2官能性ビニルモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、N-メチロールアクリルアミド、ジビニルベンゼン、3官能性ビニルモノマーとして、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-S-トリアジン、4官能性ビニルモノマーとして、テトラメチロールメタンテトラアクリレートを用いる。なお、これらのなかでは、製造時の反応制御が容易なことから、官能基がすべてビニル系二重結合のものが好ましい。
【0015】
本発明の前記(a)〜(d)成分の各使用量は、得られる共重合体の製紙用添加剤としての性能を十分考慮して決定しなければならない。すなわち、(a)〜(d)成分からなるビニルモノマーの混合物(A)の総重量和に対し以下の通りである。
【0016】
すなわち、(a)成分は、該総重量和の50〜99.99重量%、好ましくは70〜98重量%である。(a)成分が50重量%に満たない場合には共重合体へのイオン成分の付与量が不十分であり十分なパルプへの定着が望めない。99.99重量%を越える場合にはグラフト構造に寄与する成分が不十分となり十分なグラフト体を形成できず、いずれの場合にも好ましくない。なお、(a)成分として、アニオン性ビニルモノマー(a-1)およびカチオン性ビニルモノマー(a-2)の両者を使用する場合の割合は、それぞれのイオン性を考慮して適宜に調整すればよい。
【0017】
(b)成分も同様に、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%である。(b)成分が0.01重量%に満たない場合には、共重合体に多くの分岐構造を導入できないため定着性が不十分であり、20重量%を越える場合には分岐が進みすぎてゲル化するため、いずれの場合にも好ましくない。
【0018】
(c)成分も同様に0〜50重量%、好ましくは0〜30重量%である。(c)成分が50重量%以上の場合には、増粘したり、水への溶解性が悪くなり好ましくない。
【0019】
(d)成分も同様に0〜1重量%、好ましくは0〜0.5重量%である。(d)成分が1重量%を越える場合には、架橋が進みすぎてゲル化するため好ましくない。
【0020】
本発明のグラフト構造の多糖類-イオン性共重合体は、(1)前記(a)〜(d)成分からなるビニルモノマーの混合物(A)を、水分散性多糖類(B)を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト共重合させる方法、または(2)該混合物(A)を予め共重合させて得られたイオン性共重合体を、水分散多糖類(B)を含有してなる水分散液中、ラジカル重合開始剤の存在下でグラフト重合させる方法により製造できる。
【0021】
水分散性多糖類(B)としては、各種公知のものを使用でき、たとえば、とうもろこし、馬鈴薯、タピオカ、小麦、米、サゴやし、ワクシーメイズから得られる各種の澱粉類、セルロース類の他、カチオン化澱粉、酸化澱粉、リン酸変性澱粉、カルボキシメチル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、カルバミルエチル化澱粉、ジアルデヒド化澱粉、酢酸変性澱粉等の澱粉誘導体または同様のセルロース類の誘導体、さらにはキチン、キトサン等があげられる。
【0022】
ビニルモノマーの混合物(A)と水分散性多糖類(B)の割合は、ビニルモノマーの混合物(A)100重量部に対し、水分散性多糖類(B)500〜3000重量部、好ましくは650〜2000重量部である。水分散性多糖類(B)の割合が500重量部に満たない場合には、イオン性が高く価格面での有利性が少なくなり、3000重量部を越える場合にはイオン性共重合体の割合が少なくなり濾水性、定着性を十分に満足しないため、いずれの場合も好ましくない。
【0023】
本発明のグラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を、前記(1)の方法で製造する場合には、所定の反応容器に前記ビニルモノマーの混合物(A)および水分散性多糖類(B)を含有する水分散液を仕込み、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、またはこれらと亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤とを組み合わせた形のレドックス系重合開始剤等の通常のラジカル重合開始剤を加え、撹拌下、加温することにより目的物を製造できる。ラジカル重合開始剤の使用量は、通常前記ビニルモノマー混合物(A)の0.01〜1重量%である。なお、水分散性多糖類(B)は、通常1〜20重量%の糊液の状態で用いる。反応温度は通常80〜100℃程度であり、反応時間は通常0.1〜5時間である。
【0024】
また、前記(2)方法で製造する場合には、予め前記のビニルモノマーの混合物(A)を共重合してイオン性共重合体を製造しておく。かかるイオン性共重合体の製造は、従来公知の各種方法により行うことができる。例えば、ビニルモノマーの混合物および水を所定の反応容器に仕込み、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、またはこれらと亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤とを組み合わせた形のレドックス系重合開始剤等の通常のラジカル重合開始剤を加え、撹拌下、加温することにより目的物を製造できる。なお、ラジカル重合開始剤の使用量は、通常、前記ビニルモノマー混合物の0.01〜1重量%である。また、反応温度は通常80〜100℃程度であり、反応時間は通常0.1〜5時間である。得られるイオン性共重合体の水溶液の粘度は、通常20重量%において100〜20000cP(25℃)程度である。
【0025】
イオン性共重合体と水分散性多糖類(B)のグラフト重合は従来公知の各種方法により行うことができる。すなわち、例えば、所定の反応容器に前記イオン性共重合体の水溶液および水分散性多糖類(B)を含有する水分散液を仕込み、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、またはこれらと亜硫酸水素ナトリウムのごとき還元剤とを組み合わせた形のレドックス系重合開始剤等の通常のラジカル重合開始剤を加え、撹拌下、加温することにより目的物を製造できる。ラジカル重合開始剤の使用量は、通常、アクリルアミド系共重合体(A)の0.01〜1重量%である。なお、水分散性多糖類(B)は、通常1〜20重量%の糊液の状態で用いる。反応温度は通常80〜100℃程度であり、反応時間は通常0.1〜5時間である。
【0026】
かくして得られた本発明のグラフト構造の多糖類-イオン性共重合体は、たとえば、従来公知のグラフト構造の多糖類-アクリルアミド系共重合体と殆ど同様のpH、粘度である。通常pHは3〜9程度、粘度は10重量%の水溶液において100〜10000cP(25℃)程度である。
【0027】
【発明の効果】
本発明のグラフト構造の多糖類-イオン性共重合体を主成分とする製紙用添加剤は、従来公知の製紙用添加剤と殆ど同様のpH、粘度でありながら、濾水性とパルプへの定着性に優れる。なお、本発明の製紙用添加剤がこのように各種性能に優れるのは定かでないが、多糖類分子に単にグラフト構造が導入されるだけでなく、イオン性共重合体にも連鎖移動性置換基の作用により分岐構造が導入された構造となっていることから、パルプ繊維間との接点のイオン性が高く紙力増強効果等の製紙用添加剤としての種々の特徴ある性能を示すものと考えられる。これにより、過度の凝集を引き起こすことなく、良好な定着性を示し、その結果として、近時の厳しい抄紙条件下でも製紙用添加剤としての優れた諸効果を奏すると考えられる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、部および%はいずれも重量基準による。
【0029】
実施例1
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、アクリル酸29%、ジメチルアミノエチルメタクリレート56%、ポリエチレングリコールメタクリレート(PE-350、日本油脂(株)製)15%からなるビニルモノマーの混合物100部および陽イオン性タピオカ澱粉(日澱化学(株)製)1500部を含有する糊液15000部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した。次に、系内を40℃にし撹拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部および亜硫酸水素ナトリウム0.3部を投入した。85℃まで昇温し、2時間保温後、冷却し、pH4.5、固形分10.5%、粘度(25℃)が8500cpsのグラフト構造の多糖類-イオン性共重合体の水溶液を得た。
【0030】
実施例2〜5、比較例1〜5
実施例1において、各成分の種類またはその使用量(糊液は固形分が10%になるように調製)のうちいずれか少なくとも1種を表1のように変えた他は、実施例1と同様の操作を行いグラフト構造の多糖類-イオン性共重合体の水溶液を得た。得られた共重合体の水溶液の性状値を表5または表6に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
表1中、ビニルモノマーの混合物(A)の各成分は、AM:アクリルアミド、AA:アクリル酸、IA:イタコン酸、DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート、AMA:アリルメタクリレート、DMAA:ジメチルアクリルアミド、PE90:ポリエチレンメタクリレート(日本油脂(株)製)、PE350:ポリエチレンメタクリレート(日本油脂(株)製)、AN:アクリロニトリル、MBAA:メチレンビスアクリルアミドを示す。また、多糖類(B)は、それぞれ*1:酸化澱粉(王子コーンスターチ(株)製)、*2:リン酸変性澱粉(日澱化学(株)製)、*3:カルボキシメチルセルロース(第一工業製薬(株)製)を示す。また、多糖類(B)の使用量は、ビニルモノマーの混合物(A)100重量部に対する使用量(重量部)である。
【0033】
参考例1
実施例1と同様の反応装置に、アクリル酸30部、ジメチルアミノエチルメタクリレ-ト42部、ポリエチレングリコールメタクリレート(日本油脂(株)製、PE350)18部、アクリルアミド10部およびイオン交換水400部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した。次に、系内を40℃にし撹拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部および亜硫酸水素ナトリウム0.3部を投入した。85℃まで昇温し、2時間保温した後、冷却して、pH4.6、固形分20.3%、粘度9600cPのイオン性モノマー系共重合体(A)の水溶液を得た。
【0034】
参考例2〜8
参考例1において、(a)〜(d)成分の種類またはその使用量のうちいずれか少なくとも1種を表2ように変えたほかは、参考例1と同様の操作を行いイオン性共重合体の水溶液を得た。得られたイオン性共重合体の水溶液の性状値を表3に示す。
【0035】
【表2】

【0036】
表2中、ビニルモノマー混合物(A)の各成分の表示は、それぞれ表1のそれに同じ。
【0037】
【表3】

【0038】
実施例6
実施例1と同様の反応装置に、参考例1で得られたイオン性共重合体の水溶液500部(固形分100部)、および陽イオン性タピオカ澱粉(日澱化学(株)製)1500部を含有する糊液150000部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した。次に、系内を40℃にし撹拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.25部および亜硫酸水素ナトリウム0.15部を投入した。85℃まで昇温し、2時間保温後、冷却し、pH4.4、固形分10.4%、粘度(25℃)が8100cPのグラフト構造の多糖類-イオン性共重合体の水溶液を得た。
【0039】
実施例7〜10、比較例6〜10
実施例1において、イオン性共重合体の水溶液の種類、水分散性多糖類(B)の種類もしくは使用量(糊液は固形分が10%になるように調製)のうちいずれか少なくとも1種、または重合開始剤の有無を表4のように変えたほかは、実施例6と同様の操作を行った。得られた各グラフト構造の多糖類-イオン性共重合体の水溶液の性状値を表5または表6に示す。
【0040】
【表4】

【0041】
表3中、水分散性多糖類の種類の表示は、それぞれ表1のそれに同じ。
【0042】
【表5】

【0043】
【表6】

【0044】
(性能評価方法1)
段ボール古紙をナイアガラ式ビーターにて叩解し、カナディアン・スタンダード・フリーネス(C.S.F)420mlに調整したパルプに硫酸バンドを1.6%添加してpH5.5とし、ついで上記各実施例1〜10および比較例1〜10で得られた各共重合体水溶液、ならびに比較例11として陽イオン性タピオカ澱粉(日澱化学(株)製)を紙力増強剤として対パルプ0.6%を添加し、撹拌した後、パルプスラリー濃度を0.1%になるように希釈し、タッピ・シートマシンにて、坪量150g/m2となるよう抄紙し、5Kg/cm2で2分プレス脱水した。次いで回転型乾燥機で105℃において3分間乾燥し、20℃、65%R.H.の条件下に24時間調湿したのちJIS P 8112に準じ、比破裂強度を測定した。結果を表7または表8に示す。
【0045】
(性能評価方法2)
BKPをナイアガラ式ビーターにて叩解し、(C.S.F)550mlに調整したパルプ(pH6.8)に、上記各実施例1〜10および比較例1〜10で得られた各共重合体水溶液、ならびに比較例11として陽イオン性タピオカ澱粉(日澱化学(株)製)を上記と同様に添加し、上記と同様の操作を行い、比破裂強度を測定した。結果を表7または表8に示す。
【0046】
【表7】

【0047】
【表8】

【0048】
表7、表8の結果より、本発明で得られるグラフト構造の多糖類-イオン性共重合体は、従来のものに比べて、ほぼ同様の粘度でありながらた優れた紙力増強効果を発現していると認められる。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-10-24 
出願番号 特願平6-272899
審決分類 P 1 651・ 534- YA (D21H)
P 1 651・ 113- YA (D21H)
P 1 651・ 121- YA (D21H)
P 1 651・ 531- YA (D21H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 澤村 茂実  
特許庁審判長 鈴木 由紀夫
特許庁審判官 鴨野 研一
石井 克彦
登録日 2002-09-06 
登録番号 特許第3346515号(P3346515)
権利者 荒川化学工業株式会社
発明の名称 製紙用添加剤  

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