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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C01B
審判 全部申し立て 2項進歩性  C01B
管理番号 1128987
異議申立番号 異議2003-73498  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-10-05 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-26 
確定日 2005-10-24 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3443428号「合成メソポーラス結晶性物質の改変方法」の請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3443428号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3443428号の請求項1乃至8に係る発明は、平成4年6月19日(パリ条約による優先権主張1991年6月20日 米国)に出願され、平成15年6月20日に特許権の設定登録がなされ、その後、請求項1乃至8に係る特許について、株式会社豊田中央研究所より、特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成17年3月2日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正の内容
上記訂正請求は、願書に添付された明細書(以下、「特許明細書」という。)を訂正請求書に添付された明細書(以下、「訂正明細書」という。)のとおりに訂正することを求めるもので、その内容は以下のとおりである。
訂正事項a
特許明細書の請求項1に記載の「接触させることを含んで成る」を、「接触させることを含んで成り、該接触によって、結晶性相物質の孔の内部に機能性の基が生成する」と訂正する。
訂正事項b
特許明細書の【0010】段落に記載の「接触させることを含んで成る」を、「接触させることを含んで成り、該接触によって、結晶性相物質の孔の内部に機能性の基が生成する」と訂正する。

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否
訂正事項aは、特許明細書の請求項1に記載された「接触させること」が、「該接触によって、結晶性相物質の孔の内部に機能性の基が生成する」ものであることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。そして、接触させることによって、結晶性物質の孔の内部に機能性の基が生成することは、特許明細書の【0009】段落に記載されているところであるから、かかる訂正は、特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、しかも、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
訂正事項bは、訂正事項aによる特許請求の範囲の請求項1の訂正に伴い、発明の詳細な説明の記載を整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。そして、この訂正は、訂正事項aと同じく、特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

2-3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについて
3-1.本件発明
上記のとおり訂正請求が認められたから、特許第3443428号の請求項1乃至8に係る発明(以下、「本件発明1」乃至「本件発明8」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至8に記載された次のとおりのものである。
【請求項1】 下記式:
Mn/q(WaXbYcZdOh)
(式中、Mはアンモニウム、水素、ナトリウムおよびフッ素イオンからなる群から選択される1以上のイオンであり;nは酸化物として表わしたMを除いた組成物の電荷であり;qはMの加重モル平均原子価であり;n/qはMのモル数またはモル分率であり;Wはマンガン、コバルト、鉄およびマグネシウムからなる群から選択される1以上の2価の元素であり;Xはアルミニウム、鉄およびガリウムからなる群から選択される1以上の3価の元素であり;珪素が必須の元素であるという条件の下、Yは珪素、ゲルマニウムおよびチタンからなる群から選択される1以上の4価の元素であり;Zはリンであり;a、b、cおよびdはそれぞれW、X、Y、およびZのモル分率であり;hは1〜2.5の数であり;(a+b+c+d)=1である)
で示される組成、または
下記式:
rRMn/q(WaXbYcZdOh)
(式中、RはイオンとしてMに含まれない全ての有機物質であり;rはRのモル数またはモル分率であり;Mはアンモニウム、水素、ナトリウムおよびフッ素イオンからなる群から選択される1以上のイオンであり;nは酸化物として表わしたMを除いた組成物の電荷であり;qはMの加重モル平均原子価であり;n/qはMのモル数またはモル分率であり;Wはマンガン、コバルト、鉄およびマグネシウムからなる群から選択される1以上の2価の元素であり;Xはアルミニウム、鉄およびガリウムからなる群から選択される1以上の3価の元素であり;珪素が必須の元素であるという条件の下、Yは珪素、ゲルマニウムおよびチタンからなる群から選択される1以上の4価の元素であり;Zはリンであり;a、b、cおよびdはそれぞれW、X、YおよびZのモル分率であり;hは1〜2.5の数であり;(a+b+c+d)=1である)
で示される組成(無水物基準)
を有し、か焼後に、18オングストローム単位より大きいd間隔において少なくとも一つのピークを有するX線回析図を示し、6.7kPa(50トール)および25℃で物質100g当り15g以上のベンゼン吸着能を有する、無機の多孔性の非層状結晶性相物質を改変する方法であって、該結晶性物質をか焼の前または後にM’X’Y’n(式中、M’は元素の周期律表のIIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIII、IB、IIB、IIIB、IVB、VBおよびVIB族より選択され、X’はハライド、ハイドライド、C1-6のアルコキシド、C1-18のアルキル、C1-18のアルケニル、C6-8のアリール、アセテート、C6-18のアリールオキサイド、スルホネートおよびニトレートから選択され、Y’はX’、アミン、ホスフィン、スルフィド、カルボニルおよびシアノから選択され、n=1〜5である)を含んで成る処理用組成物と接触させることを含んで成り、該接触によって、結晶性相物質の孔の内部に機能性の基が生成する改変方法。
【請求項2】 該接触を-70℃〜250℃の温度で0.1〜100時間行う請求項1記載の方法。
【請求項3】 該接触を25〜100℃の温度で0.1〜30時間行う請求項1記載の方法。
【請求項4】 M’をIVA、VIA、VIII、IIIBおよびIVB族から選択する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】 M’をTi、Cr、Fe、Co、Ni、B、AlおよびSiから選択する請求項4記載の方法。
【請求項6】 X’をハライド、ハイドライド、C1-6のアルコキシド、およびアセテートから選択する先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】 Y’をアミン、スルフィドおよびC1-15のアルキルから選択する請求項6に記載の方法。
【請求項8】 M’X’Y’nを、酢酸クロム、硝酸クロム、テトラエチルオルトシリケート、テトラメチルオルトシリケート、チタニウムテトラエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリ-sec-ブトキシド、ヘキサメチルジシラザン、ジ-sec-ブトキシアルミンオキシトリエトキシシラン、ジエチルフォスファトエチルトリエトキシシラン、トリメチルボレート、クロロジメチルアルキルシラン(アルキルはC1-18)、アンモニア-ボラン、ボラン-テトラヒドロフラン、ジメチルスルフィド-ジブロモボランおよびそれらの混合物から選択する請求項1〜7のいずれかに記載の方法。

3-2.取消理由の概要
当審が通知した取消理由は、本件の請求項1乃至8に係る特許は、下記の具体的理由1及び2により、特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定により取り消されるべきものであるというものである。
具体的理由1
本件の請求項1、2、4乃至8に係る発明は、刊行物1に記載された発明であるか、刊行物1乃至3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
具体的理由2
本件の請求項1乃至8に係る発明は、刊行物4、5、6、2、3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
刊行物1:清水俊雄、「層状ポリケイ酸塩の有機複合体の合成と多孔材料への変換」、早稲田大学大学院理工学研究科 昭和63年度修士論文、早稲田大学大学院理工学研究彙報、早稲田大学大学院理工学研究科、平成元年(1989年)6月5日発行、第35号(異議申立人の提出した甲第1号証)
刊行物2:冨永博夫編、「ゼオライトの科学と応用」、株式会社講談社、昭和62年(1987年)3月20日発行、第104頁〜105頁(異議申立人の提出した甲第2号証)
刊行物3:大場洋一著、「ガラス表面設計-洗浄と表面処理-」、近代編集社、平成2年4月1日発行、第72頁〜第77頁、第356頁〜第361頁(異議申立人の提出した甲第3号証)
刊行物4:柳澤恒夫外3名「層状ポリケイ酸塩kanemiteより得られるSiO2多孔体のトリメチルシリル化による細孔径の制御」、社団法人日本セラミックス協会1989年会講演予稿集、平成元年(1989年)、第536頁(異議申立人の提出した甲第4号証)
刊行物5:柳澤恒夫外3名「アルキルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体の調製、並びに、それらの多孔材料への変換」、1990THE Chemical Society of Japan、Bull.Chem.Soc.Jpn.,Vol.63,No.4,平成2年(1990年)4月、第988頁〜第992頁(異議申立人の提出した甲第5号証)
刊行物6:黒田一幸外4名「単層状ポリケイ酸塩の有機層間化合物」、AIPEA、第9回国際クレイ会議、アブストラクト、セッション3、アブストラクト213、平成元年(1989年)8月28日〜9月2日、第222頁(異議申立人の提出した甲第6号証)

3-3.刊行物に記載された事項
3-3-1.刊行物1には、下記の事項が記載されている。
1-ア.「2-2 アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体
アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体の合成はイオン交換法により行った。kanemite1gを4種類のアルキルトリメチルアンモニウムクロライド(R(CH3)3NCl,R=n-C12H25、n-C14H29、n-C16H33、n-C18H37、東京化成製)の0.1N水溶液100mlに加え、温度を65℃、pH=8〜9に保ちながら1週間のイオン交換反応を2回行った。そして、アセトンで洗浄を行なった。
2-3 アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体のTMS化物
複合体100mgにトリメチルクロロシラン10mlとへキサメチルジシロキサン10mlをくわえ80℃で2日間還流した後、アセトンで洗浄した。
2-4 熱処理物
熱処理温度の条件は、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemiteの熱重量分析結果より、減量がなくなった700℃まで加熱し、ただちに、自然放冷することにした。」(第4頁9〜第5頁4行)
1-イ.「ICP発光分析から本研究で用いたkanemiteは次のような組成となり(Na1.09HSi2O5・2.93H2O)・・・。」(第7頁4〜7行)
1-ウ.「4-2 アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体
Fig.1に高角度側の粉末X線回折分析結果を示す。(b)のn-ドデシルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体のX線回折パターンは、(a)のkanemiteとは大きく異なり、2θ=21°、36°のd(101),d(002)と思われるピーク以外は消滅し、層構造が大きく乱れていることが想像された。低角度側の粉末X線回折分析結果は、Fig.2に示す。ドデシルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体の場合はd値が約3.5nm、テトラデシルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体は約4.0nm、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体は約4.5nm、オクタデシルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体は約5.0nmの付近にブロードな回折ピークが現れた。このことは、アルキルトリメチルアンモニウム中のアルキル鎖の長さにしたがって、回折線のd値も増加しているので、この回折線は層間隔をしめすd(020)ピークでると考えられた。これらの値は、もし、d(020)の場合アルキル鎖が層に対して垂直2重層を形成する場合より小さく、垂直1重層を形成する場合より大きくなっている。また、Lagalyらがイオン交換後得たアルキルトリメチルアンモニウム-kanamite複合体の層間隔値(・・・)よりも大きな値を示した。」(第7頁8行〜第10頁5行)として、第8,9頁にFig.1及びFig.2が記載されている。
1-エ「Fig.3に、29Si MAS NMR分析の結果を示す。
Fig.3より、kanemiteは、・・・約-97PPMにQ3ユニットに起因する鋭い単一なピークが現れた(ここで、Q3,Q4は、肩数字の数だけシロキサン結合を持つSi原子を表す)。・・・、各アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体のスペクトルには、約-100PPMのQ3ピークのほかに、オリジナルなkanemiteには存在しない約-110PPMにQ4ユニットに起因するピークが現れた。それぞれのピークの高さがほぼ等しいことよりQ3とQ4ユニットのSi原子数はほぼ同数であり、縮合(3次元化)がかなり進んでいることがわかった。イオン交換途中1時間で取り出したもののNMRスペクトルからもQ4ユニットが生成していることがわかった。このことは、kanemiteがsingle layered構造を持ち、silicate層が柔軟であるためイオン交換と同時に層構造が変化しなんらかの縮合反応が起こったと考えられた。」(第10頁末行〜第12頁17行)として、第11頁にFig.3が記載されている。
1-オ.「4-4 アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体の熱処理物
アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体の熱処理物のXRDパターンは熱処理前と全く変化がなく、Fig.1と2と同様なパターンであった。熱処理物にN2の吸着実験を行なった。BET法によって得られた比表面積値は約900m2g-1となった。しかし、H-kanemite(・・・)の熱処理物のそれは約60m2g-1であった。これは、・・・層が3次元化し、有機カチオンが存在したところが細孔として残っているからである。CI法によって各熱処理物の細孔径分布を求めた。Fig.5からもわかるように、アルキルトリメチルアンモニウムイオンのアルキル鎖の長さにしたがって細孔径が2〜4nmの範囲で変化していることがわかった。Fig.6にTEM写真を示す。TEM写真からはアルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体の熱処理物は3次元化しているにも関わらずある程度元の構造を維持しているように観察できた。」(第15頁下から8行〜第16頁末行)として、第17、18頁にFig.5及びFig6が記載されている。
1-カ.「4-5 TMS化アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体の熱処理物
・・・。Fig.7〜10に示すように4種類アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体の熱処理物とそのTMS化物の熱処理物を比較するといずれもTMS化によって細孔径がわずかではあるが小さくなっていることが解る。それぞれの細孔径分布曲線を比較すると、TMS化によって細孔のうちとくに大きいものが減少したことがわっかた。トリメチルクロロシランが嵩高い分子であるため細孔の大きな空間に存在するシラノール基と反応しやすいためと思われる。」(第19頁1〜17行)として、第20〜23頁にFig.7〜10が記載されている。
1-キ.「4 結論
アルキルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液と層状ポリケイ酸塩kanemiteとを反応させて合成したアルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体は、SiO2層が2次元から3次元に構造が変化していることがわかった。・・・。アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体中のアルキルトリメチルアンモニウムイオンを燃焼させ取り除くと残った空間が細孔となる多孔体となることが確認できた。さらに、そのアルキルトリメチルアンモニウムイオンの大きさを変化させると細孔の大きさも変化することが解った。」(第24頁1〜14行)

3-3-2.刊行物2には、下記の事項が記載されている。
2-ア.「i i i)表面水酸基との結合
ゼオライト結晶の外表面近傍にある水酸基、すなわち酸性水酸基および末端水酸基、と化学結合するケイ素化合物を添加することにより、ゼオライト細孔の有効径を調節することができる。Yゼオライトの表面水酸基とテトラメチルシランが反応することが見出され、Yゼオライトおよびモルデナイトの有効細孔径を狭めることに利用されている。同様にシラン(SiH4)およびシラン処理後さらにジボラン(B2H6)で処理する方法で、モルデナイトの細孔を精密に調節することができる。さらに、分子径が細孔径よりも大きいテトラメトキシシラン(Si(OCH3)4)を用い、モルデナイトの結晶外表面だけを覆うことで、2,2,4-トリメチルベンタンが入れる大きさの有効細孔径を、2-メチルヘプタンは入れる大きさ、オクタンだけが入れる大きさと順次調節することができる。」(第105頁8〜19行)

3-3-3.刊行物3には、下記の事項が記載されている。
3-ア.「ガラス表面での吸着や反応を考える上で、シラノール基の反応性はきわめて重要で、・・・
(iii)シラノレートの生成
たとえば
≡Si-OH+(CH3)3SiCl→≡Si-O-Si(CH3)3+HCl
などが、よく知られている。
シラノレートの生成反応の1つに次のようなシランカップリング剤との反応がある。たとえば、ガラス表面にγ-アミノプロピルトリエトキシシランのようなシランカップリング剤を反応させると、・・・のようにシラノール基と反応する。このように表面処理されたガラスはエポキシ樹脂との複合材料に実用化されており、表面処理によって複合材料の特性が向上する。このアミノシラン処理のあと、ジアゾ化し、さらに酵素と反応させて固定化酵素とする技術も開発されている。」(第74頁11行〜第75頁下から7行)
3-イ.「5.3.2 化学反応による表面処理
ガラス表面の官能基、主としてシラノール基、との化学反応によってガラス表面を処理する方法。
シラノール基の反応性については・・・などの反応がよく知られている。この中で、とくにRSi(OR’)3あるいはRSiCl3などで示されるシランカップリング剤との反応が実用的には重要である。・・・。シランカップリング剤をガラス表面に付着させる目的は、
1)ガラス表面にポリマーなどの被膜を形成させたり、ポリマーを接着剤としてガラスを接着するとき、ガラスとポリマーの密着性を向上させる。
2)ガラス表面に特殊機能を付与する。例えば、撥水性、潤滑性の付与や特異な吸着性や化学反応性の付与など。
の2つに大別できる。・・・。
大塚らは、シリカゲルと石英粉末の表面をトリメチルクロロシランで処理し、トリメチルシリル化したものについて、粉体特性(付着凝集性、流動性、充てん性など)を検討している。・・・。」(第356頁12行〜第360頁下から9行)

3-3-4.刊行物4には、下記の事項が記載されている。
4-ア.「1.緒言 近年、無機多孔体の合成、及びその細孔径の制御の研究は、触媒担体や吸着剤などへの応用の見地から、注目を集めている。演者らは、無機層状化合物の一種である層状ポリケイ酸塩kanemite(NaHSi2O5・3H2O)の層間Na+イオンをアルキルトリメチルアンモニウムとイオン交換したことにより得られるアルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体を熱処理する事によって、多孔体が生成し、反応させるアルキルトリメチルアンモニウムのアルキル鎖の長さによって、ある程度の細孔径の制御が可能であることをすでに報告している。本研究においては、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体より生成する多孔体の細孔径を制御することを目的として、複合体をトリメチルシリル化剤を用いて修飾することを試みた。」(第536頁9〜13行)
4-イ.「2.実験方法 実験に用いたkanemiteは、既報に従い合成した。アルキルトリメチルアンモニウム-kanekite複合体の合成は、kanemiteを0.1Nのアルキルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液に加え、イオン交換反応を2回行ない、洗浄して試料とした。複合体の表面のトリメチルシリル化は、複合体に、トリメチルクロロシランとへキサメチルジシロキサンを加え、2日間還流した後、洗浄して試料とした。トリメチルシリル化生成物は、さらに、700℃まで空気中で熱処理を行なった。分析は、粉末X線回折分析(CuKα)、赤外吸光分析、29Si-MAS NMR分析、元素分析などを用いて行なった。また、BET比表面積、細孔径分布も測定した。」(第536頁14〜23行)
4-ウ.「3.結果及び考察 トリメチルシリル化生成物に粉末X線回折分析を行なったところ、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体と比較して変化は見られなかった。・・・。また、トリメチルシリル化生成物に29Si-MAS NMR分析を行なった結果、シリル基に起因するピークが見られ、さらに、Q3サイト(OSi(OSi≡)3)によるピークとQ4サイト(OSi(OSi≡)4)によるピークとの強度比が変化して、Q3サイトのピークの強度がかなり減少していることが認められた。以上より、前記の方法によりアルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体のトリメチルシリル化が可能であることがわかった。さらに、トリメチルシリル化複合体の熱処理生成物にX線回折分析を行なったところ、熱処理前とほとんど変化はみられなかった。また、熱処理生成物の比表面積値は、約900m2/gを示し、シリル化前の複合体の熱処理生成物の値と同様に大きな値を示した。また、熱処理生成物の細孔径分布を調べたところ、トリメチルシリル化後の熱処理生成物では、シリル化前の複合体の熱処理生成物の細孔径と比較して細孔径が小さくなっていることが確認された。これは、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体の表面に結合したシリル基の持つSi原子が熱処理後も揮発せずに残存していることにより、熱処理生成物の細孔径がせばめられたことを示していると考えられる。」(第536頁24〜40行)

3-3-5.刊行物5には、下記の事項が記載されている。
5-ア.「層状ポリケイ酸カネマイト(NaHSi2O5・3H2O)をアルキルトリメチルアンモニウムクロライド溶液と反応させてアルキルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体を形成せしめた。有機的インターカレーションの間に、その複合体中のSiO2層は縮合して3次元SiO2ネットワークを形成した。その複合体の焼成品は直径2〜4nmの細孔を有しており、表面積は約900m2g-1であった。その焼成品の細孔径は、用いたアルキルトリメチルアンモニウムイオンのアルキル鎖の長さに応じて変化した。」(第988頁6〜11行、抄訳)
5-イ.「アルキルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体の合成及び熱処理
アルキルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体の合成は、・・・カチオン交換法により行った。カネマイト1gをアルキルトリメチルアンモニウムクロライド(CnH2n+1(CH3)3N+Cl-,n=12,14,16,又は18)の0.1moldm-3水溶液100mlに加え、得られた懸濁液を65℃で1週問攪拌した。その懸濁液を攪拌している間、pHを8〜9に保った。生成物をろ過した後、同様の操作を繰り返した。それから生成物を過剰量のアセトンで洗浄し、風乾した。得られた複合体を、熱分析装置により、アルキルトリメチルアンモニウムイオンが完全に熱分解した700℃まで空気中で焼成した。」(第988頁右欄下から14行〜第989頁左欄1行、抄訳)
5-ウ.「アルキルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体
Fig.1に、カネマイトの粉末X線回折パターンと、ドデシルトリメチルアンモニウムイオンとの反応により得られた生成物の粉末X線回折パターンとを示す。反応後は、d=0.433nm,0.406nm,及び0.250nmのピークのみが観察された。これらのピークは、無水カネマイトに起因するものである。この結果は、カネマイトに由来する層状ケイ酸構造が生成物中である程度保持されていることを示している。2θ=15〜30°周辺のブロードなピークは、生成物の結晶性が大きく減少し、層構造の破壊(delamination)が進行したことを示している。他のアルキルトリメチルアンモニウムイオンとの反応により合成された生成物もまた同様の粉末X線回折パターンを示した。・・・。
Fig.2c〜eに、ドデシルトリメチルアンモニウム反応生成物の粉末X線回折パターンの反応時間による変化を示す。各パターンは3.7nm及び3.1nmで二つのピークを示している。後者のピークは、・・・、層間縮合していない、ドデシルトリメチルアンモニウムでインターカレートされたカネマイトに起因していた。実際、アセトンで洗浄した後に3.1nmのピークは消えた。Fig.2c〜eは、層間縮合生成物に起因するであろう3.7nmのピーク強度が反応時間と共に増加したことを示している。この結果は、以下に説明する29Si-CP MAS NMRの結果とも一致していた。実際、2週間の反応時間後、3.1nmのピークは消えた(Fig.2b)。他のアルキルトリメチルアンモニウムイオンとの2週間の反応により得られた生成物の粉末X線回折パターンもまた同様に、テトラデシル-、ヘキサデシル-、及びオクタデシル-トリメチルアンモニウムカネマイトはそれぞれ4.1nm,4.6nm、及び5.0nmに大きなd値を示した。
カネマイトの29Si-MAS NMRスペクトル(Fig.3a)は、・・・、SiO4テトラヘドラ(OSi(OSi≡)3)におけるQ3ユニットに起因する-97.2ppmに唯一のピークを示した。この結果から、カネマイトの層状ケイ酸塩構造が確認された。しかしながら、ドデシルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体のスペクトル(Fig.3b)は、SiO4テトラヘドラ(Si(OSi≡)4)におけるQ4ユニットに明らかに起因する-109.2ppmに更なるピークを示した。・・・。これらの結果から判断して、カネマイトのケイ酸塩層の幾つかがイオン交換反応の間に縮合して3次元SiO2ネットワークが形成されたことが分かった。他のアルキルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体もまた、同様の29Si-MAS NMRスペクトルを示した。」(第989頁左欄28行〜第990頁左欄下から12行、抄訳)として、第989,990頁にFig.1、Fig.2及びFig.3が記載されている。
5-エ.「アルキルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体の熱処理物
ドデシルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体の熱処理物の29Si-MAS NMRスペクトルは、頂点が-108.6ppmである広がったピークを示した(Fig.3c)。このピークは主にQ4ユニットに起因するが、そのケミカルシフトから判断するに、このピークの広がり及び低対称性は幾分かのQ3ユニットの存在を示唆している。この知見から、ドデシルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体の構造は更に変化したことが明らかである。しかしながら、焼成物の粉末X線回折パターンは、未処理のドデシルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体と同様のパターンを示した。この結果から、焼成されたドデシルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体における3次元SiO2ネットワークが熱処理後も保持されていたことが確認された。他のアルキルトリメチルアンモニウムーカネマイト複合体から得られた焼成物においてもまた、それらの粉末X線回折パターンはアルキルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体と同様のd値を示しており、3次元SiO2ネットワークが焼成後も保持されていた。焼成物の各比表面積は略同じ値、約900m2g-1であった。・・・。すなわち、前記複合体におけるアルキルトリメチルアンモニウムイオンが焼成により除去された後においても、3次元SiO2ネットワークは十分に保持されており、細孔が形成された。前記焼成物の細孔径分布をCranston-Inkley法により求めた(Fig.5)。これらの結果から、各焼成物の細孔径分布の範囲は非常に狭く、その細孔径は用いたアルキルトリメチルアンモニウムイオンのアルキル鎖の長さに応じて約2nmから約4nmまで増加した。この事実から、アルキルトリメチルアンモニウムイオンの種類を変えることによって細孔径を制御して多孔質SiO2を合成できることが確認された。
オクタデシルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体、及びその焼成物の透過型電子顕微鏡写真をFig.6に示す。一見するとアルキルトリメチルアンモニウム-カネマイトはその層構造が保持されているが(Fig.6a)、層状ケイ酸シートは非常に薄く、TEM写真における線は層状ケイ酸シート自体には対応しない。その写真を詳細に観察すると、その薄層線は凹凸のある層(unevenlayers)の形成を示していることが分かる。29Si-MAS NMR及び粉末X線回折によって得られた他のデータは3次元SiO2ネットワークの形成を示していることから、前記の写真はマクロ分子レベルで縮合したSiO2骨格の総体的な配置をまさに示していた。焼成物の電子顕微鏡写真(Fig.6b)は、末焼成の複合体のそれと同様の形態を示していた。その写真からもまた、凹凸のあるSiO2層が同様にして保持されていることが示唆された。この知見は、大きなd値が維持されていた焼成物のXRDの結果と一致していた。他のアルキルトリメチルアンモニウム-カネマイトの焼成前及び焼成後のTEM写真もまた同様であった。結論として、アルキルトリメチルアンモニウムーカネマイト複合体がカネマイトをアルキルトリメチルアンモニウムクロライド溶液で処理することによって合成された。29Si-MAS NMR及び粉末X線回折によって、前記複合体におけるSiO2層が互いに縮合して3次元SiO2ネットワークを形成することが確認された。その複合体の焼成物は多孔質であり、その細孔径は用いたアルキルトリメチルアンモニウムイオンのアルキル鎖の長さに応じて増加した。これらの事実から、多孔質SiO2を細孔径を制御しつつ合成できることが確認された。」(第991頁左欄10行〜第992頁左欄35行、抄訳)として、第991頁にFig.5及びFig.6が記載されている。

3-3-6.刊行物6には、下記の事項が記載されている。
6-ア.「カネマイト(NaHSi2O5・3H2O)は層状ポリケイ酸塩[1]であり、イオン交換によりその層間に有機カチオンを取り込むための層状ホスト材料として知られている。層状ケイ酸塩のインターカレーション化学を研究する過程で、我々は、カネマイトの層間にアルキルトリメチルアンモニウムイオンを挿入(インターカレート)することによって3次元ケイ酸塩ネットワークの形成が引き起こされることを見出した。このことは29Si-MASNMRにより確認された。予備的な結果は既に報告されている[3]。カネマイトを様々な有機アンモニウムカチオンと反応させてみた。インターカレーションによって引き起こされた構造変化を29Si-MASNMRによりモニターした。トリメチルアルキルアンモニウム(R(CH3)3N+,R=C12,C14,C16及びC18)イオンがカネマイトの層間に挿入された。そのXRDパターンは、基底面間隔の増加を示した。R(CH3)3N+/Si2O5の比は約0.2であった。その有機アンモニウムが挿入された生成物の29Si-MASNMRスペクトルはかなりの量のQ4ユニットの存在を示したが、一方、カネマイトの29Si-MASNMRスペクトルはQ3ユニットによるシグナルのみを示した。これらの結果から、SiO2の3次元ネットワークの形成が確認された。前記層間化合物を700℃で熱処理することによってSiO2多孔体がもたらされた。その熱処理された生成物の29Si-MASNMRスペクトルは、Q3ユニットによるショルダーピークと共にQ4ユニットに起因するピークを示した。アルキルトリメチルアンモニウム-カネマイトから得た熱処理された生成物のBET比表面積は、約900m2/gであった。熱処理されたNa-カネマイト及びH-カネマイトの比表面積はほんの50〜60m2/gであったことから、前記有機アンモニウムイオンの効果は明らかであった。その熱処理された生成物の細孔径分布は、用いた有機アンモニウムイオンの種類を変更することによって変化した。」(第222頁7〜29行、抄訳)

3-4.当審の判断
3-4-1.具体的理由1について
(1)本件発明1について
刊行物1の記載事項1-アには、kanemiteをアルキル基の炭素数が12、14、16、18のアルキルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液に加え、イオン交換反応によりアルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体を合成し、該複合体にトリメチルクロロシランとへキサメチルジシロキサンをくわえ80℃で2日間還流した後洗浄して、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体のTMS化物を製造したこと、及び、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体を700℃まで加熱して熱処理物としたことが、記載事項1-イには、用いたkanemiteの組成はNa1.09HSi2O5・2.39H2Oであることが記載されている。また、記載事項1-ウには、低角度側の粉末X線回折分析結果によれば、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体は、夫々d値が約3.5nm、約4.0nm、約4.5nm、約5.0nmの付近にブロードな回折ピークが現れることが記載されており、記載事項1-オには、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体の熱処理物は、XRDパターンが熱処理前と全く変化がなく、BET法による比表面積値が約900m2g-1であり、層が3次元化し、有機カチオンが存在したところが細孔として残っていることが記載されており、また、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体の熱処理物の細孔径分布はFig.5のとおりであることが記載されている。さらに、記載事項1-キには、結論として、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液と層状ポリケイ酸塩kanemiteとを反応させて合成したアルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体は、SiO2層が2次元から3次元に構造が変化していること、及び、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体中のアルキルトリメチルアンモニウムイオンを燃焼させ取り除くと残った空間が細孔となる多孔体となることが確認できたことが記載されている。加えて、記載事項1-カには、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体の熱処理物とそのTMS化物の熱処理物を比較するとTMS化によって細孔径が小さくなっていること、及び、TMSが細孔の大きな空間に存在するシラノール基と反応しやすいため細孔のうちとくに大きいものが減少したことが記載されている。
これらのことからみて、刊行物1には下記の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると云える。
「Na1.09HSi2O5・2.39H2Oの組成を有する層状ポリケイ酸塩kanemiteをアルキルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液に加えてイオン交換反応により合成したアルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体で、熱処理後に、X線回折分析結果によればd値が約3.5〜約5.0nmの所定の位置にピークを示し、BET法による比表面積値が約900m2g-1であり、細孔径分布が刊行物1のFig.5に示されるとおりである、多孔体で層が3次元化している熱処理物を処理する方法であって、該複合体を熱処理の前にトリメチルクロロシランを含む組成物と接触させることを含み、該接触によって、トリメチルクロロシランが熱処理物の孔の内部のシラノール基と反応することにより熱処理物の細孔径を小さくする方法。」
本件発明1と刊行物1発明とを対比すると、後者における「熱処理」は前者における「か焼」に相当し、後者における「アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体」を熱処理した「熱処理物」は、熱処理により該複合体中のアルキルトリメチルアンモニウムイオンが燃焼させ取り除かれているから、「無機」の物質であると云える。そして、後者における「層状ポリケイ酸塩kanemite」は、各層が結晶相であることは明らかであり、700℃程度の加熱で結晶相が非晶質相になるとは云えないから、後者における「熱処理物」は「結晶性相物質」であると云える。さらに、後者における「X線回折分析結果によればd値が約3.5〜約5.0nmの所定の位置にピークを示す」ことは、「18オングストローム単位より大きいd間隔において少なくとも一つのピークを有するX線回析図を示す」ことを意味し、後者における「多孔体」であることは「多孔性」であることを意味する。そして、後者における「アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体」は、該複合体においてNaイオンがどの程度イオン交換されているか不明であるが、kanemiteの組成からみて実質的に、アルキルトリメチルアンモニウムイオン及びSiO2、又は、アルキルトリメチルアンモニウムイオン及びNaを含んだSiO2であると云え、この「アルキルトリメチルアンモニウムイオン」、「Na」は、それぞれ、前者における「R」、「M」に相当するから、該複合体の組成は前者における「rRMn/q(WaXbYcZdOh)」の組成に含まれると云え、後者における「トリメチルクロロシラン」は前者における「M’X’Y’n」に含まれるものである。さらに、後者における「熱処理物の細孔径を小さくする」ことも熱処理物を改変することであると云える。
してみると、両者は、
「下記式:
rRMn/q(WaXbYcZdOh)
(式中、RはイオンとしてMに含まれない全ての有機物質であり;rはRのモル数またはモル分率であり;Mはアンモニウム、水素、ナトリウムおよびフッ素イオンからなる群から選択される1以上のイオンであり;nは酸化物として表わしたMを除いた組成物の電荷であり;qはMの加重モル平均原子価であり;n/qはMのモル数またはモル分率であり;Wはマンガン、コバルト、鉄およびマグネシウムからなる群から選択される1以上の2価の元素であり;Xはアルミニウム、鉄およびガリウムからなる群から選択される1以上の3価の元素であり;珪素が必須の元素であるという条件の下、Yは珪素、ゲルマニウムおよびチタンからなる群から選択される1以上の4価の元素であり;Zはリンであり;a、b、cおよびdはそれぞれW、X、YおよびZのモル分率であり;hは1〜2.5の数であり;(a+b+c+d)=1である)
で示される組成(無水物基準)
を有し、か焼後に、18オングストローム単位より大きいd間隔において少なくとも一つのピークを有するX線回析図を示す、無機の多孔性の結晶性相物質を改変する方法であって、該結晶性物質をか焼の前にM’X’Y’n(式中、M’は元素の周期律表のIIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIII、IB、IIB、IIIB、IVB、VBおよびVIB族より選択され、X’はハライド、ハイドライド、C1-6のアルコキシド、C1-18のアルキル、C1-18のアルケニル、C6-8のアリール、アセテート、C6-18のアリールオキサイド、スルホネートおよびニトレートから選択され、Y’はX’、アミン、ホスフィン、スルフィド、カルボニルおよびシアノから選択され、n=1〜5である)を含んで成る処理用組成物と接触させることを含んで成る改変方法。」
で一致し、下記の点で相違する。
(1-i)本件発明1は、か焼後に、6.7kPa(50トール)および25℃で物質100g当り15g以上のベンゼン吸着能を有するのに対し、刊行物1発明は、比表面積値及び細孔径分布は特定されているものの、ベンゼン吸着容量について特定がない点
(1-ii)本件発明1は、結晶性相物質が非層状であるのに対し、刊行物1発明は、結晶性相物質である熱処理物は、層が3次元化しているものではあるが非層状であるか明確でない点
(1-iii)本件発明1は、接触によって、結晶性相物質の孔の内部に機能性の基が生成する改変方法であるのに対し、刊行物1発明は、孔の内部のシラノール基と反応することにより孔の径を小さくする改変方法であり、孔の内部に機能性の基が生成する改変方法であるか明確でない点
そこで、まず相違点(1-ii)について検討する。
刊行物1発明における「層が3次元化している」ことについて、刊行物1には、記載事項1-ウに、高角度側の粉末X線回折分析結果によれば「n-ドデシルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体のX線回折パターンは、・・・kanemiteとは大きく異なり、・・・、層構造が大きく乱れていることが想像された。」との記載、及び、低角度側の粉末X線回折分析結果で示される回折ピークは「アルキルトリメチルアンモニウム中のアルキル鎖の長さにしたがって、回折線のd値も増加しているので、この回折線は層間隔をしめすd(020)ピークでると考えられた」(このうち、「ピークでる」は「ピークである」の誤記と解される。)旨の記載がある。そして、記載事項1-オの「熱処理物のXRDパターンは熱処理前と全く変化がなく」との記載からみて、記載事項1-ウにアルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体について記載された事項はその熱処理物についても云えることであり、記載事項1-ウの、「この回折線は層間隔をしめすd(020)ピークであると考えられた。」との記載は、「層」と認識できる物が存在することを前提としたものと云えるから、刊行物1発明における「層が3次元化している」ことは、kanemiteでは平坦であった層が熱処理物では乱れて3次元化しているが、層と認識できる物が存在することを意味していると解される。
さらに、記載事項1-オには、「TEM写真からはアルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体の熱処理物は3次元化しているにも関わらずある程度元の構造を維持しているように観察できた。」との記載もあり、この記載からみても、刊行物1発明における「層が3次元化している」ことは、3次元化したものではあるが層と認識できる物が存在することを意味するものあると解される。
そして、層と認識できる物が存在する以上、刊行物1発明における熱処理物は非層状であるとは云えない。
なお、刊行物1の記載事項1-エには、29Si MAS NMR分析の結果からみて、各アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体のスペクトルには、Q3ピークのほかにQ4ユニットに起因するピークが現れ、Q3とQ4ユニットのSi原子数はほぼ同数であり、縮合(3次元化)がかなり進んでいること、及び、kanemiteがsingle layered構造を持ち、silicate層が柔軟であるためイオン交換と同時に層構造が変化しなんらかの縮合反応が起こったと考えられたことが記載されている。しかし、この記載はアルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体についての記載であり、刊行物1を検討しても、熱処理物についても同じ29Si MAS NMR分析の結果が得られる旨の記載はない。
この点について、刊行物2及び3の記載を検討しても、刊行物2には、ゼオライト結晶の外表面近傍にある水酸基とけい素化合物を結合させ、ゼオライト細孔の有効径を調整することが、刊行物3には、ガラス表面に存在する反応基とシランカップリング剤を結合させガラスに何らかの機能を付与すること、及び、シリカゲルと石英粉末の表面をトリメチルクロロシランで処理することが記載されているだけで、刊行物1発明における熱処理物が非層状であることを示唆する何等の記載もない。
よって、相違点(1-i)及び(1-iii)について検討するまでもなく、本件発明1は、刊行物1に記載された発明であるとは云えず、また、刊行物1乃至3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも云えない。

(2)本件発明2、4乃至8について
本件発明2、4乃至8は、いずれも本件発明1又は2を直接的に又は間接的に引用した発明であるから、上記(1)で本件発明1について述べた理由と同じ理由により、刊行物1に記載された発明であるとは云えず、刊行物1乃至3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも云えない。

3-4-2.具体的理由2について
刊行物4の記載事項4-アには、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体を熱処理する事によって多孔体が生成することが記載され、記載事項4-イには、kanemiteをアルキルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液に加え、イオン交換反応により、アルキルトリメチルアンモニウム-kanekite複合体を合成し、該複合体に、トリメチルクロロシランとへキサメチルジシロキサンを加え、2日間還流した後、洗浄して得たトリメチルシリル化生成物に、700℃まで空気中で熱処理を行なったことが記載されている。また、記載事項4-ウには、トリメチルシリル化後の熱処理生成物では、シリル化前の複合体の熱処理生成物の細孔径と比較して細孔径が小さくなることが記載されている。
これらの記載からみて、刊行物4には下記の発明(以下、「刊行物4発明」という。)が記載されていると云える。
「kanemiteをアルキルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液に加えてイオン交換反応により合成したアルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体で、熱処理後に多孔体となる熱処理物を処理する方法であって、該複合体を熱処理の前にトリメチルクロロシランを含む組成物と接触させることを含み、該接触によって、熱処理物の細孔径を小さくする方法。」
本件発明1と刊行物4発明とを対比すると、後者における「熱処理」は前者における「か焼」に相当するものである。そして後者における「アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体」を熱処理した熱処理物は、熱処理によりアルキルトリメチルアンモニウムイオンが取り除かれるから、「無機」の物質であると云え、kanemiteが結晶相物質であることから「結晶性相物質」であると云える。そして、後者における「アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体」は、複合体においてNaイオンがどの程度イオン交換されているか不明であるが、kanemiteの組成からみて実質的に、アルキルトリメチルアンモニウムイオン及びSiO2、又は、アルキルトリメチルアンモニウムイオン及びNaを含んだSiO2であると云え、この「アルキルトリメチルアンモニウムイオン」、「Na」は、前者における「R」、「M」に相当するから、該複合体の組成は、前者における「rRMn/q(WaXbYcZdOh)」に含まれるものであると云え、また、後者における「トリメチルクロロシラン」は前者における「M’X’Y’n」に含まれるものである。さらに、後者における「熱処理物の細孔径を小さくする」ことも熱処理物を改変することであると云える。
してみると、両者は、
「下記式:
rRMn/q(WaXbYcZdOh)
(式中、RはイオンとしてMに含まれない全ての有機物質であり;rはRのモル数またはモル分率であり;Mはアンモニウム、水素、ナトリウムおよびフッ素イオンからなる群から選択される1以上のイオンであり;nは酸化物として表わしたMを除いた組成物の電荷であり;qはMの加重モル平均原子価であり;n/qはMのモル数またはモル分率であり;Wはマンガン、コバルト、鉄およびマグネシウムからなる群から選択される1以上の2価の元素であり;Xはアルミニウム、鉄およびガリウムからなる群から選択される1以上の3価の元素であり;珪素が必須の元素であるという条件の下、Yは珪素、ゲルマニウムおよびチタンからなる群から選択される1以上の4価の元素であり;Zはリンであり;a、b、cおよびdはそれぞれW、X、YおよびZのモル分率であり;hは1〜2.5の数であり;(a+b+c+d)=1である)
で示される組成(無水物基準)
を有し、か焼後に、無機の多孔性の結晶性相物質を改変する方法であって、該結晶性物質をか焼の前にM’X’Y’n(式中、M’は元素の周期律表のIIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIII、IB、IIB、IIIB、IVB、VBおよびVIB族より選択され、X’はハライド、ハイドライド、C1-6のアルコキシド、C1-18のアルキル、C1-18のアルケニル、C6-8のアリール、アセテート、C6-18のアリールオキサイド、スルホネートおよびニトレートから選択され、Y’はX’、アミン、ホスフィン、スルフィド、カルボニルおよびシアノから選択され、n=1〜5である)を含んで成る処理用組成物と接触させることを含んで成る改変方法。」
で一致し、下記の点で相違する。
(2-i)本件発明1は、か焼後に、18オングストローム単位より大きいd間隔において少なくとも一つのピークを有するX線回析図を示し、6.7kPa(50トール)および25℃で物質100g当り15g以上のベンゼン吸着能を有するのに対し、刊行物4発明は、かかる特定がない点
(2-ii)本件発明1は、結晶性相物質が非層状であるのに対し、刊行物4発明は、かかる特定がない点
(2-iii)本件発明1は、接触によって、結晶性相物質の孔の内部に機能性の基が生成する改変方法であるのに対し、刊行物4発明は、孔の径を小さくする改変方法であり、孔の内部に機能性の基が生成する改変方法であるか明確でない点
そこでまず、相違点(2-ii)について検討する。
刊行物4には、記載事項4-ウに、トリメチルシリル化生成物に粉末X線回折分析を行なったところ、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体と比較して変化は見られなかったこと、トリメチルシリル化複合体の熱処理生成物にX線回折分析を行なったところ、熱処理前とほとんど変化はみられなかったこと、及び、トリメチルシリル化生成物に29Si-MAS NMR分析を行なった結果、Q3サイト(OSi(OSi≡)3)によるピークとQ4サイト(OSi(OSi≡)4)によるピークとの強度比が変化して、Q3サイトのピークの強度がかなり減少していることが記載されているが、これらの記載からは、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体の熱処理物の構造は特定できない。
刊行物5には、アルキルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体とその熱処理物について記載されており、記載事項5-ウには、アルキルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体について記載されており、その粉末X線回折パターンは、カネマイトに由来する層状ケイ酸構造が複合体中である程度保持されていることを示していること、及び、該パターンの反応時間による変化をみると層間縮合生成物に起因するであろうピーク強度が反応時間と共に増加したことが記載されており、さらに、その29Si-MAS NMRスペクトルは、SiO4テトラヘドラ(OSi(OSi≡)3)におけるQ3ユニットに起因するピークの他に、SiO4テトラヘドラ(Si(OSi≡)4)におけるQ4ユニットに起因するピークを示し、カネマイトのケイ酸塩層の幾つかがイオン交換反応の間に縮合して3次元SiO2ネットワークが形成されたこと記載されている。そして、記載事項5-エには、アルキルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体の熱処理物について記載されており、その29Si-MAS NMRスペクトルは、広がったピークを示し、このピークは主にQ4ユニットに起因するが、幾分かのQ3ユニットの存在を示唆しているものであり、上記複合体の構造は熱処理により更に変化したことが、しかし、熱処理物の粉末X線回折パターンは未処理の複合体と同様のパターンを示し、アルキルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体における3次元SiO2ネットワークが熱処理後も保持されていたことが確認されたことが記載されている。また、記載事項5-エには、透過型電子顕微鏡写真によれば、アルキルトリメチルアンモニウム-カネマイトはその層構造が保持されているが、層状ケイ酸シートは非常に薄く、TEM写真における線は層状ケイ酸シート自体には対応せず、その写真を詳細に観察すると、その薄層線は凹凸のある層の形成を示していることが分かること、29Si-MAS NMR及び粉末X線回折によって得られた他のデータは3次元SiO2ネットワークの形成を示していることから、前記の写真はマクロ分子レベルで縮合したSiO2骨格の総体的な配置を示していたこと、及び、焼成物の電子顕微鏡写真は、末焼成の複合体のそれと同様の形態を示し、その写真からもまた、凹凸のあるSiO2層が同様にして保持されていることが示唆されたことが記載されている。
即ち、刊行物5には、29Si-MAS NMR分析の結果及び粉末X線回折パターンからみて、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体には、kanemiteのSiO2層が互いに縮合した3次元SiO2ネットワークが形成されており、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体の熱処理物においても、加熱により構造は変化するものの、上記の3次元SiO2ネットワークが保持されていることが記載されていると云えるが、この「3次元SiO2ネットワーク」はもともとSiO2層が互いに縮合したものであり、熱処理物においては加熱により構造が変化するとはいえ、どのように変化したか具体的記載もなく、上記の記載からは、該熱処理物が非層状であるとまでは云えない。しかも、刊行物5には、アルキルトリメチルアンモニウム-カネマイト複合体の粉末X線回折パターンは、カネマイトに由来する層状ケイ酸構造が複合体中である程度保持されていることを示しており、熱処理物の粉末X線回折パターンは未処理の複合体と同様のパターンを示していることが記載されているから、粉末X線回折パターンによれば、熱処理物においても、カネマイトに由来する層状ケイ酸構造がある程度保持されていることが記載されていると云える。さらに、刊行物5には、該熱処理物には、透過型電子顕微鏡写真から凹凸のあるSiO2層が保持されていることが示唆される旨の記載がある。してみると、刊行物5には、アルキルトリメチルアンモニウム-kanemite複合体の熱処理物は、SiO2層が互いに縮合した3次元SiO2ネットワークを示すものであって、凹凸のあるものではあるが層と認識できる物が存在する物であることが記載されていると云える。
刊行物6には、トリメチルアルキルアンモニウム(R(CH3)3N+,R=C12,C14,C16,及びC18)イオンがカネマイトの層間に挿入された生成物の29Si-MAS NMRスペクトルは、カネマイトが示さないかなりの量のQ4ユニットの存在を示し、SiO2の3次元ネットワークの形成が確認されたことと共に、前記層間化合物を700℃で熱処理することによってSiO2多孔体がもたらされ、その熱処理された生成物の29Si-MAS NMRスペクトルは、Q3ユニットによるショルダーピークと共にQ4ユニットに起因するピークを示したことが記載されている。よって、刊行物3には、トリメチルアルキルアンモニウム-カネマイト複合体の熱処理物にSiO2の3次元ネットワークが存在することが示唆されているとは云えるが、該熱処理物が非層状であることが記載されているとまでは云えない。
よって、刊行物5、6を検討しても、刊行物4発明における「熱処理物」はSiO2の3次元ネットワークが形成された物であるとは云えるが、3次元化したものではあるが層と認識できる物が存在することが記載されている以上、該熱処理物が非層状であることが記載されているとまでは云えず、相違点(2-ii)で挙げた本件発明1の構成は、刊行物3乃至5に記載された事項から当業者が容易に想到し得たことであるとは云えない。
刊行物2及び3に記載された事項については上記3-4-1.の(1)で述べたとおりである。
よって、相違点(2-i)及び(2-iii)について検討するまでもなく、本件発明1は、刊行物4乃至6及び2、3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは云えない。

(2)本件発明2乃至8について
本件発明2乃至8は、いずれも本件発明1を直接的に又は間接的に引用した発明であるから、上記(1)で本件発明1について述べた理由と同じ理由により、刊行物4乃至6及び2、3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは云えない。

3-5.むすび
以上のとおりであるから、取消理由で通知した特許異議の申立ての理由及び証拠方法によっては本件発明1乃至8についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1乃至8についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1乃至8についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
合成メソポーラス結晶性物質の改変方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】下記式:
Mn/q(WaXbYcZdOh)
(式中、Mはアンモニウム、水素、ナトリウムおよびフッ素イオンからなる群から選択される1以上のイオンであり;nは酸化物として表わしたMを除いた組成物の電荷であり;qはMの加重モル平均原子価であり;n/qはMのモル数またはモル分率であり;Wはマンガン、コバルト、鉄およびマグネシウムからなる群から選択される1以上の2価の元素であり;Xはアルミニウム、鉄およびガリウムからなる群から選択される1以上の3価の元素であり;珪素が必須の元素であるという条件の下、Yは珪素、ゲルマニウムおよびチタンからなる群から選択される1以上の4価の元素であり;Zはリンであり;a、b、cおよびdはそれぞれW、X、Y、およびZのモル分率であり;hは1〜2.5の数であり;(a+b+c+d)=1である)
で示される組成、または
下記式:
rRMn/q(WaXbYcZdOh)
(式中、RはイオンとしてMに含まれない全ての有機物質であり;rはRのモル数またはモル分率であり;Mはアンモニウム、水素、ナトリウムおよびフッ素イオンからなる群から選択される1以上のイオンであり;nは酸化物として表わしたMを除いた組成物の電荷であり;qはMの加重モル平均原子価であり;n/qはMのモル数またはモル分率であり;Wはマンガン、コバルト、鉄およびマグネシウムからなる群から選択される1以上の2価の元素であり;Xはアルミニウム、鉄およびガリウムからなる群から選択される1以上の3価の元素であり;珪素が必須の元素であるという条件の下、Yは珪素、ゲルマニウムおよびチタンからなる群から選択される1以上の4価の元素であり;Zはリンであり;a、b、cおよびdはそれぞれW、X、YおよびZのモル分率であり;hは1〜2.5の数であり;(a+b+c+d)=1である)
で示される組成(無水物基準)
を有し、か焼後に、18オングストローム単位より大きいd間隔において少なくとも一つのピークを有するX線回析図を示し、6.7kPa(50トール)および25℃で物質100g当り15g以上のベンゼン吸着能を有する、無機の多孔性の非層状結晶性相物質を改変する方法であって、該結晶性物質をか焼の前または後にM’X’Y’n(式中、M’は元素の周期律表のIIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIII、IB、IIB、IIIB、IVB、VBおよびVIB族より選択され、X’はハライド、ハイドライド、C1-6のアルコキシド、C1-18のアルキル、C1-18のアルケニル、C6-8のアリール、アセテート、C6-18のアリールオキサイド、スルホネートおよびニトレートから選択され、Y’はX’、アミン、ホスフィン、スルフィド、カルボニルおよびシアノから選択され、n=1〜5である)を含んで成る処理用組成物と接触させることを含んで成り、該接触によって、結晶性相物質の孔の内部に機能性の基が生成する改変方法。
【請求項2】該接触を-70℃〜250℃の温度で0.1〜100時間行う請求項1記載の方法。
【請求項3】該接触を25〜100℃の温度で0.1〜30時間行う請求項1記載の方法。
【請求項4】M’をIVA、VIA、VIII、IIIBおよびIVB族から選択する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】M’をTi、Cr、Fe、Co、Ni、B、AlおよびSiから選択する請求項4記載の方法。
【請求項6】X’をハライド、ハイドライド、C1-6のアルコキシド、およびアセテートから選択する先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】Y’をアミン、スルフィドおよびC1-15のアルキルから選択する請求項6に記載の方法。
【請求項8】M’X’Y’nを、酢酸クロム、硝酸クロム、テトラエチルオルトシリケート、テトラメチルオルトシリケート、チタニウムテトラエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリ-sec-ブトキシド、ヘキサメチルジシラザン、ジ-sec-ブトキシアルミンオキシトリエトキシシラン、ジエチルフォスファトエチルトリエトキシシラン、トリメチルボレート、クロロジメチルアルキルシラン(アルキルはC1-18)、アンモニア-ボラン、ボラン-テトラヒドロフラン、ジメチルスルフィド-ジブロモボランおよびそれらの混合物から選択する請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、一以上の官能性の基を合成したメソポーラスな物質に導入することによる該物質の改変方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多孔性の無機固体は、工業的に利用する触媒および分離媒体として大きい用途が見出されている。これらのミクロ構造の開放性(openness)のためこれらの材料の比較的大きい表面に分子を接近させることができ、そのことがその触媒活性および吸着活性を高める。今日用いられている多孔性物質は、それらのミクロ構造の詳細を分類の基礎として用いて3つの大きいカテゴリーに分類することができる。これらのカテゴリーは、非晶性および準結晶性支持体、結晶性分子篩、および改変された層状物質である。これらの物質の触媒挙動および吸着挙動、並びに表面積、孔の大きさおよび孔の大きさの可変性、X線回析図の存在または不存在およびそのような回析図の詳細、およびそれらのミクロ構造を透過型電子顕微鏡および電子回析法で調べた時の物質の様子のような、これらの物質を特徴づけるのに用いる様々な観測できる性質の相異によって、これらの物質のミクロ構造の相異が明らかになる。
【0003】
非晶性および準結晶性物質は、長年工業的用途で用いられている重要な種類の多孔性無機固体である。これらの物質の典型的な例は、触媒調合物で一般的に用いられる非晶性のシリカ、並びに固体酸触媒および石油リホーミング触媒支持体として用いられる準結晶性の遷移アルミナである。“非晶性”の語は、長距離秩序を有しない物質を示すのにここでは用いるが、ほとんどすべての物質は少なくとも局部的には幾分秩序性があるので、やや誤解を招く。これらの物質を記述するのに用いられている別の言葉は“X線に無作用(indifferent)”である。シリカのミクロ構造は、100〜250オングストロームの密度の高い非晶性シリカ粒子から成り(カーク-オスマー、Encyclopedia of Chemical Technology3版、20巻、ジョンウィリアンドサンズ、ニューヨーク、766〜781頁、1982)、粒子間のボイドから生じる多孔性を有する。これらの物質には長距離秩序が存在しないので、孔の大きさは幾分広い範囲に分布する傾向がある。この規則性の欠如もX線回析図により表わされるが、X線回析パターンは通常特徴がない。
【0004】
遷移(transitional)アルミナのような準結晶性物質も広い孔径分布を有するが、通常2,3のブロードなピークよりなるよりよく定義されたX線回析図を示す。これらの物質のミクロ構造は、凝縮したアルミナ相の小さい結晶領域から成り、その物質の多孔性はこれらの領域の間の不規則なボイドより生じる(K.ウェファースおよびチャナキャミスラ“Oxides and Hydroxides of Aluminium”テクニカルペーパーNo.19(改訂)アルコリサーチ ラボラトリーズ、54〜59ページ、1987)。どちらの物質の場合にも物質の孔径をコントロールする長距離秩序がないので、孔径の可変性は典型的には非常に大きい。これらの物質の孔径はメソポーラスな範囲と呼ばれる領域に入り、本出願の場合には13〜200オングストロームである。
【0005】
これ等の構造的によく定義されない固体と対照的なのが、孔径がその物質のミクロ構造の正確に繰り返される結晶的性質により規制されるために、孔径分布が非常に狭い物質である。これ等の物質は“分子篩”と呼ばれその最も重要な例はゼオライトである。大部分のゼオライトの正確な結晶性のミクロ構造は、通常多くのシャープな最高点を与え、その物質を定義するのに役立つ、よく定義されたX線回析図によって表わされる。同様にこれ等の物質の孔の大きさは、結晶性のミクロ構造の正確な繰り返しのため非常に規則正しい。今日までに見出されたすべての分子篩は微孔性範囲の孔径を有し、その孔径は通常2〜20オングストロームとされ、報告された最大孔径は約12オングストロームである。
【0006】
膨潤剤で離すことのできる層を含むいくつかの層状物質は、大きい程度の多孔性を有する物質を提供するよう柱状化(pillared)される。そのような層状物質の例としてはクレーがある。そのようなクレーは水で膨潤し、それによってクレーの層は水分子により引き離される。他の層状物質は水で膨潤できないが、アミンや第4級アンモニウム塩のようないくつかの有機膨潤剤で膨潤する。そのような水で膨潤しない層状物質の例が米国特許第4,859,648号に記載されており、層状シリケート、マガダイト、ケニアイト、トリチタネートおよび灰チタン石を含む。いくつかの有機膨潤剤では膨潤し、水では膨潤しない層状物質の他の例は、米国特許第4,831,006号に記載された間隙を含むチタンメタレート物質である。
【0007】
層状物質が一旦膨潤すると、その物質は、シリカのような熱的に安定な物質を離された層間に挿入することにより柱状化する。前述の米国特許第4,831,006号および同4,859,648号は、そこに記載された水で膨潤しない層状物質を柱状化する方法を記述している。柱状化した層状物質のX線回析図は、その他の点では通常よく規則化された層状のミクロ構造が膨潤と柱状化のため乱される度合に応じて、かなり変化する。いくつかの柱状化した層状物質のミクロ構造の規則性は乱されるので、X線回析図の小さい角度領域での唯一のピークが、その柱状化した物質の層間の繰り返し対応するd間隔で観測される。乱れの少ない物質は、通常この基本的な繰り返しの順序であるこの領域内でいつくかのピークを示す。層の結晶構造からのX線反射も時には認められる。これらの柱状化層状物質の孔径分布は非晶性および準結晶性物質のそれより狭いがゼオライト様物質より広い。
【0008】
我々の国際公開WO第91/11390号において、我々は新しい種類の無機の、多孔性、非層状の結晶性物質を記載した。その物質は他の多孔性の無機固体から、その大きい開いた孔の規則性により区別され、孔径はメソポーラスの範囲であり、したがって非晶性あるいは準結晶性の物質の孔径によく似ているが、その規則的な配列および孔の均一性はゼオライトのような結晶性物質に似ている。特に、この新しい型の物質は、か焼の後に約18オングストローム単位より大きいd間隔で少なくとも一つのピークを有するX線回析図を示し、50トールおよび25℃で該物質の100g当り15グラム以上のベンゼンを吸着する能力を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この新しい型の分子篩は、高濃度のヒドロキシ基が合成されたままのあるいはか焼した物質の孔の開口内部に存在するというユニークな性質を有する。本発明の目的は、ヒドロキシ基を用いて有機の処理用化合物と反応させ分子篩物質に機能性の基を固定し、或いは導入することである。機能性の基は、孔の内部にユニークな触媒サイトを提供し、或いは孔径を所望どおり造れるように孔径減少剤としての役目をすることができる。機能性の基はまたセラミック材料に対する前駆体としても役立てることができる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
従って本発明の要旨は、下記式:
Mn/q(WaXbYcZdOh) (I)
(式中、Mはアンモニウム、水素、ナトリウムおよびフッ素イオンからなる群から選択される1以上のイオンであり;nは酸化物として表わしたMを除いた組成物の電荷であり;qはMの加重モル平均原子価であり;n/qはMのモル数またはモル分率であり;Wはマンガン、コバルト、鉄およびマグネシウムからなる群から選択される1以上の2価の元素であり;Xはアルミニウム、鉄およびガリウムからなる群から選択される1以上の3価の元素であり;珪素が必須の元素であるという条件の下、Yは珪素、ゲルマニウムおよびチタンからなる群から選択される1以上の4価の元素であり;Zはリンであり;a、b、cおよびdはそれぞれW、X、Y、およびZのモル分率であり;hは1〜2.5の数であり;(a+b+c+d)=1である)
で示される組成、または
下記式:
rRMn/q(WaXbYcZdOh) (II)
(式中、RはイオンとしてMに含まれない全ての有機物質であり;rはRのモル数またはモル分率であり;Mはアンモニウム、水素、ナトリウムおよびフッ素イオンからなる群から選択される1以上のイオンであり;nは酸化物として表わしたMを除いた組成物の電荷であり;qはMの加重モル平均原子価であり;n/qはMのモル数またはモル分率であり;Wはマンガン、コバルト、鉄およびマグネシウムからなる群から選択される1以上の2価の元素であり;Xはアルミニウム、鉄およびガリウムからなる群から選択される1以上の3価の元素であり;珪素が必須の元素であるという条件の下、Yは珪素、ゲルマニウムおよびチタンからなる群から選択される1以上の4価の元素であり;Zはリンであり;a、b、cおよびdはそれぞれW、X、YおよびZのモル分率であり;hは1〜2.5の数であり;(a+b+c+d)=1である)
で示される組成(無水物基準)
を有し、か焼後に、18オングストローム単位より大きいd間隔において少なくとも一つのピークを有するX線回析図を示し、6.7kPa(50トール)および25℃で物質100g当り15g以上のベンゼン吸着能を有する、無機の多孔性の非層状結晶性相物質を改変する方法であって、該結晶性物質をか焼の前または後にM’X’Y’n(式中、M’は元素の周期律表のIIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIII、IB、IIB、IIIB、IVB、VBおよびVIB族より選択され、X’はハライド、ハイドライド、C1-6のアルコキシド、C1-18のアルキル、C1-18のアルケニル、C6-8のアリール、アセテート、C6-18のアリールオキサイド、スルホネートおよびニトレートから選択され、Y’はX’、アミン、ホスフィン、スルフィド、カルボニルおよびシアノから選択され、n=1〜5である)を含んで成る処理用組成物と接触させることを含んで成り、該接触によって、結晶性相物質の孔の内部に機能性の基が生成する改変方法にある。
【0011】
好ましい態様では、該無機多孔性結晶性相物質は、直径が少なくとも約13オングストロームの均一な大きさの孔を有する六方晶系の配置を有し、か焼後に18オングストローム単位以上のd100値で指標化することができる六方晶系の電子回析図を示す。
【0012】
有利には該改変は残存する有機物を除去する必要なしに、合成したままの結晶性物質で行うことができる。さらに、本質的にすべての内部のヒドロキシ部位を必要なら機能化することができる。
【0013】
本発明の機能化反応は次式により記述してもよい。
SiO-R’+M’X’Y’n→SiOM’Y’n+R’X’
式中SiOR’は該結晶性物質の格子中のサイトである。R’は、H+または下に記載した結晶化方法で具体的に示した有機カチオンであるR4N+である。M’は、元素の周期律表のIIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIII、IB、IIB、IIIB、IVB、VBまたはVIB族の元素である(サージェント-ベルヒ サイエンティフィック(株)、Cat番号s-18806、1979)。
【0014】
M’についての好ましい元素は、IVA、VIA、VIIIA、IIIBおよびIVB族である。M’についての最も好ましい元素は、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、ホウ素、アルミニウムおよびケイ素である。
【0015】
X’は、ハライド、ハイドライド、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシド、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、6〜18個の炭素原子を有するアリール、アセテート、6〜18個の炭素原子を有するアリールオキサイド、スルホネートおよびニトレートである。X’についての好ましい置換基はハライド、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシドおよびアセテートである。
【0016】
Y’はX’について記載した置換基、またはアミン、ホスフィン、スルフィド、カルボニル、およびシアノから選択できる。Y’についての好ましい置換基は、X’について記載した置換基、アミン、スルフィドおよび1〜18個の炭素原子を有するアルキルである。Y’についての最も好ましい置換基は、X’について記載した置換基、アミン、1〜18個の炭素原子を有するアルキルである。nは1〜5である。
【0017】
M’X’Y’nについての非限定的な例としては、酢酸クロム、硝酸クロム、テトエチルオルトシリケート、テトラメチルオルトシリケート、チタニウムテトラエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリ-secブトキシド、ヘキサメチルジシラザン、ジ-sec-ブトキシアルミノキシトリエトキシシラン、ジエチルホスファトエチルトリエトキシシラン、トリメチルボレート、クロロジメチルアルキルシラン(アルキルは1〜18個の炭素原子を有する)、アンモニア-ボラン、ボラン-テトラヒドロフラン、およびジメチルサルファイド-ジブロモボランがある。
【0018】
処理用組成物の処理される組成物に対する割合、処理時間、および温度は限定的ではなく、広い範囲で変化してもよい。例えば温度は-70℃〜250℃、好ましくは25℃〜100℃である。時間は0.1〜100時間、好ましくは0.1〜30時間、最も好ましくは0.1〜24時間である。
【0019】
処理した結晶性物質は、そのまま用いてもよく、あるいは活性化のために熱処理または酸素若しくは一酸化炭素のような反応性気体を用いて処理してもよい。処理した物質は、NH3、PH3、空気、O2、N2Ar、H2、SiH4またはB2H6のような反応性または不活性気体中でか焼してもよい。
【0020】
処理した結晶性物質は、式
【化1】

に従って、その内部に機能性基を持つと記述してよい。
これ等の機能化されたサイトは例えば次のものである。
【0021】
【化2】

-SiOB(Br)2・SMe2,-SiOTi(OEt)3,
-SiOCr(アセテート)2,-SiOCr(ニトレート)2,
-SiOSi(OMe)3,-SiOAl(s-OPr)2,
-SiOAl(s-OBu)2,-SiOSi(OEt)3,
【化3】

-SiOSi(CH3)3,-SiOSi(CH3)2C6H13,
-SiOSi(CH3)2C18H37,-SiOSi(CH3)2C6H5。ここでMe=CH3,Et=C2H5,Pr=C3H7,Bu=C4H9。
【0022】
これらの例において、-Siはその結晶性物質の格子中のサイトを表わす。Siのあとの2つの結合は示していない。本発明はこれ等のリストに示した機能性基に限定されない。
【0023】
か焼された形では、本発明の方法により処理された結晶性物質は、約18オングストローム単位のd間隔(CuK-α照射の場合4.909度の2θ)より大きい位置で少なくとも一つのピークを有するX線回析図を示す。より詳しくは本発明のか焼した結晶性非層状物質は、約10オングストローム単位のd-間隔(CuK-α照射の場合8.842度の2θ)より大きい位置で少なくとも2つのピークを有し、そのうちの少なくとも一つは約18オングストローム単位のd間隔より大きい位置であり、約10オングストローム単位のd間隔より小さい位置には、最強のピークの約20%より大きい比強度を有するピークは存在しない、X線回析図により特徴づけられる。より一層詳しくは本発明のか焼した物質のX線回析図は、約10オングストローム単位のd間隔より小さい位置には、最強のピークの約10%より大きい比強度を有するピークを示さない。
【0024】
X線回析のデータは、θ-θジオメトリー、CuK-α照射、およびエネルギー分散X線検出器を用いたシンタグPAD X自動回析システムにより集めた。エネルギー分散X線検出器を用いると入射あるいは回析ビームモノクロメーターの必要がなくなる。入射および回析したX線ビームは、ダブルスリット入射および回析コリメーションシステムによってコリメートした。用いたスリットの大きさは、X線管源から出発してそれぞれ0.5、1.0、0.3および0.2mmであった。異なったスリット系はピークについて異なった強度を与える。最大の孔径を有する本発明の物質は、小さい角度のピークを、伝わった入射X線ビームから分解するためにより高度にコリメートされた入射X線ビームを必要とする。
【0025】
回析のデータは、ステップスキャニングにより0.04度の2θ(θはブラッグ角である)およびそれぞれのステップについて10秒のカウント時間で記録した。面間間隔dはオングストローム単位で計算し、ラインの比強度I/I0(I0は最も強いラインの強度の百分の1である)は、バックグラウンドの上で、プロフィルフィッティング法(profile fitting routine)を用いて導いた。強度はロレンツおよび分極効果について修正しなかった。
比強度は、vs=非常に強い(75〜100)、s=強い(50〜74)、m=中くらい(25〜49)およびw=弱い(0〜24)の記号で示す。単一の線として示された回析のデータも、非常に大きい実験的な分解能または結晶学的変化のようなある条件の下では、分解されあるいは部分的に分解された線として現れる、多くの重なった線よりなり得ることを理解すべきである。典型的には結晶学的変化には、単位セルパラメーターのわずかな変化および/または構造の実質的変化のない結晶の対称性の変化がある。比強度の変化を含めてこれ等の小さい影響は、カチオン含量、枠組組成、孔充填の性質と度合、熱および/または熱水ヒストリーの相違、並びに粒子の大きさ/形の影響、構造的な無秩序、またはX線回析の分野の当業者に知られた他の要因によるピークの巾/形の変化の結果としても生じる。
【0026】
本発明の方法により処理された物質は、6.7kPa(50トール)および25℃において、100gの結晶あたり15g以上のベンゼンという平衡ベンゼン吸着能により特徴づけられる。この物質の平衡ベンゼン吸着能は付随的な汚染物質による孔の詰まりのないものを基準にして測定する。例えば吸着試験は、通常の方法によって除いた孔をふさぐ汚染物質や水を有さない結晶性物質相で行う。水は脱水技術、例えば熱処理により除去する。穴をふさぐ無機の非晶性物質、例えばシリカや有機物は、その物質が本発明の結晶に有害な影響を与えずに除去されるように、酸若しくは塩基または他の化学薬品を接触させることにより除去する。
【0027】
平衡ベンゼン吸着能は、脱水、または例えば450〜700℃、典型的には540℃での少なくとも一時間のか焼、およびもし必要なら孔をふさぐ汚染物質を除去する他の処理の後に、平衡に達するまで本発明の物質を25℃および50トールでベンゼンと接触させることにより測定する。吸着したベンゼンの重量を、後で詳しく記載するように次に測定する。
【0028】
本発明の方法により処理した物質は、一般にメソポーラスである。メソポーラスとは、物質が13〜200オングストロームの、より一般的には15〜100オングストローム大きさの範囲の均一な孔を有することを意味する。好ましい態様では本物質は、13〜200オングストロームの開いた内径を有する長いチャネルの六方晶系配置を有しているようである。この構造は透過型電子顕微鏡および電子回析による明らかにすることができる。かくして本発明の適当に配向した試料の電子顕微鏡写真は大きいチャネルを有する六方晶系配置を示し、対応する電子回析図は最大回析のほぼ六方晶系の配置を示す。電子回析図のd100間隔は六方格子のhko投影上の隣接するスポット間の距離であり、電子顕微鏡写真で認められたチャネル間の繰り返し距離a0と、式d100=a03/2により関係づけられる。電子回析図において観測されたこのd100間隔は、X線回析図中の小さい角度のピークのd間隔(>18オングストロームd間隔)に対応する。今まで得られた最も高度に秩序化された製造物は、電子回析図で認められる20〜40個の明瞭なスポットを有する。これらのパターンは、100,110,200,210,等のユニークな反射およびそれらの対称関連反射の、六方晶系hkoサブセットで指標づけすることができる。
【0029】
後で示すように、本発明で用いる無機の非層状のメソポーラスな結晶性物質は典型的には、上記式(I)で示される組成を有する。
【0030】
式(I)の組成を有する上記結晶性物質の好ましい態様は、(a+b+c)がdより大きくかつh=2の時である。別の態様はaおよびd=0でh=2の時である。
【0031】
合成したままの形では、本発明に用いる物質は典型的には無水物を基準にして実験的に上記式(II)で示される組成を有する。
rRMn/q(WaXbYcZdOh)
式中のMおよびR成分は、結晶化中のそれらの存在の結果として物質に伴うものであり、容易に除くことができ、Mの場合には通常の後結晶化法により置き換えられる。
【0032】
本発明の方法により処理される超大孔の結晶性物質の合成は我々の国際公開WO第91/11390号に詳細に記載されている。特に上の式によって定義される成分を有する物質は、酸化物のモル比に関し次の範囲の成分を有する反応混合物から製造できる。
【0033】

【0034】
ここにeおよびfは、それぞれMおよびRの加重平均原子価であり、溶媒はC1〜C6のアルコール若しくはジオール、またはより好ましくは水であり、Rは式R1R2R3R4Q+を有する有機の指示剤(directing agent)であり、Qは窒素またはリンであり、R1、R2、R3およびR4のうちの少なくとも一つは、例えば-C6H13、-C10H21、-C16H33、および-C18H37のような6〜36個の炭素原子を有するアリールまたはアルキル基であり、R1、R2、R3およびR4の残りのそれぞれは、水素および1〜5個の炭素原子を有するアルキル基から選択する。上のアンモニウムまたはホスホニウムイオンが誘導される化合物は、例えばヒドロオキサイド、ハライド、シリケートまたはその混合物である。
【0035】
1以上の他の結晶構造の直接合成で公知の他の試薬と比較した時、上の指示剤の特別の有効性は、核生成および所望の超大孔物質の生長において鋳型として働くその能力によると信じられる。これ等の指示剤の非限定的な例としては、セチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルホスホニウム、オクダデシルトリメチルホスホニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、セチルピリジニウム、ミリスチルトリメチルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウムおよびジメチルジドデシルアンモウニム化合物がある。
【0036】
好ましくは、反応混合物中に存在する全有機物Rは、上の指示剤の式のアンモニウムまたはホスホニウムイオンの形の付加的な有機指示剤を含む。その付加的な有機指示剤においてR1、R2、R3およびR4のそれぞれは水素および1〜5個の炭素原子を有するアルキル基(アルキル基の2つが結合して環状化合物を生成してもよい)から選択する。付加的な有機指示剤の例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、およびピロリジニウム化合物がある。最初に述べた有機指示剤の付加的な有機指示剤に対するモル比は100/1〜0.01/1の範囲である。付加的な有機指示剤が存在する場合、反応混合物中のモル比R2/fO/(YO2+WO+Z2O5+X2O3)は好ましくは0.1〜2.0、最も好ましくは0.12〜1.0である。
【0037】
更に最終的な結晶性相物質の孔径を変えるために、反応混合物中の全有機物Rは、上記有機指示剤の外に補助的な有機物を含むこともできる。この補助的な有機物は(1)5〜20個の炭素原子を有する芳香族炭化水素およびアミン、並びにそのハロゲンおよびC1-C14アルキル置換誘導体、(2)5〜20個の炭素原子を有する環式および多環式脂肪族炭化水素およびアミン、並びにそのハロゲンおよびC1-C14アルキル置換誘導体、および(3)3〜16個の炭素原子を有する直鎖および分枝の脂肪族炭化水素およびアミン、並びにそのハロゲン置換誘導体から選択する。
【0038】
上の補助的有機物においてハロゲン置換基は好ましくはブロムである。C1-C14アルキル置換基は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、およびそれらの組合せのような直鎖または分枝の脂肪族鎖である。これらの補助的有機物の例としては、p-キシレン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、およびトリイソプロピルベンゼンがある。
【0039】
反応混合物中に補助的な有機物を含めると、補助的有機物/YO2のモル比は0.05〜20、好ましくは0.1〜10であり、補助的有機物/有機指示剤のモル比は0.02〜100、好ましくは0.05〜35である。
【0040】
シリコン源を合成法に用いる場合、例えば第4級アンモニウムシリケートのような有機シリケートを少なくとも部分的に用いることが好ましい。そのようなシリケートの非限定的な例としてはテトラメチルアンモニウムシリケートおよびテトラエチルオルトシリケートがある。
【0041】
上記反応で予期されるW、X、Y、およびZの様々な組み合せの非限定的な例としては次のものがあり、

Wが、Mgまたは2価の第一列遷移金属から選択される元素、例えばMn、Co、およびFeであり、XがB,Ga、またはFeであり、YがGeである組み合せを含む。
【0042】
本発明の結晶性物質を製造するために、上に記載した反応混合物を25〜250℃の温度に、好ましくは50〜175℃に、好ましくは9〜14のpHに、必要な結晶が生成するまでの時間、典型的には5分〜14日、より好ましくは1〜300時間保つ。
【0043】
本発明の結晶性物質がアルミノシリケートである時、合成方法は次の工程よりなるのが便利である。
(1)有機(R)指示剤を溶媒または溶媒混合物と、溶媒/R2/fOのモル比が50〜800、好ましくは50〜500の範囲内となるように混合する。この混合物は合成法のための“一次鋳型”を構成する。
(2)工程(1)の一次鋳型混合物に、シリカおよびアルミナをR2/fO/(SiO2+Al2O3)の比が0.01〜2.0の範囲内となるように加える。
(3)工程(2)から生じた混合物を、20〜40℃の温度で、好ましくは5分〜3時間撹拌する。
(4)混合物を、撹拌しあるいは撹拌せずに、好ましくは20〜50℃で、好ましくは10分〜24時間放置する。
(5)工程(4)からの生成物を、50〜150℃の温度で、好ましくは1〜72時間結晶化する。
【0044】
本発明の処理方法は、広範囲な触媒的変換プロセス用の、現在のメソポーラスな結晶性物質の活性および/または選択性を高めるのに使用できる。そのようなプロセスの例としては、特に高分子量、高沸点、または蒸留できない物質、特に残留物質のクラッキングまたはハイドロクラッキング、NOxの減少、および例えば高粘度潤滑剤を製造するためのオレフィンのオリゴマー化がある。本発明の処理した物質は吸着剤としても用いることができる。
【0045】
本発明の性質およびそれを実施する方法をより完全に説明するために、次の実施例を示す。実施例において、吸着データを、水、シクロヘキサン、ベンゼン、および/またはn-ヘキサンについての吸着能の比較のため説明するときは常に、それらは次のように測定した平衡吸着値である。
【0046】
約540℃で少なくとも一時間か焼し、必要なら孔を詰める汚染物質を除去するための他の処理を行った後、重量を測定した吸着剤試料を吸着チャンバーの中で所望の純粋な吸着質蒸気と接触させる。吸着剤の重量増加を、約540℃でか焼した後の吸着剤重量を基準にした100グラムの吸着剤あたりのグラムで、試料の吸着能として計算した。本発明の組成物は、約15g/100g以上の、特に約17.5g/100g以上の、さらに特に20g/100g以上の、(6.7kPa)50トールおよび25℃での平衡ベンゼン吸着能を示す。
【0047】
平衡吸着値を測定する好ましい方法は、所望の純粋な吸着質蒸気を、1mm以下に脱気した吸着チャンバーの中で、1.6kPa(12トール)の水、5.3kPa(40トール)のn-ヘキサン若しくはシクロヘキサン蒸気、または6.7kPa(50トール)のベンゼン蒸気という条件で、25℃で接触させることである。圧力は吸着時間中マノスタットによりコントロールされた吸着質蒸気を加えることにより一定に保つ(約+0.5mm以内)。吸着質は結晶性物質により吸着されるので、圧力が減少するとマノスタットがバルブを開き、吸着質蒸気をチャンバーに入れ、上記のコントロール圧力を回復させる。吸着は圧力変化がマノスタットを活動させるのに十分でない時に完了する。
【0048】
ベンゼン吸着のための他の方法は、コンピューターでコントロールした990/951デュポンTGAシステムのような、適当な熱重量分析システムによることである。吸着剤試料を、流れているヘリウム中で例えば約350℃または500℃で恒量になるまで加熱することにより脱水する(物理的に吸着した水を除去する)。試料が合成したままの形、例えば有機指示剤を含んでいるなら、前に述べた350℃または500℃での処理ではなくそれを空気中で約540℃でか焼し、恒量まで保つ。ベンゼンで飽和したヘリウムガス流を純粋なヘリウムガス流と、所望のベンゼン分圧を得るのに適当な割合で混合することにより、ベンゼン吸着等温線を25℃で測定する。ベンゼンの67kPa(50トール)での吸着値を吸着等温線のプロットから得る。
実施例において特記しない限りパーセントは重量%である。
【0049】
実施例1
146.9gの水中の2.7gのNaAlO2(43.5%Al2O3、30%Na2O)の溶液を、34.5gのNaOH、29重量%のN,N,N-トリメチル-1-ヘキサデカンアンモニウムクロライド溶液をハライド樹脂用の過剰のハイドロオキサイドと接触させることにより製造した189.1gのセチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド溶液、および110.7gのウルトラシル(Ultrasil)(92%SiO2)と混合した。一晩混合後、600ccのオートクレーブに入れ、150℃、400rpm撹拌で72時間反応させた。混合物は次の比モル組成を有していた。
0.25モル Al2O3
10モル Na2O
36モル SiO2
2.5モル (CTMA)2O
362.5モル H2O
【0050】
混合物を濾過した後に、濾液から沈澱した固体の生成物を濾取し、水洗し、次に550℃で10時間空気中でか焼した。
か焼した製品は1193m2/gの表面積と、次の、100gの無水の吸着体当りのgで表わした平衡吸着能を有することがわかった。
H2O 10.2
シクロヘキサン >50
n-ヘキサン 48.9
ベンゼン 68.1
この実施例のか焼した生成物のX線回析図は、50.7±3.0オングストロームのd間隔に非常に強い比強度の線、および30.7±1.0オングストロームに弱い線を含むという特徴がある。
【0051】
実施例2
実施例1と同様に製造したか焼した生成物の0.50gを、15gのヘキサメチルジシロキサン中の10gのクロロトリメチルシランの激しく撹拌した溶液に加えた。混合物を窒素下で一晩還流させ、冷却し、ロータリーエバポレーターで試薬を除き、生成物を2回10mlのアセトンで洗滌し、風乾して、0.53gの生成物を得た。
この生成物の固相マジックアングルスピニングNMR(solid state magic angle spining NMR)スペクトルを、プロトン デカップリングで、1200s間隔で90度パルスを用いて得た。このスペクトルは15および-108ppmにピークを示した。15ppmのピークはトリメチルシリル基に帰属され(T.ヤナギサワ等、Reactivity of Solids、5巻、167ページ(1988))、生成物は反応したことを示す。2つのピークの積分は原生成物中のシリコンの17.9%が変換されたことを示した。
【0052】
トリメチルシリル化した生成物の内部孔体積を、ベンゼン吸着およびアルゴン物理吸着により、出発物質のそれと比較した。孔体積の全減少はベンゼンで48%、アルゴンで34%であると測定された。TMS基の直径はCPK分子モデルにより約0.4〜0.5nmであると測定されている。孔の内部のTMS基のオニオンスキン(onion skin)コーティングはそれ故0.8〜1.0nmの孔径の減少を起こす。アルゴン等温線のホルバス-コワゾエ(Horvath-kowazoe)変換は、モデルから予測されることと一致して、孔径が3.90nmから3.04nmに(0.90nm)減少したことを示す。
クロロトリメチルシラン処理の前および後で水の吸着を測定した。実施例1のか焼生成物は、30℃12.5トールで10.0重量%の水を吸着したが、一方処理した物質は3.3%の水を吸着した。これはトリクロロメチルシラン処理が、新しい結晶性物質の疎水的な性質を増加させることを示す。
【0053】
実施例3
実施例1と同様に製造した生成物0.50gを、15gのヘキサメチルジシロキサン中の15mlヘキサメチルジシラザンの激しく撹拌した溶液に加えた。その混合物をN2下一晩還流させ、冷却し、試薬をロータリーエバポレータで除き、生成物を2回10mlのアセトンで洗滌し、風乾し、0.52gの生成物を得た。
この生成物の固相マジックアングルスピニングNMRスペクトルを、プロトンデカップリングで1200s間隔で90度パルスを用いて得た。このスペクトルは15および-108ppmでピークを示した。15ppmのピークはトリメチルシリル基(Id.)に帰属され、生成物は反応したことを示す。2つのピークの積分は元の生成物のシリコンの16.8%が変換されたことを示す。Si-nmrの実験誤差内でクロロトリメチルシランおよびヘキサメチルジシラザンによる変換は同じであった。
実施例2および3は、本発明の処理方法を用いた孔径の減少を示す。
【0054】
実施例4
29重量%のN,N,N-トリメチル-1-ヘキサデカンアンモニウムクロライド溶液を過剰のハライド樹脂用ハイドロオキサイドと接触させて製造した400gのセチルトリメチルアンモニウム(CTMA)ハイドロオキサイド溶液を、200gのテトラメチルアンモニウム(TMA)シリケート溶液(10重量%シリカ、1:1、TMA:Si)と、撹拌しながら混合した。50gのハイシル(HiSil)、約6重量%の自由水および約4.5重量%の水和の結合水を含み、約0.02ミクロンの最終粒径を有する沈澱した水和シリカを加えた。生じた混合物をポリプロピレンのびんに入れ、スチームボックス(約100℃)に48時間置いた。混合物はAl2O3の1モルにつき、モルで次の組成を有していた。
SiO2 391.4モル
(CTMA)2O 71.4モル
(TMA)2O 61.6モル
水 9144モル
生成した固体の生成物を濾取し、常温で風乾した。合成したままの生成物の化学分析は、
SiO2 23.7重量%
Al2O3 0.2重量%
N 2.3重量%
C 33.9重量%
アッシュ,1000℃ 22.1重量%
であった。
【0055】
実施例5
実施例4の生成物の一部を、540℃で1時間窒素中で、次に6時間空気中でか焼した。この物質のベンゼン吸着は39.5重量%であった。
【0056】
実施例6
実施例4の風乾した生成物1gを、1gのチタニウムテトラエトキシドと室温で一晩混合した。その混合物を次に5gの水と1時間反応させた。生成物を窒素中で538℃で1時間、次に空気中で538℃で6時間か焼した。30℃でのベンゼン吸着は25.0重量%であった。
【0057】
実施例7
実施例4の風乾した生成物1gを、1gのアルミニウムトリ-sec-ブトキシドと室温で一晩混合した。その混合物を次に5gの水と1時間反応させた。その生成物を窒素中で538℃で1時間、次に空気中で6時間538℃でか焼した。30℃におけるベンゼン吸着は37.5重量%であった。
【0058】
実施例8
10gの実施例4の風乾した生成物を、ジ-s-ブトキシアルミノオキシトリエチオキシルシラン(DBALS)(グラムを基準にして1/1gで)、および50gの無水エタノールと一緒にし、一晩混合させた。この混合物を100gの水と一緒にし、1時間撹拌した。生じた固体生成物を濾取し、風乾した。機能化した生成物を540℃で窒素中で1時間、次に空気中で6時間か焼した。
【0059】
実施例9
10gの実施例4の風乾した生成物を、ジ-s-ブトキシアルミノオキシトリエチオキシルシラン(DBALS)(グラムを基準にして1/1gで)、および50gのヘキサメチルジシロキサンと一緒にし、一晩混合させた。この混合物を100gの水と一緒にし、1時間撹拌した。生じた固体生成物を濾取し、常温で風乾した。この機能化した生成物を540℃で窒素中で1時間、次に空気中で6時間か焼した。
【0060】
実施例10
10gの実施例4の風乾した生成物を、ジエチルホスファトエチルトリエトキシシラン(グラムを基準にして1/1gで)、および50gの無水エタノールと一緒にし、一晩混合させた。この混合物を次に100gの水と一緒にし、1時間撹拌した。生じた固体生成物を濾取し、常温で風乾した。その機能化した生成物を540℃で窒素中で1時間、次に空気中で6時間か焼した。
【0061】
実施例11
10gの実施例4の風乾した生成物を、トリメチルボレート(グラムを基準にして2/1gで)、および50gの無水エタノールと一緒にし、一晩混合した。この混合物を次に100gの水と一緒にし、1時間撹拌した。生じた固体生成物を濾取し、常温で空気中で乾燥した。その機能化された生成物を次に540℃で窒素中で1時間、続いて空気中で6時間か焼した。
【0062】
実施例12
10gの実施例4の風乾した生成物を、7.5gのアルミニウムイソプロポキシドおよび50gの無水エタノールと一緒にし、一晩混合した。この混合物を次に100gの水と一緒にし1時間撹拌した。生じた固体の生成物を濾取し、常温で空気中で乾燥した。その機能化された生成物を540℃で窒素中で1時間、次に空気中で6時間か焼した。
処理しない実施例4の生成物の元素分析を、実施例8〜12の処理した生成物と、下の表1で比較した。
【0063】
【表1】

【0064】
実施例6〜12は、本発明の方法を用いて結晶性物質へ導入することができる他の型の機能性基を説明する。
【0065】
実施例13
本実施例では1.65gのNaAlO2を、29重量%のN,N,N-トリメチル-1-ヘキサデカンアンモニウムクロライド溶液をハライド交換樹脂用ハイドロオキサイドと接触させることにより得た80gのセチルトリメチルアンモニウムヒドロオキサイド(CTMAOH)に加えた。その混合物をNaAlO2が完全に溶解するまで撹拌した。この溶液に40.0gのテトラメチルアンモニウムシリケート溶液(SiO210重量%)、10gのハイシル(SiO290重量%)、および6.01gの1,3,5-トリメチルベンゼンを加えた。生じた混合物を室温で数分間撹拌した。そのゲルを次に300mlのオートクレーブに入れ、150RPMで撹拌しながら105℃まで加熱した。4時間の加熱後、反応を冷水で止め、内容物を取り出した。反応物を濾過し、温(60〜70℃)水、およびアセトンで数回洗滌した。最後の生成物を538℃でN2/空気混合物中で8時間か焼した。そのゲル反応混合物は1モルのAl2O3当り次のようなモルについての組成を有していた。
【0066】
1.25モル Na2O
27.8モル SiO2
5.1モル (CTMA)2O
2.24モル (TMA)2O
650モル H2O
6.91モル 1,3,5-トリメチルベンゼン
本実施例のか焼生成物は、948.6m2/gの表面積と64.0重量%のベンゼン吸着能を有していることがわかった。
【0067】
実施例14
1gの実施例13の生成物を1gのテトラエチルオルトシリケートと室温で一晩混合した。その混合物を次に5gの水と1時間反応させた。生成物を窒素中538℃で1時間、次に空気中で6時間538℃でか焼した。25℃におけるベンゼン吸着は40重量%であった。その結晶性物質は64.0%の最初のベンゼン吸着を有していたので、孔の体積は37%減少し、孔径が8オングストローム減少したことを示す。
【0068】
実施例15
30.0gの蒸留水中に溶解した18.7gのN-クリア(clear)(ナトリウムシリケート)に、10gの水中に溶解した1.2gの硫酸を加えた。生じた混合物を10分間撹拌した後、50.2gの水中の16.77gのセチルトリメチルアンモニウムブロマイドを加え、生じたゲルを0.5時間撹拌した。この時点で20gの水を反応物に加えた。そのゲルをポリプロピレンびん中で静止した自然の条件下(100℃)で結晶化させた。生じた生産物を蒸留水で充分洗滌し、乾燥し、538℃でか焼した。この実施例のか焼した生産物のX線回析図は、33.2±2.0オングストロームのd間隔に非常に強い比強度の線および19.8±1.0オングストロームと17.5±1.0オングストロームに弱い線を示した。
【0069】
実施例16
0.5gの実施例15の生産物を、20mlのトルエン中の10mlの(CH3)2S:BH3と一緒にした。約5分間撹拌した後、固体を真空濾過により単離し、n-ヘキサンで洗滌し、次にアセトンで洗滌した。乾燥した生成物を空気中で538℃でか焼した。
この実施例の生成物のX線回析図は、32.4±2.0オングストロームのd間隔に非常に強い比強度の線と、19.5±1.0と17.2±1.0オングストロームに弱い線を示した。ベンゼン吸着は41重量%であった。実施例15の結晶性物質は50%というベンゼン吸着値を有するので、本実施例の物質の孔の体積は減少したようである。
【0070】
実施例17
3gの実施例4で記載した如くに製造したか焼した結晶性物質を、10gの水中の0.14gの酢酸クロム一水和物の溶液に加えた。この混合物を一晩室温で反応させた。過剰の水分を減圧下に除去した。その触媒を窒素中に250℃で5時間、次に空気中600℃で9時間乾燥した。温度を350℃に下げ、試料を一酸化炭素中で30分間還元した。
【0071】
実施例18
実施例17の生成物を120℃で1-デセンと1.91LHSVで接触させた。オリゴメリ化生成物を単離し、そのものは40℃で2419センチストローク(cs)、100℃で238csの粘度を有していた。計算した粘度指数は237であった。
【0072】
実施例19
反応温度を1.95LHSVでの182℃にした外は実施例18と同様にして1-デセンのオルゴメリ化を行った。生成物は蒸留により単離し、その粘度は40℃で197cs、100℃で27.6csであった。粘度指数は178であった。
本発明の方法に従って処理した結晶性物質による実施例18および19のオリゴメリ化の生成物は、従来の技術のCr/SiO2触媒を用いて予期されるより、高い粘度を有する。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-09-30 
出願番号 特願平4-160804
審決分類 P 1 651・ 113- YA (C01B)
P 1 651・ 121- YA (C01B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 増山 淳子  
特許庁審判長 大黒 浩之
特許庁審判官 野田 直人
岡田 和加子
登録日 2003-06-20 
登録番号 特許第3443428号(P3443428)
権利者 モービル・オイル・コーポレイション
発明の名称 合成メソポーラス結晶性物質の改変方法  
代理人 河宮 治  
代理人 鮫島 睦  
代理人 河宮 治  
代理人 長濱 範明  
代理人 鮫島 睦  
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