ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 B05D |
---|---|
管理番号 | 1130814 |
異議申立番号 | 異議2003-72975 |
総通号数 | 75 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1994-01-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-12-04 |
確定日 | 2005-11-21 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3424043号「ラミネート貼着体及びその作成方法」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3424043号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3424043号は、平成4年6月30日に出願され、平成15年5月2日にその特許権の設定登録がされ、その後、中澤昭彦より特許異議の申立てがされて、平成17年3月16日付け取消理由が通知され、同年6月16日に訂正請求がされ、更に、同年10月24日付け取消理由が通知され、その指定期間内である同月26日付で訂正請求がされると共に、平成17年6月16日にされた訂正請求については取り下げられたものである。 2.特許異議の申立ての概要 申立てにおける取消理由の概要は、以下のとおりのものと認める。 A.特許査定時における請求項1、2に係る発明は、本件出願前に頒布された甲第1、2、3、4又は5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、これら請求項に係る特許は、同条第1項の規定に違反して特許されたものである。(以下、「取消理由A」という。) 甲第1号証:特開昭55-73080号公報 甲第2号証:特開昭59-5266号公報 甲第3号証:特開昭62-187864号公報 甲第4号証:特開昭62-253184号公報 甲第5号証:特開平3-152593号公報 3.通知された取消理由 平成17年3月16日付け及び同年10月24日付け取消理由の概要は、総じて、以下のとおりである。 B.特許査定時における請求項1、2に係る特許は、明細書の記載が不備な、特許法第36条第4項、第5項第1号及び第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対して、特許されたものである。(以下、「取消理由B」という。) C.特許査定時における請求項2に係る発明は、本件出願前に頒布された引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、同請求項に係る特許は、同条第1項の規定に違反して特許されたものである。(以下、「取消理由C」という。) 引用例; 1.特開昭55-73080号公報(取消理由Aの甲第1号証) 2.特開昭59-5266号公報(同甲第2号証) 3.特開昭62-187864号公報(同甲第3号証) 4.特開昭62-253184号公報(同甲第4号証) 5.特開平3-152593号公報(同甲第5号証) なお、取消理由Bにおける不備とは、請求項1に記載された発明についてのもので、また、取消理由Cは、請求項2に係る発明に関し、取消理由Aと同趣旨のものである。 4.平成17年10月26日にされた訂正請求の適否について 4-1.訂正の内容 本件訂正は、以下の訂正事項A〜Iからなるものと認める。 訂正事項A; 【特許請求の範囲】の記載につき、 「【請求項1】透明又は半透明の材質からなるシートの片面に粘着剤が設けられてなり、前記シートの粘着剤塗布面には、粘着剤に対して剥離可能な基材より転移させてなる情報が施されて、前記粘着剤塗布面の反対側からシートを見たときに前記情報が目視できる構成としたことを特徴とするラミネート貼着体。 【請求項2】少なくとも一面側が剥離性を有する基材の剥離面に、該剥離面に対して剥離可能な粘着剤へ転移可能な情報を設ける工程と、 情報が施された基材の前記情報上に、透明又は半透明の材質からなり、片面側に粘着剤を有するシートの該粘着剤塗布面を対向させて、基材とシートとを貼り合わせる工程と、 貼り合わされた基材とシートとを剥離させ、シートの粘着剤塗付面に基材の情報を転移させる工程と を備えるラミネート貼着体の作成方法。」とあるのを、 「【請求項1】少なくとも一面側が剥離性を有する剥離面を備える基材と、透明又は半透明の材質からなり、前記基材の剥離面と同じ面側に粘着剤を有する粘着剤塗布面を備えるシートと、が切り取りミシン目を介して連接している連接シートを用意する工程と、 前記剥離面に対して剥離可能な粘着剤へ転移可能な情報を前記剥離面に設ける工程と、 前記連接シートを前記切り取りミシン目から折り合わせ、前記情報が施された前記基材の前記情報上に前記粘着剤塗布面を対向させて、前記基材と前記シートとを貼り合わせる工程と、 貼り合わされた前記基材と前記シートとを剥離させ、前記シートの前記粘着剤塗付面に前記基材の前記情報を転移させる工程と を備えるラミネート貼着体の作成方法。」と訂正する。 訂正事項B; 明細書の【発明の名称】の記載につき、 「ラミネート貼着体及びその作成方法」とあるのを、 「ラミネート貼着体の作成方法」と訂正する。 訂正事項C;明細書の段落【0001】の記載につき、 「本発明は、各種工業製品などに、該製品に係わる情報を設けるために使用するラミネート貼着体、そして、その作成方法に関するものである。」とあるのを、 「本発明は、各種工業製品などに、該製品に係わる情報を設けるために使用するラミネート貼着体の作成方法に関するものである。」と訂正する。 訂正事項D;明細書の段落【0004】の記載につき、 「・・・ラミネート貼着体を提供する・・・」とあるのを、 「・・・ラミネート貼着体の作成方法を提供する・・・」と訂正する。 訂正事項E;明細書の段落【0005】の記載につき、 「・・・本発明は上記した課題を考慮してなされたもので、透明又は半透明の材質からなるシートの片面に粘着剤が設けられてなり、前記シートの粘着剤塗布面には、粘着剤に対して剥離可能な基材より転移させてなる情報が施されて、前記粘着剤塗布面の反対側からシートを見たときに前記情報が目視できる構成としたことを特徴とするラミネート貼着体を提供して、上記した課題を解消するものである。」とあるのを、 「・・・本発明は上記した課題を考慮してなされたもので、少なくとも一面側が剥離性を有する剥離面を備える基材と、透明又は半透明の材質からなり、前記基材の剥離面と同じ面側に粘着剤を有する粘着剤塗布面を備えるシートと、が切り取りミシン目を介して連接している連接シートを用意する工程と、前記剥離面に対して剥離可能な粘着剤へ転移可能な情報を前記剥離面に設ける工程と、前記連接シートを前記切り取りミシン目から折り合わせ、前記情報が施された前記基材の前記情報上に前記粘着剤塗布面を対向させて、前記基材と前記シートとを貼り合わせる工程と、貼り合わされた前記基材と前記シートとを剥離させ、前記シートの前記粘着剤塗付面に前記基材の前記情報を転移させる工程とを備えるラミネート貼着体の作成方法を提供する。」と訂正する。 訂正事項F;明細書の段落【0006】の記載を削除する。 訂正事項G;明細書の段落【0007】の記載につき、 「【作用】本発明のラミネート貼着体にあっては、・・・。また、もう一つのラミネート貼着体の作成方法にあっては、・・・」とあるのを、 「【作用】本発明のラミネート貼着体の作成方法により作成されたラミネート貼着体にあっては、・・・。本発明のラミネート貼着体の作成方法にあっては、・・・」と訂正する。 訂正事項H;明細書の段落【0015】の記載につき、 「・・・、本発明によれば、ラミネート貼着体は、・・・」とあるのを、 「・・・、本発明のラミネート貼着体の作成方法により作成されたラミネート貼着体は、・・・」と訂正する。 訂正事項I;明細書の段落【0016】の記載につき、 「また、もう一つの発明は、少なくとも一面側が剥離性を有する基材の剥離面に、該剥離面に対して剥離可能な粘着剤へ転移可能な情報を設ける工程と、情報が施された基材の前記情報上に、透明又は半透明の材質からなり、片面側に粘着剤を有するシートの該粘着剤塗布面を対向させて、基材とシートとを貼り合わせる工程と、貼り合わされた基材とシートとを剥離させる工程とを備えるラミネート貼着体の作成方法であり、・・・」とあるのを、 「また、本発明のラミネート貼着体の作成方法は、・・・」と訂正する。 4-2.判断 ここでは、「願書に添付した明細書又は図面」を訂正前明細書という。また、訂正前の【請求項1】については旧【請求項1】といい、また、訂正後の【請求項1】については新【請求項1】といい、他も同様とする。 4-2-1.訂正の目的の適否、新規事項の有無について (1)訂正事項Aについて この訂正は、旧【請求項1】を削除し、旧【請求項2】を由来とした新【請求項1】とするもので、旧【請求項1】の削除は、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当し、また、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてしたものである。 また、新【請求項1】とする訂正は、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正に該当し、また、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてしたものである。以下に、詳述する。 1)旧【請求項2】に記載された発明は、「ラミネート貼着体の作成方法」に係るもので、予め基材とシートとを用意する工程を有していることは明らかで、この基材とシートを利用する発明である。 そして、この訂正は、基材とシートを用意する上記工程を「少なくとも一面側が剥離性を有する剥離面を備える基材と、透明又は半透明の材質からなり、前記基材の剥離面と同じ面側に粘着剤を有する粘着剤塗布面を備えるシートと、が切り取りミシン目を介して連接している連接シートを用意する工程」と、技術的に限定し、更に、この工程では、基材とシートが、切り取りミシン目を介して連接している連接シートとして用意され、この連接シートを前提に、旧【請求項2】に記載されていた「基材とシートとを貼り合わせる工程」において、該連接シートを切り取りミシン目から折り合わせる手順を附加し、該工程を技術的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当する。 更に、基材とシートを用意する工程を上述のように技術的に限定するための記載を附加したことに伴い、旧【請求項2】に記載されていた「情報を設ける工程」、「基材とシートとを貼り合わせる工程」及び「情報を転移させる工程」の記載につき、記載全体を整理するもので、この整理は、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正に該当する。 2)また、訂正前明細書には、以下の記載Aが認められる。 A;「【0014】上記した実施例においてはシートと基材とが別体の状態から貼り合わせが行われる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図8と図9に示すようにシートと基材とが一体の状態となった連接シート9からラミネート貼着体を得ることができる。図8は、シート2と基材7とが切り取りミシン目10を介して一体となっているものからラミネート貼着体を得る例を示している。切り取りミシン目10を介して一方には剥離面6を有する基材7が設けられ、他方には粘着剤塗布面4を有してこれを剥離紙11にて覆ったシート2が設けられている。・・・。そして、連接シート9の基材7の剥離面6に上述した例と同様にして情報を施し、シート2と基材7とを折り合わせ、・・・、シート2を剥離することによりラミネート貼着体が得られるようになる。」及び【図8】 そして、先に「1)」で述べた、基材とシートを用意する工程を技術的に限定する訂正、更には、「基材とシートとを貼り合わせる工程」において、連接シートを切り取りミシン目から折り合わせる手順を附加し、貼り合わせる該工程を技術的に限定する訂正は、記載Aに基づくものであるから、同じく、「1)」で述べた、「情報を設ける工程」、「基材とシートとを貼り合わせる工程」及び「情報を転移させる工程」の記載全体を整理する訂正と合わせ、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (2)訂正事項B〜Iについて これらの訂正は、訂正事項Aとの整合を図るものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正に該当し、また、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてしたものである。 4-2-2.訂正の拡大・変更の存否について 本件訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるとする理由は見当たらない。 4-2-3.まとめ 本件訂正は、特許法の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、これを認める。 5.特許異議の申立てについての判断 5-1.請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。) 本件発明は、本件訂正により訂正された請求項1に記載されたとおりのものと認める(「4-1」の訂正事項A、参照。)。 5-2.甲第1〜5号証 甲第1〜5号証には、以下の記載が認められる。 甲第1号証:特開昭55-73080号公報 甲1ア;「剥離紙上に文字、図柄などを印刷し、その上側に、裏面に粘着剤、接着剤などを塗布した表示基材を貼り合せることによつて前記文字、図柄などを表示基材の裏面に転位させることを特徴とするラベル、シールなどの表示および封緘材の製法。」(特許請求の範囲第2項) 甲1イ;「第3図に示すのはこの発明のラベル(A')であつて、それは剥離紙(1)の上に施こされた印刷文字(4')の上に接着層(2)を塗布して設け、(これはラベル基材(3')にあらかじめ粘着材などを塗布したものでもよい)その上にラベル基材(3')を貼り合せたもので、剥離紙(1)上に印刷された印刷文字(4')の印刷インクが接着層(2)に付着してラベル基材(3')の側に転位し、ラベル基材(3')の裏側に印刷されたと同様の状態をなつている。 すなわち第3図示のようにラベル基材(3')の一隅を剥離紙(1)より剥がすと、接着層(2)に印刷文字(4')のインクが付着しており、この際ラベル基材(3')が透明紙または透明フイルムであればそのまゝ他の物品に貼着することによつて、ラベル(A')の表面に印刷文字(4')が透視される。」(第2頁右上欄12行〜左下欄8行) 甲第2号証:特開昭59-5266号公報 甲2ア;「上記表示シートを製造するための第2発明の方法は、はく離紙表面に表示を印刷する工程と、該印刷済のはく離紙表面に透明の接着フィルムを貼着する工程と、この後に続き且前記表示印刷部を囲うように前記接着フィルムのみを打ち抜き、続いて前記表示印刷部の外周の残余部をはく離する工程から成るものである。 上記技術手段によれば、はく離紙の表面にラベル、シール等として機能する表示シート単体が適宜間隔で並び、この表示シート単体の接着剤にはく離紙上の印刷表示が転写され、一つの接着フィルムのみにより表示シート(表示シート群)が製造できることとなる。」(第2頁右上欄7〜末行) 甲第3号証:特開昭62-187864号公報 甲3ア;「静電複写方式により静電潜像形成体表面にトナー像を形成する行程、粘着剤に対して離型性を有する表面を備えた転写部材にトナー像を転写する行程、粘着剤層を備えた透光性フィルム部材と転写部材とを上記トナー層と上記粘着剤層とが対面する関係で重ね合わせる行程、および重ね合わせた両部材を圧接手段により圧接させる行程からなるシール作成方法。」(特許請求の範囲第1項) 甲3イ;「圧接行程で転写部材(1)と透光性シート(9)とを圧接すれば、トナー像は転写部材(1)の表面に定着することなく、透光性シート(9)の粘着剤層に効率よく粘着保持或いは埋めこまれることとなる。 かくして、本発明の方法を採用すれば転写部材(1)の離型性表面を巧みに利用して効率良く粘着剤層(7)中にトナー像(3)を形成できることが理解されよう。」(第3頁左上欄11〜末行) 甲第4号証:特開昭62-253184号公報 甲4ア;「1 剥離紙の表面上に画像を付着形成させる。 2 少くとも片面に接着剤の塗布された透明接着フイルムの接着面と剥離紙の画像面を互いに接着させ、画像を透明接着フイルム面上に転写する。 以上の工程によつて得られる接着ラベルの製造方法。」(特許請求の範囲) 甲第5号証:特開平3-152593号公報 甲5ア;「電子写真方式の文字画像形成装置により文字画像を剥離層の上に形成し、 透光層部と接着層部とが一体的に形成される透光ラベルの前記接着層部を、前記剥離層の上に重ね合わせて前記文字画像を前記接着層部に転写して製作されることを特徴とする透光ラベル。」(特許請求の範囲第1項) 5-3.判断 甲第1〜5号証には、ラミネート貼着体の作成方法といえる発明が記載されていると認められるものの、そのいずれにも、該作成方法において、本件発明の構成要件である「少なくとも一面側が剥離性を有する剥離面を備える基材と、透明又は半透明の材質からなり、前記基材の剥離面と同じ面側に粘着剤を有する粘着剤塗布面を備えるシートと、が切り取りミシン目を介して連接している連接シートを用意する工程」に相当する工程については記載がない。 してみると、本件発明は、これら各甲号証に記載された発明であるということはできない。 5-4.まとめ 取消理由Aに理由はない。 6.通知された取消理由の妥当性について 取消理由B及びCは、先に「3」でその概要を述べたとおりであるが、取消理由Bについては、記載が不備とされた請求項1に記載された発明を削除する本件訂正が、先に「4」で述べたとおり、認められることから、理由はなくなったものであり、また、請求項2に係る発明に関して取消理由Aと同趣旨の取消理由Cについては、先に「5」で述べたように取消理由Aに理由がないことから、理由のないことは明らかである。 7.むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許を取り消すことができない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ラミネート貼着体の作成方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】少なくとも一面側が剥離性を有する剥離面を備える基材と、透明又は半透明の材質からなり、前記基材の剥離面と同じ面側に粘着剤を有する粘着剤塗布面を備えるシートと、が切り取りミシン目を介して連接している連接シートを用意する工程と、 前記剥離面に対して剥離可能な粘着剤へ転移可能な情報を前記剥離面に設ける工程と、 前記連接シートを前記切り取りミシン目から折り合わせ、前記情報が施された前記基材の前記情報上に前記粘着剤塗布面を対向させて、前記基材と前記シートとを貼り合わせる工程と、 貼り合わされた前記基材と前記シートとを剥離させ、前記シートの前記粘着剤塗付面に前記基材の前記情報を転移させる工程と を備えるラミネート貼着体の作成方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、各種工業製品などに、該製品に係わる情報を設けるために使用するラミネート貼着体の作成方法に関するものである。 【0002】 【産業上の利用分野】 従来、各種工業製品の一部分に説明文や商品名、商品コードなどの情報を設ける場合においては、透明又は半透明のシートの表面にその説明文や商品名などを印刷、機械印字してなるラベル片を作成し、これをその製品に貼り付けるようにしている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記したラベル片を貼り付けた製品の使用環境によっては水がかかったり泥や油などで汚損されたりする場合があり、そして記載されている情報はラベル片の表面に表出しているため、この情報自体がカスレて判読できなくなったり、機械読取りすることができなくなるという問題がある。特に各種部品に貼り付けられたラベル片に商品コードなどが記載され、この商品コードなどの情報に基づいて生産管理が行われるようにしたものにあっては、ラベル片を更に保護するなどの手間を要することとなる。 【0004】 そこで本発明は上記した事情に鑑み、上記情報が上記視認できる状態でかつ表面側に位置せず保護された状態として各種製品に設けることができるラミネート貼着体の作成方法を提供すること課題とし、各種製品に設けた状態で情報が適正に保護されるようにすることを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】 本発明は上記した課題を考慮してなされたもので、少なくとも一面側が剥離性を有する剥離面を備える基材と、透明又は半透明の材質からなり、前記基材の剥離面と同じ面側に粘着剤を有する粘着剤塗布面を備えるシートと、が切り取りミシン目を介して連接している連接シートを用意する工程と、前記剥離面に対して剥離可能な粘着剤へ転移可能な情報を前記剥離面に設ける工程と、前記連接シートを前記切り取りミシン目から折り合わせ、前記情報が施された前記基材の前記情報上に前記粘着剤塗布面を対向させて、前記基材と前記シートとを貼り合わせる工程と、貼り合わされた前記基材と前記シートとを剥離させ、前記シートの前記粘着剤塗付面に前記基材の前記情報を転移させる工程とを備えるラミネート貼着体の作成方法を提供する。 【0006】 【0007】 【作用】 本発明のラミネート貼着体の作成方法により作成されたラミネート貼着体にあっては、シート片面の粘着剤を塗布してなる粘着剤塗布面に情報が設けられていることから、この情報がシート表面に位置せず、その情報をシート下に保護した状態でラミネート貼着体が物品などに貼り付けられる。また、本発明のラミネート貼着体の作成方法にあっては、基材の剥離面に施された情報が、シートを基材から剥離する際にシートの粘着剤塗布面に転移してシートの粘着剤塗布面に設けられるようになる。 【0008】 【実施例】 つぎに本発明を図1から図9に示す実施例に基づいて詳細に説明する。図中1はラミネート貼着体で、該ラミネート貼着体1は、図1に示すように、透明又は半透明の素材からなるシート2の片面に粘着剤3を塗布して粘着剤塗布面4を設け、この粘着剤塗布面4を介して物品などの表面に貼着できるようにしたものである。 【0009】 そしてこのラミネート貼着体1における上記粘着剤塗布面4には、例えばバーコードの形態を採った情報5が設けられて、図1に示すように粘着剤塗布面4の反対側であるシート表面側からシート2を見たときに前記情報5が目視できる構成としており、よって、図2に示すように、このラミネート貼着体1を物品Aに貼着することにより、上記情報5がシート下、即ち粘着剤塗付面4の下として保護された状態で表されるようになる。 【0010】 上記構造のラミネート貼着体1を作成するに当たっては、つぎのようにして行われる。 図3と図4に示すように、少なくとも一面側(後述するようにシートと対向させる面)を剥離処理して剥離性を付与してなる剥離面6を備えた基材7の前記剥離面6に対して、情報5が印刷、機械印字などにより設けられる。前記情報5は、剥離面6に再剥離貼着する粘着剤へ転移可能なものであり、例えば基材7をノンインパクトプリンタにかけて前記剥離面6上に情報印字を行うことにより、転移可能な情報5が得られる。 【0011】 つぎに情報5が施された基材7に対してシート2が貼り合わされる。図5に示すように、基材7の前記情報5上にシート2の粘着剤塗布面4を対向させてシート2と基材7とが剥離可能に貼り合わされており、上述したように情報5が剥離面6から転移可能なものであることから、情報5と剥離面6との接合力より情報5と粘着剤塗布面4との接合力が大きい状態となっている。 【0012】 このようにシート2と基材7とが貼り合わせられた状態から、図6に示すように前記シート2を基材7から剥離すると、情報5と粘着剤塗布面4との接合力が大きいため、前記情報5は粘着剤塗布面4に転移し、粘着剤塗布面4に情報5が施されたラミネート貼着体1が得られる。 【0013】 上述したようにラミネート貼着体1はシート2と基材7との貼り合わせ、剥離によって得られるのであり、例えば、図7に示すように連続状態で供給されるシート2と、同じく連続状態供給され機械印字(又は印刷)された基材7とを貼り合わせ、この基材7を備えた連続する形態としてもよい。そして、図6に示すように、基材7の幅をシート2の幅より大きくして基材7からシート2を剥離する際の指掛かり8を設けることができる。 【0014】 上記した実施例においてはシートと基材とが別体の状態から貼り合わせが行われる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図8と図9に示すようにシートと基材とが一体の状態となった連接シート9からラミネート貼着体を得ることができる。 図8は、シート2と基材7とが切り取りミシン目10を介して一体となっているものからラミネート貼着体を得る例を示している。切り取りミシン目10を介して一方には剥離面6を有する基材7が設けられ、他方には粘着剤塗布面4を有してこれを剥離紙11にて覆ったシート2が設けられている。また図9は、シート2と基材7とが綴じ合わせ部12を介して一体となっているものからラミネート貼着体を得る例を示していて、綴じ合わせ部12を介して一方には剥離面6を有する基材7が設けられ、他方には粘着剤塗布面4を有してこれを剥離紙11にて覆ったシート2が設けられている。 そして、連接シート9の基材7の剥離面6に上述した例と同様にして情報を施し、シート2と基材7とを折り合わせ、或いは分離した後貼り合わせて、シート2を剥離することによりラミネート貼着体が得られるようになる。 【0015】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明のラミネート貼着体の作成方法により作成されたラミネート貼着体は、透明又は半透明の材質からなるシートの片面に粘着剤が設けられてなり、前記シートの粘着剤塗布面には、粘着剤に対して剥離可能な基材より転移させてなる情報が施されて、前記粘着剤塗布面の反対側からシートを見たときに前記情報が目視できる構成としているので、情報がシートの表面に位置せずにこのシートに保護された状態となり、ラミネート貼着体を物品に貼り付けた後は情報を適正に表示させることができる。 【0016】 また、本発明のラミネート貼着体の作成方法は、シートの基材側への貼り合わせと剥離との簡単な操作によって、粘着剤塗布面に情報を施したラミネート貼着体が容易に得られるようになるなど、実用性に優れた効果を奏するものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明に係るラミネート貼着体の一実施例を示す説明図である。 【図2】 ラミネート貼着体を物品に貼り付けた状態を断面で示す説明図である。 【図3】 基材を断面で示す説明図である。 【図4】 情報を施した基材を断面で示す説明図である。 【図5】 基材とシートとを対応させた状態を断面で示す説明図である。 【図6】 基材とシートとを剥離する状態を断面で示す説明図である。 【図7】 ラミネート貼着体の作成方法の一実施例を示す説明図である。 【図8】 基材とシートとを一体とした例を断面で示す説明図である。 【図9】 同じく基材とシートとを一体とした例を断面で示す説明図である。 【符号の説明】 1…ラミネート貼着体 2…シート 3…粘着剤 4…粘着剤塗布面 5…情報 6…剥離面 7…基材 A…物品 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2005-10-28 |
出願番号 | 特願平4-196574 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YA
(B05D)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 村山 禎恒 |
特許庁審判長 |
鈴木 由紀夫 |
特許庁審判官 |
芦原 ゆりか 石井 克彦 |
登録日 | 2003-05-02 |
登録番号 | 特許第3424043号(P3424043) |
権利者 | トッパン・フォームズ株式会社 |
発明の名称 | ラミネート貼着体の作成方法 |
代理人 | 磯野 道造 |
代理人 | 磯野 道造 |