• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  B01J
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  B01J
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B01J
審判 全部申し立て 2項進歩性  B01J
管理番号 1130829
異議申立番号 異議2003-73172  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-02-15 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-25 
確定日 2005-12-03 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3421070号「水中油形エマルジョン」の請求項1〜9に係る発明の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3421070号の請求項1〜8に係る発明の特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第3421070号は、パリ条約による優先権の主張を伴って平成5年2月26日(優先日:平成4年2月29日)に出願され、平成15年4月18日に特許の設定登録がなされたものであって、その特許につき、近藤武(以下、「異議申立人」という)より特許異議の申立がなされ、これに基づき取消理由を通知したところ、権利者より平成17年2月28日付けで訂正請求書が提出されたものである。

II.訂正の適否
II-1.訂正事項
平成17年2月28日付け訂正請求は、本件明細書につき、訂正請求書に添付された訂正明細書に記載されるとおりの次の〈イ〉〜〈ニ〉の訂正を求めるものである。
以下、訂正前の明細書を「特許明細書」といい、訂正請求書に添付された訂正明細書を「本件明細書」という。
〈イ〉特許明細書の請求項1における、
「・・・未満である、水中油形エマルジョン。」を、「・・・未満であり、存在する乳化剤の総量の10重量%未満の親水性乳化剤を含む、水中油形エマルジョン。」に訂正する。
〈ロ〉特許明細書の請求項8における、
「・・・未満であり、金属酸化物の粒子が・・・。」を、「・・・未満であり、存在する乳化剤の総量の10重量%未満の親水性乳化剤を含む、金属酸化物の粒子が・・・。」に訂正する。
〈ハ〉特許明細書の請求項3の記載を削除する。
〈ニ〉特許明細書の請求項4〜9における請求項番号4〜9を、それぞれ、3〜8に訂正し、かつ、訂正後の請求項3における「・・・請求項1〜3のいずれか1項に・・・。」を「・・・請求項1または2に・・・。」に訂正し、訂正後の請求項4における「・・・請求項1〜4のいずれか1項に・・・。」を「・・・請求項1〜3のいずれか1項に・・・。」に訂正し、訂正後の請求項5における「・・・請求項1〜5のいずれか1項に・・・。」を「・・・請求項1〜4のいずれか1項に・・・。」に訂正し、訂正後の請求項6における「・・・請求項1〜6のいずれか1項に・・・。」を「・・・請求項1〜5のいずれか1項に・・・。」に訂正し、訂正後の請求項9における「請求項1〜7のいずれか1項に・・・。」を「請求項1〜6のいずれか1項に・・・。」に訂正する。
II-2.訂正の適否の判断
II-2-1.訂正の目的の適否
上記〈イ〉の訂正は、水中油形エマルジョンにつき、その乳化剤の組成を親水性乳化剤の含有量で限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記〈ロ〉の訂正は、水中油形エマルジョンの製造方法において、その乳化剤の組成を親水性乳化剤の含有量で限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記〈ハ〉の訂正は、請求項を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記〈ニ〉の訂正は、上記〈ハ〉の訂正における請求項の削除に伴い、不揃い又は不明瞭となった特許請求の範囲を明確化するものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
II-2-2.新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記〈イ〉及び〈ロ〉の訂正は、特許明細書の段落0009及び請求項3の記載から自明なこととして導き出すことができるものである。
上記〈ハ〉の訂正は請求項を削除するだけのものであり、そして、上記〈ニ〉の訂正は当該請求項の削除に伴い不揃い又は不明瞭となった記載を明確化するだけのものであるから、当該〈ハ〉及び〈ニ〉の訂正は特許明細書の記載から自明なこととして導き出すことができるものであり、このことは明白なことである。
そして、上記〈イ〉〜〈ニ〉の訂正は、発明の目的の範囲内でなされるものでもあり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものには該当しない。
II-2-3.訂正の適否の結論
よって、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.本件発明
特許明細書についての訂正請求は前記したとおり容認されたものであり、したがって、訂正後の本件特許第3421070号の請求項1〜8に係る発明(以下、必要に応じて、それぞれ、「本件発明1」〜「本件発明8」という)は、本件明細書の特許請求の範囲に記載される次のとおりのものである。
【請求項1】エマルジョンの総重量に関して0.5〜30重量%の0.2ミクロン未満の平均一次粒度を有する金属酸化物粒子を含む水中油形エマルジョンであって、エマルジョンの総重量に関して10重量%未満の量で存在する1種以上の乳化剤と、エマルジョンの総重量に関して5〜30重量%の油相と、エマルジョンの総重量に関して少なくとも60重量%の水相とを含み、乳化剤系の親水性-親油性バランス(HLB値)は6未満であり、存在する乳化剤の総量の10重量%未満の親水性乳化剤を含む、水中油形エマルジョン。
【請求項2】エマルジョン中に存在する乳化剤の総量がエマルジョンの重量に関して5重量%未満である請求項1に記載の水中油形エマルジョン。
【請求項3】親水性乳化剤が存在しない請求項1または2に記載の水中油形エマルジョン。
【請求項4】親水性-親油性バランスが5未満である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中油形エマルジョン。
【請求項5】存在する乳化剤の少なくとも1種がソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪エーテル、リン酸エステル、脂肪アルコールスルフェート、ポリグリコシドエーテル、ポリグリコシドエステル、又はスルホコハク酸エステルのアルカリ金属塩である請求項1〜4のいずれか1項に記載の水中油形エマルジョン。
【請求項6】存在する乳化剤の少なくとも1種が脂肪アルコール、脂肪酸、グリセリルエステル、ソルビタンエステル、メチルグリコシドエステル又はスクロースエステルである請求項1〜5のいずれか1項に記載の水中油形エマルジョン。
【請求項7】0.2ミクロン未満の平均一次粒度を有する金属酸化物の粒子の水性分散液に1種以上の乳化剤と油相とを、水中油形エマルジョンが形成されるような条件下で混合することを含む水中油形エマルジョンの製造方法において、このようにして形成された水中油形エマルジョン中に存在する乳化剤の総量が10重量%未満であり、乳化剤系の親水性-親油性バランス(HLB値)は6未満であり、存在する乳化剤の総量の10重量%未満の親水性乳化剤を含む、金属酸化物の粒子がエマルジョンの0.5〜30重量%を成し、油相がエマルジョンの5〜30重量%を成し、水相がエマルジョンの少なくとも60重量%を成す方法。
【請求項8】請求項1〜6のいずれか1項に記載の水中油形エマルジョンを含む日焼け止め、保湿剤又はアフターサンローション。

IV.特許異議申立及び取消理由の概要
IV-1.特許異議申立
異議申立人は、特許異議申立書において、以下の証拠を提示し、次のように主張する。
【理由-1】特許明細書の請求項1〜9に係る発明(訂正後の本件発明1〜8)は、甲第1〜3号証のいずれかに記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定に該当する。
【理由-2】特許明細書の請求項1〜9に係る発明は、甲第1〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
【理由-3】特許明細書の請求項1〜9に係る発明につき、(1)「HLB値を決定する乳化剤系を構成する乳化剤自体、どのような化合物を包含するか全く不明である」及び(2)「乳化剤系のHLB値を決定する計算方法が不明である」ことにより、それら特許は、特許法第36条第4項、第5項及び第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
したがって、特許明細書の請求項1〜9に係る発明の特許は取り消されるべきものである。
甲第1号証:特願平1-180819号公報
甲第2号証:特開昭63-310810号公報
甲第3号証:特開昭59-62517号公報
甲第4号証:特開昭61-291035号公報
参考資料1:各種乳化剤のHLB値を記載した表
参考資料2:堀口博著、「新界面活性剤」、三共出版株式会社、昭和54年1月25日、第63〜70行
参考資料3:関根茂他編、「化粧品原料辞典」、日光ケミカルズ株式会社他、平成3年11月29日、第268、471及び472頁
参考資料4:日光ケミカルズ株式会社他発行によるカタログ、1980年8月、第9及び10頁
参考資料5:日本エマルジョン株式会社発行によるカタログ「Surface Active Agents and Emulsifiers EMALEX AMITER and」、第31頁
IV-2.取消理由
取消理由は、異議申立の上記理由-1〜理由-3により特許明細書の請求項1〜9に係る発明の特許は取り消されるべきものである、というものである。

V.証拠の記載内容
V-A.甲第1号証(特願平1-180819号公報)には、以下のことが記載されている。
(A-1)「粒度分布下において、40〜80mμの範囲にモード径が存在し、且つ該範囲下に属する粒子の全体に対する相対頻度が50%以上であり、また 40mμ未満の範囲に属する粒子の全体に対する相対頻度が10%未満であるという条件を充足する微粒子酸化チタンの水及び又は多価アルコール分散液と水溶性高分子とを配合することを特徴とする化粧料。」(第1頁左下欄第5〜12行、特許請求の範囲)
(A-2)「(発明が解決しようとする課題)
優れた紫外線防御効果を有した微粒子酸化チタンの特性を生かしつつ、分散処理を必要とせず、容易に水溶性高分子を含んだ処方系に配合でき、且つ配合後も、使用感、使用性、外観、経時安定性の良好な化粧料を得ることにある。」(第2頁左上欄第12〜17行)
(A-3)「〔実施例〕
本発明の実施例および比較例を示す。例中、配合量は重量部である。
〈実施例1〉 乳液
A
1,3-ブチレングリコール 4.0
キサンタンガム 0.2
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
水酸化カリウム 0.05
カルボキシビニルポリマー 0.1
純水 73.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.2
B
流動パラフィン 4.0
ホホバ油 4.0
モノオレイン酸グリセリン 1.5
モノオレイン酸ソルビタン 0.5
モノオレイン酸ポリエチレングリコール 2.0
トコフェノール 0.1
パラオキシ安息香酸ブチル 0.1
C
モード径:40〜60mμ、40〜80mμの相対頻度:73%、40mμ未満の相対頻度:6%の粒度分布を有する微粒子酸化チタンの10%水分散液 10.0
香料 0.05
80℃に加熱して溶解したBに、80℃に加熱して溶解したAを徐々に添加して行き、反転乳化後5分間撹拌し、冷却して50℃でCを加え、更に30℃まで冷却して乳液を得る。」旨(第3頁右上欄第7行〜左下欄第14行)
(A-4)「〈比較例1〉 乳液
A
キサンタンガム 0.2
1,3-ブチレングリコール 4.0
水酸化カリウム 0.05
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.1
純水 73.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.2
B
流動パラフィン 4.0
ホホバ油 4.0
モノオレイン酸グリセリン 1.5
モノオレイン酸ソルビタン 0.5
モノオレイン酸ポリエチレングリコール 2.0
トコフェノール 0.1
パラオキシ安息香酸ブチル 0.1
C
モード径:20〜40mμ、40〜80mμの相対頻度:16%、40mμ未満の相対頻度:84%の粒度分布を有する微粒子酸化チタンの10%水分散液 10.0
香料 0.05
80℃に加熱して溶解したBに、80℃に加熱して溶解したAを徐々に添加して行き、反転乳化後5分間撹拌し、冷却して50℃でCを加え、更に30℃まで冷却して乳液を得る。」旨(第4頁左下欄第14行〜右下欄第18行)

V-B.甲第2号証(特開昭63-310810号公報)には、以下のことが記載されている。
(B-1)「最大粒径60mμ以下かつ平均粒径5乃至25mμの極微粒子酸化チタンを水-多価アルコールに分散させた透明なゾルと、多価アルコールと、美肌成分と、を必須成分とすることを特徴とする化粧料。」(第1頁左下欄第5〜10行、特許請求の範囲第1項)
(B-2)「[発明が解決しようとする問題点]
上述の如く、肌の老化,シミ,ソバカス等の原因となる紫外線から肌を防御し、且つ肌を美白に改善し、しかも肌を白く彩ることのない化粧料の開発が強くのぞまれていた。」(第2頁右上欄第14〜18行)
(B-3)「尚、極微粒子酸化チタン10%と水90%からなる透明ゾルをチタニアゾルH、・・・・と略記する。」(第2頁右下欄第5〜9行)
(B-4)「本発明の実施例および比較例について述べる。例中、配合量は重量部で示されている。」(第3頁右上欄第10〜12行)
(B-5)「実施例2.クリーム(A)
(配合処方)
油相
スクワラン 10.0
ゲイロウ 5.5
ステアリン酸 2.5
ステアリルアルコール 2.5
ラノリン 1.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.5
モノステアリン酸ソルビタン 0.5
水相A
1,3-ブチレングリコール 10.0
水酸化カリウム 0.06
純水 51.04
チタニアゾルH 5.0
水相B
アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩 0.4
純水 10.0
(製法)
油相,水相Aをそれぞれ70℃で加熱溶解後、撹拌しながら水相Aを油相に徐々に加えていき反転乳化後、水相Aの残量を加える。撹拌を継続しながら70℃で加熱溶解した水相Bの全量を加え、更に3分間撹拌後30℃まで冷却し水中油型クリームを作製する。」旨(第3頁左下欄第7行〜右下欄第11行)

V-C.甲第3号証(特開昭59-62517号公報)には、以下のことが記載されている。
(C-1)「最大粒径0.1μm以下であり平均粒子径10〜40mμの超微粒子状粉末と320〜400ナノメーターのUV-A領域紫外線に吸収を有する紫外線吸収剤とを含有する日焼け止め化粧料」(第1頁左下欄第5〜8行)
(C-2)「本発明者らは・・・、UV-B領域の紫外線を散乱させる粉末と、UV-A領域の紫外線を吸収する効果のある紫外線吸収剤を組み合わせ使用することにより、今までのUV-Bのみ散乱、吸収する日焼け止め化粧料の使用性を変えることなく、しかも290〜400nmの幅広い紫外線を防止することを見い出しこの知見に基づいて本発明を完成するに至った。」(第2頁左上欄第2〜10行)
(C-3)「実施例1 日焼け止め乳液
(重量%)
(A)精製水 62.5
ポリエチレングリコール 5.0
モンモリロナイト 0.5
分散剤、キレート 適 量
アルカリ 〃
(B)ステアリン酸 2
セチルアルコール 1
ワセリン 5
オリーブ油 10
流動パラフィン 2
グリセリルモノステアレート 1.5
ポリオキシエチレン(20モル)モノオレート 1.5
4-(1,1ジメチルエチル)-4´-
メトキシジベンゾイルメタン 2
香料 適 量
防腐剤 〃
酸化防止剤 〃
(A´)二酸化チタン(最大粒径0.1μ以下、
平均粒子径10〜40mμ) 7
色材 適 量
〈製法〉
A相を加熱溶解した後、A´相を添加しホモミキサーで均一に分散する。そこにB相を加熱溶解したものを添加しよく撹拌し、ホモミキサーで均一に分散後撹拌冷却する。」旨(第2頁左下欄第11行〜右下欄第15行)

V-D.甲第4号証(特開昭61-291035号公報)には、以下のことが記載されている。
(D-1)「[従来の技術]
従来の水中油型乳化組成物とくにマッサージ料、クレンジング料は、製造時および使用直前まで水中油型の乳化系を保ち、使用時の圧力により乳化を破壊することにより、内相の油分を溶出せしめ、効果、すなわちマッサージ(のびを変えない)効果、クレンジング(汚れや、ファンデーションとよくなじむ)効果を発揮させることを主眼として開発されていた。
[発明が解決しようとする問題点]
しかしながら、従来の当該乳化組成物は安定性を重視するあまり、乳化状態が良好すぎて使用時になかなか転相せず、汚れやファンデーションとなじまなかったり、のびが重くなったりあるいは肌にのばしているときに白くなったりすることがしばしばみられた。また、使用性を重視し、使用時のすばやい転相をめざすがために、不安定な乳化系としてあるため製造時ないし保存時の安定性に欠けるものであった。」(第1頁左下欄第19行〜右下欄第17行)
(D-2)「[問題点を解決するための手段]
本発明者らはかかる事情に鑑み、鋭意研究の結果、水中油型乳化組成物においてHLB6以下の親水性界面活性剤の一種または二種以上および炭素数20〜22の分岐脂肪族アルコールEO付加物の一種または二種以上を配合すれば、優れた使用性および良好な安定性を有する乳化組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。」(第1頁右下欄第18行〜第2頁左上欄第5行)
(D-3)「実施例1 クレンジングクリーム
(A)セタノール 2.0wt%
ビースワックス 5.0
ワセリン 5.0
スクワラン 35.0
イソプロピルミリステート 5.0
グリセリンモノステアレート 2.0
P.O.E.(25)-2-オクチルドデシル
エーテル 1.0
ステアリン酸 1.0
香料 適 量
防腐剤 適 量
(B)プロピレングリコール 2.0
水酸化カリウム 0.1
精製水 全体を100とする量」旨(第3頁右上欄第1〜15行)

VI.当審の判断
VI-1.理由-1について
VI-1-1.本件発明1
VI-1-1-1.甲第1号証に記載の発明との対比
本件発明1と、甲第1号証の前記(A-3)及び(A-4)で示される乳液に関する発明(以下、必要に応じて、「甲第1号証発明」という)とを対比する。
甲第1号証発明の「Aと称される相」は主として水からなり本件発明1の「水相」に相当するものと認められ、甲第1号証発明の「Bと称される相」は主として油類からなり本件発明1の「油相」に相当するものと認められ、そして、甲第1号証発明の乳液は、当該Aの水相に当該Bの油相を添加して乳化されるものであるから本件発明1のように水中油形エマルジョンの形態を取るものと認められる。この場合、当該A相とB相の配合量は、それぞれ、本件発明1の「少なくとも60重量%」及び「5〜30重量%」の数値範囲に含まれる。
また、甲第1号証発明の「微粒子酸化チタン」は本件発明1の「金属酸化物粒子」に相当し、また、その微粒子酸化チタンのモード径が40〜60mμないしは20〜40mμの範囲に存在するのであるから、その微粒子酸化チタンは、通常、本件発明1と同じように「0.2ミクロン未満の平均一次粒度を有する」との粒度を具備するということができるものであり、更に、その微粒子酸化チタンの配合量を微粒子酸化チタンが10%分散液であることより計算により求めると、1重量%となり、この数値は本件発明1の金属酸化物粒子の配合量の数値範囲に含まれる。
この外、甲第1号証発明の「モノオレイン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、及び、モノオレイン酸ポリエチレングリコール」は本件発明1の乳化剤に含まれ、その配合量を計算により求めると4重量%となり、この数値は本件発明の乳化剤の配合量の数値範囲に含まれる。
そして、本件明細書の段落0010の記載によれば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルは親水性乳化剤と実質上定義されることから、甲第1号証発明の乳化剤であるモノオレイン酸ポリエチレングリコールは、ここでは、親水性乳化剤といえるものである。
よって、両者は、
「エマルジョンの総重量に関して0.5〜30重量%の0.2ミクロン未満の平均一次粒度を有する金属酸化物粒子を含む水中油形エマルジョンであって、エマルジョンの総重量に関して10重量%未満の量で存在する1種以上の乳化剤と、エマルジョンの総重量に関して5〜30重量%の油相と、エマルジョンの総重量に関して少なくとも60重量%の水相とを含む、水中油形エマルジョン」である点で一致し、以下の点で相違する。
【相違点1】水中油形エマルジョンにつき、本件発明1は、「乳化剤系の親水性-親油性バランス(HLB値)は6未満であり、存在する乳化剤の総量の10重量%未満の親水性乳化剤を含む」との構成を具備するのに対して、甲第1号証発明では、「モノオレイン酸ポリエチレングリコール」のエチレングリコールの繰り返し数が不明であってそのHLB値が求まらず、また、親水性乳化剤である「モノオレイン酸ポリエチレングリコール」の配合量が2.0重量%であるところ、この数値からその乳化剤総量中の親水性乳化剤の配合比率を計算により求めると50重量%となり、本件発明1の当該構成を具備しない点
そして、本件発明1は上記相違点に関する構成を具備することによりその余の構成と相俟って明細書記載の効果を奏したものであり、また、本件発明1の当該相違点に関する構成が、甲第1号証発明から自明なものとして導き出せるものではない。
したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明であるということはできない。

VI-1-1-2.甲第2号証に記載の発明との対比
本件発明1と、甲第2号証の前記(B-4)及び(B-5)で示されるクリームに関する発明(以下、必要に応じて、「甲第2号証発明」という)とを対比する。
甲第2号証発明の「水相A及びB」は本件発明1の「水相」に相当するものと認められ、甲第1号証発明の「油相」は本件発明1の「油相」に相当するものと認められ、そして、甲第1号証発明のクリームは水中油型であるから本件発明1のように水中油形エマルジョンの形態を有するものである。この場合、当該水相A及びBと当該油相の配合量は、それぞれ、本件発明1の「少なくとも60重量%」及び「5〜30重量%」の数値範囲に含まれる。
また、甲第2号証発明の「チタニアゾルH」は前記(B-3)によれば極微粒子酸化チタンを含み、その「極微粒子酸化チタン」は本件発明1の「金属酸化物粒子」に相当し、また、その極微粒子酸化チタンは前記(B-1)によれば最大粒径が60mμであるからその極微粒子酸化チタンは本件発明1と同じように「0.2ミクロン未満の平均一次粒度を有する」との粒度を具備するということができるものであり、更に、前記(B-3)によれば「チタニアゾルH」には極微粒子酸化チタンが10%含まれていることから「チタニアゾルH」のクリーム中の配合量からクリーム中の極微粒子酸化チタンの含有量を計算により求めると、0.5重量%となり、この数値は本件発明1の金属酸化物粒子の配合量の数値範囲に含まれる。
この外、甲第2号証発明の「ステアリン酸、ステアリルアルコール、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、及び、モノステアリン酸ソルビタン」は本件発明1の乳化剤に含まれ、その配合量を計算により求めると7重量%となり、この数値は本件発明の乳化剤の配合量の数値範囲に含まれる。
そして、本件明細書の段落0010の記載によれば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルは親水性乳化剤と実質上定義されることから、甲第2号証発明の乳化剤であるモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンは、ここでは、親水性乳化剤といえるものである。
よって、両者は、
「エマルジョンの総重量に関して0.5〜30重量%の0.2ミクロン未満の平均一次粒度を有する金属酸化物粒子を含む水中油形エマルジョンであって、エマルジョンの総重量に関して10重量%未満の量で存在する1種以上の乳化剤と、エマルジョンの総重量に関して5〜30重量%の油相と、エマルジョンの総重量に関して少なくとも60重量%の水相とを含む、水中油形エマルジョン」である点で一致し、以下の点で相違する。
【相違点2】水中油形エマルジョンにつき、本件発明1は、「乳化剤系の親水性-親油性バランス(HLB値)は6未満であり、存在する乳化剤の総量の10重量%未満の親水性乳化剤を含む」との構成を具備するのに対して、甲第2号証発明では、「モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン」のオキシエチレンの繰り返し数が不明であってそのHLB値が求まらず、また、親水性乳化剤である「モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン」の配合量が1.5重量%であるところ、この数値からその乳化剤総量中の親水性乳化剤の配合比率を計算により求めると約20重量%となり、本件発明1の当該構成を具備しない点
そして、本件発明1は上記相違点に関する構成を具備することによりその余の構成と相俟って明細書記載の効果を奏したものであり、また、本件発明1の当該相違点に関する構成が、甲第2号証発明から自明なものとして導き出せるものではない。
したがって、本件発明1は、甲第2号証に記載された発明であるということはできない。

VI-1-1-3.甲第3号証に記載の発明との対比
本件発明1と、甲第3号証の前記(C-3)で示される日焼け止め乳液に関する発明(以下、必要に応じて、「甲第3号証発明」という)とを対比する。
甲第3号証発明の「(A)と称される相」は主として水からなり本件発明1の「水相」に相当するものと認められ、甲第3号証発明の「(B)と称される相」は主として油類からなり本件発明1の「油相」に相当するものと認められ、そして、甲第3号証発明の乳液は、当該(A)と称される水相に当該(B)と称される油相を添加して撹拌されるものであるから本件発明1のように水中油形エマルジョンの形態を取るものと認められる。この場合、当該(A)及び(B)と称される相の配合量は、それぞれ、本件発明1の「少なくとも60重量%」及び「5〜30重量%」の数値範囲に含まれる。
また、甲第3号証発明の「最大粒径0.1μ以下の二酸化チタン」は本件発明1の「0.2ミクロン未満の平均一次粒度を有する金属酸化物粒子」に相当し、また、その配合量7重量%は、本件発明1の金属酸化物粒子の配合量の数値範囲に含まれる。
この外、甲第1号証発明の「スチレン酸、セチルアルコール、グリセリルモノステアレート、及び、ポリオキシエチレン(20モル)モノオレエート」は本件発明1の乳化剤に含まれ、その配合量を計算により求めると6重量%となり、また、当該乳化剤系のHLB値を計算によって求めると、6未満となり、これらの数値はそれぞれ本件発明の乳化剤の配合量及び乳化剤系のHLB値の数値範囲に含まれる。
そして、本件明細書の段落0010の記載によれば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルは親水性乳化剤と実質上定義されることから、甲第3号証発明の乳化剤であるポリオキシエチレン(20モル)モノオレエートは、ここでは、親水性乳化剤といえるものでありる。
よって、両者は、
「エマルジョンの総重量に関して0.5〜30重量%の0.2ミクロン未満の平均一次粒度を有する金属酸化物粒子を含む水中油形エマルジョンであって、エマルジョンの総重量に関して10重量%未満の量で存在する1種以上の乳化剤と、エマルジョンの総重量に関して5〜30重量%の油相と、エマルジョンの総重量に関して少なくとも60重量%の水相とを含み、乳化剤系の親水性-親油性バランス(HLB値)は6未満である、水中油形エマルジョン」である点で一致し、以下の点で相違する。
【相違点3】水中油形エマルジョンにつき、本件発明1は、「存在する乳化剤の総量の10重量%未満の親水性乳化剤を含む」との構成を具備するのに対して、甲第3号証発明では、親水性乳化剤である「ポリオキシエチレン(20モル)モノオレエート」の配合量が1.5重量%であるところ、この数値からその乳化剤総量中の親水性乳化剤の配合比率を計算により求めると25重量%となり、本件発明1の当該構成を具備しない点
そして、本件発明1は上記相違点に関する構成を具備することによりその余の構成と相俟って明細書記載の効果を奏したものであり、また、本件発明1の当該相違点に関する構成が、甲第3号証発明から自明なものとして導き出せるものではない。
したがって、本件発明1は、甲第3号証に記載された発明であるということはできない。

VI-1-2.本件発明2〜8
本件発明2〜6及び8は本件請求項1を引用するものであって、本件発明1の構成を全て含むものであり、また、本件発明7は本件発明1の構成を実質上全て具備するものであり、したがって、本件発明2〜8は、上記VI-1-1-1.〜VI-1-1-3.で説示した理由と同じ理由により、甲第1、2又は3号証に記載した発明であるということはできない。

VI-2.理由-2について
VI-2-1.本件発明1
本件発明1と甲第1号証発明とを対比すると、上記VI-1-1-1.で説示したとおり、両者は以下の点で相違する。
【相違点1】水中油形エマルジョンにつき、本件発明1は、「乳化剤系の親水性-親油性バランス(HLB値)は6未満であり、存在する乳化剤の総量の10重量%未満の親水性乳化剤を含む」との構成を具備するのに対して、甲第1号証発明では、「モノオレイン酸ポリエチレングリコール」のエチレングリコールの繰り返し数が不明であってそのHLB値が求まらず、また、親水性乳化剤である「モノオレイン酸ポリエチレングリコール」の配合量が2.0重量%であるところ、この数値からその乳化剤総量中の親水性乳化剤の配合比率を計算により求めると50重量%となり、本件発明1の当該構成を具備しない点
以下、相違点1に関する構成が容易に想到できるか否かについて検討する。
本件明細書の記載(特に、段落0002、0010、0018〜0020)によれば、従来は、エマルジョンを形成するに際して全乳化剤の総量をエマルジョンの18〜20重量%となし、また、エマルジョンの形成に適した乳化剤はHLB値が8〜18と高い数値を有すべきであると信じられ、そして、エマルジョンの形成に容易に生分解しない親水性乳化剤を相当量配合していたところ、本件発明1では、(全)乳化剤をエマルジョンの総重量に関して10重量%未満とするだけでなく、上記相違点1に関する構成を採択することにより、その余の構成と相俟って、従来のエマルジョンと同様に安定なエマルジョン状態を形成することができるものであり、また、生分解容易なエマルジョンを得ることができるものである(同じことは、本件発明8においてもいえる)。
これに対して、甲第1号証発明では、その乳液又は化粧料において、エマルジョン系の親水性-親油性バランス(HLB値)及び親水性乳化剤の配合量につき着目するものは何もない。
次に、当該相違点につき甲第2〜4号証の記載を順次みる。
甲第2号証においては、前記VI-1-1-2.で説示したとおり、その実施例2の記載から、偶々、本件発明1の構成である「エマルジョンの総重量に関して0.5〜30重量%の0.2ミクロン未満の平均一次粒度を有する金属酸化物粒子を含む水中油形エマルジョンであって、エマルジョンの総重量に関して10重量%未満の量で存在する1種以上の乳化剤と、エマルジョンの総重量に関して5〜30重量%の油相と、エマルジョンの総重量に関して少なくとも60重量%の水相とを含む、水中油形エマルジョン」との事項が導き出されるとしても、甲第2号証の記載からは、エマルジョンの系のHLB値を6未満とすること及びエマルジョン中の親水性乳化剤の配合量を乳化剤の総量の10重量%未満とすることにつき教示されるものはなく、しかも、甲第2号証に記載の発明は紫外線から肌を防止し肌を美白に改善する等を目的とするものであって本件発明1の目的と共通するところはないものであり、したがって、甲第2号証の記載からは上記相違点1に関する構成が容易に導き出せるものではない。
甲第3号証においては、前記VI-1-1-3.で説示したとおり、その実施例1の記載から、偶々、本件発明1の構成である「エマルジョンの総重量に関して0.5〜30重量%の0.2ミクロン未満の平均一次粒度を有する金属酸化物粒子を含む水中油形エマルジョンであって、エマルジョンの総重量に関して10重量%未満の量で存在する1種以上の乳化剤と、エマルジョンの総重量に関して5〜30重量%の油相と、エマルジョンの総重量に関して少なくとも60重量%の水相とを含み、乳化剤系の親水性-親油性バランス(HLB値)は6未満である、水中油形エマルジョン」との事項が導き出されるとしても、甲第3号証の記載からは、エマルジョン中の親水性乳化剤の配合量を乳化剤の総量の10重量%未満とすることにつき教示されるものはなく、しかも、甲第3号証に記載の発明は幅広い紫外線を防止することを目的とするものであって本件発明1の目的と共通するところはなく、したがって、甲第3号証の記載から上記相違点1に関する「存在する乳化剤の総量の10重量%未満の親水性乳化剤を含む」との構成が容易に導き出せるものではない。
甲第4号証には、その前記(D-2)によれば、「水中油型乳化組成物においてHLB6以下の親水性界面活性剤と炭素数20〜22の分岐脂肪族アルコールEO付加物を配合」することが示されるが、そのHLB値は水中油型乳化組成物全体の数値を示すものではない。そのうえ、甲第4号証に記載される発明は、金属酸化物粒子を乳化組成物に配合しない点でそのエマルジョン系が本件発明1のものと基本的に異なるものであり、したがって、甲第4号証の記載からエマルジョンにおいて、上記相違点1に関する「乳化剤系の親水性-親油性バランス(HLB値)は6未満であり」との構成を容易に導き出すことができない。
このように、甲第2〜4号証の記載では、上記相違点1に関する構成が、偶々、しかも、部分的に示されるだけであり、そのうえ、甲第2〜4に記載の発明の目的は本件発明1の目的と共通するものはなく、ないしは、そのエマルジョンの系が基本的に異なるものである以上、甲第2〜4号証の記載又は甲第2〜4号証に記載の発明から上記相違点1に関する構成を導き出すところの動機付けが、そもそも、存在しないものである。
そうであれば、甲第1号証発明に甲第2〜4号証に記載のものを併せてみても、甲第1号証発明において、「乳化剤系の親水性-親油性バランス(HLB値)は6未満であり、存在する乳化剤の総量の10重量%未満の親水性乳化剤を含む」との上記相違点1に関する構成を採択することが当業者の容易になし得るものであるということもできない。
したがって、本件発明1は甲第1〜4号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない。

VI-2-2.本件発明2〜8
本件発明2〜6及び8は本件請求項1を引用するものであって、本件発明1の構成を全て含むものであり、また、本件発明7は本件発明1の構成を実質上全て具備するものであり、したがって、本件発明2〜8は、上記VI-2-1.で説示した理由と同じ理由により、甲第1〜4号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない。

VI-3.理由-3について
ここでの異議申立人の主張は、前記したとおり、(1)HLB値を決定する乳化剤系を構成する乳化剤自体、どのような化合物を包含するか全く不明である、(2)乳化剤系のHLB値を決定する計算方法が不明である、とのことに基づくものである。
そこで、以下に検討する。
上記(1)について
本件明細書においては、その段落0010及び0011において、本件発明1〜8で用い得る主要な乳化剤につき、親水性乳化剤と疎水性乳化剤とを区分したうえで例示されるものである。
そして、本件発明1〜8で用い得るその他の乳化剤の種類についても、金属酸化物を所定量含み、また、油相と水相とを所定量含むところの当該分野(日焼け止め、皮膚保護材、保湿剤、アフターサンローション等)の技術常識に照らせば、自ずと明らかとなるものである。
なお、この点に関し、異議申立人は審査段階の意見書における権利者の主張の誤りについて縷々主張するが、その権利者の主張において一部錯誤があったとしても、そのことのみから、直ちに、本件発明1〜8の出願が特許法第36条第4項、第5項及び第6項に規定する要件を満たしていないとまではいえない。
してみれば、HLB値を決定する乳化剤系を構成する乳化剤がどのような化合物を包含するか全く不明であるということはできず、したがって、本件明細書には、本件発明1〜8につき当業者が容易に実施することができる程度に発明が記載されていないとか、請求項に記載される発明が不明瞭であるとまではいうことができない。
上記(2)について
権利者は参考資料1(Cosmetics SCIENCE AND TECHNOLOGY 、第2版第3巻、1974年1月、第606頁)を提出し、2種以上の乳化剤が混合される場合には乳化剤のそれぞれのHLB値にそれぞれの混合比率をかけたものの合計がその乳化剤混合系のHLB値となることはこの分野で良く知られたことである旨、主張するところ、この点については、異議申立人は特に反論しないものである。
そうであれば、本件明細書で乳化剤系のHLB値を決定する計算方法が具体的に説明されていないとしても、その計算方法が上記するとおり当業者に良く知られているとされるのであるから、本件明細書にその計算方法が示されないことのみから、本件明細書には、本件発明1〜8につき当業者が容易に実施することができる程度に発明が記載されていないとか、請求項に記載される発明が不明瞭であるとまではいうことができない。
以上のとおりであり、本件発明1〜8の特許は、特許法第36条第4項、第5項及び第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるということはできない。

なお、異議申立人は、平成17年5月24日付け回答書において、前記理由とは異なる理由につき、縷々、主張するが、同回答書は特許異議申立期間が経過した後に提出されたものであり、また、その主張自体、特許異議申立の要旨を変更するものであるので、ここでは、その主張につきこれ以上審及しない。

VII. まとめ
特許異議申立の理由及び証拠によっては、訂正後の本件請求項1〜8に係る発明の特許を取り消すことができない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
水中油形エマルジョン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】エマルジョンの総重量に関して0.5〜30重量%の0.2ミクロン未満の平均一次粒度を有する金属酸化物粒子を含む水中油形エマルジョンであって、エマルジョンの総重量に関して10重量%未満の量で存在する1種以上の乳化剤と、エマルジョンの総重量に関して5〜30重量%の油相と、エマルジョンの総重量に関して少なくとも60重量%の水相とを含み、乳化剤系の親水性-親油性バランス(HLB値)は6未満であり、存在する乳化剤の総量の10重量%未満の親水性乳化剤を含む、水中油形エマルジョン。
【請求項2】エマルジョン中に存在する乳化剤の総量がエマルジョンの重量に関して5重量%未満である請求項1に記載の水中油形エマルジョン。
【請求項3】親水性乳化剤が存在しない請求項1または2に記載の水中油形エマルジョン。
【請求項4】親水性-親油性バランスが5未満である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中油形エマルジョン。
【請求項5】存在する乳化剤の少なくとも1種がソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪エーテル、リン酸エステル、脂肪アルコールスルフェート、ポリグリコシドエーテル、ポリグリコシドエステル、又はスルホコハク酸エステルのアルカリ金属塩である請求項1〜4のいずれか1項に記載の水中油形エマルジョン。
【請求項6】存在する乳化剤の少なくとも1種が脂肪アルコール、脂肪酸、グリセリルエステル、ソルビタンエステル、メチルグリコシドエステル又はスクロースエステルである請求項1〜5のいずれか1項に記載の水中油形エマルジョン。
【請求項7】0.2ミクロン未満の平均一次粒度を有する金属酸化物の粒子の水性分散液に1種以上の乳化剤と油相とを、水中油形エマルジョンが形成されるような条件下で混合することを含む水中油形エマルジョンの製造方法において、このようにして形成された水中油形エマルジョン中に存在する乳化剤の総量が10重量%未満であり、乳化剤系の親水性-親油性バランス(HLB値)は6未満であり、存在する乳化剤の総量の10重量%未満の親水性乳化剤を含む、金属酸化物の粒子がエマルジョンの0.5〜30重量%を成し、油相がエマルジョンの5〜30重量%を成し、水相がエマルジョンの少なくとも60重量%を成す方法。
【請求項8】請求項1〜6のいずれか1項に記載の水中油形エマルジョンを含む日焼け止め、保湿剤又はアフターサンローション。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の利用分野】
本発明は水中油形エマルジョンに関し、特に小粒度を有する金属酸化物を含む水中油形エマルジョンに関する。
【0002】
【従来の技術】
存在する全乳化剤の総量が典型的にエマルジョンの18〜20重量%である、小粒度を有する金属酸化物を含む水中油形エマルジョンは公知である。さらに、疎水性乳化剤と親水性乳化剤とのバランスを保証することが通常必要であり、特定のバランスはエマルジョンの油相の性質に依存する。
典型的な親水性乳化剤は一般に比較的複雑な製造方法を必要とし、容易に生分解されないエトキシル化化合物である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
公知の水中油形エマルジョンの幾つかの欠点を克服する安定な水中油形エマルジョンを提供することが、本発明の目的である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、水中油形エマルジョンは、0.2ミクロン未満の平均一次粒度を有する金属酸化物の粒子をエマルジョンの総重量に関して0.5〜30重量%含み、エマルジョンの総重量に関して10重量%未満の量で存在する1種以上の乳化剤と、エマルジョンの総重量に関して5〜30重量%の油相と、エマルジョンの総重量に関して少なくとも60重量%の水相とを含む。
【0005】
また、本発明によると、水中油形エマルジョンの製造方法は0.2ミクロン未満の平均一次粒度を有する金属酸化物の粒子の水性分散液に1種以上の乳化剤と油相とを、水中油形エマルジョンが形成されるような条件下で混合することを含み、このようにして形成された水中油形エマルジョン中に存在する乳化剤の総量が10重量%未満であり、金属酸化物の粒子がエマルジョンの0.5〜30重量%を成し、油相がエマルジョンの5〜30重量%を成し、水相がエマルジョンの少なくとも60重量%を成す。
【0006】
本発明の製造方法と製品との好ましい実施態様では、金属酸化物はチタン、亜鉛又は鉄の酸化物を含む。
本発明による水中油形エマルジョンの製造に用いる金属酸化物の粒子の平均一次粒度は0.2ミクロン未満であり、粒子が実質的に球形である場合には、このサイズは直径を表すことになる。しかし、本発明は非球形である金属酸化物の粒子をも含み、このような場合には、平均一次粒度は最大寸法を意味する。
好ましくは、粒子の平均一次粒度は、実質的に球形である場合に、0.01〜0.15ミクロン、特に好ましくは0.01〜0.06ミクロンである。0.01〜0.03ミクロンの範囲内の平均一次粒度を有する実質的に球形の粒子を用いて、特に有用な製品を得ることができる。針状形を有する粒子では、一次粒子の平均最大寸法は好ましくは0.15ミクロン未満、特に好ましくは0.02〜0.10ミクロンである。
【0007】
金属酸化物が二酸化チタンである場合には、粒子は好ましくは針状形であり、8:1から2:1までの最大寸法対最小寸法の比を有する。
金属酸化物が酸化亜鉛である場合には、粒子は好ましくは0.005〜0.15ミクロンの平均一次粒度を有し、さらに好ましくは0.03〜0.07ミクロンの平均一次粒度を有する。
金属酸化物の粒子は実質的に純粋な金属酸化物を含むが、無機被覆層又は有機被覆層をも有することができる。例えば、二酸化チタンの粒子は他の元素の酸化物、例えばアルミニウム、ジルコニウム又はケイ素の酸化物によって被覆されることができ、本発明の製品に特に有用である、針状の、被覆された二酸化チタンの形式は英国特許第2,205,088号に開示されている。
【0008】
金属酸化物の粒子は、任意に、例えばポリオール、アミン、アルカノールアミン、ポリマーの有機ケイ素化合物、例えばポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース及びキサンカンガムのような親水性ポリマー又は界面活性剤のような、1種以上の有機物質の被覆層を有することもできる。
【0009】
本発明のエマルジョンは今までに公知のエマルジョンに比べて比較的少量の1種以上の乳化剤を含む。好ましくは、エマルジョン中に存在する乳化剤の総量は5重量%未満である。存在する親水性乳化剤量も好ましくは存在する乳化剤の総量の10重量%未満であり、最も好ましい場合には、親水性乳化剤が存在しない。
【0010】
一般に乳化剤系の親水性-親油性バランス(HLB値)は6未満であり、好ましくはHLB値は5未満である。このことは水中油形エマルジョンの形成に適した乳化剤は高いHLB値(例えば8〜18)を有すべきであるという今まで一般に信じられてきた考えとは対照的である。
親水性乳化剤が存在する場合に、適切な乳化剤にはソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪エーテル、リン酸エステル、脂肪アルコールスルフェート、ポリグリコシドエーテル、ポリグリコシドエステル及びスルホコハク酸エステルのアルカリ金属塩がある。
【0011】
本発明の製品に用いるために適した疎水性乳化剤は例えば脂肪アルコール、脂肪酸、グリセリルエステル、ソルビタンエステル、メチルグリコシドエステル及びスクロースエステルのような、脂質乳化剤を含む。一般に、これらの乳化剤は、親水性乳化剤とは対照的に、補充可能な原料物質から容易に製造することができ、容易に生分解可能であり、有害な副生成物を含まない。
【0012】
本発明の方法を実施する場合に、前述のような一次粒度を有する金属酸化物の水性分散液が用いられる。典型的に、粒状粉砕媒体の存在下及び分散剤の存在下の水中で金属酸化物を微粉砕することによって、該分散液が製造される。
【0013】
英国特許第2,226,018号はポリカルボン酸又はその塩である分散剤を含む針状形の二酸化チタンの水性分散液を開示する。英国特許第2,226,018号に開示されている分散液は、二酸化チタンを含む水中油形エマルジョンを製造することが望ましい場合に、本発明の方法に用いるために特に適する。英国特許第2,226,018号に述べられた方法を用いて、本発明の方法に用いるために適した、二酸化チタン以外の金属酸化物の水性分散液を製造することができる。
【0014】
英国特許第2,226,018号による金属酸化物の分散液の製造に用いることができる適当な分散剤には、ポリアクリル酸、置換アクリル酸ポリマー、アクリル酸コポリマー、ポリアクリル酸のナトリウム/アンモニウム塩、及びアクリル酸コポリマーのナトリウム/アンモニウム塩がある。
【0015】
用いる乳化剤の総量はエマルジョンの10重量%未満であり、適当な乳化剤は前述した通りである。
油相の組成はエマルジョンの目的の用途に適するように選択する。例えば、エマルジョンが日焼け止めとしての使用に予定される場合には、油相は一般にパラフィン油、トリグセリドエステル、脂肪酸と脂肪アルコールとのエステル又はシリコーン油を含む。
【0016】
本発明の方法によると、水中油形エマルジョンを生ずるような条件下で、金属酸化物の水性分散液、乳化剤及び油相を混合する。
典型的な方法では、水性分散液に必要に応じて他の水混和性成分を混合して、水相を形成し、この水相と油相とを別々に少なくとも40℃に、好ましくは少なくとも60℃に、さらに好ましくは少なくとも70℃に加熱する。次に、これらの両相を1種以上の乳化剤の存在下で激しく撹拌しながら混合する。コスメチッククリーム、ローション等の製造に用途を見い出している混合装置がエマルジョンの形成に適する。高剪断ミキサー/ホモジナイザーが特に適する。
【0017】
油相を水相と混合する前に、乳化剤が通常水相に加えられる。
予定の用途に依存して、他の成分をエマルジョンに加えることができる。これらの成分はいずれかの便利な方法で導入される。例えば、これらの成分をエマルジョンに混合することができる、又は水性分散液もしくは油相に、これらの要素を一緒に混合する前に加えることができる。例として、コスメチックとしての用途に予定されるエマルジョンに香料、酸化防止剤、保湿剤及び増粘剤が通常加えられる。
【0018】
本発明の水中油形エマルジョンは日焼け止め、皮膚保護剤、保湿剤及びアフターサンローションとしての用途を見い出しており、可視光線に対して透過性であるがUV光線に対しては吸収性である製品の製造に特に有用である。該エマルジョンは例えばヘアコンディショナー、ヘアスプレー及び薬剤学的軟膏に用いることもできる。
該エマルジョンは公知のエマルジョンよりも少量の乳化剤を用い、好ましい乳化剤は容易に製造され、容易に生分解可能である。
【0019】
本発明の方法は上記の好ましい性質を有するエマルジョンの製造を可能にし、この方法では乳化剤の選択が従来ほど油の性質に依存しない。
本発明によって製造されたエマルジョンは同様な量の金属酸化物を含む、今までに公知の方法によって製造されたエマルジョンよりも良好なサン プロテクション ファクター(Sun Protection Factor)(SPF値)を有することが判明している。
本発明を下記実施例によって説明する。
【0020】
【実施例】
実施例1
重量%
1)ソルビタンモノステアレート(商品名Span60で販売) 4.00
2)ステアリルアルコール 2.50
3)パラフィン油 0.00
4)水中二酸化チタンの分散液(商品名Tioveil AQで販売)
12.50
5)グリセロール 4.00
6)Carbomer934 0.08
7)脱イオン水 100重量%まで
成分1〜3を一緒に混合し、80℃に加熱して、油要素を形成した。成分4〜7を一緒に混合し、80℃に加熱して、水性要素を形成する。油要素を水性要素に激しく撹拌しながら(モーター駆動パドルスターラー)加えた。高剪断ミキサー/ホモジナイザー(Silverson)を用いて、生じたエマルジョンを2分間均質化し、徐々に撹拌しながら室温に冷却させた。生じたエマルジョンは室温において2ケ月間より長く安定であった。
【0021】
実施例2
水中油形エマルジョンを含むサンクリームを下記処方を用いて製造した。
A相 重量%
イソプロピルミリステート 4.00
鉱油 6.50
葡萄種子油 2.50
ステアリルアルコール 2.00
ペトロラタム 2.00
B相
ソルビタンステアレート(Span60[1]) 6.00
二ナトリウムリシノールアミドMEA-スルホスクシネート(Rewoderm S1333[2])
0.20
二酸化チタン水性分散液(Tioveil AQ[3]) 15.00
グリセリン 4.00
アラントイン 0.20
D-Panthenol[4] 0.80
脱イオン水 56.40
C相
5-クロロ-2-メチル-4-インチアゾリン-3-オン(及び)2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(Kathon CG[5])
0.20
Crematest S Timbuktu Perfume[6] 0.20
提供者
[1]ICI Specialty Chemicals、[2]REWO、[3]Tioxide Specialties Limited、[4]HoffmannLa Roche、[5]Rohm&Haas、[6]Dragoco。
A相(油相)とB相(水相)とを別々に80℃に加熱した。激しく撹拌しながら(モーター駆動パドルスターラー)、A相をB相に加えた。生じた混合物を家庭用キッチンスターラー(Braunモデル4169)内で1分間混合することによって、均質化し、均質化された混合物を徐々に撹拌しながら冷却させた。温度が35℃に達した時にC相をこの混合物に加え、温度が25℃に低下した時に撹拌を停止した。
【0022】
実施例3
下記処方に従って、水中油形エマルジョンを含むサンクリームを製造した。
A相 重量%
イソヘキサデカン(Arlamol HD[1]) 6.00
オクチルステアレート(Cetiol868[6]) 4.00
デシルオレエート(Cetiol V[6]) 2.00
ベヘニルアルコール 1.00
dl-α-トコフェリルアセテート[4] 1.00
B相
ソルビタンステアレート(Span60[1]) 6.00
二ナトリウムリシノールアミドMEA-スルホスクシネート(Rewoderm S1333[2])
0.20
二酸化チタン水性分散液(Tioveil AQ[3]) 10.00
アラントイン 0.20
D-Panthenol[4] 0.80
脱イオン水 68.78
C相
5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(及び)2-メチル-4-インチアゾリン-3-オン(Kathon CG[5])
0.02
提供者
[1]ICI Specialty Chemicals、[2]REWO、[3]Tioxide Specialties Limited、[4]Hoffmann La Roche、[5]Rohm&Haas、[6]Henkel。
実施例2に述べた方法を用いて、成分を混合した。
【0023】
実施例4
下記処方を用いて、水中油形エマルジョンを含むサンクリームを製造した。
A相 重量%
イソプロピルミリステート 3.00
鉱油 6.00
葡萄種子油 2.00
ステアリルアルコール 2.00
dl-α-トコフェリルアセテート[4] 1.00
B相
ソルビタンステアレート(Span60[1]) 6.00
二ナトリウムリシノールアミドMEA-スルホスクシネート(Rewoderm S1333[2])
0.20
二酸化チタン水性分散液(Tioveil AQ[3]) 5.00
グリセリン 4.00
アラントイン 0.20
D-Panthenol[4] 0.80
脱イオン水 69.40
C相
5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(及び)2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(Kathon CG[5])
0.20
Crematest S Timbuktu Perfume[6]
0.20
提供者
[1]ICI Specialty Chemicals、[2]REWO、[3]Tioxide Specialties Limited、[4]HoffmannLa Roche、[5]Rohm&Haas、[6]Dragoco。
実施例2に述べた方法を用いて、成分を混合した。
【0024】
実施例5
水中油形エマルジョンを含むサンクリームを下記処方を用いて製造した。
A相 重量%
イソプロピルミリステート 4.00
鉱油 6.50
葡萄種子油 2.50
ステアリルアルコール 2.00
ペトロラタム 2.00
B相
ソルビタンステアレート(Span60[1]) 5.00
二酸化チタン水性分散液(Tioveil AQ[3]) 10.00
グリセリン 4.00
アラントイン 0.20
D-Panthenol[4] 0.80
脱イオン水 62.60
C相
5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(及び)2-メチル-4-インチアゾリン-3-オン(Kathon CG[5])
0.20
Crematest S Timbuktu Perfume[6] 0.20
提供者
[1]ICI Specialty Chemicals、[2]REWO、[3]Tioxide Specialties Limited、[4]HoffmannLa Roche、[5]Rohm&Haas、[6]Dragoco。
実施例2に述べた方法を用いて、成分を混合した。
【0025】
実施例6
下記処方を用いて、水中油形エマルジョンを含むサンローション(sunlotion)を製造した。
A相 重量%
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(Miglyol812N[6])
4.00
鉱油 6.00
葡萄種子油 2.00
ペトロラタム 2.00
ステアリルアルコール 0.50
dl-α-トコフェリルアセテート[4] 2.00
B相
ソルビタンステアレート(Span60[1]) 3.00
二ナトリウムリシノールアミドMEA-スルホスクシネート(Rewoderm S1333[2])
0.20
二酸化チタン水性分散液(Tioveil AQ[3]) 10.00
グリセリン 4.00
アラントイン 0.20
D-Panthenol[4] 0.80
脱イオン水 65.28
C相
5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(及び)2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(Kathon CG[5])
0.02
提供者
[1]ICI Specialty Chemicals、[2]REWO、[3]Tioxide Specialties Limited、[4]HoffmannLa Roche、[5]Rohm&Haas、[6]Huls。
実施例2に述べた方法を用いて、成分を混合した。
【0026】
実施例7
下記処方に従って、水中油形エマルジョンを含むサンローションを製造した。
A相 重量%
イソヘキサデカン(Arlamol HD[1]) 6.00
オクチルステアレート(Cetiol868[6]) 4.00
デシルオレエート(Cetiol V[6]) 2.00
dl-α-トコフェリルアセテート[4] 1.00
B相
ソルビタンステアレート(Span60[1]) 4.00
二ナトリウムリシノールアミドMEA-スルホスクシネート(Rewoderm S1333[2])
0.20
二酸化チタン水性分散液(Tioveil AQ[3]) 10.00
アラントイン 0.20
D-Panthenol[4] 0.80
脱イオン水 71.78
C相
5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(及び)2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(Kathon CG[5])
0.02
提供者
[1]ICI Specialty Chemicals、[2]REWO、[3]Tioxide Specialties Limited、[4]Hoffmann La Roche、[5]Rohm&Haas、[6]Henkel。
実施例2に述べた方法を用いて、成分を混合した。
【0027】
実施例8
下記処方を用いて、水中油形エマルジョンを含むサンローションを製造した。
A相 重量%
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(Miglyol812N[6])
4.00
鉱油 6.00
葡萄種子油 2.00
ペトロラタム 2.00
dl-α-トコフェリルアセテート[4] 2.00
B相
ソルビタンステアレート(Span60[1]) 3.00
二ナトリウムリシノールアミドMEA-スルホスクシネート(Rewoderm S1333[2])
0.20
二酸化チタン水性分散液(Tioveil AQ[3]) 10.00
グリセリン 4.00
アラントイン 0.20
D-Panthenol[4] 0.80
脱イオン水 65.78
C相
5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(及び)2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(Kathon CG[5])
0.02
提供者
[1]ICI Specialty Chemicals、[2]REWO、[3]Tioxide Specialties Limited、[4]HoffmannLa Roche、[5]Rohm&Haas、[6]Huls。
実施例2に述べた方法を用いて、成分を混合した。
【0028】
実施例9
下記処方を用いて、水中油形エマルジョンを含むサンローションを製造した。
A相 重量%
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(Miglyol812N[6])
4.00
鉱油 6.00
葡萄種子油 2.00
ペトロラタム 2.00
イソアミルp-メトキシシンナメート(Neo Heliopan タイプE1000[7])
3.00
dl-α-トコフェリルアセテート[4] 2.00
B相
ソルビタンステアレート(Span60[1]) 3.00
二ナトリウムリシノールアミドMEA-スルホスクシネート(Rewoderm S1333[2])
0.20
二酸化チタン水性分散液(Tioveil AQ[3]) 10.00
グリセリン 4.00
アラントイン 0.20
D-Panthenol[4] 0.80
脱イオン水 62.78
C相
5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(及び)2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(Kathon CG[5])
0.02
提供者
[1]ICI Specialty Chemicals、[2]REWO、[3]Tioxide Specialties Limited、[4]HoffmannLa Roche、[5]Rohm&Haas、[6]Huls、[7]Haarmann&Reimer。
実施例2に述べた方法を用いて、成分を混合した。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-11-14 
出願番号 特願平5-38576
審決分類 P 1 651・ 531- YA (B01J)
P 1 651・ 534- YA (B01J)
P 1 651・ 121- YA (B01J)
P 1 651・ 113- YA (B01J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中村 泰三  
特許庁審判長 多喜 鉄雄
特許庁審判官 松本 貢
鈴木 毅
登録日 2003-04-18 
登録番号 特許第3421070号(P3421070)
権利者 インペリアル・ケミカル・インダストリーズ・ピーエルシー
発明の名称 水中油形エマルジョン  
代理人 浅村 皓  
代理人 梶原 斎子  
代理人 池田 幸弘  
代理人 浅村 皓  
代理人 梶原 斎子  
代理人 歌門 章二  
代理人 浅村 肇  
代理人 浅村 肇  
代理人 歌門 章二  
代理人 池田 幸弘  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ