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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08G
審判 全部申し立て 発明同一  C08G
管理番号 1130837
異議申立番号 異議2003-73523  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-03-14 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-24 
確定日 2005-11-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3451383号「エポキシアクリレート」の請求項1ないし6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3451383号の請求項1ないし6に係る特許を取り消す。 
理由 (1)手続の経緯
本件特許3451383号の発明は、平成6年7月4日(優先権主張、平成5年7月2日、スイス)に出願され、平成15年7月18日にその特許権の設定登録がなされ、その後、株式会社日本触媒より特許異議の申立てがなされ、それに基づく取消理由通知がなされ、それに対して、その指定期間内である平成17年3月10日に特許異議意見書が提出されるとともに、訂正請求がなされ、さらに、特許異議申立人に対し審尋がなされ、回答書が提出されたものである。
(2)訂正の適否についての判断
ア、訂正の内容
訂正事項a:特許請求の範囲の請求項5中の
「〔式中、Mは式
【化8】

または

で表される基を表し、
R1、R2、R、n、xおよびYは請求項1で定義された意味を表し、
Xは-S-、-O-または-SO2-を表し、
但し、基Mの少なくとも10モル%は式
【化9】

で表される構造を有する。〕」を、
「〔式中、Mは式
【化8】

で表される基を表し、
R1、R2、R、n、xおよびYは請求項1で定義された意味を表し、
Xは-S-、-O-または-SO2-を表す。〕」と訂正する。
訂正事項b:発明の詳細な説明の訂正
訂正b-1:明細書の段落【0037】、【0038】(3箇所)、【0039】、【0047】(2箇所)、【0056】(2箇所)に記載の「実施例1」を、「参考例1」と訂正する。
訂正b-2:明細書の段落【0038】、【0039】、【0040】、【0049】、【0050】、【0051】(2箇所)、【0052】(2箇所)、【0053】(2箇所)、【0057】(2箇所)の「実施例2」を、「実施例1」と訂正する。
訂正b-3:明細書の段落【0039】、【0040】(2箇所)、【0051】、【0052】、【0053】、【0054】、【0055】の「実施例3」を、「参考例2」と訂正する。
訂正b-4:明細書の段落【0040】の「実施例4」を、「参考例3」と訂正する。
訂正b-5:明細書の段落【0041】、【0042】、【0043】、【0044】、【0045】(2箇所)、【0046】(2箇所)の「実施例5」を、「参考例4」と訂正する。
訂正b-6:明細書の段落【0042】、【0049】(2箇所)の「実施例6」を、「参考例5」と訂正する。
訂正b-7:明細書の段落【0043】、【0050】(2箇所)の「実施例7」を、「参考例6」と訂正する。
訂正b-8:明細書の段落【0044】、【0048】(2箇所)の「実施例8」を、「参考例7」と訂正する。
訂正b-9:明細書の段落【0045】、【0046】、【0047】、【0048】、【0056】の「実施例9」を、「参考例8」と訂正する。
訂正b-10:明細書の段落【0046】の「実施例10」を、「参考例9」と訂正する。
訂正b-11:明細書の段落【0047】の「実施例11」を、「参考例10」と訂正する。
訂正b-12:明細書の段落【0048】の「実施例12」を、「参考例11」と訂正する。
訂正b-13:明細書の段落【0049】、【0054】(2箇所)の「実施例13」を、「実施例2」と訂正する。
訂正b-14:明細書の段落【0050】、【0055】(2箇所)の「実施例14」を、「実施例3」と訂正する。
訂正b-15:明細書の段落【0051】の「実施例15」を、「実施例4」と訂正する。
訂正b-16:明細書の段落【0052】の「実施例16」を、「実施例5」と訂正する。
訂正b-17:明細書の段落【0053】の「実施例17」を、「実施例6」と訂正する。
訂正b-18:明細書の段落【0054】の「実施例18」を、「実施例7」と訂正する。
訂正b-19:明細書の段落【0055】の「実施例19」を、「実施例8」と訂正する。
訂正b-20:明細書の段落【0056】の「実施例20」を、「参考例12」と訂正する。
イ、訂正の適否
訂正事項aは、特許請求の範囲の請求項5において、置換基Mからエポキシ基を有する基を削除するとともに、置換基Mについての但し書きを削除するものであり、置換基Mを限定するものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内において、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正と認められる。
訂正事項b(b-1〜b-20)は、発明の詳細な説明の訂正であり、特許請求の範囲の訂正である訂正事項aに伴い、発明の詳細な説明において整合性を保つための訂正であり、明りょうでない記載の釈明と認められ、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正と認められる。
また、上記訂正事項a及びbは、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項で準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(3)特許異議の申立てについての判断
ア、訂正明細書の請求項1〜6に係る発明
訂正明細書の請求項1〜6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」〜「本件発明6」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 式III
【化1】

〔式中、
Aは水素原子または式:
【化2】

(式中、R5は無水物基の除去後のポリカルボン酸の環状無水物の基を表す。)で表される基を表し、
R1は-Hまたは-CH3を表し、
R2は-H、-CH3またはフェニル基を表し、
Rは炭素原子数1ないし4のアルキル基またはハロゲン原子、好ましくはCH3またはBrを表し、
nは0ないし300の整数を表し、
xは0ないし3、好ましくは0ないし1の整数を表し、
Yは次式
【化3】

または

(式中、R3およびR4はおのおの互いに独立して水素原子または炭素原子数1ないし4のアルキル基を表すか、あるいはR3およびR4は結合している炭素原子と一緒になって5-もしくは6員炭化水素環を形成する。)で表される結合基を表し、および結合基Yの芳香族基は未置換であるかまたはハロゲン原子もしくは炭素原子数1ないし4のアルキル基で置換されており、
但し、基Aの少なくとも10mol%が次式
【化4】

で表される構造を有する。〕で表されるカルボキシ基含有エポキシアクリレート。
【請求項2】 Rは-Hまたは-CH3を表し、R1は-Hまたは-CH3を表し、R2は-Hを表し、xは0または1を表し、nは0ないし30の整数を表し、およびYは式
【化5】

(式中、R3およびR4は-Hまたは炭素原子数1ないし4のアルキル基および結合基の芳香族は未置換であるかまたはハロゲン原子もしくは炭素原子数1ないし4のアルキル基で置換されている。)で表される結合基を表す、請求項1記載の式IIIで表されるエポキシアクリレート。
【請求項3】 Yが式
【化6】

または

で表される結合基である、請求項1記載の式IIIで表されるエポキシアクリレート。
【請求項4】 R1が-Hまたは-CH3を表し、およびR2が-Hを表す、請求項1記載の式IIIで表されるエポキシアクリレート。
【請求項5】 次式II:
【化7】

〔式中、Mは式
【化8】

で表される基を表し、
R1、R2、R、n、xおよびYは請求項1で定義された意味を表し、
Xは-S-、-O-または-SO2-を表す。〕で表されるエポキシアクリレートとポリカルボン酸の環状無水物とを、触媒および重合防止剤の不在下または存在下、高温で反応させることからなる、請求項1記載の式IIIで表されるカルボキシル基含有エポキシアクリレートの製造方法。
【請求項6】 フォトレジスト配合物におけるアクリレート成分として請求項1記載の式IIIで表されるカルボキシ基含有エポキシアクリレートを使用する方法。」
イ、引用した刊行物等に記載された事項
当審における取消理由通知に引用した刊行物等は次のとおりである。
刊行物1:特開平3-59022号公報
(特許異議申立人提出甲第3号証)
刊行物2:特公平1-54390号公報
(同甲第4号証)
先願1:特願平5-222489号(特開平6-166843号公報参照)
(同甲第2号証)
上記の刊行物1、2及び先願1の明細書には次のとおりの記載が認められる。
a、刊行物1
「(1)一般式

(式中、nは平均にて0ないし6の数値を表わし、Rは水素原子または低級アルキル基を表わす。)で表わされるノボラック型エポキシ樹脂を一般式HO-Y-OH(式中、Yは、

(式中、RおよびR’は互いに独立して水素原子または低級アルキル基を表わす。)、

および

の基、またはハロゲン原子若しくは低級アルキル基により置換されたこれらの基を表わす。)
で表わされるジオールと触媒の存在下で反応させて得られる熱硬化性樹脂。」(特許請求の範囲請求項1)
「本発明による熱硬化性樹脂は、適切な不飽和カルボン酸(例:アクリル酸等)と樹脂に含まれるエポキシ基をイミダゾール等の触媒の存在下で反応させることにより、光硬化も可能にすることができる。また、アクリル化する割合を適度に調節することにより、熱硬化性と光硬化性の特性を所望の割合にコントロールできる。………さらに、このアクリル変性したものは、特に光硬化型リ(注:「ソ」の誤記と認められる。)ルダーレジスト用インクに都合が良い。」(第5頁左下欄5〜16行)
「従って、本発明に係る樹脂は、エポキシ樹脂一般の用途に適用することができるのは勿論のことであるが、特に優れた耐熱性と良好な可撓性とが要求されるような用途、例えば電気絶縁材料、電子部品封止材料、とりわけソルダーレジストインク材料に有用である。」(第7頁右下欄1〜6行)
b、刊行物2
「1 (A) ノボラツク型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との反応物と、飽和又は不飽和多塩基酸無水物とを反応せしめて得られる活性エネルギー線硬化性樹脂、
(B) 光重合開始剤、
(C) 希釈剤及び
(D) 一分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物から成る熱硬化性成分
を含んでなる希アルカリ溶液により現像可能な光硬化性及び熱硬化性の液状レジストインキ組成物。
2 前記活性エネルギー線硬化性樹脂が、ノボラツク型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との反応物の有する水酸基1個当り0.15モル以上の飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応せしめたものである特許請求の範囲第1項に記載の組成物。」(特許請求の範囲請求項1及び2)
「本発明は、新規にして有用なレジストインキ組成物に関し、さらに詳しくは、ノボラツク樹脂骨核を有する特定の活性エネルギー線硬化性樹脂と光重合開始剤と希釈剤と熱硬化性成分とを必須成分として含有してなる、光硬化性、熱硬化性及び耐熱性、耐溶剤性、耐酸性等に優れた、特に民生用プリント配線基板乃至は産業用プリント配線基板などの製造に適したアルカリ水溶液で現像可能な液状レジストインキ組成物に関する。」(第1頁第2欄12〜20行)
「ノボラツク型エポキシ化合物の代表的なものとしては、フエノールノボラツク型エポキシ樹脂、クレゾールノボラツク型エポキシ樹脂などがあり、常法により、それぞれのノボラツク樹脂にエピクロルヒドリンを反応せしめて得られるような化合物を用いることができる。
他方、不飽和モノカルボン酸の代表的なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸などがあるが、特にアクリル酸が好ましい。
また、前記した酸無水物類としては、代表的なものとして無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸などの二塩基性酸無水物;無水トリメリツト酸、無水ピロメリツト酸、ベンゾフエノンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物;その他これに付随する例えば5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体などが使用できる。」(第3頁第5欄38行〜同第6欄18行)
「実施例 1
エポキシ当量が217で、かつ一分子中に平均して7個のフエノール核残基と、さらにエポキシ基とを併せ有するクレゾールノボラツク型エポキシ樹脂の1当量とアクリル酸の1.05当量とを反応させて得られる反応物に、無水テトラヒドロフタル酸の0.67当量をフエノキシエチルアクリレートを溶媒として常法により反応せしめた。」(第5頁第10欄12〜19行)
c、先願1
「【請求項1】 (A)核体数が4以上のノボラック型エポキシ樹脂(I)において、(メタ)アクリル酸とエポキシ基の反応によって(メタ)アクリロイル基を導入すると共に、エポキシ基および/または(メタ)アクリル酸とエポキシ基の反応によって生成するヒドロキシル基を介して、該エポキシ基および/または該ヒドロキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する鎖延長剤(II)を用いて高分子量化して得られる光重合性樹脂
(B)光重合開始剤および
(C)希釈剤を含有することを特徴とする光硬化性液状ソルダーレジスト用インキ組成物。
【請求項2】 鎖延長剤(II)が多価フェノール、多官能イソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1記載の光硬化性液状ソルダーレジスト用インキ組成物。
【請求項3】 請求項1または2記載の光重合性樹脂(A)中のヒドロキシル基に、さらに1個のイソシアネート基と2個以上の光重合性二重結合とを有する多官能(メタ)アクリレート(III) を反応させて得られる光重合性樹脂(A2)
(B)光重合開始剤および
(C)希釈剤を含有することを特徴とする光硬化性液状ソルダーレジスト用インキ組成物。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の光重合性樹脂のヒドロキシル基に、さらに酸無水物を反応させて得られる光重合性樹脂(A3 )
(B)光重合開始剤および
(C)希釈剤を含有することを特徴とする光硬化性液状ソルダーレジスト用インキ組成物。」(特許請求の範囲請求項1〜4)
「【作用】本発明の概要は、ノボラック型エポキシ樹脂(I)と(メタ)アクリル酸およびエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する鎖延長剤(IIa) を反応させることにより、あるいは、ノボラック型エポキシ樹脂(I)と(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸とエポキシ基の反応により生成したヒドロキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する鎖延長剤(IIb) を反応させることにより、高分子量化した光重合性樹脂(A)を得るものである。
また、光重合性樹脂(A)中に残存しているヒドロキシル基に、1個のイソシアネート基と2個以上の光重合性二重結合とを有する多官能(メタ)アクリレート(III) を反応させて、より多くの二重結合が導入された光重合性樹脂(A2 )を製造し、この光重合性樹脂(A2 )または上記光重合性樹脂(A)に、さらに酸無水物を反応させることによって、水可溶性の光重合性樹脂(A3 )を製造するものである。
本発明において使用されるノボラック型エポキシ樹脂(I)には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等があり、これらは常法によりそれぞれのノボラック樹脂にエピクロルヒドリンを反応させて得られるものである。」(段落【0008】〜【0010】)
「ノボラック型エポキシ樹脂(I)と(メタ)アクリル酸および鎖延長剤(II)との反応は、まずノボラック型エポキシ樹脂(I)と(メタ)アクリル酸を反応させ、次いで鎖延長剤(II)を反応させる方法、あるいはノボラック型エポキシ樹脂(I)と(メタ)アクリル酸、鎖延長剤(II)を同時に反応させる方法、さらにはノボラック型エポキシ樹脂と(I)と鎖延長剤(II)をまず反応させて、次いで(メタ)アクリル酸と反応させる方法などがあるが、特に限定はなく、鎖延長剤(II)の種類により、適宜、使いわけることができる。なお鎖延長剤(II)の内、エポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有するものを鎖延長剤(IIa) 、ヒドロキシル基と反応し得る官能基を2個以上有するものを鎖延長剤(IIb) とする。
ノボラック型エポキシ樹脂(I)と(メタ)アクリル酸およびエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する鎖延長剤(IIa) の反応により高分量化された光重合性樹脂(A)を得るには、ノボラック型エポキシ樹脂(I)中のエポキシ基の1化学当量に対して(メタ)アクリル酸と鎖延長剤(IIa) 中の官能基の和が0.9〜1.1化学当量で、しかも鎖延長剤(IIa) の使用量がノボラック型エポキシ樹脂(I)1モルに対して0.2〜0.8モル、より好ましくは0.3〜0.7モルになるような割合で反応させる。また、鎖延長剤(IIa)による高分子量化では、核体数を10以上とするのが好ましい。
上記鎖延長剤(IIa) としては、例えば下記に示すような多価フェノール、多官能アミン、多価チオールなどが挙げられる。多価フェノールは1分子中に2個以上のフェノール基を有するものであり、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシン、ハイドロキノンなどが挙げられる。」(段落【0013】〜【0015】)
「酸無水物の使用量は、光重合性樹脂(A)もしくは(A2 )中のヒドロキシル基1化学当量あたり、0.1〜0.9モルが適しており、反応条件は希釈剤の存在下あるいは非存在下に、ハイドロキノンや酸素等の重合禁止剤また必要により三級アミン等の開環反応触媒の共存下、80〜130℃の条件で反応させることができる。」(段落【0030】)
ウ、対比・判断
1)特許法第29条第2項について
本件発明1と刊行物2に記載された発明とを対比する。
本件発明1のカルボキシル基含有エポキシアクリレート(式III)は、アドバンストエポキシノボラック(式I)と不飽和モノカルボン酸を反応させたもの(式II)に、その水酸基に対して、少なくとも10mol%をポリカルボン酸の環状無水物と反応させたものといえる。
それに対し、刊行物2に記載の(A)の活性エネルギー線硬化性樹脂は、ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との反応物の有する水酸基1個当り0.15モル以上の多塩基酸無水物を反応せしめたものであるから、本件発明1では、アドバンストエポキシノボラック(式I)から得られたカルボキシル基含有エポキシアクリレートであるのに対し、刊行物1では通常のノボラック型エポキシ化合物から得られたカルボキシル基含有エポキシアクリレートであって、アドバンストエポキシノボラックを使用するものでない点でのみ相違するものと認められる。
しかしながら、刊行物1には、本件発明1におけるアドバンストエポキシノボラックに相当するものが記載され、さらに、不飽和カルボン酸を反応させて光硬化型のソルダーレジストインク材料に有用であると記載されているのであるから、刊行物2におけるレジストインキに使用されるノボラック型エポキシ化合物に代えて、刊行物1のアドバンストエポキシノボラックを使用することに格別な困難性は認められない。
特許権者は、特許異議意見書において、刊行物2について、全てのエポキシ基がエチレン性不飽和カルボン酸と反応させたものを示唆していないと主張しているが、刊行物2の実施例1によれば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の1当量とアクリル酸の1.05当量とを反応させているのであるから、刊行物2のカルボキシル基含有エポキシアクリレートはその全てのエポキシ基をエチレン性不飽和カルボン酸と反応させているものと認められ、特許権者の主張は採用できない。
そして、本件発明1のカルボキシ基含有エポキシアクリレートによる作用効果も、刊行物1及び2の記載から容易に想到し得るものであって格別なものとすることはできない。
したがって、本件発明1は、上記刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明2〜4は、本件発明1を引用し、式IIIのカルボキシル基含有エポキシアクリレートにおいて、その置換基を特定のものに限定するものであるが、それらの置換基は、刊行物1及び2に記載されているものであるから、本件発明1と同様の理由により、上記刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明5は、式IIの化合物とポリカルボン酸の環状無水物とを反応させることからなる、本件発明1のカルボキシル基含有エポキシアクリレートの製造方法であるが、式IIの化合物は刊行物1に記載のアドバンストエポキシノボラックを不飽和モノカルボン酸と反させたものであり、そのことに格別な困難性はないことは本件発明1における理由と同じであり、また、ポリカルボン酸の環状無水物と反応させてカルボキシル基含有エポキシアクリレートとすることも刊行物2に記載されているから、本件発明1と同様の理由により、上記刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明6は、本件発明1のカルボキシル基含有エポキシアクリレートをフォトレジスト配合物に使用する方法の発明であるが、刊行物1及び2には、フォトレジスト配合物に使用することが記載されているから、本件発明1と同様の理由により、上記刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2)特許法第29条の2について
先願1の願書に最初に添付された明細書(以下、「先願明細書」という。)に記載される光重合性樹脂は、ノボラック型エポキシ樹脂と鎖延長剤を反応させて、次いで(メタ)アクリル酸と反応させて得られること、さらに、その光重合樹脂のヒドロキシ基を酸無水物を反応させることが記載され、該鎖延長剤として多価フェノールとすることが記載されているから、先願明細書に記載される光重合樹脂は、本件発明1のカルボキシル基含有エポキシアクリレートと同一のものといわざるを得ない。
なお、特許権者は、特許異議意見書において、先願明細書には、全てのエポキシ基を(メタ)アクリロイル基に転換することは記載していないと主張している。
しかしながら、先願明細書には、ノボラック型エポキシ基の1化学当量に対して(メタ)アクリル酸と鎖延長剤中の官能基の和が0.9〜1.1化学当量であると記載されており、エポキシ基はアクリル酸及び鎖延長剤と反応するものであるから、エポキシ基が存在しないものを包含することは明らかであり、特許権者の主張は採用できない。
したがって、本件発明1は、先願明細書に記載された発明と同一である。
本件発明2〜6についても、先願明細書には、その特定するところのものが記載されており、本件発明1と同様の理由により、先願明細書に記載された発明と同一である。
(4)むすび
以上のとおり、本件発明1〜6は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易にすることができたものであり、また、先願明細書に記載された発明と同一であるから、本件発明1〜6についての特許は特許法第29条第2項の規定ならびに同法第29条の2の規定に違反してされたものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14号の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
エポキシアクリレート
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式III
【化1】

〔式中、
Aは水素原子または式:
【化2】

(式中、R5は無水物基の除去後のポリカルボン酸の環状無水物の基を表す。)で表される基を表し、
R1は-Hまたは-CH3を表し、
R2は-H、-CH3またはフェニル基を表し、
Rは炭素原子数1ないし4のアルキル基またはハロゲン原子、好ましくはCH3またはBrを表し、
nは0ないし300の整数を表し、
xは0ないし3、好ましくは0ないし1の整数を表し、
Yは次式
【化3】

(式中、R3およびR4はおのおの互いに独立して水素原子または炭素原子数1ないし4のアルキル基を表すか、あるいはR3およびR4は結合している炭素原子と一緒になって5-もしくは6員炭化水素環を形成する。)で表される結合基を表し、および結合基Yの芳香族基は未置換であるかまたはハロゲン原子もしくは炭素原子数1ないし4のアルキル基で置換されており、
但し、基Aの少なくとも10mol%が次式
【化4】

で表される構造を有する。〕で表されるカルボキシ基含有エポキシアクリレート。
【請求項2】
Rは-Hまたは-CH3を表し、R1は-Hまたは-CH3を表し、R2は-Hを表し、xは0または1を表し、nは0ないし30の整数を表し、およびYは式
【化5】

(式中、R3およびR4は-Hまたは炭素原子数1ないし4のアルキル基および結合基の芳香族は未置換であるかまたはハロゲン原子もしくは炭素原子数1ないし4のアルキル基で置換されている。)で表される結合基を表す、請求項1記載の式IIIで表されるエポキシアクリレート。
【請求項3】
Yが式
【化6】

で表される結合基である、請求項1記載の式IIIで表されるエポキシアクリレート。
【請求項4】
R1が-Hまたは-CH3を表し、およびR2が-Hを表す、請求項1記載の式IIIで表されるエポキシアクリレート。
【請求項5】
次式II:
【化7】

〔式中、Mは式
【化8】

で表される基を表し、
R1、R2、R、n、xおよびYは請求項1で定義された意味を表し、そして
Xは-S-、-O-または-SO2-を表す。〕で表されるエポキシアクリレートとポリカルボン酸の環状無水物とを、触媒および重合防止剤の不在下または存在下、高温で反応させることからなる、請求項1記載の式IIIで表されるカルボキシル基含有エポキシアクリレートの製造方法。
【請求項6】
フォトレジスト配合物におけるアクリレート成分として請求項1記載の式IIIで表されるカルボキシ基含有エポキシアクリレートを使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規なより高分子量のエポキシアクリレートおよび新規な多分子カルボキシル基含有エポキシアクリレート、その製造、フォトレジスト配合物における上記アクリレートの使用方法および上記配合物、特にプリント配線板および版面の分野の配合物の使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシアクリレートは多くが公知であり、およびまた、特にフォトレジスト配合物として使用される組成物において使用され、例えば英国特許2175908号では不飽和多塩基酸無水物およびエポキシアクリレートの反応生成物および不飽和モノカルボン酸から誘導された樹脂が使用されている。
【0003】
エポキシノボラック樹脂とアクリル酸および環状カルボン酸無水物との反応生成物を含むソルダーレジスト用の配合物が、特にヨーロッパ特許0273729号に開示されている。それらは水性アルカリ媒体中で現像できおよび良好な熱耐性および感光性を有する。しかし、これらの薬品への耐性は不十分である。
【0004】
ヨーロッパ特許第0418011号は、最終生成物が同時に同じ分子中に酸およびエポキシ基を含むことになる、エポキシ基1当量に付きアクリル酸0.4ないし0.9当量を使用する、エポキシクレゾールノボラックとアクリル酸および環状ジカルボン酸無水物との反応生成物を基材とするようなソルダーマスク用組成物を開示する。これら2つの官能性間の第二番目の熱架橋反応は、そのためこれらのレジスト組成物の適用を可能にさせる。しかし、ここでは、生成物の製造(酸無水物との反応におけるゲル化の危険)はともかく、このような反応生成物を含む配合物としての貯蔵安定性は室温においても一定の反応性を持つので問題がある。
【0005】
これらの引用されたエポキシアクリレートのすべては、まったく一般的には比較的低分子である。
【0006】
低分子エポキシ樹脂およびエポキシノボラックから誘導された光化学的または熱的に硬化したエポキシアクリレートはその良好な熱的および機械的特性についてならびにそれらの侵攻性の(aggresive)薬品に対する良好な耐性について周知である。しかし、かなり低い相対モル量による導体におけるこれらの系に得られるレジストフィルムの粘着性および縁被覆率は不十分である。それゆえに実際の適用において高い重合ポリマーバインダーを加えることによってこれらの短所を避けることがしばしば必要である。このようなバインダーは通常官能性アクリレート基を含まず、光化学的なまたは熱的硬化中に同時に反応せず、即ちそれらは網状構造中の「反応性の乏しい(possive)」成分として取り込まれず、そのため網状構造密度の稀釈が生じ、次々に、特に薬品に対する耐性および加工したレジスト層の電気的特性において不利な影響が生じる。さらに、アクリレート基の「稀釈」の結果として、感光性が減少する。高度に重合されたポリマーバインダーの添加は、固形分が比較的低い場合でもこれらの配合物の高い粘稠性を引き起し、そのためコーティングにおいてしばしば深刻な問題となる。
【0007】
日本国特開平4-294352号は不飽和モノカルボン酸との反応および続くポリカルボン酸の不飽和無水物との反応によるエポキシノボラック樹脂の改質およびそれらの感光性水性配合物の使用方法を開示している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、上記で言及した短所をもたないアクリレートを調製することは本発明の目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的はより高分子量の新規なエポキシアクリレートおよび新規なカルボキシル基含有エポキシアクリレートによる本発明の実施により達成でき、それらはレジスト配合物として使用される場合、添加するポリマーバインダーなしで、またはその非常に少ない量(<10重量%)で機能できる。それらはいわゆる「アドバンスト(advanced)」エポキシ樹脂と、代表的には(メタ)アクリル酸との反応により得られる。
【0010】
特別には本発明は式II
【化9】

〔式中、Mは式
【化10】

(式中、R1は-Hまたは-CH3を表し;R2は-H、-CH3またはフェニル基を表す。)で表される基を表し、
Rは炭素原子数1ないし4のアルキル基またはハロゲン原子、好ましくはCH3またはBrを表し;
xは0ないし3、好ましくは0ないし1の整数を表し;
Yは式
【化11】

(式中、R3およびR4はおのおの互いに独立して水素原子または炭素原子数1ないし4のアルキル基を表すか、あるいはR3およびR4は結合している炭素原子と一緒になって5-もしくは6員炭化水素環を形成する。)で表される結合基を表し、および結合基Yの芳香族基は未置換であるかまたはハロゲン原子もしくは炭素原子数1ないし4のアルキル基で置換されており;
Xは-S-、-O-または-SO2-を表し、ならびに
nは0ないし300の整数を表し;
但し、基Mの少なくとも10モル%は式
【化12】

(式中、R1およびR2は上記で定義した意味を表す。)で表される構造を有する。〕で表される新規なエポキシアクリレートを提供する。
【0011】
結合基Yの芳香族基が置換されている場合、適当なハロゲン置換基はフッ素原子、塩素原子および好ましくは臭素原子であり、適当な炭素原子数1ないし4のアルキル置換基は、メチル基、エチル基およびn-およびイソ-プロピル基、n-、第二および第三ブチル基のような、直鎖もしくは枝分かれした炭素原子数1ないし4のアルキル基である。
【0012】
特に好ましい結合基Yは式
【化13】

(式中、R3およびR4は上記で定義した意味を表す。)および特別には、式
【化14】

で表される結合基である。
【0013】
好ましいエポキシアクリレートは、Rが-H(x=0に対して)または-CH3を表し、R1が-Hまたは-CH3を表し、R2が-Hを表し、xが0もしくは1を表し、nが0ないし30の整数を表しおよびYが式
【化15】

(式中、R3およびR4は-Hまたは炭素原子数1ないし4のアルキル基を表す。)で表される結合基を表し、および結合基の芳香族基は未置換であるかまたはハロゲン原子もしくは炭素原子数1ないし4のアルキル基で置換されている、式IIの化合物である。
【0014】
新規な式IIで表されるエポキシアクリレートは式I
【化16】

(式中、R、Y、nおよびxは式IIに対する定義を表す。)で表されるアドバンストエポキシノボラック(advanced epoxy novolak)と
エチレン性不飽和モノカルボン酸とを、必要ならば触媒および重合防止剤の存在下、高温下で反応させることにより得られる。
【0015】
式Iで表されるアトバンストエポキシノボラックは公知(即ち、特に特開平3-059022号(特願平1-195056号))であり、式:HO-Y-OH(式中、Yは上記に定義した意味を表す。)で表されるビスフェノールおよびエポキシノボラックから、公知の方法で、ビスフェノールのモル量が都合良くはエポキシノボラックのエポキシ基に対して0.01ないし0.1molで製造される。
【0016】
これら式Iで表されるアドバンストノボラックは第二級脂肪族のヒドロキシル基をもつ。
【0017】
式IIで表される新規なエポキシアクリレートを得るためのこれらの式Iで表されるアドバンストエポキシノボラックの反応は、公知の方法、都合良くは式
【化17】

で表されるエチレン性不飽和モノカルボン酸との反応により達成される。適当な酸はクロトン酸、ケイヒ酸および特にアクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの混合物である。R1およびR2は上記で与えられた意味をもつ。
【0018】
この反応に触媒を使用するとは好ましい。特に適当な触媒はクロム化合物のような金属塩、トリエチルアミンもしくはベンジルジメチルアミンのようなアミン、また塩化ベンジルトリメチルアンモニウムのようなアンモニウム塩、あるいはまたトリフェニルホスフィンおよびトリフェニルビスマスである。
【0019】
式Iで表されるアドバンストエポキシ樹脂は固体の形態であるため、溶媒は反応に添加してよい。しかし、溶媒は抽出物に不活性でなければならない。適当な溶媒は:アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサンのようなケトン;酢酸エチルおよび酢酸ブチル、エトキシエチルアセテートまたはメトキシプロピルアセテートのようなエステル;ジメトキシエタンおよびジオキサンのようなエーテル;トルエン、ベンゼンおよびキシレンのような芳香族炭化水素ならびにそれらの溶媒の2種もしくはそれ以上の混合物である。
【0020】
温度は都合良くは80ないし140℃であり、アクリル酸との反応は好ましくは80℃ないし120℃で行われ、メタクリル酸との反応は好ましくは80ないし140℃の範囲で行われる。
【0021】
重合防止剤はまた反応媒体好ましくはヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテルおよび2,6-ジ-第三ブチル-p-クレゾールに添加できる。
【0022】
上述した重合防止剤のいくつかは、酸素の存在下でのみ有効であるため、空気を窒素/酸素の混合物を反応媒体中に導入することは好ましい。使用されるエチレン性不飽和モノカルボン酸の量によって、完全にまたは部分的にアクリル化された式IIで表されるエポキシアクリレートが得られる。モノカルボン酸はエポキシ基に関して等モル量もしくは当量以下で使用できる。完全に反応されたエポキシアクリレートはもはや殆どエポキシ基を含まない。
【0023】
式IIの新規なエポキシアクリレートは通常反応媒体からの分離も精製も必要としない。反応溶液は合成で得られたものを直接使用できる。
【0024】
部分的にならびに完全に反応された式IIで表される生成物はエポキシ基とエチレン性モノカルボン酸との反応から生じる脂肪族ヒドロキシル基を含む。それらはさらに抽出物から脂肪族ヒドロキシル基を含む。
【0025】
完全にアクリル化された式IIで表されるエポキシアクリレートは次に式III
【化18】

〔式中、Aは水素原子または式:
【化19】

(式中、R5は無水物基の除去後のポリカルボン酸の環状無水物の基を表す。)で表される基を表し、R1、R2、R、n、xおよびYは式IIに対して上記で定義された意味を表し、基Aの少なくとも10mol%が上記式
【化20】

で表される構造を有する。〕で表されるカルボキシ基含有エポキシアクリレートとさらに反応できる。
【0026】
好ましい式IIIで表されるエポキシアクリレートは上記に示されたような式IIで表される適当なエポキシアクリレートに相当し、および式III中の基R1、R2、R、x、nおよびYは式IIに関して与えられたと同様の好ましい意味を表す。
【0027】
完全に反応した式IIで表されるエポキシアクリレートはもはや殆どエポキシ基を含まないため、それらはポリカルボン酸の環状無水物と反応できる。この場合、脂肪族ヒドロキシル基(式II)は環状酸無水物と反応して、開環およびヘミエステル形成がなされる。この反応では、おのおの反応したヒドロキシル基に対してカルボン酸は樹脂フォームに結合している。反応は、触媒および重合防止剤の不在下もしくは存在下で、式IIで表されるエポキシアクリレートと環状酸無水物とを高温で反応させることからなる。式IIで表される化合物のOH基は酸無水物の開環と同時に完全にまたは部分的にアクリル化される。そのため式IIで表されるエポキシアクリレートがもはやエポキシ基を含まないのが好ましく、さもなければゲル化が生じる。反応はそれ自体公知である。
【0028】
ポリカルボン酸の適当な環状無水物は代表的にはコハク酸無水物、リンゴ酸無水物、グルタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、イタコン酸無水物、フタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、3-メチル-および4-メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、3-エチル-および4-エチルヘキサフタル酸無水物、3-メチル、3-エチル、4-メチルおよび4-エチルテトラヒドロフタル酸無水物およびトリメリット酸無水物。
【0029】
好ましい酸無水物はコハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物およびフタル酸無水物である。
【0030】
適当な触媒はトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ピリジンまたはジメチルアミノピリジン、またはトリフェニルホスフィンもしくはクロム化合物もしくはジルコニム化合物のような金属塩である。
【0031】
式IIで表されるエポキシアクリレートが固体の形態であるから、所望ならば溶媒を反応媒体に添加してもよい。溶媒は、然し環状酸無水物に不活性でなければならず、そのためヒドロキシル基-含有溶媒は適当でない。それらが酸無水物と反応する官能基を含まない限り、エチレン性不飽和ものカルボン酸との反応に関して挙げられた溶媒は適当に使用できる。
【0032】
反応温度は都合良くは60℃ないし140℃の範囲にあり、適当な重合防止剤は代表的には、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、および2,6-ジ-第三ブチル-p-クレゾールである。
【0033】
乾燥空気または窒素/酸素の混合物を反応媒体中に導入することは好ましい。本発明の好ましい具体例では式IIで表されるエポキシアクリレートは分離されることなく、同じ反応器中でさらにカルボキシル基で変性される式IIIで表される誘導体へ反応される。
【0034】
式IIIで表される新規なカルボキシル基含有エポキシアクリレートの単離および精製は通常必要でない。反応溶液は合成中に得られたものをさらに使用できる。
【0035】
分子中の不飽和基が存在するために、式IIのエポキシアクリレートおよび式IIIのカルボキシル基含有エポキシアクリレートは熱的および光化学的に架橋性をもつ。このためそれらは、例えば1993年7月2日に出願され、発明の名称が「光重合性組成物」である、スイス特許出願2005/93-4号に記載された公知の方法により、ソルダーレジストまたはプライマリーレジストの製造のためのフォトレジスト配合物のアクリレート成分として使用および適用でき、そして増強された熱的、機械的、電気的および化学的特性レジスト層を与える。そこから製造されたレジスト配合物はソルダーレジストまたはプライマリーレジスト〔エッチレジスト(etch resist)またはガルバノレジスト(galvano resist)〕としての特にプリント配線板および版面の分野に使用される。適当な現像液は水性ならびに水性-有機または有機系である。式IIIで表される化合物におけるカルボキシル基の存在のために、これらの系は特に水性アルカリ現像性フォトレジストの製造のために適当である。
【0036】
ポリマーバインダーを含む配合物中の低分子エポキシアクリレートと比較して、より高分子量のエポキシアクリレートを含む配合物がこのようなポリマーバインダーの添加なく、増強されおよび感光性の損失のないこと、ならびにまた粘着性を増加させない結果は驚くべきことである。さらに、このようなソルダーレジストとしての配合物の使用は改良した導体の縁被覆率をもたらす。追加のポリマーバインダーをこのような配合物に使用しないため、熱的、機械的および電気的特性に関して、および特にそれらから製造したレジスト組成物の薬品に対する耐性に関してさらに長所が生じる。式IIで表される新規なエポキシアクリレートおよび式IIIで表されるカルボン酸含有エポキシアクリレートは増大したガラス転位温度をもつ。
【0037】
以下の限定しない実施例により本発明をさらに説明する。
製造実施例
アドバンストエポキシクレゾールノボラック
参考例1:エポキシクレゾールノボラックECN1299(チバ-ガイギー社から)4000.00g(エポキシ基18.58mol)を反応器に入れ、100℃で加熱することによりメトキシプロピルアセテート(MPA)1780gに溶解する。次にエタノール中の塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)の5%溶液4.00gを加え、および反応混合物を10分間攪拌する。得られた透明溶液の温度を130℃に昇温させ、ビスフェノールA165.78g(0.73mol)を次に加える。バッチを130℃で反応させ、反応過程はエポキシ基の滴定ならびに25℃におけるブルックフィールド型粘度計スピンドル♯13(粘度を測定するために、試料をメトキシプロピルアセテートで稀釈して固形分50%に下げる)の粘度を測定することで追跡する。

130℃において6時間後、反応を中断する(初めの2時間の反応時間後、値は非常に僅かのみ変化する。)。
反応生成物の分析データ:
固形分(乾燥重量):68.4%
エポキシ価(滴定):2.85mol/kg(溶液)
ブルックフィールド粘度:571mPa・s
25℃;Sp♯31(MPA中50%溶液)
GPC〔ゲル透過クロマトグラフィーポリスチレン検定(polystyrene calibration)〕:Mw=16050;Mn=2059
生成物はYが式
【化21】

を表し、xが1を表し、Rがメチル基を表しおよびnが0ないし6を表す、式Iと一致する。
【0038】
アドバンストエポキシクレゾールノボラックのエポキシアクリレート
実施例1:(アクリル酸の100mol%を反応させた参考例1の生成物)
反応の全ての期間中、気泡の良好な分散を確実にするため十分に攪拌しながら、空気の流れを表面下に通過させる。空気は好ましくは清浄で、乾燥しそして油分のないものであるべきである。上記参考例1の反応生成物5594.90g(メトキシプロピルアセテート中63%溶液;エポキシ基15.95mol)、メトキシプロピルアセテート446.50gおよび2,6-ジ-第三ブチル-p-クレゾール4.67gを反応器に入れ、そして100℃に加熱する。次に残りの反応物、すなわちアクリル酸1149gおよびニュオシンクロミウム5(Nuosynchromium5)〔ハークロス-ダラム ケミカルズ(HARCROS-Durham Chemicals),英国,ダラム(Durham)DH3 1QXの提供〕(メトキシプロピルアセテート10%溶液)93.50mlを加える。
バッチを105-110℃で反応させる。反応は最初発熱であり、そのため反応開始後15分で水浴で冷却することが必要である。
約45分の反応時間後、冷却浴を除去し、加熱を湯浴で続ける。反応経過を酸分の滴定により追跡する。
初期値 エポキシ価=2.19mol/kg
反応時間1時間 エポキシ価=0.89mol/kg
反応時間2時間 エポキシ価=0.55mol/kg
反応時間3時間 エポキシ価=0.09mol/kg
反応時間5時間 エポキシ価=0.11mol/kg
反応時間7.5時間 エポキシ価=0.065mol/kg
7.5時間の反応時間後反応を中止しそして生成物を保温の状態から外す。
反応生成物の分析データ:
1.固形分(乾燥重量):68%
2.エポキシ価(滴定):0.05mol/kg
3.酸分(滴定):0.065mol/kg
4.ブルックフィールド粘度25℃;Sp♯31:28100mPa・s(MPAで63.6%に稀釈した溶液)
5.GPC:Mw=23978;Mn=2059
生成物はx、YおよびRが参考例1で定義された意味を表し、Mが基
【化22】

を表し、およびnが0ないし6を表す、式IIと一致する。
【0039】
参考例2:使用される装置はスターラー、温度計、還流冷却器および空気用注入管を備えた5000ml反応器で構成される。アクリレートの重合を抑制するために、反応中空気の弱い流れを表面下に導入する。加熱をサーモスタットで調節した油浴で行う。実施例1の反応生成物313.27g(OH基0.73mol)およびメトシキシプロピルアセテート147.14gを反応器に入れ、100℃に加熱する。次に無水コハク酸36.37g(0.36mol)および触媒としてピリジン1.25gを加えそしてバッチを4時間この温度で反応させる。均質な反応生成物は加えて精製することなしにさらに使用される。
反応生成物の分析データ:
1.固形分:51%
2.酸分(滴定):0.785mol/kg
3.粘度(ブルックフィールド):25℃,2890mPa・s
生成物はx、YおよびRが参考例1で定義された意味を表し、R1およびR2はHを表し、nが0ないし6を表しおよびAが
【化23】

で表される基50mol%および-H50mol%である、式IIIと一致する。
【0040】
参考例3:参考例2の装置が使用される。実施例1の反応生成物(固形分=69.2%)の341.18g(OH基0.73mol)およびメトキシプロピルアセテート204gを反応器に入れ、105℃に加熱する。次に無水テトラヒドロフタル酸72.33g(0.475mol)および触媒としてピリジン1.55gを加え、そしてバッチを110℃で8時間反応させる。均質反応生成物を加えて精製することなしにさらに使用される。
1.固形分:49.7%
2.酸分(滴定):0.82mol/kg
生成物はx、Y、R、R1、R2およびnが参考例2で定義された意味を表し、Aが
【化24】

で表される基65mol%および-H35mol%である、式IIIと一致する。
【0041】
(式Iによる)アドバンストエポキシクレゾールノボラック
参考例4:〔テトラブロモビスフェノールAとのアドバンスメント〕:
エポキシクレゾールノボラックECN1299,2000.00gを反応器に入れそしてメトキシプロピルアセテート(MPA)940gに100℃に加熱することにより溶解する。次にエタノール中の塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)5%溶液2.00gを加え、バッチを10分間攪拌する。透明溶液の温度を130℃に上げ、テトラブロモビスフェノールA200.00g(0.36mol)を加える。バッチを130℃で反応させ、反応経過はエポキシ基の滴定ならびに粘度の測定により追跡する。130℃で6時間後、反応を中止する。反応生成物は直接次の段階に使用できる。
分析データ:
1.固形分(乾燥重量):71%
2.エポキシ価(滴定):2.75mol/kg
3.ブロックフィールド粘度,25℃,sp.#31:571mPa・s(50%溶液)
4.GPC(ポリスチレン検定):Mw=19492;Mn=2126
【0042】
参考例5:〔ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホンとのアドバンスメント〕
ECN1299 1400.00g
メトキシプロピルアセテート 627.00g
エタノール中の5%塩化テトラメチルアンモニウム 1.40g
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン 63.42g
を参考例4の手順に従って6時間、130℃で反応させる。
以下の分析データが反応生成物に対して得られる。
1.エポキシ価(滴定):2.88mol/kg
2.GPC(ポリスチレン検定):Mw=12863;Mn=1972
【0043】
参考例6:〔4,4’-ジヒドロキシビフェニルとのアドバンスメント〕
ECN1299 200.00g
メトキシプロピルアセテート 89.00g
エタノール中の5%塩化テトラメチルアンモニウム 0.20g
4,4’-ジヒドロキシビフェニル 6.74g
を参考例4の手順に従って6時間、130℃で反応させる。
以下の分析データが反応生成物に対して得られる。
1.エポキシ価(滴定):2.82mol/kg(溶液)
【0044】
参考例7:〔ビスフェノールAとのアドバンスメント〕
ECN1299 1600.00g
メトキシプロピルアセテート 727.00g
エタノール中の5%塩化テトラメチルアンモニウム 1.60g
ビスフェノールA 92.40g
を参考例4の手順に従って6時間、130℃で反応させる。
以下の分析データが反応生成物に対して得られる。
1.固形分(乾燥重量):67%
2.エポキシ価(滴定):2.74mol/kg(溶液)
3.GPC(ポリスチレン検定):Mw=25725;Mn=2257
【0045】
(式IIによる)アドバンストエポキシノボラックのエポキシアクリレート
参考例8:〔アクリル酸75mol%と反応させた参考例4の生成物〕
反応の全ての期間中、気泡の良好な分散を確実にするため十分に攪拌しながら、空気の流れを表面下に通過させる。空気は好ましくは清浄で、乾燥しそして油分のないものであるべきである。上記参考例4の反応生成物4646.30g(メトキシプロピルアセテートの約70%溶液;エポキシ基12.36mol)、メトキシプロピルアセテート702.70gおよび2,6-ジ-第三ブチル-p-クレゾール3.91gを反応器に入れ、そして80℃に加熱する。次に残りの反応物、すなわちアクリル酸667.90gおよびニュオシンクロミウム510%稀釈溶液(市販製品10.00g+メトキシプロピルアセトート90.00g)78.20mlを加える。
バッチを105-110℃で反応させ、そして反応経過を酸分の滴定により追跡する。2.5時間の反応時間後、酸含有量は0.00mol/kgであり、反応は完了しそして生成物を保温の状態から外す。
反応生成物の分析データ:
1.固形分(乾燥重量):65.40%
2.エポキシ価(滴定):0.60mol/kg
3.酸分(滴定):0.00mol/kg
4.ブルックフィールド粘度Sp♯31:675mPa・s25℃;(50%溶液)
5.GPC(ポリスチレン検定):Mw=25084;Mn=3004
【0046】
参考例9:〔アクリル酸10mol%と反応させた参考例4の生成物〕
以下の成分を参考例8に記載した手順に従って反応させる。
参考例4の稀釈反応生成物(メトキシプロピルアセテートの57%溶液;エポキシ基1.12mol)
500.00g
アクリル酸 8.03g
2,6-ジ-第三ブチル-p-クレゾール 1.40g
ニュオシンクロミウム5,メトキシプロピルアセテート10%溶液 5.84g
以下の分析データが反応生成物に対して得られる。
1.固形分(乾燥重量):57.40%
2.エポキシ価(滴定):1.99mol/kg
3.酸分(滴定):0.05mol/kg
4.ブルックフィールド粘度Sp♯31:3510mPa・s25℃;(50%溶液)
5.GPC(ポリスチレン検定):Mw=24113;Mn=2565
【0047】
参考例10:〔アクリル酸65mol%と反応させた参考例1の生成物〕
以下の成分を参考例8に記載した手順に従って4時間反応させる。
参考例1の反応生成物(メトキシプロピルアセテートの69%溶液;エポキシ基2.56mol)
500.00g
アクリル酸 119.72g
メトキシプロピルアセテート 105.04g
2,6-ジ-第三ブチル-p-クレゾール 0.74g
ニュオシンクロミウム5,メトキシプロピルアセテート10%溶液14.81g
以下の分析データが反応生成物に対して得られる。
1.固形分(乾燥重量):67.40%
2.エポキシ価(滴定):0.81mol/kg
3.酸分(滴定):0.05mol/kg
4.ブルックフィールド粘度Sp♯31:43400mPa・s25℃;
5.GPC(ポリスチレン検定):Mw=27770;Mn=2815
【0048】
参考例11:〔アクリル酸75mol%と反応させた参考例7の生成物〕
以下の成分を参考例8に記載した手順に従って反応させる。
参考例7の反応生成物(エポキシ基0.548mol) 200.00g
アクリル酸 29.61g
メトキシプロピルアセテート 31.32g
2,6-ジ-第三ブチル-p-クレゾール 0.17g
ニュオシンクロミウム5,メトキシプロピルアセテート10%溶液3.40ml
以下の分析データが反応生成物に対して得られる。
1.固形分(乾燥重量):65.20%
2.エポキシ価(滴定):0.51mol/kg
3.酸分(滴定):0.05mol/kg
4.GPC(ポリスチレン検定):Mw=44949;Mn=2997
【0049】
実施例2:〔アクリル酸100mol%と反応させた参考例5の生成物〕
以下の成分を実施例1に記載した手順に従って8時間反応させる。
参考例5の反応生成物(エポキシ基0.854mol) 298.00g
アクリル酸 61.60g
メトキシプロピルアセテート 52.00g
2,6-ジ-第三ブチル-p-クレゾール 0.27g
ニュオシンクロミウム5,メトキシプロピルアセテート10%溶液5.42ml
以下の分析データが反応生成物に対して得られる。
1.エポキシ価(滴定):0.03mol/kg
2.酸分(滴定):0.06mol/kg
【0050】
実施例3:〔アクリル酸100mol%と反応させた参考例6の生成物〕
以下の成分を実施例1に記載した手順に従って8時間反応させる。
参考例6の反応生成物(エポキシ基0.83mol) 295.00g
アクリル酸 60.06g
メトキシプロピルアセテート 50.00g
2,6-ジ-第三ブチル-p-クレゾール 0.36g
ニュオシンクロミウム5,メトキシプロピルアセテート10%溶液5.34ml
以下の分析データが反応生成物に対して得られる。
1.エポキシ価(滴定):0.06mol/kg
2.酸分(滴定):0.00mol/kg
【0051】
(式IIIによる)アドバンストエポキシクレゾールノボラックのカルボキシル基-含有アクリレート
実施例4:〔無水コハク酸の70mol%と反応させた実施例1の生成物〕
以下の成分を参考例2に記載した手順に従って6時間反応させる。
実施例1の反応生成物(OH数=2.1mol/kg;OH基0.92molである66%溶液)
434.50g
無水コハク酸 64.45g
メトキシプロピルアセテート 41.38g
ピリジン 1.76g
以下の分析データが反応生成物に対して得られる。
1.固形分(乾燥重量):65.60%
2.酸分(滴定):1.31mol/kg
【0052】
実施例5:〔無水テトラヒドロフタル酸の80mol%と触媒として4-ジメチルアミノピリジンと反応させた実施例1の生成物〕
以下の成分を参考例2に記載した手順に従って7時間反応させる。
実施例1の反応生成物(OH基1.04mol) 500.50g
無水テトラヒドロフタル酸 126.83g
メトキシプロピルアセテート 276.83g
4-ジメチルアミノピリジン 0.23g
以下の分析データが反応生成物に対して得られる。
1.固形分(乾燥重量):48.40%
2.酸分(滴定):1.02mol/kg
3.ブルックフィールド粘度Sp♯31:2340mPa・s25℃;(50%溶液)
【0053】
実施例6:〔無水フタル酸の65mol%と反応させた実施例1の生成物〕
以下の成分を参考例2に記載した手順に従って8時間反応させる。
実施例1の反応生成物(OH基0.70mol) 328.80g
無水フタル酸 67.86g
メトキシプロピルアセテート 194.77g
ピリジン 1.48g
以下の分析データが反応生成物に対して得られる。
1.固形分(乾燥重量):43.90%
2.酸分(滴定):0.08mol/kg
【0054】
実施例7:〔無水テトラヒドロフタル酸の65mol%と反応させた実施例2の生成物〕
以下の成分を参考例2に記載した手順に従って6時間反応させる。
実施例2の反応生成物(OH基0.85mol) 398.80g
無水テトラヒドロフタル酸 89.00g
メトキシプロピルアセテート 190.00g
ピリジン 1.68g
以下の分析データが反応生成物に対して得られる。
1.固形分(乾燥重量):51.10%
2.酸分(滴定):0.95mol/kg
【0055】
実施例8:〔無水テトラヒドロフタル酸の65mol%と反応させた実施例3の生成物〕
以下の成分を参考例2に記載した手順に従って4.5時間反応させる。
実施例3の反応生成物(OH基0.83mol) 400.00g
無水テトラヒドロフタル酸 86.76g
メトキシプロピルアセテート 211.20g
ピリジン 1.76g
以下の分析データが反応生成物に対して得られる。
1.固形分(乾燥重量):46.00%
2.酸分(滴定):0.91mol/kg
【0056】
(式IIによる)アドバンストエポキシクレゾールノボラックのエポキシメタクリレート
参考例12:〔メタクリル酸50mol%と反応させた参考例1の生成物〕
以下の成分を参考例8に記載した手順に従って4時間反応させる。
参考例1の反応生成物(メトキシプロピルアセテート70%溶液;エポキシ基2.85mol/kg;エポキシ基0.855molに相当)
300.00g
メタクリル酸 36.80g
メトキシプロピルアセテート 37.96g
2,6-ジ-第三ブチル-p-クレゾール 0.25g
ニュオシンクロミウム5,メトキシプロピルアセテート10%溶液4.94ml
以下の分析データが反応生成物に対して得られる。
1.固形分(乾燥重量):64.80%
2.エポキシ価(滴定):0.10mol/kg
3.酸分(滴定):0.00mol/kg
4.ブルックフィールド粘度25℃;Sp♯31:27000mPa・s
5.GPC(ポリスチレン検定):Mw=28981;Mn=2809
【0057】
適用実施例
総手順:使用されるコーティング基質は清浄した銅張り電子積層板(copper-clad electronic laminates)または導電パターンで加工されたプリント回路板である。レジスト形成は、上記実施例に列挙された成分を、混合および溶解することにより、任意のろ過に続いて製造される。すべての操作は保護黄色光(protective yellow light)下で行われる。
試験目的のため、配合物はワイヤアプリケーター(wire applicator)でプリント回路板上に塗布できる。より大きい系列のためカーテンコーティング法およびローラーコーティングならびにスクリーン印刷が使用される。
乾燥は空気循環炉で行われる。曝露はハロゲン化金属でドープした5000W水銀高圧線源をもつ市販装置が使用して行われる。現像は市販連続現像装置内で行われる。感光性および解像度(resolution)の評価はストーファーステップウエッジ(Stouffer step wedge)および解像ウエッジ(resolution wedge)を通しての曝露によりなされ、結果は現像レジスト画像からの評価される。
配合物1.1は以下の新規なエポキシアクリレートからなる:
実施例1の反応生成物(メトキシプロピルアセテートの50%溶液として)
80.00g
サートマー(Sartomer)295(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)
13.00g
イルガキュア(Irgacure)907(光開始剤;バーゼルのチバ-ガイギーAG社)
3.00g
クァンタキュア(Quantacure)ITX(イソプロピルチオキサントン;増感剤)
1.50g
オラソール ブルー(Orasol blue)GN 0.15g
〔バーゼルのチバ-ガイギーAG社により販売される染料〕
配合物1.2:光重合性バインダーを有しおよび新規なエポキシアクリレートのを有しない比較実施例
スクリプセット(Scripset)550E(メトキシプロピルアセテートの30%溶液;モンサント社により販売されるポリマーバインダー;スチレン/リンゴ酸コポリマー)
133.33g
サートマー(Sartomer)295 13.00g
イルガキュア(Irgacure)907 3.00g
クァンタキュア(Quantacure)ITX 1.50g
オラソール ブルー(Orasol blue)GN 0.15g
【0058】


新規なエポキシアクリレート(実施例1)を含む配合物1.1は、実質的により高い固形分であるにもかかわらず配合物1.2よりも低粘度である。画像ウエッジ段階11であるその感光性は、単に画像ウエッジ段階2ないし3の比較配合物1.2を使用する場合よりも非常に高い。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-06-29 
出願番号 特願平6-174824
審決分類 P 1 651・ 161- ZA (C08G)
P 1 651・ 121- ZA (C08G)
最終処分 取消  
前審関与審査官 小林 均  
特許庁審判長 宮坂 初男
特許庁審判官 船岡 嘉彦
佐野 整博
登録日 2003-07-18 
登録番号 特許第3451383号(P3451383)
権利者 バンティコ アクチエンゲゼルシャフト
発明の名称 エポキシアクリレート  
代理人 萼 経夫  
代理人 中村 壽夫  
代理人 萼 経夫  
代理人 植木 久一  
代理人 宮崎 嘉夫  
代理人 中村 壽夫  
代理人 加藤 勉  
代理人 宮崎 嘉夫  
代理人 加藤 勉  

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