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審決分類 審判 全部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  H05B
審判 全部申し立て 2項進歩性  H05B
管理番号 1130857
異議申立番号 異議2003-73613  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2001-04-13 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-26 
確定日 2006-01-04 
異議申立件数
事件の表示 特許第3423261号「表示装置」の請求項1ないし12に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3423261号の請求項1ないし12に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第3423161号の請求項1乃至12に係る発明についての出願は、平成11年9月29日に特許出願されたものであって、平成15年4月25日にその特許の設定登録がなされ、その後、異議申立人大沢敏昭より平成15年12月26日に特許異議の申立てがなされ、平成17年1月24日付けで取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成17年4月6日に訂正請求がなされ、この訂正請求に対して平成17年5月19日付けで訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内である平成17年8月1日付けで手続補正書が提出されたものである。

2.訂正請求に対する補正の適否
平成17年8月1日付けで行われた訂正請求書の補正は、
「・・・前記表示領域は平坦化絶縁膜を含み、該平坦化絶縁膜が前記シールと前記第1の基板上に配置された電極との間まで延在した平坦化緩衝層となる・・・」(請求項1)を、
「・・・前記表示領域は平坦化絶縁膜を含み、該平坦化絶縁膜が前記シールと前記第1の基板との間まで延在して前記第1の基板上に配置された画素電極との間のドライバ回路を覆った平坦化緩衝層となる・・・」と補正(当審で下線を附した)することを含むものであるが、この補正は、訂正事項の削除、又は請求書の要旨を変更しない範囲での軽微な瑕疵の補正に該当せず、訂正請求書の要旨を変更するものであるので、当該訂正請求書の補正は、特許法第120条の4第3項で準用する同法第131条第2項の規定に違反するものであり、認められない。

3.訂正の適否
3-1.訂正の内容
上記のとおり平成17年8月1日付けで行われた訂正請求書の補正は認められないので、訂正の内容は、特許請求の範囲の記載
「【請求項1】 材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間であって前記表示領域の周辺を接着するシールを有し、前記表示領域は絶縁膜を含み、該絶縁膜が前記シールと前記第1の基板との間まで延在した緩衝層となることを特徴とする表示装置。
【請求項2】 材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記表示領域は絶縁膜を含み、該絶縁膜が前記シールと前記第1の基板との間まで延在した緩衝層となるとともに、前記表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極と、を有し、前記緩衝層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。
【請求項3】 前記第1の基板は、可視光を透過する透明絶縁基板であって、前記第2の基板は、前記表示領域を覆って形成された保護筐体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】 前記第1の基板は、ガラスもしくは樹脂よりなり、前記第2の基板は、金属よりなることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】 前記平坦化絶縁膜は、前記第1の基板と前記シールとの間に延在していることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】 前記平坦化絶縁膜は、前記シール及び前記第1の基板に比較して柔らかい材質よりなることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】 前記表示領域に配線を介して接続され、前記表示装置の外部に露出する端子を更に有し、前記配線もしくは端子と前記シールとの間には、前記緩衝層が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】 材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板との間に緩衝層を有し、前記緩衝層は絶縁膜であり、前記表示領域は、前記絶縁膜を含み該絶縁膜が、前記シールと前記第1又は/及び第2の基板との間まで延在し、緩衝層となっており、前記表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極と、を有し、前記緩衝層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。
【請求項9】 材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板との間に緩衝層を有し、前記表示領域は、前記絶縁膜を含み該絶縁膜が、前記シールと前記第1又は/及び第2の基板との間まで延在し、緩衝層となっており、前記表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極と、を有し、前記緩衝層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。
【請求項10】 材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板との間に緩衝層を有し、前記緩衝層は絶縁膜であり、前記表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極と、を有し、前記緩衝層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。
【請求項11】 材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板との間に緩衝層を有し、前記表示領域に配線を介して接続され、前記表示装置の外部に露出する端子を更に有し、前記配線もしくは端子と前記シールとの間には、前記緩衝層が配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項12】 前記表示領域は、電極間に発光層を挟持してなる有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の表示装置。」を、
「【請求項1】 材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間であって前記表示領域の周辺を接着するシールを有し、前記表示領域は平坦化絶縁膜を含み、該平坦化絶縁膜が前記シールと前記第1の基板上に配置された電極との間まで延在した平坦化緩衝層となることを特徴とする表示装置。
【請求項2】 材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記表示領域は平坦化絶縁膜を含み、該平坦化絶縁膜が前記シールと前記第1の基板上に配置された電極との間まで延在した緩衝層となるとともに、前記表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された前記平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極と、を有し、前記緩衝層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。
【請求項3】 前記第1の基板は、可視光を透過する透明絶縁基板であって、前記第2の基板は、前記表示領域を覆って形成された保護筐体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】 前記第1の基板は、ガラスもしくは樹脂よりなり、前記第2の基板は、金属よりなることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】 前記平坦化絶縁膜は、前記第1の基板と前記シールとの間に延在していることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】 前記平坦化絶縁膜は、前記シール及び前記第1の基板に比較して柔らかい材質よりなることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】 前記表示領域に配線を介して接続され、前記表示装置の外部に露出する端子を更に有し、前記配線もしくは端子と前記シールとの間には、前記緩衝層が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】 材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板上に配置された電極との間に緩衝層を有し、前記緩衝層は平坦化絶縁膜であり、前記表示領域は、前記平坦化絶縁膜を含み該平坦化絶縁膜が、前記シールと前記第1又は/及び第2の基板との間まで延在し、緩衝層となっており、前記表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された前記平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極と、を有し、前記緩衝層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。
【請求項9】 材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板上に配置された電極との間に緩衝層を有し、前記表示領域は、平坦化絶縁膜を含み該平坦化絶縁膜が、前記シールと前記第1又は/及び第2の基板との間まで延在し、緩衝層となっており、前記表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された前記平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極と、を有し、前記緩衝層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。
【請求項10】 材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板上に配置された電極との間に緩衝層を有し、前記緩衝層は平坦化絶縁膜であり、前記表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された前記平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極と、を有し、前記緩衝層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。
【請求項11】 材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板上に配置された電極との間に緩衝層を有し、前記表示領域に配線を介して接続され、前記表示装置の外部に露出する端子を更に有し、前記配線もしくは端子と前記シールとの間には、前記緩衝層が配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項12】 前記表示領域は、電極間に発光層を挟持してなる有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の表示装置。」と訂正する(下線は訂正部)ものである。

3-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
平成17年5月19日付け訂正拒絶理由通知でも述べたように、「・・・該平坦化絶縁膜が前記シールと前記第1の基板上に配置された電極との間まで延在した・・・」という訂正事項(請求項1及び2)及び「・・・前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板上に配置された電極との間に緩衝層を有し、・・・」という訂正事項(請求項8乃至11)は、願書に添付した明細書又は図面に記載されていない。
このように、上記訂正事項は、願書に添付した明細書又は図面に記載されておらず、かつ、これらから当業者が導き出せる事項でもないので、該訂正は願書に添付した明細書又は図面に記載の範囲内のものではない。

3-3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する第126条第2項の規定に適合しないので、当該訂正は認めない。

4.特許異議の申立てについての判断
4-1.本件発明
上記のとおり、訂正請求は認められないので、本件の請求項1乃至12に係る発明(以下、「本件第1発明」乃至「本件第12発明」という。)は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至12に記載された事項により特定されるとおりのものである。

4-2.平成17年1月24日付け取消理由の概要
当審が平成17年1月24日付けで通知した取消理由の概要は以下のとおりである。
(1)本件出願の請求項1乃至12に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
刊行物1:特開平11-26156号公報(異議申立人が提示した甲第1号証)
刊行物2:特開平11-74073号公報(同甲第2号証)
刊行物3:特開昭63-75783号公報(同甲第3号証)
刊行物4:特開昭64-24395号公報(同参考資料)

(2)本件出願は、明細書及び図面の記載が不備のため、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない。

4-3.平成17年1月24日付け取消理由の引用刊行物に記載された発明
当審が上記取消しの理由(1)において引用した刊行物1乃至3には、それぞれ以下の事項が記載されている。

刊行物1:特開平11-26156号公報(異議申立人提示の甲第1号証)
[記載イ-1]
「【0010】【発明が解決しようとする課題】 本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、水分や酸素の影響を受けにくく保存安定性に優れた有機EL多色発光表示装置を提供することを目的とする。」(【0010】段落)

[記載イ-2]
「【0013】 次に、図2に示す構成(構成B)を挙げることができる。すなわち、透光性基板1上に、少なくとも色変換層2と、これを被覆した平坦化層8と、発光層を含んだ有機物層31を下部電極32および上部電極33の二つの電極間に挟持した有機EL素子3とを順次積層して、表示領域4を形成してなる有機EL多色発光表示装置において、表示領域4の周辺に、前記電極を延長して形成した延長電極または前記電極と接続して形成した取出電極(図示せず)を配設してなるとともに、表示領域4を被覆するように封止部材6を配設してなり、かつ延長電極または取出電極(図示せず)、および透光性基板1の表面に前記封止部材6を接着してなる(接着部7)ことを特徴とする有機EL多色発光表示装置である。
この構成は前記構成Aに加えて、色変換層2を平坦化層8が被覆した構成となっている。
この構成とすることにより、前述の外部からの水分や酸素を遮断して、装置の保存安定性を向上できることに加えて、色変換層2上の凹凸を平坦化し、色変換層2の周辺部の段差を緩和して、積層される下部電極及び上部電極のひずみによる断線及び下部電極と上部電極との短絡を低減することができるのでより好ましい。
【0014】 次に、図3に示す構成(構成C)を挙げることができる。すなわち、この構成は、平坦化層8が、封止部材の接着する部分(接着部7)の外側(表示領域4の反対側)にまで透光性基板1上に積層されている構成である。・・・」(【0013】-【0014】段落)

[記載イ-3]
「【0019】・・・本発明に用いられる透光性基板は、多色発光装置を支持する基板であり、400nm〜700nmの可視領域の光の透過率が50%以上で、平滑な基板が好ましい。具体的には、ガラス板、ポリマー板等が挙げられる。・・・」(【0019】段落)

[記載イ-4]
「【0037】・・・本発明において、平坦化層は、色変換層を被覆するように設けられ、400nm〜700nmの光の透過率が50%以上で、電気絶縁層性のものであることが好ましい。
平坦化層は単層でもよいし、多層に構成されていてもよい。
【0038】 平坦化層をポリマー層とする場合、そのポリマーとして、具体的には、光硬化型樹脂および/または熱硬化型樹脂のように、アクリレート系、メタクリレート系の反応性ビニル基を有するものの硬化物を挙げることができる。・・・
【0039】 また、無機酸化物層とする場合、具体的には、酸化ケイ素(SiO2)・・・等の無機酸化物の層を挙げることができる。」(【0037】-【0039】段落)

[記載イ-5]
「【0082】・・・封止部材としては、有機EL多色発光表示装置の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性を特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板、金属板等が挙げられる。・・・
次に、封止部材と、電極、透光性基板、平坦化層とを接着させるためには以下のような接着剤を用いることができる。
具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化および熱硬化型接着剤、2-シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系などの熱および化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。・・・」(【0082】段落)

[記載イ-6]
図面の図3には、延長電極5と接着部7との間に平坦化層8が配置されている構成が記載されている

刊行物2:特開平11-74073号公報(同甲第2号証)

[記載ロ-1]
「【0003】 図4は、このような電荷注入型の有機半導体薄膜によって発光するEL素子を用いたアクティブマトリクス型表示装置のブロック図である。この図に示すアクティブマトリクス型表示装置1Aでは、透明基板10上に、複数の走査線gateと、該走査線gateの延設方向に対して交差する方向に延設された複数のデータ線sigと、該データ線sigに並列する複数の共通給電線comと、データ線sigと走査線gateとによってマトリクス状に形成された画素7とが構成されている。データ線sigおよび走査線gateに対してはデータ側駆動回路3および走査側駆動回路4が構成されている。各々の画素7には、走査線gateを介して走査信号が供給される導通制御回路50と、この導通制御回路50を介してデータ線sigから供給される画像信号に基づいて発光する薄膜発光素子40とが構成されている。導通制御回路50は、走査線gateを介して走査信号がゲート電極に供給される第1のTFT20と、この第1のTFT20を介してデータ線sigから供給される画像信号を保持する保持容量capと、この保持容量capによって保持された画像信号がゲート電極に供給される第2のTFT30とから構成されている。第2のTFT30と薄膜発光素子40とは、後述する対向電極opと共通給電線comとの間に直列に接続している。この薄膜発光素子40は、第2のTFT30がオン状態になったときには共通給電線comから駆動電流が流れ込んで発光するとともに、この発光状態は保持容量capによって所定の期間、保持される。
・・・
【0005】 このような構成のアクティブマトリクス型表示装置1Aでは、図5および図6(A)、(B)に示すように、いずれの画素7においても、島状の半導体膜を利用して同一工程で第1のTFT20および第2のTFT30が形成されている。
第1のTFT20は、ゲート電極21が走査線gateの一部として構成されている。第1のTFT20は、ソース・ドレイン領域の一方に第1の層間絶縁膜51のコンタクホールを介してデータ線sigが電気的に接続し、他方にはドレイン電極22が電気的に接続している。ドレイン電極22は、第2のTFT30の形成領域に向けて延設されており、この延設部分には第2のTFT30のゲート電極31が第1の層間絶縁膜51のコンタクトホールを介して電気的に接続している。第2のTFT30のソース・ドレイン領域の一方には、第1の層間絶縁膜51のコンタクトホールを介して中継電極35が電気的に接続し、この中継電極35には第2の層間絶縁膜52のコンタクトホールを介して薄膜発光素子40の画素電極41が電気的に接続している。
【0006】 画素電極41は、図5および図6(B)、(C)からわかるように各画素7毎に独立して形成されている。画素電極41の上層側には、有機半導体膜43および対向電極opがこの順に積層されている。対向電極opは、少なくとも表示部11を覆うように形成されている。
【0007】 再び、図5および図6(A)において、第2のTFT30のソース・ドレイン領域のもう一方には、第1の層間絶縁膜51のコンタクトホールを介して共通給電線comが電気的に接続している。共通給電線comの延設部分39は、第2のTFT30のゲート電極31の延設部分36に対して、第1の層間絶縁膜51を誘電体膜として挟んで対向し、保持容量capを構成している。」(【0003】-【0007】段落)

刊行物3:特開昭63-75783号公報(同甲第3号証)

[記載ハ-1]
「次に、前述のように基板1上に構成された電界発光表示素子8(以下、EL素子8と略称する。)の上には、保護層9が被着形成されている。この保護層9は、後述する容器部10を基板1上に封着固定するのに用いられる低融点ソルダーガラス11が、前記両電極2、6の外部端子部2a、6aを腐食させることを防止するための層である。第1図(a)に示すように、外部端子部を含むEL素子8上のほぼ全面にわたって保護層9を形成するようにすれば、EL素子8自体の防湿性をさらに高めることができ、」(公報第3頁右下欄11行目〜第4頁左上欄1行目)

[記載ハ-2]
図面第1図(a)には、外部端子部6aと、低融点ソルダーガラス11との間に、保護層9が配置される構成が記載されている

4-4.対比・判断
(a)本件第1発明
本件第1発明は、本件特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、「材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間であって前記表示領域の周辺を接着するシールを有し、前記表示領域は絶縁膜を含み、該絶縁膜が前記シールと前記第1の基板との間まで延在した緩衝層となることを特徴とする表示装置。」である。
一方、刊行物1には、以下の発明が記載されている。
「ガラス板またはポリマー板よりなる透光性基板1及び金属板よりなる封止部材6の間に表示領域4が配置された表示装置であって、前記透光性基板1及び封止部材6の間であって前記表示領域4の周辺を接着する接着部7を有し、前記表示領域4は電気絶縁層性の平坦化層8を含み、該電気絶縁層性の平坦化層8が前記接着部7と前記透光性基板1との間まで延在した層となることを特徴とする表示装置。」
刊行物1に記載された発明の「ガラス板またはポリマー板よりなる透光性基板1及び金属板よりなる封止部材6」、「接着部7」、及び「電気絶縁層性の平坦化層8」は本件第1発明の「材質の異なる第1及び第2の基板」、「シール」、及び「絶縁膜」に相当する。
また、刊行物1に記載された発明の(接着部7と透光性基板1との間まで延在した)「層」と、本件第1発明の「緩衝層」は、「層」という上位概念で一致する。
したがって、両者は、
「材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間であって前記表示領域の周辺を接着するシールを有し、前記表示領域は絶縁膜を含み、該絶縁膜が前記シールと前記第1の基板との間まで延在した層となることを特徴とする表示装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点:
本件第1発明では絶縁膜が「緩衝」層とされているのに対し、刊行物1に記載された発明では平坦化層8の緩衝に関した記載がない点。

判断:
本件第1発明では絶縁膜の材質について特段限定しておらず、本願明細書の記載を参照しても絶縁膜(平坦化絶縁膜21)の材質として「アクリル系樹脂や、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、ポジ型レジスト材料等が採用できる。」(明細書【0027段落】。当審で下線を附した。)とされているまでであり、これに対し刊行物1は、上記4-3.[記載イ-4]で摘記したように、平坦化層8の材質としてアクリレート系の樹脂、酸化ケイ素をあげており、両者の材質に格別の相違がない。してみれば、格別の相違のない材質よりなり、ともに絶縁膜であり配置される箇所も同様である、刊行物1の平坦化層8と、本件第1発明の絶縁膜とで、格別の相違は生じるものではない。

したがって、本件第1発明は刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、本件第1発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(b)本件第2発明
本件第2発明は、本件特許請求の範囲の請求項2に記載されたとおりの、「材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記表示領域は絶縁膜を含み、該絶縁膜が前記シールと前記第1の基板との間まで延在した緩衝層となるとともに、前記表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極と、を有し、前記緩衝層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。」である。
一方、刊行物1には、以下の発明が記載されている。
「ガラス板またはポリマー板よりなる透光性基板1及び金属板よりなる封止部材6の間に表示領域4が配置された表示装置であって、前記透光性基板1及び封止部材6間を接着する接着部7を有し、前記表示領域4は電気絶縁層性の平坦化層8を含み、該平坦化層8が前記接着部7と前記透光性基板1との間まで延在した層となるとともに、前記表示領域4は、平坦化層8と、前記平坦化層8上に設けられた下部電極32と、を有し、前記延在した層は前記平坦化層8であることを特徴とする表示装置。」
刊行物1に記載された発明の「ガラス板またはポリマー板よりなる透光性基板1及び金属板よりなる封止部材6」、「接着部7」、及び「電気絶縁層性の平坦化層8」は本件第2発明の「材質の異なる第1及び第2の基板」、「シール」、及び「絶縁膜」に相当する。
また、刊行物1に記載された発明の(接着部7と透光性基板1との間まで延在した)「層」、及び(電気絶縁層性の)「平坦化層8上に設けられた下部電極32」と、本件第2発明の「緩衝層」、及び「平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極」とは、それぞれ「層」、「平坦化絶縁膜上に設けられた電極」という上位概念で一致する。
したがって、両者は、
「材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記表示領域は絶縁膜を含み、該絶縁膜が前記シールと前記第1の基板との間まで延在した層となるとともに、前記表示領域は平坦化絶縁膜と、前記平坦化絶縁膜上に設けられた電極と、を有し、前記延在した層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点:
相違点1-本件第2発明では絶縁膜が「緩衝」層とされているのに対し、刊行物1に記載された発明では平坦化層8の緩衝に関した記載がない点。

相違点2-本件第2発明では、表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極とを有するのに対し、刊行物1に記載された発明では、画素毎に設けられた選択駆動回路に関する記載、および平坦化層8上に「画素」電極が設けられる旨の記載がない点。
判断:
相違点1について-相違点1については、上記「(a)本件第1発明」で述べたとおりである。
相違点2について-上記4-3.[記載ロ-1]で摘記したように、刊行物2には、表示領域が、画素毎に設けられたTFTと、前記TFTを覆って形成された層間絶縁膜と、それぞれの前記TFTに対応して前記層間絶縁膜上に設けられた画素電極とを有する、EL素子を用いたアクティブマトリクス型表示装置が記載されており、この構成を、上記4-3.[記載イ-1]で摘記したように有機EL多色発光表示装置である刊行物1記載の表示装置に適用して相違点2にかかる発明特定事項を得ることは当業者にとり格別困難なことではない。
したがって、本件第2発明は刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、本件第2発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(c)本件第3発明
本件第3発明は、本件第1又は2発明における「第1の基板」について「可視光を透過する透明絶縁基板」と限定し、「第2の基板」について「前記表示領域を覆って形成された保護筐体」と限定した発明である。
これについて検討すると、刊行物1には、上記(a)、(b)でも指摘したように、「ガラス板またはポリマー板よりなる透光性基板1」及び「金属板よりなる封止部材6」が記載されており、これより「可視光を透過する透明絶縁基板」及び「前記表示領域を覆って形成された保護筐体」を想到することは当業者ならば容易である。
したがって、本件第3発明は刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、本件第3発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(d)本件第4発明
本件第4発明は、本件第3発明における「第1の基板」について「ガラスもしくは樹脂よりなり」と限定し、「第2の基板」について「金属よりなる」と限定した発明である。
これについて検討すると、刊行物1には、上記(a)、(b)及び(c)でも指摘したように、透光性基板1が「ガラス板またはポリマー板よりなる」こと、及び封止部材6が「金属板よりなる」ことが記載されている。
したがって、本件第4発明は刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、本件第4発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(e)本件第5発明
本件第5発明は、本件第4発明における「平坦化絶縁膜」について「前記第1の基板と前記シールとの間に延在している」と限定したものである。
これについて検討すると、刊行物1には、上記(a)、(b)でも指摘したように、電気絶縁層性の平坦化層8が、透光性基板1と接着部7との間に延在することが記載されている。
したがって、本件第5発明は刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、本件第5発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(f)本件第6発明
本件第6発明は、本件第5発明における「平坦化絶縁膜」について「前記シール及び前記第1の基板に比較して柔らかい材質よりなる」と限定したものである。
これについて検討すると、上記(a)及び(d)で述べたように、「平坦化絶縁膜」及び「第1の基板」の材質に関して、本件第6発明と刊行物1記載の発明との間に格別の相違はみられず、また、「シール」についても、本件第6発明ではシールの材質について特段限定しておらず、本願明細書の記載を参照してもシール11は、接着剤11に乾燥剤を混入したものという以上の記載はなく(接着剤11の材質に関する記載は、明細書【0002】段落の【従来の技術】で、「紫外線硬化樹脂」との記載がある程度)、これに対し刊行物1でも、上記4-3.[記載イ-5]で摘記したように、やはり乾燥剤が分散された接着剤(「光硬化型」とも記載)を用いることが記載されており、両者の材質の間に格別の相違がない。
このように、「平坦化絶縁膜」、「シール」、及び「第1の基板」について、本件第6発明と刊行物1記載の発明との間でそれらの材質に格別の差がないところ、それらの間の柔らかさの関係、すなわち「前記平坦化絶縁膜は、前記シール及び前記第1の基板に比較して柔らかい材質」という関係についても、刊行物1記載の発明と、本件第6発明とで、その柔らかさに格別の相違は生じるものではない
したがって、本件第6発明は刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、本件第6発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(g)本件第7発明
本件第7発明は、本件第1発明を「前記表示領域に配線を介して接続され、前記表示装置の外部に露出する端子を更に有し、前記配線もしくは端子と前記シールとの間には、前記緩衝層が配置されている」と限定したものである。
これについて検討すると、上記4-3.[記載イ-2]で摘記したように、刊行物1には、表示領域4に接続される取出電極5を有していることが記載されている。そして、刊行物1においては、取出電極5と表示領域4との接続が「配線を介して」なされること、また、取出電極5が「表示装置の外部に露出する端子となる」との直接的記載はないが、両者が接続されている以上、両者間が配線されていること(本件第7発明では、配線の態様についてはとくに限定されていない)、また、取出電極としての機能から見て、取出電極5が表示装置の外部に露出する端子となることは、当業者には自明である。
ここで、刊行物1には、取出電極5(もしくは取出電極5と表示領域4とを接続する配線)と、接着部7及び平坦化層8との配置関係についての直接的記載はない。しかし、上記4-3.[記載イ-2]及び[記載イ-6]で摘記したように、刊行物1には、取出電極5と置き換え得る延長電極5の場合においては、延長電極5と接着部7との間に平坦化層8が配置されていることが記載されており、これより当業者ならば、延長電極5を取出電極5に置き換えた場合に取出電極5(もしくは取出電極5と表示領域4とを接続する配線)と接着部7との間に平坦化層8が配置されることは容易に推察できる。加えて、上記4-3.[記載ハ-1]及び[記載ハ-2]で摘記したように、刊行物3にも、表示領域に接続される「外部端子部2a、6a」を有し、前記外部端子部2a、6aと、(容器部10を基板1上に封着固定するのに用いられる)低融点ソルダーガラス11との間に、保護層9が配置される構成が開示されている。
したがって、本件第7発明は刊行物1乃至3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、本件第7発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(h)本件第8発明
本件第8発明は、本件特許請求の範囲の請求項8に記載されたとおりの、「材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板との間に緩衝層を有し、前記緩衝層は絶縁膜であり、前記表示領域は、前記絶縁膜を含み該絶縁膜が、前記シールと前記第1又は/及び第2の基板との間まで延在し、緩衝層となっており、前記表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極と、を有し、前記緩衝層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。」である。
一方、刊行物1には、以下の発明が記載されている。
「ガラス板またはポリマー板よりなる透光性基板1及び金属板よりなる封止部材6の間に表示領域4が配置された表示装置であって、前記透光性基板1及び封止部材6間を接着する接着部7を有し、前記接着部7と、前記透光性基板1との間に平坦化層8を有し、前記平坦化層8層は電気絶縁層性であり、前記表示領域4は、前記平坦化層8を含み該平坦化層8が、前記接着部7と前記透光性基板1との間まで延在した層となっており、前記表示領域4は、平坦化層8と、前記平坦化層8上に設けられた下部電極32と、を有し、前記延在した層は前記平坦化層8であることを特徴とする表示装置。」
刊行物1に記載された発明の「ガラス板またはポリマー板よりなる透光性基板1及び金属板よりなる封止部材6」、「接着部7」、及び「電気絶縁層性の平坦化層8」は本件第8発明の「材質の異なる第1及び第2の基板」、「シール」、及び「絶縁膜」に相当する。
また、刊行物1に記載された発明の(接着部7と透光性基板1との間まで延在した)「層」、及び(電気絶縁層性の)「平坦化層8上に設けられた下部電極32」と、本件第8発明の「緩衝層」、及び「平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極」とは、それぞれ「層」、「平坦化絶縁膜上に設けられた電極」という上位概念で一致する。
したがって、両者は、
「材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板との間に層を有し、 前記層は絶縁膜であり、前記表示領域は、前記絶縁膜を含み該絶縁膜が、前記シールと前記第1又は/及び第2の基板との間まで延在した層となっており、前記表示領域は、平坦化絶縁膜と、前記平坦化絶縁膜上に設けられた電極と、を有し、前記延在した層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点:
相違点1-本件第8発明では絶縁膜が「緩衝」層とされているのに対し、刊行物1に記載された発明では平坦化層8の緩衝に関した記載がない点。

相違点2-本件第8発明では、表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極とを有するのに対し、刊行物1に記載された発明では、画素毎に設けられた選択駆動回路に関する記載、および平坦化層8上に「画素」電極が設けられる旨の記載がない点。

判断:
相違点1について-相違点1については、上記「(a)本件第1発明」で述べたとおりである。
相違点2について-相違点2については、上記「(b)本件第2発明」で述べたとおりである。

したがって、本件第8発明は刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、本件第8発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(i)本件第9発明
本件第9発明は、本件特許請求の範囲の請求項9に記載されたとおりの、「材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板との間に緩衝層を有し、前記表示領域は、前記絶縁膜を含み該絶縁膜が、前記シールと前記第1又は/及び第2の基板との間まで延在し、緩衝層となっており、前記表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極と、を有し、前記緩衝層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。」である。
一方、刊行物1には、以下の発明が記載されている。
「ガラス板またはポリマー板よりなる透光性基板1及び金属板よりなる封止部材6の間に表示領域4が配置された表示装置であって、前記透光性基板1及び封止部材6間を接着する接着部7を有し、前記接着部7と、前記透光性基板1との間に平坦化層8を有し、前記表示領域4は、電気絶縁層性である前記平坦化層8を含み該平坦化層8が、前記接着部7と前記透光性基板1との間まで延在した層となっており、前記表示領域4は、平坦化層8と、前記平坦化層8上に設けられた下部電極32と、を有し、前記延在した層は前記平坦化層8であることを特徴とする表示装置。」
刊行物1に記載された発明の「ガラス板またはポリマー板よりなる透光性基板1及び金属板よりなる封止部材6」、「接着部7」、及び「電気絶縁層性の平坦化層8」は本件第9発明の「材質の異なる第1及び第2の基板」、「シール」、及び「絶縁膜」に相当する。
また、刊行物1に記載された発明の(接着部7と透光性基板1との間まで延在した)「層」、及び(電気絶縁層性の)「平坦化層8上に設けられた下部電極32」と、本件第9発明の「緩衝層」、及び「平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極」とは、それぞれ「層」、「平坦化絶縁膜上に設けられた電極」という上位概念で一致する。
したがって、両者は、
「材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板との間に層を有し、前記表示領域は、前記絶縁膜を含み該絶縁膜が、前記シールと前記第1又は/及び第2の基板との間まで延在した層となっており、前記表示領域は、平坦化絶縁膜と、前記平坦化絶縁膜上に設けられた電極と、を有し、前記延在した層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点:
相違点1-本件第9発明では絶縁膜が「緩衝」層とされているのに対し、刊行物1に記載された発明では平坦化層8の緩衝に関した記載がない点。

相違点2-本件第9発明では、表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極とを有するのに対し、刊行物1に記載された発明では、画素毎に設けられた選択駆動回路に関する記載、および平坦化層8上に「画素」電極が設けられる旨の記載がない点。

判断:
相違点1について-相違点1については、上記「(a)本件第1発明」で述べたとおりである。
相違点2について-相違点2については、上記「(b)本件第2発明」で述べたとおりである。
したがって、本件第9発明は刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、本件第9発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(j)本件第10発明
本件第10発明は、本件特許請求の範囲の請求項10に記載されたとおりの、「材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板との間に緩衝層を有し、前記緩衝層は絶縁膜であり、前記表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極と、を有し、前記緩衝層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。」である。
一方、刊行物1には、以下の発明が記載されている。
「ガラス板またはポリマー板よりなる透光性基板1及び金属板よりなる封止部材6の間に表示領域4が配置された表示装置であって、前記透光性基板1及び封止部材6間を接着する接着部7を有し、前記接着部7と、前記透光性基板1との間に平坦化層8を有し、前記平坦化層8層は電気絶縁層性であり、前記表示領域4は、平坦化層8と、前記平坦化層8上に設けられた下部電極32と、を有することを特徴とする表示装置。」
刊行物1に記載された発明の「ガラス板またはポリマー板よりなる透光性基板1及び金属板よりなる封止部材6」、「接着部7」、及び「電気絶縁層性の平坦化層8」は本件第9発明の「材質の異なる第1及び第2の基板」、「シール」、及び「絶縁膜」に相当する。
また、刊行物1に記載された発明の(接着部7と透光性基板1との間まで延在した)「層」、及び(電気絶縁層性の)「平坦化層8上に設けられた下部電極32」と、本件第10発明の「緩衝層」、及び「平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極」とは、それぞれ「層」、「平坦化絶縁膜上に設けられた電極」という上位概念で一致する。
したがって、両者は、
「材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板との間に層を有し、前記層は絶縁膜であり、前記表示領域は、平坦化絶縁膜と、前記平坦化絶縁膜上に設けられた電極と、を有し、前記層は前記平坦化絶縁膜であることを特徴とする表示装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点:
相違点1-本件第10発明では平坦化絶縁膜が「緩衝」層とされているのに対し、刊行物1に記載された発明では平坦化層8の緩衝に関した記載がない点。

相違点2-本件第10発明では、表示領域は、画素毎に設けられた選択駆動回路と、前記選択駆動回路を覆って形成された平坦化絶縁膜と、それぞれの前記選択駆動回路に対応して前記平坦化絶縁膜上に設けられた画素電極とを有するのに対し、刊行物1に記載された発明では、画素毎に設けられた選択駆動回路に関する記載、および平坦化層8上に「画素」電極が設けられる旨の記載がない点。

判断:
相違点1について-相違点1については、上記「(a)本件第1発明」で述べたとおりである。
相違点2について-相違点2については、上記「(b)本件第2発明」で述べたとおりである。
したがって、本件第10発明は刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、本件第10発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(k)本件第11発明
本件第11発明は、本件特許請求の範囲の請求項11に記載されたとおりの、「材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板との間に緩衝層を有し、前記表示領域に配線を介して接続され、前記表示装置の外部に露出する端子を更に有し、前記配線もしくは端子と前記シールとの間には、前記緩衝層が配置されていることを特徴とする表示装置」である。
一方、刊行物1には、以下の発明が記載されている。
「ガラス板またはポリマー板よりなる透光性基板1及び金属板よりなる封止部材6の間に表示領域4が配置された表示装置であって、前記透光性基板1及び封止部材6間を接着する接着部7を有し、前記接着部7と、前記透光性基板1との間に平坦化層8を有し、前記表示領域4に接続される取出電極5を更に有していることを特徴とする表示装置」
刊行物1に記載された発明の「ガラス板またはポリマー板よりなる透光性基板1及び金属板よりなる封止部材6」、「接着部7」、及び「取出電極5」は本件第11発明の「材質の異なる第1及び第2の基板」、「シール」、及び「端子」に相当する。
また、刊行物1に記載された発明の「平坦化層」と、本件第11発明の「緩衝層」とは、「層」という上位概念で一致する。
したがって、両者は、
「材質の異なる第1及び第2の基板間に表示領域が配置された表示装置であって、前記第1及び第2の基板間を接着するシールを有し、前記シールと、前記第1もしくは/及び第2の基板との間に層を有し、前記表示領域に接続される端子を更に有する表示装置」
である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点:
相違点1-本件第11発明では「緩衝」層を有するのに対し、刊行物1に記載された発明では平坦化層8の緩衝に関した記載がない点。

相違点2-本件第11発明では、表示領域に配線を介して接続され、表示装置の外部に露出する端子を有し、前記配線もしくは端子とシールとの間には、緩衝層が配置されているのに対し、刊行物1に記載された発明では、取出電極5と表示領域4との間の「配線」、取出電極5が「表示装置の外部に露出」しているかどうか、及び取出電極5と、接着部7及び平坦化層8との配置関係についての記載がない点。

判断:
相違点1について-相違点1については、上記「(a)本件第1発明」で述べたとおりである。
相違点2について-相違点2については、上記「(g)本件第7発明」で述べたとおりである。
したがって、本件第11発明は刊行物1乃至3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、本件第11発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(l)本件第12発明
本件第12発明は、本件第1乃至11発明における「表示領域」について「電極間に発光層を挟持してなる有機エレクトロルミネッセンス素子を有する」と限定した発明である。
しかしながら、上記4-3.[記載イ-2]で摘記したように、刊行物1にも、電極32、33間に発光層を含んだ有機物層31を挟持してなる有機EL素子3を有する表示領域4が記載されている。
したがって、本件第12発明は刊行物1乃至3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、本件第12発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

以上のとおりであるから、上記「4-2.平成17年1月24日付け取消理由の概要」の理由(2)について検討するまでもなく、本件請求項1乃至12に係る発明は、同理由(1)により特許を受けることができない。

4-5.むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1乃至12に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件請求項1乃至12に係る発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2005-11-16 
出願番号 特願平11-277088
審決分類 P 1 651・ 121- ZB (H05B)
P 1 651・ 841- ZB (H05B)
最終処分 取消  
特許庁審判長 上野 信
特許庁審判官 井口 猶二
前川 慎喜
登録日 2003-04-25 
登録番号 特許第3423261号(P3423261)
権利者 三洋電機株式会社
発明の名称 表示装置  
代理人 芝野 正雅  
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